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7187250排ガス後処理システムおよび排ガス後処理のための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-02
(45)【発行日】2022-12-12
(54)【発明の名称】排ガス後処理システムおよび排ガス後処理のための方法
(51)【国際特許分類】
   F01N 3/022 20060101AFI20221205BHJP
   F01N 3/28 20060101ALI20221205BHJP
   F01N 3/035 20060101ALI20221205BHJP
【FI】
F01N3/022 Z
F01N3/28 E
F01N3/28 Q
F01N3/28 301P
F01N3/28 301S
F01N3/035 A
【請求項の数】 13
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018195622
(22)【出願日】2018-10-17
(65)【公開番号】P2019074089
(43)【公開日】2019-05-16
【審査請求日】2021-08-16
(31)【優先権主張番号】10 2017 124 225.2
(32)【優先日】2017-10-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】510153962
【氏名又は名称】マン・エナジー・ソリューションズ・エスイー
【氏名又は名称原語表記】MAN ENERGY SOLUTIONS SE
【住所又は居所原語表記】Stadtbachstr.1 86153 Augsburg,GERMANY
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】アクセル・フィードラー
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス・デーリング
【審査官】増岡 亘
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-329042(JP,A)
【文献】特開2005-299520(JP,A)
【文献】特開2004-255377(JP,A)
【文献】特開平11-125109(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01N 3/022
F01N 3/28
F01N 3/035
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
排ガスから煤粒子および灰粒子を除去するための少なくとも1つの粒子分離機モジュール(6)で構成された、内燃エンジン(1)の下流に配置されている粒子分離機(3)を有する、前記内燃エンジン(1)用の排ガス後処理システム(2)であって、
清浄化される排ガスは、少なくとも1つの排ガス送給ラインを介して、前記粒子分離機(3)へ送給されることが可能であり、前記粒子分離機(3)内において、清浄化された排ガスは、少なくとも1つの排ガス排出ラインを介して、前記粒子分離機(3)から排出されることが可能であり、
各前記粒子分離機モジュール(6)は複数の排ガス流路(10)を含み、該複数の排ガス流路を通じて、前記排ガスは流動することが可能であり、前記複数の排ガス流路を介して、前記排ガス送給ラインから出て来る前記排ガスが、前記排ガス排出ラインの方向に導かれることが可能であり、
前記排ガス流路(10)は隣接した流量制御要素(8、9)により範囲を定められており、前記隣接した流量制御要素は、前記排ガス流路(10)内において、排ガス乱流を有する偏流域、および/または流動の停滞域および/または様々な流速を有する流動域、などの巨視的構造の範囲を定め、
前記各粒子分離機モジュール(6)は複数の清浄化通路(11)を含み、該複数の清浄化通路を通じて、前記排ガスおよび/または圧縮空気は流動することが可能であり、前記複数の清浄化通路は、前記排ガス流路(10)に対して横方向に延びており、且つ前記複数の清浄化通路は、同様に前記流量制御要素(8、9)により範囲を定められており、
