(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-02
(45)【発行日】2022-12-12
(54)【発明の名称】映像提供システム
(51)【国際特許分類】
H04N 5/92 20060101AFI20221205BHJP
H04N 5/232 20060101ALI20221205BHJP
H04N 5/77 20060101ALI20221205BHJP
G07C 5/00 20060101ALI20221205BHJP
G08G 1/00 20060101ALI20221205BHJP
【FI】
H04N5/92 010
H04N5/232 300
H04N5/77 200
G07C5/00 Z
G08G1/00 D
(21)【出願番号】P 2019064813
(22)【出願日】2019-03-28
【審査請求日】2021-01-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100114937
【氏名又は名称】松本 裕幸
(72)【発明者】
【氏名】神谷 尚保
(72)【発明者】
【氏名】稗圃 泰彦
(72)【発明者】
【氏名】松本 延孝
(72)【発明者】
【氏名】宮岡 真也
(72)【発明者】
【氏名】半井 明大
【審査官】鈴木 隆夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-103089(JP,A)
【文献】特開2008-234414(JP,A)
【文献】特開2014-010496(JP,A)
【文献】特開2011-237947(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/92
H04N 5/232
H04N 5/77
G07C 5/00
G08G 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像生成対象車両に搭載される車両搭載装置と、
映像収集装置と、
前記映像生成対象車両が映る映像データを生成する映像生成装置と、を備える映像提供システムであって、
前記車両搭載装置は、前記映像生成対象車両の走行時におけるセンサデータを計測するセンサデータ計測部を備え、
前記映像生成装置は、
前記センサデータを計測時刻及び計測位置に関連付けて記録するセンサデータ格納部と、
前記センサデータが特定の運転状態を示すか否かを判定するセンサデータ判定部と、
特定の運転状態を示すと判定された前記センサデータに関連付けられた計測時刻及び計測位置に該当する映像ファイルを、前記映像収集装置から取得する映像取得部と、
前記映像ファイルを使用して、前記映像生成対象車両が映る映像データを生成する映像データ生成部と、を備え、
前記映像データ生成部は、前記映像取得部が前記映像収集装置から取得した前記映像ファイルの映像の中から前記映像生成対象車両が映っている映像を抽出し、抽出した映像を時系列に沿って合成する、
映像提供システム
であり、
複数の車両に各々搭載される複数の前記映像収集装置を備え、
前記映像収集装置は、
自車両の外部を撮像する撮像部と、
前記撮像部が撮像した撮像データの映像ファイルを格納する映像ファイル格納部と、を備え、
前記映像取得部は、前記映像生成対象車両と異なる車線を走行する車両よりも前記映像生成対象車両と同じ車線を走行する車両に搭載された前記映像収集装置から優先して前記映像ファイルを取得する、
映像提供システム。
【請求項2】
前記センサデータ計測部は、加速度を計測する請求項1に記載の映像提供システム。
【請求項3】
前記センサデータ計測部は、前記映像生成対象車両の運転者の生体データを計測する請求項1
又は2のいずれか1項に記載の映像提供システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像提供システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の安全性を向上させるための技術として例えば特許文献1が知られている。特許文献1に記載された従来技術は、車両の運転情報に基づいて当該車両の運転状態が異常であると判断した場合に、当該車両の周辺に存在する他の車両へ警戒するように報知する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述した従来技術では、車両の運転状態が異常と判断されるような運転を行った運転者は、自分の運転が一体どのようなものであるのかが客観的に分からない。このため、運転者自身は、車両の運転状態が異常と判断されるような運転を行った自覚を簡単には持てず、よって、安全な運転を行うように運転者の更生を行うことが難しいという問題があった。
