IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ブリヂストンの特許一覧

特許7187432金属錯体触媒、それを使用した重合方法、及びそのポリマー生成物
<>
  • 特許-金属錯体触媒、それを使用した重合方法、及びそのポリマー生成物 図1
  • 特許-金属錯体触媒、それを使用した重合方法、及びそのポリマー生成物 図2
  • 特許-金属錯体触媒、それを使用した重合方法、及びそのポリマー生成物 図3
  • 特許-金属錯体触媒、それを使用した重合方法、及びそのポリマー生成物 図4
  • 特許-金属錯体触媒、それを使用した重合方法、及びそのポリマー生成物 図5
  • 特許-金属錯体触媒、それを使用した重合方法、及びそのポリマー生成物 図6
  • 特許-金属錯体触媒、それを使用した重合方法、及びそのポリマー生成物 図7
  • 特許-金属錯体触媒、それを使用した重合方法、及びそのポリマー生成物 図8
  • 特許-金属錯体触媒、それを使用した重合方法、及びそのポリマー生成物 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-02
(45)【発行日】2022-12-12
(54)【発明の名称】金属錯体触媒、それを使用した重合方法、及びそのポリマー生成物
(51)【国際特許分類】
   C08L 53/00 20060101AFI20221205BHJP
   C08F 293/00 20060101ALI20221205BHJP
   C08K 5/01 20060101ALI20221205BHJP
【FI】
C08L53/00
C08F293/00
C08K5/01
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019229141
(22)【出願日】2019-12-19
(62)【分割の表示】P 2017514996の分割
【原出願日】2015-05-26
(65)【公開番号】P2020041166
(43)【公開日】2020-03-19
【審査請求日】2020-01-14
(31)【優先権主張番号】62/006,119
(32)【優先日】2014-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/136,302
(32)【優先日】2015-03-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】000005278
【氏名又は名称】株式会社ブリヂストン
(74)【代理人】
【識別番号】100078732
【弁理士】
【氏名又は名称】大谷 保
(74)【代理人】
【識別番号】100153866
【弁理士】
【氏名又は名称】滝沢 喜夫
(72)【発明者】
【氏名】アベル ジョシュア ピー
(72)【発明者】
【氏名】チン ヅァンチュアン
【審査官】中川 裕文
(56)【参考文献】
【文献】特開昭57-003807(JP,A)
【文献】特開2012-179808(JP,A)
【文献】特開2001-081143(JP,A)
【文献】特開昭56-067319(JP,A)
【文献】特公昭40-015983(JP,B1)
【文献】特開2001-294607(JP,A)
【文献】特開2014-037499(JP,A)
【文献】特開平11-315119(JP,A)
【文献】特開2012-162629(JP,A)
【文献】特公昭49-026307(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 4/00- 4/82
6/00-246/00
293/00
C08K 3/00- 13/08
C08L 1/00-101/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
組成物であって、
a)1つ以上のC~C10アルカンの少なくとも50重量%を含む溶媒系と、
b)1,3-ブタジエンマー、及び50モル%以上かつ70モル%以下のエチレンマーを含むインターポリマーと、を含み、前記1,3-ブタジエンマーの全てがシス、トランス又はビニル配置で存在し、
前記エチレンマーの25~99モル%が前記インターポリマー中にランダムに分布しており、
前記インターポリマーが1,3-ブタジエンマーの少なくとも1つのブロックを含む、組成物。
【請求項2】
前記インターポリマーが、単離されたポリエンマーを有し、
前記単離されたポリエンマーが、少なくとも1つの他のポリエンマーに隣接しないポリエンマーであり、
前記単離されたポリエンマーの量が、25モル%超であり、
前記量が、H NMRスペクトルのグラフ又は13C NMRスペクトルのグラフで、単離されたポリエンマーのピークの高さを、全ポリエンマーのピークの高さの合計値で割ることによって算出される、請求項1に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は2014年5月31日出願の米国特許仮出願第62/006,119号及び2015年3月20日出願の米国特許仮出願第62/136,302号の利益を主張し、これらの開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
タイヤトレッドなどのゴム製品は多くの場合、例えば粒状カーボンブラック及びシリカなどの1つ以上の補強材を含有するエラストマー組成物から作製される。例えば、The Vanderbilt Rubber Handbook,第13版(1990),pp.603~04を参照されたい。
【0003】
良好な静止摩擦及び耐摩耗性はタイヤトレッドの主たる考慮事項であるが、自動車の燃費の問題はタイヤ動作時のヒステリシス及び発熱の減少に相関する転がり抵抗の最小化について議論される。ヒステリシス及び静止摩擦の減少は大いに競合する考慮事項であり、良好な路面静止摩擦をもたらすよう設計された組成物から作製されたトレッドは通常高い転がり抵抗を示し、その逆もまた同様である。
【0004】
充填剤(複数可)、ポリマー(複数可)及び添加剤は通常、これらの特性の許容し得る妥協点又はバランスが得られるように選択される。補強充填剤(複数可)がエラストマー材料(複数可)全体に良好に分散されることを確実にすることは、加工性を向上させて、かつ物性を改善するよう働く。充填剤の分散は、充填剤とエラストマー(複数可)との相互作用を増加させることにより改善することができ、それは一般にヒステリシスを減少させる(上記参照)。このタイプの試みの例としては、選択的反応性促進剤の存在下での高温混合、配合材料の表面酸化、表面グラフト、及び通常はポリマー末端でのポリマーの化学修飾が挙げられる。
【0005】
様々な天然及び合成エラストマー材料は多くの場合、例えばタイヤ成分などの加硫物の製造において用いられる。最も一般的に用いられる合成材料の一部として、触媒を用いる方法により作製されることの多い高シスポリブタジエン、及びフリーラジカル又はアニオン開始剤を用いる方法により作製されることの多い実質的にランダムなスチレン/ブタジエンインターポリマーが挙げられる。
【0006】
合成するのが特に困難なのはオレフィン及びポリエン、特に共役ジエンのインターポリマーであり、その主な理由はその2種類のエチレン性不飽和モノマーの反応性が非常に異なるためである。重合触媒の金属原子へのそれぞれの配位しやすさは大きく異なる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
合成が困難であるにもかかわらず、このようなインターポリマーは著しい商業的関心事である。ポリエン及びオレフィンモノマーが通常異なる原材料から生じ、かつ異なる技術を介して提供されるので、エラストマー材料の製造業者はそれぞれから種々のマー及び/又は調製可能量のマーでインターポリマーを合成することによって、いずれかのモノマーの供給及び価格破壊を防ぐことができる。
【0008】
そのうえ空気入りタイヤの特定部分、特にサイドウォールは大気分解、特にオゾン分解に対する良好な耐性を好ましくは示す。かかる成分は、実質的な飽和エラストマー(複数可)の包含から恩恵を受け得る。従来より通常の選択肢は、エチレン/プロピレン/非共役ジエン(EPDM)インターポリマー、又はイソブチレン及びパラ-メチルスチレンの臭素化コポリマーを含んでいる。これらの材料の代替例も依然として望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0009】
任意の種類のインデニル金属錯体が触媒系の成分として使用することが可能である。触媒系は、ポリエン及びオレフィンの混合物又は配合物を含むエチレン性不飽和炭化水素モノマーの重合に使用可能である。
【0010】
金属錯体の種類は次の一般式により表すことができ、
【0011】
【化1】

式中、Mは第3族金属原子を表し、Lは中性ルイス塩基を表し、zは0及び3を含む0~3の整数であり、mは1又は2であり、ただしm=2のときシリル基はインデニル配位子の1位及び3位にあり、nは1又は2であり、各Rは独立してH、ハロゲン原子、C~C20アルキル基、C~Cシクロアルキル基、アラルキル基、アルコキシ基、シロキシ基、ニトロ基、スルホネート基、又は-(CH基であり、ここでyは0又は1であり、Rは置換若しくは非置換アリール基であり、RはX型モノアニオン性配位子である。L基及びR基は、それぞれが結合しているM原子と共に任意に結合して環状部分を提供することができる。代替的に又は追加的に、2つのR基は結合して、置換又は非置換ヒドロカルビレン基を形成することができ、Si原子と一緒になって環状部分を形成することができる。
【0012】
本発明の態様は式(I)の錯体を含有する触媒組成物を含んでおり、その特定のものは錯体及び触媒組成物の両方を作製する方法と同様に触媒活性化剤も含有する。
【0013】
更なる態様では、エチレン性不飽和炭化水素モノマーと上述した触媒組成物を接触することを含む、エチレン性不飽和炭化水素モノマーを重合させる方法を提供する。エチレン性不飽和炭化水素モノマーはジエンを含む1つ以上の種類のポリエンを含むことができ、いくつかの実施形態では、得られたジエンマーは優先的に1,4-配置に都合よく組み込むことができる、すなわちポリマー生成物は少量のビニルマーを有することができる。エチレン性不飽和炭化水素モノマーはまた1つ以上の種類のオレフィンを含むことができ、いくつかの実施形態では得られたポリマーは大量のオレフィンマーを含むことができ(例えば少なくとも約50モル%)、多くの実施形態でそれはポリマー鎖全体に実質的にランダムに組み込まれることができる、又は他の実施形態でランダムに分布しているオレフィン及びポリエンマーのブロックに存在できる。特定の実施態様において前記方法は、主として、又は更には完全に、C~C10アルカンで構成される溶媒系内で実施することができる。これらの及び他の実施形態において前記方法は、1つ以上のヘテロ原子を含む末端部分を有する得られたポリマーを提供すること、様々な種類の粒状充填剤と相互作用するためにポリマーの能力を向上させることができる工程を任意に含むことができる。
【0014】
更に別の態様では、多量のオレフィンマーを含むポリエン/オレフィンインターポリマーを提供する。オレフィンがエチレンであるか又はエチレンを含むとき、インターポリマーは約40~約75モル%のエチレンマーを含有することができ、複数の前記エチレンマーはランダムに分布している。そのうえポリエンが共役ジエンであるとき、ジエンマーの合計モル数に対して共役ジエンマーの少なくとも40%、少なくとも45%又は更には少なくとも50%はシス異性体配置を有することができる。いくつかの実施形態ではポリエン/オレフィンインターポリマーは、ポリエンマーの少なくとも1つのブロック、並びにランダムに分布したポリエン及びオレフィンマーの1ブロックを含むことができる。この態様の特定の実施形態は共役ジエン/エチレンコポリマーであり、ここで1つのブロックは上述のシス異性体配置の量を有する共役ジエンマー、並びにランダムに分布した共役ジエン及びエチレンマーを有する別のブロックを有する。
【0015】
なお更なる態様において、1つ以上のC~C10アルカンの少なくとも50重量%を含む、及びいくつかの実施形態ではこのようなC~C10アルカンだけを含む溶媒系のインターポリマーを含む組成物が提供される。インターポリマー成分は、ポリエンマー及び少なくとも10モル%のエチレンマーを含む。複数のエチレンマーはインターポリマーにランダムに分布され得る。
