(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-02
(45)【発行日】2022-12-12
(54)【発明の名称】抄紙機および抄紙機に用いられる制御装置
(51)【国際特許分類】
D21F 7/04 20060101AFI20221205BHJP
B65H 26/02 20060101ALI20221205BHJP
【FI】
D21F7/04
B65H26/02
(21)【出願番号】P 2019144698
(22)【出願日】2019-08-06
【審査請求日】2021-09-06
(73)【特許権者】
【識別番号】501137636
【氏名又は名称】東芝三菱電機産業システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(74)【代理人】
【識別番号】100168332
【氏名又は名称】小崎 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【氏名又は名称】市川 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100172188
【氏名又は名称】内田 敬人
(72)【発明者】
【氏名】上田 弘紹
【審査官】長谷川 大輔
(56)【参考文献】
【文献】実開昭47-038105(JP,U)
【文献】特開平11-350375(JP,A)
【文献】特開平06-294092(JP,A)
【文献】特開平04-136292(JP,A)
【文献】特開2000-154489(JP,A)
【文献】特開平06-057680(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第00584492(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H23/18-23/198
26/00-26/08
D21B1/00-1/38
D21C1/00-11/14
D21D1/00-99/00
D21F1/00-13/12
D21G1/00-9/00
D21H11/00-27/42
D21J1/00-7/00
G05B1/00-13/04
17/00-17/02
21/00-23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙を搬送する搬送路と、前記搬送路を移動する前記紙の紙切れを検出する紙切れセンサと、前記紙を前記搬送路の上流から下流に向けて通紙させるためのエアー噴出器と、前記搬送路および前記エアー噴出器を作動させる操作部と、前記搬送路および前記エアー噴出器の動作を制御する制御装置と、を備えた抄紙機であって、
前記制御装置は、
オペレータによる前記操作部の操作により
前記搬送路および前記エアー噴出器を作動させて、通紙に成功した複数の通紙成功情報を平均化した自動通紙情報を有し、
前記紙切れセンサが紙切れを検出したときには前記自動通紙情報に基づいて前記搬送路および前記エアー噴出器を制御する抄紙機。
【請求項2】
前記制御装置は、前記紙切れセンサが紙切れを検出した後の通紙を検出してから所定時間内で紙切れを検出しなかったものを前記通紙成功情報とする請求項1に記載の抄紙機。
【請求項3】
前記制御装置は、前記紙切れセンサが紙切れを検出してから通紙を検出するまでの紙切れ時間を計測し、前記通紙成功情報のうち前記紙切れ時間が短い上位数回を用いて前記自動通紙情報を演算する請求項2に記載の抄紙機。
【請求項4】
前記制御装置は、前記紙切れセンサが紙切れを検出した後で、前記操作部が操作されてから通紙を検出するまでの通紙時間を計測し、前記通紙時間が短い上位数回を前記通紙成功情報とする請求項1に記載の抄紙機。
【請求項5】
前記搬送路は、上流から下流に向けて前記紙を送る複数のロールを有し、
前記通紙成功情報は、前記ロールの速度、前記ロールのトルク、前記ロールの作動タイミング、前記エアー噴出器のエアー圧、および前記エアー噴出器の噴出タイミングを有している請求項1~4のいずれか1項に記載の抄紙機。
【請求項6】
前記搬送路を撮像する撮像装置を備え、
前記制御装置は、前記搬送路と前記エアー噴出器との作動情報と、前記作動情報に基づく画像とを同期再生することができるモニタを有する請求項1~5のいずれか1項に記載の抄紙機。
【請求項7】
紙を搬送する搬送路と、前記搬送路を移動する前記紙の紙切れを検出する紙切れセンサと、前記紙を前記搬送路の上流から下流に向けて通紙させるためのエアー噴出器と、を備えた抄紙機に用いられる制御装置であって、
オペレータが前記搬送路と前記エアー噴出器と
の作動を操作して通紙に成功した複数の通紙成功情報を平均化した自動通紙情報を有し、
前記紙切れセンサが紙切れを検出したときには前記自動通紙情報に基づいて前記搬送路および前記エアー噴出器を制御する抄紙機に用いられる制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、製紙産業における自動通紙操作を行うことができる抄紙機および抄紙機に用いられる制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
