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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-02
(45)【発行日】2022-12-12
(54)【発明の名称】魚釣用電動リール
(51)【国際特許分類】
   A01K 89/017 20060101AFI20221205BHJP
【FI】
A01K89/017
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018133115
(22)【出願日】2018-07-13
(65)【公開番号】P2020010607
(43)【公開日】2020-01-23
【審査請求日】2021-04-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000002439
【氏名又は名称】株式会社シマノ
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(72)【発明者】
【氏名】林 健太郎
【審査官】吉原 健太
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3008695(JP,U)
【文献】特開平11-123040(JP,A)
【文献】特開平11-206295(JP,A)
【文献】米国特許第03979081(US,A)
【文献】特開2000-157122(JP,A)
【文献】実開平06-060367(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 89/00 - 89/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部から電源部が接続されることによって内部の電気駆動部が駆動する魚釣用電動リールであって、
前記電気駆動部を収容するリール本体と、
前記リール本体に対して、スプール軸回りに回転可能で釣糸が巻かれるスプールと、
前記電気駆動部に接続され、前記電源部が電気的に着脱可能に設けられたコネクタと、
を備え、
前記リール本体は、本体フレームと、前記本体フレームの側方を覆うカバーと、を備え、
前記本体フレームは、
前記スプール軸の一方を回転自在に支持し、ハンドル側となる右側板と、
前記右側板と前記スプール軸の軸方向に間隔を隔てて配置され、前記スプール軸の他方を回転自在に支持する左側板と、
前記右側板と一体的に設けられ、前記スプール軸に対して直交する方向で前記右側板の外側に突出し、前記スプール軸に対して直交する取付面を有する取付壁と、を備え、
前記取付壁には、前記取付面に当接可能なホルダー固定面を有し、前記コネクタを固定する保持孔を有する固定ホルダーが固定手段により装着されている、魚釣用電動リール。
【請求項2】
外部から電源部が接続されることによって内部の電気駆動部が駆動する魚釣用電動リールであって、
前記電気駆動部を収容するリール本体と、
前記リール本体に対して、スプール軸回りに回転可能で釣糸が巻かれるスプールと、
前記電気駆動部に接続され、前記電源部が電気的に着脱可能に設けられたコネクタと、
を備え、
前記リール本体は、本体フレームと、前記本体フレームの側方を覆うカバーと、を備え、
前記本体フレームは、
前記スプール軸の一方を回転自在に支持し、ハンドル側となる右側板と、
前記右側板と前記スプール軸の軸方向に間隔を隔てて配置され、前記スプール軸の他方を回転自在に支持する左側板と、
前記右側板と一体的に設けられ、前記スプール軸に対して直交する方向で前記右側板の外側に突出し、前記スプール軸に対して直交する取付面を有する取付壁と、を備え、
前記取付壁には、前記取付面に当接可能なホルダー固定面を有し、前記コネクタを保持した状態で前記コネクタと一体に設けられてユニット化された固定ホルダーが固定手段により装着されている、魚釣用電動リール。
【請求項3】
前記固定手段は固定ねじであり、
前記固定ホルダーは、前記固定ねじにより前記取付壁に固定されている、請求項1又は2に記載の魚釣用電動リール。
【請求項4】
