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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-02
(45)【発行日】2022-12-12
(54)【発明の名称】清掃具用柄及び清掃具
(51)【国際特許分類】
   A47K 11/10 20060101AFI20221205BHJP
   A47L 13/20 20060101ALI20221205BHJP
   A47L 13/256 20060101ALI20221205BHJP
【FI】
A47K11/10
A47L13/20 B
A47L13/256
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018183398
(22)【出願日】2018-09-28
(65)【公開番号】P2020049077
(43)【公開日】2020-04-02
【審査請求日】2021-08-27
(73)【特許権者】
【識別番号】390029148
【氏名又は名称】大王製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】新谷 尚己
【審査官】七字 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-279344(JP,A)
【文献】特開2015-019855(JP,A)
【文献】実開昭55-024185(JP,U)
【文献】特開2018-140059(JP,A)
【文献】実開昭51-058579(JP,U)
【文献】特開2000-005097(JP,A)
【文献】特開2015-112468(JP,A)
【文献】特開2018-098883(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 11/10
A47L 13/20-13/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
清掃対象にヘッド部を押し付けて清掃する清掃具に用いられる清掃具用柄であって、
前記ヘッド部を挟持する挟持部を備え、
前記挟持部の前記ヘッド部に接触する挟持面は、点状の複数の突起部を有し、
前記複数の突起部のうち前記挟持面の側端部に位置する突起部は、前記挟持面の中央部に位置する突起部よりもその高さが高いことを特徴とする清掃具用柄。
【請求項2】
前記挟持面は矩形状であって、
前記挟持面の角部に位置する突起部のうちの少なくとも前記挟持部の基端側の突起部は、それ以外の突起部よりもその高さが高いことを特徴とする請求項1に記載の清掃具用柄。
【請求項3】
前記突起部の先端部は、前記挟持面の中央部に向かって傾斜する傾斜面を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の清掃具用柄。
【請求項4】
前突起部の先端部は、前記突起部の突出方向に凸となる曲面を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の清掃具用柄。
【請求項5】
前記挟持部は、前記ヘッド部を挟持する2つの挟持部材を備えることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の清掃具用柄。
【請求項6】
前記挟持部材の一方に設けられた前記複数の突起部と、前記挟持部材の他方に設けられた前記複数の突起部とは、前記ヘッド部を挟持した状態において互いに噛み合う位置に配されることを特徴とする請求項5に記載の清掃具用柄。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載の清掃具用柄と、前記挟持部により挟持されて前記清掃具用柄に取り付けられたヘッド部と、を備えることを特徴とする清掃具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、清掃具用柄及び清掃具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、トイレに設置された便器の清掃に用いられるクリーニングブラシ等の清掃具が普及している。この清掃具は、使用者が柄を持ち、そのヘッド部により便器の内面を擦って汚れを落とすように使用されるため、繰り返し使用する場合、ヘッド部の清潔性が損なわれ、臭いやカビ等が発生する原因となる。
