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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-02
(45)【発行日】2022-12-12
(54)【発明の名称】情報処理装置及び情報処理方法
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20221205BHJP
   B60W 50/14 20200101ALI20221205BHJP
【FI】
G08G1/16 F
B60W50/14
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018081998
(22)【出願日】2018-04-23
(65)【公開番号】P2019191788
(43)【公開日】2019-10-31
【審査請求日】2021-01-29
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000001487
【氏名又は名称】フォルシアクラリオン・エレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】赤地 雅史
(72)【発明者】
【氏名】古賀 昌史
(72)【発明者】
【氏名】古郡 弘滋
(72)【発明者】
【氏名】阿部 宏樹
【審査官】久保田 創
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-236029(JP,A)
【文献】特開2015-179368(JP,A)
【文献】特開2015-231818(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/16
B60W 50/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両の位置情報、当該位置情報の地点を含む地図情報及び自車両の運転操作に関する車両情報を含む自車両情報を取得する自車両情報取得部と、
前記自車両情報に基づいて、前記自車両の運転手が見る許容範囲を設定する設定部と、
前記運転手を撮影するカメラによって得られた前記運転手が見ている方向に関する運転手情報を取得する運転手情報取得部と、
前記許容範囲と、前記運転手情報と、に基づいて、前記運転手が前記許容範囲を見ているか否かを判断する判断部と、
前記判断部が、前記運転手が前記許容範囲を見ていないと判断した場合、前記運転手に対して脇見運転を報知する出力部と、を備え、
前記許容範囲は、前記運転手の左前方の範囲である第1範囲、前記運転手の右前方の範囲である第2範囲、前記運転手の左後方の範囲である第3範囲、前記運転手の右後方の範囲である第4範囲を有しており、
前記設定部は、前記自車両が交差点に存在し、且つ、前記交差点に信号機が存在し、左ウィンカーが出ていると判断した場合、前記許容範囲を前記第1範囲に設定し、
前記設定部は、前記自車両が交差点に存在し、且つ、前記交差点に信号機が存在し、右ウィンカーが出ていると判断した場合、前記許容範囲を前記第2範囲に設定する
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
自車両の位置情報、当該位置情報の地点を含む地図情報及び自車両の運転操作に関する車両情報を含む自車両情報を取得する自車両情報取得部と、
前記自車両情報に基づいて、前記自車両の運転手が見る許容範囲を設定する設定部と、
前記運転手を撮影するカメラによって得られた前記運転手が見ている方向に関する運転手情報を取得する運転手情報取得部と、
前記許容範囲と、前記運転手情報と、に基づいて、前記運転手が前記許容範囲を見ているか否かを判断する判断部と、
前記判断部が、前記運転手が前記許容範囲を見ていないと判断した場合、前記運転手に対して脇見運転を報知する出力部と、を備え、
前記許容範囲は、前記運転手の左前方の範囲である第1範囲、前記運転手の右前方の範囲である第2範囲、前記運転手の左後方の範囲である第3範囲、前記運転手の右後方の範囲である第4範囲を有しており、
前記設定部は、前記自車両が交差点に存在し、且つ、前記交差点に信号機が存在しないと判断した場合、前記許容範囲を前記第1範囲及び前記第2範囲に設定する
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項3】
他車両に関する他車両情報を取得する他車両情報取得部を備え、
前記設定部は、前記他車両情報に基づいて、前記許容範囲を設定し、
前記設定部は、前記自車両が接触する可能性がある前記他車両が、前記自車両の右方向に存在すると判断した場合には、前記許容範囲を前記第2範囲及び前記第4範囲に設定し、
前記設定部は、前記自車両が接触する可能性がある前記他車両が、前記自車両の左方向に存在すると判断した場合には、前記許容範囲を前記第1範囲及び前記第3範囲に設定する
ことを特徴とする、請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
障害物に関する障害物情報を取得する障害物情報取得部を備え、
前記判断部は、前記障害物情報に基づいて、前記自車両に前記障害物が近づいたか否かを判断し、
前記出力部は、前記障害物に関する前記判断部の判断に基づいて、前記運転手に対して報知する
ことを特徴とする、請求項1からの何れか一項に記載の情報処埋装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置及び情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両等の運転者が脇見を行った際に、警告をする情報処理装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1には、ナビゲーション装置のナビユニットは、自車位置周辺の地理的状況、周辺車両状況及び自車両の運転状況のうち少なくとも一つに基づいて、警告レベルを設定するCPUを備える構成が開示されている。また、特許文献1には、運転者の脇見を判断する画像プロセッサに基づき、運転者の脇見を検出した際に、設定された警告レベルに基づいて、脇見を警告する構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2007-226666号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の装置は、例えば、交差点などの安全確認をすべき場所で、運転手が安全確認のために視線を所定の向きに向けた場合、運転手が脇見をしていると判断して、運転手に不要な警告を出力してしまう、という問題がある。
【0006】