前記取付壁を含む前記本体フレームは、アルミニウム製の部材から形成されている、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の魚釣用電動リール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、魚釣用電動リールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、外部から電源部が接続されることによって内部のスプール駆動用モータの回転駆動力により釣糸が巻き回されるスプールを駆動する魚釣用電動リールでは、電動リールのスプール駆動用モータに給電する手段としてはバッテリ装置を釣り位置から離れた場所に設置し、スプール駆動用モータが内蔵されたリール本体に設けた給電接続部(給電コネクタ)に対して給電コードを接続して給電する方式のものが知られている。
【0003】
このような魚釣用電動リールに設けられる給電コネクタとしては、例えば特許文献1、2に示されるようなリール本体の一部を覆うカバーにコネクタが設けられるものや、例えば特許文献3に示されるようなリール本体の本体フレームにコネクタ取付部を一体で設けたものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2005-333899号公報
【文献】特開2007-135517号公報
【文献】特開2000-157122号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来の魚釣用電動リールでは、以下のような問題があった。
すなわち、特許文献1、2の場合には、カバーをリール本体に組み込む際に、リール本体に固定されるカウンタ等の電気駆動部と給電コネクタとを接続するリード線が噛み込むおそれがあることから、組立性の点で改善の余地があった。
また、特許文献3の場合には、本体フレームに給電コネクタの回り止めの機能をもたせるための回り止め形状の肉厚部が形成されている。そのため、肉厚部分の影響により本体フレームの成型時にヒケ等が発生し、外観上の不良が生じやすくなるという問題があった。
【0006】
本発明は、このような事情に考慮してなされたもので、その目的は、組立性を向上することができ、成型後の外観不良を抑制することができる魚釣用電動リールを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明に係る魚釣用電動リールは、外部から電源部が接続されることによって内部の電気駆動部が駆動する魚釣用電動リールであって、前記電気駆動部を収容するリール本体と、前記リール本体に対して、スプール軸回りに回転可能で釣糸が巻かれるスプールと、前記電気駆動部に接続され、前記電源部が電気的に着脱可能に設けられたコネクタと、を備え、前記リール本体は、本体フレームと、前記本体フレームの側方を覆うカバーと、を備え、前記本体フレームは、前記スプール軸の一方を回転自在に支持し、ハンドル側となる右側板と、前記右側板と前記スプール軸の軸方向に間隔を隔てて配置され、前記スプール軸の他方を回転自在に支持する左側板と、前記右側板と一体的に設けられ、前記スプール軸に対して直交する方向で前記右側板の外側に突出し、前記スプール軸に対して直交する取付面を有する取付壁と、を備え、前記取付壁には、前記取付面に当接可能なホルダー固定面を有し、前記コネクタを固定する保持孔を有する固定ホルダーが固定手段により装着されていることを特徴としている。
【0008】
本発明に係る魚釣用電動リールによれば、本体フレームに固定手段により固定された固定ホルダーを介してコネクタが固定される。そのため、電気駆動部に接続されるコネクタは、リール本体の一部を覆うカバー側ではなく、リール本体側で電気駆動部とともに設けられた状態となる。そのため、魚釣用電動リールを組み立てる際に、予め本体フレーム側でコネクタと電気駆動部とを接続するリード線を組み付けておくことが可能となる。したがって、本体フレームにカバーを組み込む際に、従来のようにカバーにコネクタが設けられている場合のようにリード線が噛み込むような不具合を防ぐことができ、組立性の向上を図ることができる。
【0009】
