(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-02
(45)【発行日】2022-12-12
(54)【発明の名称】インペラ、及び自吸式ポンプ装置
(51)【国際特許分類】
F04D 29/22 20060101AFI20221205BHJP
【FI】
F04D29/22 A
(21)【出願番号】P 2018082424
(22)【出願日】2018-04-23
【審査請求日】2021-03-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000148209
【氏名又は名称】株式会社川本製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100189913
【氏名又は名称】鵜飼 健
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【氏名又は名称】飯野 茂
(72)【発明者】
【氏名】山下 英吾
(72)【発明者】
【氏名】梅本 奨平
(72)【発明者】
【氏名】高橋 利造
【審査官】嘉村 泰光
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-050958(JP,A)
【文献】特開平05-001692(JP,A)
【文献】米国特許第04637778(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 1/00-13/16
F04D 17/00-19/02
F04D 21/00-25/16
F04D 29/00-35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポンプ室の二次側に開口する第1の貫通孔を有した第1の壁部、及び前記第1の壁部との間に前記ポンプ室を構成する第2の壁部を含む自吸式ポンプ装置の前記ポンプ室に収容され、回転軸により回転されるインペラであって、
中心を前記回転軸の軸線上に配置する第1のシュラウドと、
前記第1のシュラウドの前記第1の壁部側の面に、前記第1のシュラウドの中心回りに形成された複数の羽根と、
前記複数の羽根の前記第1の壁部側の一端に設けられて、前記回転軸と同軸となる環状に構成され、前記第1の壁部との間に隙間を構成し、前記回転軸の軸方向に直交する方向で外周縁が前記第1の貫通孔より前記中心側に位置する第2のシュラウドと、
を備え、
前記第1のシュラウドは、当該第1のシュラウドの厚み方向に貫通する第2の貫通孔を具備し、
前記第2のシュラウドは、円筒状に構成されて前記回転軸と同軸上に配置され、前記軸方向に直交する方向で前記第1の壁部との間に隙間を構成するマウス、及び、前記複数の羽根に設けられて前記マウスから径方向外側に延出する形状に構成され、前記軸方向で前記第1の壁部に対向し、前記第1の壁部との間に隙間を構成するカバー部を具備し、
前記カバー部は、前記第1の壁部の前記第2の壁部側に開口する溝と対向する、インペラ。
【請求項2】
ポンプ室の二次側に開口する第1の貫通孔を有した第1の壁部、及び前記第1の壁部との間に前記ポンプ室を構成する第2の壁部を含むポンプケーシングと、
モータと、
前記モータにより回転する回転軸と、
前記ポンプ室に収容されて前記回転軸により回転されるインペラであって、中心を前記回転軸の軸線上に配置する第1のシュラウド、前記第1のシュラウドの前記第1の壁部側の面に、前記第1のシュラウドの中心回りに形成された複数の羽根、及び前記複数の羽根の前記第1の壁部側の一端に設けられて、前記回転軸と同軸となる環状に構成され、前記第1の壁部との間に隙間を構成し、
前記回転軸の軸方向に直交する方向
で外周縁が前記第1の貫通孔より前記中心側に位置する第2のシュラウド
を具備するインペラと、を備え、
前記第1のシュラウドは、当該第1のシュラウドの厚み方向に貫通する第2の貫通孔を具備し、
前記第2のシュラウドは、円筒状に構成されて前記回転軸と同軸上に配置され、前記軸方向に直交する方向で前記第1の壁部との間に隙間を構成するマウス、及び、前記複数の羽根に設けられて前記マウスから径方向外側に延出する形状に構成され、前記軸方向で前記第1の壁部に対向し、前記第1の壁部との間に隙間を構成するカバー部を具備し、
前記カバー部は、前記第1の壁部の前記第2の壁部側に開口する溝と対向する、
自吸式ポンプ装置。
【請求項3】
前記ポンプケーシングは、前記ポンプ室の一次側に位置する吸込室を構成する内壁部を具備し、
前記第1の壁部と前記内壁部との間にシール部材が設けられ、
前記第1の壁部の前記シール部材と前記回転軸の軸方向に相対する面は、溝を有する形状に構成され、
前記第2のシュラウドは、前記軸方向に前記溝に対向する
請求項
2に記載の自吸式ポンプ装置。
【請求項4】
前記第1の壁部に設けられたライナリングを具備し、
前記第2のシュラウドは、円筒状に構成されて前記ライナリング内で前記回転軸と同軸上に配置されるマウス、及び前記複数の羽根に設けられて前記マウスから径方向外側に延出する形状に構成され、前記回転軸の軸方向で前記第1の壁部との間に隙間を構成するカバー部
を具備する
請求項
2に記載の自吸式ポンプ装置。
【請求項5】
ポンプ室の二次側に開口する第1の貫通孔を有した第1の壁部、及び前記第1の壁部との間に前記ポンプ室を構成する第2の壁部を含むポンプケーシングと、
モータと、
前記モータにより回転する回転軸と、
前記ポンプ室に収容されて前記回転軸により回転されるインペラであって、中心が前記回転軸の軸心上に配置される第1のシュラウド、前記第1のシュラウドの前記第1の壁部側の面に、前記第1のシュラウドの中心回りに形成された複数の羽根、及び前記複数の羽根の前記第1の壁部側の一端に設けられて、前記回転軸と同軸となる環状に構成され、前記第1の壁部との間に隙間を構成し、外周縁が前記回転軸に直交する方向に前記第1の貫通孔より前記中心側に位置する第2のシュラウドを具備するインペラと、を備え、
