(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-02
(45)【発行日】2022-12-12
(54)【発明の名称】固体撮像素子、電子機器、並びに製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 27/146 20060101AFI20221205BHJP
H04N 5/369 20110101ALI20221205BHJP
H04N 5/374 20110101ALI20221205BHJP
H01L 21/3205 20060101ALI20221205BHJP
H01L 21/768 20060101ALI20221205BHJP
H01L 23/522 20060101ALI20221205BHJP
【FI】
H01L27/146 A
H04N5/369
H04N5/374
H01L21/88 J
(21)【出願番号】P 2019509272
(86)(22)【出願日】2018-03-16
(86)【国際出願番号】 JP2018010393
(87)【国際公開番号】W WO2018180575
(87)【国際公開日】2018-10-04
【審査請求日】2021-02-02
(31)【優先権主張番号】P 2017069803
(32)【優先日】2017-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】316005926
【氏名又は名称】ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121131
【氏名又は名称】西川 孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082131
【氏名又は名称】稲本 義雄
(74)【代理人】
【識別番号】100168686
【氏名又は名称】三浦 勇介
(72)【発明者】
【氏名】福岡 慎平
(72)【発明者】
【氏名】富樫 秀晃
【審査官】加藤 俊哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-225330(JP,A)
【文献】国際公開第2013/001809(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/143531(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 27/146
H04N 5/369
H04N 5/374
H01L 21/3205
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板の第1面側に設けられた光電変換素子と、
前記光電変換素子に接続され、前記半導体基板の前記第1面と、前記第1面とは異なる面である第2面との間に設けられた貫通電極と、
前記第2面に設けられ、前記貫通電極を介して
前記光電変換素子と接続されるトランジスタおよびフローティングディフュージョンと、
前記第2面における前記貫通電極の間に形成される、前記トランジスタのゲート絶縁膜よりも厚い誘電体層と
、
前記誘電体層の外側面の半導体基板内に形成されるP型の不純物領域と、
前記第2面側からみて、前記誘電体層の内側に形成されるシールド電極と
を備える固体撮像素子。
【請求項2】
前記シールド電極の材料は、ポリシリコンまたはアモルファスシリコンである
請求項1に記載の固体撮像素子。
【請求項3】
前記シールド電極は、前記シールド電極と電気的に接続されたコンタクトと、コンタクトに電気的に接続された配線から所定の電圧に制御されている
請求項1に記載の固体撮像素子。
【請求項4】
前記シールド電極に電気的に接続されたコンタクトは、前記貫通電極の間に設けられている
請求項3に記載の固体撮像素子。
【請求項5】
前記シールド電極に電気的に接続されたコンタクトは、前記貫通電極の間にライン状に設けられている
請求項4に記載の固体撮像素子。
【請求項6】
前記誘電体層は、前記貫通電極の周囲に設けられている
請求項1に記載の固体撮像素子。
【請求項7】
前記貫通電極は、前記半導体基板を貫通すると共に、分離溝により前記半導体基板と分離されていて、前記誘電体層と前記分離溝が接している
請求項1に記載の固体撮像素子。
【請求項8】
前記半導体基板内に設けられた1または複数のフォトダイオードを
さらに備える請求項1に記載の固体撮像素子。
【請求項9】
半導体基板の第1面側に設けられた光電変換素子と、
前記光電変換素子に接続され、前記半導体基板の前記第1面と、前記第1面とは異なる面である第2面との間に設けられた貫通電極と、
前記第2面に設けられ、前記貫通電極を介して
前記光電変換素子と接続されるトランジスタおよびフローティングディフュージョンと、
前記第2面における前記貫通電極の間に形成される、前記トランジスタのゲート絶縁膜よりも厚い誘電体層と
、
前記誘電体層の外側面の半導体基板内に形成されるP型の不純物領域と、
前記第2面側からみて、前記誘電体層の内側に形成されるシールド電極と
を備える固体撮像素子と、
前記固体撮像素子から出力される出力信号を処理する信号処理回路と、
入射光を前記固体撮像素子に入射する光学系と
を有する電子機器。
【請求項10】
製造装置が、
半導体基板の第1面と、前記第1面とは異なる面である第2面との間に貫通孔を形成し、
前記第2面における前記貫通孔の間に、前記第2面に形成されるトランジスタのゲート絶縁膜より厚い誘電体層を形成し、
前記誘電体層の外側面の半導体基板内にP型の不純物領域を形成し、
前記第2面側からみて、前記誘電体層の内側にシールド電極を形成し、
前記第2面に前記トランジスタを含むゲート配線を形成し、
前記貫通孔に金属材料膜を埋め込んで貫通電極を形成し、
前記第1面に、前記貫通電極を介して前記トランジスタおよびフローティングディフュージョンと接続する
光電変換素子を形成する
製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、固体撮像素子、電子機器、並びに製造方法に関し、特に、素子レイアウト面積をより縮小することができるようにした固体撮像素子、電子機器、並びに製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルカメラ等の撮像装置において、光電変換膜を積層したイメージセンサは、例えば、特許文献1で開示されているような、光電変換膜とフローティングディフュージョンを接続する貫通電極構造をとる。画素サイズが微細になると、貫通電極同士が近接して配置される構造をとる場合があり、その場合は容量カップリングによる電気混色を防ぐために、シールド電極が配置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1においては、重ねあわせや線幅といったプロセスバラつきによって、シールド電極とフローティングディフュージョンに接続した配線が短絡してしまうことが懸念されるため、貫通電極とシールド電極との間を離す対応をとる。その結果、画素サイズが大きくなったり、フォトダイオード面積が縮小し、飽和信号量や感度特性が低下したりしていた。
【0005】
本開示は、このような状況に鑑みてなされたものであり、素子レイアウト面積をより縮小することができるものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本技術の一側面の固体撮像素子は、半導体基板の第1面側に設けられた光電変換素子と、前記光電変換素子に接続され、前記半導体基板の前記第1面と、前記第1面とは異なる面である第2面との間に設けられた貫通電極と、 前記第2面に設けられ、前記貫通電極を介して前記光電変換素子と接続されるトランジスタおよびフローティングディフュージョンと、前記第2面における前記貫通電極の間に形成される、前記トランジスタのゲート絶縁膜よりも厚い誘電体層と、前記誘電体層の外側面の半導体基板内に形成されるP型の不純物領域と、前記第2面側からみて、前記誘電体層の内側に形成されるシールド電極とを備える。
【0017】
本技術の一側面においては、半導体基板の第1面側に光電変換素子が設けられた、貫通電極が、前記光電変換素子に接続され、前記半導体基板の前記第1面と、前記第1面とは異なる面である第2面との間に設けられ、トランジスタおよびフローティングディフュージョンが、前記第2面に設けられ、前記貫通電極を介して光電変換素子と接続される。そして、前記第2面における前記貫通電極の間に、前記トランジスタのゲート絶縁膜よりも厚い誘電体層が形成される。また、前記誘電体層の外側面の半導体基板内にP型の不純物領域が形成され、前記第2面側からみて、前記誘電体層の内側にシールド電極が形成される。
【発明の効果】
【0018】
本技術によれば、素子レイアウト面積をより縮小することができる。
【0019】
なお、本明細書に記載された効果は、あくまで例示であり、本技術の効果は、本明細書に記載された効果に限定されるものではなく、付加的な効果があってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本技術を適用した固体撮像素子の概略構成例を示すブロック図である。
【
図2】本技術を適用した固体撮像素子の第1の実施の形態の画素構造例を示す断面図である。
【
図3】固体撮像素子の製造処理について説明するフローチャートである。
【
図4】固体撮像素子の製造処理について説明するフローチャートである。
【
図5】固体撮像素子の製造処理を説明する工程図である。
【
図6】固体撮像素子の製造処理を説明する工程図である。
【
図7】固体撮像素子の製造処理を説明する工程図である。
【
図8】固体撮像素子の製造処理を説明する工程図である。
【
図9】固体撮像素子の製造処理を説明する工程図である。
【
図10】固体撮像素子の製造処理を説明する工程図である。
【
図11】本技術を適用した固体撮像素子の第2の実施の形態の画素構造例を示す上面図である。
【
図12】本技術を適用した固体撮像素子の第3の実施の形態の画素構造例を示す上面図である。
【
図13】本技術を適用した固体撮像素子の第3の実施の形態の画素構造例を示す上面図である。
【