【0016】
前述の重合方法はまた、様々な種類の粒状充填剤、例えばカーボンブラック及び/又はシリカと相互作用するポリマーの能力を高めるために、1つ以上のヘテロ原子を含む末端部分を有する得られたポリマーを提供することを任意に含むことができる。
【0017】
粒状充填剤及び得られたポリマーを含有する加硫物を含む組成物もまた提供されて、その特定の実施形態はこのような組成物を提供かつ使用する方法であって、それは末端官能基も含み得る。
【0018】
本発明の他の態様は、以下の詳細な説明から当業者に明白となろう。その説明の理解を手助けするために特定の定義を以下に示すが、これらは周辺の文章が反対の意図を明白に示していない限り、全体を通して適用されるものとする。
「ポリマー」とは1つ以上のモノマーの重合生成物を意味し、ホモポリマー、コポリマー、ターポリマー、テトラポリマーなどを含む。
「マー」及び「マー単位」は両方とも、1つの反応分子から生成されるポリマーの一部を意味する(例えばエチレンマーは一般式-CHCH-を有する)。
「コポリマー」は、2つの反応物質、通常はモノマーから生成されるマー単位を含んだポリマーを意味し、ランダム、ブロック、セグメント化、グラフトなどのコポリマーを含む。
「インターポリマー」は、少なくとも2つの反応物質、通常はモノマーから生成されるマー単位を含んだポリマーを意味し、コポリマー、ターポリマー、テトラポリマーなどを含む。
「置換」は、当該基の意図した目的を阻害しないヘテロ原子又は官能基(例えば、ヒドロカルビル基)を含むことを意味する。
「ポリエン」は、最長部分又はその鎖に少なくとも2つの二重結合が存在する分子、通常はモノマーを意味し、具体的にはジエン、トリエンなどを含む。
「ポリジエン」は、1つ以上のジエンのマー単位を含むポリマーを意味する。
「ランタノイド金属」とは、原子番号57及び71を含む57~71の任意の元素を意味する。
「第3族金属」とは、Sc、Y又はランタノイド系金属を意味する。
「phr」とは、ゴム100重量部(pbw)当たりの重量部(pbw)を意味する。
「ラジカル」は、反応の結果、任意の原子が得られるか又は失われるかに関わらず、別の分子と反応した後に残る分子の一部を意味する。
「中性ルイス塩基」とは、一対の利用可能な電子を含む非イオン性化合物(又はラジカル)を意味する。
「アリール」とは、フェニル又は多環式芳香族ラジカルを意味する。
「アラルキル」とは、アリール置換基、例えばベンジル基を含有するアルキルラジカルを意味する。
「非配位アニオン」は、例えば立体障害により触媒系の活性中心と配位結合を形成しない立体的に嵩高なアニオンを意味する。
「非配位アニオン前駆体」は、反応条件下で非配位アニオンを形成することが可能な化合物を意味する。
「末端」とは、ポリマー鎖の端部を意味する。
「末端活性の」とは、リビング末端又は擬似リビング末端を有するポリマーを意味する。
「末端部分」は、末端に位置する基又は官能基を意味する。
【0019】
本明細書全体を通して、パーセンテージの形で示されるすべての値は、周囲の文章が反対の意図を明確に示していない限り、重量%である。具体的に言及される任意の特許又は公開される特許出願の関連部分(複数可)は、参照により本明細書に組み込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】実施例3のポリマーの示差走査熱量測定(DSC)により得られた熱流対温度のプロットである。
図2】実施例3のポリマーのプロトン核磁気共鳴(NMR)スペクトログラフである。
図3】実施例3のポリマーの13C NMRスペクトログラフである。
図4】実施例16のポリマーの熱流対温度のDSCプロットである。
図5】実施例16のポリマーのH NMRスペクトログラフである。
図6】実施例16のポリマーの13C NMRスペクトログラフである。
図7】実施例24のポリマーの熱流対温度のDSCプロットである。
図8】実施例24のポリマーのH NMRスペクトログラフである。
図9】実施例24のポリマーの13C NMRスペクトログラフである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
これまで述べてきたことから明らかなように、触媒組成物は、所望によりだが好ましくは1つ以上の種類のオレフィンと組み合わせるいくつかの点において、1つ以上の種類のポリエンを重合させるために用いることができる。
【0022】
得られたポリマーは、それ自体がエチレン系不飽和を含むマーを含有するエラストマー性であり得る。エチレン系不飽和を含むマー単位は、ポリエン、特にジエン及びトリエン(例えばミルセン)から誘導され得る。例示のポリエンには、C~C30ジエン、好ましくはC~C12ジエンが含まれる。これらのうちで好ましいのは、1,3-ブタジエン、1,3-ペンタジエン、1,3-ヘキサジエン、1,3-オクタジエン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、2-エチル-1,3-ブタジエン、2-メチル-1,3-ペンタジエン、3-メチル-1,3-ペンタジエン、4-メチル-1,3-ペンタジエン、2,4-ヘキサジエンなどの共役ジエンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0023】
ポリエンマーの総モル数を基準として全体として50%以下、好ましくは35%以下の1,2-微細構造を有するポリマーは、「実質的に線形である」と考えられる。特定の最終用途は、更により少量の1,2-結合、例えば20%未満、15%未満、又は更には10%未満について議論する。本触媒組成物は、1,2-結合を約2~約10%有するポリマーを提供することが可能であることが見いだされた。
【0024】
ビニル(1,2-)配置のポリマー鎖内に組み込まれないこのポリエンマーは、シス又はトランス異性体配置のいずれかを有することもできる。高シス1,4-結合含量を有するポリマーは特定の最終用途にとって望ましいが、遊離基若しくはアニオン性(リビング)重合を介して達成するのが困難である又は非効率的であり得る。多量のシス-1,4ジエンマーを有するポリマーはしたがって、選択的触媒を使用した方法により一般的に調製される。
【0025】
本方法は、約40%~約70%、通常は約45%~約60%のシス-1,4結合含量を有するポリジエンマーを有するポリマーを提供することができ、前述のそれぞれはマーの総数に対する数値パーセンテージを表す。これらのパーセンテージは他の触媒系を使用して調製されるポリマーに見られるほどには高くない一方で、本方法から得られるポリマーは既知の方法を介して以前は得られなかった他の特徴を有する。
【0026】
前記重合方法で使用され得るオレフィンの例としては、C~C30、好ましくはC~C20、より好ましくはC~C12の、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、3-メチル-1-ブテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、3-メチル-1-ペンテン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセン、1-エイコセンなどの直鎖又は分枝鎖α-オレフィンに加えて、シクロペンテン、シクロヘプテン、ノルボルネン、5-メチル-2-ノルボルネン、及びテトラ-シクロドデセンなどのC~C30シクロオレフィンが挙げられる。複数の実施形態では、エチレンは好ましいオレフィンを構成する。
【0027】
前記重合方法は広範囲の量の各種マーを有するオレフィン/ポリエンインターポリマーを形成することができる、すなわち特定の他の式(I)型の錯体を含有する触媒系を使用する方法の実施形態は、主要量のオレフィンマーを有するインターポリマーをもたらすことができると共に、触媒系の特定の式(I)型の錯体を用いた方法の実施形態は、主要量のポリエンマー、例えばオレフィンマーより共役ジエンマーを含むオレフィン/共役ジエンコポリマーを有するインターポリマーをもたらすことができる。得られたインターポリマーは少なくとも10、20、30、40、50、60又は更には最高70%のオレフィンマーを含有することができ、更には前記インターポリマーはC~C10アルカンを主に含有する又はそれだけを含有する溶媒系で調製される(前述のパーセンテージはすべてモル%であり、これらパーセンテージを対にして、例えば少なくとも10~70%、少なくとも10~60%、少なくとも20~70%などの範囲を形成することが想定される)。
【0028】
本開示の方法に従って作製したポリマーの数平均分子量(M)は通常、焼き入れした試料が約2~約150、より一般的には約2.5~約125、更には一般的には約5~約100、及び最も一般的には約10~約75のゴムムーニー粘度(ML1+4/100℃)を示すものであり、これは一般的に約5,000~約250,000ダルトン、一般的には約10,000~約150,000ダルトン、より一般的には約50,000~約120,000ダルトン、及び最も一般的には約10,000~約100,000ダルトン又は更には約10,000~約80,000ダルトンのMに相当する。得られたインターポリマーは通常、1~20、一般的には2~15、及びより一般的には3~10の分子量分布(M/M)を有する(M及びMの両方は較正のためポリスチレン標準を用いたGPCにより測定されることができる)。
【0029】
前述の種類のポリマーは溶液重合によって作製することができ、それはランダム性、微細構造などの優れた特性制御を提供する。溶液重合はおよそ20世紀半ばから実施されており、そのためその一般的な態様は当業者に公知であるが、参照の便宜上から本明細書では特定の態様を提供する。
【0030】
好適な溶媒は、重合又は生長するポリマー鎖に取り込まれない(すなわち触媒組成物に対して不活性かつそれによる影響を受けない)有機化合物が含まれ、好ましくは周囲温度及び周囲圧力で液体である。好適な有機溶媒の例としては、例えばシクロヘキサンなどの(シクロ)脂肪族炭化水素に加えて、ベンゼン及びトルエンを含有する芳香族炭化水素など比較的低い沸点を有する炭化水素を含む。例示の重合溶媒は更に、種々のC~C12環式及び非環式アルカン(例えばn-ペンタン、n-ヘキサン、n-ヘプタン、n-オクタン、n-ノナン、n-デカン、イソペンタン、イソヘキサン、イソオクタン2,2-ジメチルブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン、メチルシクロヘキサンなど)に加えてそのアルキル化誘導体、特定の液体芳香族化合物(例えばベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン及びメシチレン)、石油エーテル、ケロシン、石油精、並びにこれらの混合物なども含む。溶媒として使用可能な他の可能性のある有機溶媒としては、パラフィン系オイル、芳香油、又は一般に油展ポリマーに使用される他の炭化水素油など高分子量の高沸点の炭化水素が挙げられる。当業者は、他の有用な溶媒の選択肢及び組み合わせを認識している。
【0031】
有利には特定の実施態様において溶液重合は、1つ以上のC~C10アルカン、好ましくはC~C10直鎖アルカンの少なくとも50重量%を含む溶媒系で実行可能である。これらの実施形態のいくつかでは、溶媒系はかかるC~C10直鎖アルカンだけを含むことができる。ほとんどC~C10直鎖アルカンである又はそれだけである溶媒系で実行される重合方法の実施形態は有利には、高濃度のオレフィンマー、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも33、少なくとも40又は更には少なくとも50モル%のエチレンマーを有するジエン/エチレンインターポリマーを有するポリマーを生成できる。
【0032】
上述のとおり重合方法は、特定の種類の第3族金属錯体を含む触媒組成物を使用する。「触媒組成物」という用語は、成分の単純な混合物、物理的若しくは化学的引力により生じる様々な成分の錯体、成分の一部若しくはすべての化学反応生成物、又は前述のものの組み合わせを包含する。
【0033】