前記排ガス流路(10)を前記清浄化通路(11)から分離した、少なくとも前記流量制御要素(8、9)のそのような部分内に、前記清浄化通路(11)を通じて流動する前記排ガスの通過のための且つ/または前記清浄化通路(11)を通じて流動する前記圧縮空気の通過のための陥凹部が導入されており、前記排ガス流路(10)に対向した、前記流量制御要素(8、9)の表面は、前記陥凹部を介して、煤および/または灰に関して清浄化され
前記粒子分離機モジュール(6)の清浄化段階において渦を巻いた前記灰粒子および前記煤粒子は、前記粒子分離機モジュール(6)から抽出され、容器内に回収されることを特徴とする、排ガス後処理システム
【請求項2】
前記排ガス流路(10)に対向している、前記流量制御要素(8、9)の前記表面は、微視的構造を形成していることを特徴とする、請求項1に記載の排ガス後処理システム。
【請求項3】
前記微視的構造は、被研削構造および/または被スタンピング構造および/または被ニードリング構造および/または被ブラッシング構造および/または被ピーニング構造および/またはエッチング構造および/または陽極酸化処理構造および/または亜鉛めっき構造として形成されていることを特徴とする、請求項2に記載の排ガス後処理システム。
【請求項4】
前記微視的構造は0.05μmと50μmとの間の粗度を有することを特徴とする、請求項2または3に記載の排ガス後処理システム。
【請求項5】
前記微視的構造は、前記巨視的構造の有効表面積を拡張することを特徴とする、請求項2から4のいずれか一項に記載の排ガス後処理システム。
【請求項6】
前記清浄化通路(11)と前記排ガス流路(10)とは、20°と160°との間の角度を含むことを特徴とする、請求項1からのいずれか一項に記載の排ガス後処理システム。
【請求項7】
前記流量制御要素(8、9)は、2次元的に形成された流量制御要素(8)と3次元的に形成された流量制御要素(9)とを含み、これらの流量制御要素は、サンドイッチ様にまたは積層様に交互になるように設計されており、前記排ガス流路(10)および前記清浄化通路(11)の複数の層を形成していることを特徴とする、請求項1からのいずれか一項に記載の排ガス後処理システム。
【請求項8】
前記流量制御要素(8、9)は、40μmと150μmとの間の壁厚を有することを特徴とする、請求項に記載の排ガス後処理システム。
【請求項9】
前記巨視的構造としての、前記3次元的に形成された流量制御要素(9)は、前記排ガス流路の前記方向に延在した導流外形(12)と、前記排ガス流路の前記方向に対して横方向に延在した流れ集積外形(13)と、導流開口部(14)と、に展開していることを特徴とする、請求項7または8に記載の排ガス後処理システム。
【請求項10】
前記巨視的構造としての、前記2次元的に形成された流量制御要素(8)は、導流開口部(15)を形成していることを特徴とする、請求項7から9のいずれか一項に記載の排ガス後処理システム。
【請求項11】
前記各粒子分離機モジュール(6)の前記流量制御要素(8、9)は、キャニスタにより封入されていることを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載の排ガス後処理システム。
【請求項12】
複数の粒子分離機モジュール(6)は、それらが並列に且つ/または直列に接続された共通ハウジング内に配置されていることを特徴とする、請求項1から11のいずれか一項に記載の排ガス後処理システム。
【請求項13】
内燃エンジンから出ていく排ガスの排ガス後処理のための方法であって、請求項1から12のいずれか一項に記載の排ガス後処理システム(2)が、並列に接続された、粒子分離機(3)を含み、第1の粒子分離機(3)が前記排ガスの清浄化に利用された場合、且つ前記過程において、前記排ガスがその前記排ガス流路(10)を通して導かれる場合、第2の粒子分離機(3)が清浄化され、この目的のために、前記排ガスおよび/または流動する圧縮空気がその前記清浄化通路(11)を通して導かれ、前記過程において、前記第2の粒子分離機の前記排ガス流路(10)を通る前記排ガス流は減少するかまたは阻まれる、排ガス後処理のための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は排ガス後処理システムに関する。さらに、本発明は排ガス後処理のための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