そこで、清掃具のヘッド部を複数の水解性シートを積層させて形成し、このヘッド部を柄部に着脱自在に保持させ、使用後、ヘッド部を柄部から外して便器に流すことを可能とする技術が知られている。
【0003】
ヘッド部を柄部に着脱自在とするための構造として、例えば、特許文献1には、柄部の外殻に対して内部構造を摺動可能に構成し、その摺動に伴って、ヘッド部を掴む部分(挟持部)が開閉することで、ヘッド部を着脱自在とするものが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第4482559号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1では、挟持部は平行な筋状に並ぶ歯を有する構成ため、ヘッド部を保持する保持力はあるが歯と歯の間で水がたまりやすく、乾燥しにくいので衛生面で好ましくない。
このため、清掃中にズレない程度の保持力を有しつつ、水切れしやすい挟持部を有する清掃具が望まれていた。
【0006】
本発明の課題は、保持力と水切れ性とを両立した清掃具用柄及び清掃具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、
清掃対象にヘッド部を押し付けて清掃する清掃具に用いられる清掃具用柄であって、
前記ヘッド部を挟持する挟持部を備え、
前記挟持部の前記ヘッド部に接触する挟持面は、点状の複数の突起部を有し、
前記複数の突起部のうち前記挟持面の側端部に位置する突起部は、前記挟持面の中央部に位置する突起部よりもその高さが高いことを特徴とする。
本発明によれば、保持力と水切れ性とを両立した清掃具用柄を提供することができる。
【0009】
また、請求項に記載の発明は、請求項1に記載の清掃具用柄において、
前記挟持面は矩形状であって、
前記挟持面の角部に位置する突起部のうちの少なくとも前記挟持部の基端側の突起部は、それ以外の突起部よりもその高さが高いことを特徴とする。
本発明によれば、保持力をより高めることができる。
【0010】
また、請求項に記載の発明は、請求項1又は2に記載の清掃具用柄において、
前記突起部の先端部は、前記挟持面の中央部に向かって傾斜する傾斜面を備えることを特徴とする。
本発明によれば、保持力をより高めることができる。
【0011】
また、請求項に記載の発明は、請求項1又は2に記載の清掃具用柄において、
前記突起部の先端部は、前記突起部の突出方向に凸となる曲面を備えることを特徴とする。
本発明によれば、保持力をより高めることができる。
【0012】
また、請求項5に記載の発明は、請求項1から4のいずれか一項に記載の清掃具用柄において、
前記挟持部は、前記ヘッド部を挟持する2つの挟持部材を備えることを特徴とする。
本発明によれば、保持力をより高めることができる。
また、請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の清掃具用柄において、
前記挟持部材の一方に設けられた前記複数の突起部と、前記挟持部材の他方に設けられた前記複数の突起部とは、前記ヘッド部を挟持した状態において互いに噛み合う位置に配されることを特徴とする。
本発明によれば、保持力をより高めることができる。
【0013】
また、請求項7に記載の発明は、清掃具であって、
請求項1から6のいずれか一項に記載の清掃具用柄と、前記挟持部により挟持されて前記清掃具用柄に取り付けられたヘッド部と、を備えることを特徴とする。
本発明によれば、保持力と水切れ性とを両立した清掃具を提供することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、保持力と水切れ性とを両立した清掃具用柄及び清掃具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】清掃具を示す斜視図である。
図2】清掃具の挟持部を閉じた状態を示す図である。
図3】清掃具の挟持部を開いた状態を示す図である。
図4】挟持部を示す拡大図である。
図5】挟持部の挟持面の構成を説明するための図である。
図6】挟持部の挟持面の構成を説明するための図である。
図7】挟持面の構成の変形例を示す図である。
図8】挟持面の構成の変形例を示す図である。
図9】柄部及び挟持部の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態である清掃具の具体的な態様について、図1から図8に基づいて説明する。ただし、本発明の技術的範囲は、図示例に限定されない。