【0005】
この問題の一つの解決策として、運転状態が異常であるときの走行時の車両が映る映像を当該車両の運転者に見せることによって、当該運転者に自己の運転を客観視させることが挙げられる。しかしながら、一般の運転者について個別に、そのような映像を撮像することは容易ではない。
【0006】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、その目的は、運転状態が異常等の特定の運転状態であるときの走行時の車両が映る映像を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明の一態様は、映像生成対象車両に搭載される車両搭載装置と、映像収集装置と、前記映像生成対象車両が映る映像データを生成する映像生成装置と、を備える映像提供システムであって、前記車両搭載装置は、前記映像生成対象車両の走行時におけるセンサデータを計測するセンサデータ計測部を備え、前記映像生成装置は、前記センサデータを計測時刻及び計測位置に関連付けて記録するセンサデータ格納部と、前記センサデータが特定の運転状態を示すか否かを判定するセンサデータ判定部と、特定の運転状態を示すと判定された前記センサデータに関連付けられた計測時刻及び計測位置に該当する映像ファイルを、前記映像収集装置から取得する映像取得部と、前記映像ファイルを使用して、前記映像生成対象車両が映る映像データを生成する映像データ生成部と、を備え、前記映像データ生成部は、前記映像取得部が前記映像収集装置から取得した前記映像ファイルの映像の中から前記映像生成対象車両が映っている映像を抽出し、抽出した映像を時系列に沿って合成する、映像提供システムである。
(2)本発明の一態様は、複数の車両に各々搭載される複数の前記映像収集装置を備え、前記映像収集装置は、自車両の外部を撮像する撮像部と、前記撮像部が撮像した撮像データの映像ファイルを格納する映像ファイル格納部と、を備え、前記映像取得部は、前記映像生成対象車両と異なる車線を走行する車両よりも前記映像生成対象車両と同じ車線を走行する車両に搭載された前記映像収集装置から優先して前記映像ファイルを取得する、上記(1)に記載の映像提供システムである。
(3)本発明の一態様は、複数の車両に各々搭載される複数の前記映像収集装置を備え、前記映像収集装置は、自車両の外部を撮像する撮像部と、前記撮像部が撮像した撮像データの映像ファイルを格納する映像ファイル格納部と、前記映像ファイルの撮像時刻及び撮像位置を示すメタ情報を格納するメタ情報格納部と、前記メタ情報を前記映像生成装置へ送信するメタ情報送信部と、を備え、前記映像生成装置は、前記映像収集装置から前記メタ情報を受信するメタ情報受信部と、前記映像収集装置から受信した前記メタ情報を、当該映像収集装置を識別する映像収集装置識別情報に関連付けて格納するメタ情報格納部と、特定の運転状態を示すと判定された前記センサデータに関連付けられた計測時刻及び計測位置と前記メタ情報とに基づいて、映像ファイル取得先の前記映像収集装置及び取得対象映像ファイルを特定する映像収集装置ファイル特定部と、を備える、上記(1)に記載の映像提供システムである。
(4)本発明の一態様は、前記センサデータ計測部は、加速度を計測する上記(1)から(3)のいずれかの映像提供システムである。
(5)本発明の一態様は、前記センサデータ計測部は、前記映像生成対象車両の運転者の生体データを計測する上記(1)から(4)のいずれかの映像提供システムである。
【0008】
(6)本発明の一態様は、映像生成対象車両が映る映像データを生成する映像生成装置であって、前記映像生成対象車両に搭載される車両搭載装置が計測した前記映像生成対象車両の走行時におけるセンサデータを計測時刻及び計測位置に関連付けて記録するセンサデータ格納部と、前記センサデータが特定の運転状態を示すか否かを判定するセンサデータ判定部と、特定の運転状態を示すと判定された前記センサデータに関連付けられた計測時刻及び計測位置に該当する映像ファイルを、映像収集装置から取得する映像取得部と、前記映像ファイルを使用して、前記映像生成対象車両が映る映像データを生成する映像データ生成部と、を備え、前記映像データ生成部は、前記映像取得部が前記映像収集装置から取得した前記映像ファイルの映像の中から前記映像生成対象車両が映っている映像を抽出し、抽出した映像を時系列に沿って合成する、映像生成装置である。
