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  • 特許-紙製容器 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-02
(45)【発行日】2022-12-12
(54)【発明の名称】紙製容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 83/08 20060101AFI20221205BHJP
   A47K 10/20 20060101ALI20221205BHJP
   A47K 10/42 20060101ALI20221205BHJP
【FI】
B65D83/08 C
A47K10/20 A
A47K10/42 B
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018064683
(22)【出願日】2018-03-29
(65)【公開番号】P2019172344
(43)【公開日】2019-10-10
【審査請求日】2021-03-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000183462
【氏名又は名称】日本製紙クレシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100144048
【弁理士】
【氏名又は名称】坂本 智弘
(74)【代理人】
【識別番号】100186679
【弁理士】
【氏名又は名称】矢田 歩
(74)【代理人】
【識別番号】100189186
【弁理士】
【氏名又は名称】大石 敏弘
(74)【代理人】
【識別番号】100196645
【弁理士】
【氏名又は名称】宮本 陽子
(72)【発明者】
【氏名】村田 剛
【審査官】吉澤 秀明
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3000788(JP,U)
【文献】特開2009-137643(JP,A)
【文献】特開2010-083548(JP,A)
【文献】特開2016-188092(JP,A)
【文献】特開2008-195412(JP,A)
【文献】実開昭60-068075(JP,U)
【文献】実公平02-042620(JP,Y2)
【文献】特開平08-091455(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 83/08
B65D 5/72
B65D 5/42
A47K 10/20
A47K 10/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ティシュペーパーをポップアップ式に取出し可能に交互に積層してなる積層体を収納可能な略直方体の紙製容器であって、
前記紙製容器の高さは50mm以上120mm以下であり、
前記紙製容器の天面には、前記ティシュペーパーを通過させて取出すための開口部が設けられており、
前記紙製容器の底面には、天面側に押し込むことで係止可能な一対の起立片が、起立する前の状態において、前記底面の長辺の中心点を通過する短手方向平行線を境界として両側に、点対称の関係となるように、それぞれ離間して設けられており、
各前記起立片は、起立する前の状態において、略台形領域と、前記略台形領域から長手方向外側に隣接し、短手方向に突起部を有する係止領域と、を組み合わせた形状をそれぞれ有しており、
前記略台形領域の下底は、前記底面の短手方向に略平行に設けられた折り目用の罫線で構成され、上底よりも前記底面の長手方向内側に位置し、
各前記起立片が起立する前の状態において、前記略台形領域と前記係止領域を組み合わせた領域は、前記罫線とミシン線により囲まれており、
前記略台形領域の上底と前記突起部を形成するミシン線の交点である係止点から、前記突起部の先端までの短手方向平行線上の距離は、1.5mm以上5mm以下であり、
前記罫線と前記底面の長辺の中心点を通過する短手方向平行線との離間距離は、5mm以上15mm以下であり、
各前記起立片における係止点同士を結ぶ線が、一対の前記起立片の対称点を通過し、
各前記起立片が起立して互いに係止された状態において、前記底面から前記起立片の最上部までの垂直距離は、前記紙製容器の高さに対して20%以上55%以下であり、かつ、前記底面の長辺の寸法に対して15%以上20%以下である、紙製容器。
【請求項2】
各前記起立片が起立する前の状態において、前記罫線から前記係止点までの距離が、それぞれ20mm以上40mm以下である、請求項1に記載の紙製容器。
【請求項3】
前記略台形領域の下底は、上底よりも長い、請求項1又は2に記載の紙製容器。
【請求項4】
