(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-02
(45)【発行日】2022-12-12
(54)【発明の名称】移植機
(51)【国際特許分類】
A01C 11/02 20060101AFI20221205BHJP
【FI】
A01C11/02 302C
(21)【出願番号】P 2017230962
(22)【出願日】2017-11-30
【審査請求日】2019-12-25
【審判番号】
【審判請求日】2021-11-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110003041
【氏名又は名称】特許業務法人安田岡本特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】茅野 友広
(72)【発明者】
【氏名】牧原 邦充
(72)【発明者】
【氏名】中村 謙
(72)【発明者】
【氏名】百合野 辰哉
(72)【発明者】
【氏名】檜垣 進
(72)【発明者】
【氏名】小林 慈郎
(72)【発明者】
【氏名】林 福帥
【合議体】
【審判長】住田 秀弘
【審判官】佐藤 美紗子
【審判官】西田 秀彦
(56)【参考文献】
【文献】実開平5-34811(JP,U)
【文献】特開2017-63704(JP,A)
【文献】特開2017-63708(JP,A)
【文献】特開2006-304630(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01C11/00-14/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体と、
前記機体に搭載された灌水タンクと、
前記機体に設けられ且つ圃場に植え付けられる苗が供給される苗供給部と、
圃場に苗を植え付ける植付具と、
前記苗供給部から供給される苗を前記植付具に案内するガイド部材と、
前記灌水タンクから供給される水を前記ガイド部材に導くチューブであって、前記ガイド部材に対する先端部の位置が保持されたチューブと、
を備え、
前記植付具は、前側の第1構成部と後側の第2構成部とを有
するとともに、支持機構により前後に開閉可能に支持され、
前記支持機構は、前記第1構成部側に配置された第1取付具と、前記第2構成部側に配置された第2取付具と、を備え、
前記第1取付具及び前記第2取付具は、それぞれプレートを備え、
前記第1取付具のプレートには、前記第1構成部に固定された第1取付ブラケットが取り付けられ、
前記第2取付具のプレートには、前記第2構成部に固定された第2取付ブラケットが取り付けられ、
前記ガイド部材は、前記チューブを装着可能であって且つ上部と下部が開放された円筒状の複数の装着部を有し、
前記装着部は、当該装着部の下部が前記ガイド部材の外面と
前記プレートに挟まれる位置に配置され、
前記チューブは、当該チューブの先端部が前記装着部の上部から差し込まれることによって前記装着部に装着され、
前記複数の装着部は、前記ガイド部材の外面の前下部に設けられた一方の装着部と、前記ガイド部材の外面の後下部に設けられた他方の装着部と、を含み、
前記一方の装着部に装着された前記チューブの先端部は、前記第1構成部側を向いて配置され、前記第1構成部側に向けて放水することにより、前記第1構成部の内面に付着した土を落とすことができ、
前記他の装着部に装着された前記チューブの先端部は、前記第2構成部側を向いて配置され、前記第2構成部側に向けて放水することにより、前記第2構成部の内面に付着した土を落とすことができる移植機。
【請求項2】
前記チューブは、基端側が前記灌水タンクに接続された主チューブと、前記主チューブの先端側に設けられた分岐部と、前記分岐部から複数に分岐されて前記複数の装着部にそれぞれ装着された分岐チューブと、を有し、
前記植付具は、第1支持体により支持された第1植付具及び第3植付具と、第2支持体により支持された第2植付具及び第4植付具と、を含み、
前記第1支持体は、前記第1植付具と前記第3植付具との間に配置され、
前記第2支持体は、前記第2植付具と前記第4植付具との間に配置され、
前記ガイド部材は、前記第1植付具に苗を案内する第1ガイドと、前記第2植付具に苗を案内する第2ガイドと、前記第3植付具に苗を案内する第3ガイドと、前記第4植付具に苗を案内する第4ガイドと、を含み、
前記第1ガイド及び前記第3ガイドは、前記第1支持体に取り付けられており、
前記第2ガイド及び前記第4ガイドは、前記第2支持体に取り付けられており、
前記分岐部は、前記第1支持体の上方であって前記第1ガイドと前記第3ガイドとの間に配置された一の分岐部と、前記第2支持体の上方であって前記第2ガイドと前記第4ガイドとの間に配置された他の分岐部とを含む請求項1に記載の移植機。
【請求項3】
前記ガイド部材の前方に配置された前部フレームと、
前記前部フレームの機体幅方向外方側から後方に延びる側部フレームと、
を備え、
前記主チューブは、前記前部フレーム及び前記側部フレームに沿って取り付けられており、
前記チューブは、前記第1ガイドに水を導く第1チューブと、前記第2ガイドに水を導く第2チューブと、前記第3ガイドに水を導く第3チューブと、前記第4ガイドに水を導く第4チューブと、を含み、
前記第1ガイド及び前記第3ガイドは左側に配置され、前記第2ガイド及び前記第4ガイドは右側に配置され、
前記第1チューブの主チューブ及び前記第3チューブの主チューブは、前記前部フレームの左部から後方に延びて、前記第1ガイドと前記第3ガイドとの間において結束具により束ねられて前記一の分岐部に接続されており、
前記第2チューブの主チューブ及び前記第4チューブの主チューブは、前記前部フレームの右部から後方に延びて、前記第2ガイドと前記第4ガイドとの間において結束具により束ねられて前記他の分岐部に接続されている請求項2に記載の移植機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、苗を圃場に植え付ける移植機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に開示された移植機が知られている。
特許文献1に開示された移植機は、畝に苗を植え付ける植付具と、植え付ける苗に灌水すると共に植付具(植付カップ)の内面に付着した土を落とすための給水ホースと、を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された移植機によれば、給水ホースによって植え付ける苗に灌水すると共に植付具の内面に付着した土を落とすことができる。しかしながら、特許文献1には、植付具の内面に付着した土を簡単に落とすための給水ホースの具体的な配置等については開示されていない。
本発明は、かかる従来技術に鑑みて、植付具の内面に付着した土を簡単に除去できる移植機を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様に係る移植機は、機体と、前記機体に搭載された灌水タンクと、前記機体に設けられ且つ圃場に植え付けられる苗が供給される苗供給部と、圃場に苗を植え付ける植付具と、前記苗供給部から供給される苗を前記植付具に案内するガイド部材と、前記灌水タンクから供給される水を前記ガイド部材に導くチューブであって、前記ガイド部材に対する先端部の位置が保持されたチューブと、を備え、前記植付具は、前側の第1構成部と後側の第2構成部とを有するとともに、支持機構により前後に開閉可能に支持され、前記支持機構は、前記第1構成部側に配置された第1取付具と、前記第2構成部側に配置された第2取付具と、を備え、前記第1取付具及び前記第2取付具は、それぞれプレートを備え、前記第1取付具のプレートには、前記第1構成部に固定された第1取付ブラケットが取り付けられ、前記第2取付具のプレートには、前記第2構成部に固定された第2取付ブラケットが取り付けられ、前記ガイド部材は、前記チューブを装着可能であって且つ上部と下部が開放された円筒状の複数の装着部を有し、前記装着部は、当該装着部の下部が前記ガイド部材の外面と前記プレートに挟まれる位置に配置され、前記チューブは、当該チューブの先端部が前記装着部の上部から差し込まれることによって前記装着部に装着され、前記複数の装着部は、前記ガイド部材の外面の前下部に設けられた一方の装着部と、前記ガイド部材の外面の後下部に設けられた他方の装着部と、を含み、前記一方の装着部に装着された前記チューブの先端部は、前記第1構成部側を向いて配置され、前記第1構成部側に向けて放水することにより、前記第1構成部の内面に付着した土を落とすことができ、前記他の装着部に装着された前記チューブの先端部は、前記第2構成部側を向いて配置され、前記第2構成部側に向けて放水することにより、前記第2構成部の内面に付着した土を落とすことができる。
【0006】
また、前記チューブは、基端側が前記灌水タンクに接続された主チューブと、前記主チューブの先端側に設けられた分岐部と、前記分岐部から複数に分岐されて前記複数の装着部にそれぞれ装着された分岐チューブと、を有し、前記植付具は、第1支持体により支持された第1植付具及び第3植付具と、第2支持体により支持された第2植付具及び第4植付具と、を含み、前記第1支持体は、前記第1植付具と前記第3植付具との間に配置され、前記第2支持体は、前記第2植付具と前記第4植付具との間に配置され、前記ガイド部材は、前記第1植付具に苗を案内する第1ガイドと、前記第2植付具に苗を案内する第2ガイドと、前記第3植付具に苗を案内する第3ガイドと、前記第4植付具に苗を案内する第4ガイドと、を含み、前記第1ガイド及び前記第3ガイドは、前記第1支持体に取り付けられており、前記第2ガイド及び前記第4ガイドは、前記第2支持体に取り付けられており、前記分岐部は、前記第1支持体の上方であって前記第1ガイドと前記第3ガイドとの間に配置された一の分岐部と、前記第2支持体の上方であって前記第2ガイドと前記第4ガイドとの間に配置された他の分岐部とを含む。
【0007】
また、前記ガイド部材の前方に配置された前部フレームと、前記前部フレームの機体幅方向外方側から後方に延びる側部フレームと、を備え、前記主チューブは、前記前部フレーム及び前記側部フレームに沿って取り付けられており、前記チューブは、前記第1ガイドに水を導く第1チューブと、前記第2ガイドに水を導く第2チューブと、前記第3ガイドに水を導く第3チューブと、前記第4ガイドに水を導く第4チューブと、を含み、前記第1ガイド及び前記第3ガイドは左側に配置され、前記第2ガイド及び前記第4ガイドは右側に配置され、前記第1チューブの主チューブ及び前記第3チューブの主チューブは、前記前部フレームの左部から後方に延びて、前記第1ガイドと前記第3ガイドとの間において結束具により束ねられて前記一の分岐部に接続されており、前記第2チューブの主チューブ及び前記第4チューブの主チューブは、前記前部フレームの右部から後方に延びて、前記第2ガイドと前記第4ガイドとの間において結束具により束ねられて前記他の分岐部に接続されている。
【発明の効果】
【0008】
上記移植機によれば、チューブの先端部のガイド部材に対する位置が保持されることによって、チューブの先端部からの放水の向きを安定させることができる。そのため、チューブの先端部からの放水によって、植付具に付着した土を簡単に落とすことができる。また、チューブの先端部からの放水によって、植付具からの苗の離脱が円滑となり、確実に苗を植え付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図7】移植部におけるチューブの一部の配置を示す平面図である。
【
図8】移植部におけるチューブの全体の配置を示す平面図である。
【
図9】ガイド部材の装着部にチューブを装着した状態を示す側面図である。
【
図12】接地部材、支持部材、畝高さ検出部材を示す斜視図である。
【
図13】接地部材、支持部材、畝高さ検出部材を示す背面図である。
【
図14】接地部材、支持部材、畝高さ検出部材を示す側面図である。
【
図15】土除去部材の周辺構造を示す斜視図である。
【
図16】土除去部材、接地部材、支持部材、畝高さ検出部材を示す平面図である。
【
図17】土除去部材の作用を示す一部断面側面図である。
【
図18】後輪、椅子の支持機構、保護カバーを示す前方斜視図である。
【
図19】後輪、椅子の支持機構、保護カバーを示す後方斜視図である。
【
図22】機体の昇降に伴う第2保護カバーの揺動部の動作を示す図である。
【
図23】保護カバー及びスクレーパを示す斜視図である。
【
図24】スクレーパ、支持ステー、車輪カバーを示す底面図である。
【
図25】昇降ステップ、デッキ、操作ペダルを示す後方斜視図である。
【
図26】昇降ステップを第2姿勢から第1姿勢へと姿勢変更している状態を示す後方斜視図である。
【
図27】昇降ステップを第2姿勢として椅子及び後輪を機体に接近させた状態を示す平面図である。
【
図28】操作ペダル及びデッキの配置を示す平面図である。
【
図29】移植機の側面図であり、機体を車輪に対して下降させた状態を示す。
【
図30】移植機の側面図であり、機体を車輪に対して上昇させた状態を示す。
【
図31】移植機の平面図であり、昇降ステップを第1姿勢として椅子及び後輪を機体から離反させた状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態について、図面を適宜参照しつつ説明する。
図30及び
図31は、圃場を走行しながら圃場(畝)に玉葱等の苗を植え付ける移植機1を示している。
図30は移植機1の側面図であり、
図31は移植機1の平面図である。
本発明の実施形態においては、苗植付け時の移植機1の進行方向(
図30、
図31の矢印A1方向)を前方、進行方向の反対側(
図30、
図31の矢印A2方向)を後方、進行方向に向かって左側(
図31の矢印B1方向)を左方、進行方向に向かって右側(
図31の矢印B2方向)を右方として説明する。
【0011】
また、
図31に示すように、前後方向K1に直交する方向である水平方向を機体幅方向(機体2の幅方向)K2として説明する。移植機1(機体2)の幅方向の中央部から右部、或いは、左部へ向かう方向を機体外方(機体幅方向の外方)として説明する。言い換えれば、機体外方とは、機体幅方向K2であって移植機1(機体2)の幅方向の中心から離れる方向のことである。機体外方とは反対の方向を、機体内方(機体幅方向の内方)として説明する。言い換えれば、機体内方とは、機体幅方向K2であって機体2の幅方向の中心に近づく方向である。
【0012】
図30、
図31に示すように、移植機1は、機体2を有する。機体2の後部には、原動機(エンジン)E1が搭載されている。また、機体2は、原動機E1からの動力が伝達されるミッションケースM1を有する。また、機体2の後部には、移植機1を歩行操作する時に作業者が把持する操向ハンドル5が設けられている。
移植機1は、機体2を走行可能に支持する車輪を備える。車輪は、機体2の左側に配置された前輪3L及び後輪4Lと、機体2の右側に配置された前輪3R及び後輪4Rとを含む。前輪3L,3Rは、自由に回転する車輪であり、後輪4L,4Rは、ミッションケースM1から動力が伝達されて回転駆動する駆動輪である。車輪(前輪3L,3R、後輪4L,4R)は、移植作業時には隣り合う畝と畝の間(畝間)に接地して回転する。
【0013】