【0009】
(7)本発明の一態様は、映像生成対象車両が映る映像データを生成する映像生成装置のコンピュータに、前記映像生成対象車両に搭載される車両搭載装置が計測した前記映像生成対象車両の走行時におけるセンサデータを計測時刻及び計測位置に関連付けて記録するセンサデータ格納ステップと、前記センサデータが特定の運転状態を示すか否かを判定するセンサデータ判定ステップと、特定の運転状態を示すと判定された前記センサデータに関連付けられた計測時刻及び計測位置に該当する映像ファイルを、映像収集装置から取得する映像取得ステップと、前記映像ファイルを使用して、前記映像生成対象車両が映る映像データを生成する映像データ生成ステップと、を実行させるためのコンピュータプログラムであって、前記映像データ生成ステップは、前記映像取得ステップで前記映像収集装置から取得した前記映像ファイルの映像の中から前記映像生成対象車両が映っている映像を抽出し、抽出した映像を時系列に沿って合成する、コンピュータプログラムである。
【0010】
(8)本発明の一態様は、映像生成対象車両に搭載される車両搭載装置と、映像収集装置と、前記映像生成対象車両が映る映像データを生成する映像生成装置と、を備える映像提供システムの映像提供方法であって、前記車両搭載装置が、前記映像生成対象車両の走行時におけるセンサデータを計測するセンサデータ計測ステップと、前記映像生成装置が、前記センサデータを計測時刻及び計測位置に関連付けて記録するセンサデータ格納ステップと、前記映像生成装置が、前記センサデータが特定の運転状態を示すか否かを判定するセンサデータ判定ステップと、前記映像生成装置が、特定の運転状態を示すと判定された前記センサデータに関連付けられた計測時刻及び計測位置に該当する映像ファイルを、前記映像収集装置から取得する映像取得ステップと、前記映像生成装置が、前記映像ファイルを使用して、前記映像生成対象車両が映る映像データを生成する映像データ生成ステップと、を含む映像提供方法であって、前記映像生成装置は、前記映像データ生成ステップにおいて、前記映像取得ステップで前記映像収集装置から取得した前記映像ファイルの映像の中から前記映像生成対象車両が映っている映像を抽出し、抽出した映像を時系列に沿って合成する、映像提供方法である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、運転状態が異常等の特定の運転状態であるときの走行時の車両が映る映像を提供することができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】一実施形態に係る映像提供システムの構成例を示すブロック図である。
【
図2】一実施形態に係る映像提供方法の手順の例を示すフローチャートである。
【
図3】一実施形態に係る取得対象映像ファイル選択方法の説明図である。
【
図4】一実施形態に係る映像データ生成方法の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態について説明する。
図1は、一実施形態に係る映像提供システムの構成例を示すブロック図である。
図1において、車両1は、映像生成対象の車両(以下、映像生成対象車両と称する)である。映像生成対象車両1は、例えば自動車である。映像生成対象車両1は、通信ネットワークを介して、映像生成装置3と通信を行う。
【0014】
映像収集装置2は、自動車等の車両や飛行体などの移動体に搭載される装置であってもよく、又は、街中や路側帯等に設置された装置であってもよい。以下の説明では、映像収集装置2として、車両に搭載されるものを例に挙げる。車両は、自動車であってもよく、又は、自転車であってもよい。映像収集装置2は、例えば、車両に搭載されるドライブレコーダであってもよい。本実施形態に係る映像提供システムは、複数の映像収集装置2を備える。それら複数の映像収集装置2はそれぞれ別個の車両に搭載されるものである。各映像収集装置2は、通信ネットワークを介して、映像生成装置3と通信を行う。
【0015】
[映像生成対象車両の車両搭載装置]
映像生成対象車両1は、センサデータ計測部101と、映像データ再生部102とを備える。
【0016】