そこで、本発明は、不要な警告を防止する情報処理装置及び情報処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明の情報処理装置は、自車両に関する自車両情報を取得する自車両情報取得部と、前記自車両情報に基づいて、前記自車両の運転手が見る許容範囲を設定する設定部と、前記運転手に関する運転手情報を取得する運転手情報取得部と、前記許容範囲と、前記運転手情報と、に基づいて、前記運転手が前記許容範囲を見ているか否かを判断する判断部と、前記判断部の判断に基づいて、所定の報知をする出力部と、を備えることを特徴とする。
【0008】
前記目的を達成するために、本発明の情報処理方法は、自車両に関する自車両情報を取得する自車両情報取得ステップと、前記自車両情報に基づいて、前記自車両の運転手が見る許容範囲を設定する設定ステップと、前記運転手に関する運転手情報を取得する運転手情報取得ステップと、前記許容範囲と、前記運転手情報と、に基づいて、前記運転手が前記許容範囲を見ているか否かを判断する判断ステップと、前記判断ステップの判断に基づいて、所定の報知を出力する出力ステップと、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
このように構成された本発明の情報処理装置及び情報処理方法は、不要な警告を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施例1の車載用情報処理装置のシステム構成を示す構成図である。
図2】実施例1の車載用情報処理装置の運転手用カメラと車外用カメラと音声出力部の構成を示す構成図である。
図3】実施例1の車載用情報処理装置の振動部の構成を示す構成図である。
図4】実施例1の車載用情報処理装置の表示部の構成を示す構成図である。
図5】実施例1の車載用情報処理装置の設定部が設定する許容範囲を説明する説明図である。
図6】実施例1の脇見判断処理Aを説明するフローチャートである。
図7】実施例1の脇見判断処理Bを説明するフローチャートである。
図8】実施例1の脇見判断処理Cを説明するフローチャートである。
図9】実施例1の脇見判断処理の遷移を説明する説明図である。
図10】実施例1の車載用情報処理装置の作用を説明する説明図である。
図11】実施例1の車載用情報処理装置の作用を説明する説明図である。
図12】実施例1の車載用情報処理装置の作用を説明する説明図である。
図13】実施例1の車載用情報処理装置の作用を説明する説明図である。
図14】実施例2の車載用情報処理装置の構成を示す構成図である。
図15】実施例2の障害物判断処理を説明するフローチャートである。
図16】実施例2の車載用情報処理装置の作用を説明する説明図である。
図17】実施例2の車載用情報処理装置の作用を説明する説明図である。
図18】実施例2の車載用情報処理装置の作用を説明する説明図である。
図19】実施例2の車載用情報処理装置の作用を説明する説明図である。
図20】実施例2の車載用情報処理装置の作用を説明する説明図である。
図21】別の実施例の安全確認が必要な場所を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明による情報処理装置及び情報処理方法を実現する実施形態を、図面に示す実施例1及び実施例2に基づいて説明する。
【実施例1】
【0012】
実施例1における車載用情報処理装置及び車載用情報処理方法は、自車両1に搭載された車載用情報処理装置10に適用される。
【0013】
[車載用情報処理装置の構成]
図1は、実施例1の車載用情報処理装置のシステム構成を示す構成図である。図2は、実施例1の車載用情報処理装置の運転手用カメラと車外用カメラと音声出力部の構成を示す構成図である。図3は、実施例1の車載用情報処理装置の振動部の構成を示す構成図である。図4は、実施例1の車載用情報処理装置の表示部の構成を示す構成図である。図5は、実施例1の車載用情報処理装置の設定部が設定する許容範囲を説明する説明図である。以下、図1から図5に基づいて、実施例1の車載用情報処理装置の構成を説明する。
【0014】
車載用情報処理装置10は、運転手用カメラ11と、車外用カメラ12~15と、カメラECU(Electronic Control Unit)16と、車載システム20と、出力部としての音声出力部40と、出力部としての振動部50と、出力部としての表示部60と、を備える。
【0015】
運転手用カメラ11は、図2に示すように、自車両1の車室内に設置される。運転手用カメラ11は、運転手Dの顔や目に向けて配置され、運転手Dの顔や目を撮影する。
【0016】
車外用カメラ12~15は、自車両1の右側に設けられて自車両1の右方を撮影する車外用カメラ12と、自車両1の前側に設けられて自車両1の前方を撮影する車外用カメラ13と、自車両1の後側に設けられて自車両1の後方を撮影する車外用カメラ14と、自車両1の左側に設けられて自車両1の左方を撮影する車外用カメラ15と、で構成される。4台の車外用カメラ12~15により、自車両1の周囲の領域を漏れなく観測することができるようになっている。
【0017】
カメラECU16は、図1に示すように、車外用カメラ12~15に接続され、車外用カメラ12~15を電子制御する。
【0018】
車載システム20は、運転手監視部21と、位置情報取得部22と、地図情報記憶部23と、車両情報取得部24と、センサ値監視部25と、音声出力制御部26と、情報表示制御部27と、制御部30と、を備える。
【0019】
運転手監視部21は、運転手用カメラ11に接続され、運転手用カメラ11によって撮影された画像から、運転手Dの顔が向いている方向や、運転手Dの視線の方向を監視する。運転手Dの顔が向いている方向や運転手Dの視線の方向を、運転手Dの見ている方向とする。
【0020】
位置情報取得部22は、GPS衛星からの信号を受信し、受信した信号に基づいて自車両1の位置情報を取得する。
【0021】
地図情報記憶部23は、地図情報が記憶されている。地図情報には、道路の車線数の情報や、交差点や合流地点に関する情報や、目的地までの走行ルートをナビゲーションするナビゲーション装置から提供された目的地や走行ルートの情報などが含まれる。
【0022】
車両情報取得部24は、ハンドル操舵角の情報や、速度の推移の情報や、ウィンカーに関する情報などの車両情報を取得する。ウィンカーに関する情報には、右ウィンカー又は左ウィンカーのどちらかがON又はOFFになっているか否かの情報が含まれる。
【0023】
センサ値監視部25は、カメラECU16に接続され、車外用カメラ12~15によって撮影された画像データと、ソナーによって取得されたソナーデータとから、自車両1に接近する他車両を監視する。なお、自車両1に接近する他車両を監視する際に、画像データとソナーデータの両方を使ってもよいし、一方を使ってもよい。センサ値監視部25は、制御部30に接続され、監視情報である他車両情報を制御部30に送信する。
【0024】
