(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-02
(45)【発行日】2022-12-12
(54)【発明の名称】血液成分濃度レベルのリアルタイムモニタリング用の波長可変ハイブリッドIII-V/IVレーザセンサシステムオンチップ
(51)【国際特許分類】
A61B 5/1455 20060101AFI20221205BHJP
G01N 21/3563 20140101ALI20221205BHJP
G01N 21/3577 20140101ALI20221205BHJP
【FI】
A61B5/1455 ZDM
G01N21/3563
G01N21/3577
(21)【出願番号】P 2019565420
(86)(22)【出願日】2018-05-21
(86)【国際出願番号】 EP2018063260
(87)【国際公開番号】W WO2018215388
(87)【国際公開日】2018-11-29
【審査請求日】2021-05-13
(32)【優先日】2017-05-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-08-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-12-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519416451
【氏名又は名称】ブロリス センサー テクノロジー,ユーエイビー
【氏名又は名称原語表記】BROLIS SENSOR TECHNOLOGY,UAB
(73)【特許権者】
【識別番号】519416462
【氏名又は名称】ウニベルスィテイト ゲント
【氏名又は名称原語表記】UNIVERSITEIT GENT
(73)【特許権者】
【識別番号】520357464
【氏名又は名称】イメック フェーゼットベー
【氏名又は名称原語表記】IMEC vzw
【住所又は居所原語表記】Kapeldreef 75,3001 Leuven,Belgium
(74)【代理人】
【識別番号】100087642
【氏名又は名称】古谷 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100082946
【氏名又は名称】大西 昭広
(74)【代理人】
【識別番号】100195693
【氏名又は名称】細井 玲
(72)【発明者】
【氏名】ヴィズバラス,アウグスティナス
(72)【発明者】
【氏名】ヴィズバラス,クリスティヨナス
(72)【発明者】
【氏名】シモニーテ,イーヴァ
(72)【発明者】
【氏名】レールケンズ,グンター
【審査官】磯野 光司
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2011/029886(WO,A1)
【文献】米国特許第09608406(US,B1)
【文献】特開2005-224530(JP,A)
【文献】特開2017-009686(JP,A)
【文献】特表2016-500472(JP,A)
【文献】特開2008-301944(JP,A)
【文献】特表2015-527117(JP,A)
【文献】特表2002-510515(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/1455-5/1464
G01N 21/3563
G01N 21/3577
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験体の血液成分濃度レベルをリアルタイムモニタリングするためのレーザ系センサシステムオンチップであって、
波長可変ハイブリッドIII-V/IVレーザセンサ;および
前記レーザセンサに結合された光ファイバインターフェース
を備えており、ここで前記
光ファイバインターフェースはプローブを含み、
ここで使用中、前記レーザセンサは前記被験体から離れており、前記プローブは前記被験体と光通信する
、システムオンチップ。
【請求項2】
前記IVは、シリコン、シリコンオンインシュレータ、窒化シリコンオンシリコンオンインシュレータ、ゲルマニウムオンインシュレータ、および窒化シリコンオンシリコンからなる群から選択されるIV系半導体基板を含む、請求項1のレーザ系センサシステムオンチップ。
【請求項3】
前記波長可変レーザセンサは、III-VゲインチップとIV系基板上に配置されたフォトニック集積回路とを備えており、前記フォトニック集積回路は、(i)バーニア効果に基づく波長フィルタリングおよびチューニング機能を実行するように構成され、そして(ii)前記III-Vゲインチップの外部キャビティを規定し、任意にて
前記フォトニック集積回路は、スポットサイズモード変換器、位相制御部、および第2のフリースペクトルレンジを有する第2の共振器に結合された第1のフリースペクトルレンジを有する第1の共振器を備えており、さらに任意にて
前記の第1および第2の共振器は、マイクロリング共振器、抽出ブラッグ反射器、および分布帰還反射器からなる群から選択される、および/または
前記第1のフリースペクトルレンジは、前記第2のフリースペクトルレンジと異なる、および/または
前記の結合された第1および第2の共振器、前記III-Vゲインチップ、スポットサイズモード変換器、および位相制御部は、前記波長可変レーザセンサのバーニア効果に基づくチューニングを可能にするよう協働する、および/または
前記波長可変レーザセンサは、動作中、少なくとも1つの前記の結合された共振器に電流または熱の少なくとも1つを印加してその有効屈折率を変化させることにより、前記ゲインチップにより生成されるレーザの波長の変化をもたらすように構成されている、請求項1のレーザ系センサシステムオンチップ。
【請求項4】
前記III-Vゲインチップは、前記フォトニック集積回路に端面結合されており、任意にて
前記III-Vゲインチップは、グレーティングカプラによって前記フォトニック集積回路に結合されている
、請求項
3のレーザ系センサシステムオンチップ。
【請求項5】
前記レーザセンサは、フリップチップボンディング、接着、転写印刷技術、またはサイドカップリングの少なくとも1つによってフォトニック集積回路に結合された少なくとも1つのIII-Vフォトダイオードを含む
、請求項
1~3のいずれか
一項に記載のレーザ系センサシステムオンチップ。
【請求項6】
前記波長可変レーザセンサから離れて配置されたディスクリートIII-Vフォトダイオードをさらに備え、ここで使用中、前記被験体からの反射信号は前記ディスクリートIII-Vフォトダイオードによって収集され、任意にて
前記フォトニック集積回路は、信号および波長モニタリング部を備えており、さらに任意にて
前記信号および波長モニタリング部は、(i)マッハツェンダ干渉計のセットまたは結合されたリング共振器の少なくとも1つ、および(ii)少なくとも1つのフリップチップIII-Vフォトダイオードを備えており、さらにまた任意にて
前記レーザセンサは、
レーザ駆動電子機器;および
信号処理マイクロコントロー
ラ
をさらに備えており、ここで前記マイクロコントローラは、(i)前記レーザ駆動電子機器を制御し、(ii)電流を調整し、そして(iii)前記ディスクリートIII-Vフォトダイオードから得たデータの信号処理のため前記波長および信号モニター部からの情報を使用するように構成されている
、請求項
1~3のいずれか
一項に記載のレーザ系センサシステムオンチップ。
【請求項7】
前記レーザセンサは、時間の関数としてチューニング範囲にわたって波長掃引を実行するように構成されており、そして前記レーザセンサは、前記被験体から反射された光を電気信号に変換するように構成されたフォトダイオードを備えている、および/または
前記光ファイバインターフェースは、光学カテーテルに接続されており、そして(i)前記センサからの光信号を前記被験体の血液に送信し、(ii)前記被験体の血液からの反射光を前記センサに送信するように構成されている、および/または
前記光ファイバインターフェースは、前記被験体の皮膚または外側組織を通して前記被験体の血液サンプルを非侵襲的に照射するように構成されたビーム整形光学部品と光通信している
、請求項
1~3及び5のいずれか
一項に記載のレーザ系センサシステムオンチップ。
【請求項8】
被験体の血液成分濃度レベルをリアルタイムモニタリングするためのレーザ系センサシステムオンチップを製造する方法であって、
III-V半導体ゲインチップを製造すること、
CMOS技術によりIV族系半導体基板上にフォトニック集積回路を作成してIV族半導体チップを規定すること、および
前記III-V
半導体ゲインチップと前記IV族半導体チップをハイブリッド集積することにより、
波長可変ハイブリッドIII-V/IVレーザセンサを製造する
ステップと、
ここで前記フォトニック集積回路は、(i)バーニア効果に基づいて波長フィルタリングおよびチューニング機能を実行するように構成され、そして(ii)前記III-V
半導体ゲインチップの外部キャビティを規定し;ならびに
光ファイバインターフェースを前記レーザセンサに結合する
ステップとを含み、前記インターフェースはプローブを含み、
ここで使用中、前記レーザセンサは前記被験体から離れており、そして前記プローブは前記被験体と光通信する
、方法。
【請求項9】
前記III-V
半導体ゲインチップと前記IV族半導体チップをハイブリッド集積することは、前記III-V
半導体ゲインチップを前記IV族半導体チップに端面結合すること、前記の2つのチップを能動的に位置合わせすること、および前記の2つのチップを接着することを含む、および/または
前記チップをハイブリッド集積することは、前記III-V
半導体ゲインチップp側を下に反転させること、および前記フォトニック集積回路への端面結合のため前記
III-V半導体ゲインチップを前記IV族半導体チップに規定されたトレンチにボンディングすることを含む、請求項8の方法。
【請求項10】
前記III-V半導体ゲインチップを製造することは、MBEまたはMOVPE成長の少なくとも1つにより基板上にレーザ層構造をエピタキシャル成長させることを含み、任意にて
前記基板上の前記レーザ層構造を、所定の導波路角度およびコンタクトパッドを含むゲインチップデバイスに処理することをさらに含み、さらに任意にて
前記基板上の前記レーザ層構造をバーにへき開することを含み、さらにまた任意にて
反射防止コーティングを出力ファセット上に形成することを含み、ここで出力反射は前記出力ファセットで0.1%未満であり、さらにまた任意にて
高反射率コーティングをバックファセット上に形成することをさらに含み、ここで出力反射率は前記バックファセットで少なくとも90%以上であり、さらにまた任意にて
各バーを複数の個々のIII-V半導体ゲインチップにへき開することをさらに含み、さらにまた任意にて
前記III-V
半導体ゲインチップの特性に応じてフォトニック集積回路を設計することをさらに含み、前記フォトニック集積回路はスポットサイズ変換器およびバーニアフィルタのうちの少なくとも1つを含む、請求項8の方法。
【請求項11】
セルのアレイを含むセンサであって、各セルは請求項1
~7のいずれか
一項に記載のレーザ系センサシステムオンチップを含み、ここで各アレイセルは異なるスペクトル領域および個別の標的分子を標的としており、任意にて
各アレイセルの波長掃引レーザ信号は異なる時間に放出され、そして信号収集は単一のフォトダイオードにて同期検出により実現される、センサ。
【請求項12】
(i)前記光ファイバインターフェースは、コアを有するアウトカップリングファイバを備え、(ii)前記アレイの出力は、前記システムオンチップの同じ部分にルーティングされた前記個々のアレイセルからのグレーティングカプラの群によって形成され、そして(iii)前記グレーティングカプラの群によって規定される総面積は、アウトカップリングファイバコアの断面積よりも小さい
、請求項11のセンサ。
【請求項13】
単一の出力部;
前記アレイセルの出力を切り替えるように構成された波長スイッチ;および
単一のフォトダイオードをさらに備え、
ここで(i)前記センサアレイの出力は、前記単一の出力部および前記波長スイッチによって形成され、(ii)個々のセルの出力を切り替えることは、所与の時間に前記標的にアウトカップリングされる1つのアレイセルの単一の出力をもたらし、そして(iii)信号収集は、前記単一のフォトダイオードにて同期検出によって実現される、請求項11のセンサ。
【請求項14】
(i)少なくとも1つのアレイセルが、約1460nm、約1900-2000nm、および約3000nmからなる群から選択される少なくとも1つの水吸収ピークに対応するスペクトル領域を標的としており、そして(ii)少なくとも1つの他のアレイセルは、血液成分の標的分子の少なくとも1つの吸収ピークに対応するスペクトル領域を標的としており、任意にて
前記の少なくとも1つのアレイセルで測定された前記の少なくとも1つの水吸収ピークに基づいて水分濃度レベルおよび水吸収スペクトルを決定するようにプログラムされた少なくとも1つの中央処理装置をさらに備え、さらに任意にて
前記中央処理装置は、ベースラインを削除し、そして前記の少なくとも1つのアレイセルに隣接するアレイセルがカバーするスペクトル領域の複合吸光度スペクトルを分解して元となる標的分子吸収特徴を明らかにするようにさらにプログラムされている、請求項11のセンサ。
【請求項15】
前記中央処理装置は、拡散反射スペクトルを吸光度に変換するようにさらにプログラムされており、任意にて
前記吸光度は、他の分子吸収との重複が存在しない異なるスペクトル領域で動作する隣接するアレイセルからの情報を使用することにより分離される複数の個々の吸光度スペクトル成分を含む収集吸光度スペクトルを含み、さらに任意にて
前記中央処理装置は、1より多い標的分子の吸収スペクトル特性が重複するスペクトル領域のベースラインを修正および削除するようにさらにプログラムされており、さらにまた任意にて
前記中央処理装置はさらに、前記の個々の吸光度スペクトル成分の少なくとも1つを使用して、較正された濃度レベルを決定するようにプログラムされており、さらにまた任意にて
前記較正された濃度レベルは、所与の波長での複数の個々の分子のそれぞれに対する個々の吸光度値と較正された減衰係数に基づいて決定される、請求項
14のセンサ。
【請求項16】
前記中央処理装置はさらに、特定のサンプル量とは無関係に標的分子濃度を決定するようプログラムされている、請求項
14または
15のセンサ。
【請求項17】
被験体の血液成分濃度レベルをリアルタイムモニタリングするためのレーザ系センサシステムオンチップであって、
波長可変ハイブリッドIII-V/IV
レーザセンサ;および
前記レーザセンサに結合された光学インターフェース、ここで前記光学インターフェースはビーム整形光学部品を含み、
ここで使用中、前記レーザセンサは前記被験体から離れており、そして前記光学インターフェースは、前記被験体の皮膚または外側組織を通して前記被験体の血液サンプルを非侵襲的に照射するように構成されている、を備えているシステムオンチップ。
【請求項18】
セルのアレイを含むセンサであって、各セルは請求項
