(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-02
(45)【発行日】2022-12-12
(54)【発明の名称】配線用遮断器
(51)【国際特許分類】
H01H 73/20 20060101AFI20221205BHJP
H01H 71/08 20060101ALI20221205BHJP
H01H 73/02 20060101ALI20221205BHJP
【FI】
H01H73/20 B
H01H71/08
H01H73/02 B
(21)【出願番号】P 2019077317
(22)【出願日】2019-04-15
【審査請求日】2022-02-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000124591
【氏名又は名称】河村電器産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078721
【氏名又は名称】石田 喜樹
(72)【発明者】
【氏名】柴田 徹郎
【審査官】内田 勝久
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-181806(JP,A)
【文献】特開2007-012594(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0136657(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 69/00 - 69/01
H01H 71/00 - 83/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体ケースの上面に電路を開閉操作するハンドルが備えられ、前記本体ケースの後部に電源側端子が設けられている一方、前記本体ケースの前部に、端子金具が前記本体ケース内の収納空間に収納されているとともに、前記収納空間が前記本体ケースの前面に開口する端子孔を介して前記本体ケース外に連通しており、前記端子孔から負荷配線を挿入することで前記負荷配線と前記端子金具とが接続される速結端子で構成された負荷側端子が設けられており、単相三線式電路に使用可能とされた配線用遮断器であって、
前記本体ケースの前面に、前記端子孔が上下方向へ並べて配置されているとともに、前記本体ケースの側面に、前記本体ケースの前面と平行な方向へ延びる案内溝が刻設され、前記案内溝により、前記本体ケース内において前記端子孔が内外方向で分断されている一方、
前記案内溝内へ差し込み可能な板状の本体、前記案内溝から前記本体ケースの前面までの距離だけ前記本体から離して設けられた摘まみ、及び前記本体と前記摘まみとを連結する連結部を備えたカバー部材が、前記本体を前記案内溝内へ差し込み、且つ、前記摘まみを前記本体ケースの前面上に位置させた状態で、前記案内溝に沿ってスライド可能に設けられており、
前記カバー部材をスライドさせ、前記本体を前記案内溝内における前記端子孔の分断箇所に位置させることによって、前記端子孔のうちの何れか1つを選択的に閉塞可能であることを特徴とする配線用遮断器。
【請求項2】
前記本体ケースの前面に、絶縁抵抗測定試験を行うための計器の測定端子を差し込み可能な差込孔が、各前記速結端子毎に対応して前記端子孔の近傍に開設されているとともに、前記案内溝により、前記本体ケース内において前記差込孔が内外方向で分断されている一方、
前記本体が、前記端子孔の分断箇所に位置させた際、当該端子孔に対応する前記差込孔の分断箇所にも位置し得る大きさとされており、
前記本体により前記端子孔と該端子孔に対応する前記差込孔とを同時に閉塞可能であることを特徴とする請求項1に記載の配線用遮断器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえば分電盤内等に設置される配線用遮断器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、単相三線式電路に使用される配線用遮断器としては、本体ケースの前面に複数の速結端子で構成される負荷側端子が、後面に電源側端子が夫々配置されているとともに、本体ケースの前面において、速結端子が上下方向へ一列に並べて配列された薄型のものが考案されている。そして、そのような配線用遮断器では、誤結線の防止を図るべく、使用しない速結端子を覆うカバー部材を設けた方が望ましい。そこで、たとえば特許文献1に記載の発明では、本体ケースの前面に、速結端子の並列方向へ沿って延びる支持壁を、速結端子の左右両側に夫々設けるとともに、当該支持壁間に速結端子を被覆/露出させるためのカバー部材を取り付け、カバー部材を支持壁に沿ってスライドさせることにより、所望の速結端子を被覆するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、本体ケースの前面に、速結端子の並列方向へ沿って延びる一対の支持壁を設けるとなると、本体ケースの前面上にカバー部材をスライドさせるための構造を設けると、たとえば速結端子への負荷配線の挿入時に支持壁が邪魔になる等の問題が生じるおそれがある。