音声出力制御部26は、制御部30に接続され、制御部30による処理情報に基づいて、音声出力部40と振動部50とを制御する。音声出力部40は、図2に示すように、自車両1の車室内に設けられたスピーカとすることができる。音声出力部40は、聴覚を通じて運転手Dへ情報を通知する。音声出力部40は、例えば、「脇見をしないでください。」や「車両前方を見てください。前方車両との距離が詰まっています。」という情報を出力する。
【0025】
振動部50は、図3に示すように、自車両1の運転席51の座面52に設けられる。振動部50は、振動による刺激(触覚)を通じて運転手Dへ情報を通知する。振動部50は、座面52の左前側に配置される左前側振動部50aと、座面52の右前側に配置される右前側振動部50bと、座面52の右後側に配置される右後側振動部50cと、座面52の左後側に配置される左後側振動部50dと、を備える。
【0026】
自車両1の左前方に関する情報を運転手Dへ伝える場合は、左前側振動部50aを振動させる。自車両1の右前方に関する情報を運転手Dへ伝える場合は、右前側振動部50bを振動させる。自車両1の右後方に関する情報を運転手Dへ伝える場合は、右後側振動部50cを振動させる。自車両1の左後方に関する情報を運転手Dへ伝える場合は、左後側振動部50dを振動させる。
【0027】
これにより、運転手Dは、運転手Dに伝える情報が何れの方向に関する情報であるかを、触覚を通じて認識することができる。なお、振動部50は、運転席51の背面53に設けられてもよい。また、振動部50は、助手席や後部座席に設けられてもよい。
【0028】
情報表示制御部27は、制御部30に接続され、制御部30による処理情報に基づいて、表示部60に表示する情報を制御する。表示部60は、図4に示すように、自車両1のメータ装置61に設けられた液晶パネルとすることができる。表示部60は、視覚を通じて運転手Dへ情報を通知する。表示部60は、例えば、「脇見をしないでください。」や「車両前方を見てください。前方車両との距離が詰まっています。」という情報を表示する。
【0029】
なお、表示部60は、視覚的に情報を伝えることができるものであればよい。例えば、表示部60は、液晶ディスプレイやタッチパネルと一体型になったディスプレイや、ヘッドアップディスプレイ等とすることができる。また、表示部60が情報を伝える相手は、運転手Dに限定されず、同乗者であってもよい。
【0030】
制御部30は、図1に示すように、運転手情報取得部31と、自車両情報取得部32と、他車両情報取得部33と、設定部34と、脇見判断部35と、を備える。制御部30は、車載用情報処理装置10の全体の制御を司る。
【0031】
運転手情報取得部31は、運転手監視部21が監視した監視情報を取得する。すなわち、運転手情報取得部31は、運転手Dに関する運転手情報を取得する。
【0032】
自車両情報取得部32は、位置情報取得部22が取得した位置情報と、地図情報記憶部23が記憶した記憶情報と、車両情報取得部24が取得した車両情報と、を取得する。すなわち、自車両情報取得部32は、自車両1に関する自車両情報を取得する。
【0033】
他車両情報取得部33は、センサ値監視部25が監視した監視情報から、他車両に関する他車両情報を取得する。
【0034】
設定部34は、自車両情報取得部32が取得した自車両情報に基づいて、運転手Dが見る許容範囲Pを設定する。設定部34が設定する運転手Dが見る許容範囲Pとは、安全確認をする際に、運転手Dが見るべき一定の範囲をいう。
【0035】
運転手Dが見る許容範囲Pは、図5に示すように、第1範囲P1と、第2範囲P2と、第3範囲P3と、第4範囲P4と、を有する。第1範囲P1は、運転手Dから見て、顔又は視線を前方から左回りに90度まで向けた範囲であり、左前方の範囲である。第2範囲P2は、運転手Dから見て、顔又は視線を前方から右回りに90度まで向けた範囲であり、右前方の範囲である。第3範囲P3は、運転手Dから見て、顔又は視線を左側方から左回りに45度まで向けた範囲であり、左後方の範囲である。第4範囲P4は、運転手Dから見て、顔又は視線を右側方から右回りに45度まで向けた範囲であり、右後方の範囲である。すなわち、運転手Dが見る許容範囲Pは、線ではなく面として設定される。
【0036】
設定部34は、状況に応じて、運転手Dが見る許容範囲Pを設定する。例えば、自車両1が信号機のある交差点で左折する場合、設定部34は、運転手Dが見る方向を第1範囲P1と設定する。自車両1が信号機のある交差点で右折する場合、設定部34は、運転手Dが見る方向を第2範囲P2と設定する。自車両1が信号機のない交差点で左折する場合、設定部34は、運転手Dが見る方向を第1範囲P1及び第2範囲P2と設定する。自車両1が信号機のない交差点で右折する場合、設定部34は、運転手Dが見る方向を第1範囲P1及び第2範囲P2と設定する。
【0037】
自車両1が合流車線から、自車両1の左側の本線車線に合流する場合、設定部34は、運転手Dが見る方向を第1範囲P1及び第3範囲P3と設定する。この場合、運転手Dは、左後方も安全確認する必要がある。自車両1が合流車線から、自車両1の右側の本線車線に合流する場合、設定部34は、運転手Dが見る方向を第2範囲P2及び第4範囲P4と設定する。この場合、運転手Dは、右後方も安全確認する必要がある。
【0038】
なお、運転手Dが見る許容範囲Pの設定方法は、ウィンカーに関する情報を利用する方法と、自車両の位置情報を利用する方法と、他車両情報を利用する方法とがあるが、何れの方法を利用してもよい。
【0039】
脇見判断部35は、設定部34が設定した許容範囲Pと、運転手情報取得部31が取得した運転手情報と、に基づいて、設定部34が設定した許容範囲Pを、自車両1の運転手Dが見ているか否かを判断する。
【0040】
制御部30は、運転手監視部21と、位置情報取得部22と、地図情報記憶部23と、車両情報取得部24と、センサ値監視部25と、音声出力制御部26と、情報表示制御部27と、に接続される。
【0041】
制御部30には、運転手監視部21の監視情報と、位置情報取得部22の位置情報と、地図情報記憶部23の地図情報と、車両情報取得部24の車両情報と、センサ値監視部25の監視情報と、が入力される。制御部30は、運転手監視部21の監視情報と、位置情報取得部22の位置情報と、地図情報記憶部23の地図情報と、車両情報取得部24の車両情報と、センサ値監視部25の監視情報と、に基づいて、後述する脇見判断処理を実行する。制御部30は、脇見判断処理の処理結果を音声出力制御部26と、情報表示制御部27と、に出力する。
【0042】
[脇見判断処理]
図6は、実施例1の脇見判断処理Aを説明するフローチャートである。図7は、実施例1の脇見判断処理Bを説明するフローチャートである。図8は、実施例1の脇見判断処理Cを説明するフローチャートである。図9は、実施例1の脇見判断処理の遷移を説明する説明図である。以下、図6から図9に基づいて、実施例1の脇見判断処理を説明する。
【0043】
(脇見判断処理A)
