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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-02
(45)【発行日】2022-12-12
(54)【発明の名称】レンズ鏡筒、及び撮像装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 7/02 20210101AFI20221205BHJP
   G02B 7/04 20210101ALI20221205BHJP
   G03B 17/14 20210101ALI20221205BHJP
   H04N 5/225 20060101ALI20221205BHJP
【FI】
G02B7/02 E
G02B7/02 Z
G02B7/04 Z
G02B7/04 E
G03B17/14
H04N5/225 400
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2019041913
(22)【出願日】2019-03-07
(65)【公開番号】P2020144278
(43)【公開日】2020-09-10
【審査請求日】2022-02-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126240
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 琢磨
(74)【代理人】
【識別番号】100124442
【弁理士】
【氏名又は名称】黒岩 創吾
(72)【発明者】
【氏名】塩野 雅人
(72)【発明者】
【氏名】岩井 圭太
(72)【発明者】
【氏名】中森 圭那絵
(72)【発明者】
【氏名】上村 昂平
【審査官】登丸 久寿
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-120649(JP,A)
【文献】特開平07-159668(JP,A)
【文献】特開2014-021355(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 7/02
G02B 7/04
G03B 17/14
H04N 5/225
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像素子に被写体像を結像させる撮像光学系と、前記撮像光学系を構成する第1のレンズを駆動するために前記撮像光学系の光軸を中心として回転可能なカム筒と、前記第1のレンズを保持し且つ前記カム筒とカム係合し且つ前記カム筒の内周側に配置される鏡筒と、前記カム筒の内周側に配置され且つアクチュエータの電源を構成する回路部品と、を有するレンズ鏡筒であって、
前記回路部品は、前記鏡筒の側面に配置され、
前記回路部品は、前記カム筒の回転に応じて前記鏡筒とともに前記光軸方向に移動し、
前記アクチュエータは、第2のレンズを前記光軸方向に駆動しており、
前記第2のレンズは、フォーカスレンズであり、前記第1のレンズは、ズームレンズであることを特徴とするレンズ鏡筒。
【請求項2】
前記撮像光学系の焦点距離が望遠側に向かう従って、前記回路部品と前記撮像素子との前記光軸方向の距離が長くなることを特徴とする請求項1に記載のレンズ鏡筒。
【請求項3】
前記カム筒と前記鏡筒との間に配置され、前記第1のレンズが前記光軸方向に移動するために、前記第1のレンズの回転を抑制する案内筒と、前記回路部品に電気接続し且つ配線が重畳する重畳部を有するフレキシブル基板と、を備え、
前記重畳部は、前記レンズ鏡筒の径方向について前記鏡筒と前記案内筒との間に配置される請求項1又は2に記載のレンズ鏡筒。
【請求項4】
前記カム筒と前記鏡筒とを連結するカムピンを備え、前記回路部品は、前記レンズ鏡筒の周方向について前記カムピンと異なる位相に配置される請求項1乃至3の何れか一項に記載のレンズ鏡筒。
【請求項5】
前記回路部品は、磁束を発生させるコイルを備え、前記回路部品は、前記フォーカスレンズを制御するレンズ制御部に供給される電圧よりも高い電圧を出力する請求項1乃至4の何れか一項に記載のレンズ鏡筒。
【請求項6】
前記回路部品は、前記光軸方向に進退する範囲内において少なくとも一部が常に前記カム筒の内周側に配置される請求項1乃至5の何れか一項に記載のレンズ鏡筒。
【請求項7】
前記回路部品は、振動波モータの電源を構成する回路部品である請求項1乃至6の何れか一項に記載のレンズ鏡筒。
【請求項8】