前記回転軸の軸方向に前記第1の壁部から前記複数の羽根までの第1の距離は、前記軸方向に前記第1の壁部から前記第2のシュラウドまでの第2の距離と等しい、自吸式ポンプ装置。
【請求項6】
ポンプ室の二次側に開口する第1の貫通孔を有した第1の壁部、及び前記第1の壁部との間に前記ポンプ室を構成する第2の壁部を含むポンプケーシングと、
モータと、
前記モータにより回転する回転軸と、
前記ポンプ室に収容されて前記回転軸により回転されるインペラであって、中心が前記回転軸の軸心上に配置される第1のシュラウド、前記第1のシュラウドの前記第1の壁部側の面に、前記第1のシュラウドの中心回りに形成された複数の羽根、及び前記複数の羽根の前記第1の壁部側の一端に設けられて、前記回転軸と同軸となる環状に構成され、前記第1の壁部との間に隙間を構成し、外周縁が前記回転軸に直交する方向に前記第1の貫通孔より前記中心側に位置する第2のシュラウドを具備するインペラと、を備え、
前記回転軸の軸方向に前記第1の壁部から前記複数の羽根までの第1の距離は、前記軸方向に前記第1の壁部から前記第2のシュラウドまでの第2の距離より短い、自吸式ポンプ装置。
【請求項7】
ポンプ室の二次側に開口する第1の貫通孔を有した第1の壁部、及び前記第1の壁部との間に前記ポンプ室を構成する第2の壁部を含むポンプケーシングと、
モータと、
前記モータにより回転する回転軸と、
前記ポンプ室に収容されて前記回転軸により回転されるインペラであって、中心が前記回転軸の軸心上に配置される第1のシュラウド、前記第1のシュラウドの前記第1の壁部側の面に、前記第1のシュラウドの中心回りに形成された複数の羽根、及び前記複数の羽根の前記第1の壁部側の一端に設けられて、前記回転軸と同軸となる環状に構成され、前記第1の壁部との間に隙間を構成し、外周縁が前記回転軸に直交する方向に前記第1の貫通孔より前記中心側に位置する第2のシュラウドを具備するインペラと、を備え、
前記第2のシュラウドは、円筒状に構成されて前記回転軸と同軸上に配置され、前記回転軸の軸方向に直交する方向で前記第1の壁部との間に隙間を構成するマウス、及び前記複数の羽根に設けられて前記マウスから径方向外側に延出する形状に構成され、前記軸方向で前記第1の壁部と対向し、前記第1の壁部との間に隙間を構成するカバー部
を具備し、
前記回転軸の軸方向に前記第1の壁部から前記複数の羽根までの第1の距離と、前記軸方向に前記第1の壁部から前記カバー部までの第2の距離と、前記軸方向に直交する方向に前記第1の壁部から前記マウスまでの第3の距離とは、等しい、自吸式ポンプ装置。
【請求項8】
ポンプ室の二次側に開口する第1の貫通孔を有した第1の壁部、及び前記第1の壁部との間に前記ポンプ室を構成する第2の壁部を含むポンプケーシングと、
モータと、
前記モータにより回転する回転軸と、
前記ポンプ室に収容されて前記回転軸により回転されるインペラであって、中心が前記回転軸の軸心上に配置される第1のシュラウド、前記第1のシュラウドの前記第1の壁部側の面に、前記第1のシュラウドの中心回りに形成された複数の羽根、及び前記複数の羽根の前記第1の壁部側の一端に設けられて、前記回転軸と同軸となる環状に構成され、前記第1の壁部との間に隙間を構成し、外周縁が前記回転軸に直交する方向に前記第1の貫通孔より前記中心側に位置する第2のシュラウドを具備するインペラと、を備え、
前記第2のシュラウドは、円筒状に構成されて前記回転軸と同軸上に配置され、前記回転軸の軸方向に直交する方向で前記第1の壁部との間に隙間を構成するマウス、及び前記複数の羽根に設けられて前記マウスから径方向外側に延出する形状に構成され、前記軸方向で前記第1の壁部と対向し、前記第1の壁部との間に隙間を構成するカバー部
を具備し、
前記回転軸の軸方向に前記第1の壁部から前記複数の羽根までの第1の距離は、前記軸方向に前記第1の壁部から前記カバー部までの第2の距離よりも短く、かつ、前記軸方向に直交する方向に前記第1の壁部から前記マウスまでの第3の距離と等しい、自吸式ポンプ装置。
【請求項9】
ポンプ室の二次側に開口する第1の貫通孔を有した第1の壁部、及び前記第1の壁部との間に前記ポンプ室を構成する第2の壁部を含むポンプケーシングと、
モータと、
前記モータにより回転する回転軸と、
前記ポンプ室に収容されて前記回転軸により回転されるインペラであって、中心が前記回転軸の軸心上に配置される第1のシュラウド、前記第1のシュラウドの前記第1の壁部側の面に、前記第1のシュラウドの中心回りに形成された複数の羽根、及び前記複数の羽根の前記第1の壁部側の一端に設けられて、前記回転軸と同軸となる環状に構成され、前記第1の壁部との間に隙間を構成し、外周縁が前記回転軸に直交する方向に前記第1の貫通孔より前記中心側に位置する第2のシュラウドを具備するインペラと、を備え、
前記第2のシュラウドは、円筒状に構成されて前記回転軸と同軸上に配置され、前記回転軸の軸方向に直交する方向で前記第1の壁部との間に隙間を構成するマウス、及び前記複数の羽根に設けられて前記マウスから径方向外側に延出する形状に構成され、前記軸方向で前記第1の壁部と対向し、前記第1の壁部との間に隙間を構成するカバー部
を具備し、
