(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-02
(45)【発行日】2022-12-12
(54)【発明の名称】パワーパックを作動させるための方法および装置
(51)【国際特許分類】
B60L 9/18 20060101AFI20221205BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20221205BHJP
B60L 53/14 20190101ALI20221205BHJP
B60L 53/24 20190101ALI20221205BHJP
B60L 50/16 20190101ALI20221205BHJP
B60L 50/60 20190101ALI20221205BHJP
B60L 50/75 20190101ALI20221205BHJP
B60L 58/10 20190101ALI20221205BHJP
B60L 1/00 20060101ALI20221205BHJP
B60K 6/22 20071001ALI20221205BHJP
B60W 10/08 20060101ALI20221205BHJP
B60W 20/00 20160101ALI20221205BHJP
B60K 6/28 20071001ALI20221205BHJP
B60K 6/36 20071001ALI20221205BHJP
【FI】
B60L9/18 P
H02J7/00 P
B60L53/14
B60L53/24
B60L50/16
B60L50/60
B60L50/75
B60L58/10
B60L1/00 L
B60K6/22 ZHV
B60W10/08 900
B60W20/00
B60K6/28
B60K6/36
(21)【出願番号】P 2019528458
(86)(22)【出願日】2017-11-23
(86)【国際出願番号】 FI2017050818
(87)【国際公開番号】W WO2018096218
(87)【国際公開日】2018-05-31
【審査請求日】2020-10-30
(32)【優先日】2016-11-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FI
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】519183519
【氏名又は名称】ノルメット オイ
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100185269
【氏名又は名称】小菅 一弘
(72)【発明者】
【氏名】オイカリネン ティモ
【審査官】佐々木 淳
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-304001(JP,A)
【文献】特開2013-219973(JP,A)
【文献】特開平09-019116(JP,A)
【文献】特開2013-158088(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L 1/00-58/40
H02J 7/00
B60K 6/20- 6/547
B60W 10/00-20/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
デュアル作動パワーパック(100、200、300)であって、
-エネルギー貯蔵部(104)と、
-第1および第2電気モータ(101)、(102)と、
-前記第1および/または第2電気モータ(101、102)によって作動されるパワージェネレータ(103)と、
を含み、
-
前記エネルギー貯蔵部(104)によって駆動され
る前記第1電気モータ(101)およびグリッド駆動(106)電気モータであ
る前記第2電気モータ(102)は、前記第1および第2電気モータ(101、102)が互いにガルバニック絶縁(110)されるように、ならびに、前記第2電気モータ(102)が駆動されたときに前記第2電気モータ(102)が前記パワージェネレータ(103)および前記第1電気モータ(101)を作動させる(109)ように構成されるように
、互いに機械的に連結され(108)、その際前記第1電気モータ(101)は、チャージャまたはローダとして機能し
て前記エネルギー貯蔵部(104)を再充電または再充填するように構成され、前記第1電気モータ(101)が駆動されたときに(104、105)、前記第1電気モータ(101)
が前記パワージェネレータ(103)を作動させる(108、109)ように構成される、
ことを特徴とする、デュアル作動パワーパック(100、200、300)。
