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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-02
(45)【発行日】2022-12-12
(54)【発明の名称】信号処理装置および方法
(51)【国際特許分類】
   H04B 1/59 20060101AFI20221205BHJP
   H04L 9/16 20060101ALI20221205BHJP
【FI】
H04B1/59
H04L9/16
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2019509241
(86)(22)【出願日】2018-03-15
(86)【国際出願番号】 JP2018010163
(87)【国際公開番号】W WO2018180529
(87)【国際公開日】2018-10-04
【審査請求日】2021-02-02
(31)【優先権主張番号】P 2017062307
(32)【優先日】2017-03-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】316005926
【氏名又は名称】ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121131
【弁理士】
【氏名又は名称】西川 孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082131
【弁理士】
【氏名又は名称】稲本 義雄
(74)【代理人】
【識別番号】100168686
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 勇介
(72)【発明者】
【氏名】藤木 敏宏
【審査官】安藤 一道
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-005651(JP,A)
【文献】特開2009-010933(JP,A)
【文献】特開2008-079057(JP,A)
【文献】特開平01-248722(JP,A)
【文献】国際公開第2011/074082(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 1/59
H04L 9/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空中線電力の計測期間を複数に分割した部分区間毎の空中線電力の変化に基づいて、空中線電力の変調を検出する検出部と、
前記検出部が前記空中線電力の変調を検出したか否かを識別する識別情報を設定する処理部と、
ペイロードと前記識別情報とを含む信号を送信する送信部と
を備える信号処理装置。
【請求項2】
前記検出部は、前記部分区間毎の空中線電力の電力値の変化に基づいて、空中線電力の変調を検出する
請求項1に記載の信号処理装置。
【請求項3】
前記検出部は、前記部分区間毎の空中線電力の電力値の変化のパタンに基づいて、空中線電力の変調を検出する
請求項2に記載の信号処理装置。
【請求項4】
前記検出部は、前記部分区間毎の空中線電力の位相の変化に基づいて、空中線電力の変調を検出する
請求項1に記載の信号処理装置。
【請求項5】
前記処理部は、前記検出部により空中線電力の変調が検出された場合、
前記識別情報の値を、前記空中線電力の前記変調が検出されたことを示す値に設定し、
前記識別情報送信後の所定のタイミングにおいて、前記ペイロードの暗号化に用いられる暗号鍵を更新し、
前記送信部は、前記ペイロードと前記処理部により設定された前記識別情報とを含む信号を送信する
請求項1に記載の信号処理装置。
【請求項6】
前記処理部は、所定の期間内に空中線電力の変調が検出されなかったことが所定回数発生した場合、前記送信部を制御し、前記ペイロードの送信を停止させる
請求項1に記載の信号処理装置。
【請求項7】
前記処理部は、前記検出部により空中線電力の変調が検出された場合、変調された空中線電力に含まれる、前記ペイロードの暗号化に用いられる暗号鍵の情報を取得する
請求項1に記載の信号処理装置。
【請求項8】
前記検出部は、前記送信部が信号送信に用いる周波数帯域の利用状況を確認するキャリアセンス区間を複数に分割した部分区間毎の空中線電力の変化に基づいて、空中線電力の変調を検出する
請求項1に記載の信号処理装置。
【請求項9】
空中線電力の計測期間を複数に分割した部分区間毎の空中線電力の変化に基づいて、空中線電力の変調を検出し、
前記空中線電力の変調を検出したか否かを識別する識別情報を設定し、
ペイロードと前記識別情報とを含む信号を送信する
信号処理方法。
【請求項10】
送信装置における空中線電力の計測期間を複数に分割した部分区間毎に空中線電力が変化するように、空中線電力を変調する電力変調部と、
前記送信装置から送信された信号を受信することにより、前記信号に含まれる、ペイロード、および、前記送信装置により空中線電力の変調が検出されたか否かを識別する識別情報を受信する受信部と
を備える信号処理装置。
【請求項11】
前記電力変調部は、前記部分区間毎に空中線電力の電力値を変化させる
請求項10に記載の信号処理装置。
【請求項12】
前記電力変調部は、前記部分区間毎空中線電力の電力値を所定のパタンで変化させる
請求項11に記載の信号処理装置。
【請求項13】
前記電力変調部は、前記部分区間毎に空中線電力の位相を変化させる
請求項10に記載の信号処理装置。
【請求項14】
前記受信部は、暗号鍵を用いて暗号化されたペイロードを復号し、受信した前記識別情報の値が前記送信装置により空中線電力の変調が検出されたことを示す値である場合、所定のタイミングにおいて前記暗号鍵を更新する
請求項10に記載の信号処理装置。
【請求項15】
前記受信部は、所定の期間内に前記送信装置により空中線電力の変調が検出されたことを示す値の前記識別情報を受信できなかったことが所定回数発生した場合、前記送信装置から送信された信号の受信を停止する
請求項10に記載の信号処理装置。
【請求項16】
送信装置における空中線電力の計測期間を複数に分割した部分区間毎に空中線電力が変化するように、空中線電力を変調し、
前記送信装置から送信された信号を受信することにより、前記信号に含まれる、ペイロード、および、前記送信装置により空中線電力の変調が検出されたか否かを識別する識別情報を受信する
信号処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、信号処理装置および方法に関し、特に、片方向通信を行う送信装置を制御することができるようにした信号処理装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、装置間で通信を行う通信システムにおいて、制御情報を送信することにより他の通信装置を制御する方法があった(例えば、特許文献1参照)。例えば、特許文献1には、鍵更新メッセージを送信することにより他の通信装置に暗号鍵を更新させる方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-10933号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、送信装置から受信装置への一方向のデータ伝送(片方向通信)を行うシステムの場合、送信装置は信号を受信する機能を備えていないため、制御情報を送信装置に送信する等して外部から送信装置を制御することが困難であった。
【0005】
本開示は、このような状況に鑑みてなされたものであり、片方向通信を行う送信装置を制御することができるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本技術の一側面の信号処理装置は、空中線電力の計測期間を複数に分割した部分区間毎の空中線電力の変化に基づいて、空中線電力の変調を検出する検出部と、前記検出部が前記空中線電力の変調を検出したか否かを識別する識別情報を設定する処理部と、ペイロードと前記識別情報とを含む信号を送信する送信部とを備える信号処理装置である。
【0008】
前記検出部は、前記部分区間毎の空中線電力の電力値の変化に基づいて、空中線電力の変調を検出することができる。
【0009】
前記検出部は、前記部分区間毎の空中線電力の電力値の変化のパタンに基づいて、空中線電力の変調を検出することができる。
【0010】
前記検出部は、前記部分区間毎の空中線電力の位相の変化に基づいて、空中線電力の変調を検出することができる。
【0012】
前記処理部は、前記検出部により空中線電力の変調が検出された場合、前記識別情報の値を、前記空中線電力の前記変調が検出されたことを示す値に設定し、前記識別情報送信後の所定のタイミングにおいて、前記ペイロードの暗号化に用いられる暗号鍵を更新し、前記送信部は、前記ペイロードと前記処理部により設定された前記識別情報とを含む信号を送信することができる。
【0013】
前記処理部は、所定の期間内に空中線電力の変調が検出されなかったことが所定回数発生した場合、前記送信部を制御し、前記ペイロードの送信を停止させることができる。
【0014】
前記処理部は、前記検出部により空中線電力の変調が検出された場合、変調された空中線電力に含まれる、前記ペイロードの暗号化に用いられる暗号鍵の情報を取得することができる。
【0015】
前記検出部は、前記送信部が信号送信に用いる周波数帯域の利用状況を確認するキャリアセンス区間を複数に分割した部分区間毎の空中線電力の変化に基づいて、空中線電力の変調を検出することができる。
【0016】
本技術の一側面の信号処理方法は、空中線電力の計測期間を複数に分割した部分区間毎の空中線電力の変化に基づいて、空中線電力の変調を検出し、前記空中線電力の変調を検出したか否かを識別する識別情報を設定し、ペイロードと前記識別情報とを含む信号を送信する信号処理方法である。
【0017】
本技術の他の側面の信号処理装置は、送信装置における空中線電力の計測期間を複数に分割した部分区間毎に空中線電力が変化するように、空中線電力を変調する電力変調部と、前記送信装置から送信された信号を受信することにより、前記信号に含まれる、ペイロード、および、前記送信装置により空中線電力の変調が検出されたか否かを識別する識別情報を受信する受信部とを備える信号処理装置である。
【0019】
前記電力変調部は、前記部分区間毎に空中線電力の電力値を変化させることができる。
【0020】
前記電力変調部は、前記部分区間毎の空中線電力の電力値を所定のパタンで変化させることができる。
【0021】
前記電力変調部は、前記部分区間毎に空中線電力の位相を変化させることができる。
【0023】
前記受信部は、暗号鍵を用いて暗号化されたペイロードを復号し、受信した前記識別情報の値が前記送信装置により空中線電力の変調が検出されたことを示す値である場合、所定のタイミングにおいて前記暗号鍵を更新することができる。
【0024】
前記受信部は、所定の期間内に前記送信装置により空中線電力の変調が検出されたことを示す値の前記識別情報を受信できなかったことが所定回数発生した場合、前記送信装置から送信された信号の受信を停止することができる。
【0025】
本技術の他の側面の信号処理方法は、送信装置における空中線電力の計測期間を複数に分割した部分区間毎に空中線電力が変化するように、空中線電力を変調し、前記送信装置から送信された信号を受信することにより、前記信号に含まれる、ペイロード、および、前記送信装置により空中線電力の変調が検出されたか否かを識別する識別情報を受信する信号処理方法である。
【0026】
本技術の一側面の信号処理装置および方法においては、空中線電力の計測期間を複数に分割した部分区間毎の空中線電力の変化に基づいて、空中線電力の変調が検出され、その空中線電力の変調を検出したか否かを識別する識別情報が設定され、ペイロードとその識別情報とを含む信号が送信される。
【0027】
本技術の他の側面の信号処理装置および方法においては、送信装置における空中線電力の計測期間を複数に分割した部分区間毎に空中線電力が変化するように、空中線電力が変調され、送信装置から送信された信号が受信されることにより、その信号に含まれる、ペイロード、および、その送信装置により空中線電力の変調が検出されたか否かを識別する識別情報が受信される。
【発明の効果】
【0028】
本技術によれば、信号を処理することが出来る。また本技術によれば、片方向通信を行う送信装置を制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】空中線電力の変調を用いた送信器制御の様子の例を説明する図である。
図2】空中線電力の変調を用いた暗号鍵更新の様子の例を説明する図である。
図3】空中線電力の変調の様子の例を説明する図である。
図4】空中線電力の変調の様子の例を説明する図である。
図5】位置通知システムの主な構成例を示す図である。
図6】高感度受信装置の主な構成例を示すブロック図である。
図7】送信装置の主な構成例を示すブロック図である。
図8】暗号鍵更新処理の流れの例を説明するフローチャートである。
図9】暗号鍵更新処理の流れの例を説明するフローチャートである。
図10】制御処理の流れの例を説明するフローチャートである。
図11】高感度受信装置の主な構成例を示すブロック図である。
図12】送信装置の主な構成例を示すブロック図である。
図13】盗難防止システムの主な構成例を示す図である。
図14】コンピュータの主な構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本開示を実施するための形態(以下実施の形態とする)について説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.空中線電力の変調を利用した情報伝送
2.第1の実施の形態(位置通知システム)
3.第2の実施の形態(DPSK変調)
4.その他
【0031】
<1.空中線電力の変調を利用した情報伝送>
<片方向通信の送信装置の制御>
従来、装置間で通信を行う通信システムにおいて、例えば、特許文献1に記載のように、鍵更新メッセージを送信することにより他の通信装置に暗号鍵を更新させる等、通信装置を外部から制御する方法が考えられた。
【0032】
