(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-02
(45)【発行日】2022-12-12
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 21/16 20060101AFI20221205BHJP
G03G 15/20 20060101ALI20221205BHJP
【FI】
G03G21/16 161
G03G21/16 185
G03G15/20
(21)【出願番号】P 2018080814
(22)【出願日】2018-04-19
【審査請求日】2021-04-15
(31)【優先権主張番号】P 2017098945
(32)【優先日】2017-05-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000718
【氏名又は名称】弁理士法人中川国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山野 浩之
(72)【発明者】
【氏名】長崎 剛
(72)【発明者】
【氏名】村▲崎▼ 聡
【審査官】山下 清隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-075752(JP,A)
【文献】特開2001-166667(JP,A)
【文献】特開平11-073010(JP,A)
【文献】特開2006-084958(JP,A)
【文献】特開平08-016069(JP,A)
【文献】特開2006-301194(JP,A)
【文献】特開2012-242501(JP,A)
【文献】米国特許第05794103(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/16
G03G 15/20
G03G 15/00-15/02
G03G 21/00
G03G 21/18
G03G 15/08
G03G 15/16
B41J 29/00-29/70
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体と、前記装置本体に対して着脱可能なユニットと、を有し、記録材に画像を形成する画像形成装置において、
前記装置本体は、前記ユニットを位置決めするための位置決め部を有し、
前記ユニットは、前記位置決め部に嵌合する被位置決め部と、前記ユニットを前記装置本体から取り出す時にユーザが把持するための把手部と、を有し、
前記装置本体は更に、前記装置本体に対するユニット装着方向において前記位置決め部の直前に設けられており、前記位置決め部に前記被位置決め部を案内する一直線状の斜面、を有し、
前記斜面は、前記ユニット装着方向とは逆のユニット引き出し方向に向かって、水平面よりも鉛直方向において上方に延びる面であり、
前記ユニット装着方向において前記斜面の直前に、前記被位置決め部を前記斜面に案内する水平面が設けられており、
前記被位置決め部は、前記ユニット装着方向に対して垂直な前記ユニットの長手方向に平行な軸を有するピン形状であり、
前記被位置決め部
の円形状の外周面が前記位置決め部に向かって前記斜面に接触しながら移動し前記位置決め部で位置決めされるまでの領域に、前記斜面の傾斜よりも鉛直方向下側に大きく傾斜する面はなく、前記位置決め部の一部は前記斜面の一部で形成されており、
前記把手部は、形状が環状であり、前記把手部の環で形成される面が前記ユニットの前記長手方向と交差するように前記ユニットの長手方向の両端部に各々設けられており、
前記把手部には、ユーザが前記ユニットを前記装置本体から引き出す時に、ユーザによる引き出し方向への力を受ける
直線状の把手面が設けられており、
前記把手面と前記斜面の成す角度が略90°又はそれ以上であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記把手面と前記斜面の成す角度は85°以上120°以下であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記把手面は、前記斜面の延長上に設けられていることを特徴とする請求項1
又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記把手面は、前記斜面の延長上から外れた位置に設けられていることを特徴とする請求項1
又は2に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記ユニットは、記録材に形成された画像を記録材に定着する定着ユニットであることを特徴とする請求項1乃至
