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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-02
(45)【発行日】2022-12-12
(54)【発明の名称】制御装置、プログラム、及び制御方法
(51)【国際特許分類】
   H04W 84/06 20090101AFI20221205BHJP
   B64C 39/02 20060101ALI20221205BHJP
   B64D 27/24 20060101ALI20221205BHJP
   H04W 16/28 20090101ALI20221205BHJP
   H04W 36/08 20090101ALI20221205BHJP
   H04W 48/00 20090101ALI20221205BHJP
【FI】
H04W84/06
B64C39/02
B64D27/24
H04W16/28
H04W36/08
H04W48/00 110
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2019202493
(22)【出願日】2019-11-07
(65)【公開番号】P2021077973
(43)【公開日】2021-05-20
【審査請求日】2022-03-18
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】318002806
【氏名又は名称】HAPSモバイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩村 英隆
【審査官】田部井 和彦
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-521962(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第108242951(CN,A)
【文献】特開2012-114512(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0156406(US,A1)
【文献】特開2004-088654(JP,A)
【文献】米国特許第05678184(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W 84/06
B64C 39/02
B64D 27/24
H04W 16/28
H04W 36/08
H04W 48/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地上にセルを形成して前記セル内のユーザ端末に無線通信サービスを提供するためのアンテナを有する飛行体を制御する制御装置であって、
第1の飛行体及び第2の飛行体と通信する飛行体通信部と、
第1のセルによって地上の対象エリアをカバーしている前記第1の飛行体と、前記第2の飛行体との交代を制御する交代制御部を備え、
前記交代制御部は、前記飛行体通信部を介して前記第1の飛行体及び前記第2の飛行体に指示を送信することによって、前記第2の飛行体が、前記対象エリアの一部に第2のセルを形成した後、前記第1のセルと前記第2のセルとが一部重複している状態を保ちながら、前記第1の飛行体が前記第1のセルを連続的に縮小し、前記第2の飛行体が前記第2のセルを連続的に拡大することによって前記第2のセルによる前記対象エリアのカバー範囲を連続的に広げるように、前記第1の飛行体及び前記第2の飛行体を制御
前記制御装置は、前記ユーザ端末によって前記第1の飛行体及び前記第2の飛行体を介して行われる通信を管理する通信管理装置から、前記第1の飛行体の前記第1のセルによって前記ユーザ端末に提供される無線通信サービスにおける通信に関する通信情報を取得する通信情報取得部を更に備え、
前記交代制御部は、前記第1の飛行体に対して、ビームフォーミングによって前記第1のセルを連続的に縮小する指示、又は前記第1のセルを連続的に縮小させるためのビームフォーミングの制御パラメータを送信することによって、前記第1の飛行体がビームフォーミングによって前記第1のセルを連続的に縮小するように前記第1の飛行体を制御し、
前記交代制御部は、前記第2の飛行体に対して、ビームフォーミングによって前記第2のセルを連続的に拡大する指示、又は前記第2のセルを連続的に拡大させるためのビームフォーミングの制御パラメータを送信することによって、前記第2の飛行体がビームフォーミングによって前記第2のセルを連続的に拡大するように前記第2の飛行体を制御し、
前記交代制御部は、前記第1のセルの縮小及び前記第2のセルの拡大を実行させながら、前記第1のセルから前記第2のセルへの接続先の切り替え状況を、前記通信情報取得部を介して前記通信管理装置から取得し、前記第1のセルから前記第2のセルに接続先を切り替えるユーザ端末の単位時間当たりの数を継続的に特定し、継続的に特定している単位時間当たりの数が、予め定められた上限数を超えそうな場合に、前記第1のセルの縮小速度と前記第2のセルの拡大速度との少なくともいずれかを遅くさせる、
制御装置。
【請求項2】
地上にセルを形成して前記セル内のユーザ端末に無線通信サービスを提供するためのアンテナを有する飛行体を制御する制御装置であって、
第1の飛行体及び第2の飛行体と通信する飛行体通信部と、
第1のセルによって地上の対象エリアをカバーしている前記第1の飛行体と、前記第2の飛行体との交代を制御する交代制御部を備え、
前記交代制御部は、前記飛行体通信部を介して前記第1の飛行体及び前記第2の飛行体に指示を送信することによって、前記第2の飛行体が、前記対象エリアの一部に第2のセルを形成した後、前記第1のセルと前記第2のセルとが一部重複している状態を保ちながら、前記第1の飛行体が前記第1のセルを連続的に縮小し、前記第2のセルを連続的に拡大することによって前記第2のセルによる前記対象エリアのカバー範囲を連続的に広げるように、前記第1の飛行体及び前記第2の飛行体を制御し、
前記制御装置は、前記ユーザ端末によって前記第1の飛行体及び前記第2の飛行体を介して行われる通信を管理する通信管理装置から、前記第1の飛行体の前記第1のセルによって前記ユーザ端末に提供される無線通信サービスにおける通信に関する通信情報を取得する通信情報取得部を更に備え、
前記交代制御部は、前記第1の飛行体に対して、ビームフォーミングによって前記第1のセルを連続的に縮小する指示、又は前記第1のセルを連続的に縮小させるためのビームフォーミングの制御パラメータを送信することによって、前記第1の飛行体がビームフォーミングによって前記第1のセルを連続的に縮小するように前記第1の飛行体を制御し、
前記交代制御部は、前記第2の飛行体に対して、ビームフォーミングによって前記第2のセルを連続的に拡大する指示、又は前記第2のセルを連続的に拡大させるためのビームフォーミングの制御パラメータを送信することによって、前記第2の飛行体がビームフォーミングによって前記第2のセルを連続的に拡大するように前記第2の飛行体を制御し、
前記交代制御部は、前記対象エリアの各部分における、ユーザ端末による通信の通信トラフィックを、前記通信情報取得部を介して前記通信管理装置から取得し、前記通信トラフィックがより多いエリアにおける前記第1のセルの縮小速度及び前記第2のセルの拡大速度が、通信トラフィックがより少ないエリアにおける前記第1のセルの縮小速度及び前記第2のセルの拡大速度よりも遅くなるように、前記第1の飛行体及び前記第2の飛行体を制御する、
制御装置。
【請求項3】
前記交代制御部は、前記第2の飛行体が、前記対象エリアの一部に前記第2のセルを形成した後、前記第1の飛行体の位置に対応する位置に向けて移動しながら前記第2のセルを連続的に拡大することによって前記第2のセルによる前記対象エリアのカバー範囲を連続的に広げるように、前記第2の飛行体を制御する、請求項1又は2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記交代制御部は、前記第2の飛行体が、前記対象エリアの外縁側の第1部分に前記第2のセルを形成し、前記第1部分から、前記対象エリアの外縁側の前記第1部分と対向する第2部分に向けて前記第2のセルを連続的に拡大するように、前記第2の飛行体を制御し、前記第1の飛行体が、前記第1部分から前記第2部分に向けて前記第1のセルを連続的に縮小するように、前記第1の飛行体を制御する、請求項1から3のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項5】
前記交代制御部は、前記対象エリア内における前記第1のセルと前記第2のセルとが重複する重複部分において前記第1のセルに在圏しているユーザ端末が、前記第2のセルに接続先を切り替えた後に、前記第1のセルが前記重複部分から外れるように前記第1の飛行体が前記第1のセルを縮小するように、前記第1の飛行体を制御する、請求項に記載の制御装置。
【請求項6】
前記交代制御部は、前記第1のセルを構成する複数のサブセルのそれぞれと前記第2のセルを構成する複数のサブセルのそれぞれとが一部重複している状態を保ちながら、前記第1の飛行体が前記第1のセルの前記複数のサブセルのそれぞれを連続的に縮小し、前記第2の飛行体が前記第2のセルの前記複数のサブセルを連続的に拡大するように、前記第1の飛行体及び前記第2の飛行体を制御する、請求項1から5のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項7】
