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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-02
(45)【発行日】2022-12-12
(54)【発明の名称】拘束プレート及び電池積層体
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/6551 20140101AFI20221205BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20221205BHJP
   H01M 10/625 20140101ALI20221205BHJP
   H01M 10/6563 20140101ALI20221205BHJP
   H01M 10/617 20140101ALI20221205BHJP
   H01M 10/651 20140101ALI20221205BHJP
   H01M 10/6557 20140101ALI20221205BHJP
【FI】
H01M10/6551
H01M10/613
H01M10/625
H01M10/6563
H01M10/617
H01M10/651
H01M10/6557
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019232328
(22)【出願日】2019-12-24
(65)【公開番号】P2021099979
(43)【公開日】2021-07-01
【審査請求日】2022-02-17
(73)【特許権者】
【識別番号】399107063
【氏名又は名称】プライムアースEVエナジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】忠内 宏記
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 隆太郎
(72)【発明者】
【氏名】森高 壮登
【審査官】田中 慎太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-164186(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0201366(US,A1)
【文献】特開2017-084550(JP,A)
【文献】特開2012-119157(JP,A)
【文献】特開2002-329483(JP,A)
【文献】特開2008-308130(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0164061(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/60-10/667
H01M 50/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のセルが配列された電池の端面側に配設する樹脂板と、
前記樹脂板における前記電池が配設される側とは反対側に当接させる鋼板と、
を備え、
前記樹脂板は、前記鋼板に当接させる側において前記セルの配列方向であるセル配列方向と同方向に配列された複数の突起部を有し、
前記鋼板は、前記複数の突起部に当接する複数の凹部を有し、
前記凹部は、前記突起部と当接させた状態で内部空間が形成される形状をもち、
前記セル配列方向において最も外側に位置する前記突起部と前記凹部で形成される前記内部空間の体積は、中央側に位置する前記突起部と前記凹部とで形成される前記内部空間の体積より大きい、
拘束プレート。
【請求項2】
前記内部空間の体積は、前記セル配列方向において外側から中央に向かう程、小さくなっている、
請求項1に記載の拘束プレート。
【請求項3】
前記複数の突起部のそれぞれは、前記セル配列方向において外側から中央へ向かう程、外形が大きくなるように形成されている、
請求項2に記載の拘束プレート。
【請求項4】
前記複数の突起部のそれぞれは、前記セル配列方向において外側から中央へ向かう程、前記鋼板との当接面積が大きくなるように形成されている、
請求項2又は3に記載の拘束プレート。
【請求項5】
前記突起部は、前記セル配列方向の断面形状が複数に分かれている、
請求項1~4のいずれか1項に記載の拘束プレート。
【請求項6】
前記複数の突起部のそれぞれは、前記電池に含まれる電極群の中央に対称になるように、且つ、前記電池の外形の中央に重なるように、配設される、