4いずれか一項に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ等の画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、定着ユニットが着脱可能な画像形成装置が記載されている。ユーザにより定着ユニットを交換できる構成である。定着ユニットは、定着ユニットの位置決めピンを本体フレームの位置決め溝の凹部内に嵌め込んで位置決めされる。定着ユニットには、定着ユニットを把持するためのグリップ部が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本体フレームから定着ユニットを取り出す時、ユーザがグリップ部を把持し、定着ユニットを引き出す構成になっている。しかしながら、位置決めピンと本体フレームとの摩擦が大きい場合、定着ユニットを引き出す時に大きな力を要する。
【0005】
本発明は前記課題を解決するものであり、その目的とするところは、画像形成装置本体から着脱ユニットを引き出し易い画像形成装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の課題を解決するための本発明は、装置本体と、前記装置本体に対して着脱可能なユニットと、を有し、記録材に画像を形成する画像形成装置において、前記装置本体は、前記ユニットを位置決めするための位置決め部を有し、前記ユニットは、前記位置決め部に嵌合する被位置決め部と、前記ユニットを前記装置本体から取り出す時にユーザが把持するための把手部と、を有し、前記装置本体は更に、前記装置本体に対するユニット装着方向において前記位置決め部の直前に設けられており、前記位置決め部に前記被位置決め部を案内する一直線状の斜面、を有し、前記斜面は、前記ユニット装着方向とは逆のユニット引き出し方向に向かって、水平面よりも鉛直方向において上方に延びる面であり、前記ユニット装着方向において前記斜面の直前に、前記被位置決め部を前記斜面に案内する水平面が設けられており、前記被位置決め部は、前記ユニット装着方向に対して垂直な前記ユニットの長手方向に平行な軸を有するピン形状であり、前記被位置決め部の円形状の外周面が前記位置決め部に向かって前記斜面に接触しながら移動し前記位置決め部で位置決めされるまでの領域に、前記斜面の傾斜よりも鉛直方向下側に大きく傾斜する面はなく、前記位置決め部の一部は前記斜面の一部で形成されており、前記把手部は、形状が環状であり、前記把手部の環で形成される面が前記ユニットの前記長手方向と交差するように前記ユニットの長手方向の両端部に各々設けられており、前記把手部には、ユーザが前記ユニットを前記装置本体から引き出す時に、ユーザによる引き出し方向への力を受ける直線状の把手面が設けられており、前記把手面と前記斜面の成す角度が略90°又はそれ以上であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、画像形成装置本体から着脱ユニットを引き出し易い。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明に係る画像形成装置の構成を示す断面図である。
【
図2】第1実施形態の定着ユニットの構成を示す斜視図である。
【
図4】第1実施形態の定着ユニットの装着状態を示す斜視図である。
【
図5】第1実施形態の定着ユニットを引き出す力を説明する側面図である。
【
図6】定着ユニットの装着位置を位置決めする位置決め部と、該位置決め部に対して定着ユニットをガイドするガイド部の構成を示す斜視図である。
【
図7】第1実施形態において定着ユニットを画像形成装置本体から引き出す前の状態を示す側面図である。
【
図8】第1実施形態において定着ユニットを画像形成装置本体から引き出す途中の状態を示す側面図である。
【
図9】第2実施形態の画像形成装置の構成を示す側面図である。
【
図10】第3実施形態の画像形成装置の斜視図である。
【
図11】第3実施形態の画像形成装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図により画像形成装置の一実施形態を具体的に説明する。
【0010】
〔第1実施形態〕
図1~
図8を用いて画像形成装置の第1実施形態の構成について説明する。
【0011】
<画像形成装置>
先ず、
図1を用いて画像形成装置の構成について説明する。
図1は、電子写真記録方式を用いた画像形成装置の構成を示す断面図である。
図1に示す画像形成装置100は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの四色のトナーを使って画像を形成するフルカラーレーザビームプリンタの一例である。画像形成装置100は、プロセスカートリッジ7を備えた画像形成部70と、記録材Sを画像形成部70に搬送する搬送部80と、を備えている。画像形成部70は、記録材Sに画像を形成する画像形成手段として構成される。
