(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-02
(45)【発行日】2022-12-12
(54)【発明の名称】測量システム、測量機、および測量方法
(51)【国際特許分類】
G01C 15/00 20060101AFI20221205BHJP
G01C 15/06 20060101ALI20221205BHJP
【FI】
G01C15/00 103A
G01C15/00 105S
G01C15/06 T
(21)【出願番号】P 2018185899
(22)【出願日】2018-09-28
【審査請求日】2021-06-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000220343
【氏名又は名称】株式会社トプコン
(74)【代理人】
【識別番号】100087826
【氏名又は名称】八木 秀人
(74)【代理人】
【識別番号】100187182
【氏名又は名称】川野 由希
(72)【発明者】
【氏名】安富 敏
(72)【発明者】
【氏名】古明地 隆浩
【審査官】眞岩 久恵
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-138802(JP,A)
【文献】実開平5-79428(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 1/00-1/14
G01C 5/00-15/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
反射ターゲット
、およびターゲットユニットの中心軸周りの周方向の角度を示すエンコーダパターンを備えるターゲットユニットと、
前記反射ターゲットを測距および測角する測量部と、前記エンコーダパターンを光学的に読み取るエンコーダパターン読取部とを備え、測距測角データに基づいて前記反射ターゲットの測定座標を算出し、エンコーダパターン読取結果に基づいて、エンコーダパターン読取角を算出する演算制御部とを備える測量機と、
前記ターゲットユニットおよび前記測量機
が、択一的に、鉛直方向の中心軸を共有するように、着脱可能に取り付けられるように構成され、前記ターゲットユニットおよび前記測量機とのそれぞれの前記中心軸周りのオフセット角度が既知である整準台とを備え、
前記演算制御部は、前記整準台に取り付けて設置した前記ターゲットユニットの前記エンコーダパターン読取角および前記ターゲットユニットの前記オフセット角度に基づいて前記整準台の方向角を算出し、前記整準台に取り付けて設置した前記ターゲットユニットの反射ターゲットの測定座標
に基づいて前記ターゲットユニットの設置点の座標を算出し、
前記演算制御部は、前記測量機の前記オフセット角
度および前記
ターゲットユニットが取り付けられた
前記整準台の方向角に基づいて
、前記ターゲットユニットに代えて、前記測量機を前記整準台に取り付けた場合の前記測量機の方向角を算出できるようにしたことを特徴とする測量システム。
【請求項2】
測距光を送光し、その反射光を受光して測距を行う測距部、前記測距光を測定範囲に回転照射する走査部、および測距光の照射方向を検出する測角部を備え、測定範囲の点群データを取得するスキャナ装置をさらに備え、
前記スキャナ装置は、前記整準台に、前記ターゲットユニットおよび前記測量機と、択一的に、鉛直方向の中心軸を共有するように、着脱可能に取り付けられ、前記スキャナ装置の前記整準台に対する前記中心軸周りのオフセット角度が既知であり、
前記測量機の演算制御部は、
前記スキャナ装置のオフセット角度および前記ターゲットユニットが取り付けられた
前記整準台の方向角に基づいて、
前記ターゲットユニットに代えて前記整準台に取り付けた場合の前記
スキャナ装置の方向角を算出することを特徴とする請求項1に記載の測量システム。
【請求項3】
前記測量機は、追尾光を出射し前記反射ターゲットで反射した前記追尾光を受光して前記反射ターゲットを追尾する追尾部を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の測量システム。
【請求項4】
反射ターゲットの測距および測角を行う測量部と、
前記反射ターゲットを備え、整準台に中心軸を共有するように着脱可能に構成されたターゲットユニットの中心軸周りの角度を示すエンコーダパターンを光学的に読み取るエンコーダパターン読取部と、
測距データおよび測角データに基づいて前記反射ターゲットの測定座標を算出する演算制御部とを備え、
前記整準台に、前記ターゲットユニットと択一的に、鉛直方向の中心軸を共有するように着脱可能に取り付けられるように構成され、前記中心軸周りのオフセット角度が既知とされた測量機であって、
前記演算制御部は、前記エンコーダパターン読取角を算出し、前記エンコーダパターン読取角および前記ターゲットユニットの前記オフセット角度に基づいて、前記整準台の方向角を演算し、前記整準台に取り付けて設置したターゲットユニットの前記反射ターゲットの測定座標
に基づいて前記ターゲットユニットの設置点の座標を算出し、
前記演算制御部は、前記測量機の前記オフセット角度、および前記
ターゲットユニットが取り付けられた整準台の方向角に基づいて、前記
ターゲットユニットに代えて、前記測量機を前記整準台に取り付けた場合の前記測量機の方向角を算出できるようにしたことを特徴とする測量機。
【請求項5】
前記整準台は、測距光を送光し、その反射光を受光して測距を行う測距部、前記測距光を測定範囲に回転照射する走査部、および測距光の照射方向を検出する測角部を備え、測定範囲の点群データを取得するスキャナ装置が、前記ターゲットユニットおよび前記測量機と、択一的に、鉛直方向の中心軸を共有するように、着脱可能に構成されており、
前記スキャナ装置の前記整準台に対する前記中心軸周りのオフセット角度が既知であり、
前記演算制御部は、前記スキャナ装置のオフセット角度、および前記ターゲットユニットが取り付けられた整準台の方向角に基づいて、前記ターゲットユニットに代えて、前記スキャナ装置を前記整準台に取り付けた場合の方向角を算出できるようにしたことを特徴とする請求項4に記載の測量機。
【請求項6】
追尾光を出射し前記反射ターゲットで反射した前記追尾光を受光して前記反射ターゲットを追尾する追尾部を備えることを特徴とする請求項4
または5に記載の測量機。
【請求項7】
(a)座標および方向角が既知とされた点P
jに設置された整準台に取り付けられた測量機が、前記測量機の前記整準台に対する鉛直中心軸周りのオフセット角度θ
TSに基づいて、前記測量機の方向角を算出するステップと、
(b)前記測量機が、次に観測する点P
j+1に移動するターゲットユニットを自動追尾するステップと、
(c)前記測量機が、前記点P
j+1に設置された整準台に取り付けられたターゲットユニットの反射ターゲットを、測距および測角して、前記反射ターゲットの測定座標を演算するステップと、
(d)前記測量機が、前記点P
j+1に設置された整準台に取り付けられた前記ターゲットユニットのエンコーダパターンを読取り、エンコーダパターン読取角を演算するステップと、
(e)前記測量機が、前記エンコーダパターン読取角、前記ターゲットユニットの前記整準台に対する鉛直中心軸周りのオフセット角度θ
Tに基づいて、前記点P
j+1の整準台の方向角を演算するステップと、
(f)次に点P
jから観測する点がある場合に、点P
j+1のターゲットユニットを取り外し、j=j+1としてステップ(a)~(e)を繰り返すステップとを備え、
前記ターゲットユニットは、前記反射ターゲットと前記エンコーダパターンとを備え、前記エンコーダパターンは、前記ターゲットユニットの中心軸周りの周方向の角度を示し、
前記整準台は、前記ターゲットユニットおよび前記測量機を択一的に、鉛直方向の中心軸を共有するように着脱可能に構成され、