しかしながら、送信装置から受信装置への一方向のデータ伝送(片方向通信)を行うシステムの場合、送信装置は信号を受信する機能を備えていないため、外部から制御情報等を送信して制御することができなかった。
【0033】
例えば、無線通信システムにおいては、一般的に、送信器と受信局との間で授受されるデータは、通信の盗聴や改竄の可能性を低減させるために、暗号化されることが求められる。また、通信の盗聴や改竄の可能性をさらに低減させるために、その暗号化に用いられる暗号鍵を変更可能とすることが望ましい。しかしながら、片方向通信を行なう送信器は、データ送信の方向が一方向(uplink)であるため、受信局からデータを受け取る(downlink)ことができない。したがって、このような送信器が有する暗号鍵を通信によって更新させることは困難であった。
【0034】
このような片方向通信の送信器が有する暗号鍵を更新するためには、例えば、USB(Universal Serial Bus)(登録商標)やbluetooth(登録商標)などの別規格の通信手段を用いることが考えられる。しかしながら、送信器が多数存在する場合、全ての送信器を1か所に集め無ければならず、煩雑な作業を必要とした。特に、IoT機器などでは使い捨てることが前提のものも多く、全ての送信器を回収することが困難であった。
【0035】
片方向通信において送信器の暗号鍵を更新する方法として、例えば送信器が日時時刻情報等を用いて定期的に暗号鍵を生成し、変更する方法が考えられる。しかしながらこの方法の場合、暗号鍵の生成規則を固定的にしなければならない。一般的に、暗号鍵の生成規則の漏洩を完全に防止することは困難であるので、この生成規則が固定的であると、漏洩後は秘密の暗号鍵を生成することが困難になる。さらに、この方法の場合、定期的に暗号鍵が更新されることから、その暗号鍵の更新タイミングが漏洩しやすい。したがって、仮に観測等によってその生成規則が漏洩した場合、いつ、どのように暗号鍵が生成されるのかが第3者にとって明らかとなり、通信の盗聴や改竄の可能性を低減させることが困難になるおそれがあった。
【0036】
また、無線通信システムにおいて、不要となった送信器からの送信を停止させることは、セキュリティ面だけでなく周波数帯域(リソース)の有効利用の観点からも重要である。例えば、管理されていない送信器からの信号は、脆弱性を有する可能性が高くなるため、盗聴や改竄の可能性が高くなる。さらに、その信号から通信の脆弱性を解析され、その無線通信システムの他の通信の盗聴や改竄に利用されるおそれもある。また、不要となった送信器からの信号送信は当然不要であるため、その信号によって帯域の使用率が不要に高くなってしまうおそれがあった。
【0037】
<空中線電力測定の利用>
そこで、受信装置において、空中線電力を変調するようにする。また、送信装置において、空中線電力の変調を検出し、空中線電力の変調の検出結果に基づいて所定の処理を行い、ペイロードを含む信号を送信するようにする。このようにすることにより、送信装置が有する空中線電力の測定機能を利用して、外部から送信装置に情報を供給することができる。つまり、信号の送信を必要とせずに、外部から送信装置に情報を供給することができる。したがって、送信装置が信号受信機能を有しない場合であっても、外部から送信装置を制御することができる。
【0038】
<キャリアセンスを利用した制御>
例えば、図1に示されるように、キャリアセンス機能を利用して外部から暗号鍵の更新を要求するようにしてもよい。キャリアセンスは、送信器1が送信を行なう周波数帯域に他の電波があるかどうかを判定し、ある一定の空中線電力レベルより低ければ送信可能と判断する機能である。この機能は、他の無線による通信を妨害しないことを確認するための手段であり、空中線電力測定だけが行なわれる。つまり、単純にキャリアセンスを行ってもデータビットを受信することはできない。
【0039】
送信器1は、キャリアセンス状態にして、周辺の空中線電力を監視する。受信局2は、送信器1がキャリアセンスを行なう周波数帯域に、他の通信の妨害波とならない程度の微弱な電力変調を与える。この電力変調は、特定のルールに基づいて行われる。また、電力変調を与えるタイミングも予め定められているものとする。送信器1および受信局2は、それらの情報を予め共有している。送信器1は、そのあらかじめ定められたタイミングにおいてキャリアセンスを行い、その特定のルールに基づいて電力変調を検出する。この変調の検出に成功した場合、送信器1は、受信局2からの所定の指示(命令)を受け付けたものとし、その指示に対応する処理を行う。この指示の内容は予め定められており、送信器1および受信局2でそれを共有している。つまり、送信器1は、予め定められた所定の処理を実行する。このようにすることにより、信号受信機能を有していない送信器1を、キャリアセンス機能を利用して、外部から制御することができる。
【0040】
<キャリアセンスを利用した暗号鍵更新>
このような方法を利用して、通信データの暗号化に用いられる暗号鍵の更新を、受信局2から送信器1に指示するようにしてもよい。その場合の例を図2に示す。この例では、1か月間を1つの区切りとして鍵更新命令の受信が行なわれている。
【0041】
まず、所定のルール(鍵更新命令検出のための疑似乱数列)と時刻(年月日時刻)を送信器1と受信局2との間であらかじめ取り決めておく。受信局2からは送信器1がキャリアセンスするタイミングで空中線電力を微小変調するための送信(downlink)を行なう。送信器1は、この鍵更新命令のための空中線電力微小変調を積算検出していく。送信器1は、積算値が一定の閾値を越えたら、送信するペイロードに用意したフィルアップ(fill-up)情報をセットし、それを受信局2に通知する(uplink)。
【0042】
このフィルアップ情報は、積算値が閾値に達した(受信局2からの指示を受け付けた)ことを示す情報であれば、どのような情報であってもよい。例えば、フィルアップ情報が、積算値が閾値に達したか否かを値によって示すフィルアップフラグ(fill-upフラグ)を含むようにしてもよい。なお、このフィルアップフラグを構成するビットをフィルアップビット(fill-upビット)とも称する。例えば、フィルアップ情報が、積算値が閾値に達していない場合に値「0」をとり、積算値が閾値に達した場合に値「1」をとる1ビットのフィルアップビットからなるフィルアップフラグにより構成されるようにしてもよい。
【0043】
受信局2は、ペイロードにフィルアップ情報がセットされたことにより鍵更新命令が送信器1に到達したと判断する。この状態になった後、予め取り決めていた時刻において、送信器1および受信局2の両方において、暗号鍵の更新を同時に行う。
【0044】
例えば、送信器1が、暦において月の最初の日から最終日まで、空中線電力微小変調を積算し、その積算値と閾値とを比較する。送信器1は、その比較結果に応じた値のフィルアップ情報を受信局2に送信する。つまり、その1ヶ月の間に積算値が閾値に達した場合、送信器1は、フィルアップ情報の値を更新して受信局2に送信する。受信局2は、そのフィルアップ情報に基づいて積算値が閾値に達したと判定される場合、月が変わる時刻に暗号鍵を更新する。それと同時に送信器1も暗号鍵を更新する。
【0045】
このようにすることにより、片方向通信を行う送信器1および受信局2において、キャリアセンス機能を利用して、ペイロードの暗号化に用いられる暗号鍵を更新することができる。
【0046】
<変調ルール>
図3は、受信局2における送信空中線電力の変調ルールを表している。所定の疑似乱数系列発生器から得られる乱数値をprbsと表す。例えば、受信局2は、図3のAの左側に示されるように、この乱数値prbs=‘0’の場合、空中線電力の測定期間(キャリアセンス区間とも称する)の前半よりも後半の方が空中線電力が高くなるような変調パタンで変調する。例えば、受信局2は、キャリアセンス区間の前半において、送信器1の周辺の空中線電力(の電力値)を微増させる変調信号を送信せず、キャリアセンス区間の後半において、その変調信号を送信する。このようにすることにより、受信局2は、送信器1周辺の空中線電力を、例えば図3のAの左側に示されるような波形に変調することができる。
【0047】
また、例えば、乱数値prbs=‘1’の場合、受信局2は、図3のAの右側に示されるように、空中線電力の測定期間(キャリアセンス区間とも称する)の前半よりも後半の方が空中線電力が低くなるような変調パタンで変調する。例えば、受信局2は、キャリアセンス区間の前半において、送信器1の周辺の空中線電力(の電力値)を微増させる変調信号を送信し、キャリアセンス区間の後半において、その変調信号の送信しない(送信を中止する)。このようにすることにより、受信局2は、送信器1周辺の空中線電力を、例えば図3のAの右側に示されるような波形に変調することができる。
【0048】
このような乱数値prbsと変調された空中線電力との関係を図3のBに示す。なお、このキャリアセンス区間の前半の電力値と後半の電力値との差は、他の通信に影響を与えない程十分に微小であるものとする。
【0049】
図4は、送信器1における空中線電力を示している。ここで送信器1は、鍵更新命令を検出するために、キャリアセンス期間の前半Aと後半Bで空中電力値をサンプリングし、その差分δ(=PB-PA)を計算する。もしδが正の値であれば判定値Δ=+1とし、負の値であればΔ=-1とする。また、送信器1は、受信局2の場合と同様に所定の疑似乱数系列の出力をprbsとすると、prbs=‘0’の場合、積算極性を正(加算)とし、prbs=‘1’の場合、積算極性を負(減算)として判定値Δを積算していく。
【0050】
図4のBおよび図4のCに、この積算の様子を表している。図4のBに示されるように、積算値は、電力測定回数が増大するごとに増大する。また、図4のCに示されるように、判定値Δと所定の疑似乱数系列とに関係性がある場合、大きな積算値を得られる。しかしながら、判定値のもとになる空中線電力差分δは小さく環境(天候、電離層など)の影響を受け、また他の無線が空中線電力に影響を与えるなどして、必ずしも正しくはならない。図4のCの演算例は誤りなく積算できることを示した表であり、実際には図4のBのように、積算過程が乱れる場合が多い。
【0051】
送信器1から送信されるペイロード(データ)には、予め設定した閾値を越えたかどうかを表すfill-upビットフィールド(フラグ)を用意しておく。送信器1は、積算値が閾値を越えた場合にfill-upフラグをセットし、予め定めた期間を積算した後にこれをクリアするとともに、積算器のリセットを行なう。もし複数回の積算トライアルに失敗した場合、送信器1は、送信を停止して、送信機能を無効化する。また1度でも積算トライアルに成功した場合、上述のとおり所定のタイミングで送信器1と受信局2における鍵更新を同時に行う。
【0052】
この積算トライアルを繰り返し、連続して所定の回数鍵更新信号の検出に失敗した場合、有効期限が切れたとみなす。具体的には、送信器1はその送信を停止し、受信局2はその送信器1が既に廃止されたものと考え、その送信器1に対する受信動作を以降行わないものとする。
【0053】
<他の送信器による空中線電力の影響>
なお、他の送信器1による空中線電力の影響はランダムである。また送信器1は、長期間(=大きな回数)積算するので、他の送信器1による影響を抑えることができる。また、長期間による「ゴミ」の積算の影響を低減するため、ある一定期間後に積算値がリセットされる(例えば積算値=0)ようにしてもよい。例えば、1分に1回積算検出するようにしてもよい。この場合、30日間で43200回の積算になる。また、30日以内に積算値が閾値を越えない場合、積算値をリセットして、次の30日でもう一度積算を行う。
【0054】
なお、積算値が閾値を越えない場合、送信器1側からのfill-upフラグが立たないため、受信局2の暗号鍵は更新されない(当然送信器1の暗号鍵も更新されない)。したがって、送信器1および受信局2の両方とも古い暗号鍵情報のままであるので、送信器1および受信局2間のデータ通信は継続することができる。
【0055】
<2.第1の実施の形態>
<位置通知システム>
次に本技術のより具体的な適用例について説明する。図5は、本技術を適用した信号送受信システムの一実施の形態である位置通知システムの主な構成例を示す図である。図5に示される位置通知システム100は、送信装置101が自身の位置を通知するシステムである。このシステムは、例えば、対象の位置の監視や管理に利用される。図5に示されるように位置通知システム100は、送信装置101、高感度受信装置102、サーバ104、端末装置105等のデバイスを有する。送信装置101、高感度受信装置102、サーバ104、および端末装置105の数は任意であり、それぞれ、複数であってもよい。
【0056】
送信装置101は、本技術を適用した送信装置の一実施の形態であり、例えば自身を識別する識別情報や自身の位置を示す位置情報等を、無線信号として送信する。高感度受信装置102は、本技術を適用した受信装置の一実施の形態であり、その無線信号を受信して送信装置101の識別情報や位置情報等を取得し、それらを、ネットワーク103を介してサーバ104に供給する。つまり、高感度受信装置102は、送信装置101から送信された情報を中継してサーバ104に伝送する中継局として機能する。サーバ104は、識別情報に位置情報を紐づけして管理することにより、各送信装置101の位置を管理する。送信装置101の位置を知りたいユーザに操作される端末装置105は、ネットワーク103を介してサーバ104にアクセスし、所望の送信装置101の識別情報を供給してその位置情報を要求する。サーバ104は、要求された識別情報に対応する位置情報を端末装置105に供給する。端末装置105は、その位置情報を取得し、例えば地図データ等とともに表示する等して、ユーザに送信装置101の位置を通知する。
【0057】
このような送信装置101を、位置を監視(管理)したい対象により携帯(所持や装着等を含む)させることにより、サーバ104は、間接的にその位置監視(管理)対象の位置を管理することができる。図1の例では、ユーザが高齢者111を位置監視の対象としており、その高齢者111に送信装置101を携帯させている。上述のように、送信装置101の位置はサーバ104により管理され、端末装置105に提供される。したがって、ユーザは、端末装置105を操作して、その送信装置101を携帯している高齢者111の位置を把握することができる。
