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特許7187389作業車両の保護機構、及びこれを備える作業車両
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-02
(45)【発行日】2022-12-12
(54)【発明の名称】作業車両の保護機構、及びこれを備える作業車両
(51)【国際特許分類】
   B60R 11/02 20060101AFI20221205BHJP
   A01D 67/02 20060101ALI20221205BHJP
   A01D 69/00 20060101ALI20221205BHJP
   A01B 69/00 20060101ALI20221205BHJP
   A01B 59/042 20060101ALI20221205BHJP
   B62D 49/00 20060101ALI20221205BHJP
   H04N 7/18 20060101ALI20221205BHJP
【FI】
B60R11/02 Z
A01D67/02
A01D69/00 301
A01B69/00 303E
A01B59/042 A
B62D49/00 D
B62D49/00 N
H04N7/18 J
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019109109
(22)【出願日】2019-06-11
(65)【公開番号】P2020199939
(43)【公開日】2020-12-17
【審査請求日】2021-06-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】100120341
【弁理士】
【氏名又は名称】安田 幹雄
(72)【発明者】
【氏名】蓬莱 覚
(72)【発明者】
【氏名】西久保 拓也
【審査官】川口 真一
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-114925(JP,A)
【文献】特開2014-005598(JP,A)
【文献】特開2018-184100(JP,A)
【文献】国際公開第2019/031318(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 11/02
B60R 11/04
A01D 67/02
A01D 69/00
A01B 69/00
A01B 59/042
B62D 49/00
H04N 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転席の上方を覆うルーフと、
車体の後方を監視する監視装置と、
前記車体に立設された支柱と、
前記支柱の上部を連結し且つ前記ルーフを支持する支持フレームと、
後部より後方に延設された第1ブラケットと、
前記後部より後方に延設され、且つ前記第1ブラケットと異なる第2ブラケットと、
前記第1ブラケットと、前記第2ブラケットとの間に架設され、前記第1ブラケット及び前記第2ブラケットを連結し、前記監視装置を支持する連結ステーと、
を備え
前記ルーフの上面には、切欠き部が形成されており、
前記監視装置は、前記切欠き部に配置され、少なくとも一部が前記ルーフの上面よりも上方に位置している作業車両の保護機構。
【請求項2】
運転席の上方を覆うルーフと、
車体の後方を監視する監視装置と、
前記車体に立設された支柱と、
前記支柱の上部を連結し且つ前記ルーフを支持する支持フレームと、
後部より後方に延設された第1ブラケットと、
前記後部より後方に延設され、且つ前記第1ブラケットと異なる第2ブラケットと、
前記第1ブラケットと、前記第2ブラケットとの間に架設され、前記第1ブラケット及び前記第2ブラケットを連結し、前記監視装置を支持する連結ステーと、
を備え、
前記連結ステーは、前記ルーフの後部の外側から当該ルーフの後部を支持する作業車両の保護機構
【請求項3】
前記連結ステーは、前記ルーフの後部の車体幅方向の一方側及び他方側を支持する一対の支持ブラケットを有している請求項に記載の作業車両の保護機構。
【請求項4】
前記第1ブラケットは、前記支持フレームの車体幅方向の一方側から当該支持フレーム
よりも後方に延設され、
前記第2ブラケットは、前記支持フレームの車体幅方向の他方側から当該支持フレームよりも後方に延設され、
前記連結ステーは、前記支持フレームの後方において、前記第1ブラケットと、前記第2ブラケットとの間に架設され、前記第1ブラケット及び前記第2ブラケットを連結し、前記監視装置を支持する請求項1~3のいずれか1項に記載の作業車両の保護機構。
【請求項5】
前記支柱は、車体幅方向に離反して前記車体に立設された一対の後支柱を含み、
前記第1ブラケットは、前記一対の後支柱のうち、車体幅方向の一方側の後支柱から当該後支柱よりも後方に延設され、
前記第2ブラケットは、前記一対の後支柱のうち、車体幅方向の他方側の後支柱から当該後支柱よりも後方に延設され、
前記連結ステーは、前記一対の後支柱の後方において、前記第1ブラケットと、前記第2ブラケットとの間に架設され、前記第1ブラケット及び前記第2ブラケットを連結し、前記監視装置を支持する請求項1~3のいずれか1項に記載の作業車両の保護機構。
【請求項6】
前記監視装置は、少なくとも障害物を検出する障害物検出器、及び前記車体の周囲を撮影するカメラユニットのいずれか一方を有しており、
前記連結ステーは、車体幅方向の中央部に前記監視装置を支持している請求項1~のいずれか1項に記載の作業車両の保護機構。
【請求項7】
前記車体の後方を照らす照明灯と、
前記照明灯を支持し、且つ少なくとも前記第1ブラケットと前記第2ブラケットの一方に連結される照明支持部と、
を備えている請求項1~のいずれか1項に記載の作業車両の保護機構。
【請求項8】
外部から信号を送信及び/又は受信し、且つ前記連結ステーに支持されるアンテナを備えている請求項1~のいずれか1項に記載の作業車両の保護機構。
【請求項9】
請求項1~のいずれか1項に記載の保護機構と、
前記車体と、
前記車体の後部に作業装置を連結する連結部と、
を備えている作業車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トラクタ等の作業車両の保護機構、及びこれを備える作業車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に開示された作業車両には、キャビンのルーフの後部に、後方を監視する監視装置が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開2019/031318号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の作業車両の保護機構では、カメラがキャノピのルーフに支持されているため、カメラをメンテナンスする際には、ルーフごとカメラを取り外す必要があった。また、カメラがルーフを支持する支持フレームに取付けられている場合であっても、支持フレームに取付けられたルーフを外さなければならず、作業が困難であった。
本発明は、このような従来技術の問題点を解決すべくなされたものであって、監視装置のメンテナンス性を向上しつつ、監視装置をより強固に取り付けることができる作業車両の保護機構の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様に係る作業車両の保護機構は、運転席の上方を覆うルーフと、車体の後方を監視する監視装置と、車体に立設された支柱と、支柱の上部を連結し且つルーフを支持する支持フレームと、後部より後方に延設された第1ブラケットと、後部より後方に延設され、且つ第1ブラケットと異なる第2ブラケットと、第1ブラケットと、第2ブラケットとの間に架設され、第1ブラケット及び第2ブラケットを連結し、監視装置を支持する連結ステーと、を備え、ルーフの上面には、切欠き部が形成されており、監視装置は、切欠き部に配置され、少なくとも一部がルーフの上面よりも上方に位置している
【0006】
また、作業車両の保護機構は、運転席の上方を覆うルーフと、車体の後方を監視する監視装置と、車体に立設された支柱と、支柱の上部を連結し且つルーフを支持する支持フレームと、後部より後方に延設された第1ブラケットと、後部より後方に延設され、且つ第1ブラケットと異なる第2ブラケットと、第1ブラケットと、第2ブラケットとの間に架設され、第1ブラケット及び第2ブラケットを連結し、監視装置を支持する連結ステーと、を備え、連結ステーは、ルーフの後部の外側から当該ルーフの後部を支持する。
【0007】
また、連結ステーは、ルーフの後部の車体幅方向の一方側及び他方側を支持する一対の支持ブラケットを有している。
【0008】
また、第1ブラケットは、支持フレームの車体幅方向の一方側から当該支持フレームよりも後方に延設され、第2ブラケットは、支持フレームの車体幅方向の他方側から当該支持フレームよりも後方に延設され、連結ステーは、支持フレームの後方において、第1ブラケットと、第2ブラケットとの間に架設され、第1ブラケット及び第2ブラケットを連結し、監視装置を支持する。
【0009】
また、支柱は、車体幅方向に離反して車体に立設された一対の後支柱を含み、第1ブラケットは、一対の後支柱のうち、車体幅方向の一方側の後支柱から当該後支柱よりも後方に延設され、第2ブラケットは、一対の後支柱のうち、車体幅方向の他方側の後支柱から当該後支柱よりも後方に延設され、連結ステーは、一対の後支柱の後方において、第1ブラケットと、第2ブラケットとの間に架設され、第1ブラケット及び第2ブラケットを連結し、監視装置を支持する。
また、監視装置は、少なくとも障害物を検出する障害物検出器、及び車体の周囲を撮影するカメラユニットのいずれか一方を有しており、連結ステーは、車体幅方向の中央部に監視装置を支持している。
【0010】
また、作業車両の保護機構は、車体の後方を照らす照明灯と、照明灯を支持し、且つ少なくとも第1ブラケットと第2ブラケットの一方に連結される照明支持部と、を備えている。
また、作業車両の保護機構は、外部から信号を送信及び/又は受信し、且つ連結ステーに支持されるアンテナを備えている。
【0011】
また、作業車両は、保護機構と、車体と、車体の後部に作業装置を連結する連結部と、を備えている。
【発明の効果】
【0012】
上記作業車両の保護機構によれば、監視装置のメンテナンス性を向上しつつ、監視装置をより強固に取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】作業車両の一部構成及び制御系ブロック図を示す構成図である。
図2】保護機構を左後方からみた斜視図である。
図3】保護機構フレームを右後方からみた斜視図である。
図4】保護機構の内部を左側からみた斜視図である。
図5A】ルーフを左側からみた断面図である。
図5B】ルーフを前側からみた断面図である。
図6】ルーフの平面図である。
図7A】ルーフの切欠き部を後方からみた拡大図である。
図7B】ルーフの切欠き部を左後方からみた斜視図である。
図8】ルーフを右前方からみた斜視図である。
図9】保護機構の上部の背面図である。
図10】ルーフの後部と監視装置との位置関係を示す断面図である。
図11】監視装置を左後方からみた斜視図である。
図12】障害物検出器、カメラユニット、及び上カバーの取り付けを示す右後方斜視図である。
図13】障害物検出器及びカメラユニットの揺動を示す右側面図である。
図14】連結ステーの取り付けを示す下方斜視図である。
図15】監視装置、配線、及び架設部を示す平面図である。
図16】保護機構の左側面図である。
図17】ルーフ、中間支柱、支持ステー、カメラユニット、ケーブル、伝送路を示す左側面図である。
図18】支持ステー、及びカバーの取り付けを示す斜視図である。
図19】支持ステー、及びカメラユニットを左前方からみた斜視図である。
図20】第2配策具の取り付けを示す斜視図である。
図21】カメラユニットの揺動を示す背面図である。
図22】ケーブルのルーフ下側への配策を示す底面図である。
図23】配策ステー及びフィルタの取り付けを示す斜視図である。
図24】第1配策ステーを示す斜視図である。
図25】第1配策ステーとルーフとの位置関係を示す断面図である。
図26】第2配策ステーを示す斜視図である。
図27】第2配策ステーとルーフとの位置関係を示す断面図である。
図28】作業車両の側面図である。
図29】作業車両の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図28は、本実施形態に係る作業車両1の全体構成を示す概略側面図である。図29は、作業車両1の概略平面図である。本実施形態では、作業車両1としてトラクタが例示されている。
本実施形態においては、図28図29の矢印A1方向(作業車両1の前進方向)を前方、図28図29の矢印A2方向(作業車両1の後進方向)を後方、図28図29の矢印A3方向を前後方向A3として説明する。したがって、図28の手前側が左方(図29の矢印B1方向)であり、図28の奥側が右方(図29の矢印B2方向)である。また、前後方向A3に直交する水平方向を作業車両(トラクタ)1の幅方向である車体幅方向B3(図29の矢印B3方向)として説明する。作業車両1における車体幅方向B3の中央部から右部、或いは、左部へ向かう方向を幅方向外方として説明する。言い換えれば、幅方向外方とは、車体幅方向B3であって作業車両1の幅方向の中心から離れる方向のことである。幅方向外方とは反対の方向を幅方向内方として説明する。言い換えれば、幅方向内方とは、車体幅方向B3であって作業車両1の幅方向の中心に近づく方向である。また、作業車両1が備えている保護機構9のルーフ16における前後方向A3の中央部及び車体幅方向B3の中央部から外方へ向かう方向を水平方向外方として説明する。言い換えれば、水平方向外方とは、ルーフ16の前後方向A3の中央部及び車体幅方向B3の中央部から水平方向に離れる方向のことである。また、水平方向外方とは反対の方向を水平方向内方として説明する。言い換えれば、水平方向内方とは、ルーフ16の前後方向A3の中央部及び車体幅方向B3の中央部から水平方向に近づく方向のことである。