前記回転軸の軸方向に前記第1の壁部から前記複数の羽根までの第1の距離は、前記軸方向に前記第1の壁部から前記カバー部までの第2の距離よりも短く、かつ、前記軸方向に直交する方向に前記マウスから前記第1の壁部までの第3の距離より長い、自吸式ポンプ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自吸式ポンプ装置に用いられるインペラ、及び自吸式ポンプ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自吸式のポンプ装置は、起動開始時に、揚水管が連結される吸込口から、送水先へ水を送る送水管が連結される吐出口までの流路が水でみたされていない場合に、自吸運転を行う。自吸式ポンプ装置は、起動開始時に吸込口から吐出口までの流路が水で満たされている場合、または、起動開始後、自吸運転により吸込口から吐出口までの流路が水で満たされると、水を増圧して二次側に吐出する揚水運転を行う。このようなポンプ装置は、吸込口及び吐出口を有するポンプケーシングと、モータにより回転されるインペラと、を備えている。
【0003】
ポンプケーシングは、吸込口に連通する吸込室と、吸込室の二次側に位置し、インペラが収容されたポンプ室と、ポンプ室の二次側に位置し、吐出口に連通する吐出室と、を備えている。自吸運転では、吸込室内の水は、インペラが回転することで空気が混合されて、気液混合水として吐出室に吐出される。
【0004】
この作用により、吸込室に負圧が発生し、揚水管内の空気が吸上げられる。吐出室に吐出された気液混合水は、吐出室内で空気と水とに分離される。空気が分離された水は、吸込室またはポンプ室に戻り、インペラの回転によって再び空気と混合されて気液混合水として、吐出室に吐出される。自吸式のポンプ装置は、このプロセスを繰り返すことで揚水管内の水面を上昇させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ポンプ装置は、インペラとポンプ室の内面との間の隙間が大きいと、ポンプ室から吐出室へ吐き出されずにポンプ室の流入口側へ戻る水の量、所謂の水の漏れ量が多くなる為、ポンプ効率が低下する。水の漏れ量を小さくする為、クローズ型のインペラを用いることも考えられるがズ型のインペラでは、吐出室から戻った水がインペラ内に流入しにくく、かつ、インペラ内の空気が排出されにくい為、自吸効率が低下する。
【0007】
この為、本発明は、自吸効率及びポンプ効率が低下することを防止可能なインペラ、及び自吸式ポンプ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様のインペラは、ポンプ室の二次側に開口する第1の貫通孔を有した第1の壁部、及び前記第1の壁部との間に前記ポンプ室を構成する第2の壁部を含む自吸式ポンプ装置の前記ポンプ室に収容され、回転軸により回転されるインペラである。前記インペラは、中心を前記回転軸の軸線上に配置する第1のシュラウドと、前記第1のシュラウドの前記第1の壁部側の面に、前記第1のシュラウドの中心回りに形成された複数の羽根と、前記複数の羽根の前記第1の壁部側の一端に設けられて、前記回転軸と同軸となる環状に構成され、前記第1の壁部との間に隙間を構成し、前記回転軸の軸方向に直交する方向で外周縁が前記第1の貫通孔より前記中心側に位置する第2のシュラウドと、を備え、前記第1のシュラウドは、当該第1のシュラウドの厚み方向に貫通する第2の貫通孔を具備し、前記第2のシュラウドは、円筒状に構成されて前記回転軸と同軸上に配置され、前記軸方向に直交する方向で前記第1の壁部との間に隙間を構成するマウス、及び、前記複数の羽根に設けられて前記マウスから径方向外側に延出する形状に構成され、前記軸方向で前記第1の壁部に対向し、前記第1の壁部との間に隙間を構成するカバー部を具備し、前記カバー部は、前記第1の壁部の前記第2の壁部側に開口する溝と対向する。
【0009】
本発明の一態様の自吸式ポンプ装置は、ポンプ室の二次側に開口する第1の貫通孔を有した第1の壁部、及び前記第1の壁部との間に前記ポンプ室を構成する第2の壁部を含むポンプケーシングと、モータと、前記モータにより回転する回転軸と、前記ポンプ室に収容されて前記回転軸により回転されるインペラであって、中心が前記回転軸の軸心上に配置される第1のシュラウド、前記第1のシュラウドの前記第1の壁部側の面に、前記第1のシュラウドの中心回りに形成された複数の羽根、及び前記複数の羽根の前記第1の壁部側の一端に設けられて、前記回転軸と同軸となる環状に構成され、前記第1の壁部との間に隙間を構成し、前記回転軸の軸方向に直交する方向で外周縁が前記第1の貫通孔より前記中心側に位置する第2のシュラウドを具備するインペラと、を備え、前記第1のシュラウドは、当該第1のシュラウドの厚み方向に貫通する第2の貫通孔を具備し、前記第2のシュラウドは、円筒状に構成されて前記回転軸と同軸上に配置され、前記軸方向に直交する方向で前記第1の壁部との間に隙間を構成するマウス、及び、前記複数の羽根に設けられて前記マウスから径方向外側に延出する形状に構成され、前記軸方向で前記第1の壁部に対向し、前記第1の壁部との間に隙間を構成するカバー部を具備し、前記カバー部は、前記第1の壁部の前記第2の壁部側に開口する溝と対向する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、自吸効率及びポンプ効率が低下することを防止可能なインペラ、及び自吸式ポンプ装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態に係るポンプ装置の構成を示す断面図。
【
図2】同ポンプ装置に用いられるガイドベーンの構成を示す平面図。
【
図5】同ポンプ装置に用いられるインペラの構成を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の一実施形態に係るポンプ装置10を、
図1乃至
図6を用いて説明する。
図1は、ポンプ装置10を示す断面図である。
図2は、ポンプ装置10に用いられるガイドベーン44を示す平面図である。
図3は、ガイドベーン44を、
図2に示すF3-F3線断面に沿って切断した状態を示す断面図である。