【0058】
なお、位置監視対象は、任意である。例えば、子供であってもよいし、犬や猫等の動物であってもよいし、企業の社員等であってもよい。送信装置101は、専用の装置として構成されるようにしてもよいが、例えば、携帯電話機やスマートフォンのような携帯型の情報処理装置に組み込むようにしてもよい。
【0059】
送信装置101の位置情報は、送信装置101の位置を示すものであればどのような情報であってもよく、どのように生成されるようにしてもよい。例えば、送信装置101が、GNSS(Global Navigation Satellite System)衛星からGNSS信号を受信し、そのGNSS信号に基づいて自身の位置情報(例えば、緯度および経度)を求めるようにしてもよい。また、例えば、送信装置101がGNSS以外の専用の位置特定システムを用いて自身の位置を特定するようにしてもよい。
【0060】
さらに、この位置情報は、例えば高感度受信装置102、サーバ104、または別途設けられた専用の情報処理装置(サーバ等)等のような、送信装置101以外の他の装置において生成されるようにしてもよい。例えば、送信装置101が受信したGNSS信号を他の装置に供給し、他の装置がそのGNSS信号から送信装置101の位置情報を求めるようにしてもよい。また、例えば、送信装置101がGNSS以外の専用の位置特定システムを用いて得られた情報を他の装置に供給し、他の装置がその情報に基づいて送信装置101の位置情報を求めるようにしてもよい。
【0061】
また、例えば、他の装置が、送信装置101と高感度受信装置102との通信状況に基づいて送信装置101の位置情報を求めるようにしてもよい。例えば、送信装置101からの信号を受信した高感度受信装置102を特定することにより、送信装置101がその高感度受信装置102の通信可能範囲内に位置することを特定するようにしてもよい。さらに、その高感度受信装置102が受信した受信信号の信号強度や遅延時間等に基づいて、送信装置101のさらに詳細な位置情報を求めるようにしてもよい。また、例えば、送信装置101からの信号を受信した複数の高感度受信装置102の位置情報を用いて三角法等により送信装置101の位置情報を求めるようにしてもよい。
【0062】
高感度受信装置102の設置位置は任意である。例えば、ビル、マンション、家屋等の建造物112の屋根や屋上等でもよい。建造物112は、送信装置101を携帯する位置監視対象(例えば高齢者111)が活動する可能性が高い都市部に数も多く、また、設置も容易であるので、好適である。特に、位置監視対象が人の場合、その位置監視対象の自宅は、その周辺に位置監視対象が位置する可能性がより高く、好適である。また、設置場所の確保という面についても、この位置通知サービス提供事業者が独自に場所を確保して高感度受信装置102を設置する場合よりも、同意を得やすく容易である。
【0063】
なお、高感度受信装置102の設置場所は、この他にも例えば、自動車、バイク、自転車等の移動可能な物体(移動体とも称する)に設置するようにしてもよい。つまり、高感度受信装置102の位置が可変であってもよい。
【0064】
ネットワーク103は、任意の通信網であり、有線通信の通信網であってもよいし、無線通信の通信網であってもよいし、それらの両方により構成されるようにしてもよい。また、ネットワーク103が、1の通信網により構成されるようにしてもよいし、複数の通信網により構成されるようにしてもよい。例えば、インターネット、公衆電話回線網、所謂3G回線や4G回線等の無線移動体用の広域通信網、WAN(Wide Area Network)、LAN(Local Area Network)、Bluetooth(登録商標)規格に準拠した通信を行う無線通信網、NFC(Near Field Communication)等の近距離無線通信の通信路、赤外線通信の通信路、HDMI(登録商標)(High-Definition Multimedia Interface)やUSB(Universal Serial Bus)等の規格に準拠した有線通信の通信網等、任意の通信規格の通信網や通信路がネットワーク103に含まれるようにしてもよい。
【0065】
サーバ104や端末装置105は、情報を処理する情報処理装置である。サーバ104や端末装置105は、ネットワーク103に通信可能に接続されており、このネットワーク103を介してネットワーク103に接続される他の通信装置と通信を行い、情報を授受することができる。
【0066】
サーバ104は、送信装置101の位置を管理する。また、サーバ104は、送信装置101の位置情報の提供を許可するユーザも管理することができる。例えば、サーバ104は、各送信装置101の位置情報を、その送信装置101の位置情報の取得が許可されたユーザに対してのみ提供するようにすることができる。
【0067】
上述のように、送信装置101から提供される情報が高感度受信装置102により中継されてサーバ104に供給されることにより、サーバ104は、送信装置101の位置を管理する。つまり、送信装置101が、いずれかの高感度受信装置102の通信可能範囲内に位置する状態において、サーバ104は、その送信装置101の位置を管理することができる。換言するに、送信装置101の位置が、いずれの高感度受信装置102の通信可能範囲からも外れると、サーバ104は、その位置を管理することができなくなる。したがって、高感度受信装置102の送信装置101との通信可能範囲網がより広範囲になる程、サーバ104は、送信装置101の位置をより正確に管理することができる。
【0068】
ここで、より正確な管理とは、より広範囲において送信装置101の位置を管理する(つまり、送信装置101の位置の管理が不可能な領域を少なくする)ことを意味する。送信装置101の位置を管理可能な範囲をより広範囲とするためには、送信装置101と高感度受信装置102とがより遠くまで無線信号を送受信することができる程(各高感度受信装置102の通信可能範囲がより広い程)好ましい。送信装置101と高感度受信装置102との間の無線信号の送受信の方法は任意であり、どのような通信規格に準拠するようにしてもよいが、例えば、925MHzを含む周波数帯(920MHz帯とも称する)を用いて、長距離の通信が可能な方法で行われるようにしてもよい。
【0069】
例えば、送信装置101が無線信号を送信する時刻や周波数が既知(高感度受信装置102が知っている)であれば、高感度受信装置102は、その既知の時刻および周波数において無線信号の検出を行えば良いので、検出がより容易になる。したがって、受信感度を向上させることができる。つまり、高感度受信装置102の通信可能範囲をより拡大させることができる。
【0070】
<高感度受信装置の構成>
図6は、本技術を適用した信号処理装置の一実施の形態である高感度受信装置102の主な構成例を示すブロック図である。図6に示されるように、高感度受信装置102は、アンテナ151、増幅部152、復調部153、誤り訂正部154(FEC(Forward Error Correction))、および、CPU(Central Processing Unit)155を有する。
【0071】
アンテナ151は、送信装置101から送信された信号の受信に利用される。増幅部152は、アンテナ151を介して受信された受信信号を増幅し、復調部153に供給する。増幅部152は、任意の構成により実現することができる。例えば、増幅部152が、回路、LSI(Large Scale Integration)、システムLSI、プロセッサ、モジュール、ユニット、セット、デバイス、装置、またはシステム等により構成されるようにしてもよい。また、それらを複数組み合わせるようにしてもよい。その際、例えば、複数の回路、複数のプロセッサ等のように同じ種類の構成を組み合わせるようにしてもよいし、回路とLSI等のように異なる種類の構成を組み合わせるようにしてもよい。例えば、増幅部152が、オペアンプ等により構成されるようにしてもよい。
【0072】
復調部153は、受信信号の復調に関する処理を行う。例えば、復調部153は、増幅部152より供給された信号を、送信側において行われた変調に対応する所定の方法で復調し、得られたデータ(送信装置101から送信されたデータ)を誤り訂正部154に供給する。復調部153は、任意の構成により実現することができる。例えば、復調部153が、回路、LSI、システムLSI、プロセッサ、モジュール、ユニット、セット、デバイス、装置、またはシステム等により構成されるようにしてもよい。また、それらを複数組み合わせるようにしてもよい。その際、例えば、複数の回路、複数のプロセッサ等のように同じ種類の構成を組み合わせるようにしてもよいし、回路とLSI等のように異なる種類の構成を組み合わせるようにしてもよい。例えば、復調部153が、CPUとメモリを有し、CPUがメモリを用いてプログラムを実行することにより、上述の処理を行うようにしてもよい。
【0073】
誤り訂正部154は、誤り訂正(FEC)に関する処理を行う。例えば、誤り訂正部154は、復調部153から供給されたデータに対して誤り訂正を行い、エラーを検出して訂正し、誤り訂正されたデータをCPU155に供給する。誤り訂正部154は、任意の構成により実現することができる。例えば、誤り訂正部154が、回路、LSI、システムLSI、プロセッサ、モジュール、ユニット、セット、デバイス、装置、またはシステム等により構成されるようにしてもよい。また、それらを複数組み合わせるようにしてもよい。その際、例えば、複数の回路、複数のプロセッサ等のように同じ種類の構成を組み合わせるようにしてもよいし、回路とLSI等のように異なる種類の構成を組み合わせるようにしてもよい。例えば、誤り訂正部154が、CPUとメモリを有し、CPUがメモリを用いてプログラムを実行することにより、上述の処理を行うようにしてもよい。
【0074】
CPU155は、任意の処理を行う。例えば、CPU155は、誤り訂正部154より供給されたデータに対する処理を行う。すなわち、CPU155は、アンテナ151乃至誤り訂正部154を介して信号を受信する受信部として機能する。例えば、CPU155は、送信装置101から送信された信号を受信することにより、その信号に含まれる、ペイロード、および、送信装置101により空中線電力の変調が検出されたか否かを識別する識別情報であるフィルアップ情報を受信する。
【0075】
また、例えば、CPU155は、所定の期間内に送信装置101により空中線電力の変調が検出されたことを示す値のフィルアップ情報を受信できなかったことが所定回数発生した場合、送信装置101から送信された信号の受信を停止する。
【0076】
また、例えば、ペイロードが暗号化されている場合、CPU155は、その暗号化されたペイロードを、暗号鍵を用いて復号する。この暗号鍵は、送信装置101がそのペイロードを暗号化する際に用いる暗号鍵に対応している。例えば、この暗号鍵は、送信装置101の暗号鍵と同一の暗号鍵(共通鍵)である。さらに、CPU155は、この暗号鍵を更新することもできる。例えば、CPU155は、フィルアップ情報の値が送信装置101により空中線電力の変調が検出されたことを示す値(例えば「1」)である場合、所定のタイミングにおいて暗号鍵を更新する。
【0077】
CPU155は、このような暗号鍵を用いることにより、その暗号化されたペイロードを正しく復号することができる。換言するに、ペイロードを正しく受け取るためには、送信装置101の暗号鍵と高感度受信装置102の暗号鍵とが正しく対応していなければならない。したがって、送信装置101の暗号鍵を更新する場合、高感度受信装置102の暗号鍵も同時に更新しなければならない。そして、勿論、更新後も、両者の暗号鍵が正しく対応している必要がある。つまり、両者の暗号鍵の更新は、同一のタイミングにおいて同様の手法で行われる必要がある。つまり、送信装置101と高感度受信装置102の両方において、互いに同一のタイミングにおいて互いに同様の手法で新たな暗号鍵を生成し、古い暗号鍵と置き換える必要がある。
【0078】
暗号鍵の生成規則が漏洩する可能性があることを想定すると、暗号鍵の更新タイミングは不定期である方が、通信の盗聴や改竄の可能性を低減させることができる。両者の暗号鍵の更新タイミングを揃えつつ、かつ、不定期とするためには、様々な手法が考えられるが、少なくとも、送信装置101と高感度受信装置102との間で、更新が可能である旨を通知し合うことができる必要がある。例えば、高感度受信装置102から送信装置101に対して暗号鍵の更新を要求(指示)し、送信装置101がその要求(指示)に対して応答することにより、送信装置101はその要求(指示)に基づいて高感度受信装置102が暗号鍵を更新することができる状態にあることを確認することができ、高感度受信装置102はその応答に基づいて送信装置101が暗号鍵を更新することができる状態にあることを確認することができる。
【0079】
しかしながら、送信装置101と高感度受信装置102との通信は片方向通信であり、送信装置101は信号受信機能を有していないので、通信によって高感度受信装置102から送信装置101に暗号鍵の更新を要求(指示)することができない。そこで、高感度受信装置102は、空中線電力を変調することにより、暗号鍵の更新を要求(指示)する。
【0080】
そのために、高感度受信装置102は、電力変調部156-1、電力変調部156-2、および電力変調部156-3を有する。電力変調部156-1、電力変調部156-2、および電力変調部156-3は互いに同様の構成を有し、同様の処理を行う処理部である。これらを互いに区別して説明する必要がない場合、電力変調部156と称する。
【0081】
電力変調部156は、高感度受信装置102が信号受信を行う周波数帯域において、空中線電力を変調する。各電力変調部156は、その周波数帯域の互いに異なるチャンネルにおいて、空中線電力を変調する。例えば、電力変調部156は、送信装置101における空中線電力の計測期間を複数に分割した部分区間毎に空中線電力が変化するように、空中線電力を変調する。例えば、電力変調部156は、その部分区間毎に空中線電力の電力値を変化させる。例えば、電力変調部156は、その部分区間毎の空中線電力の電力値を所定のパタンで変化させる。例えば、電力変調部156は、連続する部分区間同士の空中線電力の電力値の差分値の極性を所定のパタンで変化させる。例えば、電力変調部156は、その計測期間を2回以上含む期間、空中線電力を変調する。例えば、電力変調部156は、送信装置101における空中線電力の計測期間内に送信装置101周辺の空中線電力の電力値が変化するように、空中線電力を変調する。
