(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-02
(45)【発行日】2022-12-12
(54)【発明の名称】電子文書を締結して配送するためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/06 20120101AFI20221205BHJP
G06F 21/31 20130101ALI20221205BHJP
G06F 21/64 20130101ALI20221205BHJP
G06F 21/32 20130101ALI20221205BHJP
G06Q 20/40 20120101ALI20221205BHJP
【FI】
G06Q30/06
G06F21/31
G06F21/64
G06F21/32
G06Q20/40 300
(21)【出願番号】P 2020502742
(86)(22)【出願日】2018-03-28
(86)【国際出願番号】 CA2018050378
(87)【国際公開番号】W WO2018176140
(87)【国際公開日】2018-10-04
【審査請求日】2021-02-12
(32)【優先日】2017-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519352403
【氏名又は名称】シングラフィー インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100196612
【氏名又は名称】鎌田 慎也
(72)【発明者】
【氏名】ギブソン トーマス マシュー マン
(72)【発明者】
【氏名】デイヴ ラヴィ ヴィプール
(72)【発明者】
【氏名】スライト クリスティアン ディー ジェイ
【審査官】大野 朋也
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-192719(JP,A)
【文献】特開2014-194751(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0164791(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0265641(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0067347(US,A1)
【文献】国際公開第2016/043197(WO,A1)
【文献】特開2011-244332(JP,A)
【文献】特開2004-220334(JP,A)
【文献】国際公開第2017/010455(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0005804(US,A1)
【文献】米国特許第09547879(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
G06F 21/30-21/46
G06F 21/60-21/88
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子文書に注釈付け又は署名を行うためのコンピュータ実装方法であって、
コンピュータシステムにおいて、1又は2以上の当事者による注釈付け又は締結に利用できる電子文書を受け取る又は検索するステップと、
前記コンピュータシステムにおいて、第1のコンピュータ装置上に表示するための前記電子文書を第1の位置の前記第1のコンピュータ装置に送信するステップと、
前記コンピュータシステムにおいて、前記第1のコンピュータ装置の第1のユーザの身元を認証するステップと、
前記コンピュータシステムにおいて、前記第1のコンピュータ装置から、前記第1のユーザのユーザ入力を表す電子信号を受け取るステップと、
前記コンピュータシステムにおいて、前記第1のコンピュータ装置からの前記第1のユーザの前記ユーザ入力に基づ
いて印
(indicia)を表すデジタルデータを生成するステップと、
前記コンピュータシステムにおいて、前記第1のユーザからの第1の注釈又は署名を形成するために前記電子文書に前記デジタルデータを適用するステップと、
前記コンピュータシステムにおいて、前記第1のコンピュータ装置から、前記第1のユーザのさらなるユーザ入力を表す電子信号を受け取るステップと、
前記コンピュータシステムにおいて、前記第1のコンピュータ装置からの前記第1のユーザの前記さらなるユーザ入力に基づいて第2の印を表すデジタルデータを生成するステップと、
前記コンピュータシステムにおいて、前記第1のユーザからの第2の注釈又は署名を形成するために前記電子文書に関連するデジタル法令遵守監査証明書に前記デジタルデータを適用するステップと、