図4は、ポンプ装置10の要部を拡大して示す断面図である。
図5は、ポンプ装置10に用いられるインペラ60を示す平面図である。
図6は、インペラ60を切断した状態を示す断面図である。
【0013】
ポンプ装置10は、ポンプ装置10の吸込口41の一次側に連結された揚水管から吸い上げた水を増圧して吐出口42から吐出する揚水運転を行う。また、ポンプ装置10は、起動後、吸込口41から吐出口42までの流路が水で満たされていない場合は、自吸運転を行う。
【0014】
図1に示すように、ポンプ装置10は、水を増圧して吐出するポンプ20と、ポンプ20を駆動するモータ90と、ポンプ20及びモータ90を支持する台100と、を有している。
【0015】
ポンプ20は、ポンプケーシング30と、ポンプケーシング30内に収容されたインペラ60と、インペラ60に固定され、モータ90により回転される回転軸70と、ポンプケーシング30及び回転軸70の間を密封する軸封装置80と、を有している。
【0016】
ポンプケーシング30は、吸込室R1を構成するケーシング40と、カバー部材50と、を有している。カバー部材50は、ケーシング40との間に、インペラ60が収容されるポンプ室R2、及び吐出室R3を構成する。
【0017】
ケーシング40は、1つまたは複数の部材から構成される。本実施形態では、ケーシング40は、内部に吸込室R1を構成し、かつ、吸込口41及び吐出口42が形成されたケーシング本体43と、ケーシング本体43とは別部材であり、カバー部材50との間にポンプ室R2を構成するガイドベーン44と、を有している。
【0018】
ケーシング本体43は、例えば金属材料または樹脂材料で構成されている。ケーシング本体43は、筒状に構成された外郭部43aと、外郭部43a内に形成された内壁部46と、を有している。
【0019】
外郭部43aは、モータ90側の一端に開口43bを有し、他端に吸込口41を有する筒状に構成されている。吸込口41には、逆止弁45が設けられている。逆止弁45は、吸込口41から吸込室R1への水の流れを許容し、吸込室R1から吸込口41への水の流れを規制する。また、吸込口41には、例えば、揚水管が接続される筒状の接続部が設けられている。外郭部43aの外周部には、吐出口42が形成されている。また外郭部43aには、吐出口42の二次側の流路の一部を構成する筒状部42aが設けられている。筒状部には、送水先へ水を送水する送水管を接続する為のフランジが設けられている。
【0020】
内壁部46は、ケーシング本体43内に、吸込口41に連通する吸込室R1を構成する。内壁部46は、本実施形態では、一例として筒状に構成されている。内壁部46のカバー部材50側の一端の開口46aは、例えば円形に形成されている。
【0021】
ガイドベーン44は、内壁部46固定されている。ガイドベーン44は、例えば樹脂材料で形成されている。ガイドベーン44は、内壁部46のポンプ室R2側の開口46aに固定される筒状の固定部47と、固定部47の軸方向一端から固定部47の径方向外側に延出した基部48と、基部48の一方の主面に複数形成された案内羽根49と、を有している。
【0022】
図2乃至
図4に示すように、固定部47は、内壁部46の開口46a内に嵌合する円筒状部47aと、円筒状部47aの径方向外側に形成された環状の溝部47bと、溝部47b内に設けられるOリング47cと、を有している。
【0023】
円筒状部47aは、開口46a内に、例えば圧入されて固定される。円筒状部47aは、円筒状部47aの軸線が例えば開口46aと同軸上に位置に配置されている。溝部47bは、ガイドベーン44がケーシング本体43内に固定された状態で、内壁部46に対向している。Oリング47cは、固定部47と内壁部46とに密着し、固定部47と内壁部46との間を密閉する。Oリング47cは、具体的には、開口46aの縁に密着する。
【0024】
固定部47の、ガイドベーン44がケーシング本体43内に固定された状態でポンプ室R2に対向する端面47eと溝部47bの底面47b1との間の厚みは、固定部47の強度が十分な強度となる厚みを有している。端面47eは、円筒状部47aと同心となる円上に、間欠的に複数の溝47gを有する形状に構成されている。端面47eを構成する肉厚部分は、補強部47fを構成する。補強部47fの内径は、本実施形態では一例として、円筒状部47aの内径よりも大きい。
【0025】
基部48は、ケーシング本体43に固定された状態で円筒状部47aの軸方向でインペラ60の後述する羽根62と対向する、環状に構成された第1の部分48aと、第1の部分48aの外側に構成された第2の部分48bと、を有している。
【0026】
第1の部分48aには、複数の第1の貫通孔48a2が形成されている。複数の第1の貫通孔48a2は、それぞれ、第1の部分48aを第1の部分48aの例えば厚み方向に貫通している。すなわち、複数の第1の貫通孔48a2は、それぞれ、吐出室R3及びポンプ室R2に開口する。
【0027】
複数の第1の貫通孔48a2は、吐出室R3からの水をポンプ室R2へ流動可能に形成されている。複数の第1の貫通孔48a2は、例えば、円筒状部47aと同心となる円上に等間隔に配置されている。このように構成された第1の部分48aの面48a1は、固定部47の端面47eよりも、ガイドベーン44がケーシング本体43に固定された状態でポンプ室R2側に位置している。
【0028】
第2の部分48bのポンプ室R2側の面48b1は、第1の部分48aの面48a1よりも、円筒状部47aの軸方向で吸込室R1側に位置している。面48b1は、円筒状部47aの軸方向にほぼ直交する平面に構成されている。面48b1には、複数の案内羽根49が形成されている。複数の案内羽根49は、面48b1から、カバー部材50に向かって突出している。複数の案内羽根49は、インペラ60から流出する水を、吐出室R3に案内する。
