(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-02
(45)【発行日】2022-12-12
(54)【発明の名称】液晶表示装置
(51)【国際特許分類】
G02F 1/1335 20060101AFI20221205BHJP
G02B 5/30 20060101ALI20221205BHJP
【FI】
G02F1/1335 505
G02F1/1335 515
G02B5/30
(21)【出願番号】P 2019087330
(22)【出願日】2019-05-07
【審査請求日】2021-12-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000004086
【氏名又は名称】日本化薬株式会社
(72)【発明者】
【氏名】矢田 竜也
【審査官】横井 亜矢子
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-024065(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0081152(US,A1)
【文献】特開2018-180195(JP,A)
【文献】特開2011-112727(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/1335,1/133
G02B 5/30
G09G 3/18,3/36
G09F 9/30-9/46
Japio-GPG/FX
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無彩色偏光板と、前記無彩色偏光板を透過した光を前記無彩色偏光板に向けて反射する複数の画素と、を備え、
各前記画素は、
透過する光の波長が赤色の波長である赤色フィルタを有する赤副画素と、
透過する光の波長が赤色寄りの緑色の波長である赤緑色フィルタを有する赤緑副画素と、
透過する光の波長が青色寄りの緑色の波長である青緑色フィルタを有する青緑副画素と、
透過する光の波長が青色の波長である青色フィルタを有する青副画素と、を備え、
前記赤副画素は、前記赤色フィルタを通した反射光を前記無彩色偏光板に向け、
前記赤緑副画素は、前記赤緑色フィルタを通した反射光を前記無彩色偏光板に向け、
前記青緑副画素は、前記青緑色フィルタを通した反射光を前記無彩色偏光板に向け、
前記青副画素は、前記青色フィルタを通した反射光を前記無彩色偏光板に向け、
前記赤副画素および前記青副画素のいずれの面積も、前記赤緑副画素および前記青緑副画素のいずれの面積よりも大きく、
前記赤緑副画素の面積および前記青緑副画素の面積を合わせた面積は、前記赤副画素および前記青副画素のいずれの面積よりも大きく、
前記青副画素の面積に対する前記赤副画素の面積の比率が、0.9以上、1.1以下であり、
前記青緑副画素の面積に対する前記赤緑副画素の面積の比率が、0.9以上、1.1以下であり、
前記赤副画素の面積が前記青副画素の面積以上である場合には、前記赤緑副画素の面積が前記青緑副画素の面積以下であるという条件が成立し、
前記赤副画素の面積が前記青副画素の面積未満である場合には、前記赤緑副画素の面積が前記青緑副画素の面積よりも大きいという条件が成立する、ことを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の液晶表示装置において、
前記赤副画素の面積と前記青副画素の面積とが等しく、
前記赤緑副画素の面積と前記青緑副画素の面積とが等しいことを特徴とする液晶表示装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の液晶表示装置において、
前記赤副画素、前記赤緑副画素、前記青緑副画素および前記青副画素のうちの3つの副画素の色が混合され、各色相を表すことを特徴とする液晶表示装置。
【請求項4】
無彩色偏光板と、前記無彩色偏光板を透過した光を前記無彩色偏光板に向けて反射する複数の画素と、を備え、
各前記画素は、
透過する光の波長が赤色の波長である赤色フィルタを有する赤副画素と、
透過する光の波長が緑色の波長である緑色フィルタを有する緑副画素と、
透過する光の波長が青色の波長である青色フィルタを有する青副画素と、を備え、
前記赤副画素は、反射光を前記赤色フィルタを通して前記無彩色偏光板に向け、
前記緑副画素は、反射光を前記緑色フィルタを通して前記無彩色偏光板に向け、
前記青副画素は、反射光を前記青色フィルタを通して前記無彩色偏光板に向け、
前記緑副画素の面積に対する前記赤副画素の面積の比率を、0.95以上、1.05以下とし、前記青副画素の面積に対する前記緑副画素の面積の比率、および前記青副画素の面積に対する前記赤副画素の面積の比率を、
1.0より大きいとしたことを特徴とする液晶表
示装置。
【請求項5】
請求項4に記載の液晶表示装置において、
各前記画素は、
赤色、緑色および青色のいずれの波長の光も透過する白色フィルタを有する白副画素を、さらに備え、
前記白副画素は、反射光を前記白色フィルタを通して前記無彩色偏光板に向けることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項6】