【請求項2】
前記第1および第2電気モータ(101、102)および前記パワージェネレータ(103)は、前記第2電気モータ(102)がその第1端(109)で前記パワージェネレータ(103)と、およびその第2端(108)で前記第1電気モータ(101)と機械的に連結されるように設けられる、請求項1に記載のデュアル作動パワーパック。
【請求項3】
前記機械的連結(108、109)は、シャフト、クラッチ、チェーン、もしくはベルトによって実施されるか、または前記第1および/または第2電気モータの出力速度範囲を前記パワージェネレータの速度範囲に合わせて調整するためにギアボックスを含みうる、請求項1~2のいずれか一項に記載のデュアル作動パワーパック。
【請求項4】
前記パワージェネレータ(103)は、前記第1および第2電気モータ(101、102)から受け取
ったエネルギーを媒体の移動に変換するための変換器を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のデュアル作動パワーパック。
【請求項5】
前記パワージェネレータ(103)は、ポンプ、油圧ポンプ、油圧パワーパック、コンプレッサ、空気コンプレッサ、および空気圧パワーパックのうちの1つを含む、請求項4に記載のデュアル作動パワーパック。
【請求項6】
前記第2電気モータ(102)は誘導モータであり、主電流(106)によって駆動されるように構成される、請求項1~5のいずれか一項に記載のデュアル作動パワーパック。
【請求項7】
前記第1電気モータ(101)は、前記第2電気モータ(102)を前記グリッド(106)に接続する前に前記第1電気モータ(101)を同期グリッド(106)速度またはその付近にスピンさせることによって前記第2電気モータ(102)をソフトスタートさせるために使用されるように構成される、請求項1~6のいずれか一項に記載のデュアル作動パワーパック。
【請求項8】
前記第1電気モータ(101)は、電力ピークを抑制するために、および/または前記第2電気モータ(102)の主使用中および前記パワージェネレータ(103)からのパワー引き込みが前記第2モータ(102)の能力を超えるときに前記パワージェネレータに追加のパワーを提供するために、使用される(108、109)ように構成される、請求項1~7のいずれか一項に記載のデュアル作動パワーパック。
【請求項9】
前記デュアル作動パワーパックは、モータ駆動部(105)を用いて前記第1モータ(101)を制御することによって、前記第2電気モータ(102)の電流引き込みおよび負荷、ならびに前記エネルギー貯蔵部(104)の充電または負荷、ならびに/または前記第1モータ(101)の負荷を加減するように構成された制御システム(107)を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載のデュアル作動パワーパック。
【請求項10】
前記エネルギー貯蔵部(104)は、電気エネルギー貯蔵部、再充電可能電気貯蔵部、バッテリ、燃料電池、スーパーキャパシタおよび/またはフライホイールを含む、請求項1~9のいずれか一項に記載のデュアル作動パワーパック。
【請求項11】
パワーパックをデュアル作動させる方法(100)であって、少なくとも、
-前記パワーパックのエネルギー貯蔵部(104)によって前記パワーパックの第1電気モータ(101)を駆動し、グリッド(106)によって前記パワーパックの第2電気モータ(102)を駆動する(104、105)ステップと、
-前記第1および第2電気モータ(101、102)によって前記パワーパックのパワージェネレータ(103)を作動させる(108、109)ステップと、
-
前記第1および第2電気モータ(101、102)が互いにガルバニック絶縁(110)されるように、ならびに、前記第2電気モータ(102)が駆動されたときに前記第2電気モータ(102)が前記パワージェネレータ(103)および前記第1電気モータ(101)を作動させる(109)ように、前記第1および第2電気モータ(101、102)を互いに機械的に連結(108、109)するステップであって、その際前記第1電気モータ(101)は、チャージャまたはローダとして機能し
て前記エネルギー貯蔵部(104)を再充電または再充填し、前記第1電気モータ(101)が駆動されたときに(104、105)、前記第1電気モータ(101)が前記パワージェネレータ(103)を作動させる(108、109)、ステップと、
を含むことを特徴とする、方法。
【請求項12】