【0029】
カバー部材50は、例えば、金属を材料として形成されている。カバー部材50は、
図1に示すように、回転軸70の一部を配置する孔51が形成され、インペラ60との間に軸封装置80を収容する収容室52を構成する収容室構成部53と、収容室構成部53から孔51の軸方向に直交する方向に延出した板状のカバー本体54と、を有している。
【0030】
収容室構成部53は、カバー部材50を形成する材料を、厚みを略一定に維持したままモータ90側に突出した形状に構成されている。カバー本体54は、ケーシング本体43との間に吐出室R3を構成している。カバー本体54とケーシング本体43の開口43bの縁部との間には、シール部材55が設けられている。シール部材55は、カバー本体54とケーシング本体43との間を密閉する。シール部材55は、例えばOリングである。
【0031】
また、カバー本体54の一方の主面54aは、カバー部材50がケーシング本体43に固定された状態で、インペラ60及びガイドベーン44の案内羽根49に対向する。面54aとインペラ60との間、及び、面54aと案内羽根49との間には、水が流動可能な隙間Sが構成される。面54aは、第1の面部54a1と、第2の面部54a2と、を有している。
【0032】
第1の面部54a1は、収容室構成部53に連続する。第1の面部54a1は、孔51と同軸上に配置される環状に構成されている。第1の面部54a1は、カバー部材50がケーシング本体43に固定された状態でインペラ60の後述する第1のシュラウド61に対向する。
【0033】
第2の面部54a2は、第1の面部54a1より径方向外側に位置し、第1の面部54a1に連続する環状に構成されている。第2の面部54a2は、カバー部材50がケーシング本体43に固定された状態で、第1のシュラウド61の一部と、ガイドベーン44の案内羽根49と、に対向する。第2の面部54a2と第1のシュラウド61との間の隙間は、第1の面部54a1と第1のシュラウド61との間の隙間より小さい。
【0034】
図5及び
図6に示すように、インペラ60は、ポンプ室R2内に配置される。インペラ60は、カバー部材50の収容室構成部53、及びカバー本体54の一部に対向する。インペラ60は、カバー部材50側に配置された第1のシュラウド61と、第1のシュラウド61の吸込室R1側の面に複数形成された羽根62と、羽根62に設けられてガイドベーン44に対向する第2のシュラウド63と、を有している。
【0035】
第1のシュラウド61は、回転軸70が固定される筒状部64と、筒状部64の外周面から筒状部64の軸方向に直交する方向の外側に延出した基部65と、を有している。
【0036】
筒状部64は、回転軸70に、回転軸70の周方向及び軸方向に固定される。筒状部64が回転軸70に固定されると、開口46a、インペラ60、ガイドベーン44、及び回転軸70は、同軸上に配置される。すなわち、第1のシュラウド61の中心は、回転軸70の軸線上に位置する。
【0037】
筒状部64の内周面64aは、回転軸70の端部と、当該端部に設けられたキー71とが収容される形状に構成されている。インペラ60は、筒状部64の内周面64aの一部が回転軸70の周方向にキー71と係合することにより、回転軸70と一体に回転される。キー71により、筒状部64が回転軸70に周方向に固定される。
【0038】
基部65は、筒状部64から径方向に所定位置まで延出した湾曲部65aと、湾曲部65aの外側に形成された平板部65bと、を有している。
【0039】
湾曲部65aは、厚みが略一定であり、カバー部材50側の面、及び吸込室R1側の面が曲面となる形状に構成されている。
【0040】
平板部65bは、湾曲部65aから径方向外側に延出している。平板部65bは、厚みが略一定であり、カバー部材50側の面、及び吸込室R1側の面が、筒状部64の軸方向に直交する平面となる形状に構成されている。
【0041】
平板部65bには、複数の第2の貫通孔66が形成されている。複数の第2の貫通孔66は、平板部65bを平板部65bの厚み方向に貫通している。すなわち、複数の第2の貫通孔66は、ポンプ室R2と、インペラ60及びカバー部材50の間の空間とを連通している。複数の第2の貫通孔66は、筒状部64と同心となる円周上に、例えば等間隔に配置されている。
【0042】
羽根62は、複数枚、例えば本実施形態においては5枚、平板部65bの周方向で等間隔に設けられている。複数の羽根62は、平板部65bの内周縁から外周縁まで延びている。複数の羽根62は、所定の曲率で湾曲する曲面に構成されている。
【0043】
複数の羽根62は、面48a1との間に隙間Aを有している。隙間Aは、流路抵抗を大きくし、水が流れにくい隙間に構成されている。回転軸70の軸方向に、面48a1から羽根62の先端までの距離は、距離A1に設定されている。距離A1は、極力小さい距離に設定されている。
【0044】
第2のシュラウド63は、
図1及び
図5に示すように、環状に構成されており、複数の羽根62の、筒状部64の軸方向に吸込室R1側の先端に、例えば溶着により固定されている。第2のシュラウド63は、ガイドベーン44の固定部47の内側に配置された円筒状のマウス67と、マウス67の外周面の一端からマウス67の径方向外側に延出したカバー部68と、を有している。
【0045】
マウス67は、筒状部64と同軸上に配置されている。さらに、マウス67は、回転軸70と同軸上に配置される。マウス67は、外径が固定部47の補強部47fの内径よりも小径である円筒状に構成されている。マウス67の外周面67aは、固定部47の内側に配置される。マウス67は、本実施形態では、補強部47fの内側に配置される。マウス67は、マウス67の径方向でガイドベーン44との間に、隙間Cを構成する。本実施形態では、マウス67は、補強部47fの内周面47f1との間に、隙間Cを構成する。隙間Cは、流量抵抗が大きく、水が流れにくい隙間に構成される。補強部47fの内径の半径とマウス67の外径の半径との差C1は、極力小さい長さに設定されている。差C1は、径方向に補強部47fの内周面47f1からマウス67の外周面67aまでの距離である。