図15】本技術を適用した固体撮像素子の第5の実施の形態の画素構造例を示す断面図である。
【
図16】本技術を適用したイメージセンサの使用例を示す図である。
【
図17】本技術を適用した電子機器の構成例を示すブロック図である。
【
図18】体内情報取得システムの概略的な構成の一例を示す図である。
【
図19】内視鏡手術システムの概略的な構成の一例を示す図である。
【
図20】カメラヘッド及びCCUの機能構成の一例を示すブロック図である。
【
図21】車両制御システムの概略的な構成の一例を示すブロック図である。
【
図22】車外情報検出部及び撮像部の設置位置の一例を示す説明図である。
【
図23】本開示に係る技術を適用し得る、光電変換部が積層された画素を有する固体撮像装置の構成例を示す断面図である。
【
図24】本開示に係る技術を適用し得る、光電変換部が積層された画素を有する固体撮像装置の構成例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本開示を実施するための形態(以下実施の形態とする)について説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
0.装置の説明
1.実施の形態
2.イメージセンサの使用例
3.電子機器の例
4.体内情報取得システムへの応用例
5.内視鏡手術システムへの応用例
6.移動体への応用例
7.積層型固体撮像素子の構成例
【0022】
<0.装置の説明>
<固体撮像素子の概略構成例>
図1は、本技術の各実施の形態に適用されるCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)固体撮像素子の一例の概略構成例を示している。
【0023】
図1に示されるように、固体撮像素子(素子チップ)1は、半導体基板11(例えばシリコン基板)に複数の光電変換素子を含む画素2が規則的に2次元的に配列された画素領域(いわゆる撮像領域)3と、周辺回路領域とを有して構成される。
【0024】
画素2は、光電変換素子(例えば、PD(Photo Diode))と、複数の画素トランジスタ(いわゆるMOSトランジスタ)を有してなる。複数の画素トランジスタは、例えば、転送トランジスタ、リセットトランジスタ、および増幅トランジスタの3つのトランジスタで構成することができ、さらに選択トランジスタを追加して4つのトランジスタで構成することもできる。
【0025】
また、画素2は、画素共有構造とすることもできる。画素共有構造は、複数のフォトダイオード、複数の転送トランジスタ、共有される1つのフローティングディフュージョン、および、共有される1つずつの他の画素トランジスタから構成される。フォトダイオードは、光電変換素子である。
【0026】
周辺回路領域は、垂直駆動回路4、カラム信号処理回路5、水平駆動回路6、出力回路7、および制御回路8から構成される。
【0027】
制御回路8は、入力クロックや、動作モード等を指令するデータを受け取り、また、固体撮像素子1の内部情報等のデータを出力する。具体的には、制御回路8は、垂直同期信号、水平同期信号、およびマスタクロックに基づいて、垂直駆動回路4、カラム信号処理回路5、および水平駆動回路6の動作の基準となるクロック信号や制御信号を生成する。そして、制御回路8は、これらの信号を垂直駆動回路4、カラム信号処理回路5、および水平駆動回路6に入力する。
【0028】
垂直駆動回路4は、例えばシフトレジスタによって構成され、画素駆動配線を選択し、選択された画素駆動配線に画素2を駆動するためのパルスを供給し、行単位で画素2を駆動する。具体的には、垂直駆動回路4は、画素領域3の各画素2を行単位で順次垂直方向に選択走査し、垂直信号線9を通して各画素2の光電変換素子において受光量に応じて生成した信号電荷に基づいた画素信号をカラム信号処理回路5に供給する。
【0029】
カラム信号処理回路5は、画素2の例えば列毎に配置されており、1行分の画素2から出力される信号を画素列毎にノイズ除去等の信号処理を行う。具体的には、カラム信号処理回路5は、画素2固有の固定パターンノイズを除去するためのCDS(Correlated Double Sampling)や、信号増幅、A/D(Analog/Digital)変換等の信号処理を行う。カラム信号処理回路5の出力段には、水平選択スイッチ(図示せず)が水平信号線10との間に接続されて設けられる。なお、上記信号処理の一部分は、画素毎に信号処理されてもよい。
【0030】
水平駆動回路6は、例えばシフトレジスタによって構成され、水平走査パルスを順次出力することによって、カラム信号処理回路5の各々を順番に選択し、カラム信号処理回路5の各々から画素信号を水平信号線10に出力させる。
【0031】
出力回路7は、カラム信号処理回路5の各々から水平信号線10を通して順次に供給される信号に対し、信号処理を行って出力する。出力回路7は、例えば、バッファリングだけを行う場合もあるし、黒レベル調整、列ばらつき補正、各種デジタル信号処理等を行う場合もある。
【0032】
入出力端子12は、外部と信号のやりとりをするために設けられる。
【0033】
<1.実施の形態>
<固体撮像素子の第1の実施の形態の画素構造例>
図2は、本技術を適用した固体撮像素子の第1の実施の形態の画素構造例を示す断面図である。
【0034】
図2に示す画素構造においては、半導体基板11の第1面11-1に設けられた光電変換素子109と、光電変換素子109に接続され、半導体基板11の第1面と第2面との間に設けられた貫通電極104と、半導体基板11の第2面11-2に設けられたアンプトランジスタ115およびフローティングディフュージョン116とが備えられている。光電変換素子109は、貫通電極104を介して、アンプトランジスタ115のゲートとフローティングディフュージョン116とに接続されている。
【0035】
また、この画素構造においては、誘電体層103が第2面11-2の貫通電極104の間に設けられており、第2面11-2側から見て誘電体層103の内側にシールド電極114が設けられている。この誘電体層103は、第2面11-2側に配置されたトランジスタ(例えば、アンプトランジスタ115)のゲート絶縁膜120よりも厚く形成されている。シールド電極114は、シールド電極114と電気的に接続されたコンタクト128と、コンタクト128に電気的に接続された配線から所定の電圧に制御されている。
【0036】
図2の画素構造によれば、半導体基板11の第1面11-1からの貫通電極形成時において、半導体基板11よりも誘電体層103のエッチングレートが低い特徴により、誘電体層103が加工されにくく、貫通電極104の直径が、誘電体層103で自己整合的に規定される。誘電体層103上にシールド電極114を配置することで、貫通電極104とシールド電極114が短絡しにくくなる。その結果、素子レイアウト面積をより縮小することが可能になり、画素サイズをより微細に出来たり、飽和信号量や感度特性向上出来たりする効果が期待される。
【0037】
また、この固体撮像素子1においては、
図2に示されるように、貫通電極104と半導体基板11の間を分離する分離溝105が形成され、分離溝105に誘電体101が充填される構造をとることが好ましい。分離溝105の外側面と誘電体層103の外側面の半導体基板内には不純物領域(
図2ではP+)が設けられていることが好ましい。
【0038】
さらに、シールド電極114の下に誘電体層103が設けられることで、シールド電極114が正バイアス印加された条件においても、半導体基板11の誘電体層103の外側面にホール蓄積層を形成できる効果がある。ホール蓄積層を形成するためには、例えば、誘電体層103の厚さは20nm以上であることが好ましい。
【0039】
また、第2面11-2側から見て誘電体層103の内側にシールド電極114が設けられており、例えば、誘電体層103の端から内側に20nm以上距離をとった位置にシールド電極114が配置されることが望ましい。
【0040】
さらに、分離溝105と誘電体層103との距離が、貫通電極104と分離溝105を合わせた直径の30%よりも近い距離で誘電体層103が貫通電極104の間に配置されることが好ましい。例えば、貫通電極104と分離溝105を合わせた直径が350nmであるならば、分離溝105と誘電体層103との距離は100nm以下であることが好ましい。
【0041】
誘電体層103の材料は特に限定されないが、例えば、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜、シリコン酸窒化膜を含む。
【0042】
シールド電極114は、例えば、ポリシリコン、PDAS(Phosphorus Doped Amorphous Silicon)等のドープされたシリコン材料により構成されている。貫通電極104を構成する材料は特に限定されないが、アルミニウム、タングステン、チタン、コバルト、ハフニウム、タンタルなどの金属または導電性材料であることが好ましい。
【0043】
なお、図中には示していないが光入射面112にオンチップレンズやカラーフィルタを必要に応じて形成しても良い。
【0044】
次に、
図3および
図4のフローチャートを参照して、
図2の構造の固体撮像素子1の製造処理について説明する。なお、この製造処理は、製造装置により実行される処理であり、適宜、
図5乃至
図10の工程図が参照される。
【0045】
まず、ステップS111において、製造装置は、
図5に示されるように、半導体基板11内に、第1の導電型のウェルとして例えばPウェルを形成し、このPウェル内に第2の導電型(例えば、N型)のフォトダイオード123および124を形成する。このとき、半導体基板11の第1面11-1近傍には、P+領域が形成される。
【0046】
ステップS112において、製造装置は、
図5に示されるように、貫通電極104および分離溝105の形成予定領域151に、半導体基板11の第1面11-1から第2面11-2までを貫通する不純物領域(P+領域)を形成する。また、製造装置は、形成予定領域151の間の第2面11-2側に、誘電体層103を形成する。なお、誘電体層103は、第2面11-2側に配置される素子分離、例えば、STIと同時に形成されてもよい。
【0047】