【0012】
画像形成装置100の装置本体101には、記録材Sに担持されたトナー画像を記録材Sに定着する定着手段である定着ユニット300が設けられている。定着ユニット300によりトナー画像が定着された記録材Sは、排出部40に排出される。
【0013】
画像形成部70は、
図1に示す装置本体101の中央に設けられ、搬送部80は、
図1の右側に設けられている。定着ユニット300は、
図1の右側の上部に配置されており、装置本体101に対して着脱可能に設けられている。画像形成部70は、
図1に示す装置本体101の水平方向に配列された四つのプロセスカートリッジ7と、各プロセスカートリッジ7に設けられた像担持体となる感光ドラム1の表面に画像情報に応じて露光する四つのスキャナユニット3と、を備えている。
【0014】
これら四つのプロセスカートリッジ7とスキャナユニット3と、後述する転写ローラ12については、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの四色に対応して各部材の符号に「a,b,c,d」を付与している。これらは、トナー(現像剤)の色が異なる以外は、同一の構成であるため「a,b,c,d」を省略して説明する場合もある。
【0015】
各プロセスカートリッジ7に設けられた感光ドラム1は、それぞれ図示しない駆動手段により
図1の時計回り方向に回転駆動される。各感光ドラム1の周囲には、該感光ドラム1の回転方向に順に該感光ドラム1の表面を均一に帯電する帯電手段となる帯電ローラ2が設けられている。更に、感光ドラム1の表面に形成された静電潜像にトナー(現像剤)を付着させてトナー像(現像剤像)として現像する現像手段となる現像装置4が設けられている。
【0016】
帯電ローラ2と現像装置4との間からスキャナユニット3により画像情報に基づいてレーザ光が出射される。これにより均一に帯電された感光ドラム1の表面上に画像情報に応じたレーザ光が照射されて静電潜像が形成される。プロセスカートリッジ7には、一次転写後に感光ドラム1の表面に残った転写残トナーを除去するクリーニング手段となるクリーニング装置6が設けられている。
【0017】
スキャナユニット3は、
図1に示す感光ドラム1の下方に配置される。光源となる図示しないレーザダイオードから、画像信号に対応するレーザ光が出射する。このレーザ光は図示しないスキャナモータにより高速回転されるポリゴンミラー9に照射される。ポリゴンミラー9によって反射され、図示しないレンズ及びミラー13を介して出射したレーザ光は、感光ドラム1の表面を主走査方向に走査する。この走査によって、画像信号に対応する静電潜像が該感光ドラム1の表面に形成される。
【0018】
一方、プロセスカートリッジ7が設けられた位置を基準にしてスキャナユニット3と反対側には、中間転写ベルト11を有する中間転写装置5が設けられている。中間転写装置5は、張架ローラ14,15により水平方向に支持され、
図1の反時計回り方向に回転駆動される中間転写ベルト11を有する。更に、該中間転写ベルト11の内周面側で感光ドラム1の表面に対向して設けられる一次転写手段となる転写ローラ12と、を有している。二次転写手段となる二次転写ローラ21が中間転写ベルト11を介して張架ローラ15に対して所定の圧力で当接されている。
【0019】
中間転写装置5には、二次転写後に中間転写ベルト11の外周面上に残ったトナー(廃トナーWT)を除去するクリーニング手段となるクリーニング装置8が設けられている。クリーニング装置8により回収された廃トナーは、廃トナー搬送装置29により搬送されて回収容器10内に収容される。
【0020】
搬送部80は、記録材Sを給送する給送部16を備えている。給送部16は、給送カセット17内に収容された記録材Sを画像形成部70に給送する。給送カセット17内に収容された記録材Sは、給送ローラ18により繰り出され、図示しない分離手段との協働により一枚ずつ給送される。給送ローラ18により給送された記録材Sは、搬送ローラ19により挟持搬送される。搬送ローラ19により挟持搬送される記録材Sは、停止したレジストローラ20のニップ部に先端部が突き当てられて斜行が補正される。その後、所定のタイミングでレジストローラ20が回転駆動されて中間転写ベルト11の外周面と二次転写ローラ21とにより形成される二次転写ニップ部Nに搬送される。
【0021】
<画像形成動作>
次に、
図1を用いて画像形成装置100による画像形成動作について説明する。先ず、
図1に示す各プロセスカートリッジ7が印刷タイミングに合わせて順次駆動される。そのとき、各感光ドラム1は、
