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特許7187503通信装置、プログラム、移動体、システム、及び通信方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-02
(45)【発行日】2022-12-12
(54)【発明の名称】通信装置、プログラム、移動体、システム、及び通信方法
(51)【国際特許分類】
   H04B 7/06 20060101AFI20221205BHJP
   H01Q 21/20 20060101ALI20221205BHJP
   H01Q 3/26 20060101ALI20221205BHJP
   H04W 16/28 20090101ALI20221205BHJP
【FI】
H04B7/06 956
H01Q21/20
H01Q3/26 Z
H04W16/28
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2020104859
(22)【出願日】2020-06-17
(65)【公開番号】P2021197699
(43)【公開日】2021-12-27
【審査請求日】2021-02-09
(73)【特許権者】
【識別番号】501440684
【氏名又は名称】ソフトバンク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松浦 一樹
(72)【発明者】
【氏名】太田 善元
【審査官】齊藤 晶
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-067880(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0007384(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0110790(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0363769(US,A1)
【文献】国際公開第2018/100811(WO,A1)
【文献】特許第6541823(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/06
H01Q 21/20
H01Q 3/26
H04W 16/28
IEEE Xplore
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
異なる方向に指向性を有するように配置された複数のビームフォーミングアンテナと、
通信対象の移動体に関連する移動体関連情報を取得する取得部と、
複数の前記移動体の前記移動体関連情報に基づいて、前記複数のビームフォーミングアンテナから、前記複数の移動体のそれぞれに対して少なくとも1つのビームフォーミングアンテナを割り当てるアンテナ割当部と、
前記アンテナ割当部によって前記複数の移動体のそれぞれに割り当てられたビームフォーミングアンテナを用いて、前記複数の移動体のそれぞれと無線通信する無線通信部と
を備え
前記アンテナ割当部は、予め定められた優先順位に従って、前記複数の移動体のそれぞれに割り当てるビームフォーミングアンテナを選択し、
前記優先順位は、1つの移動体に対して複数のビームフォーミングアンテナを割り当てることが最も優先順位が高く、1つの移動体に対して1つのビームフォーミングアンテナを割り当てること、複数の移動体に対して1つのビームフォーミングアンテナを割り当てることの順に優先順位が低い、通信装置。
【請求項2】
前記アンテナ割当部は、複数の前記移動体に対して一のビームフォーミングアンテナしか割り当てられない場合を除いて、前記複数の移動体に対して異なるビームフォーミングアンテナを割り当てる、請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記アンテナ割当部は、一の移動体に対して複数のビームフォーミングアンテナを割り当て可能な場合、当該一の移動体に対して前記複数のビームフォーミングアンテナを割り当てる、請求項1又は2に記載の通信装置。
【請求項4】
前記移動体関連情報は、前記通信対象の移動体の位置を示す位置情報を含み、
前記アンテナ割当部は、前記複数の移動体の位置情報に基づいて、前記複数のビームフォーミングアンテナから、前記複数の移動体のそれぞれに対して少なくとも1つのビームフォーミングアンテナを割り当てる、請求項1から3のいずれか一項に記載の通信装置。
【請求項5】
前記アンテナ割当部は、前記通信装置の位置を基準とした前記複数のビームフォーミングアンテナの基準指向方向のベクトルと、前記通信装置の位置を基準とした前記複数の移動体の位置に対するベクトルとの内積に基づいて、前記複数の移動体のそれぞれに対して少なくとも1つのビームフォーミングアンテナを割り当てる、請求項4に記載の通信装置。
【請求項6】
前記アンテナ割当部は、前記複数の移動体の位置情報に基づいて、前記複数のビームフォーミングアンテナのそれぞれについて、基準指向方向と、前記複数の移動体のそれぞれに対する方向との角度に基づいて、前記複数の移動体のそれぞれに対して少なくとも1つのビームフォーミングアンテナを割り当てる、請求項4に記載の通信装置。
【請求項7】
前記取得部は、前記複数のビームフォーミングアンテナのそれぞれについて、前記複数の移動体からの最大受信電力を取得し、
前記アンテナ割当部は、前記取得部が取得した前記最大受信電力に基づいて、前記複数のビームフォーミングアンテナから、前記複数の移動体のそれぞれに対して少なくとも1つのビームフォーミングアンテナを割り当てる、請求項1から3のいずれか一項に記載の通信装置。
【請求項8】
通信装置であって、
異なる方向に指向性を有するように配置された複数のビームフォーミングアンテナと、
通信対象の移動体に関連する移動体関連情報を取得する取得部と、
複数の前記移動体の前記移動体関連情報に基づいて、前記複数のビームフォーミングアンテナから、前記複数の移動体のそれぞれに対して少なくとも1つのビームフォーミングアンテナを割り当てるアンテナ割当部と、
前記アンテナ割当部によって前記複数の移動体のそれぞれに割り当てられたビームフォーミングアンテナを用いて、前記複数の移動体のそれぞれと無線通信する無線通信部と
を備え、
前記移動体関連情報は、前記通信対象の移動体の位置を示す位置情報を含み、
前記アンテナ割当部は、前記通信装置の位置を基準とした前記複数のビームフォーミングアンテナの基準指向方向のベクトルと、前記通信装置の位置を基準とした前記複数の移動体の位置に対するベクトルとの内積に基づいて、前記複数のビームフォーミングアンテナから、前記複数の移動体のそれぞれに対して少なくとも1つのビームフォーミングアンテナを割り当てる、通信装置。
【請求項9】
前記アンテナ割当部は、前記複数の移動体のそれぞれについて、内積が予め定められた閾値よりも高いビームフォーミングアンテナを候補アンテナとして特定し、候補アンテナが1つの移動体に対して当該候補アンテナを割り当てる、請求項8に記載の通信装置。
【請求項10】