前記振動波モータは、超音波モータである請求項7に記載のレンズ鏡筒。
【請求項9】
前記撮像光学系の焦点距離が長くなるに従って、前記回路部品と前記撮像素子との前記光軸方向の距離が長くなることを特徴とする請求項1乃至8の何れか一項に記載のレンズ鏡筒。
【請求項10】
前記レンズ鏡筒は、前記撮像素子を有するカメラ本体に挿脱可能な交換レンズであり、
前記レンズ鏡筒は、前記レンズ鏡筒に電圧を供給するために前記カメラ本体に配置されたカメラ側端子に電気接続されるレンズ側端子と、前記レンズ側端子の一端が電気接続されるコネクタ部が実装される第1の基板と、を備え、
前記第1の基板は、前記光軸方向について前記レンズ鏡筒のマウント部より被写体側に配置され、
前記回路部品は、前記光軸方向について最も像面側に位置する場合、前記第1の基板よりも物体側に位置することを特徴とする請求項1乃至9の何れか一項に記載のレンズ鏡筒。
【請求項11】
請求項1乃至10の何れか一項に記載のレンズ鏡筒と、前記撮像素子を有するカメラ本体と、を有する撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鏡筒内に電源を構成する回路部品を有するレンズ鏡筒に関する。特に、デジタルスチルカメラ、デジタルビデオカメラ、等の撮像装置に適用されるレンズ鏡筒に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルカメラ、ビデオカメラおよび交換レンズ等の光学機器には、オートフォーカス機能の高速化や静粛性を実現するために、超音波モータが搭載されることがある。
【0003】
超音波モータの駆動電源には、供給される電圧を昇圧し、超音波モータに所望の交流電圧を印加する回路部品(以下、昇圧トランスという)が必要となる。
【0004】
一方、昇圧トランスからの漏れ磁束は、磁気ノイズの原因となる。そして、磁気ノイズは、撮像信号と重畳して画質を劣化させることがあった。
【0005】
そのため、こうした光学機器では、搭載される撮像素子の高感度化、高画質化に伴い、磁気ノイズの低減が求められている。
【0006】
特許文献1には、制御部やスイッチング部が実装された保持基板とは異なる位置に昇圧部を配置し、振動アクチュエータと近づける駆動装置が開示されている。
【0007】
この構成によれば、昇圧部と振動アクチュエータとの間に流れる高電圧の駆動信号の配線を短くすることができ、漏れ磁束による影響を低減することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2013-179787号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1に開示された構成では、被駆動体であるカム筒の外側に振動アクチュエータの駆動電源として必要な昇圧トランスを配置している。
【0010】
一般的に、昇圧トランスは、内部にコイルなどの磁気回路を有するものであり、回路部品としては比較的外形が大きい。そのため、カム筒の外側に昇圧トランスを配置すると、光学機器は、大型化してしまう恐れがある。
【0011】
本発明は、上記課題に鑑みて、電源を構成する回路部品を、カム筒の回転に応じて移動する鏡筒の側面に配置できるようにしたレンズ鏡筒を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明のレンズ鏡筒は、撮像素子に被写体像を結像させる撮像光学系と、前記撮像光学系を構成する第1のレン
ズを駆動するために前記撮像光学系の光軸を中心として回転可能なカム筒と、前記第1のレンズを保持し且つ前記カム筒とカム係合し且つ前記カム筒の内周側に配置される鏡筒と、前記カム筒の内周側に配置され且つアクチュエータの電源を構成する回路部品と、を有するレンズ鏡筒であって、
前記回路部品は、前記鏡筒の側面に配置され、
前記回路部品は、前記カム筒の回転に応じて前記鏡筒とともに前記光軸方向に移動し、
前記アクチュエータは、第2のレンズを前記光軸方向に駆動しており、
前記第2のレンズは、フォーカスレンズであり、前記第1のレンズは、ズームレンズであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、カム筒の内周において、鏡筒の側面にアクチュエータの駆動電源を構成する回路部品を配置することができる。これにより、レンズ鏡筒の小型化を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施例である交換レンズおよびデジタルカメラ1の斜視図である。