ステップS113において、製造装置は、半導体基板11の第2面11-2には、同じく、
図5に示されるように、フローティングディフュージョン(以下、FDと称する)116乃至118となるN+領域を形成したのち、ゲート絶縁膜120と、縦型転送ゲート122、転送ゲート121、アンプトランジスタ115、およびリセットトランジスタ129の各ゲートを含むゲート配線とを形成する。
【0048】
さらに、ステップS114において、製造装置は、半導体基板11の第2面11-2上に、コンタクト128、配線層125、絶縁膜126からなる多層配線127を形成する。
【0049】
半導体基板11の基体としては、例えば、半導体基板11と、埋め込み酸化膜(図示せず)と、保持基板(図示せず)とを積層したSOI(Silicon On Insulator)基板が用いられる。埋め込み酸化膜および保持基板は、
図5には図示されないが、半導体基板11の第1面11-1に接合されている。イオン注入後、アニール処理が行われる。
【0050】
次に、ステップS115において、製造装置は、
図6に示されるように、半導体基板11の第2面11-2側(多層配線)に支持基板(図示せず)または他の半導体基体などを接合して、固体撮像素子1を、上下反転する。そして、半導体基板11がSOI基板の埋め込み酸化膜および保持基板から分離され、半導体基板11の第1面11-1が露出される。
【0051】
以上の工程は、イオン注入およびCVD(Chemical Vapor Deposition)など、通常のCMOSプロセスで利用されている技術にて行うことができる。
【0052】
そののち、ステップS116において、製造装置は、
図7に示されるように、たとえば、ドライエッチングにより半導体基板11を第1面11-1側から加工し、半導体基板11を貫通する環状または輪状の分離溝105を形成する。
【0053】
ステップS117において、製造装置は、
図8に示されるように、分離溝105の外側面および底面と、半導体基板11の第1面11-1とに、固定電荷を有する膜102と誘電体101を成膜する。誘電体101の材料としては、TEOS、ALD法により成膜されたシリコン酸化膜またはシリコン窒化膜などを用いることが可能である。
【0054】
次に、
図4のステップS118において、製造装置は、
図9に示されるように、ドライエッチング等により固定電荷を有する膜102と誘電体101とを後退する。
【0055】
ステップS119において、製造装置は、
図10に示されるように、分離溝105に金属材料膜を埋め込んだ後、ドライエッチングまたはCMP(Chemical Mechanical Polishing)により、金属材料膜を後退もしくは平坦化して、貫通電極104を形成する。
【0056】
さらに、ステップS120において、製造装置は、
図2に示されたように、層間絶縁膜111および上部コンタクトを形成し、上部コンタクトを貫通電極104の上端に接続する。そののち、ステップS121において、製造装置は、透明電極106、光電変換膜107、および透明電極108からなる光電変換素子109と、保護膜110とを形成し、最後に、平坦化膜などの光学部材およびオンチップレンズ(図示せず)を配設する。
【0057】
以上により、
図2の構造の固体撮像素子1が完成される。
【0058】
<固体撮像素子の第2の実施の形態の画素構造例>
図11は、本技術を適用した固体撮像素子の第2の実施の形態の画素構造例を示す上面図である。
【0059】
図11の画素構造においては、コンタクト128が貫通電極104の間に設けられている点のみが、
図2の画素構造と異なっており、他は、基本的に
図2の画素構造と共通している。すなわち、
図11に示す画素構造においては、シールド電極114に電気的に接続されたコンタクト128は、貫通電極104の間に設けられていることが特徴とされる。
【0060】
これにより、
図11の画素構造においては、
図2の画素構造に比べて、貫通電極104間の容量カップリングをより防ぐことができる。
【0061】
コンタクト128の材料は、特に限定されないが、アルミニウム、タングステン、チタン、コバルト、ハフニウム、タンタルなどの金属材料を含む。
【0062】
さらに、誘電体層103とシールド電極114の角部は、丸みを持っていてもかまわない。
【0063】
<固体撮像素子の第3の実施の形態の画素構造例>
図12は、本技術を適用した固体撮像素子の第3の実施の形態の画素構造例を示す上面図である。
【0064】
図12の画素構造においては、コンタクト128が貫通電極104の間にライン状に設けられている点のみが、
図11の画素構造と異なっており、他は、基本的に
図2の画素構造と共通している。
【0065】
すなわち、
図12に示す画素構造においては、コンタクト128が貫通電極104の間にライン状に設けられていることが特徴とされる。
【0066】
これにより、
図12の画素構造においては、
図11の画素構造に比べて、貫通電極104間の容量カップリングをより防ぐことができる。
【0067】
<固体撮像素子の第4の実施の形態の画素構造例>
図13は、本技術を適用した固体撮像素子の第3の実施の形態の画素構造例を示す上面図である。また、
図14は、
図13の画素構造の断面図である。
【0068】
図13の画素構造においては、誘電体層103が貫通電極104の周囲に設けられている点のみが、
図2の画素構造と異なっており、他は、基本的に
図2の画素構造と共通している。
【0069】
すなわち、
図13に示す画素構造においては、誘電体層103が貫通電極104の周囲に設けられていることが特徴とされる。
【0070】
これにより、
図13の画素構造においては、
図2の画素構造に比べて、貫通電極104以外の素子と短絡しにくくなり、画素サイズをさらに縮小できる。
【0071】
<固体撮像素子の第5の実施の形態の画素構造例>
図15は、本技術を適用した固体撮像素子の第5の実施の形態の画素構造例を示す断面図である。
【0072】
図15の画素構造においては、貫通電極104が、半導体基板11を貫通するとともに、分離溝105により半導体基板11と分離されていて、誘電体層103と分離溝105が接している点が、
図2の画素構造と異なっており、他は、基本的に
図2の画素構造と共通している。すなわち、
図15に示す画素構造においては、貫通電極104が、半導体基板11を貫通するとともに、分離溝105により半導体基板11と分離されていて、誘電体層103と分離溝105が接していることが特徴とされる。
【0073】
これにより、
図15の画素構造においては、
図2の画素構造に比べて画素サイズをさらに縮小できる。
【0074】
以上、上述してきたように、本技術によれば、半導体基板の第1面からの貫通電極形成時において、半導体基板よりも誘電体層のエッチングレートが低いことから、誘電体層が加工されにくく、貫通電極の直径が誘電体層で自己整合的に規定される。したがって、本技術においては、誘電体層上にシールド電極を配置するようにしたので、貫通電極とシールド電極とが短絡しにくくなる。
【0075】
その結果、素子レイアウト面積をより縮小することが可能になり、画素サイズをより微細にできたり、飽和信号量や感度特性向上できたりする効果が期待される。
【0076】
ここでは、暗電流や白点を低減させるため、誘電体層の外側面の半導体基板内にP型の不純物領域が設けられる。さらに、シールド電極の下に、誘電体層が設けられることで、シールド電極が正バイアス印加された条件において、誘電体層の外側面の半導体基板内にホール蓄積層を形成することができる。
【0077】
<2.イメージセンサの使用例>
図16は、上述の固体撮像素子を使用する使用例を示す図である。
【0078】
上述した固体撮像素子(イメージセンサ)は、例えば、以下のように、可視光や、赤外光、紫外光、X線等の光をセンシングする様々なケースに使用することができる。
【0079】
・デジタルカメラや、カメラ機能付きの携帯機器等の、鑑賞の用に供される画像を撮影する装置
・自動停止等の安全運転や、運転者の状態の認識等のために、自動車の前方や後方、周囲、車内等を撮影する車載用センサ、走行車両や道路を監視する監視カメラ、車両間等の測距を行う測距センサ等の、交通の用に供される装置
・ユーザのジェスチャを撮影して、そのジェスチャに従った機器操作を行うために、TVや、冷蔵庫、エアーコンディショナ等の家電に供される装置
・内視鏡や、赤外光の受光による血管撮影を行う装置等の、医療やヘルスケアの用に供される装置
・防犯用途の監視カメラや、人物認証用途のカメラ等の、セキュリティの用に供される装置
・肌を撮影する肌測定器や、頭皮を撮影するマイクロスコープ等の、美容の用に供される装置
・スポーツ用途等向けのアクションカメラやウェアラブルカメラ等の、スポーツの用に供される装置
・畑や作物の状態を監視するためのカメラ等の、農業の用に供される装置
【0080】
<3.電子機器の例>
<電子機器の構成例>
【0081】
さらに、本技術は、固体撮像素子への適用に限られるものではなく、撮像装置にも適用可能である。ここで、撮像装置とは、デジタルスチルカメラやデジタルビデオカメラ等のカメラシステムや、携帯電話機等の撮像機能を有する電子機器のことをいう。なお、電子機器に搭載されるモジュール状の形態、すなわちカメラモジュールを撮像装置とする場合もある。
【0082】
ここで、
図17を参照して、本技術の電子機器の構成例について説明する。
【0083】
図17に示される電子機器300は、固体撮像素子(素子チップ)301、光学レンズ302、シャッタ装置303、駆動回路304、および信号処理回路305を備えている。固体撮像素子301としては、上述した本技術の固体撮像素子1が設けられる。
【0084】
光学レンズ302は、被写体からの像光(入射光)を固体撮像素子301の撮像面上に結像させる。これにより、固体撮像素子301内に一定期間信号電荷が蓄積される。シャッタ装置303は、固体撮像素子301に対する光照射期間および遮光期間を制御する。
【0085】