前記ターゲットユニットの前記オフセット角度および前記測量機の前記オフセット角度はそれぞれ既知であることを特徴とする測量方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測量システム、測量機および測量方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、測定対象物に測距光を送光し、その反射光を受光して測定対象物を測距および測角する測量機を用いる測量において、絶対座標系に変換するための方法として、後方交会法や後視点・器械点法による方法が知られている。
【0003】
これらの方法では、新点の座標を知るためには、新点に反射ターゲットを設置して、器械点から新点を測距測角する必要があり、新点の方向角を知るためには、器械点から新点に測量機を移動して、1点の後視点(後視点・器械点法の場合)または2点以上の既知点(後方交会法の場合)を準備して、反射ターゲットを設置し、反射ターゲットを測距および測角をする必要があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように、新点の設置のごとに、測量機を移動して後視点または既知点を測定することは効率が悪いため、効率よく測定を進めることのできる測量方法が求められていた。
【0006】
本発明は、かかる事情を鑑みてなされたものであり、測量機の移動および後視点・既知点の観測を減らして新点の座標および方向角を効率よく測量できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の1つの態様にかかる測量システムは、反射ターゲット、および反射ターゲットユニットの中心軸周りの周方向の角度を示すエンコーダパターンを備えるターゲットユニットと、前記反射ターゲットを測距および測角する測量部と、前記エンコーダパターンを光学的に読み取るエンコーダパターン読取部とを備え、測距測角データに基づいて前記反射ターゲットの測定座標を算出し、エンコーダパターン読取結果に基づいて、エンコーダパターン読取角を算出する演算制御部とを備える測量機と、前記ターゲットユニットおよび前記測量機が、択一的に、鉛直方向の中心軸を共有するように、着脱可能に取り付けられるように構成され、前記ターゲットユニットおよび前記測量機とのそれぞれの前記中心軸周りのオフセット角度が既知である整準台とを備え、前記演算制御部は、前記整準台に取り付けて設置した前記ターゲットユニットの前記エンコーダパターン読取角および前記ターゲットユニットの前記オフセット角度に基づいて前記整準台の方向角を算出し、前記整準台に取り付けて設置した前記ターゲットユニットの反射ターゲットの測定座標に基づいて前記ターゲットユニットの設置点の座標を算出し、前記演算制御部は、前記測量機の前記オフセット角度および前記ターゲットユニットが取り付けられた整準台の方向角に基づいて、前記ターゲットユニットに代えて、前記測量機を前記整準台に取り付けた場合の前記測量機の方向角を算出できるようにしたことを特徴とする。
【0008】
上記態様において、測距光を送光し、その反射光を受光して測距を行う測距部、前記測距光を測定範囲に回転照射する走査部、および測距光の照射方向を検出する測角部を備え、測定範囲の点群データを取得するスキャナ装置をさらに備え、前記スキャナ装置は、前記整準台に、前記ターゲットユニットおよび前記測量機と、択一的に、鉛直方向の中心軸を共有するように、着脱可能に取り付けられ、前記スキャナ装置の前記整準台に対する前記中心軸周りのオフセット角度が既知であり、前記測量機の演算制御部は、前記スキャナ装置のオフセット角度および前記ターゲットユニットが取り付けられた前記整準台の方向角に基づいて、前記ターゲットユニットに代えて前記整準台に取り付けた場合の前記スキャナ装置の方向角を算出することも好ましい。
【0009】
上記態様において、前記測量機は、追尾光を出射し前記反射ターゲットで反射した前記追尾光を受光して前記反射ターゲットを追尾する追尾部を備えることも好ましい。
【0010】
また、本発明の別の態様に係る測量機は、反射ターゲットの測距および測角を行う測量部と、前記反射ターゲットを備え、整準台に中心軸を共有するように着脱可能に構成されたターゲットユニットの中心軸周りの角度を示すエンコーダパターンを光学的に読み取るエンコーダパターン読取部と、測距データおよび測角データに基づいて前記反射ターゲットの測定座標を算出する演算制御部とを備え、前記整準台に、前記ターゲットユニットと択一的に、鉛直方向の中心軸を共有するように着脱可能に取り付けられるように構成され、前記中心軸周りのオフセット角度が既知とされた測量機であって、前記演算制御部は、前記エンコーダパターン読取角を算出し、前記エンコーダパターン読取角および前記ターゲットユニットの前記オフセット角度に基づいて、前記整準台の方向角を演算し、前記整
準台に取り付けて設置したターゲットユニットの前記反射ターゲットの測定座標に基づいて前記ターゲットユニットの設置点の座標を算出し、前記演算制御部は、前記測量機の前記オフセット角度、および前記ターゲットユニットが取り付けられた整準台の方向角に基づいて、前記ターゲットユニットに代えて、前記測量機を前記整準台に取り付けた場合の前記測量機の方向角を算出できるようにしたことを特徴とする。
また、上記態様において、前記整準台は、測距光を送光し、その反射光を受光して測距を行う測距部、前記測距光を測定範囲に回転照射する走査部、および測距光の照射方向を検出する測角部を備え、測定範囲の点群データを取得するスキャナ装置が、前記ターゲットユニットおよび前記測量機と、択一的に、鉛直方向の中心軸を共有するように、着脱可能に構成されており、前記スキャナ装置の前記整準台に対する前記中心軸周りのオフセット角度が既知であり、前記演算制御部は、前記スキャナ装置のオフセット角度、および前記ターゲットユニットが取り付けられた整準台の方向角に基づいて、前記ターゲットユニットに代えて、前記スキャナ装置を前記整準台に取り付けた場合の方向角を算出できるようにしたことも好ましい。
【0011】
上記態様において、追尾光を出射し前記反射ターゲットで反射した前記追尾光を受光して前記反射ターゲットを追尾する追尾部を備えることも好ましい。
【0012】
また、本発明のさらに別の態様に係る測量方法は、(a)座標および方向角が既知とされた点Pjに設置された整準台に取り付けられた測量機が、前記測量機の前記整準台に対する鉛直中心軸周りのオフセット角度θTSに基づいて、前記測量機の方向角を算出するステップと、(b)前記測量機が、次に観測する点Pj+1に移動するターゲットユニットを自動追尾するステップと、(c)前記測量機が、前記点Pj+1に設置された整準台に取り付けられたターゲットユニットの反射ターゲットを、測距および測角して、前記反射ターゲットの測定座標を演算するステップと、(d)前記測量機が、前記点Pj+1に設置された整準台に取り付けられた前記ターゲットユニットのエンコーダパターンを読取り、エンコーダパターン読取角を演算するステップと、(e)前記測量機が、前記エンコーダパターン読取角、前記ターゲットユニットの前記整準台に対する鉛直中心軸周りのオフセット角度θTに基づいて、前記点Pj+1の整準台の方向角を演算するステップと、(f)次に点Pjから観測する点がある場合に、点Pj+1のターゲットユニットを取り外し、j=j+1としてステップ(a)~(e)を繰り返すステップとを備え、前記ターゲットユニットは、前記反射ターゲットと前記エンコーダパターンとを備え、前記エンコーダパターンは、前記ターゲットユニットの中心軸周りの周方向の角度を示し、前記整準台は、前記ターゲットユニットおよび前記測量機を択一的に、鉛直方向の中心軸を共有するように着脱可能に構成され、前記ターゲットユニットの前記オフセット角度および前記測量機の前記オフセット角度はそれぞれ既知であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
