(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-02
(45)【発行日】2022-12-12
(54)【発明の名称】通信システム、通信方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H04L 65/1066 20220101AFI20221205BHJP
【FI】
H04L65/1066
(21)【出願番号】P 2020155879
(22)【出願日】2020-09-16
(62)【分割の表示】P 2016236110の分割
【原出願日】2016-12-05
【審査請求日】2020-09-16
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100114937
【氏名又は名称】松本 裕幸
(72)【発明者】
【氏名】新藤 晃浩
(72)【発明者】
【氏名】辻 圭介
(72)【発明者】
【氏名】木下 淳之
【審査官】大石 博見
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-021453(JP,A)
【文献】特開2010-068068(JP,A)
【文献】[ビジネス戦略] 課題解消と次の方向性は表裏一体 OSフリー化で新たな利用シーンを模索,日経コミュニケーション NIKKEI COMMUNICATIONS,日本,日経BP社 Nikkei Business Publications,Inc.,2013年01月30日, 第589号 ,16-23
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 65/1066
H04L 12/14
H04L 43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信装置と、当該通信装置と通信を行う複数のサーバと、当該複数のサーバのそれぞれに対応付けられた複数の通信回線と、中継サーバとを備える通信システムであって、
前記中継サーバは、
前記複数の通信回線を識別する回線識別情報と、通信先サーバのアドレスとを、互いに対応付けて、前記複数のサーバそれぞれについて記憶する通信先情報記憶部と、
前記通信装置を識別する装置識別情報と、前記通信装置が通信する内容を示す情報と、前記回線識別情報とを前記通信装置から取得する通信取得部と、
前記通信取得部が取得する前記回線識別情報に基づいて前記通信先情報記憶部から通信先サーバのアドレスを取得するとともに、当該回線識別情報に対応付けられた通信回線に対して、前記通信取得部が取得する前記装置識別情報と、前記内容を示す情報とを出力する通信情報出力部と
を備え、
前記内容を示す情報には、第1種類の情報と第2種類との情報とが含まれ、
前記回線識別情報には、前記第1種類の情報に対応付けられた第1回線識別情報と、前記第2種類の情報に対応付けられた第2回線識別情報とが含まれ、
前記通信先サーバには、前記第1回線識別情報に対応付けられた第1通信先サーバと、前記第2回線識別情報に対応付けられた第2通信先サーバとが含まれ、
前記通信装置は、
送信すべき前記内容を示す情報の種類に基づいて、複数の前記回線識別情報の中から
、前記第1種類の情報の場合に前記第1回線識別情報を取得し、前記第2種類の情報の場合に前記第2回線識別情報を取得することにより、前記装置識別情報と前記内容を示す情報と前記回線識別情報とが互いに対応付けられた通信情報を生成するとともに、生成した前記通信情報を、前記中継サーバに対して出力する通信出力部と
を備える、
通信システム。
【請求項2】
前記通信取得部は更に、前記通信装置が契約した複数の前記通信回線の契約情報を取得し、
前記通信情報出力部は、前記通信取得部が取得する前記契約情報に更に基づいて、前記回線識別情報に対応付けられた通信回線に対して、前記通信取得部が取得する前記装置識別情報と、前記内容を示す情報とを出力する
請求項1に記載の通信システム。
【請求項3】
前記通信装置が備える前記通信出力部は、
前記契約情報に含まれる通信の優先度に応じて、前記装置識別情報と、前記内容を示す情報と、前記回線識別情報とを対応付けて、前記中継サーバに対して出力し、
前記中継サーバが備える前記通信情報出力部は、
前記契約情報に含まれる前記優先度に応じて、前記通信取得部が取得する前記装置識別情報と、前記内容を示す情報とを出力する
請求項2に記載の通信システム。
【請求項4】
前記複数の通信回線のそれぞれに対応付けられた課金の形態が設定され、
前記通信システムは、
前記通信装置が通信する通信量と、前記課金の形態を示す課金形態情報と、課金額を請求する請求先を示す請求先情報と、前記装置識別情報と、前記回線識別情報とに基づいて、課金処理を行う課金装置を更に備える
請求項2又は請求項3に記載の通信システム。
【請求項5】
前記装置識別情報と予め対応付けられた前記契約情報に基づき特定される前記通信装置とは異なる通信端末の通信使用可能容量から、予め特定されている前記回線識別情報に対応付けて記憶された所定の通信回線との通信にかかる通信量を消費する通信量消費装置
を更に備える請求項2から請求項4のいずれか一項に記載の通信システム。
【請求項6】
通信装置と、当該通信装置と通信を行う複数のサーバと、当該複数のサーバのそれぞれに対応付けられた複数の通信回線と、前記複数の通信回線を識別する回線識別情報と、通信先サーバのアドレスとを、互いに対応付けて、前記複数のサーバそれぞれについて記憶する通信先情報記憶部を含む中継サーバとを備える通信システムによって実行される通信方法であって、
