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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-02
(45)【発行日】2022-12-12
(54)【発明の名称】ブラケット
(51)【国際特許分類】
   F16F 15/08 20060101AFI20221205BHJP
   F16F 1/36 20060101ALI20221205BHJP
【FI】
F16F15/08 E
F16F1/36 B
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019121730
(22)【出願日】2019-06-28
(65)【公開番号】P2021008894
(43)【公開日】2021-01-28
【審査請求日】2021-12-17
(73)【特許権者】
【識別番号】522297236
【氏名又は名称】株式会社プロスパイラ
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(72)【発明者】
【氏名】大西 正
【審査官】児玉 由紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-078380(JP,A)
【文献】特開2013-167264(JP,A)
【文献】特開2017-155754(JP,A)
【文献】特表2012-530647(JP,A)
【文献】特開2013-072534(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0153741(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16F 15/00-15/36
1/00- 6/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
振動発生側及び振動受け側の一方に連結された防振部材を取り付けるための開口部を有し、前記振動発生側及び前記振動受け側の他方に連結可能な、ブラケットであって、
前記ブラケットは、ブラケット本体と、補強部と、を備えており、
前記ブラケット本体は、樹脂からなり、
また、前記ブラケット本体は、間隔を置いて配列された一対の柱部と、前記一対の柱部の間に配列されているとともに当該一対の柱部を連結している、一対の連結部とを備えており、
さらに、前記ブラケット本体は、前記一対の柱部のうちの、少なくとも一方に、前記柱部の延在方向に延在しているとともに、当該柱部よりも前記連結部の延在方向に突出しているプレート部を備えており、前記プレート部には、前記開口部の側からブラケット外周側に延びているとともに前記開口部の貫通方向に突出しているリブが設けられており、
前記補強部は、ブラケット外周側補強部を含み、
前記ブラケット外周側補強部は、前記ブラケットの外周面を形成しており、
さらに、前記ブラケット外周側補強部は、前記開口部の貫通方向視で、前記リブと重複するように配置されている、ブラケット。
【請求項2】
前記補強部は、ブラケット内周側補強部を含み、
前記ブラケット内周側補強部は、前記ブラケットの内周面を形成している、請求項1に記載のブラケット。
【請求項3】
前記ブラケット内周側補強部は、帯状の補強部材であるとともに、当該補強部材の2つの長手方向端を合わせることによって環状に形成されており、
さらに、前記2つの長手方向端を合わせることによって形成された繋目は、前記開口部の貫通方向に対して傾斜している、請求項2に記載のブラケット。
【請求項4】
前記繋目は、前記ブラケット本体に形成されたウェルドラインに対して交差している、請求項3に記載のブラケット。
【請求項5】
前記繋目は、前記ブラケット本体に形成されたウェルドラインと交差しない位置に形成されている、請求項3に記載のブラケット。
【請求項6】
前記ブラケット外周側補強部は、前記柱部の延在方向視で、前記一対の連結部の一方から前記プレート部に向かうに従って先細る先細り部分を有している、請求項1~4のいずれか1項に記載のブラケット。
【請求項7】
前記プレート部は、前記開口部の貫通方向に間隔を置いて配置された2つのプレート部を含み、
前記ブラケット外周側補強部は、前記連結部から前記2つのプレート部の間を前記柱部の延在方向に更に延在している、請求項1から6のいずれか1項に記載のブラケット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動発生側及び振動受け側の一方に連結された防振部材を取り付けるための開口部を有し、前記振動発生側及び前記振動受け側の他方に連結可能な、ブラケットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のブラケットとしては、ブラケットの主体となる合成樹脂材料に、ガラス繊維織物からなる補強材を接合させてなるとともに、ブラケットの外周面に、当該外周面に沿って延在する複数の補強リブを形成したものがある(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1に記載のブラケットによれば、前記補強材に加えて前記補強リブを追加したことで、当該ブラケットに対する補強効果を高めることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-167264号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来のブラケットには、依然として、当該ブラケットに対する補強効果に改善の余地があった。