図1の時計回り方向に回転駆動される。そして、帯電ローラ2は、感光ドラム1の表面に一様な電荷を付与する。また、各プロセスカートリッジ7に対応するスキャナユニット3が順次駆動される。スキャナユニット3は、一様に帯電された感光ドラム1の表面に画像信号に応じて露光を行って感光ドラム1の表面上に静電潜像を形成する。
【0022】
現像装置4内には、現像剤担持体となる現像ローラ22が設けられている。現像ローラ22により感光ドラム1の表面に形成された静電潜像の低電位部にトナーを転移させて感光ドラム1の表面上にトナー像を形成(現像)する。各感光ドラム1の表面上に形成されたトナー像は、各感光ドラム1と転写ローラ12との間に形成される電界により中間転写ベルト11の外周面上に順次転写されて重畳される。
【0023】
一方、給送部16より給送された記録材Sは、搬送ローラ19により搬送され、停止したレジストローラ20のニップ部に先端部が突き当てられて搬送方向に対する傾きが補正される。その後、所定のタイミングでレジストローラ20により二次転写ニップ部Nに搬送される。中間転写ベルト11の外周面上に転写されたトナー像は、二次転写ニップ部Nにおいて中間転写ベルト11と二次転写ローラ21との間に形成された電界により搬送されてきた記録材S上に一括して二次転写される。
【0024】
四色のトナー像が転写された記録材Sは、中間転写ベルト11の外周面と二次転写ローラ21とにより挟持搬送されて定着ユニット300に導かれる。定着ユニット300に設けられた加熱ユニット302と加圧ローラ303とにより形成される定着ニップ部N2をトナー像が転写された記録材Sが通過する間にトナー像が熱定着される。トナー像が定着された記録材Sは、搬送ローラ304及び排出ローラ32により搬送され、図示しない除電部材により除電された後、排出部40上に排出される。
【0025】
<着脱ユニット>
次に、
図2及び
図3を用いて着脱ユニットの一例である定着ユニット300の構成について説明する。
図2は、定着ユニット300の構成を示す斜視図である。
図3は、定着ユニット300の構成を示す断面図である。
図3に示すように、定着ユニット300は、加熱ユニット302を有する。更に、加熱ユニット302に圧接される加圧ローラ303を有する。トナー像を担持した記録材Sを加熱ユニット302と加圧ローラ303とにより狭持搬送する間にトナー像に熱及び圧力を加え、記録材Sに担持されたトナー像(現像剤像)を記録材に定着する。
【0026】
加熱ユニット302と加圧ローラ303とにより形成される定着ニップ部N2に対して記録材Sの搬送方向上流側に入口ガイド317が設けられている。また、定着ニップ部N2に対して記録材Sの搬送方向下流側に出口ガイド318が設けられている。出口ガイド318の更に下流側には搬送ローラ304が設けられている。
【0027】
記録材Sは、定着ユニット300内を
図3の下から上に向かって搬送される。
図1に示すように、定着ユニット300が装置本体101の画像形成位置に装着された状態で、加熱ユニット302と加圧ローラ303とは、装置本体101の前後(
図1の左右)の位置に配置される。加圧ローラ303は、後カバー353により覆われ、加熱ユニット302は、前カバー354により覆われている。加熱ユニット302は、面状発熱体からなるヒータ305と、ヒータ305を支持する支持部材306と、加圧ステー308と、これらの各部材を内包して
図3の反時計回り方向に従動回転する定着フィルム309とを有して構成される。
【0028】
定着ユニット300の長手方向Lfとは、加熱ユニット302及び加圧ローラ303の軸方向である。
【0029】
次に、
図2を用いて定着ユニット300の外装構成について説明する。
図2に示すように、定着ユニット300の外装構成は、定着ユニット300の前後を覆う前カバー354と、後カバー353と、定着ユニット300の長手方向の両端部を覆う端部カバー351,352とを有している。端部カバー351,352の表面には、定着ユニット300の長手方向においてそれぞれ外向きに突出する位置決めピン330が設けられている。
【0030】
尚、
図2では、端部カバー351の表面に外側に向かって突出された位置決めピン330のみが示されているが、端部カバー352の表面にも図示されない位置決めピン330が外側に向かって突出している。後カバー353の後面側には、ユーザが定着ユニット300を把持するための把手部となる環状で構成されるハンドル357,358が設けられている。
図2に示すように、ハンドル357,358の長手方向Lgが定着ユニット300の長手方向Lfに対して交差するように、ハンドル357,358が設けられている。また、ハンドル357,358の環で形成される面Sgが定着ユニット300の長手方向Lfと交差するようにハンドル357,358が設けられている。