前記中継サーバが、前記通信装置を識別する装置識別情報と、前記通信装置が通信する内容を示す情報と、前記回線識別情報とを前記通信装置から取得する通信取得ステップと、
前記中継サーバが、前記通信取得ステップから取得される前記回線識別情報に基づいて、前記通信先情報記憶部から通信先サーバのアドレスを取得するとともに、当該回線識別情報に対応付けられた通信回線に対して、前記通信取得ステップから取得される前記装置識別情報と、前記内容を示す情報とを出力する通信情報出力ステップと、
前記内容を示す情報には、第1種類の情報と第2種類との情報とが含まれ、
前記回線識別情報には、前記第1種類の情報に対応付けられた第1回線識別情報と、前記第2種類の情報に対応付けられた第2回線識別情報とが含まれ、
前記通信先サーバには、前記第1回線識別情報に対応付けられた第1通信先サーバと、前記第2回線識別情報に対応付けられた第2通信先サーバとが含まれ、
前記通信装置が、
送信すべき前記内容を示す情報の種類に基づいて、複数の前記回線識別情報の中から
、前記第1種類の情報の場合に前記第1回線識別情報を取得し、前記第2種類の情報の場合に前記第2回線識別情報を取得することにより、前記装置識別情報と前記内容を示す情報と前記回線識別情報とが互いに対応付けられた通信情報を生成するとともに、生成した前記通信情報を、前記中継サーバに対して出力する通信出力ステップと
を有する、通信方法。
【請求項7】
請求項1に記載の通信装置のコンピュータに、
送信すべき前記内容を示す情報の種類に基づいて、複数の前記回線識別情報の中から
、前記第1種類の情報の場合に前記第1回線識別情報を取得し、前記第2種類の情報の場合に前記第2回線識別情報を取得することにより、前記装置識別情報と前記内容を示す情報と前記回線識別情報とが互いに対応付けられた通信情報を生成するとともに、生成した前記通信情報を、中継サーバに対して出力する通信出力ステップと
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信システム、通信方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、無線通信によって通信を行い、車両データをリモート収集するシステムが知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車両データをリモート収集する際に使用する通信回線に対する無線通信と、携帯電話などで使用される通信回線に対する無線通信とを、同一の通信装置で行うシステムは存在していなかった。このため、従来は、異なる通信回線毎に通信装置を用意する必要があった。
本発明は、上記問題に鑑みて為されたものであり、1つの通信装置を用いて異なる通信回線に対して通信する仕組みを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1)本発明の一態様は、通信装置と、当該通信装置と通信を行う複数のサーバと、当該複数のサーバのそれぞれに対応付けられた複数の通信回線と、中継サーバとを備える通信システムであって、前記中継サーバは、前記複数の通信回線を識別する回線識別情報と、通信先サーバのアドレスとを、互いに対応付けて、前記複数のサーバそれぞれについて記憶する通信先情報記憶部と、前記通信装置を識別する装置識別情報と、前記通信装置が通信する内容を示す情報と、前記回線識別情報とを前記通信装置から取得する通信取得部と、前記通信取得部が取得する前記回線識別情報に基づいて前記通信先情報記憶部から通信先サーバのアドレスを取得するとともに、当該回線識別情報に対応付けられた通信回線に対して、前記通信取得部が取得する前記装置識別情報と、前記内容を示す情報とを出力する通信情報出力部とを備え、前記内容を示す情報には、第1種類の情報と第2種類との情報とが含まれ、前記回線識別情報には、前記第1種類の情報に対応付けられた第1回線識別情報と、前記第2種類の情報に対応付けられた第2回線識別情報とが含まれ、前記通信先サーバには、前記第1回線識別情報に対応付けられた第1通信先サーバと、前記第2回線識別情報に対応付けられた第2通信先サーバとが含まれ、前記通信装置は、送信すべき前記内容を示す情報の種類に基づいて、複数の前記回線識別情報の中から、前記第1種類の情報の場合に前記第1回線識別情報を取得し、前記第2種類の情報の場合に前記第2回線識別情報を取得することにより、前記装置識別情報と前記内容を示す情報と前記回線識別情報とが互いに対応付けられた通信情報を生成するとともに、生成した前記通信情報を、前記中継サーバに対して出力する通信出力部とを備える、通信システムである。
【0006】
(2)本発明の一態様は、上記(1)の通信システムにおいて、前記通信取得部は更に、前記通信装置が契約した複数の前記通信回線の契約情報を取得し、前記通信情報出力部は、前記通信取得部が取得する前記契約情報に更に基づいて、前記回線識別情報に対応付けられた通信回線に対して、前記通信取得部が取得する前記装置識別情報と、前記内容を示す情報とを出力する。
【0007】
(3)本発明の一態様は、上記(1)の通信システムにおいて、前記通信装置が備える前記通信出力部は、前記契約情報に含まれる通信の優先度に応じて、前記装置識別情報と、前記内容を示す情報と、前記回線識別情報とを対応付けて、前記中継サーバに対して出力し、前記中継サーバが備える前記通信情報出力部は、前記契約情報に含まれる前記優先度に応じて、前記通信取得部が取得する前記装置識別情報と、前記内容を示す情報とを出力する。