図2】実施例の交換レンズ101およびデジタルカメラ1の構成を示すブロック図である。
図3】実施例の交換レンズ101の断面図(繰り込み状態)である。
図4】実施例の交換レンズの101断面図(繰り出し状態)である。
図5】実施例の交換レンズ101の要部分解斜視図である。
図6】実施例の交換レンズ101の要部側面図である。
図7】実施例の交換レンズ101の要部光軸断面図である。
図8】(a)ズーム広角端における要部側面図である。(b)ズーム望遠端における要部側面図である。
図9】本実施例のフレキシブルプリント配線板901を説明する斜視図である。
図10】本実施例のフレキシブルプリント配線板901を説明する斜視図である。
図11】本実施例のフレキシブルプリント配線板901を説明する斜視図である。
図12】本実施例のフレキシブルプリント配線板901を説明する斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。各図面を通して同一符号は、同一または対応部分を示すものである。
【0016】
尚、本発明は、本実施例の構成のみに限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々の変形および変更が可能である。
【0017】
図1は、本発明の実施例である交換レンズ(レンズ鏡筒、光学機器)101と交換レンズ101が着脱可能に装着されるデジタルカメラ(以下、カメラ本体という)1の外観を示す斜視図である。
【0018】
交換レンズ101のマウント部とカメラ本体1のマウント部とが装着可能とするために、レンズ側マウント部102、カメラ側マウント部7に係合爪が形成されている。
【0019】
図1に示すように、交換レンズ101が収容する撮像光学系の光軸が延びる光軸方向をX軸方向とし、これに直交する方向をZ軸方向(水平方向)およびY軸方向(垂直方向)とする。
【0020】
以下、Z軸方向とY軸方向をまとめてZ/Y軸方向とも記す。
【0021】
また、Z軸回りの回転方向をピッチ(Pitch)方向とし、Y軸回りの回転方向をヨー(Yaw)方向とする。ピッチ方向とヨー方向(以下、まとめてピッチ/ヨー方向とも記す)は、互いに直交するZ軸とY軸である2軸回りでの回転方向である。
【0022】
カメラ本体1内には、交換レンズ101内の撮像光学系により形成される被写体像を光電変換(撮像)する撮像素子16が設けられている。
【0023】
交換レンズ101は、レンズマウント102を介して、カメラ本体1に設けられたカメラマウント7に機械的および電気的に接続される。
【0024】
前記レンズ鏡筒としての交換レンズ101内には、被写体からの光を結像させて被写体像を形成する撮像光学系が収容されている。
【0025】
前記レンズ鏡筒としての交換レンズ101の外周には、ユーザ操作により光軸回りで回転可能なズーム操作環103が設けられている。
【0026】
ズーム操作環103がユーザによって回転操作されると、撮像光学系を構成するズーム群がズーム操作環103の角度に対応した所定の光学位置へと移動する。こうしてユーザは、所望の画角での撮影が可能となる。
【0027】
図2は、交換レンズ101およびカメラ本体1の電気的および光学的な構成を示すブロック図である。
【0028】
カメラ本体1および交換レンズ101の全体のシステムとしての制御は、カメラ本体1に設けられたカメラ制御部12と交換レンズ101に設けられたレンズ制御部104とがお互いに連係することによって行われる。
【0029】
カメラ制御部12は、記憶部13に格納されているコンピュータプログラムを読み出して実行する。
【0030】
その際、カメラ制御部12は、レンズマウント102に設けられた電気接点105の通信端子を介して、レンズ制御部104と各種制御信号やデータ等の通信を行う。電気接点105は、前述した電源部10からの電力を交換レンズ101に供給する電源端子を含む。
【0031】
交換レンズ101が有する撮像光学系は、ズーム操作環103と連結し、光軸方向に移動して画角を変更するズーム群201と、像振れを低減する防振素子としてのシフトレンズを含むレンズ防振群301を有する。
【0032】
レンズ防振群301は、シフトレンズを光軸に対して直交するZ/Y軸方向に移動(シフト)させて像振れを低減する防振動作を行う。
【0033】
また、撮像光学系は、光量調節動作を行う絞り群401と、光軸方向に移動して焦点調節を行うフォーカスレンズを含むフォーカス群501を有する。
【0034】
