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特許7187174ガスタービン燃焼器で使用するための複数の出口スロットを備えた燃料噴射器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-02
(45)【発行日】2022-12-12
(54)【発明の名称】ガスタービン燃焼器で使用するための複数の出口スロットを備えた燃料噴射器
(51)【国際特許分類】
   F23R 3/28 20060101AFI20221205BHJP
   F02C 7/232 20060101ALI20221205BHJP
【FI】
F23R3/28 B
F02C7/232 B
【請求項の数】 10
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018091114
(22)【出願日】2018-05-10
(65)【公開番号】P2019023551
(43)【公開日】2019-02-14
【審査請求日】2021-04-30
(31)【優先権主張番号】15/593,561
(32)【優先日】2017-05-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390041542
【氏名又は名称】ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100113974
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 拓人
(72)【発明者】
【氏名】シュリーニバス・ラオ・グッバ
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・ジョン・ヒューズ
(72)【発明者】
【氏名】クリシュナ・カント・アガーワル
【審査官】高吉 統久
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-075173(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0067921(US,A1)
【文献】国際公開第2010/081612(WO,A1)
【文献】特開平06-101840(JP,A)
【文献】特開2004-205204(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23R 3/28
F02C 7/232
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の流体の通行用の開口を画定する内側側面を有するフレーム(304)と、
第1の燃料噴射ボディ(340)および第2の燃料噴射ボディ(340)であって、前記第1の燃料噴射ボディ(340)および前記第2の燃料噴射ボディ(340)は、前記フレーム(304)に結合されると共に前記開口の内部に位置決めされ、したがって、前記第1の流体用の入口流れ経路(352)は、前記フレーム(304)の前記内側側面および前記第1の燃料噴射ボディ(340)間と、前記フレーム(304)の前記内側側面および前記第2の燃料噴射ボディ(340)間と、に少なくとも画定され、各燃料噴射ボディ(340)は、燃料プレナム(350)を画定すると共に、前記燃料プレナム(350)と連通する複数の燃料噴射穴を画定する少なくとも1つの燃料噴射表面(346)を含む、第1の燃料噴射ボディ(340)および第2の燃料噴射ボディ(340)と、
前記入口流れ経路(352)の下流の、前記入口流れ経路(352)と流体連通する出口部材(310)であって、前記出口部材(310)は、前記出口部材(310)から出て行く離散した出口流れ経路(411)を作り出すように構成される、出口部材(310)と、
を含み、
前記出口部材(310)は、前縁端部壁(412)と、後縁端部壁(414)と、前記前縁端部壁(412)および前記後縁端部壁(414)を連結するペアの出口側壁(416)と、を含み、前記出口部材(310)は、前記前縁端部壁(412)から前記後縁端部壁(414)まで長手方向に延びるペアのストラット(365、366)をさらに含む燃料噴射器(110、120、500、515、550)。
【請求項2】
燃料噴射器(110、120、500、515、550)であって、
燃焼器(10)を囲む圧縮機排出ケース(40)内に画定されたプレナム(42)からの圧縮空気の通過のために、第1の流体の通行用の開口を画定する内側側面を有するフレーム(304)と、
第1の燃料噴射ボディ(340)および第2の燃料噴射ボディ(340)であって、前記第1の燃料噴射ボディ(340)および前記第2の燃料噴射ボディ(340)は、前記フレーム(304)に結合されると共に前記開口の内部に位置決めされ、したがって、前記圧縮空気用の入口流れ経路(352)は、前記フレーム(304)の前記内側側面および前記第1の燃料噴射ボディ(340)間と、前記フレーム(304)の前記内側側面および前記第2の燃料噴射ボディ(340)間と、に少なくとも画定され、前記第1の燃料噴射ボディ(340)は第1の燃料プレナム(350)を画定し、前記第2の燃料噴射ボディ(340)は第2の燃料プレナム(350)を画定し、前記第1および第2の燃料噴射ボディ(340)の各々は、それぞれ対応する第1または第2の燃料プレナム(350)と連通する複数の燃料噴射穴を画定する少なくとも1つの燃料噴射表面(346)を含む、第1の燃料噴射ボディ(340)および第2の燃料噴射ボディ(340)と、
前記入口流れ経路(352)の下流の、前記入口流れ経路(352)と流体連通する出口部材(310)とを含み、
前記出口部材(310)は
前記出口部材(310)から出て行く離散した出口流れ経路(411)を作り出すように構成されるペアのストラット(365、366)と、
前縁端部壁(412)と、
前記前縁端部壁(412)に実質的に平行な後縁端部壁(414)と、