駆動回路304は、固体撮像素子301の信号転送動作、シャッタ装置303のシャッタ動作、および図示せぬ発光部の発光動作を制御する駆動信号を供給する。駆動回路304は、図示せぬCPUにより設定されたパラメータを用いて各動作を制御する。駆動回路304から供給される駆動信号(タイミング信号)により、固体撮像素子301は信号転送を行う。信号処理回路305は、固体撮像素子301から出力された信号に対して各種の信号処理を行う。信号処理が行われた映像信号は、メモリなどの記憶媒体に記憶されたり、モニタに出力される。
【0086】
<4.体内情報取得システムへの応用例>
本開示に係る技術(本技術)は、様々な製品へ応用することができる。例えば、本開示に係る技術は、内視鏡手術システムに適用されてもよい。
【0087】
図18は、本開示に係る技術(本技術)が適用され得る、カプセル型内視鏡を用いた患者の体内情報取得システムの概略的な構成の一例を示すブロック図である。
【0088】
体内情報取得システム10001は、カプセル型内視鏡10100と、外部制御装置10200とから構成される。
【0089】
カプセル型内視鏡10100は、検査時に、患者によって飲み込まれる。カプセル型内視鏡10100は、撮像機能及び無線通信機能を有し、患者から自然排出されるまでの間、胃や腸等の臓器の内部を蠕動運動等によって移動しつつ、当該臓器の内部の画像(以下、体内画像ともいう)を所定の間隔で順次撮像し、その体内画像についての情報を体外の外部制御装置10200に順次無線送信する。
【0090】
外部制御装置10200は、体内情報取得システム10001の動作を統括的に制御する。また、外部制御装置10200は、カプセル型内視鏡10100から送信されてくる体内画像についての情報を受信し、受信した体内画像についての情報に基づいて、表示装置(図示せず)に当該体内画像を表示するための画像データを生成する。
【0091】
体内情報取得システム10001では、このようにして、カプセル型内視鏡10100が飲み込まれてから排出されるまでの間、患者の体内の様子を撮像した体内画像を随時得ることができる。
【0092】
カプセル型内視鏡10100と外部制御装置10200の構成及び機能についてより詳細に説明する。
【0093】
カプセル型内視鏡10100は、カプセル型の筐体10101を有し、その筐体10101内には、光源部10111、撮像部10112、画像処理部10113、無線通信部10114、給電部10115、電源部10116、及び制御部10117が収納されている。
【0094】
光源部10111は、例えばLED(Light Emitting Diode)等の光源から構成され、撮像部10112の撮像視野に対して光を照射する。
【0095】
撮像部10112は、撮像素子、及び当該撮像素子の前段に設けられる複数のレンズからなる光学系から構成される。観察対象である体組織に照射された光の反射光(以下、観察光という)は、当該光学系によって集光され、当該撮像素子に入射する。撮像部10112では、撮像素子において、そこに入射した観察光が光電変換され、その観察光に対応する画像信号が生成される。撮像部10112によって生成された画像信号は、画像処理部10113に提供される。
【0096】
画像処理部10113は、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)等のプロセッサによって構成され、撮像部10112によって生成された画像信号に対して各種の信号処理を行う。画像処理部10113は、信号処理を施した画像信号を、RAWデータとして無線通信部10114に提供する。
【0097】
無線通信部10114は、画像処理部10113によって信号処理が施された画像信号に対して変調処理等の所定の処理を行い、その画像信号を、アンテナ10114Aを介して外部制御装置10200に送信する。また、無線通信部10114は、外部制御装置10200から、カプセル型内視鏡10100の駆動制御に関する制御信号を、アンテナ10114Aを介して受信する。無線通信部10114は、外部制御装置10200から受信した制御信号を制御部10117に提供する。
【0098】
給電部10115は、受電用のアンテナコイル、当該アンテナコイルに発生した電流から電力を再生する電力再生回路、及び昇圧回路等から構成される。給電部10115では、いわゆる非接触充電の原理を用いて電力が生成される。
【0099】
電源部10116は、二次電池によって構成され、給電部10115によって生成された電力を蓄電する。
図19では、図面が煩雑になることを避けるために、電源部10116からの電力の供給先を示す矢印等の図示を省略しているが、電源部10116に蓄電された電力は、光源部10111、撮像部10112、画像処理部10113、無線通信部10114、及び制御部10117に供給され、これらの駆動に用いられ得る。
【0100】
制御部10117は、CPU等のプロセッサによって構成され、光源部10111、撮像部10112、画像処理部10113、無線通信部10114、及び、給電部10115の駆動を、外部制御装置10200から送信される制御信号に従って適宜制御する。
【0101】
外部制御装置10200は、CPU,GPU等のプロセッサ、又はプロセッサとメモリ等の記憶素子が混載されたマイクロコンピュータ若しくは制御基板等で構成される。外部制御装置10200は、カプセル型内視鏡10100の制御部10117に対して制御信号を、アンテナ10200Aを介して送信することにより、カプセル型内視鏡10100の動作を制御する。カプセル型内視鏡10100では、例えば、外部制御装置10200からの制御信号により、光源部10111における観察対象に対する光の照射条件が変更され得る。また、外部制御装置10200からの制御信号により、撮像条件(例えば、撮像部10112におけるフレームレート、露出値等)が変更され得る。また、外部制御装置10200からの制御信号により、画像処理部10113における処理の内容や、無線通信部10114が画像信号を送信する条件(例えば、送信間隔、送信画像数等)が変更されてもよい。
【0102】
また、外部制御装置10200は、カプセル型内視鏡10100から送信される画像信号に対して、各種の画像処理を施し、撮像された体内画像を表示装置に表示するための画像データを生成する。当該画像処理としては、例えば現像処理(デモザイク処理)、高画質化処理(帯域強調処理、超解像処理、NR(Noise reduction)処理及び/若しくは手ブレ補正処理等)、並びに/又は拡大処理(電子ズーム処理)等、各種の信号処理を行うことができる。外部制御装置10200は、表示装置の駆動を制御して、生成した画像データに基づいて撮像された体内画像を表示させる。あるいは、外部制御装置10200は、生成した画像データを記録装置(図示せず)に記録させたり、印刷装置(図示せず)に印刷出力させてもよい。
【0103】
以上、本開示に係る技術が適用され得る体内情報取得システムの一例について説明した。本開示に係る技術は、以上説明した構成のうち、撮像部10112に適用され得る。例えば、
図1の固体撮像素子1は、撮像部10112に適用することができる。撮像部10112に、本開示に係る技術を適用することにより、素子レイアウト面積をより縮小することが可能になり、画素サイズをより微細に出来たり、飽和信号量や感度特性向上出来たりする効果が期待される。
【0104】
<5.内視鏡手術システムへの応用例>
本開示に係る技術(本技術)は、様々な製品へ応用することができる。例えば、本開示に係る技術は、内視鏡手術システムに適用されてもよい。
【0105】
図19は、本開示に係る技術(本技術)が適用され得る内視鏡手術システムの概略的な構成の一例を示す図である。
【0106】
図19では、術者(医師)11131が、内視鏡手術システム11000を用いて、患者ベッド11133上の患者11132に手術を行っている様子が図示されている。図示するように、内視鏡手術システム11000は、内視鏡11100と、気腹チューブ11111やエネルギー処置具11112等の、その他の術具11110と、内視鏡11100を支持する支持アーム装置11120と、内視鏡下手術のための各種の装置が搭載されたカート11200と、から構成される。
【0107】
内視鏡11100は、先端から所定の長さの領域が患者11132の体腔内に挿入される鏡筒11101と、鏡筒11101の基端に接続されるカメラヘッド11102と、から構成される。図示する例では、硬性の鏡筒11101を有するいわゆる硬性鏡として構成される内視鏡11100を図示しているが、内視鏡11100は、軟性の鏡筒を有するいわゆる軟性鏡として構成されてもよい。
【0108】
鏡筒11101の先端には、対物レンズが嵌め込まれた開口部が設けられている。内視鏡11100には光源装置11203が接続されており、当該光源装置11203によって生成された光が、鏡筒11101の内部に延設されるライトガイドによって当該鏡筒の先端まで導光され、対物レンズを介して患者11132の体腔内の観察対象に向かって照射される。なお、内視鏡11100は、直視鏡であってもよいし、斜視鏡又は側視鏡であってもよい。
【0109】
カメラヘッド11102の内部には光学系及び撮像素子が設けられており、観察対象からの反射光(観察光)は当該光学系によって当該撮像素子に集光される。当該撮像素子によって観察光が光電変換され、観察光に対応する電気信号、すなわち観察像に対応する画像信号が生成される。当該画像信号は、RAWデータとしてカメラコントロールユニット(CCU: Camera Control Unit)11201に送信される。
【0110】
CCU11201は、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)等によって構成され、内視鏡11100及び表示装置11202の動作を統括的に制御する。さらに、CCU11201は、カメラヘッド11102から画像信号を受け取り、その画像信号に対して、例えば現像処理(デモザイク処理)等の、当該画像信号に基づく画像を表示するための各種の画像処理を施す。
【0111】
表示装置11202は、CCU11201からの制御により、当該CCU11201によって画像処理が施された画像信号に基づく画像を表示する。
【0112】
光源装置11203は、例えばLED(Light Emitting Diode)等の光源から構成され、術部等を撮影する際の照射光を内視鏡11100に供給する。
【0113】