【0082】
なお、図6においては、3つの電力変調部156(電力変調部156-1、電力変調部156-2、および電力変調部156-3)が示されているが、この電力変調部156の数は任意である。例えば、信号受信が行われる周波数帯域の全てのチャンネルに1つずつ電力変調部156が設けられるようにしてもよい。
【0083】
電力変調部156は、任意の構成により実現することができる。例えば、電力変調部156が、回路、LSI、システムLSI、プロセッサ、モジュール、ユニット、セット、デバイス、装置、またはシステム等により構成されるようにしてもよい。また、それらを複数組み合わせるようにしてもよい。その際、例えば、複数の回路、複数のプロセッサ等のように同じ種類の構成を組み合わせるようにしてもよいし、回路とLSI等のように異なる種類の構成を組み合わせるようにしてもよい。
【0084】
図6の例の場合、電力変調部156は、GNSS受信部161、疑似乱数発生部162、シングルキャリア変調部163、スイッチ164、増幅部165、およびアンテナ166を有する。
【0085】
GNSS受信部161は、GNSS衛星から送信されるGNSS信号を受信し、そのGNSS信号に含まれる、GNSS衛星において生成された時刻情報を抽出し、それを疑似乱数発生部162に供給する。GNSS受信部161は、任意の構成により実現することができる。例えば、GNSS受信部161が、回路、LSI、システムLSI、プロセッサ、モジュール、ユニット、セット、デバイス、装置、またはシステム等により構成されるようにしてもよい。また、それらを複数組み合わせるようにしてもよい。その際、例えば、複数の回路、複数のプロセッサ等のように同じ種類の構成を組み合わせるようにしてもよいし、回路とLSI等のように異なる種類の構成を組み合わせるようにしてもよい。例えば、GNSS受信部161が、アンテナ、受信回路、信号処理回路等により構成されるようにしてもよい。
【0086】
疑似乱数発生部162は、GNSS受信部161から供給される時刻情報に基づいて1ビットの疑似乱数を生成し、その疑似乱数をスイッチ164に供給する。疑似乱数発生部162は、任意の構成により実現することができる。例えば、疑似乱数発生部162が、回路、LSI、システムLSI、プロセッサ、モジュール、ユニット、セット、デバイス、装置、またはシステム等により構成されるようにしてもよい。また、それらを複数組み合わせるようにしてもよい。その際、例えば、複数の回路、複数のプロセッサ等のように同じ種類の構成を組み合わせるようにしてもよいし、回路とLSI等のように異なる種類の構成を組み合わせるようにしてもよい。例えば、疑似乱数発生部162が、CPUとメモリを有し、CPUがメモリを用いてプログラムを実行することにより、上述の処理を行うようにしてもよい。
【0087】
シングルキャリア変調部163は、空中線電力を変調する変調信号を生成する。つまり、シングルキャリア変調部163は、送信装置101周辺の空中線電力を微増させるような変調信号を生成する。シングルキャリア変調部163は、生成した変調信号をスイッチ164に供給する。シングルキャリア変調部163は、任意の構成により実現することができる。例えば、シングルキャリア変調部163が、回路、LSI、システムLSI、プロセッサ、モジュール、ユニット、セット、デバイス、装置、またはシステム等により構成されるようにしてもよい。また、それらを複数組み合わせるようにしてもよい。その際、例えば、複数の回路、複数のプロセッサ等のように同じ種類の構成を組み合わせるようにしてもよいし、回路とLSI等のように異なる種類の構成を組み合わせるようにしてもよい。例えば、シングルキャリア変調部163が、上述のように変調信号を生成する変調回路等により構成されるようにしてもよい。
【0088】
スイッチ164は、疑似乱数発生部162から供給される疑似乱数に基づいて、シングルキャリア変調部163から供給される変調信号の増幅部165への供給(つまり、変調信号の送信)を制御することにより、図3に示されるような変調パタンを生成する。例えば、疑似乱数(prbs)が「0」である場合、スイッチ164は、図3のAの左側に示されるように、キャリアセンス区間の前半において入出力間を切断して変調信号を送信しないようにし、キャリアセンス区間の後半において入出力間を接続して変調信号を送信するようにする。また、疑似乱数(prbs)が「1」である場合、スイッチ164は、図3のAの右側に示されるように、キャリアセンス区間の前半において入出力間を接続して変調信号を送信するようにし、キャリアセンス区間の後半において入出力間を切断して変調信号を送信しないようにする。つまり、スイッチ164により、変調パタンが決定され、キャリアセンス区間の前半の電力値と後半の電力値との差分値の極性が設定される。
【0089】
スイッチ164は、任意の構成により実現することができる。例えば、スイッチ164が、回路、LSI、システムLSI、プロセッサ、モジュール、ユニット、セット、デバイス、装置、またはシステム等により構成されるようにしてもよい。また、それらを複数組み合わせるようにしてもよい。その際、例えば、複数の回路、複数のプロセッサ等のように同じ種類の構成を組み合わせるようにしてもよいし、回路とLSI等のように異なる種類の構成を組み合わせるようにしてもよい。
【0090】
増幅部165は、スイッチ164から供給される変調信号を増幅し、その増幅した変調信号を、アンテナ166を介して無線信号として空中に送信する。つまり、増幅部165は、変調信号を送信する送信部として機能する。これにより、送信装置101の周辺の空中線電力が図4の例のように変調される。増幅部165は、任意の構成により実現することができる。例えば、増幅部165が、回路、LSI、システムLSI、プロセッサ、モジュール、ユニット、セット、デバイス、装置、またはシステム等により構成されるようにしてもよい。また、それらを複数組み合わせるようにしてもよい。その際、例えば、複数の回路、複数のプロセッサ等のように同じ種類の構成を組み合わせるようにしてもよいし、回路とLSI等のように異なる種類の構成を組み合わせるようにしてもよい。例えば、増幅部165が、オペアンプ等により構成されるようにしてもよい。
【0091】
高感度受信装置102は、以上のような構成の電力変調部156を用いて、信号受信に使用される周波数帯の全てのチャンネルについて、空中線電力を変調する。この変調は、送信装置101に対する暗号鍵更新の指示を意味しており、その旨は、送信装置101と高感度受信装置102とで予め共有している(既知である)。つまり、送信装置101は、この変調を検出することにより、高感度受信装置102からの指示、すなわち、暗号鍵の更新指示を受け付ける。
【0092】
つまり、以上のように、空中線電力を変調することにより、高感度受信装置102は、信号受信機能を有していない送信装置101に対して、暗号鍵の更新を指示することができる。
【0093】
<送信装置の構成>
図7は、本技術を適用した信号処理装置の一実施の形態である送信装置101の主な構成例を示すブロック図である。図7に示されるように、送信装置101は、送信データ生成部210、CPU211、メモリ212、符号化部213、変調部214、送信部215、増幅部216、アンテナ217、変調検出部218、および発振部219を有する。
【0094】
送信データ生成部210は、送信データの生成に関する処理を行う。送信データの内容は任意である。例えば、送信データ生成部210が、センサ等より得られたセンサデータを用いて、高感度受信装置102に送信する送信データを生成するようにしてもよい。また、例えば、送信データ生成部210が、受信されたGNSS信号を用いて送信データを生成するようにしてもよい。送信データ生成部210は、生成した送信データをCPU211に供給する。
【0095】
送信データ生成部210は、任意の構成により実現することができる。例えば、送信データ生成部210が、回路、LSI、システムLSI、プロセッサ、モジュール、ユニット、セット、デバイス、装置、またはシステム等により構成されるようにしてもよい。また、それらを複数組み合わせるようにしてもよい。その際、例えば、複数の回路、複数のプロセッサ等のように同じ種類の構成を組み合わせるようにしてもよいし、回路とLSI等のように異なる種類の構成を組み合わせるようにしてもよい。例えば、送信データ生成部210が、CPUとメモリを有し、CPUがメモリを用いてプログラムを実行することにより、上述の処理を行うようにしてもよい。
【0096】
CPU211は、送信データに関する処理を行う。例えば、CPU211は、送信データに関する処理として、キャリアセンス結果に基づく送信制御、送信データを用いたペイロードの生成、ペイロードの暗号化等の処理を行う。例えば、CPU211は、送信データを含むペイロードを生成し、ペイロードを暗号化し、フィルアップ情報を設定してペイロードに付加し、そのペイロードをメモリ212に供給する。また、CPU211は、空中線電力の変調の検出結果に基づいて所定の処理を行う。例えば、CPU211は、所定の処理として、ペイロードの暗号化に用いられる暗号鍵の生成・更新、フィルアップ情報の設定やペイロードへの付加、信号送信の停止等を行う。
【0097】
メモリ212は、CPU211から供給されるペイロードを記憶する。また、メモリ212は、記憶しているペイロードを、所定のタイミングにおいて、または、符号化部213の要求に基づいて、符号化部213に供給する。
【0098】
符号化部213は、そのペイロードを所定の方法で符号化し、変調部214に供給する。符号化部213は、任意の構成により実現することができる。例えば、符号化部213が、回路、LSI、システムLSI、プロセッサ、モジュール、ユニット、セット、デバイス、装置、またはシステム等により構成されるようにしてもよい。また、それらを複数組み合わせるようにしてもよい。その際、例えば、複数の回路、複数のプロセッサ等のように同じ種類の構成を組み合わせるようにしてもよいし、回路とLSI等のように異なる種類の構成を組み合わせるようにしてもよい。例えば、符号化部213が、CPUとメモリを有し、CPUがメモリを用いてプログラムを実行することにより、上述の処理を行うようにしてもよい。
【0099】
変調部214は、その符号化されたペイロードを所定の方法で変調し、送信部215に供給する。変調部214は、任意の構成により実現することができる。例えば、変調部214が、回路、LSI、システムLSI、プロセッサ、モジュール、ユニット、セット、デバイス、装置、またはシステム等により構成されるようにしてもよい。また、それらを複数組み合わせるようにしてもよい。その際、例えば、複数の回路、複数のプロセッサ等のように同じ種類の構成を組み合わせるようにしてもよいし、回路とLSI等のように異なる種類の構成を組み合わせるようにしてもよい。例えば、変調部214が、CPUとメモリを有し、CPUがメモリを用いてプログラムを実行することにより、上述の処理を行うようにしてもよい。
【0100】
送信部215は、発振部219から拒給されるキャリア信号に、変調部214から供給される信号(ペイロード)を乗算して送信信号を生成する。送信部215は、任意の構成により実現することができる。例えば、送信部215が、回路、LSI、システムLSI、プロセッサ、モジュール、ユニット、セット、デバイス、装置、またはシステム等により構成されるようにしてもよい。また、それらを複数組み合わせるようにしてもよい。その際、例えば、複数の回路、複数のプロセッサ等のように同じ種類の構成を組み合わせるようにしてもよいし、回路とLSI等のように異なる種類の構成を組み合わせるようにしてもよい。例えば、送信部215が、信号処理回路や送信回路等により構成されるようにしてもよい。
【0101】
増幅部216は、その送信信号を増幅する。増幅部216は、任意の構成により実現することができる。例えば、増幅部216が、回路、LSI、システムLSI、プロセッサ、モジュール、ユニット、セット、デバイス、装置、またはシステム等により構成されるようにしてもよい。また、それらを複数組み合わせるようにしてもよい。その際、例えば、複数の回路、複数のプロセッサ等のように同じ種類の構成を組み合わせるようにしてもよいし、回路とLSI等のように異なる種類の構成を組み合わせるようにしてもよい。例えば、増幅部216が、オペアンプ等により構成されるようにしてもよい。アンテナ217は、送信信号の送信に用いられる。送信部215は、生成した送信信号を、増幅部216およびアンテナ217を介して無線信号として送信する。
【0102】
変調検出部218は、信号送信に利用する周波数帯域の全てのチャンネルについてキャリアセンスを行う。また、変調検出部218は、そのキャリアセンスの際に受信した受信電力から、送信装置101周辺の空中線電力の変調を検出する。例えば、変調検出部218は、キャリアセンス区間(空中線電力の計測期間)を複数に分割した部分区間毎の空中線電力の変化に基づいて、空中線電力の変調を検出する。例えば、変調検出部218は、その部分区間毎の空中線電力の電力値の変化に基づいて、空中線電力の変調を検出する。例えば、変調検出部218は、その部分区間毎の空中線電力の電力値の変化のパタンに基づいて、空中線電力の変調を検出する。例えば、変調検出部218は、連続する部分区間同士の空中線電力の電力値の差分値の極性のパタンに基づいて、空中線電力の変調を検出する。例えば、変調検出部218は、その極性の積算値の大きさに基づいて、空中線電力の変調を検出する。例えば、変調検出部218は、キャリアセンス区間(空中線電力の計測期間)の前半の電力値と後半の電力値との差分値の極性の積算値の大きさに基づいて、空中線電力の変調を検出する。
【0103】
変調検出部218は、任意の構成により実現することができる。例えば、変調検出部218が、回路、LSI、システムLSI、プロセッサ、モジュール、ユニット、セット、デバイス、装置、またはシステム等により構成されるようにしてもよい。また、それらを複数組み合わせるようにしてもよい。その際、例えば、複数の回路、複数のプロセッサ等のように同じ種類の構成を組み合わせるようにしてもよいし、回路とLSI等のように異なる種類の構成を組み合わせるようにしてもよい。