前記紙製容器に用いる板紙の坪量は300g/m以上500g/m以下である、請求項1から3のいずれかに記載の紙製容器。
【請求項5】
前記ミシン線は、切込部と非切込部が互いに繰り返される構造を有し、
前記突起部の先端部は、一つの前記切込部のみで略円弧状に形成され、前記突起部の先端部の両端に隣接して、1mm以上2mm以下の非切込部が配置されており、当該略円弧状の切込部の寸法はその他の切込部の寸法よりも長く、
その他の各前記切込部の寸法は2mm以上3mm以下であり、各前記非切込部の寸法は1mm以上2mm以下である、請求項1から4のいずれかに記載の紙製容器。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ティシュペーパーをポップアップ式に取出し可能に交互に積層してなる積層体を収納可能な略直方体の紙製容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ティシュ製品の収納容器として、ティシュペーパーをポップアップ式に取出し可能に交互に積層してなる積層体を収納可能な略直方体の紙製容器が用いられている。ここで、これら紙製容器に収納された内容物であるティシュペーパーの積層枚数が少なくなるにつれて、ティシュペーパーが容器内部に落ちる、いわゆるドロップバック現象が起こり、ポップアップできない場合がある。ドロップバック現象を抑制するために、紙製容器の底面に押し上げ機能が備えられる場合があり、押し上げ機能の一つの態様として、紙製容器の底面に一対の起立片を設けたものが知られている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実公平02-42620号公報
【文献】実開昭61-161280号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年、他のティシュ製品と差別化を図るために、付加価値を付与し、高級感を高めたティシュ製品も上市されている。これら高級感を高めたティシュ製品は、ティシュペーパーの入り数が多く、紙製容器の高さが高い傾向にある。
ここで、高さの高い紙製容器では、起立片同士を係止させた状態における高さを確保するために、各起立片を長くしなければならず、特許文献1及び特許文献2に開示されているように、底面の短辺の中心点を通過する長手方向平行線を境界として、両側に各起立片を配置させると、起立片同士を係止させた状態において求める高さを実現するための起立片の長さを十分に確保できない場合や、また、短手方向の開口面積が大きくなることにより、紙製容器の強度が低下することが懸念される。
さらに、高さの高い紙製容器を用いた場合には、起立片同士が起立し係止した状態で従来よりも多くのティシュペーパーを支えなければならず、従来の起立片の態様では、起立片同士を係止させた場合のかみ合わせが弱く、起立片同士が起立し係止した状態を良好に維持することができず、ドロップバック現象の発生や取出し性不良等の不具合が発生することがあった。
【0005】
したがって、本発明は、以上の課題に鑑みてなされたものであり、一対の起立片を底面に有する紙製容器において、起立片同士を起立し係止した状態における、底面からの起立片の高さ及び紙製容器の強度を十分に確保することができ、かつ、起立片同士が起立し係止した状態を良好に維持することができる、高さの高い紙製容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の発明者らは、上記課題に鑑み、鋭意研究を行った。その結果、紙製容器の高さを従来よりも高く設定し、底面に、天面側に押し込むことで係止可能な一対の起立片を、起立する前の状態において、底面の長辺の中心点を通過する短手方向平行線を境界として両側に、点対称の関係となるように、それぞれ離間して設け、さらに、起立片の態様を工夫することにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。具体的には、本発明は、以下のものを提供する。
【0007】
(1)本発明の第1の態様は、ティシュペーパーをポップアップ式に取出し可能に交互に積層してなる積層体を収納可能な略直方体の紙製容器であって、前記紙製容器の高さは50mm以上120mm以下であり、前記紙製容器の天面には、前記ティシュペーパーを通過させて取出すための開口部が設けられており、前記紙製容器の底面には、天面側に押し込むことで係止可能な一対の起立片が、起立する前の状態において、前記底面の長辺の中心点を通過する短手方向平行線を境界として両側に、点対称の関係となるように、それぞれ離間して設けられており、各前記起立片は、起立する前の状態において、略台形領域と、前記略台形領域から長手方向外側に隣接し、短手方向に突起部を有する係止領域と、を組み合わせた形状をそれぞれ有しており、前記略台形領域の下底は、前記底面の短手方向に略平行に設けられた折り目用の罫線で構成され、上底よりも前記底面の長手方向内側に位置し、各前記起立片が起立する前の状態において、前記略台形領域と前記係止領域を組み合わせた領域は、前記罫線とミシン線により囲まれており、前記略台形領域の上底と前記突起部を形成するミシン線の交点である係止点から、前記突起部の先端までの短手方向平行線上の距離は、1.5mm以上5mm以下であり、各前記起立片における係止点同士を結ぶ線が、一対の前記起立片の対称点を通過する、紙製容器である。