前記コンピュータシステムにおいて、前記デジタル法令遵守監査証明書をデータベースに記憶するステップと、
を含む方法。
【請求項2】
前記コンピュータシステムにおいて、前記第1のコンピュータ装置から、前記第1のユーザとは異なる人物の署名を表す電子信号を受け取るステップと、
前記コンピュータシステムにおいて、前記電子文書に関連する前記デジタル法令遵守監査証明書上で、前記第1のユーザとは異なる前記人物の前記署名を適用するステップと、
をさらに含む、請求項
1に記載の方法。
【請求項3】
前記コンピュータシステムにおいて、前記第1のコンピュータ装置上に表示するための前記電子文書を前記第1のコンピュータ装置に送信するのと同時に、第2のコンピュータ装置上に表示するための前記電子文書を第2の位置の前記第2のコンピュータ装置に送信するステップと、
前記コンピュータシステムにおいて、前記第2のコンピュータ装置の第2のユーザの身元を認証するステップと、
前記コンピュータシステムにおいて、前記第2のコンピュータ装置から、前記第2のユーザのユーザ入力を表す電子信号を受け取るステップと、
前記コンピュータシステムにおいて、前記第2のコンピュータ装置からの前記第2のユーザの前記ユーザ入力に基づ
いて印を表すデジタルデータを生成するステップと、
前記コンピュータシステムにおいて、前記第2のユーザからの第1の注釈又は署名を形成するために前記電子文書に前記デジタルデータを適用するステップと、
をさらに含む、請求項1
又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記デジタル法令遵守監査証明書は、身元認証結果、筆跡データ、GPS位置データ、MACアドレス、IPアドレス、前記第1のコンピュータ装置に関するハードウェア情報、オーディオ通信ストリーム、ビジュアル通信ストリーム、ブラウジング情報、及び前記第1のコンピュータ装置における前記電子文書の表示時間、のうちの少なくとも1つをさらに含む、請求項
1に記載の方法。
【請求項5】
前記第1のユーザの前記ユーザ入力は、前記第1のユーザの筆跡の圧点、線の太さ及び調子のうちの少なくとも2つを測定するように構成された入力装置によって受け取られる前記ユーザの筆跡を含み、前記ユーザ入力に基づく前記生成された印は、前記ユーザの前記筆跡を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第1のユーザの前記ユーザ入力はタイプ文字列を含み、前記タイプ文字列に基づく前記生成された印は、一意的なビジュアルアイコン、ハッシュコード、又はこれらの両方を含み、前記一意的なビジュアルアイコン又はハッシュコードは、前記タイプ文字列の長さ、前記タイプ文字列のフォント、前記タイプ文字列のタイムスタンプ、前記第1のコンピュータ装置に関連するIPアドレス、前記第1のコンピュータ装置のMACアドレス、及び前記第1のコンピュータ装置のハードウェア情報、のうちの1つ又は2つ以上に基づいて生成される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記コンピュータシステムにおいて、前記電子文書のマスターファイルを生成するステップをさらに含み、前記マスターファイルは、前記第1のユーザの前記ユーザ入力に基づく前記第1の注釈又は署名の少なくとも1つの圧力プロファイルを含み、該圧力プロファイルは、前記印を表す前記デジタルデータに対応する一意的なものである、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記圧力プロファイルは、前記第1の注釈又は署名の調子、速度、タイムスタンプ、日付スタンプ、x-y座標、前記第1の注釈又は署名のバイト数、前記第1のコンピュータ装置の装置ID及び装置情報、のうちの少なくとも1つを含む、請求項
7に記載の方法。
【請求項9】
前記コンピュータシステムにおいて、ブロックチェーンにおいて、前記電子文書のアドレスの割り当て又は検索を行うステップと、
前記コンピュータシステムにおいて、前記第1のユーザからの前記第1の注釈又は署名を形成するために前記電子文書に前記デジタルデータを適用する前に、前記第1のユーザを前記電子文書の有効な当事者として認証するステップと、
前記コンピュータシステムにおいて、前記第1の注釈又は署名を含む前記電子文書の編集バージョンを暗号化して前記ブロックチェーン上のブロックに記憶するステップと、
前記コンピュータシステムにおいて、前記電子文書の前記編集バージョンを記憶する前記ブロックのアドレスの割り当て又は検索を行うステップと、