入力装置11204は、内視鏡手術システム11000に対する入力インタフェースである。ユーザは、入力装置11204を介して、内視鏡手術システム11000に対して各種の情報の入力や指示入力を行うことができる。例えば、ユーザは、内視鏡11100による撮像条件(照射光の種類、倍率及び焦点距離等)を変更する旨の指示等を入力する。
【0114】
処置具制御装置11205は、組織の焼灼、切開又は血管の封止等のためのエネルギー処置具11112の駆動を制御する。気腹装置11206は、内視鏡11100による視野の確保及び術者の作業空間の確保の目的で、患者11132の体腔を膨らめるために、気腹チューブ11111を介して当該体腔内にガスを送り込む。レコーダ11207は、手術に関する各種の情報を記録可能な装置である。プリンタ11208は、手術に関する各種の情報を、テキスト、画像又はグラフ等各種の形式で印刷可能な装置である。
【0115】
なお、内視鏡11100に術部を撮影する際の照射光を供給する光源装置11203は、例えばLED、レーザ光源又はこれらの組み合わせによって構成される白色光源から構成することができる。RGBレーザ光源の組み合わせにより白色光源が構成される場合には、各色(各波長)の出力強度及び出力タイミングを高精度に制御することができるため、光源装置11203において撮像画像のホワイトバランスの調整を行うことができる。また、この場合には、RGBレーザ光源それぞれからのレーザ光を時分割で観察対象に照射し、その照射タイミングに同期してカメラヘッド11102の撮像素子の駆動を制御することにより、RGBそれぞれに対応した画像を時分割で撮像することも可能である。当該方法によれば、当該撮像素子にカラーフィルタを設けなくても、カラー画像を得ることができる。
【0116】
また、光源装置11203は、出力する光の強度を所定の時間ごとに変更するようにその駆動が制御されてもよい。その光の強度の変更のタイミングに同期してカメラヘッド11102の撮像素子の駆動を制御して時分割で画像を取得し、その画像を合成することにより、いわゆる黒つぶれ及び白とびのない高ダイナミックレンジの画像を生成することができる。
【0117】
また、光源装置11203は、特殊光観察に対応した所定の波長帯域の光を供給可能に構成されてもよい。特殊光観察では、例えば、体組織における光の吸収の波長依存性を利用して、通常の観察時における照射光(すなわち、白色光)に比べて狭帯域の光を照射することにより、粘膜表層の血管等の所定の組織を高コントラストで撮影する、いわゆる狭帯域光観察(Narrow Band Imaging)が行われる。あるいは、特殊光観察では、励起光を照射することにより発生する蛍光により画像を得る蛍光観察が行われてもよい。蛍光観察では、体組織に励起光を照射し当該体組織からの蛍光を観察すること(自家蛍光観察)、又はインドシアニングリーン(ICG)等の試薬を体組織に局注するとともに当該体組織にその試薬の蛍光波長に対応した励起光を照射し蛍光像を得ること等を行うことができる。光源装置11203は、このような特殊光観察に対応した狭帯域光及び/又は励起光を供給可能に構成され得る。
【0118】
図20は、
図19に示すカメラヘッド11102及びCCU11201の機能構成の一例を示すブロック図である。
【0119】
カメラヘッド11102は、レンズユニット11401と、撮像部11402と、駆動部11403と、通信部11404と、カメラヘッド制御部11405と、を有する。CCU11201は、通信部11411と、画像処理部11412と、制御部11413と、を有する。カメラヘッド11102とCCU11201とは、伝送ケーブル11400によって互いに通信可能に接続されている。
【0120】
レンズユニット11401は、鏡筒11101との接続部に設けられる光学系である。鏡筒11101の先端から取り込まれた観察光は、カメラヘッド11102まで導光され、当該レンズユニット11401に入射する。レンズユニット11401は、ズームレンズ及びフォーカスレンズを含む複数のレンズが組み合わされて構成される。
【0121】
撮像部11402は、撮像素子で構成される。撮像部11402を構成する撮像素子は、1つ(いわゆる単板式)であってもよいし、複数(いわゆる多板式)であってもよい。撮像部11402が多板式で構成される場合には、例えば各撮像素子によってRGBそれぞれに対応する画像信号が生成され、それらが合成されることによりカラー画像が得られてもよい。あるいは、撮像部11402は、3D(Dimensional)表示に対応する右目用及び左目用の画像信号をそれぞれ取得するための1対の撮像素子を有するように構成されてもよい。3D表示が行われることにより、術者11131は術部における生体組織の奥行きをより正確に把握することが可能になる。なお、撮像部11402が多板式で構成される場合には、各撮像素子に対応して、レンズユニット11401も複数系統設けられ得る。
【0122】
また、撮像部11402は、必ずしもカメラヘッド11102に設けられなくてもよい。例えば、撮像部11402は、鏡筒11101の内部に、対物レンズの直後に設けられてもよい。
【0123】
駆動部11403は、アクチュエータによって構成され、カメラヘッド制御部11405からの制御により、レンズユニット11401のズームレンズ及びフォーカスレンズを光軸に沿って所定の距離だけ移動させる。これにより、撮像部11402による撮像画像の倍率及び焦点が適宜調整され得る。
【0124】
通信部11404は、CCU11201との間で各種の情報を送受信するための通信装置によって構成される。通信部11404は、撮像部11402から得た画像信号をRAWデータとして伝送ケーブル11400を介してCCU11201に送信する。
【0125】
また、通信部11404は、CCU11201から、カメラヘッド11102の駆動を制御するための制御信号を受信し、カメラヘッド制御部11405に供給する。当該制御信号には、例えば、撮像画像のフレームレートを指定する旨の情報、撮像時の露出値を指定する旨の情報、並びに/又は撮像画像の倍率及び焦点を指定する旨の情報等、撮像条件に関する情報が含まれる。
【0126】
なお、上記のフレームレートや露出値、倍率、焦点等の撮像条件は、ユーザによって適宜指定されてもよいし、取得された画像信号に基づいてCCU11201の制御部11413によって自動的に設定されてもよい。後者の場合には、いわゆるAE(Auto Exposure)機能、AF(Auto Focus)機能及びAWB(Auto White Balance)機能が内視鏡11100に搭載されていることになる。
【0127】
カメラヘッド制御部11405は、通信部11404を介して受信したCCU11201からの制御信号に基づいて、カメラヘッド11102の駆動を制御する。
【0128】
通信部11411は、カメラヘッド11102との間で各種の情報を送受信するための通信装置によって構成される。通信部11411は、カメラヘッド11102から、伝送ケーブル11400を介して送信される画像信号を受信する。
【0129】
また、通信部11411は、カメラヘッド11102に対して、カメラヘッド11102の駆動を制御するための制御信号を送信する。画像信号や制御信号は、電気通信や光通信等によって送信することができる。
【0130】
画像処理部11412は、カメラヘッド11102から送信されたRAWデータである画像信号に対して各種の画像処理を施す。
【0131】
制御部11413は、内視鏡11100による術部等の撮像、及び、術部等の撮像により得られる撮像画像の表示に関する各種の制御を行う。例えば、制御部11413は、カメラヘッド11102の駆動を制御するための制御信号を生成する。
【0132】
また、制御部11413は、画像処理部11412によって画像処理が施された画像信号に基づいて、術部等が映った撮像画像を表示装置11202に表示させる。この際、制御部11413は、各種の画像認識技術を用いて撮像画像内における各種の物体を認識してもよい。例えば、制御部11413は、撮像画像に含まれる物体のエッジの形状や色等を検出することにより、鉗子等の術具、特定の生体部位、出血、エネルギー処置具11112の使用時のミスト等を認識することができる。制御部11413は、表示装置11202に撮像画像を表示させる際に、その認識結果を用いて、各種の手術支援情報を当該術部の画像に重畳表示させてもよい。手術支援情報が重畳表示され、術者11131に提示されることにより、術者11131の負担を軽減することや、術者11131が確実に手術を進めることが可能になる。
【0133】
カメラヘッド11102及びCCU11201を接続する伝送ケーブル11400は、電気信号の通信に対応した電気信号ケーブル、光通信に対応した光ファイバ、又はこれらの複合ケーブルである。
【0134】
ここで、図示する例では、伝送ケーブル11400を用いて有線で通信が行われていたが、カメラヘッド11102とCCU11201との間の通信は無線で行われてもよい。
【0135】
以上、本開示に係る技術が適用され得る内視鏡手術システムの一例について説明した。本開示に係る技術は、以上説明した構成のうち、内視鏡11100や、カメラヘッド11102(の撮像部11402)に適用され得る。例えば、
図1の固体撮像素子1は、内視鏡11100や、カメラヘッド11102(の撮像部11402)。内視鏡11100や、カメラヘッド11102(の撮像部11402)に本開示に係る技術を適用することにより、素子レイアウト面積をより縮小することが可能になり、画素サイズをより微細に出来たり、飽和信号量や感度特性向上出来たりする効果が期待される。
【0136】
なお、ここでは、一例として内視鏡手術システムについて説明したが、本開示に係る技術は、その他、例えば、顕微鏡手術システム等に適用されてもよい。
【0137】
<6.移動体への応用例>
本開示に係る技術(本技術)は、様々な製品へ応用することができる。例えば、本開示に係る技術は、自動車、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、自動二輪車、自転車、パーソナルモビリティ、飛行機、ドローン、船舶、ロボット等のいずれかの種類の移動体に搭載される装置として実現されてもよい。
【0138】