【0104】
発振部219は、所定の周波数で発振し、その発振信号をキャリア信号として送信部215および変調検出部218(受信部232)に供給する。発振部219は、任意の構成により実現することができる。例えば、発振部219が、回路、LSI、システムLSI、プロセッサ、モジュール、ユニット、セット、デバイス、装置、またはシステム等により構成されるようにしてもよい。また、それらを複数組み合わせるようにしてもよい。その際、例えば、複数の回路、複数のプロセッサ等のように同じ種類の構成を組み合わせるようにしてもよいし、回路とLSI等のように異なる種類の構成を組み合わせるようにしてもよい。例えば、発振部219が、発振回路等により構成されるようにしてもよい。なお、この発振部219の発振方法は任意である。
【0105】
図7に示されるように、変調検出部218は、増幅部231、受信部232、フィルタ233、スイッチ234、A/D変換部235、A/D変換部236、加算部237、減算部238、符号比較部239、増幅部240、増幅部241、積算部243、閾値比較部244、GNSS受信部251、および疑似乱数発生部252を有する。
【0106】
GNSS受信部251は、GNSS衛星から送信されるGNSS信号を受信し、GNSS衛星が生成した時刻情報を抽出する。GNSS受信部251は、その時刻情報(GNSS時刻情報)をCPU211に供給する。CPU211は、そのGNSS時刻情報を用いて任意の処理を行うことができる。例えば、CPU211は、そのGNSS時刻情報を疑似乱数発生部252に供給する。また、GNSS受信部251は、その時刻情報(GNSS情報)を、例えば符号化部213、変調部214、送信部215、発振部219等、送信装置101内の任意の処理部に供給することができる。送信装置101内の各処理部は、例えば、そのGNSS情報に基づくタイミングで処理を行うことができる。これにより、各処理部は、より正確なタイミングで処理を行うことができる。
【0107】
GNSS受信部251は、任意の構成により実現することができる。例えば、GNSS受信部251が、回路、LSI、システムLSI、プロセッサ、モジュール、ユニット、セット、デバイス、装置、またはシステム等により構成されるようにしてもよい。また、それらを複数組み合わせるようにしてもよい。その際、例えば、複数の回路、複数のプロセッサ等のように同じ種類の構成を組み合わせるようにしてもよいし、回路とLSI等のように異なる種類の構成を組み合わせるようにしてもよい。例えば、GNSS受信部251が、アンテナ、受信回路、信号処理回路等により構成されるようにしてもよい。
【0108】
疑似乱数発生部252は、CPU211から供給されたGNSS時刻情報に基づいて、高感度受信装置102(疑似乱数発生部162)が生成する疑似乱数と同一の値の1ビットの疑似乱数(prbs)を生成する。疑似乱数発生部252は、生成した疑似乱数をスイッチ234に供給する。疑似乱数発生部252は、任意の構成により実現することができる。例えば、疑似乱数発生部252が、回路、LSI、システムLSI、プロセッサ、モジュール、ユニット、セット、デバイス、装置、またはシステム等により構成されるようにしてもよい。また、それらを複数組み合わせるようにしてもよい。その際、例えば、複数の回路、複数のプロセッサ等のように同じ種類の構成を組み合わせるようにしてもよいし、回路とLSI等のように異なる種類の構成を組み合わせるようにしてもよい。例えば、疑似乱数発生部252が、CPUとメモリを有し、CPUがメモリを用いてプログラムを実行することにより、上述の処理を行うようにしてもよい。
【0109】
増幅部231は、キャリアセンスの際に、アンテナ217を介して受信される受信電力を増幅し、受信部232に供給する。増幅部231は、任意の構成により実現することができる。例えば、増幅部231が、回路、LSI、システムLSI、プロセッサ、モジュール、ユニット、セット、デバイス、装置、またはシステム等により構成されるようにしてもよい。また、それらを複数組み合わせるようにしてもよい。その際、例えば、複数の回路、複数のプロセッサ等のように同じ種類の構成を組み合わせるようにしてもよいし、回路とLSI等のように異なる種類の構成を組み合わせるようにしてもよい。例えば、増幅部231が、オペアンプ等により構成されるようにしてもよい。
【0110】
受信部232は、キャリアセンスの際に、アンテナ217および増幅部231を介して、送信装置101周辺の空中線電力を受信する。受信部232は、発振部219から供給されるキャリア信号を用いて、信号送信に使用する周波数帯の各チャンネルについて、空中線電力を受信する。受信部232は、その受信電力をフィルタ233に供給する。受信部232は、任意の構成により実現することができる。例えば、受信部232が、回路、LSI、システムLSI、プロセッサ、モジュール、ユニット、セット、デバイス、装置、またはシステム等により構成されるようにしてもよい。また、それらを複数組み合わせるようにしてもよい。その際、例えば、複数の回路、複数のプロセッサ等のように同じ種類の構成を組み合わせるようにしてもよいし、回路とLSI等のように異なる種類の構成を組み合わせるようにしてもよい。例えば、受信部232が、信号処理回路や受信回路等により構成されるようにしてもよい。
【0111】
フィルタ233は、供給された受信電力に含まれる所望の周波数帯域の成分を抽出し、それをスイッチ234に供給する。フィルタ233は、任意の構成により実現することができる。例えば、フィルタ233が、回路、LSI、システムLSI、プロセッサ、モジュール、ユニット、セット、デバイス、装置、またはシステム等により構成されるようにしてもよい。また、それらを複数組み合わせるようにしてもよい。その際、例えば、複数の回路、複数のプロセッサ等のように同じ種類の構成を組み合わせるようにしてもよいし、回路とLSI等のように異なる種類の構成を組み合わせるようにしてもよい。例えば、フィルタ233が、バイパスフィルタ、ローパスフィルタ、またはハイパスフィルタ等の所定のフィルタ回路により構成されるようにしてもよい。また、例えば、フィルタ233が、CPUとメモリを有し、CPUがメモリを用いてプログラムを実行することにより、上述の処理を行うようにしてもよい。
【0112】
スイッチ234は、疑似乱数発生部252から供給される疑似乱数の値に応じて、供給された受信電力の供給先を切り替える。例えば、疑似乱数の値が「0」である場合、スイッチ234は、キャリアセンス区間の前半の受信電力をA/D変換部236に供給し、キャリアセンス区間の後半の受信電力をA/D変換部235に供給するように、受信電力の供給先を切り替える。また、例えば、疑似乱数の値が「1」である場合、スイッチ234は、キャリアセンス区間の前半の受信電力をA/D変換部235に供給し、キャリアセンス区間の後半の受信電力をA/D変換部236に供給するように、受信電力の供給先を切り替える。
【0113】
スイッチ234は、任意の構成により実現することができる。例えば、スイッチ234が、回路、LSI、システムLSI、プロセッサ、モジュール、ユニット、セット、デバイス、装置、またはシステム等により構成されるようにしてもよい。また、それらを複数組み合わせるようにしてもよい。その際、例えば、複数の回路、複数のプロセッサ等のように同じ種類の構成を組み合わせるようにしてもよいし、回路とLSI等のように異なる種類の構成を組み合わせるようにしてもよい。
【0114】
A/D変換部235およびA/D変換部236は、それぞれ、供給された受信電力をA/D変換してデジタルデータ化する。A/D変換部235およびA/D変換部236は、それぞれ、受信電力のデジタルデータを加算部237および減算部238に供給する。A/D変換部235およびA/D変換部236は、それぞれ、任意の構成により実現することができる。例えば、A/D変換部235およびA/D変換部236が、それぞれ、回路、LSI、システムLSI、プロセッサ、モジュール、ユニット、セット、デバイス、装置、またはシステム等により構成されるようにしてもよい。また、それらを複数組み合わせるようにしてもよい。その際、例えば、複数の回路、複数のプロセッサ等のように同じ種類の構成を組み合わせるようにしてもよいし、回路とLSI等のように異なる種類の構成を組み合わせるようにしてもよい。例えば、A/D変換部235およびA/D変換部236が、それぞれ、所定のA/D変換回路により構成されるようにしてもよいし、CPUとメモリを有し、CPUがメモリを用いてプログラムを実行することにより、上述の処理を行うようにしてもよい。
【0115】
加算部237は、A/D変換部235から供給される受信電力と、A/D変換部236から供給される受信電力とを加算する。つまり、加算部237は、キャリアセンス区間の前半の受信電力と後半の受信電力とを加算し、そのキャリアセンス区間全体の電力測定結果を得る。加算部237は、そのキャリアセンス区間全体の電力測定結果をCPU211に供給する。加算部237は、任意の構成により実現することができる。例えば、加算部237が、回路、LSI、システムLSI、プロセッサ、モジュール、ユニット、セット、デバイス、装置、またはシステム等により構成されるようにしてもよい。また、それらを複数組み合わせるようにしてもよい。その際、例えば、複数の回路、複数のプロセッサ等のように同じ種類の構成を組み合わせるようにしてもよいし、回路とLSI等のように異なる種類の構成を組み合わせるようにしてもよい。例えば、加算部237が、CPUとメモリを有し、CPUがメモリを用いてプログラムを実行することにより、上述の演算を行うようにしてもよい。
【0116】
CPU211は、このように加算部237から供給される各チャンネルの電力測定結果(キャリアセンスの結果)に基づいて、使用する周波数帯域が空いているか否かを判定し、空いていると判定した場合は、各処理部を制御して送信を開始させる。また、周波数帯域が空いていないと判定された場合は、CPU211は、各処理部を制御して信号を送信させないようにする。
【0117】
減算部238は、A/D変換部235から供給される受信電力の電力値と、A/D変換部236から供給される受信電力の電力値との差分値を算出する。
【0118】
上述のように、スイッチ234が疑似乱数の値に基づいて受信電力の供給先を切り替えるので、減算部238による減算の向きがその疑似乱数の値に応じて変化する。例えば、疑似乱数の値が「0」である場合、減算部238は、キャリアセンス区間の後半の受信電力の電力値からキャリアセンス区間の前半の受信電力の電力値を減算する。また、例えば、疑似乱数の値が「1」である場合、減算部238は、キャリアセンス区間の前半の受信電力の電力値からキャリアセンス区間の後半の受信電力の電力値を減算する。つまり、減算部238は、キャリアセンス区間の後半の受信電力の電力値からキャリアセンス区間の前半の受信電力の電力値を減算した差分値に、疑似乱数に応じた符号を乗算した値を算出する。例えば、疑似乱数の値が「0」の場合、キャリアセンス区間の後半の受信電力の電力値からキャリアセンス区間の前半の受信電力の電力値を減算した差分値に「+1」が乗算された値が得られる。また、例えば、疑似乱数の値が「1」の場合、キャリアセンス区間の後半の受信電力の電力値からキャリアセンス区間の前半の受信電力の電力値を減算した差分値に「-1」が乗算された値が得られる。
【0119】
減算部238は、算出した差分値を符号比較部239に供給する。減算部238は、任意の構成により実現することができる。例えば、減算部238が、回路、LSI、システムLSI、プロセッサ、モジュール、ユニット、セット、デバイス、装置、またはシステム等により構成されるようにしてもよい。また、それらを複数組み合わせるようにしてもよい。その際、例えば、複数の回路、複数のプロセッサ等のように同じ種類の構成を組み合わせるようにしてもよいし、回路とLSI等のように異なる種類の構成を組み合わせるようにしてもよい。例えば、減算部238が、CPUとメモリを有し、CPUがメモリを用いてプログラムを実行することにより、上述の演算を行うようにしてもよい。
【0120】
符号比較部239は、差分値の符号(正であるか負であるか)を判定する。符号比較部239は、その判定結果を増幅部240または増幅部241に通知する。例えば、差分値の符号が正であると判定した場合、符号比較部239は、その旨を増幅部240に通知する。また、例えば、差分値の符号が負であると判定した場合、符号比較部239は、その旨を増幅部241に通知する。
【0121】
符号比較部239は、任意の構成により実現することができる。例えば、符号比較部239が、回路、LSI、システムLSI、プロセッサ、モジュール、ユニット、セット、デバイス、装置、またはシステム等により構成されるようにしてもよい。また、それらを複数組み合わせるようにしてもよい。その際、例えば、複数の回路、複数のプロセッサ等のように同じ種類の構成を組み合わせるようにしてもよいし、回路とLSI等のように異なる種類の構成を組み合わせるようにしてもよい。例えば、符号比較部239が、CPUとメモリを有し、CPUがメモリを用いてプログラムを実行することにより、上述の処理を行うようにしてもよい。
【0122】
増幅部240は、その符号比較部239からの通知に従って値「+1」を積算部243に供給する。増幅部241は、その符号比較部239からの通知に従って値「-1」を積算部243に供給する。増幅部240は、任意の構成により実現することができる。例えば、増幅部240が、回路、LSI、システムLSI、プロセッサ、モジュール、ユニット、セット、デバイス、装置、またはシステム等により構成されるようにしてもよい。また、それらを複数組み合わせるようにしてもよい。その際、例えば、複数の回路、複数のプロセッサ等のように同じ種類の構成を組み合わせるようにしてもよいし、回路とLSI等のように異なる種類の構成を組み合わせるようにしてもよい。例えば、増幅部240が、オペアンプ等により構成されるようにしてもよい。
【0123】
