(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-02
(45)【発行日】2022-12-12
(54)【発明の名称】フィルム包装ティシュー製品
(51)【国際特許分類】
B65D 83/08 20060101AFI20221205BHJP
A47K 10/20 20060101ALI20221205BHJP
A47K 10/42 20060101ALI20221205BHJP
【FI】
B65D83/08 B
A47K10/20 B
A47K10/42 A
(21)【出願番号】P 2018192168
(22)【出願日】2018-10-10
【審査請求日】2021-09-01
(73)【特許権者】
【識別番号】390029148
【氏名又は名称】大王製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002321
【氏名又は名称】弁理士法人永井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高橋 祥子
【審査官】米村 耕一
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-051613(JP,A)
【文献】特開2016-011122(JP,A)
【文献】特開2017-178330(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 83/08
A47K 10/20-10/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂製の包装フィルムにより、ポップアップ式のティシュペーパーの束が、フィルム包装されている、一つ又は複数のフィルム包装ティシューと、
フィルム包装ティシューの包装フィルムに対して取り付け可能でありかつ取り付けた状態を維持可能な一対の付着体からなるアタッチメントと、を有し、
前記フィルム包装ティシューは、天面に長手方向に沿って直線状又は細長環状の取出口形成用のミシン目を有し、かつ、平面視において前記直線状のミシン目の中央又は細長環状のミシン目で囲まれる範囲の中央を対称の中心として点対称となる二点に、前記アタッチメントの取付位置を示す、天面外面側から視認可能な目印部を有し、
かつ、この目印部の長手方向位置が、フィルム包装ティシューの長手方向中央とミシン目の長手方向端との間にあ
り、
前記包装フィルムのソフトネスが50cN/100mm以下であり、かつ、前記付着体の質量が10~50gである、
ことを特徴とするフィルム包装ティシュー製品。
【請求項2】
前記付着体が包装フィルムに対して着脱自在とされているものである請求項
1記載のフィルム包装ティシュー製品。
【請求項3】
前記付着体は、粘着部を有し、この粘着部を介して包装フィルムに取り付け可能とされている、請求項
1又は2に記載のフィルム包装ティシュー製品。
【請求項4】
前記付着体は、各々が着脱可能自在な一対の磁石であり、前記包装フィルムを内外から挟むことによって包装フィルムに取り付け可能とされているものである、請求項
1又は2に記載のフィルム包装ティシュー製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルム包装ティシューとこのフィルム包装ティシューに用いられるアタッチメントとを有するフィルム包装ティシュー製品、及び、そのフィルム包装ティシュー用アタッチメントに関する。
【背景技術】
【0002】
ティシュペーパーの製品形態は、カートンと称される紙製の収納箱にティシュペーパーを収納した紙箱包装形態が主流であるが、ティシュペーパーを樹脂製のフィルムで包装したフィルム包装形態の製品も普及しつつある。このフィルム包装形態の製品は、フィルム包装ティシューとも称され、収納箱を要さないためコンパクト化しやすい、軽量で持ち運び性に優れる、使用後の廃棄物が少なく環境面で優れる、低価格化しやすいというメリットがあるとされる。
【0003】
このようなフィルム包装ティシューは、一般には、包装フィルムの天面長手方向に沿って直線状又は細長環状のミシン目が施され、このミシン目を裂開することで直線スリット状又は細長環状のティシュペーパーの取出口が形成される。また、このような取出口であるとともに、内包された束がポップアップ式のものとなされ、前記取出口から一枚ずつティシュペーパーを取り出せるようになっている。