例示の触媒組成物としては、(a)式(I)の錯体、アルキル化剤及び所望によりハロゲン含有化合物(式(I)の錯体及びアルキル化剤のどちらもハロゲン原子を含有しない)、(b)式(I)の錯体及びアルミノキサン、又は(c)式(I)の錯体、アルキル化剤及び非配位アニオン若しくはその前駆体が挙げられる。式(I)の錯体の特定の実施形態は、触媒として単独で使用される可能性がある。これらの例示の組成物の各成分を別途下に述べる。
【0034】
本明細書に記載される重合方法は第3族金属錯体の特定の族を使用し、具体的には上述の式(I)により定義される。錯体は重合容器への導入前に形成されることができ、又は構成成分(反応物質)を別々に添加して、錯体を形成するように反応させることが可能であり、したがって触媒をその場で形成することが可能である。
【0035】
式(I)で、Mは第3族金属原子を表す。Mがランタノイド系金属の場合、好ましくはNd又はGdである。Mは複数の酸化状態のいずれかであり得て、一般的には+2~+5であり、最も一般的には+3である。
【0036】
式(I)を再度参照するとLは中性ルイス塩基を表しており、その例として環式又は非環式(チオ)エーテル、アミン、及びホスフィンを含むが、これらに限定されない。L基の具体的な非限定例は、THF、ジエチルエーテル、ジメチルアニリン、トリメチルホスフィン、中性オレフィン、中性ジオレフィンなどを含む。式(I)錯体としてエーテル及び環式エーテルの使用が好ましい。
【0037】
式(I)を再度参照すると、zは0~3の整数であり得て(Mの利用可能な配位数(複数可)により決定される)、そのため錯体はL基を含まない、1つのL基又は複数のL基を含むことができる。いくつかの実施形態ではzが0である錯体が好ましいが、かかる実施形態の例は下記の実施例のセクションで示される。zが2又は3の場合、各Lは同一であるか又は異なることができるが、各Lが同一である錯体が好ましい。
【0038】
式(I)を再度参照すると、Rは独立してX型モノアニオン性配位子である(CBC法、Green,M.L.H.,「A new approach to the formal classification of covalent compounds of the elements,」J.Organomet.Chem.,500(1~2),pp.127~48(1995)を参照)。Rの非限定例としては、H;ハロゲン原子、特にCl又はBr;シリル基;シロキシ基;ニトロ基;スルホネート基;アミド基;シリルアルキル基;アルコキシ、特にC~Cアルコキシ基;及びC~C20、特にC~C12置換若しくは非置換の直鎖又は分枝状(パーフルオロ)アルキル基(メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ネオペンチル、n-ヘキシル及びオクチルを含むがこれらに限定されない)、アラルキル基、アリル基、アミノ基、又は置換若しくは非置換アリール基(フェニル、トリル、ベンジル、ナフチル、ビフェニル、フェナントリル、アントラセニル及びテルフェニルを含むがこれらに限定されない)が挙げられる。Al-及びB含有基はそれぞれAlR 及びBRで表され、ここでRはH、ハロゲン原子、置換又は非置換アリール基などであり、それはR基としても機能できる。RがC原子を介してMに結合する又はそれと関連するような実施形態では、より単純な触媒系の使用が可能であり、要点は下記でより詳細に考察される。様々なビス(シリル)アミノ基のいずれかは、特定の実施形態の好適なR基を構成する。
【0039】
置換R基において例示の置換基は、ハロゲン原子、ハロ置換基(例えばハロゲン化されたC~C30、特にトリフルオロメチル、ペンタフルオロフェニル及びクロロフェニルなどのC~Cヒドロカルビル基、)、他のC~C30、特にC~Cヒドロカルビル基(例えばベンジル及びクミルなどのアリール置換アルキル基)、ヘテロ原子含有基(例えばアルコキシ、2,6-ジメチルフェノキシ又は2,4,6-トリメチルフェノキシなどのアリールオキシ、p-クロロベンゾイル又はp-メトキシベンゾイルなどのアシル、(チオ)カルボキシル、カルボナト、ヒドロキシ、ペルオキシ、アセチルオキシ又はベンゾイルオキシなどの(チオ)エステル、(チオ)エーテル、無水物、アミノ、イミノ、アセトアミド又はN-メチルアセトアミドなどのアミド、アセトイミド及びベンズアミドなどのイミド、ヒドラジノ、ヒドラゾノ、ニトロ、ニトロソ、(イソ)シアノ、(チオ)シアン酸エステル、アミジノ、ジアゾ、ボランジイル、ボラントリイル、ジボランイル、メルカプト、ジチオエステル、アルキルチオ、(メチル)フェニルチオ又はナフチルチオなどのアリールチオ、チオアシル、イソチオシアン酸エステル、スルホンエステル、スルホンアミド、ジチオカルボキシル、スルホ、スルホニル、スルフィニル、スルフェニル、スルホン酸塩、ホスフィド、(チオ)ホスホリル、リン酸塩、シリル、シロキシ、メチルシリルなどのヒドロカルビル置換シリル基、ジメチルシリル、トリメチルシリル、エチルシリル、ジエチルシリル、トリエチルシリル、ジフェニルメチルシリル、トリフェニルシリル、ジメチルフェニルシリル、ジメチル-t-ブチルシリル、ジメチル(ペンタフルオロフェニル)シリル、ビストリメチルシリルメチル、並びにトリメチルシロキシなどのヒドロカルビル置換シロキシ基)などを含むがこれらに限定されない(Si含有基のケイ素原子をGe又はSnで置換することは、有用なGe-又はSn-含有基を提供できる)。
【0040】
あるいは1つのR及び1つのLは、M原子と共に環状部分を形成するために結合できて、M原子に加えて1つ以上のヘテロ原子を任意に含有する通常5-又は6員環である。所望により環状部分は、置換又は非置換アリール及びC~C20(特にC~C)アルキル基などの1つ以上のペンダント置換基を含むことができるが、これらに限定されない。
【0041】
式(I)を再度参照すると、各Rは独立してH、ハロゲン原子、C~C20(特にC~C)アルキル基、C~Cシクロアルキル基、アラルキル基、アルコキシ基、シロキシ基、ニトロ基、スルホネート基、又は-(CH基であって、ここでyは0又は1であり、Rは置換若しくは非置換アリール基、好ましくはフェニル基である。
【0042】
-(CH基のRがアルキル置換フェニル基である場合、アルキル置換基の位置は得られるポリマーの性質に影響を与えることができ、例えばフェニル環の4位のメチレン基は、2位にメチレン基を有する類似する錯体よりも、より単離されたポリエンマーを有するポリマーを生成できる。「単離された」という用語は少なくとも1つの他のポリエンマーに隣接しないポリエンマーの数量に関連しており、それは13C NMRスペクトルのグラフの約32.1ppm及び/若しくは約32.2ppmのピーク(複数可)により、並びに/又はH NMRスペクトルのグラフの約1.85~約2.02ppmのピーク(複数可)によって明示される。このような単離されたポリエンマーのパーセンテージは、ポリエンマーによるすべてのピーク、例えばH NMRで約1.85~約2.20ppmのすべてのピーク、並びに13C NMRで約27.3、32.1、32.2及び32.4ppmのピークの高さの合計で、これらのシフトのピークの高さを割ることによって算出できる。
【0043】
特定の実施態様において、すべてのR基は、アルキル及び-(CH基から選択されることができ、他の実施形態に加えてこれらのいくつかで、すべてのR基は同様であり得る。
【0044】
が同一又は異なるかに関わらず、一般的に各Rがアルキル基の場合、式(I)型の錯体は最低レベルのビニルマー、すなわち1,2-微細構造を有するジエンマーを有するポリマーを生成する傾向がある。
【0045】
少なくとも1つのRが(CH)R基、特に置換又は非置換ベンジル基である場合、式(I)型の錯体は独特かつ非常に望ましい特性を有するポリマーを生成できることがわかった。例えばこのような種類の錯体は1,4-配置に組み込まれる多量のポリエンマーを有するオレフィン/ポリエンインターポリマーを提供することができ、このようなインターポリマーはランダムであり得て(すなわち、オレフィン若しくはポリエンマーのブロックはほとんど又はまったくなく、多量の単離されたポリエンマーを有する)、又はランダムに分布されたポリエン及びオレフィンマーを有する少なくとも1つのセグメント(ブロック又はマイクロブロック)と共にポリエンマーのブロックを含むことができ、有利にはブロックインターポリマーの実施形態は異なるモノマーの段階的な追加を必要とせずに達成され得るが、かかる段階的な追加は本発明の方法から除外されない。加えて又は別の方法では、Rとして少なくとも1つの-(CH)R基を含まない類似の錯体ではできないほど多量のエチレンを有するインターポリマーをもたらすことができる。
【0046】
単離されたポリエンマーの量は通常極めて低く、すなわち通常10モル%未満で、一般に約5モル%未満、多くの場合1モル%未満であり、少なくとも1つのRが-(CH)R基である式(I)型の錯体は、このような「単離された」ポリエンマーの量が極めて多い、すなわち通常25モル%超、一般に約30モル%超、及び多くの場合40モル%超であるポリマーを生成でき、特定の実施形態ではこのような「単離された」ポリエンマーの量は75、80又は更には85モル%越であり得る(本パラグラフ中のすべてのパーセンテージはポリエンマーの総モル数に基づく)。
【0047】
それぞれが結合するSi原子と共に2つのR基は任意に環状部分を形成するために結合できて、M原子に加えて1つ以上のヘテロ原子を任意に含有する通常5-又は6員環である。所望により環状部分は、置換又は非置換アリール及びC~Cアルキル基などの1つ以上のペンダント置換基を含むことができるが、これに限定されない。
【0048】
置換R、R及びRにおいて例示の置換基は、ハロゲン原子、ハロ置換基(例えばトリフルオロメチル、ペンタフルオロフェニル及びクロロフェニルなどのハロゲン化されたC~C30ヒドロカルビル基、)、他のヒドロカルビル基(例えばベンジル及びクミルなどのアリール置換アルキル基)、ヘテロ原子含有基(例えばアルコキシ、2,6-ジメチルフェノキシ又は2,4,6-トリメチルフェノキシなどのアリールオキシ、p-クロロベンゾイル又はp-メトキシベンゾイルなどのアシル、(チオ)カルボキシル、カルボナト、ヒドロキシ、ペルオキシ、アセチルオキシ又はベンゾイルオキシなどの(チオ)エステル、(チオ)エーテル、無水物、アミノ、イミノ、アセトアミド又はN-メチルアセトアミドなどのアミド、アセトイミド及びベンズアミドなどのイミド、ヒドラジノ、ヒドラゾノ、ニトロ、ニトロソ、シアノ、(イソ)シアノ、(チオ)シアン酸エステル、アミジノ、ジアゾ、ボランジイル、ボラントリイル、ジボランイル、メルカプト、ジチオエステル、アルキルチオ、(メチル)フェニルチオ又はナフチルチオなどのアリールチオ、チオアシル、イソチオシアン酸エステル、スルホンエステル、スルホンアミド、ジチオカルボキシル、スルホ、スルホニル、スルフィニル、スルフェニル、ホスフィド、(チオ)ホスホリル、リン酸塩、シリル、シロキシ、メチルシリルなどのヒドロカルビル置換シリル基、ジメチルシリル、トリメチルシリル、エチルシリル、ジエチルシリル、トリエチルシリル、ジフェニルメチルシリル、トリフェニルシリル、ジメチルフェニルシリル、ジメチル-t-ブチルシリル、ジメチル(ペンタフルオロフェニル)シリル、ビストリメチルシリルメチル、並びにトリメチルシロキシなどのヒドロカルビル置換シロキシ基)などを含むが、これらに限定されない(Si含有基のケイ素原子をGe又はSnで置換することは、有用なGe-又はSn-含有基を提供できる)。Al-及びB含有基はそれぞれAlR 及びBRで表され、ここでRはH、ハロゲン原子、置換又は非置換アリール基などである。
【0049】
式(I)を再度参照すると変数nは1又は2であり得て、得られた錯体はそれぞれ下記の式(Ia)及び(Ib)によって表される。
【0050】
【化2】
【0051】
zの値に応じて、式(Ia)錯体のMは3~6つの結合中に含有され得る。有機金属錯体の第3族金属原子、特にランタニド金属原子の配位数は、上限の主要な決定的要因である配位子の嵩高性によって3~12の範囲であり得る。かかる金属原子は通常少なくとも6つの配位数を有するが、嵩高い配位子はより低い配位数をもたらし得る。したがって特にRが比較的嵩高い配位子である場合、zは0及び2を含む0~2、又は更には0若しくは1に限定される可能性がある。
【0052】