なお、以下においては、図1に示すように、前後方向、左右方向及び上下方向並びにX軸、Y軸及びZ軸を定めて説明する。すなわち、柄部のヘッド部が取り付けられていない側の端部が向く方向を「右」、その反対側を「左」、柄部が屈曲する方向を「下」、その反対側を「上」、右側を向いた際の右手側を「前」、右側を向いた際の左手側を「後」とし、前後方向に沿った軸をX軸、左右方向に沿った軸をY軸、上下方向に沿った軸をZ軸とする。
【0017】
[実施形態の構成]
まず、清掃具100の構成について説明する。
清掃具100は、トイレに設置された便器の清掃などに用いられるものであり、図1に示すように、清掃具100の使用者が把持する柄部10と、柄部10に設けられた挟持部20と、挟持部20に着脱自在に取り付けられるヘッド部30と、から構成される。
【0018】
<柄部>
柄部10は、図1から図3に示すように、例えば、その本体をなす本体部11と、本体部11に対し回動可能に接続された回動部12と、を備えて構成される。
これら本体部11及び回動部12を形成する材料としては、ヘッド部30を柄部10に取り付けて清掃を行うことができる強度を有するものであれば任意であるが、例えば、ABS樹脂(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合樹脂)、PP(ポリプロピレン)、POM(ポリアセタール)等を用いることができる。
【0019】
(本体部)
本体部11は、図1から図3に示すように、清掃具100の使用者が把持する部分である把持部111と、把持部111と接続され、回動部12と対向する部分である対向部112と、を備える。
また、本体部11において、対向部112の把持部111と接続された側と反対側の端部には、挟持部20の第一挟持部材21が接続されている。
【0020】
(把持部)
把持部111は、柄部10の清掃具100の使用者が把持する部分であり、図1から図3に示すように、長尺な直線状の棒状に形成されている。把持部111の長さは、Y軸方向に150mmから270mmであることが好ましい。
【0021】
把持部111の断面形状(XZ面に沿った断面おける形状)は、使用者が把持し易くするため、上側及び下側が直線状、前側及び後側が円弧上となるように形成され、X方向に15mmから30mm、Z方向に10mmから30mmの大きさであることが好ましい。
【0022】
なお、把持部111は、複数に分割可能に形成されていてもよい。この場合、不使用時に柄部10を短く分割することができ、その収容が容易となる。
また、把持部111には、図1に示すように、柄部10をフック等に掛けることを可能とするための孔部1111が設けられていてもよい。
【0023】
(対向部)
対向部112は、図1及び図3に示すように、把持部111の一端部(図においては左端部)から、そのX方向における片側(図においては後側)半分の断面形状で延出するように形成されており、X方向に把持部111を2分したものと略同一の断面形状を有する。
対向部112は、図1及び図3に示すように、把持部111と接続されているのと反対側の端部近傍が、下方へと湾曲するように形成されている。また、対向部112は、把持部111との接続部分から第一挟持部材21との接続部分までの長さが、160mmから250mmであることが好ましい。
【0024】
(本体側接続部)
対向部112には、図1及び図3に示すように、本体部11と回動部12とを回動可能に接続するための本体側接続部1121が備えられている。
本体側接続部1121の構成は、本体部11と回動部12とを、その接続部分を支点として、YZ面上において回動可能に接続できるものであれば任意であるが、例えば、後述のように、回動部側接続部1211が、円形の孔部として形成されている場合であれば、これを挿通可能な、X軸方向に突出する円筒状の突起部として形成すればよい。
【0025】
(本体側回動制限部)
把持部111と対向部112との接続部分の前側は、図2及び図3に示すように、本体部11の上面側において、把持部111が、柄部10の下面側と比較して左方へと長く続くように形成されており、本体側回動制限部114を形成している。これと、後述の回動部12の回動部本体121に形成された回動部側回動制限部1212とが接触することで、回動部12の回動が、図2に示すように回動部12の回動部本体121と対向部112とがX方向から見て重なった状態で、それ以上回動部側回動制限部1212が上方向へと行かないように制限されるようになっている。
【0026】
(回動部)