【0005】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みなされたものであって、本体ケースの前面上にカバー部材をスライドさせるための構造を設ける必要のない配線用遮断器を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明のうち請求項1に記載の発明は、本体ケースの上面に電路を開閉操作するハンドルが備えられ、前記本体ケースの後部に電源側端子が設けられている一方、前記本体ケースの前部に、端子金具が前記本体ケース内の収納空間に収納されているとともに、前記収納空間が前記本体ケースの前面に開口する端子孔を介して前記本体ケース外に連通しており、前記端子孔から負荷配線を挿入することで前記負荷配線と前記端子金具とが接続される速結端子で構成された負荷側端子が設けられており、単相三線式電路に使用可能とされた配線用遮断器であって、前記本体ケースの前面に、前記端子孔が上下方向へ並べて配置されているとともに、前記本体ケースの側面に、前記本体ケースの前面と平行な方向へ延びる案内溝が刻設され、前記案内溝により、前記本体ケース内において前記端子孔が内外方向で分断されている一方、前記案内溝内へ差し込み可能な板状の本体、前記案内溝から前記本体ケースの前面までの距離だけ前記本体から離して設けられた摘まみ、及び前記本体と前記摘まみとを連結する連結部を備えたカバー部材が、前記本体を前記案内溝内へ差し込み、且つ、前記摘まみを前記本体ケースの前面上に位置させた状態で、前記案内溝に沿ってスライド可能に設けられており、前記カバー部材をスライドさせ、前記本体を前記案内溝内における前記端子孔の分断箇所に位置させることによって、前記端子孔のうちの何れか1つを選択的に閉塞可能であることを特徴とする。
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記本体ケースの前面に、絶縁抵抗測定試験を行うための計器の測定端子を差し込み可能な差込孔が、各前記速結端子毎に対応して前記端子孔の近傍に開設されているとともに、前記案内溝により、前記本体ケース内において前記差込孔が内外方向で分断されている一方、前記本体が、前記端子孔の分断箇所に位置させた際、当該端子孔に対応する前記差込孔の分断箇所にも位置し得る大きさとされており、前記本体により前記端子孔と該端子孔に対応する前記差込孔とを同時に閉塞可能であることを特徴とする。
なお、請求項1における「前記端子孔が上下方向へ並べて配置されている」とは鉛直方向に並べて配置することに限られない。たとえば本体ケースの前面が傾斜面である場合には、傾斜方向に沿った上下方向へ並べるとしても何ら問題はない。また、上下方向へ並べるにあたっては、平面視一直線上に並べることに限られず、たとえば本体ケースの前面上で左から徐々に右へというような斜め方向へ並べたり、中央の端子孔のみ右側にずらして並べたりしてもよい。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、本体ケースの側面に刻設された案内溝に沿ってカバー部材がスライドするため、本体ケースの前面上に支持壁等のスライド構造を設ける必要がない。したがって、従来よりも本体ケースの前面上の構造を簡素化することができ、端子孔への負荷配線の挿入等を容易に行うことができる。さらに、端子孔を開閉するカバー部材の本体が、本体ケース内に位置しているため、本体ケースの前面上にカバー部材の本体を設けたものと比べると、カバー部材の本体ケースの前側への突出量を抑えることができ、配線用遮断器の小型化を図ることができる。
また、請求項2に記載の発明によれば、カバー部材の本体を、端子孔の分断箇所に位置させた際、当該端子孔に対応する差込孔の分断箇所にも位置し得る大きさとし、本体により端子孔と該端子孔に対応する差込孔とを同時に閉塞可能としている。したがって、1つのカバー部材で端子孔及び差込孔を閉塞することができるため、従来よりも端子孔及び差込孔の被覆/露出に係る構造を簡易化することができ、配線用遮断器の更なる小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】200Vの出力が得られる状態にある配線用遮断器を示した斜視説明図である。