前記第1の飛行体に対して前記第2のセルのセル識別情報を送信することにより、前記第1の飛行体に、前記第2のセルを隣接セルとして設定させる設定制御部
を備える、請求項1からのいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項8】
前記設定制御部は、前記第2の飛行体に対して前記第1のセルのセル識別情報を送信することにより、前記第2の飛行体に、前記第1のセルを隣接セルとして設定させる、請求項に記載の制御装置。
【請求項9】
前記交代制御部は、前記第2のセルを連続的に拡大することによって前記第2のセルが前記対象エリアの全体をカバーした後、前記第1の飛行体が前記第1のセルの形成を停止するように、前記第1の飛行体及び前記第2の飛行体を制御する、請求項1からのいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項10】
コンピュータを、請求項1からのいずれか一項に記載の制御装置として機能させるためのプログラム。
【請求項11】
地上にセルを形成して前記セル内のユーザ端末に無線通信サービスを提供するためのアンテナを有する飛行体を制御する制御方法であって、
第1の飛行体及び第2の飛行体と通信する飛行体通信段階と、
第1のセルによって地上の対象エリアをカバーしている前記第1の飛行体及び前記第2の飛行体を介して前記ユーザ端末によって行われる通信を管理する通信管理装置から、前記第1の飛行体の前記第1のセルによって前記ユーザ端末に提供される無線通信サービスにおける通信に関する通信情報を取得する通信情報取得段階と、
前記第1のセルによって地上の対象エリアをカバーしている前記第1の飛行体と、前記第2の飛行体との交代を制御する交代制御段階を備え、
前記交代制御段階は、前記第1の飛行体及び前記第2の飛行体に指示を送信することによって、前記第2の飛行体が、前記対象エリアの一部に第2のセルを形成した後、前記第1のセルと前記第2のセルとが一部重複している状態を保ちながら、前記第1の飛行体が前記第1のセルを連続的に縮小し、前記第2のセルを連続的に拡大することによって前記第2のセルによる前記対象エリアのカバー範囲を連続的に広げるように、前記第1の飛行体及び前記第2の飛行体を制御
前記交代制御段階は、前記第1の飛行体に対して、ビームフォーミングによって前記第1のセルを連続的に縮小する指示、又は前記第1のセルを連続的に縮小させるためのビームフォーミングの制御パラメータを送信することによって、前記第1の飛行体がビームフォーミングによって前記第1のセルを連続的に縮小するように前記第1の飛行体を制御し、
前記交代制御段階は、前記第2の飛行体に対して、ビームフォーミングによって前記第2のセルを連続的に拡大する指示、又は前記第2のセルを連続的に拡大させるためのビームフォーミングの制御パラメータを送信することによって、前記第2の飛行体がビームフォーミングによって前記第2のセルを連続的に拡大するように前記第2の飛行体を制御し、
前記交代制御段階は、前記第1のセルの縮小及び前記第2のセルの拡大を実行させながら、前記第1のセルから前記第2のセルへの接続先の切り替え状況を、前記通信管理装置から取得し、前記第1のセルから前記第2のセルに接続先を切り替えるユーザ端末の単位時間当たりの数を継続的に特定し、継続的に特定している単位時間当たりの数が、予め定められた上限数を超えそうな場合に、前記第1のセルの縮小速度と前記第2のセルの拡大速度との少なくともいずれかを遅くさせる、
制御方法。
【請求項12】
地上にセルを形成して前記セル内のユーザ端末に無線通信サービスを提供するためのアンテナを有する飛行体を制御する制御方法であって、
第1のセルによって地上の対象エリアをカバーしている第1の飛行体及び第2の飛行体を介して前記ユーザ端末によって行われる通信を管理する通信管理装置から、前記第1の飛行体の前記第1のセルによって前記ユーザ端末に提供される無線通信サービスにおける通信に関する通信情報を取得する通信情報取得段階と、
前記第1のセルによって地上の対象エリアをカバーしている前記第1の飛行体と、前記第2の飛行体との交代を制御する交代制御段階とを備え、
前記交代制御段階は、前記第1の飛行体及び前記第2の飛行体に指示を送信することによって、前記第2の飛行体が、前記対象エリアの一部に第2のセルを形成した後、前記第1のセルと前記第2のセルとが一部重複している状態を保ちながら、前記第1の飛行体が前記第1のセルを連続的に縮小し、前記第2のセルを連続的に拡大することによって前記第2のセルによる前記対象エリアのカバー範囲を連続的に広げるように、前記第1の飛行体及び前記第2の飛行体を制御し、
前記交代制御段階は、前記第1の飛行体に対して、ビームフォーミングによって前記第1のセルを連続的に縮小する指示、又は前記第1のセルを連続的に縮小させるためのビームフォーミングの制御パラメータを送信することによって、前記第1の飛行体がビームフォーミングによって前記第1のセルを連続的に縮小するように前記第1の飛行体を制御し、
前記交代制御段階は、前記第2の飛行体に対して、ビームフォーミングによって前記第2のセルを連続的に拡大する指示、又は前記第2のセルを連続的に拡大させるためのビームフォーミングの制御パラメータを送信することによって、前記第2の飛行体がビームフォーミングによって前記第2のセルを連続的に拡大するように前記第2の飛行体を制御し、
前記交代制御段階は、前記対象エリアの各部分における、ユーザ端末による通信の通信トラフィックを、前記通信管理装置から取得し、前記通信トラフィックがより多いエリアにおける前記第1のセルの縮小速度及び前記第2のセルの拡大速度が、通信トラフィックがより少ないエリアにおける前記第1のセルの縮小速度及び前記第2のセルの拡大速度よりも遅くなるように、前記第1の飛行体及び前記第2の飛行体を制御する、
制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御装置、プログラム、制御方法及び飛行体に関する。
【背景技術】
【0002】
成層圏プラットフォームを提供すべく、アンテナを有し、成層圏を飛行する飛行体が知られていた(例えば、特許文献1参照)。
[先行技術文献]
[特許文献]
[特許文献1]特開2002-211496号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
飛行体の交代を適切に実行可能な技術を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の第1の態様によれば、地上にセルを形成してセル内のユーザ端末に無線通信サービスを提供するためのアンテナを有する飛行体を制御する制御装置が提供される。制御装置は、第1のセルによって地上の対象エリアをカバーしている第1の飛行体と、第2の飛行体との交代を制御する交代制御部を備えてよい。交代制御部は、第2の飛行体が、対象エリアの一部に第2のセルを形成した後、第2のセルを連続的に拡大することによって第2のセルによる対象エリアのカバー範囲を連続的に広げるように、第2の飛行体を制御してよい。
【0005】
上記交代制御部は、上記第2の飛行体が、上記対象エリアの一部に上記第2のセルを形成した後、上記第1の飛行体の位置に対応する位置に向けて移動しながら上記第2のセルを連続的に拡大することによって上記第2のセルによる上記対象エリアのカバー範囲を連続的に広げるように、上記第2の飛行体を制御してよい。上記交代制御部は、上記第1のセルと上記第2のセルとが一部重複している状態を保ちながら、上記第1の飛行体が上記第1のセルを連続的に縮小し、上記第2の飛行体が上記第2のセルを連続的に拡大するように、上記第1の飛行体及び上記第2の飛行体を制御してよい。上記交代制御部は、上記第1の飛行体がビームフォーミングによって上記第1のセルを連続的に拡大し、上記第2の飛行体がビームフォーミングによって上記第2のセルを連続的に拡大するように、上記第1の飛行体及び上記第2の飛行体を制御してよい。上記交代制御部は、上記第2の飛行体が、上記対象エリアの外縁側の第1部分に上記第2のセルを形成し、上記第1部分から、上記対象エリアの外縁側の上記第1部分と対向する第2部分に向けて上記第2のセルを連続的に拡大するように、上記第2の飛行体を制御し、上記第1の飛行体が、上記第1部分から上記第2部分に向けて上記第1のセルを連続的に縮小するように、上記第1の飛行体を制御してよい。
【0006】
上記交代制御部は、上記対象エリア内における上記第1のセルと上記第2のセルとが重複する重複部分において上記第1のセルに在圏しているユーザ端末が、上記第2のセルに接続先を切り替えた後に、上記第1のセルが上記重複部分から外れるように上記第1の飛行体が上記第1のセルを縮小するように、上記第1の飛行体を制御してよい。上記交代制御部は、上記第1のセルから上記第2のセルに接続先を切り替えるユーザ端末の単位時間当たりの数の変動が予め定められた範囲内となる速度で、上記第1の飛行体が上記第1のセルを縮小し、上記第2の飛行体が上記第2のセルを拡大するように、上記第1の飛行体及び上記第2の飛行体を制御してよい。上記交代制御部は、上記対象エリアのうち、上記ユーザ端末による通信がより混雑しているエリアにおける上記第1のセルの縮小速度及び上記第2のセルの拡大速度が、上記ユーザ端末による通信がより混雑していないエリアにおける上記第1のセルの縮小速度及び上記第2のセルの拡大速度よりも遅くなるように、上記第1の飛行体及び上記第2の飛行体を制御してよい。上記交代制御部は、上記第1のセルを構成する複数のサブセルのそれぞれと上記第2のセルを構成する複数のサブセルのそれぞれとが一部重複している状態を保ちながら、上記第1の飛行体が上記第1のセルの上記複数のサブセルのそれぞれを連続的に縮小し、上記第2の飛行体が上記第2のセルの上記複数のサブセルを連続的に拡大するように、上記第1の飛行体及び上記第2の飛行体を制御してよい。