回動部12は、図1から図3に示すように、その本体をなす回動部本体121を備える。
また、回動部12において、回動部本体121の一端部には、挟持部20の第二挟持部材22が接続されている。
【0027】
(回動部本体)
回動部本体121は、図1から図3に示すように、本体部11の対向部112をX方向に反転させたものと略同一の形状を有し、図1及び図2に示すように、本体部11と回動部12とが組み合わさった際に、一本の棒状となるように形成されている。
回動部本体121には、一端部に第二挟持部材22が接続され、本体部11の本体側接続部1121と対向する位置には、本体部11と回動部12とを回動可能に接続するための、回動部側接続部1211が備えられている。
【0028】
(回動部側接続部)
回動部側接続部1211の構成は、本体部11と回動部12とを、その接続部分を支点として、YZ面上において回動可能に接続できるものであれば任意であるが、例えば、上記のように、本体側接続部1121が、X軸方向に突出する円筒状の突起部として形成されている場合であれば、これを挿通させることが可能な、本体側接続部1121と略同一の直径を有する円形の孔部として形成することができる。
【0029】
(回動部側回動規制部)
回動部本体121の、第二挟持部材22と接続されたのとは反対側の端部は、図2に示すように回動部本体121と対向部112とがX方向から見て重なった状態における下面側が、上面側と比較して右方へと突出するように形成されており、回動部側回動制限部1212を形成している。これと、本体側回動制限部114とが接触することで、回動部12の回動が、図2に示すように回動部12の回動部本体121と対向部112とがX方向から見て重なった状態で、それ以上回動部側回動制限部1212が上方向へと行かないように制限されるようになっている。
【0030】
<挟持部>
挟持部20は、図1から図3に示すように、本体部11の対向部112に備えられた第一挟持部材21と、回動部12の回動部本体121に備えられた第二挟持部材22とを備え、第一挟持部材21と第二挟持部材22との間にヘッド部30を挟むことで、ヘッド部30を保持することができる。
なお、第一挟持部材21と第二挟持部材22との間隔は、回動部本体121と対向部112とがX軸方向から見て重なった状態(図2参照)において、ヘッド部30の厚みよりも僅かに狭くなるように構成されている。
【0031】
(第一挟持部材)
第一挟持部材21は、図1から図3に示すように、対向部112の把持部111と接続されているのと反対側の端部に接続された板状の部材であり、第二挟持部材22との間にヘッド部30を挟むことによって、これを柄部10に対して固定するための部分である。
【0032】
第一挟持部材21は、図3に示すように、対向部112の把持部111と接続されているのと反対側の端部の、下端部付近と接続されている。
この第一挟持部材21の形状及び大きさは、第二挟持部材22との間にヘッド部30を挟むことで、ヘッド部30を柄部10に対して固定可能であれば特に限定されないが、柄部10の軸方向と直交する方向(図1から図3においてはX方向)に25mmから40mmの長さを有し、これと直交する方向(柄部10の軸方向)に25mmから35mmの長さを有する矩形状であることが好ましい。
【0033】
(第一挟持面)
第一挟持部材21は、図4及び図5に示すように、上面側に、ヘッド部30を挟持する面である第一挟持面211を有する。
第一挟持面211は、例えば矩形状であって、回動部12が回動する面(YZ面)と略直交する面となるように形成される。
第一挟持面211は、図5に示すように、平面視において点状の複数の突起部23(23a、23b、23c)を備えている。この複数の突起部23については後述する。
【0034】
(第二挟持部材)
第二挟持部材22は、図1から図3に示すように、回動部本体121の湾曲している側の端部に接続された板状の部材であり、第一挟持部材21との間にヘッド部30を挟むことによって、これを柄部10に対して固定するための部分である。
【0035】
第二挟持部材22は、回動部本体121の湾曲している側の端部の、図2に示すように回動部本体121と対向部112とがX方向から見て重なった状態における上端部付近と接続されている。
この第二挟持部材22の形状及び大きさは、第一挟持部材21との間にヘッド部30を挟むことで、ヘッド部30を柄部10に対して固定可能であれば特に限定されないが、図1から図3に示すように、第一挟持部材21と同一の形状及び大きさとなるように形成されていることが望ましい。
