IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ SDPグローバル株式会社の特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-02
(45)【発行日】2022-12-12
(54)【発明の名称】吸収性樹脂粒子及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08J 3/12 20060101AFI20221205BHJP
   A61F 13/15 20060101ALI20221205BHJP
   A61F 13/53 20060101ALI20221205BHJP
【FI】
C08J3/12 Z CEY
A61F13/15 320
A61F13/53 300
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018164359
(22)【出願日】2018-09-03
(65)【公開番号】P2020037625
(43)【公開日】2020-03-12
【審査請求日】2021-03-08
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】301023009
【氏名又は名称】SDPグローバル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104813
【弁理士】
【氏名又は名称】古谷 信也
(72)【発明者】
【氏名】白波瀬 直孝
(72)【発明者】
【氏名】入江 一彦
(72)【発明者】
【氏名】細谷 和正
(72)【発明者】
【氏名】河村 浩輔
【審査官】深谷 陽子
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-256687(JP,A)
【文献】特開2007-224224(JP,A)
【文献】特開平11-349625(JP,A)
【文献】特開2005-002156(JP,A)
【文献】特開2011-032422(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J 3/00- 3/28、 99/00
A61F 13/15- 13/84
A61L 15/16- 15/54
B01J 20/00- 20/28、 20/30- 20/34
C08F 2/00- 2/60
C08C 19/00- 19/44
C08F 6/00-246/00、301/00
C08K 3/00- 13/08
C08L 1/00-101/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又は加水分解により水溶性ビニルモノマー(a1)となるビニルモノマー(a2)並びに内部架橋剤(b)を必須構成単位とする架橋重合体(A)を得、その表面を表面架橋剤(d)で表面架橋する吸収性樹脂粒子の製造方法であって、吸収性樹脂粒子はその分析点数N=100で測定した保水量の平均値が30g/g以上であり、不偏標準偏差と平均値とから求めたその変動係数が3%以下であり、架橋重合体(A)はその分析点数N=100で測定した残存モノマー量の平均値が260ppm以下で、不偏標準偏差と平均値とから求めたその変動係数が10%以下であり、表面架橋剤(d)は共有結合性表面架橋剤又はイオン結合性表面架橋剤であり、波長1×10nm~1×10nmのマイクロ波を架橋重合体含水ゲルに照射することによる乾燥工程を含み、乾燥工程における架橋重合体の乾燥減量(%)の分析点数N=100の平均値が1~4.5であり、マイクロ波を照射する乾燥工程後に、架橋重合体(A)の表面架橋工程を有する、吸収性樹脂粒子の製造方法
【請求項2】
マイクロ波を複数の導波管を用いて照射する請求項に記載の吸収性樹脂粒子の製造方法。
【請求項3】
マイクロ波を照射する乾燥工程において、風速0.01~30m/secの気流を架橋重合体含水ゲルに供給する請求項1又は2に記載の製造方法。
【請求項4】
乾燥工程後であって、表面架橋工程前に粉砕工程を有する請求項1~3のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項5】
吸収性樹脂粒子における表面架橋が100~200℃の温度でなされる請求項1~4のいずれか1項に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は吸収性樹脂粒子及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
紙おむつ、生理用ナプキン、失禁パット等の衛生材料には、パルプ等の親水性繊維とアクリル酸(塩)等とを主原料とする吸収性樹脂が吸収体として幅広く利用されている。近年のQOL(quality of life)向上の観点からこれら衛生材料はより軽量かつ薄型のものへと需要が遷移しており、これに伴って親水性繊維の使用量低減が望まれるようになってきた。そのため、吸収性樹脂の更なる高機能化が求められている。上記吸収性樹脂に望まれる吸収性能として、高吸収速度、高保水量、高加圧下吸収量、高ゲル弾性率、高通液性等が挙げられるが、中でも加圧下での吸収特性がより一層重視されている。
【0003】
一方、含水ゲルの従来の乾燥方法では熱風乾燥が主流となっているが、熱風乾燥による乾燥では含水ゲルが外部からしか加熱されないため、含水ゲルが粉砕可能となる程度まで熱風乾燥を実施すると局所的な過乾燥が避けられない。その結果、部分的にポリマーが熱劣化してしまい、加圧下吸収特性やゲル強度の低下、残存モノマー量や水可溶分の上昇等に繋がる。加えて、吸収性樹脂における乾燥減量の分布も不均一になるため、表面架橋工程における架橋剤の反応率も不均一化されてしまい、上記諸性能のバラツキを生じてしまう。また、白度の低下を招く。さらに、含水ゲルの乾燥ムラによって多量の未乾燥ゲルが残留するため、収率の低下が生じたり、未乾燥ゲルが粉砕設備内に付着する等のトラブルが生じる。
【0004】
この問題に対して、乾燥機内の未乾燥ゲルを分離し、更に追加で乾燥する方法(例えば、特許文献1、2参照)が提案されているが、吸収性樹脂における乾燥減量や上記諸性能の均一性は不充分であり、また、ユーティリティコストの増大や設備増設を伴うといった難点もある。粉砕後の含水ゲルの一次粒子を特定の粒度分布に制御することで均一かつ迅速な乾燥を可能とする方法(例えば、特許文献3参照)や複数の温度域帯で穏やかに乾燥する手法(例えば、特許文献4参照)も知られているが、いずれも熱風による乾燥方法であり、均一乾燥の点で課題が残るため、吸収性樹脂における上記諸性能が不充分である。また、熱風導入口と逆方向から電磁波等の第二の熱源を適用する方法(例えば、特許文献5参照)も提案されているが、熱風乾燥による熱劣化が生じてしまう問題が残るし、電磁波照射による乾燥がもたらす吸収性能のバラツキ抑制効果は教示も示唆もされていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特表2009-516043号公報
【文献】特表2015-526577号公報
【文献】特開平11-349687号公報
【文献】特開2013-053315号公報
