(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-02
(45)【発行日】2022-12-12
(54)【発明の名称】通信装置および通信装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
H04W 8/22 20090101AFI20221205BHJP
H04W 40/24 20090101ALI20221205BHJP
H04W 84/12 20090101ALI20221205BHJP
H04W 84/20 20090101ALI20221205BHJP
【FI】
H04W8/22
H04W40/24
H04W84/12
H04W84/20
(21)【出願番号】P 2018070891
(22)【出願日】2018-04-02
【審査請求日】2021-03-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109380
【氏名又は名称】小西 恵
(74)【代理人】
【識別番号】100109036
【氏名又は名称】永岡 重幸
(72)【発明者】
【氏名】坂井 達彦
【審査官】青木 健
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-163523(JP,A)
【文献】特開2014-014153(JP,A)
【文献】特開2017-068743(JP,A)
【文献】特開2016-100691(JP,A)
【文献】特開2018-037978(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W 4/00 - 99/00
H04B 7/24 - 7/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信装置であって、
他の通信装置と通信する通信手段と、
前記他の通信装置が無線ネットワークを構築する構築装置として動作可能か否かを判定する第1判定手段と、
前記第1判定手段によって前記他の通信装置が前記構築装置として動作可能であると判定された場合、前記他の通信装置が前記構築装置として動作する場合の接続可能装置の数が、所定の値以上であるか否かを判定する第2判定手段と、
前記第2判定手段によって前記接続可能装置の数が前記所定の値以上であると判定された場合、前記他の通信装置に、前記構築装置として動作する際に使用する通信パラメータを提供し、前記第1判定手段によって前記他の通信装置が前記構築装置として動作可能でないと判定された場合、または、前記第2判定手段によって前記接続可能装置の数が前記所定の値未満であると判定された場合、前記他の通信装置に、前記構築装置により構築された無線ネットワークに参加する参加装置として動作する際に使用する通信パラメータを提供する提供手段と、
を有することを特徴とする通信装置。
【請求項2】
前記第2判定手段によって前記接続可能装置の数が前記所定の値以上であると判定された場合、前記構築装置として動作する指示を前記他の通信装置に送信する送信手段をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記所定の値は、所定の条件の下で前記無線ネットワークに参加できる装置数に基づいて決められた値である
ことを特徴とする請求項1または2に記載の通信装置。
【請求項4】
前記所定の値は、前記通信装置が有するアプリケーションに基づいて決められ
た値であることを特徴とする請求項1または2に記載の通信装置。
【請求項5】
ユーザが操作できる入力手段をさらに
有し、
前記所定の値は、ユーザが前記入力手段を介して入力した値に基づいて決められる
ことを特徴とする請求項1または2に記載の通信装置。
【請求項6】
前記所定の値は、前記無線ネットワークに参加できる最大装置数から1を引いた値である
ことを特徴とする請求項1または2に記載の通信装置。
【請求項7】
前記無線ネットワークは
IEEE802.11規格に準拠した無線LANネットワークである
ことを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項8】
前記通信装置および前記他の通信装置は、通信機能を有する撮像装置である
ことを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項9】
前記送信手段は、前記他の通信装置が前記無線ネットワークにおいて
前記構築装置として動作するか
前記参加装置として動作するかの情報を、前記他の通信装置に送信する
ことを特徴とする請求項
2に記載の通信装置。
【請求項10】
前記送信手段は、Device Provisioning Protocolに基づいて前記他の通信装置に前記無線ネットワークの形成に必要な通信パラメータを送信する
ことを特徴とする請求項
2に記載の通信装置。
【請求項11】
前記
通信装置が自装置を前記
構築装置として動作する通信装置として決定した場合に、前記