抄紙機では、ロールを連続的に流れている紙が切れたり、紙の品種を変えたりするときに、新たな紙を後段のロールに送るための通紙操作が行われる。このような通紙操作において、オペレータが操作した手順を制御装置に記憶させて、その記憶した内容で通紙を行う抄紙機が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した抄紙機は、単にオペレータが操作した手順を基にして、通紙を行っている。ここで、通紙操作は、紙の状態により、駆動装置(ロール)の速度、トルク、および通紙のタイミングなどが変化する。従って、オペレータの通紙操作の操作手順を単に記憶させただけでは、通紙が正常になされない虞がある。
【0005】
本発明の実施形態は、通紙を自動で行うことができる抄紙機および抄紙機に用いられる制御装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態に係る抄紙機は、紙を搬送する搬送路と、前記搬送路を移動する前記紙の紙切れを検出する紙切れセンサと、前記紙を前記搬送路の上流から下流に向けて通紙させるためのエアー噴出器と、前記搬送路および前記エアー噴出器を作動させる操作部と、前記搬送路および前記エアー噴出器の動作を制御する制御装置と、を備えた抄紙機であって、前記制御装置は、前記操作部の操作により通紙に成功した複数の通紙成功情報を平均化した自動通紙情報を有し、前記紙切れセンサが紙切れを検出したときには前記自動通紙情報に基づいて前記搬送路および前記エアー噴出器を制御する抄紙機である。
【発明の効果】
【0007】
本実施形態では、紙切れおよび紙の品種を変えるときの通紙を自動で行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の第1実施形態による抄紙機の一部を模式的に示す模式図である。
【
図2】抄紙機の自動通紙システムを示すブロック図である。
【
図3】制御装置に記憶された作動情報を示すデータである。
【
図4】
図3中の作動情報から通紙成功情報を抽出したデータである。
【
図5】自動通紙情報での作動タイミングを決定するときの一例を示すタイミング図である。
【
図6】本発明の第2実施形態による自動通紙情報での作動タイミングを決定するときの一例を示すタイミング図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しつつ、本発明の第1実施形態について説明する。
なお、図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
なお、本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して詳細な説明を適宜省略する。
【0010】
図1は、第1実施形態に係る抄紙機の一部を模式的に示す模式図である。
抄紙機1は、紙層を形成するワイヤ工程、湿紙を圧搾するプレス工程、湿紙の水分を蒸発させるドライヤ工程、塗液を塗工するコータ工程などを介して紙を製造するもので、製紙工場に設置されている。
図1では、抄紙機1の各工程のうち、プレス工程以降の一部を示している。
【0011】
抄紙機1は、搬送路2と、紙切れセンサ5と、エアー噴出器6と、制御装置10と、を備えている。搬送路2は、上流から下流に向けて紙Pを送る複数のロール3,4を有している。搬送路2は、例えば紙Pの流れ方向の上流側に位置する前段ロール3と、前段ロール3よりも下流側に位置する後段ロール4と、を有している。前段ロール3は、例えば紙Pを上下方向で挟むように配置されたロール3a,3bとなっている。また、後段ロール4は、直列に配設されたロール4a,4bとなっている。抄紙機1は、複数の前段ロール3および後段ロール4が連なることにより、紙Pを搬送している。
【0012】
前段ロール3と後段ロール4とは、図示しない電動機により回転され、紙Pが上流から下流に向けて搬送される。
図1に示す例では、紙Pは、紙面左側から右側に移動する。電動機は、前段ロール3と後段ロール4とのそれぞれに設けてもよい。電動機は、各ロールの少なくともいずれかに設けられていればよい。前段ロール3と後段ロール4とは、後述の制御装置10に接続され、制御装置10からの指令信号により作動する。また、前段ロール3と後段ロール4とには、ロール速度およびトルクを検出する図示しないセンサを有している。ロール速度およびトルクは、制御装置10に送信される。
【0013】
紙切れセンサ5は、連続する2つのロール3,4間に位置して、後述のエアー噴出器6よりも下流側に設けられている。この紙切れセンサ5は、例えば透過型の光学センサが用いられ、搬送路2を移動する紙Pの紙切れ(断紙)を検出する。紙Pが正常に搬送されている場合には、検出光が紙Pによって遮断され、紙切れが発生した場合にのみ、検出光が透過して受光されるように、光学センサの投光部および受光部を配置する。これにより、透過型の光学センサによって紙切れを検出することができる。紙切れセンサ5は、制御装置10に接続され、紙Pの紙切れを制御装置10に送信する。