【0005】
本発明の目的は、補強効果に優れたブラケットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るブラケットは、振動発生側及び振動受け側の一方に連結された防振部材を取り付けるための開口部を有し、前記振動発生側及び前記振動受け側の他方に連結可能な、ブラケットであって、前記ブラケットは、ブラケット本体と、補強部と、を備えており、前記ブラケット本体は、樹脂からなり、また、前記ブラケット本体は、間隔を置いて配列された一対の柱部と、前記一対の柱部の間に配列されているとともに当該一対の柱部を連結している、一対の連結部とを備えており、さらに、前記ブラケット本体は、前記一対の柱部のうちの、少なくとも一方に、前記柱部の延在方向に延在しているとともに、当該柱部よりも前記連結部の延在方向に突出しているプレート部を備えており、前記プレート部には、前記開口部の側からブラケット外周側に延びているとともに前記開口部の貫通方向に突出しているリブが設けられており、前記補強部は、ブラケット外周側補強部を含み、前記ブラケット外周側補強部は、前記ブラケットの外周面を形成しており、さらに、前記ブラケット外周側補強部は、前記開口部の貫通方向視で、前記リブと重複するように配置されている。本発明に係るブラケットは、補強効果に優れる。
【0007】
本発明に係るブラケットにおいて、前記補強部は、ブラケット内周側補強部を含み、前記ブラケット内周側補強部は、前記ブラケットの内周面を形成していることが好ましい。この場合、補強効果により優れたブラケットとなる。
【0008】
本発明に係るブラケットにおいて、前記ブラケット内周側補強部は、帯状の補強部材であるとともに、当該補強部材の2つの長手方向端を合わせることによって環状に形成されており、さらに、前記2つの長手方向端を合わせることによって形成された繋目は、前記開口部の貫通方向に対して傾斜していることが好ましい。この場合、ブラケット内周側補強部において、ブラケットの内周面の周方向に沿った力および当該ブラケットの内周面に対して垂直または傾斜した力、即ち、ブラケットの内周面を曲げる力に対する補強効果を向上させることができる。
【0009】
本発明に係るブラケットにおいて、前記繋目は、前記ブラケット本体に形成されたウェルドラインに対して交差させることができる。この場合、ブラケット本体に生じるウェルドラインを補強することができる。
【0010】
本発明に係るブラケットにおいて、前記繋目は、前記ウェルドラインと交差しない位置に形成されていることが好ましい。この場合、ウェルドライン全体を確実に補強することができる。
【0011】
本発明に係るブラケットにおいて、前記ブラケット外周側補強部は、前記柱部の延在方向視で、前記一方の連結部から前記プレート部に向かうに従って先細る先細り部分を有していることが好ましい。この場合、耐久性により優れたブラケットになる。
【0012】
本発明に係るブラケットにおいて、前記プレート部は、前記開口部の貫通方向に間隔を置いて配置された2つのプレート部を含み、前記ブラケット外周側補強部は、前記連結部から前記2つのプレート部の間を前記柱部の延在方向に更に延在していることが好ましい。この場合、耐久性により優れたブラケットになる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、補強効果に優れたブラケットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の第1の実施形態に係るブラケットを概略的に示す斜視図である。
図2図1のブラケットの平面図である。
図3図1のブラケットの正面図である。
図4A】ブラケット外周側補強部を構成する補強部材の一例を示す平面図である。
図4B図4Aの補強部材を折り曲げた状態を示す平面図である。
図5図1のブラケットの側面図である。
図6A】ブラケット内周側補強部を構成する補強部材の一例を示す平面図である。
図6B図6Aの補強部材を折り曲げた状態を示す平面図である。
図7図3のA-A断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明のいくつかの実施形態に係るブラケットについて説明をする。
【0016】
図1は、本発明の第1の実施形態に係るブラケット1を概略的に示す斜視図である。
【0017】
ブラケット1は、振動発生側及び振動受け側の一方に連結された防振部材(図示省略。)を取り付けるための開口部Aを有し、前記振動発生側及び前記振動受け側の他方に連結可能な、ブラケットである。本実施形態に係るブラケット1は、エンジンマウント用ブラケットである。前記振動発生側及び前記振動受け側としては、例えば、エンジン及び車体が挙げられる。具体的には、前記振動発生側及び前記振動受け側の一方は、前記エンジンとすることができる。また、前記防振部材としては、例えば、内筒及び外筒を弾性体(例えば、ゴム)で連結した防振部材が挙げられる。前記防振部材の場合、前記外筒がブラケット1に取り付けられる一方、前記内筒が前記エンジンに取り付けられる。図1では、前記防振部材は省略されている。これに対し、前記振動発生側及び前記振動受け側の他方は、前記車体とすることができる。この場合、ブラケット1は、後述のとおり、前記車体に固定することができる。