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記電子文書の前記編集バージョンを記憶する前記ブロックは、ユーザアイデンティティ、前記第1の注釈又は署名に関連するタイムスタンプ、前記第1の注釈又は署名、デジタル法令遵守監査証明書、及び圧力プロファイル、のうちの1つ又は2つ以上をさらに含む、請求項
9に記載の方法。
【請求項11】
電子文書に注釈付け又は署名を行うためのコンピュータシステムであって、
プロセッサと、
機械可読命令を記憶した非一時的コンピュータ可読メモリデバイスと、
を含み、前記プロセッサは、前記機械可読命令を実行した時に、
1又は2以上の当事者による注釈付け又は締結に利用できる電子文書を受け取る又は検索するステップと、
第1のコンピュータ装置上に表示するための前記電子文書を第1の位置の前記第1のコンピュータ装置に送信するステップと、
前記第1のコンピュータ装置の第1のユーザの身元を認証するステップと、
前記第1のコンピュータ装置から、前記第1のユーザのユーザ入力を表す電子信号を受け取るステップと、
前記第1のコンピュータ装置からの前記第1のユーザの前記ユーザ入力に基づ
いて印を表すデジタルデータを生成するステップと、
前記第1のユーザからの第1の注釈又は署名を形成するために前記電子文書に前記デジタルデータを適用するステップと、
を実行するように構成され
、
前記プロセッサは、
前記第1のコンピュータ装置から、前記第1のユーザのさらなるユーザ入力を表す電子信号を受け取るステップと、
前記第1のコンピュータ装置からの前記第1のユーザの前記さらなるユーザ入力に基づいて第2の印を表すデジタルデータを生成するステップと、
前記第1のユーザからの第2の注釈又は署名を形成するために前記電子文書に関連するデジタル法令遵守監査証明書に前記デジタルデータを適用するステップと、
前記デジタル法令遵守監査証明書をデータベースに記憶するステップと、
を実行するように構成される、
システム。
【請求項12】
前記プロセッサは、
前記第1のコンピュータ装置から、前記第1のユーザとは異なる人物の署名を表す電子信号を受け取るステップと、
前記電子文書に関連する前記デジタル法令遵守監査証明書上で、前記第1のユーザとは異なる前記人物の前記署名を適用するステップと、
を実行するように構成される、請求項
11に記載のシステム。
【請求項13】
前記プロセッサは、
前記第1のコンピュータ装置上に表示するための前記電子文書を前記第1のコンピュータ装置に送信するのと同時に、第2のコンピュータ装置上に表示するための前記電子文書を第2の位置の前記第2のコンピュータ装置に送信するステップと、
前記第2のコンピュータ装置の第2のユーザの身元を認証するステップと、
前記第2のコンピュータ装置から、前記第2のユーザのユーザ入力を表す電子信号を受け取るステップと、
前記第2のコンピュータ装置からの前記第2のユーザの前記ユーザ入力に基づ
いて印を表すデジタルデータを生成するステップと、
前記第2のユーザからの第1の注釈又は署名を形成するために前記電子文書に前記デジタルデータを適用するステップと、
を実行するように構成される、請求項
11又は12に記載のシステム。
【請求項14】
前記デジタル法令遵守監査証明書は、身元認証結果、筆跡データ、GPS位置データ、MACアドレス、IPアドレス、前記第1のコンピュータ装置に関するハードウェア情報、オーディオ通信ストリーム、ビジュアル通信ストリーム、ブラウジング情報、及び前記第1のコンピュータ装置における前記電子文書の表示時間、のうちの少なくとも1つをさらに含む、請求項
11に記載のシステム。
【請求項15】
前記第1のユーザの前記ユーザ入力は、前記第1のユーザの筆跡の圧点、線の太さ及び調子のうちの少なくとも2つを測定するように構成された入力装置によって受け取られる前記ユーザの筆跡を含み、前記ユーザ入力に基づく前記生成された印は、前記ユーザの前記筆跡を含む、請求項
11に記載のシステム。
【請求項16】
前記第1のユーザの前記ユーザ入力はタイプ文字列を含み、前記タイプ文字列に基づく前記生成された印は、一意的なビジュアルアイコン、ハッシュコード、又はこれらの両方を含み、前記一意的なビジュアルアイコン又はハッシュコードは、前記タイプ文字列の長さ、前記タイプ文字列のフォント、前記タイプ文字列のタイムスタンプ、前記第1のコンピュータ装置に関連するIPアドレス、前記第1のコンピュータ装置のMACアドレス、及び前記第1のコンピュータ装置のハードウェア情報、のうちの1つ又は2つ以上に基づいて生成される、請求項
11に記載のシステム。
【請求項17】
前記プロセッサは、前記電子文書のマスターファイルを生成するように構成され、前記マスターファイルは、前記第1のユーザの前記ユーザ入力に基づく前記第1の注釈又は署名の少なくとも1つの圧力プロファイルを含み、該圧力プロファイルは、前記印を表す前記デジタルデータに対応する一意的なものである、請求項