積算部243は、増幅部240および増幅部241から供給される値を積算し、その積算値を閾値比較部244に供給する。積算部243による積算は、図4のBに示されるグラフのように、所定の期間継続される。なお、積算値は、増幅部240または増幅部241から供給される値が積算される度に閾値比較部244に供給されるようにしてもよいし、所定の期間終了後に閾値比較部244に供給されるようにしてもよい。積算部243は、任意の構成により実現することができる。例えば、積算部243が、回路、LSI、システムLSI、プロセッサ、モジュール、ユニット、セット、デバイス、装置、またはシステム等により構成されるようにしてもよい。また、それらを複数組み合わせるようにしてもよい。その際、例えば、複数の回路、複数のプロセッサ等のように同じ種類の構成を組み合わせるようにしてもよいし、回路とLSI等のように異なる種類の構成を組み合わせるようにしてもよい。例えば、積算部243が、CPUとメモリを有し、CPUがメモリを用いてプログラムを実行することにより、上述の処理を行うようにしてもよい。
【0124】
閾値比較部244は、積算部243から供給される積算値を所定の閾値と比較し、その比較結果をCPU211に供給する。閾値比較部244は、任意の構成により実現することができる。例えば、閾値比較部244が、回路、LSI、システムLSI、プロセッサ、モジュール、ユニット、セット、デバイス、装置、またはシステム等により構成されるようにしてもよい。また、それらを複数組み合わせるようにしてもよい。その際、例えば、複数の回路、複数のプロセッサ等のように同じ種類の構成を組み合わせるようにしてもよいし、回路とLSI等のように異なる種類の構成を組み合わせるようにしてもよい。例えば、閾値比較部244が、CPUとメモリを有し、CPUがメモリを用いてプログラムを実行することにより、上述の処理を行うようにしてもよい。
【0125】
CPU211は、その比較結果に基づいて、変調検出部218により、周辺の空中線電力の変調が検出されたか否か、すなわち、高感度受信装置102からの暗号鍵の更新指示を受け付けたか否かを判定する。例えば、CPU211は、積算値が閾値以上である場合、変調検出部218により空中線電力の変調が検出されたと判定する。その場合、CPU211は、フィルアップ情報の値を、空中線電力の変調が検出されたことを示す値(例えば「1」)に設定し、ペイロードに付加する。つまり、値「1」のフィルアップ情報が送信される。また、積算値が閾値より小さい場合、変調検出部218により空中線電力の変調が検出されていないと判定する。その場合、CPU211は、フィルアップ情報の値を、空中線電力の変調が検出されていないことを示す値(例えば「0」)に設定し、ペイロードに付加する。つまり、値「0」のフィルアップ情報が送信される。
【0126】
高感度受信装置102が疑似乱数に応じた変調パタンで空中線電力を変調するため、送信装置101が高感度受信装置102による空中線電力の変調を正しく検出している状態において、減算部238により得られる値の符号は正となる。換言するに、減算部238により得られた値の符号が正である場合、送信装置101が高感度受信装置102による空中線電力の変調を正しく検出できている可能性がある。さらに換言するに、減算部238により得られた値の符号が負である場合、高感度受信装置102による空中線電力の変調が行われていないか、または、ノイズ等の他の要因により送信装置101が高感度受信装置102による空中線電力の変調を正しく検出できていない。したがって、さらに換言するに、減算部238により正の値が得られる回数が増大するほど、送信装置101が高感度受信装置102による空中線電力の変調を正しく検出できている可能性が高くなる。
【0127】
したがって、CPU211が、「キャリアセンス区間の後半の受信電力の電力値からキャリアセンス区間の前半の受信電力の電力値を減算した差分値に、疑似乱数に応じた符号を乗算した値」の符号の積算値に基づいて、高感度受信装置102からの暗号鍵の更新指示を受け付けたか否かを判定することにより、1キャリアセンス区間の検出結果に基づいてその判定を行う場合よりも正確にその判定を行うことができる。
【0128】
なお、積算値が閾値比較部244に供給された後、積算部243の積算値は、CPU211によりリセット(初期化)される。つまり、積算部243の積算値が初期値(例えば「0」)に設定される。これにより、積算部243は、所定の期間毎に同様の積算を繰り返し行い、期間毎の積算値を出力することができ、閾値比較部244は、各期間の積算値を共通の閾値と比較することができる。したがって、CPU211は、周辺の空中線電力の変調を検出したか否かをより容易に判定することができる。
【0129】
そして、閾値比較部244による比較結果に基づいて、空中線電力の変調を検出し、暗号鍵の更新指示を受け付けたと判定した場合、CPU211は、例えば月初等、所定のタイミングにおいて、ペイロードの暗号化に用いる暗号鍵を更新する。その後は、CPU211は、その更新された暗号鍵(新たな暗号鍵)を用いてペイロードを暗号化する。
【0130】
なお、この更新のタイミングは、高感度受信装置102と共有しており(送信装置101および高感度受信装置102の両方にとって既知であり)、高感度受信装置102も、同じタイミングにおいて、暗号鍵を更新する。もちろん、暗号鍵の生成規則は、送信装置101および高感度受信装置102において共通である。したがって、送信装置101および高感度受信装置102は、互いに対応する新たな暗号鍵を同時に取得することができる。つまり、送信装置101および高感度受信装置102は、その新たな暗号鍵を用いて正常に通信を行うことができる。したがって、送信装置101および高感度受信装置102は、その通信の盗聴や改竄の可能性を低減させることができる。
【0131】
<暗号鍵更新処理の流れ>
次に、このような位置通知システム100において行われる暗号鍵更新処理の流れの例を、図8および図9のフローチャートを参照して説明する。暗号鍵更新処理は、送信装置101および高感度受信装置102が有するペイロードを暗号化・復号するのに用いる暗号鍵を更新する処理である。図8のフローチャートを参照して、暗号鍵の更新に成功する場合の例について説明する。
【0132】
例えば月の初めにおいて、送信装置101のCPU211は、積算部243の積算値をリセットする(ステップS101)。
【0133】
高感度受信装置102の電力変調部156は、空中線電力を変調することにより、送信装置101に対して暗号鍵の更新を要求する(ステップS121)。これに対して、送信装置101の変調検出部218は、キャリアセンスを行い、周辺の空中線電力の変調を検出する(ステップS102)。
【0134】
キャリアセンスにより所望の周波数帯域が空いていることが確認されると、送信装置101の送信部215は、暗号化されたペイロードを含む送信信号を送信する(ステップS103)。この時点において積算値が閾値に達していないので、このペイロードに付加されたフィルアップ情報の値は「0」(fillup=0)である。これに対して、高感度受信装置102の増幅部152は、その送信信号をアンテナ151を介して受信し、増幅する。さらに、復調部153が復調し、誤り訂正部154が誤り訂正を行う。CPU155は、暗号化されたペイロードを抽出し、暗号鍵を用いてそれを復号する。このようにしてペイロードが受信される(ステップS122)。このペイロードのフィルアップ情報の値が「0」であるので、暗号鍵の更新はまだ予約されない。
【0135】
以上のような処理(ステップS102およびステップS103、並びに、ステップS121およびステップS122)が所定の期間中(例えば1か月)に繰り返し行われる。
【0136】
そして、同様に、何度目かの空中線電力の変調(ステップS123)とキャリアセンス(ステップS104)が行われた結果、積算値が閾値に達すると、送信装置101のCPU211は、値「1」のフィルアップ情報をペイロードに付加する。送信装置101の送信部215は、そのペイロードを送信する(ステップS105)。高感度受信装置102は、ステップS122等の処理の場合と同様に、ペイロードを受信する(ステップS124)。フィルアップ情報の値が「1」になったので、暗号鍵の更新が予約される。
【0137】
そして、暗号鍵の更新が予約されたので、例えば月の終わり等の既知の所定のタイミングにおいて、送信装置101のCPU211は、暗号鍵を更新する(ステップS106)。また、同一のタイミングにおいて、高感度受信装置102のCPU155も、暗号鍵を更新する(ステップS125)。
【0138】
次に、図9のフローチャートを参照して、暗号鍵の更新に失敗する場合の暗号鍵更新処理の流れの例について説明する。
【0139】
例えば月の初めにおいて、送信装置101のCPU211は、積算部243の積算値をリセットする(ステップS141)。
【0140】
高感度受信装置102の電力変調部156は、空中線電力を変調することにより、送信装置101に対して暗号鍵の更新を要求する(ステップS161)。これに対して、送信装置101の変調検出部218は、キャリアセンスを行い、周辺の空中線電力の変調を検出する(ステップS142)。
【0141】
キャリアセンスにより所望の周波数帯域が空いていることが確認されると、送信装置101の送信部215は、暗号化されたペイロードを含む送信信号を送信する(ステップS143)。この時点において積算値が閾値に達していないので、このペイロードに付加されたフィルアップ情報の値は「0」(fillup=0)である。これに対して、高感度受信装置102の増幅部152は、その送信信号をアンテナ151を介して受信し、増幅する。さらに、復調部153が復調し、誤り訂正部154が誤り訂正を行う。CPU155は、暗号化されたペイロードを抽出し、暗号鍵を用いてそれを復号する。このようにしてペイロードが受信される(ステップS162)。このペイロードのフィルアップ情報の値が「0」であるので、暗号鍵の更新はまだ予約されない。
【0142】
以上のような処理(ステップS142およびステップS143、並びに、ステップS161およびステップS162)が所定の期間中(例えば1か月)に繰り返し行われる。
【0143】
そして、その所定の期間の最後に行われた処理(ステップS144およびステップS145、並びに、ステップS163およびステップS164)においても積算値が閾値を超えない場合、送信装置101から高感度受信装置102に送信されたペイロードに付加されたフィルアップ情報の値は、「0」のままであり、暗号鍵の更新は予約されない。
【0144】
つまり、暗号鍵の更新が予約されていない(積算値が閾値を超えていない)ので、例えば月の終わり等の既知の所定のタイミングにおいて、送信装置101のCPU211は、暗号鍵を更新しない(暗号鍵の更新を省略する)(ステップS146)。また、同一のタイミングにおいて、高感度受信装置102のCPU155も、暗号鍵を更新しない(暗号鍵の更新を省略する)(ステップS165)。
【0145】
以上のように暗号鍵更新処理を実行することにより、送信装置101および高感度受信装置102は、互いに同一のタイミングにおいて、例えば暗号鍵を更新したり暗号鍵の更新を省略したりする等、暗号鍵の更新について互いに同様の処理を行うことができる。したがって、送信装置101および高感度受信装置102は、正常に情報の授受を行うことができる状態を維持したまま、暗号鍵を利用して情報の暗号化や復号を行うことができ、さらに、その暗号鍵の更新も行うことができる。したがって、通信の盗聴や改竄の可能性を低減させることができる。
【0146】
また、上述のように暗号鍵更新処理を実行することにより、送信装置101および高感度受信装置102は、暗号鍵の更新を不定期に行うことができる。したがって、通信の盗聴や改竄の可能性をより低減させることができる。
【0147】
つまり、高感度受信装置102は、信号受信機能を有しておらず片方向通信を行う送信装置101を外部から制御することができる。
【0148】
なお、以上においては、キャリアセンスを繰り返す期間(積算する期間)を1か月として説明したが、この期間の長さは任意である。
【0149】
<制御処理の流れ>
以上のような暗号鍵更新処理を利用して送信装置101の駆動を制御するようにしてもよい。例えば、使い捨てのような場合、不要になった送信装置101が放置され、その送信装置101から不要な信号が送信され続け、その不要な信号送信が、通信に用いられる周波数帯域を占有したり、他の通信の妨害波となったりすることが考えられる。また、高感度受信装置102にとっても、不要な送信装置101から送信される信号を受信し続けることは無駄な処理である。さらに、この不要な通信は、長期間暗号鍵が更新されないためセキュリティレベルが低減し、通信の盗聴や改竄等に利用されるおそれもある。
【0150】
そこで、送信装置101の駆動に有効期限を設け、その有効期限の管理を、上述した暗号鍵更新処理を利用して行うようにしてもよい。例えば、上述の暗号鍵更新処理を繰り返し実行し、所定期間(連続して所定回数)、暗号鍵の更新に失敗した場合、送信装置101による信号送信を停止するようにしてもよい。また、その場合、高感度受信装置102による送信装置101からの信号の受信を停止するようにしてもよい。
【0151】
このような制御を実現するための制御処理の流れの例を、図10のフローチャートを参照して説明する。
【0152】
制御処理が開始されると、送信装置101は、暗号鍵更新要求処理を行い(ステップS181)、高感度受信装置102は、暗号鍵更新要求確認処理を行う(ステップS191)。この処理により、送信装置101は、有効期限の開始タイミング(例えば月の初め)において、積算値をリセットする。
【0153】
所定期間(例えば1か月)が経過し、送信装置101において、高感度受信装置102からの指示を受け付けていない(つまり、積算値が閾値に達していない)と判定された場合、送信装置101は、再度、暗号鍵更新要求処理を行う(ステップS182)。その際、高感度受信装置102も、送信装置101から値「1」のフィルアップ情報を受け取っていないので、再度、暗号鍵更新要求確認処理を行う(ステップS192)。
【0154】
そしてまた所定期間(例えば1か月)が経過し、同様に暗号鍵を更新しない場合、送信装置101は、再度、暗号鍵更新要求処理を行う(ステップS183)。それに対して、高感度受信装置102は、再度、暗号鍵更新要求確認処理を行う。
【0155】
そしてまた所定期間(例えば1か月)が経過して同様に暗号鍵を更新しない場合、送信装置101のCPU211は、有効期限が切れたと判定し、必要に応じて他の処理部を制御し、信号送信を停止する(ステップS184)。また、高感度受信装置102のCPU155は、通信相手である当該送信装置101の有効期限が切れたと判定し、必要に応じて他の処理部を制御し、当該送信装置101からの受信を停止する(ステップS194)。