前記前縁端部壁(412)および前記後縁端部壁(414)を連結し、前記前縁端部壁(412)から前記後縁端部壁(414)まで長手方向に延びるペアの出口側壁(416)と、
を含み、
前記燃料噴射器(110、120、500、515、550)は、前記燃焼器(10)のライナ(12)を介して圧縮空気と燃料の混合物を噴射するために、前記燃焼器(10)の外面に取り付けられるように構成されている、燃料噴射器(110、120、500、515、550)。
【請求項3】
前記フレーム(304)に結合されると共に前記第1および第2の燃料プレナム(350)の各々に流体連結されるコンジット取付部品(332)をさらに含み、前記コンジット取付部品(332)は、燃料供給管路(104)に流体連結される、請求項2に記載の燃料噴射器(110、120、500、515、550)。
【請求項4】
前記ペアのストラット(365、366)の各ストラット(365、366)は、前記燃料噴射器(110、120、500、515、550)を通る流れの方向に発散する形状を含み、各ストラット(365、366)は、前記第1の燃料噴射ボディ(340)および前記第2の燃料噴射ボディ(340)の少なくとも一方に近位の前縁と、前記前縁に対向する後縁と、を有する、請求項1乃至3のいずれかに記載の燃料噴射器(110、120、500、515、550)。
【請求項5】
第3の燃料噴射ボディをさらに含み、入口流れ経路(352)の数は、出口流れ経路(411)の数よりも大きい、請求項1乃至4のいずれかに記載の燃料噴射器(110、120、500、515、550)。
【請求項6】
前記ペアのストラット(365、366)の各ストラット(365、366)は、平らな表面およびアーチ状の表面を含み、前記平らな表面および前記アーチ状の表面は、前縁で連結され、前記ペアのストラット(365、366)は、第1のストラット(365)の前記平らな表面が、第2のストラット(366)の前記平らな表面に隣接して配設されて
、それらの間に中央出口スロットが画定される、請求項1乃至5のいずれかに記載の燃料噴射器(110、120、500、515、550)。
【請求項7】
前記複数のストラット(365、366)の各ストラット(365、366)は、前記前縁端部壁(412)の狭い寸法から前記後縁端部壁(414)の幅広の寸法にテーパになっている、請求項5に記載の燃料噴射器(110、120、500、515、550)。
【請求項8】
前記ペアの出口側壁(416)の第1の出口側壁に沿って配設される第1の流れ転用体(364)と、前記ペアの出口側壁(416)の第2の出口側壁に沿って配設される第2の流れ転用体(367)と、をさらに含み、前記第1の流れ転用体(364)および前記第2の流れ転用体(367)は、前記出口流れ経路(411)の中に突出する、請求項7に記載の燃料噴射器(110、120、500、515、550)。
【請求項9】
前記第1の流れ転用体(364)および前記第2の流れ転用体(367)は、前記出口流れ経路(411)の中に第1の距離、前記前縁端部壁(412)から前記後縁端部壁(414)の第2の距離まで突出し、前記第1の距離は、前記第2の距離より長く、前記出口流れ経路(411)は、前記燃料噴射器(110、120、500、515、550)の長手軸に沿った中央の出口流れ経路(411)と、前記燃料噴射器(110、120、500、515、550)の前記長手軸に対して第1の方向に傾斜した第1の出口流れ経路と、前記燃料噴射器(110、120、500、515、550)の前記長手軸に対して第2の方向に傾斜した第2の出口流れ経路と、を含み、
前記中央の出口流れ経路(411)と、前記第1の出口流れ経路と、前記第2の出口流れ経路とは、前記前縁端部壁(412)で相互に近位であり、前記第1の出口流れ経路および前記第2の出口流れ経路は、前記後縁端部壁(414)で前記長手軸から離れて傾斜する、請求項8に記載の燃料噴射器(110、120、500、515、550)。
【請求項10】
前記フレームおよび前記出口部材(510)間に配設され、前記燃料噴射器(110、120、500、515、550)を前記燃焼器の外面に固定する取付けフランジ(502)をさらに含む、請求項1乃至9のいずれかに記載の燃料噴射器(110、120、500、515、550)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般にガスタービン燃焼器用の燃料噴射器に関し、より詳細には、そういった燃焼器に関連する軸方向燃料ステージング(AFS)システムと共に使用するための燃料噴射器に関する。
【背景技術】
【0002】
少なくとも幾つかの公知のガスタービン組立体は、圧縮機、燃焼器、およびタービンを含む。ガス(例えば、周囲空気)は、圧縮機を通って流れ、そこではガスが1つまたは複数の燃焼器への送達前に圧縮される。各燃焼器では、圧縮された空気は、燃料と組み合わされて点火されて、燃焼ガスを発生させる。燃焼ガスは、各燃焼器からタービンまでそしてその中に向けられ、それによってタービンを駆動し、タービンが今度は、タービンに連結された電気発生器に給電する。またタービンは、共通のシャフトまたはロータを用いて圧縮機を駆動することがある。
【0003】
燃焼器によっては、燃焼ガスの発生は、2つの軸方向に隔置したステージで起こる。そういった燃焼器は、本明細書では、燃料およびオキシダントを1つまたは複数の下流の燃料噴射器に送達する「軸方向燃料ステージング」(AFS)システムを含んでいるとして参照される。AFSシステムを備えた燃焼器では、燃焼器の上流端部の1次燃料ノズルは、燃料および空気(または燃料/空気混合物)を軸方向に1次燃焼ゾーンの中に噴射し、1次燃料ノズルの下流位置に位置するAFS燃料噴射器は、燃料および空気(または2次燃料/空気混合物)を径方向に1次燃焼ゾーンの下流の2次燃焼ゾーンの中に噴射する。ケースによっては、望ましくは、燃料および空気が2次燃焼ゾーンの中に混合物として導入される。それ故に、AFS噴射器の混合能力は、ガスタービンの全体の運転効率および/またはエミッションに影響を及ぼす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】米国特許第9,400,114号公報
