(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-02
(45)【発行日】2022-12-12
(54)【発明の名称】ビーム支持装置
(51)【国際特許分類】
E01F 15/04 20060101AFI20221205BHJP
【FI】
E01F15/04 B
(21)【出願番号】P 2019049550
(22)【出願日】2019-03-18
【審査請求日】2021-10-29
(31)【優先権主張番号】P 2018056442
(32)【優先日】2018-03-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002462
【氏名又は名称】積水樹脂株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】505398941
【氏名又は名称】東日本高速道路株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】505398952
【氏名又は名称】中日本高速道路株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】505398963
【氏名又は名称】西日本高速道路株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000947
【氏名又は名称】弁理士法人あーく事務所
(72)【発明者】
【氏名】井上 仁
(72)【発明者】
【氏名】上原 健嗣
(72)【発明者】
【氏名】上田 樹
(72)【発明者】
【氏名】安西 咲菜恵
(72)【発明者】
【氏名】高室 和俊
(72)【発明者】
【氏名】金田 和男
(72)【発明者】
【氏名】西村 光司
(72)【発明者】
【氏名】藤野 友裕
(72)【発明者】
【氏名】出雲 真仁
(72)【発明者】
【氏名】畔津 伸彦
【審査官】石川 信也
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-227150(JP,A)
【文献】特表2012-529583(JP,A)
【文献】特開2000-170130(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01F 15/00-15/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
設置面に取り付けられる基材と、該基材により移動が規制される支柱と、長手方向に間隔をあけて立設された複数の前記支柱間に架設されるビームとを備えたビーム支持装置であって、
前記支柱は、柱部と、該柱部の下部に形成されて幅方向へ突出する鍔部とを備え、
前記基材は、前記支柱の幅方向近傍に配置されて該支柱の幅方向への移動を規制する横当部と、前記鍔部の上方近傍に配置されて前記支柱の上方への移動を規制する上当部を備え、
前記支柱の長手方向両側には、前記基材が配置されずに前記支柱の移動を許容する隙間からなる遊間部が設けられて
おり、
前記基材は、別体に形成された2個の長尺体で構成され、
前記各基材は、該各基材と別体に形成されて各基材間に配置された保持部材にそれぞれ保持されて設置面へ設置されており、該保持部材は前記各基材間の設置面に固定された固定部材を介して設置面に設置されていることを特徴とするビーム支持装置。
【請求項2】
前記支柱や前記ビームへ車両が接触して外力を受けたときに、前記保持部材が変形するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のビーム支持装置。
【請求項3】
前記基材は、上当部が前記支柱の鍔部の上部へ強力に圧接していることを特徴とする請求項1
又は2に記載のビーム支持装置。
【請求項4】
前記各基材は、前記支柱の柱部の幅方向両側近傍にそれぞれ配置されると共に、前記鍔部の上方近傍に配置されており、
前記各基材の間、及び前記各基材と設置面との間に前記遊間部が形成されていることを特徴とする請求項1
~3のいずれかに記載のビーム支持装置。
【請求項5】
前記各基材は、長手方向へ複数配置されると共に、該各基材の端部がジョイントによって連結されていることを特徴とする請求項
1~4のいずれかに記載のビーム支持装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の通行を規制するビーム支持装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
路面へ設置させたビームを備える柵によって車線分離などを行う方法は従来から利用されており、種々の構成が提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、柵などに用いられる支柱について、基礎に固定されるベースプレートと、該ベースプレートに立設された管体と、を有し、 前記管体の前記ベースプレート近傍に、管軸方向に長い切欠部が形成されていることを特徴とする管状支柱の構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に示される管状支柱は、ベースプレート近傍に切欠部を設けることで、車両衝突などの衝撃エネルギ-を支柱の変形で効果的に吸収するように設けているが、本発明は、別の方法で車両衝突時の衝撃を緩和するビーム支持装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明は以下のような構成としている。
すなわち本発明に係るビーム支持装置は、設置面に取り付けられる基材と、該基材により移動が規制される支柱と、長手方向に間隔をあけて立設された複数の前記支柱間に架設されるビームとを備えたビーム支持装置であって、