前記アンテナ割当部は、前記複数の移動体のそれぞれについて、前記内積が予め定められた閾値よりも高いビームフォーミングアンテナを候補アンテナとして特定し、前記複数の移動体のそれぞれに少なくとも1つのビームフォーミングアンテナが割り当たる組み合わせのうち、前記内積の合計値が他の組み合わせよりも高い組み合わせに従って、前記複数の移動体のそれぞれに対してビームフォーミングアンテナを割り当てる、請求項8に記載の通信装置。
【請求項11】
異なる方向に指向性を有するように配置された複数のビームフォーミングアンテナと、
通信対象の移動体に関連する移動体関連情報を取得する取得部と、
複数の前記移動体の前記移動体関連情報に基づいて、前記複数のビームフォーミングアンテナから、前記複数の移動体のそれぞれに対して少なくとも1つのビームフォーミングアンテナを割り当てるアンテナ割当部と、
前記アンテナ割当部によって前記複数の移動体のそれぞれに割り当てられたビームフォーミングアンテナを用いて、前記複数の移動体のそれぞれと無線通信する無線通信部と
を備え、
前記移動体関連情報は、前記通信対象の移動体の位置を示す位置情報を含み、
前記アンテナ割当部は、前記複数の移動体の位置情報に基づいて、前記複数のビームフォーミングアンテナのそれぞれについて、基準指向方向と、前記複数の移動体のそれぞれに対する方向との角度に基づいて、前記複数の移動体のそれぞれに対して少なくとも1つのビームフォーミングアンテナを割り当てる、通信装置。
【請求項12】
異なる方向に指向性を有するように配置された複数のビームフォーミングアンテナと、
通信対象の移動体に関連する移動体関連情報を取得する取得部と、
複数の前記移動体の前記移動体関連情報に基づいて、前記複数のビームフォーミングアンテナから、前記複数の移動体のそれぞれに対して少なくとも1つのビームフォーミングアンテナを割り当てるアンテナ割当部と、
前記アンテナ割当部によって前記複数の移動体のそれぞれに割り当てられたビームフォーミングアンテナを用いて、前記複数の移動体のそれぞれと無線通信する無線通信部と
を備え、
前記取得部は、前記複数のビームフォーミングアンテナのそれぞれについて、前記複数の移動体からの最大受信電力を取得し、
前記アンテナ割当部は、前記取得部が取得した前記最大受信電力に基づいて、前記複数のビームフォーミングアンテナから、前記複数の移動体のそれぞれに対して少なくとも1つのビームフォーミングアンテナを割り当てる、通信装置。
【請求項13】
コンピュータを、請求項1から12のいずれか一項に記載の通信装置として機能させるためのプログラム。
【請求項14】
請求項1から12のいずれか一項に記載の通信装置を備える移動体。
【請求項15】
請求項1から12のいずれか一項に記載の通信装置を搭載した無人航空機と、
前記通信装置と無線通信接続を確立する複数の無人航空機と
を備え、
前記無線通信部は、地上に無線通信エリアを形成する、
システム。
【請求項16】
通信装置によって実行される通信方法であって、
通信対象の移動体に関連する移動体関連情報を取得する取得ステップと、
複数の前記移動体の前記移動体関連情報に基づいて、複数のビームフォーミングアンテナから、前記複数の移動体のそれぞれに対して少なくとも1つのビームフォーミングアンテナを割り当てるアンテナ割当ステップと、
前記アンテナ割当ステップにおいて前記複数の移動体のそれぞれに割り当てられたビームフォーミングアンテナを用いて、前記複数の移動体のそれぞれと無線通信する無線通信ステップと
を備え、
前記アンテナ割当ステップは、予め定められた優先順位に従って、前記複数の移動体のそれぞれに割り当てるビームフォーミングアンテナを選択し、
前記優先順位は、1つの移動体に対して複数のビームフォーミングアンテナを割り当てることが最も優先順位が高く、1つの移動体に対して1つのビームフォーミングアンテナを割り当てること、複数の移動体に対して1つのビームフォーミングアンテナを割り当てることの順に優先順位が低い、通信方法。
【請求項17】
通信装置によって実行される通信方法であって、
通信対象の移動体に関連する移動体関連情報を取得する取得ステップと、
複数の前記移動体の前記移動体関連情報に基づいて、複数のビームフォーミングアンテナから、前記複数の移動体のそれぞれに対して少なくとも1つのビームフォーミングアンテナを割り当てるアンテナ割当ステップと、
前記アンテナ割当ステップにおいて前記複数の移動体のそれぞれに割り当てられたビームフォーミングアンテナを用いて、前記複数の移動体のそれぞれと無線通信する無線通信ステップと
を備え、
前記移動体関連情報は、前記通信対象の移動体の位置を示す位置情報を含み、
前記アンテナ割当ステップは、前記通信装置の位置を基準とした前記複数のビームフォーミングアンテナの基準指向方向のベクトルと、前記通信装置の位置を基準とした前記複数の移動体の位置に対するベクトルとの内積に基づいて、前記複数のビームフォーミングアンテナから、前記複数の移動体のそれぞれに対して少なくとも1つのビームフォーミングアンテナを割り当てる、通信方法。
【請求項18】
通信装置によって実行される通信方法であって、
通信対象の移動体に関連する移動体関連情報を取得する取得ステップと、
複数の前記移動体の前記移動体関連情報に基づいて、複数のビームフォーミングアンテナから、前記複数の移動体のそれぞれに対して少なくとも1つのビームフォーミングアンテナを割り当てるアンテナ割当ステップと、
前記アンテナ割当ステップにおいて前記複数の移動体のそれぞれに割り当てられたビームフォーミングアンテナを用いて、前記複数の移動体のそれぞれと無線通信する無線通信ステップと
を備え、
前記移動体関連情報は、前記通信対象の移動体の位置を示す位置情報を含み、
前記アンテナ割当ステップは、前記複数の移動体の位置情報に基づいて、前記複数のビームフォーミングアンテナのそれぞれについて、基準指向方向と、前記複数の移動体のそれぞれに対する方向との角度に基づいて、前記複数の移動体のそれぞれに対して少なくとも1つのビームフォーミングアンテナを割り当てる、通信方法。
【請求項19】
通信装置によって実行される通信方法であって、
通信対象の移動体に関連する移動体関連情報を取得する取得ステップと、
複数の前記移動体の前記移動体関連情報に基づいて、複数のビームフォーミングアンテナから、前記複数の移動体のそれぞれに対して少なくとも1つのビームフォーミングアンテナを割り当てるアンテナ割当ステップと、
前記アンテナ割当ステップにおいて前記複数の移動体のそれぞれに割り当てられたビームフォーミングアンテナを用いて、前記複数の移動体のそれぞれと無線通信する無線通信ステップと
を備え、
前記取得ステップは、前記複数のビームフォーミングアンテナのそれぞれについて、前記複数の移動体からの最大受信電力を取得し、
前記アンテナ割当ステップは、前記取得ステップにおいて取得した前記最大受信電力に基づいて、前記複数のビームフォーミングアンテナから、前記複数の移動体のそれぞれに対して少なくとも1つのビームフォーミングアンテナを割り当てる、通信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示に係る発明は、通信装置、プログラム、移動体、システム、及び通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、バックホールノードに無線接続され、無線基地局として機能するドローン基地局が記載されている。
[先行技術文献]
[特許文献]