【0156】
このようにすることにより、不要な信号送受信を停止することができるので、周波数帯域の利用効率の低減を抑制することができる。また、他の通信の受信感度の低減を抑制することができる。さらに、通信の盗聴や改竄の可能性を低減させることができる。
【0157】
つまり、高感度受信装置102は、信号受信機能を有しておらず片方向通信を行う送信装置101を外部から制御することができる。
【0158】
なお、図10において、暗号鍵更新が成功した場合、暗号鍵更新の失敗回数はリセットされる。つまり、有効期限が更新(延長)されたものとみなされる。また、図10においては、暗号鍵更新が連続して3回失敗した場合に有効期限が切れるように説明したが、この回数は何回としても良い。
【0159】
<応用例>
なお、キャリアセンス区間の変調方式は任意であり、上述の例に限定されない。例えば、疑似乱数系列を用いた拡散変調にするようにしてもよい。また、例えば、キャリアセンス区間を3以上の部分区間に分割し、その部分区間の間で差分値を算出するようにしてもよい。上述のキャリアセンス区間の前半と後半とで差分値を算出する方法の場合、1ビットの情報しか送信装置101に供給することができなかったが、このようにすることにより複数ビットの情報を送信装置101に供給することができる。
【0160】
また、変調された各空中線電力の演算方法は、変調する側と変調を検知する側とで共有していれば(既知であれば)どのような方法であってもよい。例えば、キャリアセンス区間を4分割し、各部分区間の空中線電力の変調を「+1」、「-1」、「+1」、「-1」とし、奇数番目の部分区間の空中線電力を加算し、偶数番目の部分区間の空中線電力を減算するようにしてもよい。また、各部分区間の空中線電力の演算方法(例えば加算するか減算するか等)を疑似乱数から決定するようにしてもよい。もちろん、この場合もキャリアセンス区間の分割数は任意であり、例えば8分割であってもよい。
【0161】
また、差分値の符号だけでなく、差分値の大きさも情報化するようにしてもよい。つまり、Δ=1をΔ=δにしてもよい。このようにすることにより、より多くの情報を送信装置101に供給することができる。
【0162】
また、上述の制御処理における暗号化更新処理の繰り返しのように、空中線電力の変調によって情報を送信装置101に供給する処理を繰り返す場合、つまり空中線電力の変調の検出(積算値のリセット)を複数回行う場合、空中線電力の変調を検出する(積算値が閾値を超える)度に、異なる情報が送信装置101に供給されるようにしてもよい。つまり、送信装置101が、例えば、1回目は、A処理を指示されたと判定し、2回目はB処理を指示されたと判定し、3回目はC処理を指示されたと判定し、・・・といったように、供給されたとする情報の内容(例えば指示内容)を変更することができるようにしてもよい。
【0163】
さらに、空中線電力の変調の検出複数回分で1つの情報が送信装置101に供給されるようにしてもよい。例えば、各回において送信装置101に供給される1ビットの情報を集めることにより複数ビットの暗号鍵が得られるようにしてもよい。つまり、空中線電力の変調を利用して、暗号鍵等の任意の情報を伝送することができる。
【0164】
また、以上においては、送信装置101が、信号を送信する際のキャリアセンスにおいて受信した受信電力を用いて空中線電力の変調を検出するように説明したが、送信装置101が空中線電力の変調を検出するために、別途キャリアセンスを行うようにしてもよい。この場合、送信装置101が送信を行なわないので、高感度受信装置102により送信されるキャリアセンス帯域の送信電力を高くすることができる。
【0165】
また、暗号鍵の生成方法は任意である。例えば、GPS時刻情報やLFSR(Linear Feed-back Shift Register)等を用いて一意に決まる値を暗号鍵とするようにしてもよいし、予め定めた暗号鍵のテーブルを送信装置101と高感度受信装置102とで共有しておき、そのテーブルに基づいて暗号鍵を設定するようにしてもよい。
【0166】
なお、高感度受信装置102は、鍵更新命令をブロードキャスト、すなわち全送信装置101に対して一斉送信するようにしてもよいし、例えばグループ等毎にキャリアセンス区間の変調を変えるようにしてもよい。例えば、所定のグループに所属する送信装置101と高感度受信装置102とで予めルールを定めておくことにより、そのグループに対する専用の鍵更新を行うようにすることもできる。この場合、グループ外の送信装置101には、空中線電力の変調がノイズとして受信される。
【0167】
また以上においては、高感度受信装置102が、送信装置101周辺の空中線電力を変調するように説明したが、これに限らず、高感度受信装置102以外の装置が、送信装置101周辺の空中線電力を変調する(すなわち、送信装置101に情報を供給する)ようにしてもよい。
【0168】
また、以上においては、空中線電力の変調が信号送受信に利用される周波数帯の全チャンネルにおいて行われるように説明したが、例えば、空中線電力の変調が単数または複数の代表チャンネルにおいてのみ行われるようにしてもよい。また、その空中線電力の変調が行われるチャンネルが可変であってもよい。さらに、空中線電力の変調が信号送受信に利用される周波数帯とは異なる帯域で行われるようにしてもよい。
【0169】
<3.第2の実施の形態>
<DPSK>
また、以上においては、空中線電力の電力値(大きさ)を変調するように説明したが、空中線電力の位相を変調するようにしてもよい。さらに、差動(差分)位相偏移変調(DPSK(Differential Phase-Shift Keying))を用いるようにしてもよい。
【0170】
<高感度受信装置の構成>
DPSKにより空中線電力を変調する場合の高感度受信装置102の主な構成例を図11に示す。図11に示されるように、この場合の高感度受信装置102は、基本的に、図6の場合と同様の構成を有する。ただし、この場合、高感度受信装置102の電力変調部156は、シングルキャリア変調部163およびスイッチ164の代わりにDPSK部311を有する。
【0171】
この場合、例えば、電力変調部156は、送信装置101における空中線電力の計測期間を複数に分割した部分区間毎に空中線電力の位相を変化させる。例えば、電力変調部156は、その部分区間毎の空中線電力の位相を所定のパタンで変化させる。例えば、電力変調部156は、連続する部分区間同士の空中線電力の位相差の極性を所定のパタンで変化させる。例えば、電力変調部156は、その計測期間を2回以上含む期間、空中線電力を変調する。
【0172】
DPSK部311は、所定の周波数の信号を生成し、その信号を、DPSK方式により、疑似乱数発生部162から供給される疑似乱数の値を示すように変調する。その際、DPSK部311は、送信装置101における空中線電力の計測期間(すなわちキャリアセンス区間)内に送信装置101周辺の空中線電力の位相が変化するように変調する。DPSK部311は、その変調された信号(変調信号)を増幅部165に供給する。増幅部165は、その変調信号を、アンテナ166を介して送信する。このようにすることにより、高感度受信装置102は、空中線電力をDPSK方式で変調することができる。
【0173】
なお、DPSK部311は、任意の構成により実現することができる。例えば、DPSK部311が、回路、LSI、システムLSI、プロセッサ、モジュール、ユニット、セット、デバイス、装置、またはシステム等により構成されるようにしてもよい。また、それらを複数組み合わせるようにしてもよい。その際、例えば、複数の回路、複数のプロセッサ等のように同じ種類の構成を組み合わせるようにしてもよいし、回路とLSI等のように異なる種類の構成を組み合わせるようにしてもよい。例えば、DPSK部311が、CPUとメモリを有し、CPUがメモリを用いてプログラムを実行することにより、上述の処理を行うようにしてもよい。
【0174】
<送信装置の構成>
DPSK方式により空中線電力が変調される場合の送信装置101の主な構成例を図12に示す。図12に示されるように、この場合の送信装置101は、基本的に、図7の場合と同様の構成を有する。ただし、この場合、送信装置101の変調検出部218は、減算部238の代わりに位相差検出部321を有する。
【0175】
この場合、例えば、変調検出部218は、キャリアセンス区間(空中線電力の計測期間)を複数に分割した部分区間毎の空中線電力の位相の変化に基づいて、空中線電力の変調を検出する。例えば、変調検出部218は、その部分区間毎の空中線電力の位相の変化のパタンに基づいて、空中線電力の変調を検出する。例えば、変調検出部218は、連続する部分区間同士の空中線電力の位相差の極性のパタンに基づいて、空中線電力の変調を検出する。例えば、変調検出部218は、その極性の積算値の大きさに基づいて、空中線電力の変調を検出する。
【0176】
つまり、位相差検出部321は、A/D変換部235から供給される受信電力と、A/D変換部236から供給される受信電力との位相差を検出する。なお、位相差検出部321は、任意の構成により実現することができる。例えば、位相差検出部321が、回路、LSI、システムLSI、プロセッサ、モジュール、ユニット、セット、デバイス、装置、またはシステム等により構成されるようにしてもよい。また、それらを複数組み合わせるようにしてもよい。その際、例えば、複数の回路、複数のプロセッサ等のように同じ種類の構成を組み合わせるようにしてもよいし、回路とLSI等のように異なる種類の構成を組み合わせるようにしてもよい。例えば、位相差検出部321が、CPUとメモリを有し、CPUがメモリを用いてプログラムを実行することにより、上述の処理を行うようにしてもよい。
【0177】
上述のように、スイッチ234が疑似乱数の値に基づいて受信電力の供給先を切り替えるので、減算部238による減算の向きがその疑似乱数の値に応じて変化する。例えば、疑似乱数の値が「0」である場合、減算部238は、キャリアセンス区間の後半の受信電力の位相からキャリアセンス区間の前半の受信電力の位相を減算する。また、例えば、疑似乱数の値が「1」である場合、減算部238は、キャリアセンス区間の前半の受信電力の位相からキャリアセンス区間の後半の受信電力の位相を減算する。
【0178】
つまり、減算部238は、キャリアセンス区間の後半の受信電力の位相からキャリアセンス区間の前半の受信電力の位相を減算した差分値(位相差)に、疑似乱数に応じた符号を乗算した値を算出する。例えば、疑似乱数の値が「0」の場合、キャリアセンス区間の後半の受信電力の位相からキャリアセンス区間の前半の受信電力の位相を減算した差分値(位相差)に「+1」が乗算された値が得られる。また、例えば、疑似乱数の値が「1」の場合、キャリアセンス区間の後半の受信電力の位相からキャリアセンス区間の前半の受信電力の位相を減算した差分値(位相差)に「-1」が乗算された値が得られる。
【0179】
位相差検出部321は、検出した位相差を符号比較部239に供給する。符号比較部239は、その位相差の符号(正であるか負であるか)を判定する。つまり、この場合、変調検出部218は、空中線電力の計測期間の前半の位相と後半の位相との差分値の極性の積算値の大きさに基づいて、空中線電力の変調を検出する。このようにすることにより、送信装置101は、DPSK方式による空中線電力の変調を検出することができる。また、この場合もCPU211がその積算値に基づいて判定を行うことにより、1キャリアセンス区間の検出結果に基づいてその判定を行う場合よりも正確にその判定を行うことができる。
【0180】
つまり、高感度受信装置102は、第1の実施の形態の場合と同様に、信号受信機能を有しておらず片方向通信を行う送信装置101を外部から制御することができる。
【0181】
<4.その他>
<盗難防止システム>
以上においては、位置通知システム100を例に説明したが、本技術は、任意の通信システムに適用することができる。例えば、送信装置101は、人物だけでなく、移動体等に設置するようにしてもよい。
【0182】
例えば、本技術は、図13に示されるような自動車やバイク等の盗難を防ぐための盗難防止システム800に適用することもできる。この盗難防止システム800の場合、送信装置101は、ユーザが位置を監視する対象物、例えばユーザが所有する自動車801やバイク802に設置される。送信装置101は、位置通知システム100の場合と同様に、自身の位置情報(すなわち、自動車801やバイク802の位置情報)を、適宜、高感度受信装置102に通知する。つまり、ユーザは、位置通知システム100の場合と同様に、端末装置105からサーバ104にアクセスして、自動車801やバイク802の位置を把握することができる。したがって、ユーザは、盗難にあった場合であっても、自動車801やバイク802の位置を把握することができるので、その自動車801やバイク802を容易に取り戻すことができる。
【0183】
このような盗難防止システム800の場合も、送信装置101や高感度受信装置102に対して各実施の形態において上述した本技術を適用することにより、上述した位置通知システム100の場合と同様の効果を得ることができる。
【0184】
<その他の通信システム>
なお、送信装置101と高感度受信装置102との間で送受信される情報は任意である。例えば送信装置101が、画像、音声、測定データ、機器等の識別情報、パラメータの設定情報、または指令等の制御情報等を含む送信情報を送信するようにしてもよい。また、この送信情報には、例えば、画像と音声、識別情報と設定情報と制御情報等のように、複数種類の情報が含まれるようにしてもよい。
【0185】
また、送信装置101が、例えば、他の装置から供給される情報を含む送信情報を送信することができるようにしてもよい。例えば、送信装置101が、画像、光、明度、彩度、電気、音、振動、加速度、速度、角速度、力、温度(温度分布ではない)、湿度、距離、面積、体積、形状、流量、時刻、時間、磁気、化学物質、または匂い等、任意の変数について、またはその変化量について、検出または計測等を行う各種センサから出力される情報(センサ出力)を含む送信情報を生成し、送信するようにしてもよい。
【0186】