また、本発明では、本体フレームに対して固定ホルダーを介してコネクタが固定される。つまり、コネクタの取付部が直接、本体フレームに設けられていないので、従来のようなコネクタの回り止め形状の肉厚部分が本体フレームに形成されることがない。したがって、前記肉厚部分の影響により本体フレームの成型時のヒケ等の発生をなくすことができ、このヒケ等に伴う外観不良を抑制することができる。
【0010】
(2)本発明に係る魚釣用電動リールは、外部から電源部が接続されることによって内部の電気駆動部が駆動する魚釣用電動リールであって、前記電気駆動部を収容するリール本体と、前記リール本体に対して、スプール軸回りに回転可能で釣糸が巻かれるスプールと、前記電気駆動部に接続され、前記電源部が電気的に着脱可能に設けられたコネクタと、を備え、前記リール本体は、本体フレームと、前記本体フレームの側方を覆うカバーと、を備え、前記本体フレームは、前記スプール軸の一方を回転自在に支持し、ハンドル側となる右側板と、前記右側板と前記スプール軸の軸方向に間隔を隔てて配置され、前記スプール軸の他方を回転自在に支持する左側板と、前記右側板と一体的に設けられ、前記スプール軸に対して直交する方向で前記右側板の外側に突出し、前記スプール軸に対して直交する取付面を有する取付壁と、を備え、前記取付壁には、前記取付面に当接可能なホルダー固定面を有し、前記コネクタを保持した状態で前記コネクタと一体に設けられてユニット化された固定ホルダーが固定手段により装着されていることを特徴としている。
【0011】
本発明に係る魚釣用電動リールによれば、本体フレームに固定手段により固定された固定ホルダーにコネクタが一体にユニット化されて設けられている。そのため、電気駆動部に接続されるコネクタは、リール本体の一部を覆うカバー側ではなく、リール本体側で電気駆動部とともに設けられた状態となる。そのため、魚釣用電動リールを組み立てる際に、予め本体フレーム側でコネクタと電気駆動部とを接続するリード線を組み付けておくことが可能となる。したがって、本体フレームにカバーを組み込む際に、従来のようにカバーにコネクタが設けられている場合のようにリード線が噛み込むような不具合を防ぐことができ、組立性の向上を図ることができる。
【0012】
また、本発明では、本体フレームに対して固定ホルダーとコネクタとがユニット化されている。つまり、コネクタの取付部が直接、本体フレームに設けられていないので、従来のようなコネクタの回り止め形状の肉厚部分が本体フレームに形成されることがない。したがって、前記肉厚部分の影響により本体フレームの成型時のヒケ等の発生をなくすことができ、このヒケ等に伴う外観不良を抑制することができる。
【0013】
(3)前記固定手段は固定ねじであり、前記固定ホルダーは、前記固定ねじにより前記取付壁に固定されていることが好ましい。
【0014】
この場合には、本体フレームの取付壁に対して固定ホルダーを固定ねじによってねじ止めする固定構造となり、取付壁を除いた本体フレームの成型時の影響を小さく抑えることができる。
【0015】
(4)前記取付壁を含む前記本体フレームは、アルミニウム製の部材から形成されていることを特徴としてもよい。
【0016】
この場合には、上述のように本体フレームに直接コネクタの取付部が設けられていない構造となるので、本体フレームがアルミニウム製であっても簡単な金型構造により成型することができ、製造コストの増加を抑えることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る魚釣用電動リールによれば、組立性を向上することができ、成型後の外観不良を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施形態による電動リールを上斜め後方から見た斜視図である。
図2図1に示す電動リールを下斜め前方から見た斜視図である。
図3図1に示す電動リールを斜め前方から見た斜視図であって、右側カバーを省略した図である。
図4図3に示すA-A線断面図である。
図5】コネクタ取付部の構成を示す斜視図である。
図6図5に示すコネクタ取付部の分解斜視図である。
図7図4に示すコネクタ取付部の要部を拡大した縦断面図である。
図8】固定ホルダーをホルダー固定面側から見た斜視図である。