【0015】
図28に示すように、作業車両1は、車体5を有し、車体5は、原動機6と、伝動ケース7と、連結部5aと、を有する。原動機6は、ディーゼルエンジンである。原動機6は、ガソリンエンジンや電動モータであってもよいし、エンジン及び電動モータを有するハイブリッド型であってもよい。原動機6は、作業車両1の前部に位置し、ボンネット8によって覆われている。
【0016】
伝動ケース7は、例えば、フライホイールを収容するフライホイールハウジングと、フライホイールを介して伝達される原動機6の動力を断続可能に伝達するクラッチを収容するクラッチハウジングと、クラッチを介して伝達される動力を変速する変速装置を収容するミッションケース等と、を直結して構成される。
連結部5aは、車体5の後部に作業装置を連結する。連結部5aは、車体5の後部に揺動自在に設けられており、作業装置(図示略)を着脱可能であり、作業装置を連結部5aに連結することによって、車体5によって作業装置を牽引することができる。作業装置は、耕耘する耕耘装置、肥料を散布する肥料散布装置、農薬を散布する農薬散布装置、収穫を行う収穫装置、牧草等の刈取を行う刈取装置、牧草等の拡散を行う拡散装置、牧草等の集草を行う集草装置、牧草等の成形を行う成形装置(ロールベーラ)等である。
【0017】
図28図29に示すように、車体5は、例えば、複数の車輪2,3を含む車輪型の走行装置4によって走行可能に支持されている。複数の車輪2,3は、車体5の前部の左側及び右側に設けた前輪2(2L,2R)と、車体5の後部の左側及び右側に設けた後輪3(3L,3R)とを含む。
図28図29に示すように、作業車両1は、車体5の後部に搭載された保護機構9を有する。保護機構9は、例えば、オペレータが着座する運転席10を覆うキャビンである。保護機構9は、上部に天井部を形成し、運転席10の上方に設けられたルーフ16を有する。保護機構9の下方には、オペレータが保護機構9に乗り降りする際に足をかける乗降ステップ17が配置されている。乗降ステップ17は、左側及び右側の各乗降ドア14の下方に設けられている。なお、保護機構9は、運転席10の上方を覆うキャノピであってもよく、その構成はキャビンに限定されない。運転席10の前方には、前輪2(2L,2R)を操作するハンドル(ステアリングホイール)11が設けられている。
【0018】
ここで、図1を参照して、作業車両1の走行系の概略構成及び制御系の概略構成を説明する。
図1に示すように、作業車両1は、操舵装置18を備えている。操舵装置18は、オペレータの操作によって車体5の操舵を行う手動操舵と、オペレータの操作によらずに自動的に車体5の操舵を行う自動操舵とを行うことが可能な装置である。操舵装置18は、ハンドル11と、ハンドル11の回転に伴って回転する回転軸(操舵軸)19とを有している。また、操舵装置18は、ハンドル11の操舵を補助する補助機構(パワーステアリング機構)20を有する。詳しくは、補助機構20は、油圧ポンプ21と、油圧ポンプ21から吐出した作動油が供給される制御弁22と、制御弁22により作動するステアリングシリンダ23とを含む。制御弁22は、例えば、スプール等の移動によって切り換え可能な3位置切換弁であり、回転軸19の操舵方向(回転方向)に対応して切り換わる。また、制御弁22は、制御信号に基づいて作動する電磁弁でもある。ステアリングシリンダ23は、前輪2の向きを変えるアーム(ナックルアーム)24に接続されている。
【0019】
オペレータがハンドル11を把持して一方向又は他方向に操作すると、当該ハンドル11の回転方向に対応して制御弁22の切換位置及び開度が切り換わると共に、当該制御弁22の切換位置及び開度に応じてステアリングシリンダ23のピストンロッドが左又は右に移動する。これによって、前輪2の操向方向(操舵方向)を変更することができる。つまり、車体5は、ハンドル11の手動操舵によって、進行方向を左又は右に変更することができる。なお、上述した操舵装置18は一例であり、上述した構成に限定されない。
【0020】
図1に示すように、作業車両1は、制御装置26を備えている。制御装置26は、CPU(中央演算装置: Central Processing Unit)及びEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)などを有するマイクロプロセッサを備えている。
制御装置26は、作業車両1の様々な制御を行う。制御装置26には、作業車両1の駆動状態等を検出する状態検出装置27が接続されている。状態検出装置27は、例えば、走行系の状態を検出する装置等であって、例えば、クランクセンサ、カムセンサ、エンジン回転センサ、アクセルセンサ、車速センサ、操舵角センサ、後述する位置検出装置30等の状態を検出する。なお、状態検出装置27は、走行系の状態以外に、昇降レバー検出センサ、PTO回転検出センサ等であってもよい。制御装置26は、作業車両1における走行系の制御、作業系の制御を行う。制御装置26は、例えば、状態検出装置27が検出した検出状態に基づいて原動機(エンジン)6の回転数、車速、操舵装置18の操舵角等を制御する。また、状態検出装置27は、当該状態検出装置27が検出した検出状態に基づいて、連結部5aの揺動、PTO回転数等の制御を行う。
【0021】
制御装置26には、変速装置60、前後進切換装置61、PTOクラッチ62、ブレーキ装置63が接続されている。制御装置26、変速装置60、前後進切換装置61、PTOクラッチ62、及びブレーキ装置63は、CAN(Controller Area Network)等の車内LAN又は通信線を介して接続されている。これにより、制御装置26は、変速装置60、前後進切換装置61、PTOクラッチ62、及びブレーキ装置63の動作を制御することができる。
【0022】
制御装置26には、車体5(作業車両1)の位置を検出する位置検出装置30が接続されている。制御装置26は、位置検出装置30で検出された位置を取得可能である。位置検出装置30は、衛星測位システム(測位衛星)によって、自己の位置(緯度、経度を含む測位情報)を検出する装置である。即ち、位置検出装置30は、測位衛星から送信された受信信号(測位衛星の位置、送信時刻、補正情報等)を受信し、受信信号に基づいて位置(例えば、緯度、経度)を検出する。
【0023】
また、位置検出装置30は、全地球航法衛星システム(GNSS:Global Navigation Satellite System)の一例である周知のGPS(Global Positioning System)を利用して車体5の位置及び方位を求める。本実施形態においては、移動体の測位に適したRTK-GPSが採用されている。
図1に示すように、位置検出装置30は、受信機31と、無線機32と、慣性計測装置(IMU:Inertial Measurement Unit)33とを有している。
【0024】
受信機31は、アンテナ等を有していて測位衛星から送信された受信信号を受信する。
無線機32は、アンテナ32Aを有していて既知位置に設置された基地局(基準局)と通信する。基地局は、測位衛星からの電波を受信して得た測位データ(補正情報)を位置検出装置30に送信する。位置検出装置30は、測位衛星から送信された電波(信号)と、基地局から送信された測位データ(信号)とを受信し、測位衛星からの電波を受信して得た測位データと、基地局からの測位データとに基づいて、自己の位置(緯度、経度)を検出する。
【0025】
慣性計測装置33は、加速度を検出する加速度センサ、角速度を検出するジャイロセンサ等を有している。この慣性計測装置33によって、車体5のロール角、ピッチ角、ヨー角等を検出することができる。
制御装置26は、作業車両1(車体5)の自動走行の制御(自動走行制御)が可能である。制御装置26は、自動走行モードと、手動走行モードとに切り換え可能である。
【0026】
自動走行モードである場合、制御装置26は、少なくとも車体5の走行位置(位置検出装置30で検出された位置)と、予め設定された走行予定ルート(走行経路)が一致するように、制御弁22の切換位置及び開度を設定する。詳しくは、自動走行モードである場合、制御装置26は、車体5の走行位置と、走行予定ルートで示された位置(走行予定位置)とを比較し、走行位置と走行予定位置とが一致している場合は、操舵装置18におけるハンドル11の操舵角及び操舵方向(前輪2の操舵角及び操舵方向)を変更せずに保持する(制御弁22の開度及び切換位置を変更せずに維持する)。また、制御装置26は、走行位置と走行予定位置とが一致していない場合は、当該走行位置と走行予定位置との偏差(ズレ量)が零となるように、操舵装置18におけるハンドル11の操舵角及び/又は操舵方向を変更する(制御弁22の開度及び/又は切換位置を変更する)。
【0027】
なお、上述した実施形態では、制御装置26は、自動走行制御において、走行位置と走行予定位置との偏差に基づいて操舵装置18の操舵角を変更しているが、これに限定されることはない。例えば、走行予定ルートの方位と作業車両1(車体5)の進行方向(走行方向)の方位(車体5の方位)とが異なる場合、制御装置26は、車体5の方位が走行予定ルートの方位に一致するように操舵角を設定してもよい。また、制御装置26は、自動走行制御において、偏差(位置偏差)に基づいて求めた操舵角と、方位偏差に基づいて求めた操舵角とに基づいて、自動走行制御における最終の操舵角を設定してもよい。上述した実施形態における自動走行制御における操舵角の設定は一例であり、限定されない。
【0028】
制御装置26には、通信アンテナ34と送信機35とが接続されている。通信アンテナ34は、作業車両1を離れた位置から遠隔操作する遠隔操作具との間で、自動走行の開始指令及び停止指令(一旦停止を含む)などの各種の情報を無線通信する。送信機35は、例えば、モバイルやパソコンなどの無線通信端末等との間で構築される無線通信ネットワークを介して各種の信号を送信する無線通信装置である。
【0029】
また、制御装置26には、作業車両1に関する様々な情報を表示可能な表示装置40が接続されている。なお、表示装置40は、操作可能であって、制御装置26を介して作業車両1の設定を変更可能であってもよい。
図1に示すように、作業車両1は、電装品36を備えている。電装品36は、例えば車体5の周囲を監視する監視装置36であり、走行の障害となる障害物を検出する。監視装置36は、車体5の周囲に複数設けられており、それぞれ所定の方向を監視する。監視装置36は、光波によって車体5の周辺の障害物を検出するレーザスキャナを含むレーザユニット(障害物検出器)38と、車体5の周辺を撮影するカメラ(撮影機、撮像装置)を含むカメラユニット39と、の少なくともいずれか一方を有している。
【0030】
具体的には、作業車両1の前部及び後部に設けられた監視装置36は、レーザユニット38と、カメラユニット39の両方を有している。一方、作業車両1の左側部及び右側部に設けられた監視装置36は、カメラユニット39を有している。つまり、レーザユニット38は、例えば、車体5の前方及び後方において近距離から遠距離にわたって存在する障害物を検出し、カメラユニット39は、保護機構9の上部の前部、後部、左側部及び右側部に1つずつ設けられており、車体5の全周辺領域を撮影する。なお、監視装置36は、上記構成に限定されず、障害物検出器38としてレーザユニットに代えて、或いは加えてレーザユニットとは別の測距センサを有していてもよい。例えば、監視装置36は、音波(超音波)によって車体5の周辺の障害物を検出する1つ以上のソナーを含むソナーユニット(障害物検出器)を有していてもよい。斯かる場合、ソナーユニットは、例えば、作業車両1の前部、後部、左側部及び右側部に2つずつ設けられており、車体5付近のほぼ全周領域にわたって近距離に存在する障害物を検出する。
【0031】
また、制御装置26には、画像処理装置41と、監視制御装置(監視ECUという)42とが接続されている。
レーザユニット38は、制御装置26に接続されている。レーザスキャナは、レーザの照射から受光までの時間に基づいて車体5に対する近距離において障害物が接近しているか否かなどを判別し、判別結果を制御装置26に出力する。
【0032】
画像処理装置41には、カメラユニット39が接続されており、カメラユニット39が撮影した画像を処理し、その結果を制御装置26に出力する。
監視ECU42は、CPU、電気回路、電子回路等で構成されていて、制御装置26から障害物の検出結果を取得し、その障害物の検出結果に基づいて自動走行を制御する。例えば、監視装置36が障害物を検出していない場合は自動走行を継続して行い、監視装置36が障害物を検出した場合に自動走行を停止する。より具体的には、監視装置36が障害物を検出した場合に、監視ECU42は、障害物と作業車両1との距離が予め定められた距離以下である場合に、作業車両1を停止することで自動走行を停止する。
【0033】
ここで、監視装置36が障害物を検出した場合(車体5に障害物が接近した状態にあると判別した場合)に監視ECU42が実行する制御について説明する。監視ECU42は、当該監視ECU42に接続された制御装置26を介して、変速装置60、前後進切換装置61、PTOクラッチ62、ブレーキ装置63の動作を制御する。具体的には、監視ECU42は、変速装置60を減速側に作動させて車速を低下させる。また、監視ECU42は、前後進切換装置61を中立状態に切り換えるとともに、ブレーキ装置63を作動させる。これにより、作業車両1の自動走行が停止される。さらに、監視ECU42は、PTOクラッチ62をオフ状態に切り換えて、作業車両1のPTO軸から作業装置への動力伝達を遮断する。これにより、作業装置の駆動が停止される。
【0034】
図1図28に示すように、作業車両1は、車体5の周辺で点灯するランプを備えており、当該ランプは照明灯(ワークランプ)81、積層表示灯85を含む。
照明灯81は、夕暮れ時や夜間等において作業をする際などにおいて、車体5の周辺を照らすランプであり、作業灯とも称される。照明灯81は、車体5の前方、側方、及び後方を照らす事が出来る。詳しくは、照明灯81は、車体5の前方を照らす前照射灯82と、車体5の側方(幅方向外方)を照らす側方照射灯83と、車体5の後方を照らす後方照射灯84と、を含む。
【0035】