請求項1~4のいずれか1項に記載の拘束プレート。
【請求項7】
前記内部空間は、前記セル配列方向において、前記突起部の中心を基準として均等に形成されている、
請求項1~6のいずれか1項に記載の拘束プレート。
【請求項8】
前記鋼板は、前記電池を含む電池群を前記拘束プレートと他の部材との間に挟んだ状態で、前記拘束プレートと前記他の部材とを橋架する複数の橋架部材が取り付け可能となっており、
前記セル配列方向は、前記複数の橋架部材の配列方向と同方向であり、
前記複数の突起部は、前記セル配列方向において最も外側に位置する2つの外側突起部と前記2つの外側突起部の間に位置する他の突起部とで構成され、
前記外側突起部における前記セル配列方向の幅は、前記他の突起部における前記セル配列方向の幅より大きい、
請求項1~7のいずれか1項に記載の拘束プレート。
【請求項9】
前記外側突起部における体積は、前記他の突起部における体積より小さい、
請求項8に記載の拘束プレート。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項に記載の拘束プレートと、前記電池を含む電池群と、を備え、前記電池群の一端に前記拘束プレートを当接させて、前記電池群を両端から拘束する、電池積層体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、拘束プレート及び電池積層体に関し、より詳細には電池を拘持するために用いる拘束プレート、及びその拘束プレートを備えた電池積層体に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、電気自動車やハイブリッド車、プラグインハイブリッド車等には、リチウムイオン二次電池やニッケル水素電池等の二次電池が搭載されている。このような二次電池は、発熱や膨脹の問題がある。
【0003】
特許文献1には、電池モジュールから熱容量部材への放熱効率の向上を図ることを目的とした電池パックが記載されている。特許文献1に記載の電池パックは、筐体内に電池モジュールを収容してなり、筐体は、電池モジュールが固定される内壁面、及びウエイト部材が固定される外壁面を備えた側板を有している。そして、この側板の外壁面側には、ウエイト部材の固定領域に対応して、筐体の外側に向かって凸となる複数の外向き凸部が設けられている。また、特許文献1には、隣り合う外向き凸部間に伝熱部材を充填することで、伝熱性を向上させることも記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-103158号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載のような伝熱性を向上させる技術では、自然放熱時には電池内のセル間で熱抵抗差が生じ、セル間での温度のバラツキが生じ易い。
【0006】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、電池内のセル間での温度のバラツキを抑制することが可能な拘束プレート、及びその拘束プレートを備えた電池積層体を提供することを、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る拘束プレートは、複数のセルが配列された電池の端面側に配設する樹脂板と、前記樹脂板における前記電池が配設される側とは反対側に当接させる鋼板と、を備え、前記樹脂板は、前記鋼板に当接させる側において前記セルの配列方向であるセル配列方向と同方向に配列された複数の突起部を有し、前記鋼板は、前記複数の突起部に当接する複数の凹部を有し、前記凹部は、前記突起部と当接させた状態で内部空間が形成される形状をもち、前記セル配列方向において最も外側に位置する前記突起部と前記凹部で形成される前記内部空間の体積は、中央側に位置する前記突起部と前記凹部とで形成される前記内部空間の体積より大きい、ものである。
【0008】
また、前記内部空間の体積は、前記セル配列方向において外側から中央に向かう程、小さくなっていることが好ましい。
さらに、前記複数の突起部のそれぞれは、前記セル配列方向において外側から中央へ向かう程、外形が大きくなるように形成されていることが好ましい。
また、前記複数の突起部のそれぞれは、前記セル配列方向において外側から中央へ向かう程、前記鋼板との当接面積が大きくなるように形成されていることが好ましい。
【0009】
また、前記突起部は、前記セル配列方向の断面形状が複数に分かれていることが好ましい。
【0010】