11に記載のシステム。
【請求項18】
前記圧力プロファイルは、前記第1の注釈又は署名の調子、速度、タイムスタンプ、日付スタンプ、x-y座標、前記第1の注釈又は署名のバイト数、前記第1のコンピュータ装置の装置ID及び装置情報、のうちの少なくとも1つを含む、請求項
17に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
〔関連出願との相互参照〕
本出願は、2017年3月31日に出願された米国仮特許出願第62/479,764号に基づく優先権を主張するものであり、この文献の内容は全体が引用により本明細書に組み入れられる。
【0002】
本発明は、署名文書の配送に関し、具体的には、文書を電子的に締結して離れた当事者に署名文書を配送するためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
文書の署名及び締結(execution)は、多くの取引を完結させる重要な部分である。従来は、取引の1又は2以上の当事者に文書(例えば、契約書)の物理的コピーが提示され、これらの当事者によって署名又は締結が行われる。多くの場合、取引の複数の当事者は、同じ物理的場所で会って順番に文書の署名又は締結を行う。直接会って物理的文書(physical documents)に署名を行えば、署名した当事者の身元(identity)を容易に確認できるので、取引に一定程度の確実性をもたらすことができる。しかしながら、特に取引の当事者が互いに遠く離れている時には、このような会合の調整が煩雑なものになり得る。例えば、グリーンランドの当事者とオーストラリアの当事者との間で両者が物理的に参加する会合を調整することは困難である。さらに、多くの状況では、2人の当事者よりも多くの署名(signature)が必要である(例えば、ある企業の取締役会の各構成員の署名を必要とする合意書)。
【0004】
さらに、当事者が合意書に署名し終えた時点で(各当事者の記録用の)複数の文書コピーが存在することもある。場合によっては、合意書の機密化が意図される。このため、物理的文書の取り扱いミスによって文書の内容がうっかり漏れてしまう恐れがあるので、合意書の1又は複数の物理的コピーの保管がセキュリティリスクをもたらすこともある。ある文書をコピーし、そのコピーをうっかりコピー室に置き忘れ、これを誰かが発見するという状況は日常的である。締結済みの合意書の保管に伴うセキュリティを改善することが望ましいと思われる。
【0005】
文書に電子的に署名を行って、合意書の締結に伴う物理的制約を軽減することが支持されてきている。しかしながら、文書の電子署名にも制約が伴う。例えば、文書の電子署名を行う当事者が詐欺師である可能性もあり、或いは一方の当事者が事後に合意の撤回につながり得る状況の存在を主張する可能性もあるという点で、不正のリスクは大幅に高くなる。電子的に行われる締結のセキュリティ及び信頼性は最も重要である。
【0006】
撤回(repudiation)とは、特定の合意又は取引に納得したことを当事者が否定することである。これまで、当事者は、合意に納得したことを証明するために、物理的な1枚の紙にインクで書かれた署名を行っていた。一般に、「直筆(wet ink)」署名は、署名を行った当事者が納得したことを推定させる。しかしながら、取引又は合意の当事者が納得を示したことを否定する場合には、他の証拠が必要になることもある。例えば、法医学的筆跡鑑定では、紙の文書上の筆跡(handwriting)を分析してその署名が特定の当事者によって行われたものであるか否かを確認することができる。筆跡鑑定士は、ペンストロークの圧力差、書かれた方向、いくつかの文字のループの寸法及びその他の因子などの問題を検討することができる。
【0007】
電子文書に署名する場合、従来の方法では、契約書の撤回に対抗するための証拠として使用できる情報を十分に提供できない恐れがある。例えば、筆跡鑑定士が署名のコピーを鑑定するのはさらに困難になり得る。さらに、ポインティングデバイス(例えば、マウス)を使用して行われた署名では、個人の筆跡から収集できる同じ微妙な差異及び個性が反映されないこともある。
【0008】