【
図2】
図1と同状態にある配線用遮断器を側方から示した説明図である。
【
図4】
図2中のA-A線断面を示した説明図である。
【
図5】本体ケースの前側の内部を示した説明図である。
【
図6】100Vの出力が得られる状態にある配線用遮断器を示した斜視説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態となる配線用遮断器について、図面にもとづき詳細に説明する。
図1は、200Vの出力が得られる状態にある配線用遮断器1を示した斜視説明図である。
図2は、
図1と同状態にある配線用遮断器1を側方から示した説明図である。
図3は、カバー部材10を示した説明図である。
図4は、
図2中のA-A線断面を示した説明図である。
図5は、本体ケース4の前側の内部を示した説明図である。
図6は、100Vの出力が得られる状態にある配線用遮断器1を示した斜視説明図である。なお、負荷側端子3側を配線用遮断器1の前側として説明する。
【0010】
単相三線式電路に使用される配線用遮断器1は、合成樹脂製の左ケース4aと右ケース4bとを組み立ててなる本体ケース4を有しており、本体ケース4の上面には、ハンドル7が前後方向へ回動操作可能に設けられている。そして、ハンドル7を回動操作することで、本体ケース4内に組み込まれている図示しない遮断機構が作動し、後述する電源側端子2と負荷側端子3とを電気的につなぐ電路が接続/開放されるようになっている。なお、本体ケース4内には、図示しない過電流検知機構も設けられており、過電流を検知すると上記遮断機構が開動作するようになっている。
【0011】
また、配線用遮断器1の後面には、プラグイン方式の端子P1、P2、P3を上下方向へ一列に備えてなる電源側端子2が配置されている。各端子P1~P3は、本体ケース4を左右方向に貫通したコ字状に切り欠いて形成されており、分電盤内等に配設される電源ラインである導体バー(図示せず)や該導体バーから分岐された分岐バー(図示せず)を挿入接続可能となっている。
【0012】
一方、配線用遮断器1の前面は、前側へ向かって下降傾斜する傾斜面に形成されており、該傾斜面には、負荷配線(図示せず)を挿入接続可能な3つの端子L1、L2、L3を傾斜方向へ一列に備えてなる負荷側端子3が配置されている。各端子L1~L3は、本体ケース4の前面に開口しており、本体ケース4前面の傾斜方向に直交する方向へ負荷配線を挿入可能な端子孔5と、本体ケース4における端子孔5の内側となる位置に設けられ、端子孔5を介して本体ケース4外に連通する収納空間21と、該収納空間21内に設置され、端子孔5を介して挿入された負荷配線に接触可能とされた端子金具8とを有しており、所謂速結端子として機能するようになっている。また、各端子L1~L3では、端子孔5の上側に隣接して、絶縁抵抗測定試験を行うための計器の測定端子を差し込み可能な差込孔6が開設されている。各差込孔6は、測定端子の差し込み方向が上下方向となるように、すなわち負荷配線の挿入方向とは異なる方向となるように開設されており、端子金具8が収納される収納空間21に連通している。さらに、収納空間21の上部には、差込孔6の下側に隣接した端子孔5へ差し込まれる負荷配線に接触可能とされた測定用金具9が配置されている。該測定用金具9の前端部は差込孔6内に露出しており、差込孔6に差し込まれた測定端子の先端が接触可能となっている。
【0013】
さらに、配線用遮断器1の前面には、端子L1~L3のうち使用しない端子孔5及び差込孔6を閉塞して、端子孔5への負荷配線の挿入や差込孔6への測定端子の差し込みを阻止するカバー部材10と、閉塞する端子孔5及び差込孔6を変更する際にカバー部材10のスライドを案内するための案内部とが設けられている。
【0014】
ここで、本発明の要部となるカバー部材10及び案内部について説明する。
まずカバー部材10について説明すると、カバー部材10は、板状の本体11と、本体11から前方へ所定の距離を隔てた位置にある摘まみ12と、本体11及び摘まみ12を連結する連結部13とを備えた合成樹脂製の部材である。本体11は、上下方向に長いカバー部11aと、カバー部11aの上下方向で中央から左側へ延びる基部11bとを有する。カバー部11aは、左右幅が端子孔5の直径と略同じで、上下長さが一組の端子孔5及び差込孔6を同時に閉塞可能な長さとされた正面視略矩形の板体であり、カバー部11aの左側縁で、基部11bの上下両側には、左側へ突出する弾性片14が夫々設けられている。各弾性片14は、カバー部11aに対して左側へ向かって徐々に後方へ傾斜する傾斜姿勢とされており、後述する係止凹部16に係止することで、カバー部材10を本体ケース4の前面側で保持する保持部として機能するようになっている。摘まみ12は、基部12bと、基部12bから前方へ突設された摘まみ部12aとを有している。そして、該摘まみ12は、基部11b、12b同士を連結する連結部13を介して、後述する案内溝15から本体ケース4の前面までの距離と同じ距離だけ、本体11から前方へ離されて設けられている。