実践から、排ガス後処理アセンブリとして、排ガスの流動方向に見て粒子フィルタの上流に配置されている少なくとも1つのさらなる排ガス後処理アセンブリ、および/または排ガスの流動方向に見て粒子フィルタの下流に配置されている少なくとも1つのさらなる排ガス後処理アセンブリ、を含む内燃エンジンの排ガス後処理システムが知られている。流動方向に見て粒子フィルタの上流に配置されている排ガス後処理アセンブリが、詳細には一酸化窒素(NO)を二酸化窒素(NO2)に酸化させる酸化触媒コンバータである。流動方向に見て、粒子フィルタの下流に配置されている排ガス後処理アセンブリが、消音器であり得る。詳細には、排ガス流の流動方向に見て、NOのNO2への酸化のための酸化触媒コンバータが粒子フィルタの上流に配置されている場合、NOのNO2への、酸化触媒コンバータ内での酸化は、以下の式:
2NO+O2→2NO2
に従い、排ガス流中に含有されている残留酸素O2の助けにより起こる。
【0003】
一酸化窒素の二酸化窒素へのこの酸化の間、高温における酸化反応の平衡は、一酸化窒素側にある。このことによれば、高温において達成され得る二酸化窒素の割合は非常に限られるということになる。
【0004】
粒子フィルタ内で、酸化触媒コンバータ内で得られる二酸化窒素は、粒子フィルタ内に蓄積する炭素含有粒子、いわゆる煤を用いて、一酸化炭素(CO)、二酸化炭素(CO2)、窒素(N2)、および一酸化窒素(NO)に変換される。該過程では、粒子フィルタの受動再生のために、粒子フィルタ内に蓄積される炭素含有粒子物質または煤の継続的な除去が起こり、この変換は以下の式:
2NO2+C→2NO+CO2
NO2+C→NO+CO
2C+2NO2→N2+2CO2
に従って起こる。
【0005】
詳細には、粒子フィルタのそのような受動再生により、粒子フィルタ内に蓄積される炭素含有粒子物質または煤の完全な変換が起こり得ない場合、粒子フィルタ内の炭素割合または煤割合は上昇し、次いで、粒子フィルタは目詰まりの傾向を有し、その結果として、最終的に、排ガス後処理システムの上流に接続されている内燃エンジンへの、いわゆる排ガス背圧が上昇する。内燃エンジンへの排ガス背圧の上昇が、内燃エンジンの出力を低下させ、燃料消費の上昇を引き起こす。
【0006】
粒子フィルタ内の炭素含有粒子物質または煤の増大、およびしたがって粒子フィルタの目詰まりを回避するために、触媒コーティングを有する粒子フィルタを設けることが、実践から既に知られている。ここで、白金含有コーティングが優先的に使用される。しかし、触媒コーティングを有するそのような粒子フィルタの使用により、粒子フィルタの炭素含有粒子物質すなわち煤での充満は不十分な程度までしか防止することができない。
【0007】
詳細には、船のディーゼル内燃エンジンの場合と通常同様に、排ガス後処理システムが動作している内燃エンジンが、例えば重油などの高度に硫黄含有の燃料で動作している場合、灰および煤の高程度の発生の結果、排ガス後処理システムの粒子フィルタの目詰まりが同様に発生し得るというさらなる問題が存在する。詳細には、重油で動作する内燃エンジンの場合、粒子フィルタのメンテナンス間隔が、発生した灰および煤により非常に著しく短縮される可能性があるので、排ガス後処理システムの実作業がもはや不可能である。
【0008】
したがって、上記の理由で、排ガス後処理システム内の粒子フィルタをフィルタのない粒子分離機で置き換えることが、実践から既に知られている。粒子分離機の場合、排ガスは、いかなるフィルタ媒体も通って流動せず、排ガス流は凹凸の付いた表面により粒子を分離するために、それに沿って導かれ、偏向させられる。
【0009】
特許文献1から、内燃エンジンの排ガスから粒子を分離する方法が既知である。流動の停滞域内での拡散により、粒子が分離される。拡散による排ガスからの粒子の分離は、特許文献1から既知の方法に従って容易に可能であるが、不安定な内燃エンジン動作の場合、分離された炭素を酸化させるために、適切なNO2が利用不可能であることが多いという問題が存在する。この理由から、粒子分離機は、後で炭素の酸化のための適切なNO2が利用可能になるまで、粒子を保存しなければならない。しかし、粒子フィルタは該過程中に目詰まりしてはならない。