【0014】
制御装置10は、紙切れセンサ5からの紙切れの信号を受信した場合に、搬送路2による紙Pの搬送を停止したり、前段ロール3および後段ロール4の速度を低下させたりする。また、制御装置10は、紙切れセンサ5が紙Pの紙切れを検出した場合に、例えば図示しない報知器により、抄紙機1のオペレータなどに異常の検出を報知する。換言すれば、アラームを出力する。
【0015】
エアー噴出器6は、前段ロール3と後段ロール4との間に位置して、紙Pよりも下方に設けられている。エアー噴出器6は、例えば紙切れセンサ5よりも上流側に設けられている。このエアー噴出器6は、紙Pを搬送路2の上流から下流に向けて通紙させるためのものである。具体的には、紙Pが断紙した場合には、
図1中の二点鎖線で示すように、紙Pは下方に向けて流れる。そして、通紙を実行するときには、エアー噴出器6から紙Pに向けてエアーを噴出して紙Pを切断する。その後、エアー噴出器6からエアーを噴出することにより、切断した紙Pの先端側を後段ロール4へと導く。エアー噴出器6は、制御装置10に接続され、制御装置10によりエアー圧およびエアー噴出のタイミングが制御されている。
【0016】
撮像装置7は、前段ロール3と後段ロール4との間に位置して、搬送路2の上方および側方に配置されている。この撮像装置7は、例えば搬送路2、エアー噴出器6、紙Pを撮像する。撮像装置7は、所定の周期で連続的に画像(映像)を取得する。撮像装置7の取得する画像は、静止画像でもよいし、動画像でもよい。撮像装置7は、例えば通紙操作を実行したときに、紙Pの状態、前段ロール3と後段ロール4との状態、およびエアー噴出器6の状態などを撮像する。撮像装置7は、制御装置10に接続され、撮像した画像を制御装置10に送信している。なお、撮像装置7の数は、搬送路2の搬送距離などに応じた任意の数でよい。撮像装置7の数は、1台でもよい。
【0017】
操作部8は、例えば抄紙機1の管理を行う管理室に設置され、オペレータが前段ロール3や後段ロール4およびエアー噴出器6を作動させるための複数の操作ボタン8a(スイッチ)を有している。また、操作部8は、通紙作業を手動で行うときの手動モードと、通紙操作を自動で行うときの自動モードと、を切替え可能なモード選択スイッチ8bを有している。
【0018】
手動モードが選択されているときには、操作部8の各操作ボタン8aによる搬送路2やエアー噴出器6などの操作が有効となる。操作部8は、制御装置10に接続され、オペレータによる各操作ボタン8aの指令信号が制御装置10に送信される。一方、自動モードが選択されているときには、操作部8の各操作ボタン8aによる搬送路2やエアー噴出器6などの操作が無効となる。
【0019】
また、操作部8は、自動モードが選択可能なことを報知する表示部8cを有している。ここで、自動モードは、手動モードでオペレータが行った複数回の操作情報のうち、複数の通紙成功情報を平均化した数値を基にして実行される。通紙成功情報は、前段ロール3と後段ロール4との速度およびトルク、各ロール3,4の作動タイミング、エアー噴出器6のエアー圧、エアー噴出器6の噴出タイミングなどを有している。
【0020】
従って、自動モードは、予め設定された回数の通紙成功情報が蓄積されたときに有効となる。そして、表示部8cには、例えば「自動モード選択可能です」や「自動モード選択できません」などが表示される。なお、モード選択スイッチ8bの点灯、点滅などにより自動モード選択の可否を報知してもよい。通紙作業の自動化については、後で詳しく述べる。
【0021】
図2は、抄紙機の自動通紙システムを示すブロック図である。
図3は、制御装置に記憶された作動情報を示すデータである。
図4は、
図3中の作動情報から通紙成功情報を抽出したデータである。
図3では、通紙作業を行った人物の名前、時間、前段ロール3と後段ロール4との速度、トルク、ドロー率、前段ロール3と後段ロール4との速度差、エアー噴出器6のエアー圧、紙切れセンサ5が紙切れを検出してから通紙を検出するまでの紙切れ時間、映像データが示されている。なお、
図3、
図4に示す各数値は、実測値ではなくモデル値として示したものであり、抄紙機1の通紙作業で実際に用いられるものではない。
【0022】
制御装置10は、例えば操作部8とともに管理室に設置され、搬送路2およびエアー噴出器6の動作を制御する。制御装置10は、メインコントローラ11と、演算装置12(CPU)と、メインコントローラ11と演算装置12とを接続するハブ13と、を有している。メインコントローラ11、演算装置12、およびハブ13は、一体に形成されていてもよい。また、操作部8と制御装置10とが一体になっていてもよい。
【0023】