17のレーザ系センサシステムオンチップを含み、ここで各アレイセルは異なるスペクトル領域および個別の標的分子を標的としており、任意にて
各アレイセルの個々の出力は前記被験体の単一の領域を照明するよう焦点を合わせされ、そして各反射信号は前記ビーム整形光学部品によって前記の照明された領域から収集される、センサ。
【請求項19】
前記ビーム整形光学部品は、少なくとも1つの光学素子を含み、任意にて
前記光学素子は、レンズ、鏡のセット、および放物面鏡のうちの少なくとも1つを含む、請求項
18のセン
サ。
【請求項20】
被験体の血液成分レベルをリアルタイムモニタリングする方法であって、
波長可変ハイブリッドIII-V/IVレーザセンサ、
前記レーザセンサに結合された光ファイバインターフェース、ここで前記
光ファイバインターフェースはプローブを含み、
センサ制御および信号処理用のセンサ制御電子機器、および
信号処理マイクロコントロー
ラ
を備えたシステムオンチップを提供するステップと;
前記レーザセンサ
を前記被験体から離れて配置し、そして
非侵襲性血液分析物濃度レベル測定のために、前記プローブ
を前記被験体と光通信するよう
に取り付けるステップと;、
前記光ファイバインターフェースに掃引レーザ信号を送信することにより、前記システムオンチップに前記被験体の前記血液成分レベルをモニタリングするよう指示する
ステップと;
前記光ファイバインターフェースにて前記被験体の前記血液に前記信号を導く
ステップと;
前記信号が前記血液と相互作用した後、前記血液からの反射信号を前記光ファイバインターフェースで収集する
ステップと;
前記反射信号を反射光フォトダイオードに導く
ステップと、ここで前記反射信号は光信号であり;
前記反射信号を光信号から電気信号に変換する
ステップと;ならびに
前記マイクロコントローラで前記電気信号を処理して、前記電気信号を較正された血液成分レベルに変換する
ステップと
を含む方法。
【請求項21】
前記血液成分は、乳酸、アルブミン、グルコース、アンモニア、クレアチニン、および尿素からなる群から選択される、請求項
20の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2017年5月22日に出願された米国仮出願番号62/509,301、2017年8月1日に出願された米国仮出願番号62/539,759、および2017年12月6日に出願された米国仮出願番号62/595,283の優先権を主張し、これらのそれぞれは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明の実施形態は、概して、血中乳酸および血中グルコース濃度レベルのモニタリングなどの人体の血中分析物濃度レベルのリアルタイム連続モニタリングのためのハイブリッドIII-V/IVシステムオンチップ技術に基づく半導体系分光センサに関する。
【背景技術】
【0003】
アメリカ臨床化学会(AACC)によると、グルコース、乳酸、尿素、クレアチニン、アンモニア、アルブミンその他などの血液分析物は、救命医療で最も重要な血液分析物と考えられており、これらは、敗血症、臓器機能不全および障害、低酸素症、糖尿病、脱水症その他などの重大な症例を診断および治療するためにモニタリングする必要がある。
【0004】
30%を超える高い死亡率となる敗血症などの場合、時間は重要な要素であり、そして乳酸などの重要な血液分析物のリアルタイムモニタリングは非常に重要であり、患者の生存率に直接影響し得る。敗血症の場合、治療が一時間遅れるごとに死亡率が8%増加すると報告されており、したがって適時の診断は最も重要である。米国のみでも、敗血症単独で25万人を超える死に至る症例の原因となっており、これは米国で3番目に多い死因である。さらに、2014年のアメリカの病院では、敗血症が毎年約240億米ドルの入院患者の最も高価な費用であった。2017年5月10日に接続の、www.sepsis.com/definitionおよびhttp://www.sepsis.org/faq/を参照されたく、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。適切な治療と組み合わせて適時に診断された敗血症は、患者の命を救うことができる重要な要因である。乳酸は敗血症の場合の予後診断マーカーであり、血中乳酸レベルのリアルタイムモニタリングは、早期警告ならびに治療の有効性にとって重要である。
【0005】
以前の研究では、光を利用するものを含むさまざまなモニタリング技術について報告されている。米国特許公開第2014/0176958号および2012/0226118号、ならびに米国特許第6,442,413号および第5,945,676号を参照されたく、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。ただし、これらの報告されたシステムは、埋め込み型で、MEMSミラーなどの可動部品を使用し、および/またはIII-V/IV技術に関連しない広帯域源を使用する。埋め込み型センサには、生体適合性に関連するさらなるリスクとさらなる感染のリスクが伴うことが多く、そしていくつかのアプリケーションでは制限要因となり得る直接モニタリングのための埋め込み場所に関して制限を有している。広帯域源は、スペクトルパワー密度が低くなり、導波路アレイや光検出器アレイなどの複合波長識別スキームを必要とする(2×12または米国特許公開番号第2012/0226118号と同様)。
【発明の概要】
【0006】
本発明の実施形態によるセンサは、現存の血管内に入ることができ、すなわち、光ファイバインターフェースを有する静脈内または動脈内カテーテルであり、したがって、センサをリアルタイムでの直接血中代謝物レベル測定に使用することができる。これは、集中治療室や手術室などの救命救急治療で特に役立ち、ここでは血中代謝産物濃度レベルの精度が重要であり、特に血中代謝産物のレベルが体内で異なる可能性がある敗血症などの特定の場合に重要である。
【0007】
本明細書で説明される構成の実施形態は、重要な利点を提供する。たとえば、乳酸レベル測定の既存の方法は、通常、治療現場でまたは離れた臨床検査で実施される。これにより、検査所要時間は数分から数時間にわたる。特に治療現場での検査では、通常、非リアルタイムで数分の検査所要時間を要し、すなわち血液は、患者から採取し、そして単一のデータポイントを提供する機器により処理されなければならない。本発明の実施形態によるリアルタイム測定は、一定期間にわたって複数のデータポイントを連続的に収集することができ、治療の有効性を評価する上で重要となり得る履歴トレンドの重要な情報を提供することを可能にする。
【0008】
運動競技やプロスポーツの場合など、精度がそれほど重要ではなく、体内の血中代謝産物レベルの違いがそれほど重要でない用途では、外部から組織に光を送る非侵襲的な方法を使用できる。後者の方法は、集中治療室(ICU)および手術室の外部の患者の診療で、患者に過度の負担をかけることなく、オキシメトリなどの他の既存の測定とともに早期警告システムとして使用できる。さらに、敗血症のような複合的な症例の早期警告予防を改善することにより、治療と入院の観点からかなりの費用を節約することが期待されている。
【0009】
本発明の実施形態は、III-V/IV技術で実現される広範囲波長可変(チューナブル)レーザ概念に基づくセンサを含み、III-Vは、典型的には当業者にIII-V半導体として知られている、AlGaInNAsSbPおよびそれらの異なる組み合わせに基づく半導体材料を指す。IVは、IV族系半導体基板と、シリコン、シリコンオンインシュレータ(SOI)、ゲルマニウムオンインシュレータ(GOI)、ゲルマニウムオンシリコン、窒化シリコンオンシリコン、窒化シリコンオンインシュレータ、および窒化シリコンオンシリコンオンインシュレータなどのそれら技術プラットフォームを指す。IV族技術は、マイクロエレクトロニクス業界で使用される標準的な産業用CMOS製造ステップであるプロセスを使用し、IV族材料とその誘導体に基づいたフォトニック集積回路の実現を可能にする。非埋め込み型センサは動く機械部品がなく、そしてレーザ吸収分光法を使用してリアルタイムでの直接血中代謝物濃度レベル測定を提供する。例示的な広範囲波長可変レーザは、シリコン、窒化シリコン、シリコンオンインシュレータ、窒化シリコンオンシリコンオンインシュレータ、窒化シリコンオンインシュレータ、またはゲルマニウムオンインシュレータプラットフォームチップで実現されるGaSb系ゲインチップ活性媒体と外部フィルタのハイブリッドな組み合わせによって製造されてもよい。例えば、R. Wang et al., Optics Express, 24 (25), 28977-28986 (2016)を参照されたく、その開示は、広範囲波長可変レーザの製造および使用を例示するために、本開示の一部としてその全体が特に本明細書に組み込まれることを意図している。このレーザは、簡単な波長制御回路と、いくつかの信号検出用GaSb系フォトダイオードと組み合わされて、高い信号輝度とそれによる感度を提供する。
【0010】
一態様では、本発明の実施形態は、被験体の血液成分濃度レベルをリアルタイムモニタリングするためのレーザ系センサシステムオンチップに関する。システムオンチップは、(i)波長可変ハイブリッドIII-V/IVレーザセンサ;および(ii)レーザセンサに結合された光ファイバインターフェースを含み、該インターフェースはプローブを含む。使用中、レーザセンサは被験体から離れており、プローブは被験体と光通信する。
【0011】
以下の特徴の1つ以上が含まれてもよい。IVには、シリコン、シリコンオンインシュレータ、窒化シリコンオンシリコンオンインシュレータ、ゲルマニウムオンインシュレータ、窒化シリコンオンシリコンなどのIV族系半導体基板が含まれる。波長可変レーザセンサは、III-Vゲインチップと、シリコンオンインシュレータ、窒化シリコン、窒化シリコンオンシリコンオンインシュレータ、ゲルマニウムシリコンまたはゲルマニウムオンインシュレータ基板などのIV族半導体上に配置されたフォトニック集積回路とを備えてもよく、フォトニック集積回路は、(i)バーニア効果に基づいて波長フィルタリングおよびチューニング機能を実行するように構成されており、(ii)III-Vゲインチップの外部キャビティを規定している。
【0012】
フォトニック集積回路は、スポットサイズモード変換器、位相制御部、および第2のフリースペクトルレンジを有する第2の共振器に結合された第1のフリースペクトルレンジを有する第1の共振器を含み得る。第1および第2の共振器は、例えば、マイクロリング共振器、抽出ブラッグ反射器、または分布帰還反射器であり得る。第1のフリースペクトルレンジは、第2のフリースペクトルレンジと異なることがあり得る。
【0013】
結合された第1および第2の共振器、III-Vゲインチップ、スポットサイズモード変換器、および位相制御部は、波長可変レーザセンサのバーニア効果に基づくチューニングを可能にするために協働し得る。波長可変レーザセンサは、動作中、少なくとも1つの結合した共振器に電流または熱の少なくとも1つを印加してその有効屈折率を変化させ、ゲインチップによって生成されるレーザの波長の変化をもたらすように構成され得る。
【0014】
III-Vゲインチップは、たとえばグレーティングカプラによって、フォトニック集積回路に端面結合することができる。
【0015】
レーザセンサは、フリップチップボンディング、接着、転写印刷技術、またはサイドカップリングのうちの少なくとも1つによってフォトニック集積回路に結合された少なくとも1つのIII-Vフォトダイオードを含み得る。
【0016】
ディスクリートIII-Vフォトダイオードは、波長可変レーザセンサから離れて配置されてもよく、ここで使用中、被験体からの反射信号は、ディスクリートIII-Vフォトダイオードによって収集される。フォトニック集積回路は、信号および波長モニタリング部を含んでもよい。信号および波長モニタリング部は、(i)一組のマッハツェンダ干渉計または結合リング共振器の少なくとも1つ、および(ii)少なくとも1つのフリップチップIII-Vフォトダイオードを含んでもよい。レーザセンサは、レーザ駆動電子機器および信号処理マイクロコントローラをさらに含んでもよい。マイクロコントローラは、(i)レーザ駆動電子機器を制御し、(ii)電流を調整し、(iii)ディスクリートIII-Vフォトダイオードから得たデータの信号処理のため波長および信号モニター部からの情報を使用するように構成されてもよい。
【0017】
レーザセンサは、時間の関数としてチューニング範囲にわたって波長掃引を実行するように構成されてもよく、そしてレーザセンサは、被験体から反射された光を電気信号に変換するように構成されたフォトダイオードを含んでもよい。
【0018】
光ファイバインターフェースは、光学カテーテルに接続されてもよく、そして(i)センサから被験体の血液に光信号を送信し、そして(ii)被験体の血液からセンサに反射光を送信するように構成されてもよい。
【0019】
光ファイバインターフェースは、被験体の皮膚または外側組織を通して被験体の血液サンプルを非侵襲的に照射するように構成されたビーム整形光学部品と光通信していてもよい。
【0020】
別の態様では、本発明の実施形態は、波長可変ハイブリッドIII-V/IVレーザセンサの製造方法に関する。該方法は、(i)III-V半導体ゲインチップを製造すること;(ii)CMOS技術によりIV系半導体基板上にフォトニック集積回路を作成してIV族半導体チップを規定すること;および(iii)III-VゲインチップとIV族半導体チップをハイブリッド集積することのステップを含む。フォトニック集積回路は、バーニア効果に基づいて波長フィルタリングとチューニング機能を実行するように構成され、そしてIII-Vゲインチップの外部キャビティを規定する。
【0021】
以下の特徴の1つ以上が含まれてもよい。III-VゲインチップとIV族半導体チップをハイブリッド集積することは、III-VゲインチップをIV族半導体チップに端面結合すること、2つのチップを能動的に位置合わせすること、および2つのチップを接着することを含んでもよい。
【0022】
チップをハイブリッド集積することは、III-Vゲインチップのp側を下に反転させること、およびフォトニック集積回路への端面結合のためにIV半導体チップに規定されたトレンチにゲインチップをボンディングすることを含んでもよい。
【0023】
III-V半導体ゲインチップを製造することは、MBEまたはMOVPE成長の少なくとも1つにより、基板上にレーザ層構造をエピタキシャル成長させることを含んでもよい。
【0024】
基板上のレーザ層構造は、所定の導波路角度とコンタクトパッドを含むゲインチップデバイスに処理されてもよい。
【0025】
基板上のレーザ層構造は、バーへとへき開されてもよい。バーは、複数の個々のIII-V半導体ゲインチップにへき開されてもよい。
【0026】
反射防止コーティングは、出力ファセット上に形成することができ、ここで出力反射は出力ファセットで0.1%未満である。高反射率コーティングはバックファセットに形成されてもよく、出力反射率はバックファセットで少なくとも90%以上である。
【0027】