【0010】
さらなる粒子分離機が、特許文献2から既知である。この粒子分離機では、排ガスが、排ガスから粒子を分離するために、やはり絶え間なく偏向させられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】欧州特許第1072765号明細書
【文献】独国特許出願公開第102008029520号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
分離された粒子、詳細には炭素粒子が後の酸化のために中間で保存され得る、且つ粒子分離機の目詰まりを回避するために煤および灰が排出され得る、粒子分離機を備えた排ガス後処理システムが必要である。このことから出発して、本発明は、新規のタイプの排ガス後処理システムおよび排ガス後処理のための新規のタイプの方法を作り出す目的に基づく。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本目的は、請求項1に記載の排ガス後処理システムにより解決される。該排ガス後処理システムは、排ガスから煤粒子および灰粒子を除去する少なくとも1つの粒子分離機モジュールを含み、清浄化される排ガスは、少なくとも1つの排ガス送給ラインを介して、粒子分離機へ送給されることが可能であり、粒子分離機内で清浄化された排ガスが、少なくとも1つの排ガス排出ラインを介して、粒子分離機から排出されることが可能であり、各粒子分離機モジュールは、排ガスが通って流動し得る、排ガス送給ラインから出て来る排ガスが排ガス排出ラインの方向に導かれ得る、複数の排ガス流路を含み、該排ガス流路は隣接する流量制御要素により範囲を定められており、該流量制御要素は、排ガス流路内で、排ガス乱流を有する偏流域および/または流動の停滞域および/または様々な流速を有する流動域などの巨視的構造の範囲を定め、各粒子分離機モジュールは、排ガスおよび/または圧縮空気が通って流動し得る複数の清浄化通路を含み、該複数の清浄化通路は排ガス流路に対して横方向に延びており、且つ該複数の清浄化通路は、同様に、流量制御要素により範囲を定められており、清浄化通路から排ガス流路を分離する、少なくとも流量制御要素のそのような部分内に、清浄化通路を通って流動する排ガスの通過のための且つ/または清浄化通路を通って流動する圧縮空気の通過のための陥凹部が導入されており、排ガス流路に対向している、流量制御要素の表面が、該陥凹部を介して、煤および/または灰に関して清浄化され得る。
【0014】
本発明による排ガス後処理システムの粒子フィルタの場合、炭素粒子が、酸化のために中間で保存されることが可能であり、さらに灰および煤が、粒子フィルタの閉塞を回避するために排出され得る。炭素粒子は、排ガス流路の表面上での粒子の拡散および/または対流により分離される。圧縮空気および/または排ガスが経由して導かれ得る清浄化通路により、灰および煤が粒子フィルタから効果的に除去され得る。
【0015】
さらなる発展によれば、排ガス流路に対向している流量制御要素の表面は、微視的構造を形成している。優先的に、該微視的構造は巨視的構造の有効表面積を拡張し、微視的構造は、優先的に0.05μmと50μmの間の粗度を有する。排ガス流路に対向している、流量制御要素の表面上の微視的構造は、拡散および/または対流による排ガスからの粒子の分離を向上させる。ここで、0.05μmと50μmとの間の微視的構造の粗度は、流動速度がゼロになる傾向がある、分離された粒子の薄い滞留境界膜を形成するために特に好適である。したがって、粒子が流動により再び自由にされることが回避され得る。
【0016】
さらなる発展によれば、流量制御要素は、平坦なまたは2次元で形成された流量制御要素と、起伏のあるまたは3次元で形成された流量制御要素と、を含み、それらはサンドイッチ様にまたは積層様に交互になるように設計されて、排ガス流路および清浄化通路の複数の層を形成している。優先的に、巨視的構造としての、3次元で形成された流量制御要素は、排ガス流路の方向に延在している導流(flow-conducting)外形と、排ガス流路の方向に対して横方向に延在している流れ集積(flow-accumulating)外形と、導流開口部と、を形成している。