請求項
5に記載の液晶表示装置において、
前記赤副画素および前記緑副画素のいずれの面積も、前記青副画素の面積よりも大きいことを特徴とする液晶表示装置。
【請求項7】
請求項1から請求項
6のいずれか1項に記載の液晶表示装置において、
前記画素に対する画素データに基づいて、前記液晶表示装置に入力される入力画素データを求める演算部を備え、
前記演算部は、
前記画素データが示す彩度が彩度閾値を超え、かつ、前記画素データが示す明度が明度閾値以下であるときは、明度が大きくなるように前記画素データを変換して前記入力画素データを求め、
前記画素データが示す彩度が前記彩度閾値を超え、かつ、前記画素データが示す明度が前記明度閾値を超えるときは、彩度が小さくなるように前記画素データを変換して前記入力画素データを求めることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項8】
請求項
7に記載の液晶表示装置において、
前記演算部は、
前記液晶表示装置の置かれた光学的環境に応じて、前記彩度閾値および前記明度閾値のうち少なくとも一方を設定することを特徴とする液晶表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置に関し、特に、無彩色偏光板を備える液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
スマートフォン、パーソナルコンピュータ、ディジタルサイネージ等には、液晶表示装置が用いられている。液晶表示装置には、透過型液晶表示装置および反射型液晶表示装置がある。透過型液晶表示装置では、後方に設けられたバックライトから前方の画素に向けて光が放射され、画面が明るく表示される。反射型液晶表示装置では、前面から入射した光が画素で反射することで画面が明るく表示される。屋外で画像表示をする場合、透過型液晶表示装置では、バックライトの輝度を高めて視認性を向上させる必要があるため、消費電力が大きくなってしまうことがある。一方、反射型液晶表示装置では画像表示に外光が用いられるため、屋外の使用では透過型液晶表示装置に比べて消費電力が抑制される。そのため、屋外に設置されるディジタルサイネージには、反射型液晶表示装置が用いられたものがある。
【0003】
一般に、液晶表示装置には偏光板が用いられる。反射型液晶表示装置では、前面から入射した光は、偏光板を透過して偏光面が揃えられた上で各画素に到達し反射する。各画素で光が反射する際には、表示させる画像に応じて液晶によって偏光面が調整される。偏光板は、特定の方向に偏波した光を透過するため、複数の画素で反射し、偏光面が調整され、偏光板を透過した光が画像を形成する。
【0004】
また、各画素には、異なる色(波長)の光を透過する複数のカラーフィルタが設けられており、各画素は複数の色を発する複数の副画素から構成されている。複数のカラーフィルタのそれぞれを透過する光の強度を調整することで色の混合割合が調整され、各画素から表示画像に応じた色の光が発せられる。
【0005】
以下の特許文献1には、本願発明に関連する技術として、反射型液晶表示装置のカラーフィルタに関する記載がある。また、異なる色を発する複数の副画素の面積に関する記載がある。特許文献2および3には、後述する無彩色偏光板に関する記載がある。特許文献4には、赤色、緑色および青色の画素に加えて白色の画素を用いた表示装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2018-189945号公報
【文献】特開2018-54921号公報
【文献】特開2017-72823号公報
【文献】特開平04-130395号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
液晶表示装置に用いられる偏光板としては、特許文献1に記載されているようなヨウ素系偏光板がある。ヨウ素系偏光板は、ポリビニルアルコールフィルムにヨウ素化合物を吸着させたものである。ヨウ素系偏光板には、短波長側(青色側)の光の方が長波長側(赤色側)の光よりも透過し難いという性質がある。そのため、ヨウ素系偏光板を用いた液晶表示装置では、黄色味を帯びた画像が表示され、表示可能な色の範囲(色域)が狭くなることある。このような問題に対し、特許文献1に記載の反射型液晶表示装置では、カラーフィルタの面積を色ごと異ならせている。しかし、青色に対応するカラーフィルタの面積が大きくなってしまう等により、各色に対応する副画素の形状が複雑になってしまうことがある。
【0008】