積層表示灯85は、自動走行モードの車体5の運転状況などを外部から視認可能に表示する表示灯である。積層表示灯85は、それぞれ異なる表示形態を有する複数(本実施形態においては3つ)の表示部85a,85b,85cを有しており、複数の表示部85a,85b,85cは、例えば上下方向(鉛直方向)に並ぶ縦長の円柱形状である。図28に示すように、積層表示灯85は、例えば、中間支柱47の上下方向の中途部に取り付けられており、幅方向外方であって、上方に延びて配置されている。複数の表示部85a,85b,85cは、制御装置26から入力された信号に基づいて表示形態を異ならせる。複数の表示部85a,85b,85cは、例えばそれぞれが点灯、及び消灯することで表示形態を異ならせるランプである。複数の表示部85a,85b,85cは、緑色に点灯する第1表示部85aと、黄色に点灯する第2表示部85bと、赤色に点灯する第3表示部85cである。第1表示部85aは、車体5が自動走行モードである場合に点灯し、第2表示部85bは、車体5が自動走行モードによる一時停止中に点灯する。また、第3表示部85cは、車体5が自動走行モードによる緊急停止中に点灯し、位置検出装置の測位衛星からの受信信号の受信が不安定な状態に点滅する。
【0036】
図2に示すように、保護機構9は、該保護機構9の骨組みを構成するフレーム(保護機構フレーム)44を有する。保護機構フレーム44は、複数の支柱45と、支持フレーム49と、を有している。複数の支柱45は、一対の前支柱(フロントピラー)46と、一対の中間支柱(センタピラー、クォータピラー)47と、一対の後支柱(リヤピラー)48と、を含んでいる。
【0037】
図2図3に示すように、一対の前支柱46は、車体幅方向B3に離反して車体5に立設されており、乗降ステップ17の上方(乗降ステップ17よりも高い位置)にあり、保護機構9の前部に位置する。一対の前支柱46は、第1前支柱46L及び第2前支柱46Rを含む。第1前支柱46Lは、保護機構フレーム44(保護機構9)の前部の車体幅方向B3の一方側(左側)に位置する。第2前支柱46Rは、保護機構フレーム44(保護機構9)の前部の車体幅方向B3の他方側(右側)に位置する。
【0038】
図2図3に示すように、一対の後支柱48は、車体幅方向B3に離反して車体5に立設されており、保護機構9の後部に位置する。一対の後支柱48は、第1後支柱48L及び第2後支柱48Rを含む。第1後支柱48Lは、保護機構フレーム44の背面の一方側に位置する。第2後支柱48Rは、保護機構フレーム44の背面の他方側に位置する。
図2図3に示すように、一対の中間支柱47は、車体幅方向B3に離反して車体5に立設されており、一対の前支柱46と一対の後支柱48との間に位置している。即ち、一対の中間支柱47は、保護機構9の前後方向A3の中途部に位置する。一対の中間支柱47は、第1中間支柱47L及び第2中間支柱47Rを含む。第1中間支柱47Lは、保護機構フレーム44の一側面(左側面)の前後方向A3の中途部に位置する。第2中間支柱47Rは、保護機構フレーム44の他側面(右側面)の前後方向A3の中途部に位置する。
【0039】
なお、本実施形態において、複数の支柱45は、一対の前支柱46と、一対の中間支柱47と、一対の後支柱48と、を含んでいるが、複数の支柱45の構成は、上記構成に限定されず、例えば、複数の支柱45は、一対の前支柱46と、一対の後支柱48と、を含み、一対の中間支柱47を含まないような構成であってよい。
図3に示すように、支持フレーム49は、複数の支柱45の上部を連結する。即ち、支持フレーム49は、一対の前支柱46の上部と、一対の中間支柱47の上部と、一対の後支柱48の上部と、を連結する。支持フレーム49には、ルーフ16が取り付けられ、支持フレーム49は、ルーフ16の前部から後部に亘って当該ルーフ16を支持する。図3に示すように、支持フレーム49は、車体5及び複数の支柱45とともに開口55を形成する。具体的には、支持フレーム49は、フロント支持フレーム49Aと、第1サイド支持フレーム49Lと、第2サイド支持フレーム49Rと、リヤ支持フレーム49Bとを有する。
【0040】
フロント支持フレーム49Aは、第1前支柱46Lと第2前支柱46Rの上部同士を連結し、フロント支持フレーム49Aは、ルーフ16の前部を支持する。フロント支持フレーム49Aは、車体5、第1前支柱46L、及び第2前支柱46Rとともに開口55(前部開口55a)を形成する。
第1サイド支持フレーム49Lは、第1前支柱46Lと第1中間支柱47Lの上部同士を連結し、ルーフ16の車体幅方向B3(車体5の幅方向)の一方側である左側を支持する。第1サイド支持フレーム49Lは、車体5、第1前支柱46L、及び第1中間支柱47Lとともに開口55(左側部開口55b)を形成する。
【0041】
第2サイド支持フレーム49Rは、第2前支柱46Rと第2中間支柱47Rの上部同士を連結し、ルーフ16の車体幅方向B3の他方側である右側を支持する。第2サイド支持フレーム49Rは、車体5、第2前支柱46R、及び第2中間支柱47Rとともに開口55(右側部開口55c)を形成する。
リヤ支持フレーム49Bは、第1中間支柱47Lと第2中間支柱47Rの上部同士及び第1後支柱48Lと第2後支柱48Rの上部同士を連結し、ルーフ16の後部を支持する。リヤ支持フレーム49Bは、車体5、第1中間支柱47L、及び第1後支柱48Lとともに開口55(左後部開口55d)を形成し、車体5、第2中間支柱47R、及び第2後支柱48Rとともに開口55(右後部開口55e)を形成し、車体5、第1後支柱48L、及び第2後支柱48Rとともに開口55(後部開口55f)を形成する。
【0042】
図3に示すように、支持フレーム49は、前部に、第1サイド支持フレーム49Lと第2サイド支持フレーム49Rとにわたって設けられた前部フレーム50を有する。前部フレーム50は、一方側が第1補強フレーム51Lによってフロント支持フレーム49Aに連結され、他方側が第2補強フレーム51Rによってフロント支持フレーム49Aに連結されている。支持フレーム49は、後部に、リヤ支持フレーム49Bの左と右の前端部間に架設された後部フレーム52を有する。
【0043】
図28に示すように、保護機構9は、フロントガラス(前窓部)12と、リヤガラス(後窓部)13と、クォータガラス(リヤサイドガラス)15と、を有している。フロントガラス12は、第1前支柱46Lと第2前支柱46Rとの間に配置され、前部開口55aを覆う。リヤガラス13は、第1後支柱48Lと第2後支柱48Rとの間に配置され、後部開口55fを覆う。リヤガラス13の上端は、リヤ支持フレーム49Bに揺動可能に取り付けられており、開閉自在である。図16に示すように、リヤガラス13の後上部には、当該リヤガラス13の外面に接触しながら往復移動し、且つ雨水や水滴の拭き取りを行うワイパー13aが設けられている。クォータガラス15は、第1中間支柱47Lと第1後支柱48Lとの間に配置され、左後部開口55dを覆い、第2中間支柱47Rと第2後支柱48Rとの間に配置され、右後部開口55eを覆う。
【0044】
保護機構9は、左側部開口55b、及び右側部開口55cを開閉する乗降ドア14が設けられている。左側部開口55bを開閉する乗降ドア14は、第1中間支柱47Lに設けられたヒンジによって、揺動可能に取り付けられており、開閉可能である。一方、右側部開口55cを開閉する乗降ドア14は、第2中間支柱47Rに設けられたヒンジによって、揺動可能に取り付けられており、開閉可能である。
【0045】
以下、保護機構内部の運転席10の周辺について説明する。図4に示すように、運転席10の周囲には、コンソールボックス(操作台)56と、支持取付部57と、予備取付部58と、が設けられている。コンソールボックス56は、運転席10の側方、つまり機体幅方向両側に一対配置されている。コンソールボックス56には、例えば作業車両1を操作する操作装置が配置される。
【0046】
支持取付部57は、コンソールボックス56に固定されており、表示装置40を支持する。支持取付部57は、コンソールボックス56の前部から上方に延びている支持柱57aと、支持柱57aの上端に取り付けられ、表示装置40を載置する載置具57bと、を有している。
予備取付部58は、支持取付部57に代えて、或いは加えて表示装置40を支持する。つまり、表示装置40は、支持取付部57と予備取付部58とのいずれか一方に載置することができ、表示装置40が複数ある場合には、支持取付部57と予備取付部58とにそれぞれ載置することができる。予備取付部58は、例えば、厚板鋼板を折り曲げ加工することで形成された部材であり、第2中間支柱47Rの上下方向の中途部と、第2後支柱48Rの上下方向の中途部と、の間に設けられている。予備取付部58は、第2中間支柱47R及び第2後支柱48Rにボルト等の締結部材等の固定手段により取り付けられている。なお、本実施形態において、予備取付部58は、第1中間支柱47Lの上下方向の中途部と、第1後支柱48Lの上下方向の中途部と、の間に配置されていてもよいし、その構成は上記構成に限定されない。
【0047】
図5A図5Bに示すように、ルーフ16は、インナルーフ16A及びアウタルーフ16Bを有している。
図5Aに示すように、インナルーフ16Aは、ルーフ16の下部に配置されている。インナルーフ16Aの前部は、フロント支持フレーム49Aの下部に取り付けられている。インナルーフ16Aの後部は、リヤ支持フレーム49Bの下部に取り付けられている。図5Bに示すように、インナルーフ16Aの左部は、第1サイド支持フレーム49Lの下部に取り付けられている。インナルーフ16Aの右部は、第2サイド支持フレーム49Rの下部に取り付けられている。
【0048】
図5A図5Bに示すように、アウタルーフ16Bは、インナルーフ16Aの上部を覆うように配置されている。アウタルーフ16Bは、上部材16B1と下部材16B2とから構成されている。上部材16B1は、アウタルーフ16Bの上面を構成している。図6に示すように、上部材16B1は、平面視において略矩形状の部材であり、図5A図5Bに示すように、中央部から外縁部に向かって下方に傾斜し、外縁部の端部16b1は、水平方向外方に突出している。
【0049】
下部材16B2は、アウタルーフ16Bの下面を構成しており、平面視において略矩形状の部材であり、上部材16B1と対応している。図5A図5Bに示すように、下部材16B2は、外縁部が外側に向かって上方に傾斜し、外縁部の端部16b2は、水平方向外方に突出している。下部材16B2の外縁部の端部16b2は、上部材16B1の外縁部の端部16b1と、溶接やボルト止め等の手段によって連結されており、上部材16B1と一体とされている。
【0050】
図5Aに示すように、アウタルーフ16Bの前部は、フロント支持フレーム49Aの上部に取り付けられている。アウタルーフ16Bの後部は、リヤ支持フレーム49Bの上部に取り付けられている。図5Bに示すように、アウタルーフ16Bの左部は、第1サイド支持フレーム49Lの上部に取り付けられている。アウタルーフ16Bの右部は、第2サイド支持フレーム49Rの上部に取り付けられている。
【0051】
図6に示すように、ルーフ16(アウタルーフ16B)の上面には、切欠き部90が形成されている。切欠き部90は、上下方向に切り欠くことで形成されており、ルーフ16の外縁部からルーフ16の中央部に向かって凹んでいる窪みである。例えば当該切欠き部90が形成する空間には、監視装置36が配置される。本実施形態において、切欠き部90は、ルーフ16の後部に形成されており、より具体的には、ルーフ16の外縁部のうち後部の車体幅方向B3の中央に形成されている。
【0052】
図6に示すように、切欠き部60の後側における車体幅方向B3の長さE1は、切欠き部60の前側における車体幅方向B3の長さE2よりも長い。即ち、切欠き部90は、前方から後方に向かうにつれて、車体幅方向B3の長さが広く、平面視で末広がりである。なお、本実施形態において、切欠き部90は、前方から後方に向かうにつれて、車体幅方向B3の長さが広くなっているが、切欠き部60の後側における車体幅方向B3の長さE1と、切欠き部60の前側における車体幅方向B3の長さE2と、が同一であって、切欠き部90は、前方から後方に向かうにつれて、車体幅方向B3の長さが同一であるような形状(ストレート形状)であってもよい。
【0053】
また、図10に示すように、切欠き部60の後側における上下方向の厚みF1は、切欠き部60の前側における上下方向の厚みF2よりも小さい。即ち、切欠き部90は、前方から後方に向かうにつれて、上下方向の厚みが小さく、側方視で先細り形状である。
図7Aに示すように、当該切欠き部90には、支持フレーム49の後方に配置された監視装置36が位置し、監視装置36は、少なくとも一部がルーフ16の上面よりも上方に位置している。なお、本実施形態において、切欠き部90は、ルーフ16の上面の後部の車体幅方向B3の中央に形成されているが、電装品(監視装置)36の少なくとも一部をルーフ16の上面よりも上方に位置できればよく、その位置はルーフ16の上面の後部以外の位置であってもよい。また、電装品36として監視装置36を切欠き部90に配置しているが、監視装置36以外の電装品36、例えば照明灯81等を配置してもよい。
【0054】
図7Aに示すように、切欠き部90は、上部材16B1に形成された第1側内壁90a、第2側内壁90b、及び第1傾斜壁90c、並びに下部材16B2に形成された第3側内壁90d、第4側内壁90e、及び第2傾斜壁90fを有している。
図7Aに示すように、第1側内壁90aは、切欠き部90の左側上部を形成する壁部である。第1側内壁90aは、上部材16B1の外縁部において、左上方から右下方に向かって傾斜しており壁面が右上方を向いている。第1側内壁90aの下端には、右方に向かって延設された第1縁部90a1が形成されている。
【0055】
図7Aに示すように、第2側内壁90bは、切欠き部90の右側上部を形成する壁部である。第2側内壁90bは、上部材16B1の外縁部において、右上方から左下方に向かって傾斜しており壁面が左上方を向いている。即ち、第1側内壁90aと第2側内壁90bは、車体幅方向B3において互いに離反して配置されている。第2側内壁90bの下端には、左方に向かって延設された第2縁部90b1が形成されている。
【0056】