【0015】
一方、案内部は、本体ケース4の左側面に刻設され、本体ケース4の前面と平行な傾斜方向へ延びる案内溝15と、案内溝15内に設けられた係止凹部16とを有してなる。案内溝15は、本体ケース4の左側面(左ケース4aの表面)に開口する溝で、深さ(左右方向での深さ)はカバー部材10の本体11の左右長さ(カバー部11aと基部11bとを合わせた左右長さ)と略同じとなっており、右ケース4b内まで、詳しくは本体ケース4の前面に開設された端子孔5の右端よりも更に右側まで達している。また、案内溝15の厚み(本体ケース4の前面に直交する方向での厚み)は、本体11の厚みと略同じとなっている。さらに、案内溝15は、本体ケース4の前面に直交する方向において、本体ケース4の前面から連結部13の長さと同じ長さだけ本体ケース4内側に設けられており、各端子孔5を前後に、各差込孔6を上下に夫々分断している(すなわち、端子孔5、差込孔6共に、案内溝15によって本体ケース4の内外方向で分断されている)。加えて、案内溝15の下面には、弾性片14、14の左右長さと略同じ左右幅にわたって下方へ凹ませてなる係止凹部16が、案内溝15が延びる傾斜方向に延設されている。なお、左ケース4aの表面で、案内溝15よりも前側となる箇所は、案内溝15よりも後側となる箇所に比べて連結部13の厚みと略同じだけ凹んでおり、後述するようにしてカバー部材10を案内部に取り付けた際、カバー部材10の連結部13における表面と左ケース4aの表面とが略面一となるように構成されている。
【0016】
そして、上記カバー部材10を案内部に取り付けるにあたっては、弾性片14、14が係止凹部16内に位置し、且つ、摘まみ12が本体ケース4の前面上に位置するまで、案内溝15の開口からカバー部材10の本体11(特にカバー部11a)を案内溝15内へ押し込めば良い。該押し込みに伴い、弾性片14、14は、本体11と略平行な姿勢へと姿勢を変えるものの、係止凹部16への到達をもって傾斜姿勢に復帰する。すると、弾性片14、14の先端と、案内溝15と係止凹部16との段差とが対向することで、本体11の案内溝15からの抜け止めがなされ、カバー部材10の案内部への取り付けが完了となる。
【0017】
また、上述の如くして取り付けられているカバー部材10を傾斜方向で上側若しくは下側へ操作すると、弾性片14、14が係止凹部16内に位置したまま、本体11が案内溝15内を上側若しくは下側へスライドすることになり、カバー部材10の本体ケース4の前面側における位置を任意に変更することができる。
【0018】
上述したような配線用遮断器1では、次のようにして出力電圧の切り換えがなされる。まず電源側端子2では、上部の端子P1が中性接続端子、下部二端子P2、P3が電圧端子とされている。一方、負荷側端子3では、中央の端子L2が中性線接続端子とされており、負荷側端子3の端子L1-L3間に負荷配線を接続した場合には、200Vの出力を得ることができるようになっている。そこで、200Vの出力を得たい場合には、カバー部材10の位置を、摘まみ12が端子L2の左側にあるような位置とすればよい(
図1)。すると、端子L2に対応する端子孔5及び差込孔6内にカバー部材10のカバー部11aが位置して、端子孔5及び差込孔6が閉塞される。したがって、端子L2に関して、負荷配線の端子孔5への挿入や測定器具の差込孔6への差し込みを防ぐことができる。
【0019】
一方、負荷側端子3の端子L1-L2、或いは端子L2-L3に負荷配線を接続すると100Vの出力を得ることができるようになっている。そこで、100Vの出力を得たい場合には、たとえばカバー部材10の位置を、摘まみ12が端子L3の左側にあるような位置とすればよい(
図6)。したがって、たとえば
図1に示すような位置にカバー部材10があったとすると、当該カバー部材10を傾斜方向下側へ移動させる。そして、端子L3に対応する端子孔5及び差込孔6内にカバー部材10のカバー部11aを位置させ、端子孔5及び差込孔6を閉塞すればよい。
【0020】