前記支柱は、柱部と、該柱部の下部に形成されて幅方向へ突出する鍔部とを備え、
前記基材は、前記支柱の幅方向近傍に配置されて該支柱の幅方向への移動を規制する横当部と、前記鍔部の上方近傍に配置されて前記支柱の上方への移動を規制する上当部を備え、
前記支柱の長手方向両側には、前記基材が配置されずに前記支柱の移動を許容する隙間からなる遊間部が設けられており、
前記基材は、別体に形成された2個の長尺体で構成され、
前記各基材は、該各基材と別体に形成されて各基材間に配置された保持部材にそれぞれ保持されて設置面へ設置されており、該保持部材は前記各基材間の設置面に固定された固定部材を介して設置面に設置されていることを特徴とするものである。
【0007】
本発明に係るビーム支持装置によれば、設置面に取り付ける基材と、長手方向に間隔をあけて立設させた複数の支柱間に架設させるビームとを備え、前記基材の横当部を前記支柱の幅方向近傍に配置してこの支柱の幅方向への移動を規制するので、車両衝突などによって支柱が幅方向へ向かう外力を受けたときに、前記支柱が前記横当部に当接して幅方向への移動が抑制される。
また、前記支柱の柱部の下部に幅方向へ突出する鍔部を備えさせ、この鍔部の上方近傍に前記基材の上当部を配置させて前記支柱の上方への移動を規制するので、車両衝突などによって支柱が上方へ向かう外力を受けたときに、前記鍔部が前記上当部に当接して、設置面から支柱が脱離するような上方向への移動が抑制される。
また、前記支柱の長手方向両側に、前記基材が配置されずに前記支柱の移動を許容する隙間からなる遊間部を形成するので、車両衝突などによって支柱が長手方向へ向かう外力を受けたときに、前記遊間部を通って支柱が長手方向へ移動することで衝撃を緩和させ、支柱や基材などの破損や脱離などを抑制できる。
また、車両衝突などの外力が基材へ伝達されたときに、保持部材が変形して固定部材へ伝達される力が低減し、固定部材の破損や、固定部材近傍の設置面の破損が抑制される。
【0008】
また、前記基材の上当部を前記支柱の鍔部の上部へ強力に圧接させれば、車両衝突などを要因とする強い外力を受けたときのみ前記支柱の長手方向への移動がなされ、風や振動などを要因とする移動を防止できるので、好ましい。
【0009】
また、前記基材を2個の長尺体で構成し、各基材を前記支柱の柱部の幅方向両側近傍にそれぞれ配置させると共に、先記鍔部の上方近傍に配置させ、前記各基材の間、及び前記各基材と設置面との間に前記遊間部を形成させれば、前記横当部、上当部を備え、前記遊間部を形成可能な基材を簡単な形状の部材で構成できるので、好ましい。
また、支柱の柱部の幅方向近傍に配置させた2個の長尺体で前記基材を構成すれば、ガードケーブルの設置範囲の幅方向の大きさをより小さくできるので、好ましい。
【0013】
また、前記各基材を長手方向へ複数配置させると共に、この各基材の端部をジョイントによって連結させれば、車両衝突などの外力が基材へ伝達されたときに、前記ジョイントを介して長手方向の他の基材へ外力が伝達されて、各基材を設置させているより多数の保持部材や固定部材に外力が分散されるため、一部の保持部材や固定部材へ外力が集中することによる固定部材の破損や固定部材近傍の設置面の破損が抑制されるので、好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明のビーム支持装置によれば、車両衝突時に支柱の長手方向への移動を許容し、衝突による衝撃を緩和できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明に係るビーム支持装置の実施の一形態を示す正面図である。
【
図2】
図1の支柱を示す、(イ)は正面図であり、(ロ)は側面図である。
【
図4】
図1のビームの外形の概要を示す、(イ)は平面図であり、(ロ)は正面図である。
【
図6】
図4のビームを
図2の支柱へ取り付ける挿入部材を示す、(イ)は平面図であり、(ロ)は正面図である。
【
図9】
図1の基材の外形の概要を示す、(イ)は平面図であり、(ロ)は正面図である。
【
図11】支柱の下部と基材を拡大して示す
図1の拡大図である。
【
図14】
図1の支柱が外力を受けたときの基材の変形の一例を示す図である。
【
図15】本発明に係るビーム支持装置の実施の他の一形態を示す正面図である。
【
図16】本発明に係るビーム支持装置の実施の他の一形態を示す正面図である。
【
図17】本発明に係るビーム支持装置の実施の他の一形態を示す正面図である。
【
図18】
図17の基材の外形の概要を示す、(イ)は平面図であり、(ロ)は正面図であり、(ハ)は底面図である。
【
図20】
図18の基材を連結するジョイントを示す、(イ)は平面図であり、(ロ)は正面図である。
【
図21】
図20のジョイントを利用して連結された基材の端部を示す正面図である。
【
図22】
図17の保持部材を示す、(イ)は平面図であり、(ロ)は正面図である。
【
図24】
図22の保持部材の下方に配置する台材の平面図である。
【
図25】
図22の保持部材を利用して基材を設置面へ設置させた状況を示す
図17のA-A断面図である。
【
図27】
図22の保持部材へ取り付けて利用する補強部材の実施の一形態を示す、(イ)は平面図であり、(ロ)は正面図であり、(ハ)は側面図である。
【
図30】本発明に係るビーム支持装置の支柱の実施の他の一形態を示す、(イ)は正面図であり、(ロ)は側面図である。
【
図32】
図30の支柱2を設置面Gへ設置させた状況を長手方向から表した図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
発明の実施の形態を図面に基づき具体的に説明する。
図面において1はビーム支持装置である。