図6に示すように、脇見判断処理Aを開始すると、自車両情報取得部32は、自車両情報としてのウィンカーに関する情報を取得する(ステップS101)。次いで、制御部30は、自車両1の右ウィンカーがONであるか否かを判断する(ステップS102)。自車両1の右ウィンカーがONであると判断した場合(ステップS102でYES)、設定部34は、運転手Dが見る方向の許容範囲Pを第2範囲P2に設定し(ステップS103)、ステップS106に進む。一方、自車両1の右ウィンカーがOFFであると判断した場合(ステップS102でNO)、制御部30は、自車両1の左ウィンカーがONであるか否かを判断する(ステップS104)。
【0044】
自車両1の左ウィンカーがONであると判断した場合(ステップS104でYES)、設定部34は、運転手Dが見る方向の許容範囲Pを第1範囲P1に設定し(ステップS105)、ステップS106に進む。一方、自車両1の左ウィンカーがOFFであると判断した場合(ステップS104でNO)、脇見判断処理Aを終了する。
【0045】
ステップS106では、運転手情報取得部31が、運転手Dの監視情報を取得する。次いで、脇見判断部35は、設定部34で設定した許容範囲Pを運転手Dが見ているか否かを判断する(ステップS107)。設定部34で設定した許容範囲Pを運転手Dが見ていると判断した場合(ステップS107でYES)、脇見判断処理Aを終了する。
【0046】
一方、設定部34で設定した許容範囲Pの外を運転手Dが見ていると判断した場合(ステップS107でNO)、制御部30は、音声出力制御部26を介して、音声出力部40に脇見をしないように出力させ(ステップS108)、脇見判断処理Aを終了する。なお、ステップS108では、制御部30は、音声出力制御部26を介して、振動部50のうち、設定部34が設定した許容範囲Pに対応する運転席51の座面52を振動させてもよい。また、ステップS108では、制御部30は、情報表示制御部27を介して、表示部60に脇見をしないように表示させてもよい。
【0047】
なお、ステップS108に進む前に、制御部30は、許容範囲Pと、自車両1の運転手Dに関する運転手情報と、に基づいて、所定の報知を必要とするか否かを判断してもよい。また、ステップS108に進む前に、制御部30は、許容範囲Pと、自車両1の運転手Dに関する運転手情報と、に基づいて所定の報知の可否を判断してもよい。また、ステップS108に進む前に、制御部30は、許容範囲Pと、自車両1の運転手Dに関する運転手情報と、に基づいて所定の報知の要否を決定してもよい。
【0048】
(脇見判断処理B)
図7に示すように、脇見判断処理Bを開始すると、自車両情報取得部32は、自車両情報としての自車両1の位置情報を取得する(ステップS201)。次いで、自車両情報取得部32は、自車両情報としての自車両1の走行ルートを取得する(ステップS202)。
【0049】
次いで、制御部30は、自車両1が合流車線から本線車線に合流する合流地点に近づいたか否かを判断する(ステップS203)。自車両1が合流車線から本線車線に合流する合流地点に近づいたと判断した場合(ステップS203でYES)、制御部30は、自車両1が自車両1の走行方向から見て左方向に合流するか否かを判断する(ステップS204)。
【0050】
自車両1が自車両1の走行方向から見て左方向に合流すると判断した場合(ステップS204でYES)、設定部34は、運転手Dが見る方向の許容範囲Pを第1範囲P1と第3範囲P3に設定し(ステップS205)、ステップS211に進む。一方、自車両1が自車両1の走行方向から見て右方向に合流すると判断した場合(ステップS204でNO)、設定部34は、運転手Dが見る方向の許容範囲Pを第2範囲P2と第4範囲P4に設定し(ステップS206)、ステップS211に進む。
【0051】
ステップS203において、自車両1が合流車線から本線車線に合流する合流地点に近づいていないと判断した場合(ステップS203でNO)、制御部30は、自車両1が右折する交差点に近づいたか否かを判断する(ステップS207)。自車両1が右折する交差点に近づいたと判断した場合(ステップS207でYES)、設定部34は、運転手Dが見る方向の許容範囲Pを第2範囲P2に設定し(ステップS208)、ステップS211に進む。一方、自車両1が右折する交差点に近づいていないと判断した場合(ステップS207でNO)、制御部30は、自車両1が左折する交差点に近づいたか否かを判断する(ステップS209)。
【0052】
自車両1が左折する交差点に近づいたと判断した場合(ステップS209でYES)、設定部34は、運転手Dが見る方向の許容範囲Pを第1範囲P1に設定し(ステップS210)、ステップS211に進む。一方、自車両1が左折する交差点に近づいていないと判断した場合(ステップS209でNO)、脇見判断処理Bを終了する。
【0053】
ステップS211において、運転手情報取得部31は、運転手Dの監視情報を取得する(ステップS211)。次いで、脇見判断部35は、設定部34で設定した許容範囲Pを運転手Dが見ているか否かを判断する(ステップS212)。
【0054】
設定部34で設定した許容範囲Pを運転手Dが見ていると判断した場合(ステップS212でYES)、脇見判断処理Bを終了する。一方、設定部34で設定した許容範囲Pを運転手Dが見ていないと判断した場合(ステップS212でNO)、制御部30は、音声出力制御部26を介して、音声出力部40に脇見をしないように出力させ(ステップS213)、脇見判断処理Bを終了する。なお、ステップS213では、制御部30は、音声出力制御部26を介して、振動部50のうち、設定部34が設定した許容範囲Pに対応する運転席51の座面52を振動させてもよい。また、ステップS213では、制御部30は、情報表示制御部27を介して、表示部60に脇見をしないように表示させてもよい。
【0055】
なお、ステップS213に進む前に、制御部30は、許容範囲Pと、自車両1の運転手Dに関する運転手情報と、に基づいて所定の報知を必要とするか否かを判断してもよい。また、ステップS213に進む前に、制御部30は、許容範囲Pと、自車両1の運転手Dに関する運転手情報と、に基づいて所定の報知の可否を判断してもよい。また、ステップS213に進む前に、制御部30は、許容範囲Pと、自車両1の運転手Dに関する運転手情報と、に基づいて所定の報知の要否を決定してもよい。
【0056】
(脇見判断処理C)
図8に示すように、脇見判断処理Cを開始すると、他車両情報取得部33が、他車両情報を取得する(ステップS301)。次いで、制御部30は、自車両1が接触する可能性がある他車両が、自車両1の右方向に存在するか否かを判断する(ステップS302)。
【0057】
自車両1が接触する可能性がある他車両が、自車両1の右方向に存在すると判断した場合(ステップS302でYES)、設定部34は、運転手Dが見る方向の許容範囲Pを第2範囲P2と第4範囲P4に設定し(ステップS304)、ステップS306に進む。一方、自車両1が接触する可能性がある他車両が、自車両1の右方向に存在しないと判断した場合(ステップS302でNO)、制御部30は、自車両1が接触する可能性がある他車両が、自車両1の左方向に存在するか否かを判断する(ステップS303)。