上記態様によれば、測量機の移動および後視点・既知点の観測を減らして新点の座標および方向角を効率よく測量することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施の形態にかかる測量システムの構成概略図である。
【
図2】同形態に係る、ターゲットユニットを整準台に組み付けた状態を示す斜視図である。
【
図3】(a)は、同形態のターゲットユニットに係るエンコーダパターン部の拡大斜視図であり、(b)は、該エンコーダパターン部のエンコーダパターンを基準点で切り開いて平面に展開した図(一部を省略している)である。
【
図4】同形態に係るスキャナ装置の構成ブロック図である。
【
図5】同形態に係るスキャナ装置の測距部における、送受光の仕組みを説明する模式図である。
【
図6】同形態に係る測量機の構成ブロック図である。
【
図7】(a)は、同形態に係る整準台の斜視図、(b)は、同整準台の平面図である。
【
図8】同形態のターゲットユニットと整準台の取付構造を説明する図である。
【
図9】(a),(b),(c),(d)は、同形態に係る、ターゲットユニット、整準台、スキャナ装置、および測量機の平面図であり、水平角方向の関係を説明する図である。
【
図10】同形態の測量システムを用いた測量方法のフローチャートである。
【
図11】同形態の測量システムにおける、測量機の座標および方向角の測定のフローチャートである。
【
図12】(a),(b)は、上記測量方法を説明する図である。
【
図13】同形態の測量システムにおける、スキャナ装置による点群データ観測のフローチャートである。
【
図14】上記測量方法におけるエンコーダパターンの読取りの詳細を説明するフローチャートである。
【
図15】(a)は、同形態の測量システムのカメラにより取得したエンコーダパターン部周辺の風景画像であり、(b)は、(a)より切り出されたエンコーダパターン部の拡大画像であり、(c)は、(b)を周方向に線状に読み込んで、画素値に変換した結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の好適な実施の形態について、図面を参照しながら説明する。以下の実施の形態の説明において、同一の構成には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。なお、各図において、説明の便宜上構成部品は適宜拡大して模式的に示しており、実際の比率を反映したものではない。
【0016】
実施の形態
1. 測量システムの構成
図1は、本発明の実施の形態にかかる測量方法を実施するための測量システム100の概略構成を示す図である。測量システム100は、ターゲットユニット10、
スキャナ装置30、測量機60、および整準台90を備える。
【0017】
2. ターゲットユニットの構成
図2に示す通り、ターゲットユニット10は、反射ターゲット11、支持部材12、エンコーダパターン部13、および基盤部14を備え、三脚2に取り付けられる整準台90に着脱可能に取り付けられており、鉛直に保持されている。
【0018】
反射ターゲット11は、例えば、複数の三角錐状のプリズムを放射状に組み合わせて構成された、いわゆる全方位プリズムであり、その全周(360°)から入射する光を、その入射方向と反対の方向に反射する。すなわち、反射ターゲット11は、測量機60からの測距光4を、測量機60に向けて反射する。反射ターゲット11は、全方位プリズムに限定されず、測量用に用いられる通常のプリズムを使用してもよい。
【0019】
支持部材12は、基盤部14から上方へ一定の長さをもって延びる、例えば、金属製または樹脂製の円柱状の部材である。その中心軸Aが、反射ターゲット11の中心Oおよびエンコーダパターン部13の(ベース13A)中心O
E(
図3(a))を通るように、エンコーダパターン部13および反射ターゲット11を固定支持している。また、共通するベース13Aの中心軸と支持部材12の中心軸Aとは、反射ターゲット11の中心Oを通るように構成されている。
【0020】
エンコーダパターン部13は、短尺円柱形状のベース13Aの側周面に、エンコーダパターン13Bを設けることにより構成されている。ベース13Aは、例えば、支持部材12の外周に形成されたねじ部(図示せず)と、ベース13Aの中心に形成されたねじ穴(図示せず)を螺合させる等の手段により、支持部材12と反射ターゲット11の間に固定されている。
【0021】
エンコーダパターン13Bは、角度情報部131と、角度情報部131の上方に隣接する幅情報部132とを備える。
【0022】
図3(a),(b)に示すように、角度情報部131は、例えば、白地に、幅w
1を有する狭幅の黒の縦線131aと、幅w
2を有する広幅の黒の縦線131bとを、縦線131aを「0」、縦線131bを「1」として、M系列の循環乱数コードを生成するように、等ピッチpで配置したバーコード状のパターンである。エンコーダパターン13Bは、エンコーダパターン部13の中心から基準点RPへの方向(以下、「エンコーダパターンの基準方向」という。)RDを0°として、測量機60により読み取ったパターンから算出される角度(以下、「エンコーダパターンの読取角」という。)θ
Eが、エンコーダパターン13Bの基準方向RDから、支持部材12の中心軸A回りの時計回りの周方向の絶対角度と対応するように構成されている。
【0023】
角度情報部131は、ビット数を変更することにより、所望の分解能を実現可能に構成されている。
【0024】
なお、ビットパターンは、M系列コードに限らず、グレイコード、純2進バイナリコードなどのビットパターンを用いることができ、これらは、公知の手法により生成することができる。しかし、M系列コードを用いると、トラック数を増やさずにビット数を増大することができ、簡単な構成で、高い分解能を実現することができるため有利である。
【0025】
幅情報部132は、所定の高さh1を有する黒色帯132aと、同高の白色帯132bとを備える。黒色帯132aと白色帯132bとはそれぞれ、エンコーダパターン部13の周方向の全周に亘り延びている。
【0026】
エンコーダパターン13Bは、模様を形成するために用いられる種々の公知の手法によりエンコーダパターン部13に設けることができる。例えば、エンコーダパターン13Bを、インクジェット印刷などの一般的な印刷等の手法により白い紙に印刷し、これをベース13Aの側周面に貼付することにより設けてもよい。このような手法によれば、極めて安価かつ簡便な方法でエンコーダパターン部13を形成することができる。また、エンコーダパターン13Bを、樹脂製のベース13Aに直接印刷することにより設けてもよい。また、エンコーダパターン13Bを、金属製のベース13Aに、塗装または蒸着等の手法により設けてもよい。
【0027】
なお、図示の例では、幅情報部132は角度情報部131の上方に隣接して配置されている。しかし、角度情報部131と幅情報部132の位置関係は、これに限定されず、幅情報部132が角度情報部131の下方に配置されていてもよい。
【0028】
また、エンコーダパターン部13は、反射ターゲット11の下方に隣接して配置されている。しかし、エンコーダパターン部13と反射ターゲット11との位置関係は、これに限定されず、エンコーダパターン部13が反射ターゲット11の中心Oを通る支持部材12の中心軸Aと同軸となるように配置されていれば、他の配置であってもよい。
【0029】
すなわち、エンコーダパターン部13が反射ターゲット11の上方に配置されていてもよい。また、エンコーダパターン部13と反射ターゲット11とが離間して配置されていてもよい。
【0030】