以上のような構成を有する配線用遮断器1によれば、本体ケース4の左側面に、本体ケース4の前面と平行な傾斜方向へ延びる案内溝15を刻設するとともに、案内溝15により、本体ケース4内において各端子孔5を前後で分断した。一方、案内溝15内へ差し込み可能な板状の本体11、案内溝15から本体ケース4の前面までの距離だけ本体11から離して設けられた摘まみ12、及び本体11と摘まみ12とを連結する連結部13を備えたカバー部材10を設け、当該カバー部材10を、本体11を案内溝15内へ差し込み、且つ、摘まみ12を本体ケース4の前面上に位置させた状態で、案内溝15に沿ってスライド可能に取り付けた。そして、カバー部材10をスライドさせ、本体11を案内溝15内における端子孔5の分断箇所に位置させることによって、各端子L1~L3毎に対応して設けられた3つある端子孔5、5・・のうちの何れか1つを選択的に閉塞可能としている。したがって、従来よりも本体ケース4の前面上の構造を簡素化することができ、端子孔5への負荷配線の挿入等を容易に行うことができる。さらに、端子孔5、5・・を開閉するカバー部材10の本体11が、本体ケース4内に位置しているため、本体ケース4の前面上にカバー部材10の本体11を設けたものと比べると、カバー部材10の本体ケース4の前側への突出量を抑えることができ、配線用遮断器1の小型化を図ることができる。
【0021】
また、カバー部材10の本体11を、端子孔5の分断箇所に位置させた際、当該端子孔5に対応する差込孔6の分断箇所にも位置し得る大きさとし、本体11により端子孔5と該端子孔5に対応する差込孔6とを同時に閉塞可能としている。したがって、1つのカバー部材10で端子孔5及び差込孔6を閉塞することができるため、従来よりも端子孔5及び差込孔6の被覆/露出に係る構造を簡易化することができ、配線用遮断器1の更なる小型化を図ることができる。
【0022】
さらに、本体11に、該本体11に対して所定方向へ傾斜する弾性片14、14を設ける一方、案内溝15内に傾斜姿勢にある弾性片14、14が入り込み可能な係止凹部16を設けており、案内溝15と係止凹部16との段差とが対向することで、本体11の案内溝15からの抜け止めがなされるようにした。したがって、カバー部材10の不用意な脱落を防止することができるし、当該脱落防止に係る構造についても本体ケース4内に設けられているため、本体ケース4の前面上の構造の一層の簡素化を図ることができるのは勿論、配線用遮断器1の一層の小型化を図ることができる。
【0023】
なお、本発明の配線用遮断器に係る構成は、上記実施形態の態様に何ら限定されるものではなく、配線用遮断器の全体的な構造は勿論、カバー部材やカバー部材の位置変更に係る構成等についても、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、必要に応じて適宜変更することができる。
【0024】
たとえば、上記実施形態では、本体ケースの前面を傾斜面としているが、垂直面としてもよく、そのような垂直面に、たとえば後方へ向けて負荷配線を挿入するような端子孔を有する負荷側端子を設けることも可能である。
また、たとえば本体ケースの前面で端子孔を上下方向へ並べるにあたり、上記実施形態では平面視一直線上に並べているが、たとえば本体ケースの前面上で左から徐々に右へというような斜め方向へ端子孔を並べたり、中央の端子孔のみ右側にずらして並べたりしてもよい。そうすることで、本体ケースの左右幅方向の厚みが増すことになるが、負荷側端子の視認性の向上を図ることができる。
【0025】
さらに、上記実施形態では、差込孔への測定端子の差し込み方向が、端子孔への負荷配線の挿入方向と異なるように差込孔を開設しているが、測定端子の差し込み方向と負荷配線の挿入方向とを同方向としてもよい。
さらにまた、上記実施形態では、カバー部材により端子孔と差込孔との両方を開閉するように構成しているが、少なくとも端子孔を開閉できればよく、差込孔については別のカバー部材で開閉するようにしてもよい。
【0026】
またさらに、上記実施形態では、本体ケースの左側面に案内溝を刻設しているが、言うまでもなく本体ケースの右側面に案内溝を刻設することは可能であるし、カバー部材の案内溝からの抜け止めに係る構造についても適宜設計変更可能である。
加えて、上記実施形態では、端子P1、L2を中性極としているが、どの端子を中性極とするかは適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0027】
1・・配線用遮断器、2・・電源側端子、3・・負荷側端子、4・・本体ケース、5・・端子孔、6・・差込孔、7・・ハンドル、10・・カバー部材、11・・本体、11a・・カバー部、11b・・基部、12・・摘まみ、12a・・摘まみ部、12b・・基部、13・・連結部、14・・弾性片、15・・案内溝、16・・係止凹部、21・・収納空間。