【0058】
自車両1が接触する可能性がある他車両が、自車両1の左方向に存在すると判断した場合(ステップS303でYES)、設定部34は、運転手Dが見る方向の許容範囲Pを第1範囲P1と第3範囲P3に設定し(ステップS305)、ステップS306に進む。一方、自車両1が接触する可能性がある他車両が、自車両1の左方向に存在しないと判断した場合(ステップS303でNO)、脇見判断処理Cを終了する。
【0059】
ステップS306において、運転手情報取得部31は、運転手Dの監視情報を取得する(ステップS306)。次いで、脇見判断部35は、設定部34で設定した許容範囲Pを運転手Dが見ているか否かを判断する(ステップS307)。
【0060】
設定部34で設定した許容範囲Pを運転手Dが見ていると判断した場合(ステップS307でYES)、脇見判断処理Cを終了する。一方、設定部34で設定した許容範囲Pを運転手Dが見ていないと判断した場合(ステップS307でNO)、制御部30は、音声出力制御部26を介して、音声出力部40に脇見をしないように出力させ(ステップS308)、脇見判断処理Bを終了する。なお、ステップS308では、制御部30は、音声出力制御部26を介して、振動部50のうち、設定部34が設定した許容範囲Pに対応する運転席51の座面52を振動させてもよい。また、ステップS308では、制御部30は、情報表示制御部27を介して、表示部60に脇見をしないように表示させてもよい。
【0061】
なお、ステップS308に進む前に、制御部30は、許容範囲Pと、自車両1の運転手Dに関する運転手情報と、に基づいて所定の報知を必要とするか否かを判断してもよい。また、ステップS308に進む前に、制御部30は、許容範囲Pと、自車両1の運転手Dに関する運転手情報と、に基づいて所定の報知の可否を判断してもよい。また、ステップS308に進む前に、制御部30は、許容範囲Pと、自車両1の運転手Dに関する運転手情報と、に基づいて所定の報知の要否を決定してもよい。また、自車両1に備えられたカメラや地図情報等を用いて、自車両1が走行する道路の信号機の有無を判断し、信号機がない交差点においては、許容範囲Pを第1範囲P1と第2範囲P2に設定してもよい。
【0062】
(脇見判断処理の遷移)
図9に示すように、脇見判断処理B又は脇見判断処理Cの実行中に、自車両情報取得部32が、自車両1の右ウィンカー又は左ウィンカーのどちらかがONである情報を取得した場合、脇見判断処理Aに遷移し、脇見判断処理Aを実行する。
【0063】
[車載用情報処理装置の作用]
図10は、実施例1の車載用情報処理装置10の作用を説明する説明図である。図11は、実施例1の車載用情報処理装置10の作用を説明する説明図である。図12は、実施例1の車載用情報処理装置10の作用を説明する説明図である。図13は、実施例1の車載用情報処理装置10の作用を説明する説明図である。以下、図10から図13に基づいて、実施例1の車載用情報処理装置10の作用について説明する。
【0064】
図10に示すように、自車両1が高速道路の合流車線T1を走行し、本線車線T2に合流しようとしている。この場合、運転手Dが見る許容範囲Pは、第2範囲P2と第4範囲P4に設定される(図7のステップS206)。運転手Dは、第2範囲P2と第4範囲P4の外を見ている場合、表示部60に「脇見をしないでください。」と画像が表示され、
音声出力部40から「脇見をしないでください。」と音声が発せられ、右前側振動部50bと右後側振動部50cとが振動する(ステップS213)。
【0065】
図11に示すように、自車両1が左ウィンカーを出して、信号機Sのある交差点で左折しようとしている。この場合、運転手Dが見る許容範囲Pは、第1範囲P1に設定される(図6のステップS105)。運転手Dは、第1範囲P1の外を見ている場合、表示部60に「脇見をしないでください。」と画像が表示され、音声出力部40から「脇見をしないでください。」と音声が発せられ、左前側振動部50aが振動する(ステップS108)。
【0066】
図12に示すように、自車両1が信号機のない交差点で左折しようとしている。この場合、運転手Dが見る許容範囲Pは、第1範囲P1と第2範囲P2に設定される(図7のステップS210)。運転手Dは、第1範囲P1と第2範囲P2の外を見ている場合、表示部60に「脇見をしないでください。」と画像が表示され、音声出力部40から「脇見をしないでください。」と音声が発せられ、左前側振動部50aと右前側振動部50bが振動する(ステップS213)。
【0067】
図13に示すように、自車両1が左車線T3を走行中に、自車両1の後方から右車線T4を猛スピードで走行する他車両Nが自車両1に接近している。この場合、運転手Dが見る許容範囲Pは、第2範囲P2と第4範囲P4に設定される(図8のステップS304)。運転手Dは、第2範囲P2と第4範囲P4の外を見ている場合、表示部60に「安全確認をしてください。」と画像が表示され、音声出力部40から「安全確認をしてください。」と音声が発せられ、右前側振動部50bと右後側振動部50cが振動する(ステップS308)。
【0068】
実施例1の車載用情報処理装置10は、自車両1に関する自車両情報を取得する自車両情報取得部32と、自車両情報に基づいて、自車両1の運転手Dが見る許容範囲Pを設定する設定部34と、運転手Dに関する運転手情報を取得する運転手情報取得部31と、許容範囲Pと、運転手情報と、に基づいて、運転手Dが許容範囲Pを見ているか否かを判断する判断部(脇見判断部35)と、判断部(脇見判断部35)の判断に基づいて、所定の報知を出力する出力部(音声出力部40,振動部50,表示部60)と、を備える(図6)。
【0069】
これにより、ウィンカーに関する情報等の自車両情報に基づいて、交差点等の安全確認が必要な場所を特定し、その場所における運転手Dが見る許容範囲Pを設定することができる。そのため、安全確認が必要な場所において、運転手Dが安全確認をすべき方向を見ていなかった場合に、安全確認をすべき旨を報知することができる。一方、安全確認をすべき場所において、運転手Dが安全確認をすべき方向を見ていた場合に、運転手が脇見をしていると判断することを防止する。その結果、不要な報知を防止することができる。
【0070】
実施例1の車載用情報処理装置10は、他車両Nに関する他車両情報を取得する他車両情報取得部33を備え、設定部34は、他車両情報に基づいて、許容範囲Pを設定する(図8)。
【0071】
これにより、車外用カメラ12~15とソナーの少なくとも一方から取得した他車両情報に基づいて、自車両1に他車両Nが接近している等の安全確認が必要な場所を特定し、その場所における運転手Dが見る許容範囲Pを設定することができる。そのため、安全確認が必要な場所において、運転手Dが安全確認をすべき方向を見ていなかった場合に、安全確認をすべき旨を報知することができる。一方、安全確認をすべき場所において、運転手Dが安全確認をすべき方向を見ていた場合に、運転手が脇見をしていると判断することを防止する。その結果、不要な報知を防止することができる。