また、前記複数の突起部のそれぞれは、前記電池に含まれる電極群の中央に対称になるように、且つ、前記電池の外形の中央に重なるように、配設されることが好ましい。
【0011】
また、前記内部空間は、前記セル配列方向において、前記突起部の中心を基準として均等に形成されていることが好ましい。
【0012】
また、前記鋼板は、前記電池を含む電池群を前記拘束プレートと他の部材との間に挟んだ状態で、前記拘束プレートと前記他の部材とを橋架する複数の橋架部材が取り付け可能となっていることが好ましい。ここで、前記セル配列方向は、前記複数の橋架部材の配列方向と同方向であり、前記複数の突起部は、前記セル配列方向において最も外側に位置する2つの外側突起部と前記2つの外側突起部の間に位置する他の突起部とで構成されることができる。そして、前記外側突起部における前記セル配列方向の幅は、前記他の突起部における前記セル配列方向の幅より大きいことが好ましい。
ここで、前記外側突起部における体積は、前記他の突起部における体積より小さいことが好ましい。
【0013】
本発明の他の態様に係る電池積層体は、前記拘束プレートと、前記電池を含む電池群と、を備え、前記電池群の一端に前記拘束プレートを当接させて、前記電池群を両端から拘束する、ものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明により、電池内のセル間での温度のバラツキを抑制することが可能な拘束プレート、及びその拘束プレートを備えた電池積層体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施形態1に係る拘束プレートの一構成例を示す断面図である。
図2図1の拘束プレートにおける突起部による電池内圧の伝達について説明するための断面図である。
図3】比較例に係る拘束プレートの構成を示す断面図である。
図4】実施形態2に係る拘束プレートの一構成例を概略的に示す分解斜視図である。
図5図4の拘束プレートにおける突起部による熱伝導について説明するための断面図である。
図6図1の拘束プレートにおける突起部による熱伝導について説明するための断面図である。
図7】実施形態3に係る拘束プレートで使用される樹脂板の一構成例を示す斜視図である。
図8】実施形態3に係る拘束プレートの一構成例を、図7のVIII-VIII方向から見た断面図である。
図9図8の拘束プレートの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を適用した具体的な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。但し、本発明が以下の実施形態に限定される訳ではない。また、説明を明確にするため、以下の記載及び図面は、適宜、簡略化されている。また、実施形態において、同一又は同等の要素には、同一の符号を付すことがあり、重複する説明は適宜省略される。
【0017】
(実施形態1)
実施形態1について、図1図3を参照しながら説明する。図1は、実施形態1に係る拘束プレート一構成例を示す断面図である。図2は、図1の拘束プレートにおける突起部による電池内圧の伝達について説明するための断面図である。
【0018】
図1に示すように、本実施形態に係る拘束プレート1は、樹脂板13及び鋼板15を備えることができる。拘束プレート1は、電池11の両端に配され、両側から拘持してその電池11の変形を抑えるために用いられることができる。但し、片側は他種の拘束プレートや他の部材で代用することができる。
【0019】
拘束プレート1で拘持される対象となる電池11は、二次電池であり、内部に6つのセル11a,11b,11c,11d,11e,11fが配列されている。なお、ここでは、セルの数は6つで全てのセル11a~11fで同じ幅を有する例を挙げている。但し、内蔵されるセルの数はこれに限らず、また各セルの幅も同じでなくてもよい。各セルには、正極シートと負極シートとセパレータとを含むセット(電極群)を1又は複数内蔵しておくことができ、セル間は壁で隔てておくことができる。また、図1では省略しているが、拘束プレート1で拘持される対象は、積層された複数の電池11とすることができ、一般的にはこの構造が採用される。
【0020】
樹脂板13は、6つのセル11a~11fが配列された電池11の端面側に配設する板状の部材であり、図1で例示するように電池11との間に空気層18を形成するための台座部12を備えることができる。空気層18は、冷却した空気を流すための流路であり、図1の例では、紙面垂直方向に連通するように形成されている。空気層18には、例えば、図示しないブロア等の送風機構から冷却された空気を流すことができる。なお、空気層18は、樹脂板13と電池11との間に設けた別の部材で形成することもできる。