本発明は、液晶表示装置で表示される色が特定の色味を帯びることを回避することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、無彩色偏光板と、前記無彩色偏光板を透過した光を前記無彩色偏光板に向けて反射する複数の画素と、を備え、各前記画素は、透過する光の波長が赤色の波長である赤色フィルタを有する赤副画素と、透過する光の波長が赤色寄りの緑色の波長である赤緑色フィルタを有する赤緑副画素と、透過する光の波長が青色寄りの緑色の波長である青緑色フィルタを有する青緑副画素と、透過する光の波長が青色の波長である青色フィルタを有する青副画素と、を備え、前記赤副画素は、前記赤色フィルタを通した反射光を前記無彩色偏光板に向け、前記赤緑副画素は、前記赤緑色フィルタを通した反射光を前記無彩色偏光板に向け、前記青緑副画素は、前記青緑色フィルタを通した反射光を前記無彩色偏光板に向け、前記青副画素は、前記青色フィルタを通した反射光を前記無彩色偏光板に向け、前記赤副画素および前記青副画素のいずれの面積も、前記赤緑副画素および前記青緑副画素のいずれの面積よりも大きく、前記赤緑副画素の面積および前記青緑副画素の面積を合わせた面積は、前記赤副画素および前記青副画素のいずれの面積よりも大きく、前記青副画素の面積に対する前記赤副画素の面積の比率が、0.9以上、1.1以下であり、前記青緑副画素の面積に対する前記赤緑副画素の面積の比率が、0.9以上、1.1以下であり、前記赤副画素の面積が前記青副画素の面積以上である場合には、前記赤緑副画素の面積が前記青緑副画素の面積以下であるという条件が成立し、前記赤副画素の面積が前記青副画素の面積未満である場合には、前記赤緑副画素の面積が前記青緑副画素の面積よりも大きいという条件が成立する、ことを特徴とする。
【0010】
望ましくは、前記赤副画素の面積と前記青副画素の面積とが等しく、前記赤緑副画素の面積と前記青緑副画素の面積とが等しい。
【0011】
望ましくは、前記赤副画素、前記赤緑副画素、前記青緑副画素および前記青副画素のうちの3つの副画素の色が混合され、各色相を表す。
【0012】
本発明は、無彩色偏光板と、前記無彩色偏光板を透過した光を前記無彩色偏光板に向けて反射する複数の画素と、を備え、各前記画素は、透過する光の波長が赤色の波長である赤色フィルタを有する赤副画素と、透過する光の波長が緑色の波長である緑色フィルタを有する緑副画素と、透過する光の波長が青色の波長である青色フィルタを有する青副画素と、を備え、前記赤副画素は、反射光を前記赤色フィルタを通して前記無彩色偏光板に向け、前記緑副画素は、反射光を前記緑色フィルタを通して前記無彩色偏光板に向け、前記青副画素は、反射光を前記青色フィルタを通して前記無彩色偏光板に向け、前記緑副画素の面積に対する前記赤副画素の面積の比率を、0.95以上、1.05以下とし、前記青副画素の面積に対する前記緑副画素の面積の比率、および前記青副画素の面積に対する前記赤副画素の面積の比率を、0.95以上としたことを特徴とする。
【0013】
望ましくは、前記青副画素の面積に対する前記緑副画素の面積の比率、および前記青副画素の面積に対する前記赤副画素の面積の比率を、1.0以上とした。
【0014】
望ましくは、各前記画素は、赤色、緑色および青色のいずれの波長の光も透過する白色フィルタを有する白副画素を、さらに備え、前記白副画素は、反射光を前記白色フィルタを通して前記無彩色偏光板に向ける。
【0015】
望ましくは、前記赤副画素および前記緑副画素のいずれの面積も、前記青副画素の面積よりも大きい。
【0016】
望ましくは、前記画素に対する画素データに基づいて、前記液晶表示装置に入力される入力画素データを求める演算部を備え、前記演算部は、前記画素データが示す彩度が彩度閾値を超え、かつ、前記画素データが示す明度が明度閾値以下であるときは、明度が大きくなるように前記画素データを変換して前記入力画素データを求め、前記画素データが示す彩度が前記彩度閾値を超え、かつ、前記画素データが示す明度が前記明度閾値を超えるときは、彩度が小さくなるように前記画素データを変換して前記入力画素データを求める。
【0017】
望ましくは、前記演算部は、前記液晶表示装置の置かれた光学的環境に応じて、前記彩度閾値および前記明度閾値のうち少なくとも一方を設定する。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、液晶表示装置で表示される色が特定の色味を帯びることを回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図2】4色の副画素によって構成される画素を示す図である。
【
図3】3色の副画素によって構成される画素を示す図である。
【
図4】赤副画素、緑副画素および青副画素に加えて、白副画素が含まれる場合の画素の構成を示す図である。
【
図5】データ変換処理を説明するための明度・彩度平面を示す図である。
【
図7】データ変換装置を反射型液晶表示装置と共に示す図である。
【
図8】光センサを備えるデータ変換装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
各図を参照して本発明の実施形態について説明する。複数の図面に示された同一の構成要素については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0021】
図1には、本発明の実施形態に係る反射型液晶表示装置の断面が模式的に示されている。反射型液晶表示装置は、基材10、反射電極12、TFT14(Thin-Film-Transistor)、液晶層16、フィルタ層20、および無彩色偏光板24を備えている。