【0004】
しかしながら、このようなフィルム包装ティシューでは、ティシュペーパーを引き出す際に取出口の縁による拘束が少なく、引き出し性には優れるが、ティシュペーパーの使用が進み束を構成するティシュペーパーの枚数が少なくなると、包装フィルムの天面部分と束上面との間に空間が形成され、ティシュペーパーが取出口から内部に落ち込んでしまうという問題がある。
【0005】
このティシュペーパーの落ち込みを防止する方法として、長手方向のミシン目の長さを短くして、取出口の長手方向幅を短くすることでティシュペーパーの両端部を支持しやすくする技術があるが、この技術では使用が進み束を構成するティシュペーパーの枚数が少なくなると、自重が軽量になるために、ティシュペーパーを引き出す際に包装フィルムごと持ち上がってしまい引き出し性が悪化する。
【0006】
他方で、このような包装フィルムの天面部分と束上面との間に空間を消失させるべく、直線スリット状の開口の幅方向中央部にシート状の重り片を熱融着したものが知られるが、製造が煩雑なうえ製造コストも高くなるという問題点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2011-51613号
【文献】特開2017-178330号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで本発明の主たる課題は、上記の問題点に鑑みて、特に使用が進み束を構成するティシュペーパーの枚数が少なくなった際にも、ティシュペーパーが包装フィルム内に落ち込み難く、さらに、引き出し時に持ち上がり難いフィルム包装ティシュー製品及び、使用が進み束を構成するティシュペーパーの枚数が少なくなった際にティシュペーパーを包装フィルム内に落ち込み難くし、さらに、引き出し時に持ち上がり難くするフィルム包装ティシュー用アタッチメントを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため手段は次のとおりである。
【0010】
第一の手段は、
樹脂製の包装フィルムにより、ポップアップ式のティシュペーパーの束が、フィルム包装されている、一つ又は複数のフィルム包装ティシューと、
フィルム包装ティシューの包装フィルムに対して取り付け可能でありかつ取り付けた状態を維持可能な一対の付着体からなるアタッチメントと、を有し、
前記フィルム包装ティシューは、天面に長手方向に沿って直線状又は細長環状の取出口形成用のミシン目を有し、かつ、平面視において前記直線状のミシン目の中央又は細長環状のミシン目で囲まれる範囲の中央を対称の中心として点対称となる二点に、前記アタッチメントの取付位置を示す、天面外面側から視認可能な目印部を有し、
かつ、この目印部の長手方向位置が、フィルム包装ティシューの長手方向中央とミシン目の長手方向端との間にある、
ことを特徴とするフィルム包装ティシュー製品である。
【0011】
第二の手段は、
包装フィルムのソフトネスが50cN/100mm以下であり、かつ、付着体の質量が10~50gである上記第一の手段のフィルム包装ティシュー製品である。
【0012】
第三の手段は、
前記付着体が包装フィルムに対して着脱自在とされているものである上記第一又は第二の手段のフィルム包装ティシュー製品である。
【0013】
第四の手段は、
前記付着体は、粘着部を有し、この粘着部を介して包装フィルムに取り付け可能とされている、上記第一~第三の手段のフィルム包装ティシュー製品である。
【0014】
第五の手段は、
前記付着体は、各々が着脱可能自在な一対の磁石であり、前記包装フィルムを内外から挟むことによって包装フィルムに取り付け可能とされているものである、上記第一~第三の手段のフィルム包装ティシュー製品である。
【0015】
第六の手段は、
樹脂製の包装フィルムにより、ポップアップ式のティシュペーパーの束が、フィルム包装され、天面に長手方向に沿って直線状又は細長環状の取出口形成用のミシン目を有するフィルム包装ティシューに対して取り付けるフィルム包装ティシュー用アタッチメントであって、
フィルム包装ティシューの包装フィルムに対して取り付け可能でありかつ取り付けた状態を維持可能な一対の付着体であることを特徴とするフィルム包装ティシュー用アタッチメントである。
【0016】
第七の手段は、
前記付着体は、包装フィルムに対して着脱自在である上記第六の手段のフィルム包装ティシュー用アタッチメントである。
【0017】
第八の手段は、