【0018】
ブラケット1は、ブラケット本体10と、補強部20と、を備えている。本実施形態では、補強部20は、繊維状要素に合成樹脂を含ませて強度を向上させた複合材料、所謂、繊維強化プラスチック(FRP)である。前記繊維強化プラスチックとしては、例えば、プリプレグが挙げられる。前記繊維状要素としては、例えば、ガラス繊維織物、炭素繊維織物、金属繊維織物、有機繊維、ブラケット本体10よりも曲げ強度が高い繊維織物、これらの織物その他が挙げられる。好適には、前記繊維状要素として、ガラス繊維織物を用いる。また前記繊維強化プラスチックとしては、例えば、方向性を有した前記繊維状要素に合成樹脂を含ませたUD(Uni Direction)材、編み込んだ繊維状要素に合成樹脂を含ませた織物材が挙げられる。本実施形態では、ブラケット1は、例えば、補強部20をインサート品として、射出成形によって一体に形成することができる。
【0019】
ブラケット本体10は、樹脂からなる。前記樹脂としては、例えば、熱可塑性合成樹脂、熱硬化性合成樹脂が挙げられる。好適には、前記合成樹脂として、熱可塑性合成樹脂を用いる。こうした熱可塑性合成樹脂としては、例えば、6-6ナイロン、6ナイロン、ポリプロピレン等が挙げられる。
【0020】
また、ブラケット本体10は、間隔を置いて配列された一対の柱部11と、前記一対の柱部11の間に配列されているとともに当該一対の柱部11を連結している、一対の連結部12および13を備えている。本実施形態では、ブラケット本体10の2つの柱部11は、互いに平行に延びるプレート部として形成されている。本実施形態において、柱部11は、補強部20とともにブラケット1の側壁部を形作る。本実施形態では、ブラケット本体10の柱部11は、ブラケット1を車体に固定したとき、上下方向に延在する。一方、本実施形態において、ブラケット本体10の連結部12および13は、それぞれ、ブラケット本体10の架け渡し部(以下、「架け渡し部12」ともいう。)と、ブラケット本体10の基部(以下、「基部13」ともいう。)と、を構成する。本実施形態において、架け渡し部12は、補強部20とともにブラケット1の上壁部を形作る。本実施形態では、架け渡し部12は、ブラケット1を車体に固定したとき、上方に位置する。また、本実施形態において、基部13は、補強部20とともにブラケット1の下壁部を形作る。本実施形態では、基部13は、ブラケット1を車体に固定したとき、下方に位置する。
【0021】
ここで、開口部の貫通方向(以下、「開口部貫通方向」ともいう。)は、開口部Aが貫通する方向である。本実施形態では、前記開口部貫通方向は、開口部Aの中心軸O1に対して平行に延びる方向である。また、柱部延在方向は、柱部11が延在する方向である。本実施形態では、2つの柱部11は、互いに平行に延在している。さらに、連結部延在方向は、連結部12および13、即ち、架け渡し部12および基部13が延在している方向である。本実施形態では、架け渡し部12および基部13は、互いに平行に延在している。
【0022】
さらに、ブラケット本体10は、一対の柱部11のうちの、少なくとも一方に、当該柱部11の延在方向に延在しているとともに、当該柱部11よりも連結部12および13の延在方向に突出しているプレート部15を備えている。本実施形態では、プレート部15は、柱部11から突出していることで、ブラケット本体10の一部を形作っている。具体的には、本実施形態では、プレート部15は、柱部11のブラケット外周側外側面11f1から突出している。また、本実施形態では、プレート部15は、柱部11の延在方向の全体にわたって延在している。さらに、本実施形態では、ブラケット本体10は、2つの柱部11のそれぞれに、2つのプレート部15を備えている。本実施形態では、ブラケット1を車体に固定したとき、柱部11の延在方向は、車両上下方向である。即ち、本実施形態では、ブラケット1を車体に固定したとき、プレート部15は、柱部11の車両上下方向全体にわたって延在するように構成されている。また、本実施形態では、ブラケット1を車体に固定したとき、架け渡し部12および基部13の延在方向(以下、「連結部延在方向」ともいう。)は、水平方向である。具体的には、連結部延在方向は、車両前後方向及び車両左右方向(車両幅方向)の少なくともいずれか1方向とすることができる。本実施形態では、連結部延在方向は、車両前後方向である。即ち、本実施形態では、ブラケット1を車体に固定したとき、2つの柱部11の一方の2つのプレート部15は、柱部11よりも車両前方向に突出するように構成されている。また、本実施形態では、2つの柱部11の他方の2つのプレート部15は、柱部11よりも車両後方向に突出するように構成されている。
【0023】