メインコントローラ11は、搬送路2およびエアー噴出器6の動作を制御する。メインコントローラ11は、前段ロール3、後段ロール4、紙切れセンサ5、エアー噴出器6、および操作部8に接続されている。また、メインコントローラ11は、ハブ13を介して演算装置12に接続されている。
【0024】
メインコントローラ11は、手動モードが設定されている場合には操作部8から指令信号を受信して、その指令信号に基づき搬送路2やエアー噴出器6を作動させる。一方、メインコントローラ11は、自動モードが設定されている場合には演算装置12から指令信号を受信して、その指令信号に基づき搬送路2やエアー噴出器6を作動させる。
【0025】
演算装置12は、ハブ13を介してメインコントローラ11から搬送路2やエアー噴出器6の作動情報を取得する。また、演算装置12は、撮像装置7からの画像を取得する。演算装置12は、通紙を実行したときの作動情報と、撮像装置7からの画像を記憶する記憶部12aを有している。
【0026】
図3に示すように、作動情報は、例えば前段ロール3と後段ロール4との速度、トルク、ドロー率、およびエアー噴出器6のエアー圧などを有している。ドロー率は、搬送路2に設けられたセクションロール(図示せず)に対する速度差を示したものである。また、各ロール3,4の作動タイミングおよびエアー噴出器6の噴出タイミングなども作動情報となっている。これらのタイミングは、例えば紙切れセンサ5が紙切れを検出したときからの時間として計測することができる。
【0027】
なお、各ロール3,4の作動タイミングやエアー噴出器6の噴出タイミングは、各ロール3,4やエアー噴出器6などに設けられた検出器(図示せず)からの指令信号により取得してもよいし、オペレータによる操作部8の各操作ボタン8aの操作タイミングを取得してもよい。
【0028】
演算装置12は、搬送路2とエアー噴出器6との作動情報と、この作動情報に基づく画像とを同期再生することができるモニタ12bを有している。すなわち、演算装置12は、
図3に示す各作動情報と、そのときの各通紙作業の画像とをモニタ12bに表示させることができる。例えば、
図3に示す「NO.1」を選択したときには、NO.1の作動情報と、NO.1の搬送路2、エアー噴出器6、および紙Pの画像がモニタ12bに表示される。
【0029】
これにより、例えば手動モードや自動モードでの通紙のオペレーションを確認することができる。通紙作業は、紙の状態などを確認しながら行わなければならないので難しい作業となっている。そこで、モニタ12bにより、例えば熟練したオペレータの操作による搬送路2とエアー噴出器6との作動情報と、そのときの搬送路2、エアー噴出器6、および紙Pの画像とを確認することで、通紙作業の分析や新人オペレータの教育を行うことができる。
【0030】
また、演算装置12は、搬送路2とエアー噴出器6とを操作して通紙に成功した複数の通紙成功情報を平均化した自動通紙情報を有している。通紙成功情報は、紙切れセンサ5が紙切れを検出した後の通紙を検出してから所定時間(例えば、5~7分)で紙切れを検出しなかった作動情報となっている。すなわち、演算装置12は、オペレータが通紙操作を行って紙切れセンサ5が通紙を検出してから所定時間内で再度紙切れが発生していないかを監視する。
【0031】
演算装置12は、この期間内に紙切れが発生した場合にはオペレータによる通紙操作に不備があったものと認識する。
図3に示す作動情報では、通紙に成功した場合(通紙成功情報)を「Good 判定:○」として表示している。一方、通紙後の所定時間内に再度紙切れが発生した場合、すなわち通紙に失敗した場合を「Good 判定:×」と表示している。
【0032】
演算装置12は、記憶部12aに通紙成功情報をあらかじめ定められた回数(例えば、10~20回)まで蓄積する。通紙成功情報の蓄積回数は、オペレータが演算装置12に適宜設定できる。演算装置12は、通紙成功情報があらかじめ定められた回数まで達していないときには操作部8の自動モードを選択不可とする。すなわち、演算装置12は、手動モードのみ選択可能とする指令信号を操作部8に出力する。
【0033】
演算装置12は、通紙成功情報があらかじめ定められた回数に達したときには、紙切れが発生したり、紙Pの品種を変えたりした後の通紙を自動で実行するための自動通紙情報を演算する。演算装置12は、例えば複数回の通紙成功情報のうち紙切れ時間が短い上位数回(例えば、2~5回)の通紙成功情報を抽出する。この抽出される回数は、オペレータによりあらかじめ設定されている。そして、抽出された複数回の通紙成功情報を平均化して自動通紙情報を演算する。これにより、自動モードでの紙切れ時間を可及的に短くすることができるので、抄紙機1の停滞時間を短くすることができる。
【0034】
例えば、2個の通紙成功情報を抽出した場合には、第1通紙成功情報のエアー噴出器6のエアー圧P1、第2通紙成功情報のエアー噴出器6のエアー圧P2とすると、自動通紙情報によるエアー噴出器6のエアー圧を、(P1+P2)/2と設定する。また、第1通紙成功情報の紙切れからのエアー噴出器6のエアー噴出タイミングの時間T1、第2通紙成功情報の紙切れからのエアー噴出器6のエアー噴出タイミングの時間T2とすると、紙切れセンサ5が紙切れを検出してからエアー噴出のタイミング時間を、(T1+T2)/2と設定する。前段ロール3および後段ロール4についても同様に、速度、トルク、および作動タイミングなどを平均化して、自動通紙情報を設定する。