前記付着体は、粘着部を有し、この粘着部を介して包装フィルムに取り付け可能とされている、上記第六又は第七手段のフィルム包装ティシュー用アタッチメントである。
【0018】
第九の手段は、
前記付着体は、各々が着脱可能自在な一対の磁石であり、前記包装フィルムを内外から挟むことによって包装フィルムに取り付け可能とされているものである、上記第六又は第七の手段のフィルム包装ティシュー用アタッチメントである。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、使用が進み束を構成するティシュペーパーの枚数が少なくなった際にも、ティシュペーパーが包装フィルム内に落ち込み難く、さらに、引き出し時に持ち上がり難いフィルム包装ティシュー製品及び、使用が進み束を構成するティシュペーパーの枚数が少なくなった際にティシュペーパーを包装フィルム内に落ち込み難くし、さらに、引き出し時に持ち上がり難くするフィルム包装ティシュー用アタッチメントが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明に係るフィルム包装ティシューの斜視図である。
【
図2】本発明に係るティシュペーパー束を説明するための斜視図である。
【
図3】本発明に係るフィルム包装ティシューの平面図である。
【
図4】本発明に係る他のフィルム包装ティシューの平面図である。
【
図5】本発明に係るフィルム包装ティシュー用アタッチメントに係る付着体の平面(A)と側面(B)を示す図である。
【
図6】本発明に係るフィルム包装ティシュー用アタッチメントを取り付けた使用態様を説明するための斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態を
図1~
図6を参照しながら説明する。
【0022】
本発明に係るフィルム包装ティシュー製品は、樹脂製の包装フィルム4により、ポップアップ式のティシュペーパーの束3が、フィルム包装されている、一つ又は複数のフィルム包装ティシュー1と、フィルム包装ティシュー1の包装フィルム4に対して取り付け可能でありかつ取り付けた状態を維持可能な一対の付着体50,50からなるアタッチメント5と、を有している。なお、フィルム包装ティシュー用アタッチメント5の説明は、フィルム包装ティシュー製品の説明中に行う。
【0023】
本発明に係るフィルム包装ティシュー1は、複数組のティシュペーパー2を折り畳み重ねてなるティシュペーパー束3が柔軟性のある樹脂製の包装フィルム4によって包装されているものである。
【0024】
本発明に係るフィルム包装ティシュー1において内包されているティシュペーパー束3は、ティシュペーパー2が二つ折りされ、その折り返した内側2Aに上下に位置する他のティシュペーパー2の折り返した片2Bが位置するようにして、複数のティシュペーパー2が折り畳み積層されたものであり、最上位に位置する一枚の折り返し片を上方に引き上げると、その直下で隣接する他の一枚の折り返し片が、上方に引きずられて持ち上げられるポップアップ式のティシュペーパー束3である。このティシュペーパー束3は、マルチスタンド式、ロータリー式の既知のインターフォルダにより製造することができる。なお、ティシュペーパー2の束3を構成する個々のティシュペーパー2は、クレープを有する2枚~3枚の薄葉紙が積層されて組とされたプライ構造を有するものである。また、このティシュペーパー2は、乾燥されたドライタイプのものであり、薬液が含浸されている所謂ウェットタイプのものではない。
【0025】
他方、この本発明に係るティシュペーパー束3は、各ティシュペーパー2の折り返し縁2Cが並ぶ一対の長手側面3Bと、折り返し縁2Cが並ばない一対の短手側面3Aとを有し、さらに短手側面3Aと長手側面3Bとに連接する一対の平面(上下面)3Cを有する略直方体形状をなしている。
【0026】
本発明に係るフィルム包装ティシュー1の包装形態は、既知の包装種から選択される。例えば、三方閉じ包装、四方閉じ包装、ガセット包装、ピロー包装、キャラメル包装が例示できる。ガセット包装、ピロー包装が適し、特に、図示のガセット付きピロー包装である。特に、本発明の効果が顕著となるのは、ティシュペーパー束3におけるティシュペーパー2の折り返し縁2Cが並ばない短手側面3Aに対面する位置に、包装フィルムの重ね合わせ部分が熱融着されてなる熱融着部30が位置するガセット付きピロー包装である。
【0027】