センサデータ計測部101は、映像生成対象車両1が走行している時(映像生成対象車両1の走行時)におけるセンサデータを計測する。センサデータは、映像生成対象車両1の位置を示す位置データや、映像生成対象車両1の加速度を示す加速度データなどである。センサデータ計測部101は、計測結果のセンサデータ(位置データ及び加速度データなど)を映像生成装置3へ送信する。
【0017】
映像データ再生部102は、映像生成装置3から提供される映像データを再生する。映像生成対象車両1の運転者は、映像生成装置3から提供された映像データを映像データ再生部102によって再生することによって、当該映像データから再生された映像を見ることができる。
【0018】
センサデータ計測部101は、映像生成対象車両1に搭載された車両搭載装置に備わる。映像データ再生部102は、映像生成対象車両1に搭載された車両搭載装置に備わる。センサデータ計測部101及び映像データ再生部102は、それぞれ別個の車両搭載装置に備わってもよく、又は、同じ車両搭載装置に備わってもよい。車両搭載装置は、映像生成対象車両1に固定的に搭載されてもよく、又は、映像生成対象車両1に一時的に搭載されてもよい。例えば、車両搭載装置は、映像生成対象車両1の内部に持ち込まれたスマートフォン等の携帯通信端末装置であってもよい。
【0019】
なお、映像データ再生部102は、映像生成対象車両1に備わっていなくてもよい。映像データ再生部102は、例えば、映像生成対象車両1の運転者のスマートフォン等の携帯通信端末装置やタブレット型のコンピュータ装置(タブレットPC)や自宅のパーソナルコンピュータなどによって実現されてもよい。
【0020】
[映像収集装置]
映像収集装置2は、撮像部201と、位置計測部202と、映像ファイル格納部203と、メタ情報格納部204と、メタ情報送信部205と、ファイル検索部206と、映像ファイル送信部207とを備える。映像収集装置2は、車両に搭載されるものである。
【0021】
撮像部201は、映像収集装置2が搭載される車両(自車両)の外部を撮像する。撮像部201は、映像収集装置2が搭載される車両(自車両)の外部を撮像するように、撮像方向が設定される。撮像方向は、自車両の進行方向、自車両の進行方向の逆方向、自車両の側方などである。例えば、撮像部201は、自車両の進行方向を撮像するものであってもよい。また、撮像部201は、同時に複数の撮像方向を撮像することができるものであってもよい。例えば、撮像部201は、自車両の進行方向及び進行方向の逆方向を同時に撮像するものであってもよい。
【0022】
撮像部201は、撮像した撮像データを一時的に撮像バッファに保持し、一定の周期または一定の保持容量になったタイミングで、撮像バッファに保持する撮像データをMPEG-4等の形式でファイル化する。撮像部201は、例えば、自動車に搭載されたドライブレコーダに備えられるものであって、撮像データは当該自動車の進行方向等の周囲の状況が撮像された撮像データである。
【0023】
位置計測部202は、撮像部201の撮像時の位置(撮像位置)を計測する。位置計測部202は、例えば、ドライブレコーダがGPS(Global Positioning System)受信機を備える場合、GPSにより測定された位置を撮像位置として取得する。
【0024】
映像ファイル格納部203は、撮像部201が撮像しファイル化した映像ファイルを格納する。映像ファイル格納部203には、映像ファイルの識別情報(映像ファイルID)と、当該映像ファイルとが関連付けて格納される。
【0025】
メタ情報格納部204は、撮像部201が撮像しファイル化した映像ファイルに対応するメタ情報を、当該映像ファイルの映像ファイルIDに関連付けて格納する。映像ファイルに対応するメタ情報は、当該映像ファイルについての撮像時刻と位置計測部202の計測結果の撮像位置とを含む情報である。
【0026】
メタ情報送信部205は、自己の映像収集装置2を識別する映像収集装置識別情報(映像収集装置ID)をメタ情報に付加した映像収集装置ID付きメタ情報を、映像生成装置3へ送信する。映像収集装置ID付きメタ情報を映像生成装置3へ送信するタイミングは、一定の周期であってもよく、又は、通信ネットワークに接続したタイミングであってもよい。メタ情報送信部205は、例えば、一定の周期でLTE(Long Term Evolution)通信により映像収集装置ID付きメタ情報を送信してもよいし、無線LAN(Local Area Network)等の無線通信ネットワークに接続したタイミングで映像収集装置ID付きの複数のメタ情報を一括して送信してもよい。
【0027】