さらに、電子署名(本明細書では「e署名」と呼ぶ)を使用した文書の署名は、特定の取引及び/又は合意を完結するのには十分な場合もあるが、事後に合意を撤回しようとする試みに対抗するには、電子署名だけでは不十分な場合もある。多くの場合、先端企業のコンプライアンス部門は、署名当事者の「直筆」署名の物理的コピーを必要とする。物理的な「直筆」署名を行った場合、このような文書を配送するために数多くの資源の消費が必要となり得る。例えば、署名文書を別の当事者に宅配便で送付することもできるが、これを行うには相当なエネルギー消費及び経費が必要になる。さらに、場合によっては、例えば締結と同じ日にこのような文書の配送を素早く行うことは不可能と思われる(例えば、署名当事者が地球の裏側にいる場合)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】米国特許出願公開第2014/469,951号明細書
【文献】米国特許出願公開第2011/720,249号明細書
【文献】米国特許出願公開第2013/390,798号明細書
【文献】米国特許第8,867,062号明細書
【文献】米国特許出願公開第2011/720,429号明細書
【文献】米国特許第8,296,832号明細書
【文献】米国特許第8,843,552号明細書
【文献】カナダ国特許出願公開第2016/000260号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上述した課題の一部又は全部を軽減しながら文書の締結又は署名を電子的に行うためのシステムを開発することが望ましいと思われる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
1つの態様によれば、電子文書に注釈付け(annotating)又は署名を行うためのコンピュータ実装方法が提供される。この方法は、1又は2以上の当事者による注釈付け又は締結に利用できる電子文書を受信又は検索するステップと、第1のコンピュータ装置(first computing device)上に表示するための電子文書を第1の位置の第1のコンピュータ装置に送信するステップと、第1のコンピュータ装置の第1のユーザの身元を認証するステップと、第1のコンピュータ装置から、第1のユーザのユーザ入力を表す電子信号を受け取るステップと、第1のコンピュータ装置からの第1のユーザのユーザ入力に基づく印(indicia)を表すデジタルデータを生成するステップと、第1のユーザからの第1の注釈又は署名を形成するために電子文書にデジタルデータを適用するステップと、を含むことができる。
【0012】
別の態様では、方法が、第1のコンピュータ装置から、第1のユーザのさらなるユーザ入力を表す電子信号を受け取るステップと、第1のコンピュータ装置からの第1のユーザのさらなるユーザ入力に基づく第2の印を表すデジタルデータを生成するステップと、第1のユーザからの第2の注釈又は署名を形成するために電子文書に関連するデジタル法令遵守監査証明書(digital compliance audit certificate)にデジタルデータを適用するステップと、デジタル法令遵守監査証明書をデータベースに記憶するステップと、を含むことができる。
【0013】
別の態様では、方法が、第1のコンピュータ装置から、第1のユーザとは異なる人物の署名を表す電子信号を受け取るステップと、電子文書に関連するデジタル法令遵守監査証明書上で、第1のユーザとは異なる人物の署名を適用するステップと、を含むことができる。
【0014】
さらに別の態様では、方法が、データベースからデジタル法令遵守監査証明書を検索するステップと、生体力学的に正確な筆跡を物理的媒体上に複製するように構成された印刷装置を使用して、デジタル法令遵守監査証明書の物理的コピーを作成するステップと、をさらに含むことができ、デジタル法令遵守監査証明書の物理的コピーは、第1のユーザからの第1の注釈又は署名に基づく、第1のユーザの生体力学的に正確な直筆署名を含む。
【0015】
さらに別の態様では、方法が、第1のコンピュータ装置上に表示するための電子文書を第1のコンピュータ装置に送信するのと同時に、第2のコンピュータ装置上に表示するための電子文書を第2の位置の第2のコンピュータ装置に送信するステップと、第2のコンピュータ装置の第2のユーザの身元を認証するステップと、第2のコンピュータ装置から、第2のユーザのユーザ入力を表す電子信号を受け取るステップと、第2のコンピュータ装置からの第2のユーザのユーザ入力に基づく印を表すデジタルデータを生成するステップと、第2のユーザからの第1の注釈又は署名を形成するために電子文書にデジタルデータを適用するステップと、を含むことができる。
【0016】
別の態様では、方法が、第1のユーザからの第1の注釈又は署名を形成するために電子文書にデジタルデータを適用するステップの後に、第2のコンピュータ装置上に表示するための注釈又は署名付きの電子文書を第2の位置の第2のコンピュータ装置に送信するステップと、第2のコンピュータ装置の第2のユーザの身元を認証するステップと、第2のコンピュータ装置から、第2のユーザのユーザ入力を表す電子信号を受け取るステップと、第2のコンピュータ装置からの第2のユーザのユーザ入力に基づく印を表すデジタルデータを生成するステップと、第2のユーザからの第1の注釈又は署名を形成するために電子文書にデジタルデータを適用するステップと、を含むことができる。