前記方法は、前記第2電気モータ(102)を前記グリッド(106)に接続する前に第1電気モータ(101)を同期グリッド(106)速度またはその付近にスピンさせることによって前記電気第2モータ(102)をソフトスタートさせるステップをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記第1および/または第2電気モータの出力速度範囲は、前記機械的連結(108、109)によって前記パワージェネレータの速度範囲に合わせて調節される、請求項11~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記第1電気モータ(101)を使用することによって電力ピークが抑制され、および/または前記第2電気モータ(102)の主使用中に前記第1電気モータを使用することによって前記パワージェネレータに追加のパワーが提供される、請求項11~12のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油圧パワーパックなどのパワーパックを作動させるための方法および装置に関する。特に、本発明は、例えば異なる環境条件のための少なくとも2つの異なる種類の作動方法によってパワーパックを作動させるための方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
油圧ポンプまたはコンプレッサなどのパワージェネレータは通常、電気モータによって駆動される。環境によって電気モータはグリッド駆動または燃焼機関駆動であるが、バッテリ駆動の電気モータもジェネレータを駆動するために使用される。バッテリ駆動の電気モータは、採掘もしくはトンネル掘削現場または基本的に閉じた環境を有するその他の現場など燃焼機関が使用できない状況で、または使用される外部配電グリッドがない場合に一般的に使用される。バッテリ駆動の電気モータは、動作中にグリッドに接続できないノンロード可動機械にも使用されることが多い。これは、例えばグリッドがないこと、または機械の可動性に起因しうる。
【0003】
特許文献1は、外部システムと通信し、自己充電発電機システムに供給するように構成されたバッテリユニットと、主給電源と自己再充電発電機システムとの間で切り替えるように構成された自動スイッチングユニットと、バッテリユニットから電力を受け取るように構成された少なくとも1つの電気モータと、主給電源に障害が発生したときに外部システムに供給される電力を生産するように構成された少なくとも1つのジェネレータとを含む自己再充電発電機システムであって、少なくとも1つのジェネレータによって生産された電力は、自己再充電発電機システムの継続的再充電を行うために自動スイッチングユニットにさらに供給される、自己再充電発電機システムに関する。
【0004】
しかし、特に採掘およびトンネル掘削現場などのように、特に閉じた環境内の弱い電流条件では、既知の従来技術に関していくつかの不都合がある。ジェネレータを駆動するために使用されるグリッド駆動電気モータは通常、特に始動時に負荷ピークを誘発し(公称速度での通常運転中よりも始動時の電流がはるかに高い)、大きなまたは特大のグリッド給電部および電力線に加えて適切な干渉フィルタを使用することによってこれに配慮しなければならない。これは特に一時的採掘またはトンネル掘削工事のような困難な環境では必然的に非常に難しく高価である。加えて、バッテリ駆動モータの使用は、電力グリッドシステムの他の部分への干渉ならびにスパークを誘発しうるが、これらは少なくともノイズを生じだけでなく、閉じた環境では非常に危険でもありうる。したがって、従来技術のシステムでは様々な種類のフィルタが使用され、それによりシステムが大きく、より脆弱で高価になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の目的は、既知の従来技術に関する問題を軽減および排除することである。特に本発明の目的は、動作において費用効果が高く、安全で、軽く、干渉がないものとなるように、また大きな干渉フィルタが回避されうるように、パワーパックをデュアル作動させるための方法および装置を提供することである。加えて、本発明の目的は、大きなさらには特大のグリッド給電部、構成要素または電力線の必要性を最小化し、グリッド負荷を基本的に一定に保つことも可能にすることである。
【0007】
本発明の目的は、独立請求項の特徴によって達成されうる。
【0008】
本発明は、請求項1に記載のデュアル作動パワーパックに関する。加えて、本発明は、請求項11に記載のデュアル作動パワーパックのための方法に関する。
【0009】