提供手段が前記通信パラメータを送信した通信装置の数よりも自装置の
接続可能
装置の数が小さければ、エラー情報
と警告情報
との少なくとも一方を出力する出力手段をさらに
有することを特徴とする請求項
1~10のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項12】
前記他の通信装置が前記構築装置として動作可能か否かを示す情報と、前記他の通信装置が前記構築装置として動作する場合の接続可能装置の数を示す情報とを含む信号を前記他の通信装置から受信する受信手段をさらに有し、
前記第1判定手段は、前記他の通信装置が前記構築装置として動作可能か否かを示す情報を基に判定を行い、
前記第2判定手段は、前記他の通信装置が前記構築装置として動作する場合の接続可能装置の数を示す情報を基に判定を行うことを特徴とする請求項1~11のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項13】
他の通信装置と通信する通信手段を有する通信装置の制御方法であって、
前記他の通信装置が無線ネットワークを構築する構築装置として動作可能か否かを判定する第1判定ステップと、
前記第1判定ステップにおいて前記他の通信装置が前記構築装置として動作可能であると判定された場合、前記他の通信装置が構築装置として動作する場合の接続可能装置の数が、所定の値以上であるか否かを判定する第2判定ステップと、
前記第2判定ステップにおいて前記接続可能装置の数が前記所定の値以上であると判定された場合、前記他の通信装置に、構築装置として動作する際に使用する通信パラメータを提供し、前記第1判定ステップにおいて前記他の通信装置が前記構築装置として動作可能でないと判定された場合、または、前記第2判定ステップにおいて前記接続可能装置の数が前記所定の値未満であると判定された場合、前記他の通信装置に、前記構築装置により構築された無線ネットワークに参加する参加装置として動作する際に使用する通信パラメータを提供する提供ステップと、
を有することを特徴とする制御方法。
【請求項14】
コンピュータが読み取り実行することで、前記コンピュータを、請求項1~
12のいずれか1項に記載の通信装置
として機能させるためのコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信装置および通信装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の機器の間で無線LANネットワークを形成し、当該複数の機器が無線LAN通信を介して連動することで実現されるユースケースがある。例えば、複数のカメラの間で無線LANネットワークを形成して各カメラが連動撮影を行うユースケースがある。このユースケースでは、ユーザがいずれか一台のカメラをマスター機器として指定し、マスター機器のシャッターを切る動作(レリーズ)に連動して他のカメラを無線でレリーズすることができる。
また、特許文献1に開示されているように、近年Device Provisioning Protocol(以下、「DPP」と称する)というネットワーク形成スキームが用いられている。DPPを利用することで、無線LANネットワークを形成する機器のいずれか一台がConfigurator(DPP設定機器)となり、他の機器がEnrollee(DPP参加機器)となる。そして、DPP設定機器とDPP参加機器が無線パラメータを共有する。各機器は共有した無線パラメータに基づいて容易かつ安全に無線LANネットワークを形成することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許出願公開公報2017/0295448号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のユースケースにおいては、例えばマスター機器が無線LANアクセスポイントとして動作し、他の機器が無線LAN端末として動作し、当該他の機器がマスター機器へ接続することで無線LANネットワークを形成することができる。更に、DPPを利用することで、各機器の間で容易かつ安全に無線LANネットワークを形成することができる。
しかしながら、各機器は搭載する無線LANチップの性能等の理由により、無線LANアクセスポイントになった際に接続可能な無線LAN端末の台数(以下、「最大接続可能台数」と称する)が異なっている場合がある。この場合、もし無線LANネットワークを形成する機器の中で最大接続可能台数が少ないデバイスを無線LANアクセスポイントにしてしまうと、ネットワークの使い勝手が低下する場合がある。
【0005】
例えば、最大接続可能台数が10台のカメラ6台と、最大接続可能台数が5台のカメラ1台の計7台の間で連動撮影用のネットワークを形成する場合を考える。この場合、最大接続可能台数が5台のカメラが無線LANアクセスポイントになると、他の6台のカメラの中の1台がネットワークに接続することができない。よって、所望のカメラ間での連動撮影が実施できず、ネットワークの使い勝手が低下する。