【0008】
(2)本発明の第2の態様は、(1)に記載の紙製容器であって、各前記起立片が、起立して互いに係止された状態において、前記底面からの前記起立片の最上部での垂直距離が、前記紙製容器の高さに対して20%以上55%以下であり、かつ、前記底面の長辺の寸法に対して15%以上20%以下であることを特徴とするものである。
【0009】
(3)本発明の第3の態様は、(1)又は(2)に記載の紙製容器であって、各前記起立片が起立する前の状態において、前記罫線から前記係止点までの距離が、それぞれ20mm以上40mm以下であることを特徴とするものである。
【0010】
(4)本発明の第4の態様は、(1)から(3)のいずれかに記載の紙製容器であって、前記略台形領域の下底は、上底よりも長いことを特徴とするものである。
【0011】
(5)本発明の第5の態様は、(1)から(4)のいずれかに記載の紙製容器であって、前記紙製容器に用いる板紙の坪量は300g/m以上500g/m以下であることを特徴とするものである。
【0012】
(6)本発明の第6の態様は、(1)から(5)のいずれかに記載の紙製容器であって、前記ミシン線は、切込部と非切込部が互いに繰り返される構造を有し、前記突起部の先端部は、一つの前記切込部のみで略円弧状に形成され、前記突起部の先端部の両端に隣接して、1mm以上2mm以下の非切込部が配置されており、当該略円弧状の切込部の寸法はその他の切込部の寸法よりも長く、その他の各前記切込部の寸法は2mm以上3mm以下であり、各前記非切込部の寸法は1mm以上2mm以下であることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明において、紙製容器の底面には、天面側に押し込むことで係止可能な一対の起立片が、起立する前の状態において、底面の長辺の中心点を通過する短手方向平行線を境界として両側に、点対称の関係となるように、それぞれ離間して設けられているため、起立片同士を係止させた状態において求める高さを実現するための起立片の長さを十分に確保でき、起立片を起立させた状態における、短手方向の開口面積を小さくすることができるため、紙製容器の強度を十分に確保することができる。
【0014】
また、本発明において、各起立片は、起立する前の状態において、略台形領域と、略台形領域から長手方向外側に隣接し、短手方向に突起部を有する係止領域と、を組み合わせた形状をそれぞれ有しており、略台形領域の上底と突起部を形成するミシン線の交点である係止点から、突起部の先端までの短手方向平行線上の距離は、1.5mm以上5mm以下であり、各起立片における係止点同士を結ぶ線が、一対の起立片の対称点を通過する起立片同士が起立し係止した状態を良好に維持することができる。
【0015】
したがって、本発明によれば、起立片同士を起立し係止した状態における、底面からの起立片の高さ及び紙製容器の強度を十分に確保することができ、かつ、起立片同士が起立し係止した状態を良好に維持することができる、高さの高い紙製容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の紙製容器の斜視図である。
図2】起立する前の一対の起立片の態様を示す本発明の紙製容器の底面図である。
図3】起立する前の一対の起立片の態様を示す本発明の紙製容器の底面図である。
図4】一対の起立片が起立し係止した状態を示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、実施形態)について詳細に説明する。なお、実施形態の説明の全体を通して同じ要素には同じ符号を付する。
【0018】
本発明の紙製容器1は、ティシュペーパーをポップアップ式に取出し可能に交互に積層してなる積層体を収納可能な略直方体の形状を有している。紙製容器1の略直方体の形状は、長辺、短辺、及び高さ方向の辺から構成される。本明細書において、長手方向とは、紙製容器1の長辺に平行な方向を指し、図中Xで表す方向であり、短手方向とは、長手方向に対して直交し、紙製容器1の短辺に平行な方向であり、図中Yで表す方向である。
【0019】