本発明の一実施形態によれば、デュアル作動パワーパックは、エネルギー貯蔵部と、第1および第2電気モータと、パワージェネレータとを含み、パワージェネレータは第1および第2電気モータによって作動させられる。第1電気モータはエネルギー貯蔵部によって駆動されるのが有利であり、第2電気モータは例えば配電グリッド、主電流によって、または燃焼機関のパワーによってなど外部的に駆動されるのが有利である。加えて、第1および第2電気モータは、第2電気モータが駆動されたときに第2電気モータがパワージェネレータに加え第1電気モータも作動させるように互いに機械的に連結され、その際第1電気モータはチャージャまたはローダとして機能し、エネルギー貯蔵部を再充電または最充填する。しかし、第1電気モータが駆動されたときには、第1電気モータはパワージェネレータを作動させる。
【0010】
第1および第2電気モータが互いに機械的に連結されたときには、純粋なガルバニック絶縁が達成されうる結果、大きな干渉フィルタを用いずに干渉のない動作も達成され、これは本発明の明らかな利点である。加えて、システム全体の監視も容易に実施されることができ、万一誤動作またはその他の有害なもしくは望ましくない影響が発生した場合には、例えば電気的に分離された電気モータが容易にオフにされるかまたはシステムのグリッドもしくはその他の部分から分離されることができ、それによって干渉が最小化され、さらには排除される。さらに、第2電気モータがパワージェネレータのアクチュエータとして使用されるときに、第1電気モータは、例えば前記エネルギー貯蔵部としてのバッテリを充電するための発電機などのジェネレータとして使用されることができる。チャージャまたはローダとして、特に前記充電器として使用されるときには、第1モータはしかしながらパワージェネレータを作動させるための動力源として設計されているため、第1モータのパワーは非常に大きい。その上、第1モータはさらに外部電力グリッドおよび第2電気モータから電気的に分離され、したがって第1電気モータによってまたは充電中に誘発される可能性のある一切の干渉が電気フィルタまたは装置を用いずに効果的に回避されうることに留意されたい。
【0011】
エネルギー貯蔵部はバッテリであるのが有利であるが、再充電可能エネルギーもしくは電気貯蔵部、燃料電池、スーパーキャパシタもしくはフライホイールまたはそれらの組み合わせなどの他のやり方によっても実施されうる。当然ながら、エネルギー貯蔵部の種類に応じて、チャージャまたはローダとしての第1電気モータが、スーパーキャパシタの充電またはフライホイールへの運動エネルギーまたは他の機械的エネルギーの充填など、対応する様式で調節されねばならない。
【0012】
加えて、本発明の一実施形態によれば、第1電気モータは、第2電気モータがパワージェネレータを作動させるための主源として使用される状況において第2電気モータをソフトスタートさせるためにも使用されうる。ソフトスタートは、例えば第2電気モータをグリッドに接続する前に第1電気モータを同期グリッド速度またはその付近にスピンさせることによって実施されうる。加えて、一実施形態によれば、第1電気モータを使用することによって、生じうる電力ピークが抑制されうる。また、例えば何らかの理由で一時的にパワージェネレータのために必要とされる追加の動力が、第2電気モータの主な使用に対する追加の動力源として第1電気モータを使用することによって提供されうる。
【0013】
上述の実施形態によって、特に始動時の、しかしジェネレータに対する予期しない負荷ピークにも起因する負荷ピークが、最小化または排除されることさえでき、これは非常に重要かつ有利な特徴である、すなわち例えば始動中には必要とされる電流が公称速度での通常運転と比較して数倍大きくなりうる。したがって、グリッド給電部および電力線は基本的に公称速度および通常の運転条件に合わせて設計されることができ、特大の設計は不要である。
【0014】
本発明は、本発明の実施形態に関連して既に上に開示されたように、既知の従来技術に対する利点を提供する。加えて、本発明の実施形態は、ガルバニック分離によって干渉フィルタのような高価で大きな構成要素が必要なくなるため、費用効果の高い様式でコンパクトサイズのシステムの製造を可能にする。本発明はまた、異なる主電圧の使用、および異なる主電圧のために第2電気モータを設計する簡単なやり方を可能にする。さらにおよび特に本発明は、第1電気モータをハイパワーバッテリチャージャとして使用するなど、エネルギー貯蔵部の大きな負荷容量を提供する。本発明は、真のデュアル動作も提供する、すなわち例えば同一の油圧構成要素がなお第1および第2電気モータの両方により使用されうる。
【0015】
本明細書に提示される例示的実施形態は、添付の特許請求の範囲の適用性に制限を課すともの解釈されてはならない。「含む」という動詞は、本明細書では、列挙されていない特徴の存在も排除しないオープンな限定として使用される。従属請求項に記載される特徴は、別段の明記がない限り互いに自由に組み合わせられうる。
【0016】