【文献】特開2007-224224号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、吸収性能、とくに保水量、のバラツキが少なく、さらに加圧下での吸収特性の変動係数に優れ、しかも、高くかつ変動係数に優れた白度及び低くかつ変動係数に優れた残存モノマー量を有する吸収性樹脂粒子、並びにその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又は加水分解により水溶性ビニルモノマー(a1)となるビニルモノマー(a2)並びに内部架橋剤(b)を必須構成単位とする架橋重合体(A)の表面が表面架橋剤(d)で表面架橋された吸収性樹脂粒子であって、分析点数N=100で測定した保水量の平均値(数平均値。以下同様)が30g/g以上であり、不偏標準偏差と平均値とから求めたその変動係数が3%以下である吸収性樹脂粒子、並びに電磁波を架橋重合体含水ゲルに照射する乾燥工程を含むその製造方法である。
【発明の効果】
【0008】
本発明の吸収性樹脂粒子は、とくに保水量の、さらに加圧下での吸収特性の、各変動係数に優れ、しかも、高くかつ変動係数に優れた白度及び低くかつ変動係数に優れた残存モノマー量を有し、吸収性能のバラツキが少ない。 また、本発明の吸収性樹脂粒子は乾燥後の中和均一度が高く、加圧下の吸収特性に優れる。 本発明の製造方法では、乾燥工程で電磁波を使用することで含水ゲルの外部と内部をムラ無く均一に乾燥し、ポリマーの熱劣化および未乾燥ゲルの発生を効果的に抑制する。また、乾燥後の架橋重合体の乾燥減量を均一化でき、表面架橋後に得られる吸収性樹脂において、吸収性能向上及びバラツキの抑制を達成する。更に、従来の乾燥方法に比べて、より乾燥減量が高い状態のまま破砕することが可能であるため、ポリマーの熱劣化を更に抑制する。
【0009】
上記製品を吸収性樹脂比率の高い薄型の衛生材料・吸収性物品に適用したとき、さまざまの使用状況においても安定して優れた吸収性能(例えば液拡散性、吸収速度、及び吸収量)を発揮し、カブレが生じにくい。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明における水溶性ビニルモノマー(a1)としては特に限定はなく、公知のモノマー、例えば、特許第3648553号公報の0007~0023段落に開示されている少なくとも1個の水溶性置換基とエチレン性不飽和基とを有するビニルモノマー(例えばアニオン性ビニルモノマー、非イオン性ビニルモノマー及びカチオン性ビニルモノマー)、特開2003-165883号公報の0009~0024段落に開示されているアニオン性ビニルモノマー、非イオン性ビニルモノマー及びカチオン性ビニルモノマー並びに特開2005-75982号公報の0041~0051段落に開示されているカルボキシ基、スルホ基、ホスホノ基、水酸基、カルバモイル基、アミノ基及びアンモニオ基からなる群から選ばれる少なくとも1種を有するビニルモノマーが使用できる。
【0011】
加水分解により水溶性ビニルモノマー(a1)となるビニルモノマー(a2)[以下、加水分解性ビニルモノマー(a2)ともいう。]は特に限定はなく、公知{例えば、特許第3648553号公報の0024~0025段落に開示されている加水分解により水溶性置換基となる加水分解性置換基を少なくとも1個有するビニルモノマー、特開2005-75982号公報の0052~0055段落に開示されている少なくとも1個の加水分解性置換基[1,3-オキソ-2-オキサプロピレン(-CO-O-CO-)基、アシル基及びシアノ基等]を有するビニルモノマー}のビニルモノマー等が使用できる。なお、水溶性ビニルモノマーとは、当業者に周知の概念であるが、数量を用いて表すなら、例えば、25℃の水100gに少なくとも100g溶解するビニルモノマーを意味する。また、加水分解性ビニルモノマー(a2)における加水分解性とは、当業者に周知の概念であるが、より具体的に表すなら、例えば、水及び必要により触媒(酸又は塩基等)の作用により加水分解され、水溶性になる性質を意味する。加水分解性ビニルモノマー(a2)の加水分解は、重合中、重合後及びこれらの両方のいずれで行っても良いが、得られる吸収性樹脂粒子の吸収性能の観点から、重合後が好ましい。
【0012】
これらのうち、吸収性能等の観点から好ましいのは水溶性ビニルモノマー(a1)、より好ましいのは上述のアニオン性ビニルモノマー、カルボキシ(塩)基、スルホ(塩)基、アミノ基、カルバモイル基、アンモニオ基又はモノ-、ジ-若しくはトリ-アルキルアンモニオ基を有するビニルモノマー、更に好ましいのはカルボキシ(塩)基又はカルバモイル基を有するビニルモノマー、特に好ましいのは(メタ)アクリル酸(塩)及び(メタ)アクリルアミド、とりわけ好ましいのは(メタ)アクリル酸(塩)、最も好ましいのはアクリル酸(塩)である。
【0013】
なお、「カルボキシ(塩)基」は「カルボキシ基」又は「カルボキシレート基」を意味し、「スルホ(塩)基」は「スルホ基」又は「スルホネート基」を意味する。また、(メタ)アクリル酸(塩)はアクリル酸、アクリル酸塩、メタクリル酸又はメタクリル酸塩を意味し、(メタ)アクリルアミドはアクリルアミド又はメタクリルアミドを意味する。また、塩としては、アルカリ金属(リチウム、ナトリウム及びカリウム等)塩、アルカリ土類金属(マグネシウム及びカルシウム等)塩及びアンモニウム(NH)塩等が挙げられる。これらの塩のうち、吸収性能等の観点から、アルカリ金属塩及びアンモニウム塩が好ましく、更に好ましいのはアルカリ金属塩、特に好ましいのはナトリウム塩である。
【0014】
水溶性ビニルモノマー(a1)又は加水分解性ビニルモノマー(a2)のいずれかを構成単位とする場合、それぞれ1種を単独で構成単位としてもよく、また、必要により2種以上を構成単位としても良い。また、水溶性ビニルモノマー(a1)及び加水分解性ビニルモノマー(a2)を構成単位とする場合も同様である。また、水溶性ビニルモノマー(a1)及び加水分解性ビニルモノマー(a2)を構成単位とする場合、これらの含有モル比[(a1)/(a2)]は、75/25~99/1が好ましく、更に好ましくは85/15~95/5、特に好ましくは90/10~93/7、最も好ましくは91/9~92/8である。この範囲内であると、吸収性能が更に良好となる。
【0015】
架橋重合体(A)の構成単位として、水溶性ビニルモノマー(a1)及び加水分解性ビニルモノマー(a2)の他に、これらと共重合可能なその他のビニルモノマー(a3)を構成単位とすることができる。その他のビニルモノマー(a3)は1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0016】
共重合可能なその他のビニルモノマー(a3)としては特に限定はなく、公知(例えば、特許第3648553号公報の0028~0029段落に開示されている疎水性ビニルモノマー、特開2003-165883号公報の0025段落及び特開2005-75982号公報の0058段落に開示されているビニルモノマー等)の疎水性ビニルモノマー等が使用でき、具体的には例えば下記の(i)~(iii)のビニルモノマー等が使用できる。(i)炭素数8~30の芳香族エチレン性モノマー スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン及びヒドロキシスチレン等のスチレン、並びにビニルナフタレン及びジクロルスチレン等のスチレンのハロゲン置換体等。(ii)炭素数2~20の脂肪族エチレン性モノマー アルケン(エチレン、プロピレン、ブテン、イソブチレン、ペンテン、ヘプテン、ジイソブチレン、オクテン、ドデセン及びオクタデセン等);並びにアルカジエン(ブタジエン及びイソプレン等)等。(iii)炭素数5~15の脂環式エチレン性モノマー モノエチレン性不飽和モノマー(ピネン、リモネン及びインデン等);並びにポリエチレン性ビニルモノマー[シクロペンタジエン、ビシクロペンタジエン及びエチリデンノルボルネン等]等。