フォトニック集積回路は、III-Vゲインチップの特性に従って設計してもよく、ここでフォトニック集積回路は、スポットサイズ変換器とバーニアフィルタの少なくとも一方を含む。
【0028】
センサは、セルのアレイを含むことができ、各セルは上述のレーザ系センサシステムオンチップを含み、各アレイセルは異なるスペクトル領域と個別の標的分子を標的にしている。
【0029】
各アレイセルの波長掃引レーザ信号は、異なる時間に放出されてもよく、そして信号収集は、単一のフォトダイオードでの同期検出によって実現され得る。
【0030】
光ファイバインターフェースは、コアを有するアウトカップリングファイバを含んでもよい。アレイの出力は、システムオンチップの同じ部分にルーティングされた個々のアレイセルからのグレーティングカプラの群によって形成されてもよい。グレーティングカプラの群で規定される総面積は、アウトカップリングファイバコアの断面積よりも小さい。
【0031】
センサは、単一の出力部、アレイセルの出力間を切り替えるように構成された波長スイッチ、および単一のフォトダイオードをさらに含んでもよい。センサアレイの出力は、単一の出力部と波長スイッチによって形成される。個々のセルの出力間でスイッチすると、1つのアレイセルの単一の出力が所与の時間に標的にアウトカップリングされることになる。信号収集は、単一のフォトダイオードにて同期検出により実現される。
【0032】
請求のセンサは、約1460nm、約1900-2000nm、および約3000nmからなる群から選択される少なくとも1つの水吸収ピークに対応するスペクトル領域を標的とする少なくとも1つのアレイセル、および(ii)血液成分標的分子の少なくとも1つの吸収ピークに対応するスペクトル領域を標的とする少なくとも1つの他のアレイセルを含むことができる。
【0033】
センサは、少なくとも1つのアレイセルで測定された少なくとも1つの水吸収ピークに基づいて水分濃度レベルおよび水吸収スペクトルを決定するようにプログラムされた少なくとも1つの中央処理装置をさらに含み得る。
【0034】
中央処理装置は、ベースラインを除去し、少なくとも1つのアレイセルに隣接するアレイセルがカバーするスペクトル領域の複合吸収スペクトルを分解して、元となる標的分子吸収特徴を明らかにするようにプログラムされてもよい。
【0035】
中央処理装置は、拡散反射スペクトルを吸光度に変換するようにさらにプログラムされてもよい。吸光度は、他の分子吸収と重複しない異なるスペクトル領域で動作する隣接するアレイセルからの情報を使用することにより分離された複数の個々の吸光度スペクトル成分を有する収集吸光度スペクトルを含み得る。中央処理装置は、1より多い標的分子の吸収スペクトル特性が重複するスペクトル領域のベースラインを修正および除去するようにさらにプログラムされてもよい。中央処理装置は、個々の吸収スペクトル成分の少なくとも1つを使用して較正された濃度レベルを決定するようにさらにプログラムされてもよい。較正された濃度レベルは、所与の波長での複数の個々の分子のそれぞれに対する個々の吸光度値と較正された減衰係数に基づいて決定されてもよい。中央処理装置は、特定のサンプル量とは無関係に標的分子濃度を決定するようにさらにプログラムされてもよい。
【0036】
別の態様では、本発明の実施形態は、被験体の血液成分濃度レベルをリアルタイムモニタリングするためのレーザ系センサシステムオンチップに関する。システムオンチップは、(i)波長可変ハイブリッドIII-V/IVレーザセンサ、および(ii)レーザセンサに結合された光学インターフェース、ここでインターフェースはビーム整形光学部品を含む、を含む。使用中、レーザセンサは被験体から離れており、光学インターフェースは、被験体の皮膚または外側組織を通して被験体の血液サンプルを非侵襲的に照射するように構成されている。
【0037】
以下の特徴の1つ以上が含まれてもよい。センサは、セルのアレイを含んでもよく、各セルは、上述の波長可変レーザセンサおよび光学インターフェースを含むレーザ系センサシステムオンチップを含む。各アレイセルは、異なるスペクトル領域および個別の標的分子を標的とすることができる。
【0038】
各アレイセルの個々の出力は、集束されて被験体の単一の領域を照明してもよく、そして各反射信号は、ビーム整形光学部品によって照明された領域から収集される。ビーム整形光学部品は、少なくとも1つの光学素子、例えば、レンズ、一組の鏡、および/または放物面鏡を含み得る。
【0039】
さらに別の態様では、本発明の実施形態は、システムオンチップを提供することを含む、被験体の血液成分レベルのリアルタイムモニタリングの方法に関する。システムオンチップは、波長可変ハイブリッドIII-V/IVレーザセンサ、レーザセンサに結合された光ファイバインターフェース、ここで該光ファイバインターフェースはプローブを含み、センサ制御および信号処理用のセンサ制御電子機器、ならびに信号処理マイクロコントローラを含む。レーザセンサは被験体から離れて配置され、プローブは被験体と光通信する。システムオンチップは、掃引レーザ信号を光ファイバインターフェースに送ることにより、被験体の血液成分レベルをモニタリングするよう指示される。信号は、光ファイバインターフェースにより被験体の血液に導かれる。信号が血液と相互作用した後、光ファイバインターフェースは血液からの反射信号を収集する。反射信号は反射光フォトダイオードに導かれ、ここで反射信号は光信号である。反射信号は、センサ制御電子回路によって光信号から電気信号に変換される。電気信号は、マイクロコントローラで処理され、電気信号が較正された血液成分レベルに変換される。
【0040】
以下の特徴の1つ以上が含まれてもよい。プローブは、侵襲性血液分析物濃度レベル測定のために、静脈内光学カテーテルまたは動脈内光学カテーテルの少なくとも1つに接続されてもよい。光学的インターフェースは、非侵襲血液分析物濃度レベル測定のために被験体に取り付けられてもよい。血液成分は、例えば、乳酸、アルブミン、グルコース、アンモニア、クレアチニン、および/または尿素を含んでもよく、または本質的にそれらからなっていてもよい。
【0041】
上述の様々な実施形態は、本発明のシステムに一般的に適用できる本発明の個々の特徴を表す。これらの特徴は、好ましい特徴として個々に取られてもよいし、これらの好ましい特徴の1つより多くが任意の組み合わせで互いに組み合わされてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【
図1A】
図1Aは、本発明の実施形態による、血液分析物濃度レベルの連続モニタリングシステムの概略ブロック図である。
【
図1B】
図1Bは、本発明の実施形態による、血液分析物濃度レベルの連続モニタリングシステムの概略ブロック図である。
【
図1C】
図1Cは、本発明の実施形態による、血液分析物濃度レベルの連続モニタリングシステムの概略ブロック図である。
【0043】
【
図2】
図2は、本発明の実施形態による、ハイブリッド広範囲波長可変外部共振器型レーザならびにレーザ信号および波長モニタリング部を含むハイブリッドIII-V/IVシステムオンチップの概略図である。
【0044】
【
図3】
図3Aは、本発明の実施形態による、ベースライン補正後のスペクトルを有する、血液環境をシミュレートするためのBSA含有溶液中の異なる乳酸分子濃度の実験的に得られた特性吸収スペクトルであり、
図3Bは、乳酸分子濃度の予測と実際の相関を示すグラフであり、予測は多変量PLSを使用して得られている。
【0045】
【
図4】
図4は、本発明の実施形態による、AlGaInAsSb/GaSbゲインチップ系外部共振器型レーザについて得られた実験的なレーザ波長チューニングスペクトルであり、数が付されたスペクトルは、外部キャビティ構成に埋め込まれた異なるIII-Vゲインチップのものである。
【0046】
【
図5】
図5は、本発明の実施形態による、III-V/IV広範囲波長可変外部共振器型レーザの詳細な概略ブロック図である。
【0047】
【
図6】
図6は、本発明の実施形態による、ハイブリッドIII-V/IVシステムオンチップの詳細な概略ブロック図である。
【0048】
【
図7】
図7は、本発明の実施形態による、ハイブリッドIII-V/IVシステムオンチップの詳細な概略ブロック図の別バージョンである。
【0049】
【
図8】
図8は、本発明の実施形態による、III-Vゲインチップ機能層構造の概略断面図である。
【0050】
【
図9】
図9は、本発明の実施形態による、シリコンオンインシュレータ機能層構造を有する例示的なIV族半導体チップの概略断面図である。
【0051】
【
図10】
図10は、本発明の実施形態による、III-VゲインチップのIV族半導体系フォトニック集積回路へのハイブリッド集積の概略図である。
【0052】
【
図11】
図11は、本発明の実施形態による、III-VゲインチップのIV族半導体系フォトニック集積回路へのハイブリッド集積の概略図である。
【0053】
【
図12】
図12は、本発明の実施形態による、III-VゲインチップのIV族半導体系フォトニック集積回路へのハイブリッド集積の概略図である。
【0054】
【
図13】
図13は、本発明の実施形態による、システムオンチップ光回路の上面の概略図である。
【0055】
【
図14】
図14は、本発明の実施形態による、追加特徴を有する
図13のレイアウトの概略図である。
【0056】
【
図15】
図15は、本発明の実施形態による、III-Vゲインチップのシリコンオンインシュレータフォトニック集積回路へのハイブリッド集積の概略図である。
【0057】
【
図16】
図16は、本発明の実施形態による、拡散反射に基づく動作の基本原理を示す、侵襲センサの場合のファイバプローブの概略図である。
【0058】
【
図17】
図17は、本発明の実施形態による、明確にするためにファイバプローブの2D断面が示されている、非侵襲的検知の場合の光ファイバプローブの概略図である。
【0059】
【
図18】
図18は、本発明の実施形態による、複数分子検出のためのシステムオンチップのアレイの形成の概略図である。
【0060】
【
図19】
図19は、本発明の実施形態による、ハイブリッドシステムオンチップおよび単一のディスクリートフォトダイオードに基づくレーザアレイを使用した同期検出の概略図である。
【0061】
【
図20】
図20は、本発明の実施形態による、単一の出力ファイバおよび複数の表面グレーティングカプラを使用する複数分子検出のためのシステムオンチップのアレイの概略図である。
【0062】
【
図21】
図21は、本発明の実施形態による、単一の出力ファイバ、波長スイッチ、および単一のグレーティングカプラを使用する複数分子検出のためのシステムオンチップのアレイの概略図である。
【0063】
【
図22】
図22は、本発明の実施形態による、波長スイッチおよび単一のエンドファイア出力ファイバ構成を使用する複数分子検出用のシステムオンチップのアレイの概略図である。
【0064】
【
図23】
図23は、FTIR測定によって得られた水の拡散反射スペクトルである。
【0066】
【
図24】図
24は、本発明の実施形態による、TBSスペクトル成分が差し引かれ、乳酸分子のスペクトル成分を明らかにする処理されたスペクトルである。
【0067】
【
図25】図
25は、本発明の実施形態による、非侵襲的測定用に構成されたレーザ系システムオンチップセンサの簡略ブロック図である。
【0068】
【
図26】図
26は、本発明の実施形態による、レーザ系システムオンチップセンサの簡略ブロック図であり、ここで光ファイバインターフェースは、光信号を集束し、そして非侵襲的に被験体の血液からの拡散反射を収集するためのディスクリートビーム整形光学部品で実現されている。
【0069】
【
図27】図
27は、本発明の実施形態による、センサ構成の実施形態のブロック図であり、ここでセンサには、サンプルを照射する個々の集束光学部品を有するシステムオンチップのアレイと、反射信号収集用のディスクリートフォトダイオードを有する単一の収集レンズが含まれ、システムオンチップアレイは、反射光フォトダイオードと線形構成になっている。
【0070】
【
図28】図
28は、本発明の実施形態による、センサ構成の実施形態のブロック図であり、ここでセンサには、サンプルを照射する個々の集束光学部品を有するシステムオンチップのアレイと、システムオンチップアレイの中央に配置された反射信号収集用のディスクリートフォトダイオードを有する単一の収集レンズが含まれている。
【0071】
【
図29】図
29は、広範囲波長可変レーザセンサを使用して測定された異なる分子溶液および市販の卓上FTIR分光計による基準測定の透過スペクトルである。
【0072】
【
図30A】図
30Aは、デュアルコアファイバチップを血液滴に直接浸漬したときの、ヒト血液サンプルの市販の卓上FTIR分光計を使用して行った分光測定である。
【
図30B】図
30Bは、デュアルコアファイバチップを血液滴に直接浸漬したときの、ヒト血液サンプルの市販の卓上FTIR分光計を使用して行った分光測定である。
【0073】
【
図31A】図
31Aは、本発明の実施形態による、レーザを使用して行われた皮膚を介した非侵襲的血液測定で得られた実験データを示すグラフである。
【
図31B】図
31Bは、本発明の実施形態による、レーザを使用して行われた皮膚を介した非侵襲的血液測定で得られた実験データを示すグラフである。
【
図31C】図
31Cは、本発明の実施形態による、レーザを使用して行われた皮膚を介した非侵襲的血液測定で得られた実験データを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0074】
本発明の実施形態は、リアルタイムの連続血液成分モニタリングのためのハイブリッドIII-V/IVシステムオンチップセンサを含む。記載された実施形態は、乳酸、アルブミン、グルコース、アンモニア、クレアチニン、尿素などの血液成分の直接分子検知のための、赤外線波長範囲内の可動部を有しない単一チップ上で波長、位相、およびパワー制御による広範囲波長掃引レーザ系センサの実現を可能にする。検知は、標的分子の吸収帯にわたりレーザ波長をスキャンすることによる、直接レーザ吸収分光法で実行される。分光吸収特徴は個々の分子に特有であるため、説明された実施形態は直接検知の利点を有する。以下で説明する特定の実施形態は、状況に応じて組み合わせて、または交換可能に使用することができる。本開示では、上記図のいずれかに関連して開示される本発明のセンサシステムの個々の特徴は、本発明の特徴を全体として表すためにより一般的に考えられ得ることを特に意図している。従って、例えば、
図1に記載されたセンサの特定の特徴は、
図18、20、21および22に記載されたシステムオンチップの特徴に関する特定の特徴と組み合わせることができる。同様に、たとえば、
図1で説明したセンサの特定の機能は、
図5から12などで説明したIII-V/VIチップに関する特定の機能と組み合わせることができる。同様に、システムオンチップの特定の機能は、III-V/IVチップアーキテクチャなどの特定の機能と組み合わせることができる。
【0075】