更に、交換レンズ101は、レンズ防振群301を駆動してシフトレンズをシフトさせる防振駆動部302、絞り群401を駆動する絞り駆動部402、およびフォーカス群501を駆動してフォーカスレンズを移動させるフォーカス駆動部502を有する。
【0035】
カメラ本体1は、シャッタユニット14、シャッタ駆動部15、撮像素子16、画像処理部17および前述したカメラ制御部12を有する。
【0036】
シャッタユニット14は、交換レンズ101内の撮像光学系で集光され、撮像素子16で露光される光の量を制御する。
【0037】
撮像素子16は、撮像光学系により形成された被写体像を光電変換して撮像信号を出力する。画像処理部17は、撮像信号に対して各種画像処理を行った後、画像信号を生成する。
【0038】
表示部9は、画像処理部17から出力された画像信号(スルー画像)を表示したり、前述したように撮像パラメータを表示したり、記憶部13や不図示の記録媒体に記録された撮像画像を再生表示したりする。
【0039】
カメラ制御部12は、操作部11から受けた絞り値やシャッタ速度の設定値に応じて、絞り駆動部402およびシャッタ駆動部15を介して、絞り群401およびシャッタユニット14の駆動を制御する。
【0040】
また、カメラ制御部12は、操作部11(レリーズボタン5)における撮像準備操作(半押し操作)に応じて、フォーカス群501の駆動を制御する。
【0041】
例えば、オートフォーカスの動作が指示された場合、カメラ制御部12は、被写体像の焦点状態とフォーカス群501の現在位置とを比較し、そのずれ量からフォーカス駆動量を算出してレンズ制御部104に送信する。
【0042】
そして、レンズ制御部104は、フォーカス駆動部502を介してフォーカス群501を目標位置まで駆動制御し、被写体像の焦点ずれを補正する。
【0043】
カメラ本体1は、ユーザによる手振れ等の像振れを検出可能な振れ検出手段として、ピッチ振れ検出部19とヨー振れ検出部20を有する。
【0044】
ピッチ振れ検出部19とヨー振れ検出部20はそれぞれ、角速度センサ(振動ジャイロ)や角加速度センサを用いて、ピッチ方向(Z軸回りの回転方向)およびヨー方向(Y軸回りの回転方向)の像振れを検出して振れ信号を出力する。
【0045】
カメラ制御部12は、ピッチ振れ検出部19からの振れ信号を用いてレンズ防振群301(シフトレンズ)のY軸方向でのシフト位置を算出する。
【0046】
同様にカメラ制御部12は、ヨー振れ検出部20からの振れ信号を用いてレンズ防振群301のZ軸方向でのシフト位置を算出する。
【0047】
そして、カメラ制御部12は、算出したピッチ/ヨー方向のシフト位置に応じて、レンズ防振群301を目標位置まで駆動制御し、露光中やスルー画像表示中の像振れを低減する防振動作を行う。
【0048】
前記レンズ鏡筒としての交換レンズ101は、撮像光学系の画角を変更するためのズーム操作環103と、そのズーム操作環103の角度を検出するズーム検出部106を有する。
【0049】
ズーム検出部106は、ユーザが操作するズーム操作環103の角度を絶対値として検出するものであり、例えば抵抗式のリニアポテンショメータを用いて構成されている。
【0050】
ズーム検出部106によって検出された画角の情報は、レンズ制御部104に送信され、前述したカメラ制御部12による各種の制御に反映される。
【0051】
次に、図3図4を用いて、交換レンズ101とカメラ本体1における構成部品の位置関係について説明する。
【0052】
図3図4は、光軸を含むXY平面上の断面図であり、ズームの繰り込み状態と繰り出し状態を示している。
【0053】
ここで示される中心線は、撮像光学系によって決定される光軸と略一致するため、以下では光軸と同義とする。
【0054】
本実施例は、撮像光学系の一例として六群構成を採用している。
【0055】
画角に応じた所定の光学位置へと移動した各ズーム群は、被写体からの光を撮像素子16の撮像面上に結像させる。
【0056】
このとき、前述のズーム群201は第一のズーム群として、絞り群401とレンズ防振群301は第三のズーム群として、フォーカス群501は第五のズーム群として機能する。
【0057】
更に、この撮像光学系は、第二のズーム群202、第三のズーム群203、第四のズーム群204、第六のズーム群206を備える。
【0058】
尚、本発明はレンズ群の構成を限定するものではなく、例えばレンズ防振群301やフォーカス群501は、第二のズーム群として機能するものであっても良い。
【0059】
また、一部のレンズ群が移動可能ではなく、固定されたものであっても構わない。
【0060】