【0022】
基材10の上面には、複数の反射電極12および複数のTFT14が配置されている。各反射電極12には、各反射電極12の電圧を制御するTFT14が設けられている。反射電極12およびTFT14が配置された基材10の上側には液晶層16が設けられている。液晶層16の上側にはフィルタ層20が設けられている。フィルタ層20には、異なる波長の光を透過する複数のカラーフィルタ22が設けられている。
図1には、例として、透過する光の波長が赤色の波長である赤色フィルタ22R、透過する光の波長が赤寄りの緑色の波長である赤緑色フィルタ22RG、透過する光の波長が青寄りの緑色の波長である青緑色フィルタ22BG、および透過する光の波長が青色の波長である青色フィルタ22Bが示されている。フィルタ層20の上側には無彩色偏光板24が設けられている。
【0023】
無彩色偏光板24は、上記特許文献2および3によって定義される偏光板であってよい。無彩色偏光板24は、例えば、次のような条件を満たす偏光板として定義されてよい。
(1)偏光板単体の視感度補正透過率が35~45%であること。
(2)L*a*b*表色系におけるa*値およびb*値の絶対値が、偏光板単体で測定したときに1以下であること。
(3)この偏光板2枚を吸収軸方向が互いに平行または垂直になるように重ねて測定したときに、L*a*b*表色系におけるa*値およびb*値の絶対値がいずれも2以下であること。
【0024】
また、無彩色偏光板24は、例えば、次のような条件を満たす偏光板として定義されてよい。ただし、第1透過率は、偏光板の吸収軸方向に対して光の振動方向が直交するように絶対偏光光を照射して測定したときの透過率である。第2透過率は、偏光板の吸収軸方向に対して光の振動方向が平行となるように絶対偏光光を照射して測定したときの透過率である。
(a)550nm~600nmにおける第1透過率の平均値と400nm~460nmにおける第1透過率の平均値との差が4%以下であること。
(b)600nm~670nmにおける第1透過率の平均値と550nm~600nmにおける第1透過率の平均値との差が3%以下であること。
(c)550nm~600nmにおける第2透過率の平均値と400nm~460nmにおける第2透過率の平均値との差が1%以下であること。
(d)600nm~670nmにおける第2透過率の平均値と550nm~600nmにおける第2透過率の平均値との差が1%以下であること。
【0025】
反射型液晶表示装置では、赤色フィルタ22R、赤緑色フィルタ22RG、青緑色フィルタ22BGおよび青色フィルタ22Bと、無彩色偏光板24のうち各カラーフィルタ22を覆う各領域と、これら複数のカラーフィルタ22のそれぞれに対向する反射電極12およびTFT14と、液晶層16のうち、各カラーフィルタ22と各反射電極12との間に挟まれる領域が、1つの画素を構成する。また、1つの画素のうち、赤色フィルタ22Rおよびその上下の領域が赤副画素を構成する。1つの画素のうち、赤緑色フィルタ22RGおよびその上下の領域が赤緑副画素を構成する。1つの画素のうち、青緑色フィルタ22BGおよびその上下の領域が青緑副画素を構成する。1つの画素のうち青色フィルタ22Bおよびその上下の領域が青副画素を構成する。
【0026】
反射型液晶表示装置の前方、すなわち、
図1の上方から入射した光は、無彩色偏光板24を透過して偏光面が揃えられた上で各反射電極12に到達し反射する。各反射電極12で反射した光は、表示させる画像に応じて液晶によって偏光面が調整される。すなわち、TFT14によって反射電極12の電圧を変化させ、液晶に印加する電圧を変化させることで、液晶を透過する反射光の偏光面が調整される。反射光からは各カラーフィルタ22によって特定の色の光が抽出され、各色の光は無彩色偏光板24を通って上方に放射される。無彩色偏光板24は、特定の方向に偏波した光を透過するため、無彩色偏光板24を透過した光は画像を形成する。
【0027】
本実施形態に係る反射型液晶表示装置では、赤副画素R、赤緑副画素RG、青緑副画素BG、および青副画素Bのそれぞれの面積に次のような関係がある。赤副画素R、赤緑副画素RG、青緑副画素BG、および青副画素Bの面積は、それぞれ、赤色フィルタ22R、赤緑色フィルタ22RG、青緑色フィルタ22BGおよび青色フィルタ22Bの面積として定義される。
(i)赤副画素Rおよび青副画素Bのいずれの面積も、赤緑副画素RGおよび青緑副画素BGのいずれの面積よりも大きい。
(ii)赤緑副画素RGの面積および青緑副画素BGの面積を合わせた面積は、赤副画素Rおよび青副画素Bのいずれの面積よりも大きい。
(iii)青副画素Bの面積に対する赤副画素Rの面積の比率が、0.9以上、1.1以下である。
(iv)青緑副画素BGの面積に対する赤緑副画素RGの面積の比率が、0.9以上、1.1以下である。
(v)赤副画素Rの面積が青副画素Bの面積以上である場合には、赤緑副画素RGの面積が青緑副画素BGの面積以下である。
(vi)赤副画素Rの面積が青副画素Bの面積未満である場合には、赤緑副画素RGの面積が青緑副画素BGの面積よりも大きい。