ハイブリッド半導体技術が使用され、ここでは能動利得媒体は、シリコン、シリコンオンインシュレータ(SOI)、ゲルマニウムオンインシュレータ(GOI)、ゲルマニウムオンシリコン、窒化シリコンオンシリコン、窒化シリコンオンインシュレータ、窒化シリコンオンシリコンオンインシュレータなどのIV族系半導体基板上で実現される受動的フォトニック集積回路に結合されるゲインチップまたは半導体光増幅器の形態のIII-V半導体構造で実現される。IV族技術は、マイクロエレクトロニクス業界で使用される標準的な産業用CMOS製造ステップであるプロセスを使用し、IV族材料とその誘導体に基づいたフォトニック集積回路の実現を可能にする。このアプローチは、説明されているセンサ技術を、拡張可能性、非常に低いフォームファクタ、低コスト、および個別の健康モニタリング、ウェアラブル技術による運動競技、またはクリップオンの非侵襲的臨床システムに入ることによる個々の患者の健康モニタリングなどのマスマーケット用途への適用を可能する。さらに正確なセンサは、患者の血液に直接接触する光ファイバ系血管内光学カテーテルまたは他の侵襲的プローブを入れることにより、貴重な情報を提供することができる。
【0076】
本発明の実施形態は、フォトニックシステムオンチップ、信号送達および反射光の収集のための光ファイバインターフェース、反射信号フォトダイオード、およびセンサ制御および信号処理のためのデジタル信号プロセッサを含むレーザセンサを含む(
図1A-1Cおよび関連する記載を参照)。
【0077】
フォトニックシステムオンチップは、例えば、波長チューニング、フィルタリング、モニタリング、およびアウトカップリングが実現される、IV族半導体系フォトニック集積回路に端面結合され、1800nm-3500nmの波長範囲で出射するように設計されたAlGalnAsSb広帯域ゲインチップを有する、広範囲波長可変レーザキャビティを含む(
図2を参照して下記の記載を参照)。
【0078】
センサの原理はチューナブルレーザ吸収分光法に基づいており、分子の回転振動状態による分子吸収バンドが存在するスペクトル範囲にわたりレーザ波長掃引が実行される。波長は、標的分子の振動によって吸収され、反射信号の変化につながる(光子-フォノン相互作用)。波長は時間の関数として掃引される。したがって、スペクトル情報は、米国特許公開第2012/0226118号に開示されている方法などの従来技術の方法とは対照的に、単一の検出器によって回収される。さらに、波長および信号制御部により、全ての時間でのレーザ波長チューニング曲線の知見を可能にし、システム系歪みとサンプル系歪みを区別することができる。
【0079】
本発明の実施形態では、既知の特性(正確な波長、パワー、および同調曲線)を有する光が生成され、ファイバに接続され得、これを介して光がサンプルに結合され-目的の分子を含む血液へのファイバプローブチップの直接接触、または皮膚を介して血液含有血管/組織に接続される。
【0080】
図3に関して以下で説明するように、適切なレーザ設計を選択することにより、目的の分子を選択的に標的とするレーザ射出スペクトルを選択できる。例えば、目的の分子は、2260nmおよび2300nm付近のC-HおよびO-H分子伸縮振動オーバートーン組合せバンドに関連する明確なスペクトル吸収バンドを有する乳酸分子であり得る。アプリケーションの要件に応じて、特定の吸収特性の形状を回復するために、外部共振器型レーザのレーザチューニング帯域幅が50nmを超えるように設計される必要がある。
【0081】
図4に関して説明するように、開示されているレーザ系センサは、10Hzから数kHzの範囲で50nm以上の帯域幅で波長を掃引する能力を有しており、リアルタイムモニタリングを可能にする。AlGalnAsSb系ゲインチップは、150nmを超えるゲイン帯域幅を提供し、エピタキシャル層の設計を変更することにより、1700-2500nm内の任意の中心波長を標的とするように設計できる。AlGalnAsPやAlGalnAsSbPなどの他の材料を使用して、波長範囲を1000nm-3500nm以上にさらに広げることができる。波長の選択、チューニング、およびモニタリングは、IV族半導体系フォトニック集積回路チップで実現される。
【0082】
説明されている実施形態では、波長チューニング要件により、数kHzまでのレートで数十nmにわたる波長掃引が可能になる。これは、外部共振器が、わずかに異なるフリースペクトルレンジ値を有する結合される共振器が共に結合されているバーニアフィルタを形成できることで実現される。バーニアチューニングに関する理論とそれを達成するさまざまな方法についての説明は、例えば、J. Buus, M. -C. Amann, D. J. Blumenthal, Tunable Laser Diodes andRelated Optical Sources, 2nd Edition, John Willey & Sons, Inc.,2005に見出され得る。この文献の開示、特にそこに記載されている原理は、その全体が参照により本明細書に具体的に組み込まれ、本開示の一部を形成することを意図している。
【0083】
このようなバーニアフィルタレーザの最大チューニング範囲は、バーニアフィルタのフリースペクトルレンジによって制限され、
【数1】
ここでFS1,2は、それぞれ第1および第2の共振器のフリースペクトルレンジである。このようなフィルタの透過関数は、個々の共振器の共振ピークが重なり合う部分で最大となり、レーザ射出波長を決定する。波長は、熱および/または電流を共振器の少なくとも1つに印加することにより掃引され、これは屈折率の変化、したがって透過の重なり位置を誘導する。換言すれば、共振器の有効屈折率を変更すると、ゲインチップによって生成されるレーザの波長の変化をもたらす。このようなフィルタは、異なるキャビティ長または抽出格子分布ブラッグ反射器(DBR)設計の結合されたマイクロリング共振器の組み合わせによって実現され得る。例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、Ohらの米国特許出願公開第20040228384号を参照されたく、そして本開示に記載された製造は、本開示の一部を形成することを特に意図している。
【0084】
図5に関して説明されるように、広範囲波長可変外部共振器型レーザには、III-V(AlGalnAsSb、AlGalnAsP、AlGalnAsSbP、AlGalnAsNSbPなど)ゲインチップ、スポットサイズモード変換器、位相シフト部、フリースペクトルレンジの異なる結合共振器、広帯域反射器または反射器、および共振器と位相シフト部のそれぞれに対する個別の電熱ヒーターを含み得る。較正なしの動作では、外部共振器型レーザから放出されたレーザ信号がビームスプリッタを通過する。
【0085】
図6に示されるように、例示的なビームスプリッタは、1×2マッハツェンダ干渉計(MZI)であり、ここで1つのアームは、表面アウトカップリング用の表面グレーティングカプラまたはスポットサイズモード変換器のいずれかと光ファイバインターフェースに結合するエンドファイアーカプラ(端面アウトカップリング)に結合され、一方でMZIの第2のアームは、波長および信号制御部に信号を送出するために使用され、既知の光路差を有し、任意の所与の瞬間にレーザの発光波長と波長シフトを回復するために使用でき、したがってレーザセンサの較正なしの動作を提供する振動伝達機能を各アームに提供するためのフォトダイオードを備えた、たとえば非平衡1×2MZIの形での追加のフィルタを追加することで実現される。
【0086】
図7に関して説明されるように、単一の結合リング共振器によって同様の波長制御を実現することもでき、これにより、単一のフォトダイオードでフィルタの透過機能をモニタリングすることにより、信号および波長制御が回復され得る。
【0087】
波長制御の両方の実施形態では、システムオンチップは、ドライブエレクトロニクスによって制御され、ドライブエレクトロニクスは次に、波長制御、信号制御および反射信号フォトダイオードから受信したデータを考慮し、それに応じて駆動パラメーターを調整するマイクロプロセッサによって制御される。これにより、レーザ波長掃引機能が認識され、そして反射光信号を処理する際に考慮され得ることを確かにする。反射光信号は、血液成分濃度レベルデータを回復するためにフォトダイオード時間信号をスペクトル領域に変換できる開発アルゴリズムを使用して処理される。
【0088】
センサに使用されるファイバインターフェースには、少なくとも2つの別個のコアが含まれ、ここで1つのコア(信号コア)は、センサからサンプルにレーザ信号を送信するために使用され、そして第2のコア(収集コア)は、サンプルからの反射光を収集し、それをセンサのフォトダイオードに導くために使用される。光は、表面グレーティングカプラまたはエンドファイア構成を介した端面結合により、システムオンチップの内外に結合され得る。両方の場合において、ファイバコアはマルチモードまたはシングルモードのいずれかであり得る。
【0089】
ここで
図1Aを参照し、本発明の一実施形態では、レーザ系センサは、ハイブリッドIII-V/IVフォトニックシステムオンチップ(SoC)10を含み、これは、広範囲波長可変レーザと、フリップチップボンディング、接着、転写印刷、または端面結合された集積フォトダイオードを備えたレーザ波長および振幅モニタリング部を含む。センサは、ファイバ12などの光通信リンクを介した信号送出およびファイバ31などの光通信リンクを介した反射光の収集のための光ファイバインターフェース20などの光インターフェース、ならびに反射信号(光)フォトダイオード40も含む。したがって、SoCは、波長/パワーモニタリング用の少なくとも1つのフォトダイオードと、血液から反射した信号をモニタリングするための別の個別フォトダイオードを含む。これらの部品については、以下で詳しく説明する。
【0090】
光インターフェースに加えて、センサは、センサの制御及び信号処理に関与する電子インターフェースを含む。一般に、センサの制御電子機器は、中央処理装置(CPU)50、増幅およびアナログ-デジタル変換部52、ドライバおよびデジタル-アナログ変換部53、ならびにすべての電子およびフォトニック部品に電力を供給する電源供給電子機器部54を含む。本発明の実施形態で使用するのに適したマイクロコントローラは、STマイクロエレクトロニクスのSTM32F100、テキサスインスツルメンツのMSP430、または他の同様のマイクロコントローラである。
【0091】
CPU50はデジタル信号のみを処理でき、一方でSoC10および反射信号フォトダイオード40は本質的にアナログ信号を提供することから、デジタル信号をアナログ53に、アナログ信号をデジタル52に変換するための追加のインターフェースが必要である。アナログ-デジタル変換部52を通過する電気インターフェース51を介した、SoC10から受信した信号に基づいて、CPU50は、インターフェース15を介してSoC10の駆動信号を制御する。駆動信号は、ゲインチップ駆動電流、ヒーター電流、フォトダイオードバイアスなどを含む。CPUの駆動信号は、それらをSoCおよびその素子が受け入れ可能な形式に変換するデジタル-アナログ変換部53を通過する。加えて、CPUは、電気インターフェース546を介して電源電子機器54と電気通信し、電気インターフェース541、542、543、544を介して残りのセンサ素子に必要な電源値を設定する。このような制御方式により、CPUはSoCを正確に制御し、リアルタイムで出力信号をモニタリングすることができる。したがって、センサからアウトカップリングされた光信号が血液中の標的分子と相互作用し、相互作用により変更され、光ファイバインターフェース20を介して反射され、そして個別反射光フォトダイオード40に導かれると、電気インターフェース41を介して、収集された信号は増幅され、アナログ-デジタルインターフェース52によってデジタル形式に変換され、そしてCPUによって処理されて、アウトカップリングされた信号との比較に基づいてスペクトルおよび強度情報を回復する。信号処理には、時間信号の波長/周波数領域への変換、および標的分子に固有のデータ処理アルゴリズムの適用が含まれる。これにより、標的分子の濃度レベルの回復と評価が可能になり、電気インターフェース56を介して、信号をmmol/lまたはg/lなどの較正単位に変換する出力表示60にデジタル出力として提供する。
【0092】
説明されている実施形態では、フォトニックシステムオンチップ10、反射信号フォトダイオード40、および電子部品CPU50、アナログ-デジタルインターフェース52、デジタル-アナログインターフェース53、および電源供給電子機器部54は、被験体30から離れており、そして相互作用は、プローブも含む光ファイバインターフェース20を介した光通信による。
【0093】
本明細書で使用されるとき、プローブは、少なくとも2つのファイバコアを持つ光ファイバデバイスであり、一方のコアはサンプルへのレーザ信号の送出に使用するのに適ており、もう一方のコアはサンプルからの反射光の検出に適している。侵襲的測定の場合、光ファイバインターフェースは、他のプローブ間で、送信および反射レーザ信号を転送および収集するために、SoCファイバインターフェースに接続する少なくとも2つの光ファイバコアを含む、血管内光学カテーテルに接続する必要がある。プローブの2つのファイバコアは、使用時に血液と直接接触する遠位端で終端する。終端のファイバコアチップは、光が血液に送られ、その後収集される開口部として機能する。非侵襲的測定の場合、プローブは、使用中に外側の皮/組織に直接接触する遠位端も有しており、外側組織を通して光を送達および収集するために使用されるファイバコア開口部を有している。
【0094】
使用中、フォトニックシステムオンチップ10は、埋め込みマイクロプロセッサCPUによって駆動および制御される。システムオンチップ10は、波長対時間掃引からなる掃引波長レーザ信号を光ファイバインターフェース20に送信するように指示される。レーザ信号は、図示された実施形態では生体の血液である、対象物体試験中の装置(DUT)30に導く信号を光ファイバインターフェース20に結合される。
【0095】
レーザ信号は、生体の血液と相互作用し、そしてこの相互作用の結果として変更され、これは血液から反射された信号に特有な特徴を提供する。反射光信号は、光ファイバインターフェース20を介して収集され、反射光(信号収集)フォトダイオード40に戻るよう誘導される。フォトダイオード40は、光信号を電気信号に変換する。時間領域信号はCPUによって処理され、これは、フォトニックSoCとデータ分析アルゴリズムの特性を考慮し、フォトダイオード信号をmmol/l単位の較正された濃度レベル(つまり、血液成分レベル)に変換し、そして電気インターフェース56を介してアナログまたはデジタル出力として提供する。
【0096】
図1Bは、プローブが光ファイバインターフェース20から、対象物体30と物理的に接触している、光学血管内カテーテルまたは侵襲性プローブ22に接続されている実施形態を示している。カテーテル22は、(i)センサからの光信号を被験体の血液に送信し、(ii)被験体の血液からの反射光をセンサに送信するように構成される。
【0097】