ビーム支持装置1は、長手方向に間隔をあけて設置面Gに立設させた複数の支柱2と、各支柱2の間に架設させたビーム4とを備えている。
尚、
図1において、図中左右方向を長手方向とし、長手方向に対して垂直な図中上下方向を縦方向とし、長手方向および縦方向に対して垂直な方向を幅方向としている。
前記ビーム4は筒状の長尺体で形成しており、支柱2へ長手方向に貫通させて取り付けた挿入部材5の端をビーム4の内側へ挿入させて、支柱2へ取り付けている。
また、前記各支柱2は、その下部を設置面Gへ固定させた基材3へ係合させて設置面Gへ設置させている。
【0017】
図2は
図1の支柱2を示す、(イ)は正面図であり、(ロ)は側面図であり、
図3は
図2の支柱2の平面図である。
支柱2は、下端に平板状の鍔部22を備え、この鍔部22の上面から縦方向へ突出させる柱部21を形成している。
前記柱部21は断面矩形の筒状体で形成しており、具体的には金属製の角パイプで形成している。
また、前記柱部21は、
図3に示すように、前記鍔部22の長手方向中央付近に配置させて形成させており、鍔部22の幅方向中央付近に配置して形成させている。
【0018】
前記支柱2の柱部21には、その筒壁を貫通する貫通孔23を形成している。
前記貫通孔23は、長手方向両側の筒壁にそれぞれ1個づつ2個1組で形成しており、柱部21を長手方向へ貫通するように配置させている。前記柱部21には、上下に間隔をあけて2組4個の貫通孔23を形成している。
前記各貫通孔23は、それぞれ円形形状に形成しており、前記挿入部材5を挿入可能な形状に形成すると共に、前記ビーム4を挿入不能な形状に形成している。
具体的には、前記各貫通孔23は、前記挿入部材5の外形よりも若干大きな円形形状に形成しており、前記ビーム4の外形よりも小さな円形形状に形成している。
前記支柱2は、挿入部材5を貫通孔23に挿入させて、この挿入部材5を柱部21の長手方向へ貫通可能に設けている。
【0019】
図4は
図1のビーム4の外形の概要を示す、(イ)は平面図であり、(ロ)は正面図であり、
図5は
図4のビーム4の側面図である。
前記ビーム4は断面円形の筒状体で形成しており、具体的には金属製の丸パイプで形成している。
前記ビーム4の長手方向両端は開口しており、前記挿入部材5を内側へ挿入可能に形成している。
前記ビーム4には、長手方向の端から間隔をあけた位置に、長手方向へ若干長い長孔形状の貫通孔41を形成している。
前記貫通孔41は、ビーム4の上側及び下側の筒壁にそれぞれ1個づつ2個1組に形成しており、ビーム4を縦方向へ貫通するように配置させている。
前記ビーム4には、長手方向両側の端部にそれぞれ1組づつ、合計2組4個の貫通孔41を形成している。
【0020】
図6は
図4のビーム4を
図2の支柱2へ取り付ける挿入部材5を示す、(イ)は平面図であり、(ロ)は正面図であり、
図7は
図6の挿入部材5の側面図である。
前記挿入部材5は断面略円形の筒状の長尺体で形成しており、具体的には金属板を曲げ加工して円筒形状に設けている。
前記挿入部材5は、前記ビーム4の筒壁の内側形状よりも若干小さな外形に形成しており、ビーム4の内側や、支柱2の貫通孔23へ挿入可能な大きさに設けている。
前記挿入部材5には、長手方向の端から間隔をあけた位置に、長手方向へ若干長い長孔形状の貫通孔51を形成している。
前記貫通孔51は、挿入部材5の上側及び下側の筒壁に2個1組で形成しており、挿入部材5を縦方向へ貫通するように形成している。
前記貫通孔51は、挿入部材5の長手方向両側の端部にそれぞれ1組づつ、合計2組4個形成している。
【0021】
図8は
図2の支柱2と
図4のビーム4との取付部分を拡大して示す
図1の拡大図である。
前記支柱2は、柱部21に形成した各貫通孔23に前記挿入部材5を挿入させており、挿入部材5はその両側の端部を柱部21の長手方向外側へそれぞれ突出させている。
前記ビーム4は、突出する前記挿入部材5の端部を筒壁の内側へ挿入して、挿入部材5へ取り付けている。具体的には、縦方向へ並ぶように配置された前記ビーム4の前記各貫通孔41及び前記挿入部材5の各貫通孔51へ、ビーム4の上方からボルトB1の雄ねじ部分を挿通させると共にビーム4の下方でナットN1を螺結させて、両部材を固定している。
【0022】
図9は
図1の基材3を示す、(イ)は平面図であり、(ロ)は正面図であり、
図10は
図9の基材3の側面図である。
前記基材3は、縦方向両側に上面30a、下面30bを備え、幅方向両側にそれぞれ側面30cを備える断面矩形の筒状体で形成しており、一例として、断面形状が縦50mm、幅50mmの正方形の外形で、長手方向の大きさを2mに形成した金属製の角パイプで形成している。
前記基材3には、長手方向へ長い長孔形状の貫通孔31を縦方向へ貫通するように形成しており、具体的には、基材3の上側の筒壁及び下側の筒壁にそれぞれ1個づつ、2個1組に形成している。
前記各貫通孔31は、長手方向の両側の端39から間隔をあけた位置にそれぞれ1組づつ、合計2組4個形成しており、一例として、各貫通孔31を基材3の端39から0.5mの位置にそれぞれ形成している。
即ち、
図9の基材3は、長手方向に1mの間隔をあけて各貫通孔31を配置させている。
【0023】
基材3は、前記貫通孔31へ固定部材9を取り付けて設置面Gへ設置させている。
具体的には、
図1に示すように、固定部材9のアンカーボルト91の雄ねじ部分を各貫通孔31へ上方から挿入させ、設置面へ埋設固定させた固定部材9のアンカーナット92へ螺結させて、基材3を設置させている。
尚、固定部材9の近傍において、基材3の下面30bは設置面Gに当接している。
【0024】
前記支柱2は、設置面Gへ設置させた前記基材3の下方に鍔部22を配置させて立設させている。
図11は支柱2の下部と基材3を拡大して示す
図1の拡大図であり、
図12は
図11のA-A断面図であり、
図13は