【0035】
そして、演算装置12は、紙切れセンサ5が紙切れを検出したときには自動通紙情報に基づいて搬送路2およびエアー噴出器6を制御する。すなわち、演算装置12は、自動モードが選択されている場合に、メインコントローラ11に自動通紙情報による指令信号を送信する。そして、メインコントローラ11は、紙切れセンサ5が紙切れを検出したときにはその指令信号を基に、前段ロール3、後段ロール4、およびエアー噴出器6を作動させる。これにより、抄紙機1は、紙Pの紙切れが発生したときや、紙Pの品種を変えたときに、熟練したオペレータの通紙操作を再現して自動化させることができる。その結果、抄紙機1の省力化および効率化を図ることができる。
【0036】
本実施形態による抄紙機1は、上述の如き構成を有するもので、次に抄紙機1の作動について説明する。
【0037】
抄紙機1は、紙料をワイヤ(網)に載せて紙層を形成するワイヤ工程を経て、湿紙を圧搾するプレス工程、湿紙の水分を蒸発させるドライヤ工程、塗液を塗工するコータ工程などを介して紙を製造する。プレス工程、ドライヤ工程、およびコータ工程では、連続して設けられた複数個のロールにより紙が上流から下流に向けて搬送される。
【0038】
ここで、抄紙機1の搬送路2上を流れる紙Pに紙切れが発生した場合には、
図1に示す二点鎖線のように、紙Pが前段ロール3と後段ロール4との間で下方に向けて流れ落ちることになる。このような場合には、新たな紙Pを後段ロール4に送るための通紙操作が行われる。このような通紙操作において、オペレータが操作した手順を制御装置に記憶させて、その記憶した内容で通紙を行う抄紙機が提案されている。
【0039】
しかし、通紙操作における駆動装置(ロール)の速度、トルク、および通紙のタイミングなどは、紙の状態により変化する。従って、オペレータの通紙操作の操作手順を単に記憶させただけでは、通紙が正常になされない虞がある。
【0040】
そこで、本実施形態では、制御装置10の演算装置12は、搬送路2とエアー噴出器6とを操作して通紙に成功した複数の通紙成功情報を平均化した自動通紙情報を有している。そして、演算装置12は、紙切れセンサ5が紙切れを検出したときには、自動通紙情報に基づいて搬送路2およびエアー噴出器6を制御する。以下、抄紙機1の自動通紙について、
図2を参照して説明する。
図2に示す流れ図の各ステップは、それぞれ「S」という表記を用い、例えばステップ1を「S1」として示すものとする。また、
図2の制御処理は、記憶部12aに格納されており、例えば抄紙機1に通電している間、所定の制御周期で繰り返し実行される。
【0041】
まず、演算装置12は、抄紙機1の通紙操作を手動モードに設定して、自動通紙情報を演算するために、オペレータの通紙操作による複数回の作動情報を取得する。この場合、自動通紙情報が演算されるまでは、自動モードが選択できないようになっている。
図3に示すように、作動情報は、前段ロール3と後段ロール4との速度およびトルク、ドロー率、およびエアー噴出器6のエアー圧などを有している。また、各ロール3,4の作動タイミングおよびエアー噴出器6の噴出タイミングなども作動情報となっている。作動情報は、演算装置12の記憶部12aに記憶される。
【0042】
そして、S1では、Goodデータ判定を実行する。すなわち、演算装置12は、通紙後の所定時間内(例えば、5分以内)に再度紙切れが発生したか否かを判定するGoodデータ判定を実行する。演算装置12は、このGoodデータ判定により、作動情報のうち紙切れなしと判定されたものを通紙が成功したものと判定して通紙成功情報と設定する。
図3では、通紙成功情報を「Good判定:○」としている。
【0043】
次のS2では、データ蓄積を行う。すなわち、演算装置12は、自動通紙情報を演算するために、あらかじめ設定された回数(例えば、13回)の通紙成功情報を蓄積する。そして、S3では、Goodデータの抽出を実行する。すなわち、
図4に示すように、演算装置12は、複数回の作動情報のうち通紙成功情報のみを抽出する。
【0044】
次のS4では、データ設定、操作タイミングの抽出を実行する。すなわち、演算装置12は、通紙成功情報のうち紙切れ時間が短い上位数回(例えば、2回)を抽出する。また、抽出した通紙成功情報の操作タイミング、すなわち搬送路2(前段ロール3および後段ロール4)やエアー噴出器6の作動タイミングを抽出する。なお、S4では、紙切れ時間が短い上位数回を抽出することなく、S3で抽出した通紙成功情報の全てのデータを用いてもよい。
【0045】