【0072】
実施例1の車載用情報処理装置10では、自車両情報は、自車両1の位置に関する位置情報を含み、設定部34は、位置情報に基づいて、許容範囲Pを設定する(図7)。
【0073】
これにより、自車両1の位置情報に基づいて、合流地点や交差点等の安全確認が必要な場所を特定し、その場所における運転手Dが見る許容範囲Pを設定することができる。そのため、安全確認が必要な場所において、運転手Dが安全確認をすべき方向を見ていなかった場合に、安全確認をすべき旨を報知することができる。一方、安全確認をすべき場所において、運転手Dが安全確認をすべき方向を見ていた場合に、運転手が脇見をしていると判断することを防止する。その結果、不要な報知を防止することができる。
【0074】
実施例1の車載用情報処理方法では、自車両1に関する自車両情報を取得する自車両情報取得ステップ(図6のステップS101)と、自車両情報に基づいて、自車両1の運転手Dが見る許容範囲Pを設定する設定ステップ(ステップS103,ステップS105)と、運転手Dに関する運転手情報を取得する運転手情報取得ステップ(ステップS106)と、許容範囲Pと、運転手情報と、に基づいて、運転手Dが許容範囲Pを見ているか否かを判断する判断ステップ(ステップS107)と、判断ステップの判断に基づいて、所定の報知を出力する出力ステップ(ステップS108)と、を含む(図6)。
【0075】
これにより、ウィンカーに関する情報等の自車両情報に基づいて、交差点等の安全確認が必要な場所を特定し、その場所における運転手Dが見る許容範囲Pを設定することができる。そのため、安全確認が必要な場所において、運転手Dが安全確認をすべき方向を見ていなかった場合に、安全確認をすべき旨を報知することができる。一方、安全確認をすべき場所において、運転手Dが安全確認をすべき方向を見ていた場合に、運転手が脇見をしていると判断することを防止する。その結果、不要な報知を防止することができる。
【0076】
実施例1の車載用情報処理方法では、他車両Nに関する他車両情報を取得する他車両情報取得ステップ(図8のステップS301)を含み、設定ステップ(ステップS304,ステップS305)は、他車両情報に基づいて、許容範囲Pを設定する(図8)。
【0077】
これにより、車外用カメラ12~15から取得した他車両情報に基づいて、自車両1に他車両Nが接近している等の安全確認が必要な場所を特定し、その場所における運転手Dが見る許容範囲Pを設定することができる。そのため、安全確認が必要な場所において、運転手Dが安全確認をすべき方向を見ていなかった場合に、安全確認をすべき旨を報知することができる。一方、安全確認をすべき場所において、運転手Dが安全確認をすべき方向を見ていた場合に、運転手が脇見をしていると判断することを防止する。その結果、不要な報知を防止することができる。
【0078】
実施例1の車載用情報処理方法では、自車両情報は、自車両1の位置に関する位置情報を含み(図7のステップS201)、設定ステップ(ステップS205,ステップS206,ステップS208,ステップS210)は、位置情報に基づいて、許容範囲Pを設定する(図7)。
【0079】
これにより、自車両1の位置情報に基づいて、合流地点や交差点等の安全確認が必要な場所を特定し、その場所における運転手Dが見る許容範囲Pを設定することができる。そのため、安全確認が必要な場所において、運転手Dが安全確認をすべき方向を見ていなかった場合に、安全確認をすべき旨を報知することができる。一方、安全確認をすべき場所において、運転手Dが安全確認をすべき方向を見ていた場合に、運転手が脇見をしていると判断することを防止する。その結果、不要な報知を防止することができる。
【0080】
信号機のある交差点では、自車両1が走行する車線の信号機が青信号であるとき、自車両が走行する車線と交差する車線の信号機は赤信号である。このことから、自車両1の運転手Dが、走行中に自車両1が走行する車線と交差する車線を走行する他車両や、自車両1が曲がる予定の方向とは反対方向に注意を払う必要性は低い。そのため、信号機のある交差点では、運転手Dが見る許容範囲Pは、第1範囲P1又は第2範囲P2とすることが適切である。
【0081】
一方、信号機のない交差点では、自車両1が走行する車線と交差する車線においても、他車両が走行する可能性がある。このことから、自車両1の運転手Dが走行中に自車両1が走行する車線と交差する車線に注意を払って、自車両1が曲がる予定の方向とは反対方向を見る必要性が高い。そのため、信号機のない交差点では、運転手Dが見る許容範囲Pは、第1範囲P1かつ第2範囲とすることが適切である。
【0082】
この構成によって、信号機のない交差点において、自車両1が曲がる予定の方向とは反対方向を運転手Dが見たとしても報知されず、運転手Dにとって不要なタイミングでの報知や警告のわずらわしさを軽減することができる。
【実施例2】
【0083】
まず、実施例2における車載用情報処理装置及び車載用情報処理方法について説明する。なお、実施例1で説明した内容と同一乃至均等な部分の説明については、同一用語又は同一の符号を用いて説明する。
【0084】
実施例2の車載用情報処理装置及び車載用情報処理方法は、主に障害物情報取得部と障害物判断部を備える点で実施例1の車載用情報処理装置及び車載用情報処理方法と相違する。
【0085】
[車載用情報処理装置の構成]
図14は、実施例2の車載用情報処理装置110の構成を示す構成図である。以下、図14に基づいて、実施例2の車載用情報処理装置110の構成を説明する。
【0086】
センサ値監視部125は、カメラECU16に接続され、車外用カメラ12~15によって撮影された画像データと、ソナーによって取得されたソナーデータとから、自車両1に接近する他車両を監視する。また、センサ値監視部125は、車外用カメラ12~15によって撮影された画像データと、ソナーによって取得されたソナーデータとから、自車両1の周辺の障害物を監視する。障害物には、道路沿いの壁や、道路上に置かれたパイロンや、道路上の落下物や、道路上に停車している他車両や、道路の陥没部分や、自車両1の走行方向の前方車両等、自車両1の走行の障害になるものが含まれる。なお、自車両1の周辺の障害物を監視する際に、画像データとソナーデータの両方を使ってもよいし、一方を使ってもよい。センサ値監視部125は、制御部30に接続され、監視情報である他車両情報と障害物情報とを制御部30に送信する。
【0087】
制御部130は、図14に示すように、障害物情報取得部136と、障害物判断部137と、をさらに備える。
【0088】