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、燃料および空気の混合物を径方向に燃焼器の中に送達してそれによって2次燃焼ゾーンを作り出すためのAFS燃料噴射器に向けられている。
【0006】
燃料噴射器は、フレームとフレームに結合されたペアの燃料噴射ボディとを含む。フレームは、第1の流体の通行用の開口を画定する内側側面を有する。第1の流体用の入口流れ経路は、フレームの内側側面およびそれぞれの燃料噴射ボディ間に少なくとも画定される。各燃料噴射ボディは、燃料プレナムを画定すると共に、燃料プレナムと連通する複数の燃料噴射穴を画定する少なくとも1つの燃料噴射表面を含む。出口部材は、入口流れ経路の下流に位置すると共にそれと流体連通する。出口部材は、ストラット、流れ転用体、および/または別個の出口部材を介して、出口部材から出て行く離散または分離した出口流れ経路を作り出すように構成される。
【0007】
当業者を対象にしたそのベストモードを含む本生産物および方法の完全かつ実施可能な程度の開示内容は、添付図面に言及している本明細書に記載されている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示に係る下流の燃料噴射器を含む燃焼缶の概略断面側面図である。
図2】本開示の1つの態様に係るペアの燃料噴射ボディを有する燃料噴射器の斜視図である。
図3図2の燃料噴射器の底部斜視図である。
図4図2の燃料噴射器の断面斜視図である。
図5】本開示の別の態様に係る3つの燃料噴射ボディを有する燃料噴射器の斜視図である。
図6】1つの実施形態に係る図5の燃料噴射器の底部斜視図である。
図7図5および6の燃料噴射器の断面斜視図である。
図8】別の実施形態に係る図5の燃料噴射器の底部斜視図である。
図9図5および8の燃料噴射器の断面斜視図である。
図10図5および8の燃料噴射器の断面図である。
図11】線11-11に沿って取った図10の燃料噴射器の断面図である。
図12】線12-12に沿って取った図10の燃料噴射器の断面図である。
図13】本開示の態様に係るペアの整列した燃料噴射ボディを有する代わりの燃料噴射器の概略図である。
図14図13の燃料噴射器の断面図である。
図15図13の燃料噴射器の出口ダクトの概略図である。
図16】本開示の態様に係るペアの角度付けされた燃料噴射ボディを有する代わりの燃料噴射器の概略図である。
図17図16の燃料噴射器の出口ダクトの概略図である。
図18】本開示の態様に係るペアの軸方向に千鳥状の平行な燃料噴射ボディを有する代わりの燃料噴射器の概略図である。
図19図18の燃料噴射器の出口ダクトの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下の詳細な説明は、様々な燃料噴射器、それらの構成要素部品、および、同製作する方法を、限定ではなく一例として、例証している。説明は、当業者が燃料噴射器を生産して使用することを可能にする。説明は、燃料噴射器を生産して使用するベストモードであると現在思われるものを含む燃料噴射器の幾つかの実施形態を提供する。例示的な燃料噴射器は、電力発生用の発生器に結合されたヘビーデューティガスタービン組立体の燃焼器内部で使用されると本明細書で説明している。しかしながら、企図するのは、本明細書で説明する燃料噴射器が、電力発生以外の様々な分野の広範囲のシステムへの一般的な用途を有するということである。
【0010】
本明細書で使用するとき、用語「半径」(またはその任意の変形例)は、任意の適切な形状(例えば、四角、長方形、三角形など)の中心から外方に延びる寸法を指し、丸い形状の中心から外方に延びる寸法に限定されない。同様に、本明細書で使用するとき、用語「周囲」(またはその任意の変形例)は、任意の適切な形状(例えば、四角、長方形、三角形など)の中心のまわりに延びる寸法を指し、丸い形状の中心のまわりに延びる寸法に限定されない。
【0011】
図1は、ヘビーデューティガスタービン用の缶アニュラ燃焼システムに含めることのできるような燃焼缶10の概略図である。缶アニュラ燃焼システムでは、複数(例えば、8、10、12、14、16、あるいはそれより多く)の燃焼缶10は、圧縮機をタービンに連結するロータの周りでアニュラアレイに位置決めされる。タービンは、電力を作り出すために(例えば、ロータによって)発生器に動作可能に連結されることがある。
【0012】
図1では、燃焼缶10は、燃焼ガス46を収容すると共にタービンに搬送するライナ12を含む。ライナ12は、多くの従来の燃焼システムにおけるように、円筒状のライナ部分と、円筒状のライナ部分から分離されている先細の移行部分と、を有することがある。代わりに、ライナ12は、円筒状の部分および先細の部分が単一部片に相互に統合される統一ボディ(または「ユニボディ」)構造を有することがある。このように、本明細書でのライナ12の任意の議論は、分離しているライナおよび移行部片を有する従来の燃焼システムと、ユニボディライナを有するそれらの燃焼システムと、の両方を包含することを目的としている。さらに、本開示は、タービンの移行部片およびステージワンノズルが単一ユニット(時々「移行ノズル」または「統合された出口部片」と呼ぶ)に統合されるそれらの燃焼システムに均等に適用可能である。
【0013】
ライナ12は、外側スリーブ14によって少なくとも部分的に囲まれ、外側スリーブ14は、ライナ12の径方向外方に隔置されて、ライナ12と外側スリーブ14の間に環形32を画定する。外側スリーブ14は、多くの従来の燃焼システムにおけるように、前部端部の流れスリーブ部分と、後部端部の衝突スリーブ部分と、を含むことがある。代わりに、外側スリーブ14は、流れスリーブ部分および衝突スリーブ部分が軸方向に相互に統合される統一ボディ(または「ユニスリーブ」)構造を有することがある。前のように、本明細書での外側スリーブ14の任意の議論は、分離している流れスリーブおよび衝突スリーブを有する従来の燃焼システムと、ユニスリーブの外側スリーブを有する燃焼システムと、の両方を包含することを目的としている。