図21は、本開示に係る技術が適用され得る移動体制御システムの一例である車両制御システムの概略的な構成例を示すブロック図である。
【0139】
車両制御システム12000は、通信ネットワーク12001を介して接続された複数の電子制御ユニットを備える。
図21に示した例では、車両制御システム12000は、駆動系制御ユニット12010、ボディ系制御ユニット12020、車外情報検出ユニット12030、車内情報検出ユニット12040、及び統合制御ユニット12050を備える。また、統合制御ユニット12050の機能構成として、マイクロコンピュータ12051、音声画像出力部12052、及び車載ネットワークI/F(interface)12053が図示されている。
【0140】
駆動系制御ユニット12010は、各種プログラムにしたがって車両の駆動系に関連する装置の動作を制御する。例えば、駆動系制御ユニット12010は、内燃機関又は駆動用モータ等の車両の駆動力を発生させるための駆動力発生装置、駆動力を車輪に伝達するための駆動力伝達機構、車両の舵角を調節するステアリング機構、及び、車両の制動力を発生させる制動装置等の制御装置として機能する。
【0141】
ボディ系制御ユニット12020は、各種プログラムにしたがって車体に装備された各種装置の動作を制御する。例えば、ボディ系制御ユニット12020は、キーレスエントリシステム、スマートキーシステム、パワーウィンドウ装置、あるいは、ヘッドランプ、バックランプ、ブレーキランプ、ウィンカー又はフォグランプ等の各種ランプの制御装置として機能する。この場合、ボディ系制御ユニット12020には、鍵を代替する携帯機から発信される電波又は各種スイッチの信号が入力され得る。ボディ系制御ユニット12020は、これらの電波又は信号の入力を受け付け、車両のドアロック装置、パワーウィンドウ装置、ランプ等を制御する。
【0142】
車外情報検出ユニット12030は、車両制御システム12000を搭載した車両の外部の情報を検出する。例えば、車外情報検出ユニット12030には、撮像部12031が接続される。車外情報検出ユニット12030は、撮像部12031に車外の画像を撮像させるとともに、撮像された画像を受信する。車外情報検出ユニット12030は、受信した画像に基づいて、人、車、障害物、標識又は路面上の文字等の物体検出処理又は距離検出処理を行ってもよい。
【0143】
撮像部12031は、光を受光し、その光の受光量に応じた電気信号を出力する光センサである。撮像部12031は、電気信号を画像として出力することもできるし、測距の情報として出力することもできる。また、撮像部12031が受光する光は、可視光であっても良いし、赤外線等の非可視光であっても良い。
【0144】
車内情報検出ユニット12040は、車内の情報を検出する。車内情報検出ユニット12040には、例えば、運転者の状態を検出する運転者状態検出部12041が接続される。運転者状態検出部12041は、例えば運転者を撮像するカメラを含み、車内情報検出ユニット12040は、運転者状態検出部12041から入力される検出情報に基づいて、運転者の疲労度合い又は集中度合いを算出してもよいし、運転者が居眠りをしていないかを判別してもよい。
【0145】
マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030又は車内情報検出ユニット12040で取得される車内外の情報に基づいて、駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置の制御目標値を演算し、駆動系制御ユニット12010に対して制御指令を出力することができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車両の衝突回避あるいは衝撃緩和、車間距離に基づく追従走行、車速維持走行、車両の衝突警告、又は車両のレーン逸脱警告等を含むADAS(Advanced Driver Assistance System)の機能実現を目的とした協調制御を行うことができる。
【0146】
また、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030又は車内情報検出ユニット12040で取得される車両の周囲の情報に基づいて駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置等を制御することにより、運転者の操作に拠らずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行うことができる。
【0147】
また、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030で取得される車外の情報に基づいて、ボディ系制御ユニット12020に対して制御指令を出力することができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030で検知した先行車又は対向車の位置に応じてヘッドランプを制御し、ハイビームをロービームに切り替える等の防眩を図ることを目的とした協調制御を行うことができる。
【0148】
音声画像出力部12052は、車両の搭乗者又は車外に対して、視覚的又は聴覚的に情報を通知することが可能な出力装置へ音声及び画像のうちの少なくとも一方の出力信号を送信する。
図21の例では、出力装置として、オーディオスピーカ12061、表示部12062及びインストルメントパネル12063が例示されている。表示部12062は、例えば、オンボードディスプレイ及びヘッドアップディスプレイの少なくとも一つを含んでいてもよい。
【0149】
図22は、撮像部12031の設置位置の例を示す図である。
【0150】
図22では、車両12100は、撮像部12031として、撮像部12101,12102,12103,12104,12105を有する。
【0151】
撮像部12101,12102,12103,12104,12105は、例えば、車両12100のフロントノーズ、サイドミラー、リアバンパ、バックドア及び車室内のフロントガラスの上部等の位置に設けられる。フロントノーズに備えられる撮像部12101及び車室内のフロントガラスの上部に備えられる撮像部12105は、主として車両12100の前方の画像を取得する。サイドミラーに備えられる撮像部12102,12103は、主として車両12100の側方の画像を取得する。リアバンパ又はバックドアに備えられる撮像部12104は、主として車両12100の後方の画像を取得する。撮像部12101及び12105で取得される前方の画像は、主として先行車両又は、歩行者、障害物、信号機、交通標識又は車線等の検出に用いられる。
【0152】
なお、
図22には、撮像部12101ないし12104の撮影範囲の一例が示されている。撮像範囲12111は、フロントノーズに設けられた撮像部12101の撮像範囲を示し、撮像範囲12112,12113は、それぞれサイドミラーに設けられた撮像部12102,12103の撮像範囲を示し、撮像範囲12114は、リアバンパ又はバックドアに設けられた撮像部12104の撮像範囲を示す。例えば、撮像部12101ないし12104で撮像された画像データが重ね合わせられることにより、車両12100を上方から見た俯瞰画像が得られる。
【0153】
撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、距離情報を取得する機能を有していてもよい。例えば、撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、複数の撮像素子からなるステレオカメラであってもよいし、位相差検出用の画素を有する撮像素子であってもよい。
【0154】
例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104から得られた距離情報を基に、撮像範囲12111ないし12114内における各立体物までの距離と、この距離の時間的変化(車両12100に対する相対速度)を求めることにより、特に車両12100の進行路上にある最も近い立体物で、車両12100と略同じ方向に所定の速度(例えば、0km/h以上)で走行する立体物を先行車として抽出することができる。さらに、マイクロコンピュータ12051は、先行車の手前に予め確保すべき車間距離を設定し、自動ブレーキ制御(追従停止制御も含む)や自動加速制御(追従発進制御も含む)等を行うことができる。このように運転者の操作に拠らずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行うことができる。
【0155】
例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104から得られた距離情報を元に、立体物に関する立体物データを、2輪車、普通車両、大型車両、歩行者、電柱等その他の立体物に分類して抽出し、障害物の自動回避に用いることができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車両12100の周辺の障害物を、車両12100のドライバが視認可能な障害物と視認困難な障害物とに識別する。そして、マイクロコンピュータ12051は、各障害物との衝突の危険度を示す衝突リスクを判断し、衝突リスクが設定値以上で衝突可能性がある状況であるときには、オーディオスピーカ12061や表示部12062を介してドライバに警報を出力することや、駆動系制御ユニット12010を介して強制減速や回避操舵を行うことで、衝突回避のための運転支援を行うことができる。
【0156】
撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、赤外線を検出する赤外線カメラであってもよい。例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104の撮像画像中に歩行者が存在するか否かを判定することで歩行者を認識することができる。かかる歩行者の認識は、例えば赤外線カメラとしての撮像部12101ないし12104の撮像画像における特徴点を抽出する手順と、物体の輪郭を示す一連の特徴点にパターンマッチング処理を行って歩行者か否かを判別する手順によって行われる。マイクロコンピュータ12051が、撮像部12101ないし12104の撮像画像中に歩行者が存在すると判定し、歩行者を認識すると、音声画像出力部12052は、当該認識された歩行者に強調のための方形輪郭線を重畳表示するように、表示部12062を制御する。また、音声画像出力部12052は、歩行者を示すアイコン等を所望の位置に表示するように表示部12062を制御してもよい。