【0036】
(第二挟持面)
第二挟持部材22は、図4及び図5に示すように、下面側に、ヘッド部30を挟持する面である第二挟持面221を有する。第二挟持面221は、第一挟持面211と同様に、例えば矩形状であって、回動部12が回動する面(YZ面)と略直交する面となるように形成される。
【0037】
第二挟持面221は、第一挟持面211の複数の突起部23と対向するように、平面視において点状の複数の突起部23を備えている。すなわち、第一挟持面211と第二挟持面221とは、同様の構成を有する。
【0038】
(突起部)
上述したように、第一挟持面211と第二挟持面221には、互いに対向する位置となるように、複数の突起部23(23a、23b、23c)が備えられている。
各突起部23は、その底面が円形の円柱形状の直柱体である。
本実施形態では、図5に示すように、X方向及びY方向に沿って4つずつ並列に配された、計16個の突起部23が備えられている構成を例示している。なお、ここで示した突起部23の数は一例であって、これに限定されないのは勿論である。
【0039】
複数の突起部23は、第一挟持面211又は第二挟持面221における位置によって、その高さが異なるように形成されている。
具体的に、第一挟持面211又は第二挟持面221の中央部に設けられた4つの突起部23aは、それ以外の突起部23b、23cと比較して高さが低くなるように形成されている。すなわち、中央部の4つの突起部23aの高さが、相対的に最も低くなるように形成されている。
また、第一挟持面211又は第二挟持面221の角部に位置する4つの突起部23bは、それ以外の突起部23a、23cと比較して高さが高くなるように形成されている。すなわち、角部の4つの突起部23bの高さが、相対的に最も高くなるように形成されている。
また、第一挟持面211又は第二挟持面221の両側部(Y方向に沿った2つの縁部)に位置し、角部の突起部23bに挟まれて設けられた4つの突起部23cと、第一挟持面211又は第二挟持面221の両端部(X方向に沿った2つの縁部)に位置し、角部の突起部23bに挟まれて設けられた4つの突起部23cは、中央部の突起部23aより高く、角部の突起部23bより低くなるように形成されている。
より具体的には、中央部の突起部23aの高さは1.0mmに形成され、角部の突起部23bの高さは1.5mmに形成され、その他の突起部23cの高さは1.3mmに形成されている。なお、ここで挙げた突起部23の具体的な数値は一例であって、これに限定されるものではない。
【0040】
また、ここでは角部の4つの突起部23bの高さが、相対的に最も高くなるように形成されていることとしたが、4つの突起部23bのうちの少なくとも挟持部20の基端側(Y方向の右側)の2つの突起部23bの高さが、相対的に最も高くなるように形成されれば良い。すなわち、4つの突起部23bのうち挟持部20の先端側(Y方向の左側)の2つの突起部23bの高さを、突起部23cと同一の高さに形成しても良い。このようにすることで、ヘッド部30を挟んだ際の保持性をより高めることができる。
【0041】
また、ここでは3つの高さの突起部23を備えた例を示しているが、中央部の突起部23と、それ以外の突起部23の高さが異なる構成であれば本発明の趣旨を逸脱しない。
【0042】
なお、本実施形態では、第一挟持面211と第二挟持面221の突起部23を対向するように形成しているが、図6に示すように、第一挟持面211の複数の突起部23と、第二挟持面221における複数の突起部23とを、互いに噛み合う位置に配されることも好ましい。このようにすることで、ヘッド部30を挟んだ際の保持性をより高めることができる。
【0043】
<ヘッド部>
ヘッド部30は、図1に示すように、第一挟持部材21と、第二挟持部材22とに挟持されて柄部10に着脱自在に取り付けられた状態で、便器の内面などの被清掃面に押し付けられてその清掃を行うための部材であり、水解性を有する材料により形成され、清掃後、柄部10から外して便器に流すことができるように形成されている。
【0044】
具体的には、例えばヘッド部30は、水解性を有する一枚のシート体を折り畳むことで2層以上重ね合わされた積層体により形成されることが好ましい。一枚のシート体を折り畳んでヘッド部30を形成することで、その製造を容易にすることができる。
なお、製造の容易性は低下するものの、複数枚のシート体を重ね合わせることで2層以上重ね合わされた積層体が形成されていてもよい。また、複数枚のシート体を重ね合わせた上で、これをさらに折り畳むことによって、2層以上重ね合わされた積層体が形成されていてもよい。