ファイル検索部206は、映像生成装置3から受信した映像ファイル要求が示す撮像時刻及び撮像位置に該当するメタ情報を、メタ情報格納部204から検索する。ファイル検索部206は、当該検索の結果のメタ情報に関連付けられた映像ファイルIDを、映像ファイル送信部207へ通知する。
【0028】
映像ファイル送信部207は、ファイル検索部206から通知された映像ファイルIDに関連付けられた映像ファイルを映像ファイル格納部203から取得し、取得した映像ファイルを映像生成装置3へ送信する。
【0029】
[映像生成装置]
映像生成装置3は、センサデータ受信部301と、センサデータ格納部302と、センサデータ判定部303と、メタ情報受信部304と、メタ情報格納部305と、映像収集装置ファイル特定部306と、映像取得部307と、映像データ生成部308と、映像データ送信部309と、を備える。映像生成装置3の各機能は、映像生成装置3が備えるCPU(Central Processing Unit:中央演算処理装置)がコンピュータプログラムを実行することにより実現される。なお、映像生成装置3として、汎用のコンピュータ装置を使用して構成してもよく、又は、専用のハードウェア装置として構成してもよい。
【0030】
センサデータ受信部301は、映像生成対象車両1のセンサデータ計測部101から送信されたセンサデータを受信する。
【0031】
センサデータ格納部302は、センサデータ受信部301が受信したセンサデータを計測時刻及び計測位置に関連付けて記録する。センサデータ格納部302は、複数の映像生成対象車両1のセンサデータを記録する場合、映像生成対象車両1の識別情報(映像生成対象車両ID)に関連付けてセンサデータを記録する。
【0032】
センサデータに関連付けられる計測位置は、当該センサデータに含まれる位置データが示す位置である。センサデータに関連付けられる計測時刻は、当該センサデータが計測された時刻に該当する時刻である。
【0033】
センサデータが計測時点で即時に映像生成対象車両1から映像生成装置3へ送信される場合、センサデータに関連付けられる計測時刻は、映像生成対象車両1のセンサデータ計測部101が当該センサデータを送信した時刻であってもよく、又は、センサデータ受信部301が当該センサデータを受信した時刻であってもよい。
【0034】
一方、センサデータが計測時点で即時には映像生成対象車両1から映像生成装置3へ送信されない場合、映像生成対象車両1のセンサデータ計測部101は、計測結果のセンサデータ及び当該センサデータの計測時刻を示す計測時刻情報を映像生成装置3へ送信し、当該計測時刻情報が示す計測時刻が当該センサデータに関連付けられる。なお、映像生成対象車両1のセンサデータ及び計測時刻情報は、記録媒体に記録されたものがオフラインで映像生成装置3に入力されてもよい。
【0035】
センサデータ判定部303は、センサデータ格納部302内のセンサデータを対象にして、センサデータが特定の運転状態を示すか否かを判定する。特定の運転状態の一例として、安全な運転とは言えない運転(以下、異常運転と称する)の状態が挙げられる。また、特定の運転状態の一例として、明らかに危険な運転であると言える運転(以下、危険運転と称する)の状態が挙げられる。また、特定の運転状態の一例として、安全な運転と言える運転(以下、安全運転と称する)の状態が挙げられる。異常運転状態や危険運転状態や安全運転状態等の特定の運転状態を示すセンサデータの条件は、予め設定される。例えば、センサデータ判定部303は、センサ種別毎に正常値の範囲を示す異常運転状態判定表を備え、異常運転状態判定表に示される正常値の範囲から外れるセンサーデータが存在する場合に、当該センサーデータが異常運転状態を示すと判定する。
【0036】
また、センサデータ判定部303は、センサーデータとして例えば加速度データにより、急減速や急加速や急ハンドルや蛇行運転等の異常運転状態又は危険運転状態に該当する加速度の範囲を示す加速度判定情報を保持し、当該加速度判定情報が示す加速度の範囲内に在るセンサーデータを、異常運転状態又は危険運転状態を示すものと判定してもよい。
【0037】
また、センサデータ判定部303は、単一計測時刻のセンサデータのみで特定の運転状態を判定するのではなく、計測時刻が連続した複数のセンサデータを使用して特定の運転状態を判定してもよい。例えば、計測時刻が連続した所定複数個のセンサデータが全て異常運転状態判定表の正常値の範囲から外れている場合に、当該センサーデータが異常運転状態を示すと判定してもよい。又は、計測時刻が連続した複数のセンサデータの平均値等の統計値によって特定の運転状態を判定してもよい。