そこで、本発明は、複数の機器により無線ネットワークを形成する際に、適切な機器を無線ネットワークの親局として動作させることができる通信装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の1つの態様による通信装置は、他の通信装置と通信する通信手段と、前記他の通信装置が無線ネットワークを構築する構築装置として動作可能か否かを判定する第1判定手段と、前記第1判定手段によって前記他の通信装置が前記構築装置として動作可能であると判定された場合、前記他の通信装置が前記構築装置として動作する場合の接続可能装置の数が、所定の値以上であるか否かを判定する第2判定手段と、前記第2判定手段によって前記接続可能装置の数が前記所定の値以上であると判定された場合、前記他の通信装置に、前記構築装置として動作する際に使用する通信パラメータを提供し、前記第1判定手段によって前記他の通信装置が前記構築装置として動作可能でないと判定された場合、または、前記第2判定手段によって前記接続可能装置の数が前記所定の値未満であると判定された場合、前記他の通信装置に、前記構築装置により構築された無線ネットワークに参加する参加装置として動作する際に使用する通信パラメータを提供する提供手段と、を有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、複数の機器により無線ネットワークを形成する際に、適切な機器を、無線ネットワークの親局として動作させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施形態の通信装置のハードウェアブロック図。
【
図2】実施形態の通信装置のソフトウェア機能ブロック図。
【
図3】実施形態が適用されるネットワーク構成の一例を示す図。
【
図4】実施形態における無線LANネットワーク形成処理のフロー図。
【
図5】実施形態における無線パラメータ提供処理のフロー図。
【
図6】実施形態におけるデジタルカメラ間の動作シーケンス図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態に係る通信装置について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の実施形態は本発明を限定するものではなく、また、本実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが本発明の解決手段に必須のものとは限らない。実施形態の構成は、本発明が適用される装置の仕様や各種条件(使用条件、使用環境等)によって適宜修正又は変更され得る。本発明の技術的範囲は、特許請求の範囲によって確定されるのであって、以下の個別の実施形態によって限定されない。以下の実施形態では、通信装置の一例として、通信機能を有する撮像装置(デジタルカメラ)を説明する。
【0010】
(デジタルカメラの構成)
図1は本実施形態のデジタルカメラ101のハードウェア構成を示すブロック図である。デジタルカメラ101は、ネットワークを形成する際に、アクセスポイントとして動作することもできるし、端末装置として動作することもできる。デジタルカメラ101は、制御部102、記憶部103、無線通信部104、アンテナ制御部105、アンテナ106、表示部107、入力部108、撮像部109および電源部110を有する。尚、本実施形態におけるアクセスポイントは、無線ネットワークにおける親局の一例であり、端末装置は無線ネットワークにおける子局の一例である。無線ネットワークにおける親局は当該無線ネットワークを構築する機能を備える装置であればよく、無線LANにおけるアクセスポイントに限定されない。同様に、無線ネットワークにおける子局は、親局によって構築された無線ネットワークに参加する機能を備える装置であればよく、無線LANにおける端末装置に限定されない。
制御部102は、例えば、1つまたは複数のCPUやMPUにより構成され、デジタルカメラ101の各部103~110の動作を制御する。制御部102は、記憶部103に記憶される制御プログラムを実行することによりデジタルカメラ101を制御する。制御部102は、他の通信装置との間で通信パラメータの設定制御も行う。
記憶部103は、HDD、ROM、RAM、ICメモリカード等により構成され、制御部102が実行する制御プログラムと、通信パラメータ(ネットワーク形成時に使用する無線LANパラメータを含む)等の各種情報を記憶する。後述する各種動作は、記憶部103に記憶された制御プログラムを制御部102が実行することにより行われる。記憶部103は、データ送受信情報、画像データなども記憶する。記憶部103は、アプリケーションプログラムやオペレーティングシステムも記憶する。
【0011】
無線通信部104は、IEEE802.11規格に準拠した無線LAN等の無線通信を行う。無線通信には、近距離無線通信、例えばBluetooth(登録商標)やNearFieldCommunication(NFC)なども含まれる。