さらに、本実施形態では、基部13は、連結部延在方向の延長上に、柱部11よりも突出しているフランジ部14を更に備えている。プレート部15は、フランジ部14に連結されている。図2に示すように、フランジ部14は、ブラケット1を車体に固定するための固定部19を有している。固定部19は、ボルト等の締結要素を貫通させる開口部を有している座部である。また、本実施形態では、図2に示すように、柱部延在方向視で、1つの柱部11の2つのプレート部15は、開口部貫通方向において、固定部19を覆い隠すように、連結部延在方向に延びている。言い換えれば、本実施形態において、プレート部15は、図2に示すように柱部延在方向視で、連結部延在方向において、固定部19を超える位置まで延びている。特に、図3に示すように、本実施形態では、プレート部15のブラケット外周側稜線L15は、フランジ部14のブラケット外周側端縁14eと一致する位置まで延びている。更に、本実施形態では、ブラケット外周側稜線L15は、図3に示すように、開口部貫通方向視で、第1輪郭線L151と、当該第1輪郭線L151と繋がる第2輪郭線L152とで、形作られている。本実施形態では、第1輪郭線L151は、架け渡し部12に対して曲率半径R15で繋がる曲線である。第2輪郭線L152は、柱部延在方向に延在する直線である。本実施形態では、プレート部15は、柱部11と共にフランジ部14に連結されていることで、ブラケット本体10の一部を形作っている。また、本実施形態では、フランジ部14は、基部13の延在方向両側に設けられている。即ち、本実施形態では、ブラケット本体10は、2つのフランジ部14を有している。
【0024】
プレート部15には、開口部Aの側からブラケット外周側に延びているとともに開口部貫通方向に突出している、リブ16、17および18が設けられている。本実施形態では、リブ16~18は、連結部延在方向、言い換えれば、架け渡し部12および基部13の延在方向に延びている。図3を参照すれば、リブ16は、架け渡し部12に隣接するプレート部15の領域(以下、「架け渡し部側隣接領域」ともいう。)に設けられている。本実施形態では、リブ16は、前記架け渡し部側隣接領域において、柱部延在方向に間隔を置いて複数配置されている。また、リブ17は、前記架け渡し部側隣接領域と柱部延在方向で隣接するとともに開口部Aと隣接するプレート部15の領域(以下、「開口部側隣接領域」ともいう。)に設けられている。本実施形態では、リブ17は、前記開口部側隣接領域において、柱部延在方向に間隔を置いて複数配置されている。さらに、リブ18は、前記開口部側隣接領域と柱部延在方向で隣接するとともに基部13に隣接するプレート部15の領域(以下、「基部側隣接領域」ともいう。)に設けられている。本実施形態では、リブ18は、前記基部側隣接領域において、柱部延在方向に間隔を置いて複数配置されている。本実施形態では、リブ16は、3つのリブ16~18のうちで最も長さの長い長リブである。また、本実施形態では、リブ17は、リブ16よりも長さの短い中間リブである。さらに、本実施形態では、リブ18は、リブ17よりも長さが短く、3つのリブ16~18のうちで最も長さの短い短リブである。なお、本実施形態では、リブ18はさらに、前記開口部側隣接領域から遠ざかるに従って長さが短くなる、複数のリブとして構成されている。図1に示すように、本実施形態では、リブ16、17および18は、それぞれ、柱部11およびプレート部15から突出している。具体的には、リブ16、17および18は、それぞれ、柱部11のブラケット外周側外側面11f1から柱部延在方向に突出しているとともに、プレート部15の外面15f1から開口部貫通方向に突出している。
【0025】
補強部20は、ブラケット外周側補強部21を含む。図1に示すように、ブラケット外周側補強部21は、ブラケット1の外周面f1を形成している。本実施形態では、ブラケット外周側補強部21は、ブラケット本体10の架け渡し部12および2つの柱部11とともに、ブラケット1の外周面f1を形成している。また、本実施形態では、ブラケット外周側補強部21は、帯状の補強部材で構成されている。図4Aには、ブラケット外周側補強部21を形作る補強部材の一例として、帯状の補強部材210を示す。補強部材210は、架け渡し部12に対応する架け渡し部側部分212と、柱部11に対応する2つの柱部側部分211とを有している。補強部材210は、当該補強部材210の2つの長手方向端210eを同一の方向に向けて折り曲げることができる。図4Bは、補強部材210を折り曲げた状態を示す。図4Bに示すように、補強部材210は、架け渡し部側部分212を基部として、2つの柱部側部分211が同一方向に延在するようにU字形に折り曲げることができる。これにより、補強部材210をインサート品として、ブラケット本体10を射出成形すれば、図1に示すように、補強部材210は、ブラケット本体10の架け渡し部12および2つの柱部11とともに、ブラケット1の外周面f1を形成する。
【0026】
また、図5は、ブラケット1の側面図である。本実施形態において、1つの柱部11の2つのプレート部15の間には、フランジ部14に設けられた段部14sが配置されている。段部14sは、フランジ部14から柱部延在方向に隆起しているとともに、柱部11および2つのプレート部15と一体に形成されている。なお、ブラケット1は、連結部延在方向で対称な形状である。即ち、本実施形態において、ブラケット1の左右側面図は、ブラケット1の左側面と同様である。また、本実施形態において、補強部材210の長手方向端210eは、段部14sに至るまで延在させていないが、補強部材210の長手方向端210eは、段部14sに至るまで延在させることができる。したがって、補強部材210の長手方向端210e、即ち、ブラケット外周側補強部21の柱部延在方向端21e2は、段部14sに至るまで延在させることができる。
【0027】