【0038】
メタ情報受信部304は、映像収集装置2から映像収集装置ID付きメタ情報を受信する。メタ情報格納部305は、メタ情報受信部304が映像収集装置2から受信した映像収集装置ID付きメタ情報を基に、当該メタ情報を当該映像収集装置IDに関連付けて格納する。メタ情報格納部305に格納されるメタ情報は、映像収集装置2が映像ファイル格納部203に格納する映像ファイルのメタ情報であって、映像ファイルについての撮像時刻及び撮像位置を示す情報を含む情報である。
【0039】
映像収集装置ファイル特定部306は、センサデータ判定部303により特定の運転状態を示すと判定されたセンサデータにセンサデータ格納部302において関連付けられた計測時刻及び計測位置と、メタ情報格納部305内のメタ情報とに基づいて、映像ファイル取得先の映像収集装置2及び取得対象映像ファイルを特定する。具体的には、映像収集装置ファイル特定部306は、センサデータ判定部303により特定の運転状態を示すと判定されたセンサデータにセンサデータ格納部302において関連付けられた計測時刻及び計測位置を検索キーに使用して、メタ情報格納部305を検索する。映像収集装置ファイル特定部306は、当該検索結果のメタ情報と当該メタ情報に関連付けられた映像収集装置IDとをメタ情報格納部305から取得する。映像収集装置ファイル特定部306は、取得したメタ情報が示す撮像時刻及び撮像位置と当該メタ情報に関連付けられた映像収集装置IDとを映像取得部307へ通知する。
【0040】
映像取得部307は、映像収集装置ファイル特定部306から通知された撮像時刻及び撮像位置と映像収集装置IDとに基づいて、当該映像収集装置IDの映像収集装置2に対して、当該撮像時刻及び撮像位置に該当する映像ファイルを要求(映像ファイル要求)する。映像取得部307は、当該映像ファイル要求の応答として、当該撮像時刻及び撮像位置に該当する映像ファイルを当該映像収集装置IDの映像収集装置2から受信する。
【0041】
映像データ生成部308は、映像取得部307が映像収集装置2から取得した映像ファイルを使用して、映像生成対象車両1が映る映像データを生成する。映像データ送信部309は、映像データ生成部308が生成した映像生成対象車両1の映像データを当該映像生成対象車両1へ送信する。映像生成対象車両1の映像データ再生部102は、映像生成装置3から受信した当該映像データを再生する。これにより、映像生成対象車両1の運転者は、映像データ再生部102によって再生された当該映像データの映像に映る当該映像生成対象車両1の自分の運転を客観視することができる。
【0042】
次に
図2を参照して本実施形態に係る映像提供方法を説明する。
図2は、本実施形態に係る映像提供方法の手順の例を示すフローチャートである。
図2には、映像生成装置3が映像データを生成する際の手順の例が示される。ここでの説明においては、映像生成装置3のセンサデータ格納部302には、既に、映像生成対象車両1のセンサデータが計測時刻及び計測位置に関連付けて記録されている。
【0043】
(ステップS1) センサデータ判定部303は、センサデータ格納部302内のセンサデータを順次対象にして、センサデータが特定の運転状態を示すか否かを判定する。
【0044】
(ステップS2) ステップS1の判定の結果、センサデータが特定の運転状態を示す場合にはステップS3に進み、そうではない場合にはステップS1に戻る。
【0045】
(ステップS3) 映像収集装置ファイル特定部306は、センサデータ判定部303により特定の運転状態を示すと判定されたセンサデータにセンサデータ格納部302において関連付けられた計測時刻及び計測位置と、メタ情報格納部305内のメタ情報とに基づいて、映像ファイル取得先の映像収集装置2及び取得対象映像ファイルを特定する。
【0046】
(ステップS4) 映像取得部307は、映像収集装置ファイル特定部306により特定された取得対象映像ファイルを映像ファイル取得先の映像収集装置2から取得する。
【0047】
(ステップS5) 映像データ生成部308は、映像取得部307が映像収集装置2から取得した映像ファイルを使用して、映像生成対象車両1が映る映像データを生成する。
【0048】
[取得対象映像ファイル選択方法]