【0017】
排ガス流路および清浄化通路を形成しているかまたは範囲を定めている、互いの上にサンドイッチ様にまたは積層様に配置されている流量制御要素が、拡散および/または対流により炭素粒子を分離するために且つ灰および煤に関して粒子フィルタを清浄化するために、特に好適である。
【0018】
さらに有利なさらなる発展によれば、流量制御要素は、40μmと150μmとの間の、好ましくは40μmと100μmとの間の、特に好ましくは40μmと60μmとの間の壁厚を有する。流量制御要素のそのような薄い壁厚は、コンパクト設計を用いた各々の場合に、効果的な流量制御、炭素粒子の効果的な分離、および粒子分離機の効果的な清浄化を可能にする。
【0019】
本発明による排ガス後処理のための方法は請求項13に定められている。
【0020】
本発明の好適なさらなる発展が下位クレームおよび以下の説明から得られる。本発明の例示的実施形態が、これに限定されることなく、図面によってより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】排ガス後処理システムのブロック図である。
図2図1の細部の図である。
図3図2の細部の図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明は、内燃エンジン用の、優先的に例えば重油などの高度に硫黄含有の燃料で動作する、船上で使用される内燃エンジン用の、排ガス後処理システムに関する。
【0023】
図1は、内燃エンジン1の下流に配置されている排ガス後処理システム2の例示的実施形態を示す。図1の排ガス後処理システム2は、内燃エンジンの下流に配置されている粒子分離機3を含む。
【0024】
ここで、排ガスの流動方向に見て粒子分離機3の上流およびまた排ガスの流動方向に見て粒子分離機3の下流の両方に、排ガス後処理システムの少なくとも1つのさらなる排ガス後処理構成要素が各々の場合に配置され得ることが指摘される。粒子分離機3の上流に、例えば、NOのNO2への、酸化のための酸化触媒コンバータが配置され得る。粒子分離機3の下流に、例えば、消音器が配置され得る。
【0025】
清浄化される排ガス4が、詳細には図示されていない排ガス送給ラインを介して、粒子分離機3へ送給され得る。
【0026】
清浄化される排ガスが粒子分離機3を通って流動した後、清浄化された排ガス5が、同様に詳細に図示されていない少なくとも1つの排ガス排出ラインを優先的に介して、粒子分離機3から排出され得る。
【0027】
図1のブロック図では、粒子分離機3は2つの粒子分離機モジュール6を含む。図1に示されているこれら2つの粒子分離機モジュール6は並列に接続されている。
【0028】
並列に接続されているそのような粒子分離機モジュール6に対して、付加的にまたは代替的に、粒子分離機3はまた、直列に接続されている粒子分離機モジュール6を含み得ることがここで指摘される。
【0029】
粒子分離機3の各粒子分離機モジュール6が、排ガスが通って流動することができ(図2図3参照)、且つ排ガス送給ラインから出て来る排ガスが経由して排ガス排出ラインの方向に導かれることが可能である、複数の排ガス流路10を含む。該流路10は、優先的に金属および/またはセラミックおよび/または石英含有物および/またはガラス含有物および/またはシリコン含有物および/またはケイ酸含有物である、隣接する流量制御要素8、9により範囲を定められており、該隣接する流量制御要素は、排ガス流路10内で、ミリメートル(mm)サイズの範囲のまたはセンチメートル(cm)サイズの範囲の巨視的構造、詳細には排ガス乱流を有する偏流域および/または流動の停滞域および/または様々な流速を有する流動域、を形成しているかまたはそれらの範囲を定めている。排ガス流路10に加えて、詳細には炭素粒子が拡散および/または対流により分離される粒子分離機モジュール6の領域内に、各粒子分離機モジュール6は、各々の場合に、排ガスおよび/または圧縮空気が通って流動することができ、排ガス流路10に対して横方向に延びており、同様に流量制御要素8、9により範囲を定められている、複数の清浄化通路11を含む。