アンテナ制御部105は、本実施形態では無線LANアンテナ制御部である。アンテナ106は、無線LAN通信を行う際に使用する無線LANアンテナである。
表示部107は、LCD(液晶ディスプレイ)やLED(発光ダイオード)からなり、各種データ、数値、文字および画像等の表示を行う。つまり、表示部107は、視覚で認知可能な画像等(以下、「視覚情報」と称する)の出力を行う機能を有する。また、表示部107は、スピーカなどを有し、音による出力を行う機能を有してもよいし、発光部を有し、光による出力を行う機能を有してもよい。なお、表示部107は視覚情報を出力する機能を備えず、音(あるいは光)による出力を行う機能のみを有してもよい。
【0012】
入力部108は、ボタン、スイッチ、タッチパネル等からなり、ユーザは入力部108を介して各種入力等を行う。ユーザは、デジタルカメラ101を操作する際に、入力部108を使用する。例えば、ユーザは、入力部108を操作して、デジタルカメラ101をDPP設定機器として起動することができる。また、ユーザは、入力部108を操作して参加締切指示(後述する)をデジタルカメラ101に入力することができる。入力部108は、操作部と称することもできる。
撮像部109は、撮像素子やレンズ等により構成され、静止画(写真)や動画の撮像を行う。
電源部110は、例えば、バッテリであり、デジタルカメラ101全体を動作させるための電源を保持し、各ハードウェアに電力を供給する。
【0013】
なお、デジタルカメラ101は、少なくとも
図1に示す構成を備えていればよく、その他のハードウェア要素や機能部を備えていてもよい。また、
図1に示した各部の構成は一例であり、複数の部が1つの部を構成するようにしてもよいし、いずれかの部が複数の機能を行う部に分かれてもよい。
図1に示す制御部102、無線通信部104およびアンテナ制御部105の一部または全部は、ソフトウェア又はハードウェアによって実現され得る。例えば、無線通信部104がソフトウェアによって実現される場合、無線通信部104の機能を提供するためのプログラムがROM等のメモリに記憶される。記憶されたプログラムは適宜RAMに読み出され、制御部102を構成するCPUが実行することにより、無線通信部104の機能が実現される。一方、ハードウェアにより実現される場合、例えば、所定のコンパイラを用いることで、各機能モジュールの機能を実現するためのプログラムからFPGA上に自動的に専用回路を生成すればよい。FPGAとは、Field Programmable Gate Arrayの略である。また、FPGAと同様にしてGate Array回路を形成し、ハードウェアとして実現するようにしてもよい。また、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)により実現するようにしてもよい。
【0014】
(通信制御に関わるソフトウェア機能構成)
図2は、デジタルカメラ101のソフトウェア機能のうち、後述の通信制御機能を実行するソフトウェア機能を示すブロック図である。
デジタルカメラ101は、無線LANパケット受信部202、無線LANパケット送信部203、データ記憶部204、無線パラメータ提供処理部205、無線パラメータ受信処理部206および無線LAN接続処理部207を有する。
無線LANパケット受信部202および無線LANパケット送信部203は、他の機器(他の通信装置)との間でIEEE802.11規格に準拠した無線LAN通信を実施する。
データ記憶部204は、ソフトウェア、無線LANパラメータ、認証情報、接続台数(後述する)などのデータや情報を記憶部103に記憶させる。記憶部103に記憶された情報(例えば、接続台数)は、表示部107に表示することができる。無線LANパラメータは、以下、「無線パラメータ」と称する。
【0015】
無線パラメータ提供処理部205は、DPP設定機器としての処理を実施し、無線LANネットワークの構築や接続に必要な無線パラメータを他の機器へ提供する処理を実施する。無線パラメータには、例えば、ネットワーク名(SSID)、暗号方式、暗号鍵等の情報が含まれる。SSIDはService Set IDentifierの略である。
また、本実施形態では、無線パラメータ提供処理部205は、無線LANネットワークにおける各機器の役割を示す情報、すなわち、各機器が無線LANアクセスポイントとなるのか、あるいは無線LAN端末となるのかを示す情報を提供する処理を実施する。
後述の無線パラメータ提供処理(
図5)は、無線パラメータ提供処理部205により実施される。
無線パラメータ受信処理部206は、DPP設定機器から提供される無線LANネットワークの構築や接続に必要な無線パラメータや各機器の役割を示す情報を受信し、記憶部103(
図1)へ記憶する処理を実施する。
無線LAN接続処理部207は、記憶部103に記憶された無線パラメータに基づいて無線LANネットワークの構築処理または無線LANネットワークへの接続処理を実施する。
【0016】
(無線LANネットワークの構成)