機体2の左側方には、前輪支持アーム6Lが設けられている。前輪支持アーム6Lの上部は、機体2に横軸(機体幅方向K2に延伸する軸心)回りに回転可能に支持されている。前輪支持アーム6Lの下部に前輪3Lが回転自在に取り付けられている。機体2の右側方には、前輪支持アーム6Rが設けられている。前輪支持アーム6Rの上部は、機体2に横軸回りに回転可能に支持されている。前輪支持アーム6Rの下部に前輪3Rが回転自在に取り付けられている。
【0014】
機体2の左側方には、車輪支持体7Lが設けられている。車輪支持体7Lの上部は、機体2に横軸回りに回転可能に支持されている。車輪支持体7Lの下部に後輪4Lが、回転可能に取り付けられている。機体2の右側方には、車輪支持体7Rが設けられている。車輪支持体7Rの上部は、機体2に横軸回りに回転可能に支持されている。車輪支持体7Rの下部に後輪4Rが、回転可能に取り付けられている。
【0015】
前輪支持アーム6L,6R及び車輪支持体7L,7Rは、上下に揺動可能であり、且つ図示省略の油圧シリンダによって揺動駆動可能とされている。これにより、前輪3L,3R及び後輪4L,4Rが機体2に対して相対的に昇降する。前輪3L,3R及び後輪4L,4Rを機体2に対して同時に昇降させることにより、機体2が地面に対して昇降する。
詳しくは、前輪支持アーム6L,6Rを後方に揺動させ且つ車輪支持体7L,7Rを前方に揺動させると、前輪3L,3Rと後輪4L,4Rとの前後方向の距離が小さくなる。そのため、車輪(前輪3L,3R及び後輪4L,4R)が機体2に対して相対的に下降し、機体2が地面に対して上昇する(
図30参照)。一方、前輪支持アーム6L,6Rを前方に揺動させ且つ車輪支持体7L,7Rを後方に揺動させると、前輪3L,3Rと後輪4L,4Rとの前後方向の距離が大きくなる。そのため、車輪(前輪3L,3R及び後輪4L,4R)が機体2に対して相対的に上昇し、機体2が地面に対して下降する(
図29参照)。
【0016】
前輪支持アーム6L,6R及び車輪支持体7L,7Rを揺動駆動させる油圧シリンダ(以下、「昇降シリンダ」という)は、当該昇降シリンダの動作を制御する昇降制御弁(図示略)と共に、車輪(前輪3L,3R、後輪4L,4R)に対して相対的に機体2を昇降させる昇降機構(以下、「機体昇降機構」という)を構成している。
移植機1は、圃場に苗を植え付ける移植部11と、移植部11に苗を供給する苗供給部12とを有する。移植部11及び苗供給部12は、機体2に備えられている。移植部11は機体2の前部に設けられている。苗供給部12は、機体2の上方に前部から後部にわたって設けられている。苗供給部12は、機体2の左側に設けられた第1苗供給装置12Lと、機体2の右側に設けられた第2苗供給装置12Rとを有する。
【0017】
機体2の一側方(左側)には、第1椅子(椅子)13Lが設けられ、機体2の他側方(右側)には、第2椅子(椅子)13Rが設けられている。第1椅子(椅子)13Lは、第1苗供給装置12Lの側方(左側方)に配置され、デッキ10Lの上方側に設けられている。第2椅子13Rは、第2苗供給装置12Rの側方(右側方)に配置され、デッキ10Rの上方側に設けられている。デッキ10L,10Rは、作業者が乗る部位であり、椅子(第1椅子13L,第2椅子13R)に座って苗の供給作業をする作業者が足を載せる部位である。
【0018】
第1椅子13L、第2椅子13Rは、苗供給部12に苗を供給する作業者が座る椅子である。移植機1は、植付作業時に、第1椅子13L及び/又は第2椅子13Rに座った作業者が操向等の操作が可能な乗用型の移植機1である。作業者は、機体内方に向いて(苗供給部12側に向いて)第1椅子13L及び/又は第2椅子13Rに着座する。第1椅子13L及び第2椅子13Rの両方に作業者が座る場合は、例えば、第1椅子13Lの作業者が第1苗供給装置12Lに苗を供給し、第2椅子13Rの作業者が第2苗供給装置12Rに苗を供給する。
【0019】
次に、
図10、
図11を参照して、第1苗供給装置12L、第2苗供給装置12Rを説明する。第1苗供給装置12Lと第2苗供給装置12Rは、構造が同じであるので、第1苗供給装置12Lを説明し、第2苗供給装置12Rの説明は省略する。
第1苗供給装置12Lは、作業者によって上方から苗が供給される苗供給カップ14A,14Bを有する。
図11に示すように、苗供給カップ14A,14Bは、上下開口状の筒状のカップ本体15と、このカップ本体15の底部開口を開閉自在に塞ぐ底蓋16とを有する。苗供給カップ14A,14Bは、底蓋16を閉じた状態で苗を保持可能であり、底蓋16が開くと苗を下方に排出可能である。
【0020】
図10に示すように、苗供給カップ14A,14Bは、平面視で前後方向K1に長い長円形を呈するようにループ状に一定間隔で並べて配置されている。この長円形状のカップ配置経路(移送経路)に沿って苗供給カップ14A,14Bが移動可能とされている。
苗供給カップ14A,14Bは、カップ配置経路の前部の機体外方側の第1位置X1で苗を落下させて排出する第1カップ14Aと、カップ配置経路の前部の機体内方側の第2位置X2で苗を落下させて排出する第2カップ14Bとがカップ配置経路に沿って交互に並べて配置されている。
【0021】
第1苗供給装置12Lは、苗供給カップ14A,14Bがカップ配置経路に沿って矢印Y1で示す方向に周回移送される。第2苗供給装置12Rは、苗供給カップ14A,14Bがカップ配置経路に沿って矢印Y2で示す方向に周回移送される。
底蓋16は、規制部材によって開きが規制され、第1カップ14Aが第1位置X1に位置すると共に、第2カップ14Bが第2位置X2に位置したときに規制部材から外れて開く。
【0022】
第1苗供給装置12Lは、カップ配置経路の内周側の後部に配置された駆動スプロケット18と、カップ配置経路の内周側の前部に配置された従動スプロケット19と、これらスプロケット18,19にわたって巻掛けられたエンドレスの移送チェーン20とを有する。カップ本体15の下部に連結部21が設けられ、この連結部21が移送チェーン20に連結されている。
【0023】
したがって、駆動スプロケット18によって移送チェーン20が駆動されることにより、苗供給カップ14A,14Bが間欠的に移送される。
図30、
図31に示すように、苗供給部12は、第1苗供給装置12L及び第2苗供給装置12Rを支持する支持枠体22を有する。支持枠体22は、前枠材22F、後枠材22B。左枠材22L、右枠材22R、中央枠材22Mを有する。前枠材22Fは、苗供給部12の前部に配置され、第1苗供給装置12L及び第2苗供給装置12Rの前方において機体幅方向に延びている。後枠材22Bは、苗供給部12の後部に配置され、第1苗供給装置12L及び第2苗供給装置12Rの後方において機体幅方向に延びている。左枠材22Lは、苗供給部12の左部に配置され、第1苗供給装置12L及び第2苗供給装置12Rの左方において前後方向に延びている。右枠材22Rは、苗供給部12の右部に配置され、第1苗供給装置12L及び第2苗供給装置12Rの右方において前後方向に延びている。中央枠材22Mは、機体幅方向の中央部(第1苗供給装置12Lと第2苗供給装置12Rの間)において前後方向に延びている。中央枠材22Mは、前枠材22Fの機体幅方向の中央部と後枠材22Bの機体幅方向の中央部とを連結している。
【0024】
図30、
図31に示すように、支持枠体22の後枠材22Bには、手摺り90が取り付けられている。手摺り90は、後枠材22Bに沿って機体幅方向に延びている。手摺り90は、把持部91と連結部92とを有する。把持部91は、第1把持部91Lと第2把持部91Rとを含む。第1把持部91Lは、機体2の左側に設けられている。第2把持部91Rは、機体2の右側に設けられている。連結部92は、後枠材22Bの後方且つ下方において機体幅方向に延設されており、第1把持部91Lと第2把持部91Rとを連結している。第1把持部91Lは、連結部92の機体幅方向一方端(左端)から上方に延設されている。第1把持部91Lは、上方に延びるにつれて機体外方(左方)に移行している。第2把持部91Rは、連結部92の機体幅方向他方端(右端)から上方に延設されている。第2把持部91Rは、上方に延びるにつれて機体外方(右方)に移行している。第1把持部91L及び第2把持部91Rは、支持枠体22よりも上方に位置している。第1把持部91Lは、支持枠体22の左端部よりも機体内方(右方)に位置している。第2把持部91Rは、支持枠体22の右端部よりも機体内方(左方)に位置している。
【0025】
第1把持部91Lは、作業者が第1椅子13Lに乗降する際に手で把持する部分である。第2把持部91Rは、作業者が第2椅子13Rに乗降する際に手で把持する部分である。第1把持部91Lは、第1椅子13Lよりも後方に設けられている。第2把持部91Rは、第2椅子13Rよりも後方に設けられている。これにより、機体2の後方から第1椅子13Lに向かう作業者は、第1把持部91Lを把持して第1椅子13Lに着座することができる。また、機体2の後方から第2椅子13Rに向かう作業者は、第2把持部91Rを把持して第2椅子13Rに着座することができる。尚、第1把持部91Lを第1椅子13Lよりも前方に設け、第2把持部91Rを第2椅子13Rよりも前方に設けてもよい。
【0026】
苗供給部12には、原動機E1から後輪(車輪)4L,4Rへの動力伝達を遮断可能な操作レバー93が配置されている。操作レバー93は、中央枠材22Mの後部から上方に向けて突出している。操作レバー93は、原動機E1から後輪(車輪)4L,4R、移植部11、苗供給部12への動力伝達を許容又は遮断可能な主クラッチを操作するレバーである。例えば、作業中に不具合が生じた場合には、第1椅子13L又は第2椅子13Rに着座した作業者は、手を伸ばして操作レバー93を操作することによって、原動機E1から後輪(車輪)4L,4R、移植部11、苗供給部12への動力伝達を遮断することができる。
【0027】
次に、
図1~
図6を参照して、移植部11について詳細に説明する。
図1、
図2に示すように、移植部11は、移植フレーム23を有する。
移植フレーム23は、メインフレーム24と、第1取付部材25Lと、第2取付部材25Rと、複数のフレーム材(上フレーム材27、下フレーム材28、前フレーム材29)とを有する。
【0028】
メインフレーム24は、機体2の前部に取り付けられている。メインフレーム24の機体幅方向K2の中央部は、機体2の幅方向K2の中央部に一致している。第1取付部材25Lは、メインフレーム24の左側部の下部に固定されていると共に、デッキ10Lの前部に固定されている。第2取付部材25Rは、メインフレーム24の右側部の下部に固定されていると共に、デッキ10Rの前部に固定されている。
【0029】
上フレーム材27は、後部27aがメインフレーム24の上部から前方に延出している。上フレーム材27の前部27bは、後部27aの前端から前方に行くにしたがって下方に移行する傾斜方向に延出した後、下方に延出されている。下フレーム材28は、メインフレーム24の下方において機体2に固定され、且つ機体2から前方に延びている。上フレーム材27及び下フレーム材28は、機体の幅方向K2の中央部に位置している。
【0030】
前フレーム材(前部フレーム)29は、上フレーム材27及び下フレーム材28の前端部に位置し、機体幅方向K2に延伸している。前フレーム材29の中央部に、上フレーム材27及び下フレーム材28の前端部が固定されている。
図1、
図2に示すように、移植部11には、横軸回りに回転駆動される駆動シャフト31が設けられている。駆動シャフト31は、例えば、六角棒で形成されている。駆動シャフト31は、メインフレーム24の下部前方において、機体幅方向K2に延伸して設けられている。メインフレーム24の機体幅方向K2の中央部には、軸支持部材32が設けられている。駆動シャフト31は、この軸支持部材32を挿通していると共に、中央部が軸支持部材32に軸受部材を介して回転可能に支持されている。
【0031】
駆動シャフト31には、動力伝達機構34を介してミッションケースM1からの動力が軸心方向の中央部に伝達される。駆動シャフト31の一端部(左端部)は、第1取付部材25Lの前方に位置している。駆動シャフト31の他端部(右端部)は、第2取付部材25Rの前方に位置している。
図1~
図3に示すように、移植部11は、第1植付装置36Lと、第2植付装置36Rとを有する。第1植付装置36Lは、メインフレーム24の左側の前方で且つ上フレーム材27及び下フレーム材28の左側に配置されている。第2植付装置36Rは、メインフレーム24の右側の前方で且つ上フレーム材27及び下フレーム材28の右側に配置されている。
【0032】
図1~
図4に示すように、第1植付装置36Lは、圃場に苗を植え付ける複数の植付具(第1植付具37L、第3植付具38L)を有する。複数の植付具は、第1伝動体39Lに、第1昇降機構40L及び第1支持体41Lを介して昇降可能に支持されている。第1植付具37L及び第3植付具38Lは、同時に昇降し、上昇位置で苗が供給されると共に苗を保持したまま下降し、下降位置で圃場(畝)に突入して開く。これにより、圃場に植穴が形成されると共に該植穴に苗が放出されて植え付けられる。
【0033】
第2植付装置36Rも、圃場に苗を植え付ける複数の植付具(第2植付具37R、第4植付具38R)を有する。複数の植付具は、第2伝動体39Rに、第2昇降機構40R及び第2支持体41Rを介して昇降可能に支持されている。第2植付具37R及び第4植付具38Rも、第1植付具37L及び第3植付具38Lと同様に動作して、圃場に苗が植え付けられる。また、第2植付具37R及び第4植付具38Rは、第1植付具37L及び第3植付具38Lが上昇しているときに下降する。
【0034】
図1、
図3に示すように、複数の植付具(第1植付具37L、第2植付具37R、第3植付具38L、第4植付具38R)は、機体幅方向に並んで配置されている。第1植付具37Lは、隣接する畝のうち一方の畝に苗を植え付ける。第2植付具37Rは、隣接する畝のうち他方の畝に苗を植え付ける。第3植付具38Lは、第1植付具37Lに対して第2植付具37Rとは反対側(左側)に配置されている。第4植付具38Rは、第2植付具37Rに対して第1植付具37Lとは反対側(右側)に配置されている。
【0035】
本実施形態では、移植機1は、4条植えの移植機であって、第1植付装置36Lで植え付けられる2つの苗と、第2植付装置36Rで植え付けられる2つの苗とが前後方向K1に位置ずれした千鳥植えをする移植機である。
図1、
図2に示すように、第1伝動体39L及び第2伝動体39Rは、駆動シャフト31の駆動力を伝達する装置である。第1伝動体39Lは、駆動シャフト31の一端側に配置されている。第2伝動体39Rは、駆動シャフト31の他端側に、第1伝動体39Lと機体幅方向K2において対向して配置されている。
【0036】
第1伝動体39Lは、支持ケース43Lと、この支持ケース43Lに設けられた伝動機構44Lとを有する。支持ケース43Lは、基部(第1伝動体39Lの基部)42Lが第1取付部材25Lの前面にボルト等によって固定されていて、第1取付部25Lから前方突出状とされている。また、基部42Lは、第1取付部材25Lに対して機体幅方向K2に位置変更可能に(例えば、2位置に位置変更可能に)取り付けられている。したがって、第1伝動体39L(第1植付装置36L)は、駆動シャフト31の一端部で該駆動シャフト31の軸心方向に位置変更可能である。