【0046】
カバー部68は、マウス67と同軸上に配置されている。カバー部68の外周縁68aは、マウス67と同心となる円形に構成されている。すなわち、カバー部68は、回転軸70と同軸となる円環状に構成される。なお、外周縁68aは、カバー部68のうち、径方向に最も外側となる部分である。
【0047】
カバー部68の外周縁68aは、マウス67の径方向に、ガイドベーン44の第1の貫通孔48a2よりもマウス67の軸線側、すなわち、第1のシュラウド61の中心側に位置する。さらに換言すると、カバー部68の外周縁68aは、ガイドベーン44の回転軸70の軸方向で第1の貫通孔48a2と対向する位置よりも回転軸70の軸線側に位置する。回転軸70の軸線は、インペラ60の回転中心Lとなる。
【0048】
カバー部68の回転軸70の軸方向でガイドベーン44側の面68bは、回転軸70の軸方向でガイドベーン44の補強部47fの端面47eに対向する。面68bは、端面47eとの間に隙間Bを構成する。隙間Bは、流量抵抗が大きく水が流れにくい隙間に構成される。回転軸70の軸方向に面68bから端面47eまでの距離は、距離B1である。距離B1は、極力小さい距離に設定されている。
【0049】
距離A1,B1,C1は、以下のいずれかの組み合わせに設定されている。組み合わせ1では、距離A1,B1,C1は、等しい。組み合わせ2では、A1<B1であり、A1=C1である。組み合わせ3では、A1<B1であり、A1>C1である。
【0050】
回転軸70の端部72は、
図1に示すように、筒状部64内に収容されている。端部72は、ボルト等の固定部材73により、インペラ60に回転軸70の軸方向に固定されている。回転軸70は、キー71により、周方向にインペラ60に固定されている。回転軸70は、筒状部64と同軸上に配置される。なお、固定部材73には、水の流動抵抗を小さくする為のキャップ73aが設けられている。
【0051】
軸封装置80は、例えば、回転軸70、カバー部材50、及びインペラ60に設けられたメカニカルシールである。軸封装置80は、カバー部材50と回転軸70との間を密閉する。
【0052】
モータ90は、モータケーシング91と、モータケーシング91内に設けられたステータと、モータケーシング91内に配置され、回転軸70と直接または間接的に固定されたロータと、を有している。ロータが回転することにより、回転軸70及びインペラ60は一体に回転する。
【0053】
次に、ポンプ装置10の動作を説明する。ポンプ装置10は、揚水運転、または、自吸運転を行う。自吸運転時に、インペラ60を水に浸した状態となっていない場合は、別に設けられたタンクから自吸運転用の水を吸込室R1及びポンプ室R2に注入し、インペラ60を水に浸した状態とする。
【0054】
この状態でインペラ60を回転させることで、自吸運転が行われる。自吸運転では、インペラ60の回転により、ポンプケーシング30内の空気が水に混合された気液混合水が形成される。気液混合水は、吐出室R3に送られる。
【0055】
気液混合水が吐出室R3に吐出されることにより、吸込室R1に負圧が発生し、吸込口41に接続されている揚水管内の空気が吸上げられる。吐出室R3に送られた気液混合水は、吐出室R3内で、空気と水とに分離する。分離した空気は、吐出室R3の上方に位置する吐出口42から排出される。吐出室R3内は、インペラ60により増圧された水が吐出されているので、ポンプ室R2内の水より圧力が高い。
【0056】
吐出室R3に吐出された、ポンプ室R2内の圧力より高い圧力の水の一部は、圧力差により、ガイドベーン44の基部48の第1の貫通孔48a2を通ってポンプ室R2に戻る。また、吐出室R3の水の他の一部は、インペラ60とカバー部材50との間の隙間Sを流れる。インペラ60とカバー部材50との間の水は、インペラ60内の第2の貫通孔66の近傍の圧力より高い。隙間Sを流れる水の一部は、圧力差によって、第2の貫通孔66を通って、インペラ60内に戻る。
【0057】
このように第2の貫通孔66を通ることにより、空気が分離された水がポンプ室R2に再び戻る。さらに、貫通孔48a2,66を流動する水によりポンプ室R2内の貫通孔48a2,66の近傍に位置する水から空気が分離される。
【0058】
このように構成されたポンプ装置10では、第2のシュラウド63のカバー部68の外周縁68aは、ガイドベーン44の第1の貫通孔48a2よりもインペラ60の回転中心側、すなわち第1のシュラウド61の中心側に位置している。この為、第1の貫通孔48a2からポンプ室R2に戻った水がインペラ60内に流入するので自吸効率が低下することが防止される。
【0059】
さらに、第2のシュラウド63によって、インペラ60とガイドベーン44との間の隙間が、水の流動抵抗が大きく水が流れにくい隙間に構成される。この為、ポンプ室R2から吸込室R1へ水が漏れにくくなるので、ポンプ装置10のポンプ効率が低下することが防止される。
【0060】
このように、ポンプ装置10は、自吸効率及びポンプ効率が低下することを防止できる。
さらに、第1のシュラウド61の第2の貫通孔66を通って水がインペラ60内に流入するので、自吸効率を向上できる。
【0061】