図1Cは、光送達コアおよび光収集コアならびに追加の光学部品、例えばビーム整形光学部品からなる光学インターフェースが、被験体の皮膚または外側組織23を通して被験体の血液サンプル30を非侵襲的に照明するように構成される実施形態を示す。好ましくは非侵襲性プローブを、指先、爪の基部、手首などの外側組織の厚さが比較的薄い場所に配置してもよい。
【0098】
図2を参照すると、フォトニックシステムオンチップ10は、システムに光学利得を提供するIII-V(例えば、AlGaInAsSb/GaSbまたはAlGaInAsP/InPまたはAlGaInAs/GaAs)半導体ゲインチップ211を含む。ゲインチップ211は、シリコンオンインシュレータが選択される特定の場合、IV族半導体チップで実現される受動フォトニック集積回路に結合される。典型的なフォトニック回路220は、チップ間の光結合の効率を高めるスポットサイズ変換器212を含む。典型的な光回路は、III-Vゲインチップ211と組み合わせたときにハイブリッドIII-V/IV外部共振器型レーザを形成する波長フィルタリング部213も含む。フォトニック集積回路220はまた、以下の
図6および
図7に関してより詳細に説明される、信号/波長モニタリング部214および信号アウトカップリング部215を含む。
【0099】
波長フィルタリング部213は、好ましくは、バーニアフィルタを形成する結合された共振器および広帯域反射器によって実現される。結合された共振器は異なるフリースペクトルレンジ値を有しており、これは結合すると、広範囲のアクセス可能な帯域幅につながる。例えば、結合された共振器キャビティは、2つのマイクロリング共振器、リングの半径が27.5ミクロンの第1のリングおよび半径が28.5ミクロンの第2のリング共振器、から形成される。2300nmの動作波長でのGaSb材料システムについては、有効モーダル屈折率は3.59である。これにより、第1のリング共振器のフリースペクトルレンジは4.26nmになり、第2のリング共振器のフリースペクトルレンジは4.11nmになる。結合すると、バーニアフィルタは117nmのチューニング帯域幅を有する。これらの値は、次の式を使用して計算し得る。
【0100】
リング共振器の場合、モード間隔は次のように定義でき、
【数2】
ここでλは中心波長であり、nはモーダル有効屈折率であり、そしてRはリングの半径である。
【0101】
全体的なチューニング帯域幅は、
【数3】
により予測され得る。
【0102】
チューナブル帯域幅は、異なるフリースペクトルレンジのオフセットおよび結合係数の形で設計により調整され得る。このような帯域幅は、血中代謝物濃度レベルのモニタリングに必要なスペクトル範囲をカバーするよう、広帯域III-Vゲインチップに結合されるのに十分である。
【0103】
乳酸分子は、アプリケーションの重要性だけでなく、赤外線範囲でよく表現される光学的特徴の両方の観点から、標的分子の良い例である。
図3Aは、乳酸分子の実験的吸収スペクトルを示している。標的の液相により、スペクトルは広く、2260nmと2300nmを中心とする2つの明確な吸収ピークが特徴であることがはっきりとわかる。濃度レベルの計算には、吸収信号の形状を有することが有益である。また同図からわかるように、乳酸分子の場合、必要とされるアクセス可能な光学帯域幅は約100nmである。さまざまな濃度レベルの実験濃度較正曲線を
図3Bに示す。
【0104】
受動回路の光学的応答に加えて、光学的に能動的部分が必要とされる帯域幅をカバーできる必要がある。たとえば、AlGalnAsSb/GaSb材料プラットフォームで実現された中赤外広帯域ゲインチップの典型的な波長チューニングスペクトルは、
図4に示すように、170nmを超える光利得帯域幅を有し得る。スペクトル400、410、420、430、440のそれぞれは、外部キャビティ構成に埋め込まれた異なるIII-Vゲインチップによって生成された。ゲインチップ射出のスペクトル位置は、層の厚さと組成を変更することによるチップ設計により調整して、当業者に知られている方法を使用して、標的分子の必要なスペクトル応答とIV族半導体チップのフォトニック集積回路の光学応答を一致させることができる。
図4は、性能を犠牲にすることなく、1700nm-2500nmの範囲全体でのIII-Vチップ設計の柔軟性を明確に示している。
【0105】
図5を参照すると、ハイブリッドIII-V/IV広範囲波長可変外部共振器型レーザ500は、III-V、この特定の場合、AlGalnAsSb/GaSbゲインチップ501を含み、これは能動光学媒体として機能することができ、そしてゲインチップから射出されたモードを変換して、それをフォトニック集積回路で使用されるIV族半導体系導波路に適したサイズに一致させるスポットサイズ変換器502を介して、シリコンフォトニック集積回路520に端面結合されることができる。波長チューニングは、バーニア効果フィルタ530によって実現され、ここで微小チューニングは、独立した電熱ヒーター5311を備えた直線または折り返し導波路部を含み得る位相制御部531で制御される。広範チューニングは、結合共振器キャビティにより制御され、ここでFSR1のフリースペクトルレンジを有する第1の共振器532は、FSR2のフリースペクトルレンジを有する第2の共振器533に結合され、ここでFSR1とFSR2は等しくない。各共振器の有効モーダル屈折率は、電熱ヒーター5321および5331を介して個別に制御される。レーザ共振器キャビティは、必要なチューニング範囲に対して十分に広くなるように設計された広帯域反射器534で完成する。典型的には、反射器は50nm以上を超える反射帯域幅を有する。反射器は、例えば、分布ブラッグ反射器または折り返しマッハツェンダ干渉計(MZI)、または金属ミラーなどの他の典型的な広帯域反射器によって実現されてもよい。センサによって実行される一般的な操作では、ゲインチップ駆動電流は固定され、波長掃引はヒーター5311、5321、5331電流の制御された掃引によって実行される。
【0106】
バーニア波長フィルタリング技術は、光通信の分野でよく知られており、マイクロリング共振器に限定されず、抽出格子分布ブラッグ反射器または抽出格子分布帰還反射器によって規定される結合共振器によっても実現できる。最終的な選択は、設計者の好みとチップレイアウトの形状的考慮による。結合共振器のすべての場合において、動作波長は2つの波長コムのオーバーラップによって規定される。オーバーラップ位置は、一方または両方の結合共振器の屈折率を同時に変更することにより変更される。実際には、これは、屈折率とこれによる放射波長の変化を引き起こす、直流電流注入または熱加熱によって達成される。説明した例では、波長の変化は、各マイクロリング共振器の上に配置された抵抗ヒーターによって制御される。広帯域反射器は、分布ブラッグ格子、折り返し平衡マッハツェンダ干渉計、または同様の高Q反射器の形で実現され得る。好ましくは、システムのチューニング帯域は、どちらがより小さいかに応じて、バーニアフィルタまたは広帯域反射器の帯域幅によって規定される。
【0107】
図6および7、ならびに
図2を参照し、ゲインチップ211と波長フィルタ213によって形成される外部共振器型レーザの波長およびレーザパワーのモニタリングは、集積フォトダイオードを有する別個のグレーティングカプラに各出力が結合されている(フリップチップ、接着など)非平衡マッハツェンダ干渉計、または集積フォトダイオードを有するグレーティングカプラに結合された単一のリング共振器の形で実現できる。これを信号/波長モニタリング部214と称する。非平衡MZIと単一のリング共振器の両方は、非常に明確に規定された波長依存の伝送機能があり、駆動信号が既知であるとして、任意の所与の瞬間での放射波長と出力パワーの正確な値を提供するように特徴付けられおよび較正され得る。これは、単一のフォトダイオードを介して高精度で信号電力と信号波長の両方を追跡できるため、有利である。従って、ハイブリッドシステムオンチップの記載された組み合わせは、広範囲波長可変レーザだけでなく、同じチップ内に波長計および電力計のモニタリングも含む。
【0108】
図6を参照し、より具体的には、
図5で説明したハイブリッドIII-V/IV広範囲波長可変外部共振器型レーザ500は、1×2マッハツェンダ干渉計(MZI)スプリッタ600に結合されており、ここで1つのアームは、レーザ信号をシステムオンチップアウトカップリング部641にアウトカップリングするのに使用され、上部グレーティングカプラまたはモードサイズ変換器およびエンドファイアアウトカプラ6412を介してさらに光を光ファイバインターフェースにアウトカップリングする。1×2MZIスプリッタ600の第2のアームは、非平衡の第2の1×2MZI642に接続されている。干渉計の1つのアームは、レーザ信号モニタリングのために光をフリップチップボンディングフォトダイオード64211に導くグレーティングカプラ6421に接続されている。干渉計の第2のアームは、MZI642伝達機能を正確な波長追跡にてモニタリングする第2のフォトダイオード64221に光を結合する第2のグレーティングカプラ6422に導かれる。
【0109】
ゲインチップ、個々のヒーターチューニング、および位相シフトチューニングの駆動信号は、CPU5によって制御され、これは信号/波長モニタリング部のフォトダイオードからの情報を使用して、必要な駆動信号形式と振幅を決定する。一般的なSoCは、連続的チューナブル波長レーザパルスを生成するために、少なくとも5つの異なる制御電流が考慮されることを必要とし得る。記載の実施形態において、CPUは、SoCのための個々の駆動電流の特定の掃引で構成される駆動信号掃引を提供して、センサ出力で時間の関数として連続的波長掃引を提供する。CPUはSoC信号および波長モニタリング部のフォトダイオード64211および64221と常に電気的に通信しているため、一般に、すべての任意の駆動信号は、常に振幅と波長の観点から回復され得るSoC出力をもたらす。実際のシナリオでは、CPUは、可能な限り単純な信号出力-たとえば、可能な限り時間の関数として線形波長掃引に近い-を提供して、ディスクリートフォトダイオード40からの復元信号に基づいて簡単なデータ処理を可能にするようにプログラムされ得る。送信された光パルス内のレーザ信号の振幅と波長の知識により、血液から収集された信号の時間から周波数領域への簡単な再構築およびセンサ自体による非線形性と信号変動の削除が可能になり、このようにして、標的分子との相互作用による光信号の摂動への直接アクセスが可能になる。
【0110】
図7を参照し、別の実施形態では、
図5で説明したハイブリッドIII-V/IV広範囲波長可変外部共振器型レーザ500は、1×2マッハツェンダ干渉計(MZI)スプリッタ600に結合されており、ここで1つのアームは、レーザ信号をシステムオンチップアウトカップリング部641にアウトカップリングするために使用され、上部グレーティングカプラまたはモードサイズ変換器およびエンドファイアアウトカプラ6412を介して、さらに光を光ファイバインターフェースにアウトカップリングする。1×2MZIスプリッタ600の第2のアームは、通過する光に特徴的な波長伝達機能を提供するリング共振器742に結合される。フィルタの後、光は、信号伝達機能をモニタリングするフリップチップフォトダイオード74221に光を結合するグレーティングカプラ7422に導かれる。伝達機能は、たとえば
図6に示すような複数のフォトダイオードではなく、1つのみの制御フォトダイオードで、光の波長とレーザの相対強度を同時に決定するために使用され得る。
【0111】
記載された実施形態では、III-V半導体チップおよびIV族半導体チップ技術のハイブリッド集積が考慮される。ゲインチップは、AlGalnAsSb/GaSb、AlGalnAs/GaAs、またはAlGalnAsP/lnP、あるいはそれらの組み合わせなどのIII-V材料システムで、リッジ導波路端面エミッタなどの端面発光デバイスの形で実現される。光はアンドープ量子井戸へのキャリアの電気的注入により生成され、そこでそれらは放射光子を再結合させる。このような構造の光学利得はスペクトル的に広範囲であり、通常、光子エネルギーとエピタキシャル設計に応じて、数十nmから200nm以上に及ぶことがあり得る。スペクトル領域は、半導体オプトエレクトロニクスの当業者によく知られているように、適切な層合金の組成と厚さを選択することで規定され得る。
【0112】
III-Vゲインチップ800の一般的な概略断面図を
図8に示す。III-Vゲインチップは、所望の動作波長に応じて、GaAs、InP、GaSb、またはInAsであり得るIII-V基板810上にエピタキシャル成長される。基板の上部に、残りの構造層、すなわち、下部クラッド層820、下部導波路層830、量子井戸系活性領域840、その後、多少対称な上部導波路層850、および上部クラッド層860が続いて成長する。これらの層は、例えば、分子線エピタキシー(MBE)または有機金属気相エピタキシー(MOVPE)によってエピタキシャル成長させることができる。構造は、頂部金属コンタクト層880とオーム接触を形成する高ドープコンタクト層870によって仕上げられる。底部コンタクト層は、基板805の底部に堆積された金属層によって形成される。放射波長は、層840の組成によって規定される。構造層820、830、850および860は、活性領域層840と対称的な導波性および良好な光学モードオーバーラップを提供するように選択される。通常、十分な利得を提供するために、活性領域は少なくとも1つの量子井戸で構成される。
【0113】
ゲインチップを形成するために、エピタキシャル構造はリッジ導波路端面発光デバイスへと加工され、ここでモードは、プラズマまたはウェットエッチングによって形成された規定のリッジ導波路によって誘導される。リッジの高さと幅は個々の設計に依存し、ここで重要な特徴は導波路がシングルモードであることである。シングルモード導波路の設計は一般的な手順であり、当業者に知られている。ゲインチップのキャビティは、処理されたウェハを、端面発光ゲインチップのリニアアレイで構成されるバーにへき開することで実現でき、半導体レーザなどの端面発光デバイスを作成する際によくあるように、へき開された結晶ファセットはキャビティミラーを形成する。光学放射は、チップの端面から、つまり成長方向に垂直である。
【0114】
外部共振器型レーザ構成での最適なパフォーマンスのため、バックファセットは、少なくとも>90%、たとえば>95%の典型的なミラー反射率を持つ高反射率ミラーコーティングでコーティングされてもよい。チップのフロントファセット、すなわち出力ファセットは、フロントファセット面からの光帰還を避けるために、典型的には<0.1%の反射率を有する非常に低い反射率コーティングで好ましくはコーティングされる。反射を低減するためにゲインチップのリッジが所定の曲げ半径を持つ曲げ導波路設計を使用することにより、光帰還をさらに低減できる。リッジの曲がりにより、アウトカップリングされた光は屈折し、放射は出力面に対して一定の角度になる。この事前規定された導波路角度は、設計とモーダル有効屈折率から知られ、そしてIV族半導体プラットフォームで受動光回路を設計する際には考慮される必要がある。特に、スポットサイズ変換器は、ゲインチップ放射の角度とアウトカップリングされたモードのサイズを一致させて、2つのチップ間の結合損失を低減するように設計されることが好ましい。
【0115】