障害物情報取得部136は、センサ値監視部125が監視した監視情報から、自車両1の走行の障害になる障害物に関する障害物情報を取得する。障害物判断部137は、障害物情報取得部136が取得した障害物情報に基づいて、自車両1と、自車両1の走行方向の前方にある障害物との距離が十分にあるか否かを判断する。
【0089】
[障害物判断処理]
図15は、実施例2の障害物判断処理を説明するフローチャートである。以下、図15に基づいて、実施例2の障害物判断処理を説明する。なお、障害物判断処理は、ウィンカー情報を取得する場合(実施例1の脇見判断処理A)と、自車両1の位置情報を取得する場合(実施例1の脇見判断処理B)と、他車両情報を取得する場合(実施例1の脇見判断処理C)とに適用できる。実施例2では、一例として、障害物判断処理を、ウィンカー情報を取得する場合(実施例1の脇見判断処理A)に適用した場合を説明する。
【0090】
(障害物判断処理)
図15に示すように、障害物判断処理を開始すると、自車両情報取得部32は、自車両情報としてのウィンカーに関する情報を取得する(ステップS401)。次いで、制御部130は、自車両1の右ウィンカーがONであるか否かを判断する(ステップS402)。
【0091】
自車両1の右ウィンカーがONであると判断した場合(ステップS402でYES)、設定部34は、運転手Dが見る方向の許容範囲Pを第2範囲P2に設定し(ステップS403)、ステップS406に進む。一方、自車両1の右ウィンカーがOFFであると判断した場合(ステップS402でNO)、制御部130は、自車両1の左ウィンカーがONであるか否かを判断する(ステップS404)。
【0092】
自車両1の左ウィンカーがONであると判断した場合(ステップS404でYES)、設定部34は、運転手Dが見る方向の許容範囲Pを第1範囲P1に設定し(ステップS405)、ステップS406に進む。一方、自車両1の左ウィンカーがOFFであると判断した場合(ステップS404でNO)、障害物判断処理を終了する。
【0093】
ステップS406では、運転手情報取得部31が、運転手Dの監視情報を取得する。次いで、脇見判断部35は、設定部34で設定した許容範囲Pを運転手Dが見ているか否かを判断する(ステップS407)。
【0094】
設定部34で設定した許容範囲Pを運転手Dが見ていると判断した場合(ステップS407でYES)、ステップS409に進む。一方、設定部34で設定した許容範囲Pの外を運転手Dが見ていると判断した場合(ステップS407でNO)、制御部130は、音声出力制御部26を介して、音声出力部40に脇見をしないように出力させ(ステップS408)、ステップS409に進む。なお、ステップS408では、制御部130は、音声出力制御部26を介して、振動部50のうち、設定部34が設定した許容範囲Pに対応する運転席51の座面52を振動させてもよい。また、ステップS408では、制御部130は、情報表示制御部27を介して、表示部60に脇見をしないように表示させてもよい。
【0095】
ステップS409において、障害物情報取得部136は、障害物情報を取得する。次いで、障害物判断部137は、前方の障害物としての他車両との距離が十分にあるか否かを判断する(ステップS410)。
【0096】
他車両との距離が十分にあると判断した場合(ステップS410でYES)、障害物判断処理を終了する。一方、他車両との距離が十分でないと判断した場合(ステップS410でNO)、制御部130は、前方車両との距離が十分でない旨を、音声出力制御部26を介して、音声出力部40に出力させ(ステップS411)、障害物判断処理を終了する。なお、ステップS411では、制御部130は、音声出力制御部26を介して、左前側振動部50aと右前側振動部50bを振動させてもよい。また、ステップS411では、制御部130は、前方車両との距離が十分でない旨を、情報表示制御部27を介して、表示部60に表示させてもよい。
【0097】
[車載用情報処理装置の作用]
図16は、実施例2の車載用情報処理装置110の作用を説明する説明図である。図17は、実施例2の車載用情報処理装置110の作用を説明する説明図である。図18は、実施例2の車載用情報処理装置110の作用を説明する説明図である。図19は、実施例2の車載用情報処理装置110の作用を説明する説明図である。図20は、実施例2の車載用情報処理装置110の作用を説明する説明図である。以下、図16から図20に基づいて、実施例2の車載用情報処理装置110の作用について説明する。
【0098】
図16に示すように、自車両1が高速道路の合流車線T1を走行し、本線車線T2に合流しようとしている。この場合、運転手Dが見る許容範囲Pは、第2範囲P2と第4範囲P4に設定される。運転手Dは、第2範囲P2又は第4範囲P4を見ている場合、表示部60、音声出力部40、及び振動部50から安全確認に関する出力がされない。しかし、自車両1と前方の他車両Nとの距離が十分でない場合、表示部60に「前方に他車両があります。前を向いてください。」と画像が表示され、音声出力部40から「前方に他車両があります。前を向いてください。」と音声が発せられ、左前側振動部50aと右前側振動部50bが振動する(図15のステップS411)。
【0099】
図17に示すように、自車両1が高速道路の合流車線T1を走行し、本線車線T2に合流しようとしている。この場合、運転手Dが見る許容範囲Pは、第1範囲P1と第3範囲P3に設定される。運転手Dは、第1範囲P1又は第3範囲P3を見ている場合、表示部60、音声出力部40、及び振動部50から安全確認に関する出力がされない。しかし、自車両1と前方の他車両Nとの距離が十分でない場合、表示部60に「前方に他車両があります。前を向いてください。」と画像が表示され、音声出力部40から「前方に他車両があります。前を向いてください。」と音声が発せられ、左前側振動部50aと右前側振動部50bが振動する(図15のステップS411)。
【0100】
図18に示すように、自車両1が信号機のない交差点で左折しようとしている。この場合、運転手Dが見る許容範囲Pは、第1範囲P1に設定される。運転手Dは、第1範囲P1を見ている場合、表示部60、音声出力部40、及び振動部50から安全確認に関する出力がされない。運転手Dが第1範囲P1を見ていない場合、表示部60、音声出力部40、及び振動部50から安全確認に関する出力がされる。しかし、自車両1と前方の他車両Nとの距離が十分でない場合、運転手Dは、自車両1の前方に注意を払うべきなので、表示部60に「前方に他車両があります。前を向いてください。」と画像が表示され、音声出力部40から「前方に他車両があります。前を向いてください。」と音声が発せられ、左前側振動部50aと右前側振動部50bが振動する(図15のステップS411)。
【0101】