図9】固定ホルダーを上方から見た平面視である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係る魚釣用電動リールの実施形態について図面を参照して説明する。なお、本実施形態では、魚釣用リールとして両軸受リールを例に挙げて説明する。また、各図面において、各構成部材を視認可能な大きさとするために必要に応じて各構成部材の縮尺を適宜変更している場合がある。
【0020】
図1及び図2に示すように本実施形態による電動リール1(魚釣用電動リール)は、外部電源から供給された電力により駆動されるとともに、手巻きの両軸受リールとして使用するときの電源を内部に有している。
【0021】
電動リール1は、釣り竿に装着可能なリール本体2と、リール本体2に対してハンドル軸C1回りに回転可能に取り付けられたハンドル20と、リール本体2に対してハンドル軸C1と平行なスプール軸C2回りに回転可能で図示しない釣糸が巻かれるスプール3(回転駆動部)と、リール本体2に設けられ、スプール3に回転駆動力を伝達するモータ4(電気駆動部)と、スプール3とハンドル20とを連結する連結状態及び遮断する遮断状態を切り替え可能なクラッチ機構5と、を備えている。
【0022】
ここで、本実施形態では、ハンドル軸C1及びスプール軸C2は、それぞれ平行に設けられ、これらの方向を必要に応じて左右方向L1として定義すると共に、左右方向L1に直交すると共にスプール3に巻かれた釣糸が繰り出される方向に沿う方向を前後方向L2として定義する。また、前後方向L2においてスプール3から釣糸が繰り出される方向を前方、その反対方向を後方と定義すると共に、電動リール1を後方側から見た視点で左右を定義する。なお、図1は電動リール1を上斜め後方から見た斜視図、図2は電動リール1を下斜め前方から見た斜視図である。
【0023】
(リール本体)
リール本体2は、本体フレーム21と、本体フレーム21の一部を覆うカバー22と、本体フレーム21の上側に位置する水深表示部23と、を備えている。
本体フレーム21は、例えば合成樹脂又は金属製の一体形成された部材である。本体フレーム21は、左右方向L1でスプール3を挟んでハンドル20側となる右側板21Aと、右側板21Aと反対側に位置する左側板21Bと、右側板21Aと左側板21Bとを連結する複数の連結部材21Cと、を有している。
右側板21Aと左側板21Bは、互いに左右方向L1に間隔を隔てて配置されている。また、それぞれの側板21A、21Bには、スプール3やモータ4を支持する支持部、及びクラッチ機構5等の回転駆動機構が配置されている。
【0024】
右側板21A及び左側板21Bには、スプール3のスプール回転軸(図示省略)の端部が回転自在に支持された状態で装着されている。図2に示す連結部材21Cは、板状をなし、右側板21A及び左側板21Bの下部を連結する。連結部材21Cのうちの1つには、左右方向L1の略中央部分に釣り竿に取り付けるための釣り竿装着部24が装着されている。
【0025】
カバー22は、右側カバー22A、左側カバー22B、及び前カバー22Cを備えている。右側カバー22Aは、右側板21Aを所定の収容空間を設けて覆い、右側板21Aの外縁部に例えばネジ止めされている。左側カバー22Bは、左側板21Bを所定の収容空間を設けて覆い、左側板21Bの外縁部に例えばネジ止めされている。前カバー22Cは、本体フレーム21の前部を覆っている。
右側板21Aの前方下部には、図3に示すように、外部からの給電ケーブル11(電源部)を接続するためのコネクタ10が差し込み口13aを下向きにした状態で装着されている。
【0026】
(水深表示部)
水深表示部23は、図1に示すように、右側板21Aと左側板21Bとの間に配置されている。水深表示部23は、釣り糸の先端に装着可能な仕掛けの水深を表示可能な液晶ディスプレイからなる表示板23Aと、リール制御部(不図示)と、を有している。水深表示部23は、右側板21A及び左側板21Bの上部に載置されるケース部を構成し、右側板21A及び左側板21Bの外側面にネジ止め固定され、表示操作を行うための複数(本実施形態では3つ)の操作ボタン23Bを有している。
【0027】
(ハンドル)
図1及び図2に示すように、ハンドル20は、ハンドル軸の先端部20aに回転不能に装着されたハンドルアーム25と、ハンドルアーム25の一端にハンドル軸C1と平行な軸回りに回転自在に装着されたハンドルノブ26と、リール本体2側に配置されたドラグ27と、を有している。