【0014】
燃焼缶10のヘッド端部部分20は、1つまたは複数の燃料ノズル22を含む。燃料ノズル22は、燃料入口24を上流(または入口)端部に有する。燃料入口24は、燃焼缶10の前部端部に端部カバー26を通して形成されることがある。燃料ノズル22の下流(または出口)端部は、燃焼器キャップ28を貫通し、燃焼器キャップ28は、ヘッド端部部分20を径方向にまたがっており、また、ヘッド端部20を1次燃焼ゾーン50から分離している。
【0015】
燃焼缶10のヘッド端部部分20は、前部ケーシング30によって少なくとも部分的に囲まれ、前部ケーシング30は、圧縮機排出ケース40に物理的に結合されて流体連結される。圧縮機排出ケース40は、圧縮機(図示せず)の出口に流体連結され、燃焼缶10の少なくとも部分を囲む加圧空気プレナム42を画定する。空気36は、圧縮機排出ケース40から燃焼缶の後部端部の環形32の中に流れる。環形32がヘッド端部部分20に流体結合されているので、空気流れ36は、上流で燃焼缶10の後部端部からヘッド端部部分20に進行し、そこで空気流れ36は、方向を逆にして、燃料ノズル22に入る。
【0016】
燃料および空気は、燃料ノズル22によってライナ12の前部端部の1次燃焼ゾーン50の中に導入され、そこで燃料および空気は、燃焼して、燃焼ガス46を形成する。1つの実施形態では、燃料および空気は、燃料ノズル22(例えば、予混合燃料ノズル)内部で混合される。他の実施形態では、燃料および空気は、1次燃焼ゾーン50の中に別個に導入されて、(例えば、ディフュージョンノズルを用いて起こり得るように)1次燃焼ゾーン50内部で混合されることがある。本明細書で「第1の燃料/空気混合物」について行っている参照は、予混合燃料/空気混合物およびディフュージョンタイプ燃料/空気混合物(それらのどちらも燃料ノズル22によって作り出され得る)の両方を記載していると解釈すべきである。
【0017】
燃焼ガス46は、後部フレーム18によって示された燃焼缶10の後部端部に向けて下流に進行する。追加の燃料および空気は、第2の燃料/空気混合物56として、1つまたは複数の燃料噴射器100によって、2次燃焼ゾーン60の中に導入され、そこでは燃料および空気56が燃焼ガス46によって点火され、結合した燃焼ガス生成物ストリーム46が形成される。軸方向に分離された燃焼ゾーンを有するそういった燃焼システムは、「軸方向燃料ステージング」(AFS)システム200として説明され、下流の噴射器100は、「AFS噴射器」として参照されることがある。
【0018】
示された実施形態では、各AFS噴射器100用の燃料は、燃焼缶10のヘッド端部から燃料入口54を介して供給される。各燃料入口54は、燃料供給管路104に結合され、燃料供給管路104は、それぞれのAFS噴射器100に結合される。理解すべきことは、燃料をAFS噴射器100に送達する他の方法が、採用されることがあり、リングマニホルドから、または、圧縮機排出ケース40を通って延びる径方向に配向された燃料供給管路から、燃料を供給することが含まれる、ということである。
【0019】
図1は、AFS噴射器100が任意選択で燃焼缶10の長手中心線70に対して角度θ(シータ)で配向されることがあることをさらに示す。示された実施形態では、噴射器100の前縁部分(すなわち、ヘッド端部に最も近接して位置された噴射器100の部分)は、燃焼缶10の中心線70から離して配向され、その一方、噴射器100の後縁部分は、燃焼缶10の中心線70に向けて配向される。噴射器100の長手軸75と中心線70の間に画定される角度θは、0度~45度、1度~30度、1度~20度、または、1度~10度、あるいは、それらの間の任意の中間値、であることがある。他の実施形態では、噴射器100を、前縁部分が中心線70に近位であり、後縁部分が中心線70から遠位であるように、配向することが望ましいことがある。
【0020】
噴射器100は、第2の燃料/空気混合物56を径方向に燃焼ライナ12を通して噴射して、それによって1次燃焼ゾーン50から軸方向に隔置された2次燃焼ゾーン60を形成する。1次燃焼ゾーンおよび2次燃焼ゾーンからの結合した高温ガス46は、燃焼缶10の後部端部18を通ってタービンセクションの中へと下流に進行し、そこでは燃焼ガス46が膨張してタービンを駆動する。
【0021】
特に、ガスタービンの運転効率を高めるためおよびエミッションを減少させるため、噴射器100にとって望ましいことは、燃料と圧縮ガスを完全に混合させて、第2の燃料/空気混合物56を形成すること、および、燃料/空気混合物56をクロスフローとして燃焼ガス46の流れの中に迅速に導入すること、である。このように、下で説明する噴射器の実施形態は、改善された混合を容易にすると共に、噴射器100によって作り出されるフレームの表面面積を増加させる。その結果、より多くの量の燃料が噴射器100を介して導入されることがあり、ライナ12の長さが短くされることがある。
【0022】
図2、3、および4は、上で説明したAFSシステム200で使用するための例示的な燃料噴射器100を例証している。例示的な実施形態では、燃料噴射器100は、互いに結合されている取付けフランジ302、フレーム304、および出口部材310を含む。1つの実施形態では、取付けフランジ302、フレーム304、および出口部材310は、(すなわち、相互に一体的に形成される)単一部片構造として製造される。代わりに、他の実施形態では、フランジ302は、フレーム304および/または出口310と一体的に形成されることがない(例えば、フランジ302は、適切なファスナまたは接合技術を用いてフレーム304および/または出口302に結合されることがある)。さらに、フレーム304および出口302は、(例えば、インターロッキング部材によって)フランジ302に別々に接合される統合された単一部片ユニットとして作られることがある。