図11のB-B断面図である。
前記基材3は、支柱2の柱部21の幅方向両側にそれぞれ1個づつ配置させており、各下面30bを鍔部22の上面へ当接させている。
鍔部22の上方に配置させた基材3の下面30bは、鍔部22が当接する上当部として機能し、支柱2が外力を受けたときにその縦方向上方への移動を規制する。
また、前記各基材3の外面のうち、柱部21の近傍に配置させた各側面30cは、柱部21が当接する横当部として機能し、支柱2が外力を受けたときにその幅方向への移動を規制する。
【0025】
前記支柱2の鍔部22の長手方向両側の外方には、上当部として機能する基材3の下面30bと設置面Gとの間に隙間s2が形成される。また、支柱2の柱部21の長手方向両側の外方には、横当部として機能する基材3の各側面30cの間に隙間s1が形成される。
前記各隙間s1及び隙間s2は、支柱2の長手方向への移動を許容する遊間部Sとして機能する。
即ち、
図1に示すビーム支持装置1は、支柱2やビーム4へ車両などが接触して支柱2が外力を受けたとき、幅方向や縦方向上方への移動は前記上当部や横当部により規制されるが、長手方向へは設置面G上を滑るように移動可能に設けている。
このように支柱2の長手方向への移動を許容することで、車両接触などにより受ける衝撃を支柱2の移動によって緩和し、支柱2、ビーム4、挿入部材5などのビーム支持装置1の各部材や、固定部材9や、埋設固定した固定部材9近傍の路面などからなる設置面Gの損傷を抑制することができる。
【0026】
前記支柱2の幅方向及び縦方向上方への移動を規制する前記横当部及び上当部は、前記基材3の側面30cと下面30bで構成されており、それぞれ平滑な平面に形成されている。
即ち、下面30bで構成される前記上当部には支柱2の鍔部22へ向かう凸凹部分が形成されておらず、側面30cで構成される前記横当部には支柱2の柱部22へ向かう凸凹部分が形成されていない。このように上当部と横当部とを形成することで、外力を受けた支柱2の長手方向への移動が、前記上当部や横当部との接触によって妨げられにくくなされ、衝撃を効率よく緩和できる。
【0027】
前記各基材3は、長手方向へ間隔をあけて配置させた固定部材9をそれぞれ取り付けて設置させている。前記支柱2は前記各固定部材の間に配置させており、具体的には各固定部材9間の略中央の位置に配置させている。
前記基材3の下面30bは、各固定部材9の近傍において設置面Gに当接すると共に、支柱2の鍔部22の上面に当接している。
即ち、前記基材3は、各固定部材9の間において支柱2を配置させた中央部分が上方へ撓むように変形しており、基材3の下面30bが鍔部22の上面へ強力に圧接している。
このように上当部として機能する下面30bを鍔部22へ圧接させることで、弱い力を受けたときの支柱2の長手方向への移動を抑制させている。換言すると、ビーム支持装置1の支柱2は、風や振動などを要因とする弱い力では長手方向へ移動せず、車両衝突などの強い外力を受けたときのみ、長手方向へ移動するように設けている。
【0028】
前記基材3は、各固定部材9間で支柱2を配置させた部分が上方へ撓むように変形しているので、支柱2の長手方向への移動を許容する前記遊間部Sについて、基材3の下面30bと設置面Gとの間に形成される隙間s2は、固定部材9へ近づくほど小さくなる。
即ち、車両衝突などの強い外力を受けて支柱2が長手方向へ移動するとき、鍔部22が固定部材9へ近づくほど遊間部Sが小さくなり、上当部である下面30bが鍔部22の上面へより強く圧接されて摩擦が大きくなり、支柱2の長手方向への移動が徐々におさまり停止に至るようになされる。
【0029】
図14は
図1の支柱2が外力を受けたときの基材3の変形の一例を示す図である。
図14は、設置面Gに立設させた支柱2が縦方向上向きの強い外力を受け、鍔部22の下面が設置面Gから瞬間的に浮き上がった状況を示している。また、
図14では、ビーム4や挿入部材5の図示を省略して、図面を簡略化している。
支柱2が上方向への外力を受けたとき、下端に形成した鍔部22と、基材3の上当部である下面30bとの当接により移動が規制されるが、外力が強力な場合には、
図14に示すように基材3が瞬間的に撓むように変形する。前記基材3の変形は、支柱2の長手方向両側にそれぞれ配置して基材3へ取り付けた各固定部材9の間で生じる。このように、基材3が瞬間的に変形することによって、基材3から前記各固定部材9へ伝達される衝撃などが緩和され、固定部材9の損傷や、固定部材9を埋設固定させている路面などの設置面の損傷を抑制することができる。前記基材3の変形は、支柱2の長手方向両側に配置した各固定部材9の間隔が大きいほど容易であり、各固定部材9の間隔は、
図1に示すビーム支持装置1のように1m以上の大きさに設けるのが好ましく、後述する
図15に示すビーム支持装置1のように、1.6m以上の大きさに設けるのがより好ましい。
また、
図14では、支柱2が上方へ向かう外力を受けた状況を示しているが、支柱2が幅方向へ向かう外力を受けた場合でも、各固定部材9の間で基材3が瞬間的に撓むように変形して、各固定部材9へ伝達される衝撃などを緩和させる効果が期待できる。
【0030】
また、前記基材3を構成する2個の各長尺体は、各固定部材9の間において複数の部材を組み合わせて形成するのではなく、各固定部材9の間で断面が同一形状に形成された1個の長尺体で形成しているので、基材3の変形が各固定部材9間の間で全体的に撓むようになされ、効果的に衝撃を吸収できる。
また、前記基材3は2個の長尺体で構成すると共に、鍔部22の上方に配置した各基材3をそれぞれ柱部22の幅方向両側に配置させるので、ビーム支持装置1へ車両などが接触するときに、車両の車輪が基材3の上面30aを踏みつけ、基材3や、この基材3の下方に鍔部22を配置させた支柱2の、設置面Gからの脱離を抑制する効果を期待できる。