最高の設計実践のため、III-Vゲインチップのモードサイズと形状、放射波長、ゲイン帯域幅、放射角度、発散などの主な特性は、実験的に知られ、そしてIV族半導体の受動フォトニック集積回路と適合およびカスタマイズするために使用される。特に、ゲインチップの実験パラメーターを知ることで、スポットサイズ変換器、結合共振器キャビティ、広帯域反射器、マルチモード干渉デバイス(MMI)、干渉計、その他の機能要素などの主要なSoC要素の最適化を可能にする。
【0116】
通常、ファセットコーティングはゲインチップバーで実施され、そして個々のゲインチップは、ファセットコーティング手順後にスクライビングおよびブレーキングによって分離される。これは多くの方法で行うことができ、最も一般的なのは、チップへき開ファセットに垂直な結晶面に沿って機械的スクライブラインを形成し、そして規定されたラインに沿って結晶へき開を可能にするよう上部または下部から機械的破壊力を加えることである。これにより、個々のゲインチップをIV族回路に容易に集積できる。
【0117】
IV族系半導体プラットフォームは、CMOSなどの最も一般的な電子デバイステクノロジーの典型である。III-V光学部品とIV族半導体プラットフォームのハイブリッド集積は、CMOS技術がスケーリングされるのと同じ方法でスケーリング技術の機会を与える。IV族半導体プラットフォームには、シリコン、シリコンオンインシュレータ(SOI)、ゲルマニウムオンインシュレータ(GOI)、ゲルマニウムオンシリコン、窒化シリコンオンシリコン、窒化シリコンオンインシュレータ、窒化シリコンオンシリコンオンインシュレータ、およびそれらの誘導体が含まれる。
【0118】
典型的なシリコン、特にシリコンオンインシュレータ(SOI)チップの断面を
図9に示す。図示の実施形態では、SOIチップ900はゲインチップよりも単純であり、そしてSOIチップ900は、IV系半導体基板905、例えば、典型的な厚さが2-3ミクロンの、製造設備により異なる厚さとすることができる埋め込み酸化物層(BOXと称する)910を有するシリコン基板を含む。BOX層は、当業者によく知られているように、例えばイオン注入およびウェハ接合により形成される。BOX層910の後には、シリコン導波路層920が続く。この層は、グレーティングカプラ、シングルモードおよびマルチモード導波路、リング共振器、マルチモード干渉デバイス、スポットサイズ変換器など、すべての受動フォトニック部品が実現される機能層として機能する。層の厚さは製造施設によって変えることができ、通常は100nm-500nmであり、一部の製造施設では、数ミクロンの厚さになり得る。典型的なシリコンフォトニクスプラットフォームは、220nmの導波路層920を含む。導波路層920は、他の技術によって熱成長または堆積され得る酸化シリコン層930でさらに覆われている。使用するIV族プラットフォームに応じて、他の絶縁材料、たとえば窒化シリコンが使用され得る。BOX層910の主な目的は、導波路層920から基板905への光学モード結合を防止し、上部酸化シリコン層930と同様に低屈折率クラッド層として機能することである。シリコン導波路層920の屈折率の変化は、上部酸化物層の上部に堆積された金属電極940の形態の抵抗電気ヒーターを介した熱信号によって達成することができる。ヒーターに加えて、金属電極は、グレーティングカプラからアウトカップリングされた信号を収集するフリップチップフォトダイオードとしても機能する。
【0119】
ハイブリッド集積の概略的原理を
図10に示す。ここでは、III-Vゲインチップ800とIV族半導体、特定の例ではシリコンオンインシュレータチップ900は端面結合によって集積され、ここでIII-Vゲインチップはp側が上になり、IV族チップに端面結合される。ゲインチップの活性領域層840で生成された光は、受動フォトニック集積回路が実現されるシリコン導波路層920に結合される。集積の重要な要件の1つは、2つのチップ間の光の効率的な結合である。これは、アクティブアライメント技術を使用して、つまりアライメントプロセス中にIII-Vゲインチップが発光し、IV族チップ上のグレーティングカプラを介して結合効率をモニタリングすることで実現することができる。信号が最大化されると、2つのチップは硬化性の接着剤またはエポキシで接着される。
【0120】
III-Vゲインチップの位置がIV族半導体ウェハ上で事前規定されている場合、より高い精度を実現できる。これは、
図11に示すように、深いトレンチによって実現できる。トレンチ1100は、おおよその位置を規定するだけでなく、同時に、垂直方向での2つのチップの高さを正確に一致させることができる。最高の精度のため、非常に正確に制御されたエピタキシャル層の厚さでIII-Vチップの高さが規定されるように、III-Vゲインチップを反転させる必要がある。面内の位置は、最高の精度のためにアクティブアライメントを介して位置合わせする必要がある。チップは、頂部金属コンタクト層880と金属電極層940の間の界面で、接着剤、エポキシ、またはインジウムやAuSnなどの金属はんだによって固定される。示されたIII-Vゲインチップは、p側を下にした位置に反転され、端面結合は、能動的光回路への光結合を可能にする、IV族ウェハの事前規定されたトレンチを介して実現される。
【0121】
III-Vゲインチップ、IV族半導体チップ、およびフリップチップフォトダイオードを含む完全なハイブリッドシステムを
図12に示し、どのように光がIV族半導体チップに結合され、そしてIV族半導体の外で結合されるかを示している。III-Vゲインチップはp側が下位置へと反転され、そして端面結合はIV族半導体ウェハの事前規定されたトレンチを介して実現され、受動的光回路への光結合を可能にする。表面グレーティングカプラを介して光信号を収集するために使用される、フリップチップフォトダイオード構造も示されている。
【0122】
特に、グレーティングカプラ950の上部にあるフリップチップフォトダイオードを介してカップリングアウトが実現される。フォトダイオードは、目的の波長で必要な光応答を有する関連半導体材料で形成され得る。この実施形態では、典型的なフォトダイオードは、III-Vゲインチップと同じ材料プラットフォームから設計されたIII-Vp-i-nフォトダイオードである。IV族半導体チップの外で結合した光を吸収するように、フォトダイオード1200は、III-V基板1205上に形成され、その後、n型またはp型のいずれかであるドープ層1210、アンドープ材料組成を有するアンドープ吸収層が続く。吸収層の厚さは、さまざまな波長に対して最適化されており、一般的な厚さは2ミクロン、そして一般的な最小厚さは少なくとも500nmである。吸収層の後には、ドープ層1230が続き、ドープ層はp型またはn型のいずれでもよいが、pn接合を形成するために層1210の極性と反対のドーパント極性を有する必要がある。アノードおよびカソードは、フリップチッププロセスを容易にするために、チップの同じ側で実現されることが好ましい。例示の図では、ドープ層1210は、金属オームコンタクトを形成するためトレンチをエッチングし、金属層1250を堆積することによりバイアスされている。適切な金属には、当業者に周知のように、チタン、白金、金、ニッケル、クロム、および金-ゲルマニウムおよび/またはそれらの組み合わせが含まれる。金属層1250はトレンチの底部でのみドープ層1210と接触する。他のフォトダイオード層は、誘電体アイソレータ1240によって金属層から分離されている。第2のコンタクトは、フォトダイオードダイオードメサの上部に形成され、上部金属パッド1260と上部コンタクト半導体ドープ層1230との間にオーム状のコンタクトを有することになる。フォトダイオードは、以下のようにフリップチップ技術でフォトニック集積回路に結合される。フォトダイオードは反転され開口を下向きにして、そしてIV族半導体チップ上に形成された表面グレーティングカプラの一部と重なっている。フォトダイオードは、グレーティングカプラから最大限の信号を収集できるように位置合わせされ、インジウム、AuSn、またはその他の標準的なはんだ付け技術によって所定の位置に接着される。
【0123】
端面結合に基づくハイブリッドシステムオンチップの概略図を
図13および14に示す。III-Vゲインチップ800は、最小の光損失でIII-V導波路からシリコン導波路にモードサイズを変換するスポットサイズ変換器1300を介してIV族半導体チップに端面結合される。スポットサイズ変換器は、直線または折り返し導波路および電気ヒーターからなる位相シフト部1310に結合される。この部は、モードホップなしで狭いスペクトル範囲内で放射波長を正確に制御するために使用される。位相部はさらに、わずかに異なるキャビティ長、したがって異なるフリースペクトルレンジを有する2つのマイクロリング共振器1320、1330によって規定される結合共振器キャビティに接続される。結合マイクロリング共振器キャビティは、広帯域反射器1340で閉じられている。図に示される実施形態では、広帯域反射器440は、折り返し(閉ループ)2×2マッハツェンダ干渉計(MZI)として表されている。機構800、1300、1310、1320、1330、および1340の組み合わせにより、広範囲波長可変調外部共振器型レーザが形成される。この外部キャビティは、1×2マッハツェンダ干渉計1350に接続されており、ここで1つのアームは、システムオンチップからレーザ信号をアウトカップリングするために使用され、グレーティングカプラ1380を介して光ファイバインターフェースに接続されている。常にレーザの波長と信号強度を知るために、波長/信号モニタリング部1360は、1×2マッハツェンダ干渉計1350のもう一方のアームに接続されている。
【0124】
図13および14において、波長/信号モニタリング部1360は、非平衡1×2マッハツェンダ干渉計として示されており、ここで上方アームの光路は下方アームの光路とは異なっている。両方の出力は、システム出力と波長の追跡に使用される個別の表面グレーティングカプラ1390および1395に接続されている。これらのグレーティングカプラは、上部に直接接合されたフリップチップフォトダイオードに結合されている。一般に、システムオンチップの異なる部内の光信号をモニタリングするために、追加のグレーティングカプラ1370を追加することも可能である。図示された例では、第1のマイクロリング共振器の後のゲインチップからの光信号をモニタリングするために、グレーティングカプラ1370が使用される。
【0125】
説明したシステムオンチップは、
図14に示すように、抵抗ヒーターの形の電気信号によってさらに制御される。ここで、ヒーター1400は、波長可変レーザの一定の位相シフト制御に使用される。ヒーター1410、1420は、結合マイクロリングキャビティの発振波長を制御し、そして波長変化を制御するために使用される。ヒーター1440は、広帯域反射器の反射率を制御するために使用され、そしてヒーター1430は、1×2MZI1350の上方アームと下方アームの間の光信号分割比を制御するために使用される。ヒーターは、チップの片側のコンタクトパッド1450に接続され、これは、通常、グレーティングカプラが実現される側の反対側である。駆動信号は、完全な信号処理が行われるマイクロプロセッサによって制御される。
【0126】
図15を参照すると、ハイブリッドシステムオンチップは、III-Vゲインチップを、端面結合の代わりに表面グレーティングカプラを介してIV族半導体チップに結合することでも実現できる。ここで、ゲインチップ800は、セラミックまたは金属キャリア1500であり得るサブマウントに結合され、コリメーションレンズ1510および反射プリズム1520と事前位置合わせされ、マイクロ光学ベンチを形成する。次に、アセンブリ全体をグレーティングカプラ950上で位置合わせし、はんだまたはエポキシでIV族半導体チップ900の上面に固定する。ゲインチップからの光は、集光およびコリメーション光学部品1510を介して収集され、プリズムまたはミラー1520を介して表面グレーティングカプラに反射される。グレーティングカプラは、反射光をシリコン導波路920に結合し、ここでシステムオンチップの残りの部分が実現される。通常、このハイブリッド集積はより簡単であるが、端面結合構成は一般的により効率的となり得る。
【0127】
一実施形態では、システムオンチップからのレーザ信号は、
図13に示されるグレーティングカプラ1380などのグレーティングカプラを介して光ファイバインターフェースに結合される。光ファイバインターフェースは、光ファイバ、すなわち、光がセンサから、患者の血液などの標的と光通信しているプローブチップに導かれるファイバプローブから構成されてもよい。侵襲的測定の場合、ファイバプローブは2つのファイバコアを含み、患者の静脈または動脈に入る光学カテーテルに接続してもよい。
【0128】
血液と直接接触するカテーテルプローブ1600を
図16に示す。ここでは、プローブ1600は少なくとも2つのファイバコアを含む。第1のコア1610は、人体の外側にあるシステムオンチップからの光を送信するために使用される。光は血液成分分子と相互作用し、多数の散乱および吸収プロセスを受ける。これは確率的なプロセスであり、光の散乱は方向に依存しない。
図1A-1Cおよび2も参照すると、散乱光の一部は反射してプローブに戻り、収集された光を個別のフォトダイオード40に導く第2のファイバコア1620を介して収集される。記載された実施形態では、レーザ放射波長が利得帯域幅にわたる時間関数として掃引されると、システムオンチップは時間信号を送信する。血液同質分子による散乱プロセス中に、レーザ放射周波数が標的分子の回転振動周波数と一致する場合、共鳴吸収プロセスが発生する。そのようなプロセスは、個別のフォトダイオード40によって収集される時間信号の変化をもたらす。レーザ放射波長は常に正確に知られているため、収集された時間信号は波長空間に再構築されて、分子吸収スペクトルが決定されることができ、そして標的分子の濃度レベルが評価できる。
【0129】
非侵襲センサの場合、プローブを含む光ファイバインターフェースは血管内カテーテルに接続せず、むしろ、
図17に示すように皮膚に接触される。これは患者の指の爪に接続されることもできる。ファイバプローブ1600の構造は、侵襲的な場合に使用されるものと非常に似ている。同様に、少なくとも2つのファイバコアが使用される。第1のファイバコア1610は、システムオンチップからの光を結合するために使用される。ファイバコア1610からアウトカップリングされた光は、表皮などの外皮層1730を貫通し、真皮および皮下組織内の表皮の下にある血液成分分子と相互作用する。後方散乱光は、光をセンサの個別のフォトダイオード40に導く第2のファイバコア1620を介して収集される。レーザ信号は時間の関数として変換された後、波長空間に変換され、分子吸収スペクトルが復元され、濃度レベルが特定される。
【0130】
2ミクロンに近くそしてより長い赤外線波長の場合、典型的な侵入深さは数ミリメートルである。ただしこれは、例えば、指の爪、耳たぶ、手首などの下の外皮層が十分に薄いところで標的血液分子に到達するには十分である。
【0131】