【0037】
伝動機構44Lは、第1昇降機構40Lに駆動シャフト31の動力を伝達する。伝動機構44Lは、駆動シャフト31の一端部に軸受部材45を介して取り付けられた第1スプロケット46と、支持ケース43Lの前部に設けられた伝動軸49に一体回転可能に設けられた第2スプロケット47と、第1スプロケット46と第2スプロケット47とに巻掛けられたチェーン48とを有する。軸受部材45は、駆動シャフト31に対して一体回転可能で且つ軸心方向に移動可能である。
【0038】
支持ケース43L(第1伝動体39L)の先端側は、第1連結材(側部フレーム)50Lによって前フレーム材29の左側部に連結されている。第1連結材50Lの後部は、支持ケース43Lの先端側に固定されている。第1連結材50Lの前部は、前フレーム材29に固定された取付ステー35Lに機体幅方向K2に位置調整可能にボルト等によって取り付けられている。第1連結材(側部フレーム)50Lは、前部フレーム29の機体外方側(左部)から後方に延びている。
【0039】
第2伝動体39Rは、第1伝動体39Lと構成が同様であるので省略して説明する。第2伝動体39Rも、支持ケース43Rと、この支持ケース43Rに設けられた伝動機構44Rとを有する。支持ケース43Rは、基部(第2伝動体39Rの基部)42Rが第2取付部材25Rの前面にボルト等によって機体幅方向K2に位置変更可能に固定されている。したがって、第2伝動体39R(第2植付装置36R)は、駆動シャフト31の他端部で該駆動シャフト31の軸心方向に位置変更可能である。伝動機構44Rは、第2昇降機構40Rに駆動シャフト31の動力を伝達する。伝動機構44Rは、伝動機構44Lと同様に構成されている。
【0040】
支持ケース43R(第2伝動体39R)の先端側は、第2連結材(側部フレーム)50Rによって前フレーム材29の左側部に連結されている。第2連結材50Rの後部は、支持ケース43Rの先端側に固定されている。第2連結材50Rの前部は、前フレーム材29に固定された取付ステー35Rに機体幅方向K2に位置調整可能にボルト等によって取り付けられている。第2連結材(側部フレーム)50Rは、前部フレーム29の機体外方側(右部)から後方に延びている。
【0041】
即ち、第1連結材50L、第2連結材50R、メインフレーム24、第1取付部材25L、第2取付部材25R、支持ケース43L、支持ケース43R、前フレーム材29によって、枠体が構成されている。これにより、第1植付装置36L及び第2植付装置36Rは枠体内に配置されていて保護されている。
図1に示すように、第1昇降機構40Lと第2昇降機構40Rとは駆動シャフト31に沿う方向(機体幅方向K2)で並べて配置されている。第1昇降機構40Lは、第1伝動体39Lの前部の機体内方に配置されている。第1昇降機構40Lは、支持ケース43Lに伝動軸49を介して回転自在に支持された第1回転ケース51と、この第1回転ケース51の遊端側に回転自在に支持された第2回転ケース52とを有する。第2回転ケース52の遊端側に第1支持体41Lが支持され、第1支持体41Lに第1植付具37L及び第3植付具38Lが取り付けられている。第1支持体41Lの後部は、図示省略のスプリングによって吊り下げられている(上方に付勢されている)。
【0042】
第1昇降機構40Lにあっては、伝動軸49によって第1回転ケース51が回転駆動され、第1回転ケース51の回転に連動して第2回転ケース52が第1回転ケース51とは逆方向に回転するように、第1回転ケース51及び第2回転ケース52内に動力伝達機構が設けられている。第1回転ケース51が回転駆動されることにより第1支持体41Lが昇降し、これに伴って第1植付具37L及び第3植付具38Lが昇降する。即ち、第1昇降機構40Lは、第1伝動体39Lに支持され且つ当該第1伝動体39Lの動力によって第1植付具37L及び第3植付具38Lを昇降させる。
【0043】
第2昇降機構40Rは、第2伝動体39Rの前部の機体内方に配置されている。第2昇降機構40Rは、支持ケース43Rに伝動軸49を介して回転自在に支持された第1回転ケース51と、この第1回転ケース51の遊端側に回転自在に支持された第2回転ケース52とを有する。第2回転ケース52に第2支持体41Rが支持され、第2支持体41Rに第2植付具37R及び第4植付具38Rが取り付けられている。
【0044】
第2昇降機構40Rも、第1昇降機構40Lと同様の構成で且つ同様に動作する。第2昇降機構40Rにあっては、第1回転ケース51が回転駆動されることにより第2支持体41Rが昇降し、これにより第2植付具37R及び第4植付具38Rが昇降する。即ち、第2昇降機構40Rは、第2伝動体39Rに支持され且つ当該第2伝動体39Rの動力によって第2植付具37R及び第4植付具38Rを昇降させる。
【0045】
図1、
図4に示すように、第1支持体41Lは、第1昇降機構40Lの機体内方側に配置されている。第1支持体41Lは、第1植付具37Lを支持する第1部材53Lと、第3植付具38Lを支持する第2部材54Lと、第1部材53Lと第2部材54Lとを連結する複数の連結部材55Lとを有する。第1部材53Lと第2部材54Lとは機体幅方向K2で間隔をあけて配置されている。複数の連結部材55Lは、第1部材53Lと第2部材54Lとの間に配置されている。第1植付具37Lは、第1部材53Lの後部の機体内方側に配置されている。第3植付具38Lは、第2部材54Lの後部の機体外方側に配置されている。
【0046】
図1、
図4に示すように、第2支持体41Rは、第2昇降機構40Rの機体内方側に配置されている。第2支持体41Rは、第2植付具37Rを支持する第1部材53Rと、第4植付具38Rを支持する第2部材54Rと、第1部材53Rと第2部材54Rとを連結する複数の連結部材55Rとを有する。第1部材53、第2部材54及び複数の連結部材55Rの構成は、第1支持体41Lと同様であるので説明を省略する。第2植付具37Rは、第1部材53Rの後部の機体内方側に配置されている。第4植付具38Rは、第2部材54Rの後部の機体外方側に配置されている。
【0047】
図6に示すように、第1植付具37Lは、第1支持体41Lの第1部材53Lに第1支持機構56Lによって前後に開閉可能に支持されている。
図6を参照して、第2植付具37R、第3植付具38L及び第4植付具38Rについても説明すると、第2植付具37Rは、第2支持体41Rの第1部材53Rに第2支持機構56Rによって前後に開閉可能に支持されている。第3植付具38Lは、第1支持体41Lの第2部材54Lに第3支持機構57Lによって前後に開閉可能に支持されている。第4植付具38Rは、第2支持体41Rの第2部材54Rに第4支持機構57Rによって前後に開閉可能に支持されている。
【0048】
第1植付具37L~第4植付具38Rの構造は同じであるので、第1植付具37Lの構造を代表して説明し、第2植付具37R~第4植付具38Rの説明は省略する。
図5、
図6に示すように、第1植付具37Lは、前側の第1構成部58と、後側の第2構成部59とを有する。第1植付具37Lは、閉じた状態(第1構成部58と第2構成部59が前後方向K1で重なった状態)では、上方開口状で且つ側面視で下方に向けて先細りの形状を呈している。また、第1構成部58と第2構成部59とは、平面視において略円弧状に湾曲しており、開放側(凹面側)が互いに向き合って配置されている。第1植付具37Lは、第1構成部58と第2構成部59とが前後方向K1で離反することで開く。
【0049】
第1構成部58の上部の前部側には、第1取付ブラケット61が固定されている。第2構成部59の上部の後部側には、第2取付ブラケット62が固定されている。
第1支持機構56L~第4支持機構57Rの構造は同じであるので、第1支持機構56Lの構造を代表して説明し、第2支持機構56R~第4支持機構57Rの説明は省略する。
【0050】
図5、
図6に示すように、第1支持機構56Lは、第1揺動部材63と、第2揺動部材64と、第1取付具65と、第2取付具66とを有する。第1揺動部材63の上部の前部は、第1支持体41Lの第1部材53Lに枢軸67によって横軸回りに回転可能に支持されている。第2揺動部材64の上部の後部は、第1支持体41Lの第1部材53Lに枢軸68によって横軸回りに回転可能に支持されている。第1揺動部材63の上部の後部には、係合部(ローラ)69が設けられている。第2揺動部材64の上部の前部には、前方に開放状の係合凹部70が形成されている。係合凹部70に係合部69が挿入されて係合している。
【0051】
第1取付具65は、第1揺動部材63に固定された第1プレート65Aと、第1プレート65Aに固定された第2プレート65Bとを有する。第2プレート65Bの下部は、第1プレート65Aから下方に突出している。この第2プレート65Bの下部に、第1取付ブラケット61がボルト等を介して取り付けられている。
第2取付具66は、第2揺動部材64に固定された第3プレート66Aと、第3プレート66Aに固定された第4プレート66Bとを有する。第4プレート66Bの下部は、第3プレート66Aから下方に突出している。この第4プレート66Bの下部に、第2取付ブラケット62がボルト等を介して取り付けられている。
【0052】
また、第1支持機構56Lは、第1植付具37Lを閉じる方向に付勢するスプリング71を有している。
図6において、第1揺動部材63が枢軸67回りに前後に揺動すると、それに伴って第1構成部58が前後に揺動すると共に係合部69が上下動する。係合部69が上下動すると、第2揺動部材64が枢軸68回りに前後に揺動して第2構成部59が前後に揺動する。これにより、第1植付具37Lが前後に開閉する。第2植付具37R、第3植付具38L及び第4植付具38Rも同様の動作で前後に開閉する。
【0053】
図5、
図6に示すように、第1植付装置36Lは、第1植付具37Lを開閉させる第1開閉機構72Lを有している。第2植付装置36Rは、第2植付具37Rを開閉させる第2開閉機構72Rを有している。第1開閉機構72Lと第2開閉機構72Rとは同様の構成であるので、第1開閉機構72Lを説明し、第2開閉機構72Rの説明は省略する。
第1開閉機構72Lは、カム73と、カムローラ74と、カムリンク75と、開閉ロッド76とを有する。カム73は、第2回転ケース52の遊端側に設けられていて、第2回転ケース52の回転に伴って回転する。カム73は、径外方向の突出量が大きい押圧部73aと、径外方向の突出量が小さい押圧解除部73bとを有する。カムローラ74はカム73の外周に当接する。カムリンク75は、上部が第1部材53Lに枢軸78によって横軸回りに回転自在に支持されている。カムリンク75の上下中途部にカムローラ74が枢支されている。開閉ロッド76の一端部は、カムリンク75の下部に枢支連結され、開閉ロッド76の他端部は、第1揺動部材63の下部に枢支連結されている。
【0054】
第1植付具37Lの昇降経路の上死点位置の手前から下死点位置の手前までは、カムローラ74が押圧解除部73bに当接していて、第1植付具37Lは閉じている。第1植付具37Lが圃場に突入した際に、カムローラ74が押圧部73aに乗り上げる。すると、カムローラ74がカム73に押圧されてカムリンク75が枢軸78回りに前方に揺動する。カムリンク75が前方に揺動すると、開閉ロッド76を介して第1構成部58が引かれて第1植付具37Lが開く。
【0055】
第2植付具37Rも第2開閉機構72Rによって同様の動作で開閉する。
図5に示すように、第1植付装置36Lは、第1開閉機構72Lに連動して第3植付具38Lを開閉させる第1連動機構81Lを有している。第2植付装置36Rは、第2開閉機構72Rに連動して第4植付具38Rを開閉させる第2連動機構81Rを有している。第1連動機構81Lと第2連動機構81Rとは同様の構成であるので、第1連動機構81Lを説明し、第2連動機構81Rの説明は省略する。
【0056】
図5に示すように、第1連動機構81Lは、連動リンク82と、連結部材83と、連結ロッド84とを有する。連動リンク82は、上部が第1支持体41Lの第2部材54に枢軸85によって横軸回りに回転可能に支持されている。枢軸85は、枢軸78と同芯状に設けられている。連動リンク82は、下部の前部が連結部材83によってカムリンク75に連結されている。これにより、連動リンク82は、カムリンク75と一体揺動する。連結ロッド84の一端部は、連動リンク82の下部に枢支連結されている。連結ロッド84の他端部は、第3植付具38Lの第1構成部58を揺動可能に支持する第1揺動部材63に枢支連結されている。
【0057】
以上の第1開閉機構72Lにあっては、カムリンク75の前後の揺動に連動して連動リンク82が揺動することで、連結ロッド84を介して第3植付具38Lが開閉する。これと同様の動作で、第4植付具38Rは、第2連動機構81Rによって第2植付具37Rの開閉動作に連動して開閉する。
図3に示すように、移植機1は、苗供給部12の第1苗供給装置12Lと第2苗供給装置12Rから供給される苗を植付具に案内するガイド部材を備えている。ガイド部材は、第1中継ガイド87Lと第2中継ガイド87Rとを含む。
【0058】
第1植付装置36Lには、第1植付具37L及び第3植付具38Lに苗を案内する第1中継ガイド87Lが設けられている。また、第2植付装置36Rには、第2植付具37R及び第4植付具38Rに苗を案内する第2中継ガイド87Rが設けられている。第1中継ガイド87Lは、第1苗供給装置12Lの第1位置X1及び第2位置X2の下方に設けられている。第2中継ガイド87Rは、第2苗供給装置12Rの第1位置X1及び第2位置X2の下方に設けられている。
【0059】
第1中継ガイド87Lは、第1植付具37Lに苗を案内する第1ガイド88Lと、第3植付具38Lに苗を案内する第3ガイド89Lとを含む。第2中継ガイド87Rは、第2植付具37Rに苗を案内する第2ガイド88Rと、第4植付具38Rに苗を案内する第4ガイド89Rとを含む。第1ガイド88L、第2ガイド88R、第3ガイド89L、第4ガイド89Rは、下方に向けて先細りの形状であって上部及び下部が開放された四角錐状(又は円錐状)に形成されている。
【0060】
第1ガイド88Lは、第1支持体41Lの第1部材53Lに取り付けられ、第3ガイド89Lは、第1支持体41Lの第2部材54Lに取り付けられている。第2ガイド88Rは、第2支持体41Rの第1部材53Rに取り付けられ、第4ガイド89Rは、第2支持体41Rの第2部材54Rに取り付けられている。
次に、ガイド部材に水を導くチューブ94,95について説明する。
【0061】
図4、
図7~
図9に示すように、移植機1は、後述する灌水タンクTから供給される水をガイド部材(第1ガイド88L、第2ガイド88R、第3ガイド89L、第4ガイド89R)に導くチューブ94,95を備えている。チューブ94,95は、屈曲可能なゴム等の素材から構成されている。
チューブ94,95は、第1チューブ94L、第2チューブ94R、第3チューブ95L、第4チューブ95Rを含む。第1チューブ94Lは、第1ガイド88Lに水を導く。第2チューブ94Rは、第2ガイド88Rに水を導く。第3チューブ95Lは、第3ガイド89Lに水を導く。第4チューブ95Rは、第4ガイド89Rに水を導く。
【0062】