【0023】
概ね平面状であるフランジ302は、複数のアパーチャ306を画定し、アパーチャ306は、燃料噴射器100を外側スリーブ14に結合するためのファスナ(図示せず)を受容するように個々が寸法決めされる。燃料噴射器100は、フランジ302(例えば、ボス)に代えて、または、それと組み合わせて、任意の適切な構造を有することがあり、フランジ302は、フレーム304が外側スリーブ14に結合されるのを可能にし、したがって、噴射器100は、本明細書で説明するやり方で機能する。
【0024】
フレーム304は、燃料噴射器100の入口部分を画定する。フレーム304は、第1のペアの対向配設された側壁326と、第2のペアの対向配設された端部壁328と、を含む。側壁326は、端部壁328よりも長く、したがって、フレーム304は、軸方向に概ね矩形の輪郭を具備する。フレーム304は、径方向に概ね台形形状の輪郭を有する(すなわち、側壁326は、フランジ302に対して角度付けされる)。フレーム304は、フランジ302に近位の第1の端部318(「近位端部」)と、フランジ302に遠位の第2の端部320(「遠位端部」)と、を有する。側壁326の第1の端部318は、燃料噴射器100の長手軸(LINJ)から側壁326の第2の端部よりも、それらのそれぞれの長手平面で比較したときに、さらに遠くに隔置される。
【0025】
出口部材310は、フレーム304とは反対の側のフランジ302から径方向に延びる。出口部材310は、フレーム304とライナ12の内側との間の流体連通を提供し、第2の燃料/空気混合物56を2次燃焼ゾーン60の中に送達する。出口部材310は、燃料噴射器100が設置されるときに、フランジ302に近位の第1の端部322と、フランジ302に遠位の(しかも、ライナ12に近位の)第2の端部324と、を有する。さらに、燃料噴射器100が設置されるときに、出口部材310は、ライナ12と外側スリーブ14との間の環形32の内部に位置し、したがって、フランジ302は、(図1に示されるように)外側スリーブ14の外側表面上に位置する。
【0026】
例証する実施形態では、出口部材310は、出口部材310を横切って長手方向に延びるペアのストラット360を含む。ストラット360は、噴射器100を通る空気流れの方向に関して発散する空気力学的な形状を有する。すなわち、ストラットは、燃料噴射ボディ340に近位の前縁362と、出口部材310の遠位端部324の近くの後縁363と、を有する。ストラット360および出口部材310は、3つのスロット形状の出口流れ経路311(「出口スロット」)を画定し、それを通って燃料/空気混合物56が燃焼器10の中に搬送される。出口流れ経路311は、互いから離散または分離している。
【0027】
燃料/空気混合物は、多数の平行な噴射軸(図2で全体的にラベル付けされている312)に沿って搬送される。噴射軸312は、概ね線形である。噴射軸312は、燃焼缶10の長手軸70(LCOMB)に対する径方向寸法「R」を示す。燃焼噴射器100はさらに、長手寸法(軸LINJとして示す)を含み、それは、噴射軸312と、長手軸LINJの周りに延びる周方向寸法「C」と、に概ね垂直である。上で説明したように、噴射器100の長手軸LINJは、燃焼缶の長手軸LCOMBと一致することがあり、あるいは、燃焼缶の長手軸LCOMBからオフセットしていることがある。
【0028】
このように、フレーム304は、フランジ302から径方向外方に第1の方向に延び、出口部材310は、フランジ302から径方向内方に第1の方向と反対の第2の方向に延びる。フランジ302は、フレーム304の周り(すなわち、取り囲む)に周方向に延びる。フレーム304および出口部材310は、噴射軸312の近辺で周方向に延びると共に、フランジ302を横切って相互に流体連通する。
【0029】
本明細書で例証する実施形態は、フランジ302がフレーム304と出口部材310との間に位置するように提示しているが、理解すべきことは、フランジ302が、何らかの他の場所であるいは何らかの他の適した配向で位置していてもよいということである。例えば、フレーム304および出口部材310は、フランジ302から概ね反対方向に延びないことがある。
【0030】
1つの例示的な実施形態では、入口部材308の遠位端部320は、フレーム304の近位端部318よりも幅広であることがあり、したがって、フレーム304は、遠位端部320および近位端部318間で少なくとも部分的に先細(または、漏斗の形状)である。違う言い方をすると、上で説明した例示的な実施形態では、側面326は、遠位端部320から近位端部318の方に厚さが収斂する。
【0031】
さらに、図2、3および4に示すように、フレーム304の側壁326は、フランジ302に対して或る角度で配向され、それを原因として、フレーム304は、側壁326の遠位端部320から近位端部318にかけて収斂する。実施形態によっては、端部壁328は、同じくまたは代わりに、フランジ302に対して或る角度で配向されることがある。側壁326および端部壁328は、概ね線形の断面輪郭を有する。他の実施形態では、側壁326および端部壁328は、任意の適切な断面輪郭を有することがあり、それにより、フレーム304は、遠位端部320および近位端部318間で少なくとも部分的に収斂(すなわち、先細)することができる(例えば、少なくとも1つの側壁326は、端部320および318間にアーチ状に延びる断面輪郭を有することがある)。交代に、フレーム304は、遠位端部320および近位端部318間が先細でないことがある(例えば、他の実施形態では、側壁326および端部壁328の個々が中心噴射軸312に実質上平行に配向される実質上線形の断面輪郭を有することがあるとき)。
【0032】