つまり、本技術は、例えば、立体形状計測、空間計測、物体観測、移動変形観測、生体観測、認証処理、監視、オートフォーカス、撮像制御、照明制御、追尾処理、入出力制御、電子機器制御、アクチュエータ制御等、任意の用途に用いられるシステムに適用することができる。
【0187】
また、本技術は、例えば、交通、医療、防犯、農業、畜産業、鉱業、美容、工場、家電、気象、自然監視等、任意の分野のシステムに適用することができる。例えば、本技術は、ディジタルカメラや、カメラ機能付きの携帯機器等を用いる、鑑賞の用に供される画像を撮影するシステムにも適用することができる。また、例えば、本技術は、自動停止等の安全運転や、運転者の状態の認識等のために、自動車の前方や後方、周囲、車内等を撮影する車載用システム、走行車両や道路を監視する監視カメラシステム、車両間等の測距を行う測距システム等の、交通の用に供されるシステムにも適用することができる。さらに、例えば、本技術は、防犯用途の監視カメラや、人物認証用途のカメラ等を用いる、セキュリティの用に供されるシステムにも適用することができる。また、例えば、本技術は、ウェアラブルカメラ等のようなスポーツ用途等向けに利用可能な各種センサ等を用いる、スポーツの用に供されるシステムにも適用することができる。さらに、例えば、本技術は、畑や作物の状態を監視するためのカメラ等の各種センサを用いる、農業の用に供されるシステムにも適用することができる。また、例えば、本技術は、豚や牛等の家畜の状態を監視するための各種センサを用いる、畜産業の用に供されるシステムにも適用することができる。さらに、本技術は、例えば火山、森林、海洋等の自然の状態を監視するシステムや、例えば天気、気温、湿度、風速、日照時間等を観測する気象観測システムや、例えば鳥類、魚類、ハ虫類、両生類、哺乳類、昆虫、植物等の野生生物の生態を観測するシステム等にも適用することができる。
【0188】
<その他の装置>
さらに、送受信される無線信号や情報の仕様は任意である。また、以上においては、本技術を送信装置101や高感度受信装置102に適用する例を説明したが、本技術は、任意の送信装置や受信装置に適用することができる。さらに、本技術は、送信装置や受信装置に限らず、例えば、送受信装置、通信装置、信号処理装置、情報処理装置等、任意の装置に適用することができる。
【0189】
<コンピュータ>
上述した一連の処理は、ハードウエアにより実行させることもできるし、ソフトウエアにより実行させることもできる。また、一部の処理をハードウエアにより実行させ、他の処理をソフトウエアにより実行させることもできる。一連の処理をソフトウエアにより実行する場合には、そのソフトウエアを構成するプログラムが、コンピュータにインストールされる。ここでコンピュータには、専用のハードウエアに組み込まれているコンピュータや、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能な、例えば汎用のパーソナルコンピュータ等が含まれる。
【0190】
図14は、上述した一連の処理をプログラムにより実行するコンピュータのハードウエアの構成例を示すブロック図である。
【0191】
図14に示されるコンピュータ900において、CPU(Central Processing Unit)901、ROM(Read Only Memory)902、RAM(Random Access Memory)903は、バス904を介して相互に接続されている。
【0192】
バス904にはまた、入出力インタフェース910も接続されている。入出力インタフェース910には、入力部911、出力部912、記憶部913、通信部914、およびドライブ915が接続されている。
【0193】
入力部911は、例えば、キーボード、マウス、マイクロホン、タッチパネル、入力端子などよりなる。出力部912は、例えば、ディスプレイ、スピーカ、出力端子などよりなる。記憶部913は、例えば、ハードディスク、RAMディスク、不揮発性のメモリなどよりなる。通信部914は、例えば、ネットワークインタフェースよりなる。ドライブ915は、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、または半導体メモリなどのリムーバブルメディア921を駆動する。
【0194】
以上のように構成されるコンピュータでは、CPU901が、例えば、記憶部913に記憶されているプログラムを、入出力インタフェース910およびバス904を介して、RAM903にロードして実行することにより、上述した一連の処理が行われる。RAM903にはまた、CPU901が各種の処理を実行する上において必要なデータなども適宜記憶される。
【0195】
コンピュータ(CPU901)が実行するプログラムは、例えば、パッケージメディア等としてのリムーバブルメディア921に記録して適用することができる。その場合、プログラムは、リムーバブルメディア921をドライブ915に装着することにより、入出力インタフェース910を介して、記憶部913にインストールすることができる。また、このプログラムは、ローカルエリアネットワーク、インターネット、デジタル衛星放送といった、有線または無線の伝送媒体を介して提供することもできる。その場合、プログラムは、通信部914で受信し、記憶部913にインストールすることができる。その他、このプログラムは、ROM902や記憶部913に、あらかじめインストールしておくこともできる。
【0196】
<補足>
本技術の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本技術の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【0197】
例えば、本技術は、装置またはシステムを構成するあらゆる構成、例えば、システムLSI(Large Scale Integration)等としてのプロセッサ、複数のプロセッサ等を用いるモジュール、複数のモジュール等を用いるユニット、ユニットにさらにその他の機能を付加したセット等(すなわち、装置の一部の構成)として実施することもできる。
【0198】
なお、本明細書において、システムとは、複数の構成要素(装置、モジュール(部品)等)の集合を意味し、全ての構成要素が同一筐体中にあるか否かは問わない。したがって、別個の筐体に収納され、ネットワークを介して接続されている複数の装置、及び、1つの筐体の中に複数のモジュールが収納されている1つの装置は、いずれも、システムである。
【0199】
また、例えば、1つの装置(または処理部)として説明した構成を分割し、複数の装置(または処理部)として構成するようにしてもよい。逆に、以上において複数の装置(または処理部)として説明した構成をまとめて1つの装置(または処理部)として構成されるようにしてもよい。また、各装置(または各処理部)の構成に上述した以外の構成を付加するようにしてももちろんよい。さらに、システム全体としての構成や動作が実質的に同じであれば、ある装置(または処理部)の構成の一部を他の装置(または他の処理部)の構成に含めるようにしてもよい。
【0200】
また、例えば、本技術は、1つの機能を、ネットワークを介して複数の装置で分担、共同して処理するクラウドコンピューティングの構成をとることができる。
【0201】
また、例えば、上述したプログラムは、任意の装置において実行することができる。その場合、その装置が、必要な機能(機能ブロック等)を有し、必要な情報を得ることができるようにすればよい。
【0202】
また、例えば、上述のフローチャートで説明した各ステップは、1つの装置で実行する他、複数の装置で分担して実行することができる。さらに、1つのステップに複数の処理が含まれる場合には、その1つのステップに含まれる複数の処理は、1つの装置で実行する他、複数の装置で分担して実行することができる。換言するに、1つのステップに含まれる複数の処理を、複数のステップの処理として実行することもできる。逆に、複数のステップとして説明した処理を1つのステップとしてまとめて実行することもできる。
【0203】
コンピュータが実行するプログラムは、プログラムを記述するステップの処理が、本明細書で説明する順序に沿って時系列に実行されるようにしても良いし、並列に、あるいは呼び出しが行われたとき等の必要なタイミングで個別に実行されるようにしても良い。つまり、矛盾が生じない限り、各ステップの処理が上述した順序と異なる順序で実行されるようにしてもよい。さらに、このプログラムを記述するステップの処理が、他のプログラムの処理と並列に実行されるようにしても良いし、他のプログラムの処理と組み合わせて実行されるようにしても良い。
【0204】
本明細書において複数説明した本技術は、矛盾が生じない限り、それぞれ独立に単体で実施することができる。もちろん、任意の複数の本技術を併用して実施することもできる。例えば、いずれかの実施の形態において説明した本技術の一部または全部を、他の実施の形態において説明した本技術の一部または全部と組み合わせて実施することもできる。また、上述した任意の本技術の一部または全部を、上述していない他の技術と併用して実施することもできる。
【0205】
本技術は以下のような構成も取ることができる。
(1) 空中線電力の変調を検出する検出部と、
前記検出部による空中線電力の変調の検出結果に基づいて所定の処理を行う処理部と、
ペイロードを含む信号を送信する送信部と
を備える信号処理装置。
(2) 前記検出部は、空中線電力の計測期間を複数に分割した部分区間毎の空中線電力の変化に基づいて、空中線電力の変調を検出する
(1)に記載の信号処理装置。
(3) 前記検出部は、前記部分区間毎の空中線電力の電力値の変化に基づいて、空中線電力の変調を検出する
(2)に記載の信号処理装置。
(4) 前記検出部は、前記部分区間毎の空中線電力の電力値の変化のパタンに基づいて、空中線電力の変調を検出する
(3)に記載の信号処理装置。
(5) 前記検出部は、前記部分区間毎の空中線電力の位相の変化に基づいて、空中線電力の変調を検出する
(2)に記載の信号処理装置。
(6) 前記処理部は、前記処理として、前記検出部が空中線電力の変調を検出したか否かを識別する識別情報を設定し、
前記送信部は、前記ペイロードと前記識別情報とを含む信号を送信する
(1)乃至(5)のいずれかに記載の信号処理装置。
(7) 前記処理部は、前記検出部により空中線電力の変調が検出された場合、前記処理として、
前記識別情報の値を、前記空中線電力の前記変調が検出されたことを示す値に設定し、
前記識別情報送信後の所定のタイミングにおいて、前記ペイロードの暗号化に用いられる暗号鍵を更新し、
前記送信部は、前記ペイロードと前記処理部により設定された前記識別情報とを含む信号を送信する
(6)に記載の信号処理装置。
(8) 前記処理部は、所定の期間内に空中線電力の変調が検出されなかったことが所定回数発生した場合、前記処理として、前記送信部を制御し、前記ペイロードの送信を停止させる
(1)乃至(7)のいずれかに記載の信号処理装置。
(9) 前記処理部は、前記検出部により空中線電力の変調が検出された場合、前記処理として、変調された空中線電力に含まれる、前記ペイロードの暗号化に用いられる暗号鍵の情報を取得する
(1)乃至(8)のいずれかに記載の信号処理装置。
(10) 前記検出部は、前記送信部が信号送信に用いる周波数帯域の利用状況を確認するキャリアセンスにおいて受信された空中線電力に基づいて、空中線電力の変調を検出する
(1)乃至(9)のいずれかに記載の信号処理装置。
(11) 空中線電力の変調を検出し、
空中線電力の変調の検出結果に基づいて所定の処理を行い、
ペイロードを含む信号を送信する
信号処理方法。
【0206】
(12) 空中線電力を変調する電力変調部を備える
信号処理装置。
(13) 前記電力変調部は、送信装置における空中線電力の計測期間を複数に分割した部分区間毎に空中線電力が変化するように、空中線電力を変調する
(12)に記載の信号処理装置。
(14) 前記電力変調部は、前記部分区間毎に空中線電力の電力値を変化させる
(13)に記載の信号処理装置。
(15) 前記電力変調部は、前記部分区間毎の空中線電力の電力値を所定のパタンで変化させる
(14)に記載の信号処理装置。
(16) 前記電力変調部は、前記部分区間毎に空中線電力の位相を変化させる
(12)に記載の信号処理装置。
(17) 送信装置から送信された信号を受信することにより、前記信号に含まれる、ペイロード、および、前記送信装置により空中線電力の変調が検出されたか否かを識別する識別情報を受信する受信部をさらに備える
(12)乃至(16)のいずれかに記載の信号処理装置。
(18) 前記受信部は、暗号鍵を用いて暗号化されたペイロードを復号し、受信した前記識別情報の値が前記送信装置により空中線電力の変調が検出されたことを示す値である場合、所定のタイミングにおいて前記暗号鍵を更新する
(17)に記載の信号処理装置。
(19) 前記受信部は、所定の期間内に前記送信装置により空中線電力の変調が検出されたことを示す値の前記識別情報を受信できなかったことが所定回数発生した場合、前記送信装置から送信された信号の受信を停止する
(17)または(18)に記載の信号処理装置。
(20) 空中線電力を変調する
信号処理方法。
【符号の説明】
【0207】
100 位置通知システム, 101 送信装置, 102 高感度受信装置, 103 ネットワーク, 104 サーバ, 111 高齢者, 151 アンテナ, 152 増幅部, 153 復調部, 154 誤り訂正部, 155 CPU, 156 電力変調部, 161 GNSS受信部, 162 疑似乱数発生部, 163 シングルキャリア変調部, 164 スイッチ, 165 増幅部, 166 アンテナ, 210 送信データ生成部, 211 CPU, 212 メモリ, 213 符号化部, 214 変調部, 215 送信部, 216 増幅部, 217 アンテナ, 218 変調検出部, 219 発振部, 231 増幅部, 232 受信部, 233 フィルタ, 234 スイッチ, 235および236 A/D変換部, 237 加算部, 238 減算部, 239 符号比較部, 240および241 増幅部, 243 積算部, 244 閾値比較部, 251 GNSS受信部, 252 疑似乱数発生部, 311 DPSK部, 321 位相差検出部, 800 盗難防止システム
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