図7Bに示すように、第1傾斜壁90cは、切欠き部90の前側上部を形成する壁部である。第1傾斜壁90cは、上部材16B1の上面から後下方に向かって傾斜しており壁面が後上方を向いている。つまり、第1傾斜壁90cは、前上方から後下方に向かって傾斜している。第1傾斜壁90cの下端には、下後方に向かって延設された第3縁部90c1が形成されている。第1傾斜壁90cの左側は、第1側内壁90aの前側と連結されており、第1傾斜壁90cの右側は、第2側内壁90bの前側と連結されている。このため、図7Bに示すように、第1側内壁90a、第2側内壁90b、及び第1傾斜壁90cは、連続した壁面を形成し、且つ窪みを形成している。
【0057】
図7Aに示すように、第3側内壁90dは、切欠き部90の左側下部を形成する壁部である。第3側内壁90dは、下部材16B2の外縁部において、右上方から左下方に向かって傾斜しており、壁面が右下方を向いている。第3側内壁90dの上端には、右方に向かって延設された第4縁部90d1が形成されている。
図7Aに示すように、第4側内壁90eは、切欠き部90の右側上部を形成する壁部である。第4側内壁90eは、下部材16B2の外縁部において、左上方から右下方に向かって傾斜しており壁面が左下方を向いている。即ち、第3側内壁90dと第4側内壁90eは、車体幅方向B3において互いに離反して対面配置されている。第4側内壁90eの上端には、左方に向かって延設された第5縁部90e1が形成されている。
【0058】
図7Bに示すように、第2傾斜壁90fは、切欠き部90の前側下部を形成する壁部である。図10に示すように、第2傾斜壁90fは、下部材16B2の下面から上後方に向かって傾斜しており壁面が後下方を向いている。つまり、第2傾斜壁90fは、前下方から後上方に向かって傾斜している。第2傾斜壁90fの上端には、下後方に向かって延設された第6縁部90f1が形成されている。第2傾斜壁90fの左側は、第3側内壁90dの前側と連結されており、第2傾斜壁90fの右側は、第4側内壁90eの前側と連結されている。このため、第3側内壁90d、第4側内壁90e、及び第2傾斜壁90fは、連続した壁面を形成し、且つ窪みを形成している。
【0059】
なお、本実施形態において、切欠き部90は、ルーフ16の外縁部のうち後部の中央部に形成されているが、切欠き部90をルーフ16の外縁部のうち後部以外、例えば側部に形成してもよい。斯かる場合、切欠き部90が形成する空間には、作業車両1の側部に配置された監視装置36等の電装品を位置することができる。
また、図6図8に示すように、ルーフ16(アウタルーフ16B、上部材16B1)には、第1溝部91、第2溝部92、及び堰き止め部93が形成されている。第1溝部91及び第2溝部92は、ルーフ16の上面よりも下方に窪んでいる凹溝であって、ルーフ16の上面を流れる雨水等をルーフ16の外縁部に向かって案内する経路である。第1溝部91及び第2溝部92は、所定方向に延びて形成されており、当該方向に沿って雨水を案内する。
【0060】
図6図8に示すように、第1溝部91は、上部材16B1(アウタルーフ16B、ルーフ16)の上面であって、切欠き部90の監視装置36とは反対側に形成されており、切欠き部90から離れる方向に延びている。具体的には、第1溝部91は、上部材16B1の中央部と切欠き部90との間に形成され、監視装置36の離反方向に延びている。本実施形態においては、第1溝部91は、ルーフ16の後部であって、且つ切欠き部90の前側に形成されており、車体幅方向B3に延びている。第1溝部91は、車体幅方向B3の中央部から外方に移行するにつれて、前方から後方に向かって湾曲している。
【0061】
図9に示すように、第1溝部91は、複数の支柱45の間に開閉自在に設けられた窓部の側端部の外側に達している。本実施形態において、窓部は、リヤガラス13であり、第1溝部91の一方側(左側)の端部は、リヤガラス13の左端部の外側(左方)に達している。一方、第1溝部91の他方側(右側)の端部は、リヤガラス13の右端部の外側(右方)に達している。また、第1溝部91は、ルーフ16を支持する複数の支柱45のうち一の支柱45と他の支柱45の外側に達している。本実施形態においては、第1溝部91の一方側(左側)の端部は、ルーフ16の後部を支持する一対の後支柱48のうち第1後支柱48Lの左側に達しており、第1溝部91の他方側(右側)の端部は、ルーフ16の後部を支持する一対の後支柱48のうち第2後支柱48Rの右側に達している。また、図6に示すように、第1溝部91の一方側(左側)の端部は、左後方に向いて屈曲し、第1溝部91の他方側(右側)の端部は、右後方に向いて屈曲している。
【0062】
図6図8に示すように、第2溝部92は、上部材16B1(アウタルーフ16B、ルーフ16)の上面であって、第1溝部91を基準として、監視装置36の反対側に形成されており、監視装置36の離反方向に延びている。図5Aに示すように、第2溝部92は、第1溝部91と異なる深さであり、第2溝部92の深さD2は、第1溝部91の深さD1よりも浅い。言い換えると、第1溝部91の深さD1は、第2溝部92の深さD2よりも深い。また、図6に示すように、第2溝部92の車体幅方向B3の長さL2は、第1溝部91の車体幅方向B3の長さL1よりも長い。第2溝部92について詳しく説明すると、第2溝部92は、第1部分92a、第2部分92b、第3部分92c、第4部分92d、第5部分92e、及び第6部分92fを含んでいる。第1部分92aは、第1溝部91の前側に形成されており、第1部分92aは、車体幅方向B3の中央部から外方に移行するにつれて、後方から前方に向かって湾曲している。本実施形態において、第1部分92aは、車体幅方向B3の中央から左前方及び右前方に湾曲して延びており、第1部分92a(第2溝部92)は、第1溝部91と異なる方向に向かって湾曲している。
【0063】
図6図8に示すように、第2部分92bは、上部材16B1(アウタルーフ16B、ルーフ16)の前部に形成されており、第1部分92aの前側に形成されている。即ち、第1溝部91、第1部分92a、第2部分92bは、後方から順に形成されている。第2部分92bは、中途部が車体幅方向B3に延び、左端部が中途部の左端から左前方に湾曲して延びており、右端部が中途部の右端から右前方に湾曲して延びている。
【0064】
図6図8に示すように、第3部分92c、第4部分92d、第5部分92e、及び第6部分92fは、上部材16B1(アウタルーフ16B、ルーフ16)の左側及び右側に形成されており、前側が幅方向内方に延びており、後側が幅方向外方に延びている。第3部分92cと第4部分92dは、対応しており、車体幅方向B3に離反して形成されている。第5部分92eと第6部分92fは、対応しており、車体幅方向B3に離反して形成されている。
【0065】
具体的には、第3部分92cは、上部材16B1(アウタルーフ16B、ルーフ16)の左側に形成されている。第3部分92cは、第2部分92bの中途部の左端から後方に向かって延び、第1部分92aの左端部に達している。第4部分92dは、上部材16B1(アウタルーフ16B、ルーフ16)の右側に形成されている。第4部分92dは、第2部分92bの中途部の右端から後方に向かって延び、第1部分92aの右端部に達している。
【0066】
第5部分92eは、上部材16B1(アウタルーフ16B、ルーフ16)の左側、且つ、第3部分92cの左方に形成されている。第5部分92eは、第2部分92bの左端部から後方に延び、第1部分92aの左端と接続され、上部材16B1の後端に達している。第6部分92fは、上部材16B1(アウタルーフ16B、ルーフ16)の右側、且つ、第4部分92dの右方に形成されている。第6部分92fは、第2部分92bの右端部から後方に延び、第1部分92aの右端と接続され、上部材16B1の後端に達している。
【0067】
図5A図8図10に示すように、堰き止め部93は、上部材16B1(アウタルーフ16B、ルーフ16)の上面から上方に隆起し、当該上部材16B1の上面において監視装置36に向かって流れる雨水を堰き止める。具体的には、堰き止め部93は、第1溝部91と切欠き部90との間に延び、上部材16B1(アウタルーフ16B、ルーフ16)の上面に形成されている。本実施形態において、堰き止め部93は、上部材16B1の後部に形成されており、第1溝部91の前側において上方に隆起している。図5Aに示すように、本実施形態において、堰き止め部93の上端は、上部材16B1の中央部よりも高く、少なくとも上部材16B1において堰き止め部93以外の面よりも上方に位置している。つまり、堰き止め部93の上端は、上部材16B1(アウタルーフ16B、ルーフ16)における最も上部に位置している部分(最上部)である。また、図9に示すように、堰き止め部93の車体幅方向B3の長さL3は、第1溝部91の車体幅方向B3の長さL1よりも短い。具体的には、堰き止め部93の一方側(左側)の端部は、第1溝部91の一方側(左側)の端部よりも右方に位置しており、堰き止め部93の他方側(右側)の端部は、第1溝部91の他方側(右側)の端部よりも左方に位置している。
【0068】
以下、作業車両1に設けられた監視装置36について詳しく説明する。まず、作業車両1の後部に設けられ、車体5の後方を監視する監視装置36の構成、及び取り付けについて説明する。図10に示すように、作業車両1の後部に設けられた監視装置36は、支持フレーム49の後方に配置されており、障害物検出器38及びカメラユニット39を固定する固定ブラケット100と、障害物検出器38及びカメラユニット39の上方を覆う上カバー105と、を有している。
【0069】
図10図11図12に示すように、固定ブラケット100は、第1固定具101と、第2固定具102と、第3固定具103と、第4固定具104と、を有している。第1固定具101、第2固定具102、第3固定具103、及び第4固定具104は、例えば厚板鋼板を折り曲げ加工することで形成されている。図11図12に示すように、第1固定具101は、障害物検出器38が固定されている部分であり、例えば側方視において略門形状である。第1固定具101は、ボルト等の締結具といった取り付け手段によって障害物検出器38が取り付けられる第1固定板101aと、第1固定板101aの上端から後下方に延設された第2固定板101bと、第1固定板101aの下端から後下方に延設された第3固定板101cと、を有している。つまり、第2固定板101bと第3固定板101cとは、対面配置されており、第2固定板101bと第3固定板101cとの間に障害物検出器38が配置される。
【0070】
図12に示すように、第2固定具102は、例えば前方視において略門形状であり、第1固定板102aと、第1固定板102aの車体幅方向B3の両端部から下方に延設された第2固定板102bと、を有している。第1固定板102aにはボルト等の締結具や溶接等の取り付け手段によって、第1固定具101の第3固定板101cが固定されている。第2固定板102bの中央部には、車体幅方向B3に貫通する孔102b1が形成されている。また、第2固定板102bには、前部から後方に切欠かれ、且つ上方に切り欠かれた係止部102b2が形成されている。
【0071】
図11図12に示すように、第3固定具103は、例えば平面視において略門形状であり、第1固定板103aと、第1固定板103aの車体幅方向B3の両端部から後方に延設された第2固定板103bと、を有している。図13に示すように、第2固定板103bの後側上部と後側下部には、車体幅方向B3に貫通する孔103b1が形成されている。孔103b1は、上側の孔103b1と下側の孔103b1との中央(揺動軸)を中心とした仮想円の円周に沿って延びる長孔である。カメラユニット39は、孔103b1に挿通されたボルト等の締結部材によって、第3固定具103に取り付けられている。なお、締結部材を緩めると、図13に示すように、締結部材によって、孔103b1が案内されることで揺動軸廻りにカメラユニット39を揺動し、カメラユニット39の光軸を調整することができる。
【0072】
図11図12に示すように、第4固定具104は、第2固定具102及び第3固定具103を支持する部分であり、例えば、平面視において略門形状である。第4固定具104は、第1固定板104aと、第1固定板104aの車体幅方向B3の両端部から前方に延設された第2固定板104bと、を有している。第1固定板104aの後部にはボルト等の締結具や溶接等の取り付け手段によって、第3固定具103の第1固定板103aが固定されている。第2固定板104bの前側には、車体幅方向B3に延びる軸材104b1が貫通している。軸材104b1には、第2固定具102の係止部102b2が係止される。また、第2固定板104bの軸材104b1の後方には、車体幅方向B3に延びる孔104b2が形成されている。図13に示すように、孔104b2は、軸材104b1の中心軸を中心とした仮想円の円周に沿って延びる長孔である。なお、締結部材を緩めると、締結部材によって、孔104b2が案内されることで揺動軸廻りに第2固定具102を揺動させ、障害物検出器38の位置、及び角度を調整することができる。
【0073】
なお、固定ブラケット100は、カメラユニット39及び障害物検出器38を揺動可能に支持することで当該カメラユニット39の光軸並びに障害物検出器38の位置及び角度を調整できる構成であればよく、その構成は、上記構成に限定されない。
図10図11図12に示すように、上カバー105は、例えば、厚板鋼板を折り曲げ加工することで形成されており、前壁106と、後壁107と、周壁108と、を有している。図11図10に示すように、前壁106は、障害物検出器38、及び/又はカメラユニット39の前上方を覆う。本実施形態において、前壁106は、上カバー105の前部を構成し、障害物検出器38の前上方を覆う。前壁106は、後上方から前下方に傾斜し、板面が前上方を向いて配置されており、第1固定具101の第1固定板101aと固定される。後壁107は、障害物検出器38、及び/又はカメラユニット39の後上方を覆う。本実施形態において、後壁107は、障害物検出器38の後上方を覆う。後壁107は、上カバー105の後部を構成し、前上方から後下方に傾斜し、板面が後上方を向いて配置されている。周壁108は、後壁107の後端、左端、及び右端から前下方に延びており、障害物検出器38の後上方、左上方、及び右上方を覆う。