例示的な実施形態では、燃料噴射器100はさらに、コンジット取付部品332(図2に示す)と、ペアの燃料噴射ボディ340(図2および4に示す)と、を含む。コンジット取付部品332は、フレーム304の端部壁328の1つと一体的に形成される。1つの実施形態では、コンジット取付部品332は、噴射器100の長手軸(LINJ)に沿って概ね外方に延びる。コンジット取付部品332は、燃料供給管路104(図1にも示す)に連結されると共に、そこから燃料を受容する。コンジット取付部品332は、任意の適切な寸法および形状を有することがあると共に、本明細書で説明するようにコンジット取付部品332が機能するのを可能にするフレーム304の任意の適切な部分と一体的に形成されあるいはそれに結合されることがある(例えば、コンジット取付部品332は、実施形態によっては側壁326と一体的に形成されることがある)。
【0033】
各燃料噴射ボディ340は、そこからコンジット取付部品332が突出する端部壁328と一体的に形成される第1の端部336と、燃料噴射器100の反対端部(すなわち、燃焼缶10を通る燃焼生成物46の流れに関して下流端部)の端部壁328と一体的に形成される第2の端部338と、を有する。端部壁328間でフレーム304を横切って概ね線形に延びる各燃料噴射ボディ340は、コンジット取付部品332と流体連通する内部燃料プレナム350を画定する。他の実施形態では、燃料噴射ボディ340は、本明細書で説明するように燃料噴射ボディ340が機能するのを可能にするフレーム304の任意の適切な部分からフレーム304を横切って延びることがある(例えば、燃料噴射ボディ340は、側壁326間を延びることがある)。代わりにまたは追加として、燃料噴射ボディ340は、対向配設された壁(326または328)の間にアーチ形状を画定することがある。
【0034】
上で述べたように、各燃料噴射ボディ340は、内部プレナム350を画定ししかもフレーム304の端部壁328間に延びる中空構造を形成する複数の表面を有する。長手軸LINJに垂直に取った断面で見たときに、各燃料噴射ボディ340(現在の実施形態の)は、湾曲した前縁342と、対向配設された後縁344と、前縁342から後縁344に延びるペアの対向する燃料噴射表面346、348と、を備えた逆涙形の形状を概ね有する。燃料プレナム350は、フランジ302の中にもフレーム304の内部にも延びない(端部壁328を通ってコンジット取付部品332の中への流体連通以外)。
【0035】
各燃料噴射表面346、348は、内部プレナム350と、それぞれの流れ経路352のうちの1つと、の間の流体連通を提供する複数の燃料噴射ポート354を含む。燃料噴射ポート354は、例えば、本明細書で説明するように燃料噴射ボディ340が機能するのを可能にするのに適したやり方(例えば、1つ又は複数の列)で、燃料噴射表面346、348の長さに沿って隔置される。
【0036】
各燃料噴射ボディ340は、前縁342が側壁326の遠位端部320に近位であるように配向される(すなわち、前縁342が側壁326の近位端部318から離れて面している)。後縁344は、側壁326の近位端部318の近位に位置する(すなわち、後縁344は、側壁326の遠位端部320から離れて面している)。このように、後縁344は、前縁342よりもフランジ302に近接している。
【0037】
入口流れ経路352は、圧縮機排出ケース40の内部に画定されたプレナム42から圧縮空気36を受容する。入口流れ経路352は、第1の側壁326の内側表面330と第1の燃料噴射ボディ340の燃料噴射表面346との間、第1の燃料噴射ボディ340の燃料噴射表面348と第2の燃料噴射ボディ340の燃料噴射表面346との間、および、第2の燃料噴射ボディの燃料噴射表面348と第2の側壁326のそれぞれの内側表面330との間、に画定される。入口流れ経路352は、フレーム304の遠位端部320からフレーム304の近位端部318にかけて均一な寸法であるように示されているが、理解すべきことは、流れ経路352が遠位端部320から近位端部318にかけて収斂することがあり、それによって流れを加速させるということである。入口流れ経路352は、燃料噴射ボディ340の後縁344の下流およびストラット360の上流で交差して、その後に、流れを、出口部材310の遠位端部324の出口流れ経路311から排出された離散または分離したストリームに分割する。
【0038】
特に、燃料噴射器は、適切な数の流れ経路352を画定する任意の適切な配向でフレーム304を横切って延びる燃料噴射ボディ340を2個を超えて有することがある。例えば、図5~12に示す実施形態では、燃料噴射器110は、4つの隔置した入口流れ経路352をフレーム304内部に画定する3つの隣接する燃料噴射ボディ340を含む。1つの実施形態では、流れ経路352は、噴射軸312に対して同じ角度で配向される燃料噴射ボディ340に起因して、均等に隔置される。各燃料噴射ボディ340は、上で説明したように、複数の燃料噴射ポート354を少なくとも1つの燃料噴射表面346または348上に含み、したがって、燃料噴射ポート354は、各燃料噴射ボディ340内部に画定されたそれぞれのプレナム350と流体連通する。次には、プレナム350は、燃料を燃料供給管路104から受容するコンジット取付部品332(図2に示す)と流体連通する。
【0039】
燃料噴射器110は、フレーム304によって画定される入口部分308を含む。フレーム304は、ペアの対向配設された側壁326と、ペアの対向配設された端部壁328と、を含み、したがって、フレーム304は、取付けフランジ302に平行に描いた平面で概ね長方形の形状を有する。燃料コンジット取付部品332(図2に示す)は、燃料を3つの燃料噴射ボディ340の個々の中に方向付ける。燃料は、第1の側壁326の内側表面330と第1の燃料噴射ボディ340の第1の燃料噴射表面346との間、第1の燃料噴射ボディ340の第2の燃料噴射表面348と第2の燃料噴射ボディ340のそれぞれの第1の燃料噴射表面346との間、第2の燃料噴射ボディ340のそれぞれの第2の燃料噴射表面348と第3の燃料噴射ボディ340のそれぞれの第1の燃料噴射表面346との間、および、第3の燃料噴射ボディ340のそれぞれの第2の燃料噴射表面348と第2の側壁326の内側表面330との間、に画定(図7の左から右に)される4つの入口流れ経路352のうちの1つの中に、複数の燃料噴射ポート354を介して、燃料噴射ボディ340から、送達される。