映像収集装置ファイル特定部306は、センサデータ判定部303により特定の運転状態を示すと判定されたセンサデータにセンサデータ格納部302において関連付けられた計測時刻及び計測位置を検索キーに使用して、メタ情報格納部305を検索する。この検索の結果、複数の映像収集装置2のメタ情報が検索されることがあり得る。ここでは、その検索された複数の映像収集装置2のメタ情報に対応する複数の映像ファイルの中から取得対象映像ファイルを選択する方法の例1,例2を以下に説明する。
【0049】
(取得対象映像ファイル選択方法の例1)
検索結果の映像ファイル(以下、検索映像ファイルと称する)のメタ情報が示す撮像位置が検索キーの計測位置に最も近い検索映像ファイルを選択する。又は、検索映像ファイルのメタ情報が示す撮像位置が検索キーの計測位置から一定の距離以内である全ての検索映像ファイルを選択する。又は、検索映像ファイルのメタ情報が示す撮像位置が検索キーの計測位置から一定の距離以内である検索映像ファイルの中から、当該撮像位置が当該計測位置に近い順に所定数の検索映像ファイルを選択する。
【0050】
(取得対象映像ファイル選択方法の例2)
検索映像ファイルのメタ情報が示す撮像位置と検索キーの計測位置と道路の車線情報とに基づいて、計測位置と撮像位置とが同一車線上に存在する検索映像ファイルを優先して選択する。道路の車線情報は、同一車線の位置範囲を示す情報である。道路の車線情報によって、撮像位置が計測位置と同一車線上に存在するか否かを判別することができる。
【0051】
図3は、取得対象映像ファイル選択方法の例2の説明図である。
図3において、各車両21,22には、映像収集装置2が搭載されている。各車両21,22と映像収集装置2との間の距離はほぼ等しい。この場合、映像生成対象車両1と異なる車線を走行する車両22により撮像された映像よりも、映像生成対象車両1と同じ車線を走行する車両21により撮像された映像の方が、映像生成対象車両1の運転状態を認識しやすいと考えられる。このため、映像生成対象車両1と同じ車線を走行する車両21に搭載された映像収集装置2の検索映像ファイルを優先して選択することは好ましい。
【0052】
なお、上述した取得対象映像ファイル選択方法の例1,例2は、それぞれ単独で使用されてもよく、又は、組み合わせて使用されてもよい。
【0053】
[映像データ生成方法]
映像データ生成部308は、映像取得部307が映像収集装置2から取得した映像ファイルを使用して、映像生成対象車両1が映る映像データを生成する。この映像データ生成方法の例を以下に説明する。
【0054】
(映像データ生成方法の例1)
取得結果の映像ファイル(以下、取得映像ファイルと称する)の映像の中から、映像生成対象車両1が映っている映像を抽出し、抽出した映像を時系列に沿って合成する。映像生成対象車両1の特定は、映像生成対象車両1の識別情報を画像認識することにより行う。例えば、映像に映るナンバープレートを画像認識することによって、映像生成対象車両1のナンバープレートが映っている映像を抽出してもよい。また、ナンバープレートの画像認識によって識別された映像生成対象車両1を映像上で追従し、映像生成対象車両1が映っている映像を抽出してもよい。
【0055】
なお、道路が渋滞している時などには、映像生成対象車両1のナンバープレート等の識別情報が撮像されない可能性がある。このため、映像生成対象車両1の前又は後を走行する車両のナンバープレート等の識別情報に基づいて、映像データの生成に使用する映像を抽出してもよい。映像生成対象車両1の前又は後を走行する車両のナンバープレート等の識別情報については、映像生成対象車両1の乗車者が記録して映像生成装置3へ通知する。
【0056】
(映像データ生成方法の例2)
複数の取得映像ファイルの中から、映像生成対象車両1を後方から撮像したものを選択し、選択した取得映像ファイルを使用して映像生成対象車両1が映る映像データを生成する。映像生成対象車両1を後方から撮像したものであるか否かの判別は、取得映像ファイルの映像に映る車両を画像認識することにより行う。
【0057】
なお、上述した映像データ生成方法の例1,例2は、それぞれ単独で使用されてもよく、又は、組み合わせて使用されてもよい。
【0058】
図4は、映像データ生成方法の例1,例2の説明図である。
図4において、各車両23,24には、映像収集装置2が搭載されている。しかし、映像生成対象車両1の直後を車両14が走行しているために、各車両23,24からは映像生成対象車両1のナンバープレートが撮像されない。一方、車両14のナンバープレートは、後方を走行する車両23,24から撮像され得る。このため、映像生成対象車両1の乗車者は、車両14のナンバープレートに記載されたナンバーを記録して映像生成装置3へ通知する。これにより、車両14が映る映像を抽出して映像生成対象車両1が映る映像データを生成することができる。