【0028】
なお、赤副画素Rの面積と青副画素Bの面積とが等しいときには、赤緑副画素RGの面積と青緑副画素BGの面積とを等しくしてよい。
【0029】
図2(a)~
図2(d)には、上記(i)~(vi)に規定される条件を満たす画素の構成が示されている。
図2(a)に示される画素では、各副画素が縦長の長方形で形成され、赤副画素R、赤緑副画素RG、青緑副画素BGおよび青副画素Bが、左から右に赤副画素R、赤緑副画素RG、青緑副画素BG、青副画素Bの順に配列されている。
図2(b)に示される画素では、赤副画素R、赤緑副画素RG、青緑副画素BGおよび青副画素Bが、左上から時計回りに赤副画素R、赤緑副画素RG、青緑副画素BGおよび青副画素Bの順で配列されている。
図2(c)および(d)に示される画素では、赤副画素R、青緑副画素BG、赤緑副画素RGおよび青副画素Bが、左上から時計回りに赤副画素R、青緑副画素BG、赤緑副画素RGおよび青副画素Bの順で配列されている。
図2(a)~
図2(d)に示されている画素では、特許文献1に示されているヨウ素系の偏光板を用いた反射型液晶表示装置に比べて、1つの画素に占める青副画素Bの面積の割合が小さくなる。
【0030】
本実施形態に係る反射型液晶表示装置は、無彩色偏光板24を用い、赤副画素R、赤緑副画素RG、青緑副画素BGおよび青副画素Bの各面積に上記(i)~(vi)の条件を成立させている。これによって、表示画像が特定の色味を帯びてしまうという問題点が解決され、表示できる色の範囲(色域)が拡大される。すなわち、表示される白色が特定の色味を帯びることを抑制でき、表示できる色の範囲(色域)が拡大される。また、特許文献1に記載の表示装置に比べて青副画素Bの面積比率が小さくなり、配線設計が容易となる。
【0031】
図3(a)および
図3(b)には、赤副画素R、緑副画素Gおよび青副画素Bの3色の副画素によって構成される画素が模式的に示されている。このように、1つの画素が3色の副画素によって構成され、偏光板として無彩色偏光板が用いられた反射型液晶表示装置では、次の(I)および(II)で規定される条件を満たすことで、上記(i)~(vi)の条件下で4色の副画素を用いた場合と同様の効果が得られる。
(I)青副画素Bの面積に対する赤副画素Rの面積の比率および青副画素Bの面積に対する緑副画素Gの面積をいずれも0.95以上とする。
(II)緑副画素Gの面積に対する赤副画素Rの面積の比率を0.95以上、1.05以下とする。
【0032】
また、次の(III)および(IV)で規定される条件を満たすことで、さらに色域が拡大する場合がある。
(III)青副画素Bの面積に対する赤副画素Rの面積の比率および青副画素Bの面積に対する緑副画素Gの面積をいずれも1.0以上とする。
(IV)緑副画素Gの面積に対する赤副画素Rの面積の比率を0.95以上、1.05以下とする。
【0033】
図4には、赤副画素R、緑副画素Gおよび青副画素Bに加えて、白副画素Wが含まれる場合の画素の構成が示されている。白副画素Wは、カラーフィルタ22として、赤色、緑色および青色のいずれの波長の光も透過する白色フィルタを有する副画素である。これらの構成では、次の(α)および(β)で規定される条件を満たすことで、上記(i)~(vi)の条件下で4色の副画素を用いた場合と同様の効果が得られる。
(α)青副画素Bの面積に対する赤副画素Rの面積の比率および青副画素Bの面積に対する緑副画素Gの面積をいずれも0.95以上とする。
(β)緑副画素Gの面積に対する赤副画素Rの面積の比率を0.95以上、1.05以下とする。
【0034】
赤副画素R、緑副画素G、青副画素Bおよび白副画素Wが画素に含まれる場合には、上記(α)および(β)で規定される条件に加えて、次の(γ)で規定される条件が満たされてもよい。
(γ)赤副画素Rおよび緑副画素Gのいずれの面積も、青副画素Bの面積よりも大きくする。
【0035】
次に、画像データに対するデータ変換処理について説明する。このデータ変換処理では、表示対象の1つの色相について、その色相の彩度Sが彩度閾値TSを超え、かつ、明度Vが明度閾値TV以下であるときには、明度Vが大きくなるように画像データが変換される。また、表示対象の1つの色相について、その色相の彩度Sが彩度閾値TSを超え、かつ、明度Vが明度閾値TVを超えるときには、他の色相を混合するように画像データが変換される。
【0036】
画像データは、複数の画素のそれぞれを表す画素データの集合によって構成される。画素データに対してデータ変換処理が施されることで、反射型液晶表示装置に入力される入力画素データが生成される。画像を表す複数の入力画素データは入力画像データを構成し、この入力画像データが反射型液晶表示装置に入力される。
【0037】
図5には、データ変換処理を説明するための明度・彩度平面が示されている。横軸は明度Vを示し、縦軸は彩度Sを示す。明度・彩度平面のうち、彩度Sが彩度閾値TS以下である第1彩度領域では、画素データはそのまま入力画素データとなる。一方、明度・彩度平面のうち、彩度Sが彩度閾値TSを超える第2彩度領域では、明度Vが明度閾値TV以下である領域Bでは、画素データは明度Vが大きくなるように変換された画素データが入力画素データとなる。そして、第2彩度領域のうち、明度Vが明度閾値TVを超える領域Aでは、他の色相が混合され彩度Sが小さくなるように変換された画素データが入力画素データとなる。