【0017】
その他のビニルモノマー(a3)単位の含有量(モル%)は、吸収性能等の観点から、水溶性ビニルモノマー(a1)単位及び加水分解性ビニルモノマー(a2)単位の合計モル数に基づいて、0~5が好ましく、更に好ましくは0~3、特に好ましくは0~2、とりわけ好ましくは0~1.5であり、吸収性能等の観点から、その他のビニルモノマー(a3)単位の含有量が0モル%であることが最も好ましい。
【0018】
内部架橋剤(b)としては特に限定はなく公知(例えば、特許第3648553号公報の0031~0034段落に開示されているエチレン性不飽和基を2個以上有する架橋剤、水溶性置換基と反応し得る官能基を少なくとも1個有してかつ少なくとも1個のエチレン性不飽和基を有する架橋剤及び水溶性置換基と反応し得る官能基を少なくとも2個有する架橋剤、特開2003-165883号公報の0028~0031段落に開示されているエチレン性不飽和基を2個以上有する架橋剤、エチレン性不飽和基と反応性官能基とを有する架橋剤及び反応性置換基を2個以上有する架橋剤、特開2005-75982号公報の0059段落に開示されている架橋性ビニルモノマー並びに特開2005-95759号公報の0015~0016段落に開示されている架橋性ビニルモノマー)の架橋剤等が使用できる。これらのうち、吸収性能等の観点から、エチレン性不飽和基を2個以上有する架橋剤が好ましく、更に好ましいのはトリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート及び炭素数2~40のポリオールのポリ(メタ)アリルエーテル、特に好ましいのはトリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、テトラアリロキシエタン、ポリエチレングリコールジアリルエーテル及びペンタエリスリトールトリアリルエーテル、最も好ましいのはペンタエリスリトールトリアリルエーテルである。内部架橋剤(b)は1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0019】
内部架橋剤(b)単位の含有量(モル%)は、水溶性ビニルモノマー(a1)単位及び加水分解性ビニルモノマー(a2)単位の、その他のビニルモノマー(a3)も使用する場合は(a1)~(a3)の、合計モル数に基づいて、0.001~5が好ましく、更に好ましくは0.005~3、特に好ましくは0.01~1である。この範囲であると、吸収性能が更に良好となる。
【0020】
架橋重合体(A)の製造方法としては、公知の溶液重合(断熱重合、薄膜重合及び噴霧重合法等;特開昭55-133413号公報等)や、公知の懸濁重合法や逆相懸濁重合(特公昭54-30710号公報、特開昭56-26909号公報及び特開平1-5808号公報等)によって得られる含水ゲル重合体(架橋重合体と水とからなる。)を乾燥、粉砕することで得ることができる。架橋重合体(A)は、1種単独でも良いし、2種以上の混合物であっても良い。
【0021】
架橋重合体(A)は、水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又は加水分解性ビニルモノマー(a2)並びに内部架橋剤(b)を必須構成成分とする単量体組成物を重合することにより得ることができるが、重合方法として好ましいのは溶液重合法であり、有機溶媒等を使用する必要がなく生産コスト面で有利なことから、特に好ましいのは水溶液重合法であり、保水量が大きく、且つ水可溶性成分量の少ない吸収性樹脂組成物が得られ、重合時の温度コントロールが不要である点から、水溶液断熱重合法が最も好ましい。
【0022】
水溶液重合を行う場合、水と有機溶媒とを含む混合溶媒を使用することができ、有機溶媒としては、メタノール、エタノール、アセトン、メチルエチルケトン、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド及びこれらの2種以上の混合物が挙げられる。 水溶液重合を行う場合、有機溶媒の使用量(重量%)は、水の重量を基準として40以下が好ましく、更に好ましくは30以下である。
【0023】
重合に開始剤を用いる場合、従来公知のラジカル重合用開始剤が使用可能であり、例えば、アゾ化合物[アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスシアノ吉草酸及び2,2’-アゾビス(2-アミジノプロパン)ハイドロクロライド等]、無機過酸化物(過酸化水素、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム及び過硫酸ナトリウム等)、有機過酸化物[過酸化ベンゾイル、ジ-t-ブチルパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド、コハク酸パーオキサイド及びジ(2-エトキシエチル)パーオキシジカーボネート等]及びレドックス触媒(アルカリ金属の亜硫酸塩又は重亜硫酸塩、亜硫酸アンモニウム、重亜硫酸アンモニウム及びアスコルビン酸等の還元剤とアルカリ金属の過硫酸塩、過硫酸アンモニウム、過酸化水素及び有機過酸化物等の酸化剤との組み合わせよりなるもの)等が挙げられる。これらの触媒は、単独で使用してもよく、これらの2種以上を併用しても良い。 ラジカル重合開始剤の使用量(重量%)は、水溶性ビニルモノマー(a1)及び加水分解性ビニルモノマー(a2)の、その他のビニルモノマー(a3)も使用する場合は(a1)~(a3)の、合計重量に基づいて、0.0005~5が好ましく、更に好ましくは0.001~2である。
【0024】
重合時には、必要に応じて連鎖移動剤に代表される重合コントロール剤を併用しても良く、これらの具体例としては、次亜リン酸ナトリウム、亜リン酸ナトリウム、アルキルメルカプタン類、ハロゲン化アルキル類、チオカルボニル化合物類等が挙げられる。これらの重合コントロール剤は、単独で使用してもよく、これらの2種以上を併用しても良い。 重合コントロール剤の使用量(重量%)は、水溶性ビニルモノマー(a1)及び加水分解性ビニルモノマー(a2)の、その他のビニルモノマー(a3)も使用する場合は(a1)~(a3)の、合計重量に基づいて、0.0005~5が好ましく、更に好ましくは0.001~2である。
【0025】
重合方法として懸濁重合法又は逆相懸濁重合法を用いる場合は、必要に応じて、分散剤又は界面活性剤の存在下に重合を行っても良い。また、逆相懸濁重合法の場合、キシレン、ノルマルヘキサン及びノルマルヘプタン等の炭化水素系溶媒を使用して重合を行うことができる。
【0026】
重合開始温度は、使用する触媒の種類によって適宜調整することができるが、0~100℃が好ましく、更に好ましくは5~80℃である。
【0027】
重合に溶媒(有機溶媒及び水等)を使用する場合、重合後に溶媒を留去することが好ましい。溶媒に有機溶媒を含む場合、留去後の有機溶媒の含有量(重量%)は、架橋重合体(A)の重量に基づいて、0~10が好ましく、更に好ましくは0~5、特に好ましくは0~3、最も好ましくは0~1である。この範囲であると、吸収性樹脂粒子の吸収性能が更に良好となる。
【0028】