【0008】
(4)本発明の一態様は、上記(2)又は(3)の通信システムにおいて、前記複数の通信回線のそれぞれに対応付けられた課金の形態が設定され、前記通信システムは、前記通信装置が通信する通信量と、前記課金の形態を示す課金形態情報と、課金額を請求する請求先を示す請求先情報と、前記装置識別情報と、前記回線識別情報とに基づいて、課金処理を行う課金装置を更に備える。
【0009】
(5)本発明の一態様は、上記(2)から(4)のいずれかの通信システムにおいて、前記装置識別情報と予め対応付けられた前記契約情報に基づき特定される前記通信装置とは異なる通信端末の通信使用可能容量から、予め特定されている前記回線識別情報に対応付けて記憶された所定の通信回線との通信にかかる通信量を消費する通信量消費装置を更に備える。
【0010】
(6)本発明の一態様は、通信装置と、当該通信装置と通信を行う複数のサーバと、当該複数のサーバのそれぞれに対応付けられた複数の通信回線と、前記複数の通信回線を識別する回線識別情報と、通信先サーバのアドレスとを、互いに対応付けて、前記複数のサーバそれぞれについて記憶する通信先情報記憶部を含む中継サーバとを備える通信システムによって実行される通信方法であって、前記中継サーバが、前記通信装置を識別する装置識別情報と、前記通信装置が通信する内容を示す情報と、前記回線識別情報とを前記通信装置から取得する通信取得ステップと、前記中継サーバが、前記通信取得ステップから取得される前記回線識別情報に基づいて、前記通信先情報記憶部から通信先サーバのアドレスを取得するとともに、当該回線識別情報に対応付けられた通信回線に対して、前記通信取得ステップから取得される前記装置識別情報と、前記内容を示す情報とを出力する通信情報出力ステップと、前記内容を示す情報には、第1種類の情報と第2種類との情報とが含まれ、前記回線識別情報には、前記第1種類の情報に対応付けられた第1回線識別情報と、前記第2種類の情報に対応付けられた第2回線識別情報とが含まれ、前記通信先サーバには、前記第1回線識別情報に対応付けられた第1通信先サーバと、前記第2回線識別情報に対応付けられた第2通信先サーバとが含まれ、前記通信装置が、送信すべき前記内容を示す情報の種類に基づいて、複数の前記回線識別情報の中から、前記第1種類の情報の場合に前記第1回線識別情報を取得し、前記第2種類の情報の場合に前記第2回線識別情報を取得することにより、前記装置識別情報と前記内容を示す情報と前記回線識別情報とが互いに対応付けられた通信情報を生成するとともに、生成した前記通信情報を、前記中継サーバに対して出力する通信出力ステップとを有する、通信方法である。
【0011】
(7)本発明の一態様は、上記(1)の通信装置のコンピュータに、送信すべき前記内容を示す情報の種類に基づいて、複数の前記回線識別情報の中から、前記第1種類の情報の場合に前記第1回線識別情報を取得し、前記第2種類の情報の場合に前記第2回線識別情報を取得することにより、前記装置識別情報と前記内容を示す情報と前記回線識別情報とが互いに対応付けられた通信情報を生成するとともに、生成した前記通信情報を、中継サーバに対して出力する通信出力ステップとを実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、1つの通信装置を用いて異なる通信回線に通信する仕組みを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】第1の実施形態に係る通信システムの概要の一例を示す図である。
【
図2】通信システムの機能構成の一例を示す図である。
【
図3】通信情報及び回線識別情報の一例を示す図である。
【
図4】通信装置の動作の概要の一例を示す流れ図である。
【
図5】中継サーバの動作の概要の一例を示す流れ図である。
【
図6】第2の実施形態に係る通信システムの構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<第1の実施形態>
以下、図面を参照して通信システムの第1の実施形態について説明する。
<通信システムの概要について>
図1は、第1の実施形態に係る通信システム1の概要の一例を示す図である。
【0015】
通信システム1は、車両10と、複数のサーバSRVと、複数のサーバSRVのそれぞれに対応付けられた複数の通信回線NWと、中継サーバ20とを備える。以下の説明では、通信回線NWに接続されるサーバを区別しない場合には、サーバSRVと記載する。この一例では、複数の通信回線NWには、通信回線NW1と、通信回線NW2と、通信回線NW3と、通信回線NW4とが含まれる。
【0016】
通信回線NW1は、この一例では、通信端末の通信サービスを提供する通信会社の通信回線である。通信回線NW1には、複数の基地局と、ゲートウェイサーバGW1と、ゲートウェイサーバGW2と、中継サーバ20と、ユーザ管理サーバMS1とが接続される。
以下の説明では、ゲートウェイサーバGW1と、ゲートウェイサーバGW2とを区別しない場合には、ゲートウェイサーバGWと記載する。通信回線NW1とは、例えば、LTE(Long Term Evolution)方式等の通信方式の通信を行う携帯電話ネットワークである。無線通信は、LTE方式にしたがって構築された通信網に限られず、LTE方式にしたがって構築された通信網以外の3G方式等の通信網であってもよい。通信装置12は、通信回線NW1を介して、サーバSRVと無線通信する。具体的には、通信装置12は、基地局BS1を介して、通信回線NW1と接続されるサーバSRVや、他の通信回線と接続されるサーバSRVと通信する。