【0031】
図14に示す基材3は、各固定部材9の取り付け部分で下面30bを設置面Gに当接させているが、下面30bと設置面Gとの間に僅かな隙間が生じた場合に、固定部材9を設置面Gから引き抜くような縦方向上方への力が増大する。具体的には、基材3の端39の部分が支点となり、支柱2の鍔部22から基材3へ伝達される縦方向上向きの力が、より大きな力となって固定部材9の取り付け部分に作用する。
このようなてこの原理で作用する固定部材9への力は、固定部材9を取り付ける基材3の貫通孔31と、支点となされる端39との間隔をより大きく設けることで低減できる。具体的には、後述する
図15、16に示す各ビーム支持装置のように貫通孔31と端39との間隔を0.2m以上の大きさに設けるのが好ましく、
図1に示すビーム支持装置のように0.5m以上の大きさに設けるのがより好ましい。
また、貫通孔31と端39との間隔を大きく設けることで、貫通孔31と端39との間で基材3が撓み変形しやすくなされるので、基材3の撓み変形によって固定部材9へ作用するてこの力が低減する効果が期待できる。
【0032】
上記のように、支柱2やビーム4へ車両などが衝突した場合でも、固定部材9や、その近傍の設置面Gの損傷を抑制できる基材3の構成は、設置面Gを構成する材料の強度が弱い場所や、固定部材9の埋設が浅い位置に制限される場所などへビーム支持装置1を設置させる場合において、特に有用である。
【0033】
図15は本発明に係るビーム支持装置1の実施の他の一形態を示す正面図である。
図15のビーム支持装置1は、設置面Gに埋設固定する固定部材9の配置と、これを取り付けるために設ける基材3の貫通孔31の配置のみが、
図1に示すビーム支持装置1と異なる事項である。
即ち、
図15に示すビーム支持装置1は、
図1に示すビーム支持装置1と同様に、
図2、3に示す支柱2を複数立設させ、
図6、7に示す挿入部材5を前記各支柱2の柱部21の貫通孔23へ挿入させると共に、
図4、5に示すビーム4の内側へ前記挿入部材5の端部を挿入させて取り付けて、ビーム4を各支柱2間に架設させている。
図15に示す基材3は、貫通孔23の配置以外は
図9、10に示す基材3と同一形状に形成され、
図12、13に示す基材3と同じ配置で、支柱2の鍔部22の上方且つ柱部22の幅方向両側にそれぞれ1個づつ合計2個設置させている。
【0034】
図15の各基材3は、固定部材9を取り付けるための貫通孔31を、長手方向の両側の端39から0.2mの間隔をあけた位置にそれぞれ1組づつ、合計2組4個形成している。前記基材3は、長手方向の大きさを2mに形成しており、各貫通孔31間の間隔が1.6mの大きさに形成されている。即ち、
図15に示す支柱2の長手方向両側に配置させた各固定部材9は、1.6mの間隔をあけて配置されている。
【0035】
上記のように配置して埋設固定した各固定部材9に基材3を取り付けることで、ビーム支持装置1へ車両が接触するなどして外力を受けたときに、各固定部材9間で生じる基材3の瞬間的な撓み変形がより容易に生じるので、基材3から固定部材9へ伝達される衝撃などをより効果的に緩和、低減できる。
【0036】
図16は本発明に係るビーム支持装置1の実施の他の一形態を示す正面図である。
図16のビーム支持装置1は、基材3の長手方向の大きさと、1個の基材3へ2個の支柱2を取り付けていることと、基材3へ取り付ける固定部材9の個数と配置とが、
図1や
図15に示す前記各ビーム支持装置1と異なる主な事項である。
即ち、
図16に示すビーム支持装置1の、支柱2、ビーム4、挿入部材5の形状と配置は、
図1や
図15に示す前記各ビーム支持装置1と同一である。
また、
図16に示す基材3は、
図9、10の基材3と同一断面形状の長尺体であり、
図1や
図15に示す前記各ビーム支持装置1と同様に、支柱2の柱部22の幅方向両側にそれぞれ1個づつ配置し、鍔部22の上面へ下面30bを当接させて設置させている。
【0037】
図16に示すビーム支持装置1の各基材3は、長手方向の大きさを4mに形成している。
また、設置面Gへ埋設固定させた固定部材9を取り付けるための2個1組の貫通孔31を、長手方向両側の端39から0.2mの間隔をあけた位置にそれぞれ1組づつ形成すると共に、長手方向の中央に1組形成している。即ち、合計3組6個形成した各基材3の前記貫通孔31は、長手方向へ1.8mの間隔をあけて配置させている。
【0038】
前記各基材3は、貫通孔31に対応する配置で埋設固定させた固定部材9へ取り付けて設置させており、各固定部材9の中間に対応する位置に立設させた各支柱2の移動を規制している。
上記のような構成により、支柱2の移動を規制するために設置する基材3の個数を減少できるので、ビーム支持装置1の設置作業をより簡単に行うことができ、好ましい。
また、
図16に示すビーム支持装置1は、
図1や
図15に示す前記各ビーム支持装置1と比較して、支柱2の長手方向両側に配置させた各固定部材9の間隔が大きく、各固定部材9間で生じる基材3の瞬間的な撓み変形がより容易に生じるので、基材3から固定部材9へ伝達される衝撃などをより効果的に緩和、低減できる。
【0039】
尚、本発明に係るビーム支持装置1は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
例えば、前記各ビーム支持装置1の基材3は、断面矩形の筒状体で形成しているが、これに限るものではなく、支柱2の移動を規制する上当部及び横当部を備えると共に、支柱2の長手方向への移動を許容する遊間部Sを備える他の形状に形成してもよい。
例えば、断面形状を、略コの字形状や、略L字形状や、平板状に形成した長尺体である、所謂溝形鋼や山形鋼や平板鋼などの既存の鋼材で基材3を形成してもよく、アルミニウムなどの金属の押出成形で形成した独自の断面形状を有する長尺体で形成してもよい。