【0040】
燃料噴射器110はさらに、図2~4に示したものと同様の出口部材310を含む。出口部材310は、取付けフランジ302から燃焼器ライナ12(図1に示す)に向けて径方向内方に突出する。例証するように、入口流れ経路352は、ペアの空気力学的な形状のストラット360の上流で混合チャンバ370の中に方向付けられる。ストラット360の形状は、相互に関連すると共に出口部材310のそれぞれの側壁に関連して、それぞれの噴射軸312に沿って収斂する一連の出口流れ経路311を作り出し、こうして、燃焼缶10に入る平行で軸方向に整列されたストリームとして、噴射器110(または100)から出る燃料/空気混合物56の流れを加速させる。
【0041】
図5~7に示す噴射器110の変形例は、図8~12で燃料噴射器120として示している。1つの実施形態では、燃料噴射器120の入口部分308は、図5および7に示すものと同じである。出口部分310は、入口部分308の形状に相補的な概ね長方形の形状を画定する。出口部分310は、それぞれの出口側壁416に連結されている前縁端部壁412および後縁端部壁414を含む。気づくかもしれないが、ペアのストラット365、366は、前縁端部壁412から後縁端部壁414に出口部材310を横切って長手方向に延びており、ペアの流れ転用体364、367は、出口側壁416に沿って配設されることがある。
【0042】
ストラット365、366は、既に議論した空気力学的なストラット360とは異なって形状付けされ、したがって、燃料噴射器120から出る燃料/空気混合物56のストリームは、噴射器の長手軸(LINJ)から離れて前縁端部壁412から後縁端部壁414に発散する。すなわち、出口側壁416に近位の出口スロット311は、噴射器長手軸LINJに沿って配設された(中心)出口スロット311に対して傾斜または角度付けされる。
【0043】
さらに、ストラット365、366は、ストラット前縁で接合されしかも前縁端部壁412での狭い寸法から後縁端部壁414での幅広の寸法までテーパになっている、平らな側面375、376とアーチ状の側面385、386とを含む。流れ転用体364、367は、対向する寸法変化を有し、前縁端部412で出口流れ経路の中に第1の(大きめの)距離突出し、後縁端部414で流れ経路の中に第2の(小さめの)距離突出する。その結果、第1の出口流れ経路311は、長手軸LINJに沿ってストラット365、366の平らな側面375、376間に画定される。追加の流れ経路411は、ストラット365のアーチ状の側壁385と出口側壁416の一方に沿って配設された流れ転用体364との間、および、ストラット366のアーチ状の側壁386と対向する出口側壁416に沿って配設された流れ転用体367との間、に画定される。
【0044】
図9および10は、後縁端部壁414に向けて下流を見ている断面図である。図11は、線11-11に沿って取った図10の断面図である。この図では、1次燃焼ゾーン50からの燃焼ガス46の流れは、矢印によって示すように、右から左の方向に移動する。図12は、線12-12に沿って取った図10の断面図である。この図では、1次燃焼ゾーン50からの燃焼ガス46の流れは、矢印によって示すように、左から右の方向に移動する。
【0045】
図2~12に例証する実施形態では、燃料噴射ボディ340は、共通フレーム304内部に保持され、燃料/空気混合物を、共通の出口部材310の離散した流れ経路311(411)を通して供給する。しかしながら、可能なことは、2つ以上の噴射器500をグループ化することであり、個々が、同様の結果を達成するために、それ自体のフレーム504と単一の燃料噴射ボディ540とを有する。そういった実施形態は、図13~19に例証している。
【0046】
図13は、ペアの平行で軸方向に整列したフレーム504を有する燃料噴射器500の上から見た概略図を提供し、各フレーム504は、本明細書で説明した燃料噴射ボディ340と同様に機能する単一の燃料噴射ボディ540を含む。フレーム504は、図14に示すような共通または共用の取付けフランジ502から径方向外方に延びる。燃料噴射ボディ540は、前縁542、後縁544、および、前縁542を後縁544に連結するペアの燃料噴射表面546、548を含む。燃料噴射ボディ540は、流体コンジット(図示せず)と流体連通する燃料プレナム550をその中に画定する。燃料プレナム550からの燃料は、それぞれの燃料噴射表面546、548に画定された燃料噴射ポート554を介して、フレーム側壁526の内側表面530とそれぞれの燃料噴射表面546、548との間に画定されるそれぞれの入口流れ経路352の中に送達される。
【0047】
図14および15に示すように、燃料噴射器500は、取付けフランジ502から径方向内方(燃焼器の長手軸に対して)に延びるペアの平行で軸方向に整列された出口部材510を含む。燃料/空気混合物は、離散して周方向に隔置された出口流れ経路511に沿って送達される。
【0048】
図16および17は、ペアのフレーム504を有する燃料噴射器550を概略例示し、各フレーム504は、上で説明した燃料噴射ボディ540を含み、共通または共用の取付けフランジ502から径方向外方に延びる。燃料噴射器550では、フレーム504(したがって、燃料噴射ボディ540およびそれぞれの出口部材510)は、噴射器の長手軸(LINJ)に対して傾斜し、したがって、フレーム504は、燃料噴射器550の前縁では相互により接近し、燃料噴射器550の後縁ではより離れている。
【0049】
図18および19は、ペアのフレーム504を有する燃料噴射器515を概略例示し、各フレームは、上で説明した燃料噴射ボディ540を含み、共通または共用の取付けフランジ502から径方向外方に延びる。燃料噴射器515では、フレーム504(したがって、燃料噴射ボディ540およびそれぞれの出口部材510)は、相互に平行であり、相互に対して軸方向にオフセットしている。