なお、図示の例において、エンコーダパターン部13は、反射ターゲット11の下方に隣接して備えられている。しかし、エンコーダパターン部13と反射ターゲット11との位置関係は、これに限定されず、エンコーダパターン部13が、支持部材12の中心軸Aと同軸となるように配置されていれば、他の配置で備えられていてもよい。
【0031】
すなわち、エンコーダパターン部13が反射ターゲット11の上方に配置されていてもよい。また、エンコーダパターン部13と反射ターゲット11とが離間して配置されていてもよい。
【0032】
基盤部14は、支持部材12と同軸に設けられた、支持部材12よりも太径の、例えば金属製または樹脂製の円柱状の部材であり、整準台90の基盤取付穴94と整合する寸法を有する。基盤部14の底面には、後述するように整準台90の係合孔96a,96b,96cとそれぞれ係合する係合突起15a,15b,15c(
図8)が、ターゲットユニット10の中心軸Aに対して周方向等間隔に3か所設けられている。
【0033】
また、基盤部14の側周面には、位置決め突起16が径方向に突出するように設けられている(
図8)。
【0034】
3. スキャナ装置の構成
図4は、スキャナ装置30の構成ブロック図である。スキャナ装置30は、いわゆるレーザスキャナであり、測距部31、鉛直回転駆動部32、回動ミラー33、鉛直角検出器34、水平回転駆動部35、水平角検出器36、記憶部37、表示部38、操作部39、演算制御部41、および外部記憶装置43を備える。
【0035】
また、スキャナ装置30は、
図1に示すように、ターゲットユニット10と同様に、三脚2に取り付けられる整準台90を介して設置される。スキャナ装置30は、整準台90に着脱可能に取り付けられる基盤部6aと、基盤部6aに軸H1-H1回りに360°水平回転可能に設けられた托架部6bと、托架部6bの凹部7に、軸V1-V1回りに鉛直回転可能に設けられた望遠鏡部6cとを備える。
【0036】
基盤部6aには、水平回転駆動部35、および水平に回転させる軸H1-H1回りの回転角を検出する水平角検出器36が収納されている。水平回転駆動部35は、例えばモータであり、水平角検出器36は例えばロータリエンコーダである。水平回転駆動部35は、水平に回転させる軸H1-H1を中心に托架部6bを回転し、水平角検出器36は、托架部6bの水平に回転させる軸H1-H1の基盤部6aに対する回転角を検出し、検出信号を演算制御部41に出力する。
【0037】
また、基盤部6aの底部は、ターゲットユニット10の基盤部14の底部と同様の構成を有する。すなわち、整準台90の基盤取付穴94と整合する円柱形状に成形されており、その底面に、整準台90の係合孔96a,96b,96cと整合する形状を有する、係合突起51a,51b,51c(
図9(c))が設けられている。また、基盤部6aの底部の側周面には、位置決め突起52が設けられている。
【0038】
托架部6bには、鉛直回転駆動部32、鉛直角検出器34、記憶部37および演算制御部41が設けられている。また、表示部38および操作部39は托架部6bの外部に設けられている。
【0039】
鉛直回転駆動部32は、モータであり、鉛直に回転させる軸V1-V1上に設けられている。鉛直回転駆動部32の回転により、望遠鏡部6cが鉛直方向に全周回転されるように構成されている。鉛直角検出器34は、例えばロータリエンコーダである。鉛直角検出器34は、鉛直に回転させる軸V1-V1上に設けられ、該軸V1-V1の回転角を検出し、検出信号を演算制御部41に出力する。
【0040】
望遠鏡部6cには、測距部31が収容されている。望遠鏡部6cの内部には、回動ミラー33を備える鏡筒(図示せず)が設けられており、この鏡筒を水平に回転させる軸は、托架部6bを水平に回転させる軸H1-H1と同軸である。鏡筒は、望遠鏡部6cに適宜の手段で取り付けられている。
【0041】
図5は、本実施の形態の測距部31における、測距光3の送受光の仕組みを説明する模式図である。測距部31は、測距光送光部44、測距光受光部45、ビームスプリッタ(図示せず)、測距光用ミラー46、測距光用集光レンズ47および回動ミラー33を有する測距光用送受光光学系48を備える。測距光送光部44は、発光素子(図示せず)を備える。
【0042】
発光素子は、例えば半導体レーザ等であり、測距光としてパルスレーザ光線を出射する。出射された測距光3は、測距光用ミラー46で反射され、さらに回動ミラー33によって反射されて測定対象物に照射される。また、回動ミラー33は、両面ミラーであり、鉛直回転駆動部32により駆動され鉛直に回転させる軸V1-V1周りに回転する。したがって、回動ミラー33と鉛直回転駆動部32により測距光3を鉛直方向に走査する走査部49を構成している。また、回動ミラー33は、例えば矩形または円形の板状の孔あき両面ミラーであるが、これに限定されない。
【0043】
ついで、測定対象物により再帰反射された測距光3aは、回動ミラー33、測距光用ミラー46及び測距光用集光レンズ47を経て、測距光受光部45に入射する。測距光受光部45は、例えばフォトダイオードなどの受光素子である。また、測距光受光部45には、先述のビームスプリッタにより分割された測距光の一部が内部参照光(図示せず)として入射するようになっており、反射測距光3aおよび内部参照光に基づいて、演算制御部41により、照射点までの距離を求める。
【0044】
回動ミラー33の鉛直方向の回転と、前記托架部6bの水平方向の回転との協働により、測距光が2次元に走査される。測距部31によりパルス光毎の測距データが取得され、鉛直角検出器34および水平角検出器36によりパルス光ごとの測角データが取得される。測距データおよび測角データより、測定対象物に対応する3次元点群データが取得される。
【0045】
記憶部37は、例えばハードディスクドライブであり、スキャナ装置30を作動させるための各種プログラムを格納している。例えば、測距および測角を実行するためのシーケンスプログラム、パルス測距光を回転照射し、各点について、測距、測角の演算を行って点群データを取得する点群データ測定プログラム等を格納している。
【0046】
表示部38は、例えば液晶ディスプレイ等であり、演算制御部41により得られた作業状況データや測定結果等を表示する。
【0047】
操作部39は、タッチディスプレイやキーボード等であり、スキャナ装置30に対する動作指令の入力を行う。
【0048】
演算制御部41は、例えばCPU(Central・Processing・Unit)、ROM(Read・Only・Memory)、RAM(Ramdam・Access・Memory)等を集積回路に実装したマイクロコントローラである。演算制御部41は、測距部31、鉛直回転駆動部32、鉛直角検出器34、水平回転駆動部35、水平角検出器36、記憶部37、表示部38、操作部39、および外部記憶装置43と電気的に接続されている。
【0049】
演算制御部41には、鉛直角検出器34、水平角検出器36からの角度検出信号が入力され、また、測距光受光部45からの受光信号が入力される。また。作業者の操作による操作部39からの信号が入力される、
【0050】
また、演算制御部41は、測距光送光部44、鉛直回転駆動部32、水平回転駆動部35を駆動すると共に、作業状況、測定結果等を表示する表示部38を制御する。
【0051】
また、演算制御部41は、機能部として、測定対象物(範囲)に測距光を回転照射して各点について、測距、測角した結果を演算し、点群データを取得する点群データ取得部57を備える。
【0052】
また、演算制御部41は、取得した点群データを外部記憶装置43に出力する。
【0053】
外部記憶装置43は、例えばメモリカード、ハードディスクドライブ、USBメモリ等であり、演算制御部41に、固定的に設けられていてもよく、取り外し可能に設けられていてもよい。また、外部記憶装置43は、点群データを格納している。