本発明の特色と考えられる新規な特徴は、特に添付の特許請求の範囲に記載される。しかし、本発明自体は、その構造およびその動作方法の両方に関して、そのさらなる目的および利点とともに、以下の特定の例示的実施形態の説明を添付の図面と併せて読んだときに最もよく理解されるであろう。
【0017】
次に、添付の図面にしたがって例示的実施形態を参照しながら本発明をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の有利な実施形態によるデュアル作動パワーパックのための例示的な装置の原理を示した図である。
【
図2】本発明の有利な実施形態によるデュアル作動パワーパックのための例示的な装置の原理を示した図である。
【
図3】本発明の有利な実施形態によるデュアル作動パワーパックのための例示的な装置の原理を示した図である。
【
図4】本発明の有利な実施形態によるデュアル作動パワーパックのための例示的な機械的連結の原理を示した図である。
【
図5】本発明の有利な実施形態によるデュアル作動パワーパックのための例示的な機械的連結の原理を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1~
図3は、本発明の有利な実施形態によるデュアル作動パワーパックのための例示的な装置の原理を示し、デュアル作動パワーパック100、200、300は、エネルギー貯蔵部としてのバッテリ104と、第1電気モータ101および第2電気モータ102とを含む。第1電気モータ101はバッテリエネルギーによって駆動され111、第2電気モータ102はグリッド106または燃焼機関によって駆動される112ように構成される。加えて、デュアル作動パワーパックは、第1および第2電気モータ101、102によって作動させられるように構成されたパワージェネレータ103を含む。
【0020】
第1および第2電気モータ101、102は、第2電気モータ102が駆動されたときに第2電気モータ102がパワージェネレータ103を作動させるが109、加えて第2電気モータ102が第1電気モータ101も同時に有利に作動させるように、互いに機械的に連結される108(
図4および
図5も参照)。第1電気モータ101は、作動させられたときに、したがって実際には回転させられたときに、ハイパワーバッテリチャージャとして機能し、バッテリ104を充電するように実施されうる。グリッドまたは燃焼機関接続106などの外部エネルギーを使用する可能性がない状況では、第1電気モータ101がパワージェネレータ103を作動させる108ために使用される。第1電気モータ101は、バッテリエネルギー104によって駆動される。
【0021】
機械的連結は、モータ間にガルバニック絶縁110を提供し、それによってデュアル作動パワーパック100、200、300の第1電気モータおよび内部電気機器を外部グリッドまたは電気機器からガルバニックに分離する。したがって、デュアル作動パワーパックの動作は実際上干渉がなく、干渉フィルタが不要である。
【0022】
図に見られるように、機械的連結108、109、ならびにモータおよびパワージェネレータの配備は多数のやり方で実施されうる。例えば第2電気モータ102は、
図1に示されるようにその第1端109でパワージェネレータ103と連結され、その第2端108で第1電気モータ101と連結されることができ、または、
図2および
図3の場合のように、第1電気モータ101が第2電気モータ102とパワージェネレータとの「間に」置かれることができる。
【0023】
パワージェネレータ103は、第1および第2電気モータ101、102から受け取ったエネルギーを空気または油のような流体の移動などの媒体の移動に変換するための変換器として機能するかまたは変換器を含みうる。パワージェネレータ103は、ポンプ、油圧ポンプもしくは油圧パワーパック、またはコンプレッサ、空気コンプレッサもしくは空気圧パワーパックであるかまたはこれらを含むのが最も有利である。
【0024】
有利な実施形態によれば、第1電気モータ101は、第2電気モータ102がパワージェネレータ103を作動させるために使用される状況で第2電気モータ102をソフトスタートさせるためにも使用されうる。これは、例えばグリッド設計が非常に脆弱な場合および始動中にグリッドに対して第2電気モータの始動によって引き起こされる負荷ピークが高いときに非常に好都合な様式であり、ソフトスタートによってグリッドに対する負荷ピークが基本的に排除されうる。ソフトスタートは、例えば第2電気モータ102をグリッド106に接続する前に第1電気モータ101を同期グリッド106速度またはその付近にスピンさせ、それによりグリッド構成要素のペイロードおよび要件を最小化することによって実施されうる。