本発明に係るフィルム包装ティシュー1は、包装フィルム4の束3の最上位のティシュペーパー2に対面する位置に取出口形成用のミシン目6が形成されている。このミシン目6は、束3を構成するティシュペーパー2の折り返し縁2Cが延在する方向に沿う方向である天面長手方向に沿って直線状又は細長環状をなしており、ミシン目6の裂開によってフィルム包装ティシュー1が開封されるとともに、取出口60が形成される。本発明に係るフィルム包装ティシュー1では、ティシュペーパー束3がポップアップ式であるため、取出口60の形成により束3の最上位のティシュペーパー2を引き出すと、その直近下方に位置する次のティシュペーパーの一部が取出口60より露出される方向に引き出されるものとなる。
【0028】
ここで、本発明に係るミシン目6の長手方向長さL2は、束3の長手方向長さL1の80%~120%とするのが望ましい。より好適には、90%~110%となるのが望ましい。束3の長手方向長さL1に対するミシン目6の長手方向長さL2が80%未満であると、本発明に係るアタッチメント5の効果が発現し難くなる。
【0029】
ここで、本発明に係るフィルム包装ティシュー1は、
図3及び
図4に示すように、平面視において前記直線状のミシン目の中央又は細長環状のミシン目で囲まれる範囲の中央を対称の中心Oとして点対称となる二点に、前記アタッチメント5の取付位置を示す、天面外面側から視認可能な目印部7,7を有している。なお、細長環状のミシン目で囲まれる範囲の中央とは、前記範囲における長手方向の中央と幅方向の中央の交差点でよい。目印部7,7の形成は、印刷や粘着シート等のシート状の別材の貼付などにより行うことができる。印刷により形成するのが望ましい。目印部7,7の形状は特に限定されない。図示例では円形形状としているが、矢印マーク、四角などの幾何学的な形状でよい。
【0030】
さらに、この目印部7,7は、その長手方向位置が、フィルム包装ティシュー1の長手方向中央L3とミシン目6の長手方向端P,Pとの間にある。ミシン目6の長手方向端P,Pより、ピロー包装の融着部30等のフィルム包装ティシューの長手方向縁に近い側にあるとアタッチメント5の効果が発現しがたい。また、アタッチメント5は天底方向において束3の上に位置する部分に形成する。
【0031】
目印部7,7の長手方向位置は、好適には、フィルム包装ティシュー1の長手方向中央P2とミシン目6の長手方向端縁Pとの間の範囲を長手方向に直交する方向に三等分した各範囲のうち中央に位置する範囲内(図中Zで示す)である。この範囲にアタッチメント5が取り付けられるとアタッチメントの効果がより発現する。束短手方向における目印部7,7とミシン目6との間の距離L5は、必ずしも限定されないが、目印部7,7を目印としてアタッチメント5を、フィルム包装ティシュー1に取り付けた際に、アタッチメント5が取出口60の縁に掛からないように適宜に離間させた位置を選択する。
【0032】
他方、本発明に係るアタッチメント5は、フィルム包装ティシュー1の包装フィルム4に対して取り付け可能でありかつ取り付けた状態を維持可能な付着体50,50、一対で構成される。アタッチメント5は、付着体50,50を各々、前記フィルム包装ティシュー1の上記目印部位置に取り付けることで、取り付け部分の質量を局所的に増加させて当該部分を浮きがたく下方に沈みやいようにする。付着体50,50の具体的な質量については、限定されないが、過度に重いと束3からのティシュペーパー2の引き出し性を悪化させるので、70g以下程度とするのが望ましい。フィルム包装ティシュー1によく用いられるソフトネスが50cN/100mm以下の包装フィルム4であれば、特に、付着体の質量は10~50gとするのが望ましい。なお、ここでのソフトネスはJIS L 1096 E法に準じたハンドルオメータ法に従って測定した値である。但し、試験片は100mm×100mmの大きさとし、クリアランスは5mmとして測定する。
【0033】
付着体50,50の構造例としては、特に
図5に示すように、プラスチック製、金属性、木製等の平板形状のおもり部分51の一方面に粘着剤を付与するなどして粘着層52を形成したものが挙げられる。粘着層52を介して包装フィルム4の目印部位置の上やその裏面(包装フィルム内面側)に取り付けられる。粘着層52を形成するための粘着剤は、特に限定されるものではなく、包装フィルム4を構成する樹脂製フィルムに対して粘着性を示すものであればよい。