チューブ94,95は、ガイド部材に対する先端部の位置が保持されている。言い換えれば、チューブ94,95の先端部は、ガイド部材に対する相対位置が固定されている。具体的には、第1チューブ94Lの先端部は、第1ガイド88Lに対する相対位置が固定されている。第2チューブ94Rの先端部は、第2ガイド88Rに対する相対位置が固定されている。第3チューブ95Lの先端部は、第3ガイド89Lに対する相対位置が固定されている。第4チューブ95Rの先端部は、第4ガイド89Rに対する相対位置が固定されている。
【0063】
図8に示すように、第1チューブ94Lは、主チューブ94Laと、分岐部94Lbと、分岐チューブ94Lcとを有している。主チューブ94Laは、基端側が給水ポンプ(図示せず)を介して灌水タンクTと接続されている。分岐部94Lbは、主チューブ94Laの先端側に設けられており、1つの入口ポートと2つの出口ポートとを有している。入口ポートには、主チューブ94Laの先端部が接続されている。分岐チューブ94Lcは、分岐部94Lbの2つの出口ポートにそれぞれ接続されている。これにより、1本の主チューブ94Laから導かれた水は、2本の分岐チューブ94Lcに分かれて流通する。分岐部94Lbから複数(2つ)に分岐された分岐チューブ94Lcは、後述する複数(2つ)の装着部96A,96Bにそれぞれ装着されている。
【0064】
第2チューブ94R、第3チューブ95L、第4チューブ95Rの構成は、第1チューブ94Lと同様である。
図8に示すように、第2チューブ94Rは、第1チューブ94Lと同様の主チューブ94Ra、分岐部94Rb、分岐チューブ94Rcを有する。第3チューブ95Lも、第1チューブ94Lと同様の主チューブ95La、分岐部95Lb、分岐チューブ95Lcを有する。第4チューブ95Rも、第1チューブ94Lと同様の主チューブ95Ra、分岐部95Rb、分岐チューブ95Rcを有する。
【0065】
図4、
図8、
図9に示すように、ガイド部材(第1ガイド88L、第2ガイド88R、第3ガイド89L、第4ガイド89R)は、ガイド部材に対するチューブ94,95の先端部の位置を保持するための装着部96を有している。装着部96は、上部と下部が開放された円筒状であって、チューブ94,95の先端部が上部から差し込まれることによって装着される。第1ガイド88Lの装着部96には、第1チューブ94Lの先端部が装着される。第2ガイド88Rの装着部96には、第2チューブ94Rの先端部が装着される。第3ガイド89Lの装着部96には、第3チューブ95Lの先端部が装着される。第4ガイド89Rの装着部96には、第4チューブ95Rの先端部が装着される。
【0066】
各ガイド部材(第1ガイド88L、第2ガイド88R、第3ガイド89L、第4ガイド89R)の装着部96の構成は同様であるため、代表して第1ガイド88Lの装着部96について説明する。
図8、
図9に示すように、装着部96は、2つの装着部96A,96Bを含む。一方の装着部96Aは、第1ガイド88Lの外面の前下部に設けられている。他方の装着部96Bは、第1ガイド88Lの外面の後下部に設けられている。また、一方の装着部96A及び他方の装着部96Bは、第1ガイド88Lの機体幅方向の中央に設けられている。一方の装着部96Aには、第1チューブ94Lの2本の分岐チューブ94Lcのうちの一方の分岐チューブの先端部が装着される。他方の装着部96Bには、第1チューブ94Lの2本の分岐チューブ94Lcのうちの他方の分岐チューブの先端部が装着される。
【0067】
チューブ(分岐チューブ94Lc)の先端部は、植付具の内面に向けて放水可能に装着部96A,96Bに装着されている。詳しくは、
図9に示すように、一方の装着部96Aに装着された一方の分岐チューブ94Lcの先端部は、第1植付具37Lの前側の第1構成部58の上方に位置して下方(第1構成部58側)を向く。これにより、一方の分岐チューブ94Lcから第1構成部58側に向けて放水し、第1構成部58の内面に付着した土を落とすことができる。また、他方の装着部96Bに装着された他方の分岐チューブ94Lcの先端部は、第1植付具37Lの後側の第2構成部59の上方に位置して下方(第2構成部59側)を向く。これにより、他方の分岐チューブ94Lcから第2構成部59側に向けて放水し、第2構成部59の内面に付着した土を落とすことができる。
【0068】
また、一方の装着部96Aに装着された一方の分岐チューブ94Lcの先端部は、第1構成部58の湾曲の内面側の中央(機体幅方向の中央)の上方に位置している。他方の装着部96Bに装着された他方の分岐チューブ94Lcの先端部は、第2構成部59の湾曲の内面側の中央(機体幅方向の中央)の上方に位置している。これにより、第1構成部58及び第2構成部59の内面に付着した土を円滑に落とすことができる。
【0069】
また、第1チューブ94Lからの放水によって、第1植付具37Lからの苗の離脱が円滑となり、確実に苗を植え付けることが可能となる。また、第1植付具37Lにより植え付けられた苗に灌水することができる。また、第2チューブ94R、第3チューブ95L、第4チューブ95Rからの放水によって、それぞれ第2植付具37R、第3植付具38L、第4植付具38Rからの苗の離脱が円滑となり、各植付具により植え付けられた苗に灌水することができる。
【0070】
図8に示すように、第1チューブ94Lの主チューブ94La及び第4チューブ95Rの主チューブ95Raは、結束具151,152によって前フレーム材(前部フレーム)29及び第2連結材(側部フレーム)50Rに沿って取り付けられている。詳しくは、主チューブ94La、95Raの基端側は、結束具151によって第2連結材(側部フレーム)50Rに沿って取り付けられて、後方から前方に向けて延びている。主チューブ94Laの先端側は、前フレーム材(前部フレーム)29に沿って結束具152によって取り付けられて左方に延びた後、後方に向けて延びて分岐部94Lbと接続されている。主チューブ95Raの先端側は、前フレーム材(前部フレーム)29に沿って左方に延びた後、後方に向けて延びて分岐部95Rbと接続されている。
【0071】
また、第2チューブ94Rの主チューブ94Ra及び第3チューブ95Lの主チューブ95Laは、結束具152,153によって前フレーム材(前部フレーム)29及び第1連結材(側部フレーム)50Lに沿って取り付けられている。詳しくは、主チューブ94Ra、95Laの基端側は、第1連結材(側部フレーム)50Lに沿って結束具153によって取り付けられて、後方から前方に向けて延びている。主チューブ94Raの先端側は、前フレーム材(前部フレーム)29に沿って結束具152によって取り付けられて右方に延びた後、後方に向けて延びて分岐部94Rbと接続されている。主チューブ95Laの先端側は、前フレーム材(前部フレーム)29に沿って左方に延びた後、後方に向けて延びて分岐部95Lbと接続されている。
【0072】
チューブ(第1チューブ94L、第2チューブ94R、第3チューブ95L、第4チューブ95R)の分岐部94Lb,94Rb,95Lb,95Rbは、前部フレーム29の後方に配置されている。第1チューブ94Lの分岐部94Lb及び第3チューブ95Lの分岐部95Lbは、第1ガイド88Lと第3ガイド89Lとの間に配置されている。第2チューブ94Rの分岐部94Rb及び第4チューブ95Rの分岐部95Rbは、第2ガイド88Rと第4ガイド89Rとの間に配置されている。
【0073】
第1チューブ94Lと第3チューブ95Lとは、前部フレーム29の後方において束ねられている。具体的には、第1チューブ94Lの主チューブ94Laと第3チューブ95Lの主チューブ95Laとは、第1ガイド88Lと第3ガイド89Lとの間において、結束具154によって束ねられている。
第2チューブ94Rと第4チューブ95Rとは、前部フレーム29の後方において束ねられている。具体的には、第2チューブ94Rの主チューブ94Raと第4チューブ95Rの主チューブ95Raとは、第2ガイド88Rと第4ガイド89Rとの間において、結束具155によって束ねられている。
【0074】
次に、苗を植え付ける畝の高さを検出するための機構(接地部材160、支持部材170、畝高さ検出部材180)について説明する。
図12~
図16に示すように、移植機1は、畝に接地する複数の接地部材160と、接地部材160を機体2に対して揺動可能に支持する複数の支持部材170と、支持部材170の揺動に基づいて畝高さを検出する畝高さ検出部材180と、を備えている。
【0075】
接地部材160は、畝の上面を転動することによって、畝の高さを検出すると共に畝の上面を鎮圧する。接地部材160は、第1接地部材161Lと、第2接地部材161Rと、第3接地部材162Lと、第4接地部材162Rと、を含む。第1接地部材161L、第2接地部材161R、第3接地部材162L、第4接地部材162Rは、それぞれ一対(2つ)の接地ローラから構成されている。
【0076】
図13、
図16に示すように、第1接地部材161Lは、第1植付具37L側に設けられている。第2接地部材161Rは、第2植付具37R側に設けられている。第3接地部材162Lは、第3植付具38L側に設けられている。第4接地部材162Rは、第4植付具38R側に設けられている。
詳しくは、第1接地部材161Lは、第1植付具37Lの機体幅方向の一方側(左側)に配置された一方接地部材161Laと、第1植付具37Lの機体幅方向の他方側(右側)に配置された他方接地部材161Lbと、を含む。第2接地部材161Rは、第2植付具37Rの機体幅方向の一方側(左側)に配置された一方接地部材161Raと、第2植付具37Rの機体幅方向の他方側(右側)に配置された他方接地部材161Rbと、を含む。第3接地部材162Lは、第3植付具38Lの機体幅方向の一方側(左側)に配置された一方接地部材162Laと、第3植付具38Lの機体幅方向の他方側(右側)に配置された他方接地部材162Lbと、を含む。第4接地部材162Rは、第4植付具38Rの機体幅方向の一方側(左側)に配置された一方接地部材162Raと、第4植付具38Rの機体幅方向の他方側(右側)に配置された他方接地部材162Rbと、を含む。
【0077】
図12、
図13、
図16に示すように、支持部材170は、第1支持部材171Lと、第2支持部材171Rと、第3支持部材172Lと、第4支持部材172Rと、を含む。第1支持部材171Lは、第1接地部材161Lを機体2に対して上方又は下方に揺動可能に支持する。第2支持部材171Rは、第2接地部材161Rを機体2に対して上方又は下方に揺動可能に支持する。第3支持部材172Lは、第3接地部材162Lを機体2に対して上方又は下方に揺動可能に支持する。第4支持部材172Rは、第4接地部材162Rを機体2に対して上方又は下方に揺動可能に支持する。
【0078】
第1支持部材171L及び第2支持部材171Rは、機体幅方向の中央部に配置されている。具体的には、第1支持部材171L及び第2支持部材171Rは、機体幅方向の中央部を挟んで隣り合う位置に配置されている。第3支持部材172L及び第4支持部材172Rは、第1支持部材171L及び第2支持部材171Rに対して機体外方側に配置されている。
【0079】
第1支持部材171L~第4支持部材172Rの構造は同じであるため、第1支持部材171Lの構造を代表して説明し、第2支持部材171R~第4支持部材172Rの構造の説明は省略する。
図12~
図14、
図16に示すように、第1支持部材171Lは、支持アーム173と揺動アーム174とを有する。
【0080】
支持アーム173は、第1接地部材161Lを回転可能に支持する。支持アーム173は、第1接地部材161Lを構成する一対の接地ローラの一方を支持する一方アーム173Lと、当該一対の接地ローラの他方を支持する他方アーム173Rと、連結アーム173Mと、を含む。一方アーム173Lは、一端部(下端部)が第1接地部材161Lの一方接地部材161Laを回転可能に支持している。他方アーム173Rは、一端部(下端部)が第1接地部材161Lの他方接地部材161Lbを回転可能に支持している。一方アーム173Lと他方アーム173Rは、他端部(上端部)同士が連結アーム173Mにより連結されている。
【0081】
揺動アーム174は、支持アーム173を機体2に対して上方又は下方に揺動可能に支持する。揺動アーム174は、一端部(下端部)が支持アーム173の連結アーム173Mに接続され、連結アーム173Mから斜め前上方に延びている。揺動アーム174の他端部(上端部)は、機体幅方向に延びる軸体175に取り付けられている。軸体175は、前フレーム材29の下方に軸支持体176を介して支持されており、軸心回りに回転可能である。軸体175が軸心回りに回転することによって、第1支持部材171L(揺動アーム174及び支持アーム173)が機体2に対して上方又は下方に揺動する。これにより、第1接地部材161Lが接地する畝の高さ(起伏)の変化に対応して、第1支持部材171Lが機体2に対して上方又は下方に揺動する。
【0082】
同様に、第2支持部材171R、第3支持部材172L、第4支持部材172Rは、第2接地部材161R、第3接地部材162L、第4接地部材162Rが接地する畝の高さ(起伏)の変化にそれぞれ対応して、機体2に対して上方又は下方に揺動する。
図12、
図13、
図16に示すように、畝高さ検出部材180は、複数の支持部材(第1~第4支持部材)のうち、機体幅方向の中央部に配置された第1支持部材171Lと第2支持部材171Rとを連結している。機体外方側に配置された第3支持部材172L及び第4支持部材172Rは、畝高さ検出部材180とは連結されていない。
【0083】
畝高さ検出部材180は、検出部181と連動部182とを有する。
検出部181は、第1縦部材181Lと、第2縦部材181Rと、横部材181Hと、を有する。第1縦部材181Lは、一端部(下端部)が第1支持部材171Lの支持アーム173に接続され、当該支持アーム173から上方に延びている。第2縦部材181Rは、一端部(下端部)が第2支持部材171Rの支持アーム173に接続され、当該支持アーム173から上方に延びている。横部材181Hは、第1縦部材181Lの他端部(上端部)と第2縦部材181Rの他端部(上端部)とを接続している。検出部181は、第1接地部材161Lと第2接地部材161Rが接地する畝の高さの変化に追従する第1支持部材171L及び第2支持部材171Rの揺動に基づいて上昇又は下降することにより、畝の高さを検出する。
【0084】
連動部182は、第1支持部材171L及び第2支持部材171Rの揺動と、機体昇降機構による機体2の昇降とを連動させる。連動部182は、一端部が検出部181(横部材181H)に接続されており、他端部はケーブル等の連携部材を介して上述の昇降制御弁のスプールと接続されている。連動部182は、検出部181の上昇又は下降に対応して昇降制御弁のスプールを移動させる。昇降制御弁のスプールの移動によって、昇降シリンダのロッドが動作し、車輪に対して機体2を昇降させる。具体的には、検出部181が上昇したときは車輪に対して機体2が上昇し、検出部181が下降したときは車輪に対して機体2が下降する。これにより、畝の高さの変化に追従して機体2を昇降させることができる。
【0085】