さらに、図3に示すように、ブラケット外周側補強部21は、開口部貫通方向視で、リブ16~18と重複するように配置されている。詳細には、図3に示すように、ブラケット外周側補強部21の開口部貫通方向端21e1は、開口部貫通方向視で、当該ブラケット外周側補強部21がリブ16~18と重複するように配置されている。なお、図4Aおよび図4Bを参照すれば、本実施形態において、ブラケット外周側補強部21の開口部貫通方向端21e1は、補強部材210の柱部側部分211の幅方向端211eである。図2を参照すれば、ブラケット外周側補強部21の開口部貫通方向端21e1は、柱部延在方向視で、プレート部15に至るまで延在している。
【0028】
図3を参照すれば、本発明に係るブラケット1によれば、ブラケット本体10は、2つの柱部11の少なくとも一方に、プレート部15を備えており、さらに、当該プレート部15に、ブラケット1の開口部Aの側からブラケット外周側に延びているリブ16~18を備えている。これにより、本発明に係るブラケット1は、従来のブラケットよりも、ブラケット本体10に対する補強効果が高まるものとなる。また、本発明に係るブラケット1によれば、ブラケット外周側補強部21は、ブラケット本体10の2つの柱部11および架け渡し部12に設けられており、さらに、ブラケット外周側補強部21は、開口部貫通方向視で、当該ブラケット外周側補強部21がリブ16~18と重複するように配置されている。これにより、ブラケット本体10に対する補強効果はさらに高まる。したがって、本発明に係るブラケット1は、補強効果に優れる。
【0029】
上述したところを具体的に説明すると、ブラケット1を車両に取り付けた場合、ブラケット本体10の架け渡し部12には、前記防振部材から車両上下方向に大きな荷重に加わる。これに対して、本実施形態では、ブラケット外周側補強部21の架け渡し部側部分212がブラケット本体10の架け渡し部12を補強している。これにより、本実施形態では、車両上下方向に加わる荷重、特に、車両上方向に加わる荷重に対する補強効果に優れる。また、ブラケット1を車両に取り付けた場合、ブラケット本体10の柱部11には、前記防振部材から車両前方向または車両後方向に大きな荷重に加わる。これに対して、本実施形態では、ブラケット外周側補強部21の柱部側部分211が、ブラケット本体10の柱部11を補強している。これにより、本実施形態では、車両前方向または車両後方向に加わる荷重に対する補強効果に優れる。特に、本実施形態では、プレート部15は、2つの柱部11のそれぞれに設けられている。これにより、本実施形態では、車両前後方向に加わる荷重に対する補強効果に優れる。また、本実施形態では、プレート部15は、柱部11と共にフランジ部14に連結されている。これにより、本実施形態では、ブラケット本体10に対する補強効果にさらに優れる。加えて、本実施形態では、プレート部15に、柱部11とともに一体に形成されたリブ16~18を備える。これにより、車両上下方向、車両前後方向、さらに、車両左右方向(開口部貫通方向)に加わる荷重に対する補強効果に優れる。さらに、図3に示すように、本実施形態では、ブラケット外周側補強部21が開口部貫通方向視でリブ16~18と重複するように配置されている。本実施形態では、ブラケット外周側補強部21の柱部側部分211が、プレート部15とともにブラケット本体10の柱部11を補強している。これにより、車両上下方向、車両前後方向および車両左右方向に加わる荷重に対する補強効果にさらに優れる。したがって、本実施形態に係るブラケット1は、補強効果に優れたものとなる。
【0030】
なお、本発明によれば、ブラケット外周側補強部21は、開口部貫通方向視で、長リブであるリブ16全体を覆うように重複させることも可能である。ただし、本実施形態では、図3に示すように、ブラケット本体10のプレート部15の領域のうち、リブ16全体と重複する領域に至るまで、ブラケット外周側補強部21の柱部側部分211を積極的に配置していない。この場合、ブラケット外周側補強部21を設けたことによって生じ得るブラケット1の重量増加を抑制しつつ、ブラケット本体10に対する補強効果を向上させることができる。
【0031】
また、本発明によれば、補強部20は、ブラケット内周側補強部22を含む。ブラケット内周側補強部22は、ブラケット1の内周面f2を形成している。本実施形態では、ブラケット内周側補強部22は、ブラケット本体10の内周面に設けられている。本実施形態では、ブラケット本体10の内周面は、一対の柱部11と、一対の連結部12および13とによって形成されている。この場合、ブラケット1は、ブラケット外周側補強部21とともにブラケット内周側補強部22を備えることになる。これにより、ブラケット1は、1つの補強部のみを備えた従来のブラケットよりも、ブラケット本体10に対する補強効果がより高まるものとなる。この場合、ブラケット1は、補強効果により優れる。
【0032】
さらに、本発明によれば、ブラケット内周側補強部22は、帯状の補強部材であるとともに、当該補強部材の2つの長手方向端を合わせることによって環状に形成されており、さらに、2つの長手方向端220eを合わせることによって形成された繋目L22は、開口部貫通方向に対して傾斜していることが好ましい。本実施形態において、ブラケット内周側補強部22は、帯状の補強部材である。図6Aには、ブラケット内周側補強部22を形作る補強部材の一例として、帯状の補強部材220を示す。図6Aに示すように、補強部材220は、平面視で、平行四辺形である。補強部材220の2つの長手方向端220eは、図6Aに示すように、平面視において、互いに同じ向きに平行に傾斜する傾斜端である。補強部材220は、当該補強部材220の2つの長手方向端220eを同一の方向に向けて折り曲げることができる。図6Bは、補強部材220を折り曲げた状態を示す。図6Bに示すように、補強部材220は、当該補強部材220の2つの長手方向端220eを合わせることによって環状に折り曲げることができる。さらに、図6Bに示すように、2つの長手方向端220eを合わせることによって形成された繋目L22は、開口部貫通方向(開口部Aの中心軸O1)に対して傾斜している。