【0054】
4. 測量機の構成
本実施の形態における測量機60は、トータルステーションである。
図6に示す通り、測量機60は、EDM(Electro-optical・Distance・Measuring-Instrument)61、水平角検出器62、鉛直角検出器63、エンコーダパターン読取部として機能するカメラ65,追尾部66、水平回転駆動部68、鉛直回転駆動部69、記憶部71、入力部72、表示部73、および演算制御部74を備える。
【0055】
また、測量機60は、
図1に示すように、ターゲットユニット10およびスキャナ装置30と同様に、三脚2に取り付けられる整準台90を介して設置される。測量機60は、外観上、整準台90に着脱可能に取り付けられる基盤部8aと、基盤部8aに軸H2-H2回りに360°水平回転可能に設けられた托架部8bと、托架部8bの凹部9に、軸V2-V2回りに鉛直回転可能に設けられた望遠鏡8cとを備える。
【0056】
基盤部8aには、水平回転駆動部68、および水平に回転させる軸H2-H2回りの回転角を検出する水平角検出器62が収容されている。
【0057】
托架部8bには、鉛直角検出器63、鉛直回転駆動部69、記憶部71、および演算制御部74が収容されている。托架部8bの外部には、入力部72および表示部73が設けられている。
【0058】
望遠鏡8cには、EDM61、および追尾部66が収容されており、カメラ65は、望遠鏡8cの上部に取り付けられている。
【0059】
また、基盤部8aの底部は、ターゲットユニット10と同様に、整準台90の基盤取付穴94と整合する円柱形状に成形されており、その底面には、整準台90の係合孔96a,96b,96cと整合する形状を有する、係合突起81a,81b,81c(
図9(d)参照)が、その外周側面には、位置決め突起82が設けられている。
【0060】
EDM61は、発光素子、測距光学系および受光素子を備える。EDM61は、発光素子から測距光を出射し、反射ターゲット11からの反射光を受光素子で受光して、反射ターゲット11を測距する。
【0061】
水平角検出器62および鉛直角検出器63は、ロータリエンコーダであり、水平回転駆動部68および鉛直回転駆動部69でそれぞれ駆動される托架部8bおよび望遠鏡8cの回転軸周りの回転角度を検出し、測距光軸の水平角および鉛直角を求める。
【0062】
EDM61、水平角検出器62、および鉛直角検出器63は、測量機60の要部である測量部64を形成している。
【0063】
カメラ65は、カメラとして公知の光学系と、撮像素子とを備える。カメラ65は、望遠鏡8cの上部に、望遠鏡8cと平行に取り付けられている。また、カメラ65は、望遠鏡8cで反射ターゲット11を視準している状態で、反射ターゲット11との位置関係が固定されているエンコーダパターン部13を視準するように構成されている。
【0064】
このために、カメラ65が、撮影をおこなう際に上下左右に回動可能に構成されていてもよい。撮像素子としては、CCDセンサやCMOSセンサ等のイメージセンサが用いられる。カメラ65は、その光学系を通して、受光素子を用いて光を受光し、その光の像を撮像する。
【0065】
追尾部66は、追尾光を出射する発光素子、および例えばCCDセンサやCMOSセンサ等のイメージセンサである受光素子を備え、測距光学系と光学要素を共有する追尾光学系を備える。追尾部66は、測距光とは異なる波長の赤外レーザ光を追尾対象物(ターゲット)に投射し、該追尾対象物からの反射光を受光し、受光結果に基づいて追尾対象物の追尾を行う様に構成されている。
【0066】
追尾部66は、追尾機能を必要としない場合には必須ではなく省略することができる。また、追尾部66を備える場合には、追尾部66にカメラ65の機能を組み込み、独立したカメラ65を省略することもできる。
【0067】
水平回転駆動部68は、および鉛直回転駆動部69はモータであり、それぞれ、水平に回転させる軸H2-H2および鉛直に回転させる軸V2-V2上に設けられている。それぞれ、演算制御部74に制御されて、托架部8bを水平回転させ、望遠鏡8cを鉛直回転させる。
【0068】
記憶部71は、例えばROMおよびRAMを備える。記憶部71は、測量機60を作動させるための各種プログラムを格納している。例えば、測距および測角を実行するためのシーケンスプログラム、座標を演算するための演算プログラム、エンコーダパターンを読み取り、読取角を演算するためのプログラム等を格納する。これらプログラムは、RAMに読み出されて演算制御部74による実行が開始され、測量機60の各種処理を行う。
【0069】
また、記憶部71は、例えばメモリカード、ハードディスクドライブ、USBメモリ等を備え、測定により得られた、測距、測角データ、エンコーダパターンを読み取った画像データ、演算により得られた測定点座標および読取角データおよび方向角データを記憶する。記憶部71は、固定して設けられていてもよく、取り外し可能に設けられていてもよい。
【0070】
入力部72は、例えば、操作ボタンである。作業者は、入力部72に、測量機60に実行させるための指令を入力したり、設定の選択を行ったりすることができる。
【0071】
表示部73は、例えば、液晶ディスプレイであり、演算制御部74の指令に応じて測定結果、演算結果等種々の情報を表示する。また、入力部72より、作業者が入力を行うための設定情報や作業者により入力された指令を表示する。
【0072】
なお、入力部72と表示部73とを一体的に構成して、タッチパネル式ディスプレイとしてもよい。
【0073】
演算制御部74は、CPU、GPU(Graphical・Processing・Unit)等を集積回路に実装したマイクロコントローラである。演算制御部74は、EDM61、水平角検出器62、鉛直角検出器63、カメラ65,追尾部66、水平回転駆動部68、鉛直回転駆動部69、記憶部71、入力部72、および表示部73と電気的に接続されている。
【0074】
演算制御部74には、鉛直角検出器63、水平角検出器62からの角度検出信号が入力され、EDM61からの受光信号が入力される。また。作業者の操作による入力部72からの信号が入力される。また、カメラ65の撮像素子より出力された画素値データが入力される。
【0075】
また、演算制御部74は、EDM61、水平回転駆動部68、鉛直回転駆動部69を駆動すると共に、作業状況、測定結果等を表示する表示部38を制御する。
【0076】
また、演算制御部74は、機能部として、距離角度演算部75、エンコーダパターン読取角演算部76、方向角演算部77、および座標演算部78を備える。
【0077】
距離角度演算部75は、測量部64で得られた測距、測角データに基づいて、反射ターゲットの測定座標を演算し、演算結果を記憶部71に出力する。
【0078】
エンコーダパターン読取角演算部76は、カメラ65により取得されたエンコーダパターン部13周辺の画像からエンコーダパターン13Bを読み取り、エンコーダパターン読取角θEを算出する。エンコーダパターン13Bの読取りの詳細については後述する。
【0079】
方向角演算部77は、エンコーダパターン読取角演算部76で求めたエンコーダパターン読取角θEに基づいてターゲットユニットの方向角を演算し、また、後述するターゲットユニット10のオフセット角度θTに基づいて整準台90の方向角を演算し、整準台90の方向角、スキャナ装置30のオフセット角度θS,および測量機60のオフセット角度θTSに基づいて、それぞれ整準台90に取り付けられたスキャナ装置30の方向角および測量機60の方向角を演算する。
【0080】
座標演算部78は、反射ターゲットの測定座標とスキャナ装置30および測量機60の方向角に基づいて、それぞれスキャナ装置30および測量機60の座標を演算する。
【0081】