【0021】
鋼板15は、樹脂板13における電池11が配設される側とは反対側に当接させる板状の部材である。鋼板15の材質は問わない。
【0022】
そして、樹脂板13は、鋼板15に当接させる側(電池11に当接させる側とは反対側)においてセル11a~11fの配列方向(以下、セル配列方向)と同方向に配列された複数の突起部14a~14fを有する。以下、上記複数の突起部のそれぞれを区別なく代表して説明する際には、「突起部14」として説明するとともに、他の部位や他の例においても同様の表現方法を採用して説明する。
【0023】
鋼板15は、上記複数の突起部14に当接する複数の凹部16を有する。突起部14を凹部16に当接させて突起部14で凹部16を支持することで、電池11側からの内圧を樹脂板13から鋼板15に伝達させることができ、電池11の膨脹を抑えることができる。
【0024】
さらに、鋼板15は、図1で例示するように、凹部16のそれぞれを、その反対側の面(外側に向かう面)に凸部を形成することで形成しておくことが好ましい。
【0025】
凹部16は、突起部14と当接させた状態で内部空間(内部空洞)17が形成される形状をもつものとする。内部空間17は、電池11からの熱が自然放熱することを抑制する機能を有する。
【0026】
図1では、1つの突起部14を1つのセルに対応させた例、即ち6つのセル11a~11fのそれぞれに対応した6つの突起部14a~14fを例示している。また、1つの突起部14につき1つの凹部16を対応させて1つの内部空間17を形成する例を挙げる。即ち、例示する鋼板15は、突起部14a~14fにそれぞれ対応する凹部16a~16fを有し、互いに当接する凹部16と突起部14との隙間により内部空間17a~16fが形成される。
【0027】
なお、1つの凹部16につき2つ以上の突起部14を対応させて1つの内部空間17を形成することもできる。また、1つのセルにつき2以上の内部空間17を対応させておくことでも、電池11のセル毎の膨脹を抑えることは可能である。
【0028】
また、突起部14a~14fはいずれも、樹脂板13の本体から延伸されるように形成しておくことができ、基本的に本体と一体に樹脂成型されるが、別々に樹脂成型した後に接着するなどで固定することもできる。なお、台座部12についても同様に樹脂板13の本体と一体に樹脂成型されるが、別々に樹脂成型した後に接着するなどで固定することもできる。この場合、接着剤は樹脂の熱抵抗よりも小さいものが好ましい。
【0029】
図2には、図1におけるセル11c、突起部14c、及び凹部16cのセットについて拡大して示している。セル11cからの内圧は、図2において白抜き矢印で示すように鋼板15の凹部16c(凹部16cに対応する外向き凸部)で分散される。よって、このような内圧の分散が可能なように、各内部空間17は、セル配列方向において、各突起部14の中心を基準として均等に(図2においては一点鎖線を中心として左右対称に)形成されていることが好ましいと言える。
【0030】
また、図1において、凹部16a~16fは、いずれも紙面垂直方向にほぼ同形状(紙面垂直方向の両端部を除き)としておくこと、つまり溝状の縦長の形状としておくことができる。それに対応して突起部14a~14fのそれぞれも紙面垂直方向に同形状としておくことができる。
【0031】
そして、拘束プレート1では、セル配列方向において最も外側に位置する突起部14a,14fと凹部16a,16fで形成される内部空間17aの体積、内部空間17fの体積はいずれも次の条件を満たすものとする。
【0032】
即ち、内部空間17aの体積、内部空間17fの体積はいずれも、中央側に位置する突起部14bと凹部16bとで形成される内部空間17bの体積より大きいものとする。同じく中央側に位置する内部空間17c,17d,17eに対しても同様であり、内部空間17aの体積、内部空間17fの体積はいずれも、内部空間17c,17d,17eの個々の体積より大きいものとする。
【0033】
これにより、電池11の中央部のセル及び最外部のセルの間の温度のバラツキを抑制することができる。特に、送風機構が設けられていない場合や、送風機構が設けられている場合でも送風機構での送風が停止している場合、即ち自然放熱を行う場合には、熱抵抗差により内部のセル間で温度のバラツキが発生する懸念がある。しかし、本実施形態では、このような場合でも、セル間での温度のバラツキを低減させることができる。