説明した本発明の実施形態は、機械的に可動な部品を使用しない高度な集積技術を採用しており、すべての駆動信号はエレクトロニクスおよびフォトニクスに基づいている。システムオンチップは、標準のマイクロコントローラを介して制御され、これはゲインチップ駆動電流、信号および波長モニタリング部から収集された信号情報に基づいてSoCヒーター電流を制御し、センサからアウトカップリングされたレーザ信号を収集された信号と比較する。標的分子との相互作用によるシグナルの変化を特定できるよう、これはシステムに起因する系統的エラーを排除できる。
【0132】
さらに本発明の実施形態は、多重分子センサを形成するために容易にスケーリングすることができる。これは、
図18のように光学システムオンチップのアレイを形成することで実現できる。ここで受動集積光回路アレイは、同じシリコン系ウェハ内で実現される。単一のIII-Vゲインチップの利得帯域幅内ではアクセスできない、異なるスペクトル領域に固有の吸収特徴を有する異なる標的分子の場合、シリコン系チップのフォトニック集積回路は、線形アレイの形で設計することができ、ここで各アレイセルは、目的の特定の波長用に設計されており、たとえば、アレイセル1810は中心波長λ
1を中心に設計され、アレイセル1820はλ
2を中心とした波長を中心に設計されている。個々のレーザセル各々は、個々のグレーティングカプラを介して個々の出力ファイバにアウトカップリングする。これらのファイバは、ファイバプローブ端でファイバ束へと形成され得る。各レーザセル波長掃引が異なる既知の時間間隔で放出される場合、各標的分子に関する情報を運ぶ反射信号は、単一の個別のフォトダイオードで収集でき、
図19に示すように、検出は同期される。
【0133】
さらに最適化するために、SoCアレイの出力は、
図20、21、および22に示すように、単一のファイバコアに結合してまとめることができる。
図20を参照すると、アレイは、4つのアレイセル1810、1820、1830、1840を含み、そして各々のセル出力は、個々のグレーティングカプラによって形成されることができ、これらは、グレーティングカプラを単一のマルチモードファイバコア2000でカバーできるチップの領域にルーティングされる。そのような実施形態では、単一のファイバコアで出力を収集できるアレイ内のセルの数は、ファイバコアの断面積によって制限される。
【0134】
別の可能性としては、
図21に示すように、波長スイッチと単一のグレーティングカプラを使用することである。ここでは、4つの異なる波長帯域で放射するセルを備えた、4つの異なるセル1810、1820、1830、1840のアレイが示されている。各セルは、波長スイッチ2100にルーティングされ、これは、たとえば、平衡マッハツェンダ干渉計2110、2120、2130のセットによって実現できる。第1のMZI2110は、第1および第2のSoCセル1810および1820によって生成された波長λ
1およびλ
2の間で(例えば、MZIのアームに組み込まれたヒーターを使用して)切り替えるために使用され得る。同様に、第2の平衡MZI2120を、第3および第4のSoCセル1830および1840によって生成された波長λ
3およびλ
4を切り替えるために使用することができる。第3のMZI2130は、第1および第2のMCI2110および2120の出力間を切り替え、任意の所与の瞬間に4つのセルのうちのどのセルが単一のグレーティングカプラを介してアウトカップリングされるかを制御する。この概念は、アレイの出力用の単一のグレーティングカプラを維持しながら、任意の数の個々のセルにスケーリングできる。
【0135】
同様に、
図22に示すように、エンドファイアカップリング構成での単一の出力と単一の出力ファイバ2000を使用して、SoCアレイを実現できる。
【0136】
標的代謝物の較正された濃度レベルデータを取得するため、分光的特徴に寄与する他の干渉分子種の濃度を知る必要がある。最も顕著な重なり合う分光的特徴は、水分子の分光的特徴であり、これは全信号の95%以上まで寄与する。本発明の一実施形態では、センサアレイは、少なくとも2つのセンサセルを有し、少なくとも1つのセルは、水吸収ピーク付近にスペクトル波長チューニング帯域幅を有するように設計されている。
図23を参照すると、水吸収ピークは、約1460nm、約1900-2000nm、または約3000nmで生じる。したがって、最終的なセンサアーキテクチャに応じて、セルのスペクトル波長チューニング帯域幅はこれらのピークの1つに近くなり、ここで非常によく知られたスペクトルを持つ水分子吸収が支配的となる。
【0137】
このセンサアーキテクチャを使用した拡散反射測定は、拡散反射スペクトルR(λ)を収集するために使用でき、これは、次に下記式により吸光度Α(λ)に変換できる。
【数4】
【0138】
収集された吸光度スペクトルは、寄与する分子種の個々の吸光度スペクトル成分の合計で構成される。
【数5】
【0139】
提案のセンサアレイアーキテクチャを使用して、各セルは異なる標的分子を標的とし、各標的分子の個々の吸収スペクトルは、多重干渉が発生しない異なるスペクトル領域で動作する隣接セルからの情報を使用して分離されるように、センサは設計され得る。このようにして、血液中の1つまたは複数の標的成分をモニタリングすることができる。
【0140】
図24を参照すると、スペクトル分解は以下のように実行され得る
。乳酸を溶液中に置いたトリス緩衝生理食塩水(TBS)溶液の拡散反射スペクト
ルはFTIR測定により得ら
れる。図
24は、TBSスペクトル成分を差し引いた処理済みスペクトルであり、乳酸分子のスペクトル成分が明らかになっている。
【0141】
したがって、非常に複合的な散乱マトリックス(人間の組織など)からの非常に複合的な吸収スペクトルを、個々の分子吸光成分に分解でき、そしてこの吸光度は、次にLambert-Beerの法則を適用することにより、較正された濃度レベルに変換でき、
【数6】
ここでε
iは較正されたモル減衰係数であり、c
iは濃度である。
【0142】
各分子の較正された減衰係数は予め定められており、そして実験的に得られた拡散反射スペクトルを処理するために、すなわちスペクトルを個々の吸収スペクトル成分に分解し、較正された濃度レベルを計算するために、較正されたアルゴリズム実施のための値がCPUに保存されている。
【0143】
特に、一実施形態では、センサは、水の吸収の少なくとも1つのピーク、つまり約1460nm、約1900-2000nm、または約3000nmに対応するスペクトル領域を標的とする少なくとも1つのアレイセルを備えたセルのアレイを含むことができる。アレイ内の別のセルは、血液成分標的分子の少なくとも1つの吸収ピークに対応するスペクトル領域を標的にすることができる。センサは、少なくとも1つのアレイセルで測定された少なくとも1つの水吸収ピークに基づいて水分濃度レベルおよび水吸収スペクトルを決定するようにプログラムされたCPUを含むことができる。CPUは、ベースラインを削除し、少なくとも1つのアレイセルに隣接するアレイセルがカバーするスペクトル領域の複合的な吸収スペクトルを分解して、元となる標的分子吸収特徴を明らかにするようにプログラムすることもできる。さらに、CPUは、拡散反射スペクトルを吸光度に変換するようにプログラムできる。吸光度は、他の分子吸収の重複が存在しない異なるスペクトル領域で動作する隣接するアレイセルからの情報を使用することにより分離された複数の個々の吸光度スペクトル成分を含む収集された吸光度スペクトルを含み得る。
【0144】
毛細血管網の深さと密度は異なる身体の部位によって変わるため、サンプル量も変化し、そして反射信号も変化する。この課題は、干渉がないスペクトル領域にある水または他の既知の分子を標的とするセンサセルを含むセンサアレイを使用する前述のアプローチで克服され得る。したがって、サンプル量にも比例する水分濃度レベルは、人体内のセンサ位置に関係なく取得でき、そして取得したデータは、ベースラインを削除し、隣接するセンサセルがカバーするスペクトル領域の複合的な吸収スペクトルを分解するためにさらに使用され得る。
【0145】
本明細書に記載のセンサアーキテクチャと組み合わせた記載のアルゴリズムは、任意の複合の吸収スペクトルを個々の成分に分解し、したがって個々の各成分の濃度を評価することを可能にする。これは、所与の波長での個々の干渉種の個々の減衰係数を事前に知っておくことにより容易になり得る。一部の干渉種の減衰係数が不明な状況では、任意の既知または可能なスペクトルの寄与を差し引く機能により、多変量部分最小二乗法や主成分回帰法などの信号処理アルゴリズムの精度が大幅に向上して、標的分子の較正された濃度レベルが得られる。
【0146】
説明されているセンサアーキテクチャ技術により、複合的な吸収スペクトルを個々の成分に分解できる。個々の分子ごとの個々の減衰係数が知られている場合、この技術は、各スペクトル成分の較正された濃度レベルを取得する非常に簡単な方法を提供する。ただし、血液の複合性により課題が生じることがあり得る。そのような場合、典型的なアプローチには、多変量PLSの使用を挙げることができ、これは、元となる成分の全てを知る必要はない。PLSの場合でも、水などの主要な干渉成分を差し引く機能により、アルゴリズムの精度が大幅に向上する。したがって、好ましい実施形態では、センサは、いくつかの主要分子の減衰係数データを有しており、そして水信号と共にこの情報と使用してベースラインを削除し、多変量PLSを使用して、標的分子の較正された濃度を取得する。
【0147】
図1C、
25、および
26を参照すると、説明したセンサは、非侵襲的な濃度測定に使用でき、ここで光学インターフェース、例えば光ファイバインターフェース20は、追加のビーム整形光学部品とともに使用されて、光学リンク2721を介して外皮層または組織の下の真皮層の血液を照射する。血液からの反射信号は、光学リンク2711を介して収集され、反射光フォトダイオード40に導かれる。この状況は図
26に詳細に示され、ここで光学インターフェース、例えば、光ファイバインターフェース20は、集束光学系光学リンク2721および収集光学系光学リンク2711から構成されるものとして示されている
【0148】
いくつかの実施形態では、光通信リンク2721および2711は、ファイバ、例えば、光ファイバ12および31である。他の実施形態では、各光通信リンク2721および2711は、光学素子、すなわち、光通信リンクを形成するレンズまたはレンズのセット、ミラーのセット、および/または放物面ミラーであり得る。
【0149】
例えば、
図20に示すように、センサアレイは、光学チップ内の同じ場所にある密集した群にルーティングされたその出力グレーティングカプラを有していてもよく、ただし、マルチモードファイバコア2000を、各グレーティングカプラの出力を非侵襲的に皮膚の外層の下の被験体の血液に集束させる単一の集束レンズに置き換えてもよい。その特性により、焦点合わせされた光が送られるのと同じ深さおよび位置からの光の収集が可能になり、検知を可能にするように、反射光は、選択した別個のレンズによって収集される。次に、収集された反射光は、反射光フォトダイオード40の感光性開口部に集束される。
【0150】
図27を参照すると、システムオンチップセンサアレイの使用中、異なる中心波長を中心とする掃引波長レーザ信号をそれぞれ提供するフォトニックシステムオンチップアレイセル1810、1820、・・・18XXの個々の出力は、フォトニックチップの片側にルーティングされてもよい。最適な場合、各出力のビームスポットは重なり合って被験体の皮膚の下に単一のスポットを形成し、センサからの光と被験体の血液との相互作用が皮膚の下の規定の場所に局在することを確実にするように、個々の出力グレーティングカプラの各々2810、2820、・・・2XXXは、個々の集束光学素子、例えばレンズ3010、3020、・・・3XXXで個々に集束される。典型的な光の浸透深さは、皮膚の下で最大1mmで、最初の血管新生層(真皮層)に達するものである。次に、拡散反射光はレンズ4000で収集され、その開口数と焦点深度により、光が焦点を合わせた場所からの反射光を収集できるように選択される。この反射光は、光と血液の相互作用に関する情報を運び、そしてレンズ4000によって収集され、反射光フォトダイオード40の感光性開口2841に集束される。感光性開口2841は、上部電気コンタクト2842によって囲まれ、これは、実際のフォトダイオードエピタキシャル構造層のシーケンスに応じて、第2の電極2844と組み合わせて、カソードまたはアノードとして機能することができる。2つの電極は、絶縁ギャップ2843によって分離されている。動作のために、電極2842と2844の間の極性は、pn接合が逆バイアスされるように選択される。
【0151】
集束光学レンズと収集光学レンズの正確な配置は、集束と収集が対象内の同じ場所、つまり同じスポットから実現される限り、重要ではない。これを図28に示し、ここでは、集光レンズ4000とフォトダイオード40がフォトニックチップアレイの中央に実現されており、一方、サンプルの照射は、フォトニックセンサチップの周囲にルーティングされた出力を介して実行される。
【実施例】
【0152】
分析の例
図29は、広範囲波長可変レーザ系センサ(曲線a)で記録され、市販の卓上FTIR分光計(曲線b)で記録したスペクトルと比較されている、4つの分子(グルコース、乳酸、ウシ血清アルブミン、および尿素)の吸収スペクトルを示している。特に、試験した溶液は、a)30mmol/lグルコース、b)50mmol/l乳酸、c)50g/lウシ血清アルブミン(BSA)およびd)30mmol/l尿素であった。分子固有の吸収スペクトル測定値の明確な相関が見られる。
【0153】
CPUは、1つより多くの標的分子の吸収スペクトル特徴が重複するスペクトル領域のベースラインを修正および削除するようにさらにプログラムされてもよい。ベースラインの修正と削除は、図30aおよび30bに明確に示されている。これらは、デュアルコアファイバチップを直接血液滴に浸したときの、市販の卓上FTIR分光器を使用して行われたヒト血液サンプルの分光測定を示している。図30aは、血液滴の透過スペクトル(曲線d)と適合した水反射スペクトル(曲線c)を示している。図30bは、血液透過測定から水を差し引いた血液スペクトルを示している。得られた曲線は、水(減算)を除くすべての血液成分分子を含む曲線fとして表される。ガイドラインとして、曲線eは、ヒト血清アルブミン(HSA)によく似ている、ウシ血清アルブミン(BSA)の測定透過曲線である。2つの曲線の比較は、血液測定におけるHSAからのスペクトル変調を明確に示している。中央処理装置は、水またはアルブミンなどの個々の吸収スペクトル成分の少なくとも1つを使用して、較正された濃度レベルを決定するようにさらにプログラムされてもよい。較正された濃度レベルは、所与の波長での複数の個々の分子のそれぞれに対する個々の吸光度値と較正された減衰係数に基づいて決定されてもよい。中央処理装置は、特定のサンプル量とは無関係に標的分子濃度を決定するようにさらにプログラムされてもよい。
【0154】