畝高さ検出部材180は、複数の支持部材(第1支持部材171Lと第2支持部材171R)を連結し、当該複数の支持部材の揺動に基づいて畝高さを検出することによって、少なくとも2つの畝の高さを考慮して畝高さを検出することができる。これにより、複数の畝の高さのばらつきを考慮した平均的な畝高さを正確に検出することができる。そして、畝高さ検出部材180は、機体幅方向の中央部に配置された第1支持部材171Lと第2支持部材171Rとを連結しているため、機体幅方向の中央部にて隣接する2つの畝の高さを考慮して畝高さを検出できる。そのため、畝の数が多い場合でも、比較的簡易な構造を採りつつ、複数の畝の高さのばらつきを考慮した平均的な畝高さを正確に検出することができる。
【0086】
図13、
図15~
図17に示すように、移植機1は、植付具(第1植付具37L、第2植付具37R、第3植付具38L、第4植付具38R)の昇降時に、当該植付具の表面に付着した土を掻き落とす土除去部材190を備えている。土除去部材190は、ゴム板等の撓み変形可能な部材から構成されている。
図17に示すように、土除去部材190は、植付具(第1植付具37L等)の前側に配置された前側土除去部材190Fと、植付具の後側に配置された後側土除去部材190Bと、を含む。前側土除去部材190Fは、植付具の第1構成部58に付着した土を掻き落とす。後側土除去部材190Rは、植付具の第2構成部59に付着した土を掻き落とす。
【0087】
前側土除去部材190Fは、第1支持部材171L、第2支持部材171R、第3支持部材172L、第4支持部材172Rにそれぞれ取り付けられている。第1支持部材171Lに取り付けられた土除去部材190は、第1植付具37Lに付着した土を掻き落とす。第2支持部材171Rに取り付けられた土除去部材190は、第2植付具37Rに付着した土を掻き落とす。第3支持部材172Lに取り付けられた土除去部材190は、第3植付具38Lに付着した土を掻き落とす。第4支持部材172Rに取り付けられた土除去部材190は、第4植付具38Rに付着した土を掻き落とす。
【0088】
図15等に示すように、前側土除去部材190Fは、支持部材170の支持アーム173に取り付けられている。具体的には、前側土除去部材190Fは、支持アーム173の連結アーム173Mに取り付けられている。前側土除去部材190Fは、略矩形状の板から構成されており、前部が連結アーム173Mに接続され、当該連結アーム173Mから後方に延びている。前側土除去部材190Fの後部には、円弧状の切欠部190aが形成されている。
図17に示すように、植付具が下降するとき、前側の第1構成部58が前側土除去部材190Fの切欠部190aに当接しながら下降する。これにより、第1構成部58の表面(外面)に付着した土Dが前側土除去部材190Fによって掻き落とされる。
【0089】
図17に示すように、後側土除去部材190Rは、接続部材191に取り付けられている。接続部材191は、デッキ10L,10Rの前部に接続されている。後側土除去部材190Rは、接続部材191から前方に延びている。後側土除去部材190Rは、前側土除去部材190Fと同様の形状を有しており、円弧状の切欠部190aが前部に位置するように接続部材191に取り付けられている。植付具が下降するとき、後側の第2構成部59が後側土除去部材190Rの切欠部190aに当接しながら下降する。これにより、第2構成部59の表面(外面)に付着した土が後側土除去部材190Rによって掻き落とされる。
【0090】
図12、
図13、
図15に示すように、機体幅方向に隣り合う支持部材170は、連結部材177により連結されている。具体的には、連結部材177は、第1支持部材171Lと第3支持部材172Lとを連結し、第2支持部材171Rと第4支持部材172Rとを連結している。連結部材177は、ボルト等によって、機体幅方向に隣り合う支持部材170(第1支持部材171Lと第3支持部材172L、第2支持部材171Rと第4支持部材172R)にそれぞれ接続される。尚、連結部材177の形状は、図示のような平板状の部材には限定されず、例えば、断面L字状の部材(アングル材)等であってもよい。
【0091】
次に、主に
図18~
図22、
図29、
図30を参照して、椅子13L,13Rの支持構造について説明する。尚、
図18~
図22、
図29、
図30では、第1椅子13Lの支持構造を示しているが、第2椅子13Rの支持構造も同様である。
図18、
図19、
図29、
図30に示すように、椅子13L,13Rは、車輪支持体7L,7Rに支持されている。詳しくは、第1椅子13Lは、車輪支持体7Lに支持されている。第2椅子13Rは、車輪支持体7Rに支持されている。
【0092】
車輪支持体7L,7Rは、それぞれ伝動ケース100を有している。
伝動ケース100は、前部ギヤケース100aと、後部ギヤケース100bと、伝達軸ケース100cとを有している。前部ギヤケース100aは、ミッションケースM1から機体外方側に突出した後軸ケース101に接続されている。後軸ケース101には、ミッションケースM1に収容された変速装置から動力を取り出す出力軸102が収容されている。後部ギヤケース100bは、後輪4L,4Rの車軸の機体外方側に接続されている。伝達軸ケース100cは、前部ギヤケース100aと後部ギヤケース100bとを接続している。伝動軸ケース100cには、前部ギヤケース100aに収容された前部ギヤ機構から後部ギヤケース100bに収容された後部ギヤ機構へと動力を伝達する伝達軸が収容されている。原動機E1の動力は、ミッションケースM1内の変速機構を介して出力軸102から出力され、伝動ケース100内の伝動機構(前部ギヤ機構、伝達軸、後部ギヤ機構)を介して後輪4L,4Rの車軸に伝達される。これにより、原動機E1の動力によって後輪4L,4Rが駆動される。尚、伝動ケース100に収容される伝動機構は、チェーン伝動機構等の他の伝動機構であってもよい。伝動ケース100は、機体2に対して揺動可能に設けられている。具体的には、伝動ケース100は、機体2に対して横軸回り(出力軸102の軸回り)に揺動可能に設けられている。
【0093】
椅子13L,13Rは、支持機構103によって伝動ケース100に支持されている。
図18~
図21に示すように、支持機構103は、支柱104と、ブラケット105と、支軸106と、連結部材107とを有している。
支柱104は、後輪4L,4Rの機体外方側に配置されている。支柱104の上部は、椅子13L,13Rの座部13aの下面に固定された椅子支持板108(
図18参照)に接続されており、当該椅子支持板108から下方に延びている。支柱104の下部には、ブラケット105が取り付けられている。支柱104は、例えば、円筒状や六角筒状のパイプから構成される。
【0094】
ブラケット105は、第1側板105aと、第2側板105bと、連結部105cとを有している。第1側板105aは、支柱104の機体内方側に配置されており、後輪4L,4Rと支柱104の間に位置している。第2側板105bは、支柱104の機体外方側に配置されており、第1側板105aと対向している。連結部105cは、機体幅方向に延びており、第1側板105aの上部と第2側板105bの上部、及び、第1側板105aの後部と第2側板105bの後部を接続している。
【0095】
ブラケット105は、伝動ケース100に枢支されている。詳しくは、ブラケット105は、伝動ケース100の伝動軸ケース100cに設けられた枢支板100dに対して、第1枢支軸141によって枢支されている。枢支板100dは、伝動ケース100から上方に向けて延出している。枢支板100dは、互いに対向して配置された第1枢支板100d1と第2枢支板100d2とを含む。第1枢支板100d1は、第2側板105bの機体内方側に配置されている。第2枢支板100d2は、第1側板105aの機体外方側に配置されている。第1枢支軸141は、機体幅方向に延びており、第1側板105a、第2側板105b、第1枢支板100d1、第2枢支板100d2を貫通している。これにより、ブラケット105は、伝動ケース100に対して第1枢支軸141回りに揺動可能である。
【0096】
支軸106は、機体2から側方に突出している。支軸106の一端側(機体内方側)は、機体2に固定されており、機体2から機体外方に向けて延びている。支軸106は、出力軸102の上方且つ後方に配置されている。
連結部材107は、内板107aと、外板107bと、上板107cとを有している。内板107aは、支柱104の機体内方側に配置され、支柱104と後輪4L,4Rの間に位置している。外板107bは、支柱104の機体外方側に配置され、内板107aと対向している。上板107cは、支柱104の前方において、内板107aの上部と外板107bの上部とを連結している。
【0097】
連結部材107の一端側(前側)は、支軸106の他端側(機体外方側)に枢支されている。これにより、連結部材107は、支軸106回りに上方又は下方に揺動可能である。連結部材107の他端側(後側)は、ブラケット105に枢支されている。詳しくは、連結部材107の他端側は、ブラケット105に対して、第2枢支軸142によって枢支されている。連結部材107の他端側は、伝動ケース100の上方であって、枢支板100dよりも上方に配置されている。内板107aの他端側は、ブラケット105の第1側板105aの機体外方側に配置されている。外板107bの他端側は、ブラケット105の第2側板105bの機体内方側に配置されている。ブラケット105には筒体105dが固定されており、第2枢支軸142は筒体105dに対して回動可能に支持されている。第2枢支軸142は、機体幅方向に延びており、内板107a、外板107b、筒体105dを貫通している。これにより、ブラケット105は、連結部材107の他端側に対して、第2枢支軸142回りに上方又は下方に揺動可能である。第2枢支軸142は、第1枢支軸141の上方に位置している。支柱104、ブラケット105、連結部材107は、支軸106に対して椅子13L,13Rを支持する椅子支持体を構成している。
【0098】
ブラケット105、連結部材107、出力軸102、支軸106、第1枢支軸141、第2枢支軸142は、4節リンク機構を構成している。伝動ケース100が出力軸102の軸回りに上方又は下方に揺動した場合、ブラケット105は上方又は下方に移動する。従って、伝動ケース100が出力軸102の軸回りに揺動した場合において、ブラケット105が取り付けられた支柱104を、傾かせることなく昇降させることができる。そのため、支柱104に支持された椅子13L,13Rに着座した作業者の姿勢が損なわれることがない。また、第1枢支軸141と第2枢支軸142などによって椅子13L、13Rに座った作業者の体重を分散して支えることができる。
【0099】
伝動ケース100は、出力軸102に沿ってスライドして機体幅方向に移動可能となっている。連結部材107は、支軸106に沿ってスライドして機体幅方向に移動可能となっている。伝動ケース100及び連結部材107は、ブラケット105を介して接続されているため、一体的に機体幅方向(機体外方又は機体内方)に移動可能である。伝動ケース100及び連結部材107が機体外方に移動すると、椅子13L,13R及び後輪4L,4Rが機体外方に移動して機体2から離反する。伝動ケース100及び連結部材107が機体内方に移動すると、椅子13L,13R及び後輪4L,4Rが機体内方に移動して機体2に接近する。つまり、伝動ケース100、出力軸102、連結部材107、支軸106は、椅子13L,13R及び後輪4L,4Rを機体2に対して近接又は離反させる移動機構を構成している。
【0100】
図18、
図19、
図22、
図23、
図31に示すように、移植機1は、少なくとも後輪4L,4Rのトレッド部(接地部)を覆う保護カバー110を備えている。保護カバー110は、第1保護カバー(車輪カバー)111L,111Rと第2保護カバー112L,112Rとを含む。つまり、後輪4L,4Rのトレッド部は、2つの保護カバー(第1保護カバー111L,111Rと第2保護カバー112L,112R)により覆われている。第2保護カバー112L,112Rは、第1保護カバー111L,111Rの上方に配置されており、一部(後部)が第1保護カバー111L,111Rとオーバーラップしている。
【0101】
先ず、第1保護カバー111L,111Rについて説明する。
第1保護カバー111Lは、機体2の左方に配置されており、後輪4Lの上後方を覆っている。第1保護カバー111Rは、機体2の右方に配置されており、後輪4Rの上後方を覆っている。第1保護カバー111Lと第1保護カバー111Rは、機体幅方向の中心を挟んで対称であって同様の構成である。そのため、以下、第1保護カバー111Lについて説明し、第1保護カバー111Rの説明は省略する。
【0102】
第1保護カバー111Lは、上カバー部111aと、後カバー部111bと、側カバー部111cと、を有している。上カバー部111aは、一方面(表面)が上方を向き且つ他方面(裏面)が下方を向いて配置され、後輪4Lの上方を覆っている。後カバー部111bは、上カバー部111aの後端から下方に延びている。後カバー部111bは、下方に延びるにつれて後方に移行するように、上カバー部111aに対して傾斜している。後カバー部111bは、後輪4Lの後方(後輪4Lの後部の上方)を覆っている。上カバー部111aと後カバー部111bとは、後輪4Lのトレッド部を覆っている。側カバー部111cは、後輪4Lの左方に配置されて、後輪4Lの左方を覆っている。側カバー部111cの上端は、上カバー部111aの左端と接続している。側カバー部111cの後端は、側カバー部111cの左端と接続している。
【0103】
図18、
図19に示すように、第1保護カバー111Lは、支持ステー116を介して伝動ケース100に取り付けられている。支持ステー116は、伝動ケース100と第1保護カバー111Lとを接続している。支持ステー116は、前部が伝動ケース100の枢支板100dにボルト等により取り付けられており、伝動ケース100から後方に延びている。支持ステー116の後部には、側カバー部111cの下部がボルト等により取り付けられている。これにより、第1保護カバー111L,111Rは、車輪支持体7Lの伝動ケース100に対する位置が固定される。
【0104】
図22、
図29、
図30に示すように、機体昇降機構によって、車輪(前輪3L,3R、後輪4L,4R)に対して相対的に機体2を昇降させると、水平面に対する伝動ケース100の傾斜角度が変化し、この伝動ケース100の傾動に伴って第1保護カバー111L,111Rが移動する。
次に、第2保護カバー112L,112Rについて説明する。
【0105】
第2保護カバー112Lは、機体2の左方に配置されており、後輪4Lの上方を覆っている。第2保護カバー112Rは、機体2の右方に配置されており、後輪4Rの上方を覆っている。第2保護カバー112Lと第2保護カバー112Rは、機体幅方向の中心を挟んで対称であって同様の構成である。そのため、以下、第2保護カバー112Lについて説明し、第2保護カバー112Rの説明は省略する。
【0106】
図18、
図19、
図22、
図23に示すように、第2保護カバー112Lは、基板113と揺動部114とを有している。
基板113は、第1保護カバー111Lの上方に配置されている。基板113は、一方面(表面)が上方を向き且つ他方面(裏面)が下方を向いて配置され、後輪4Lの上方において前後方向に延びている。
図18、
図19、
図23に示すように、基板113は、カバー支持体115を介して椅子13Lを支持する支柱104に支持されている。カバー支持体115は、一端部(機体外方側の端部)が支柱104の中途部に固定され、当該中途部から後輪4Lの上方を横切って機体内方側に延びている。基板113は、カバー支持体115の上部に固定されている。