溶媒に水を含む場合、留去後の乾燥減量(%)は、架橋重合体(A)の重量に基づいて、0~20が好ましく、更に好ましくは1~10、特に好ましくは2~9、最も好ましくは3~8である。この範囲であると、吸収性能が更に良好となる。
【0029】
前記の重合方法により架橋重合体(A)が水を含んだ含水ゲル状物(すなわち、含水ゲル状物である架橋重合体(A)。以下、架橋重合体含水ゲル又は単に含水ゲルと略記する)を得ることができ、更に含水ゲルを乾燥することで乾燥した架橋重合体(A)を得ることができる。 水溶性ビニルモノマー(a1)としてアクリル酸やメタクリル酸等の酸基含有モノマーを用いる場合、含水ゲルを塩基で中和しても良い。酸基の中和度は、50~80モル%であることが好ましい。中和度が50モル%未満の場合、得られる含水ゲル重合体の粘着性が高くなり、製造時及び使用時の作業性が悪化する場合がある。更に得られる吸収性樹脂粒子の保水量が低下する場合がある。一方、中和度が80%を超える場合、得られた樹脂のpHが高くなり人体の皮膚に対する安全性が懸念される場合がある。 なお、中和は、吸収性樹脂粒子の製造において、架橋重合体(A)の重合以降のいずれの段階で行ってもよく、例えば、含水ゲルの状態で中和する等の方法が好ましい例として例示される。 中和する塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物や、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩を通常使用できる。
【0030】
重合によって得られる含水ゲルは、乾燥前に必要に応じて細断することができる。細断後のゲルの大きさ(最長径)は50μm~10cmが好ましく、更に好ましくは100μm~2cm、特に好ましくは1mm~1cmである。この範囲であると、乾燥工程での乾燥性が更に良好となる。
【0031】
細断は、公知の方法で行うことができ、細断装置(例えば、ベックスミル、ラバーチョッパ、ファーマミル、ミンチ機、衝撃式粉砕機及びロール式粉砕機)等を使用して細断できる。
【0032】
なお、有機溶媒の含有量及び乾燥減量は、赤外水分測定器[(株)KETT社製JE400等:120±5℃、30分、加熱前の雰囲気湿度50±10%RH、ランプ仕様100V、40W]により加熱したときの測定試料の重量減量から求められる。
【0033】
含水ゲルの溶媒(水を含む。)を留去し乾燥する乾燥工程においては、電磁波を使用することが好ましい。従って本発明の製造方法では、電磁波を架橋重合体含水ゲルに照射することにより乾燥する工程を含む。電磁波の波長としては0.01nm~1×1017nmの範囲のものが使用でき、好ましくは1×10nm~1×10nmのマイクロ波である。また、単一の波長の電磁波が照射されてもよく、複数の波長の電磁波が照射されてもよい。
【0034】
電磁波を照射する際の含水ゲルの乾燥減量は1~90重量%が好ましく、特に好ましくは2~80重量%である。
【0035】
電磁波の照射強度及び照射時間としては、乾燥前の含水ゲルの乾燥減量、所望される含水ゲルの乾燥減量等により適宜設定すればよい。具体的には、例えば本明細書の実施例を参照できる。また、照射は複数回に分割して照射してもよく、例えば、数秒~数分間隔で同一又は異なるエネルギー量の照射をすることができる。
【0036】
電磁波の発生器としては、マグネトロン、クライストロン、ジャイロトロン、半導体等、公知のものを使用することができる。発生した電磁波は単独の導波管もしくは複数の導波管を用いて照射してもよく、含水ゲルに均一に照射する観点から複数の導波管を用いて照射することが好ましい。
【0037】
乾燥工程において架橋重合体含水ゲルに供給する気流の風速については、吸収性能向上及びバラツキの抑制の観点から0.01~30m/secが好ましく、更に好ましくは0.02~20m/sec、特に好ましくは0.03~15m/secである。風速0.01m/sec未満であると架橋重合体含水ゲルが焦げ、吸収性能が低下する場合がある。その際、気流の温度は好ましくは15~450℃、より好ましくは20~400℃である。15℃未満であると充分な乾燥ができない場合があり、450℃より高温であると、架橋重合体の熱劣化が生じるおそれがある。 また、乾燥工程では、本発明の効果を阻害しないかぎり、必要に応じて他の乾燥方法を併用しても良い。他の乾燥方法としては、100~230℃に加熱されたドラムドライヤー等による薄膜乾燥法、(加熱)減圧乾燥法、凍結乾燥法、赤外線による乾燥法、デカンテーション及び濾過等が適用できる。その際、過乾燥や局所乾燥に留意しながら行うことが好ましい。
【0038】
含水ゲルを乾燥した後、更に粉砕することができる。粉砕方法については、特に限定はなく、粉砕装置(例えば、ハンマー式粉砕機、衝撃式粉砕機、ロール式粉砕機及びシェット気流式粉砕機)等が使用できる。粉砕された架橋重合体粒子は、ふるい分け等により分級し、粒度調整できる。
【0039】
分級後の架橋重合体粒子は、場合によって、残留溶媒や残存架橋成分等の他の成分を多少含んでも良い。架橋重合体粒子の重量平均粒子径(μm)は、100~800が好ましく、更に好ましくは200~700、次に好ましくは250~600、特に好ましくは
300~500、最も好ましくは350~450である。この範囲であると、吸収性能が更に良好となる。
【0040】
なお、重量平均粒子径は、ロータップ試験篩振とう機及び標準ふるい(JIS Z8801-1:2006)を用いて、ペリーズ・ケミカル・エンジニアーズ・ハンドブック第6版(マックグローヒル・ブック・カンバニー、1984、21頁)に記載の方法で測定される。すなわち、JIS標準ふるいを、上から1000μm、850μm、710μm、500μm、425μm、355μm、250μm、150μm、125μm、75μm及び45μm、並びに受け皿、の順に組み合わせる。最上段のふるいに測定粒子の約50gを入れ、ロータップ試験篩振とう機で5分間振とうさせる。各ふるい及び受け皿上の測定粒子の重量を秤量し、その合計を100重量%として各ふるい上の粒子の重量分率を求め、この値を対数確率紙[横軸がふるいの目開き(粒子径)、縦軸が重量分率]にプロットした後、各点を結ぶ線を引き、重量分率が50重量%に対応する粒子径を求め、これを重量平均粒子径とする。
【0041】
また、粉砕後の架橋重合体(A)に含まれる微粒子の含有量は少ないほど吸収性能が良好となるため、架橋重合体(A)の合計重量に占める106μm以下(好ましくは150μm以下)の微粒子の含有率(重量%)は3以下が好ましく、更に好ましくは1以下である。微粒子の含有量は、上記の重量平均粒子径を求める際に作成するグラフを用いて求めることができる。
【0042】
粉砕後の架橋重合体(A)の形状については特に限定はなく、不定形破砕状、リン片状、パール状及び米粒状等が挙げられる。これらのうち、紙おむつ用途等での繊維状物とのからみが良く、繊維状物からの脱落の心配がないという観点から、不定形破砕状が好ましい。
【0043】