【0074】
図14に示すように、保護機構9は、第1ブラケット111と、第2ブラケット112と、連結ステー113と、を備えており、作業車両1の後部に設けられた監視装置36は、当該第1ブラケット111、第2ブラケット112、及び連結ステー113を介して支持フレーム49(リヤ支持フレーム49B)の後方に配置されている。
図14に示すように、第1ブラケット111は、保護機構9の後部から後方に延設されており、具体的には、リヤ支持フレーム49Bの幅方向の一方側(左側)から当該リヤ支持フレーム49Bよりも後方に延設されている。第1ブラケット111は、リヤ支持フレーム49Bの幅方向の左端よりも右側寄りの位置から当該リヤ支持フレーム49Bよりも後方に延設されている。第1ブラケット111は、リヤ支持フレーム49Bとルーフ16との取付位置よりも後方に延びている。また、図10に示すように、第1ブラケット111の後端は、ルーフ16の後端よりも前方に位置している。第1ブラケット111の前端は、リヤ支持フレーム49Bに溶接等の固定手段によって取り付けられている。第1ブラケット111は、前後方向A3に長尺の板状部材であり、板面が車体幅方向B3に向くよう配置されている。第1ブラケット111には、前後方向A3に並び、且つ車体幅方向B3に貫通する孔111aが複数形成されている。
【0075】
図14に示すように、第2ブラケット112は、保護機構9の後部から後方に延設されており、具体的には、リヤ支持フレーム49Bの幅方向の他方側(右側)から当該リヤ支持フレーム49Bよりも後方に延設されている。第2ブラケット112は、リヤ支持フレーム49Bの幅方向の右端よりも左側寄りの位置から当該リヤ支持フレーム49Bよりも後方に延設されている。第2ブラケット112は、リヤ支持フレーム49Bとルーフ16との取付位置よりも後方に延びている。また、図10に示すように、第2ブラケット112の後端は、ルーフ16の後端よりも前方に位置している。第2ブラケット112は、第1ブラケット111と車体幅方向B3に離反して配置されており、第1ブラケット111及び第2ブラケット112の車体幅方向B3の長さは、支持フレーム49の車体幅方向B3の長さよりも短く、作業車両1の車体幅方向B3の長さよりも短い。第2ブラケット112の前端は、リヤ支持フレーム49Bに溶接等の固定手段によって取り付けられている。第2ブラケット112は、前後方向A3に長尺の板状部材であり、板面が車体幅方向B3に向くよう配置されている。第2ブラケット112には、前後方向A3に並び、且つ車体幅方向B3に貫通する孔112aが複数形成されている。
【0076】
なお、本実施形態において、第1ブラケット111及び第2ブラケット112は、支持フレーム49から後方に延設されているが、保護機構9の後部から当該保護機構9の後方に延設されていればよく、その取り付け位置は、支持フレーム49に限定されない。例えば、第1ブラケット111及び第2ブラケット112は、一対の後支柱48から当該後支柱48の後方に延設されていてもよい。斯かる場合、第1ブラケット111は、一対の後支柱48のうち、車体幅方向B3の一方側(左側)の後支柱48(第1後支柱48L)から当該第1後支柱48Lの後方に延設される。一方、第2ブラケット112は、一対の後支柱48のうち、車体幅方向B3の他方側(右側)の後支柱48(第2後支柱48R)から当該第2後支柱48Rの後方に延設される。
【0077】
図14に示すように、連結ステー113は、第1ブラケット111と、第2ブラケット112との間に架設され、第1ブラケット111及び第2ブラケット112を連結し、車体幅方向B3の中央部に監視装置36を支持する。また、連結ステー113は、リヤ支持フレーム49Bとは別にルーフ16の後部を支持する。詳しく説明すると、連結ステー113は、架設部114と、一対の支持ブラケット119と、を有している。
【0078】
図12に示すように、架設部114は、車体幅方向B3に延びて配置された長尺の板状部材であり、例えば厚板鋼板を折り曲げ加工することで形成されている。架設部114の一方側(左側)の端部には、車体幅方向B3に貫通する孔114aが形成されており、当該孔114aと第1ブラケット111の孔111aとにボルト等の締結部材を挿通することで、架設部114の左側の端部と第1ブラケット111とが連結される。架設部114の他方側(右側)の端部には、一方側と同様に車体幅方向B3に貫通する孔114aが形成されており、当該孔114aと第2ブラケット112の孔112aとにボルト等の締結部材を挿通することで、架設部114の右側の端部と第2ブラケット112とが連結される。なお、本実施形態において、架設部114と第1ブラケット111及び第2ブラケット112との連結手段は、ボルト等の締結部材であるが、締結部材に限定されず、溶接等の固定手段によって連結されていてもよい。
【0079】
図12図15に示すように、架設部114の車体幅方向B3の中央部の上面には、ボルト等の締結部材や溶接等の固定手段によって、第4固定具104が固定されており、監視装置36が支持されている。詳しくは、第4固定具104の側面の前側下端と架設部114の上面とが固定されており、監視装置36は、架設部114の後端から後方に突出している。
【0080】
また、架設部114には、様々な装置、部材を取付固定可能である。本実施形態において、架設部114には、上下方向に貫通する孔114bが複数形成されており、当該孔114bは、架設部114の車体幅方向B3の両側や架設部114の中央部に形成されている。架設部114は、例えば、図14に示すように、アンテナ115を支持することができる。アンテナ115は、立設具116と、架設部114に形成された孔114b及び締結部材等を介して架設部114に取り付けられる。アンテナ115は、例えば他の作業車両1と通信可能なアンテナであり、他の機器と通信可能なアンテナであってもよい。なお、アンテナ115は、架設部114に取り付けられていればよく、その構成は、上記構成に限定されない。例えば、後述する照明支持部120,121を介して、架設部114に取り付けられるような構成であってもよい。
【0081】
図15に示すように、架設部114には、中央部に形成された孔114cを介して、監視装置36に電源を供給、又は監視装置36と制御装置26とを接続する電線やコード等の配線117を配策可能である。詳しくは、配線117の中途部に設けられたコネクタ118を締結部材や、インシュロック等の固定手段を用いて孔114cに取付固定する。配線117は、監視装置36からルーフ16に形成された孔、及び孔に取り付けられたグロメット151に配策されており、架設部114に取付固定されたコネクタ118によって、監視装置36側の配線117と、ルーフ16の内部側の配線117と、が接続されている。
【0082】
架設部114の車体幅方向B3の両側には、一対の支持ブラケット119を取り付ける取付具114dが設けられている。取付具114dは、第4固定具104の車体幅方向B3の一方側(左側)及び他方側(右側)に設けられており、即ち、取付具114dは、作業車両1の後部に設けられた監視装置36の車体幅方向B3の両側に設けられている。また、取付具114dは、例えば、車体幅方向B3の両側に形成された孔114bよりも内側に設けられており、上方に延設されている板状部材である。取付具114dは、板面が前後方向A3を向くように配置されており、上部には、前後方向A3に貫通する孔114d1が形成されている。
【0083】
図9に示すように、一対の支持ブラケット119は、取付具114d、即ち架設部114の車体幅方向B3の両側にそれぞれ設けられており、架設部114とルーフ16の後部とを連結することで、当該ルーフ16の後部を支持する。つまり、一対の支持ブラケット119は、作業車両1の後部に設けられた監視装置36の車体幅方向B3の両側に配置されている。言い換えると、作業車両1の後部に設けられた監視装置36は、一対の支持ブラケット119の間に配置されている。また、一対の支持ブラケット119は、支持フレーム49によるルーフ16の支持とは別に、当該支持に加えて、ルーフ16を支持することで、ルーフ16の支持をより強固にする。一対の支持ブラケット119は、例えば厚板鋼板を折り曲げ加工することで形成されており、下部が架設部114側から上方に延び、中途部で屈曲し、上部が前方に延びている側方視で略L字形状である。一対の支持ブラケット119の下部には、孔119aが形成されており、当該孔119aと架設部114の取付具114dに形成された孔114d1とにボルト等の締結部材を挿通して当該取付具114d(架設部114)と取付固定されている。一対の支持ブラケット119の上部には、上下方向に貫通する孔119bが形成されており、当該孔119bとルーフ16の後部に形成された孔16b3とにボルト等の締結部材を挿通して当該ルーフ16と連結されている。ルーフ16の後部に形成された孔16b3は、上部材16B1と下部材16B2との両方に形成されており、締結部材は、取付具114d、ルーフ16の上部材16B1、及び下部材16B2を共締めする。
【0084】
また、図2図3図14に示すように、保護機構9は、照明支持部120,121を備えている。照明支持部120,121は、車体5の後方を照らす照明灯81である後方照射灯84を支持する。照明支持部120,121は、第1ブラケット111と第2ブラケット112の少なくとも一方に連結され、本実施形態においては、保護機構9は、照明支持部120,121を一対備えており、第1ブラケット111と第2ブラケット112にそれぞれ連結されている。照明支持部120,121は、例えば厚板鋼板を折り曲げ加工することで形成されている。
【0085】
図14に示すように、第1ブラケット111に連結される照明支持部120(以下、第1照明支持部として説明する)は、当該第1ブラケット111の車体幅方向B3の一方側(左側)に連結され、第1ブラケット111の左側に後方照射灯84を支持する。具体的には、第1照明支持部120は、第1ブラケット111に取り付けられる被取付部120aと、被取付部120aの上端から左方に延設された上板部120bと、被取付部120aの後端と上板部120bの後端とを連結する縦板部120cと、を有している。被取付部120aは、ボルト等の締結部材や溶接等の固定手段によって第1ブラケット111と連結されている。上板部120bの上面には、締結部材等の固定手段によって後方照射灯84が取付固定されている。縦板部120cには、他の装置や部材を取り付け可能な孔が形成されており、例えば反射板等が取り付けられる。
【0086】
図14に示すように、第2ブラケット112に連結される照明支持部121(以下、第2照明支持部として説明する)は、当該第2ブラケット112の車体幅方向B3の他方側(右側)に連結され、第2ブラケット112の右側に後方照射灯84を支持する。つまり、後方照射灯84は、照明支持部120,121によって、第1ブラケット111及び第2ブラケット112の幅方向外方に配置される。具体的には、第2照明支持部121は、第2ブラケット112に取り付けられる被取付部121aと、被取付部121aの上端から右方に延設された上板部121bと、被取付部121aの後端と上板部121bの後端とを連結する縦板部121cと、を有している。被取付部121aは、ボルト等の締結部材や溶接等の固定手段によって第2ブラケット112と連結されている。上板部121bの上面には、締結部材等の固定手段によって後方照射灯84が取付固定されている。縦板部121cには、他の装置や部材を取り付け可能な孔が形成されている。
【0087】
以下、作業車両1の後部に取り付けられた監視装置36と、ルーフ16及びリヤガラス13との位置関係について説明する。図6図7A図7B図10に示すように、監視装置36の前側、左側、及び右側は、ルーフ16の外縁部及び切欠き部90との間にクリアランスCを形成するよう離反して配置されている。詳しくは、上カバー105の左側と第1縁部90a1及び第4縁部90d1とは、車体幅方向B3に離反しており、間隙C1が形成されている。上カバー105の右側と第2縁部90b1及び第5縁部90e1とは、車体幅方向B3に離反しており、間隙C2が形成されている。また、上カバー105の前側と第3縁部90c1及び第6縁部90f1とは、前後方向A3に離反しており、間隙C3が形成されている。
【0088】
図10に示すように、監視装置36の少なくとも一部は、ルーフ16の上面より上方に位置し、少なくとも一部は、ルーフ16の上面よりも下方に位置し、監視装置36(上カバー105)の上端は、ルーフ16の最上部と面一である。詳しくは、切欠き部90の前後方向A3の中央部よりも後方において、上カバー105の前壁106の上部は、ルーフ16の上面から上方に突出し、切欠き部90の前後方向A3の中央部よりも前方において、上カバー105の前壁106の下部は、ルーフ16の上面よりも下方に位置し、切欠き部90が形成する空間に位置している。また、上カバー105の上端は、ルーフ16の最上部である堰き止め部93の上端と上下方向において面一である。
【0089】
図10に示すように、監視装置36のうち、カメラユニット39の下端は、下部材16B2の下端よりも上方に配置されている。また、図16に示すように、カメラユニット39の下端は、リヤガラス13の開閉を行う揺動軸よりも上方に配置され、且つ当該リヤガラス13の開閉範囲よりも上方に配置されている。より詳しくは、カメラユニット39の下端は、ワイパー13aがリヤガラス13の開閉に伴って移動する範囲よりも上方に配置されている。
【0090】
つぎに、作業車両1の左側部及び右側部に設けられ、車体5の側方を監視する監視装置36の取り付けについて説明する。なお、作業車両1の左側部に設けられた監視装置36と、作業車両1の右側部に設けられた監視装置36と、は同一の構成であるため、作業車両1の左側部に設けられた監視装置36を例に説明し、作業車両1の右側部に設けられた監視装置36の説明を省略する。
【0091】