【0034】
本実施形態によるこのような効果及びそれに付随する効果を説明するために、図3で示す比較例に係る拘束プレートの構成について説明する。図3は、比較例に係る拘束プレートの構成を示す断面図である。
【0035】
比較例に係る拘束プレート100は、図1の拘束プレート1において、内部空間の体積を同じにしたものである。拘束プレート100の構成要素は、その説明を省略するが、図1の拘束プレート1における各構成要素の符号に100を可算した符号を用いて図示している。拘束プレート100の樹脂板113には、鋼板115における凹部116(116a~116f)以外に当接するための台座部119を備える。
【0036】
拘束プレート100では、内部空間117の空気層が、発熱量が少ない外側のセル111a,111fと発熱量が多い中央側のセル111b~111eとで同じ断熱効果しかもたないため、セル間での送風機構による冷却度合いの均等化を図ることができない。よって、少なくとも断熱効果を向上させるために、台座部119を設け、電池111の端面から凹部116に対応する外向き凸部までの距離D2を長くしている。
【0037】
これに対し、本実施形態に係る拘束プレート1では、凹部16内の内部空間17の空気層が断熱層となり、且つ、内部空間17a~17fの空気層の体積が上述したように異なるように構成されている。即ち、内部空間17a~17fの空気層が、発熱量が多い中央側のセル11b~11eより発熱量が少ない外側のセル11a,11fで大きい断熱効果を有するように構成されている。よって、本実施形態では、セル間での冷却の均等化が図られる。
【0038】
さらに、拘束プレート1は、このような均等化が可能な構成を採用することにより、拘束プレート1における電池11の端面から凹部16に対応する外向き凸部までの距離D1を、比較例の距離D2より短くすることができる。
【0039】
また、冷却性能は、内部空間17の大きさ(空気層の大きさ)が大きい程、向上させることができる。また、凹部16と突起部14との当接面積を大きくする程、当接部分による熱伝導性の向上により、冷却性能も向上させることができる。
【0040】
よって、図1で例示するように、内部空間17の体積は、セル配列方向において外側(端)から中央に向かう程、小さくなっていることが好ましい。図1では、特に突起部14がセル配列方向において外側から中央へ向かう程、外形(外形のサイズ)が大きくなるように形成されている例を挙げている。また、図1の例は、突起部14がセル配列方向において外側から中央へ向かう程、鋼板15との当接面積が大きくなるように形成されている例でもある。このように、突起部14は、セル配列方向において外側から中央へ向かう程、外形が大きくなるように形成されていることができ、或いは鋼板15との当接面積が大きくなるように形成されていることができ、或いはその双方を満たすように形成されることができる。
【0041】
(実施形態2)
実施形態2について、図4図6を参照しながら実施形態1との相違点を中心に説明するが、実施形態1で説明した様々な例が適用できる。図4は、実施形態2に係る拘束プレートの一構成例を概略的に示す分解斜視図である。図5は、図4の拘束プレートにおける突起部による熱伝導について説明するための断面図で、図4のV-V方向から見た断面図である。図6は、図1の拘束プレートにおける突起部による熱伝導について説明するための断面図である。
【0042】
図4で例示するように、本実施形態に係る拘束プレート2は、樹脂板23及び鋼板25を備える。樹脂板23、鋼板25はそれぞれ、樹脂板13、鋼板15の変形例である。樹脂板23ははしご形状の突起部24(24a~24f)を有し、鋼板25は矩形状の溝のような外向き凸部26(26a~26f)を有している。
【0043】
外向き凸部26はそれに対応する形状の凹部を反対側(樹脂板23に当接する側)に有しており、ここでは、外側から説明する便宜上、凹部についてそれに対応する外向き凸部で説明している。図5で例示するように、突起部24cと外向き凸部26cに対応する凹部とで形成される内部空間27cは、はしご形状の凹部も含むことになる。他の内部空間27についても同様である。
【0044】
そして、拘束プレート2では、共通サイズの突起部24を有するが、最も外側に位置する凹部(それに対応するサイズの両端の外向き凸部26a,26f)を、中央側の凹部(それに対応するサイズの外向き凸部26b~26e)より大きくしている。本実施形態では、これにより、内部空間の体積についての実施形態1で説明した条件を満たすようにしている。
【0045】