図5図6および、図7を参照してフォーカス群ユニット550の構成を説明する。図5は、フォーカス群ユニット550を示す分解斜視図であり、構成部品の一部を分解して、斜め前方から見て示している。
【0061】
図6はフォーカス群ユニット550の側面図である。
【0062】
フォーカス群ユニット550は、鏡筒500と、その内部に収納されるフォーカス群501を備える。
【0063】
鏡筒500の上面には、フォーカス駆動部502の一部を構成するアクチュエータとして、超音波モータの一種である直動型振動波モータ(以下、振動波モータという)507が搭載されている。
【0064】
振動波モータ507は、光軸方向に長軸を有し、レンズ制御部104からの指示により、不図示の連結部材を介してフォーカス群501を光軸方向に移動させる。
【0065】
振動波モータ507は、振動子を有する可動部508と、摩擦部材を有する固定部509とで構成される。
【0066】
振動子は、摩擦接触部を備えた振動板と、その振動板の裏面に接着剤等で固定された圧電素子とで構成される。
【0067】
振動板は、摩擦接触部において、摩擦部材と加圧されて接触している。圧電素子に二相の交流電圧を印加すると、超音波領域の周波数の振動(超音波振動)が励振される。
【0068】
その結果、振動子に共振現象が起こり、振動子が変形して摩擦接触部に楕円運動が発生する。こうして、レンズ制御部104は、フォーカス群501を目標位置まで駆動させる。
【0069】
フォーカス駆動部502は、駆動パルスを発生させ、この駆動パルスによって回路のスイッチングを行う。
【0070】
昇圧トランス902は、レンズ制御部104に供給される電圧よりも高い電圧を出力する回路部品であり、フォーカス駆動部502の電源を構成する回路の一部である。
【0071】
尚、本発明は、昇圧トランス902の用途を限定するものではなく、レンズ群を駆動するアクチュエータの一例としてステッピングモータの電源を構成する回路の一部であっても構わない。
【0072】
また、本実施例において、回路部品を昇圧トランスとしているが、電源を構成する回路部品であればこれに限定されない。例えば、交換レンズ101の外観面において液晶モニタ等を配置する場合、この液晶モニタの表示のための電源を構成する回路部品であっても良い。
【0073】
鏡筒500は、カム筒108の内周側に配置され、カム筒108の内径に沿った略円筒形状となっている。
【0074】
昇圧トランス902は、鏡筒500の側面500aにおいて、鏡筒500から外周側に突出しないように配置されている。
【0075】
昇圧トランス902は、フレキシブル基板としてのフレキシブルプリント配線板901を介して電力を供給されると、内部に有するコイルの巻軸方向に磁束を発生させる。
【0076】
撮像素子16が撮像信号を生成し出力する過程においてこうした磁束が発生すると、その変動が磁気ノイズとして撮像信号に重畳し、画質を劣化させることがある。
【0077】
より詳細には、磁気ノイズが撮像素子16に到達すると、撮像信号を取り出す画素電荷情報の信号線を高周波で変化させる磁界が貫通する。
【0078】
これにより、信号線内で電磁誘導による磁気が発生してしまい、その結果、画素電荷情報の信号線にノイズが発生することになる。
【0079】
図7図6に示される光軸101aに直交する図6の断面図である。直進案内筒107は、不図示の固定筒を介してレンズマウント102に固定される固定部品である。
【0080】
直進案内筒107の外周面には、等分位置に不図示のバヨネット爪が配置されている。一方、カム筒108の内周面には、不図示の周溝が設けられている。
【0081】
更に、カム筒108は、ズーム操作環103と連結されている。ズーム操作環103が回転操作されると、カム筒108は、バヨネット爪と周溝との嵌合によって、光軸を中心として回転する。
【0082】
直進案内筒107には、鏡筒500の回転方向への移動を規制して、光軸方向への直進を案内する直進案内溝107aが形成されている。
【0083】
また、カム筒108には、鏡筒500に対応して、回転方向に角度を持つカム溝108aが形成されている。
【0084】
一方で、鏡筒500には連結部材(以下、カムフォロワという)520が昇圧トランス902や振動波モータ507とは異なる位相で3位相に等分配置されており、カムフォロワ520は、直進案内溝107aとカム溝108aに係合している。
【0085】
カムフォロワ520を昇圧トランス920や振動波モータ507とは異なる位相に配置することで、鏡筒500の光軸方向のサイズを小型化することができる。
【0086】
これによって交換レンズ101の光軸方向のサイズを小型化することができる。