【0007】
上記交代制御部は、上記第1の飛行体が上記第1のセルによって上記対象エリアの全体をカバーしている状態で、上記第2の飛行体が上記第2のセルを連続的に拡大するように、上記第1の飛行体及び上記第2の飛行体を制御してよい。上記交代制御部は、上記第2の飛行体が、上記対象エリアの内側の第1部分に上記第2のセルを形成し、上記第1部分から上記対象エリアの外側方向に向けて上記第2のセルを連続的に拡大するように、上記第2の飛行体を制御してよい。上記交代制御部は、上記対象エリア内における上記第1のセルと上記第2のセルとが重複する重複部分内に位置するユーザ端末による、上記第2のセルからの受信電波強度が上記第1のセルからの受信電波強度よりも強くなるように、上記第1の飛行体及び上記第2の飛行体を制御してよい。上記交代制御部は、上記第1の飛行体が上記第1のセルを構成する複数のサブセルによって上記対象エリアの全体をカバーしている状態で、上記第2の飛行体が、それぞれが上記第1のセルの上記複数のサブセルのそれぞれに含まれる複数のサブセルにより構成される上記第2のセルを形成し、上記第2のセルの上記複数のサブセルを連続的に拡大するように、上記第1の飛行体及び上記第2の飛行体を制御してよい。
【0008】
上記制御装置は、上記第1の飛行体に対して上記第2のセルのセル識別情報を送信することにより、上記第1の飛行体に、上記第2のセルを隣接セルとして設定させる設定制御部を備えてよい。上記設定制御部は、上記第2の飛行体に対して上記第1のセルのセル識別情報を送信することにより、上記第2の飛行体に、上記第1のセルを隣接セルとして設定させてよい。上記交代制御部は、上記第2のセルを連続的に拡大することによって上記第2のセルが上記対象エリアの全体をカバーした後、上記第1の飛行体が上記第1のセルの形成を停止するように、上記第1の飛行体及び上記第2の飛行体を制御してよい。
【0009】
本発明の第2の態様によれば、コンピュータを、上記制御装置として機能させるためのプログラムが提供される。
【0010】
本発明の第3の態様によれば、地上にセルを形成してセル内のユーザ端末に無線通信サービスを提供するためのアンテナを有する飛行体を制御する制御方法が提供される。制御方法は、第1のセルによって地上の対象エリアをカバーしている第1の飛行体と、第2の飛行体との交代を制御する交代制御段階を備えてよい。交代制御段階は、第2の飛行体が、対象エリアの一部に第2のセルを形成した後、第2のセルを連続的に拡大することによって第2のセルによる対象エリアのカバー範囲を連続的に広げるように、第2の飛行体を制御してよい。
【0011】
本発明の第4の態様によれば、地上にセルを形成してセル内のユーザ端末に無線通信サービスを提供するためのアンテナを有する飛行体が提供される。飛行体は、第1のセルによって地上の対象エリアをカバーしている他の飛行体と対象エリアのカバーを交代する交代処理を実行する交代制御部を備えてよい。交代制御部は、対象エリアの一部に第2のセルを形成した後、第2のセルを連続的に拡大することによって第2のセルによる対象エリアのカバー範囲を連続的に広げるようにアンテナを制御してよい。
【0012】
本発明の第5の態様によれば、地上にセルを形成してセル内のユーザ端末に無線通信サービスを提供するためのアンテナを有する飛行体が提供される。飛行体は、第1のセルによって地上の対象エリアをカバーしているときに、対象エリアのカバーを他の飛行体と交代する交代処理を実行する交代制御部を備えてよい。交代制御部は、他の飛行体が対象エリアの一部に第2のセルを形成し、自機の位置に対応する位置に向けて移動しながら第1のセルを連続的に拡大するのに合わせて、第1のセルを連続的に縮小するようにアンテナを制御してよい。
【0013】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】HAPS100の一例を概略的に示す。
図2】制御装置300による交代制御処理の流れの一例を概略的に示す。
図3】制御装置300による交代制御処理の流れの一例を概略的に示す。
図4】制御装置300による交代制御処理の流れの一例を概略的に示す。
図5】制御装置300による交代制御処理の流れの一例を概略的に示す。
図6】制御装置300による交代制御処理の流れの他の一例を概略的に示す。
図7】制御装置300による交代制御処理の流れの他の一例を概略的に示す。
図8】制御装置300による交代制御処理の流れの他の一例を概略的に示す。
図9】制御装置300による交代制御処理の流れの他の一例を概略的に示す。
図10】制御装置300の機能構成の一例を概略的に示す。
図11】HAPS100が有する制御装置130の機能構成の一例を概略的に示す。
図12】制御装置130又は制御装置300として機能するコンピュータ1200のハードウェア構成の一例を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0016】
図1は、HAPS(High Altitude Platform Station)100の一例を概略的に示す。HAPS100は、地上にセル120を形成してセル120内のユーザ端末30に無線通信サービスを提供するためのアンテナを有する飛行体の一例であってよい。
【0017】
HAPS100は、機体102、中央部104、プロペラ106、ポッド108、及び太陽電池パネル110を備える。中央部104の中には、不図示の制御装置130が配置される。
【0018】
太陽電池パネル110によって発電された電力は、機体102、中央部104、及びポッド108の少なくともいずれかに配置された1又は複数のバッテリに蓄電される。バッテリに蓄電された電力は、HAPS100が備える各構成によって利用される。
【0019】
制御装置130は、HAPS100の飛行を制御する。制御装置130は、例えば、プロペラ106の回転を制御することによってHAPS100の飛行を制御する。また、制御装置130は、不図示のフラップやエレベータの角度を変更することによってHAPS100の飛行を制御してもよい。制御装置130は、GPSセンサ等の測位センサ、ジャイロセンサ、及び加速度センサ等の各種センサを備えて、HAPS100の位置、移動方向、及び移動速度を管理してよい。
【0020】
また、制御装置130は、HAPS100の通信を制御する。制御装置130は、FL(Feeder Link)アンテナ112及びSL(Service Link)アンテナ114を用いて、地上のユーザ端末30に対して無線通信サービスを提供する。HAPS100は、成層圏を飛行して地上のユーザ端末30に無線通信サービスを提供してよい。
【0021】
FLアンテナ112は、フィーダリンク用のアンテナである。制御装置130は、FLアンテナ112によって、地上のゲートウェイ22との間でフィーダリンクを形成する。制御装置130は、ゲートウェイ22を介して、ネットワーク20にアクセスしてよい。
【0022】
SLアンテナ114は、サービスリンク用のアンテナである。SLアンテナ114は、FLアンテナ112よりも指向性が低いアンテナであってよい。制御装置130は、SLアンテナ114によって、地上にセル120を形成する。SLアンテナ114は、マルチビームアンテナであってもよい。セル120は、マルチセルであってもよい。
【0023】
ユーザ端末30は、HAPS100と通信可能な通信端末であればどのような端末であってもよい。例えば、ユーザ端末30は、スマートフォン等の携帯電話である。ユーザ端末30は、タブレット端末及びPC(Personal Computer)等であってもよい。ユーザ端末30は、いわゆるIoT(Internet of Thing)デバイスであってもよい。ユーザ端末30は、いわゆるIoE(Internet of Everything)に該当するあらゆるものを含み得る。
【0024】
HAPS100は、例えば、ユーザ端末30とネットワーク20との通信を中継することによって、ユーザ端末30に無線通信サービスを提供する。ネットワーク20は、移動体通信ネットワークを含む。移動体通信ネットワークは、3G(3rd Generation)通信方式、LTE(Long Term Evolution)通信方式、5G(5th Generation)通信方式、及び6G(6th Generation)通信方式以降の通信方式のいずれに準拠していてもよい。ネットワーク20は、インターネットを含んでもよい。
【0025】
HAPS100は、例えば、セル120内のユーザ端末30から受信したデータをネットワーク20に送信する。また、HAPS100は、例えば、ネットワーク20を介して、セル120内のユーザ端末30宛のデータを受信した場合に、当該データをユーザ端末30に送信する。
【0026】
HAPS100は、不図示の通信衛星を介してネットワーク20にアクセスしてもよい。この場合、HAPS100は、通信衛星と通信するためのアンテナを有する。
【0027】