図5に示す形態では、粘着層52を被覆及び保護する剥離紙53が設けられており、使用時にこの剥離紙53を剥離して粘着層52を露出させて上記の目印部位置に取り付ける。剥離紙53も公知のものが使用できる。
【0034】
付着体50,50の形状は、必ずしも限定されないが、ティシュペーパー2の取出口近傍に設けられることから引き出し時に邪魔にならない、突起等がない平板形状が望ましい。また、平面視における面積も特に限定されないが、過度に広範な面積であると包装フィルムの天面部分の柔軟性が無くなる範囲が広範になり、引き出し性を悪化させるおそれがあるので、3~45cm2とするのが望ましい。
【0035】
他方で、付着体50,50は、包装フィルム4に対して着脱自在とされているのが望ましい。一つのフィルム包装ティシュー1を使用し終わった後にとり外して、新に使用する他のフィルム包装ティシュー1に取り付けて使用することができる。フィルム包装ティシュー1は、一般に複数個を纏めてパッケージングされているため、このように付着体50,50が着脱自在であれば、全てのフィルム包装ティシューと組みにする必要がなくなる。
【0036】
付着体50,50を包装フィルム4に対して着脱自在とする手段は特に限定されない。例えば、包装フィルム4に対して、再剥離及び再接着性を示す公知の粘着剤によって粘着層52を形成すればよい。特には、付着体50,50を、各々が着脱可能自在な一対の磁石で構成し、前記包装フィルム4を内外から挟むことによって包装フィルム4に取り付け可能としたものにすれば、容易に着脱自在にすることができる。
【0037】
本発明に係るフィルム包装ティシュー製品では、
図6に示すように、上述のとおりフィルム包装ティシュー1の天面の特定位置に目印部7,7があり、アタッチメント5(付着体50,50)を、その目印部位置に取り付ける。そして、その目印部7,7の位置が、直線状のミシン目6の中央又は細長環状のミシン目6で囲まれる範囲の中央を対称の中心Oとして点対称となる二点であって、かつ、目印部7,7の長手方向位置が、フィルム包装ティシュー1の長手方向中央とミシン目7の長手方向端Pとの間にあるため、フィルム包装ティシュー1に対してアタッチメント5が取り付けられると、ティシュペーパー2を取り出した際に、取出口60の一対の長手縁の中央より一方側P3が浮き上がってティシュペーパーを支持し、付着体50(アタッチメント)が装着されている他方側P4が、沈み込んで束3を抑えるとともに、束3と包装フィルム4の天面側との間の空間を消失させる。そして、取出口60の一対の長手縁において、浮き上がる部分P3と沈みこむ部分P4の位置が点対称位置となるため、引き出されたティシュペーパー2が効果的に支持されて引き出しやすくなるとともに、包装フィルム4内に落ち込みがたくなる。
【0038】
ここで、本発明に係る包装フィルム4を構成する具体的な柔軟性のある樹脂製のフィルム材は、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエステルフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ナイロンフィルム、塩化ビニリデンフィルム、エチレンビニルアルコール共重合体の単層フィルム、または、それらのフィルムを含む適宜積層されたラミネートフィルムや、それらのフィルムにアルミ蒸着などの表面処理を施したガスバリアフィルムが例示できる。コストの観点からはポリプロピレンフィルム、ポリエチレンフィルムが好適である。フィルム材の厚さは20~60μmであるのが望ましい。ティシュペーパーを案内する剛性を確保しやすい。前記厚みが20μm未満であると、使用時に簡単に破れてしまうという問題があり、前記厚みが60μm以上であると、フィルムが硬質となり、使用性が悪化する。なお、フィルム材の厚さの測定方法は、標準状態において、ダイヤルシックネスゲージ(厚み測定器)「PEACOCK G-1A型」(尾崎製作所製)を用いて測定した値とする。具体的な測定の手順は、プランジャーと測定台の間にゴミ、チリ等がないことを確認してプランジャーを測定台の上におろし、前記ダイヤルシックネスゲージのメモリを移動させてゼロ点を合わせ、次いで、プランジャーを上げて試料を試験台の上におき、プランジャーをゆっくりと下ろしそのときのゲージを読み取る。このとき、プランジャーをのせるだけとする。厚みは測定を10回行って得られる平均値とする。
【0039】
また、本発明に係るフィルム包装ティシュー1におけるティシュペーパー束3及びティシュペーパー2の物性は次のものであるのが望ましい。取出口60から露出されるティシュペーパーの一部が起立した状態となりやすい。