各機能部は、ソフトウェアとして構成されていてもよいし、専用の演算回路によって構成されていてもよい。また、ソフトウェア的に構成された機能部と、専用の演算回路によって構成された機能部が混在していてもよい。
【0082】
5. 整準台の構成
整準台90は、ターゲットユニット10、スキャナ装置30および測量機60を択一的に設置するための台座であり、自動整準機能を有する。整準台90は、
図7(a)に示すように、三脚を取りつけるための三脚取付座部91と、整準装置本体92と三脚取付座部91と整準装置本体92とを連結する3個の整準ネジ93とから大略構成されている。
【0083】
整準装置本体92は、図示しないチルトセンサ、整準ネジ駆動機構、制御部等を備え、チルトセンサの傾斜姿勢情報に基づいて、整準装置本体92が水平となるように駆動機構を自動的に制御して整準ネジ93を調節するように構成されている。整準装置本体92の自動制御機構としては、公知の構成を適宜用いることができるので、その詳細な説明は省略する。また、整準装置本体92には、水平状態を確認するための水準器97が設けられている。
【0084】
図7(b)に示すように、整準装置本体92の上面には、ターゲットユニット10、スキャナ装置30または測量機60を取り付けるための、基盤取付穴94が開口している。基盤取付穴94の中央部には、求心レーザ装置(図示せず)の設置箇所95が設けられ、設置箇所95を中心として、周方向の120°毎に間隔をあけて3個の係合孔96a,96b,96cが設けられている。また、整準装置本体92の外縁部には、1箇所の合わせ溝98が形成されている。
【0085】
図8に示すように、ターゲットユニット10は、係合孔96a,96b,96cおよび合わせ溝98により、周方向に位置決めされて、鉛直方向の中心軸Aを共有するように整準台90に取り付けられる。また、ターゲットユニット10は、図示しない板バネのロック機構が、1つの係合突起15aを押圧することにより、整準台90に着脱可能にロックされる。
【0086】
スキャナ装置30および測量機60の、整準台90への取付構造は、ターゲットユニット10の取付構造と同様である。
【0087】
この結果、
図9(b)に示す状態の整準台90にターゲットユニット10を設置すると、ターゲットユニット10の基準方向RDは、整準台90の基準方向D
L(以下、「整準台90の方向D
L」という。)から、角度θ
T(以下、「ターゲットユニット10のオフセット角度θ
T」という。)だけ、周方向反時計回りにずれた方向となる(
図9(a))。
図9において、符号O
T、O
L、O
S、O
TSはそれぞれターゲットユニット10、整準台90、スキャナ装置30、測量機60の中心を示す。
【0088】
同様に、
図9(b)に示す状態の整準台90にスキャナ装置30を設置すると、スキャナ装置30の基準方向D
s(以下、「スキャナ装置30の方向D
S」という。)は、整準台90の方向D
Lから、角度θ
S(以下、「スキャナ装置30のオフセット角度θ
S」という。)だけ周方向反時計回りにずれた方向となる(
図9(c))。
【0089】
同様に、
図9(b)に示す状態の整準台90に測量機60を設置すると、測量機60の基準方向D
TS(以下、「測量機60の方向D
TS」という。)は、整準台90の方向D
Lから、角度θ
TS(以下、「測量機60のオフセット角度θ
TS」という。)だけ周方向反時計回りにずれた方向となる(
図9(d))。
【0090】
ここで、ターゲットユニット10の基準方向RD、スキャナ装置30の方向DS、測量機60の方向DTS、整準台90の方向DLの北に対する右回りの角度が、それぞれターゲットユニット10の方向角、スキャナ装置30の方向角、測量機90の方向角、整準台70の方向角である。
【0091】
ターゲットユニット10のオフセット角度θT、スキャナ装置30のオフセット角度θSおよび測量機60のオフセット角度θTSは、予め測定または設定することにより既知とされ、記憶部37に記憶されている。測量機60を、既知の点に設置し、方向角を既知の値αとした状態でエンコーダパターン読取角θEを読み取ると、エンコーダパターン読取角θEはαの関数で表せる。したがって、エンコーダパターン読取角θEとターゲットユニット10のオフセット角度θTとに基づいて整準台70の方向角を求めることができる。さらに、整準台70の方向角が求まれば、スキャナ装置30のオフセット角度θSに基づいて、整準台70に取り付けたスキャナ装置30の方向角を求めることができる。
【0092】
上記の整準台90の方向DL、スキャナ装置30の方向Ds、測量機60の方向DTSの設定は、本実施の形態における一例であって任意に設定することができる。
【0093】
このように、整準台90の合わせ溝98および係合孔96a,96b,96cにより、周方向に位置決めし、中心軸Aまわりの水平角を所定の角度とすることにより、エンコーダパターン部13の基準方向RD、整準台90の方向DL、スキャナ装置30の方向DS、測量機60の方向DTSを一定の関係にすることができる。
【0094】
また、ターゲットユニット10の反射ターゲット11の中心座標、整準台90の座標、スキャナ装置30の座標、および測量機60の座標は、取付状態で、鉛直方向の位置関係が固定され、その距離は既知となっている。したがって、反射ターゲット11の中心座標求めることにより、整準台90,スキャナ装置30、および測量機60の座標が求まるようになっている。
【0095】
5.観測点の測量
図10,11,12を参照して、本実施の形態に係る測量システム100による測量方法を説明する。説明の便宜のため、
図12に示す7点について測定する場合を例として説明するが、任意の数の観測点を測量することができる。点P
1,P
2,P
3は点P
0から視通のある点であり、点P
11,P
12,P
13は、点P
0からは視通がなく、点P
1から視通がある点である。
【0096】
なお、各観測点には、予め三脚を介して整準台90が設置されている。また、以下の説明における「点Pnの座標および方向角」は、それぞれ点Pnに設置した整準台90の座標および方向角を意味する。
【0097】
図12において、○は新点を、▲は既知点または測定により座標および方向角が既知となった点を示す。また、各点に付した括弧内の英字は、各点に設置した整準台90に、ターゲットユニット10(T)、スキャナ装置30(S)および測量機60(TS)のいずれが取り付けられているかを示す。また、直線矢印は、始点において終点の反射ターゲット11を測距測角し、エンコーダパターン13Bの読取りを行うことを示す。
【0098】
観測を開始すると、まず、ステップS101で、最初の観測点P
0に設定された整準台90に測量機60を取り付ける(
図12(a))。
【0099】
次に、ステップS102では、測量機60が、例えば後方交会法等公知の手法により、点P0の地図座標系の座標および点P0における測量機60の方向角の演算を行う。
【0100】
具体的には、
図12(a)のように、点P
0から視通のある既知点A,Bを用意し、既知点A,Bにターゲットユニット10を設置する。測量機60により、既知点A,Bの測距・測角を行い、測定結果に基づいて点P
0の座標および点P
0測量機60の方向角を算出する。なお、点P
0における、座標および測量機方向角の取得は、後視点・器械点法で求めてもよい。
【0101】
次に、ステップS103では、作業者が点P0に設置した測量機60により、新点P1,P2,P3の測定を行う。
【0102】
具体的には、各点に対して、
図11のフローチャートに示す動作を行う。すなわち、測定を開始すると、ステップS201で、作業者が、自動追尾実行の指示を入力することにより、測量機60の演算制御部74が、追尾部64を駆動して、自動追尾を開始する。
【0103】