紙製容器1の長辺の寸法は、220mm以上250mm以下であることが好ましく、紙製容器1の短辺の寸法は、110mm以上120mm以下であることが好ましい。紙製容器1の長辺及び短辺の寸法を上記の範囲とすることにより、ティシュペーパーをポップアップ式に取出し可能に交互に積層してなる積層体を収納するのに適した紙製容器1を得ることができる。
また、本発明の紙製容器1の高さは、50mm以上120mm以下であり、75mm以上110mm以下であることが好ましい。紙製容器1の高さを上記の範囲とすることにより、従来のティシュ製品に用いた紙製容器よりも高さの高い紙製容器1を得ることができ、紙製容器1を用いたティシュ製品に高級感を付与することができる。
【0020】
紙製容器1に用いる板紙の材質は、基材として、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)や広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)等の木材パルプや新聞紙や雑誌等の古紙パルプを使用できる。これらのなかでも、加工適性や印刷適性の観点から、木材パルプが好ましい。
また、紙製容器1の十分な強度を確保するために、紙製容器1に用いる板紙の坪量は300g/m以上500g/m以下であることが好ましい。
【0021】
紙製容器1の天面10aにはティシュペーパーを通過させて取出すための開口部11が設けられている。開口部11としては、ミシン目により外周が形成される取出口と、取出口の外側の裏面に貼付され、取出し用のスリットを有する窓貼用フィルムを有する態様を用いることができる(図示しない)。
【0022】
<起立片>
図2及び図3は、起立する前の一対の起立片12の態様を示す本発明の紙製容器1の底面図である。従来のティシュ製品に用いた紙製容器のように、底面の短辺の中心点を通過する長手方向平行線を境界として、両側に各起立片12を配置させると、起立片12同士を係止させた状態において求める高さを実現するための起立片12の長さを十分に確保できない場合や、また、短手方向の開口面積が大きくなることにより、紙製容器1の強度が低下することが懸念されるが、本発明において、紙製容器1の底面10bには、図2及び図3に示すように、天面10a側に押し込むことで係止可能な一対の起立片12が、起立する前の状態において、底面10bの長辺の中心点を通過する短手方向平行線(図中Y-Y線)を境界として両側に、点対称の関係となるように、それぞれ離間して設けられている。このため、従来のティシュ製品に用いた紙製容器と比べて、起立片12同士を係止させた状態において、従来のティシュ製品に用いた紙製容器と比べて、より高い高さを実現するための起立片12の長さを十分に確保でき、起立片12を起立させた状態における、短手方向の開口面積を小さくすることができるため、紙製容器1の強度を十分に確保することができる。なお、一対の起立片12の対称点は、バランスの観点から、短辺の中心点を通過する長手方向平行線と長辺の中心点を通過する短手方向平行線の交点から10mm以内に位置することが好ましい。
【0023】
各起立片12は、図2及び図3に示すように、起立する前の状態において、略台形領域13と、略台形領域13から長手方向外側に隣接し、短手方向に突起部14aを有する係止領域14と、を組み合わせた形状をそれぞれ有している。
また、略台形領域13の下底は、図2及び図3に示すように、底面10bの短手方向に略平行に設けられた折り目用の罫線15で構成され、上底よりも底面10bの長手方向内側に位置し、起立片12が起立する前の状態において、略台形領域13と係止領域14を組み合わせた領域は、罫線15とミシン線16により囲まれている。そして、略台形領域13の上底と突起部14aを形成するミシン線16の交点である係止点14bを有している。なお、略台形領域13の上底は、図中では、Y-Y線となるが、Y-Y線上にミシン線や折り目用の罫線は設けられていない。
【0024】
なお、各起立片12における罫線15と、紙製容器1の長辺の中心点を通過する短手方向平行線と、の離間距離は、一対の起立片12が起立し係止した状態を良好に維持するために、5mm以上15mm以下であることが好ましい。
【0025】
図4は一対の起立片12が起立し係止した状態を示す図面である。各起立片12を、天面10a側に押し込むことでミシン線16を開封し、罫線15を底辺として起立片12を起立させることができる。そして、図4に示すように、起立した起立片12同士を、係止点14bで交差させて係止することができる。そして、係止した後は、係止領域14の突起部14a同士が、起立前の方向に各起立片12が戻ることを防止するため、係止した状態を良好に維持することができる。なお、本明細書において、突起部14aは、図2及び図3において、係止点14bを通過する長手方向平行線とミシン線16で囲まれた部分を指す。
【0026】