【0031】
図4は、本実施形態の定着ユニット300の装着状態を示す斜視図である。
図5は、本実施形態の定着ユニット300を引き出す力を説明する側面図である。
図6は、定着ユニット300の装着位置を位置決めする位置決め部と、該位置決め部に対して定着ユニット300をガイドするガイド部の構成を示す斜視図である。
【0032】
図4及び
図5に示すように、装置本体101の本体フレーム110,120の上端縁110a,120aには、V字形状の溝部111,121が設けられている。溝部111,121には、装置本体101に対して定着ユニット300(着脱ユニット)の位置を決めるための位置決め部となる溝底部111e,121eが設けられている。
【0033】
装置本体101は、定着ユニット300(着脱ユニット)の長手方向の両端部に突出して設けられた位置決めピン330(被位置決め部)を溝底部111e,121e(位置決め部)にガイドする斜面111c,121cを有する。斜面111c,121cは、溝底部111e,121eに連続して設けられている。本実施形態の斜面111c,121cは、直線状である。
【0034】
斜面111c,121cは、装置本体101に対するユニット装着方向において、溝底部111e,121e(位置決め部)の直前に設けられている。更に、ユニット装着方向において、斜面111c,121cの直前に位置決めピン330(被位置決め部)を斜面111c,121cに案内する水平面からなる天面111d,121dが設けられている。
【0035】
定着ユニット300(着脱ユニット)は、装置本体101に対して定着ユニット300を位置決めするための被位置決め部となる位置決めピン330を有する。各位置決めピン330は、定着ユニット300の端部カバー351,352に外側に突出して設けられている。各位置決めピン330は、
図4及び
図5に示すように、溝底部111e,121e(位置決め部)内に嵌合されて定着ユニット300が画像形成位置に位置決めされる。更に、各位置決めピン330は、斜面111c,121c(ガイド部)に摺動可能に当接してガイドされる。
【0036】
定着ユニット300は、装置本体101から引き出すことが可能となっている。定着ユニット300を装置本体101から引き出す際に、
図5の水平面内で移動する方向を矢印Y方向とする。
図5の矢印Y方向に対して直交する一つの方向を第一の方向X(≒方向Lf)とする。
図5の矢印Y方向及び第一の方向Xに直交する第二の方向をZ方向とする。
【0037】
溝部111,121は、装置本体101に対して内側に設けられた辺(正確にはフレームの縁)111a,121aと、装置本体101に対して外側に設けられた辺111b,121bとを有している。辺111a,121aは、第二の方向Zと平行な方向(上下方向)に伸びている。辺111b,121bは、水平面に対して外側に向かって上向きに傾いた斜面111c,121cを有している。
【0038】
図6に示すように、辺111a,121aと、辺111b,121bとの間に形成される溝底部111e,121e(位置決め部)に定着ユニット300の長手方向で外側に突出した位置決めピン330が嵌まり込む。このとき、
図4に示すように、定着ユニット300の長手方向両端部に設けられた端部カバー351,352は、本体フレーム110,120の間に嵌め込まれている。これにより定着ユニット300の端部カバー351,352の外面が本体フレーム110,120の内面により規制される。これにより定着ユニット300の第一の方向Xと第二の方向Zの位置及び方向Yの位置が決まる。
【0039】
図7に示すように、装置本体101から引き出すときの定着ユニット300の姿勢は、定着ユニット300の長手方向Lfが第一の方向Xと一致している。その状態で、ユーザがハンドル357,358を把持して
図5の力Fの方向に引き出す。そして、斜面111c,121cに沿って位置決めピン330を摺動させて装置本体101に対して、先ず+Y方向と+Z方向に移動させる。
【0040】
その後、斜面111c,121cと連続する天面111d,121dに沿って位置決めピン330を摺動させて、更に+Y方向に移動させる。このとき、定着ユニット300の端部カバー351,352の外面が本体フレーム110,120の内面により規制されて定着ユニット300は、第一の方向Xへの移動が規制されつつY方向およびZ方向に案内される。
【0041】
<把手部>
次に、
図2及び
図5を用いて把手部となるハンドル357,358の構成について説明する。