【0030】
流量制御要素8、9のいくらかまたはその部分が、一方では排ガス流路10の第1の側の1つにおいて、および清浄化通路11の第2の側の1つにおいて、相応に範囲を定めている。一方では排ガス流路10を、他方では清浄化通路11を互いに分離する、そのような流量要素8、9にはまたは少なくとも流量制御要素8、9のそのような部分には、清浄化通路11を通って流動する排ガスおよび/または清浄化通路11を通って流動する圧縮空気の通過のための陥凹部が導入されており、清浄化通路11を介して流動する排ガスおよび/または圧縮空気がこれらの陥凹部を介して流動し、したがって排ガス流路10に対向している、流量制御要素8、9の表面または表面部分を、煤および/または灰に関して清浄化するので、排ガス流路10に対向している、流量制御要素8、9の表面または表面部分が、該陥凹部により、煤および/または灰に関して清浄化され得る。
【0031】
流量制御要素8、9は、一方では平坦なプレート様の、したがって2次元的に形成された流量制御要素8と、他方では起伏のある、したがって3次元で具現化された流量要素9と、を含み、それらは、図2および図3から明白であるように、互いの上にサンドイッチ様にまたは積層様に交互に配置されている。すなわち排ガス流路10と清浄化通路11との複数の層を形成している。
【0032】
流量制御要素8、9は、この場合、優先的に、40μmと150μmとの間の、好ましくは40μmと100μmとの間の、特に好ましくは40μmと60μmとの間の壁厚を有し、その結果、相応に薄膜様に形成されている。
【0033】
また、流量制御要素8、9は、拡張された金属層としてまたは格子様に具現化され得る。
【0034】
3次元的に形成された流量制御要素9は、この場合、巨視的構造として、排ガス流路10の方向に延在している導流外形12と、排ガス流路10の方向に対して横方向に延在している流れ集積外形13と、同様に、通常は中で乱流が形成される、導流開口部14とを形成している。該3次元的に形成された流量制御要素9は、起伏のある拡張された金属層であり得る。
【0035】
各々の場合に、2次元的に形成された流量制御要素8は、2つの隣接する3次元的に形成された流量制御要素9を互いに分離し、巨視的構造として、導流開口部15を形成している。2次元的に形成された流量制御要素8は滑らかな拡張された金属層であり得る。
【0036】
層の排ガス流路10を通って流動し且つこの層の流れ集積外形13の領域内に蓄積する排ガスが、導流開口部14を介して隣接する層内の別の排ガス流路10内へ、または後続の清浄化通路11および後続の導流外形12の開口部14を介して同層の排ガス流路10内へ、のどちらかへ流動させられ、この排ガス流路の領域内のこの排ガスは、次いで該排ガスが後続の流れ集積外形13の領域に再進入するまで、排ガス排出ラインの方向にある程度まで再び流動し得る。
【0037】
この後続の流れ集積外形13により、排ガスは、開口部14を介して隣接する層の導流路10内へ、または後続の清浄化通路11および後続の導流外形12の開口部14を介して同層の排ガス流路10内へ、再び流動させられる。
【0038】
したがって、導流路10を介して流動する排ガスは、いかなるフィルタ媒体も通って流動せず、排ガスは複数回偏流させられ、該過程において、詳細には流動の停滞域が生じる流れ集積外形13の領域内で、粒子が拡散および/または対流により分離し得る。
【0039】
拡散および/または対流による、排ガスからの粒子の分離を促進するために、微視的構造が、これら表面の領域内に優先的に0.05μmと50μmの間の粗度を構築し、これにより巨視的構造の有効表面積を拡張するために、流量制御要素8、9上に、すなわち導流路10に対向している、流量制御要素8、9の表面または表面部分上に形成される。すなわちマイクロメータ(μm)の範囲内の構造である。
【0040】
詳細には、微視的構造の粗度が0.05μmと50μmの間である場合、流速がゼロになる傾向がある、薄い滞留境界膜が巨視的構造の領域内に形成されることが可能である。このことにより、粗面の領域内で分離された粒子が排ガス流により再び自由にされ得ることが回避される。
【0041】