【0017】
中継サーバ20は、通信装置12の通信先を、回線識別情報に基づいて振り分ける。回線識別情報とは、複数の通信回線をそれぞれ識別する情報である。回線識別情報とは、例えば、APN(Access Point Name)である。APNは、この一例では、ゲートウェイサーバGWのインターネットドメイン名である。中継サーバ20は通信装置12の通信先を、ゲートウェイサーバGW1を介して接続される通信回線NW4と、ゲートウェイサーバGW2を介して接続される通信回線NW2及び通信回線NW3とを、回線識別情報に基づいて振り分ける。この一例では、中継サーバ20は、通信装置12から出力される情報を、ゲートウェイサーバGW1又はゲートウェイサーバGW2に振り分ける。中継サーバ20は、例えば、DNS(Domain Name System)サーバである。DNSサーバは、英数字などで表現されるインターネットドメイン名を、固有のIP(Internet Protocol)アドレスに変換する。通信ユーザ管理サーバMS1は、移動管理や、ユーザの認証を行う。移動管理とは、通信装置12が移動することにより異なる基地局と接続された場合に、通信装置12が接続している基地局の情報を記憶し、管理することである。
【0018】
通信回線NW2は、この一例では、通信端末の通信サービスを提供する通信会社の通信回線である。通信回線NW2には、ゲートウェイサーバGW2と、サーバDS2と、通信回線NW3とが接続される。ゲートウェイサーバGW2は、通信回線NW1と、通信回線NW2とを接続する。サーバDS2には、通信回線NW2を利用するユーザの契約情報などが記憶される。通信回線NW3とは、例えば、インターネット等の通信網である。
【0019】
通信回線NW4は、この一例では、車両10を製造する自動車製造会社が管理する通信回線である。通信回線NW4は、通信回線NW1及び通信回線NW2とは通信を管理する会社が異なる。また、通信回線NW4は、通信回線NW2とは異なる通信会社の通信回線であってもよい。通信回線NW4には、ゲートウェイサーバGW1と、サーバDS1と、IMSI管理サーバIMと、ユーザ契約情報サーバHSS1とが接続される。ゲートウェイサーバGW1は、通信回線NW1と、通信回線NW4とを接続する。サーバDS1には、車両10が備えるセンサやECU(Engine Control Unit)などから出力される車両制御情報が記憶される。車両制御情報とは、車両を制御する情報及び、車両を制御した結果を示す情報などである。車両制御情報とは、具体的には、CAN(登録商標、Controller Area Network)、LIN(Local Interconnect Network)、FlexRay(登録商標)、MOST(登録商標、Media Oriented System Transport)などの車両の制御に用いられる車両内の通信回線を介してやりとりされる情報である。
【0020】
IMSI管理サーバIM1には、通信装置を識別する固有の識別情報が記憶される。この一例では、通信装置を識別する固有の識別情報とは、SIM(Subscriber
Identity Module)固有の識別子である。また、IMSI管理サーバIMは、MSISDN(Mobile Subscriber Integrated Services Digital Network Number)、ICCID(Integrated Circuit Card ID)などの情報を管理してもよい。MSISDNとは、通信回線NWへの通信の契約を識別する番号である。ICCIDとは、SIMカードに付与された固有の番号である。ユーザ契約情報サーバHSSには、IMSI管理サーバIM1から、通信装置を識別する固有の識別情報と対応するユーザ契約情報を取得する。ユーザ契約情報サーバHSS1には、自動車製造会社と通信の契約を行ったユーザが所有する端末が、どの通信回線と接続されているかを示す情報が記憶される。
図1に示す一例では、ユーザ契約情報サーバHSS1には、通信装置12が基地局BS1と接続されていることを示す情報が記憶される。
【0021】
車両10は、ナビゲーション装置11と、通信装置12とを備える。ナビゲーション装置11は、通信装置12を介してサーバSRVと通信する。通信装置12は、ナビゲーション装置11などの車載装置からの情報又は車両制御情報と、回線識別情報とを対応付けて、サーバSRVに対して出力する。この一例では、通信装置12は、ナビゲーション装置11などの車載装置からの情報を、通信回線NW2に接続されるサーバDS2や、通信回線NW3に接続されるサーバ(不図示)に対して出力する。また、通信装置12は、車両制御情報を、通信回線NW4に接続されるサーバDS1に対して出力する。
【0022】
ここで、通信装置12が通信回線に接続されるサーバSRVと通信する手順について説明する。
通信装置12は、基地局BS1と接続する。通信装置12は、基地局BS1を介してユーザ管理サーバMS1と通信する。ユーザ管理サーバMS1は、中継サーバ20と通信を行い、ユーザ契約情報サーバHSS1のネットワーク上の位置を示す情報を取得する。ネットワーク上の位置を示す情報とは、この一例では、IPアドレスである。ユーザ管理サーバMS1は、中継サーバ20から取得したネットワーク上の位置を示す情報に基づいて、ユーザ契約情報サーバHSS1と通信を行う。ユーザ管理サーバMS1は、ユーザ契約情報サーバHSS1から、通信装置12の契約情報を取得する。契約情報には、この一例では、回線識別情報などが含まれる。ユーザ管理サーバMS1は、基地局BS1を介して、ユーザ契約情報サーバHSS1から取得した契約情報を通信装置12に対して出力する。通信装置12は、ユーザ管理サーバMS1から取得した契約情報に基づいて、サーバDS1に対して車両制御情報を出力する。また、通信装置12は、ユーザ管理サーバMS1から取得した契約情報に基づいて、通信回線NW2及び通信回線NW3に接続されるサーバSRVと通信する。