【0059】
なお、
図4に示されるように、映像生成対象車両1の後方を十分な車間距離を取らずに車両14が走行している時には、映像生成対象車両1の運転者が緊張して運転者の脈拍等の生体データが安全な運転に好ましい正常値の範囲から外れる可能性がある。このため、センサデータ計測部101が運転者の生体データとして例えば運転者の脈拍を計測し、計測結果の脈拍データをセンサーデータに含めて映像生成装置3へ送信してもよい。映像収集装置2のセンサデータ判定部303は、センサーデータに含まれる脈拍データが例えば異常運転状態判定表の正常値の範囲から外れている場合に、当該センサーデータが異常運転状態を示すと判定する。
【0060】
本実施形態によれば、運転状態が異常等の特定の運転状態であるときの走行時の映像生成対象車両1が映る映像を提供することができる。これにより、映像生成対象車両1の運転者に当該映像を見せることによって、当該運転者に自己の運転を客観視させることができるので、運転者自身に対してそのような運転を行った自覚を持たせて、安全な運転を行うように運転者の更生を行うことに寄与することができる。また、身体的に運転の適性が失われてきた高齢者などに自己の運転を客観視させることによって、自己の運転能力の衰えを自覚させることに寄与することができる。
【0061】
また、安全運転状態であるときの走行時の映像と異常運転状態又は危険運転状態であるときの走行時の映像とを映像生成対象車両1の運転者に比較して見せることによって、当該運転者に自己の運転の良し悪しを認識させることに寄与することができる。例えば、同一画面上において、安全運転状態であるときの走行時の映像と異常運転状態又は危険運転状態であるときの走行時の映像とを表示領域を分けて同時に表示させることにより、映像生成対象車両1の運転者に自己の運転の良し悪しを客観的に認識させることができる。
【0062】
また、近年、撮像機能を有するドライブレコーダが普及し、一般の多数の車両が走行時の自車両の外部をドライブレコーダで撮像して記録するようになってきている。本実施形態によれば、それらのドライブレコーダを映像収集装置として利用することにより、各ドライブレコーダに記録された映像を活用することができる。
【0063】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【0064】
上述した実施形態では、映像収集装置2として車両に搭載されるものを例に挙げて説明したが、映像収集装置2は、車両以外の例えば飛行体などの移動体に搭載されるものであってもよく、又は、街中や路側帯等に設置されたものであってもよい。
【0065】
また、上述した各装置の機能を実現するためのコンピュータプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行するようにしてもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものであってもよい。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、フラッシュメモリ等の書き込み可能な不揮発性メモリ、DVD(Digital Versatile Disc)等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。
【0066】
さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory))のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【符号の説明】
【0067】
1…映像生成対象車両、2…映像収集装置、3…映像生成装置、101…センサデータ計測部、102…映像データ再生部、201…撮像部、202…位置計測部、203…映像ファイル格納部、204…メタ情報格納部、205…メタ情報送信部、206…ファイル検索部、207…映像ファイル送信部、301…センサデータ受信部、302…センサデータ格納部、303…センサデータ判定部、304…メタ情報受信部、305…メタ情報格納部、306…映像収集装置ファイル特定部、307…映像取得部、308…映像データ生成部、309…映像データ送信部