図2に示すように、ハンドル357,358は、後カバー353の後側面にそれぞれ固定されている。ハンドル357,358は、それぞれ定着ユニット300の上下両端部に設けられる。ハンドル357,358は、前方に延びる一対の脚部357b1,357b2,358b1,358b2と、上下の脚部357b1,357b2,358b1,358b2をそれぞれ繋ぐ把持部357a,358aとを有している。これによりハンドル357,358は、後カバー353の後側面に環状で構成されている。
【0042】
図5に示すように、各把持部357a,358aには、ユーザが定着ユニット300を装置本体101から引き出す際に指200をかけ、定着ユニット300を引き出す力Fを受ける把手面357c,358cが設けられている。本実施形態の把手面357c,358cは、直線状である。
【0043】
次に、
図5に示す把手面357c,358cと、斜面111c,121cを定着ユニット300(着脱ユニット)の引き出し方向(
図5の右方向)に延長した仮想面23とが交差する角度を考慮する。その角度のうちで、把手面357c,358cと、仮想面23との交線24よりも定着ユニット300の引き出し方向側(
図5の右側)の仮想面23aと、交線24よりも鉛直上方側(
図5の上側)の把手面357c1,358c1とのなす角度θを考慮する。その角度θが略直角に設定されている。また斜面111c,121cの延長上に把手面357c,358cが設けられている。
【0044】
これによりユーザが定着ユニット300を装置本体101から引き出すFの方向と、斜面111c,121cの方向Gとが略平行になるように設定されている。
【0045】
<定着ユニットの引き出し操作>
次に、
図7及び
図8を用いて装置本体101から定着ユニット300を引き出す操作について説明する。
図7は、定着ユニット300を装置本体101から引き出す前の状態を示す側面図である。
図8は、定着ユニット300を装置本体101から引き出す途中の状態を示す側面図である。
【0046】
図7は、定着ユニット300が装置本体101の画像形成位置に装着されている状態を示す。この状態においては、定着ユニット300の端部カバー351,352に突出して設けられた位置決めピン330が本体フレーム110,120の溝部111,121の溝底部111e,121e内に嵌り込んだ状態で位置決めされている。
【0047】
ユーザが画像形成位置に装着された定着ユニット300を装置本体101から引き出すとき、先ず、
図1に示す装置本体101にヒンジ部50aを中心に回動可能に設けられた開閉扉50を開ける。そして、定着ユニット300のハンドル357,358の把手面357c,358cに指200をかけた状態で矢印Y方向に沿った方向に引き出そうとする。このとき、把手面357c,358cには、指200から該把手面357c,358cに垂直な方向の力Fのみが伝わる。
【0048】
把手面357c,358cは、本体フレーム110,120に設けられた溝部111,121の斜面111c,121cに対して略垂直である。そのため指200を矢印Y方向に動かそうとする力が実際に定着ユニット300に作用する力は、把手面357c,358cに対して略垂直な方向(斜面111c,121cに対して略平行な方向)Fに作用する。
【0049】
これにより定着ユニット300の端部カバー351,352に突出して設けられた位置決めピン330を斜面111c,121cに沿って+Y方向と+Z方向に自然に移動させることができる。これにより位置決めピン330と斜面111c,121cとの間で作用する摩擦力を小さくすることができる。これにより位置決めピン330を斜面111c,121cに沿って小さな力でスムーズに移動させることができる。
【0050】
図8は、装置本体101から定着ユニット300を引き出す途中で、位置決めピン330が斜面111c,121cを乗り越えて天面111d,121dに到達した状態を示す。ハンドル357,358は、環状となっているためユーザはハンドル357,358に指200をかけた状態である。これにより装置本体101から定着ユニット300を取り出した際に定着ユニット300の落下を防止することができる。
【0051】
本実施形態では、装置本体101から定着ユニット300を引き出す際に、定着ユニット300を引き出す力Fが本体フレーム110,120の溝部111,121に設けられた斜面111c,121cに沿った方向Gに略平行な方向に加わる。これにより定着ユニット300の位置決めピン330は、本体フレーム110,120の溝部111,121に設けられた斜面111c,121cに対して小さな摩擦力で摺動して斜面111c,121cに沿った方向Gにスムーズに移動することができる。
【0052】