【0038】
すなわち、画素データが示す画素の彩度Sが彩度閾値TS以下であるときは、画素データはそのまま入力画素データとなる。そして、画素データが示す画素の彩度Sが彩度閾値TSを超え、かつ、明度Vが明度閾値TV以下であるときは、明度Vが大きくなるように変換された画素データが入力画素データとなる。この場合、明度Vは、元の明度に1を超える定数を掛け合わせて求められてよい。ただし、明度Vに対して予め定められた最大値があるときは、元の明度に定数を掛け合わせた値が最大値を超えるときは、その最大値を新たな明度Vとしてよい。
【0039】
画素データが示す画素の彩度Sが彩度閾値TSを超え、かつ、明度Vが明度閾値TVを超えるときは、他の色相が混合され彩度Sが小さくなるように変換された画素データが入力画素データとなる。この場合、彩度Sから彩度閾値TSを減算した値に、1未満の正の定数kを掛け合わせ、彩度閾値TSに加算した値k・(S-TS)+TSを入力画素データの新たな彩度Sとしてよい。
【0040】
例えば、
図5の彩度明度特性30-1に示されているように、彩度S=0.5を示す画素データは、その彩度Sが彩度閾値TS=0.8以下であるため、そのまま入力画素データとなる。
図5の彩度明度特性30-2に示されているように、彩度S=0.9を示す画素データは、その彩度Sが彩度閾値TS=0.8を超える。そのため、明度Vが明度閾値TV以下である場合には、その画素データは明度Vが大きくなるように変換された上で入力画素データとなる一方で、明度Vが明度閾値TVを超える場合には、その画素データは彩度Sが元の値0.9よりも小さい値に変換された上で入力画素データとなる。
図5の彩度明度特性30-3に示されているように、彩度S=1.0を示す画素データは、その彩度Sが彩度閾値TS=0.8を超える。そのため、明度Vが明度閾値TV以下である場合には、その画素データは明度Vが大きくなるように変換された上で入力画素データとなる一方で、明度Vが明度閾値TVを超える場合には、その画素データは彩度Sが元の値1.0よりも小さい値に変換された上で入力画素データとなる。
【0041】
図6には、彩度Sが彩度閾値TSを超えており、画素データが示す画素が第2彩度領域に属する場合における輝度明度特性が示されている。横軸は明度Vを表し、縦軸は規格化輝度Lを示す。規格化輝度Lは、人の目が感じる明るさを表現したものである。明度Vが増加するにつれて規格化輝度Lは増加する。明度Vが明度閾値TVを超えるときは、明度Vが明度閾値TV以下であるときよりも、明度Vに対する規格化輝度Lの増加率が大きくなる。
【0042】
図7には、データ変換処理を実行するハードウエアとして、データ変換装置40が反射型液晶表示装置50と共に示されている。データ変換装置40は、演算部42および変換テーブル44を備えている。変換テーブル44には、画素データと入力画素データとを対応付けた情報が記憶されている。すなわち、第2彩度領域の領域Aに属する画素データに対しては、彩度Sを小さくした入力画素データが対応付けられている。第2彩度領域の領域Bに属する画素データに対しては、明度Vを大きくした入力画素データが対応付けられている。そして、第1彩度領域に属する画素データを示す画素データに対しては、画素データと同一のデータが入力画素データとして対応付けられている。
【0043】
演算部42は、プログラムを実行するプロセッサであってよい。演算部42は、入力画像データから画素データを抽出して変換テーブル44を参照し、画素データに対応する入力画素データを取得する。演算部42は、各画素に対して取得された入力画素データを反射型液晶表示装置50に出力する。
【0044】
図3に示されているように、3色の副画素によって1つの画素が構成される場合の処理の具体例について説明する。画素データは、赤副画素R、緑副画素Gおよび青副画素Bのそれぞれの画素値X,YおよびZで表される。各画素値は0以上255以下の値を取り得る。画素値X,YおよびZのうちの最大値および最小値をそれぞれMおよびmとして、例えば、彩度Sは、S=(M-m)/Mとして定義される。ただし、M=m=0のときはS=0である。明度Vは、例えば、画素値X,YおよびZのうちの最大値Mを255で規格化した値として定義される。また、彩度閾値TSをTS=0.8とし、明度閾値TVをTV=0.9とする。
【0045】
画素データ(X,Y,Z)=(255,128,128)の彩度Sは0.498であり、明度Vは1である。この場合、画素データが表す画素は第1彩度領域に属するため、画素データ(255,128,128)と同一の入力画素データ(255,128,128)が得られる。
【0046】
画素データ(X,Y,Z)=(186,0,0)の彩度Sは1であり、明度は0.729である。この場合、画素データが表す画素は第2彩度領域の領域Bに属するため、画素データ(186,0,0)の明度Vを大きくした入力画素データ(204,0,0)が得られる。