本発明の吸収性樹脂粒子は、架橋重合体(A)の表面が表面架橋剤(d)により架橋された構造を有する。架橋重合体(A)の表面を架橋することにより吸収性樹脂粒子のゲル強度を向上させることができ、吸収性樹脂粒子の望ましい保水量と荷重下における吸収量とを満足させることができる。表面架橋剤(d)としては、公知(特開昭59-189103号公報に記載の多価グリシジル化合物、多価アミン、多価アジリジン化合物及び多価イソシアネート化合物等、特開昭58-180233号公報及び特開昭61-16903号公報の多価アルコール、特開昭61-211305号公報及び特開昭61-252212号公報に記載のシランカップリング剤、特表平5-508425号公報に記載のアルキレンカーボネート、特開平11-240959号公報に記載の多価オキサゾリン化合物並びに特開昭51-136588号公報及び特開昭61-257235号公報に記載の多価金属等)の表面架橋剤等が使用できる。これらの表面架橋剤は、共有結合性表面架橋剤又はイオン結合性表面架橋剤に該当するものを含み、例えば、多価グリシジル、多価アジリジン、多価アルコール、アルキレンカーボネート、オキサゾリンは共有結合性表面架橋剤であり、例えば、多価金属塩、多価アミンはイオン結合性表面架橋剤である。これらの表面架橋剤のうち、経済性及び吸収特性の観点から、共有結合性表面架橋剤又はイオン結合性表面架橋剤が好ましく、共有結合性表面架橋剤としては多価グリシジル、多価アジリジン、多価アルコール、アルキレンカーボネート又はオキサゾリンからなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましく、イオン結合性表面架橋剤としては、が多価金属塩又は多価アミンのいずれか一方が好ましい。
【0044】
表面架橋工程は、粉砕工程の後に実施することが好ましい(すなわち、表面架橋工程前に粉砕工程を有することが好ましい)。また、乾燥工程、好ましくは電波を照射する乾燥工程の後で実施することが好ましい。
【0045】
表面架橋をする場合、表面架橋剤(d)の使用量(重量%)は、表面架橋剤の種類、架橋させる条件、目標とする性能等により種々変化させることができるため特に限定はないが、吸収特性の観点等から、架橋重合体(A)100重量部に対して、0.001~3が好ましく、更に好ましくは0.005~2、特に好ましくは0.01~1.5である。
【0046】
架橋重合体(A)の表面架橋は、架橋重合体(A)と表面架橋剤(d)とを混合し、必要に応じて加熱することで行うことができる。架橋重合体(A)と表面架橋剤(d)との混合方法としては、円筒型混合機、スクリュー型混合機、スクリュー型押出機、タービュライザー、ナウター型混合機、双腕型ニーダー、流動式混合機、V型混合機、ミンチ混合機、リボン型混合機、気流型混合機、回転円盤型混合機、コニカルブレンダー及びロールミキサー等の混合装置を用いて架橋重合体(A)と表面架橋剤(d)とを均一混合する方法が挙げられる。この際、表面架橋剤(d)は、水及び/又は任意の溶剤で希釈して使用しても良い。
【0047】
架橋重合体(A)と表面架橋剤(d)とを混合する際の温度は特に限定されないが、10~150℃が好ましく、更に好ましくは20~100℃、特に好ましくは25~80℃である。
【0048】
架橋重合体(A)と表面架橋剤(d)とを混合した後、通常、表面架橋のために加熱処理を行う。加熱温度は、樹脂粒子の耐壊れ性の観点から好ましくは100~200℃、更に好ましくは110~175℃、特に好ましくは120~170℃である。200℃以下の加熱であれば蒸気を利用した間接加熱が可能であり設備上有利であり、100℃未満の加熱温度では吸収性能が悪くなる場合がある。また、加熱時間は加熱温度により適宜設定することができるが、吸収性能の観点から、好ましくは5~60分、更に好ましくは10~40分である。表面架橋して得られる吸収性樹脂を、最初に用いた表面架橋剤と同種又は異種の表面架橋剤を用いて、更に表面架橋することも可能である。
【0049】
架橋重合体(A)の表面を表面架橋剤(d)により架橋した後、必要により篩別して粒度調整される。得られた粒子の平均粒径は、好ましくは100~600μm、更に好ましくは200~500μmである。微粒子の含有量は少ない方が好ましく、100μm以下の粒子の含有量は3重量%以下であることが好ましく、150μm以下の粒子の含有量が3重量%以下であることが更に好ましい。
【0050】
本発明の吸収性樹脂粒子は、更に水不溶性無機粒子(f)を含んでいてもよく、本発明の製造方法は水不溶性無機粒子(f)を混合する工程を含んでも良い。水不溶性無機粒子(f)を混合することで吸収性樹脂粒子の表面が水不溶性無機粒子(f)で表面処理されることにより、吸収性樹脂粒子の耐ブロッキング性及び通液性が向上する。
【0051】
水不溶性無機粒子(f)としては、コロイダルシリカ、フュームドシリカ、クレー及びタルク等が挙げられ、入手の容易性や扱いやすさ、吸収性能の観点から、コロイダルシリカ及びシリカが好ましく、更に好ましいのはコロイダルシリカである。水不溶性無機粒子(f)は1種を単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
【0052】
水不溶性無機粒子(f)の使用量(重量部)は、吸収性能の観点から吸収性樹脂粒子100重量部に対して、0.01~5が好ましく、更に好ましくは0.05~1、特に好ましくは0.1~0.5である。
【0053】
水不溶性無機粒子(f)を含む場合、吸収性樹脂粒子と水不溶性無機粒子(f)とを混合することが好ましく、混合方法としては、円筒型混合機、スクリュー型混合機、スクリュー型押出機、タービュライザー、ナウター型混合機、双腕型ニーダー、流動式混合機、V型混合機、ミンチ混合機、リボン型混合機、気流型混合機、回転円盤型混合機、コニカルブレンダー及びロールミキサー等の公知の混合装置を用いて均一混合する方法が挙げられる。
【0054】
水不溶性無機粒子(f)を混合する際の温度は特に限定されないが、10~150℃が好ましく、更に好ましくは20~110℃である。
【0055】
水不溶性無機粒子(f)を混合する際の混合時間は特に限定されないが、1時間以内が好ましく、更に好ましくは30分以内である。
【0056】
水不溶性無機粒子(f)を混合する工程を行った後、吸収性樹脂粒子を粒度調整する工程を行っても良い。粒度調整は上述の粒度調整と同様に行うことができ、粒度調整後の粒径も同様である。
【0057】
本発明の吸収性樹脂粒子は、必要に応じて、添加剤(例えば、公知(特開2003-225565号及び特開2006-131767号等に記載)の防腐剤、防かび剤、抗菌剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、着色剤、芳香剤、消臭剤、通液性向上剤及び有機質繊維状物等)を含むこともできる。これらの添加剤を含有させる場合、添加剤の含有量(重量%)は、架橋重合体(A)の重量に基づいて、0.001~10が好ましく、更に好ましくは0.01~5、特に好ましくは0.05~1、最も好ましくは0.1~0.5である。
【0058】
本発明の吸収性樹脂粒子は、更に多価金属塩(e)を含有しても良い。多価金属塩(e)を含有することで、吸収性樹脂粒子の耐ブロッキング性及び通液性が向上する。多価金属塩(e)としては、マグネシウム、カルシウム、ジルコニウム、アルミニウム及びチタニウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属と下記の無機酸又は有機酸との塩が挙げられる。
【0059】