次に、作業者は、ターゲットユニット10を持って、測量機60に追尾させながら、次に観測する、点P1まで移動し、ターゲットユニット10を点P1に設置された整準台90に取り付ける。
【0104】
次に、ステップS203で、測量機60は、点P1の反射ターゲット11を視準し、測量部64を駆動して、観測点P1の反射ターゲット11を測距・測角し、距離角度演算部75が、反射ターゲットの測定座標を演算する。
【0105】
次に、ステップS204で、座標演算部78が、反射ターゲット11の座標および点P0における測量機60の方向角に基づいて、点P1(の測量機60)の地図座標系の座標を演算する。
【0106】
次に、ステップS205で、測量機60はカメラ65を駆動して、エンコーダパターン13Bを読み取り、エンコーダパターン読取角演算部76が、エンコーダパターン13Bの読取角θEを算出する。エンコーダパターン13Bの読取りについては、後で詳述する。
【0107】
次に、ステップS206で、方向角演算部77が、観測点P1のエンコーダパターン読取角θEおよびターゲットユニット10のオフセット角度θTに基づいて、観測点P1の整準台90の方向角を演算する。
【0108】
次に、ステップS207では、演算制御部74が、測定点P0で測定する全ての点の観測が完了したかどうかを判断する。
【0109】
ステップS207において、全ての点の測定が完了している場合(Yes)、ステップS208で、測量機60は、表示部73に、観測点P0における測定が完了した旨表示を行い、ステップS105に移行する。
【0110】
ステップS207において、全ての点の測定が完了していない場合(No)、ステップS201に戻り、作業者は、点P1に取り付けたターゲットユニット10を取り外し、次の点P2に設置された整準台90までターゲットユニット10を移動する。
【0111】
その後、点P0で測定する全ての点の測定が完了するまで、ステップS201~S207の処理を繰り返す。
【0112】
なお、測量機60が追尾部64を備えない場合には、ステップS201、S202に代えて、ターゲットユニット10を移動させるごとに視準してステップS203以降の観測を行う。この場合に、最初のステップS202、点P0から測定する全ての点の整準台90にターゲットユニット10を取り付け、ステップS207でNoの場合にステップS203に戻り、動作を繰り返しても良い。
【0113】
次にステップS104では、測量機60が、測定全体の全ての点の測定が完了したかどうかを判断する。
【0114】
全ての点の測定が完了した場合(Yes)、測量機60は測定を終了する。
【0115】
完了していない場合(No)、ステップS105で、作業者が、測量機60を点P
0の整準台90から取り外し、次の点P
1の整準台90に取り付ける(
図12(b))。
【0116】
作業者は、測量機60の移動およびターゲットユニット10の設置が終わると、設置の完了を入力部72より入力する。
【0117】
次にステップS106で、測量機60の方向角演算部77が、整準台90の方向角および測量機60のオフセット角θTSに基づいて観測点P1の測量機60の方向角を算出する。
【0118】
次にステップS107で、測量機60は、ステップS103と同様に、点P11,P12,P13の座標および方向角を観測する。
【0119】
次にステップS108で、測量機60は、測定全体の全ての点の測定が完了したかどうかを判断し、ない場合(No)には測定を完了する。なお、図示の例では、上記により、全ての点の測量が完了している。
【0120】
次の観測点がある場合(Yes)には、処理はステップS105に戻り、全ての点の測量が完了するまでステップS105~S107を繰り返す。
【0121】
なお、各観測点における、測距・測角データおよびエンコーダパターン読取角データおよび演算により算出した方向角および座標データは、それぞれ観測点に関連付けられて記憶部71に保存される。
【0122】
上記のように、本実施の形態によれば、新点を測定する際に、測量機を新点移動して、既知点または後視点を観測することなく、新点の方向角を測定することができるので、測量作業を効率よく行うことができる。
【0123】
特に、器械点から視通があれば、複数の測定点について、測量機を移動させることなく、該複数の測定点についての方向角を測定することができるので、測量作業がより効率的になる。たとえば、全ての測定点が最初の器械点から視通のある場合には、全ての測定点を最初の器械点から測定する測定点に設定することができる。
【0124】
また、
図12のように一部の測定点P
11,P
12,P
13が、最初の器械点P
0から視通がない場合であっても、最初の器械点P
0と視通がない測定点P
11,P
12,P
13との両方から視通の取れる点を、最初の器械点P
0から測定する測定点P
1として設定すれば、測量機60の移動を最小回数とすることができる。
【0125】
このように、本実施の形態によれば、測量機を移動させることなく、複数の測定点の方向角および座標を取得することができるので、全測定点を測定するのに必要な測量機の移動回数を少なくすることができる。このため、測量機を移動させることに伴って生じる方向角および座標の累積誤差を低減することができる。
【0126】
なお、必須ではないが、上記のように測量機60が自動追尾機能を有していると、作業者がターゲットユニット10を移動させながら、連続的に複数の点の測距・測角およびエンコーダパターンの読取りを行うことができるので測定をさらに効率よく行うことができる。
【0127】
6.点群データの観測
本実施の形態では、上記の通り測量した観測点に設置された整準台90にスキャナ装置30を取り付けることで、点群データの観測が可能である。
図13は、スキャナ装置30による点群データ観測のフローチャートである。
図12の現場を測定する例を説明する。
【0128】
点群データの取得を開始すると、まず、ステップS301として、作業者が、点P0の整準台にスキャナ装置30を取り付ける。
【0129】
次に、ステップS302で、スキャナ装置30は、点群データの取得(フルドームスキャン)を行い、取得した点群データを観測点と関連付けて記憶部37に保存されるかまたは外部記憶装置43に出力される。点群データの取得が完了すると、スキャナ装置30は、表示部に完了した旨の表示を行い、作業者にスキャナ装置の移動を促す表示を行う。
【0130】
次にステップS303として、作業者がスキャナ装置30を次の観測点、例えばP1に移動して、全ての観測点での点群データの観測を完了するまでステップS301~S302を繰り返す。
【0131】
なお、点群データの取得を行う場合には、測量機60は、スキャナ装置30のオフセット角度θSを記憶部71に記憶しており、ステップS206の方向角の演算において、整準台90の方向角、エンコーダパターンの読取角θE、およびスキャナ装置30のオフセット角度θSに基づいて、その整準台90に取り付けるスキャナ装置30の方向角を算出し、記憶部71に保存する。
【0132】
測量機60により取得された、各測定点の座標およびスキャナ方向角およびスキャナ装置30により取得された点群データは、パーソナルコンピュータ等のデータ処理装置に出力される。点群データは、各測定点(観測点)の座標およびスキャナ装置の方向角に基づいて、地図座標系に変換され、統合される。
【0133】
なお、上記の例では、測量システム100により、座標および方向角を取得した後の整準台90にスキャナ装置30を取り付けて点群データを取得したが、各観測点(測定点)設置したスキャナ装置30を取り付けて点群データを取得した後に、スキャナ装置30をターゲットユニット10と取替て、測量機60により各点の座標および方向角を取得してもよい。
【0134】
従来は、スキャナ装置で新点のターゲットスキャンを行って座標を取得し、新点に移動して既知点または後視点のターゲットスキャンを行って、観測点の座標および方向角を取得し、その後、同じ位置で点群データの取得を行った後、次の新点に移動することを繰り返す必要があった。