【0033】
防振装置は一般的に、前記防振部材を取り付けるためのブラケットを備えている。ブラケットの開口部に取り付けられた防振部材の連結部(例えば、ゴムを介してブラケットに連結された内筒部品)は、当該連結部に大きな荷重が加わったとき、ブラケットに接触することによって、その移動量が制限される。トポロジー的には、前記荷重は、ブラケットに形成された穴(開口部)の内側から外側に向かって当該ブラケットに加わる場合があり、また、こうした場合が多い。このため、本実施形態において、補強部20は、ブラケット本体10の内周側および外周側の両側に備えられている。
【0034】
一方、荷重が加わる条件によっては、ブラケット本体の内周面の全周にわたって補強部を設ける場合がある。この場合、補強部として帯状の補強部材を用い、当該帯状の補強部材の2つの長手方向端を突き合わせれば、ブラケット内周側補強部を、ブラケット本体の内周面に沿って環状(筒状)に形成することができる。しかしながら、この場合、補強部材の繋目が、例えば、開口部貫通方向に対して平行に延在していると、当該繋目には、ブラケット本体の内周面の周方向に沿った力に対する補強効果がない。
【0035】
そこで、本実施形態では、図1に示すように、補強部材220の繋目L22は、開口部貫通方向(開口部Aの中心軸O1)に対して傾斜させている。この場合、ブラケット内周側補強部22において、ブラケット1の内周面f2の周方向に沿った力に対する補強効果がない箇所を無くすことができる。本実施形態では、図6Aに示すように、帯状の補強部材220の2つの長手方向端220eを斜めにカットし、当該2つの長手方向端220eを、図6Bに示すように、合わせている。この場合、ブラケット内周側補強部22において、ブラケット1の内周面f2の周方向に沿った力および当該ブラケット1の内周面f2に対して垂直または傾斜した力、即ち、ブラケット1の内周面f2を曲げる力に対する補強効果を向上させることができる。
【0036】
ところで、本発明に係るブラケット1において、補強部材220の繋目L22は、ブラケット本体10に形成されたウェルドラインLwに対して交差させることができる。
【0037】
例えば、ブラケット本体10を射出成形等によって形成する場合、図1の破線で示すように、当該ブラケット本体10の内周面に、開口部Aの中心軸O1に沿って延在するウェルドラインLwが形成されることがある。例えば、ウェルドラインLwが開口部貫通方向に対して平行に延在している場合、当該ウェルドラインLwは、ブラケット本体10の内周面の周方向に沿った力に対する強度に、改善の余地を生じさせる部位となることがある。そこで、図6Bに示すように、補強部材220の繋目L22がウェルドラインLwと重なり合って当該ウェルドラインLwに対して交差するように、ブラケット内周側補強部22を構成すれば、ブラケット本体10の内周面の周方向において、ウェルドラインLwに対して直交する方向に、当該ウェルドラインLwに生じる力を、補強部材220の繋目L22(2つの長手方向端220e)で受けることができる。この場合、ブラケット本体10に生じるウェルドラインLwを補強することができる。
【0038】
これに対し、本発明に係るブラケット1において、補強部材220の繋目L22は、ウェルドラインLwと交差しない位置に形成されていることが好ましい。
【0039】
上述のとおり、補強部材220の繋目L22には、当該繋目L22に対して直交する方向に生じる力に対して補強効果がない。このため、ブラケット内周側補強部22を帯状の補強部材220で形成した場合においても、当該補強部材220の繋目L22では、ウェルドラインLwに対する補強効果が低下すると考えられる。そこで、図1に示すように、本実施形態では、補強部材220の繋目L22は、強度が低いウェルドラインLwからずらして、当該ウェルドラインLwと交差しない位置に配置する。この場合、補強部材220の繋目L22は、ウェルドラインLwと重なり合うことがないため、当該ウェルドラインLw全体をブラケット内周側補強部22によって確実に補強することができる。
【0040】
また、図2に示すように、本発明によれば、ブラケット外周側補強部21は、柱部延在方向視で、架け渡し部12からプレート部15に向かうに従って先細る先細り部分21aを有していることが好ましい。この場合、耐久性により優れたブラケットになる。
【0041】
詳細には、図2に示すように、ブラケット外周側補強部21の先細り部分21aを形作る、当該ブラケット外周側補強部21の2つの開口部貫通方向端21eaは、それぞれ、柱部延在方向視で、開口部貫通方向側輪郭線L3及びL4で形作られている。2つの開口部貫通方向側輪郭線L3及びL4はそれぞれ、図2に示すように、柱部延在方向視で、ブラケット幅方向中心線LOに対して角度αだけ傾斜している。角度αは、図2に示すように、柱部延在方向視で、柱部11から架け渡し部12に向かうに従って、ブラケット幅方向中心線LOに向かって傾斜する鋭角である。角度αは、60°以下が好ましい。より好ましくは、10°以上45°以下である。更に、好ましくは、10°以上40°以下である。角度αは、ブラケット1の形状、材質、使用目的に応じて、適宜設定することができる。