HAPS100は、制御装置300によって制御されてよい。HAPS100は、例えば、制御装置300によってネットワーク20及びゲートウェイ22を介して送信された指示に従って動作する。また、HAPS100は、例えば、制御装置300によって通信衛星を介して送信された指示に従って動作する。
【0028】
制御装置300は、指示を送信することによってHAPS100を制御する。制御装置300は、セル120によって地上の対象エリア40をカバーさせるべく、HAPS100に、対象エリア40の上空を旋回させてよい。HAPS100が対象エリア40をカバーすべく、対象エリア40の上空を旋回することを定点飛行と記載する場合がある。HAPS100は、例えば、対象エリア40の上空を円軌道で飛行しつつ、FLアンテナ112の指向方向を調整することによってゲートウェイ22との間のフィーダリンクを維持し、SLアンテナ114の指向方向を調整することによってセル120による対象エリア40のカバーを維持する。制御装置300は、複数の対象エリアのそれぞれに対して、HAPS100に定点飛行をさせることにより、複数の対象エリアのそれぞれをカバーさせてよい。
【0029】
ユーザ端末30によってHAPS100を介して行われる通信は、通信管理装置400によって管理されてよい。通信管理装置400は、例えば、通信事業者のコアネットワーク内に配置される。通信管理装置400は、ユーザ端末30によってHAPS100を介して行われる通信に関する通信情報を外部に提供してよい。通信情報は、ユーザ端末30による受信電波状況を含む。通信管理装置400は、例えば、ユーザ端末30によってHAPS100に対して送信されるMeasurement Report(MRと記載する場合がある。)を参照することにより、ユーザ端末30が受信する電波の発信元と、受信電波強度とを取得してよい。通信管理装置400は、例えば、HAPS100から、HAPS100がユーザ端末30から受信したMRを受信することによって、MRを参照してよい。通信管理装置400がRAN(Radio Access Network)に配置され、リピータータイプである場合、通信管理装置400は、MRを直接参照してよい。また、通信情報は、例えば、ユーザ端末30によってHAPS100を介して実行される通信の通信トラフィックを含む。通信管理装置400は、通信情報を、ネットワーク20を介して制御装置300に送信してよい。なお、制御装置300と通信管理装置400とは一体であってもよい。すなわち、制御装置300が、通信管理装置400として機能してもよい。
【0030】
本実施形態に係る制御装置300は、対象エリア40をカバーしているHAPS100を、他のHAPS100と交代させる交代制御処理を実行する。制御装置300は、例えば、対象エリア40をカバーしているHAPS100のメンテナンスを実施する場合に、当該HAPS100を他のHAPS100と交代させる。また、制御装置300は、オペレータの指示に従って、任意のタイミングで、対象エリア40をカバーしているHAPS100を他のHAPS100と交代させる。
【0031】
従来の無線通信サービスにおいては、鉄塔やビルの屋上等に無線基地局を設置し、安定した電源供給があれば、故障等が無い限り半永久的に特定のエリアに対してサービスを提供することができるが、HAPS100の場合、バッテリや機体の寿命等があるため、定期的に他のHAPS100と交代させる必要がある。交代するにあたり、地上のユーザ端末30へ悪影響を及ぼさない様にセル切り替えを行う必要がある。例えば、交代対象のHAPS100の電波を停止後、新たなHAPS100の電波発射を開始する場合、地上のユーザ端末30が電波断により一時的にサービスが利用できなくなり、また、電波発射開始時に一斉に通信が発生するため、ネットワークの過剰な負荷による輻輳等が発生する恐れがある。
【0032】
本実施形態に係る制御装置300は、例えば、第1のセル120によって対象エリア40をカバーしている第1のHAPS100と、第2のHAPS100とを交代させる場合に、第2のHAPS100が対象エリア40の一部に第2のセル120を形成し、第1のHAPS100に対応する位置に近づきながら第2のセル120を連続的に拡大することによって第2のセル120による対象エリア40のカバー範囲を連続的に広げるように、第2のHAPS100を制御する。制御装置300は、第1のセル120と第2のセル120とが一部重複している状態を保ちながら、第1のHAPS100が第1のセル120を連続的に縮小し、第2のHAPS100が第2のセル120を連続的に拡大するように、第1のHAPS100及び第2のHAPS100を制御してよい。
【0033】
図2から図5は、制御装置300による交代制御処理の流れの一例を概略的に示す。ここでは、区別のため、交代される側のHAPSをHAPS100、交代する側のHAPSをHAPS200とし、HAPS100によって形成されるセルをセル120、HAPS200によって形成されるセルをセル220としている。
【0034】
制御装置300は、例えば、HAPS100及びHAPS200に適宜指示を送信することによって、HAPS100とHAPS200を交代させるように、HAPS100及びHAPS200を制御する。制御装置300は、必要なタイミングで、必要な指示をHAPS100及びHAPS200のそれぞれに対して送信してよい。また、制御装置300は、交代制御に要する一連の指示を事前にHAPS100及びHAPS200に送信してもよい。この場合、HAPS100及びHAPS200は、受信した一連の指示に従って動作する。ここでは、制御装置300が適宜指示を送信する場合を主に例に挙げて説明する。
【0035】
制御装置300は、HAPS100及びHAPS200のそれぞれから定期的に位置情報を受信することによって、HAPS100及びHAPS200の位置を把握する。制御装置300は、まず、HAPS100に、HAPS100のセル設定として、HAPS200のセル220を、隣接セルとして設定させる。
【0036】
また、制御装置300は、HAPS200に、HAPS200のセル設定として、HAPS100のセル120を、隣接セルとして設定させる。なお、HAPS200のセル設定は、HAPS200が離陸する前に、地上のオペレータ等によって設定されてもよい。
【0037】
このように、HAPS100及びHAPS200のそれぞれに、隣接セルとして互いのセルを設定させることによって、セル120からセル220へのスムーズなセルリセレクション及びハンドオーバを可能とすることができる。
【0038】
制御装置300は、まず、HAPS100に対応する位置に移動するように、HAPS200に対して指示を送信する。HAPS100に対応する位置は、任意に定められてよい。例えば、HAPS100に対応する位置として、HAPS100の上方の位置が定められる。HAPS200は受信した指示に従って、HAPS100に対応する位置への移動を開始する。
【0039】
制御装置300は、HAPS200とHAPS100に対応する位置との距離が予め定められた距離以内になったことに応じて、HAPS200に、対象エリア40の一部にセル220を形成させる。制御装置300は、HAPS200に、対象エリア40の外縁側の一部にセル220を形成させてよい。制御装置300は、例えば、セル220を形成する位置と、セル220の大きさとをHAPS200に指示する。HAPS200は、指示された位置に、指示された大きさのセル220を形成するように動作する。なお、制御装置300は、セル220を形成するために必要なパラメータをHAPS200に送信してもよい。例えば、制御装置300は、ビームの照射方向とビームの幅とをHAPS200に指示する。HAPS200は、受信したパラメータに従って、SLアンテナ114のビームを調整する。
【0040】
制御装置300は、セル120とセル220とが重複する部分における、ユーザ端末30によるセル220からの受信電波強度が、ユーザ端末30によるセル120からの受信電波強度よりも強くなるように、HAPS100及びHAPS200を制御する。制御装置300は、例えば、HAPS200に電波出力強度を強めさせたり、HAPS100に電波出力強度を弱めさせたりする。
【0041】
制御装置300は、例えば、セル220からの受信電波強度がセル120からの受信電波強度よりも強くなるように予め計算された強度でHAPS100及びHAPS200が電波を出力するように、HAPS100及びHAPS200を制御する。また、制御装置300は、例えば、セル120とセル220とが重複する部分における、ユーザ端末30による受信電波状況を通信管理装置400から取得して、セル120からの受信電波強度の方がセル220からの受信電波強度よりも強い場合、HAPS200に、電波出力強度を強めさせる等の調整を行うことによって、セル220からの受信電波強度がセル120からの受信電波強度よりも強くなるようにする。
【0042】
セル120とセル220とが重複する重複部分における、ユーザ端末30によるセル220からの受信電波強度がセル120からの受信電波強度よりも強くなるように制御することによって、当該部分におけるユーザ端末30のセルリセレクションやハンドオーバを実現させて、ユーザ端末30の接続をセル120からセル220に切り替えさせることができる。
【0043】