[特許文献1]特表2017-521962号公報
【発明の概要】
【0003】
本開示に係る発明の一実施形態によれば、通信装置が提供される。通信装置は、異なる方向に指向性を有するように配置された複数のビームフォーミングアンテナを備えてよい。通信装置は、通信対象の移動体に関連する移動体関連情報を取得する取得部を備えてよい。通信装置は、複数の移動体の移動体関連情報に基づいて、複数のビームフォーミングアンテナから、複数の移動体のそれぞれに対して少なくとも1つのビームフォーミングアンテナを割り当てるアンテナ割当部を備えてよい。通信装置は、アンテナ割当部によって複数の移動体のそれぞれに割り当てられたビームフォーミングアンテナを用いて、複数の移動体のそれぞれと無線通信する無線通信部を備えてよい。
【0004】
上記アンテナ割当部は、複数の上記移動体に対して一のビームフォーミングアンテナしか割り当てられない場合を除いて、上記複数の移動体に対して異なるビームフォーミングアンテナを割り当ててよい。上記アンテナ割当部は、一の移動体に対して複数のビームフォーミングアンテナを割り当て可能な場合、当該一の移動体に対して上記複数のビームフォーミングアンテナを割り当ててよい。上記移動体関連情報は、上記通信対象の移動体の位置を示す位置情報を含んでよく、上記アンテナ割当部は、上記複数の移動体の位置情報に基づいて、上記複数のビームフォーミングアンテナから、上記複数の移動体のそれぞれに対して少なくとも1つのビームフォーミングアンテナを割り当ててよい。上記アンテナ割当部は、上記通信装置の位置を基準とした上記複数のビームフォーミングアンテナの基準指向方向のベクトルと、上記通信装置の位置を基準とした上記複数の移動体の位置に対するベクトルとの内積に基づいて、上記複数の移動体のそれぞれに対して少なくとも1つのビームフォーミングアンテナを割り当ててよい。上記アンテナ割当部は、上記複数の移動体のそれぞれについて、内積が予め定められた閾値よりも高いビームフォーミングアンテナを候補アンテナとして特定し、候補アンテナが1つの移動体に対して当該候補アンテナを割り当ててよい。上記アンテナ割当部は、上記複数の移動体のそれぞれについて、上記内積が予め定められた閾値よりも高いビームフォーミングアンテナを候補アンテナとして特定し、上記複数の移動体のそれぞれに少なくとも1つのビームフォーミングアンテナが割り当たる組み合わせのうち、上記内積の合計値が他の組み合わせよりも高い組み合わせに従って、上記複数の移動体のそれぞれに対してビームフォーミングアンテナを割り当ててよい。上記アンテナ割当部は、上記複数の移動体の位置情報に基づいて、上記複数のビームフォーミングアンテナのそれぞれについて、基準指向方向と、上記複数の移動体のそれぞれに対する方向との角度に基づいて、上記複数の移動体のそれぞれに対して少なくとも1つのビームフォーミングアンテナを割り当ててよい。上記取得部は、上記複数のビームフォーミングアンテナのそれぞれについて、上記複数の移動体からの最大受信電力を取得してよく、上記アンテナ割当部は、上記取得部が取得した上記最大受信電力に基づいて、上記複数のビームフォーミングアンテナから、上記複数の移動体のそれぞれに対して少なくとも1つのビームフォーミングアンテナを割り当ててよい。
【0005】
本開示に係る発明の一実施形態によれば、コンピュータを、上記通信装置として機能させるためのプログラムが提供される。
【0006】
本開示に係る発明の一実施形態によれば、上記通信装置を備える移動体が提供される。
【0007】
本開示に係る発明の一実施形態によれば、上記通信装置を搭載した無人航空機と、上記通信装置と無線通信接続を確立可能な複数の無人航空機とを備えるシステムが提供される。上記無線通信部は、地上に無線通信エリアを形成してよい。
【0008】
本開示に係る発明の一実施形態によれば、通信装置によって実行される通信方法が提供される。通信方法は、通信対象の移動体に関連する移動体関連情報を取得する取得ステップを備えてよい。通信方法は、複数の移動体の移動体関連情報に基づいて、複数のビームフォーミングアンテナから、複数の移動体のそれぞれに対して少なくとも1つのビームフォーミングアンテナを割り当てるアンテナ割当ステップを備えてよい。通信方法は、アンテナ割当ステップにおいて複数の移動体のそれぞれに割り当てられたビームフォーミングアンテナを用いて、複数の移動体のそれぞれと無線通信する無線通信ステップを備えてよい。
【0009】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】通信装置100の一例を概略的に示す。
図2】通信装置100の機能構成の一例を概略的に示す。
図3】通信装置100によるアンテナ割当について説明するための説明図である。
図4】通信装置100によるアンテナ割当について説明するための説明図である。
図5】通信装置100によるアンテナ割当について説明するための説明図である。
図6】内積を用いたアンテナ割当について説明するための、内積310の一例を示す。
図7】通信装置100による処理の流れの一例を概略的に示す。
図8】通信装置100による通信のフローの一例を概略的に示す。
図9】アンテナ割当計算の一例を概略的に示す。
図10】通信処理の一例を概略的に示す。
図11】通信装置100を備える無人航空機400の一例を概略的に示す。
図12】システム10の一例を概略的に示す。
図13】通信装置100として機能するコンピュータ1200のハードウェア構成の一例を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0012】
図1は、通信装置100の一例を概略的に示す。通信装置100は、異なる方向に指向性を有するように配置された複数のアンテナ110を備えてよい。アンテナ110は、ビームフォーミングアンテナであってよい。図1では、通信装置100が6つのアンテナ110を備える場合を例示しているが、アンテナ110の数はこれに限らない。なお、ビームフォーミングアンテナは、ビームの指向性を変更可能なアンテナであれば特に限定されない。例えば、ビームフォーミングアンテナは、プログラム制御等によってアンテナ自体の向きを変えることなくビームの指向性を変更可能なアンテナであってよい。また、例えば、ビームフォーミングアンテナは、ジンバル等によってアンテナ自体の向きを変えることによってビームの指向性を変更可能なアンテナであってもよい。
【0013】
アンテナ110は、ビーム120の向きを変更可能であってよい。複数のアンテナ110は、全方位をカバーするように配置されてよい。図1に示す例においては、6つのアンテナ110のそれぞれが、ビーム120の向きを少なくとも±30度変更可能であってよい。
【0014】
通信装置100は、複数のアンテナ110のビーム120によって、複数の移動体200と無線通信してよい。移動体200は、例えば、通信装置100と無線通信可能な無人航空機であってよい。移動体200は、例えば、通信装置100と無線通信可能な車両であってもよい。移動体200は、人によって持ち運ばれる通信端末であってもよい。通信装置100は、移動体200に搭載された他の通信装置100と通信してもよい。なお、本開示において、通信装置100が無線通信を開始可能な対象、あるいは無線通信を実行している対象を通信対象と称する場合がある。
【0015】