n及びzの両方の値は更にR基(複数可)の同一性に影響を与え得る。例えばn=2及び/又はz≧1の場合、R2基としてビス(トリアルキルシリル)アミノ基はあまりに嵩高すぎて、少なくとも効率的に又は高収率に錯体が合成されるのを許容しない。したがってシリルSi原子に結合したアルキル基の1つは、より小さい基又は原子、例えばH原子と置き換えられることを必要とする可能性がある(これは例示の教示であることを目的としており、当業者はそれを使用して適切な数及び種類の配位子の選択を導くことができる)。
【0053】
式(I)型の錯体の変数mは1又は2である。m=2とき-SiR 基は通常、1位及び3位のインデニル配位子に位置する。例示の目的のため上述の式(Ia)の錯体を用いると、これは以下のとおりに表されることができる。
【0054】
【化3】
【0055】
当業者は容易にこの説明を拡大して、一般式(Ib)型のビスインデニル錯体上の置換を想定することができる。
【0056】
式(I)型の錯体は既知の方法により調製されることができ、その例は下の実施例のセクションに記載されており、その教示は当業者によって容易に拡張又は変更され得る。
【0057】
本明細書で助触媒又は触媒活性化剤と称される触媒組成物の成分(b)は、アルキル化剤及び/又は非配位性アニオン若しくは非配位性アニオン前駆体を含有する化合物を含む。
【0058】
アルキル化剤は、ヒドロカルビル基を他の金属へ移動できる有機金属化合物であると考えることができる。これらの化学物質は通常、第1族、第2族及び第13族金属などの陽性金属の有機金属化合物である。例示のアルキル化剤は一般式AlR 3-oを有するものなどの有機アルミニウム化合物を含んでおり、ここでoは1及び3を含む1~3の整数であり、各Rは独立して一価の有機基であり、それはC原子を介してAl原子に接続するN、O、B、Si、S、Pなどのヘテロ原子を含むことができ、各Xは独立してH、ハロゲン原子、カルボキシル基、アルコキシド基、又はアリールオキシド基である。1つ以上の実施形態において、各Rは独立して例えばアルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、置換アリール、アラルキル、アルカリル、アリル、及びアルキニル基などのヒドロカルビル基であり得て、各基は単一のC原子又は基を形成するのに適切な最小数のC原子から約20個までのC原子を含む。これらのヒドロカルビル基は、N、O、B、Si、S及びP原子を含むヘテロ原子を含むことができるが、これらに限定されない。この一般式内の有機アルミニウム化合物の非限定的な種としては、
トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム(TIBA)、トリ-n-プロピルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリ-n-ブチルアルミニウム、トリ-t-ブチルアルミニウム、トリ-n-ペンチルアルミニウム、トリネオペンチルアルミニウム、トリ-n-ヘキシルアルミニウム、トリ-n-オクチルアルミニウム、トリス(2-エチルヘキシル)アルミニウム、トリシクロヘキシルアルミニウム、トリス(1-メチルシクロペンチル)アルミニウム、トリフェニルアルミニウム、トリ-p-トリルアルミニウム、トリス(2,6-ジメチルフェニル)アルミニウム、トリベンジルアルミニウム、ジエチルフェニルアルミニウム、ジエチル-p-トリルアルミニウム、ジエチルベンジルアルミニウム、エチルジフェニルアルミニウム、エチルジ-p-トリルアルミニウム、及びエチルジベンジルアルミニウムなどのトリヒドロカルビルアルミニウム;
ジエチルアルミニウムヒドリド、ジ-n-プロピルアルミニウムヒドリド、ジイソプロピルアルミニウムヒドリド、ジ-n-ブチルアルミニウムヒドリド、ジイソブチルアルミニウムヒドリド(DIBAH)、ジ-n-オクチルアルミニウムヒドリド、ジフェニルアルミニウムヒドリド、ジ-p-トリルアルミニウムヒドリド、ジベンジルアルミニウムヒドリド、フェニルエチルアルミニウムヒドリド、フェニル-n-プロピルアルミニウムヒドリド、フェニルイソプロピルアルミニウムヒドリド、フェニル-n-ブチルアルミニウムヒドリド、フェニルイソブチルアルミニウムヒドリド、フェニル-n-オクチルアルミニウムヒドリド、p-トリルエチルアルミニウムヒドリド、p-トリル-n-プロピルアルミニウムヒドリド、p-トリイソプロピルアルミニウムヒドリド、p-トリル-n-ブチルアルミニウムヒドリド、p-トリイソブチルアルミニウムヒドリド、p-トリル-n-オクチルアルミニウムヒドリド、ベンジルエチルアルミニウムヒドリド、ベンジル-n-プロピルアルミニウムヒドリド、ベンジルイソプロピルアルミニウムヒドリド、ベンジル-n-ブチルアルミニウムヒドリド、ベンジルイソブチルアルミニウムヒドリド、及びベンジル-n-オクチルアルミニウムヒドリドなどのジヒドロカルビルアルミニウムヒドリド;
エチルアルミニウムジヒドリド、n-プロピルアルミニウムジヒドリド、イソプロピルアルミニウムジヒドリド、n-ブチルアルミニウムジヒドリド、イソブチルアルミニウムジヒドリド、及びn-オクチルアルミニウムジヒドリドなどのヒドロカルビルアルミニウムジヒドリド;
ジヒドロカルビルアルミニウムカルボキシレート;
ヒドロカルビルアルミニウムビス(カルボキシレート);
ジヒドロカルビルアルミニウムアルコキシド;
ヒドロカルビルアルミニウムジアルコキシド;
ジエチルアルミニウムクロリド(DEAC)、ジ-n-プロピルアルミニウムクロリド、ジイソプロピルアルミニウムクロリド、ジ-n-ブチルアルミニウムクロリド、ジイソブチルアルミニウムクロリド、ジ-n-オクチルアルミニウムクロリド、ジフェニルアルミニウムクロリド、ジ-p-トリルアルミニウムクロリド、ジベンジルアルミニウムクロリド、フェニルエチルアルミニウムクロリド、フェニル-n-プロピルアルミニウムクロリド、フェニルイソプロピルアルミニウムクロリド、フェニル-n-ブチルアルミニウムクロリド、フェニルイソブチルアルミニウムクロリド、フェニル-n-オクチルアルミニウムクロリド、p-トリルエチルアルミニウムクロリド、p-トリル-n-プロピルアルミニウムクロリド、p-トリイソプロピルアルミニウムクロリド、p-トリル-n-ブチルアルミニウムクロリド、p-トリイソブチルアルミニウムクロリド、p-トリル-n-オクチルアルミニウムクロリド、ベンジルエチルアルミニウムクロリド、ベンジル-n-プロピルアルミニウムクロリド、ベンジルイソプロピルアルミニウムクロリド、ベンジル-n-ブチルアルミニウムクロリド、ベンジルイソブチルアルミニウムクロリド、及びベンジル-n-オクチルアルミニウムクロリドなどのジヒドロカルビルアルミニウムハライド;
エチルアルミニウムジクロリド、n-プロピルアルミニウムジクロリド、イソプロピルアルミニウムジクロリド、n-ブチルアルミニウムジクロリド、イソブチルアルミニウムジクロリド、及びn-オクチルアルミニウムジクロリドなどのヒドロカルビルアルミニウムジハライド;
ジヒドロカルビルアルミニウムアリールオキシド;及び
ヒドロカルビルアルミニウムジアリールオキシドが、挙げられる。
【0059】
特定の実施態様においてアルキル化剤には、トリヒドロカルビルアルミニウム、ジヒドロカルビルアルミニウムヒドリド、及び/又はヒドロカルビルアルミニウムジヒドリドを含むことができる。
【0060】
アルキル化剤として機能することができる他の有機アルミニウム化合物としては、ジメチルアルミウニウムヘキサノエート、ジエチルアルミニウムオクトエート、ジイソブチルアルミニウム2-エチルヘキサノエート、ジメチルアルミニウムネオデカノエート、ジエチルアルミニウムステアレート、ジイソブチルアルミニウムオレエート、メチルアルミニウムビス(ヘキサノエート)、エチルアルミニウムビス(オクトエート)、イソブチルアルミニウムビス(2-エチルヘキサノエート)、メチルアルミニウムビス(ネオデカノエート)、エチルアルミニウムビス(ステアレート)、イソブチルアルミニウムビス(オレエート)、ジメチルアルミニウムメトキシド、ジエチルアルミニウムメトキシド、ジイソブチルアルミニウムメトキシド、ジメチルアルミニウムエトキシド、ジエチルアルミニウムエトキシド、ジイソブチルアルミニウムエトキシド、ジメチルアルミニウムフェノキシド、ジエチルアルミニウムフェノキシド、ジイソプロピルブチルアルミニウムフェノキシド、メチルアルミニウムジメトキシド、エチルアルミニウムジメトキシド、イソブチルアルミニウムジメトキシド、メチルアルミニウムジエトキシド、エチルアルミニウムジエトキシド、イソブチルアルミニウムジエトキシド、メチルアルミニウムジフェノキシド、エチルアルミニウムジフェノキシド、及びイソブチルアルミニウムジフェノキシドが挙げられるが、これらに限定されない。
【0061】
アルミノキサンは、アルキル化剤としての使用に適する別部類の有機アルミニウム化合物を構成する(これらの化合物はアルキル化作用が終了した後、更に活性化剤として機能できる)。この部類はオリゴマー線状アルミノキサン及びオリゴマー環状アルミノキサンを含有しており、両方の式は例えば米国特許第8,017,695号を含む様々な参照に提供されている(オリゴマー形態の化合物がアルキル化剤として使用される場合、モル数はオリゴマー分子のモル数よりもむしろAl原子のモル数に関連しており、触媒系の当該技術にて一般に用いられている慣行はアルミノキサンを利用する)。
【0062】
アルミノキサンの調製は、トリヒドロカルビルアルミニウム化合物を水と反応させることによって行うことができる。この反応は、(1)トリヒドロカルビルアルミニウム化合物を有機溶媒中に溶解した後に水と接触させること、(2)トリヒドロカルビルアルミニウム化合物を、例えば金属塩に含まれる結晶水又は無機若しくは有機化合物に吸着された水と反応させること、又は(3)トリヒドロカルビルアルミニウム化合物を、重合するモノマー(複数可)の存在下で水と反応させることなどの既知の方法により実施可能である。
【0063】
好適なアルミノキサン化合物としては、メチル-アルミノキサン(MAO)、変性メチルアルミノキサン(MMAO、周知の技術を用いて約20~80%のメチレン基をC~C12ヒドロカルビル基で、好ましくはイソブチル基で置換することにより形成される)、エチルアルミノキサン、n-プロピルアルミノキサン、イソプロピルアルミノキサン、ブチルアルミノキサン、イソブチルアルミノキサン、n-ペンチルアルミノキサン、ネオペンチルアルミノキサン、n-ヘキシルアルミノキサン、n-オクチルアルミノキサン、2-エチルヘキシルアルミノキサン、シクロヘキシルアルミノキサン、1-メチルシクロペンチルアルミノキサン、フェニルアルミノキサン、及び2,6-ジメチルフェニルアルミノキサンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0064】
アルミノキサンは、単独又は他の有機アルミニウム化合物と組み合わせて使用することができる。一実施態様において、MAO及びDIBAHなど少なくとも1つの他の有機アルミニウム化合物を組み合わせて使用する。興味のある読者は、組み合わせて使用されるアルミノキサン及び有機アルミニウム化合物の他の例について米国特許第8,017,695号を参照されたい。
【0065】
一般式R MgX2-gを有するものなどの有機マグネシウム化合物と同様に有機亜鉛(特にジアルキル亜鉛)化合物がアルキル化剤として更に好適であって、Xが上述のように定められる場合gは1又は2であり、各一価有機基がC原子を介してMg原子に連結すること以外はRはRと同一である。潜在的に有用な有機マグネシウム化合物としては、ジエチルマグネシウム、ジ-n-プロピルマグネシウム、ジイソプロピルマグネシウム、ジブチルマグネシウム、ジヘキシルマグネシウム、ジフェニルマグネシウム、ジベンジルマグネシウム、ヒドロカルボニルマグネシウムヒドリド(例えばメチルマグネシウムヒドリド、エチルマグネシウムヒドリド、ブチルマグネシウムヒドリド、ヘキシルマグネシウムヒドリド、フェニルマグネシウムヒドリド及びベンジルマグネシウムヒドリド)、ヒドロカルビルマグネシウムハロゲン化物(例えばメチルマグネシウムクロリド、エチルマグネシウムクロリド、ブチルマグネシウムクロリド、ヘキシルマグネシウムクロリド、フェニルマグネシウムクロリド、ベンジルマグネシウムクロリド、メチルマグネシウムブロミド、エチルマグネシウムブロミド、ブチルマグネシウムブロミド、ヘキシルマグネシウムブロミド、フェニルマグネシウムブロミド及びベンジルマグネシウムブロミド)、ヒドロカルビルマグネシウムカルボキシレート(例えばメチルマグネシウムヘキサノエート、エチレンマグネシウムヘキサノエート、ブチルマグネシウムヘキサノエート、ヘキシルマグネシウムヘキサノエート、フェニルマグネシウムヘキサノエート及びベンジルマグネシウムヘキサノエート)、ヒドロカルビルマグネシウムアルコキシド(例えばメチルマグネシウムエトキシド、エチルマグネシウムエトキシド、ブチルマグネシウムエトキシド、ヘキシルマグネシウムエトキシド、フェニルマグネシウムエトキシド及びベンジルマグネシウムエトキシド)、並びにヒドロカルビルマグネシウムアリールオキシド(例えばメチルマグネシウムフェノキシド、エチルマグネシウムフェノキシド、ブチルマグネシウムフェノキシド、ヘキシルマグネシウムフェノキシド、フェニルマグネシウムフェノキシド、及びベンジルマグネシウムフェノキシド)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0066】