次のS5では、複数の通紙成功情報から各機器の作動数値と作動タイミングとの平均化が実行される。すなわち、演算装置12は、S4で抽出された複数の通紙成功情報の各作動数値および作動タイミングを平均化して、自動通知情報を演算する。具体的には、演算装置12は、前段ロール3の速度、トルク、ドロー率を平均化する。また、演算装置12は、後段ロール4の速度、トルク、ドロー率を平均化する。また、エアー噴出器6のエアー圧を平均化する。さらに、演算装置12は、紙切れセンサ5が紙切れを検出したときを基準として、前段ロール3、後段ロール4、およびエアー噴出器6の作動タイミングを平均化する。
【0046】
次のS6では、自動運転指令が送信される。すなわち、演算装置12は、メインコントローラ11に向けて、自動モードが選択可能であることの指令信号およびS5で演算された自動通知情報の指令信号を送信する。そして、メインコントローラ11は、モード選択スイッチ8bにより自動モードが選択された場合に、紙切れセンサ5が紙切れを検出したときには自動通紙情報に基づいて搬送路2およびエアー噴出器6を制御する。これにより、抄紙機1は、紙切れが発生したときに、熟練したオペレータの通紙操作を踏襲した自動通紙がなされる。従って、抄紙機1による製紙の省力化および効率化を図ることができる。
【0047】
図5は、自動通紙情報での作動タイミングを決定するときの一例を示すタイミング図である。
図5では、例えば通紙成功情報のうち紙切れ時間が短い2個の通紙成功情報を抽出した場合を例示している。
図5(a)は、
図4中のNO.10の作動タイミングを示している。
図5(b)は、
図4中のNO.7の作動タイミングを示している。
図5(c)は、
図5(a)、(b)から演算された自動通紙情報による作動タイミングを示している。
【0048】
図5(a)に示すNO.10のタイミング図では、時刻t0で紙切れセンサ5が「ON」となることにより、紙切れが検出される。その後、時刻t1で操作部8の操作ボタン8aが操作(操作部「ON」)されることにより、搬送路2(前段ロール3および後段ロール4)を作動させている。そして、時刻t2でエアー噴出器6を作動(エアー「ON」)させている。そして、時刻t3で紙切れセンサ5が「OFF」となることにより、通紙がなされている。その後の時刻t4では、紙切れセンサ5が「ON」となっていないので、通紙成功情報であると判定されている。また、NO.10は、時刻t0から時刻t3までの紙切れ時間が他の通紙成功情報に比べて一番短いものとなっている。
【0049】
次に、
図5(b)に示すNO.7のタイミング図では、時刻t0で紙切れセンサ5が「ON」となることにより、紙切れが検出される。その後、時刻t1よりも後の時刻t5で操作部8の操作ボタン8aが操作(操作部「ON」)されることにより、搬送路2(前段ロール3および後段ロール4)を作動させている。そして、時刻t2よりも後の時刻t6でエアー噴出器6を作動(エアー「ON」)させている。そして、時刻t3よりも後の時刻t7で紙切れセンサ5が「OFF」となることにより、通紙がなされている。その後の時刻t8では、紙切れセンサ5が「ON」となっていないので、通紙成功情報であると判定されている。また、NO.7は、時刻t0から時刻t7までの紙切れ時間がNO.10の次に短いものとなっている。
【0050】
そして、
図5(a)と
図5(b)とに基づき、搬送路2とエアー噴出器6との作動タイミングを演算する。
図5(c)に示すように、紙切れセンサ5が紙切れを検出した時刻t0から搬送路2を作動させるまでの時刻t9までは、
図5(a)の時刻t0から時刻t1までの時間と、
図5(b)の時刻t0から時刻t5までの時間とを合計して2で割った時間となっている。時刻t9では、例えば前段ロール3および後段ロール4が時刻t1と時刻t5とに基づく平均速度、平均トルク、平均ドロー率により作動される。
【0051】
また、紙切れセンサ5が紙切れを検出した時刻t0からエアー噴出器6を作動させるまでの時刻t10までは、
図5(a)の時刻t0から時刻t2までの時間と、
図5(b)の時刻t0から時刻t6までの時間とを合計して2で割った時間となっている。時刻t10では、例えばエアー噴出器6が時刻t2と時刻t6とに基づく平均エアー圧により作動される。これにより、時刻t11で紙切れセンサ5が「OFF」となることにより、紙切れが発生したときの通紙作業が効率よく自動で実行される。
【0052】
かくして、本実施形態の抄紙機1は、紙Pを搬送する搬送路2と、搬送路2を移動する紙Pの紙切れを検出する紙切れセンサ5と、紙Pを搬送路2の上流から下流に向けて通紙させるためのエアー噴出器6と、搬送路2およびエアー噴出器6を作動させる操作部8と、搬送路2およびエアー噴出器6の動作を制御する制御装置10と、を備えている。そして、制御装置10は、操作部8の操作により通紙に成功した複数の通紙成功情報を平均化した自動通紙情報を有し、紙切れセンサ5が紙切れを検出したときには自動通紙情報に基づいて搬送路2およびエアー噴出器6を制御する。
【0053】