通信装置100は、複数のアンテナ110を用いて、複数の移動体200と並行して無線通信してよい。複数の移動体200は、適宜位置が変化するので、通信装置100は、複数の移動体200の位置に応じて、使用するアンテナ110を切り替えてよい。図1では、2つの移動体200に対して、2つのアンテナ110を使用して無線通信している様子を示す。
【0016】
複数の移動体200に対して、1つのアンテナ110を割り当ててしまうと、例えば、時分割通信方式によって切り替えながら複数の移動体200と通信することになり、1つの移動体200に1つのアンテナ110を割り当てる場合と比較して、通信効率が低くなる。一実施形態に係る通信装置100は、複数の移動体200に対して1つの110が割り当てられる可能性を低減するように、使用するアンテナ110を選択する機能を有してよい。
【0017】
図2は、通信装置100の機能構成の一例を概略的に示す。通信装置100は、取得部132、格納部134、アンテナ割当部136、及び無線通信部138を備える。
【0018】
取得部132は、通信対象の移動体200に関連する移動体関連情報を取得してよい。移動体関連情報は、例えば、移動体200の位置を示す位置情報を含んでよい。取得部132は、取得した移動体関連情報を格納部134に格納してよい。すなわち、取得部132は、取得した位置情報を格納部134に格納してよい。
【0019】
取得部132は、例えば、複数の移動体200の位置情報を管理する管理サーバから、複数の移動体200の位置情報を取得してよい。管理サーバは、例えば、複数の移動体200のそれぞれから位置情報を受信することによって、複数の移動体200の位置を管理してよい。
【0020】
取得部132は、通信装置100の位置情報を取得してよい。管理サーバは、通信装置100の位置情報を管理してもよい。管理サーバは、例えば、通信装置100から位置情報を受信することによって、通信装置100の位置を管理してもよい。
【0021】
また、通信装置100及び移動体200は、任意の手法により位置情報を取得してよい。例えば、通信装置100及び移動体200は、衛星通信機能を有してよい。この場合、取得部132は、通信衛星を介して、通信装置100の位置情報及び移動体200の位置情報を取得してもよい。位置情報は、緯度及び経度を示す情報を含んでよい。また、位置情報は、さらに標高を示す情報を含んでもよい。
【0022】
アンテナ割当部136は、複数の移動体200の移動体関連情報に基づいて、複数のアンテナ110から、複数の移動体200のそれぞれに対して少なくとも1つのアンテナ110を割り当ててよい。
【0023】
アンテナ割当部136は、複数の移動体200に対して一のアンテナ110しか割り当てられない場合を除いて、複数の移動体200に対して異なるアンテナ110アンテナを割り当ててよい。ここで、複数の通信対象に対して、異なるアンテナを割り当てられる状況であるにもかかわらず、複数の通信対象に対して一のアンテナを割り当ててしまうことによって、通信効率が低下してしまう場合がある。これに対し、一実施形態に係る通信装置100は、通信効率が低下する可能性を低減することができる。
【0024】
アンテナ割当部136は、一の移動体200に対して複数のアンテナ110を割り当て可能な場合、当該一の移動体200に対して複数のアンテナ110を割り当ててよい。これにより、一実施形態に係る通信装置100は、一の移動体200に対して、複数のアンテナ110を同時に使用した無線通信や、状況に応じて複数のアンテナ110のうちより受信電力が強い方を使用した無線通信を実現することができる。すなわち、一実施形態に係る通信装置100によれば、通信効率を向上させ得る。
【0025】
アンテナ割当部136は、複数の移動体200の位置情報に基づいて、複数のアンテナ110から、複数の移動体200のそれぞれに対して少なくとも1つのアンテナ110を割り当ててよい。アンテナ割当部136は、例えば、通信装置100の位置を基準とした複数のアンテナ110の基準指向方向のベクトルと、通信装置100の位置を基準とした複数の移動体200の位置に対するベクトルとの内積に基づいて、複数の移動体200のそれぞれに対して少なくとも1つのアンテナ110を割り当ててよい。なお、複数のアンテナ110の基準指向方向は、複数のアンテナ110のそれぞれの正面方向であってよい。複数のアンテナ110の基準指向方向は、複数のアンテナ110のそれぞれの正面方向を少しずらした方向を含んでもよい。すなわち、複数のアンテナ110の基準指向方向は、複数のアンテナ110のそれぞれの正面方向に多少の誤差を含む方向であってもよい。
【0026】
通信装置100は、通信装置100の位置情報と移動体200の位置情報に基づいて、通信装置100の位置を基準とした移動体200の位置に対するベクトルを求めてよい。なお、ベクトルは、2次元ベクトル又は3次元ベクトルであってよい。すなわち、通信装置100は、位置情報が緯度と経度を示す情報を含む場合、2次元ベクトルを求めてよい。また、通信装置100は、位置情報がさらに標高を示す情報を含む場合、3次元ベクトルを求めてよい。
【0027】
通信装置100は、自装置の位置の変化に応じてベクトルを補正してよい。すなわち、通信装置100は、自装置の位置に基づいて、通信装置100の位置を基準とした複数の移動体200の位置に対するベクトルを求めてよい。通信装置100は、通信相手の移動体200の位置の変化に応じてベクトルを補正してよい。すなわち、通信装置100は、通信相手の移動体200の位置に基づいて、通信装置100の位置を基準とした当該移動体200の位置に対するベクトルを求めてよい。通信装置100は、自装置の姿勢の変化に応じてベクトルを補正してよい。すなわち、通信装置100は、自装置の姿勢に基づいて通信装置100の位置を基準とした複数のアンテナ110の基準指向方向のベクトルを求めてよい。この場合、通信装置100は、通信装置100の姿勢を示す姿勢情報を取得してよい。姿勢情報は、例えば、通信装置100のヨー、ピッチ、ロール角を示す情報を含んでよい。通信装置100は、ジャイロセンサ等により姿勢情報を取得してよい。通信装置100は、姿勢情報を格納部134に格納してよい。
【0028】
アンテナ割当部136は、複数の移動体200のそれぞれについて、内積が予め定められた閾値よりも高いアンテナ110を候補アンテナとして特定してよい。また、アンテナ割当部136は、移動体200に対して特定した候補アンテナが1つの場合、当該候補アンテナを移動体200に割り当ててよい。これにより、一実施形態に係る通信装置100は、候補アンテナが1つの移動体200に対して、当該候補アンテナを優先的に割り当てることができる。すなわち、一実施形態に係る通信装置100によれば、複数の移動体200のそれぞれに対して少なくとも1つのアンテナ110を割り当てることができるため、特定の移動体200との通信が途絶する可能性を低減し得る。
【0029】
無線通信部138は、アンテナ割当部136によって複数の移動体200のそれぞれに割り当てられたアンテナ110を用いて、複数の移動体200のそれぞれと無線通信してよい。無線通信部138は、移動体200の位置の変化に応じてビーム120の向きを調整することによって、移動体200を追尾してよい。
【0030】