C原子を介してMに結合する又はそれと関連するR基を有する式(I)の錯体の多くの種は、アルキル化剤のない触媒組成物で使用することができる。
【0067】
他の触媒組成物は追加的に又は代替的に、非配位性アニオン又は非配位性アニオン前駆体を含むことができる。例示の非配位性アニオンとしてボレートアニオン、特にフッ素化テトラアリールボレートアニオンが挙げられる。非配位性アニオンの具体例として、テトラフェニルボレート、テトラキス(モノフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(ジフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(トリフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(テトラフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(テトラフルオロメチルフェニル)ボレート、テトラ(トリル)ボレート、テトラ(キシリル)ボレート、[トリス(フェニル),ペンタフルオロフェニル]ボレート、[トリス(ペンタフルオロフェニル),フェニル]ボレート、トリデカヒドリド-7,8-ジカルバウンデカボレートなどが挙げられる。テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートは好ましい非配位性アニオンの1つである。
【0068】
非配位性アニオンを含む化合物はまた、カルボニウム(例えばトリフェニルカルボニウムカチオンなどのトリ置換カルボニウムカチオン、トリ(置換フェニル)カルボニウムカチオン(例えばトリ(メチルフェニル)カルボニウムカチオン))、オキソニウム、アンモニウム(例えばトリアルキルアンモニウムカチオン、N,N-ジアルキルアニリニウムカチオン、ジアルキルアンモニウムカチオンなど)、ホスホニウム(例えばトリフェニルホスホニウムカチオン、トリ(メチルフェニル)ホスホニウムカチオン、トリ(ジメチルフェニル)ホスホニウムカチオンなどのトリアリールホスホニウムカチオンなど)、シクロヘプタトリエニル又はフェロセニウムカチオン(又は類似体)などの対カチオンも含有する。これらの中でN,N-ジアルキルアニリニウム又はカルボニウムカチオンが好ましく、前者が特に好ましい。
【0069】
非配位性アニオン及び対カチオンを含む化合物の例としては、トリフェニルカルボニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N-ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルカルボニウムテトラキス[3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ボレート、及びN,N-ジメチルアニリニウムテトラキス[3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ボレートが挙げられる。
【0070】
例示の非配位性アニオン前駆体としては、強力な電子求引基を含むホウ素化合物が挙げられる。具体例はトリアリールボロン化合物を含み、ここで各アリール基は強力な電子求引性、例えばペンタフルオロフェニル又は3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニルである。
【0071】
C原子を介してMに結合する又はそれと関連するR基を有する式(I)の錯体の特定の種は、非配位性アニオン又は非配位性アニオン前駆体のない触媒組成物で使用することができる。
【0072】
直前に記載された種類の触媒組成物は、濃度及び比率の広範囲にわたり共役ジエン(及び所望によりオレフィン、特にエチレンを含有するα-オレフィン)などのポリエンを立体特異性ポリマーに重合するための非常に高い触媒活性を有するが、最も望ましい特性を有するポリマーは通常、成分の比較的狭い濃度及び比率範囲を利用する系から得られる。更には触媒組成物は、相互作用して活性触媒種を形成すると考えられているため、各成分の最適濃度が他の成分の濃度に依存してもよい。前述の成分に基づく種々の異なる系には、以下のモル比が比較的代表的であると考えられる。
アルキル化剤対式(I)の錯体は約1:1~約1000:1、一般的には約2:1~約500:1、通常は約5:1~約200:1、
アルミノキサン対式(I)の錯体、特にアルミノキサンのアルミニウム原子当量対錯体の第3族原子当量は約5:1~約1000:1、一般的には約10:1~約700:1、通常は約20:1~約500:1、
有機アルミニウム化合物対式(I)の錯体は約1:1~約200:1、一般的には約2:1~約150:1、通常は約5:1~約100:1、及び
非配位性アニオン又は前駆体剤対式(I)の錯体は約1:2~約20:1、一般的には約3:4~約10:1、通常は約1:1~約6:1である。
【0073】
式(I)の錯体を含有する触媒組成物を用いて作製したポリマーの分子量は、用いられる金属錯体の量及び/又は触媒組成物内の助触媒化合物濃度の量を調整することにより影響を受ける可能性があり、広範囲の分子量を有するポリマーをこの方法で作製することができる。一般に金属錯体及び助触媒濃度を上昇させると、得られたポリマーの分子量が減少するが、非常に低い分子量のポリマー(例えば液体ポリジエン)は極めて高い触媒濃度を必要とする。通常これにはポリマーからの触媒残渣を除去して、硫黄硬化速度の遅延などの悪影響を回避する必要がある。
【0074】
式(I)の錯体を含有する触媒組成物は、以下の方法のいずれかを使用して形成することができる。
(1)その場で。触媒成分を、モノマー及び溶媒を含有する溶液(又は単にバルクモノマー)に添加する。添加は、段階的に又は同時に起こってもよい。後者の場合、アルキル化剤を好ましくは最初に添加して、式(I)の錯体が続いて加えられる。
(2)予混合。共役ジエンモノマーに導入する前に、成分を一般的には約-20℃~約80℃の温度で重合系外で混合してもよい。
(3)モノマー(複数可)の存在下で予形成。触媒成分を少量の共役ジエンモノマー(複数可)の存在下で約-20℃~約80℃の温度で混合する。モノマーの量は式(I)の錯体のモル当たり、約1~約500モル、一般的には約5~約250モル、通常は約10~約100モルの範囲であり得る。得られる触媒組成物は、重合されるモノマーの残りに添加される。
(4)2段階処理。
(a)アルキル化剤を約-20℃~約80℃の温度で、モノマーの不存在下で又は少量のモノマー(複数可)の存在下で式(I)の錯体と混合する。
(b)前述の混合物及び残留成分を、重合されるモノマー(複数可)の残りに段階的又は同時に添加する。
【0075】
1つ以上の触媒成分の溶液が前述の方法で重合系外で調製されるとき、好ましくは有機溶媒又はキャリアが使用されて、有用な有機溶媒としては前述したものが挙げられる。他の実施態様において1つ以上のモノマーはキャリアとして使用することが可能である、又は触媒成分は未希釈で、すなわち他のキャリアのいかなる溶媒も含まずに使用され得る。
【0076】
1つ以上の実施形態において触媒組成物の一部又は全部は、不活性キャリアに担持されることができる。担体は、タルク、層状ケイ酸塩、無機酸化物又は超微粒子状ポリマー粉末などの多孔質固体であり得る。好適な無機酸化物は、第2族~第5族及び第13族~第16族のいずれかの元素の酸化物である。例示の担体は、SiO、酸化アルミニウム、並びに元素Ca、Al、Si、Mg又はTiの混合酸化物、及び更に対応する酸化物混合物、Mgハロゲン化物、スチレン/ジビニルベンゼンコポリマー、ポリエチレン又はポリプロピレンを含有する。
【0077】
触媒組成物(同様に溶媒系)の成分量の変化は、得られるポリマーの成分及び微細構造と同様に触媒系の効率の両方に非常に影響を及ぼすことができることを、当業者は理解している。例えば成分(b)としてアルキル化剤を含む触媒組成物に関して、アルキル化剤の相対濃度を増加させることは低分子量のポリマー(M、M若しくはMとして測定されるかに関わらず)及び/又はより少ない単離されたポリエン単位をもたらすが、後者の特性は少なくともいくらか溶媒系の成分に依存する可能性がある(例えばその効果はトルエンのような芳香族溶媒でより明らかであり得る)。
【0078】
同様に触媒組成物がモノマーに接触され得る時間は、サイズ、マー組成物、及びより少ない程度で得られたポリマーの微細構造に影響を及ぼすことができる。
【0079】
更に溶媒系の性質は、方法及び得られたポリマーの両方に影響を与え得る。例えば1つ以上のアルカンから作製される溶媒系は多くの場合、他の有機液体からなる溶媒系より触媒組成物のより高い濃度を必要とする。しかしこのような溶媒系で実行される重合方法は、別の種類の溶媒系で実行される本質的に同一の方法より多量のオレフィンマーを有するインターポリマーを生成でき、おそらくそれはアルカン系溶媒系のオレフィンモノマーの増大した可溶性が理由である。
【0080】
M、m、n、z、R及びRの選択は同様に、方法及び生成物特性に大きな影響を及ぼすことができる。非限定的な例として、MがGd、特にNdである式(I)型の錯体は多くの場合、単離されたポリエンマーのより高濃度を有するインターポリマーを生成する。
【0081】
ポリジエンなどのポリマー(又はジエンマーを含むインターポリマー)の作製は、共役ジエンモノマー(複数可)を上述の触媒組成物の触媒有効量の触媒組成物の存在下で重合させることにより遂行される。重合物中で使用される総触媒濃度は、成分の純度、重合温度、所望の重合速度と転化率、所望の分子量などの多数の要因の相互作用に依存する。したがって特定の総触媒濃度については、各触媒成分の触媒的に有効な量を使用できるという以外、断定的に明確に述べることはできない。使用される式(I)の錯体の量は一般的に、モノマー100g当たり約0.005~約2mmol、一般的には約0.01~約1mmol、通常は約0.02~約0.5mmolの範囲である。他のすべての成分は式(I)の錯体の量に基づく量で添加されることができ、上述の各比を参照のこと。
【0082】
オレフィンインターポリマーが所望されるとき、反応容器内に導入されるオレフィンに対するポリエン(例えば共役ジエン)のモル比は広範囲で変化し得る。例えばポリエン(例えば共役ジエン)対オレフィンのモル比は約100:1~1:100、一般的には約20:1~1:20、及び通常は約5:1~1:5の範囲である。
【0083】
重合は好ましくは、上述の種類(複数可)の1つ以上の有機溶剤中で、すなわち溶液重合(形成されるモノマー(複数可)及びポリマーの両方は溶媒に溶解する)又は沈殿重合(モノマーは凝縮相中にあるが、ポリマーは不溶性である)として実施される。触媒成分は好ましくは有機液体中に溶解又は懸濁されて、追加の溶媒(触媒組成物の調製において使用されるもの以上の)は通常重合系に加えられ、追加の溶媒(複数可)は触媒組成物の調製において使用される溶媒(複数可)と同じでも異なっていてもよい。1つ以上の実施形態において重合混合物の溶媒含量は、重合混合物の総重量に対して20重量%超、50重量%超、又は更には80重量%超であり得る。重合の開始時に存在するモノマーの濃度は一般に、約3~約80重量%、一般的には約5~約50重量%、及び通常は約10~約30重量%の範囲である。
【0084】