【0023】
<通信システム1の機能構成について>
次に、
図2を参照して、通信システム1の機能構成の一例について説明する。
図2は、通信システム1の機能構成の一例を示す図である。
【0024】
車両10は、ナビゲーション装置11と、通信装置12とを備える。通信装置12は、情報記憶部13と、通信出力部14とを備える。
ナビゲーション装置11は、通信内容を示す情報を、通信内容を送信する通信回線を識別する回線識別情報と対応付けて、通信装置12に対して出力する。この一例では、ナビゲーション装置11は、ユーザ管理サーバMS1から取得された回線識別情報が記憶されている。なお、ナビゲーション装置11には、予め回線識別情報が記憶されていてもよい。
情報記憶部13には、通信装置12の通信契約の際に割り振られる装置識別情報が記憶される。情報記憶部13とは、例えば、SIMカードである。また、情報記憶部13には、ユーザ管理サーバMS1から取得される回線識別情報が記憶されてもよい。
通信出力部14は、ナビゲーション装置11が通信する情報を、通信内容を示す情報として取得する。また、通信出力部14は、車両制御情報を、通信内容を示す情報として取得し、車両制御情報を送信する通信回線を識別する回線識別情報と対応付けて出力する。
通信出力部14は、回線識別情報と、通信内容を示す情報と、装置識別情報とを、基地局BS1を介して、中継サーバ20に対して出力する。以下の説明では、回線識別情報と、通信内容を示す情報と、装置識別情報とがそれぞれ対応付けられた情報を、通信情報とも記載する。
【0025】
中継サーバ20は、通信先情報記憶部23と、通信取得部21と、通信情報出力部22とを備える。
通信先情報記憶部23には、回線識別情報と対応するゲートウェイサーバのIPアドレスが複数記憶される。
通信取得部21は、通信出力部14から、通信情報を取得する。通信取得部21は、通信出力部14から取得した通信情報を、通信情報出力部22に対して出力する。
通信情報出力部22は、通信取得部21から、通信情報を取得する。通信情報出力部22は、通信先情報記憶部23から、回線識別情報と対応するゲートウェイサーバのIPアドレスを取得する。通信情報出力部22は、通信先情報記憶部23から取得したIPアドレスのゲートウェイサーバに対して、通信内容を示す情報と装置識別情報とを出力する。
【0026】
ここで、
図3を参照して、通信装置12が出力する通信情報及び回線識別情報の一例について説明する。
図3は、通信情報及び回線識別情報の一例を示す図である。
図3(A)は、通信情報の一例を示す。通信情報1は、通信内容を示す情報には”車両制御情報”と、回線識別情報には、”APN#1”と、装置識別情報には”通信装置12”とがそれぞれ対応付けられた情報である。また、通信情報2は、通信内容を示す情報には”インターネット通信”と、回線識別情報には、”APN#2”と、装置名には”通信装置12”とがそれぞれ対応付けられた情報である。装置名は、装置識別情報の一例である。
【0027】
図3(B)は、通信先情報記憶部23に記憶される回線識別情報の一例を示す。通信先情報記憶部23には、回線識別情報”APN#1”と、IPアドレス”ip4:10.0.1.0”とが対応付けて記憶される。IPアドレス”ip4:10.0.1.0”は、予めゲートウェイサーバGW1に対して割り当てられている。また、通信先情報記憶部23には、回線識別情報”APN#2”と、IPアドレス”ip4:10.0.2.0”とが対応付けて記憶される。IPアドレス”ip4:10.0.2.0”は、予めゲートウェイサーバGW2に対して割り当てられている。
【0028】
通信情報1を取得した中継サーバ20は、”APN#1”と対応するゲートウェイサーバGW1に対して、”車両制御情報”を出力する。通信情報2を取得した中継サーバ20は、”APN#2”と対応するゲートウェイサーバGW2に対して”インターネット通信”を出力する。
【0029】
<通信装置12の動作の概要について>
次に、
図4を参照して、通信装置12の動作の概要について説明する。
図4は、通信装置12の動作の概要の一例を示す流れ図である。なお、ここに示す動作手順は、一例であって、動作手順の省略や動作手順の追加が行われてもよい。
【0030】
通信装置12は、ユーザ管理サーバMS1から回線識別情報を取得する(ステップS100)。通信装置12は、ナビゲーション装置11から通信の内容を示す情報を取得する。又は、通信装置12は、車両から車両制御情報を通信の内容を示す情報として取得する(ステップS110)。通信装置12は、情報記憶部13から装置識別情報を取得する(ステップS120)。通信装置12は、ユーザ管理サーバMS1から取得した回線識別情報と、ナビゲーション装置11又は車両から取得した通信の内容を示す情報と、情報記憶部13から取得した装置識別情報とに基づいて、通信情報を生成する(ステップS130)。通信出力部14は、生成した通信情報を、中継サーバ20に対して出力する(ステップS140)。
【0031】
<中継サーバ20の動作の概要について>
次に、
図5を参照して、中継サーバ20の動作の概要について説明する。