【0050】
上で説明した燃料噴射器500、550、および515のどれにおいても、2つのフレーム504およびそれぞれの燃料噴射ボディだけが例証されているが、理解すべきことは、複数のフレーム504が共通の取付けフランジ502に接合されてもよいということである。さらに、フレーム504およびそれらのそれぞれの出口部材510は、要望によって平行な構成、軸方向に千鳥状の構成、および傾斜した構成、あるいはそれらの組合せに構成されてもよい。
【0051】
さて、本明細書で説明する2重および3重の噴射ボディ燃料噴射器(例えば、100、110)の双方を参照すると、燃焼缶10のある種の動作中、圧縮ガスは、フレーム304に流れ込んで流れ経路352を通る。同時に燃料は、燃料供給管路104を通って、また、コンジット取付部品332を通って、燃料噴射ボディ340の内側プレナム350まで搬送される。燃料は、プレナム350から各燃料噴射ボディ340の燃料噴射表面346および/または348の燃料噴射ポート354を通って噴射軸312に対して実質上径方向に通過し、入口流れ経路352の中に入り、そこでは燃料が圧縮空気と混合する。燃料および圧縮空気は、第2の燃料/空気混合物56を形成し、それは、出口部材310の出口スロット311(および411)を通って2次燃焼ゾーン60(図1に示すように)の中に噴射される。
【0052】
複数の出口スロットを備えた本噴射器は、単一の出口スロットを有する類似の噴射器に対して次の利点、すなわち、フレーム表面面積の増加;燃焼生成物ストリームの中への第2の燃料/空気混合物の噴射の混合の向上;ライナ長さの削減(混合の改善と第2の燃料/空気混合物のより迅速な燃焼とに起因);および噴射器を通る体積流量の増加(すなわち、ヘッド端部の燃料ノズルによるより高い燃料/空気の分裂)のためのより大きな容量、を提供する。評価されてきたことは、本噴射器が、単一の出口スロットを有する同様の噴射器に関連したそれらに匹敵するかまたはそれより低いNOXエミッションのレベルを提供することである。
【0053】
理解すべきことは、本明細書で例証する例示的な噴射器が、本開示の精神および範囲から逸脱せずに、その性能を最適化するために修正できるということである。修正できる特徴は、出口スロットの長さ、出口スロットの幅、出口スロットの長さ対出口スロットの幅の比、隣接する出口スロット間のギャップ、出口スロットの相互に対する相対軸方向位置、出口スロットの相互に対する相対傾斜(角度)、出口スロットの角の丸みを含む。
【0054】
本明細書で説明するシステムは、燃焼器の中の燃料および圧縮ガスの混合の向上を容易にする。より具体的には、本システムは、相互に対して平行かまたは傾斜すると共に軸方向に千鳥状にまたはオフセットし得る少なくとも2つの出口スロットを通して燃料/空気混合物を方向付けることを容易にする。このように、システムは、タービン組立体のAFSシステムの燃料噴射器の中の燃料および圧縮ガスの混合の向上を容易にする。したがって、システムは、例えば、タービン組立体の燃焼器などの燃焼器の全体的な運転効率の向上を容易にする。このことは、例えば、タービン組立体の燃焼器などの燃焼器の運転に関連するアウトプットを増加させると共にコストを削減させる。
【0055】
燃料噴射器および同製作する方法の例示的な実施形態については、上で詳細に説明している。本明細書で説明するシステムは、本明細書で説明する特定の実施形態に限定されず、むしろ、システムの構成要素は、本明細書で説明する他の構成要素から独立して切り離して利用されることがある。例えば、本明細書で説明するシステムは、本明細書で説明するようなタービン組立体と共に実施することに限定されない他の用途を有することがある。むしろ、本明細書で説明するシステムは、様々な他の産業と関連して実行および利用することができる。
【0056】
本発明について、様々な特定の実施形態の観点から説明してきたが、当業者なら理解するであろうことは、本発明は、添付した特許請求の範囲の精神および範囲内の変更であれば、実施できるということである。
【符号の説明】
【0057】
10 燃焼缶
12 ライナ
14 外側スリーブ
18 後部フレーム
20 ヘッド端部部分
22 燃料ノズル
24 燃料入口
26 端部カバー
28 燃焼器キャップ
30 前部ケーシング
32 環形
36 空気
40 圧縮機排出ケース
42 加圧空気プレナム
46 燃焼ガス
50 1次燃焼ゾーン
54 燃料入口
56 燃料/空気混合物
60 2次燃焼ゾーン
70 中心線
75 長手軸
100 AFS噴射器
104 燃料供給管路
110 燃料噴射器
120 燃料噴射器
200 AFSシステム
302 フランジ
304 フレーム
306 アパーチャ
308 入口部材
310 出口部材
311 出口流れ経路
312 噴射軸
318 近位端部
320 遠位端部
322 第1の端部
324 第2の端部
326 側壁
328 端部壁
330 内側表面
332 コンジット取付部品
336 第1の端部
338 第2の端部
340 燃料噴射ボディ
342 前縁
344 後縁
346 燃料噴射表面
348 燃料噴射表面
350 燃料プレナム
352 入口流れ経路
354 燃料噴射ポート
360 ストラット
362 前縁
363 後縁
364 流れ転用体
365 ストラット
366 ストラット
367 流れ転用体
370 混合チャンバ
375 平らな側面
376 平らな側面
385 アーチ状の側面
386 アーチ状の側面
411 出口流れ経路
412 前縁端部壁
414 後縁端部壁
416 出口側壁
500 燃料噴射器
502 取付けフランジ
504 フレーム
510 出口部材
511 出口流れ経路
515 燃料噴射器
526 フレーム側壁
530 内側表面
540 燃料噴射ボディ
542 前縁
544 後縁
546 燃料噴射表面
548 燃料噴射表面
550 燃料噴射器
554 燃料噴射ポート
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19