図3は、通信装置100によるアンテナ割当について説明するための説明図である。通信装置100は、予め定められた優先順位に従って、複数の移動体200のそれぞれに割り当てるアンテナ110を選択してよい。当該優先順位は、1つの移動体200に対して複数のアンテナ110を割り当てることが最も優先順位が高く、1つの移動体200に対して1つのアンテナ110を割り当てること、複数の移動体200に対して1つのアンテナ110を割り当てることの順に、優先順位が低くなってよい。
【0031】
図3に示す例において、移動体210が、2つのアンテナ110を割り当て可能なところに位置していることから、通信装置100は、移動体210に対して2つのアンテナ110を割り当ててよい。移動体210が、一のアンテナ110のカバー範囲の端に位置する場合、当該一のアンテナ110からの電波受信レベルが低下するが、そのような状況において、通信装置100は、移動体210に対して複数のアンテナ110を割り当てる。これにより、一実施形態に係る通信装置100は、移動体210による電波受信レベルの落ち込みを低減することができる。
【0032】
図4は、通信装置100によるアンテナ割当について説明するための説明図である。図4に示す例において、移動体210及び移動体220が、1つのアンテナ110しか割り当てられないところに位置していることから、通信装置100は、移動体210及び移動体220に対して1つのアンテナ110を割り当ててよい。
【0033】
図5は、通信装置100によるアンテナ割当について説明するための説明図である。ここでは、通信対象が、2つの移動体210及び移動体220である場合を例に挙げて説明する。
【0034】
アンテナ割当部136は、通信装置100の位置を基準とした複数のアンテナ110の基準指向方向のベクトルと、通信装置100の位置を基準とした移動体210及び移動体220の位置に対するベクトルとの内積を計算してよい。表1は、内積の一例を示す。
【0035】
【表1】
【0036】
アンテナ割当部136は、内積の値が高い順に、アンテナを移動体に割り当ててよい。アンテナ割当部136は、内積の値が予め定められた閾値より高いアンテナがなくなるまで、内積の値が高い順に、アンテナを移動体に割り当ててよい。
【0037】
例えば、閾値を0.7とした場合、まず、アンテナ割当部136は、移動体210に対してアンテナAを割り当ててよい。次にアンテナ割当部136は、移動体220に対してアンテナFを割り当ててよい。次にアンテナ割当部136は、移動体210に対してアンテナBを割り当ててよい。
【0038】
図6は、内積を用いたアンテナ割当について説明するための、内積310の一例を示す。図6では、3つの通信対象に対してアンテナ110を割り当てる場合を例示している。
【0039】
アンテナ割当部136は、内積310のうち、各列で予め定められた閾値を超えているものを候補アンテナとして抜き出してよい。閾値は、例えばアンテナ110のビームフォーミング可能な最大角度に基づいて決定されてよい。具体例として、閾値は、当該最大角度のコサインであってよい。閾値は、通信装置100の管理者等によって決定されてもよい。
【0040】
閾値を0.7とした場合、アンテナ割当部136は、対象Aに対してアンテナA及びアンテナBを候補アンテナとし、対象Bに対してアンテナD及びアンテナFを候補アンテナとし、対象Cに対してアンテナA及びアンテナFを候補アンテナとしてよい。
【0041】
アンテナ割当部136は、候補アンテナが1つの対象がある場合、当該候補アンテナを当該対象に割り当ててよい。アンテナ割当部136は、候補アンテナが1つの対象がない場合、内積の値が最大のものを選択してよい。図6に示す例において、アンテナ割当部136は、内積の値が0.95で最大の、対象Bに対するアンテナFを選択してよい。アンテナ割当部136は、このような手順を繰り返してよい。
【0042】
図6に示す例において、アンテナFを対象Bに割り当てたことによって、対象Cの候補アンテナがアンテナAのみとなることから、アンテナ割当部136は、対象Cに対してアンテナAを選択してよい。また、これにより、対象Aの候補アンテナがアンテナBのみとなることから、アンテナ割当部136は、対象Aに対してアンテナBを選択してよい。
【0043】
すべての対象に対するアンテナの選択後、候補アンテナが残存している場合、アンテナ割当部136は、内積値の高いものから割り当ててよい。図6に示す例において、アンテナ割当部136は、対象BにアンテナDを割り当ててよい。
【0044】
アンテナ割当部136は、複数の対象のそれぞれについて、内積が予め定められた閾値よりも高いアンテナ110を候補アンテナとして特定し、複数の対象のそれぞれに少なくとも1つのアンテナ110が割り当たる組み合わせのうち、内積の合計値が最も高い組み合わせに従って、複数の対象のそれぞれに対してアンテナ110を割り当ててもよい。表2は、内積値の合計の一例を示す。
【0045】
【表2】
【0046】
アンテナ割当部136は、対象Aに対してアンテナB、対象Bに対してアンテナF、対象Cに対してアンテナAを割り当ててよい。すべての対象に対するアンテナの選択後、候補アンテナが残存している場合、アンテナ割当部136は、内積値の高いものから割り当ててよい。
【0047】
取得部132は、複数のアンテナ110のそれぞれについて、複数の移動体200からの最大受信電力を取得してもよい。複数の移動体200のそれぞれは、定期的にビーコン信号を送信してよい。取得部132は、複数のアンテナ110のそれぞれについて、ビーム120を振って、ビーコン信号の受信電力が最大となる方向を記録してよい。
【0048】
アンテナ割当部136は、取得部132が取得した最大受信電力に基づいて、複数のアンテナ110から、複数の移動体200のそれぞれに対して少なくとも1つのビームフォーミングアンテナを割り当ててよい。表3は、最大受信電力の一例を示す。アンテナ割当部136は、内積を用いたアンテナ割当と同様に、対象A、対象B、及び対象Cのそれぞれに対してアンテナを割り当ててよい。
【0049】
【表3】
【0050】
アンテナ割当部136は、複数の移動体200の位置情報に基づいて、複数のアンテナ110のそれぞれについて、基準指向方向と、複数の移動体200のそれぞれに対する方向との角度に基づいて、複数の移動体200のそれぞれに対して少なくとも1つのビームフォーミングアンテナを割り当ててよい。表4は、角度の一例であってよい。左側が水平方向の角度であり、右側が垂直方向の角度である。
【0051】
【表4】
【0052】
アンテナ割当部136は、角度が0度で1となり、ビームフォーミングの限界角度で0となる下記数式1を用いて、アンテナ割当の指標となる値を算出してよい。
【0053】
【数1】
【0054】
水平方向に±30°、垂直方向に±10°BF可能なアンテナ110を使用する場合、指標となる値は、表5に示すようになる。アンテナ割当部136は、内積を用いたアンテナ割当と同様に、対象A、対象B、及び対象Cのそれぞれに対してアンテナを割り当ててよい。
【0055】
【表5】
【0056】
図7は、通信装置100による処理の流れの一例を概略的に示す。通信装置100は、任意のタイミングで図7に示す処理を開始してよい。図7に示す各処理は、通信装置100の制御部が主体となって実行されてよい。
【0057】