【0047】
画素データ(X,Y,Z)=(245,0,0)の彩度Sは1であり、明度は0.96である。この場合、画素データが表す画素は第2彩度領域の領域Aに属するため、画素データ(245,0,0)の彩度Sを小さくした入力画素データ(255,26,26)が得られる。
【0048】
なお、明度閾値TVおよび彩度閾値TSのうち少なくとも一方は、反射型液晶表示装置50の周囲の明るさ等、反射型液晶表示装置50の置かれた光学的環境に応じて変化させてもよい。例えば、
図8に示されているように、データ変換装置40は、光センサ46を備えてもよい。光センサ46は、反射型液晶表示装置50の周囲の照度を測定し、測定値を演算部42に出力する。また、データ変換装置40は、明度閾値TVまたは彩度閾値TSが異なる複数の変換テーブル44を備えている。演算部42は、複数の変換テーブル44のうち、照度測定値に応じた変換テーブル44を用いてデータ変換処理を実行する。演算部42は、例えば、照度測定値が大きい程、明度閾値TVが小さい変換テーブル44を用いてデータ変換処理を実行してよい。また、演算部42は、照度測定値が大きい程、彩度閾値TSが小さい変換テーブル44を用いてデータ変換処理を実行してよい。なお、ここでは、明るさを示す物理量として照度を測定する例を取り上げたが、明るさを示すその他の物理量が測定されてもよい。
【0049】
本実施形態に係る反射型液晶表示装置によれば、彩度Sが彩度閾値TSを超え、かつ、明度Vが明度閾値TVを超える領域Aにおいては、元の画素データに対し、複数の色相が混合され彩度を小さくした入力画像データが生成される。これによって、明度Vが大きい領域Aでは、元の色が白色に近付けられ、人の目が感じる明るさを示す輝度が大きくなる。また、彩度Sが彩度閾値TSを超え、かつ、明度Vが明度閾値TV以下である領域Bにおいては、元の画素データに対し、明度を大きくした入力画像データが生成される。これによって、人の目が感じる明るさを示す輝度が大きくなる。
【0050】
図9には、データ変換処理を別の観点から説明するためのxy色度図が示されている。ここでは、3色の副画素によって1つの画素が構成される場合について説明する。横軸xは、赤色、緑色および青色のうち赤色の混合割合を示し、縦軸yは緑色の混合割合を示す。xy色度図には釣鐘状領域60が定義されている。釣鐘状領域60は、左上に凸のU字曲線62と、U字曲線62の開放端を結ぶ直線64によって形成される閉曲線上およびこの閉曲線内の領域である。
図9には色が付されていないが、実際の釣鐘状領域60には色が付される。釣鐘状領域60の外周の一部をなすU字曲線62は、スペクトラム軌跡と称される。スペクトラム軌跡の右端からスペクトラム軌跡に沿って左端に向かって、赤色から緑色を経て青色に至る色相が表される。
【0051】
図9に示された点r、点gおよび点bは、それぞれ、赤副画素R、緑副画素Gおよび青副画素Bが発する色に対応する。反射型液晶表示装置は、破線で示された表示色域三角形r-g-bで囲まれた領域およびその3辺上における色を表現自在である。赤副画素R、緑副画素Gおよび青副画素Bを均等の明度で発色させたときは、点WHで表される白色が画素から発せられる。
【0052】
反射型液晶表示装置では、表示色域三角形r-g-bの辺上の点によって示される色の彩度Sが最大値をとる。そして、表示色域三角形r-g-bの辺上にある点から点WHに向かうにつれて彩度Sは小さくなり、点WHにおいて彩度Sは0となる。xy色度図には現れていないが、表示色域三角形r-g-bの3辺上および表示色域三角形r-g-b内の各点に対して、色の明るさを表す明度Vが定義される。
【0053】
表示色域三角形r-g-bの内側には、一点鎖線で示されているように、彩度閾値三角形68が定義されている。彩度閾値三角形68の3辺および内側の領域は、彩度Sが閾値TS以下の色に対応する第1彩度領域である。画素データが示す色が第1彩度領域に属する場合、その画素データはそのまま入力画素データとなる。
【0054】
彩度閾値三角形68よりも外側にあり、表示色域三角形r-g-bの3辺を含んだ表示色域三角形r-g-b内の領域は、反射型液晶表示装置が表し得る色のうち、彩度Sが閾値TSを超える色に対応する第2彩度領域である。画素データが示す色が第2彩度領域にある場合、画素データが示す色の明度Vが明度閾値TV以下であるときは、その画素データは明度が大きくなるように変換され、入力画素データとなる。そして、画像データが示す色の明度Vが明度閾値TVを超えるときは、他の色相が混合され彩度Sが小さくなるように変換され、入力画素データとなる。
【0055】
図9には、彩度閾値三角形68の外側、かつ、表示色域三角形r-g-bの内側にある変換三角形70が実線によって示されている。画素データが示す色が第2彩度領域に属し、画像データが示す色の明度Vが明度閾値TVを超えるときは、画像データが示す色は、彩度閾値三角形68の外側、かつ、変換三角形70の3辺を含んで内側の変換後領域80に属する色となるように変換され、入力画素データとなる。
【0056】