【0042】
ブラケット1は、上述のように、プリプレグ等の繊維強化プラスチックで構成された補強部材をインサート品として、射出成形を行う方法ができる。
【0043】
しかしながら、繊維強化プラスチックで構成された補強部材は、一般的に、ブラケット本体10を形成する基材樹脂よりも剛性が高い。このため、インサート成形後のブラケット1に対して大きな荷重が入力されたとき、補強部20の端の付近(ブラケット本体10を形作る基材樹脂と、補強部20を形作る前記繊維部材との境界線)において前記基材樹脂に対して応力集中が生じてしまい、効率的な補強効果を得ることができないことが考えられる。
【0044】
これに対し、本実施形態では、図2に示すように、柱部延在方向視で、ブラケット外周側補強部21に、架け渡し部12からプレート部15に向かうに従って先細る先細り部分21aを形成したことで、ブラケット外周側補強部21の先細り部分21aの2つの開口部貫通方向端21ea(開口部貫通方向側輪郭線L3及びL4)を主として、引っ張り応力発生方向(本実施形態では、架け渡し部12の延在方向)に対して傾斜させている。この場合、ブラケット外周側補強部21の開口部貫通方向端の延在方向長さを、先細り部分21aの開口部貫通方向端21eaにおいて、架け渡し部12の延在方向に引き延ばすこと(斜めにすること)によって、基材樹脂(ブラケット本体10)と補強部20との剛性差によって生じる応力の発生個所を分散させることができる。これにより、ブラケット外周側補強部21とブラケット本体10との境界線において当該ブラケット本体10に対して応力集中が生じることがなく、効率的な補強効果を得ることができる。なお、先細り部分21aの開口部貫通方向端21eaは、本実施形態のように、プレート部15として、複数のプレート部15が開口部貫通方向に間隔を置いて配列される場合、ブラケット外周側補強部21の開口部貫通方向端の両側に設けることが好ましい。ただし、本発明に従えば、先細り部分21aの開口部貫通方向端21eaは、2つの開口部貫通方向側輪郭線L3及びL4のいずれか一方とすることもできる。
【0045】
また、本発明に係るブラケット1において、プレート部15は、開口部貫通方向に間隔を置いて配置された2つのプレート部15を含み、ブラケット外周側補強部21は、架け渡し部12から2つのプレート部15の間を柱部延在方向に更に延在していることが好ましい。この場合、耐久性により優れたブラケットになる。
【0046】
本実施形態では、図1に示すように、ブラケット外周側補強部21の柱部側部分211は、先細り部分21aから2つのプレート部15の間を柱部延在方向に延在している。本実施形態では、柱部側部分211は、ブラケット外周側補強部21の先細り部分21aに繋がる延長部である。この場合、耐久性により優れたブラケットになる。
【0047】
なお、図2に示すように、本実施形態において、架け渡し部12の開口部貫通方向幅W1は、柱部延在方向視で、当該架け渡し部12の延在方向端12eにおいて最大となっている。本実施形態では、架け渡し部12の延在方向端12eは、連結部延在方向において、柱部11のブラケット内周側側面11f2と一致している。
【0048】
具体的には、本実施形態において、架け渡し部12の開口部貫通方向幅W1は、図2に示すように柱部延在方向視で、当該架け渡し部12の延在方向端12eから当該架け渡し部12の延在方向中心Cに向かうに従って狭くなっている。この場合、ブラケット1への荷重の入力時に応力集中し易い、ブラケット本体10における、柱部11及び架け渡し部12の接続部分の強度を確保しつつ、架け渡し部12の延在方向中心Cを狭くすることで、重量の増加を抑制することができる。
【0049】
詳細には、本実施形態において、架け渡し部12の開口部貫通方向側輪郭を形作る開口部貫通方向側輪郭線L1及びL2の一方は、図2に示すように柱部延在方向視で、架け渡し部12の延在方向端12eから当該架け渡し部12の延在方向中心Cに向かうに従って、当該開口部貫通方向側輪郭線L1およびL2の他方に向かう凹の曲線であることが好ましい。本実施形態では、第1開口部貫通方向側輪郭線L1は、架け渡し部12の延在方向端12eから当該架け渡し部12の延在方向中心Cに向かうに従って、第2開口部貫通方向側輪郭線L2に向かう凹の曲線である。この場合、架け渡し部12の開口部貫通方向幅W1が第1開口部貫通方向側輪郭線L1に沿って滑らかに減少することにより、当該第1開口部貫通方向側輪郭線L1上において生じ得る応力集中を抑制しつつ、重量の増加を抑制することができる。
【0050】
また、詳細には、本実施形態において、架け渡し部12の開口部貫通方向側輪郭を形作る開口部貫通方向側輪郭線L1及びL2の前記他方も、図2に示すように柱部延在方向視で、架け渡し部12の延在方向端12eから当該架け渡し部12の延在方向中心Cに向かうに従って、当該開口部貫通方向側輪郭線L1およびL2の前記一方に向かう凹の曲線であることが好ましい。本実施形態では、第2開口部貫通方向側輪郭線L2は、架け渡し部12の延在方向端12eから当該架け渡し部12の延在方向中心Cに向かうに従って、第1開口部貫通方向側輪郭線L1に向かう凹の曲線である。この場合、架け渡し部12の開口部貫通方向幅W1が第2開口部貫通方向側輪郭線L2に沿って滑らかに減少することにより、当該第2開口部貫通方向側輪郭線L2上において生じ得る応力集中を抑制しつつ、重量の増加を抑制することができる。