詳細には、流れ集積巨視的構造の領域内で形成され得る微視的構造は、各表面の機械加工により且つ/または化学的処理により形成され得る。
【0042】
したがって、ブラッシングおよび/または研削および/またはキサゲ仕上げおよび/またはブラスチングおよび/またはスタンピングおよび/またはニードリング(needling)により、表面の粗度を巨視的構造の表面上で調整して、微視的構造が、次いで、被ブラッシング構造および/または被研削構造および/または被キサゲ仕上げ構造および/または被ピーニング構造および/または被スタンピング構造および/または被ニードリング構造として形成されるように、微視的構造を形成することが可能である。さらに、エッチングおよび/または亜鉛めっきおよび/または陽極酸化処理などの化学的処理により、微視的構造を形成することが可能であり、その結果、微視的構造は、次いで被エッチング構造および/または被亜鉛めっき構造および/または被陽極酸化処理構造として形成される。さらに、微視的構造を形成する表面のコロナ処理が行われ得る。
【0043】
さらに、流量制御要素8、9の優先的な金属材料の合金化が適応されることが可能であり、その結果、その表面構造は、熱の影響下で且つ/またはph値の変化の影響下で変化する。
【0044】
これの例が、流量制御要素8、9の合金中へのアルミニウムの導入である。高温で、アルミニウムは表面へ移動し、そこでアルミニウムクラスターを形成する。流量制御要素用の該合金化材料は、表面が容易に腐食され得るかまたは酸化され得るように選択されることが可能である。
【0045】
このため、排ガスの酸化腐食性雰囲気により、内燃エンジンの動作中、排ガス流路10の領域内の表面の粗度を高めることが可能である。短時間の慣らし運転段階の後でも、これはうまくいき、その結果、流量制御要素の表面の機械的処理または化学的処理が省略され得る。
【0046】
また、定められた粗度を有する定められた微視的構造を形成するために、はんだ付けまたは焼結による、流量制御要素への粉末のその後の固定により、金属粉末を塗布することが可能である。
【0047】
既に説明されているように、流量制御要素9は3次元的に形成されている。このことに加えて、流量制御要素9は波状にされ得る且つ/または折り畳み式に形成され得る。
【0048】
詳細には、流れ集積外形13を形成している、排ガス流路10に対向しており且つ拡散および/または対流による粒子の分離に役立っている、流量制御要素8、9の表面を効果的に清浄化するために、詳細には穿孔またはスリットにより、流量制御要素8、9の部分内へ陥凹部が導入されており、清浄化通路11を通って流動する排ガスおよび/または圧縮空気が、該陥凹部を通して、排ガス流路10内へ誘導され、したがって該表面から煤および/または灰を除去する。
【0049】
清浄化通路11は、この場合排ガス流路10に対して横方向に延在しており、詳細には、清浄化通路11は、排ガス流路10と共に、20°と160°との間の角度、好ましくは50°と120°との間の角度、特に好ましくは80°と100°との間の角度、詳細には90°の角度、を含む。ここで、清浄化通路11は、優先的に、清浄化通路11を介して導かれた排ガスまたは清浄化通路11を介して導かれた圧縮空気を、陥凹部または穿孔を通して、流量制御要素8、9の対応する部分内へ導くために、一方の端部で閉鎖されている。
【0050】
巨視的構造の寸法は、優先的にミリメートルの範囲またはセンチメートルの範囲内であり、したがって、分離される最大粒子の寸法より数倍大きい。流動のための巨視的開口部が、優先的にそれらが乱流の形成を促進するように配置されている。さらに、流動の停滞域の形成は促進される。様々な流速を有する領域が形成される。
【0051】
各粒子分離機モジュール6の流量制御要素8、9は、このようにして各粒子分離機モジュール6を設けるために、キャニスタ内に封入されている。複数の粒子分離機モジュール6が、粒子分離機モジュール6の並列接続および/または直列接続を形成している共通ハウジング17内に配置され得る。図1は、複数の粒子分離機モジュール6、および各粒子分離機モジュール6用のキャニスタ16のためのそのようなハウジング17を非常に概略的に示す。粒子分離機モジュール6は、優先的に粒子分離機モジュール6が非破壊的なやり方でハウジング17から除去され得るような方法で、共通ハウジング17内に配置されている。