また、拘束プレート2は、電池21が複数積層された電池群の一端に配置される。電池積層体3は、拘束プレート2とその電池群とを含むことができ、その電池群の一端に拘束プレート2を当接させ、他端に他の部材を当接させて、それらの間を複数の橋架部材で橋架し、電池群を挟んだ状態でその両端から拘束して構成することができる。上記他の部材としては、一般的に拘束プレート2が用いられるがこれに限ったものではない。なお、図1で説明した拘束プレート1も図4で図示したような構成で電池群を拘束することができる。
【0046】
また、電池群を拘束プレート2で拘束するに際し、その拘束位置により、鋼板25及び樹脂板23の変形は、両端固定変形をする領域(両持ち領域)と片持ち梁変形をする領域(片持ち領域)とに、分別されることになり、後者の領域の方が変形し易い。しかし、本実施形態では、電池最外セルの外向き凸部26a,26fの幅を中央側の外向き凸部26b~26eの幅より太くして強度を上げている。また、外向き凸部26a,26bの間及び外向き凸部26f,26eの間の拘持位置29において、上端及び下端の各端につき2本の橋架部材(図示せず)を取り付けて、電池群を拘持することができる。ここで、上記2本の橋架部材の配列方向はセル配列方向と同方向とすることができるが、セル配列方向に垂直な方向に別途複数の橋架部材を設けることもできる。
【0047】
このような強度の向上により、拘持位置29に橋架部材を取り付けて電池群を拘持した場合でも、それらの橋架部材間に対応する両持ち領域に比べて、変形量が大きくなる片持ち領域の変形を抑制することができる。
【0048】
また、図4及び図5に示すように、突起部24cは、セル配列方向の断面形状が複数に分かれているように形成しておくことが好ましい。つまり、この断面には空間が含まれることになる。図5では、はしご形状の突起部24cについて図示しているが他の突起部24についても同様である。なお、図5における台座部22は、図1の台座部12をより密に設けた例を挙げている。
【0049】
このような構成の効果について説明する。まず、図6において矢印で熱伝導の様子を示すように、拘束プレート1では、セル11cの電極群の熱源11caから1本の突起部14cに集約されて熱が伝導されることになる。これに対し、図5において矢印で熱伝導の様子を示すように、突起部24cを複数本(この例では2本)で構成することで、セル21cの電極群の熱源21caから突起部24cに熱が伝導し易くなり、電極群のどの位置からでも熱移動を均一化することができる。
【0050】
(実施形態3)
実施形態3について、図7図9を参照しながら、実施形態1,2との相違点を中心に説明するが、実施形態1,2で説明した様々な例が適用できる。図7は、実施形態3に係る拘束プレートで使用される樹脂板の一構成例を示す斜視図で、図8は、実施形態3に係る拘束プレートの一構成例を、図7のVIII-VIII方向から見た断面図である。図9は、図8の拘束プレートの側面図である。
【0051】
図7図9に示すように、本実施形態に係る拘束プレート4は、樹脂板43及び鋼板45を備える。樹脂板43、鋼板45はそれぞれ、樹脂板23、鋼板25の変形例である。樹脂板43ははしご形状の突起部44(44a,44b,44c,・・・)を有し、鋼板45は各突起部44に対応する矩形状の溝のような外向き凸部46(46a,・・・)を有している。外向き凸部46はそれに対応する形状の凹部を反対側(樹脂板43に当接する側)に有している。突起部44aと外向き凸部46aに対応する凹部とで形成される内部空間47aは、はしご形状の凹部も含むことになる。他の内部空間47についても同様である。
【0052】
そして、拘束プレート4では、最も外側の突起部44aの幅Waが中央側の突起部44bの幅Wbや突起部44cの幅より大きく形成されている。さらに、拘束プレート4では、図9に示すように、最も外側に位置する凹部(それに対応するサイズの両端の外向き凸部46a,46f)の幅W1が中央側の凹部(それに対応するサイズの外向き凸部46b~46e)の幅W2,W3より大きく形成されている。ここで、W2≧W3としておくことができる。
【0053】
さらに、これらの条件だけでは、内部空間47の体積についての実施形態1で説明した条件(外側の突起部44aに対応する内部空間の体積が中央側の突起部44b等に対応する内部空間の体積より大きいという条件)を満たさない場合がある。よって、この条件を満たすように、最も外側の突起部44aの縦方向の長さLaが中央側の突起部44bの長さLbや突起部44cの長さより小さく形成されている。図7では、突起部44aと突起部44b,44cとの高さが同じで、外向き凸部46aに対応する凹部の深さと外向き凸部46b,46cに対応する凹部の深さとが同じである例を挙げている。