【0107】
図22、
図29、
図30に示すように、基板113は、機体2の昇降に伴って支柱104及び椅子13Lと共に昇降する。これにより、基板113と後輪4Lとの上下方向の距離(隙間)は、機体2の昇降に伴って増減する。
図18、
図19、
図22に示すように、揺動部114は、第1揺動部114Fと第2揺動部114Bとを含む。第1揺動部114Fは、基板113の前部に揺動可能に接続されている。第2揺動部114Bは、基板113の後部に揺動可能に接続されている。第1揺動部114F及び第2揺動部114Bは、板状であって、基板113に対して自重で垂れ下がっている。第1揺動部114F及び第2揺動部114Bは、機体2の昇降に伴って上方又は下方に揺動する。具体的には、第1揺動部114Fは、基板113が上昇したときに上方に揺動し、基板113が下降したときに下方に揺動する。第2揺動部114Bは、基板113が上昇したときに下方に揺動し、基板113が下降したときに上方に揺動する。
【0108】
以下、第1保護カバー111Lの移動と、第1揺動部114F及び第2揺動部114Bの揺動との関係について、詳しく説明する。
図22に示すように、第1保護カバー111Lは、機体2の昇降に伴って、後輪4Lに対する相対位置を変化させる。詳しくは、機体2の昇降に伴って伝動ケース100が出力軸102回りに揺動するため、第1保護カバー111Lも出力軸102回りに揺動する。これにより、第1保護カバー111Lは、後輪4Lに対する相対位置を変化させる。第1保護カバー111Lは、機体2の下降時に第1位置に位置し(
図22の左図、
図29参照)、機体2の上昇時に第1位置と異なる第2位置に位置する(
図22の右図、
図30参照)。後輪4Lを基準とすると、第2位置は第1位置よりも後方である。
【0109】
図22の左図に示すように、第2揺動部114Bは、第1保護カバー111Lが第1位置にあるときは基板113に対して第1角度α1で傾斜して第1保護カバー111Lの上面に当接する。また、
図22の右図に示すように、第2揺動部114Bは、第1保護カバー111Lが第2位置にあるときは基板113に対して第2角度α2で傾斜して第1保護カバー111Lの上面に当接する。第2角度α2は、第1角度α1とは異なる。具体的には、第2角度α2は第1角度α1に比べて小さい(α1>α2)。尚、第1角度α1と第2角度α2は、基板113の下面に対する角度(下向き角の大きさ)である。
【0110】
第2揺動部114Bは、機体2の昇降に追従して揺動することで、第1保護カバー111Lが移動によりトレッド部から離れた部分を覆う。より詳しく説明すると、第1保護カバー111Lは、機体2の上昇に伴って第1位置から第2位置に移動すると、後輪4Lに対して相対的に後方に移動する。これにより、第1保護カバー111Lが後輪4Lのトレッド部の上部(頂部)から離れる。このとき、第2揺動部114Bは、基板113に対する角度が小さくなる方向(下方)に揺動する(
図22右図の矢印C1参照)。そのため、第2揺動部114Bは、基板113に対して直角に近い角度で垂れ下がり、上下方向の長さが長くなる。これにより、第2揺動部114Bは、第1保護カバー111Lからトレッド部から離れた部分を後方から覆うことができる。別の言い方をすれば、第1保護カバー111Lが第1位置から第2位置に移動すると、基板113と第1保護カバー111Lとの間の上下方向の距離が増加するが、この距離の増加によって生じる空間を第2揺動部114Bの揺動によって埋めることができる。これにより、椅子13Lに着座した作業者の足が後輪7Lのトレッド部に接触することが防止できる。また、機体2の昇降に伴って、作業者の足が第1保護カバー111Lと第2保護カバー112Lとの間に挟まれることが防止できる。
【0111】
図22の左図に示すように、第1揺動部114Fは、車輪に対して機体2が下降したとき、基板113に対して第3角度β1で傾斜して支軸106の上部に当接する。また、
図22の右図に示すように、第1揺動部114Fは、車輪に対して機体2が上昇したとき、基板113に対して第4角度β2で傾斜して支軸106の上部に当接する。第4角度β2は、第3角度β1とは異なる。具体的には、第4角度β2は第3角度β1に比べて大きい(β1<β2)。尚、第3角度β1と第4角度β2は、基板113の下面に対する角度(下向き角の大きさ)である。
【0112】
図22の右図に示すように、機体2の上昇に追従して基板113が上昇したとき(矢印C2参照)、第1揺動部114Fは基板113に対する角度が大きくなる方向に揺動する(矢印C3参照)。そのため、第1揺動部114Fは、略水平に近づく姿勢で前方に延び、前後方向の長さが長くなる。これにより、第1揺動部114Fによって、後輪7Lの前部上方を確実に覆うことができる。そのため、椅子13Lに着座した作業者の足が後輪7Lの前部に接触することが防止できる。
【0113】
第2保護カバー112Rの作用(動作)は、上述した第2保護カバー112Lの作用(動作)と同様であるため、説明を省略する。
図23、
図24に示すように、移植機1は、後輪4L,4Rの側面に付着した土を掻き落とすスクレーパ130を備えている。スクレーパ130は、後輪4L,4Rの側面中心と第1保護カバー(車輪カバー)111L,111Rとを接続している。後輪4L,4Rの機体内方側の側面中心から筒状の取付部材133が機体内方に突出しており、この取付部材133にスクレーパ130の一端部(前端部)がボルトBL2等によって取り付けられている。取付部材133は、後輪4L,4Rの機体外方側において伝動ケース100の後部ギヤケース100bと接続されており、後輪4L,4Rの駆動(回転)によっては回転しない。これにより、後輪4L,4Rが回転したときに、スクレーパ130によって後輪4L,4Rの側面(内面)に付着した土を掻き落とすことができる。
【0114】
スクレーパ130は、後輪4L,4Rの側面中心と第1保護カバー111L,111Rの後カバー部111bとを接続している。また、第1保護カバー111L,111Rは、支持ステー116を介して伝動ケース100に接続されている。これにより、第1保護カバー111L,111Rは、支持ステー116を介して伝動ケース100に接続されるだけでなく、スクレーパ130を介して後輪4L,4Rの側面中心にも接続されることとなる。そのため、第1保護カバー111L,111Rが安定した状態で強固に支持される。
【0115】
スクレーパ130は、第1延設部131と第2延設部132とを有している。
第1延設部131は、後輪4L,4Rの側面中心から第1保護カバー111L,111Rの後カバー部111bの下端まで延びている。第2延設部132は、後カバー部111bの内面に当接して車輪幅方向(機体外方)に延びている。第2延設部132は、後カバー部111bの下端の内面にボルトBL1により固定されている。これにより、後カバー部111bの下端がスクレーパ130によって補強されている。
【0116】
図19、
図24に示すように、第2延設部132は、支持ステー116と接続されている。支持ステー116は、第1保護カバー111L,111Rの側カバー部111cの内面に沿って後方に延びる後延部116aと、後延部116aの後端部から機体内方に向けて屈曲して後カバー部111bの内面に沿って延びる内延部116bと、を有している。スクレーパ130の第2延設部132と支持ステー116の内延部116bとは、ボルトBL1により後カバー部111bに対して共締めされている。これにより、スクレーパ130は、支持ステー116と共に第1保護カバー111L,111Rと接続されている。
【0117】
図23、
図24に示すように、第1延設部131は、内側部位131aと、外側部位131bと、中間部位131cと、を有している。内側部位131aは、後輪4L,4Rの側面中心に設けられた取付部材133から後輪4L,4Rの径外方向に向けて延びている。外側部位131bは、第2延設部132の機体内方側の端部から後輪4L,4Rのタイヤ(ゴム輪)4Tの機体内方側の側面に沿って後輪4L,4Rの径内方向に向けて延びている。中間部位131cは、タイヤ4Tの内面側(接地面と反対側)において内側部位131aと外側部位131bとを接続している。中間部位131cは、後輪4L,4Rの径外方向に向かうにつれて機体内方に移行するように内側部位131a及び外側部位131bに対して傾斜して延びている。
【0118】
次に、椅子13L,13Rに対する乗降用の乗降ステップ120L,120Rについて説明する。
図25、
図26、
図31に示すように、移植機1は、乗降ステップ120L,120Rを備えている。乗降ステップ120L(第1乗降ステップ)は、機体幅方向の一方側(左側)に配置されている。乗降ステップ120R(第2乗降ステップ)は、機体幅方向の一方側(右側)に配置されている。尚、
図25、
図26は、乗降ステップ120Lの周辺構造を示しているが、乗降ステップ120Rの周辺構造も同様である。
【0119】
乗降ステップ120L,120Rは、作業者が椅子13L,13Rに乗降するときに足掛かりとする(足を載せる)部位である。乗降ステップ120L,120Rは、機体2と後輪(車輪)4L,4Rとの間で且つ椅子13L,13Rの前方又は後方に設けられている。本実施形態の場合、乗降ステップ120Lは、機体2と後輪4Lとの間で且つ椅子13Lの後方に設けられている。また、乗降ステップ120Rは、機体2と後輪4Rとの間で且つ椅子13Rの後方に設けられている。
【0120】
また、乗降ステップ120Lは、機体幅方向において、椅子13Lと第1把持部91Lとの間に設けられている。乗降ステップ120Rは、機体幅方向において、椅子13Rと第2把持部91Rとの間に設けられている。
また、乗降ステップ120Lは、灌水タンクTを載置する載置台121Lと後輪(車輪)4Lとの間に位置している。乗降ステップ120Rは、載置台121Rと後輪(車輪)4Rとの間に位置している。載置台121Lは、機体2の左側部の後方寄り位置に固定されており、機体2と後輪(車輪)4Lとの間に位置している。載置台121Rは、機体2の右側部の後方寄り位置に固定されており、機体2と後輪(車輪)4Rとの間に位置している。
【0121】
図25に示すように、灌水タンクTは、機体幅方向の長さが前後方向の長さに比べて短くなる向きで載置台121L,121Rに載置される。
図26に示すように、載置台121Lは、機体内方側に配置された内側載置板121aと、機体外方側に配置された外側載置板121bと、を有している。内側載置板121aと外側載置板121bとは、機体2から機体外方に延びる支持体122によって支持されるとともに、固定部材123を介してデッキ10Lの後部に固定されている。内側載置板121aと外側載置板121bとは、1枚の板材から構成してもよい。載置台121Rの構造は、載置台121Lの構造と同様である。
【0122】
図26に示すように、乗降ステップ120L,120Rは、ステップ板120aと、前接続板120bと、後接続板120cと、を有している。ステップ板120aは、作業者がデッキ10L,10Rに乗降する際に足を乗せる板である。前接続板120bは、ステップ板120aの前部から上方に延びている。後接続板120cは、ステップ板120aの後部から上方に延びている。前接続板120b及び後接続板120cの機体内方側の端部は、載置台121L,121Rに接続されている。これにより、乗降ステップ120L,120Rは、機体幅方向の内側が載置台121L,121Rに接続されている。
【0123】
図25、
図26に矢印及び仮想線で示すように、乗降ステップ120L,120Rは、載置台121L,121Rに対して上方又は下方に揺動可能となっている。これにより、乗降ステップ120L,120Rは、椅子13L,13Rの下方に向けてステップ部120aを延ばす第1姿勢(
図25の仮想線、
図26の実線を参照)と、機体2側にステップ部120aを収納する(折り畳む)第2姿勢(
図25の実線、
図26の仮想線を参照)とに姿勢変更が可能である。
【0124】
図26、
図31に示すように、ステップ板120aは、第1姿勢において、一方面を上方に向けて、他方面を下方に向けて、地面と略平行(略水平)となるように配置される。ステップ板120aは、第1姿勢において、椅子13L,13Rの座面よりも低い位置に設けられる。より詳しくは、ステップ板120aは、支軸106よりも低い位置に設けられる。乗降ステップ120L,120Rを第1姿勢とすることにより、作業者は、ステップ板120aを足掛りとして(ステップ板120aに乗って)椅子13L,13Rに乗降することができる。詳しくは、移植機1の後輪4L,4Rが畝間(畝溝)にある状態において、作業者は畝間を通って後輪4L,4Rの後方からステップ板120aに足を載せて把持部91L,91Rを手で把持しながら椅子13L,13Rに乗ることができる。また、作業者は、把持部91L,91Rを手で把持しながら椅子13L,13Rからステップ板120aへと移って畝間へと降りることもできる。
【0125】
また、
図25、
図27に示すように、ステップ板120aは、第2姿勢において、一方面を機体内方に向けて、他方面を機体外方に向けて、地面に対して略直角(略垂直)となるように配置される。乗降ステップ120L,120Rを第2姿勢とする(折り畳む)ことにより、椅子13L,13R及び後輪4L,4Rを機体2に対して近接させることができる(
図27参照)。乗降ステップ120L,120Rを第2姿勢とし、椅子13L,13R及び後輪4L,4Rを機体2に対して近接させることにより、移植機1の幅(機体幅方向の長さ)を短くすることができる。これにより、移植機1を運搬するときの取り扱い性(可搬性)が向上し、また保管時に必要なスペースを小さくすることができる。
【0126】
椅子13L,13R及び後輪4L,4Rを機体2に対して近接又は離反させる操作は、上述した移動機構によって行うことができる。移動機構は、乗降ステップ120L,120Rが第2位置にあるとき、椅子13L,13R及び後輪4L,4Rを機体2に対して近接可能とする。
次に、デッキ10L,10R及び操作ペダル200について説明する。
【0127】
図25、
図27~
図31に示すように、移植機1は、デッキ(足置き台)10L,10Rを備えている。デッキ10L,10Rは、例えば、金属板等から構成されている。デッキ10L,10Rは、支軸106の上方に設けられている。
図25、
図28に示すように、デッキ10L,10Rは、前部位10aと後部位10bとを有している。前部位10aの上面と後部位10bの上面は同じ高さとされている。前部位10aと後部位10bとは、1枚の板材から構成してもよいし、別々の板材から構成してもよい。後部位10bは、椅子13L,13Rの機体内方に設けられており、椅子13L,13Rに着座した作業者の前方に位置する。前部位10aは、椅子13L,13Rの機体内方且つ前方に設けられている。デッキ10Lの前部位10aは、椅子13Lに着座した作業者の斜め前左方に位置する。デッキ10Rの前部位10aは、椅子13Rに着座した作業者の斜め前右方に位置する。
【0128】
後部位10bは、前部位10aに比べて機体幅方向の長さが短く形成されている。言い換えれば、前部位10aと後部位10bは機体幅方向に段差を形成している。この段差を利用して、椅子13L,13Rと後輪4L,4Rを機体2に対して(後部位10bに対して)近接させることが可能となる。