【0052】
キャニスタ16により、隣接する粒子分離機モジュール6が、例えばキャニスタ16のテーパと錐体とによるキーロック原理に基づき、互いの中に挿入される外形により、互いに対して封止され得る。
【0053】
粒子分離機3のハウジング17により、粒子分離機モジュール6が、清浄化される排ガスを供給されること、および清浄化された排ガスが、ハウジング17を介して排出されること、の両方が可能である。また、粒子分離機モジュール6の清浄化通路11を介して導かれる圧縮空気が、粒子分離機3のハウジング17を介してこれへ供給され得る。ここで、回収室すなわち排ガス用の回収室および圧縮空気用の回収室が、この回収室から来る排ガスおよび圧縮空気を排ガス流路10および清浄化通路11の方向に導くために、ハウジング内に形成され得る。清浄化通路11を介して導かれる圧縮空気は、優先的に粒子分離機モジュール6から粒子分離機モジュール6へ順送りにされる。
【0054】
排ガス後処理では、優先的に排ガス流路10および清浄化通路11を、同時に通して流動させない。特に、詳細には排ガス後処理システムが2つ以上の粒子分離機3を含む場合、且つ詳細には第1の粒子分離機3が排ガスの清浄化に利用されると共に、その過程において排ガスがその排ガス流路10を通して導かれる場合、第2の粒子分離機3が清浄化され、この目的のために、排ガスおよび/または圧縮空気がその清浄化通路11を通して導かれることが定められており、第2の粒子分離機3の領域内で、その排ガス流路10を通る排ガス流は、次いで優先的に完全に停止するか、またはあるいは減少する。
【0055】
さらに、本方法は、煤および灰が渦に巻かれる清浄化段階において、粒子分離機3からのこれら渦に巻かれた固体の抽出および適切な容器内でのその後の回収が行われるという点において改善され得る。これはいずれ空にされ得る。
【0056】
本発明による粒子分離機を製造するために、流量制御要素8、9が設けられ、流量制御要素8、9上の微視的構造が巨視的構造の形成の前または後どちらかに形成され得る。
【0057】
微視的構造の形成は、優先的にブラスチング(blasting)および/または研削および/またはスタンピングおよび/またはニードリングおよび/またはエッチングおよび/または亜鉛めっきおよび/または陽極酸化処理および/またはブラッシングおよび/またはコロナ照射等により達成される。
【0058】
粒子分離機モジュール6を製造するために、手順は、流量制御要素8、9の基本体が、最初に粒子のブラスチングおよび/または研削および/またはスタンピングおよび/またはニードリングおよび/またはエッチングにより、微視的構造を設けられるようにされ得る。これに続いて、巨視的構造が、成形またははんだ付けまたは溶接により形成され、このようにして、3次元的に形成された流量制御要素9が形成される。スタンピングまたは穿孔により、仕上げ取付け状態では、隣接する排ガス流路10の接続を形成する開口部14、15が作り出され得る。これに続いて、流量制御要素8、9の積層が、優先的に2次元的に形成された流量制御要素8と交互に、3次元で形成された流量制御要素9を互いの上に層状にすることにより形成される。詳細には、そのような積層が、S状に捻じることにより、優先的に排ガス流路の延びている方向に対して垂直に、おおよそ円筒体に形成され得る。そのような本体がキャニスタ16内に配置され得る。互いの上に配置されている積層または円筒体の流量制御要素8、9が、例えば溶接またははんだ付けにより、永久的に互いに結合され得る。また、微視的構造は、巨視的構造の完成に続いて形成され得る。微視的構造を形成するために、流量制御要素8、9を積み重ねることにより形成されている積層は、エッチング液中への浸漬およびその後のエッチング液の除去により、全ての表面上に微視的構造を設けられることが可能である。
【符号の説明】
【0059】
1 内燃エンジン
2 排ガス後処理システム
3 粒子分離機
4 清浄化される排ガス
5 清浄化された排ガス
6 粒子分離機モジュール
7 圧縮空気
8、9 流量制御要素
10 排ガス流路
11 清浄化通路
12 導流外形
13 流れ集積外形
14、15 導流開口部
16 キャニスタ
17 ハウジング
図1
図2
図3