【0157】
以上、本開示に係る技術が適用され得る車両制御システムの一例について説明した。本開示に係る技術は、以上説明した構成のうち、撮像部12031(撮像部12101乃至12104含む)に適用され得る。具体的には、
図1の固体撮像素子1は、撮像部12031(撮像部12101乃至12104含む)に適用することができる。撮像部12031(撮像部12101乃至12104含む)に本開示に係る技術を適用することにより、素子レイアウト面積をより縮小することが可能になり、画素サイズをより微細に出来たり、飽和信号量や感度特性向上出来たりする効果が期待される。
【0158】
<7.積層型固体撮像素子の構成例>
<本開示に係る技術を適用し得る、光電変換部が積層された画素を有する固体撮像装置の断面構成例>
【0159】
図23は、本開示に係る技術を適用し得る、光電変換部が積層された画素を有する固体撮像装置の構成例を示す断面図である。
【0160】
すなわち、
図23は、光電変換部が積層された画素を有する固体撮像装置の1つの画素の構成例を示している。
【0161】
固体撮像装置では、半導体基板22010の表面である、受光面とは反対側の面22011側に、転送Tr(MOS FET)等が形成された多層配線層22030が設けられている。
【0162】
図23において、固体撮像装置は、それぞれ異なる波長域の光を選択的に検出して光電変換を行う1つの有機光電変換部22040と、2つの無機光電変換部22013,22014とが縦方向に積層された積層構造を有し、有機光電変換部22040は、例えば、3種類の有機半導体材料を含んで構成される。
【0163】
以上のように、2つの無機光電変換部22013,22014と、1つの有機光電変換部22040とが積層されていることにより、1つの素子(画素)で赤(Red)、緑(Green)、青(Blue)の各色信号を取得することができる。有機光電変換部22040は、半導体基板22010の裏面である面22012上に形成され、無機光電変換部22013,22014は、半導体基板22010内に埋め込む形で形成されている。
【0164】
有機光電変換部22040は、有機半導体を用いて、選択的な波長域の光、すなわち、ここでは緑色光を吸収して、電子-正孔対を発生させる有機光電変換素子で構成される。有機光電変換部22040は、信号電荷を取り出すための一対の電極である下部電極22041と上部電極22042との間に有機光電変換層(有機半導体層)22043を挟み込んだ構成を有している。下部電極22041及び上部電極22042は、配線層やコンタクトメタル層を介して、半導体基板22010内に埋設された導電性プラグ22015,22016に電気的に接続されている。
【0165】
有機光電変換部22040では、半導体基板22010の面22012上に、層間絶縁膜22045,22046が形成され、層間絶縁膜22045には、導電性プラグ22015,22016のそれぞれと対向する領域に貫通孔が設けられ、各貫通孔に導電性プラグ22047,22048が埋設されている。層間絶縁膜22046には、導電性プラグ22047,22048のそれぞれと対向する領域に、配線層22049,22050が埋設されている。この層間絶縁膜22046上に、下部電極22041が設けられるとともに、この下部電極22041と絶縁膜22051によって電気的に分離された配線層22052が設けられている。これらのうち、下部電極22041上に、有機光電変換層22043が形成され、有機光電変換層22043を覆うように上部電極22042が形成されている。上部電極22042上には、その表面を覆うように保護膜22053が形成されている。保護膜22053の所定の領域にはコンタクトホール22054が設けられ、保護膜22053上には、コンタクトホール22054を埋め込み、かつ配線層22052の上面まで延在するコンタクトメタル層22055が形成されている。
【0166】
導電性プラグ22047は、導電性プラグ22015とともにコネクタとして機能するとともに、導電性プラグ22015及び配線層22049とともに、下部電極22041から緑用蓄電層22017への電荷(電子)の伝送経路を形成する。導電性プラグ22048は、導電性プラグ22016とともにコネクタとして機能するとともに、導電性プラグ22016、配線層22050、配線層22052及びコンタクトメタル層22055とともに、上部電極22042からの電荷(正孔)の排出経路を形成する。導電性プラグ22047,22048は、遮光膜としても機能させるために、例えば、チタン(Ti)、窒化チタン(TiN)及びタングステン等の金属材料の積層膜により構成することができる。また、このような積層膜を用いることにより、導電性プラグ22015,22016をn型又はp型の半導体層として形成した場合にも、シリコンとのコンタクトを確保することができる。
【0167】
層間絶縁膜22045は、半導体基板22010のシリコン層22018との界面準位を低減させるとともに、シリコン層22018との界面からの暗電流の発生を抑制するために、界面準位の小さな絶縁膜から構成することができる。このような絶縁膜としては、例えば、酸化ハフニウム(HfO2)膜と酸化シリコン(SiO2)膜との積層膜を用いることができる。層間絶縁膜22046は、例えば、酸化シリコン、窒化シリコン及び酸窒化シリコン(SiON)等のうちの1種よりなる単層膜か、あるいはこれらのうちの2種以上よりなる積層膜により構成することができる。
【0168】
絶縁膜22051は、例えば、酸化シリコン、窒化シリコン及び酸窒化シリコン(SiON)等のうちの1種よりなる単層膜か、あるいはこれらのうちの2種以上よりなる積層膜により構成されている。絶縁膜22051は、例えば、その表面が平坦化されており、下部電極22041とほぼ段差のない形状及びパターンを有している。絶縁膜22051は、固体撮像装置の各画素の下部電極22041間を電気的に分離する機能を有している。
【0169】
下部電極22041は、半導体基板22010内に形成された無機光電変換部22013,22014の受光面と正対して、これらの受光面を覆う領域に設けられている。この下部電極22041は、光透過性を有する導電膜により構成され、例えば、ITO(インジウム錫酸化物)により構成されている。但し、下部電極22041の構成材料としては、このITOの他にも、ドーパントを添加した酸化スズ(SnO2)系材料、あるいはアルミニウム亜鉛酸化物(ZnO)にドーパントを添加してなる酸化亜鉛系材料を用いてもよい。酸化亜鉛系材料としては、例えば、ドーパントとしてアルミニウム(Al)を添加したアルミニウム亜鉛酸化物(AZO)、ガリウム(Ga)添加のガリウム亜鉛酸化物(GZO)、インジウム(In)添加のインジウム亜鉛酸化物(IZO)が挙げられる。また、この他にも、CuI,InSbO4,ZnMgO,CuInO2,MgIN2O4,CdO,ZnSnO3等が用いられてもよい。なお、
図23では、下部電極22041から有機光電変換層22043で得られた信号電荷(電子)の取り出しが行われるので、下部電極22041は画素毎に分離されて形成される。
【0170】
有機光電変換層22043は、例えば、第1有機半導体材料、第2有機半導体材料及び/又は第3有機半導体材料の3種類を含んで構成されるとともに、これら3種類の有機半導体材料のいずれかは、有機p型半導体及び有機n型半導体のうちの一方又は両方であるともに、選択的な波長域の光を、光電変換する一方、他の波長域の光を透過させる。具体的には、有機光電変換層22043は、例えば、緑の波長としての450nm以上650nm以下の範囲において極大吸収波長を有する。
【0171】
有機光電変換層22043の、下部電極22041との間、及び上部電極22042との間には、図示しない他の層が設けられていてもよい。例えば、下部電極22041側から順に、下引き膜、正孔輸送層、電子ブロッキング膜、有機光電変換層22043、正孔ブロッキング膜、バッファ膜、電子輸送層及び仕事関数調整膜が積層されていてもよい。
【0172】
上部電極22042は、下部電極22041と同様の光透過性を有する導電膜により構成されている。上部電極22042は、画素毎に分離されていてもよいし、各画素に共通の電極として形成されていてもよい。上部電極22042の厚みは、例えば、10nm~200nmである。
【0173】
保護膜22053は、光透過性を有する材料により構成され、例えば、酸化シリコン、窒化シリコン及び酸窒化シリコン等のうちのいずれかよりなる単層膜、あるいはそれらのうちの2種以上よりなる積層膜である。この保護膜22053の厚みは、例えば、100nm~30000nmである。
【0174】
コンタクトメタル層22055は、例えば、チタン、タングステン、窒化チタン及びアルミニウム等のいずれか、あるいはそれらのうちの2種以上よりなる積層膜により構成されている。
【0175】
無機光電変換部22013,22014は、それぞれ、pn接合を有するPD(フォトダイオード)であり、半導体基板22010内の光路上において、面22012側から無機光電変換部22013,22014の順に形成されている。無機光電変換部22013は、青色光を選択的に検出して青色に対応する信号電荷を蓄積させる。無機光電変換部22013は、例えば、半導体基板22010の面22012に沿った選択的な領域から、多層配線層22030との界面近傍の領域にかけて延在して形成される。無機光電変換部22014は、赤色光を選択的に検出して赤色に対応する信号電荷を蓄積させる。無機光電変換部22014は、例えば、無機光電変換部22013よりも下層(面22011側)の領域にわたって形成される。なお、青(Blue)は、例えば、450nm~495nmの波長域、赤(Red)は、例えば、620nm~750nmの波長域にそれぞれ対応する色であり、無機光電変換部22013,22014はそれぞれ、各波長域のうちの一部又は全部の波長域の光を検出可能となっていればよい。