ハンドル20からのトルクは、クラッチ機構5がクラッチオンされた状態においてスプール3に直接伝達される。
【0028】
(スプール)
スプール3は、右側板21Aと左側板21Bとの間でそれぞれ軸受(図示省略)をかいして回転自在に設けられている。スプール3は、不図示のスプール回転軸と、スプール回転軸と同軸に配置されて連動して回転可能な筒状の糸巻胴部32と、糸巻胴部32の両端に径方向の外側に向けて拡径されたフランジ部33と、を備えている。
スプール3は、モータ4から図示しないスプール駆動機構を介して回転駆動され、クラッチ操作部材50によって駆動されるクラッチ機構5が連動している。スプール回転軸は、右側カバー22A及び左側カバー22Bに軸受を介して回転自在に各別に支持されている。
【0029】
(クラッチ機構)
クラッチ機構5は、クラッチ操作部材50の操作によってハンドル20の回転をスプール3に伝達可能なクラッチオン状態と、ハンドル20の回転をスプール3に伝達不能なクラッチオフ状態とに切換可能である。クラッチオン位置では、ピニオンギアの回転がスプール回転軸に伝達され、クラッチオン状態になり、ピニオンギアとスプール回転軸とが一体回転可能になる。また、クラッチオフ位置では、ピニオンギアの回転がスプール回転軸に伝達されないため、クラッチオフ状態になり、スプール3は自由回転可能になる。
【0030】
(クラッチ操作部材)
クラッチ操作部材50は、図1に示すように、クラッチ機構5をクラッチオン状態とクラッチオフ状態とに切り換え操作するためのものである。クラッチ操作部材50は、リール本体2の後部において、右側板21Aと左側板21Bとの間でリール本体2の後部に釣り竿装着部24に対して接近及び離反する方向に移動可能に設けられている。クラッチ操作部材50は、本実施形態において、スプール回転軸回りに揺動可能に設けられる。
【0031】
(スプール駆動機構)
上述したスプール駆動機構は、スプール3を糸巻取方向に駆動する。また、巻き取り時にスプール3に対してドラグ27によりドラグ力を発生させて釣糸の切断を防止する。
ドラグ27は、ハンドル20のハンドルアーム25と右側カバー22Aとの間においてハンドル軸に同軸に設けられている。スプール駆動機構は、図示しないローラクラッチの形態の逆転防止部によって糸巻取方向の回転が禁止された上記のモータ4と、モータ4の回転を減速してスプール3に伝達したり、ハンドル20の回転を増速してスプール3に伝達する回転伝達機構と、を備えている。
【0032】
(モータ)
モータ4は、図2に示すように、電動リール1の前部においてスプール3(図1参照)よりも前側の位置に配置され、半割れ形状のモータ収容体40に覆われた状態で設けられている。
【0033】
図3及び図4に示すように、右側板21Aの前部下面21aには、電源ケーブル接続用のコネクタ10が本体フレーム21とは別体で設けられた固定ホルダー6を介して下向きに装着されている。
【0034】
コネクタ10は、図5乃至図7に示すように、不図示のリード線によりモータ4に接続され、電源部が電気的に着脱可能に設けられている。固定ホルダー6は、固定ねじ66(固定手段)により右側板21Aに装着され、コネクタ10を固定する保持孔62を有している。
【0035】
右側板21Aの下端には、固定ホルダー6を固定ねじ66で固定可能で下方に突出する取付壁21Dが一体的に設けられている。取付壁21Dは、図6に示すように、ハンドル軸C1に対して直交する取付面を有している。取付壁21Dは、後述する固定ホルダー6の雌ねじ孔64(図8参照)に対応する位置に形成された一対の貫通穴21bと、後述する固定ホルダー6の凸部65に対応する位置に形成された一対の係合穴21cと、を有している。
取付壁21Dを含む本体フレーム21は、アルミニウム製の部材から形成されている。
【0036】
(コネクタ)
コネクタ10は、図3に示すように、他の場所に配置される外部電源から延ばされた給電ケーブル11のソケット型の端子11aが接続される。コネクタ10は、図7に示すように天壁12と筒部13とからなる有頂筒状をなしている。天壁12の外周面には、径方向の外側に向けて全周にわたって突出する外周フランジ14が形成されている。筒部13の内側には、給電ケーブル11の端子11aが差し込まれることで電気的に嵌合される差し込み口13aが形成されている。天壁12から突出する接続端子15には、不図示のリード線が接続され、モータ4側に連結されている。