図5は、中継サーバ20の動作の概要の一例を示す流れ図である。なお、ここに示す動作手順は、一例であって、動作手順の省略や動作手順の追加が行われてもよい。
【0032】
中継サーバ20は、通信装置12から通信情報を取得する(ステップS200)。中継サーバ20は、通信装置12から取得した通信情報に含まれる回線識別情報と対応するゲートウェイサーバのIPアドレスを、通信先情報記憶部23から取得する。中継サーバ20は、通信先情報記憶部23から取得したIPアドレスを、送信先の通信回線のゲートウェイサーバとして決定する(ステップS210)。中継サーバ20は、通信先情報記憶部23から取得したゲートウェイサーバのIPアドレスに対して、通信情報を出力する(ステップS220)。
【0033】
以上説明したように、通信システム1は、複数の通信回線と、通信装置12と、中継サーバ20とを備える。中継サーバ20は、通信回線同士を接続するゲートウェイサーバGWと、通信装置12との通信を中継する。中継サーバ20は、通信装置12が出力する通信情報に含まれる回線識別情報と、通信先情報記憶部23に記憶される複数のゲートウェイサーバGWのIPアドレスとに基づいて、通信先のゲートウェイサーバを決定する。
通信システム1が備える通信装置12は、回線識別情報と、通信の内容を示す情報と、装置識別情報とを対応付けて中継サーバ20に出力する。通信装置12が出力する情報には、中継サーバ20が振り分ける、振り分け先の情報である回線識別情報が含まれている。
中継サーバ20は回線識別情報が示す通信回線に対して、通信の内容を示す情報と、装置識別情報とを出力することができる。
【0034】
上述した説明では、中継サーバ20は通信回線NW1に接続される場合について説明したが、これに限られない。中継サーバ20は、通信装置12が備えてもよい。
【0035】
なお、上述した説明では、中継サーバ20は、通信装置12の通信先を、回線識別情報に基づいて振り分ける場合について説明したがこれに限られない。中継サーバ20は、通信の内容を示す情報を生成したアプリケーションを識別するアプリケーション識別情報に基づいて、通信装置12の通信先を振り分けてもよい。例えば、ナビゲーション装置11が備えるアプリケーションと、車両制御情報を生成するアプリケーションとがそれぞれ生成するアプリケーション識別情報に基づいて、中継サーバ20は通信先を振り分ける。
【0036】
なお、上述した説明では、回線識別情報は、通信の内容を示す情報に応じて付与される場合について説明したがこれに限られない。回線識別情報は、通信装置への入力インタフェースに応じて付与されてもよい。例えば、車両制御情報がCAN通信のインタフェースから通信装置12へ入力される場合には、通信装置12は、CAN通信に応じた回線識別情報を付与して通信する。また、通信装置12は、ナビゲーション装置11と通信装置12とを接続するインタフェースからの通信には、通信先がインターネット通信を示す回線識別情報を付与して通信する。
【0037】
上述した説明では、車両制御情報と対応付けられた回線識別情報が1つの場合について説明したが、これに限られない。通信装置12は、車両制御情報の種類に応じて複数の回線識別情報を付与してもよい。具体的には、車両10が複数のセンサ(不図示)を備える場合には、通信装置12は、センサの測定情報に含まれるセンサの識別子毎に異なる回線識別情報を付与してもよい。この場合には、通信先情報記憶部23には、付与される回線識別情報毎に送信先のゲートウェイサーバのIPアドレスが記憶される。
【0038】
上述した説明では、通信先情報記憶部23には通信識別情報と対応するゲートウェイサーバのIPアドレスが記憶される場合について説明したが、これに限られない。通信先情報記憶部23には、通信先のネットワーク上の位置を示す情報が含まれていればよく、例えば、ゲートウェイサーバ以外のサーバSRVのIPアドレスが記憶されていればよい。
【0039】
上述した説明では、通信装置12は、ナビゲーション装置11からの通信の内容を示す情報を、中継サーバ20に対して出力する場合について説明したが、通信の内容を示す情報を生成する装置は、ナビゲーション装置11に限られない。通信装置12は、例えば、車両10内の他の通信端末から生成される情報を中継して通信してもよい。
【0040】
また、通信情報は、通信内容に応じて、付与される回線識別情報が異なってもよい。具体的には、通信の内容を示す情報が、連続して通信をやりとりする必要があるストリーミング動画の情報である場合には、通常のゲートウェイサーバGWと比較して、通信のレスポンスが早いゲートウェイサーバGWを示す回線識別情報を付与してもよい。
【0041】
上述した説明では、装置識別情報及び回線識別情報が、予め情報記憶部13に記憶される場合について説明した。装置識別情報及び回線識別情報は、無線通信を介して変更されてもよい。具体的には、装置識別情報及び回線識別情報は、通信会社や自動車製造会社の契約オペレータによる遠隔操作や、中継サーバからの更新コマンドなどにより、変更されてもよい。これは、通信装置12は、ユーザや車両の移動によって位置が変化し、位置が変化する前の通信会社とは異なる通信会社のユーザ管理サーバと接続する必要があり、装置識別情報及び回線識別情報を変更しないと通信が行えない通信回線が生じる。このため、情報記憶部13に記憶される装置識別情報及び回線識別情報は、通信会社や自動車製造会社の契約オペレータによる遠隔操作や、中継サーバからの更新コマンドなどにより変更される場合がある。なお、自動車製造会社の契約オペレータは、通信会社の契約機器の稼働の状態によらずに、通信装置12の通信に必要な情報を更新することができる。