図16図17に示すように、保護機構9は、支持ステー130と、カバー136と、を備えている。図18に示すように、支持ステー130は、支柱45に連結され、監視装置36の監視方向を側方に向け、且つ、当該監視装置36をルーフ16の外縁部の下側に支持する。本実施形態において、支持ステー130は、中間支柱47に連結されている。なお、本実施形態において、支持ステー130は、中間支柱47に連結されているが、複数の支柱45のうち、中間支柱47と異なる支柱に連結されていてもよい。例えば、複数の支柱45が、一対の前支柱46と、一対の後支柱48と、を含み、一対の中間支柱47を含まないような構成である場合には、支持ステー130は、後支柱48に連結される。
【0092】
支持ステー130は、中間支柱47から開口55(左側部開口55b)の上方に延び、監視装置36を左側部開口55bの上方に支持し、乗降ドア14の開閉範囲の外側に延びている。具体的には、図17図20に示すように、支持ステー130は、固定部131と、中間部132と、支持部133と、を有している。
図19に示すように、固定部131は、支柱45に固定される部分であり、例えば厚板鋼板を折り曲げ加工することで形成されている。図18に示すように、固定部131は、上下方向の延びる長尺の板状部材であり、ボルト等の締結部材や溶接等の固定手段によって、中間支柱47の幅方向外方に設けられた取付ブラケット47aに固定される。
【0093】
図17に示すように、中間部132は、固定部131からルーフ16に向かって延びている部分であり、例えば棒状の部材を折り曲げ加工することで形成されている。中間部132の一端側(後側、基端側)は、固定部131の上部と溶接等の固定手段によって、取付固定されており、固定部131から左側部開口55bに向かって延びている。中間部132の中途部は、一端側から前上方に屈曲し、前後方向A3及び上下方向において左側部開口55bとの間に間隙C11を形成して前上方と後下方に延びており、中間部132の他端側(前側、先端側)は、前方に屈曲し、上下方向において左側部開口55bとの間に間隙C12を形成して左側部開口55bの上方において前後方向A3に延びている。先述したように乗降ドア14は、左側部開口55bに開閉可能に取り付けられているため、中間部132の一端側は、固定部131から乗降ドア14に向かって延び、中間部132の中途部は、一端側から前上方に屈曲し、前後方向A3及び上下方向において乗降ドア14との間に間隙C13を形成して前上方と後下方に延びている。また、中間部132の他端側は、前方に屈曲し、上下方向において乗降ドア14との間に間隙C14を形成して乗降ドア14の上方において前後方向A3に延びている。
【0094】
図19図20に示すように、支持部133は、中間部132に設けられ、監視装置36(カメラユニット39)を支持する。支持部133は、例えば厚板鋼板を折り曲げ加工することで形成されており、平面視において略門形状である。具体的には、支持部133は、第1支持壁133aと、第2支持壁133bと、第3支持壁133cと、を有している。第1支持壁133aは、板面が車体幅方向B3を向くように配置されており、幅方向内方側(右側)が中間部132の他端側と、溶接等の固定手段によって取付固定されている。図20に示すように、第1支持壁133aの下部には、車体幅方向B3に貫通する孔133a1が形成されている。当該孔133a1は、監視装置36よりも下方に形成されている。
【0095】
第2支持壁133b及び第3支持壁133cは、監視装置36を前後方向A3から挟持して支持する。図19図20に示すように、第2支持壁133b及び第3支持壁133cは、板面が前後方向A3を向いており、且つ互いに離反して配置されている。第2支持壁133bは、第1支持壁133aの一端側(前側)の端部から幅方向外方に向かって延設されている。第3支持壁133cは、第1支持壁133aの他端側(後側)の端部から幅方向外方に向かって延設されている。第2支持壁133b及び第3支持壁133cの幅方向外方(左側)には、それぞれ上下方向に並んで形成された孔133b1,133c1が形成されている。図21に示すように、孔133b1,133c1は、上側の孔133b1,133c1と下側の孔133b1,133c1との中央(揺動軸)を中心とした仮想円の円周に沿って延びる長孔である。孔133b1,133c1には、ボルト等の締結部材が挿通され、当該孔及び締結部材を介して、第2支持壁133b及び第3支持壁133cに監視装置36が取り付けられている。なお、締結部材を緩めると、締結部材によって、孔133b1,133c1が案内されることで揺動軸廻りにカメラユニット39(監視装置36)を揺動し、カメラユニット39の光軸を調整することができる。なお、第2支持壁133b及び第3支持壁133cは、カメラユニット39を揺動可能に支持することで当該カメラユニット39の光軸を調整できる構成であればよく、その構成は、上記構成に限定されない。
【0096】
図17図19図20等に示すように、支持ステー130は、配策部135を有している。配策部135は、中間支柱47からルーフ16に亘って伝送路134を配策する部材である。伝送路134は、例えば、中間支柱47に取り付けられた積層表示灯85と制御装置26とを接続する電線やコード等の伝送路134である。配策部135は、第1配策具135aと、第2配策具135bと、を含んでいる。
【0097】
図17に示すように、第1配策具135aは、中間部132に取り付けられ、且つ中間部132に沿って伝送路134を配策する。図19図20に示すように、第1配策具135aは、例えば厚板鋼板を折り曲げ加工することで形成されており、中間部132の下側と溶接等の固定手段によって取付固定されている。第1配策具135aは、中間部132の下側から幅方向外方(右側)に延び、中途部で幅方向外方且つ上方に屈曲している。第1配策具135aは、上部に伝送路134を載置することができ、中間部132の下方の間隙C11、C13に伝送路134を配策することができる。
【0098】
図17に示すように、第2配策具135bは、支持部133に取り付けられ、且つ伝送路134を配策する。図19図20に示すように、第2配策具135bは、例えば伝送路134を配策可能なインシュロックであり、第2配策具135bは、前後方向A3に一対設けられている。第2配策具135bは、監視装置36よりも下方に配置されており、支持部133の第1支持壁133aの下部に形成された孔133a1に取り付けられ、中間部132側から中間部132の離反方向、即ち前方に向かって間隙C12に伝送路134を配策することができる。
【0099】
図17図18に示すように、カバー136は、中間支柱47に取り付けられ、伝送路134を中間支柱47に配策し、且つ伝送路134を覆う。カバー136は、厚板鋼板を折り曲げ加工することで形成されており、平面視で略門形状である。カバー136は、上下方向に長尺であり、上下方向及び前後方向A3において、支持ステー130の固定部131と重複しており、当該固定部131を覆う。具体的には、カバー136は、第1カバー壁137と、第2カバー壁138と、第3カバー壁139と、延設部140と、を有している。
【0100】
図17に示すように、第1カバー壁137は、板面が車体幅方向B3に向き、且つ中間支柱47の幅方向外方に配置されている。第1カバー壁137は、中間支柱47の幅方向外方と対面配置されている。第1カバー壁137の上部は、上下方向及び前後方向A3において、支持ステー130の固定部131と重複している。
第2カバー壁138及び第3カバー壁139は、板面が前後方向A3を向いており、第2カバー壁138は、第1カバー壁137の前端から幅方向内方側に延設されている。第3カバー壁139は、第1カバー壁137の後端から幅方向内方側に延設されており、第2カバー壁138と前後方向A3において対面配置されている。つまり、カバー136は、中間支柱47とともに内部に空間を形成し、当該空間には伝送路134を配策可能である。
【0101】
図17図18に示すように、延設部140は、第2カバー壁138の上下方向の中途部から前方に延設された部分であり、板面が車体幅方向B3を向いた板状の部分である。延設部140には、上下方向に並び、且つ車体幅方向B3に貫通する孔140aが形成されている。延設部140の孔140aには、ボルト等の締結部材が挿通され、中間支柱47の幅方向外方に設けられた取付ブラケット47bに固定される。なお、延設部140と取付ブラケット47bとの固定方法は、締結部材に限定されず、溶接等の固定手段であってもよい。
【0102】
支持ステー130及びカバー136による伝送路134の配策について説明すると、図17に示すように、伝送路134は、積層表示灯85から延びており、カバー136及び中間支柱47が形成する空間を通って、カバー136の上部に延び、ルーフ16に向かって配策される。カバー136の上部から延びる伝送路134は、支持ステー130の配策部135によって、中間支柱47からルーフ16に亘って配策される。具体的には、カバー136の上部から延びる伝送路134は、第1配策具135aの上部に載置される。即ち、伝送路134は、中間支柱47から開口55(乗降ドア14)に向かって延び、前上方に屈曲して前後方向A3及び上下方向において開口55(乗降ドア14)との間の間隙C11、C13に前上方と後下方に延びて配策される。
【0103】
図17に示すように、第1配策具135aの上部に配策された伝送路134は、前方に延びて第2配策具135bに配策される。即ち、伝送路134は、第1配策具135aの上部から、前方に湾曲し、監視装置36の下方に配策される。また、伝送路134は、上下方向において開口55(乗降ドア14)との間の間隙C12、C14に配策される。言い換えると、伝送路134は、開口55(乗降ドア14)の上方において前後方向A3に延びて配策される。
【0104】
第2配策具135bに配策された伝送路134は、ルーフ16の下部材16B2に形成された孔、及び当該孔に取り付けられたグロメット(図示略)を通ってルーフ16内部に配策される。
なお、本実施形態において、支持ステー130は、作業車両1の左側部及び右側部に設けられた監視装置36を支持するが、作業車両1の前部及び後部に設けられ監視装置36に適用してもよい。
【0105】
以下、作業車両1の左側部及び右側部に設けられ、車体5の側方を監視する監視装置36に接続され、当該監視装置36に電源を供給、及び/又は監視装置36と制御装置26とを接続するケーブル150の配策について説明する。図17図22図23に示すように、保護装置は、複数の配策ステー152を備えている。複数の配策ステー152は、車体5の側方を監視する監視装置36に電源を供給、又は監視装置36と制御装置26とを接続するケーブル150を配策可能である。ケーブル150は、電線やコード等であり、監視装置36からルーフ16に形成された孔、及び当該孔に取り付けられたグロメット151の内部に配策されている。
【0106】
図22に示すように、複数の配策ステー152は、ルーフ16の外縁部に設けられ、且つケーブル150を配策する。複数の配策ステー152は、厚板鋼板を折り曲げ加工することで形成されており、例えば断面が略L字形状の板部材である。
図24図26に示すように、複数の配策ステー152は、取付部153a,154aと、載置部153b,154bと、立設部153c,154cと、を有している。取付部153a,154aは、ルーフ16の外縁部に取り付けられる部分である。取付部153a,154aは、例えば下部材16B2の外縁部の下側にボルト等の締結部材や溶接等の固定手段によって取付固定されている。
【0107】
図24図26に示すように、載置部153b,154bは、取付部153a,154aから水平方向外方に延設され、板面が上下方向を向くように配置されている。載置部153b,154bは、例えば平面視において短辺と長辺とを有する長方形状である。図22図23に示すように、載置部153b,154bの短辺は、下部材16B2の外縁部が延びる方向と直交する方向に延びており、載置部153b,154bの長辺は、下部材16B2の外縁部が延びる方向と同一方向に延びている。
【0108】
図24図26に示すように、立設部153c,154cは、載置部153b,154bにおいて取付部153a,154aの反対側から上方に延びている。図25図27に示すように、立設部153c,154cは、下部材16B2の外縁部の側面と対面配置されている。
図24図26に示すように、複数の配策ステー152は、それぞれ異なる形状であってもよく、本実施形態において、例えば、複数の配策ステー152は、第1ステー153と、第1ステー153と異なる形状の第2ステー154と、を含んでいる。第1ステー153の短辺と、第2ステー154の短辺と、は同一の長さであり、第2ステー154の長辺は、第1ステー153の長辺よりも長い。つまり、第2ステー154の方が第1ステー153よりも大きい。
【0109】
図24図27に示すように、複数の配策ステー152には、水抜き部153d,154dが形成されている。水抜き部153d,154dは、略上下方向に貫通しており、上方から下方に流れる雨水を通過させる部分である。詳しくは、水抜き部153d,154dは、取付部153a,154aの水平方向内方側から水平方向外方側へ切り欠くことで形成され、図25図27に示すように、ルーフ16との間に略上下方向に貫通する空間を形成する。水抜き部153dは、例えば第1ステー153において、長辺の水平方向内方に1箇所形成されている。また、水抜き部154dは、例えば第2ステー154において、長辺の水平方向内方に2箇所形成されている。なお、水抜き部153d,154dは、略上下方向に貫通し、上方から下方に流れる雨水を通過させることができればよく、その数や形状は、上記構成に限定されない。例えば、水抜き部153d,154dは、取付部153a,154aに形成された複数の貫通孔であってもよいし、単一の貫通孔であってもよい。
【0110】
なお、上述した複数の配策ステー152は、取付部153a,154aがルーフ16の外縁部の下側に取り付けられているが、取付部がルーフ16(下部材16B2)の外縁部の側方に取り付けられるような構成であってもよい。斯かる場合、取付部は、ルーフ16の外縁部の側方から下方に延びており、載置部は、取付部の下端から水平方向内方に延設される。立設部は、載置部における取付部の反対側、即ち水平方向内方から上方に延びている。また、ケーブル150は、載置部の上面とルーフ16の外縁部の下側との間に配策される。
【0111】