特定の実施態様において最少量以下の溶媒を含むバルク重合系、すなわち1つ以上のモノマーが溶媒として機能するバルク重合プロセスを使用することができ、潜在的に有用性のあるバルク重合プロセスの例は米国特許第7,351,776号に開示されている。バルク重合において重合混合物の溶媒含量は、重合混合物の総重量に対して約20重量%未満、約10重量%未満、又は更には約5重量%未満であり得る。重合混合物は更には溶媒が実質的にないこともあり得る、すなわち、そうでなければ重合プロセスに大きな影響を及ぼす溶媒量未満を含有することさえできる。
【0085】
重合は、任意の様々な反応容器内で実施することができる。例えば、従来の撹拌槽型反応器内で溶液重合を行うことができる。モノマー転化率が約60%未満の場合、バルク重合もまた撹拌槽型反応内で実施することができる。モノマー転化率が約60%超の場合、それは非常に粘稠なポリマーセメント(すなわち、溶媒、ポリマー及びいかなる残留するモノマーの混合物も)を通常もたらして、バルク重合は、例えばピストン、又は自己洗浄単軸若しくは二軸スクリュー撹拌機により粘性セメントが回転する細長い反応器内で実施することができる。
【0086】
重合で又はその最中に使用するすべての成分は単一容器(例えば攪拌槽型反応器)内で混合することができ、重合プロセス全体をこの容器内で行うことができる。あるいは2つ以上の成分を重合容器の外で混ぜ合わせて、別の容器に移すことができ、ここでモノマー(複数可)又は少なくともその大部分の重合を行ってもよい。
【0087】
驚くべきことに1つ以上のC~C0アルカンの少なくとも50重量%を含む溶媒系で実施される重合(上述より広く)は、少なくとも10モル%、20モル%、25モル%、33モル%、40モル%又は更には50モル%のエチレンマーを有するポリエン/エチレンインターポリマーをもたらすことができる。これらの多量のエチレンマー含量は、アルカンの豊富な(又はアルカンのみの)溶媒系では以前は実現できなかったと考えられている。
【0088】
式(I)型の錯体を利用する触媒系は以前は実現できなかったマー含量分布及び/又は微細構造を有するポリマーをもたらすことができ、その特定のものは以下の項に記載される(ここで1,3-ブタジエンが例示的だが好ましいα-オレフィンとして例示のポリエン及びエチレンとして使用される)。
【0089】
インデニル金属錯体の特定の実施形態を利用する触媒組成物はランダムに分布したブタジエン及びエチレンマーを有するコポリマーを生成できるが、ブタジエンマーの少なくとも40%、好ましくは少なくとも45%、及びより好ましくは少なくとも50%はシス異性体配置に存在する。インデニル金属錯体の特定の他の実施形態を利用する触媒組成物は、高シスブタジエンマーのブロック(すなわち前文に記載されている高シス異性体配置の種類を有するブロック)並びにランダムに分布したブタジエン及びエチレンマーのブロックの両方を有するコポリマーを生成できる。
【0090】
重合は、バッチ、連続又は半連続プロセスとして実施することができる。重合が進行する条件は制御されて、-10℃~約200℃、一般的に約0℃~約150℃、及び通常は約20℃~約100℃の範囲に重合混合物の温度を維持することができる。重合により生じた熱は、反応器ジャケットの熱的制御による外部冷却によって、及び/又は内部冷却(反応器に接続された還流凝縮器を使用してモノマーを蒸発及び凝縮させることによる)によって除去することができる。また条件は制御されて、約0.01~約5MPa、一般的に約0.05~約3MPa、通常は約0.1~約2MPaの圧力下で重合を実施することができ、大多数のモノマーが液相内にあるように重合が実施される圧力はあり得る。これら又は他の実施形態において重合混合物は、N、Ar又はHeなどの不活性保護ガスによって通常提供される嫌気条件下で維持され得る。
【0091】
バッチ、連続又は半連続プロセスのいずれを使用するかに関わらず、重合は好ましくは中程度から激しい攪拌によって行われる。
【0092】
記載された重合プロセスは有利には活性(擬似リビング)末端を有するポリマー鎖をもたらし、更に1つ以上の官能化剤と反応して、末端官能基を有するポリマーを提供することができる。この種のポリマーは官能化されたと称される場合があり、同様に反応しなかった生長鎖とは異なる。1つ以上の実施形態において官能化剤と反応性ポリマーとの間の反応は、添加又は置換反応を介して進むことができる。
【0093】
末端官能基は、他のポリマー鎖(生長及び/若しくは非生長)と、若しくは粒状補強充填剤(例えばカーボンブラック)などゴム化合物の他の材料と反応性であり得る又は相互作用的であり得る。上述のようにゴム化合物中のポリマーと粒状充填剤との間の強化された相互作用は、得られた加硫物の機械的及び動的性質を改善する。例えば特定の官能化剤は、ヘテロ原子を含む末端官能基をポリマー鎖に付与することができる。このような官能化ポリマーは加硫物を提供し得るゴム化合物で使用可能であり、その加硫物はこのような官能化ポリマーを含まない類似のゴム化合物から調製される加硫物が有するものより少ない高温(例えば50℃)のヒステリシス損失(高温でのtanδ値の減少により示される)を有することができる。高温でのヒステリシス損失の減少は少なくとも5%、少なくとも10%、又は更には少なくとも15%であり得る。
【0094】
所望のモノマー転化は達成されるが、焼き入れ剤(プロトン性H原子を有する化合物)の導入の前に又は重合混合物が部分的に焼き入れされた後に、官能化剤(複数可)を導入することができる。官能化剤は、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも50%、又は少なくとも80%のモノマー転化の後、重合混合物に加えられることができる。特定の実施態様において官能化剤は、完全な又は実質的に完全なモノマー転化の後に加えられる。特定の実施形態で官能化剤は米国特許第8,324,329号に開示されているように、ルイス塩基の導入直前に、それと共に又はその直後に重合混合物に導入され得る。
【0095】
有用な官能化剤は、反応の際に2つ以上のポリマー鎖を互いに結合することなく官能基をポリマー鎖の末端に提供する化合物、並びに2つ以上のポリマー鎖を官能性結合を介して互いに結合又は接合して単一の巨大分子を形成することができる化合物を含む。当業者は、終端剤、カップリング剤及び/又は連結剤によるこの種の後重合官能化によって得ることができる末端官能基の多数の例に精通している。更なる詳細については、興味のある読者は、米国特許第4,015,061号、同第4,616,069号、同第4,906,706号、同第4,935,471号、同第4,990,573号、同第5,064,910号、同第5,153,159号、同第5,149,457号、同第5,196,138号、同第5,329,005号、同第5,496,940号、同第5,502,131号、同第5,567,815号、同第5,610,227号、同第5,663,398号、同第5,567,784号、同第5,786,441号、同第5,844,050号、同第6,812,295号、同第6,838,526号、同第6,992,147号、同第7,153,919号、同第7,294,680号、同第7,642,322号、同第7,671,136号、同第7,671,138号、同第7,732,534号、同第7,750,087号、同第7,816,483号、同第7,879,952号、同第8,063,153号、同第8,088,868号、同第8,183,324号、同第8,642,706号などのいずれか、並びこれらの特許に引用される文献及びこれらの特許を引用するその後の刊行物を参照されたい。具体的な例示の官能化化合物としては、金属ハロゲン化物(例えばSnCl)、R10 SnCl、R10 SnCl、R10SnCl、半金属ハロゲン化物(例えば、SiCl)、カルボジイミド、ケトン、アルデヒド、エステル、キノン、N-環状アミド、N,N’-二置換環状尿素、環状アミド、環状尿素、シッフ塩基、イソ(チオ)シアネート、金属エステル-カルボキシレート錯体(例えばジオクチルスズビス(オクチルマレエート)、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、アルキルチオチアゾリン、アルコキシシラン(例えばSi(OR10、R10Si(OR10、R10 Si(OR10など)、環状シロキサン、アルコキシ-スズ酸塩、及びこれらの混合物が挙げられる(前述において、各R10は独立してC~C20アルキル基、C~C20シクロアルキル基、C~C20アリール基、又はC~C20アラルキル基である)。一般に使用される官能化化合物は、SnCl、トリブチルスズクロリド、ジブチルスズジクロリド、及び1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン(DMI)を含む。
【0096】
重合混合物に加えられる官能化剤の量は、使用する式(I)の錯体の量、官能化剤の種類、官能化の望ましいレベルなどを含む各種要因に依存し得る。1つ以上の実施形態において官能化剤の量は、式(I)の錯体のモル当たり、約1~約200モル、一般的には約5~約150モル、通常は約10~約100モルの範囲であり得る。
【0097】
反応性ポリマー鎖は高温でゆっくりと自己終結するので、ピーク重合温度が観察されるとき若しくはその直後に、又は他の実施形態ではその後30±10分以内に、官能化剤を重合混合物に添加し得る。これらの種類の化合物と予め作製された末端活性ポリマーとの反応は、比較的迅速に(数分~数時間)、適温(例えば0℃~75℃)で実施され得る。
【0098】
官能化剤は、重合若しくは少なくともその一部が実行された位置(例えば容器内)で、又はそこから離れた位置で重合混合物に導入することができる。例えば官能化剤は、下流反応器若しくはタンク、インライン反応器若しくはミキサー、押出機、又は脱揮発槽を含む下流容器内で重合混合物に導入することができる。
【0099】
必須ではないが必要に応じて、任意の残った反応性コポリマー鎖及び触媒組成物を不活性化するために、焼き入れを実行できる。焼き入れは、25℃~約150℃の温度で最大で約120分間、ポリマーとアルコール又は酸などの活性水素含有化合物とを攪拌することによって実施され得る。いくつかの実施形態で焼き入れ剤は、米国特許第7,879,958号に開示されているようにポリヒドロキシ化合物を含むことができる。焼き入れ剤の添加と同時、その添加前又はその添加後に、2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール(BHT)などの酸化防止剤を加えることができ、用いられる酸化防止剤の量はポリマー生成物の約0.2~1重量%であり得る。焼き入れ剤及び酸化防止剤は未希釈で、又は必要に応じて重合混合物に添加される前に炭化水素溶媒若しくは液体モノマーに溶解して添加することができる。
【0100】
一旦重合、官能化(もしあれば)及び焼き入れ(もしあれば)が終了すると、重合混合物の種々の成分を回収できる。未反応のモノマーは重合混合物から、例えば蒸留又は脱揮発槽の使用によって回収されることができる。回収されたモノマーは精製され、保存され、及び/又は重合プロセスへ戻って再利用できる。
【0101】
ポリマー生成物を、既知の技術を使用して重合混合物から回収することができる。例えば重合混合物は脱溶媒押出機などの加熱スクリュー装置を通過でき、ここで揮発性物質(例えば、低沸点溶媒及び未反応のモノマー)は適切な温度(例えば約100℃~約170℃)、及び大気圧下又は亜大気圧下での蒸発により除去される。別の選択肢は蒸気脱溶媒、続いて得られたポリマークラムを熱風式トンネルで乾燥させることを含む。更に別の選択肢は、重合混合物をドラム乾燥機で乾燥することによって直接ポリマーを回収することを含有する。前述のいずれかは水、アルコール又は蒸気による凝固と組み合わせてもよく、凝固が実施される場合オーブン乾燥が望ましいことがある。
【0102】
回収されたポリマーは他のモノマーとグラフトして、並びに/又は他のポリマー(例えばポリオレフィン)及び添加物とブレンドされて、種々の用途に有用な樹脂組成物を形成できる。更に反応したかに関わらず、ポリマーは、タイヤトレッド、サイドウォール、サブトレッド、及びビードフィラーを含む種々のタイヤ構成要素の製造での使用に特に適しているが、これらに限定されない。エラストマー性配合物の相溶化剤として使用すること、並びに/又はホース、ベルト、靴底、ウインドウシール、他のシール、振動減衰ゴム、及び他の産業用若しくは消費者用製品の製造で使用することも可能である。
【0103】