さらに、第2のシュラウド63がマウス67を有することにより、インペラ60とガイドベーン44との間の隙間は、回転軸70の軸方向に延びる隙間Cを含む。軸方向に交差する方向、本実施形態では軸方向に略直交する方向の隙間A,Bより、軸方向に沿う隙間Cの方が、隙間を管理しやすい。この為、隙間Cを極力小さくすることが可能となるので、インペラ60とガイドベーン44との間の隙間を通って吸込室R1へ水が漏れることをより一層防止できる。
【0062】
さらに、第2のシュラウド63とガイドベーン44との間の隙間は、隙間A,B,Cとから構成される。隙間Bは、回転軸70の軸方向に交差する方向に沿う隙間であり、隙間Cは、回転軸70の軸方向に沿う隙間である。この為、第2のシュラウド63とガイドベーン44との間に隙間は、隙間Bと隙間Cとで屈曲する。この為、第2のシュラウド63とガイドベーン44との間の隙間内の流路抵抗が大きくなる。
【0063】
さらに、本実施形態では、隙間Bが、回転軸70の軸方向に直交する方向に沿う隙間であるので、第2のシュラウド63とガイドベーン44との間の隙間内の流路抵抗がより一層大きくなる。
【0064】
さらに、第2のシュラウド63のカバー部68をガイドベーン44の補強部47fに対向配置させることにより、補強部47fの端面47eとインペラ60との間の隙間を極力小さくすることが可能となる。この為、補強部47fの端面47eに溝47gを構成しても、端面47eとカバー部68との間の隙間の流路抵抗を大きくすることが可能となる。
【0065】
さらに、第2のシュラウド63によって、補強部47fの端面47eを、溝47gを有する形状に構成できるので、ガイドベーン44を製造する際に、補強部47fにひけが生じることを防止できる。すなわち、ガイドベーン44の成型性を向上できる。
【0066】
さらに、補強部47fの端面47eを、溝47gを有する形状に構成できるので、ガイドベーン44を、少ない材料で形成できる。この為、ガイドベーン44の製造コストを低減できる。
【0067】
さらに、ガイドベーン44と第2のシュラウド63のカバー部68との間の隙間は、カバー部68の外周面とガイドベーン44との間の隙間、及びカバー部68の面68bとガイドベーン44との間の隙間とを含む。カバー部68の外周面とガイドベーン44との間の隙間は、回転軸70の軸方向に沿う隙間である。この為、ガイドベーン44とカバー部68との間の隙間は、回転軸70の軸方向に沿う隙間と、回転軸70の軸方向に直交する方向の隙間と、を含むので、流路抵抗が大きくなる。さらに、流路抵抗が大きくなることにより損失が大きくなるので、ラビリンス効果も生じさせることが可能となる。
【0068】
さらに、隙間A,B,Cでのガイドベーン44からインペラ60までの距離A1,B1,C1を、組み合わせ1、組み合わせ2、及び組み合わせ3のうちのいずれか1つとすることにより、吸込室R1側の隙間Cでのガイドベーン44からインペラ60までの距離となる半径の差C1を最も小さくできるので、ポンプ室R2から吸込室R1への水の漏れをより一層防止できる。
【0069】
本実施形態では、ガイドベーン44の第1の貫通孔48a2は、一例として、ガイドベーン44の第1の部分48aに形成されたが、これに限定されない。第1の貫通孔48a2の位置は、ガイドベーン44やインペラ60等、ポンプ装置10の構成に応じて、適宜決定することができる。さらに、第2の貫通孔66は、第1のシュラウド61の平板部65bに形成されたが、これに限定されない。第2の貫通孔66の位置は、インペラ60やカバー部材50等、ポンプ装置10の構成に応じて、適宜決定することができる。さらに、第2の貫通孔66は、なくてもよい。
【0070】
なお、本実施形態では、インペラ60のマウス67を、ガイドベーン44の固定部47のマウス67と径方向に対向する部分の内径よりも小さい外径である筒状部に構成することによって、マウス67とケーシング40との間の隙間Cにより、吐出室R3から吸込室R1側に水が漏れることを規制している。しかしながら、隙間Cにより水の漏れを規制することに限定されない。他の例では、
図7に示す変形例のように、固定部47とマウス67との間に、水の漏れを防止するライナリング110が設けられてもよい。ライナリング110は、具体的には、補強部47fの内周面47f1の内側に固定される。マウス67は、ライナリング110の内周面との間に、インペラ60を回転可能とする程度のわずかな隙間を有している。
【0071】
また、本実施形態では、カバー部材50との間にポンプ室R2を形成する壁部の一例として、ガイドベーン44が設けられた。しかしながら、カバー部材50との間にポンプ室R2を構成する壁部はガイドベーン44に限定されない。カバー部材50との間にポンプ室R2を構成する壁部は、案内羽根49を有さない構成であってもよい。また、カバー部材50との間にポンプ室R2を構成する壁部は、ケーシング本体43と別部材であることに限定されない。この壁部は、ケーシング本体43と一体に形成されてもよい。
【0072】
また、本実施形態では、第2のシュラウド63は、マウス67とカバー部68とを有している。しかしながら、第2のシュラウド63は、マウス67を有さない構成であってもよい。マウス67を有さない構成であっても、隙間Bを極力小さくして流路抵抗を大きくすることによって、水の漏れを防止できる。この構成の場合、距離A1,B1は、以下の2つの組み合わせのうちのいずれかに設定されている。組み合わせ1は、距離A1と距離B1とが等しい。組み合わせ2は、距離A1より距離B1が長い。
【0073】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の発明が含まれており、開示される複数の構成要件から選択された組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、課題が解決でき、効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