【0040】
また、前記基材3は、別体に形成した2個の長尺体をそれぞれ支柱2の柱部22の幅方向両側に配置させて設置させているが、これに限るものではなく、2個の長尺体を一部で連結させてもよい。例えば、幅方向に配置させた2個の基材3のそれぞれの端39近傍に、幅方向へ伸びる別の連結部材を接続させて各基材3を連結させてもよい。このように、各基材3を端39近傍で連結させれば、支柱2の長手方向への移動を許容する遊間部Sが前記連結部材で塞がれることがない。
しかしながら、前記各ビーム支持装置1のように、別体に形成した2個の長尺体で基材3を構成すれば、ビーム4や支柱2へ車両などが衝突して基材3へ大きな外力が伝達されたときに、一方の基材3へ伝達された衝撃などが他方の基材3へ伝達されず、両方の基材3がそれぞれ独立して撓み変形することで固定部材9へ伝達される衝撃を効果的に緩和できるので、好ましい。
【0041】
また、
図1、
図15、
図16にそれぞれ示す各ビーム支持装置1の基材3は、上当部となされる下面30bを支柱2の鍔部22の上面へ当接させると共に、固定部材9を取り付ける貫通孔31近傍の下面30bを設置面Gへ当接させて設置させているが、これに限るものではない。貫通孔31の近傍において、基材3と設置面Gとの間に、前記鍔部22と同じ厚みの大きさを有する部材をスペーサーとして配置して、下面30bと設置面Gとを離間させてもよい。また、スペーサーとして配置する前記部材は、前記鍔部22の厚みの大きさよりも小さな厚みに形成してもよい。
【0042】
図17は、本発明に係るビーム支持装置の実施の他の一形態を示す正面図である。
図17に示すビーム支持装置1は、保持部材6を介して基材3を設置面Gへ設置させている点と、ジョイント8を介して長手方向へ並設させた複数の基材3を連結させている点が、
図1に
図1に示すビーム支持装置1と異なる主な事項である。
即ち、
図17に示すビーム支持装置1は、
図1に示すビーム支持装置1と同様に、
図2、3に示す支柱2を複数立設させ、前記各支柱2の柱部21の貫通孔23へ挿入部材5を挿入させると共に、ビーム4の内側へ前記挿入部材5の端部を挿入させて取り付けて、ビーム4を各支柱2間に架設させている。
また、支柱2の柱部21の幅方向両側にはそれぞれ基材3を配置させて設置させており、各支柱2はその下部を各基材3へ係合させて設置面Gに立設させている。
尚、
図17に示すビーム支持装置1のビーム4は、上側及び下側の筒壁にそれぞれ1個づつ2個1組に形成した貫通孔41を、長手方向の両側の端部に1組づつではなく、それぞれ2組づつ合計4組8個形成している点のみが
図4、5に示す前記ビーム4と個なる事項である。
また、前記ビーム4の内側へ挿入させる挿入部材5を縦方向に貫通する貫通孔51は、前記貫通孔41に対応する配置で、合計4組8個形成させている。
【0043】
図18は
図17の基材3の外形の概要を示す、(イ)は平面図であり、(ロ)は正面図であり、(ハ)は底面図であり、
図19は
図18の側面図である。
図18に示す基材3は、固定部材9を挿通させる貫通孔31を形成していない点と、長手方向両端において上側の筒壁に貫通孔32を形成し、下側の筒壁に挿通部33を形成している点が、
図9、10に示す前記基材3と異なる事項である。即ち、
図18に示す基材3は、
図9、10に示す前記基材3と同様に、上面30a、下面30b、側面30cを備える断面矩形の筒状体であり、金属製の角パイプで形成している。
【0044】
前記挿通部33は、長手方向の端から内側へ向かうように形成した矩形形状の切り欠きであり、長手方向両端にそれぞれ1個づつ形成している。
また、前記貫通孔32は、長手方向に長い長孔形状に形成しており、長手方向へ間隔をあけて2個1組で形成している。前記各貫通孔32は、前記挿通部33の真上に1組づつ配置させて、合計2組4個形成している。
【0045】
図20は
図18の基材3を連結するジョイント8を示す、(イ)は平面図であり、(ロ)は正面図である。
前記ジョイント8は断面略矩形の筒状の長尺体で形成しており、具体的には金属製の角パイプで形成している。
前記ジョイント8は、前記基材3の筒壁の内側形状よりも若干小さな外形に形成しており、基材3の内側へ挿入可能な大きさに設けている。
また、前記ジョイント8の上側の筒壁には、ボルトB2の雄ねじ部分を螺結可能な雌ねじ孔81を形成している。
前記雌ねじ孔81は、長手方向に間隔をあけて2個1組で形成しており、長手方向の両端にそれぞれ1組ずつ、合計2組4個設けている。
尚、各雌ねじ孔81は、2個1組で形成している前記基材3の各貫通孔32に対応する配置で形成している。
【0046】
図21は
図20のジョイント8を利用して連結された基材3の端部を示す正面図である。
図21は、基材3の一部を切り欠くように描いた部分断面図であり、保持部材6や支柱2等の図示を省略して図面を簡略化している。
図21において、長手方向へ配置させた2個の基材3は、その内側に挿入させたジョイント8を介して連結させている。
具体的には、前記ジョイント8の各雌ねじ孔81には、各基材3の貫通孔32へ上方から挿入させたボルトB2の雄ねじ部分を螺結させている。
【0047】
基材3の両端に設けた各挿通部33は、その幅方向の大きさを前記ジョイント8の幅方向の大きさよりも大きく形成しており、ジョイント8の端部を挿通可能な大きさに設けている。
図21に示す各基材3は、ジョイント8へ螺結させた各ボルトB2を取り外し、上方へ移動させれば、内側へ挿入させたジョイント8が挿通部33の内側を通過して、ジョイント8から取り外すことができる。また、上記とは逆の手順で、基材3をジョイント8へ取り付けることができる。
【0048】
図22は
図17の保持部材6を示す、(イ)は平面図であり、(ロ)は正面図であり、
図23は
図22の側面図である。