有機酸としては、例えば、カルボン酸、スルホン酸、有機燐酸等が挙げられる。 カルボン酸:炭素数が1~30のモノカルボン酸である飽和モノカルボン酸(酢酸、プロピオン酸、カプリン酸、ラウリル酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸等)、不飽和モノカルボン酸(アクリル酸、メタクリル酸、オレイン酸等)、脂肪族オキシカルボン酸(グリコール酸、乳酸、グルコン酸等)、脂肪族ポリカルボン酸(シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバチン酸、マレイン酸、フマール酸、イタコン酸等)、芳香族カルボン酸(フタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等)等; スルホン酸:炭素数が1~30の脂肪族スルホン酸(メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ラウルルスルホン酸等)、芳香族スルホン酸(p-トルエンスルホン酸、ナフタリンスルホン酸等)等; 有機燐酸:炭素数が1~30の脂肪族アルキル燐酸、炭素数が1~30の脂肪族アルキルホスフィン酸、炭素数が1~30の脂肪族アルキルホスホン酸等;等が挙げられる。 有機酸のうち好ましいものは、カルボン酸であり、さらに好ましいものはモノカルボン酸、脂肪族オキシカルボン酸、脂肪族ポリカルボン酸、アミノ(ポリ)カルボン酸である。 無機酸としてはフッ化水素酸、塩酸、ブロム酸、ヨード酸、硫酸、硝酸、燐酸、炭酸、硼酸等が挙げられる。無機酸のうち好ましいものは塩酸、硫酸、燐酸、炭酸、硼酸である。
【0060】
本発明の吸収性樹脂粒子の保水量(g/g)は、分析点数100点(N=100)の平均値として算出し、保水量(g/g)は、吸収特性の観点から、30以上であり、30~50が好ましく、さらに好ましくは32~48、特に好ましくは34~46である。また、変動係数は、不偏標準偏差と平均値とから求め、3%以下であり、好ましくは2%以下、特に好ましくは1%以下である。 なお、架橋重合体(A)の保水量(g/g)の分析点数N=100の平均は、吸収特性の観点から、は35~70が好ましく、さらに好ましくは37~68、特に好ましくは40~65であり、変動係数は5%以下が好ましく、さらに好ましくは4%以下、特に好ましくは3%以下である。
【0061】
本発明の吸収性樹脂粒子の0.3psiにおける加圧下吸収量(g/g)は、分析点数100点(N=100)の平均値として算出し、加圧下吸収量(g/g)は、吸収特性の観点から、25以上が好ましく、25~50がより好ましく、さらに好ましくは27~48、特に好ましくは29~46である。また、変動係数は、不偏標準偏差と平均値とから求め、3%以下が好ましく、さらに好ましくは1.5%以下、特に好ましくは1%以下である。
【0062】
本発明の吸収性樹脂粒子において、乾燥工程における架橋重合体の乾燥減量(%)の
平均値は、分析点数100点(N=100)の平均値として算出し、1以上が好ましく、より好ましくは2~10である。また、変動係数は不偏標準偏差と平均値とから求め、10%以下が好ましく、さらに好ましくは8%以下、特に好ましくは6%以下である。
【0063】
本発明の吸収性樹脂粒子の粒度分布はシャープであるほど均一性が高いことを示し、吸収性能のばらつき低減の観点でより望ましい。具体的には、粒子全体に占める300~500μmの粒子の割合(%)の平均値は、分析点数100点(N=100)の平均値として算出し、30~99が好ましく、さらに好ましくは32~97、特に好ましくは34~95である。また、変動係数は不偏標準偏差と平均値とから求め、5%以下が好ましく、さらに好ましくは4%以下、特に好ましくは3%以下である。
【0064】
本発明の吸収性樹脂粒子において、架橋重合体の白度の平均値は、分析点数100点(N=100)の平均値として算出し、65以上が好ましく、65~94がより好ましく、さらに好ましくは68~94、特に好ましくは70~94であり、変動係数は不偏標準偏差と平均値とから求め、3%以下が好ましく、さらに好ましくは2%以下、特に好ましくは1%以下である。この範囲であると、吸収性樹脂を紙おむつ、生理用ナプキンなどの吸水性物品に適用した場合に、吸収性樹脂がさらに目に付きにくく、さらに視覚的に不快感のない吸水性物品が得られる。
【0065】
本発明の吸収性樹脂粒子において、架橋重合体の残存モノマー(ppm)は、吸収性物品の耐カブレ性の観点から、平均値は300以下が好ましく、より好ましくは280以下、さらに好ましくは260以下である。平均値は、分析点数100点(N=100)の平均値として算出する。不偏標準偏差と平均値とから求めた変動係数は10%以下が好ましく、さらに好ましくは8%以下、特に好ましくは6%以下である。
【0066】
本発明の吸収性樹脂粒子において、乾燥後の中和均一度(%)は、加圧下吸収量の観点から、90以上が好ましく、より好ましくは92以上、さらに好ましくは95以上である。乾燥後の中和均一度(%)は、加圧下吸収量の観点から、95以上が好ましく、より好ましくは92以上、さらに好ましくは90以上である。平均値は、分析点数100点(N=100)の平均値として算出する。
【0067】
本発明の吸収体は、本発明の吸収性樹脂粒子を含有する。吸収体としては、吸収性樹脂粒子を単独で用いても良く、他の材料と共に用いて吸収体としても良い。 他の材料としては繊維状物等が挙げられる。繊維状物と共に用いた場合の吸収体の構造及び製造方法等は、公知のもの(特開2003-225565号公報、特開2006-131767号公報及び特開2005-097569号公報等)と同様である。
【0068】
上記繊維状物として好ましいのは、セルロース系繊維、有機系合成繊維及びセルロース系繊維と有機系合成繊維との混合物である。
【0069】
セルロース系繊維としては、例えばフラッフパルプ等の天然繊維、ビスコースレーヨン、アセテート及びキュプラ等のセルロース系化学繊維が挙げられる。このセルロース系天然繊維の原料(針葉樹及び広葉樹等)、製造方法(ケミカルパルプ、セミケミカルパルプ、メカニカルパルプ及びCTMP等)及び漂白方法等は特に限定されない。
【0070】
有機系合成繊維としては、例えばポリプロピレン系繊維、ポリエチレン系繊維、ポリアミド系繊維、ポリアクリロニトリル系繊維、ポリエステル系繊維、ポリビニルアルコール系繊維、ポリウレタン系繊維及び熱融着性複合繊維(融点の異なる上記繊維の少なくとも2種を鞘芯型、偏芯型、並列型等に複合化された繊維、上記繊維の少なくとも2種をブレンドした繊維及び上記繊維の表層を改質した繊維等)が挙げられる。
【0071】
これらの繊維状基材の内で好ましいのは、セルロース系天然繊維、ポリプロピレン系繊維、ポリエチレン系繊維、ポリエステル系繊維、熱融着性複合繊維及びこれらの混合繊維であり、更に好ましいのは、得られた吸収体の吸水後の形状保持性に優れるという点で、フラッフパルプ、熱融着性複合繊維及びこれらの混合繊維である。
【0072】
上記繊維状物の長さ、太さについては特に限定されず、長さは1~200mm、太さは0.1~100デニールの範囲であれば好適に使用することができる。形状についても繊維状であれば特に限定されず、細い円筒状、スプリットヤーン状、ステープル状、フィラメント状及びウェブ状等が例示される。
【0073】
吸収性樹脂粒子を、繊維状物と共に吸収体とする場合、吸収性樹脂粒子と繊維の重量比率(吸収性樹脂粒子の重量/繊維の重量)は40/60~90/10が好ましく、更に好ましくは70/30~80/20である。
【0074】
本発明の吸収性物品は上記吸収体を用いる。吸収性物品としては、紙おむつや生理用ナプキン等の衛生用品のみならず、後述する各種水性液体の吸収や保持剤用途、ゲル化剤用途等の各種用途に使用されるものとして適用可能である。吸収性物品の製造方法等は、公知のもの(特開2003-225565号公報、特開2006-131767号公報及び特開2005-097569号公報等に記載のもの)と同様である。