【0025】
さらに、有利な実施形態によれば、第1電気モータ101は、電力ピークを抑制するために加えて、前記第2電気モータ102の主使用中にパワージェネレータ103からのパワー引き込みが第2電気モータ102の能力または設定閾値を超えるときにパワージェネレータ(または第2電気モータ)に追加のパワーを提供する(パワーブースト機能を提供する)ためにも使用されうる108、109。このようにして、グリッド負荷が基本的に一定に保たれることができるのに加えて、生じうる負荷ピークに起因するシステムまたは構成要素の特大化の必要性が最小化または排除されることもできる。
【0026】
第2電気モータ102は典型的には誘導モータであり、主電流106(グリッド接続)によって駆動される。しかし、主電流またはグリッド接続は例にすぎず、燃焼機関または燃料電池など、第2電気モータ102を作動させるために任意の種類の外部発電機106または任意の種類の外部電源が使用されうることに留意されたい。使用される外部エネルギー源接続の種類に応じて、例えば動作電圧が第2電気モータに適するように調節されるなど、第2電気モータのパラメータが調節されうる。
【0027】
加えて、デュアル作動パワーパックは、モータおよびパワージェネレータの動作を制御するための制御システム107も含みうる。例えば、制御システム107は、第2電気モータ102の電流引き込みおよび負荷、ならびにバッテリ104の電流などのエネルギー貯蔵部104の充電または負荷を加減しうる。加えて、制御システム107は、例えばモータ駆動部105を用いて第1モータ101を制御することによって第1モータ101の負荷も制御するほか、ソフトスタートを制御してパワーブースト機能も提供しうる。
【0028】
第1および第2電気モータ101、102のパワーおよびその他のパラメータは当然変動しうるが、例として、20~90kWの範囲内、より有利には30~75kWの範囲内、最も有利には約50kWでありうる。当然のことながら、第1および第2電気モータ101、102のパワーは互いに異なることができ、要求および需要によっても変動しうる。
【0029】
図4~
図5は、本発明の有利な一実施形態によるデュアル作動パワーパックのための例示的な機械的連結400、500の原理を示し、
図4では、第1電気モータ101を介した第2電気モータ102からパワージェネレータ103への直接的機械的リンクが示される。この実施形態では、第2電気モータの使用時に第1電気モータが常に作動させられるように、機械的連結108、109が直接的機械的リンクによって実施されうる。第1電気モータの使用時に第1電気モータが第2電気モータを回転させないように第2電気モータを機械的に切断するためにクラッチもしくはフリークラッチまたはその他の接続および切断デバイスが使用されうることに留意されたい。加えて、機械的連結108、109は、例えばシャフト、クラッチまたはチェーンもしくはベルトによって実施されうるが、当業者に知られる他の種類の連結も使用されうる。
【0030】
図5は、ギア式機械的リンクまたはギアボックス113が使用される別の例を示す。ギアは、例えば異なる状況および/またはパワージェネレータ103の最適速度範囲のために第1および/または第2電気モータ101、102の出力速度範囲を互いに調整するために使用されうる。例えば、油圧ポンプは、第1および/または第2電気モータ101、102の出力速度範囲が調節されるべき、ある最適な基本的に一定のRPM範囲を有する。
【0031】
ギアは一定の変速比を有しうるが、例えばソフトスタートまたは他の機能のために複数の異なる変速比を有するギアボックスが使用されることもできる。加えて、制御システム107が、例えば異なる負荷または機能のために異なる速度範囲を達成するためにギアボックスの動作も制御しうることに留意されたい。
【0032】
本発明が前述の実施形態を参照して以上に説明され、本発明のいくつかの利点が示されている。本発明がこれらの実施形態だけに限定されるのではなく、本発明の思想および以下の特許請求の範囲の精神および範囲内のすべての可能な実施形態を含むことは明らかである。例えば、図に関連して説明されたバッテリは、エネルギー貯蔵部の一例に過ぎず、エネルギー貯蔵部は、当然ながら本明細書の他の箇所に開示されるように別の種類のエネルギー貯蔵部であってもよい。第2電気モータにエネルギーを供給するために使用される外部エネルギー源の種類にも同じことが当てはまり、外部エネルギー源も、本明細書の他の箇所に開示されるように他の種類のエネルギー源でもあってもよい。さらに、図に示される構成要素の配置は例にすぎない。
【0033】
従属請求項に記載される特徴は、別段の明記がない限り互いに自由に組み合わせられうる。