なお、給電ケーブル11をコネクタ10に接続していないときには、コネクタ10の下方に突出する先端部分に、例えば電気的絶縁性を有する樹脂材料により形成される保護キャップ(図示省略)が着脱自在に被嵌して覆うように取り付けられている。これにより、不使用時においてコネクタ10の先端が露出することがなく、防水性をもたせることができる。
【0037】
コネクタ10は、図6に示すように。外周フランジ14において外周部が直線状に切り欠かれた一対の切欠面14aを有している。一対の切欠面14aは、それぞれ平面になっていて、径方向に対向する位置に二箇所配置されている。
【0038】
(固定ホルダー)
固定ホルダー6は、図6図9に示すように、円形状の保持孔62を有するベース部61と、ベース部61の上面61aにおいて保持孔62の周囲を平面視でコの字状に囲むように設けられた凹状枠63と、凹状枠63の開口側と反対側に位置するホルダー固定面6aに形成された一対の雌ねじ孔64と、ホルダー固定面6aで一対の雌ねじ孔64同士の間に設けられた一対の凸部65と、を備えている。
【0039】
ベース部61は、板状の部材であり、上面61aにコネクタ10の外周フランジ14が上方から当接する。このようにベース部61上に外周フランジ14が載置した状態で、保持孔62を上方から通過したコネクタ10の下半部分がベース部61より下方に突出した状態で固定されている。保持孔62には、コネクタ10の筒部13が液密に、かつ離脱不可な状態で上方から差し込まれている。
【0040】
また、コネクタ10の突出する先端部分には、図6及び図7に示すように、ナット部材67が座金68とともに締め付けられて螺合される(図5参照)。コネクタ10の外周フランジ14とナット部材67とでベース部61を挟持することでコネクタ10が固定ホルダー6に装着され、脱落することなく保持することができる。
【0041】
凹状枠63は、一対の側枠63Aと、側枠63A、63Aの一端同士を接続する連結枠63Bと、からなる。各側枠63A同士の対向する内面は、互いに平行な平滑面をなす係止面63aに形成されている。この係止面63aには、図5に示すように、コネクタ10を取付けた状態において、コネクタ10の外周フランジ14に形成された切欠面14aが面接触により嵌合される。つまり、係止面63aと切欠面14aとは、平面視で直線状に接しているので、固定ホルダー6に対するコネクタ10の中心軸回りの回転が防止される。
【0042】
このように構成されることで、給電ケーブル11がコネクタ10に接続されて、コネクタ10から電気ケーブルを介して駆動部(モータ4や制御部)に給電されると、モータ4を回転駆動させることができ、さらにモータ4の回転駆動力がスプール3に伝達される。
【0043】
次に、このように構成される魚釣用電動リールの作用について、図面に基づいて詳細に説明する。
図5及び図6に示すように、本実施形態によれば、本体フレーム21の取付壁21Dに対して固定ねじ66によりねじ止めされた固定ホルダー6を介してコネクタ10が固定される。そのため、モータ4に接続されるコネクタ10は、リール本体2の一部を覆うカバー22側ではなく、リール本体2側でモータ4とともに設けられた状態となる。
そのため、電動リール1を組み立てる際に、予め本体フレーム21側でコネクタ10とモータ4とを接続するリード線を組み付けておくことが可能となる。したがって、本体フレーム21にカバー22を組み込む際に、従来のようにカバーにコネクタが設けられている場合のようにリード線が噛み込むような不具合を防ぐことができ、組立性の向上を図ることができる。
【0044】
また、本実施形態では、本体フレーム21に対して固定ホルダー6を介してコネクタ10が固定される。つまり、コネクタ10の取付部が直接、本体フレーム21に設けられていないので、従来のようなコネクタの回り止め形状の肉厚部分が本体フレームに形成されることがない。したがって、前記肉厚部分の影響により本体フレーム21の成型時のヒケ等の発生をなくすことができ、このヒケ等に伴う外観不良を抑制することができる。
【0045】