このようにヘッド部30を積層体とすることで、便器に流す際に水に対してほぐれやすくすることができる。
【0045】
また、ヘッド部30に用いられる水解性を有するシート体としては、例えば、湿式抄紙法により作製される水解紙や、エアレイド不織布などを用いることができる。このようなシート体の原料には、バージンパルプが用いられることが好ましい。古紙再生パルプには樹脂や石灰等の異物が混入することがあり、これによって、清掃時に被清掃面に傷がつき易くなる、流した際に所望の水解性が得られず詰まり易くなるといったリスクが生じるためである。
【0046】
ヘッド部30は、長辺40mmから60mm、短辺35mmから55mmの長方形状に形成され、厚みが10mmから20mmとなるように形成されることが好ましい。
また、ヘッド部30は、柄部10に対し、長辺方向が柄部10の軸方向と一致するようにして、第一挟持部材21及び第二挟持部材22の先端から、20mmから40mm突出するように取り付けられることが好ましく、略30mm突出するように取り付けられることが最も好ましい。
【0047】
また、ヘッド部30は、長辺方向の一端部近傍において、圧縮されてシート体同士が固定されており、長辺方向の他端部近傍においては、圧縮されず、シート体同士が固定されないように構成されていてもよい。なお、シート体同士が固定されていない前記他端部側には、さらに複数の切れ目が形成されていてもよい。また、シート体同士が固定されている前記一端部側においては、さらに、水溶性の接着剤等によって、シート体同士が強固に固定されていてもよい。
これによって、シート体同士が固定された前記一端部側を第一挟持部材21と、第二挟持部材22とによって挟持して、柄部10に取り付けることで、ヘッド部30の柄部10への取り付けが容易となり、かつ、シート体同士が固定されていない前記他端部側を清掃に用いることで、汚れの除去力も高めることができる。
【0048】
[実施形態の作用]
次に、清掃具100の使用方法について説明する。
本実施形態の清掃具100は、まず、回動部12を回動させ、図3に示すように、挟持部20の第一挟持部材21と第二挟持部材22との間隔を広げることができる。
次いで、ヘッド部30を第一挟持部材21と第二挟持部材22との間に挿入した後、回動部12を回動させて、図2に示すように第一挟持部材21と第二挟持部材22との間隔を狭め、図1に示すように回動部12を固定することによって、ヘッド部30を柄部10に取り付けることができる。
ここで、第一挟持部材21と第二挟持部材22との間にヘッド部30を挟んだ際に、第一挟持面211及び第二挟持面221の突起部23がヘッド部30にくい込んで、ヘッド部30を柄部10に対して強固に固定可能となる。
【0049】
この状態において、清掃具100は、ヘッド部30を清掃対象である便器の内面を擦って汚れを落とすように使用される。挟持部20において、第一挟持面211及び第二挟持面221の側端部に位置する突起部23b、23cが、中央部に位置する突起部23aよりその高さが高くなるよう形成されていることにより、第一挟持面211及び第二挟持面221により形成される空間にてヘッド部30が掴まれた状態となるため、使用時の衝撃が加わったとしても、ヘッド部30が挟持部20からズレたり、離脱するのが防止されることとなる。
【0050】
また、清掃終了後、ヘッド部30は柄部10から取り外され、便器に流すことができる。
ここで、挟持部20において、ヘッド部30を挟持していた突起部23は点状であるため、柄部10をどのような角度で保管したとしても突起部23の間から水が抜けるので水切れがよく、乾燥しやすいため、衛生的である。
【0051】
[本実施形態の効果]
以上のように、本実施形態によれば、清掃対象にヘッド部30を押し付けて清掃する清掃具100に用いられる柄部(清掃具用柄)10であって、ヘッド部30を2つの挟持部材(第一挟持部材21及び第二挟持部材22)により挟持する挟持部20を備え、挟持部材の挟持面(第一挟持面211及び第二挟持面221)は、点状の複数の突起部23を有し、複数の突起部23のうち挟持面の側端部に位置する突起部23b、23cは、挟持面の中央部に位置する突起部23aよりもその高さが高い。
このため、挟持部20によりヘッド部30を挟持した際に、上下の挟持面により形成される空間にてヘッド部30が掴まれた状態となり、十分な保持力を有する構成とすることができる。また、複数の突起部23が点状であることで、水切れ性を良好にすることができる。