保持部材6は、金属板を曲げ加工して形成した金具であり、矩形平板状に設けた取付部61と、取付部61の幅方向両側にそれぞれ接続する2個の保持部63を備えている。
【0049】
前記取付部61は、その板面を縦方向へ向けるように配置させ、その中央に円形の貫通孔62を形成している。
前記各保持部63は、上方に底部分を配置して下方に開口する断面矩形の溝状に設けており、その溝の内側部分を前記基材3の外形に対応する形状に形成している。
【0050】
図24は
図22の保持部材6の下方に配置する台材Dの平面図である。
台材Dは矩形平板状に設けた金属板であり、その中央に円形の貫通孔d1を形成している。
台材Dは、幅方向の大きさを前記係合部材6の幅方向の大きさと略同じ大きさに形成しており、縦方向の板厚の大きさを前記支柱2の鍔部22の厚みに対応する大きさに形成している。
【0051】
図25は
図22の保持部材6を利用して基材3を設置面Gへ設置させた状況を示す
図17のA-A断面図であり、
図26は
図25の平面図である。
図25においては、支柱2やジョイント8の図示を省略して、図面を簡略化している。
各基材3は、設置面Gの上に載置させた台材Dと保持部材6との間に配置し、アンカーボルト92とアンカーボルト91からなる固定部材9によって設置面Gに設置させている。
前記保持部材6は、前記取付部61の下面を台材Dの上面へ当接させ、貫通孔62へ上方から挿入させたアンカーボルト91の雄ねじ部分を、台材Dの貫通孔d1へ挿通させると共に、設置面Gへ埋設固定させたアンカーナット92へ螺結させて、設置面Gへ設置させている。
【0052】
前記保持部材6は、前記基材3をそれぞれ各保持部63の内側に配置させて保持している。前記各保持部63は、その内側形状を基材3の外側形状に対応する矩形に形成しており、内側に保持する各基材3の幅方向への移動や縦方向への移動を規制する。
【0053】
図25、26において、2個配置させている各基材3の幅方向の間隔は、
図1に示す前記ビーム支持装置1の各基材3と同じ間隔に配置させており、支柱2の柱部21は各基材3の各側面30cの間に配置される。
即ち、前記各基材3の各側面30cは、
図1に示すビーム支持装置1と同様に、柱部21が当接する横当部として機能し、支柱2が外力を受けたときにその幅方向への移動を規制する。
また、各基材3と設置面Gとの間には、台材Dの厚みの大きさに対応する隙間s2が形成され、各支柱2は鍔部22をこの隙間s2に配置させている。そして、各基材3の各下面30bは、
図1に示すビーム支持装置1と同様に、鍔部22が当接する上当部として機能し、支柱2が外力を受けたときにその縦方向上方への移動を規制する。
【0054】
図17のビーム支持装置1の支柱2の柱部22の長手方向両側には、
図1に示すビーム支持装置1と同様に、基材3の各側面30cの間に隙間s1が形成されている。各隙間s1及び前記隙間s2は、支柱2の長手方向への移動を許容する遊間部Sとして機能する。
【0055】
図17に示すビーム支持装置1は、
図25、26に示すように、固定部材9で設置面Gへ設置させた保持部材6によって各基材3を設置させている。このため、ビーム支持装置1の支柱2やビーム4へ車両などが接触して外力を受けたときに、その力は支柱2から基材3へ伝達され、更に基材3から保持部材6を伝わって固定部材9へ至る。このように固定部材9へ至る衝撃などの外力は主に保持部材6を介して伝達されるが、外力を受けた保持部材6の保持部63や取付部61が撓みや折れ曲がりなどの変形をすることで、固定部材9へ伝わる力が低減する。このように保持部材6によって固定部材9へ至る外力が低減することで、固定部材9の破損や、固定部材9の近傍の設置面Gの破損を抑制することができる。例えば、アスファルト舗装路面を設置面Gとしてビーム支持装置1を設置させた場合に、設置面Gを構成するアスファルトは冬場よりも温度が上昇する夏場にその硬度が低下するが、前記保持部材6の変形によって、固定部材9の近傍のアスファルト舗装路面の破損を効果的に抑制することができる。
また、外力を受けたときに保持部材6が変形することによって、基材3や支柱2の変形や破損などを抑制する効果も期待できる。
【0056】
また、
図17に示すビーム支持装置1は、
図21に示すように、ジョイント8を介して長手方向へ並設させた各基材3の端部を連結させている。
前記各基材3はジョイント8によって強固に連結しているため、ビーム支持装置1の支柱2やビーム4へ車両などが接触して外力を受け、その力が支柱2から基材3へ伝達されたときに、基材3からジョイント8で連結させた他の基材3へその力が伝達される。このように、基材3が受ける力が長手方向へ連結させた他の基材3へ伝わるように設けることで、より多数の基材3へ力が分散されるようになされ、一部の基材3への力の集中を抑制でき、基材3の変形や破損を抑制できる。また、多数の基材3へ力が分散されることで、基材3を設置させている一部の保持部材6や固定部材9への力の集中を抑制できるので、固定部材9の破損や、固定部材9の近傍の設置面Gの破損を抑制することができる。
【0057】
図27は
図22の保持部材6へ取り付けて利用する補強部材7の実施の一形態を示す、(イ)は平面図であり、(ロ)は正面図であり、(ハ)は側面図である。
図27に示す補強部材7は、板面を縦方向へ向けた矩形平板状に形成した取付部71と、取付部71の長手方向両端から縦方向上方へそれぞれ延設する矩形平板状の支持部73を備える、略U字形状の金具である。
補強部材7は金属板を曲げ加工して形成しており、前記取付部71の中央には円形の貫通孔72を設けている。
【0058】
図28は、
図27の補強部材7を
図22の保持部材6へ取り付けた状態を示す側面図であり、
図29は
図28の平面図である。