以下、複数の配策ステー152の取り付け位置について詳しく説明する。図22に示すように、複数の配策ステー152は、カメラユニット39(監視装置36)の後方から下部材16B2に取り付けられたグロメット151までの間に亘って、つまり下部材16B2の後側の外縁部に配置されている。第1ステー153は、ケーブル150が比較的湾曲しやすい箇所に配置されており、第2ステー154は、ケーブル150が比較的湾曲しにくい箇所に配置されている。具体的には、第1ステー153は、監視装置36の後方と、下部材16B2の外縁部のうち、平面視において当該外縁部の外形が湾曲線を描く箇所と、に配置されている。第2ステー154は、下部材16B2の外縁部のうち、平面視において当該外縁部の外形が略直線を描く箇所に配置されている。本実施形態においては、第1ステー153及び第2ステー154は、下部材16B2の外縁部の車体幅方向B3の一方側(左側)と、他方側(右)とで対になるように配置されている。また、複数の配策ステー152は、カメラユニット39(監視装置36)の後方からグロメット151に向かって、第1ステー153、第2ステー154、第1ステー153、第2ステー154の順に配置されている。
【0112】
図16図17に示すように、複数の配策ステー152は、ルーフ16(アウタルーフ16B、下部材16B2)の下側に開口部55と離反して設けられている。また、図25図27に示すように、複数の配策ステー152は、ルーフ16の上面の外周よりも内側、且つ下側に配置されている。詳しくは、複数の配策ステー152の水平方向外方側は、上部材16B1の外縁部の端部16b1、及び下部材16B2の外縁部の端部16b2よりも水平方向内方に位置している。
【0113】
さらに、図22に示すように、複数の配策ステー152は、ルーフ16と、当該ルーフ16に設けられたフィルタ155の間に配置されている。フィルタ155は、ルーフ16の外縁部の下側に着脱可能に設けられており、ルーフ16には、フィルタ155を介して外気を導入する導入口156が設けられている。導入口156は、下方に向かって開口しており、ルーフ16の外縁部の下方からエアコンユニットに外気を導入するダクトである。フィルタ155及び導入口156は、ルーフ16の外縁部の下側であって、当該ルーフ16の後部に配置されているフィルタ155は、ボルト等の締結部材といった取り付け手段によりルーフ16に着脱可能に取り付けられており、下方に取り外す事が出来る。つまり、複数の配策ステー152は、ルーフ16と、当該ルーフ16に設けられたフィルタ155の間に配置されているため、フィルタ155の着脱において、当該フィルタ155が移動する範囲よりも水平方向外方に位置している。
【0114】
以下、車体5の側方を監視する監視装置36に接続され、上述した複数の配策ステー152に配策されたケーブル150の位置について説明する。作業車両1の左側部に配置された監視装置36に接続されたケーブル150について説明すると、図22に示すように、ケーブル150は、車体5の側方を監視する監視装置36から後方に延び、複数の配策ステー152のうち、監視装置36の後方に配置された第1ステー153の載置部153bに載置される。第1ステー153に配策されたケーブル150は、第1ステー153から当該第1ステー153の後方に配置された第2ステー154の載置部154bに載置され、右後方に向かって湾曲し、当該第2ステー154の後方に配置された第1ステー153の載置部153bに載置される。これにより、ケーブル150は、ルーフ16と、当該ルーフ16に設けられたフィルタ155の間に配策されており、フィルタ155の着脱において、当該フィルタ155が移動する範囲よりも水平方向外方に位置する。言い換えると、ケーブル150は、フィルタ155を着脱する際に、水平方向において当該フィルタ155が移動する範囲に重複しない。
【0115】
第1ステー153の載置部153bに配策されたケーブル150は、右後方に向かって湾曲し、第1ステー153から当該第1ステー153の後方に配置された第2ステー154の載置部154bに載置され、右方に向かって湾曲し、グロメット151に向かって延びている。
一方、作業車両1の右側部に配置された監視装置36に接続されたケーブル150について説明すると、図22に示すように、ケーブル150は、車体5の側方を監視する監視装置36から後方に延び、複数の配策ステー152のうち、監視装置36の後方に配置された第1ステー153の載置部153bに載置される。第1ステー153に配策されたケーブル150は、第1ステー153から当該第1ステー153の後方に配置された第2ステー154の載置部154bに載置され、左後方に向かって湾曲し、第2ステー154の後方に配置された第1ステー153の載置部153bに載置される。第1ステー153の載置部153bに配策されたケーブル150は、左後方に向かって湾曲し、第1ステー153から当該第1ステー153の後方に配置された第2ステー154の載置部154bに載置され、左方に向かって湾曲し、グロメット151に向かって延びている。
【0116】
なお、本実施形態において、車体5の側方を監視する監視装置36に接続されたケーブル150を例にルーフ16の外縁部に設けられ、当該ケーブル150を配策する複数の配策ステー152を説明したが、配策ステー152は、車体5の側方を監視する監視装置36に接続されたケーブル150ではなく、別の電装品36、例えば照明灯81等のケーブル150を配策してもよい。
【0117】
以下、ルーフ16(アウタルーフ16B、上部材16B1)の上面を流れる雨水等の流れについて説明する。上部材16B1の上面に雨水等が落下すると、上部材16B1の上面の傾斜、第1溝部91、及び第2溝部92によってルーフ16の外縁部側に案内される。詳しくは、上部材16B1の上面の前部に落下した雨水等は、当該上部材16B1の上面の傾斜によって、上部材16B1の前側の外縁部に向かって流れ、前側の外縁部の端部16b1から下方に落下する。上部材16B1の上面の中央側に落下した雨水等は、当該上部材16B1の上面に形成された傾斜によって、上部材16B1の左側の外縁部の端部16b1又は右側の外縁部の端部16b1から下方に落下、又は第2溝部92に流入する。上部材16B1の上面の後部に落下した雨水等は、当該上部材16B1の上面に形成された傾斜によって、上部材16B1の後側の外縁部から下方に落下、又は第1溝部91に流入する。
【0118】
第2溝部92のうち、第3部分92c又は第4部分92dに流入した雨水等は、上部材16B1の前部又は後部に案内される。第3部分92c又は第4部分92dに流入した雨水等のうち、上部材16B1の前部に案内された雨水等は、第2部分92bに流入する。また、第3部分92c又は第4部分92dから幅方向外方に溢れた雨水等は、第5部分92e又は第6部分92fに流入する。
【0119】
第2溝部92のうち、第5部分92e又は第6部分92fに流入した雨水等は、上部材16B1の前部又は後部に案内される。第5部分92e又は第6部分92fに流入した雨水等のうち、上部材16B1の前部に案内された雨水等は、第2部分92bに流入(合流)する。また、第5部分92e又は第6部分92fから幅方向外方に溢れた雨水等は、上部材16B1の上面に形成された傾斜によって、上部材16B1の左側の外縁部又は右側の外縁部に向かって流れる。上部材16B1の左側の外縁部又は右側の外縁部に向かって流れた雨水等は、上部材16B1の左側の外縁部の端部16b1又は右側の外縁部の端部16b1から下方に落下する。
【0120】
第2部分92bに流入した雨水等は、当該第2部分92bによって、上部材16B1の前側の外縁部に案内され、当該前側の外縁部から下方に落下する。
第1溝部91に流入した雨水等は、当該第1溝部91によって、リヤガラス13の左端部の外側(左方)と、リヤガラス13の右端部の外側(右方)と、に案内され、上部材16B1の後側の外縁部から下方に落下する。言い換えると、第1溝部91に流入した雨水等は、当該第1溝部91によって、第1後支柱48Lの右側と、第2後支柱48Rの左側と、に案内され、上部材16B1の後側の外縁部から下方に落下する。また、第1溝部91から後方に溢れた雨水等は、堰き止め部93によって、堰き止められ、幅方向外方に案内される。堰き止め部93によって幅方向外方に案内され、第1溝部91から溢れた雨水等は、堰き止め部93の端部から後方に流れ、上部材16B1の後側の外縁部から下方に落下する。さらに、堰き止め部93から後方に溢れた雨水等は、上部材16B1の後側の外縁部から下方に落下、又は切欠き部90に流入する。
【0121】
図7Bに示すように、切欠き部90に流入した雨水等は、第1側内壁90a、第2側内壁90b、及び第1傾斜壁90cを沿って下方に流れ、第1縁部90a1、第2縁部90b1、及び第3縁部90c1に向かって流れ、監視装置36に至ることなくクリアランスCから下方に落下する。詳しくは、第1縁部90a1に流れた雨水等は、第4縁部90d1に流れ、当該第4縁部90d1から下方に落下する。第2縁部90b1に流れた雨水等は、第5縁部90e1に流れ、当該第5縁部90e1から下方に落下する。第3縁部90c1に流れた雨水等は、第6縁部90f1に流れ、当該第6縁部90f1から下方に落下する。
【0122】
また、ルーフ16(アウタルーフ16B、上部材16B1)の上面からケーブル150や複数の配策ステー152に流れた雨水等や、ケーブル150や複数の配策ステー152に付着した雨水等は、立設部及び載置部153b,154bを流れ、水抜き部153d,154dから下方に落下する。
上述した作業車両1の保護機構9は、運転席10の上方に設けられ且つ上下方向に切欠き部90が形成されたルーフ16と、少なくとも一部が切欠き部90に位置している電装品36と、を備えている。上記構成によれば、ルーフ16の上下方向の大きさを大きくすることなく、電装品36をルーフ16にコンパクトに配置することができる。
【0123】
また、切欠き部90は、前方から後方に向かうにつれて、車体幅方向B3の長さが同一、又は広くなっている。上記構成によれば、ルーフ16から切欠き部90に流れた雨水を電装品36に落下しないように誘導することができる。
また、切欠き部90は、前方から後方に向かうにつれて、上下方向の厚みが小さい。上記構成によれば、ルーフ16から切欠き部90に流れる雨水の速度を速めることができ、当該雨水を滞留させることなく流すことで、電装品36に落下することを抑止できる。
【0124】
また、ルーフ16の上面には、切欠き部90の電装品36とは反対側に第1溝部91が形成されており、第1溝部91は、切欠き部90から離れる方向に延びている。上記構成によれば、ルーフ16の上面を流れる雨水が第1溝部91に沿って、切欠き部90から離れる方向に案内されるため、電装品36に向かって流れることを抑制できる。
また、ルーフ16の上面には、第1溝部91と切欠き部90との間に延び、上方に隆起した堰き止め部93が形成されている。上記構成によれば、ルーフ16の上面を流れる雨水は、第1溝部91に沿って切欠き部90から離れる方向に案内され、当該雨水が第1溝部91から溢れた場合には、当該溢れた雨水は堰き止め部93により堰き止められるため、ルーフ16の上面を流れる雨水が電装品36に落下することを一層確実に抑制できる。
【0125】
また、電装品36は、切欠き部90との間にクリアランスCを形成するよう離反して配置されている。上記構成によれば、電装品36に向かって流れる雨水は、クリアランスCを通過するため、電装品36に到達しない。また、車体5が振動すること等に起因して電装品36とルーフ16との相対位置が変動し、ルーフ16の切欠き部90と電装品36とが干渉することを抑制できる。
【0126】
また、電装品36は、車体5の周囲を監視する監視装置36である。上記構成によれば、監視装置36をルーフ16の上面よりも上方に配置することで、監視装置36は、より上方から車体5の周囲を監視することができ、広範囲の監視が可能になる。
また、監視装置36は、少なくとも障害物を検出する障害物検出器38、及び車体5の周囲を撮影するカメラユニット39のいずれか一方と、障害物検出器38及び/又はカメラユニット39の上方を覆う上カバー105と、を有しており、上カバー105の上端は、ルーフ16の最上部と面一である。上記構成によれば、上カバー105は、雨水から障害物検出器38及び/又はカメラユニット39の上部を保護することができ、ルーフ16の上面から上カバー105が突出しないため、作業車両1を狭小な空間に保管する場合でも、上カバー105が障害物を接触することを抑制できる。
【0127】
また、上カバー105は、障害物検出器38、及び/又はカメラユニット39の前上方を覆う前壁106と、障害物検出器38、及び/又はカメラユニット39の後上方を覆う後壁107と、を有している。上記構成によれば、上カバー105は、障害物検出器38及び/又はカメラユニット39の前後方向A3に雨水が落下することを抑制できる。
また、作業車両1は、保護機構9と、車体5と、車体5の後部に作業装置を連結する連結部5aと、を備え、切欠き部90は、ルーフ16の上面の後部に形成されており、電装品36は、切欠き部90の後方に配置されている。上記構成によれば、上述した優れた効果を奏する作業車両1を実現することができる。
【0128】
また、作業車両1の保護機構9は、運転席10の上方に設けられたルーフ16と、ルーフ16の周囲に設けられた電装品36と、を備え、ルーフ16には、当該ルーフ16の上面から上方に隆起して電装品36に向かって流れる雨水を堰き止める堰き止め部93が形成されている。上記構成によれば、ルーフ16の上面を流れる雨水は、堰き止め部93により堰き止められるため、当該雨水が電装品36に落下することを抑制できる。
【0129】
また、ルーフ16の上面には、堰き止め部93の電装品36とは反対側に第1溝部91が形成されており、第1溝部91は、電装品36の離反方向に延びている。上記構成によれば、ルーフ16の上面を流れる雨水は、第1溝部91に沿って流れるため、電装品36から離れる方向に案内され、ルーフ16の上面を流れる雨水が電装品36に落下することを一層抑制できる。
【0130】