【0040】
ティシュペーパー束3を構成するティシュペーパー2のプライ数及び組数は、2プライ(2枚重ね)を1組として100~220組であるのが望ましい。また、ティシュペーパー束3の形状としては、高さが30~60mm、長手方向長さが、155~230mm、短手方向長さが、100~130mmであるのが望ましい。ティシュペーパー製品として十分に必要な組数とすることができるとともに、ティシュペーパー2として使用するに十分な大きさ及び組数とすることができ、また、使用によって束を構成する組数が少なくなってもティシュペーパー2の自立性が低下しがたい。
【0041】
なお、フィルム包装ティシュー1の外寸形状は、ティシュペーパー束3の大きさをほぼ同等となる。これは、フィルム包装ティシュー1では、包装フィルム4と束3との間に余裕があると輸送時に束3が崩れてしまうため、製品上、余裕なく包装するのが一般的である。本発明に係るフィルム包装ティシュー製品は、上記例示の大きさの束3を包装したものにおいて十分に効果を発現する。
【0042】
また、ティシュペーパー束3は、ロータリー式のインターフォルダで製造したものであるのが望ましい。ロータリー式のインターフォルダで束を製造すると、その束は、ティシュペーパーのMD方向と、束の短手方向とが一致したものとなる。すなわち、取出口60から露出されるティシュペーパーの一部が起立した状態となると紙力の高いMD方向が上下方向となるため、ティシュペーパーの一部が自立した状態が維持されやすくなる。
【0043】
また、本発明に係るティシュペーパー2は、保湿剤等が付与されている薬液付与タイプであってもよいが、本発明は特に保湿剤などが塗布されていない非保湿の汎用タイプのティシュペーパー2のほうが自立性が高くなりやすく望ましい。
【0044】
ティシュペーパー2の各プライを構成する薄葉紙1枚あたりの坪量は、10.0~13.0g/m2であるのが望ましい。ここでの坪量は、JIS P 8124(1998)の測定方法による。ティシュペーパーとしての使用感の観点から、ティシュペーパー一組の具体的な紙厚は80~220μmの範囲であるのが望ましい。
【0045】
紙厚の測定方法は、ティシュペーパーをJIS P 8111(1998)の条件下で十分に調湿した後、同条件下でダイヤルシックネスゲージ(厚み測定器)「PEACOCK G型」(尾崎製作所製)を用いて測定した値とする。具体的な測定の手順は、プランジャーと測定台の間にゴミ、チリ等がないことを確認してプランジャーを測定台の上におろし、前記ダイヤルシックネスゲージのメモリを移動させてゼロ点を合わせ、次いで、プランジャーを上げて試料を試験台の上におき、プランジャーをゆっくりと下ろしそのときのゲージを読み取る。このとき、プランジャーをのせるだけとする。プランジャーの端子は金属製で直径10mmの円形の平面が紙平面に対し垂直に当たるようにし、この厚みの測定時の荷重は、120μmの際に約70gfである。なお、厚みは測定を10回行って得られる平均値とする。上記の坪量及び紙厚の範囲であれば、取出口から露出するティシュペーパーが起立状態になりやすい。
【0046】
ティシュペーパー2の紙力は、MD方向の乾燥紙力強度が200~600cN/25mm、CD方向の乾燥紙力強度が70~200cN/25mmであるのが望ましい。なお、紙力は、抄紙時における紙力剤の添加など抄紙原料を調整することで達成できる。また、ティシュペーパーのMD方向の伸び率(引張破断伸び率)が5~15%であるのが望ましい。この紙力の範囲であれば、アタッチメントを取り付けてもティシュペーパー引き出し時に破れるおそれがない。
【0047】
また、ティシュペーパー2は、ソフトネスが0.90~1.30cN/100mmであるのが望ましい。ソフトネスは、柔らかさの指標の一つである。本発明に係るソフトネスはJIS L 1096 E法に準じたハンドルオメータ法に従って測定する。但し、試験片は100mm×100mmの大きさとし、クリアランスは5mmとして測定する。測定は、1プライで縦方向、横方向の各々5回ずつ測定し、その全10回の平均値を、cN/100mmを単位として表す。このソフトネスの範囲であれば、ティシュペーパーが案内縁部によって案内されやすい。
【0048】