制御装置300は、図3及び図4に示すように、セル120とセル220とが一部重複している状態を保ちながら、HAPS200がセル220を連続的に拡大することによってセル220による対象エリア40のカバー範囲を連続的に広げ、HAPS100がセル120を連続的に縮小することによってセル120による対象エリア40のカバー範囲を連続的に狭めるように、HAPS100及びHAPS200を制御する。制御装置300は、セル220を形成した対象エリア40の外縁側の第1部分から、対象エリア40の外縁側の当該第1部分とは対向する第2部分に向けてセル220を連続的に拡大するようにHAPS200を制御し、第1部分から第2部分に向けてセル120を連続的に縮小するようにHAPS100を制御してよい。
【0044】
制御装置300は、セル120とセル220とが重複する重複部分に位置するユーザ端末30が接続先をセル120からセル220に切り替えたことを確認しながら、HAPS100にセル120を縮小させてよい。例えば、制御装置300は、対象エリア40におけるセル120とセル220とが重複する重複部分においてセル120に在圏しているユーザ端末30のすべてがセルリセレクション又はハンドオーバによって接続先をセル220に切り替えた後に、セル120が当該重複部分から外れるように、HAPS100にセル120を縮小させる。
【0045】
制御装置300は、図5に示すように、セル220によって対象エリア40の全体がカバーされた後に、セル120の形成を停止するようにHAPS100を制御してよい。制御装置300は、セル220によって対象エリア40の全体がカバーされた後、対象エリア40内のすべてのユーザ端末30の接続先がセル120からセル220に切り替わったことを確認した後に、セル120の形成を停止するようにHAPS100を制御してよい。
【0046】
そして、制御装置300は、地上の予め定められた位置に移動するように、HAPS100を制御する。当該予め定められた位置は任意に定められてよく、例えば、HAPS100をメンテナンスするための設備や、HAPS100を格納するための格納庫の付近等が設定され得る。
【0047】
このような交代処理を実行することにより、セル120に在圏しているユーザ端末30が、接続先をセル120からセル220に切り替えた後に、HAPS100にセル120の形成を停止させることになり、ユーザ端末30はHAPS100によるサービスに引き続いてHAPS200によるサービスを受けることができる。すなわち、本実施形態に係る制御装置300によれば、ユーザ端末30に発生する一時的なサービス断や一時的なサービス品質の劣化を抑制することができる。
【0048】
図2から図5では、対象エリア40の外縁側の一部からセル220を拡大させる例を説明したが、これに限らない。制御装置300は、HAPS200に、対象エリア40の内側の一部からセル220を拡大させてもよい。
【0049】
図6及び図7は、制御装置300による交代制御処理の流れの他の一例を概略的に示す。ここでは、図2から図5とは異なる点を主に説明する。図6及び図7では、HAPS200がHAPS100の上方まで移動した後で、HAPS200が対象エリア40の内側にセル220を形成してセル220を拡大していく例を示す。
【0050】
制御装置300は、HAPS100がセル120によって対象エリア40の全体をカバーしている状態で、HAPS200に、対象エリア40の内側の一部にセル220を形成させる。そして、制御装置300は、HAPS100がセル120によって対象エリア40の全体をカバーしている状態で、HAPS200にセル220を連続的に拡大させる。制御装置300は、対象エリア40内におけるセル120とセル220とが重複する重複部分内に位置するユーザ端末30による、セル220からの受信電波強度が、セル120からの受信電波強度よりも強くなるように、HAPS100及びHAPS200を制御する。
【0051】
制御装置300は、例えば、ユーザ端末30によるセル220からの受信電波強度がセル120からの受信電波強度よりも強くなるように予め計算された強度で電波を出力するように、HAPS100及びHAPS200を制御する。また、制御装置300は、例えば、セル120とセル220とが重複する部分における、ユーザ端末30による受信電波状況を通信管理装置400から取得して、セル120からの受信電波強度の方がセル220からの受信電波強度よりも強い場合、HAPS200に電波出力強度を強めさせる等の調整を行うことによって、ユーザ端末30によるセル220からの受信電波強度がセル120からの受信電波強度よりも強くなるようにする。
【0052】
制御装置300は、セル220によって対象エリア40の全体がカバーされた後に、セル120の形成を停止するようにHAPS100を制御してよい。制御装置300は、セル220によって対象エリア40の全体がカバーされた後、対象エリア40内のすべてのユーザ端末30の接続先がセル120からセル220に切り替わったことを確認した後に、セル120の形成を停止するようにHAPS100を制御してよい。そして、制御装置300は、地上の予め定められた位置に移動するように、HAPS100を制御する。
【0053】
図8は、制御装置300による交代制御処理の流れの他の一例を概略的に示す。図8では、HAPS100が複数のサブセル121によって構成されるセル120を形成しており、HAPS200に複数のサブセル221によって構成されるセル220を形成させる場合の交代制御処理の流れを説明する。ここでは、図2から図5に示した例とは異なる部分を主に説明する。
【0054】
制御装置300は、まず、複数のサブセル121のそれぞれがカバーしているエリアの外縁側の一部に、複数のサブセル221のそれぞれを形成するように、HAPS200を制御する。そして、制御装置300は、複数のサブセル121のそれぞれと複数のサブセル221のそれぞれとが一部重複している状態を保ちながら、HAPS100が複数のサブセル121のそれぞれを連続的に縮小し、HAPS200が複数のサブセル221のそれぞれを拡大するように、HAPS100及びHAPS200を制御する。
【0055】
図9は、制御装置300による交代制御処理の流れの他の一例を概略的に示す。図9では、HAPS100が複数のサブセル121によって構成されるセル120を形成しており、HAPS200に複数のサブセル221によって構成されるセル220を形成させる場合の交代制御処理の流れを説明する。ここでは、図6及び図7に示した例とは異なる部分を主に説明する。
【0056】
制御装置300は、HAPS100が複数のサブセル121によって対象エリア40の全体をカバーしている状態で、複数のサブセル121のそれぞれがカバーしているエリアの内側の一部に、複数のサブセル221のそれぞれを形成するように、HAPS200を制御する。そして、制御装置300は、複数のサブセル221のそれぞれを連続的に拡大するように、HAPS200を制御する。
【0057】
図10は、制御装置300の機能構成の一例を概略的に示す。制御装置300は、指示受付部312、通信情報取得部314、飛行体通信部320、及び制御部330を備える。
【0058】
指示受付部312は、各種指示を受け付ける。指示受付部312は、例えば、対象エリア40を指定する指示を受け付ける。また、指示受付部312は、例えば、HAPS100が定点飛行する軌道を指定する指示を受け付ける。また、指示受付部312は、例えば、セル120を形成する位置を指定する指示を受け付ける。
【0059】
指示受付部312は、制御装置300が備える操作部を介して入力された指示を受け付けてよい。また、指示受付部312は、制御装置300が備える通信部を介して、ネットワーク20を介して受信した指示を受け付けてもよい。
【0060】
通信情報取得部314は、HAPS100が形成しているセル120によってユーザ端末30に提供される無線通信サービスにおける通信に関する通信情報を取得する。通信情報取得部314は、例えば、ユーザ端末30による受信電波状況を取得する。また、通信情報取得部314は、例えば、通信トラフィックに関する情報を取得する。通信情報取得部314は、通信管理装置400から通信情報を受信してよい。
【0061】
飛行体通信部320は、HAPS100と通信する。飛行体通信部320は、ネットワーク20及びゲートウェイ22を介して、HAPS100と通信してよい。飛行体通信部320は、通信衛星を介してHAPS100と通信してもよい。
【0062】
飛行体通信部320は、例えば、指示受付部312が受け付けた指示をHAPS100に送信する。また、飛行体通信部320は、例えば、HAPS100から各種情報を受信する。飛行体通信部320は、例えば、HAPS100からHAPS100の位置情報を受信する。
【0063】
制御部330は、各種制御を実行する。制御部330は、例えば、飛行体通信部320を介して、HAPS100に各種設定を行う。制御部330は、例えば、第1のHAPS100と第2のHAPS100との交代を行う場合に、第1のHAPS100に対して、第2のHAPS100のセル120のセル識別情報を送信することにより、第1のHAPS100に、第2のセル120を隣接セルとして設定させる。また、制御部330は、第2のHAPS100に対して、第1のHAPS100のセル120のセル識別情報を送信することにより、第2のHAPS100に、第1のセル120を隣接セルとして設定させる。制御部330は、設定制御部の一例であってよい。
【0064】