図3は、デジタルカメラ301、302、303、304および無線LANネットワーク305を示している。無線LANネットワーク305は、デジタルカメラ302が構築して管理するネットワークである。デジタルカメラ301から見た場合、デジタルカメラ301は、複数の他の通信装置であるデジタルカメラ302~304と共に無線LANネットワーク305を形成する。
本実施形態において、デジタルカメラ301、302、303、304は、
図1および
図2の構成を有しており、DPPを用いて無線LANネットワーク305を形成する。
また、本実施形態においてデジタルカメラ301の最大接続可能台数(最大接続可能装置数)は1台であり、デジタルカメラ302、303、304の最大接続可能台数は3台であるとする。各デジタルカメラにおいて自装置の最大接続可能台数の情報は記憶部103に記憶されているものとする。本実施形態では、4台のデジタルカメラ301~304が連動してレリーズできる(連動撮影ができる)ネットワークを形成するとする。
【0017】
本実施形態において無線LANネットワーク305の最大参加台数は4台であり、最大参加台数の情報は各デジタルカメラの記憶部103に予め記憶されているものとする。最大参加台数は、例えば、無線LANネットワーク305で実施されるサービスにより決められる。つまり、最大参加台数は、デジタルカメラが有するアプリケーションに基づいて決められる。あるいは、最大参加台数は、入力部108を介してユーザから入力された情報により定められてもよい。本実施形態では、4台のデジタルカメラ301~304が連動してレリーズできるネットワークを形成するので、最大参加台数は4台である。最大参加台数は、所定の条件の下でネットワーク305に参加できる最大装置数である。
デジタルカメラ301はユーザ操作によりDPP設定機器として起動し、後述の無線パラメータ提供処理によりデジタルカメラ302を無線LANアクセスポイントに決定して無線パラメータを他のデジタルカメラへ配布する。また、デジタルカメラ302は受信した無線パラメータに基づいて無線LANネットワーク305を構築し、他のデジタルカメラ301、303、304は構築された無線LANネットワーク305へ参加する。
なお、デジタルカメラ301が配布する無線パラメータは無線LANネットワーク305を形成する際にデジタルカメラ301が生成してもよいし、予め記憶部103に記憶されていてもよい。
【0018】
(無線LANネットワークの形成処理)
図4は、本実施形態のデジタルカメラ301において実施される無線LANネットワーク形成処理のフローチャートを示している。
図4のフローチャートは、デジタルカメラ301がユーザ操作によりDPP設定機器として起動されると、無線パラメータ提供処理部205により開始される。また
図4のフローチャートは、制御部102が記憶部103に記憶されたコンピュータプログラムを読み出して実行することにより行われる。SはStepの略である。
S401において、デジタルカメラ301は無線パラメータ提供処理を実施し、DPP参加機器(デジタルカメラ302~304)へ無線パラメータを提供する。無線パラメータ提供処理は、
図5を用いて後述する。
S402において、デジタルカメラ301はユーザ操作により参加締切指示を受けたか否かを判定する。ユーザは、例えば、デジタルカメラ301の表示部107に表示されたパラメータ提供台数(
図5のS508)を見て、表示されたパラメータ提供台数が3であれば参加締切指示を入力する。デジタルカメラ301が参加締切指示を受けていない場合は、S401へ戻り、DPP参加機器(デジタルカメラ302~304)へ無線パラメータを提供する。
【0019】
デジタルカメラ301が参加締切指示を受けた場合(S402:Yes)、S403に進む。
S403において、デジタルカメラ301は、DPP設定機器として起動してから参加締切指示を受けるまでに一台以上のDPP参加機器(デジタルカメラ)へ無線パラメータを提供したか否かを判定する。
デジタルカメラ301が一台のDPP参加機器にも無線パラメータを提供していない場合(S403:No)、S404に進む。
S404において、デジタルカメラ301はネットワーク形成不可能として処理エラーをユーザへ通知して、処理を終了する。ユーザへの通知は、例えば、表示部107にエラーメッセージを表示させることにより行う。
デジタルカメラ301が一台以上のDPP参加機器へ無線パラメータを提供した場合(S403:Yes)、S405に進む。
S405において、デジタルカメラ301は、無線パラメータ提供処理において無線LANアクセスポイントとなるデジタルカメラが決定されているか否かを判定する。アクセスポイントは
図4において「AP」と記載されている。
【0020】
無線LANアクセスポイントとなるデジタルカメラが決定していた場合(S405:Yes)、S406に進む。
S406において、デジタルカメラ301は、配布した無線パラメータに基づいて他の機器(本実施形態ではデジタルカメラ302)が構築した無線LANネットワーク305へ参加する。