非侵襲的測定の場合、センサは皮膚を介してレーザ信号を送信し、そこで光が散乱し、組織マトリックスと相互作用する。レーザ信号は上部の毛細血管層(表皮から約0.2-0.3mm下)に到達し、そこで光が血液と相互作用する。一般的に、拡散反射と鏡面反射の2つのタイプの反射がある。拡散反射は、光が組織と相互作用するときの主要な反射である。図31aおよび31bに、人間の非侵襲的測定による拡散反射信号が示され、2人の異なる人の皮膚を介して非侵襲的に測定された複合反射スペクトルの形状(図31aの曲線gおよびh)は、ファイバプローブが血液に直接浸漬されたときの血液滴の侵襲的な直接測定と比較し(図31aの曲線iおよびj)、非侵襲的測定の能力を明確に実証している。さらに、図30と同様の方法で、スペクトル分解を適用して、図31bおよび31cに見られる血液内の元となる分子の信号を明らかにすることができ、ここでヒト血清アルブミンによる血液シグナル変調は、卓上FTIR分光計(図31b)で測定した場合と、本明細書で説明するように広範囲波長可変レーザセンサで非侵襲的に測定した場合の両方で示される。2170nm付近の主要なHSA分子からの変調が明確に見える。
【0155】
前述の特定のチップ配置は、本発明の多くの可能な実施形態のほんの数例に過ぎない。本発明の記載された実施形態は、単なる例示であることを意図しており、当業者には多数の変形および修正が明らかであろう。そのような変形および修正はすべて、添付の特許請求の範囲で定義される本発明の範囲内にあることが意図されている。
【0156】
本発明のセンサシステムはまた、以下の条項に記載されている以下の特徴を含む。
1.被験体の血液成分濃度レベルをリアルタイムでモニタリングするためのレーザ系センサシステムオンチップであって、
波長可変ハイブリッドIII-V/IVレーザセンサ;および
前記レーザセンサに結合されている光ファイバインターフェース、前記インターフェースはプローブを含み、ここで使用中、前記レーザセンサは前記被験体から離れており、そして前記プローブは前記被験体と光通信している、を含むシステムオンチップ。
2.前記IVは、シリコン、シリコンオンインシュレータ、窒化シリコンオンシリコンオンインシュレータ、ゲルマニウムオンインシュレータ、および窒化シリコンオンシリコンからなる群から選択されるIV系半導体基板を含む、項1のレーザ系センサシステムオンチップ。
3.前記波長可変レーザセンサは、III-VゲインチップとIV系基板上に配置されたフォトニック集積回路とを備え、前記フォトニック集積回路は、(i)バーニア効果に基づいて波長フィルタリングおよびチューニング機能を実行するように構成され、(ii)前記III-Vゲインチップの外部キャビティを規定している、項1のレーザ系センサシステムオンチップ。
4.前記フォトニック集積回路は、スポットサイズモード変換器、位相制御部、および第2のフリースペクトルレンジを有する第2の共振器に結合された第1のフリースペクトルレンジを有する第1の共振器を備える、項3のレーザ系センサシステムオンチップ。
5.前記の第1および第2の共振器は、マイクロリング共振器、抽出ブラッグ反射器、および分布帰還反射器からなる群から選択される、項4のレーザ系センサシステムオンチップ。
6.前記第1のフリースペクトルレンジは、前記第2のフリースペクトルレンジと異なる、項4のレーザ系センサシステムオンチップ。
7.前記の結合された第1および第2の共振器、III-Vゲインチップ、スポットサイズモード変換器、および位相制御部は、前記波長可変レーザセンサのバーニア効果に基づくチューニングを可能にするよう協働する、項4のレーザ系センサシステムオンチップ。
8.前記波長可変レーザセンサは、動作中、前記の結合された共振器の少なくとも1つに、その有効屈折率を変更するよう電流または熱の少なくとも1つを印加して、前記ゲインチップによって生成されるレーザの波長の変更をもたらすように構成されている、項4のレーザ系センサシステムオンチップ。
9.前記III-Vゲインチップは、前記フォトニック集積回路に端面結合されている、項3のレーザ系センサシステムオンチップ。
10.前記III-Vゲインチップは、グレーティングカプラによって前記フォトニック集積回路に結合されている、項9のレーザ系センサシステムオンチップ。
11.前記レーザセンサは、フリップチップボンディング、接着、転写印刷技術、またはサイドカップリングの少なくとも1つによって前記フォトニック集積回路に結合された少なくとも1つのIII-Vフォトダイオードを含む、項1のレーザ系センサシステムオンチップ。
12.前記波長可変レーザセンサから離れて配置された個別のIII-Vフォトダイオードをさらに備え、ここで使用中、前記被験体からの反射信号は前記個別のIII-Vフォトダイオードによって収集される、項1のレーザ系センサシステムオンチップ。
13.前記フォトニック集積回路は、信号および波長モニタリング部を備えている、項12のレーザ系センサシステムオンチップ。
14.前記信号および波長モニタリング部は、(i)マッハツェンダ干渉計のセットまたは結合されたリング共振器の少なくとも1つ、および(ii)少なくとも1つのフリップチップIII-Vフォトダイオードを備えている、項13のレーザ系センサシステムオンチップ。
15.前記レーザセンサは、
センサ制御電子機器;および
信号処理マイクロコントローラ、
ここで前記マイクロコントローラは、(i)前記レーザ駆動電気機器を制御し、(ii)電流を調整し、そして(iii)前記個別のIII-Vフォトダイオードから得たデータの信号処理のため前記波長および信号モニターセクションからの情報を使用するように構成されている、をさらに備えている、項14のレーザ系センサシステムオンチップ。
16.前記レーザセンサは、時間の関数としてチューニング範囲にわたって波長掃引を実行するように構成されており、前記レーザセンサは、前記被験体からの反射光を電気信号に変換するように構成されたフォトダイオードを備えている、項1のレーザ系センサシステムオンチップ。
17.前記光ファイバインターフェースは、光学カテーテルに接続されており、そして(i)前記センサからの光信号を前記被験体の血液に送信し、そして(ii)前記被験体の血液からの反射光を前記センサに送信するように構成されている、項1のレーザ系センサシステムオンチップ。
18.前記光ファイバインターフェースは、前記被験体の皮膚または外側組織を通して前記被験体の血液サンプルを非侵襲的に照射するように構成されたビーム整形光学部品と光通信する、項1のレーザ系センサシステムオンチップ。
19.被験体の血液成分濃度レベルをリアルタイムでモニタリングするためのレーザ系センサシステムオンチップを製造する方法であって、
III-V半導体ゲインチップを製造すること、
CMOS技術によりIV族系半導体基板上にフォトニック集積回路を製造して、IV族半導体チップを規定すること、および
前記III-Vゲインチップと前記IV族半導体チップをハイブリッド集積することにより、
波長可変ハイブリッドIII-V/IVレーザセンサを製造すること、ここで前記フォトニック集積回路は、(i)バーニア効果に基づいて波長フィルタリングおよびチューニング機能を実行するように構成され、そして(ii)前記III-Vゲインチップのための外部キャビティを規定し;ならびに
光ファイバインターフェースを前記レーザセンサに結合すること、前記インターフェースはプローブを含み、ここで使用中、前記レーザセンサは前記被験体から離れており、前記プローブは前記被験体と光通信する、のステップを含む方法。
20.前記III-Vゲインチップと前記IV族半導体チップをハイブリッド集積することは、前記III-Vゲインチップを前記IV族半導体チップに端面結合すること、前記の2つのチップを能動的に位置合わせすること、および前記の2つのチップを接着することを含む、項19の方法。
21.前記のチップをハイブリッド集積することは、前記III-Vゲインチップのp側を下に反転すること、および前記フォトニック集積回路への端面結合のために前記ゲインチップを前記IV族半導体チップに規定されたトレンチにボンディングすることを含む、項19に記載の方法。
22.前記III-V半導体ゲインチップを製造することは、MBEまたはMOVPE成長の少なくとも1つにより、基板上にレーザ層構造をエピタキシャル成長させることを含む、項19の方法。
23.前記基板上の前記レーザ層構造を、事前規定の導波路角度およびコンタクトパッドを含むゲインチップデバイスに加工することをさらに含む、項22の方法。
24.前記基板上の前記レーザ層構造をバーにへき開することをさらに含む、項23の方法。
25.出力ファセット上に反射防止膜を形成することをさらに含み、ここで出力反射が前記出力ファセットで0.1%未満ある、項24の方法。
26.バックファセット上に高反射率膜を形成することをさらに含み、ここで出力反射率は前記バックファセットで少なくとも90%以上である、項25の方法。
27.各バーを複数の個々のIII-V半導体ゲインチップにへき開することをさらに含む、項26の方法。
28.前記III-Vゲインチップの特性に応じてフォトニック集積回路を設計することをさらに含み、前記フォトニック集積回路はスポットサイズ変換器およびバーニアフィルタの少なくとも1つを含む、項27の方法。
29.セルのアレイを含むセンサであって、各セルは項1のレーザ系センサシステムオンチップを含み、ここで各アレイセルは異なるスペクトル領域および個別の標的分子を標的にしている、センサ。
30.各アレイセルの波長掃引レーザ信号は異なる時間に放出され、そして信号収集は単一のフォトダイオードによる同期検出によって実現される、項29のセンサ。
31.(i)前記光ファイバインターフェースは、コアを有するアウトカップリングファイバを備え、(ii)前記アレイの出力は、前記システムオンチップの同じ部分にルーティングされた前記個々のアレイセルからのグレーティングカプラの群によって形成され、そして(iii)前記のグレーティングカプラの群によって規定される総面積は、前記アウトカップリングファイバコアの断面積よりも小さい、項29のセンサ。
32.単一の出力部;
前記アレイセルの出力を切り替えるように構成された波長スイッチ;および単一のフォトダイオードをさらに備え、
ここで(ii)前記センサアレイの出力は、前記単一の出力部および前記波長スイッチによって形成され、(ii)個々のセルの出力を切り替えることは、所与の時間に前記標的にアウトカップリングされる1つのアレイセルの単一の出力をもたらし、そして(iii)信号収集は、前記単一のフォトダイオードによる同期検出によって実現される、項29のセンサ。
33.(i)少なくとも1つのアレイセルは、約1460nm、約1900-2000nm、および約3000nmからなる群から選択された少なくとも1つの水吸収ピークに対応するスペクトル領域を標的としており、そして(ii)少なくとも1つの他のアレイセルは、血液成分標的分子の少なくとも1つの吸収ピークに対応するスペクトル領域を標的としている、項29のセンサ。
34.前記の少なくとも1つのアレイセルで測定された前記の少なくとも1つの水吸収ピークに基づいて水分濃度レベルおよび水吸収スペクトルを決定するようにプログラムされた少なくとも1つの中央処理装置をさらに備える、項33のセンサ。
35.前記中央処理装置は、ベースラインを削除し、そして前記少なくとも1つのアレイセルに隣接するアレイセルによりカバーされるスペクトル領域の複合吸光度スペクトルを分解して、元となる標的分子吸収特徴を明らかにするようにさらにプログラムされている、項34のセンサ。
36.前記中央処理装置は、拡散反射スペクトルを吸光度に変換するようにさらにプログラムされている、項33のセンサ。
37.前記吸光度は、他の分子吸収との重複が存在しない異なるスペクトル領域で動作する隣接するアレイセルからの情報を使用することにより分離される複数の個々の吸光度スペクトル成分を含む収集吸光度スペクトルを含む、項36のセンサ。
38.前記中央処理装置は、1つより多い標的分子の吸収スペクトル特徴が重複するスペクトル領域のベースラインを修正および削除するようにさらにプログラムされている、項37のセンサ。
39.前記中央処理装置は、前記の個々の吸光度スペクトル成分の少なくとも1つを使用して、較正された濃度レベルを決定するようにさらにプログラムされている、項38のセンサ。
40.前記較正された濃度レベルは、所与の波長での複数の個々の分子のそれぞれの個々の吸光度値および較正された減衰係数に基づいて決定される、項39のセンサ。
41.前記中央処理装置は、特定のサンプル量とは無関係に標的分子濃度を決定するようにさらにプログラムされている、項33から39のいずれかのセンサ。
42.被験体の血液成分濃度レベルをリアルタイムでモニタリングするためのレーザ系センサシステムオンチップであって、
波長可変ハイブリッドIII-V/IVセンサ;および
前記レーザセンサに結合された光学インターフェース、ここで前記光学インターフェースはビーム整形光学部品を含む、をさらに含み、
ここで使用中、前記レーザセンサは前記被験体から離れており、そして前記光学インターフェースは、前記被験体の皮膚または外側組織を通して前記被験体の血液サンプルを非侵襲的に照射するように構成されている、システムオンチップ。
43.セルのアレイを含むセンサであって、各セルは項42のレーザ系センサシステムオンチップを含み、ここで各アレイセルは、異なるスペクトル領域および個別の標的分子を標的にしている、センサ。
44.各アレイセルの個々の出力は、前記被験体の単一の領域を照明するために焦点を合わせられ、そして各反射信号は、前記の照明された領域から前記ビーム整形光学部品により収集される、項43のセンサアレイ。
45.前記ビーム整形光学部品は、少なくとも1つの光学素子を含む、項42のセンサアレイ。
46.前記光学素子は、レンズ、鏡のセット、および放物面鏡のうちの少なくとも1つを含む、項45のセンサアレイ。
47.被験体の血液成分レベルをリアルタイムでモニタリングする方法であって、
波長可変ハイブリッドIII-V/IVレーザセンサ、
前記レーザセンサに結合された光ファイバインターフェース、ここで前記サーフェースはプローブを含み、
センサ制御および信号処理用のセンサ制御電子機器、および
信号処理マイクロコントローラ、前記レーザセンサを前記被験体から離れて配置し、そして前記プローブは前記被験体と光通信する、を含むシステムオンチップを提供すること;
前記光ファイバインターフェースに掃引レーザ信号を送信することにより、前記システムオンチップに前記被験体の前記血液成分レベルをモニタリングするよう指示すること;
前記光ファイバインターフェースにて前記被験体の前記血液に信号を導くこと;
前記信号が前記血液と相互作用した後、前記血液からの反射信号を前記光ファイバインターフェースにて収集すること;
前記反射信号を反射光フォトダイオードに導くこと、ここで前記反射信号は光信号であり;
前記反射信号を光信号から電気信号に変換すること;ならびに
前記マイクロコントローラにて前記電気信号を処理して、前記電気信号を較正された血液成分レベルに変換すること、のステップを含む方法。
48.前記プローブは、侵襲性血液分析物濃度レベル測定のために、静脈内光学カテーテルまたは動脈内光学カテーテルの少なくとも一つに接続されている、項47の方法。
49.前記光学インターフェースは、非侵襲的な血液分析物濃度レベル測定のために前記被験体に取り付けられる、項47の方法。
50.前記血液成分は、乳酸、アルブミン、グルコース、アンモニア、クレアチニン、および尿素からなる群から選択される、項47の方法。