デッキ10L,10Rは、機体内方を向いて椅子13L,13Rに着座した作業者の足元に位置する。そのため、植付カップへの苗の供給作業を行う作業者が、作業中にデッキ10L,10Rに足を置くことができる。
【0129】
デッキ10L,10Rは、乗降ステップ120L,120Rの前方であって且つ乗降ステップ120L,120Rよりも高い位置に設けられている。詳しくは、デッキ10Lは、乗降ステップ120Lの前方であって且つ乗降ステップ120Lよりも高い位置に設けられている。デッキ10Rは、乗降ステップ120Rの前方であって且つ乗降ステップ120Rよりも高い位置に設けられている。これにより、デッキ10L,10Rは、作業者が乗降ステップ120L,120Rから椅子13L,13Rに移る途中、或いは、椅子13L,13Rから乗降ステップ120L,120Rに移る途中で乗ることができる中間ステップとしても利用可能である。
【0130】
図25、
図28に示すように、デッキ10L,10Rの上方には、操作ペダル200が配置されている。操作ペダル200は、苗供給部12と椅子13L,13Rとの間に配置されている。操作ペダル200は、機体外方に向けて延設されており、椅子13L,13Rに着座した作業者が足で踏んで操作することができる。操作ペダル200は、原動機E1から後輪4L,4Rへの動力伝達を遮断可能なペダルである。また、操作ペダル200は、原動機E1から移植部11及び苗供給部12への動力伝達を遮断可能なペダルでもある。以下、操作ペダル200の説明において、後輪4L,4R、移植部11及び苗供給部12を、まとめて「後輪等」という。
【0131】
操作ペダル200は、第1操作ペダル201、第2操作ペダル202、第3操作ペダル203を含む。機体2の幅方向一方側(左側)には、第1操作ペダル201、第2操作ペダル202、第3操作ペダル203が前後方向に並んで配置されている。本実施形態の場合、後方から順に、第1操作ペダル201、第2操作ペダル202、第3操作ペダル203が並んで配置されている。機体2の幅方向他方側(右側)には、第1操作ペダル201のみが配置されている。
【0132】
第1操作ペダル201は、デッキ10L,10Rの後部位10bの上方に配置されている。第2操作ペダル202は、デッキ10Lの後部位10bの上方に配置されている。第3操作ペダル203は、デッキ10Lの前部位10aの上方に配置されている。
第1操作ペダル201は、操作時に原動機E1から車輪等への動力伝達を遮断し、操作していないときには原動機E1から車輪等への動力伝達を許容する一時停止用クラッチペダルである。詳しくは、第1操作ペダル201は、作業者が足で踏んで機体内方に押しているときにのみ車輪等への動力伝達を遮断し、足を離すと元の位置に復帰して車輪等への動力伝達を許容する。
【0133】
第1操作ペダル201は、機体2の左側と右側に設けられているため、椅子13Lに着座した作業者と椅子13Rに着座した作業者の両方が、それぞれ第1操作ペダル201を操作することができる。そのため、作業中に不具合が生じた場合には、第1椅子13Lに着座した作業者と第2椅子13Rに着座した作業者の少なくともいずれか一方が、第1操作ペダル201を足で踏んで操作することによって、原動機E1から後輪等への動力伝達を遮断して、一時的に作業を中断することができる。そして、不具合が解消したときには、第1操作ペダル201から足を離すことによって、原動機E1から後輪等への動力伝達を許容することにより、作業を再開することができる。
【0134】
第1操作ペダル201は、操作レバー93(
図30、
図31参照)とは別に設けられている。そのため、第1操作ペダル201と操作レバー93とを状況に応じて使い分けることができる。例えば、作業を終了するときや長時間にわたって中断するときには、操作レバー93を手で操作して主クラッチを切断することにより、原動機E1から後輪等への動力伝達を遮断する。一方、作業を一時的に(短時間のみ)中断するときや、操作レバー93を手で操作するのが間に合わない緊急時等には、第1操作ペダル201を足で操作することにより、原動機E1から後輪等への動力伝達を遮断することができる。
【0135】
第2操作ペダル202は、原動機E1から右車輪(後輪4R)への動力伝達を遮断可能な右操向クラッチペダルである。第3操作ペダル203は、原動機E1から左車輪(後輪4L)への動力伝達を遮断可能な左操向クラッチペダルである。作業者が右操向クラッチペダルを操作する(足で踏む)と、移植機1は右に旋回する。作業者が左操向クラッチペダルを操作する(足で踏む)と、移植機1は左に旋回する。
【0136】
第1操作ペダル201、第2操作ペダル202、第3操作ペダル203は、機体外方に向けて延設されているため、椅子13L,13Rに着座した作業者は、機体内方を向いた姿勢を変更することなく足を伸ばして踏んで操作することができる。そのため、操作性に優れており、迅速且つ確実な操作が可能となる。
以下、上記実施形態の移植機1の効果について説明する。
【0137】
移植機1は、機体2と、機体幅方向に並んで配置され且つ畝に苗を植え付ける複数の植付具37L,37R,38L,38Rと、畝に接地する複数の接地部材160と、複数の接地部材160をそれぞれ機体2に対して上方又は下方に揺動可能に支持する複数の支持部材170と、複数の支持部材170を連結し且つ当該支持部材170の揺動に基づいて畝高さを検出する畝高さ検出部材180と、を備えている。
【0138】
この構成によれば、畝高さ検出部材180が畝に接地する複数の接地部材160を支持する複数の支持部材170を連結し、且つ当該支持部材170の揺動に基づいて畝高さを検出することによって、複数の畝の高さのばらつきを考慮した平均的な畝高さを正確に検出することができる。
また、複数の植付具は、隣接する畝のうち一方の畝に苗を植え付け可能な第1植付具37Lと、隣接する畝のうち他方の畝に苗を植え付け可能な第2植付具37Rとを含み、複数の接地部材160は、第1植付具37L側に設けられた第1接地部材161Lと、第2植付具37R側に設けられた第2接地部材161Rとを含み、複数の支持部材170は、第1接地部材161Lを支持する第1支持部材171Lと、第2接地部材161Rを支持する第2支持部材171Rとを含み、畝高さ検出部材180は、第1支持部材171Lと第2支持部材171Rとを連結している。
【0139】
この構成によれば、畝高さ検出部材180によって隣接する2つの畝の高さを検出することにより、隣接する2つの畝の高さを考慮しながら、複数の畝の高さのばらつきを考慮した平均的な畝高さを正確に検出することができる。
また、第1支持部材171L及び第2支持部材171Rは、機体幅方向の中央部に配置され、畝高さ検出部材180は、機体幅方向の中央部に配置された第1支持部材171Lと第2支持部材171Rとを連結している。
【0140】
この構成によれば、畝高さ検出部材180によって、機体幅方向に並んだ複数の畝のうち、機体幅方向の中央部にて隣接する2つの畝の高さを検出することができる。そのため、畝の数が多い場合でも、比較的簡易な構造を採りつつ、複数の畝の高さのばらつきを考慮した平均的な畝高さを正確に検出することができる。
また、複数の植付具は、第1植付具37Lに対して第2植付具37Rとは反対側に配置された第3植付具38Lと、第2植付具37Rに対して第1植付具37Lとは反対側に配置された第4植付具38Rとを含み、複数の接地部材は、第3植付具38L側に設けられた第3接地部材162Lと、第4植付具38R側に設けられた第4接地部材162Rとを含む。
【0141】
この構成によれば、4条植えの移植機1において、比較的簡易な構造を採りつつ、複数の畝の高さのばらつきを考慮した平均的な畝高さを正確に検出することができる。
また、支持部材170は、接地部材160を回転可能に支持する支持アーム173と、支持アーム173を機体2に対して上方又は下方に揺動可能に支持する揺動アーム174と、を有し、畝高さ検出部材180は、機体幅方向において隣り合う支持アーム173を連結している。
【0142】
この構成によれば、支持部材170を畝の高さの変化に追従させて確実に揺動させながら、畝高さ検出部材180により複数の畝の高さのばらつきを考慮した平均的な畝高さを正確に検出することができる。
また、移植機1は、圃場に苗を植え付ける移植部11を備えた機体2と、機体2の側方に設けられた車輪4L,4Rと、車輪4L,4Rの上方に設けられた椅子13L,13Rと、車輪4L.4Rに対して相対的に機体2を昇降させる昇降機構(機体昇降機構)と、少なくとも車輪4L,4Rのトレッド部を覆い、且つ、機体2の昇降に追従して上方又は下方に揺動する揺動部114を有する保護カバー110と、を備えている。
【0143】
この構成によれば、車輪4L,4Rに対して機体2を昇降させる昇降機構を有する移植機において、保護カバー110の揺動部114が機体2の昇降に追従して上方又は下方に揺動することにより、作業者の足が車輪4L,4Rのトレッド部に接触することを防止することができる。
また、保護カバーは、少なくとも車輪4L,4Rのトレッド部を覆い且つ機体2の昇降に伴って移動する第1保護カバー111L,111Rと、少なくとも車輪4L,4Rのトレッド部を覆い且つ揺動部114を有する第2保護カバー112L,112Rと、を含む。
【0144】
この構成によれば、機体2の昇降に伴って移動する第1保護カバー111L,111Rと、揺動部114を有する第2保護カバー112L,112Rとによって、車輪4L,4Rのトレッド部を覆うことができるため、作業者の足が車輪4L,4Rのトレッド部に接触することをより確実に防止することができる。
また、揺動部114は、機体2の昇降に追従して揺動することで、第1保護カバー111L,111Rが移動によりトレッド部から離れた部分を覆う。
【0145】
この構成によれば、機体2の昇降時に作業者の足が第1保護カバー111L,111Rと第2保護カバー112L,112Rとの間に挟まれることが防止できる。また、機体2が上昇したときに、作業者の足が車輪4L,4Rのトレッド部に接触することを防止することができる。
また、揺動部は、機体2の昇降に伴って昇降する基板113と、基板の前部に揺動可能に接続され且つ基板113の昇降に伴って上方又は下方に揺動する第1揺動部114Fと、基板2の後部に揺動可能に接続され且つ基板113の昇降に伴って上方又は下方に揺動する第2揺動部114Bと、を含む。
【0146】
この構成によれば、機体2の昇降に伴う基板113の昇降に対応して、車輪4L,4Rの前部上方及び後部上方を揺動部によって覆うことができるため、作業者の足が車輪4L,4Rに接触することをより確実に防止することができる。
また、第1保護カバー111L,111Rは、機体2の下降時に第1位置に位置し、機体2の上昇時に第1位置と異なる第2位置に位置し、第2揺動部114Bは、第1保護カバー111L,111Rが第1位置にあるときは基板113に対して第1角度で傾斜して第1保護カバーに当接し、第1保護カバーが第2位置にあるときは基板113に対して第1角度と異なる第2角度で傾斜して第1保護カバーに当接する。
【0147】
この構成によれば、機体2の昇降に伴う第1保護カバー111L,111Rの位置の変化に対応して、第2揺動部114Bの基板113に対する傾斜の角度が変化するため、機体2の昇降によって基板113と第1保護カバー111L,111Rとの間に生じる隙間(空間)を、第2揺動部114Bにより塞ぐことができる。これにより、機体2の昇降時に作業者の足が第1保護カバー111L,111Rと第2保護カバー112L,112Rとの間に挟まれることが防止できる。
【0148】
また、機体2から側方に延出された支軸106と、支軸106に対して椅子13L,13Rを支持する椅子支持体と、を備え、第1揺動部114Fは、機体2の下降時には基板113に対して第3角度で傾斜して支軸106に当接し、機体2の上昇時には基板113に対して第3角度と異なる第4角度で傾斜して支軸106に当接する。
この構成によれば、機体2の昇降に対応して、第1揺動部114Fにより支軸106を確実に覆うことができるため、作業者の足が、支軸106に接触することや、支軸106と保護カバー110との隙間から車輪4L,4Rに接触することを防止することができる。
【0149】
また、移植機1は、機体2と、昇降動作によって畝に苗を植え付ける植付具37L,37R,38L,38Rと、畝の上面に接地する接地部材160と、接地部材160を機体2に対して上方又は下方に揺動可能に支持する支持部材170と、支持部材170に接続されて当該支持部材の揺動に基づいて畝の高さを検出する畝高さ検出部材180と、支持部材170に取り付けられ且つ植付具37L,37R,38L,38Rの昇降時に当該植付具の表面に付着した土を掻き落とす土除去部材190と、を備えている。
【0150】
この構成によれば、土除去部材190が接地部材160を支持する支持部材170に取り付けられているため、畝高さ検出の機構に付属させて土除去部材190を設けることができる。そのため、土除去部材190を設けるための専用のスペースを必要とせず、小さいスペースで土除去部材190を設けることができる。また、土除去部材190の構成を簡素化しながら確実に土を掻き落とすことができる。
【0151】
また、接地部材は、機体幅方向に並んで設けられた複数の接地部材160を含み、支持部材は、機体幅方向に並んで設けられた複数の支持部材170を含み、機体幅方向に隣り合う支持部材170を連結する連結部材177を備えている。
この構成によれば、連結部材177が機体幅方向に隣り合う支持部材170を連結するため、支持部材170の強度が向上する。また、隣り合う支持部材170が連動して揺動するため、畝高さ検出部材180による畝高さの検出と土除去部材190による土の除去とを精度良く確実に実行することができる。
【0152】
また、接地部材160は、植付具37L,37R,38L,38Rの機体幅方向の一方側に配置された一方接地部材161La,161Ra,162La,162Raと、植付具の機体幅方向の他方側に配置された他方接地部材161Lb,161Rb,162Lb,162Rbと、を含み、支持部材170は、一方接地部材及び他方接地部材を回転可能に支持する支持アーム173と、支持アーム173を機体2に対して上方又は下方に揺動可能に支持する揺動アーム174と、を有し、土除去部材190は支持アーム173に取り付けられている。
【0153】
この構成によれば、土除去部材190を支持アーム173に取り付けることによって、接地部材160の近傍に配置することができるため、植付具37L~38Rが下降したときに当該植付具に対して土除去部材190を確実に接触させることが可能となる。
また、支持アーム173は、一方接地部材を回転可能に支持する一方アーム173Lと、他方接地部材を回転可能に支持する他方アーム173Rと、一方アーム173Lと他方アーム173Rとを連結し且つ揺動アーム174と接続された連結アーム173Mと、を有し、土除去部材190は連結アーム173Mに取り付けられている。
【0154】
この構成によれば、土除去部材190を一方アーム173Lと他方アーム173Rとの間に配置することができるため、一方アーム173Lと他方アーム173Rとの間の空間を有効に利用して土除去部材190を配置することができる。