【0051】
また、本実施形態において、架け渡し部12の第1開口部貫通方向側輪郭線L1の前記凹の開口部貫通方向深さD1は、柱部延在方向視で、第2開口部貫通方向側輪郭線L2の前記凹の開口部貫通方向深さD2と異なることが好ましい。
【0052】
補強部材210および220をインサート品としてブラケット本体10を射出成形する場合、上述のように、ウェルドラインLwがブラケット本体10に生じ得る。ウェルドラインLwは、ブラケット1に過大な荷重が加わるとき、ブラケット本体10を剥離させる起点となり得る。このため、ウェルドラインLwは、ブラケット1の使用状況を想定しつつ、大きな荷重が加わる位置を回避するように形成されることが好ましい。しかしながら、設計上・構造上において、射出ゲート位置に制約がある場合、ウェルドラインLwの位置が一義的に決まってしまう場合がある。この場合、前記射出ゲート位置の変更に制限があるため、ウェルドラインLwを制御して応力集中を回避することが困難である。
【0053】
例えば、図7に示すように、ウェルドラインLwが、柱部延在方向視で、連結部延在方向に沿って延びているとき、図2に示すように、第1開口部貫通方向側輪郭線L1の開口部貫通方向深さD1と、第2開口部貫通方向側輪郭線L2の開口部貫通方向深さD2とを異ならせれば、当該ウェルドラインLwは、開口部貫通方向深さD1およびD2のうち、当該開口部貫通方向深さの浅い側の、開口部貫通方向側輪郭線L1又はL2に近い位置に寄せるように形成することができる。即ち、2つの開口部貫通方向深さD1およびD2を調整すれば、ウェルドラインWLの位置を制御することができる。したがって、開口部貫通方向深さD1およびD2を適宜調整すれば、ブラケット1に対して大きな荷重が加わる位置からウェルドラインLwを回避させることができる。
【0054】
一方、図7を参照すれば、本実施形態のようなブラケットにおいて、開口部貫通方向深さD1およびD2を同一とした場合、ブラケット本体10の架け渡し部12に加わる外力は一般的に、ブラケット幅方向中心線LO上に沿って作用する。ここで、ブラケット幅方向中心線LOは、連結部延在方向に平行な直線であって、当該架け渡し部12の開口部貫通方向幅の中心を通る直線である。
【0055】
これに対し、本実施形態において、開口部貫通方向深さD1の最大値D1maxは、開口部貫通方向深さD2の最大値D2maxよりも浅くなっている。この場合、図7に示すように、ウェルドラインLwは、深さが浅い側の開口部貫通方向深さD1に形成される傾向となる。即ち、本実施形態によれば、図7に示すように、ウェルドラインLwは、浅い開口部貫通方向深さD1の第1開口部貫通方向側輪郭線L1に寄りに形成される。この場合、例えば、ブラケット1に入力される荷重が、ブラケット幅方向中心線LO上に沿った応力集中を生じさせても、当該ブラケット幅方向中心線LOから開口部貫通方向にウェルドラインLwがずれているため、当該ウェルドラインLwに沿って生じ得る応力集中は抑制される。このため、本実施形態によれば、耐久性により優れたブラケットになる。
【0056】
また、図3に示すように、本実施形態では、基部13は、連結部延在方向の延長上に、柱部11から突出しているフランジ部14を更に備えている。また、上述のとおり、本実施形態において、フランジ部14とプレート部15とは連結されている。この場合、耐久性により優れたブラケット1になる。なお、本実施形態では、ブラケット本体10は、2つのプレート部15に対応させるように、2つのフランジ部14を備えている。この場合、耐久性により優れたブラケットになる。
【0057】
上述したところは、本発明の一実施形態について説明を行ったにすぎず、特許請求の範囲に従えば、様々な変更が可能となる。例えば、補強部20は、プリプレグ等の繊維強化プラスチックで構成されるものに限定されるものではない。本発明によれば、補強部20は、前記繊維状要素を熱可塑性樹脂に混合させた繊維強化熱可塑性プラスチック(FRTP)を用いて、ブラケット本体10とともに射出成形することも可能である。さらに、補強部材210および220の形状は、ブラケット1の外周面f1および内周面f2の形状に合わせて、適宜変更することができる。さらに、本実施形態に係るブラケット1の開口部Aは、開口部貫通方向視で、矩形形状であるが、楕円形状、真円形状とすることができる。
【符号の説明】
【0058】
1:ブラケット, 10:ブラケット本体, 11:柱部, 11f1:柱部のブラケット外周側外側面, 12:架け渡し部(連結部), 13:基部(連結部), 14:フランジ部, 15:プレート部, 15f1:プレート部の外面, 16:リブ(長リブ), 17:リブ(中間リブ), 18:リブ(短リブ), 20:補強部, 21:ブラケット外周側補強部, 21a:ブラケット外周側補強部の先細り部分, 21e1:ブラケット外周側補強部の開口部貫通方向端, 21e2:ブラケット外周側補強部の柱部延在方向端, 210:補強部材, 211:補強部材の柱部側部分, 211e:補強部材の柱部側部分の幅方向端, 212:補強部材の架け渡し部側部分, 22:ブラケット内周側補強部, 220:補強部材, 220e:補強部材の長手方向端, f1:ブラケットの外周面, f2:ブラケットの内周面, L22:繋目, Lw:ウェルドライン
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6A
図6B
図7