【実施例
【0075】
以下、実施例及び比較例により本発明を更に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下、特に定めない限り、部は重量部、%は重量%を示す。
【0076】
<製造例1> 水溶性ビニルモノマー(a1-1){アクリル酸、三菱化学株式会社製、純度100%}155部(2.15モル部)、架橋剤(b1){ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、ダイソ-株式会社製}0.415部(0.0016モル部)及び脱イオン水340.48部を攪拌・混合しながら3℃に保った。この混合物中に窒素を流入して溶存酸素量を1ppm以下とした後、1%過酸化水素水溶液0.62部、2%アスコルビン酸水溶液1.1625部及び2%の2,2’-アゾビス[2-メチル-N-(2-ヒドロキシエチル)-プロピオンアミド]水溶液2.325部を添加・混合して重合を開始させた。混合物の温度が90℃に達した後、90±2℃で約5時間重合することにより含水ゲル(1)を得た。
【0077】
<実施例1> 次にこの含水ゲル(1)502.27部をミンチ機(ROYAL社製12VR-400K)で細断しながら48.5%水酸化ナトリウム水溶液128.42部を添加して混合し、細断ゲル(2)を得た。得られた細断ゲル(2)を空気導入し、排気が出来るように改造したPanasonic製の電子レンジNE-710GP{出力500W、風速0.05m/sec、風温25℃}で30分間乾燥し、乾燥体を得た。乾燥体をジューサーミキサー(Oster社製OSTERIZER BLENDER)にて粉砕した後、目開き150及び710μmのふるいを用いて150~710μmの粒度に調整することにより、架橋重合体(A-1)を得た。分析点数N=100で測定した乾燥工程での乾燥減量の平均値が1~10%であり、不偏標準偏差と平均値とから求めたその変動係数が10%以下であった。この架橋重合体(A-1)100部を高速攪拌(細川ミクロン製高速攪拌タービュライザー:回転数2000rpm)しながらエチレングリコールジグリシジルエーテルの2%水/メタノール混合溶液(水/メタノールの重量比=70/30)の4部をスプレー噴霧しながら加えて混合し、160℃で20分間静置して表面架橋することにより、本発明の吸収性樹脂粒子(D-1)を得た。得られた架橋重合体(A-1)および吸収性樹脂粒子(D-1)の諸物性を後述の方法で求めた。結果を表1と表2に示した。
【0078】
<実施例2> 実施例1で作成した架橋重合体(A-1)100部を高速攪拌(細川ミクロン製高速攪拌タービュライザー:回転数2000rpm)しながらエチレングリコールジグリシジルエーテルの2%水/メタノール混合溶液(水/メタノールの重量比=70/30)の4部をスプレー噴霧しながら加えて混合し、160℃で20分間静置して表面架橋した。続いて、カリウムミョウバン水溶液30%水溶液1部をスプレー噴霧しながら加えて混合し、80℃で20分間静置して表面架橋した後に無機粒子0.3部{アエロジル200(日本アエロジル株式会社製)}を添加して、発明の吸収性樹脂粒子(D-2)を得た。得られた吸収性樹脂粒子(D-2)の諸物性を後述の方法で求めた。結果を表2に示した。
【0079】
<実施例3> ガラス製反応容器に、アクリル酸ナトリウム77部、アクリル酸22.85部、N,N’-メチレンビスアクリルアミド0.23部、脱イオン水299.54部及びジクロロトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム0.001部を仕込み、攪拌、混合しながら内容物の温度を3℃に保った。内容物に窒素を流入して溶存酸素量を1ppm以下とし、過酸化水素の1%水溶液0.3部、アスコルビン酸の0.2%水溶液0.8部及び2,2’-アゾビスアミジノプロパンジハイドロクロライドの2%水溶液0.8部を添加・混合して重合を開始させ、反応液が80℃に達した後、重合温度80±2℃で約5時間重合することにより、架橋重合体からなる含水ゲル(3)を得た。 次にこの含水ゲル(3)400部をミンチ機(目皿の穴径:6mm、飯塚工業株式会社製12VR-400K)にて25℃で細断し、得られた細断ゲル(4)を空気導入し、排気が出来るように改造したPanasonic製の電子レンジNE-710GP{出力500W、風速0.05m/sec、風温25℃}で30分間乾燥し、乾燥体を得た。得られた乾燥体をジューサーミキサー(Oster社製OSTERIZER BLENDER)にて粉砕した後、目開き150及び710μmのふるいを用いて150~710μmの粒度に調整することにより、架橋重合体(A-2)を得た。この架橋重合体(A-2)100部を高速攪拌(細川ミクロン製高速攪拌タービュライザー:回転数2000rpm)しながらエチレングリコールジグリシジルエーテルの2%水/メタノール混合溶液(水/メタノールの重量比=70/30)の4部をスプレー噴霧しながら加えて混合し、160℃で20分間静置して表面架橋することにより、本発明の吸収性樹脂粒子(D-3)を得た。得られた架橋重合体(A-2)および吸収性樹脂粒子(D-3)の諸物性を後述の方法で求めた。結果を表1と表2に示した。
【0080】
<比較例1> 実施例1において「エチレングリコールジグリシジルエーテルの2%水/メタノール混合溶液(水/メタノールの重量比=70/30)の2部」を添加しなかったこと以外、実施例1と同様にして、比較用の吸収性樹脂粒子(D-4)を得た。得られた吸収性樹脂粒子(D-4)の諸物性を後述の方法で求めた。結果を表2に示した。
【0081】
<比較例2> 実施例1で得られた細断ゲル(2)を通気型バンド乾燥機{160℃、30分}で乾燥し、乾燥体を得た。乾燥体をジューサーミキサー(Oster社製OSTERIZER BLENDER)にて粉砕した後、目開き4mmのふるいを用いて未乾燥物を除去することにより、破砕品を得た。乾燥体の重量に基づく前記未乾燥物の重量は15%だった。続いて、目開き150及び710μmのふるいを用いて破砕品の粒度を150~710μmに調整することにより、架橋重合体(A-3)を得た。この架橋重合体(A-3)100部を高速攪拌(細川ミクロン製高速攪拌タービュライザー:回転数2000rpm)しながらエチレングリコールジグリシジルエーテルの2%水/メタノール混合溶液(水/メタノールの重量比=70/30)の4部をスプレー噴霧しながら加えて混合し、160℃で20分間静置して表面架橋することにより、比較用の吸収性樹脂粒子(D-5)を得た。得られた架橋重合体(A-3)および吸収性樹脂粒子(D-5)の諸物性を後述の方法で求めた。結果を表1と表2に示した。
【0082】
<比較例3> 実施例3で作成した細断ゲル(4)を通気型バンド乾燥機{160℃、30分}で乾燥し、乾燥体を得た。乾燥体をジューサーミキサー(Oster社製OSTERIZER BL
ENDER)にて粉砕した後、目開き150及び710μmのふるいを用いて破砕品の粒度を150~710μmに調整することにより、架橋重合体(A-4)を得た。この架橋重合体(A-4)100部を高速攪拌(細川ミクロン製高速攪拌タービュライザー:回転数2000rpm)しながらエチレングリコールジグリシジルエーテルの2%水/メタノール混合溶液(水/メタノールの重量比=70/30)の4部をスプレー噴霧しながら加えて混合し、160℃で20分間静置して表面架橋することにより、比較用の吸収性樹脂粒子(D-6)を得た。得られた架橋重合体(A-4)および吸収性樹脂粒子(D-6)の諸物性を後述の方法で求めた。結果を表1と表2に示した。