【0087】
ユーザがズーム操作環103を回転操作すると、カム筒108が回転し、カムフォロワ520は直進案内溝107aとカム溝108aとの係合によって、鏡筒500を光軸方向へ進退させる。
【0088】
同様に、その他のズーム群にも、それぞれ異なるカムフォロワ(不図示)が設けられており、各カムフォロワは、対応する直進案内溝(不図示)とカム溝(不図示)とに係合している。
【0089】
したがって、ユーザがズーム操作環103を回転操作すると、カム筒108が回転し、カムフォロワは直進案内溝とカム溝との係合によって、それぞれのズーム群を同時に光軸方向へ進退させることになる。
【0090】
フレキシブル基板としてのフレキシブルプリント配線板901は、鏡筒500を光軸方向において進退させるため、可動屈曲部907aを有し、直進案内筒107に保持される。
【0091】
よって、直進案内筒107に保持される可動屈曲部907aは、鏡筒500の光軸方向における進退において駆動の妨げ、またはフレキシブルプリント配線板901自身の断線などを回避することを可能とする。
【0092】
図8は、撮像素子16と昇圧トランス902の光軸方向の位置関係を示した側面図である。
【0093】
図8(a)は、交換レンズ101が、ズームの広角端にある状態を示し、図8(b)は、ズームの望遠端にある状態を示している。
【0094】
第1の基板903は、撮像素子16と略平行に配置される。昇圧トランス902は、第1の基板903よりも常に物体側(撮像素子16と逆側)にくるように配置される。
【0095】
昇圧トランス902と撮像素子16との距離Lが遠くなるように配置している。昇圧トランス902と撮像素子16との距離Lを離すことで撮像素子16は、漏れ磁束の影響を受けにくくなる。
【0096】
前述したとおり、ズーム操作環103を操作することで各ズーム群は光軸方向へ進退し、焦点距離を変動する。
【0097】
また、ズーム操作環103を回転操作すると、鏡筒500は光軸方向において進退する。
【0098】
すなわち、鏡筒500に保持された昇圧トランス902と撮像素子16との距離をLとすると、焦点距離を変動する操作を行うことで、昇圧トランス902と撮像素子16との距離Lは変化する。
【0099】
本実施例においては、特に、焦点距離が広角側にあるときに対して、望遠側へ行くにしたがって、昇圧トランス902と撮像素子16との距離Lが遠くなるように配置している。
【0100】
これは、焦点距離が望遠側に行くほど開口径を確保しにくいという光学系の特徴に起因しての配慮である。
【0101】
すなわち、開口径を確保しにくい焦点距離が望遠側にある状態において、撮影した像が暗くなる。カメラ本体1は、撮影した像が暗くなることを補うため、撮像素子16の感度を上げることが可能である。
【0102】
しかし、撮像素子16の感度を上げるほど撮像素子16は昇圧トランス902から発生する漏れ磁束の影響を受けやすくなる。焦点距離が広角端にあるときの距離L=L1、焦点距離が望遠端にあるときの距離L=L2とすると、L1<L2となる。
【0103】
よって、焦点距離が望遠側になるほど昇圧トランス902と撮像素子16との距離Lを離すことで撮像素子16は、漏れ磁束の影響を受けにくくなる。
【0104】
よって、昇圧トランス902は焦点距離の変化によって光軸方向において進退する鏡筒500に保持されることで、焦点距離が望遠側に行くほど開口径を確保しにくいことを、撮像素子16の感度を上げて補おうとしても漏れ磁束の影響を受けにくくなる。
【0105】
本実施例のレンズ鏡筒101は、撮像素子16に被写体像を結像させる撮像光学系を保持している。
【0106】
レンズ鏡筒101は、ズームレンズ201、202、203を駆動するために撮像光学系の光軸101aを中心として回転可能なカム筒108を有する。
【0107】
また、ズームレンズを保持し且つカム筒108とカム係合し且つカム筒108の内周側に配置される鏡筒500を有する。
【0108】
また、カム筒108の内周側に配置され且つアクチュエータ507の電源を構成する回路部品(昇圧トランス)902を有する。
【0109】
回路部品(昇圧トランス)902は、鏡筒の側面500aに配置されている。
【0110】
回路部品(昇圧トランス)902は、カム筒108の回転に応じて鏡筒とともに光軸方向に移動することを特徴とする。
【0111】
撮像光学系の焦点距離が望遠側に向かう従って、回路部品902と撮像素子16との光軸方向の距離Lが長くなる。
【0112】