ステップ(ステップをSと省略して記載する場合がある。)102では、ループを開始する。当該ループは一定間隔で繰り返されてよい。S104では、取得部132が、通信対象の移動体200の位置情報を取得して更新してよい。
【0058】
S106では、アンテナ割当部136が、アンテナ割当計算を実行してよい。アンテナ割当部136は、計算結果を格納部134に格納してよい。
【0059】
S108では、アンテナ割当計算の終了フラグが立っているか否かを判定してよい。終了フラグが立っていると判定した場合、処理を終了してよい。終了フラグが立っていないと判定した場合、一定の期間経過後に、S104に戻ってよい。
【0060】
図8は、通信装置100による通信のフローの一例を概略的に示す。図8に示す各処理は、通信装置100の制御部が主体となって実行されてよい。
【0061】
S202では、ループを開始する。当該ループは一定間隔で繰り返されてよい。S204では、取得部132に格納されている計算結果に基づいて、アンテナ割当部136がアンテナ割当を行い、無線通信部138がビームフォーミングの制御を行ってよい。S206では、無線通信部138が通信処理を実行してよい。
【0062】
S208では、無線通信部138が、通信の終了フラグが立っているか否かを判定してよい。終了フラグが立っていると判定した場合、処理を終了してよい。終了フラグが立っていないと判定した場合、一定の期間経過後に、S204に戻ってよい。
【0063】
図9は、アンテナ割当計算の一例を概略的に示す。S302では、ループを開始する。当該ループはアンテナ数Nの分、繰り返されてよい。S304では、ループを開始する。当該ループは、対象数Mの分、繰り返されてよい。
【0064】
S306では、アンテナ割当部136が、通信装置100の位置を基準としたアンテナ110の基準指向方向のベクトルと、通信装置100の位置を基準とした対象の位置に対するベクトルとの内積を計算し、リストに追加してよい。アンテナ割当部136は、対象数Mの分、そして、アンテナ数Nの分の処理が終了するまで、ループを繰り返してよい。
【0065】
S308では、ループを開始する。当該ループは、対象数Mの分、繰り返されてよい。S310では、アンテナ割当部136が、1つ目の対象について、候補アンテナが1つであるか否かを判定してよい。候補アンテナが1つである場合、S312に進み、1つでない場合、S314に進む。
【0066】
S312では、アンテナ割当部136が、候補のアンテナ110を選択してよい。S314では、アンテナ割当部136が、複数の候補アンテナのうち、内積が最大のアンテナ110を選択してよい。
【0067】
S316では、アンテナ割当部136が、選択したアンテナを、対象に対して使用する使用アンテナに決定してよい。S318では、アンテナ割当部136が、選択したアンテナをリストから一時的に除外してよい。アンテナ割当部136は、対象数Mの分の処理が終了するまで、ループを繰り返してよい。
【0068】
S320では、アンテナ割当部136が、候補アンテナが残っているか否かを判定してよい。残っていると判定した場合、S322に進み、残っていないと判定した場合、S324に進む。S322では、アンテナ割当部136が、残っている候補アンテナを、内積が最大の対象に割り当ててよい。
【0069】
S324では、アンテナ割当部136が、アンテナ110が未割当の対象が存在するか否かを判定してよい。存在すると判定した場合、S326に進み、存在しないと判定した場合、処理を終了してよい。S326では、アンテナ割当部136が、アンテナ110が未割当の対象に対して、内積が最大のアンテナを割り当ててよい。
【0070】
図10は、通信処理の一例を概略的に示す。無線通信部138は、アンテナ割当部136によって割り当てられたアンテナ110を用いて対象と通信する場合であって、アンテナ割当部136によって複数のアンテナ110が対象に割り当てられていた場合、受信電力がより強い方のアンテナに適宜切り替えて通信してよい。
【0071】
S402では、無線通信部138が、アンテナ割当部136によって割り当てられた一のアンテナ110を用いて、対象との通信処理を実行する。S404では、無線通信部138が、サブアンテナが存在するか否かを判定する。存在すると判定した場合、S406に進み、存在しないと判定した場合、処理を終了してよい。
【0072】
S406では、取得部132が、サブアンテナによる対象からの電波の受信電力を測定してよい。S408では、無線通信部138が、サブアンテナの受信電力が、メインアンテナの受信電力にプラスアルファした値よりも高いか否かを判定する。プラスアルファの値は、任意に設定可能であってよい。高いと判定した場合、S410に進み、高くないと判定した場合、処理を終了してよい。S410では、無線通信部138が、メインアンテナとサブアンテナとを切り替えてよい。
【0073】
上記実施形態では、通信装置100が固定されている場合を例に挙げて説明したが、通信装置100は、移動体に搭載されてもよい。通信装置100は、例えば、無人航空機400に搭載されてよい。
【0074】
図11は、通信装置100を備える無人航空機400の一例を概略的に示す。ここでは、通信装置100が、6方向に指向性を有するように配置された6つのアンテナ410と、下方向に指向性を有するように配置されたアンテナ412とを有する場合を例示している。このように、通信装置100は、無人航空機400から見て通信対象が存在し得るすべての方位が、多面構成されるいずれかのアンテナでカバーされるアンテナ構成を有してよい。
【0075】
図12は、複数の無人航空機400によって構成されるシステム10の一例を概略的に示す。複数の無人航空機400のそれぞれは、通信装置100を搭載していてよい。
【0076】
複数の通信装置100は、互いに無線通信接続を確立することによって、メッシュネットワークを構成してよい。複数の通信装置100のうちの一部の通信装置100が、地上通信装置500と無線通信接続を確立することによって、メッシュネットワークがネットワーク50に接続されてよい。
【0077】
ネットワーク50は、移動体通信ネットワークを含んでよい。移動体通信ネットワークは、3G(3rd Generation)通信方式に準拠してよい。移動体通信ネットワークは、LTE(Long Term Evolution)通信方式に準拠してよい。移動体通信ネットワークは、5G(5th Generation)通信方式に準拠してよい。移動体通信ネットワークは、6G(6th Generation)通信方式以降の通信方式に準拠してよい。ネットワーク50は、インターネットを含んでよい。
【0078】
無人航空機400は、定点対空してよい。無人航空機400は、移動してもよい。
【0079】
通信装置100は、下方に無線通信エリア402を形成してよい。通信装置100は、無線通信エリア402内の通信端末に対して、無線通信サービスを提供してよい。通信装置100は、メッシュネットワークを介して、ネットワーク50と通信端末との通信を中継してよい。すなわち、メッシュネットワークは、バックホールとして機能してよい。通信端末の例として、スマートフォン等の携帯電話、タブレット端末、PC(Personal Computer)、いわゆるIoT(Internet of Thing)デバイス等が挙げられる。
【0080】