これにより、抄紙機1は、熟練したオペレータによる搬送路2およびエアー噴出器6の作動量と、作動タイミングとを受け継いで、紙切れおよび紙の品種を変えるときの通紙を自動で行うことができる。従って、抄紙機1の省力化および効率化を向上することができる。
【0054】
また、制御装置10は、紙切れセンサ5が紙切れを検出した後の通紙を検出してから所定時間内で紙切れを検出しなかったものを通紙成功情報としている。すなわち、通紙後の所定時間内で紙切れが発生したものを、オペレータの通紙操作が不適切であったものとして通紙成功情報から排除している。これにより、自動通紙情報は、安定して通紙がなされた通紙成功情報から演算されるので、安定した自動通紙を実行することができる。
【0055】
また、制御装置10は、紙切れセンサ5が紙切れを検出してから通紙を検出するまでの紙切れ時間を計測し、通紙成功情報のうち紙切れ時間が短い上位数回を用いて自動通紙情報を演算する。これにより、自動通紙情報を紙切れ時間が短いものとすることができる。従って、抄紙機1における製紙の遅延を抑制することができ、コストを低減させることができる。
【0056】
また、搬送路2は、上流から下流に向けて紙Pを送る複数のロール3,4を有し、通紙成功情報は、ロール3,4の速度、ロール3,4のトルク、ロール3,4の作動タイミング、エアー噴出器6のエアー圧、およびエアー噴出器6の噴出タイミングを有している。これにより、自動通紙情報に基づく前段ロール3、後段ロール4と、エアー噴出器6との各数値および作動タイミングを詳細に設定することができるので、安定した自動通紙を実行することができる。
【0057】
また、搬送路2を撮像する撮像装置7を備え、制御装置10は、搬送路2とエアー噴出器6との作動情報と、作動情報に基づく画像とを同期再生することができるモニタ12bを有している。これにより、例えば熟練したオペレータの操作による搬送路2とエアー噴出器6との作動情報と、そのときの搬送路2、エアー噴出器6、および紙Pの画像とを確認することで、通紙作業の分析や新人オペレータの教育を行うことができる。
【0058】
次に、
図6は、本発明の第2実施形態による自動通紙情報での作動タイミングを決定するときの一例を示すタイミング図である。この第2実施形態は、上述した第1実施形態の通紙成功情報に変えて、通紙成功情報を通紙時間が短かったものとした場合としている。なお、第2実施形態では、上述した第1実施形態と同一の構成に同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0059】
制御装置10の演算装置12は、自動通紙情報を演算するために、オペレータの通紙操作による複数回(例えば、10~30回)の作動情報を取得する。そして、制御装置10の演算装置12は、紙切れセンサ5が紙切れを検出した後で、操作部8が操作されてから通紙を検出するまでの通紙時間を計測する。すなわち、通紙時間は、オペレータが通紙を行うために操作部8を操作している時間である。演算装置12は、通紙時間が短い上位数回(例えば、2~5回)を通紙成功情報と設定する。通紙成功情報は、複数回の作動情報のうち、オペレータによる操作部8の操作の手際がよかった場合としている。
【0060】
例えば、オペレータが操作部8が設置された管理室に滞在しているときと、滞在していないときとでは、紙切れ発生から操作部8の操作開始までの時間が異なることになる。すなわち、オペレータが管理室に移動する時間は、通紙操作を円滑に行うための操作手順やロール速度などの作動数値とは関係ないものである。従って、第2実施形態では、通紙成功情報をオペレータが操作部8を操作したときから通紙までの通紙時間が短かいものとすることにより、紙切れ発生からオペレータが操作部8を操作するまでの時間を排除している。このように、通紙成功情報をオペレータの操作開始を基準とすることで、熟練したオペレータの操作を抽出することができる。
【0061】
図6は、例えば通紙時間が短い上位2回の通紙成功情報から自動通紙情報を演算した場合の一例を示している。
図6(a)は、通紙時間が一番短いもので、
図6(b)は、通紙時間が2番目に短いものとなっている。そして、
図6(c)は、
図6(a)と
図6(b)とにより演算された自動通紙情報を示している。
【0062】
図6(a)のタイミング図では、時刻t0で紙切れセンサ5が「ON」となることにより、紙切れが検出される。その後、時刻t21で操作部8の操作ボタン8aが操作(操作部「ON」)されることにより、搬送路2(前段ロール3および後段ロール4)を作動させている。そして、時刻t22でエアー噴出器6を作動(エアー「ON」)させている。時刻t23で紙切れセンサ5が「OFF」となることにより、通紙がなされている。
図6(a)で実行された通紙操作は、オペレータによる複数回の通紙操作のうちで、時刻t21から時刻t23までの時間が一番短くなっている。
【0063】
次に、
図6(b)のタイミング図では、時刻t0で紙切れセンサ5が「ON」となることにより、紙切れが検出される。その後、時刻t24で操作部8の操作ボタン8aが操作(操作部「ON」)されることにより、搬送路2(前段ロール3および後段ロール4)を作動させている。そして、時刻t25でエアー噴出器6を作動(エアー「ON」)させている。そして、時刻t26で紙切れセンサ5が「OFF」となることにより、通紙がなされている。