無線LANアクセスポイントとなるデジタルカメラが決定していなかった場合(S405:No)、S407へ進む。
S407において、デジタルカメラ301は、自装置をアクセスポイントとして起動し、配布した無線パラメータに基づいて無線LANネットワーク305を構築する。
なお、S407において、無線パラメータを提供した台数が自装置の最大接続可能台数よりも多い場合には、所望のネットワークが形成できないことを理由に処理をエラー終了してもよい。また、S407において、無線パラメータを提供した台数が自装置の最大接続可能台数よりも多い場合には、ユーザに所望のネットワークが形成できない旨を通知してもよい。この場合、例えば、無線パラメータ提供処理部205は、表示部107にエラー情報および警告情報の少なくとも一方を出力し、表示部107は当該エラー情報および警告情報を文字、画像、光、音声等により出力する。
【0021】
(無線パラメータ提供処理)
図5は、
図4のS401(無線パラメータ提供処理)の詳細を示すフローチャートである。
S501において、デジタルカメラ301はDPPの認証を行うためのメッセージ(DPP認証要求メッセージ)をブロードキャスト送信する。なお、予め記憶部103に登録されたデジタルカメラに対して認証要求メッセージをユニキャスト送信またはマルチキャスト送信してもよい。
DPP認証要求メッセージを送信後、デジタルカメラ301はDPP参加機器からのDPP認証応答メッセージを待ち受ける。つまり、S502において、デジタルカメラ301は、DPP参加機器からDPP認証応答メッセージを受信したかを判定する。デジタルカメラ301がDPP認証応答メッセージを受信した場合、S503に進む。
S503において、デジタルカメラ301はDPP認証応答メッセージに基づく認証処理を実施し、DPP認証確認メッセージをDPP認証応答メッセージの送信機器へ送信する。なお、デジタルカメラ301はDPP認証応答メッセージに基づく認証処理に失敗した場合には、DPP認証確認メッセージにエラー情報を含めて、DPP認証応答メッセージの送信機器へDPP認証確認メッセージを送信してもよい。
【0022】
DPP認証確認メッセージを送信後、デジタルカメラ301は認証処理を実施したDPP参加機器からのDPP設定要求メッセージを待ち受ける。つまり、S504において、デジタルカメラ301は、DPP参加機器からDPP設定要求メッセージを受信したかを判定する。デジタルカメラ301がDPP設定要求メッセージを受信しない場合、S504を繰り返す。DPP設定要求メッセージを受信した場合、S505に進む。
S505において、デジタルカメラ301は、無線パラメータを提供した台数がネットワーク305の最大参加台数から自装置の分を除いた値に達しているか否かを判定する。つまり、デジタルカメラ301は、無線パラメータを提供した台数が最大参加台数-1であるかを判定する。本実施形態において最大参加台数は4台であり、自装置の分を除いた値は3台となる。デジタルカメラ301が無線パラメータを提供した台数は、表示部107に表示される。S505の判定結果がYesの場合、デジタルカメラ301は無線パラメータ提供処理を終了する。S505の判定結果がNoの場合、S506に進む。
【0023】
S506において、デジタルカメラ301は自装置の最大接続可能台数が最大参加台数から無線LANアクセスポイント分を除いた値より小さいか否かを判定する。つまり、デジタルカメラ301は、デジタルカメラ301の最大接続可能台数が最大参加台数-1未満であるかを判定する。本実施形態においてデジタルカメラ301の最大接続可能台数は1台であり、最大参加台数から無線LANアクセスポイント分を除いた値は3台となる。最大参加台数-1の値は、所定の条件の下でネットワーク305に参加できる装置数に基づいて決められた値である。S506の判定結果がYesの場合、S509に進む。S506の判定結果がNoの場合、S507に進む。
S507において、デジタルカメラ301は無線パラメータを含むDPP設定応答メッセージをDPP参加機器へ送信する。DPP設定応答メッセージを送信後、デジタルカメラ301は無線パラメータ提供台数をカウントアップして処理を終了する(S508)。
【0024】
S509において、デジタルカメラ301はDPP設定要求メッセージを送信した機器が無線LANアクセスポイントとして動作可能か否かを判定する。DPP設定要求メッセージを送信した機器が無線LANアクセスポイントとして動作可能か否かは、DPP設定要求メッセージ中の情報に基づいて判定することができる。S509の判定結果がYesの場合、S510に進む。
S509の判定結果がNoの場合、S507に進む。つまり、DPP設定要求メッセージを送信した機器が無線LANアクセスポイントとして動作不可能な場合、デジタルカメラ301は無線パラメータを含むDPP設定応答メッセージをDPP参加機器へ送信する(S507)。そして、デジタルカメラ301は無線パラメータ提供台数をカウントアップして処理を終了する(S508)。
【0025】