また、移植機1は、機体2と、機体2に搭載された灌水タンクTと、機体2に設けられ且つ圃場に植え付けられる苗が供給される苗供給部12と、圃場に苗を植え付ける植付具37L~38Rと、苗供給部12から供給される苗を植付具に案内するガイド部材88L~89Rと、灌水タンクTから供給される水をガイド部材88L~89Rに導くチューブであって、ガイド部材88L~89Rに対する先端部の位置が保持されたチューブ94,95と、を備えている。
【0155】
この構成によれば、チューブ94,95の先端部のガイド部材88L~89Rに対する位置が保持されることによって、チューブ94,95の先端部からの放水の向きを安定させることができる。そのため、チューブ94,95の先端部からの放水によって、植付具37L~38Rに付着した土を簡単に落とすことができる。また、チューブ94,95の先端部からの放水によって、植付具37L~38Rからの苗の離脱が円滑となり、確実に苗を植え付けることができる。
【0156】
また、ガイド部材88L~89Rは、チューブ94,95を装着可能な装着部96を有し、チューブ94,95の先端部は、植付具37L~38Rの内面に向けて放水可能に装着部96に装着されている。
この構成によれば、チューブ94,95の先端部が装着部96に装着されることで、当該先端部が植付具37L~38Rの内面に向けて放水可能な位置に保持される、そのため、チューブ94,95の先端部からの放水によって、植付具37L~38Rに付着した土を円滑に落とすことができる。
【0157】
また、ガイド部材88L~89Rは、複数の装着部96A,96Bを有し、チューブ94,95は、基端側が灌水タンクTに接続された主チューブ94La,94Ra,95La,95Raと、主チューブの先端側に設けられた分岐部94Lb,94Rb,95Lb,95Rbと、分岐部から複数に分岐されて複数の装着部96A,96Bにそれぞれ装着された分岐チューブ94Lc,94Rc,95Lc,95Rcと、を有している。
【0158】
この構成によれば、複数の装着部96A,96Bにそれぞれ装着された分岐チューブ94Lc,94Rc,95Lc,95Rcから放水することができるため、植付具37L~38Rに付着した土をより確実に落とすことができ、植付具37L~38Rからの苗の離脱を更に円滑化することができる。
また、ガイド部材88L~89Rの前方に配置された前部フレーム29と、前部フレーム29の機体幅方向外方側から後方に延びる側部フレーム50L,50Rと、を備え、主チューブ94La,94Ra,95La,95Raは、前部フレーム29及び側部フレーム50L,50Rに沿って取り付けられている。
【0159】
この構成によれば、主チューブ94La,94Ra,95La,95Raが前部フレーム29及び側部フレーム50L,50Rに沿って取り付けられることによって、チューブ94,95を位置決めして安定して保持することができ、チューブ94,95が他の部材の配置や動作の妨げになることが防止できる。また、外部からチューブ94,95への接触が起こりにくくなり、チューブ94,95の装着部からの離脱や損傷が生じにくくなる。
【0160】
また、移植機1は、圃場に苗を植え付ける移植部11を備えた機体2と、機体2を走行可能に支持する車輪4L,4Rと、機体2の側方に設けられ且つ作業者が機体幅方向内方に向いて着座する椅子13L,13Rと、機体2に搭載された原動機E1と、原動機E1から車輪4L,4Rへの動力伝達を遮断可能な操作ペダルであって、機体幅方向外方に向けて延設され且つ椅子13L,13Rに着座した作業者が足で操作可能な操作ペダル200と、を備えている。
【0161】
この構成によれば、機体幅方向内方に向いて椅子13L,13Rに着座した作業者は、移植作業時において、移植等の状況(走行する移植機の前方の状況、移植機の後方において植え付けされた苗の状況、移植部11や苗供給部12の状況等)を簡単に把握することができると共に、状況に応じて体勢を変更することなく足を伸ばすことによって操作ペダル200の操作を迅速に行うことができる。
【0162】
また、操作ペダル200は、操作時に車輪4L,4Rへの動力伝達を遮断し、操作していない時に車輪4L,4Rへの動力伝達を許容する、一時停止用クラッチペダル(第1操作ペダル)201を含む。
この構成によれば、例えば、作業中に不具合が生じた場合には、椅子13L,13Rに着座した作業者は、操作ペダル(第1操作ペダル201)を操作することによって、原動機E1から車輪4L,4Rへの動力伝達を遮断することにより、一時的に作業を中断することができる。そして、不具合が解消したときには、操作ペダル(第1操作ペダル201)を操作しないことによって、原動機E1から車輪4L,4Rへの動力伝達を許容することにより、作業を再開することができる。
【0163】
また、移植部11に苗を供給する苗供給部12を備え、操作ペダル200は、苗供給部12と椅子13L,13Rとの間に配置されている。
この構成によれば、椅子13L,13Rに着座した作業者は、機体内方を向いて苗供給部12に苗を供給する作業を行っている最中であっても、体勢を変化させることなく操作ペダル200を迅速に操作することができる。また、苗供給部12への苗の供給作業を操作ペダル200の操作により妨げられることなく行うことができるため、作業性が向上する。
【0164】
また、原動機E1から車輪4L,4Rへの動力伝達を遮断可能な操作レバー93を備え、操作ペダル(第1操作ペダル201)は操作レバー93とは別に設けられている。
この構成によれば、操作ペダル(第1操作ペダル201)と操作レバー93とを状況に応じて使い分けることができる。例えば、作業を終了するときや長時間に亘って中断するときには操作レバー93を操作し、作業を一時的に(短時間のみ)中断するときや、操作レバー93を操作するのが間に合わない緊急時等には操作ペダル(第1操作ペダル201)を操作することができる。
【0165】
また、車輪は、機体2の右部を支持する右車輪4Rと、機体2の左部を支持する左車輪4Lと、を含み、操作ペダル200は、原動機E1から右車輪4Rへの動力伝達を遮断可能な右操向クラッチペダル(第2操作ペダル202)と、原動機E1から左車輪4Lへの動力伝達を遮断可能な左操向クラッチペダル(第3操作ペダル203)と、を含む。
この構成によれば、機体幅方向内方に向いて椅子13L,13Rに着座した作業者が、体勢を変更することなく足を伸ばすことによって、移植機1の右旋回及び左旋回を行うことができ、操作性に優れている。
【0166】
また、一時停止用クラッチペダル(第1操作ペダル201)、右操向クラッチペダル(第2操作ペダル202)、左操向クラッチペダル(第3操作ペダル203)は、前後方向に並んで配置されている。
この構成によれば、機体幅方向内方に向いて椅子13L,13Rに着座した作業者が、体勢を変更することなく足を伸ばすことによって、3つの操作ペダルを操作することができるため、操作性に優れている。
【0167】
また、移植機1は、圃場に苗を植え付ける移植部11を備えた機体2と、機体2の側方に設けられ且つ作業者が機体幅方向内方に向いて着座する椅子13L,13Rと、機体2に設けられ且つ作業者が椅子13L,13Rに着座する際に手で把持する把持部91と、を備えている。
この構成によれば、作業者は、把持部91を手で把持しながら圃場から椅子13L,13Rへと移動することができるため、圃場から椅子13L,13Rへの移動を容易に行うことができる。
【0168】
また、把持部91は、椅子13L,13Rよりも前方又は後方において機体2に設けられている。
この構成によれば、機体2の前方又は後方から椅子13L,13Rに向かう作業者が把持部91を把持して、椅子13L,13Rに乗降することができる。
また、把持部91と椅子13L,13Rとの間に設けられた乗降ステップ120L,120Rを備えている。
【0169】
この構成によれば、作業者は、乗降ステップ120L,120Rに乗って把持部91を把持しながら椅子13L,13Rに乗降ができるため、椅子13L,13Rへの乗降を容易に行うことができる。
また、椅子は、機体幅方向の一方側に配置された第1椅子13Lと、機体幅方向の他方側に配置された第2椅子13Rと、を含み、把持部は、機体幅方向の一方側に配置された第1把持部91Lと、機体幅方向の他方側に配置された第2把持部91Rと、を含む。
【0170】
この構成によれば、機体2の後方から第1椅子13Lに向かう作業者は、第1把持部91Lを把持して第1椅子13Lに着座することができる。また、機体2の後方から第2椅子13Rに向かう作業者は、第2把持部91Rを把持して第2椅子13Rに着座することができる。
また、機体幅方向に延設され且つ第1把持部91Lと第2把持部91Rとを連結する連結部92を備え、第1把持部91Lは、連結部92の機体幅方向一方端から上方に延設され、第2把持部91Rは、連結部92の機体幅方向他方端から上方に延設されている。
【0171】
この構成によれば、第1把持部91Lと第2把持部91Rとが連結部92により連結されることによって、第1把持部91Lと第2把持部91Rと連結部92とが一体となって高い強度を確保することができる。また、第1把持部91Lと第2把持部91Rとが連結部92の機体幅方向の端部から上方に延設されることにより、作業者が把持し易い位置(高さ)及び向き(上向き)に第1把持部91L及び第2把持部91Rを配置することができる。
【0172】
また、把持部91及び乗降ステップ120L,120Rは、椅子13L,13Rよりも後方に設けられている。
この構成によれば、後方から椅子13L,13Rに向かう作業者は、乗降ステップ120L,120Rに乗って把持部91を把持しながら、椅子13L,13Rに容易に着座することができる。
【0173】
また、移植機1は、圃場に苗を植え付ける移植部11を備えた機体2と、機体2の側方に設けられた椅子13L,13Rと、機体2と椅子13L,13Rとの間に設けられ且つ足を載せるステップ板120aを有する乗降ステップであって、椅子13L,13Rの下方に向けてステップ板120aを延ばす第1姿勢と、機体2側にステップ板120aを収納する第2姿勢とに姿勢変更が可能な乗降ステップ120L,120Rと、を備えている。
【0174】
この構成によれば、乗降ステップ120L,120Rを使用して椅子13L,13Rに乗降するときには第1姿勢とし、使用しないときには第2姿勢とすることができる。そのため、使用時には椅子13L,13Rに乗降する動作を補助することができ、不使用時には乗降ステップ120L,120Rが邪魔にならない。
また、椅子13L,13Rを機体2に対して近接又は離反させる移動機構を備え、移動機構は、乗降ステップ120L,120Rが第2姿勢にあるとき椅子13L,13Rを機体2に近接可能である.
この構成によれば、乗降ステップ120L,120Rを第2姿勢としてから、椅子13L,13Rを機体2に対して近接させることにより、移植機1の幅(機体幅方向の長さ)を短くすることができる。これにより、移植機1を運搬するときの取り扱い性(可搬性)が向上し、また保管時に必要なスペースを小さくすることができる。
【0175】
また、機体2の側方に設けられた車輪4L,4Rを備え、移動機構は乗降ステップ120L,120Rが第2姿勢にあるとき車輪4L,4Rを機体2に近接可能である。
この構成によれば、乗降ステップ120L,120Rを第2姿勢としてから、車輪4L,4Rを機体2に対して近接させることにより、移植機1の幅を短くすることができる。これにより、移植機1の可搬性が向上し、また保管時に必要なスペースを小さくすることができる。
【0176】
また、椅子は、機体幅方向の一方側に配置された第1椅子13Lと、機体幅方向の他方側に配置された第2椅子13Rと、を含み、乗降ステップは、機体幅方向の一方側に配置された第1乗降ステップ120Lと、機体幅方向の他方側に配置された第2乗降ステップ120Rと、を含む。
この構成によれば、機体幅方向の一方側と他方側の両方において、乗降ステップ120L,120Rの姿勢を変化させることができる。
【0177】
また、機体2と車輪4L,4Rとの間に灌水タンクTを載置する載置台121L,121Rを備え、乗降ステップ120L,120Rは、機体幅方向の内側が載置台121L,121Rに接続されている。
この構成によれば、灌水タンクTを載置する載置台121L,121Rを利用して乗降ステップ120L,120Rを取り付けることができる。また、乗降ステップ120L,120Rを第2姿勢とすることにより、灌水タンクTの側面を保護することができる。
【0178】
また、移植機1は、圃場に苗を植え付ける移植部11を備えた機体2と、機体2を走行可能に支持する車輪4L,4Rと、車輪4L,4Rの上後方を覆う車輪カバー(第1保護カバー)111L,111Rと、車輪4L,4Rの側面中心と車輪カバー111L,111Rとを接続し且つ車輪4L,4Rの側面に付着した土を掻き落とすスクレーパ130と、を備えている。
【0179】
この構成によれば、スクレーパ130によって、車輪4L,4Rの側面に付着した土を掻き落とすことができると共に、車輪カバー111L,111Rを補強することができる。
また、車輪カバー111L,111Rは、車輪4L,4Rの上方を覆う上カバー部111aと、上カバー部111aの後端から下方に延びて車輪4L,4Rの後方を覆う後カバー部111bと、を有し、スクレーパ130は、車輪4L,4Rの側面中心と後カバー部111bの下端とを接続している。
【0180】
この構成によれば、車輪カバー111L,111Rが、後カバー部111bの下端において車輪4L,4Rの側面中心と接続されるため、車輪カバー111L,111Rを効果的に補強することができると共に、スクレーパ130による土の掻き落としを良好に行うことができる。
また、スクレーパ130は、車輪4L,4Rの側面中心から後カバー部111bまで延びる第1延設部131と、当該第1延設部131から後カバー部111bの内面に当接して車輪幅方向に延びる第2延設部132と、を有している。
【0181】
この構成によれば、スクレーパ130の第1延設部131によって車輪4L,4Rの側面に付着した土を掻き落とすことができると共に、第2延設部132によって後カバー部111bを効果的に補強することができる。
また、車輪4L,4Rを駆動する原動機E1と、原動機E1の動力を車輪4L,4Rに伝達する伝動機構を収容した伝動ケース100と、伝動ケース100と車輪カバー111L,111Rとを接続する支持ステー116と、を備え、スクレーパ130は、支持ステー116と共に車輪カバー111L,111Rと接続されている。
【0182】
この構成によれば、車輪カバー111L,111Rを、伝動ケース100と接続された支持ステー116と、車輪4L,4Rの側面中心と接続されたスクレーパ130の両方によって効果的に補強することができる。また、支持ステー116とスクレーパ130とが接続されることにより、支持ステー116とスクレーパ130とが相互に補強し合うことができる。
【0183】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0184】
1 移植機
2 機体
12 苗供給部
29 前部フレーム(前フレーム材)
37L~38R 植付具
50L 側部フレーム(第1連結材)
50R 側部フレーム(第2連結材)
88L~89R ガイド部材
94,95 チューブ
94La~95Ra 主チューブ
94Lc~95Rc 分岐チューブ
96,96A,96B 装着部
T 灌水タンク