【0042】
上述した説明では、通信装置12は、車両10が備える場合について説明したが、これに限られない。通信装置12は車両以外の装置が備えていてもよく、通信装置12は携帯電話などの通信端末が備えていてもよい。また、ナビゲーション装置11から通信装置12に対する出力は、無線通信であっても、有線通信であってもよい。ナビゲーション装置11は、ナビゲーション機能を備えている装置に限られない。また、車両制御情報は、車両以外の装置の制御情報であってもよい。また、上述した説明では、通信装置12は、無線通信する場合について説明したが、有線接続による有線通信であってもよい。
【0043】
なお、中継サーバ20が備える通信先情報記憶部23は、通信装置12が備える情報記憶部13に記憶されてもよい。この場合には、通信装置12は、情報記憶部13から、回線識別情報と対応するゲートウェイサーバのIPアドレスを取得する。
【0044】
<第2の実施形態>
上述した説明では、ユーザ管理サーバMS1は、通信回線NW4が備えるユーザ契約情報サーバHSS1から、通信装置12の契約情報を取得する場合について説明した。
次に、
図6を参照して、ユーザ管理サーバMS1aが、更に、他の通信回線NWが備えるユーザ契約情報サーバから、互いに異なる契約情報を取得する場合について説明する。
なお、第1の実施形態と同一の構成及び動作については、同一の符号を付してその説明を省略する。
図6は、第2の実施形態に係る通信システム1aの構成の一例を示す図である。
【0045】
通信回線NW2は、更にユーザ契約情報サーバHSS2と、IMSI管理サーバIM2とを更に備える。ユーザ契約情報サーバHSS2には、通信回線NW2に接続するユーザの契約情報が記憶される。IMSI管理サーバIM2には、通信回線NW2に接続される通信端末を識別する情報が記憶される。ユーザ契約情報サーバHSS2は、IMSI管理サーバIM2から、通信装置毎に契約情報を取得する。
ユーザ管理サーバMS1aは、ユーザ契約情報サーバHSS1から、通信装置12aが通信回線NW4に対して通信する契約情報を取得する。ユーザ管理サーバMS1aは、更に、ユーザ契約情報サーバHSS2から、ユーザ契約情報サーバHSS1から取得した契約情報とは異なる契約情報を取得する。つまり、ユーザ管理サーバMS1aは、複数の互いに異なる契約情報を取得する。通信装置12aは、ユーザ管理サーバMS1aから、複数の互いに異なる契約情報を取得する。通信装置12aは、取得した契約情報と、通信情報とを対応付けて出力する。この一例では、通信装置12aは、通信装置12aが契約した複数の契約情報のうち、出力する通信の内容に応じた契約情報と、通信情報とを対応付けて出力する。
【0046】
中継サーバ20aは、通信取得部21aと、通信情報出力部22aとを備える。通信取得部21aは更に、通信装置12aが契約した複数の通信回線の契約情報を取得する。通信情報出力部22aは、通信取得部21aが取得する契約情報に更に基づいて、回線識別情報に対応付けられた通信回線対して装置識別情報と、内容を示す情報とを出力する。これにより、通信装置12aは、異なる通信契約が必要な通信回線に対しても通信情報を出力することができ、ユーザの利便性を向上させることができる。なお、通信装置12aは、ユーザ管理サーバMS1aから、通信契約毎に異なる回線識別情報を取得してもよい。
【0047】
<通信契約に通信の優先度が含まれる場合>
次に、契約情報に通信の優先度が含まれる場合について説明する。通信の優先度とは、中継サーバ20aが、複数の異なる通信を中継する際に、通信を優先して送信する程度を示す情報である。中継サーバ20aは、優先度が高い通信情報は、優先度が低い通信情報よりも優先して、ゲートウェイサーバに対して通信情報を出力する。
【0048】
通信装置12aが備える通信出力部14aは、契約情報に含まれる通信の優先度を示す情報と、装置識別情報と、内容を示す情報と、回線識別情報とを対応付けて、中継サーバ20aに対して出力してもよい。中継サーバ20aが備える通信情報出力部22aは、契約情報に含まれる優先度に応じて、通信取得部21aが取得する装置識別情報と、内容を示す情報とを出力する。また、通信の優先度は、通信の内容に応じて変更されてもよい。
【0049】
<通信回線に課金の形態が設定される場合>
次に、通信回線毎に課金の形態が設定される場合について説明する。
複数の通信回線のそれぞれに対応付けられた課金の形態が設定される。課金の形態及び請求先情報は、契約情報や、装置識別情報、回線識別情報などと対応付けて課金装置CS1に予め記憶される。
【0050】
通信システムは、課金装置CS1を更に備える。課金装置CS1は、通信装置12aが通信する通信量と、課金形態情報と、請求先情報と、装置識別情報と、回線識別情報とに基づいて、課金処理を行う。課金形態情報とは、通信回線の課金の形態を示す情報である。課金の形態は、一例として、通信装置12aが通信する通信量に応じた金額を請求する課金や、所定の期間一定の金額を請求する課金などがある。請求先情報とは、課金額を請求する請求先を示す情報である。
【0051】