【0176】
図23の画素は、有機光電変換部22040と、2つの無機光電変換部22013,22014とが縦方向に積層された積層構造を有し、有機光電変換部22040が緑色光を、無機光電変換部22013が青色光を、無機光電変換部22014が赤色光を、それぞれ吸収(検出)して光電変換するので、1画素で縦(層)方向の縦分光を行い、赤、緑、青の各色信号を取得することができる。
【0177】
本開示に係る技術は、以上のような固体撮像装置に適用することができる。
【0178】
<本開示に係る技術を適用し得る、光電変換部が積層された画素を有する固体撮像装置の平面構成例>
【0179】
図24は、本開示に係る技術を適用し得る、光電変換部が積層された画素を有する固体撮像装置の構成例を示す平面図である。
【0180】
すなわち、
図24は、光電変換部が積層された画素を有する固体撮像装置の1つの画素の構成例を示している。
【0181】
画素25010は、R(Red)、G(Green)、及び、B(Blue)のそれぞれの波長の光を光電変換する赤色光電変換部、緑色光電変換部、及び、青色光電変換部(いずれも図示せず)が、例えば、緑色光電変換部、青色光電変換部、及び、赤色光電変換部の順番等で3層に積層された光電変換領域25021を有する。さらに、画素25010は、RGBのそれぞれの波長の光に対応する電荷を、赤色光電変換部、緑色光電変換部、及び、青色光電変換部から読み出す電荷読み出し部としてのTr群25110,25120、及び、25130を有する。固体撮像装置では、1つの画素25010において、縦方向の分光、すなわち、光電変換領域25021に積層された赤色光電変換部、緑色光電変換部、及び、青色光電変換部としての各層で、RGBのそれぞれの光の分光が行われる。
【0182】
Tr群25110,25120、及び、25130は、光電変換領域25021の周辺に形成されている。Tr群25110は、赤色光電変換部で生成、蓄積されたRの光に対応する信号電荷を画素信号として出力する。Tr群25110は、転送Tr(MOS FET)25111、リセットTr25112、増幅Tr25113、及び、選択Tr25114で構成されている。Tr群25120は、緑色光電変換部で生成、蓄積されたGの光に対応する信号電荷を画素信号として出力する。Tr群25120は、転送Tr25121、リセットTr25122、増幅Tr25123、及び、選択Tr25124で構成されている。Tr群25130は、青色光電変換部で生成、蓄積されたBの光に対応する信号電荷を画素信号として出力する。Tr群25130は、転送Tr25131、リセットTr25132、増幅Tr25133、及び、選択Tr25134で構成されている。
【0183】
転送Tr25111は、ゲートG、ソース/ドレイン領域S/D、及び、FD(フローティングディフュージョン)25115(となっているソース/ドレイン領域)で構成される。転送Tr25121は、ゲートG、光電変換領域25021のうちの緑色光電変換部(と接続しているソース/ドレイン領域)、及び、FD25125で構成される。転送Tr25131は、ゲートG、ソース/ドレイン領域S/D、及び、FD25135で構成される。なお、転送Tr25111のソース/ドレイン領域は、光電変換領域25021のうちの赤色光電変換部に接続され、転送Tr25131のソース/ドレイン領域は、光電変換領域25021のうちの青色光電変換部に接続されている。
【0184】
リセットTr25112,25122、及び、25132、増幅Tr25113,25123、及び、25133、並びに、選択Tr25114,25124、及び、25134は、いずれも、ゲートGと、そのゲートGを挟むような形に配置された一対のソース/ドレイン領域S/Dとで構成されている。
【0185】
FD25115,25125、及び、25135は、リセットTr25112,25122、及び、25132のソースになっているソース/ドレイン領域S/Dにそれぞれ接続されるとともに、増幅Tr25113,25123、及び、25133のゲートGにそれぞれ接続されている。リセットTr25112及び増幅Tr25113,リセットTr25122及び増幅Tr25123、並びに、リセット25132及び増幅Tr25133のそれぞれで共通のソース/ドレイン領域S/Dには、電源Vddが接続されている。選択Tr25114,25124、及び、25134のソースになっているソース/ドレイン領域S/Dには、VSL(垂直信号線)が接続されている。
【0186】
本開示に係る技術は、以上のような固体撮像装置に適用することができる。
【0187】
なお、本明細書において、上述した一連の処理を記述するステップは、記載された順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別に実行される処理をも含むものである。
【0188】
また、本開示における実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【0189】
また、以上において、1つの装置(または処理部)として説明した構成を分割し、複数の装置(または処理部)として構成するようにしてもよい。逆に、以上において複数の装置(または処理部)として説明した構成をまとめて1つの装置(または処理部)として構成されるようにしてもよい。また、各装置(または各処理部)の構成に上述した以外の構成を付加するようにしてももちろんよい。さらに、システム全体としての構成や動作が実質的に同じであれば、ある装置(または処理部)の構成の一部を他の装置(または他の処理部)の構成に含めるようにしてもよい。つまり、本技術は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本技術の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【0190】
以上、添付図面を参照しながら本開示の好適な実施形態について詳細に説明したが、開示はかかる例に限定されない。本開示の属する技術の分野における通常の知識を有するのであれば、請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例また修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
【0191】
なお、本技術は以下のような構成も取ることができる。
(1) 半導体基板の第1面側に設けられた光電変換素子と、
前記光電変換素子に接続され、前記半導体基板の前記第1面と、前記第1面とは異なる面である第2面との間に設けられた貫通電極と、
前記第2面に設けられ、前記貫通電極を介して光電変換素子と接続されるトランジスタおよびフローティングディフュージョンと、
前記第2面における前記貫通電極の間に形成される、前記トランジスタのゲート絶縁膜よりも厚い誘電体層と
を備える固体撮像素子。
(2) 前記第2面側からみて、前記誘電体層の内側にシールド電極を
さらに備える前記(1)に記載の固体撮像素子。
(3) 前記シールド電極の材料は、ポリシリコンまたはアモルファスシリコンである
前記(2)に記載の固体撮像素子。
(4) 前記シールド電極は、前記シールド電極と電気的に接続されたコンタクトと、前記コンタクトに電気的に接続された配線から所定の電圧に制御されている
前記(2)または(3)に記載の固体撮像素子。
(5) 前記シールド電極に電気的に接続されたコンタクトは、前記貫通電極の間に設けられている
前記(4)に記載の固体撮像素子。
(6) 前記シールド電極に電気的に接続されたコンタクトは、前記貫通電極の間にライン状に設けられている
前記(4)または(5)に記載の固体撮像素子。
(7) 前記誘電体層は、前記貫通電極の周囲に設けられている
前記(1)乃至(6)のいずれかに記載の固体撮像素子。
(8) 前記貫通電極は、前記半導体基板を貫通すると共に、分離溝により前記半導体基板と分離されていて、前記誘電体層と前記分離溝が接している
前記(1)乃至(7)のいずれかに記載の固体撮像素子。
(9) 前記半導体基板内に設けられた1または複数のフォトダイオードを
さらに備える前記(1)乃至(7)のいずれかに記載の固体撮像素子。
(10) 半導体基板の第1面側に設けられた光電変換素子と、
前記光電変換素子に接続され、前記半導体基板の前記第1面と、前記第1面とは異なる面である第2面との間に設けられた貫通電極と、
前記第2面に設けられ、前記貫通電極を介して光電変換素子と接続されるトランジスタおよびフローティングディフュージョンと、
前記第2面における前記貫通電極の間に形成される、前記トランジスタのゲート絶縁膜よりも厚い誘電体層と
を備える固体撮像素子と、
前記固体撮像素子から出力される出力信号を処理する信号処理回路と、
入射光を前記固体撮像素子に入射する光学系と
を有する電子機器。
(11) 製造装置が、
半導体基板の第1面と、前記第1面とは異なる面である第2面との間に貫通孔を形成し、
前記第2面における貫通孔の間に、前記第2面に形成されるトランジスタのゲート絶縁膜より厚い誘電体層を形成し、
前記第2面に前記トランジスタを含むゲート配線を形成し、
前記貫通孔に金属材料膜を埋め込んで貫通電極を形成し、
前記第1面に、前記貫通電極を介して前記トランジスタおよびフローティングディフュージョンと接続する前記光電変換素子を形成する
製造方法。
【符号の説明】
【0192】
1 固体撮像素子, 2 画素, 11 半導体基板, 11-1 第1面, 11-2 第2面, 101 誘電体, 102 膜, 103 誘電体層, 104 貫通電極, 105 分離溝, 106 透明電極, 107 光電変換膜, 108 透明電極, 109 光電変換素子, 110 保護膜, 111 層間絶縁膜, 112 光入射面, 114 シールド電極, 115 アンプトランジスタ, 116乃至118 フローティングディフュージョン, 120 ゲート絶縁膜, 121 転送ゲート, 122 縦型転送ゲート, 123,124 フォトダイオード, 125 配線層, 126 絶縁膜, 127 多層基板, 128 コンタクト, 129 リセットトランジスタ, 151 形成予定領域