撮像光学系の焦点距離が長くなるに従って、回路部品902と撮像素子16との光軸方向の距離Lが長くなる。
【0113】
カム筒108と鏡筒500との間に配置され、ズームレンズが光軸方向に移動するために、ズームレンズの回転を抑制する案内筒107と、回路部品902に電気接続し且つ可動屈曲部907aを有するフレキシブル基板901と、を有する。
【0114】
配線が重畳する重畳部である可動屈曲部907aは、レンズ鏡筒の径方向について鏡筒500と案内筒107との間に配置される。
【0115】
カム筒108と鏡筒500とを連結するカムピン520を備え、回路部品902は、レンズ鏡筒の周方向についてカムピン520と異なる位相に配置される。
【0116】
回路部品902は、光軸方向に進退する範囲内において少なくとも一部が常にカム筒108の内周側に配置される。
【0117】
回路部品902は、振動波モータとしての超音波モータ507の電源を構成する回路部品である。
【0118】
前記レンズ鏡筒101は、撮像素子16を有するカメラ本体に挿脱可能な交換レンズである。
【0119】
レンズ鏡筒101は、レンズ鏡筒に電圧を供給するためにカメラ本体に配置されたカメラ側端子に電気接続されるレンズ側端子と、レンズ側端子の一端が電気接続されるコネクタ部が実装される第1の基板903と、を有する。
【0120】
光軸方向についてレンズ鏡筒101のマウント部より被写体側に配置される第1の基板903と、を有する。
【0121】
回路部品902は、光軸方向について最も像面側に位置する場合、第1の基板903よりも物体側に位置する。
【0122】
次に図9を参照して、フォーカス群ユニット550と、フレキシブルプリント配線板901の関係を説明する。
【0123】
図9(a)は、フレキシブルプリント配線板901の形態を説明する斜視図である。フレキシブルプリント配線板901は、振動波モータ507の電源を構成する昇圧トランス902が実装されている実装部901aを有している。
【0124】
フレキシブル基板としてのフレキシブルプリント配線板901の一部は、第1の基板903との接続部904を有している。
【0125】
フレキシブル基板としてのフレキシブルプリント配線板901の一端には、接続部905が設けられている部位901dを有している。
【0126】
フレキシブルプリント配線板901は、実装部901aから、接続部905が設けられている部位901dまで、配線部901bによって一体となっている。
【0127】
また、フレキシブルプリント配線板901の部位901dとは異なる一端には、実装部901eが設けられている。
【0128】
実装部901eには、非接触の位置検出センサ908が実装されている。位置検出センサ908は、フォーカス駆動量を算出するために、フォーカス群501の位置を検出するための非接触の検出センサである。
【0129】
実装部901aから、位置検出センサ908が実装されている実装部901eまでは配線部901cによって一体となっている。昇圧トランス902は、実装部901eの間に設けられて、それぞれ、配線部901bと配線部901cによって一体となっている。
【0130】
ここで、図11は、フォーカス群ユニット550を第1の基板903側から見た斜視図である。
【0131】
フレキシブルプリント配線板901の接続部904は第1の基板903と接続されている。
【0132】
電気接点105は、一端がコネクタ部(105b)によって、第1の基板903と電気接続されている。図2に示されるように、電気接点105は、端子105aを介して、カメラ本体1の電源部10からの電力を交換レンズ101に供給する。
【0133】
つまり、カメラ本体1から供給された電力を第1の基板903に設けられている接続部904とフレキシブルプリント配線板901を経由し、昇圧トランス902で適切な電圧として出力される。
【0134】
図9(b)は、フォーカス群ユニット550と、フレキシブルプリント配線板901の関係を説明する斜視図である。
【0135】
振動波モータ507は、駆動に必要な第二の基板906を有している。フレキシブルプリント配線板901は、フォーカス群ユニット550の外側に設けられている。
【0136】
図8に記載のとおり、第1の基板903の主面は撮像素子16と平行に配置されている。
【0137】
フレキシブルプリント配線板901の部位901dに設けられた接続部905は、第二の基板906との接続部である。
【0138】
フレキシブルプリント配線板901の実装部901aから、部位901dまでの配線部901bは、図8に示される撮像素子16と略平行で鏡筒500の物体側(撮像素子16と逆側)に配置される。