【0054】
但し、外側の突起部44aにおける体積が中央側の突起部44bや突起部44cにおける体積より小さければ、幅Waが幅Wbより大きく且つ幅W1が幅W2より大きく形成されていても実施形態1で説明した条件を満たすことができる。外側の突起部44aは、中央側の突起部44b,44cよりその体積を小さくしておけば、W1>W2の場合にも、対応する内部空間47を大きくすること、及び/又は、対応する鋼板45の凹部との当接面積を小さくすることが可能である。
【0055】
これにより、外向き凸部46a,46fの幅W1を中央側の外向き凸部46b~46eの幅W2,W3より太くして強度を上げるといった効果と、冷却性能を向上させるといった効果を両立させることができる。
【0056】
また、実施形態2で説明したように、拘束プレート4は、拘持位置29に対応する拘持位置49において、複数本(図9では上端及び下端の各端につき2本ずつで例示)の橋架部材50が取り付け可能となっている。橋架部材50は、図8及び図9の例からも分かるように、鋼板45の拘持位置49において、樹脂板43及び電池群を拘持するように設置することができる。橋架部材50は、例えば、棒状又は長板状の部材と、その電池群の積層長さに対応する長さを拘持位置49付近で短くするように締め付けるナットのような締結部材と、で構成することができる。ここでも、上記複数本の橋架部材50(各端の複数の橋架部材50)の配列方向は、図9に示すようにセル配列方向と同方向とすることができるが、セル配列方向に垂直な方向に別途複数の橋架部材を設けることもできる。
【0057】
また、図8で一つのセル41aについて例示するように、セル41aは電極群41aeを内蔵するとともに空間41as等を設けておくことができる。この場合、拘束プレート4における中心線C1で示す中心(つまり電池の高さ)は、電極群41aeにおける中心線C2で示す中心とずれることになる。
【0058】
このような構成を採用する場合、突起部44aは、セル41aの電極群41aeの中央(中心線C2)に対称になるように配設されることが好ましい。さらに、突起部44aは、電池の外形の中央に重なるように、つまり電池の外形規格の中央部に突起が重なるように配設されることができる。
【0059】
このように、突起部44aを電極群41aeの中央に対して対称に配置することで、突起部44aによるセル41aの電極群41aeからの放熱量を均等化することができる。また、突起部44aにおける突起を電池の外形規格の中央部とラップさせるように設定しておくことで、電池内圧による膨脹を抑制することができる。なお、このような配置は、突起部44a以外の突起部44についても同様であり、また、実施形態1,2でも適用することができる。また、中心線C1と中心線C2とが一致する場合でも同様の配置を適用しておくことで、同様の効果を奏する。
【0060】
(他の実施形態等)
なお、本発明は上記実施形態1~3に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。また、本発明は、それぞれの実施形態を適宜組み合わせて実施されてもよい。例えば、実施形態1~3における各部材の形状は、例示したものに限らない。また、例えば、図9に示す拘束プレート4において、各突起部のサイズを全て共通にするように構成することもでき、これにより、少なくとも強化の目的を達成することができる。
【符号の説明】
【0061】
1、2、4 拘束プレート
3 電池積層体
11、21 電池
11a、11b、11c、11d、11e、11f、21c、41a セル
11ca、21ca 熱源
12 台座部
13、23、43 樹脂板
14(14a、14b、14c、14d、14e、14f)、24(24a、24b、24c、24d、24e、24f)、44(44a、44b、44c) 突起部
15、25、45 鋼板
16(16a、16b、16c、16d、16e、16f)、26(26a、26b、26c、26d、26e、26f)、46(46a、46b、46c、46d、46e、46f 凹部(外向き凸部)
17(17a、17b、17c、17d、17e、17f)、27(27c)、47(47a) 内部空間
18 空気層
29、49 拘持位置
41ae 電極群
41as 空間
50 橋架部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9