通信装置100は、3G(3rd Generation)通信方式に準拠してよい。通信装置100は、LTE(Long Term Evolution)通信方式に準拠してよい。通信装置100は、5G(5th Generation)通信方式に準拠してよい。通信装置100は、6G(6th Generation)通信方式以降の通信方式に準拠してよい。
【0081】
特に、メッシュネットワークがバックホールとして機能する場合、複数の無人航空機400のそれぞれは、地上からの有線給電を受けてよい。また、複数の無人航空機400のそれぞれは、ソーラーパネルによって発電してもよい。
【0082】
通信装置100は、ダイレクトアクセス端末と無線通信接続を確立してもよい。図12では、ダイレクトアクセス端末の一例である航空機600と無線通信接続を確立している場合を例示している。航空機600は、通信装置100との無線通信接続によって、メッシュネットワークを介してネットワーク50にアクセスしてよい。
【0083】
アンテナ412は、一部分が無線通信エリア402を形成するために用いられ、他の部分がダイレクトアクセス端末と無線通信するために用いられてよい。なお、アンテナ412は、無線通信エリア402を形成するためにだけに用いられてもよい。また、アンテナ412は、ダイレクトアクセス端末と無線通信するためだけに用いられてもよい。
【0084】
図12に例示するように、複数の無人航空機400によってバックホールが形成される場合において、各通信装置100は、複数のアンテナ110を組み合わせて使用してよい。この場合、各通信装置100は、ビームを向ける対象毎に割り当てるアンテナを選択する必要がある。一実施形態に係る通信装置100によれば、例えば、アンテナ110の正面方向のベクトルと、通信対象に対するベクトルとの内積値を算出することができる。一実施形態に係る通信装置100は、算出した内積値に基づいてアルゴリズムにより割り当てるアンテナを決定することができる。通信装置100は、その他、上述したように、アンテナ110の受信電力や、ビームの角度に基づいて、割り当てるアンテナを決定し得る。一実施形態に係る通信装置100によれば、複数の通信対象に対して、1つのアンテナが割り当てられる可能性を低減することができる。すなわち、一実施形態に係る通信装置100は、通信効率の向上を実現することができる。また、一実施形態に係る通信装置100は、1つの通信対象に対して、複数のアンテナ110を割り当てることによって、アンテナ切り替え時の通信レベルの低下を低減することができる。また、一実施形態に係る通信装置100は、アンテナ正面方向のベクトルを考えることで、無人航空機400の姿勢変化に対応して、比較的適切なアンテナ110を選択することができる。
【0085】
図13は、通信装置100として機能するコンピュータ1200のハードウェア構成の一例を概略的に示す。コンピュータ1200にインストールされたプログラムは、コンピュータ1200を、上記実施形態に係る装置の1又は複数の「部」として機能させ、又はコンピュータ1200に、上記実施形態に係る装置に関連付けられるオペレーション又は当該1又は複数の「部」を実行させることができ、及び/又はコンピュータ1200に、上記実施形態に係るプロセス又は当該プロセスの段階を実行させることができる。そのようなプログラムは、コンピュータ1200に、本明細書に記載のフローチャート及びブロック図のブロックのうちのいくつか又はすべてに関連付けられた特定のオペレーションを実行させるべく、CPU1212によって実行されてよい。
【0086】
一実施形態によるコンピュータ1200は、CPU1212、RAM1214、及びグラフィックコントローラ1216を含み、それらはホストコントローラ1210によって相互に接続されてよい。コンピュータ1200はまた、通信インタフェース1222、記憶装置1224、並びにDVDドライブ1226及びICカードドライブのような入出力ユニットを含み、それらは入出力コントローラ1220を介してホストコントローラ1210に接続されてよい。記憶装置1224は、ハードディスクドライブ及びソリッドステートドライブ等であってよい。コンピュータ1200はまた、ROM1230及びキーボードのようなレガシの入出力ユニットを含み、それらは入出力チップ1240を介して入出力コントローラ1220に接続されてよい。
【0087】
CPU1212は、ROM1230及びRAM1214内に格納されたプログラムに従い動作し、それにより各ユニットを制御してよい。グラフィックコントローラ1216は、RAM1214内に提供されるフレームバッファ等又はそれ自体の中に、CPU1212によって生成されるイメージデータを取得し、イメージデータがディスプレイデバイス1218上に表示されるようにしてよい。
【0088】
通信インタフェース1222は、ネットワークを介して他の電子デバイスと通信してよい。記憶装置1224は、コンピュータ1200内のCPU1212によって使用されるプログラム及びデータを格納してよい。ICカードドライブは、プログラム及びデータをICカードから読み取り、及び/又はプログラム及びデータをICカードに書き込んでよい。
【0089】
ROM1230はその中に、アクティブ化時にコンピュータ1200によって実行されるブートプログラム等、及び/又はコンピュータ1200のハードウェアに依存するプログラムを格納してよい。入出力チップ1240はまた、様々な入出力ユニットをUSBポート、パラレルポート、シリアルポート、キーボードポート、マウスポート等を介して、入出力コントローラ1220に接続してよい。
【0090】
プログラムは、DVD-ROM1227又はICカードのようなコンピュータ可読記憶媒体によって提供されてよい。プログラムは、コンピュータ可読記憶媒体から読み取られ、コンピュータ可読記憶媒体の例でもある記憶装置1224、RAM1214、又はROM1230にインストールされ、CPU1212によって実行されてよい。これらのプログラム内に記述される情報処理は、コンピュータ1200に読み取られ、プログラムと、上記様々なタイプのハードウェアリソースとの間の連携をもたらすことができる。装置又は方法が、コンピュータ1200の使用に従い情報のオペレーション又は処理を実現することによって構成されてよい。
【0091】
例えば、通信がコンピュータ1200及び外部デバイス間で実行される場合、CPU1212は、RAM1214にロードされた通信プログラムを実行してよい。そして、CPU1212は、通信プログラムに記述された処理に基づいて、通信インタフェース1222に対し、通信処理を命令してよい。通信インタフェース1222は、CPU1212の制御の下、RAM1214、記憶装置1224、DVD-ROM1227、又はICカードのような記録媒体内に提供される送信バッファ領域に格納された送信データを読み取ってよい。そして、通信インタフェース1222は、読み取られた送信データをネットワークに送信し、又はネットワークから受信した受信データを記録媒体上に提供される受信バッファ領域等に書き込んでよい。
【0092】
また、CPU1212は、記憶装置1224、DVDドライブ1226(DVD-ROM1227)、ICカード等のような外部記録媒体に格納されたファイル又はデータベースの全部又は必要な部分がRAM1214に読み取られるようにしてよい。そして、CPU1212は、RAM1214上のデータに対し様々なタイプの処理を実行してよい。CPU1212は次に、処理されたデータを外部記録媒体にライトバックしてよい。