得られたポリマーがトレッドストック化合物中で用いられるとき、それは単独で使用することができ、又は天然ゴム及び/若しくは、例えばポリエンのみに由来するマー単位(例えば、ポリ(ブタジエン)、ポリ(イソプレン)、及びブタジエン、イソプレンなどを組み込むコポリマー)を含む1つ以上のホモ及びインターポリマー、SBR、ブチルゴム、ネオプレン、EPR、EPDM、アクリロニトリル/ブタジエンゴム(NBR)、シリコーンゴム、フルオロエラストマー、エチレン/アクリルゴム、EVA、エピクロロヒドリンゴム、塩素化ポリエチレンゴム、クロロスルホン酸化ポリエチレンゴム、水素化ニトリルゴム、テトラフルオロエチレン/プロピレンゴムなどの非官能化合成ゴムを含有する従来用いられる任意のトレッドストックゴムとブレンドして使用することができる。官能化ポリマー(複数可)が従来のゴム(複数可)とブレンドされるとき、その量は総ゴムの約5~約99%で変動することができ、従来のゴム(複数可)が総ゴムの残りを構成する。
【0104】
得られたポリマーがトレッドストック化合物中で用いられるとき、それは単独で使用することができ、又は天然ゴム及び/若しくは、例えばポリエンのみに由来するマー単位(例えば、ポリ(ブタジエン)、ポリ(イソプレン)、及びブタジエン、イソプレンなどを組み込むコポリマー)を含む1つ以上のホモ及びインターポリマー、SBR、ブチルゴム、ネオプレン、EPR、EPDM、アクリロニトリル/ブタジエンゴム(NBR)、シリコーンゴム、フルオロエラストマー、エチレン/アクリルゴム、EVA、エピクロロヒドリンゴム、塩素化ポリエチレンゴム、クロロスルホン酸化ポリエチレンゴム、水素化ニトリルゴム、テトラフルオロエチレン/プロピレンゴムなどの非官能化合成ゴムを含有する従来用いられる任意のトレッドストックゴムとブレンドして使用することができる。官能化ポリマー(複数可)が従来のゴム(複数可)とブレンドされるとき、その量は総ゴムの約5~約99%で変動することができ、従来のゴム(複数可)が総ゴムの残りを構成する。
【0105】
非晶質シリカ(SiO)を充填剤として用いることができる。シリカは一般に、水中での化学反応により製造されて超微細球状粒子として沈殿されるため、湿式法での水和シリカとして分類される。これらの一次粒子は強く会合して凝集体になり、その一方であまり強く結合せずに粒塊になる。「高分散性シリカ」は、脱凝集して、薄片顕微鏡により観察され得るエラストマー性マトリックス中に分散するための非常に実質的な能力を有する任意のシリカである。
【0106】
表面積は異なるシリカの補強性の信頼性ある指標を与え、Brunauer、Emmet and Teller(「BET」)法(J.Am.Chem.Soc.,vol.60,p.309以下に記載)は表面積を測定するための認識された方法である。シリカのBET表面積は一般に450m/g未満であり、有用な表面範囲は約32~約400m/g、約100~約250m/g、及び約150~約220m/gを含む。
【0107】
シリカ充填剤のpHは一般に約5~約7又はわずかにそれを超え、好ましくは約5.5~約6.8である。
【0108】
使用してもよい市販のシリカの一部として、Hi-Sil(商標)215、Hi-Sil(商標)233、及びHi-Sil(商標)190(PPG Industries,Inc.(Pittsburgh、Pennsylvania))が挙げられる。市販のシリカの他の供給元は、Grace Engineered Materials(Baltimore、Maryland)、Evonik Industries(Parsippany、New Jersey)、Solvary(Cranbury、New Jersey)及びJ.M.Huber Corp.(Edison、New Jersey)を含む。
【0109】
シリカは1~100phrの量で、一般的に約5~約80phrの量で使用されることができる。有用な上限は、かかる充填剤が付与することのできる高い粘性によって制限される。
【0110】
他の有用な充填剤としてはファーネスブラック、チャンネルブラック及びランプブラックを含有するすべての形態のカーボンブラックが挙げられるが、これらに限定されない。より具体的にはカーボンブラックの例としては、超摩耗ファーネスブラック、高摩耗ファーネスブラック、高速押出ファーネスブラック、微細ファーネスブラック、中間超摩耗ファーネスブラック、半補強性ファーネスブラック、中級加工チャンネルブラック、ハード加工チャンネルブラック、導電性チャンネルブラック、及びアセチレンブラックが挙げられ、これらのうちの2つ以上の混合物が使用されてもよい。少なくとも20m/g、好ましくは少なくとも約35m/gの表面積(EMSA)を有するカーボンブラックが好ましい、表面積値は、CTAB技術を用いてASTM D-1765によって測定され得る。ペレット化されてないカーボンブラックが特定のミキサーでの使用に好ましいこともあるが、カーボンブラックはペレット化形態又はペレット化されていない綿状塊でもよい。
【0111】
カーボンブラックの量は最大約50phrであってもよく、通常5~40phrである。カーボンブラックをシリカと共に用いるとき、シリカの量を約1phr程度に低くすることができ、シリカの量が低いため、使用する加工助剤、更にもしあればシランの量を低くすることができる。
【0112】
エラストマー性化合物は通常、エラストマー性ストックの総体積で割った添加充填剤(複数可)の総体積である体積分率が約25%になるように充填されて、したがって補強充填剤、すなわちシリカとカーボンブラックの通常の(合わせた)量は約30~100phrである。
【0113】
シリカが補強充填剤として用いられる場合、シランなどのカップリング剤の添加はエラストマー(複数可)への良好な混合及びエラストマー(複数可)との相互作用を確実にするために慣用される。一般に添加されるシランの量は、エラストマー性化合物中に存在するシリカ充填剤の重量に基づき約4~20%の範囲内である。
【0114】
カップリング剤は、シリカ充填剤の表面上の基(例えば表面シラノール基)と物理的及び/又は化学的に結合し得る官能基、及び、エラストマーとの結合、例えば硫黄含有結合を介して、が可能な官能基を含む。かかるカップリング剤としては有機シラン、特に多硫化アルコキシシラン(例えば、米国特許第3,873,489号、第3,978,103号、第3,997,581号、第4,002,594号、第5,580,919号、第5,583,245号、第5,663,396号、第5,684,171号、第5,684,172号、第5,696,197号などを参照のこと)又はポリオルガノシロキサンが挙げられる。例示のカップリング剤はビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]テトラスルフィドである。
【0115】
加工助剤の追加は、使用されるシランの量を減らすために用いることができる。加工助剤として使用する糖の脂肪酸エステルの説明に関しては、米国特許第6,525,118号を参照のこと。加工助剤として有用な追加の充填剤としてはクレイ(含水ケイ酸アルミニウム)、タルク(含水ケイ酸マグネシウム)及びマイカなどの無機充填剤に加え、尿素及び硫酸ナトリウムなどの非無機充填剤が挙げられるが、これらに限定されない。他の変種が有用であってよいが、好ましいマイカは主にアルミナ、シリカ及び炭酸カリウムを含む。追加の充填剤は最大約40phr、通常最大約20phrの量で用いることができる。
【0116】
他の従来のゴム添加剤が添加されてもよい。例えばこれらにはプロセスオイル、可塑剤、酸化防止剤及びオゾン劣化防止剤などの劣化防止剤、硬化剤などが含まれる。
【0117】
すべての成分を標準の機器、例えばバンバリー型又はブラベンダー型ミキサーを用いて混合することができる。通常、混合は2つ以上の段階で行われる。第1段階(多くの場合、マスターバッチ段階と称される)の間、混合は通常120℃~130℃の温度で開始し、いわゆる降下温度、通常は約165℃±3℃に達するまで上昇させる。
【0118】
配合物がシリカを含む際、多くの場合、別の再ミル段階がシラン成分(複数可)の別の添加のために用いられる。この段階は多くの場合マスターバッチ段階で採用される温度と同様であるが、往々にしてわずかに低い温度で実施されて、すなわち約90℃から約150℃の降下温度まで上昇する。
【0119】
強化されたゴム化合物は従来、例えば硫黄又は過酸化物系硬化系などの1つ以上の公知の加硫剤約0.2~約5phrで硬化される。好適な加硫剤の一般的な開示について興味のある読者は、Kirk-Othmer,Encyclopedia of Chem.Tech.,3d ed.(Wiley Interscience,New York,1982),vol 20,pp.365~468に示されるような概説を参照されたい。加硫剤、促進剤などは最終の混合段階で添加される。加硫の開始が早まって発生しないことを確実にするために、この混合工程は多くの場合低温で実施されて、例えば約60~約65℃で開始して、約105~約110℃よりも高温にしない。
【0120】
以下の非限定的な例示的実施例は、本発明の実践で有用となり得る詳細な条件及び材料を読者に示すものである。
【実施例
【0121】
インデン、クロロトリメチルシラン、tert-ブチルジメチルシリルクロリド、トリベンジルシリルクロリド、ベンジルジメチルシリルクロリド及びn-ブチルリチウムは、Sigma-Aldrich(St.Louis、Missouri)から、N,N-ジメチルアニリニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレートはAlbemarle Corp.(Baton Rouge、Louisiana)から、並びにトリチルテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレートはStrem Chemicals,Inc.(Newburyport、Massachusetts)から購入した。
【0122】
文献の方法を以下の化合物を調製するために用いた。
1-tert-ブチルジメチルシリルインデン、1,3-ビス(トリメチルシリル)インデン及び1,3-ビス(tert-ブチルジメチルシリル)インデン:A.Davison et al,J.Organomet.Chem.,23(2),pp.407~26(1970)and C.A.Bradley et al,Organometallics,23,pp.5332~46(2004)、
ガドリニウム(III)トリス[N,N-ビス(トリメチルシリル)アミド]:D.C.Bradley et al.,J.Chem.Soc.,Chem.Commun.pp.349~50(1972)、
ジ(オクタデシル)メチルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート:米国特許第5,919,983号(Rosenら)。
【0123】
以下の化学構造式において、「Me」はメチル基を表す。
【0124】
実施例1a:1-トリベンジルシリルインデン
Ar流下で冷却したオーブン乾燥した500mLのシュレンク管に200mLの乾燥THFを、続いて1.64g(14.1mmol)のインデンを加えた。この溶液を-78℃で冷却して、n-ブチルリチウムの1.55Mヘキサン溶液9.29mLを約5分間かけて滴下した。内容物をこの温度で約10分間攪拌した。
【0125】
管は氷浴へ移されて、内容物を更に約30分間撹拌して、続いて5.0g(14.8mmol)のトリベンジルシリルクロリドを一度に添加した。氷浴の除去後、管の内容物は室温で暖められて、その後更に約16時間撹拌された。
【0126】
揮発物が除去されて、ヘキサンに再溶解されて、20mLの飽和NaCO溶液で洗浄された。有機層を分離して、MgSO上で乾燥させて、回転蒸発器で濃縮した。残留物はその後減圧下(約0.1torr、13.3Pa)で精製されて、次に未反応のインデンを除去して、それから所望の生成物、1-トリベンジルシリルインデン(4.3g、約40%収率)を単離した。
【0127】
実施例1b:1-ベンジルジメチルシリルインデン
Ar流下で冷却したオーブン乾燥した500mLのシュレンク管に200mLの乾燥THFを、続いて3.0g(25.8mmol)のインデンを加えた。この溶液を-78℃で冷却して、n-ブチルリチウムの1.55Mヘキサン溶液16.9mLを約5分間かけて滴下した。内容物をこの温度で約10分間攪拌した。