また、保護機構9は、ルーフ16を支持し、離反して配置された複数の支柱45と、電装品36は、複数の支柱45の間に位置しており、複数の支柱45の間に開閉自在に設けられた窓部13を備え、第1溝部91は、電装品36の離反方向に延びており、窓部13の側端部の外側に達している。上記構成によれば、第1溝部91を流れる雨水が窓部13の外側に流れるため、窓部13を開いた状態において第1溝部91を流れる雨水が保護機構9の内側に流入することを抑制できる。
【0131】
また、保護機構9は、ルーフ16を支持し、離反して配置された複数の支柱45を備え、第1溝部91は、電装品36の離反方向に延びており、複数の支柱45のうち一の支柱45と他の支柱45との外側に達している。上記構成によれば、第1溝部91を流れる雨水が複数の支柱45の外側に流れるため、第1溝部91を流れる雨水が複数の支柱45の間を通って、保護機構9の内側に流入することを抑制できる。
【0132】
また、ルーフ16の上面には、第1溝部91の電装品36とは反対側に第2溝部92が形成されており、第2溝部92は、電装品36の離反方向に延びている。上記構成によれば、電装品36に向かう雨水は、第2溝部92に流入し、当該第2溝部92から雨水があふれた場合にも第1溝部91に流入するため、ルーフ16の上面を流れる雨水が電装品36に落下することを一層抑制できる。
【0133】
また、第1溝部91と第2溝部92は、異なる深さである。上記構成によれば、第1溝部91と第2溝部92とで、流れ込む雨水の量を異ならせることができる。これにより、第1溝部91と第2溝部92との深さが深い方により多くの雨水を流入させることで、雨水を滞留させることを抑制して、素早く流すことができる。
また、第1溝部91は、第2溝部92よりも深い。上記構成によれば、第1溝部91に流入した雨水を素早く流すことができ、ルーフ16は、電装品36の比較的近傍に落下した雨水を早期に排出することができる。
【0134】
また、第2溝部92の車体幅方向B3の長さL2は、第1溝部91の車体幅方向B3の長さL1よりも長い。上記構成によれば、第2溝部92に沿って流れる雨水は、第1溝部91よりも外側に流れる。これにより、第2溝部92に沿って流れた雨水が第1溝部に流入することを抑制できる。
また、電装品36は、ルーフ16の後方に配置され、車体5の後方を監視する監視装置36であり、堰き止め部93及び第1溝部91は、ルーフ16の後部に形成されている。上記構成によれば、ルーフ16の上面を流れる雨水は、堰き止め部93により堰き止められるため、当該雨水が監視装置36の監視方向である後方に落下することを抑制できる。
【0135】
また、作業車両1は、保護機構9と、車体5と、車体5の後部に作業装置を連結する連結部5aと、を備えている。上記構成によれば、上述した優れた効果を奏する作業車両1を実現することができる。
また、作業車両1の保護機構9は、運転席10の上方に設けられたルーフ16と、車体5に立設され、且つルーフ16を支持する支柱45と、所定の方向を監視するカメラユニット39と、支柱45に連結され、カメラユニット39の監視方向を側方に向け、且つ当該カメラユニット39をルーフ16の外縁部の下側に支持する支持ステー130と、を備えている。上記構成によれば、ルーフ16の下部の領域が狭小であり、カメラユニット39の取り付け位置の確保が困難な場合であっても、支柱45を介してルーフ16の外縁部の下側にカメラユニット39を簡単に配置することができる。
【0136】
また、支柱45は、ルーフ16の前部を支持する前支柱46と、ルーフ16の後部を支持する後支柱48と、を有し、支持ステー130は、後支柱48に連結されている。上記構成によれば、運転席10に着座した作業者の前側の視界を妨げることなく、ルーフ16の外縁部の下側にカメラユニット39を簡単に配置することができる。
また、支柱45は、ルーフ16の前部を支持する前支柱46と、ルーフ16の後部を支持する後支柱48と、前支柱46と後支柱48との間に位置し、且つルーフ16を支持する中間支柱47と、を有し、支持ステー130は、中間支柱47に連結されている。上記構成によれば、運転席10に着座した作業者の前側の視界を妨げることなく、ルーフ16の外縁部の下側にカメラユニット39を簡単に配置することができる。
【0137】
また、作業車両1の保護機構9は、支柱45を連結し、車体5、支柱45とともに開口55を形成し、且つルーフ16を支持する支持フレーム49を備え、支持ステー130は、支柱45から開口55の上方に延び、カメラユニット39を開口55の上方に支持する。上記構成によれば、支持ステー130は、カメラユニット39を開口55の上方に配置するため、カメラユニット39が開口55の範囲に干渉することを抑制できる。
【0138】
また、作業車両1の保護機構9は、開口55を開閉する乗降ドア14を備え、支持ステー130は、乗降ドア14の開閉範囲の外側に延びている。上記構成によれば、支持ステー130は、乗降ドア14の開閉範囲の外側に延びているため、乗降ドア14を開閉するに際して、当該乗降ドア14と支持ステー130とが干渉することを抑制できる。
また、支持ステー130は、支柱45からルーフ16に亘って伝送路134を配策する配策部135を有している。上記構成によれば、支持ステー130は、カメラユニット39の支持に加え、伝送路134の支持を兼用できる。
【0139】
また、支持ステー130は、支柱45に固定される固定部131と、固定部131からルーフ16に向かって延びている中間部132と、中間部132に設けられ、カメラユニット39を支持する支持部133と、を有し、配策部135は、中間部132に取り付けられ、且つ中間部132に沿って伝送路134を配策する第1配策具135aと、支持部133に取り付けられ、且つ伝送路134を配策する第2配策具135bと、を含んでいる。上記構成によれば、支持ステー130は、カメラユニット39を支持するとともに、第1配策具135a及び第2配策具135bによって、中間支柱47からルーフ16に向かって伝送路134を確実に配策できる。
【0140】
また、支柱45に取り付けれ、伝送路134を支柱45に配策し、且つ当該伝送路134を覆うカバー136を備え、伝送路134は、カバー136、及び支持ステー130に沿って、ルーフ16に配策されている。上記構成によれば、カバー136は、伝送路134を配策するとともに当該伝送路134が外部に露出することを抑制できる。
また、作業車両1は、保護機構9と、車体5と、車体5の後部に作業装置を連結する連結部5aと、を備えている。上記構成によれば、上述した優れた効果を奏する作業車両1を実現することができる。
【0141】
また、作業車両1の保護機構9は、運転席10の上方に設けられたルーフ16と、ルーフ16の外縁部に設けられた複数の配策ステー152と、配策ステー152に配策されたケーブル150と、を備えている。上記構成によれば、ルーフ16の外縁部にケーブル150を簡単に配策できる。
また、複数の配策ステー152は、ルーフ16の外縁部に取り付けられた取付部153a,154aと、取付部153a,154aから延設され、且つケーブル150が載置される載置部153b,154bと、を有している。上記構成によれば、ルーフ16の外縁部にケーブル150を一層簡単に配策できる。
【0142】
また、複数の配策ステー152は、載置部153b,154bにおいて取付部153a,154aの反対側から上方に延びている立設部153c,154cを有している。上記構成によれば、載置部153b,154bからケーブル150から落下することを抑止できる。
また、複数の配策ステー152には、略上下方向に貫通し、上方から下方に流れる雨水を通過させる水抜き部が形成されている。上記構成によれば、配策ステー152に雨水が堆積することを抑制できる。
【0143】
また、作業車両1の保護機構9は、ルーフ16の外縁部であって、それぞれ異なる方向に配置された複数の電装品36を備え、ケーブル150は、電装品36と接続されている。上記構成によれば、異なる方向に配置された複数の電装品36のハーネスを簡単に配策できる。
また、複数の配策ステー152は、ルーフ16の上面の外周よりも内側、且つ下側に配置されており、ケーブル150は、ルーフ16の上面の外周よりも内側、且つ下側に配策されている。上記構成によれば、ケーブル150が風雨に晒されることを抑制できる。
【0144】
また、ルーフ16の外縁部の下側には、着脱可能なフィルタ155が設けられ、当該フィルタ155を介して外気を導入する導入口156が設けられており、複数の配策ステー152は、ルーフ16の上面の外周よりも内側の下側であって、且つルーフ16とフィルタ155の間に配置されており、ケーブル150は、ルーフ16の上面の外周よりも内側の下側であって、且つルーフ16とフィルタ155の間に配策されている。上記構成によれば、フィルタ155を着脱する際に、ケーブル150が当該フィルタ155と干渉しないため、メンテナンス性を維持しつつ、ケーブル150の簡単な配策を実現できる。
【0145】
また、作業車両1は、保護機構9と、車体5と、車体5の後部に作業装置を連結する連結部5aと、を備えている。上記構成によれば、上述した優れた効果を奏する作業車両1を実現することができる。
また、作業車両1の保護機構9は、運転席10の上方を覆うルーフと、車体5の後方を監視する監視装置36と、車体5に立設された支柱45と、支柱45の上部を連結し且つルーフ16を支持する支持フレーム49と、後部より後方に延設された第1ブラケット111と、後部より後方に延設され、且つ第1ブラケット111とは異なる第2ブラケット112と、第1ブラケット111と、第2ブラケット112との間に架設され、第1ブラケット111及び第2ブラケット112を連結し、監視装置36を支持する連結ステー113と、を備えている。上記構成によれば、作業車両1は、監視装置36のメンテナンス性を向上させつつ、保護機構9を介して監視装置36を車体5に強固に支持できる。
【0146】
また、第1ブラケット111は、支持フレーム49の車体幅方向B3の一方側から当該支持フレーム49よりも後方に延設され、第2ブラケット112は、支持フレーム49の車体幅方向B3の他方側から当該支持フレーム49よりも後方に延設され、連結ステー113は、支持フレーム49の後方において、第1ブラケット111と、第2ブラケット112との間に架設され、第1ブラケット111及び第2ブラケット112を連結し、監視装置36を支持する。上記構成によれば、作業車両1は、支持フレーム49を介して監視装置36を車体5に一層強固に支持できる。
【0147】
また、支柱45は、車体幅方向B3に離反して車体5に立設された一対の後支柱48を含み、第1ブラケット111は、一対の後支柱48のうち、車体幅方向B3の一方側の後支柱48から当該後支柱48よりも後方に延設され、第2ブラケット112は、一対の後支柱48のうち、車体幅方向B3の他方側の後支柱48から当該後支柱48よりも後方に延設され、連結ステー113は、一対の後支柱48の後方において、第1ブラケット111と、第2ブラケット112との間に架設され、第1ブラケット111及び第2ブラケット112を連結し、監視装置36を支持する。上記構成によれば、作業車両1は、後支柱48を介して監視装置36を車体5に一層強固に支持できる。
【0148】
また、監視装置36は、少なくとも障害物を検出する障害物検出器38、及び車体5の周囲を撮影するカメラユニット39のいずれか一方を有しており、連結ステー113は、車体幅方向B3の中央部に監視装置36を支持している。上記構成によれば、監視装置36を車体幅方向B3の中央部に配置することで、障害物検出器38及び/又はカメラユニット39の検出精度を車体幅方向B3の一方側と他方側とでより偏りを少なくできる。
【0149】
また、ルーフ16の上面には、切欠き部90が形成されており、監視装置36は、切欠き部90に配置され、少なくとも一部がルーフ16の上面よりも上方に位置している。上記構成によれば、監視装置36をルーフ16の上面よりも上方に配置することで、監視装置36は、より上方から車体5の後方を監視することができる。
また、作業車両1は、第1ブラケット111と、第2ブラケット112との間に架設され、第1ブラケット111及び第2ブラケット112を連結し、ルーフ16の後部の外側から当該ルーフ16の後部を支持する連結ステー113を備えている。上記構成によれば、支持フレーム49によるルーフ16の支持とは別に、連結ステー113が当該支持に加えてルーフ16を支持することで、ルーフ16を車体5に一層強固に支持することができる。
【0150】
また、連結ステー113は、ルーフ16の後部の車体幅方向B3の一方側及び他方側を支持する一対の支持ブラケットを有している。上記構成によれば、ルーフ16を車体幅方向B3に揺動させる力に対して車体5に強固に支持できる。
また、作業車両1は、車体5の後方を照らす照明灯81と、照明灯81を支持し、且つ少なくとも第1ブラケット111と第2ブラケット112の一方に連結される照明支持部120,121と、を備えている。上記構成によれば、第1ブラケット111及び第2ブラケット112が照明支持部120,121の支持を兼用することで、より少ない部品点数で照明灯81を支持できる。
【0151】
また、作業車両1は、外部から信号を送信及び/又は受信し、且つ連結ステー113に支持されるアンテナ115を備えている。上記構成によれば、連結ステー113がアンテナ115の支持を兼用することで、より少ない部品点数でアンテナ115を支持できる。
また、作業車両1は、保護機構9と、車体5と、車体5の後部に作業装置を連結する連結部5aと、を備えている。上記構成によれば、上述した優れた効果を奏する作業車両1を実現することができる。
【0152】
以上、本発明について説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0153】
1 作業車両(トラクタ)
5 車体
5a 連結部
9 保護機構
10 運転席
16 ルーフ
36 電装品(監視装置)
38 レーザユニット(障害物検出器)
39 カメラユニット
45 支柱
48 後支柱(リヤピラー)
49 支持フレーム
81 照明灯
90 切欠き部
111 第1ブラケット
112 第2ブラケット
113 連結ステー
115 アンテナ
120 照明支持部
121 照明支持部
B3 車体幅方向(矢印)
図1
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