制御部330は、HAPS100の交代制御処理を実行してよい。制御部330は、交代制御部の一例であってよい。制御部330は、飛行体通信部320を介して各種指示をHAPS100に送信することにより、HAPS100を制御してよい。制御部330は、複数の指示をそれぞれのタイミングにあわせてHAPS100に送信してよく、また、複数の指示をまとめてHAPS100に送信してもよい。
【0065】
制御部330は、第1のセル120によって地上の対象エリア40をカバーしている第1のHAPS100と、第2のHAPS100との交代を制御してよい。例えば、制御部330は、第1のHAPS100の位置に対応する位置に向けて移動している第2のHAPS100に、対象エリア40の一部に第2のセル120を形成させた後、第2のセル120を連続的に拡大することによって第2のセル120による対象エリア40のカバー範囲を連続的に広げるように、第2のHAPS100を制御する。
【0066】
制御部330は、第2のHAPS100が、対象エリア40の一部に第2のセル120を形成した後、第1のHAPS100の位置に対応する位置に向けて移動しながら第2のセル120を連続的に拡大することによって第2のセル120による対象エリア40のカバー範囲を連続的に広げるように第2のHAPS100を制御してよい。制御部330は、第1のセル120と第2のセル120とが一部重複している状態を保ちながら、第1のHAPS100が第1のセル120を連続的に縮小し、第2のHAPS100が第2のセル120を連続的に拡大するように、第1のHAPS100及び第2のHAPS100を制御してよい。
【0067】
制御部330は、第1のHAPS100がビームフォーミングによって第1のセル120を連続的に拡大するように第1のHAPS100を制御してよい。制御部330は、例えば、第1のHAPS100に対して、ビームフォーミングによって第1のセル120を連続的に拡大する指示を第1のHAPS100に送信する。また、制御部330は、例えば、第1のHAPS100に対して、第1のセル120を連続的に拡大させるためのビームフォーミングの制御パラメータを送信してもよい。制御部330は、例えば、対象エリア40の位置と第1のHAPS100の位置及び飛行方向とから、ビームの方向及び幅を決定して、当該ビームの方向及び幅を実現させるためのビームフォーミングの制御パラメータを生成して、第1のHAPS100に送信する。
【0068】
制御部330は、第2のHAPS100がビームフォーミングによって第2のセル120を連続的に縮小するように第2のHAPS100を制御してよい。制御部330は、例えば、第2のHAPS100に対して、ビームフォーミングによって第2のセル120を連続的に縮小する指示を第2のHAPS100に送信する。また、制御部330は、例えば、第2のHAPS100に対して、第2のセル120を連続的に縮小させるためのビームフォーミングの制御パラメータを送信してもよい。制御部330は、例えば、対象エリア40の位置と第2のHAPS100の位置及び飛行方向とから、ビームの方向及び幅を決定して、当該ビームの方向及び幅を実現させるためのビームフォーミングの制御パラメータを生成して、第2のHAPS100に送信する。
【0069】
制御部330は、第2のHAPS100が、対象エリア40の外縁側の第1部分に第2のセル120を形成し、第1部分から、対象エリア40の外縁側の第1部分と対向する第2部分に向けて第2のセル120を連続的に拡大するように、第2のHAPS100を制御してよい。また、制御部330は、第1のHAPS100が、第1部分から第2部分に向けて第1のセル120を連続的に縮小するように、第1のHAPS100を制御してよい。制御部330は、対象エリア40における第1のセル120と第2のセル220とが重複する重複部分において第1のセル120に在圏しているユーザ端末30が、接続先を第2のセル120に切り替えた後に、第1のセル120が重複部分から外れるように第1のHAPS100に第1のセル120を縮小させてよい。
【0070】
制御部330は、第1のセル120から第2のセル120に接続先を切り替えるユーザ端末30の単位時間当たりの数の変動が予め定められた範囲内となる速度で、第1のHAPS100が第1のセル120を縮小し、第2のHAPS100が第2のセル120を拡大するように、第1のHAPS100及び第2のHAPS100を制御してもよい。制御部330は、例えば、第1のセル120の縮小及び第2のセル120の拡大を実行させながら、第1のセル120から第2のセル120への接続先の切り替え状況を、通信情報取得部314を介して通信管理装置400から取得する。そして、制御部330は、第1のセル120から第2のセル120に接続先を切り替えるユーザ端末30の単位時間当たりの数を継続的に特定する。制御部330は、継続的に特定している単位時間当たりの数が、予め定められた上限数を超えそうな場合に、第1のセル120の縮小速度と第2のセル120の拡大速度との少なくともいずれかを遅くさせてよい。また、制御部330は、継続的に特定している単位時間当たりの数が予め定められた下限数を下回りそうな場合に、第1のセル120の縮小速度と第2のセル120の拡大速度との少なくともいずれかを速くさせてよい。これにより、同時期に第1のセル120から第2のセル120に接続先を切り替えるユーザ端末30の数が、極端に多くなったり少なくなったりすることを防止でき、通信環境が乱れてしまうことを抑制することができる。
【0071】
制御部330は、対象エリア40のうち、ユーザ端末30による通信がより混雑しているエリアにおける第1のセル120の縮小速度及び第2のセル120の拡大速度が、ユーザ端末30による通信がより混雑していないエリアにおける第1のセル120の縮小速度及び第2のセル120の拡大速度よりも遅くなるように、第1のHAPS100及び第2のHAPS100を制御してもよい。制御部330は、例えば、対象エリア40の各部分における、ユーザ端末30による通信の通信トラフィックを、通信情報取得部314を介して通信管理装置400から取得する。そして、制御部330は、通信トラフィックがより多いエリアにおける第1のセル120の縮小速度及び第2のセル120の拡大速度が、通信トラフィックがより少ないエリアにおける第1のセル120の縮小速度及び第2のセル120の拡大速度よりも遅くなるように、第1のHAPS100及び第2のHAPS100を制御する。これにより、通信が混雑しているにも関わらず接続先の切り替えが多発することによって通信環境に悪影響を与えてユーザ体感が低下してしまうことを抑制することができ、通信環境への影響が少ないタイミングで速やかにHAPS100の交代を実現することができる。
【0072】
制御部330は、第2のセル120によって対象エリア40の全体がカバーされた後に、第1のHAPS100が第1のセル120の形成を停止するように第1のHAPS100を制御してよい。
【0073】
制御部330は、第1のHAPS100と第2のHAPS100との交代制御処理を実行するタイミングを各種状況に基づいて決定してもよい。例えば、制御部330は、通信情報取得部314が通信管理装置400から取得した通信情報に基づいて、交代対象の第1のHAPS100がカバーしている対象エリア40における通信トラフィックの1日における変動状況を確認して、交代制御処理を実行する時間帯として、通信トラフィックがより少ない時間帯を選択する。
【0074】
制御部330は、交代対象の第1のHAPS100がカバーしている対象エリア40の種類に応じて、交代制御処理を実行するタイミングを決定してもよい。例えば、制御部330は、対象エリア40が都心の重要エリアである場合、交代制御処理を実行するタイミングを夜間とし、対象エリア40が重要エリアでない場合には、時間的制限なく交代制御処理を実行するタイミングを決定する。
【0075】
第1のセル120が複数のサブセル121によって構成されている場合、制御部330は、第1のセル120を構成する複数のサブセル121のそれぞれと、第2のセル120を構成する複数のサブセル121のそれぞれとが一部重複する状態を保ちながら、第1のHAPS100が第1のセル120の複数のサブセル121のそれぞれを連続的に縮小し、第2のHAPS100が第2のセル120の複数のサブセル121のそれぞれを連続的に拡大するように、第1のHAPS100及び第2のHAPS100を制御してよい。
【0076】
制御部330は、第1のHAPS100が第1のセル120によって対象エリア40の全体をカバーしている状態で、第2のHAPS100が第2のセル120を連続的に拡大するように、第1のHAPS100及び第2のHAPS100を制御してもよい。
【0077】
制御部330は、第2のHAPS100が対象エリア40の内側の第1部分に第2のセル120を形成し、第1部分から対象エリアの外側方向に向けて第2のセル120を連続的に拡大するように、第2のHAPS100を制御してよい。制御部330は、対象エリア40内における第1のセル120と第2のセル120とが重複する重複部分内に位置するユーザ端末30による、第2のセル120からの受信電波強度が第1のセル120からの受信電波強度よりも強くなるように、第1のHAPS100及び第2のHAPS100を制御してよい。
【0078】
第1のセル120が複数のサブセル121によって構成されている場合、制御部330は、第1のHAPS100が第1のセル120を構成する複数のサブセル121によって対象エリア40の全体をカバーしている状態で、第2のHAPS100が、それぞれが第1のセル120の複数のサブセル121のそれぞれに含まれる複数のサブセル121により構成される第2のセル120を形成し、第2のセル120の複数のサブセル121を連続的に拡大するように、第1のHAPS100及び第2のHAPS100を制御してよい。