また、本実施形態では、本体フレーム21が固定ホルダー6を固定ねじ66で固定可能な取付壁21Dを有し、本体フレーム21の取付壁21Dに対して固定ホルダー6を固定ねじ66でねじ止めする固定構造となり、取付壁21Dを除いた本体フレーム21の成型時の影響を小さく抑えることができる。
【0046】
さらに、本実施形態では、本体フレーム21をアルミニウム製の部材から形成することで、上述のように本体フレーム21に直接コネクタ10の取付部が設けられていない構造となるので、本体フレーム21がアルミニウム製であっても簡単な金型構造により成型することができ、製造コストの増加を抑えることができる。
【0047】
上述のように構成された本実施形態による魚釣用電動リールでは、組立性を向上することができ、成型後の外観不良を抑制することができる。
【0048】
以上、本発明による魚釣用電動リールの実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。実施形態は、その他様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。実施形態やその変形例には、例えば当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、均等の範囲のものなどが含まれる。
【0049】
例えば、上記実施形態では、本体フレーム21に固定手段により装着される固定ホルダー6と、固定ホルダー6の保持孔62に固定されるコネクタ10とが別体で設けられた構成とされているが、固定ホルダー6とコネクタ10とが一体的に設けられる構成であってもよい。すなわち、固定ホルダーは、本体フレーム21に固定手段により装着され、コネクタを保持した状態でコネクタと一体に設けられてユニット化されたものを採用することも可能である。なお、固定ホルダーとコネクタとを一体に形成する方法としては、例えば亜鉛ダイキャスト等のダイキャストや、樹脂成型、焼結、或いは削り出しによる方法などを適用することができる。
このように固定ホルダーとコネクタとをユニット化する場合も、上記実施形態と同様に、コネクタがリール本体の一部を覆うカバー側ではなく、リール本体側で電気駆動部とともに設けられるため、本体フレームにカバーを組み込む際に、リード線のカバーとの噛み込みを防ぐことができ、組立性の向上を図ることができる。さらに、本体フレームに対して固定ホルダーとコネクタとが一体化されているので、本体フレームの成型時のヒケ等の発生をなくすことができ、このヒケ等に伴う外観不良を抑制することができる。
【0050】
また、上記実施形態において、リール本体2の取付壁21Dに固定ホルダー6を固定する固定手段として固定ねじ66を採用しているが、固定ねじ66であることに制限されることはない。例えば、本体フレームに対して係合のみにより仮固定しておき、本体フレームとカバーとの間で固定ホルダーを挟み込むことによる固定手段を採用することも可能である。
【0051】
また、本実施形態では、本体フレーム21に設けた取付壁21Dに固定ホルダー6を固定する構成としているが、取付壁21Dを省略することも可能である。要は、コネクタ10が直接、本体フレーム21に固定しないために本体フレーム21に対して着脱可能な別体の固定ホルダー6が設けられていればよいのである。
【0052】
さらに、本実施形態では、コネクタ10の外周フランジ14に形成された切欠面14aと、固定ホルダー6の凹状枠63に形成された係止面63aとを面接触させることで、固定ホルダー6に対してコネクタ10の回転を規制する構成としているが、回転規制手段として他の構成であってもかまわない。
【符号の説明】
【0053】
1 電動リール(魚釣用電動リール)
2 リール本体
3 スプール
4 モータ(電気駆動部)
6 固定ホルダー
10 コネクタ
11 給電ケーブル(電源部)
13a 差し込み口
14 外周フランジ
14a 切欠面
21 本体フレーム
21A 右側板
21B 左側板
21D 取付壁
22 カバー
22A 右側カバー
22B 左側カバー
62 保持孔
63 凹状枠
63A 側枠
63a 係止面
66 固定ねじ(固定手段)
C1 ハンドル軸
C2 スプール軸
図1
図2
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図9