【0128】
管は氷浴へ移されて、内容物を更に約30分間撹拌して、続いて5.0g(27.2mmol)のベンジルジメチルシリルクロリドを一度に添加した。氷浴の除去後、管の内容物は室温で暖められて、その後更に約16時間撹拌された。
【0129】
揮発物が除去されて、ヘキサンに再溶解されて、20mLの飽和NaCO溶液で洗浄された。有機層を分離して、MgSO上で乾燥させて、回転蒸発器で濃縮した。残留物はその後減圧下(約0.1torr、13.3Pa)で精製されて、次に未反応のインデンを除去して、それから所望の生成物、1-ベンジルジメチルシリルインデン(6.2g、約92%収率)を単離した。
【0130】
実施例2a:1-トリベンジルシリルインデニル配位子を有する錯体
Ar下で、実施例1aで調製された化合物(0.627g、1.5mmol)の15mLヘキサン溶液を、1.00g(1.6mmol)のGd(III){N[Si(CHのヘキサン溶液(以下「Gd[N(TMS)」とする)15mLに滴加した。この混合物を一晩80℃で撹拌し(約14時間)、その間、黄色溶液が形成された。
【0131】
反応容器を室温まで冷却し、その後すべての揮発物を真空下で除去した。
【0132】
回収された生成物は、以下の構造を有するオフホワイトの結晶性固体1.34g(約100%収率)であった。
【0133】
【化4】
【0134】
実施例2b:1-ベンジルジメチルシリルインデニル配位子を有する錯体
Ar下で、ヘキサン中の実施例1bで調製された化合物(1.22g、4.6mmol)及び1.50g(2.35mmol)のGd[N(TMS)の30mL溶液を、2.22mLの1,1,3,3-テトラメチルジシラザン(1.25g、12.5mmol)にゆっくりと添加した。少量の白色沈殿物が速やかに形成された。
【0135】
この混合物を一晩80℃で撹拌し(約14時間)、その後、淡黄色溶液をAr下でフラスコに移した。溶媒を真空下で除去し、その結果、淡黄色油状物1.92g(約100%収率)が回収された。
【0136】
【化5】
【0137】
実施例2c:1-tert-ブチルジメチルシリルインデニル配位子を有する錯体
Ar下で、ヘキサン中の1-tert-ブチルジメチルシリルインデン(1.415g、6.1mmol)及び2.00g(3.1mmol)のGd[N(TMS)の30mL溶液を、2.22mLの1,1,3,3-テトラメチルジシラザン(1.67g、12.5mmol)にゆっくりと添加した。少量の白色沈殿物が速やかに形成された。
【0138】
この混合物を一晩80℃で撹拌し(約14時間)、その後、赤茶色溶液をAr下でフラスコに移した。溶媒を真空下で除去し、その結果、赤色油状物2.30g(約93%収率)が回収された。
【0139】
【化6】
【0140】
実施例2d:1,3-ビス(tert-ブチルジメチルシリル)インデニル配位子を有する錯体
2.116g(6.1mmol)の1,3-ビス(tert-ブチルジメチルシリル)インデンが1-tert-ブチルジメチルシリルインデンの代わりに使われたこと以外は、実施例2cの反応を繰り返した。
【0141】
この混合物を一晩80℃で撹拌し(約12時間)、その後、淡黄色溶液をAr下でフラスコに移した。溶媒を真空下で除去し、その結果、黄色油状物3.00g(約100%収率)が回収された。
【0142】
【化7】
【0143】
実施例2e:1,3-ビス(トリメチルシリル)インデニル配位子を有する錯体
1.600g(6.1mmol)の1,3-ビス(トリメチルシリル)インデンが1,3-ビス(tert-ブチルジメチルシリル)インデンの代わりに使われたこと以外は、実施例2dのプロセスを繰り返した。回収された生成物は、2.46g(約99%収率)の黄色油状物であった。
【0144】
【化8】
【0145】
実施例2f~2h:追加の錯体
上述と類似の手順を用いて、以下の追加の錯体も調製された。
【0146】
【化9】
【0147】
実施例2a~2hの各錯体は、ブタジエン及びエチレンの少なくとも1つの重合のための触媒を調製するために使用された。
【0148】
触媒成分として錯体の効果を比較するのを手助けするために、重合を受けたモノマー及び多くの他の変数は一定の状態に保たれるが、これを限定的であると考えるべきではない。エチレン以外のモノエチレン性不飽和モノマー(例えばα-オレフィン)及びブタジエン以外のポリエンを、代替的に又は追加的に確実に使用することができる。重合の他のパラメータも変えることができる。
【0149】
実施例3~7:式(IIa)の錯体含有触媒を用いた共重合
以下に記載する以外は、次の手順を各重合に用いた。
【0150】
乾燥のため、Nパージステンレス鋼5L容器に乾燥溶媒(1.80kgトルエン又は1.77kgヘキサン-表1を参照)及び、精製した乾燥1,3-ブタジエンの種々の量(表1を参照)を添加して、その後、反応器をエチレンで0.2MPaまで加圧した。反応器の撹拌器を始動し、ジャケットは50℃まで加熱されて、反応器内容物はその温度と平衡化された。
【0151】
平衡化中、その前に乾燥してNパージされた200mLの瓶を、Arグローブボックス内に置いた。この瓶に50mLの乾燥溶媒、続いて溶媒中のDIBAHの1.02±0.05M溶液の種々の量(下記の表1を参照)、式II(a)の錯体、及び両方の種々の量(下記の表1を参照)を添加した。
(1)トルエンを溶媒として使用する場合、固体N,N-ジメチル-アニリニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート(DEATPFPB)の種々の量、又は
(2)ヘキサンを溶媒として使用する場合、シクロヘキサン中のジ(オクタデシル)メチルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートの0.0326M溶液の種々の量。
【0152】
混合物は密閉されて、グローブボックスから取り出された。
【0153】
小瓶の内容物は反応器内に注入され、気体状乾燥エチレンを反応器に充填して、1.72MPaの最終圧力にした。反応器のジャケット温度は上昇させた(下記の表1を参照)。
【0154】
種々の時間(下記の表1を参照)後に、各ポリマーセメントを2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノールを含有する2-プロパノールのバット内に滴加した。
【0155】
回収されたポリマーを120℃でドラム乾燥した。
【0156】
ポリマー、マー含量、及び他の特性の量も下記の表1にまとめた。モルパーセンテージはH及び13C NMR分光データから計算され、一方で分子量情報は高温GPCで測定された。
【0157】
【表1】
【0158】
実施例3のポリマーの一部6.05mgを-150℃~約200℃の温度範囲にわたってDSCで試験した、その結果を図1に示す。融点の存在は、インターポリマーがブロック(すなわち、完全には交互又はランダムではない)を含むことを示しており、その曲線上の位置(T≒50℃)は、ブロックがブタジエン及びエチレンマーの両方を含むことを示唆する傾向があり、その幅広い性質はマーのランダム性及び非対称性を示唆している。(すべて(又は本質的にすべて)ブタジエンマーであるブロックはTm≒-15℃を有する一方で、すべて(又は本質的にすべて)エチレンマーであるブロックはT≒120℃を有する。いずれの場合においても、「ほぼ等しい」という記号は、表示値の両側5~10℃の範囲として読み取られるべきである。)
【0159】
実施例3のポリマーの他の部分は重水素化テトラクロロエタンに溶解して、下記の設定を使用してNMR分光法を実施した。
【0160】
【表2】
【0161】
H NMRスペクトログラフを図2に示す。約1.95~1.97ppmの化学シフトを中心とするピークは、いわゆる単離されたブタジエンマー、すなわちブタジエンマーのブロック又はマイクロブロックの一部ではなく、代わりにエチレンマーによって挟まれているブタジエンマーを表すと考えられる。
【0162】
13C NMRスペクトログラフを図3に示す。約32.1及び約32.2ppmの化学シフトを中心とするピークは、前節で述べた同じ単離されたブタジエンマーの存在を表すと考えられる。
【0163】
(ブタジエンマーに起因するすべてのピークの積分和に対する、これらのNMRスペクトログラフの顕著なピークの積分は、上記の表1の単離されたブタジエンマーを計算するために使用した)。
【0164】
実施例8~15:式(IIb)~(IIe)の錯体を含有する触媒を用いた共重合
後述の場合を除いて、実施例3~7の方法を基本的に繰り返した。
【0165】
実施例10の重合は、DIBAH溶液の添加前に触媒組成物の瓶に0.25gの1,3-ブタジエンを含むことによって改質された。
【0166】
ヘキサン中のDIBAH 1.05Mの溶液5.78mL、及びシクロヘキサン中の0.0326Mのジ(オクタデシル)メチルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート溶液4.45mLを用いた実施例13及び15の重合を、DEATPFPB溶液の代わりに使用した。
【0167】
条件及びポリマー特性を、下の表3にまとめた。
【0168】
【表3】
【0169】
実施例8~10のポリマーの一部を、-150℃~約200℃の温度範囲にわたってDSCで試験した。複数の融点の存在は、複数のブロックが存在する可能性を示しており、T≒-15℃のピークはブタジエンマーのブロックを示唆し、T≒40℃~45℃のピークはブタジエン及びエチレンマーの両方を含有するブロックを示唆している。これらのポリマーそれぞれの単離されたブタジエンマーの量(上の表3を参照)は、もし交互でなければ、後者のブロックがランダムに分布したマーを含むことを示唆する可能性がある。
【0170】
実施例16~20:式(IIf)の錯体含有触媒を用いた共重合
実施例3~7の方法を基本的に繰り返した。
【0171】
条件及びポリマー特性を、下の表4にまとめた。
【0172】
【表4】
【0173】
実施例19のポリマーにおいて、T≒100℃の融点の存在はエチレンマーのブロックの存在を示唆している。
【0174】
実施例16のポリマー試料3.83mgについて、-150℃~約200℃の温度範囲にわたるDSCプロットを、図4に示す。異なる融点の存在はインターポリマーがブロックを含むことを示しており、曲線(T≒45℃~50℃)上の第二の位置はブタジエン及びエチレンマーの両方を含むブロックを示唆する傾向がある。
【0175】
実施例16のポリマーの他の部分は重水素化テトラクロロエタンに溶解して、下記の設定を使用してNMR分光法を実施した。
【0176】
【表5】
【0177】
H NMR及び13C NMRスペクトログラフは、それぞれ図5及び図6に示される。図2及び図3に関連する上述のほとんど同じ化学シフトの大きなピークは、単離されたブタジエンマーの極めて高い濃度を示すと考えられている。
【0178】
実施例21~22:式(IIg)の錯体含有触媒を用いた共重合
実施例3~7の方法を基本的に繰り返した。
【0179】
条件及びポリマー特性を、下の表6にまとめた。
【0180】
【表6】
【0181】
両方のポリマーにおいて、T>100℃の融点の存在はエチレンマーのブロックの存在を示唆している。
【0182】
実施例23~25:式(IIh)の錯体含有触媒を用いた共重合
実施例3~7の方法を再度基本的に繰り返した。
【0183】
条件及びポリマー特性を、下の表7にまとめた。
【0184】
【表7】
【0185】
実施例24のポリマー試料4.08mgについて、-150℃~約200℃の温度範囲にわたるDSCプロットを、図7に示す。T≒40℃~60℃の比較的広い融点の存在は、ブタジエン及びエチレンマーの両方を含有するブロック、著しいランダム性及びおそらくは非対称を含有する可能性のあるブロックを示す。
【0186】
実施例24のポリマーの他の部分は重水素化テトラクロロエタンに溶解して、下記の設定を使用してNMR分光法を実施した。
【0187】
【表8】
【0188】
H NMR及び13C NMRスペクトログラフは、それぞれ図8及び図9に示される。図2及び図3に関連する上述のほとんど同じ化学シフトの大きなピークは、単離されたブタジエンマーの極めて高い濃度を示すと考えられる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9