図28、29に示す補強部材7は、貫通孔72と貫通孔62の位置を一致させて、取付部71の下面を取付部61の上面へ当接させている。補強部材7は、前記貫通孔72及び貫通孔62へ上方から挿通させたアンカーボルト91の雄ねじ部分を、設置面Gへ埋設固定させたアンカーナット92へ螺結させて設置させるように設けている。
【0059】
補強部材7の各支持部73は、幅方向の大きさを前記保持部材6の各保持部63の間隔に対応する大きさに形成し、縦方向の大きさを各保持部63の縦方向の大きさに対応する大きさに形成している。
即ち、前記補強部材7は、
図28、29に示すように、保持部材6へ取り付けた状態において、各支持部73の幅方向の両端が各保持部63の近傍に配置されるように設けている。このように設けた補強部材7を保持部材6へ取り付けることで、ビーム支持装置1へ車両などが接触して外力を受け、その力が基材3から保持部材6へ伝達されたときに、保持部材6の変形を補強部材7によって抑制できる。具体的には、支持部73の端部が保持部63へ当接することで、各保持部63の間隔が狭まるような保持部材6の変形が抑制される。
【0060】
上記のように、前記補強部材7は保持部材6へ取り付けて、その変形を抑制することができる。
補強部材7は、ビーム支持装置1を構成する保持部材6の全てに取り付けてもよく、一部のみに取り付けてもよい。そして、外力を受けたときに、保持部材6をより大きく変形させて固定部材9やその近傍の設置面Gの破損を抑制したい場合には、補強部材7を取り付けなくても良い。
【0061】
前記補強部材7は、各支持部73の外形を矩形に形成しているが、これに限るものではなく、他の形状に設けてもよい。
例えば、下方から上方に至るほど、支持部73の端が保持部63から離間する台形形状に設けてもよい。また、保持部63に相対する支持部73の縁を、
図27、28に示すような直線状に設けても良く、曲線状に設けても良い。
また、
図27に示す補強部材7は、取付部71に対して各支持部73を垂直に配置させているが、傾斜状に配置させてもよい。
また、各支持部73を平板状ではなく、曲板状に設けてもよい。
【0062】
図30は本発明に係るビーム支持装置1の支柱2の実施の他の一形態を示す、(イ)は正面図であり、(ロ)は側面図であり、
図31は
図30の平面図である。
図30、31に示す支柱2は、鍔部22が形成された下部の形状が、
図2、3に示す前記支柱2と異なる主な事項である。
即ち、
図30、31に示す支柱2は、
図2、3に示す前記支柱2と同様に、断面矩形の筒状体で形成した柱部21を備え、柱部21の筒壁にはビーム4を取り付ける挿入部材5を挿入させるための貫通孔23を形成している。
【0063】
図30、31に示す支柱2の下部には、当接部24を形成している。
当接部24は、柱部21の長手方向両側に配置される矩形板状の横部26と、各横部26の幅方向両端から縦方向下方へそれぞれ延設される矩形板状の縦部25と、各縦部25の下端から幅方向外側へそれぞれ延設される鍔部22を備えている。
前記各縦部25は、その外面が柱部21の外面と面一になるように設けている。
尚、縦部25と柱部21とが接続する部分、横部26と柱部21とが接続する部分、及び鍔部22と柱部21とが接続する部分は、それぞれ溶接によって強固に固定されている。
【0064】
図32は
図30の支柱2を設置面Gへ設置させた状況を長手方向から表した図である。
図32に示す各基材3は、
図1、15、16に示す各ビーム支持装置1の前記基材3や、
図17に示すビーム支持装置1の基材3と同様の方法で設置面Gへ設置させており、固定部材9や、台材Dや、保持部材6等の図示を省略して、図面を簡略化している。
図32に示す各基材3は、
図1や、
図17に示す各ビーム支持装置1と同様に、柱部21の幅方向両側にそれぞれ配置させており、側面30cが柱部21の当接する横当部として機能し、外力を受けた支柱2の幅方向への移動を規制する。また、下面30bが鍔部22の当接する上当部として機能し、支柱2の縦方向上方への移動を規制する。
【0065】
図32に示す支柱2は、鍔部22から延設される縦部25と、縦部25から延設される横部26を備えているため、
図2に示す支柱2と比較して鍔部22の剛性が向上している。このため、各基材3へ係合させて設置面Gへ設置させた状態の支柱2へ外力がかかったときに、鍔部22の変形が低減し、支柱2の設置をより安定させることができる。
【0066】
また、
図32に示す支柱2は、各基材3へ係合させて設置面Gへ設置させた状態において外力がかかったときに、柱部21と、当接部24の縦部25とが、横当部として機能する基材3の側面30cへ当接するように設けられている。縦部25が側面30cへ当接することで、支柱2の幅方向への移動や、回転するような移動が効果的に抑制され、支柱2の設置をより安定させることができる。
【0067】
図32に示す支柱2は、当接部24の縦部25と柱部21とを基材3の側面30cへ当接させるように設けているが、これに限るものではない。
例えば、柱部21の下端を当接部24の上方に配置させて縦部25のみを基材3の側面30cへ当接させるように設けても良い。この場合には、各基材3は柱部21の幅方向両側近傍ではなく、各縦部25の幅方向外側近傍に配置される。
また、各縦部25の間に当接部24の変形を抑制するための補強リブなどを追加して設けても良い。
【符号の説明】
【0068】
1 ビーム支持装置
2 支柱
21 柱部
22 鍔部
23 貫通孔
24 当接部
25 縦部
26 横部
3 基材
31 貫通孔
32 貫通孔
33 挿通部
39 端
31 貫通孔
4 ビーム
41 貫通孔
5 挿入部材
51 貫通孔
6 保持部材
61 取付部
62 貫通孔
63 保持部
7 補強部材
71 取付部
72 貫通孔
73 支持部
8 ジョイント
9 固定部材
91 アンカーボルト
92 アンカーナット
S 遊間部