よって、保持力と水切れ性とを両立した清掃具用柄及び清掃具を提供することができる。
【0052】
また、本実施形態によれば、挟持面(第一挟持面211及び第二挟持面221)は矩形状であって、挟持面の角部に位置する4つの突起部23bのうちの少なくとも挟持部20の基端側の2つの突起部23bは、それ以外の突起部よりもその高さが高い。
このため、挟持部20によりヘッド部30を挟持した際に圧力が掛かり易く、保持力をより高めることができる。
【0053】
また、本実施形態によれば、第一挟持部材21に設けられた複数の突起部と、第二挟持部材22に設けられた複数の突起部23とは、ヘッド部30を挟持した状態において互いに噛み合う位置に配される。
このため、挟持部20によりヘッド部30を挟持した際に、上下の突起部23が互いに噛み合うことで、保持力をより高めることができる。
【0054】
[変形例1]
上記実施形態では、突起部23は円柱形状である以外に特に限定はないが、図7に示すように、突起部23の先端部に、当該突起部23の突出方向に凸となる曲面231を備える構成とすることも好ましい。
この場合、挟持部20によりヘッド部30を挟持した際に、上下の突起部23が互いに噛み合う位置となるよう配されていることがより好ましい。
このようにすることで、挟持部20によりヘッド部30を挟持した際に、突起部23aによる押圧力が増し、保持力をより高めることができる。
【0055】
[変形例2]
また、図8に示すように、第一挟持面211及び第二挟持面221の側端部に位置する突起部23b、23cの先端部に、挟持面の中央部に向かって傾斜する傾斜面232を備える構成とすることも好ましい。
この際、第一挟持面211及び第二挟持面221の中央部に位置する突起部23aの先端部は、図5に示した平面でも良いし、図7に示した曲面231でも良い。
また、この場合、挟持部20によりヘッド部30を挟持した際に、上下の突起部23が互いに噛み合う位置となるように配されていることがより好ましい。
このようにすることで、挟持部20によりヘッド部30を挟持した際に、突起部23b、23cがヘッド部30にくい込みやすくなり、保持力をより高めることができる。
【0056】
なお、突起部23の先端部の形状としては、上記した傾斜面232を備える構成や曲面231を備える形状以外にも、例えば円錐形状等、適宜設定可能である。
【0057】
また、上記実施形態では、突起部23は円柱形状であるものとして説明したが、円柱形状以外にも、底面が円多角形の角柱形状であっても良い。
さらに、突起部23は点状であれば良く、円柱形状や角柱形状の直柱体状のもの以外にも、錐体状や球体状であっても良い。
【0058】
また、挟持部20のX方向の幅(特に、挟持部20の基端部)を、ヘッド部30のX方向の幅より広くする構成とすることも好ましい。このようにすることで、より保持力を高めることができる。
【0059】
また、柄部100及び挟持部20の構成としては、上記実施形態のものに限定されないのは勿論である。
例えば、図9(a)に示すように、筒体状の柄部10Aであって、その左下端部に第一挟持面211を有する突出部31(挟持部)を備え、その内部に第二挟持面221を有するバー32(挟持部)が収納され、柄部10Aの外面に設けられた操作部33により内部のバー32をスライドさせて、ヘッド部30を挟持させる構成であっても良い。
また、図9(b)に示すように、筒体状の柄部10Bであって、その左端部に第一挟持面211及び第二挟持面221をそれぞれ有する2つの突出部41、42(挟持部)を備え、その内部にベルト機構43を有し、柄部10Bの外面に設けられた操作部44によりベルト機構43を回転させ、突出部41、42を開閉させて、ヘッド部30を挟持させる構成であっても良い。
また、図9(c)に示すように、トング状の柄部10Cであり、その開閉可能な対向する端部(挟持部)に第一挟持面211及び第二挟持面221をそれぞれ有する構成であっても良い。
【符号の説明】
【0060】
10 柄部(清掃具用柄)
11 本体部
111 把持部
112 対向部
114 本体側回動制限部
12 回動部
121 回動部本体
20 挟持部
21 第一挟持部材
211 第一挟持面
22 第二挟持部材
221 第二挟持面
23、23a、23b、23c 突起部
231 曲面
232 傾斜面
30 ヘッド部
100 清掃具
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9