【0139】
また、配線部901bは、カムフォロア(カムピン)520と同位相に配置されている。フレキシブルプリント配線板901は、カムフォロア(カムピン)520を避けながらフォーカス群ユニット550の外側に一体的に配置される。
【0140】
配線部901bを鏡筒500の物体側(撮像素子16と逆側)に配置することで撮像素子16は、漏れ磁束の影響を受けにくくなる。
【0141】
図10(a)は、図9(a)を異なる角度からみた斜視図である。配線部901cは、フレキシブルプリント配線板901の実装部901aから、位置検出センサ908が実装されている実装部901eまでの接続配線部である。
【0142】
配線部901cは、図8に示される撮像素子16と略平行で鏡筒500の物体側(撮像素子16と逆側)に配置される。
【0143】
また、配線部901cは、カムフォロア(カムピン)520と同位相に配置されている。よってフレキシブルプリント配線板901は、カムフォロア520を避けながらフォーカス群ユニット550の外側に一体的に配置される。
【0144】
図10(b)は、第1の基板903とフレキシブルプリント配線板901の関係を示す斜視図である。第1の基板903の主面は図8に示される図8に示される撮像素子16と略平行に配置されている。
【0145】
フレキシブルプリント配線板901の一部は、第1の基板903との接続部904を有している。
【0146】
フレキシブルプリント配線板901は、接続部904から、振動波モータ507の電源を構成する昇圧トランス902の実装部までの間に延伸部907bを介し可動屈曲部907aが設けられている。
【0147】
図7で説明したように、鏡筒500は、カム筒108が回転し、直進案内溝107aとカム溝108aと係合したカムフォロア(カムピン)520によって、光軸方向へ進退する。
【0148】
よって、フレキシブルプリント配線板901は、接続部904に対し可動屈曲部907aが移動し延伸部907bの余長を変化させることで鏡筒500が光軸方向へ進退することを可能にしている。接続部905は、第二の基板906との接続部である。
【0149】
図12(a)と図12(b)は鏡筒500が矢印の示す光軸方向で物体側に動いた際の可動屈曲部907aの動きを説明する図である。
【0150】
図12(a)はフレキシブルプリント配線板901の断面方向から見た図である。鏡筒500が光軸方向で物体側に動くと可動屈曲部907aも物体側に動く。
【0151】
この時907cは鏡筒500とは異なる部材に保持される箇所である。図12(b)に示されるように、延伸部907bは、可動屈曲部907aの移動に伴い907cが拘束された状態で907b´側が長くなる。
【0152】
可動屈曲部907aは、光軸方向に配線が重畳している重畳部である。
【0153】
よって、鏡筒500が矢印の示す光軸方向で物体側に動くことで、昇圧トランス902の実装部901aや位置検出センサ908が実装されている実装部901eなどは、鏡筒500と共に軸方向で物体側に動く。
【0154】
よって、第1の基板903から第二の基板906までが回路接続される。
【0155】
ここで、接続部904までの配線長は、鏡筒500が光軸方向へ進退するための可動屈曲部907aと延伸部907bを設けるために、第二の基板906との接続部905までの配線長の方が短くなる。
【0156】
つまり、振動波モータ507から振動波モータ507の駆動電源を構成する昇圧トランス902までの配線長は、最短距離で配線されることが可能となる。
【0157】
以上のように、フレキシブルプリント配線板901は、配線部901b、配線部901c、によってカムフォロア520を避ける部位が鏡筒500の物体側(撮像素子16と逆側)に配置することで撮像素子16は、漏れ磁束の影響を受けにくくなる。
【0158】
また、鏡筒500に対し一体的に配置することで図5に示されるフォーカス群ユニット550の構成に最適な形状となる。
【0159】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形および変更が可能である。
【符号の説明】
【0160】
1 カメラ本体
16 撮像素子
101 交換レンズ
107 直進案内筒
108 カム筒
500 鏡筒
501 フォーカス群
507 振動波モータ
520 カムフォロワ
550 フォーカス群ユニット
901 フレキシブルプリント配線板
902 昇圧トランス
903 第1の基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12