【0079】
図11は、HAPS100が有する制御装置130の機能構成の一例を概略的に示す。制御装置130は、無線通信部132及び制御部140を備える。
【0080】
無線通信部132は、各種通信を実行する。無線通信部132は、FLアンテナ112を用いて、地上のゲートウェイ22との間でフィーダリンクを形成してよい。無線通信部132は、ゲートウェイ22を介して、ネットワーク20にアクセスしてよい。無線通信部132は、例えば、ゲートウェイ22及びネットワーク20を介して、制御装置300及び通信管理装置400と通信する。
【0081】
無線通信部132は、SLアンテナ114を用いて、地上にセル120を形成してよい。無線通信部132は、ユーザ端末30との間でサービスリンクを形成して、ユーザ端末30と通信してよい。無線通信部132は、通信衛星との通信を実行してもよい。
【0082】
制御部140は、HAPS100の飛行を制御する。また、制御部140は、無線通信部132による通信を制御する。制御部140は、制御装置300からの指示に従って、HAPS100の飛行及び通信を制御してよい。
【0083】
制御部140は、通信情報取得部142及び交代制御部144を有する。通信情報取得部142は、HAPS100が形成しているセル120によってユーザ端末30に提供される無線通信サービスにおける通信に関する通信情報を取得する。通信情報取得部142は、例えば、ユーザ端末30による受信電波状況を取得する。また、通信情報取得部142は、例えば、通信トラフィックに関する情報を取得する。通信情報取得部142は、無線通信部132を介して通信管理装置400から通信情報を取得してよい。
【0084】
交代制御部144は、他のHAPS100との交代を制御する。交代制御部144は、例えば、自機(交代制御部144が搭載されているHAPS100を自機と記載する場合がある。)が地上の対象エリア40の上空を定点飛行しながら、無線通信部132が形成する第1のセル120によって対象エリア40をカバーしているときに、当該対象エリア40のカバーを他のHAPS100と交代する交代制御処理を実行する。
【0085】
交代制御部144は、他のHAPS100が対象エリア40の一部に第2のセル120を形成し、自機の位置に対応する位置に向けて移動しながら第2のセル120を連続的に拡大するのに合わせて、第1のセル120を連続的に縮小するように自機を制御する。交代制御部144は、ビームフォーミングによって第1のセル120を連続的に縮小するようにSLアンテナ114を制御してよい。
【0086】
交代制御部144は、他のHAPS100が対象エリア40の外縁側の第1部分に第2のセル120を形成し、第1部分から、対象エリア40の外縁側の第1部分と対向する第2部分に向けて第2のセル120を連続的に拡大するのに合わせて、第1部分から第2部分に向けて第1のセル120を連続的に縮小するように自機を制御してよい。
【0087】
交代制御部144は、第1のセル120と第2のセル120とが一部重複している状態を保ちながら、第1のセル120を連続的に縮小するように自機を制御してよい。交代制御部144は、対象エリア40における第1のセル120と第2のセル120とが重複する重複部分において第1のセル120に在圏しているユーザ端末30が、第2のセル120に接続先を切り替えた後に、第1のセル120が重複部分から外れるように第1のセル120を縮小するよう自機を制御してよい。
【0088】
交代制御部144は、第1のセル120から第2のセル120に接続先を切り替えるユーザ端末30の単位時間当たりの数の変動が予め定められた範囲内となる速度で、第1のセル120を縮小するよう自機を制御してよい。交代制御部144は、対象エリア40のうち、ユーザ端末30による通信がより混雑しているエリアにおける第1のセル120の縮小速度が、ユーザ端末30による通信がより混雑していないエリアにおける第1のセル120の縮小速度よりも遅くなるように自機を制御してもよい。交代制御部144は、第2のセル120が対象エリア40の全体をカバーした後、第1のセル120の形成を停止するように自機を制御してよい。
【0089】
交代制御部144は、例えば、制御装置300の指示に従って、各種制御を実行してよい。また、交代制御部144は、他のHAPS100と通信しながら、各種制御を実行してもよい。自機と他のHAPS100とは、ゲートウェイ22及びネットワーク20を介したり、通信衛星を介したり、制御装置300を介したりすることによって通信してよい。
【0090】
交代制御部144は、第1のセル120によって地上の対象エリア40をカバーしている他のHAPS100と、対象エリア40のカバーを交代する交代処理を実行してもよい。交代制御部144は、例えば、対象エリア40の一部に第2のセル120を形成した後、第2のセル120を連続的に拡大することによって第2のセル120による対象エリア40のカバー範囲を連続的に広げるように自機を制御してよい。
【0091】
交代制御部144は、第2のセル120を形成した後、他のHAPS100の位置に対応する位置に向けて移動しながら第2のセル120を連続的に拡大することによって第2のセル120による対象エリア40のカバー範囲を連続的に広げるように自機を制御してよい。交代制御部144は、ビームフォーミングによって第2のセル120を連続的に拡大するようにSLアンテナ114を制御してよい。
【0092】
交代制御部144は、第1のセル120と第2のセル120とが一部重複している状態を保ちながら、第2のセル120を連続的に拡大するように自機を制御してよい。交代制御部144は、対象エリア40の外縁側の第1部分に第2のセル120を形成し、第1部分から、対象エリア40の外縁側の第1部分に対向する第2部分に向けて第2のセル120を連続的に拡大するように自機を制御してよい。
【0093】
交代制御部144は、第1のセル120から第2のセル120に接続先を切り替えるユーザ端末30の単位時間当たりの数の変動が予め定められた範囲内となる速度で、第2のセル120を連続的に拡大するように自機を制御してよい。交代制御部144は、対象エリア40のうち、ユーザ端末30による通信がより混雑しているエリアにおける第2のセル120の拡大速度が、ユーザ端末30による通信がより混雑していないエリアにおける第2のセル120の拡大速度よりも遅くなるように自機を制御してもよい。
【0094】
交代制御部144は、他のHAPS100が第1のセル120によって対象エリア40の全体をカバーしている状態で、第2のセル120を連続的に拡大するように自機を制御してもよい。交代制御部144は、対象エリア40の内側の第1部分に第2のセル120を形成し、第1部分から対象エリア40の外側方向に向けて第2のセル120を連続的に拡大するように自機を制御してよい。交代制御部144は、対象エリア40内における第1のセル120と第2のセル120とが重複する重複部分内に位置するユーザ端末30による、第2のセル120からの受信電波強度が、第1のセル120からの受信電波強度よりも強くなるように自機を制御してよい。
【0095】
図12は、制御装置130又は制御装置300として機能するコンピュータ1200のハードウェア構成の一例を概略的に示す。コンピュータ1200にインストールされたプログラムは、コンピュータ1200を、本実施形態に係る装置の1又は複数の「部」として機能させ、又はコンピュータ1200に、本実施形態に係る装置に関連付けられるオペレーション又は当該1又は複数の「部」を実行させることができ、及び/又はコンピュータ1200に、本実施形態に係るプロセス又は当該プロセスの段階を実行させることができる。そのようなプログラムは、コンピュータ1200に、本明細書に記載のフローチャート及びブロック図のブロックのうちのいくつか又はすべてに関連付けられた特定のオペレーションを実行させるべく、CPU1212によって実行されてよい。
【0096】
本実施形態によるコンピュータ1200は、CPU1212、RAM1214、及びグラフィックコントローラ1216を含み、それらはホストコントローラ1210によって相互に接続されている。コンピュータ1200はまた、通信インタフェース1222、記憶装置1224、DVDドライブ及びICカードドライブのような入出力ユニットを含み、それらは入出力コントローラ1220を介してホストコントローラ1210に接続されている。記憶装置1224は、ハードディスクドライブ及びソリッドステートドライブ等であってよい。コンピュータ1200はまた、ROM1230及びキーボードのようなレガシの入出力ユニットを含み、それらは入出力チップ1240を介して入出力コントローラ1220に接続されている。
【0097】
CPU1212は、ROM1230及びRAM1214内に格納されたプログラムに従い動作し、それにより各ユニットを制御する。グラフィックコントローラ1216は、RAM1214内に提供されるフレームバッファ等又はそれ自体の中に、CPU1212によって生成されるイメージデータを取得し、イメージデータがディスプレイデバイス1218上に表示されるようにする。
【0098】