以下に、本願の出願当初の特許請求の範囲に記載された発明と同等の記載を付記する。
[1]
ポンプ室の二次側に開口する第1の貫通孔を有した第1の壁部、及び前記第1の壁部との間に前記ポンプ室を構成する第2の壁部を含む自吸式ポンプ装置の前記ポンプ室に収容され、回転軸により回転されるインペラであって、
中心を前記回転軸の軸線上に配置する第1のシュラウドと、
前記第1のシュラウドの前記第1の壁部側の面に、前記第1のシュラウドの中心回りに形成された複数の羽根と、
前記複数の羽根の前記第1の壁部側の一端に設けられて、前記回転軸と同軸となる環状に構成され、前記第1の壁部との間に隙間を構成し、前記回転軸の軸方向に直交する方向で外周縁が前記第1の貫通孔より前記中心側に位置する第2のシュラウドと、
を具備するインペラ。
[2]
前記第1のシュラウドは、当該第1のシュラウドの厚み方向に貫通する第2の貫通孔を具備する[1]に記載のインペラ。
[3]
前記第2のシュラウドは、
円筒状に構成されて前記回転軸と同軸上に配置され、前記軸方向に直交する方向で前記第1の壁部との間に隙間を構成するマウスと、
前記複数の羽根に設けられて前記マウスから径方向外側に延出する形状に構成され、前記軸方向で前記第1の壁部に対向し、前記第1の壁部との間に隙間を構成するカバー部と、を具備する[2]に記載のインペラ。
[4]
前記カバー部は、前記第1の壁部の前記第2の壁部側に開口する溝と対向する[3]に記載のインペラ。
[5]
ポンプ室の二次側に開口する第1の貫通孔を有した第1の壁部、及び前記第1の壁部との間に前記ポンプ室を構成する第2の壁部を含むポンプケーシングと、
モータと、
前記モータにより回転する回転軸と、
前記ポンプ室に収容されて前記回転軸により回転されるインペラであって、中心が前記回転軸の軸心上に配置される第1のシュラウド、前記第1のシュラウドの前記第1の壁部側の面に、前記第1のシュラウドの中心回りに形成された複数の羽根、及び前記複数の羽根の前記第1の壁部側の一端に設けられて、前記回転軸と同軸となる環状に構成され、前記第1の壁部との間に隙間を構成し、外周縁が前記回転軸に直交する方向に前記第1の貫通孔より前記中心側に位置する第2のシュラウドを具備するインペラと、
を具備する自吸式ポンプ装置。
[6]
前記第1のシュラウドは、当該第1のシュラウドの厚み方向に貫通する第2の貫通孔を具備する[5]に記載の自吸式ポンプ装置。
[7]
前記第2のシュラウドは、
円筒状に構成されて前記回転軸と同軸上に配置され、前記回転軸の軸方向に直交する方向で前記第1の壁部との間に隙間を構成するマウス、及び前記複数の羽根に設けられて前記マウスから径方向外側に延出する形状に構成され、前記軸方向で前記第1の壁部と対向し、前記第1の壁部との間に隙間を構成するカバー部と、具備する[5]に記載の自吸式ポンプ装置。
[8]
前記ポンプケーシングは、前記ポンプ室の一次側に位置する吸込室を構成する内壁部を具備し、
前記第1の壁部と前記内壁部との間にシール部材が設けられ、
前記第1の壁部の前記シール部材と前記回転軸の軸方向に相対する面は、溝を有する形状に構成され、
前記第2のシュラウドは、前記軸方向に前記溝に対向する[5]に記載の自吸式ポンプ装置。
[9]
前記第1の壁部に設けられたライナリングを具備し、
前記第2のシュラウドは、円筒状に構成されて前記ライナリング内で前記回転軸と同軸上に配置されるマウス、及び前記複数の羽根に設けられて前記マウスから径方向外側に延出する形状に構成され、前記回転軸の軸方向で前記第1の壁部との間に隙間を構成するカバー部、具備する[5]に記載の自吸式ポンプ装置。
[10]
前記回転軸の軸方向に前記第1の壁部から前記複数の羽根までの第1の距離は、前記軸方向に前記第1の壁部から前記第2のシュラウドまでの第2の距離と等しい[5]に記載の自吸式ポンプ装置。
[11]
前記回転軸の軸方向に前記第1の壁部から前記複数の羽根までの第1の距離は、前記軸方向に前記第1の壁部から前記第2のシュラウドまでの第2の距離より短い[5]に記載の自吸式ポンプ装置。
[12]
前記回転軸の軸方向に前記第1の壁部から前記複数の羽根までの第1の距離と、前記軸方向に前記第1の壁部から前記カバー部までの第2の距離と、前記軸方向に直交する方向に前記第1の壁部から前記マウスまでの第3の距離とは、等しい[7]に記載の自吸式ポンプ装置。
[13]
前記回転軸の軸方向に前記第1の壁部から前記複数の羽根までの第1の距離は、前記軸方向に前記第1の壁部から前記カバー部までの第2の距離よりも短く、かつ、前記軸方向に直交する方向に前記第1の壁部から前記マウスまでの第3の距離と等しい[7]に記載の自吸式ポンプ装置。
[14]
前記回転軸の軸方向に前記第1の壁部から前記複数の羽根までの第1の距離は、前記軸方向に前記第1の壁部から前記カバー部までの第2の距離よりも短く、かつ、前記軸方向に直交する方向に前記マウスから前記第1の壁部までの第3の距離より長い[7]に記載の自吸式ポンプ装置。
【符号の説明】
【0074】
10…ポンプ装置、20…ポンプ、30…ポンプケーシング、40…ケーシング、41…吸込口、42…吐出口、43…ケーシング本体、43a…外郭部、43b…開口、44…ガイドベーン、46…内壁部、47c…Oリング、47e…端面、47f…補強部、48…基部、48a…第1の部分、48a1…面、48a2…第1の貫通孔、48b…第2の部分、48b1…面、49…案内羽根、50…カバー部材、60…インペラ、61…第1のシュラウド、62…羽根、63…第2のシュラウド、64…筒状部、65…基部、65a…湾曲部、65b…平板部、66…第2の貫通孔、67…マウス、68…カバー部、70…回転軸、80…軸封装置、90…モータ、110…ライナリング、A…隙間、A1…距離、B…隙間、B1…距離、C…隙間、C1…半径の差、R1…吸込室、R2…ポンプ室、R3…吐出室。