【0093】
様々なタイプのプログラム、データ、テーブル、及びデータベースのような様々なタイプの情報が記録媒体に格納され、情報処理を受けてよい。CPU1212は、RAM1214から読み取られたデータに対し、本開示の随所に記載され、プログラムの命令シーケンスによって指定される様々なタイプのオペレーション、情報処理、条件判断、条件分岐、無条件分岐、情報の検索/置換等を含む、様々なタイプの処理を実行してよい。そして、CPU1212は、結果をRAM1214に対しライトバックしてよい。また、CPU1212は、記録媒体内のファイル、データベース等における情報を検索してよい。例えば、各々が第2の属性の属性値に関連付けられた第1の属性の属性値を有する複数のエントリが記録媒体内に格納される場合、CPU1212は、当該複数のエントリの中から、第1の属性の属性値が指定されている条件に一致するエントリを検索してよい。そして、CPU1212は、当該エントリ内に格納された第2の属性の属性値を読み取り、それにより予め定められた条件を満たす第1の属性に関連付けられた第2の属性の属性値を取得してよい。
【0094】
上で説明したプログラム又はソフトウェアモジュールは、コンピュータ1200上又はコンピュータ1200近傍のコンピュータ可読記憶媒体に格納されてよい。また、専用通信ネットワーク又はインターネットに接続されたサーバシステム内に提供されるハードディスク又はRAMのような記録媒体は、コンピュータ可読記憶媒体として使用可能であってよい。すなわち、プログラムは、ネットワークを介してコンピュータ1200に提供されてよい。
【0095】
一実施形態におけるフローチャート及びブロック図におけるブロックは、オペレーションが実行されるプロセスの段階又はオペレーションを実行する役割を持つ装置の「部」を表わしてよい。特定の段階及び「部」が、専用回路、コンピュータ可読記憶媒体上に格納されるコンピュータ可読命令と共に供給されるプログラマブル回路、及び/又はコンピュータ可読記憶媒体上に格納されるコンピュータ可読命令と共に供給されるプロセッサによって実装されてよい。専用回路は、デジタル及び/又はアナログハードウェア回路を含んでよい。専用回路は、例えば、集積回路(IC)及び/又はディスクリート回路を含んでよい。プログラマブル回路は、例えば、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、及びプログラマブルロジックアレイ(PLA)等のような、論理積、論理和、排他的論理和、否定論理積、否定論理和、及び他の論理演算、フリップフロップ、レジスタ、並びにメモリエレメントを含む、再構成可能なハードウェア回路を含んでよい。
【0096】
コンピュータ可読記憶媒体は、適切なデバイスによって実行される命令を格納可能な任意の有形なデバイスを含んでよい。その結果、そこに格納される命令を有するコンピュータ可読記憶媒体は、フローチャート又はブロック図で指定されたオペレーションを実行するための手段を作成すべく実行され得る命令を含む、製品を備えてよい。コンピュータ可読記憶媒体の例としては、電子記憶媒体、磁気記憶媒体、光記憶媒体、電磁記憶媒体、半導体記憶媒体等が含まれてよい。コンピュータ可読記憶媒体のより具体的な例としては、フロッピー(登録商標)ディスク、ディスケット、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリメモリ(ROM)、消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EPROM又はフラッシュメモリ)、電気的消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EEPROM)、静的ランダムアクセスメモリ(SRAM)、コンパクトディスクリードオンリメモリ(CD-ROM)、デジタル多用途ディスク(DVD)、ブルーレイ(登録商標)ディスク、メモリスティック、集積回路カード等が含まれてよい。
【0097】
コンピュータ可読命令は、アセンブラ命令、命令セットアーキテクチャ(ISA)命令、マシン命令、マシン依存命令、マイクロコード、ファームウェア命令、状態設定データ、又はSmalltalk、JAVA(登録商標)、C++等のようなオブジェクト指向プログラミング言語、及び「C」プログラミング言語又は同様のプログラミング言語のような従来の手続型プログラミング言語を含む、1又は複数のプログラミング言語の任意の組み合わせで記述されたソースコード又はオブジェクトコードのいずれかを含んでよい。
【0098】
コンピュータ可読命令は、汎用コンピュータ、特殊目的のコンピュータ、若しくは他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサ、又はプログラマブル回路が、フローチャート又はブロック図で指定されたオペレーションを実行するための手段を生成するために当該コンピュータ可読命令を実行すべく、ローカルに又はローカルエリアネットワーク(LAN)、インターネット等のようなワイドエリアネットワーク(WAN)を介して、汎用コンピュータ、特殊目的のコンピュータ、若しくは他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサ、又はプログラマブル回路に提供されてよい。プロセッサは、例えば、コンピュータプロセッサ、処理ユニット、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ等であってよい。
【0099】
以上、本開示に係る発明を実施の形態を用いて説明したが、本開示に係る発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0100】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階などの各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」などと明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」などを用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0101】
10 システム、50 ネットワーク、100 通信装置、110 アンテナ、120 ビーム、132 取得部、134 格納部、136 アンテナ割当部、138 無線通信部、200 移動体、210 移動体、220 移動体、310 内積、400 無人航空機、402 無線通信エリア、410 アンテナ、412 アンテナ、500 地上通信装置、600 航空機、1200 コンピュータ、1210 ホストコントローラ、1212 CPU、1214 RAM、1216 グラフィックコントローラ、1218 ディスプレイデバイス、1220 入出力コントローラ、1222 通信インタフェース、1224 記憶装置、1226 DVDドライブ、1227 DVD-ROM、1230 ROM、1240 入出力チップ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13