図19に示すように、自車両1が高速道路の合流車線T1を走行し、本線車線T2に合流しようとしている。この場合、運転手Dが見る許容範囲Pは、第2範囲P2と第4範囲P4に設定される。運転手Dは、第2範囲P2又は第4範囲P4を見ている場合、表示部60、音声出力部40、及び振動部50から安全確認に関する出力がされない。しかし、自車両1と道路沿いの壁Wとの距離が十分でない場合、表示部60に「このまま直進すると道がなくなる可能性があります。周囲を確認してください。」と画像が表示され、音声出力部40から「このまま直進すると道がなくなる可能性があります。周囲を確認してください。」と音声が発せられ、左前側振動部50aと右前側振動部50bが振動する(図15のステップS411)。
【0102】
図19に示すように、自車両1が高速道路の合流車線T1を走行し、本線車線T2に合流しようとしている。この場合、運転手Dが見る許容範囲Pは、第2範囲P2と第4範囲P4に設定される。運転手Dは、第2範囲P2又は第4範囲P4を見ている場合、表示部60、音声出力部40、及び振動部50から安全確認に関する出力がされない。しかし、自車両1と合流車線T1上のパイロンMとの距離が十分でない場合、表示部60に「前方に障害物があります、前を向いてください。」と画像が表示され、音声出力部40から「前方に障害物があります、前を向いてください。」と音声が発せられ、左前側振動部50aと右前側振動部50bが振動する(図15のステップS411)。
【0103】
実施例2の車載用情報処理装置10は、障害物に関する障害物情報を取得する障害物情報取得部136を備え、判断部(障害物判断部137)は、障害物情報に基づいて、自車両1に障害物が近づいたか否かを判断し、出力部(音声出力部40,振動部50,表示部60)は、障害物に関する判断部(障害物判断部137)の判断に基づいて、所定の報知を出力する(図13)。
【0104】
これにより、安全確認をすべき場所において、運転手Dが安全確認をすべき方向を見ていた場合であって、自車両1の走行方向の前方の障害物と接触する可能性がある場合に、前方を見るべき旨を報知することができる。そのため、より安全な運転を支援することができる。
【0105】
実施例2の車載用情報処理方法は、障害物に関する障害物情報を取得する障害物情報取得ステップ(図13のステップS410)を含み、判断ステップ(図13のステップS411)は、障害物情報に基づいて、自車両1に障害物が近づいたか否かを判断し、出力ステップ(図13のステップS412)は、障害物に関する判断ステップ(図13のステップS411)の判断に基づいて、所定の報知を出力する(図13)。
【0106】
これにより、安全確認をすべき場所において、運転手Dが安全確認をすべき方向を見ていた場合であって、自車両1の走行方向の前方の障害物と接触する可能性がある場合に、前方を見るべき旨を報知することができる。そのため、より安全な運転を支援することができる。なお、実施例2のこの他の構成及び作用効果については、実施例1と略同様であるため、説明を省略する。
【0107】
以上、本発明の車載用情報処理装置及び車載用情報処理方法を実施例1及び実施例2に基づき説明してきた。しかし、具体的な構成と動作については、これらの実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、各実施例の組み合わせ、設計の変更や追加等は許容される。
【0108】
実施例1及び実施例2では、安全確認が必要な場所を、高速道路における合流地点、信号機のない交差点、信号機のある交差点とする例を示した。しかし、安全確認が必要な場所は、これらの態様に限定されない。例えば、図21に示すように、安全確認が必要な場所を、片側一車線の道路において、走行車線T5に対向する対向車線T6の先にある目的地に行くために、右折を必要とする場所とすることもできる。また、安全確認が必要な場所は、自車両1が車線変更を必要とする場所とすることもできる。また、安全確認が必要な場所は、踏切の手前であって、一時停止を必要とする場所とすることもできる。
【0109】
実施例1及び実施例2では、脇見判断処理Aを、ウィンカーに関する情報を利用して、運転手Dが見る許容範囲Pを設定する例を示し、脇見判断処理Bを、自車両1の位置情報を利用して、運転手Dが見る許容範囲Pを設定する例を示し、脇見判断処理Cを、他車両情報を利用して、運転手Dが見る許容範囲Pを設定する例を示した。しかし、脇見判断処理A~Cは、ウィンカーに関する情報と、自車両1の位置情報と、他車両情報と、の何れの情報も利用することができる。
【0110】
実施例1及び実施例2では、出力部として、音声出力部40と振動部50と表示部60を使用する例を示した。しかし、出力部としては、この態様に限定されず、例えば、ヘッドアップディスプレイ装置を使用して、虚像を映し出してもよい。
【0111】
実施例1及び実施例2では、車載用情報処理装置10,110を搭載した自車両1を右ハンドル車とする例を示した。しかし、車載用情報処理装置を搭載した自車両を左ハンドル車としてもよい。
【0112】
実施例1及び実施例2では、運転手Dが見る許容範囲Pは、第1範囲P1と、第2範囲P2と、第3範囲P3と、第4範囲P4と、の4つの範囲を有する例を示した。しかし、許容範囲Pは、2つであってもよいし、5つ以上あってもよい。
【0113】
実施例2では、障害物判断部137は、自車両1の走行方向の前方にある障害物との距離に関して判断する例を示した。しかし、障害物判断部は、障害物情報取得部136が取得した障害物情報に基づいて、自車両1の運転手Dが見る許容範囲を判断してもよい。この場合、障害物判断部137が判断する運転手Dが見る許容範囲とは、障害物との接触や衝突を回避するために、運転手Dが見るべき一定の範囲の方向をいう。そして、障害物判断部137が判断する運転手Dが見る許容範囲は、設定部34が設定する運転手Dが見る許容範囲と同様であり、第1範囲P1と、第2範囲P2と、第3範囲P3と、第4範囲P4と、を有する。
【0114】
実施例2では、障害物判断処理を実施例1の脇見判断処理Aに適用する例を示した。しかし、障害物判断処理を実施例1の脇見判断処理B又は脇見判断処理Cに適用することもできる。
【0115】
実施例2では、障害物判断処理を障害物情報に基づいて判断する例を示した。しかし、障害物判断処理は、自車両1のスピードが出過ぎている際に、設定部34で設定した許容範囲Pに関わらず、報知をしてもよい。
【0116】
実施例1及び実施例2では、本発明の情報処理装置及び情報処理方法を、2車線の道路に適用する例を示した。しかし、本発明の情報処理装置及び情報処理方法は、3車線以上の道路に適用することができる。
【符号の説明】
【0117】
1 自車両
10 車載用情報処理装置
31 運転手情報取得部
32 車両情報取得部
33 他車両情報取得部
34 設定部
35 脇見判断部(判断部の一例)
40 音声出力部(出力部の一例)
50 振動部(出力部の一例)
60 表示部(出力部の一例)
136 障害物情報取得部
137 障害物判断部(判断部の一例)
D 運転手
N 他車両
P 許容範囲
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