【0064】
図6(b)で実行された通紙操作は、紙切れ発生(時刻t0)から操作部8が操作された時刻t24までの時間が、それに対応する
図6(a)での時刻t0から時刻t21までの時間よりも早くなっている。そして、
図6(b)では、時刻t0から通紙がなされた時刻t26までの紙切れ時間がそれに対応する
図6(a)での時刻t0から時刻t23までの紙切れ時間よりも早くなっている。
【0065】
しかし、
図6(b)では、紙切れ発生後に最初に操作部8を操作した時刻t24から通紙がなされた時刻t26までの通紙時間が、
図6(a)での紙切れ発生後に最初に操作部8を操作した時刻t21から通紙がなされた時刻t23までの通紙時間よりも長くなっている。従って、
図6(b)は、紙切れ時間が
図6(a)よりも短いが、通紙時間が
図6(a)よりも長いので、
図6(a)に次いで2番目に抽出された通紙成功情報となっている。
【0066】
そして、
図6(a)と
図6(b)とに基づき、搬送路2とエアー噴出器6との作動タイミングを演算する。
図6(c)では、紙切れセンサ5が紙切れを検出した時刻t0から搬送路2を作動させるまでの時刻t27までをあらかじめ設定された待機時間としている。この待機時間は、例えば紙Pの品種、抄紙機1の各駆動装置の状態などを考慮して、実験、シミュレーションなどにより、記憶部12aにあらかじめ格納(記憶)されている。
【0067】
なお、待機時間は、例えば
図6(b)の時刻t0から時刻t24までの時間のように、通紙成功情報のうち、紙切れ発生からの操作が最も早かったものとしてもよい。また、待機時間は、複数回の通知成功情報を平均化したものでもよい。すなわち、待機時間は、例えば
図6(a)の時刻t0から時刻t21までの時間と、
図6(b)の時刻t0から時刻t24までの時間との平均値としてもよい。時刻t27では、例えば前段ロール3および後段ロール4が時刻t21と時刻t24とに基づく平均速度、平均トルク、平均ドロー率により作動される。
【0068】
エアー噴出タイミングは、
図6(a)の時刻t21から時刻t22までの時間と、
図6(b)の時刻t24から時刻t25までの時間とを合計して2で割った時間となっている。すなわち、紙切れが発生した後の2回目以降の作動タイミングは、1回目の作動タイミングを基準として演算される。そして、時刻t28では、例えばエアー噴出器6が時刻t22と時刻t25とに基づく平均エアー圧により作動される。これにより、時刻t29で紙切れセンサ5が「OFF」となることにより、紙切れが発生したときの通紙作業が効率よく自動で実行される。
【0069】
かくして、第2実施形態による制御装置10の演算装置12は、紙切れセンサ5が紙切れを検出した後で、操作部8が操作されてから通紙を検出するまでの通紙時間を計測し、通紙時間が短い上位数回を通紙成功情報としている。すなわち、通知成功情報は、紙切れが発生してからオペレータが操作部8を操作するまでの時間を排除している。従って、自動通紙情報は、熟練したオペレータの通紙操作のみを踏襲した通紙成功情報を基に演算されるので、円滑な自動通紙を行うことができる。
【0070】
なお、上述した第1実施形態では、自動通紙情報における搬送路2とエアー噴出器6との作動タイミングを、紙切れが発生したときを基準として演算した場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば上述した第2実施形態のように、自動通紙での作動タイミングは、紙切れが発生した後の最初の作動タイミングを紙切れ発生からの待機時間を設定し、その後の作動タイミングを最初の作動タイミングから演算してもよい。
【0071】
また、上述した第1実施形態では、撮像装置7で撮像された画像と作動情報とをモニタ12bに同期再生した場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば操作部8の表示部8cや他のモニタに同期再生してもよい。このことは、第2実施形態についても同様である。
【0072】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他のさまざまな形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明およびその等価物の範囲に含まれる。また、前述の各実施形態は、相互に組み合わせて実施することができる。
【符号の説明】
【0073】
1 抄紙機、 2 搬送路、 3 前段ロール、 4 後段ロール、 5 紙切れセンサ、 6 エアー噴出器、 7 撮像装置、 8 操作部、 8a 操作ボタン、 8b モード選択スイッチ、 8c 表示部、 10 制御装置、 11 メインコントローラ、 12 演算装置、 12a 記憶部、 12b モニタ、 13 ハブ、 P 紙