これにより定着ユニット300を装置本体101から小さな力で容易に引き出すことができる。これによりユーザビリティ(usability;使い易さ)の向上を図ることができる。定着ユニット300の着脱は、環状のハンドル357,358に指200をかけた状態で行うため定着ユニット300の落下を防止することができる。尚、定着ユニット300の装着操作は、
図1に示す開閉扉50を開け、ユーザはハンドル357,358を把持して
図8、
図7の順に装着することができる。
【0053】
〔第2実施形態〕
次に、
図9を用いて本発明に係る画像形成装置の第2実施形態の構成について説明する。尚、前記第1実施形態と同様に構成したものは同一の符号、或いは符号が異なっても同一の部材名を付して説明を省略する。
【0054】
本実施形態では、
図9に示すように、把手面357c,358cと、仮想面23との交線24を考慮する。そして、交線24よりも定着ユニット300の引き出し方向側(
図9の右側)の仮想面23aと、交線24よりも鉛直上方側(
図9の上側)の把手面357c1,358c1とのなす角度θを考慮する。その角度θが直角よりも大きい鈍角に設定された一例である。
【0055】
第1実施形態と本実施形態とを考慮すると、角度θは、略90°(直角)または、それ以上の角度が好ましいことが理解できよう。
【0056】
この状態において、ユーザが把手面357c,358cにかけた指200を矢印Y方向に動かそうとする力が実際に定着ユニット300に作用する力Fと、斜面111c,121cに沿った方向Gとの間に形成される角度αは、0よりも大きい。
【0057】
このため定着ユニット300を装置本体101から引き出す力Fの方向が、位置決めピン330(被位置決め部)が斜面111c,121c(ガイド部)によりガイドされて引き出される方向Gよりも上方に向かう。
【0058】
これにより定着ユニット300の位置決めピン330は、本体フレーム110,120の溝部111,121に設けられた斜面111c,121cに対して更に小さな摩擦力で摺動して斜面111c,121cに沿った方向Gにスムーズに移動することができる。他の構成は前記第1実施形態と同様に構成され、同様の効果を得ることが出来る。
【0059】
〔第3実施形態〕
図10、
図11は第3実施形態を示す図である。本例の装置本体101の構成は、第1実施形態と同一である。定着ユニット300の把手面357c,358cの位置及び角度θが第1実施形態と異なっている。本例の定着ユニット300の把手面357c,358cは、斜面111c,121cの延長上から外れた位置に設けられている。また、角度θ=87.5°になっており、角度θは90°より若干小さくなっている。
【0060】
このように、把手面357c,358cが斜面111c,121cの延長上に位置する構成だけでなく、斜面111c,121cの延長上から外れた位置にある構成を考慮する。この構成においても、角度θを85°≦θ≦120°となるように把手面357c,358cを構成することで定着ユニット300をスムーズに引き出すことができる。
【0061】
尚、前記各実施形態では、画像形成装置本体に着脱可能な着脱ユニットを有する画像形成装置100として、フルカラーレーザビームプリンタに適用した場合について説明したが、カラーの画像形成装置100に限定されるものではない。他にモノクロの画像形成装置100にも適用可能である。また、各実施形態では、溝部111,121の形状をV字形状としたが、水平面に対して上向きに傾いた斜面111c,121cを持つ形状であれば他の種々の形状が適用できる。
【0062】
また、定着ユニット300の端部カバー351,352に外側に向かって突出された位置決めピン330を被位置決め部の一例として説明したが、ピン形状に限定されるものではない。他に、斜面111c,121cに当接摺動する斜面を有する種々の形状の被位置決め部であっても良い。また、定着ユニット300のハンドル357,358を環状としたが、環状に限定されるものではない。他に、
図2に示すハンドル357,358の下側の脚部357b2,358b2がないL字形状のハンドルであっても良い。
【0063】
尚、前記各実施形態では、画像形成装置本体に着脱可能な着脱ユニットを有する画像形成装置100として、定着ユニット300を着脱可能な画像形成装置100に適用した場合の一例について説明した。しかし、着脱ユニットは、定着ユニット300に限定されるものではない。他に、プロセスカートリッジ7の着脱ユニットや他の種々の着脱ユニットにも適用可能である。
【符号の説明】
【0064】
θ…把手面と斜面の成す角度
23…仮想面
23a…交線24よりも定着ユニット300の引き出し方向側の仮想面
24…交線
100…画像形成装置
101…装置本体
111c,121c…斜面
300…定着ユニット(着脱ユニット)
357c,358c…把手面
357c1,358c1…交線24よりも鉛直上方側の把手面