中継サーバ20aは、通信装置12aから取得する装置識別情報と、回線識別情報及び契約情報と、通信量の情報とを課金装置CS1に対して出力する。通信量の情報とは、通信装置12aと、通信情報の送信先サーバとの間の通信する情報の量である。具体的には、通信量の情報とは、パケット量の情報や、通信データ量の情報である。なお、中継サーバ20aが出力する通信量の情報は必須ではない。課金装置CS1は、中継サーバ20aから取得する装置識別情報と、回線識別情報及び契約情報と、通信量の情報とに基づいて、予め記憶される通信装置12aの契約情報が示す請求先に対して、通信回線識別情報と対応する課金形態に応じた課金処理を行う。これにより、通信システム1aは、契約情報や通信回線の課金の形態に応じた課金処理を行うことができる。
【0052】
<他の契約の通信使用可能容量から通信量を消費する場合>
次に、通信システム1aが、他の通信契約の通信使用可能容量から通信量を消費する構成について説明する。通信システム1aは、通信量消費装置を更に備える。通信消費装置は、装置識別情報と予め対応付けられた契約情報に基づき特定される通信装置12aとは異なる通信端末の通信使用可能容量から、予め特定されている回線識別情報に対応付けて記憶された所定の通信回線との通信にかかる通信量を消費する。ここで、サーバDS2aは、通信量消費装置の一例である。サーバDS2aには、携帯電話などの契約により、電気通信会社から付与される通信使用可能容量の情報と、携帯電話の契約情報とが対応付けて記憶される。携帯電話の契約情報とは、異なる通信端末の契約情報の一例である。通信使用可能容量とは、例えば、所定の期間毎に付与される通信容量である。携帯電話などの通信端末は、通信によって消費する通信量を通信使用可能容量から消費する。
【0053】
サーバDS2aは、携帯電話の契約情報と、通信装置12aの装置識別情報とが予め対応付けられて記憶される。
中継サーバ20aは、通信装置12aが通信に使用した通信量の情報と、通信の通信先を示す回線識別情報と、通信装置12aの装置識別情報とを、サーバDS2aに対して出力する。サーバDS2aは、中継サーバ20aから通信装置12aが通信に使用した通信量の情報と、通信の通信先を示す回線識別情報と、通信装置12aの装置識別情報とを取得する。サーバDS2aは、取得した装置識別情報と対応する携帯電話の通信契約の通信使用可能容量から、所定の通信回線との通信にかかる通信量を消費する。具体的には、サーバDS2aは、通信回線NW2を介して通信された通信量と、携帯電話の通信契約の通信使用可能容量から消費する。つまり、サーバDS2aは、通信装置12aの通信に使用した通信量と、携帯電話の通信に使用した通信量とを、携帯電話の通信に付与される通信使用可能容量から消費することができる。
これにより、通信システム1aは、複数の契約のうち、既に契約されている携帯電話の通信使用可能容量から、車載された通信装置12aの通信量を消費することができ、ユーザの利便性を高めることができる。また、通信使用可能容量を使用し尽くした場合には、ユーザは追加で課金するなどして、携帯電話の契約のみ手続きをすることにより通信使用可能容量を増加させることができる。これにより、ユーザは通信装置毎に通信使用可能容量を増加させるなどの煩雑な手間を省くことができる。
また、課金装置CS1とサーバDS2aとを組み合わせることにより、請求先を特定の契約にまとめることができる。
【0054】
なお、通信装置12aが携帯通信端末であって、車両と通信端末とが、それぞれ異なる情報記憶部を備える場合には、装置識別情報に基づいて、ユーザ契約情報サーバHSS1及びユーザ契約情報サーバHSS2から異なる契約情報を取得してもよい。
【0055】
また、通信装置12aは、携帯電話に限られず、モバイルルータなどの通信端末であってもよい。この場合には、モバイルルータは、テザリングする複数の装置の装置識別情報に応じた回線識別情報と、通信の内容を示す情報とを対応付けた通信情報を出力してもよい。
【0056】
なお、上記の各実施形態における通信装置12、中継サーバ20、通信装置12a及び中継サーバ20aが備える各部は、専用のハードウェアにより実現されるものであってもよく、また、メモリおよびマイクロプロセッサにより実現させるものであってもよい。
【0057】
なお、通信装置12、中継サーバ20、通信装置12a及び中継サーバ20aが備える各部は、メモリおよびCPU(中央演算装置)により構成され、通信装置12、中継サーバ20、通信装置12a及び中継サーバ20aが備える各部の機能を実現するためのプログラムをメモリにロードして実行することによりその機能を実現させるものであってもよい。
【0058】
また、通信装置12、中継サーバ20、通信装置12a及び中継サーバ20aが備える各部の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
【0059】
また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよい。
【0060】
以上、本発明の実施形態を、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えることができる。上述した各実施形態に記載の構成を組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0061】
1,1a…通信システム、10…車両、11…ナビゲーション装置、12,12a…通信
装置、13…情報記憶部、14,14a…通信出力部、20,20a…中継サーバ、21
,21a…通信取得部、22,22a…通信情報出力部、23…通信先情報記憶部、CS
1…課金装置、DS1,DS2,DS2a…サーバ、GW,GW1,GW2…ゲートウェ
イサーバ、NW,NW1,NW2,NW3,NW4…通信回線、BS1…基地局、HSS
1,HSS2…ユーザ契約情報サーバ、IM1,IM2…管理サーバ