この処理は、概念的には次のように行われる。すなわち、元の画素データが示す画素データ点を、その画素データ点から点WHに向かう直線に沿った先にある、変換後領域80内の点に移動させる。
図10には、xy色度図の拡大図が示されている。元の画素データ点P0は点gにある。元の画素データ点P0は、画素データ点P0から点WHに向かう直線に沿った先にある変換三角形70の頂点に移動し、入力画素データ点P1となる。すなわち、画素データ点P0によって示される画素データは、入力画素データ点P1によって示される入力画素データに変換される。また、元の画素データ点Q0は、画素データ点Q0から点WHに向かう直線に沿った先にある入力画素データ点Q1となる。すなわち、画素データ点Q0によって示される画素データは、入力画素データ点Q1によって示される入力画素データに変換される。
【0057】
次に、4色の副画素によって1つの画素が構成される場合について、
図11に示されたxy色度図を参照して説明する。
図11に示された点r、点rg、点bgおよび点bは、それぞれ、赤副画素R、赤緑副画素RG、青緑副画素BGおよび青副画素Bが発する色に対応する。反射型液晶表示装置は、破線で示された表示色域四角形r-rg-bg-bで囲まれた領域およびその4辺上における色を表現自在である。赤副画素R、赤緑副画素RG、青緑副画素BGおよび青副画素Bを均等の明度で発色させたときは、点WHで表される白色が画素から発せられる。
【0058】
反射型液晶表示装置では、表示色域四角形r-rg-bg-bの辺上の点によって示される色の彩度Sが最大値をとる。そして、表示色域四角形r-rg-bg-bの辺上にある点から点WHに向かうにつれて、表示される色の彩度Sは小さくなり、点WHにおいて彩度Sは0となる。xy色度図には現れていないが、表示色域四角形r-rg-bg-bの4辺上および表示色域四角形r-rg-bg-b内の各点に対して、色の明るさを表す明度Vが定義される。
【0059】
表示色域四角形r-rg-bg-bの内側には、一点鎖線で示されているように、彩度閾値四角形74が定義されている。彩度閾値四角形74の4辺および内側の領域は、彩度Sが閾値TS以下の色に対応する第1彩度領域である。画素データが示す色が第1彩度領域に属する場合、その画素データはそのまま入力画素データとなる。
【0060】
彩度閾値四角形74よりも外側にあり、表示色域四角形r-rg-bg-bの4辺を含んだ表示色域四角形r-rg-bg-b内の領域は、反射型液晶表示装置が表し得る色のうち、彩度Sが閾値TSを超える色に対応する第2彩度領域である。画素データが示す色が第2彩度領域に属する場合、画素データが示す色の明度Vが明度閾値TV以下であるときは、その画素データは明度Vが大きくなるように変換され、入力画素データとなる。そして、画像データが示す色の明度Vが明度閾値TVを超えるときは、他の色相が混合され彩度Sが小さくなるように変換され、入力画素データとなる。
【0061】
図11には、彩度閾値四角形74の外側、かつ、表示色域四角形r-rg-bg-bの内側にある変換四角形76が実線によって示されている。画素データが示す色が第2彩度領域に属し、画像データが示す色の明度Vが明度閾値TVを超えるときは、画像データは、彩度閾値四角形74の外側、かつ、変換四角形76の4辺を含んで内側の変換後領域80に属する色を示すように変換され、入力画素データとなる。
【0062】
3色の副画素によって1つの画素が構成される場合と同様、この変換では、概念的には次のように行われる。すなわち、元の画素データが示す画素データ点を、その画素データ点から点WHに向かう直線に沿った先にある、変換後領域80内の点に移動させる。
【0063】
本実施形態に係る反射型液晶表示装置は、赤副画素R、赤緑副画素RG、青緑副画素BGおよび青副画素Bのうちの3つの色を混合することで画像を表示してもよい。この場合、
図12に示される表示色域三角形r-rg-bg、表示色域三角形r-rg-b、表示色域三角形r-bg-bまたはrg-bg-bで表される色域で各色相が示される。
【0064】
上記では、反射型液晶表示装置について説明した。本発明は、半透過型液晶表示装置に用いられてもよい。この場合、
図1における基材10を光が透過するものとし、基材10の下側に偏光板およびバックライトが配置される。一般に、反射型液晶表示装置では、透過型液晶表示装置に比べてコントラストが小さいため、単色を表示させた場合に異なる色の光が混合してしまい、色域が狭くなってしまう傾向がある。半透過型液晶表示装置では、反射型液晶表示装置が有するこのような欠点を、バックライトによって補うことができる。
【符号の説明】
【0065】
10 基材、12 反射電極、14 TFT、16 液晶層、20 フィルタ層、22 カラーフィルタ、22R 赤色フィルタ、22RG 赤緑色フィルタ、22BG 青緑色フィルタ、22B 青色フィルタ、24 無彩色偏光板、30-1~30-3 彩度明度特性、40 データ変換装置、42 演算部、44 変換テーブル、50 反射型液晶表示装置、60 釣鐘状領域、62 U字曲線、64 直線、68 彩度閾値三角形、70 変換三角形、74 彩度閾値四角形、76 変換四角形、80 変換後領域。