S510において、デジタルカメラ301は無線LANアクセスポイントとなる機器が決定されているか否かを判定する。S510の判定結果がNoの場合、S511に進む。S510の判定結果がYesの場合、S507に進む。
S511において、デジタルカメラ301はDPP設定要求メッセージを送信したDPP参加機器の最大接続可能台数を確認する。つまり、デジタルカメラ301はDPP設定要求メッセージを送信したDPP参加機器の最大接続可能台数が最大参加台数から無線LANアクセスポイント分を除いた値以上か否かを判定する。DPP設定要求メッセージを送信したDPP参加機器の最大接続可能台数の情報は、デジタルカメラ301が受信したDPP設定要求メッセージに含まれている。S511の判定結果がNoの場合、S507に進む。S511の判定結果がYesの場合、S512に進む。
【0026】
S512において、デジタルカメラ301はDPP設定要求メッセージを送信したDPP参加機器を無線LANアクセスポイントに決定する。
S512の後、S507に進み、デジタルカメラ301は、無線パラメータを含むDPP設定応答メッセージをDPP参加機器へ送信する。この無線パラメータには、無線LANアクセスポイントとなることを指示する情報が含まれている。そして、デジタルカメラ301は無線パラメータ提供台数をカウントアップして処理を終了する(S508)。
図5のフローチャートが終了すると、
図4のS402に進むが、
図5のS505の提供台数が3になるまでは、参加締切指示は無い(S402:No)ので、
図5のフローチャートはデジタルカメラ302~304に対して実行されることになる。本実施形態では、
図5のフローチャートをデジタルカメラ301がデジタルカメラ302~304に対して実行することにより、デジタルカメラ302がアクセスポイントとなり、デジタルカメラ301、303、304が端末となるネットワークが形成される。
【0027】
(デジタルカメラ間で実施されるDPP処理)
図6は、デジタルカメラ301、302、303および304の間で実施されるDPP処理動作のシーケンスを示している。
デジタルカメラ301はユーザ操作によりDPP設定機器として起動され(F601)、
図4の無線LANネットワーク形成処理を開始する。
デジタルカメラ302は、ユーザ操作によりDPP参加機器として起動される(F602)。
【0028】
デジタルカメラ301は、デジタルカメラ302との間でDPPによる無線パラメータ設定処理を実施する(F603~F608)。具体的には、F603において、デジタルカメラ301がデジタルカメラ302にDPP認証要求メッセージを送り、F604において、デジタルカメラ302がデジタルカメラ301にDPP認証応答メッセージを送る。また、F605において、デジタルカメラ301がデジタルカメラ302にDPP認証確認メッセージを送り、F606において、デジタルカメラ302がデジタルカメラ301にDPP設定要求メッセージを送る。その後、デジタルカメラ301は
図5の無線パラメータ提供処理を実施し、デジタルカメラ302を無線LANアクセスポイントとして決定する(F607、
図5のS512)。そして、F608において、デジタルカメラ301は、デジタルカメラ302にDPP設定応答メッセージを送る。
F609において、デジタルカメラ302は、受信したDPP設定応答メッセージに含まれる無線パラメータに基づき自装置がアクセスポイントとなってネットワーク305を構築する。
【0029】
F610において、デジタルカメラ303は、ユーザ操作によりDPP参加機器として起動される。
その後、デジタルカメラ301は、デジタルカメラ303との間でDPPによる無線パラメータ設定処理を実施する(F611~F615)。具体的には、F611において、デジタルカメラ301がデジタルカメラ303にDPP認証要求メッセージを送り、F612において、デジタルカメラ303がデジタルカメラ301にDPP認証応答メッセージを送る。また、F613において、デジタルカメラ301がデジタルカメラ303にDPP認証確認メッセージを送り、F614において、デジタルカメラ303がデジタルカメラ301にDPP設定要求メッセージを送る。そして、F615において、デジタルカメラ301は、デジタルカメラ303にDPP設定応答メッセージを送る(
図5のS510がYesで、S507に進む)。
F616において、デジタルカメラ303は、受信したDPP設定応答メッセージに含まれる無線パラメータに基づきデジタルカメラ302が構築したネットワーク305へ接続する。
【0030】
F617において、デジタルカメラ304は、ユーザ操作によりDPP参加機器として起動される。
その後、デジタルカメラ301は、デジタルカメラ304との間でDPPによる無線パラメータ設定処理を実施する(F618~F622)。具体的には、F618において、デジタルカメラ301がデジタルカメラ304にDPP認証要求メッセージを送り、F619において、デジタルカメラ304がデジタルカメラ301にDPP認証応答メッセージを送る。また、F620において、デジタルカメラ301がデジタルカメラ304にDPP認証確認メッセージを送り、F621において、デジタルカメラ304がデジタルカメラ301にDPP設定要求メッセージを送る。そして、F622において、デジタルカメラ301は、デジタルカメラ304にDPP設定応答メッセージを送る(