ティシュペーパー2は、MMDが7.5~9.0であるのが望ましい。MMDは滑らかさの指標である。MMDが上記範囲であると包装フィルムとの滑り性が適度となり、このソフトネスの範囲であれば、ティシュペーパーがスムーズに引き出されやすい。なお、MMDは、カトーテック株式会社製の摩擦感テスター KES-SE、KES-SESRU及びこれらの相当機を用いて測定される値である。MMDは、MIU(平均摩擦係数)からどれだけ変動があるかという変動の度合いであり、数値が小さいほど滑らかとされる。本発明に係る測定条件は、摩擦子の接触面を所定方向に20g/cmの張力が付与された測定試料の表面に対して25gの接触圧で接触させながら、張力が付与された方向と略同じ方向に速度0.1cm/sで2cm移動させる。測定は、10回測定し、その平均値をMMDとする。なお、摩擦子は、標準付属のピアノワイヤセンサーを用いる。このピアノワイヤセンサーは、直径0.5mmのピアノ線を20本隣接させてなり、長さ及び幅がともに10mmとなるように形成された接触面を有するものである。接触面には、先端が20本のピアノ線(曲率半径0.25mm)で形成された単位膨出部が形成されている。
【0049】
なお、ティシュペーパー2を構成する薄葉紙の原料パルプとしては、NBKPとLBKPとを配合したものである。古紙パルプが配合されていてもよいが、風合いなどの点で、NBKPとLBKPのみから構成されているのがよい。配合割合としては、NBKP:LBKP=10:90~80:20がよく、特に、NBKP:LBKP=20:80~60:40がよい。
【実施例】
【0050】
次いで、本発明に係る目印部を有し当該位置にアタッチメントを取り付けたフィルム包装ティシュー(実施例1及び実施例2)と、目印部を有さずアタッチメントをとりつけていないフィルム包装ティシュー(比較例1及び比較例2)と、特許文献2に開示される冶具を用いたフィルム包装ティシュー(比較例3)において、内包される束から全150組を引き出した際におけるティシュペーパーの落ち込み回数、引き出し時に包装フィルムごと持ち上がってしまった回数、及びティシュペーパーを引き出す際に必要な力を測定した。実施例および比較例に使用したフィルム包装ティシューは坪量が11.5g/m2、シート寸法が縦×横=205×195mm、フィルム包装ティシュー状態の寸法が幅×奥行×高さ=200×110×40mmである。なお、実施例1及び比較例1は、ミシン目を直線状としてこれを裂開して形成される取出口を有するものであり、実施例2及び比較例2は、細長環状のミシン目としてこれを裂開して形成される取出口を有するものである。結果は、下記表1のとおりである。なお、各例におけるティシュペーパー、束、フィルムの種類、物性は同様のものを用いた。実施例1と比較例1におけるミシン目長さ、実施例2と比較例2における取出口形状は同じようにした。
【0051】
包装フィルムのソフトネスは28.3cN/100mmであり、付着体の形状は、平面視長方形の薄板状であり、重さは20g/個とした。付着体の取り付け位置は、ミシン目の長手方向端から中央側に1/4の位置であって、ミシン目縁から10mm離れた位置とした。ミシン目の長手方向長さは、束の長手方向の90%とした。ティシュペーパーを引き出す際の力は、フィルム包装ティシューを平坦な載置面上に置き、取出口から1組目のティシュペーパーを半分程度引出し、その先端の長手方向の中央部分を目玉クリップ(コクヨ株式会社製、「クリ-17」)で挟んだ。目玉クリップの持ち手部分の一方の穴にプッシュプルゲージ(株式会社イマダ製、型番:Z2-20)のフックを通し、0.4~0.6秒の時間をかけて一定速度で、天面に対して垂直方向にティシュペーパーを引き出し測定した。
【0052】
【0053】
本発明に係る実施例は、比較例に比して、落ち込みが回数は0で、包装フィルムごと持ち上がる回数も各段に少ない。特許文献2に示される従来冶具を用いた比較例3と比較しても優れた結果が確認された。
【符号の説明】
【0054】
1・・・フィルム包装ティシュー、2…ティシュペーパー、3…ティシュペーパー束、2A…折り返した内側、2B…折り返した片、2C…折り返し縁、3A…短手側面、3B…長手側面、3C…平面(上下面)、4…包装フィルム、5…アタッチメント、50…付着体、6…取出口形成用のミシン目、60…取出口、O…対称の中心、7…目印部、51…おもり部分、52…粘着層、53…剥離紙、30…熱融着部、3x…束の短手方向、3y…束の長手方向、L1…束の長手方向長さ、L2…ミシン目の長手方向長さ、L3…フィルム包装ティシューの長手方向長さ、P…ミシン目の長手方向端、L5…目印部とミシン目との間の距離。