通信インタフェース1222は、ネットワークを介して他の電子デバイスと通信する。記憶装置1224は、コンピュータ1200内のCPU1212によって使用されるプログラム及びデータを格納する。DVDドライブは、プログラム又はデータをDVD-ROM等から読み取り、記憶装置1224に提供する。ICカードドライブは、プログラム及びデータをICカードから読み取り、及び/又はプログラム及びデータをICカードに書き込む。
【0099】
ROM1230はその中に、アクティブ化時にコンピュータ1200によって実行されるブートプログラム等、及び/又はコンピュータ1200のハードウェアに依存するプログラムを格納する。入出力チップ1240はまた、様々な入出力ユニットをUSBポート、パラレルポート、シリアルポート、キーボードポート、マウスポート等を介して、入出力コントローラ1220に接続してよい。
【0100】
プログラムは、DVD-ROM又はICカードのようなコンピュータ可読記憶媒体によって提供される。プログラムは、コンピュータ可読記憶媒体から読み取られ、コンピュータ可読記憶媒体の例でもある記憶装置1224、RAM1214、又はROM1230にインストールされ、CPU1212によって実行される。これらのプログラム内に記述される情報処理は、コンピュータ1200に読み取られ、プログラムと、上記様々なタイプのハードウェアリソースとの間の連携をもたらす。装置又は方法が、コンピュータ1200の使用に従い情報のオペレーション又は処理を実現することによって構成されてよい。
【0101】
例えば、通信がコンピュータ1200及び外部デバイス間で実行される場合、CPU1212は、RAM1214にロードされた通信プログラムを実行し、通信プログラムに記述された処理に基づいて、通信インタフェース1222に対し、通信処理を命令してよい。通信インタフェース1222は、CPU1212の制御の下、RAM1214、記憶装置1224、DVD-ROM又はICカードのような記録媒体内に提供される送信バッファ領域に格納された送信データを読み取り、読み取られた送信データをネットワークに送信し、又はネットワークから受信した受信データを記録媒体上に提供される受信バッファ領域等に書き込む。
【0102】
また、CPU1212は、記憶装置1224、DVDドライブ(DVD-ROM)、ICカード等のような外部記録媒体に格納されたファイル又はデータベースの全部又は必要な部分がRAM1214に読み取られるようにし、RAM1214上のデータに対し様々なタイプの処理を実行してよい。CPU1212は次に、処理されたデータを外部記録媒体にライトバックしてよい。
【0103】
様々なタイプのプログラム、データ、テーブル、及びデータベースのような様々なタイプの情報が記録媒体に格納され、情報処理を受けてよい。CPU1212は、RAM1214から読み取られたデータに対し、本開示の随所に記載され、プログラムの命令シーケンスによって指定される様々なタイプのオペレーション、情報処理、条件判断、条件分岐、無条件分岐、情報の検索/置換等を含む、様々なタイプの処理を実行してよく、結果をRAM1214に対しライトバックする。また、CPU1212は、記録媒体内のファイル、データベース等における情報を検索してよい。例えば、各々が第2の属性の属性値に関連付けられた第1の属性の属性値を有する複数のエントリが記録媒体内に格納される場合、CPU1212は、当該複数のエントリの中から、第1の属性の属性値が指定されている条件に一致するエントリを検索し、当該エントリ内に格納された第2の属性の属性値を読み取り、それにより予め定められた条件を満たす第1の属性に関連付けられた第2の属性の属性値を取得してよい。
【0104】
上で説明したプログラム又はソフトウエアモジュールは、コンピュータ1200上又はコンピュータ1200近傍のコンピュータ可読記憶媒体に格納されてよい。また、専用通信ネットワーク又はインターネットに接続されたサーバシステム内に提供されるハードディスク又はRAMのような記録媒体が、コンピュータ可読記憶媒体として使用可能であり、それによりプログラムを、ネットワークを介してコンピュータ1200に提供する。
【0105】
本実施形態におけるフローチャート及びブロック図におけるブロックは、オペレーションが実行されるプロセスの段階又はオペレーションを実行する役割を持つ装置の「部」を表わしてよい。特定の段階及び「部」が、専用回路、コンピュータ可読記憶媒体上に格納されるコンピュータ可読命令と共に供給されるプログラマブル回路、及び/又はコンピュータ可読記憶媒体上に格納されるコンピュータ可読命令と共に供給されるプロセッサによって実装されてよい。専用回路は、デジタル及び/又はアナログハードウェア回路を含んでよく、集積回路(IC)及び/又はディスクリート回路を含んでよい。プログラマブル回路は、例えば、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、及びプログラマブルロジックアレイ(PLA)等のような、論理積、論理和、排他的論理和、否定論理積、否定論理和、及び他の論理演算、フリップフロップ、レジスタ、並びにメモリエレメントを含む、再構成可能なハードウェア回路を含んでよい。
【0106】
コンピュータ可読記憶媒体は、適切なデバイスによって実行される命令を格納可能な任意の有形なデバイスを含んでよく、その結果、そこに格納される命令を有するコンピュータ可読記憶媒体は、フローチャート又はブロック図で指定されたオペレーションを実行するための手段を作成すべく実行され得る命令を含む、製品を備えることになる。コンピュータ可読記憶媒体の例としては、電子記憶媒体、磁気記憶媒体、光記憶媒体、電磁記憶媒体、半導体記憶媒体等が含まれてよい。コンピュータ可読記憶媒体のより具体的な例としては、フロッピー(登録商標)ディスク、ディスケット、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリメモリ(ROM)、消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EPROM又はフラッシュメモリ)、電気的消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EEPROM)、静的ランダムアクセスメモリ(SRAM)、コンパクトディスクリードオンリメモリ(CD-ROM)、デジタル多用途ディスク(DVD)、ブルーレイ(登録商標)ディスク、メモリスティック、集積回路カード等が含まれてよい。
【0107】
コンピュータ可読命令は、アセンブラ命令、命令セットアーキテクチャ(ISA)命令、マシン命令、マシン依存命令、マイクロコード、ファームウェア命令、状態設定データ、又はSmalltalk、JAVA(登録商標)、C++等のようなオブジェクト指向プログラミング言語、及び「C」プログラミング言語又は同様のプログラミング言語のような従来の手続型プログラミング言語を含む、1又は複数のプログラミング言語の任意の組み合わせで記述されたソースコード又はオブジェクトコードのいずれかを含んでよい。
【0108】
コンピュータ可読命令は、汎用コンピュータ、特殊目的のコンピュータ、若しくは他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサ、又はプログラマブル回路が、フローチャート又はブロック図で指定されたオペレーションを実行するための手段を生成するために当該コンピュータ可読命令を実行すべく、ローカルに又はローカルエリアネットワーク(LAN)、インターネット等のようなワイドエリアネットワーク(WAN)を介して、汎用コンピュータ、特殊目的のコンピュータ、若しくは他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサ、又はプログラマブル回路に提供されてよい。プロセッサの例としては、コンピュータプロセッサ、処理ユニット、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ等を含む。
【0109】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0110】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階などの各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」などと明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」などを用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0111】
20 ネットワーク、22 ゲートウェイ、30 ユーザ端末、40 対象エリア、100 HAPS、102 機体、104 中央部、106 プロペラ、108 ポッド、110 太陽電池パネル、112 FLアンテナ、114 SLアンテナ、120 セル、121 サブセル、200 HAPS、220 セル、221 サブセル、300 制御装置、312 指示受付部、314 通信情報取得部、320 飛行体通信部、330 制御部、400 通信管理装置、1200 コンピュータ、1210 ホストコントローラ、1212 CPU、1214 RAM、1216 グラフィックコントローラ、1218 ディスプレイデバイス、1220 入出力コントローラ、1222 通信インタフェース、1224 記憶装置、1230 ROM、1240 入出力チップ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12