【0135】
ターゲットスキャンは約2分と時間が係る作業であるため、従来のスキャナシステムでは観測に時間がかかっていた。また、ターゲットスキャン、および点群データの取得を同一のスキャナ装置で行うため、それぞれの測定を待ってから次の測定を行う必要があり、観測の効率が悪かった。
【0136】
しかし、本実施の形態によれば、時間のかかるターゲットスキャンに代えて、測量機を用いて、座標を取得するため、観測全体に係る時間を大幅に短縮することができる。
【0137】
また、点群データを取得するのは、座標および方向角を取得する測量機とは独立した、スキャナ装置であるので、座標及び方向角の取得と、点群データの取得とを独立することができる。また、互いの測定を干渉しなければ同時に行うこともできるので観測をさらに効率的に行うことができる。
【0138】
7. エンコーダパターンの読取り
最後に、ステップS204のエンコーダパターン13Bの読取りについて、
図14,15を参照しながら説明する。
【0139】
エンコーダパターン13Bの読取り動作の一例を説明する。測量機60では、ステップS203においてエンコーダパターンの読取りが開始すると、
図14に示す、以下の動作を実行する。
【0140】
測量機60が、エンコーダパターン13Bの読取りを開始すると、ステップS401では、カメラ65が、エンコーダパターン部13を含むエンコーダパターン部13周辺の風景画像85を取得する(
図14(a))。
【0141】
次に、ステップS402では、エンコーダパターン読取角演算部76が、ステップS102で取得した反射ターゲット11の測距データ、および記憶部71に記憶された、既知であるエンコーダパターン部13の寸法に基づいて、画像におけるエンコーダパターン13Bの範囲86を特定し、矩形に切り出す(
図14(a),(b))。
【0142】
次に、ステップS403において、エンコーダパターン読取角演算部76は、ステップS402において切り出したエンコーダパターン13Bの範囲86の画像を、幅情報部132の黒色帯132aおよび白色帯132bの高さh
1(
図3(b))よりも短くかつ、縦線131a,131bの高さh
2(
図3(b))の半分h
2/2よりも短い間隔h
3ごとに、水平方向に線状に読込み、画素値に変換する。例えば、
図14(b)に示すように、I~Vの位置で線状の読込みを行う。画素値は、暗い(黒い)と値が小さくなり、明るい(白い)と値が大きくなるため、I~Vの各位置における読込みの結果(以下、「画素列I~V」という。)は、例えば、
図14(c)のように表すことができる。
【0143】
次に、ステップS404では、ステップS403の読込み結果から、幅情報部132の読取り結果を抽出する。具体的には、所定のしきい値よりも小さな画素値となる黒色部分および所定のしきい値よりも大きな画素値となる白色部分の少なくとも一方が、ステップS102で取得した反射ターゲット11の測距データ、および既知のエンコーダパターン部13の寸法から算出される、エンコーダパターン部13の直径Lに相当する長さ連続している場合に、当該画素列が、幅情報部132に相当すると判断する。
【0144】
従って、
図14(c)においては、画素列IおよびIIが幅情報部132に相当することがわかる。そして、検出されたエンコーダパターン13Bの幅(エンコーダパターン部13の直径)Lから、支持部材12の中心軸Aと合致するエンコーダパターン13Bの中心位置を特定する。幅情報部132は必須ではないが、このように黒色帯132aと白色帯132bの2色の帯で構成した幅情報部132を備えると、背景が黒色または白色であっても、いずれか一方の帯が検出可能であるので有利である。
【0145】
次に、ステップS405では、ステップS403の直線状の読み込み結果から、画素列間の相関を算出し、相関性が所定の値よりも高いものを、角度情報部131の読取り結果として抽出する。
【0146】
図14(c)の例では、画素列III~Vは、画素値のパターンが高い相関性を有しており、したがって、画素列III~Vが角度情報部131の読込み結果であることがわかる。
【0147】
そして、抽出した画素列III~Vの画素値を垂直方向に加算して平均値を算出する。その結果が所定のしきい値よりも小さな場合を黒色の領域と判断し、黒色の領域の幅を求める。次に、求めた幅の値が、狭幅、広幅のいずれに該当するかを判断し、狭幅のものをビット「0」すなわち縦線131a、広幅のものをビット「1」すなわち縦線131bとして読み取る。このように、複数の画素列から、平均値として画素値を算出すると、例えば、画素列IVのように位置のずれた画素列が生じたとしても、位置のずれの影響を低減し、読取り精度を向上することができる。
【0148】
なお、エンコーダパターン部13は、円柱状であるため、縦線幅w
1,w
2およびピッチpが、中心から遠ざかるにつれて、実際の幅よりも狭く観察される。例えば、
図3(a)において、中央付近の広幅の縦線131b
1は、その幅w
2aが、
図3(b)に示す展開図における広幅の縦線131bの幅(実際の幅)w
2と同様の幅で観察される。一方、中央部から最も遠い広幅の縦線131b
2は、その幅w
2bが、実際の幅w
2よりも狭く観察される。幅w
1およびピッチpについても同様である。従って、幅w
1およびw
2は、配置によって観察される幅が変化するという影響を考慮して幅w
1と幅w
2の変化の範囲が重複しないように設定されていることが好ましい。
【0149】
次に、ステップS405では、エンコーダパターン読取角演算部76では、ステップS403で求めたエンコーダパターン13Bの中心位置Aを中央として左右に伸びる所定幅Rに含まれるビットパターン、すなわち所定幅Rの領域に含まれる所定のビット数(例えば、10本。図示の例では「11010010100」のビットパターンを示す。)の縦線で示されるビットパターンと、記憶部71に記憶されたビットパターンと角度との相関とを対比することにより、エンコーダパターンの読取角θTを算出する。次に、処理は、ステップS308に移行する。
【0150】
8. 変形例
上記実施の形態については、以下のような変形を加えることも可能である。
たとえば、エンコーダパターン読取部としてカメラ65に代えて、読取光をスキャン光としてエンコーダパターンに向けて送光する読取光送光部と、エンコーダパターンに反射した光を受光する読取光受光部を備えるスキャナを備え、受光光量分布に基づいて、エンコーダパターンのビットパターンを読み取るように構成してもよい。
【0151】
また、エンコーダパターン13Bを、黒白に限らず、明確なコントラスト有する色彩の組み合わせによりエンコーダパターンを構成してもよい。また、可視光に限らず、偏光により識別可能なエンコーダパターンとして構成してもよい。
【0152】
以上、実施形態を挙げて本発明の実施の形態を説明したが、上記実施形態は一例であり、これらを当業者の知識に基づいて組み合わせることが可能である。また、上記の実施の形態は、要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施できる。また、本発明の権利範囲が上記実施形態に限定されないことは言うまでもない。
【符号の説明】
【0153】
10 ターゲットユニット
11 反射ターゲット
13B エンコーダパターン
30 スキャナ装置
31 測距部
34 鉛直角検出器(測角部)
36 水平角検出器(測角部)
49 走査部
60 測量機
64 測量部
65 カメラ(エンコーダパターン読取部)
66 追尾部
90 整準台
100 測量システム
θE エンコーダパターン読取角
θS スキャナ装置のオフセット角度
θT ターゲットユニットのオフセット角度
θTS 測量機のオフセット角度