ここで、係止領域14の形状は、特に限定されないが、図2に示すように、略平行四辺形状であってもよく、図3に示すように、略台形状であってもよい。また、係止領域14の長手方向の寸法(図2に示した略平行四辺形状や図3に示した略台形状の高さに相当)は、8mm以上20mm以下であることが好ましく、係止領域14の底辺(略台形領域13の上底と重複する辺)に対向する辺の寸法は6mm以上25mm以下であることが好ましい。
【0027】
また、係止点14bから、突起部14aの先端までの短手方向平行線上の距離は、1.5mm以上5mm以下である。係止点14bから、突起部14aの先端までの短手方向平行線上の距離が上記の範囲であることにより、係止する際に突起部同士が干渉し難く、かつ、係止した後において、効果的かつ無駄のない態様で突起部14aが形成され、係止領域14の突起部14a同士が、起立前の方向に各起立片12が戻ることを防止することができる。
【0028】
突起部14aの先端の位置は、特に限定されないが、突起部14a同士のかみ合わせを強くし、係止状態が外れることをより効果的に防ぐために、図3に示すように、略台形領域13における上底の延長線上又はその近傍にあることが好ましく、より具体的には、突起部14aの先端は、略台形領域13の上底の延長線から0mm以上10mm以下の位置にあることが好ましく、5mm以上10mm以下の位置にあることがより好ましい。
【0029】
さらに、一対の起立片12の係止点14b同士を結ぶ線が、一対の起立片12の対称点を通過する。これにより、係止点14b同士を隙間なく適切に合致させることができる。
【0030】
さらに、略台形領域13の下底(罫線15)は、上底よりも長いことが好ましい。これにより起立させた際の重心が低くなり、係止した一対の起立片12の上方に積層されるティシュペーパーが多くなっても、起立片12同士を係止した状態を良好に維持することができる。なお、略台形領域13の下底(罫線15)の寸法は、30mm以上50mm以下であることが好ましく、略台形領域13の上底の寸法は、6mm以上25mm以下であることが好ましい。
【0031】
各起立片12が起立する前の状態において、罫線15から係止点14bまでの距離(略台形領域13の高さ)は、それぞれ20mm以上40mm以下であることが好ましい。これにより、各起立片12が、起立して互いに係止された状態における、求める高さを確保することができる。
【0032】
各起立片12が、起立して互いに係止された状態において、底面10bからの起立片12の最上部での垂直距離が、紙製容器1の高さに対して20%以上55%以下であり、かつ、底面10bの長辺の寸法に対して15%以上20%以下であることが好ましい。これにより、起立片12同士を係止させた状態において求める高さを実現するための起立片12の長さを十分に確保できる。
さらに、各起立片12が、起立して互いに係止された状態を安定して維持できるように、一対の起立片12が起立し係止した状態において、底面10bと起立片12が成す角は45°以上80°以下であることが好ましい。
【0033】
図2及び図3に示すように、ミシン線16は、切込部16aと非切込部16aが互いに繰り返される構造を有し突起部14aの先端部は、一つの切込部16aのみで略円弧状に形成され、突起部14aの先端部の両端に隣接して、1mm以上2mm以下の非切込部16bが配置されており、当該略円弧状の切込部16aの寸法はその他の切込部16aの寸法よりも長く、その他の各切込部16aの寸法は2mm以上3mm以下であり、各非切込部16bの寸法は1mm以上2mm以下であることが好ましい。ミシン線16をこのように調整することにより、使用者はミシン線16を容易に開封することができ、未開封時(例えば輸送時)に意図せずミシン線16が開封されることを防止することができる。特に、突起部14aの先端部は、切込部16aにより略円弧状に形成され、突起部14aの先端部を形成する切込部16aの寸法を他の切込部16aより長くすることにより、開封する際に当該先端部を指先で押すことで、より容易にミシン線16を開封することができる。
【0034】
以上、実施形態を用いて本発明を説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態や実施例に記載の範囲には限定されないことは言うまでもない。上記実施形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。また、そのような変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0035】
1 紙製容器
10a 天面
10b 底面
11 開口部
12 起立片
13 略台形領域
14 係止領域
14a 突起部
14b 係止点
15 罫線
16 ミシン線
16a 切込部
16b 非切込部
図1
図2
図3
図4