【0083】
架橋重合体及び吸収性樹脂粒子の測定法<保水量の測定法> 目開き63μm(JIS Z8801-1:2006)のナイロン網で作成したティーバッグ(縦20cm、横10cm)に測定試料(架橋重合体又は吸収性樹脂粒子)1.00gを入れ、生理食塩水(食塩濃度0.9重量%)1,000ml中に無撹拌下、1時間浸漬した後、15分間吊るして水切りした。その後、ティーバッグごと、遠心分離器にいれ、150Gで90秒間遠心脱水して余剰の生理食塩水を取り除き、ティーバックを含めた重量(h1)を測定し次式から保水量を求めた。なお、使用した生理食塩水及び測定雰囲気の温度は25℃±2℃であった。 測定試料を用いない以外は上記と同様にして、遠心脱水後のティーバックの重量を測定し(h2)とした。 保水量(g/g)=(h1)-(h2) 上記測定を100のサンプルについて繰り返し、平均値を求めた。また、変動係数を不偏標準偏差と平均値とから求めた。
【0084】
<0.3psiにおける加圧下吸収量> 加圧下吸収量は以下のようにして測定した。 目開き63μm(JIS Z8801-1:2006)のナイロン網を底面に貼った円筒型プラスチックチューブ(内径:25mm、高さ:34mm)内に、250~500μmの粒子径にふるい分けした測定試料0.16gを秤量し、円筒型プラスチックチューブを垂直にしてナイロン網上に測定試料がほぼ均一厚さになるように整えた後、この測定試料の上に分銅(重量:103.5g、外径:24.5mm)を乗せた。この円筒型プラスチックチューブ全体の重量(M1)を計量した後、生理食塩水(食塩濃度0.9重量%)60mlの入ったシャーレ(直径:12cm)の中に測定試料及び分銅の入った円筒型プラスチックチューブを垂直に立ててナイロン網側を下面にして浸し、60分静置した。60分後に、円筒型プラスチックチューブをシャーレから引き上げ、これを斜めに傾け、垂れた水滴を除去した後、測定試料及び分銅の入った円筒型プラスチックチューブ全体の重量(M2)を計量し、次式から加圧下吸収量を求めた。なお、使用した生理食塩水及び測定雰囲気の温度は25℃±2℃であった。0.3psiにおける加圧下吸収量(g/g)={(M2)-(M1)}/0.16 上記測定を100のサンプルについて繰り返し、平均値を求めた。また、変動係数を不偏標準偏差と平均値とから求めた。
【0085】
<乾燥減量の測定方法> 乾燥減量は以下のようにして測定した。 赤外水分測定器{(株)KETT社製JE400等:120±5℃、30分、加熱前の雰囲気湿度50±10%RH、ランプ仕様100V、40W}により加熱したときの加熱前後の測定試料の重量減量から求めた。 測定試料5gを雰囲気湿度50±10%RHに1時間静置した後、秤量(W1)し、赤外水分測定器((株)KETT社製JE400)で120±5℃、30分加熱した後の試料重量を秤量(W2)し、重量減量を求めた。重量減量(%)=(W1-W2)/W1 上記測定を100のサンプルについて繰り返し、平均値を求めた。また、変動係数を不偏標準偏差と平均値とから求めた。
【0086】
<粒度分布の測定法> 本発明における架橋重合体の粒度分布は、ロータップ試験篩振とう機及び標準ふるい(JIS Z8801-1:2006)を用いて、ペリーズ・ケミカル・エンジニアーズ・ハンドブック第6版(マックグローヒル・ブック・カンバニー、1984、21頁)に記載の方法で測定した。すなわち、JIS標準ふるいを、上から1000μm、850μm、710μm、500μm、425μm、355μm、300μm、150μm、125μm、75μm及び45μm、並びに受け皿の順等に組み合わせる。最上段のふるいに測定粒子の約50gを入れ、ロータップ試験篩振とう機で5分間振とうした。各ふるい及び受け皿上の測定粒子の重量を秤量し、その合計を100重量%として各ふるい上の粒子の重量分率を求めた。そして、300~500μmの粒子割合を求めた。上記測定を100のサンプルについて繰り返し、平均値を求めた。また、変動係数を不偏標準偏差と平均値とから求めた。
【0087】
<白度の測定方法> JIS Z8722:2000の5.3に準拠して、条件dによって測定される刺激値(Z)を用いて次式から算出した{たとえば、測色色差計ZE-2000(日本電色工業株式会社製)を用いて測定される}。 (白度)=0.847×Z 上記測定を100のサンプルについて繰り返し、平均値を求めた。また、変動係数を不偏標準偏差と平均値とから求めた。
【0088】
<残存モノマー量の測定法> 残存モノマー量は以下のようにして測定した。 測定試料1gを生理食塩水249g中に分散し、25℃±2℃にて撹拌下で3時間残存モノマーの抽出を行なった。この溶液をろ過し、公知の方法に従って、濾液を液体クロマトグラフィーで分析した。測定した濾液中のモノマー含有量を樹脂1g当たりに換算することにより残存モノマー量を求めた。 上記測定を100のサンプルについて繰り返し、平均値を求めた。また、変動係数を不偏標準偏差と平均値とから求めた。
【0089】
<中和均一度の測定法> 測定用のサンプル片は以下のように作成した。 ポリエチレンのシート(5cm×5cm)に両面テープ(4cm×4cm:ニチバン社製「ナイスタック」)の片面を貼り付けた基材の面に、面が隙間なく埋まるように測定試料をふりかけた。次に基材を裏返し、接着していない余分な測定試料を振り落した。基材の表面を向け、BTB溶液(ブロモチモールブルー:400mg、メタノール:200mL、水:200mLの混合溶液)を基材に0.2g/秒で10秒間噴霧する。20秒放置した後に、さらに0.1g/秒で10秒間噴霧しサンプル片とした。 中和均一度は以下のようにして測定した。 日光の入らない白色照明の部屋で背景を統一して8メガピクセル以上の画素で写真撮影した。写真撮影にはBTB溶液噴霧後20秒後のサンプル片を用いた。 撮影後の写真をWindowsの画像解析ソフト「WinROOF」で解析した。まず、サンプルの総面積(G1)を算出した。メニューから[画像処理]、[モノクロ画像化]を選択し、画像のモノクロ化を行う。ついで[2値処理]、[2つのしきい値による2値化]を選択し、測定する領域の境界がサンプルの境界と合うように、目視でしきい値を調整した。その後、[計測]、[総面積・個数]を選択し、算出された数値をサンプルの総面積(G1)とした。 次にサンプルの指定色の面積(G2)を算出した。2値処理は色抽出モードとし、色相は60~75、明度は23~120、彩度は40~255の範囲を指定した。計測を総面積・個数モードとし、算出された数値を指定色の面積(G2)とした。中和均一度は以下のように算出した。中和均一度(%)=(G2)/(G1)×100 上記測定を100のサンプルについて繰り返し、平均値を求めた。
【0090】
【表1】
【0091】
【表2】
【0092】
表2の結果から、実施例は熱劣化が抑制されていることで吸収性能の変動係数に優れ、白度が極めて良好であり、また中和均一度が高いため加圧下吸収量も極めて良好であった。一方、比較例は保水量がよくても変動係数が不充分であり(比較例1は吸収性実施粒子を表面架橋していない。)、白度の低下、残存モノマー量が多いことが見られた。この結果、実施例は吸収性能の均一性と白度、残存モノマーの両立の点で比較例と有意な差があることが判った。