図5のS510がYesで、S507に進む)。
【0031】
F623において、デジタルカメラ304は受信したDPP設定応答メッセージに含まれる無線パラメータに基づきデジタルカメラ302が構築したネットワーク305へ接続する。
デジタルカメラ301は、F624において、ユーザより参加締切指示を受けると、F625において、デジタルカメラ302が構築したネットワーク305へ接続して無線LANネットワーク形成処理を終了する。
【0032】
(実施形態の効果)
以上のように、本実施形態によれば、DPP設定機器であるデジタルカメラ301は、自装置の最大接続可能台数がネットワーク最大参加台数-1未満である場合、他のDPP参加機器(デジタルカメラ302)を無線LANアクセスポイントとして決定している。そして、ネットワーク305は、デジタルカメラ302により構築されるようにしている。つまり、本実施形態のデジタルカメラ301は、ネットワークを形成する際に、適切な機器をアクセスポイントに設定することができる。デジタルカメラ302をアクセスポイントに設定することにより、デジタルカメラ301、303および304がネットワーク305に接続することができるので、デジタルカメラ301をアクセスポイントにした場合に比べ、ユーザの利便性が向上する。
このように、本実施形態によれば、自動的に適切な機器が無線LANネットワークのアクセスポイントとなるようにDPP設定機器から他の機器へ無線パラメータを提供している。
なお、デジタルカメラ301の最大接続可能台数が3台以上であれば、
図5のS506の判定結果がNoになるので、S407においてデジタルカメラ301がアクセスポイントに決定される。つまり、デジタルカメラ301の最大接続可能台数が最大参加台数-1以上であれば、デジタルカメラ301は自装置をアクセスポイントとして決定する。この場合、デジタルカメラ302~304は、デジタルカメラ301が構築するネットワークに参加する。
【0033】
(変形例)
上記した実施形態では、S506において、デジタルカメラ301の最大接続可能台数が最大参加台数-1以上であれば、デジタルカメラ301をアクセスポイントとするが、本発明はこのような実施形態に限定されない。例えば、デジタルカメラ301は、他のデジタルカメラ302~304の各々の最大接続可能台数を取得し、デジタルカメラ301~304のうち、所定の値以上の最大接続可能台数を有する1つのデジタルカメラをアクセスポイントとして決定してもよい。
上記した実施形態では通信装置の一例としてデジタルカメラを説明したが、通信装置の他の例としては、プリンタ、プロジェクタ、タブレット端末、スマートフォン等の通信機能を有する装置が挙げられる。このような通信装置についても、本実施形態を適用することができる。
また、上記した実施形態ではネットワークに参加できる最大参加台数を4台としたが、最大参加台数は3台以下でもよいし、5台以上でもよい。例えば、複数のデジタルカメラが画像共有できるネットワークを形成する場合には、最大参加台数を10台にしてもよい。
上記した実施形態ではWi-Fi Allianceにおいて規定された規格であるDPPを利用したが、DPP以外のネットワーク形成スキームを利用する場合にも本実施形態を適用することができる。また、上記した実施形態ではIEEE802.11シリーズ規格に準拠した無線LANネットワークを形成する場合を説明したが、他の無線ネットワークを形成する場合にも本実施形態を適用することができる。
【0034】
(その他の実施形態)
上記した実施形態では、通信装置を説明したが、本発明はその他の形態でも具現化(実現)することができる。例えば、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
プログラムコードを供給するための記憶媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、CD-R、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM、DVDなどを用いることができる。
さらに、記憶媒体から読み出されたプログラムコードを、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込んでもよい。そして、そのプログラムコードの指示に基づき、機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUが実際の処理の一部または全部を行い、前述の機能を実現してもよい。
【符号の説明】
【0035】
101…デジタルカメラ、102…制御部、104…無線通信部、205…無線パラメータ提供処理部、301~304…ネットワークを構成するデジタルカメラ、305…無線LANネットワーク