【0017】
1つの態様では、第1のユーザの身元を認証するステップが、個人識別番号(PIN)、セキュリティコード、パスワード、第1のユーザの写真、第1のユーザのバイオメトリック情報、及び装置ID、のうちの少なくとも1つを検証するステップを含むことができる。
【0018】
1つの態様では、バイオメトリック情報が、指紋、顔スキャン、虹彩パターン、網膜パターン、音声録音及び手書き署名(handwritten signature)のうちの少なくとも1つを含むことができる。
【0019】
別の態様では、デジタル法令遵守監査証明書が、身元認証結果、筆跡データ、GPS位置データ、MACアドレス、IPアドレス、第1のコンピュータ装置に関するハードウェア情報、オーディオ通信ストリーム、ビジュアル通信ストリーム、ブラウジング情報、及び第1のコンピュータ装置における電子文書の表示時間、のうちの少なくとも1つをさらに含むことができる。
【0020】
さらに別の態様では、デジタル法令遵守監査証明書の物理的コピーを作成するステップが、手書き用具を使用して、第1のユーザの筆跡の圧点、線の太さ及び調子のうちの少なくとも2つに従って物理的媒体に圧力を加えるステップを含むことができる。
【0021】
別の態様では、第1のユーザのユーザ入力が、ユーザの筆跡を含むことができ、生成されるユーザ入力に基づく印が、ユーザの筆跡を含む。
【0022】
1つの態様では、ユーザの筆跡が、タッチ画面を介した指、マウス、及びスタイラスのうちの1つを含む入力装置を通じて第1のコンピュータ装置によって受け取られる。
【0023】
別の態様では、生成された印を電子文書に適用するステップが、第1のユーザの筆跡の圧点、線の太さ及び調子のうちの少なくとも2つを測定するように構成された入力装置を通じて筆跡を適用するステップを含むことができる。
【0024】
別の態様では、方法が、記憶されたユーザの手書きプロファイル(handwriting profile)に基づいてユーザの筆跡を認証し、ユーザの筆跡がユーザによって第1のコンピュータ装置において生成されたものであると判定された場合にのみ、印を表すデジタルデータを生成するステップをさらに含むことができる。
【0025】
別の態様では、第1のユーザのユーザ入力がタイプ文字列(typed string)を含み、生成されるタイプ文字列に基づく印が、一意的なビジュアルアイコン、ハッシュコード、又はこれらの両方を含むことができる。
【0026】
1つの態様では、タイプ文字列が、タイプされた名前又はイニシャルである。
【0027】
別の態様では、一意的なビジュアルアイコン又はハッシュコードが、タイプ文字列の長さ、タイプ文字列のフォント、タイプ文字列のタイムスタンプ、第1のコンピュータ装置に関連するIPアドレス、第1のコンピュータ装置のMACアドレス、及び第1のコンピュータ装置のハードウェア情報、のうちの1つ又は2つ以上に基づいて生成される。
【0028】
さらに別の態様では、方法が、第1のコンピュータ装置において第1のユーザのオーディオ又はビジュアルフィード(visual feed)を収集し、このオーディオ又はビジュアルフィードをデータベースに記憶するステップを含むことができる。
【0029】
1つの態様では、電子文書が、1又は2以上の当事者間の契約又は取引を表す。
【0030】
別の態様では、方法が、メッセージ、eメール又はモバイルテキストメッセージを介して第1のユーザに電子文書へのリンクを送信するステップをさらに含むことができる。
【0031】
さらに別の態様では、電子文書を第2のユーザに送信するステップが、メッセージ、eメール、又はモバイルテキストメッセージを介して第2のユーザに電子文書へのリンクを送信するステップを含む。
【0032】
さらに別の態様では、デジタル法令遵守監査証明書が、第1のQRコード(登録商標)を含む。
【0033】
1つの態様では、方法が、第1のQRコード(登録商標)に基づいて、電子文書の締結版へのアクセス権を与えるステップをさらに含むことができ、電子文書の締結版は、少なくとも第1のユーザからの第1の注釈又は署名を含む。
【0034】
別の態様では、デジタル法令遵守監査証明書上の第2の注釈又は署名が、対応するQRコード(登録商標)を含むことができ、この対応するQRコード(登録商標)をスキャンすると、第1のユーザからの第1の注釈又は署名に関連するデータが検索される。
【0035】
さらに別の態様では、方法が、電子文書のマスターファイルを生成するステップをさらに含むことができ、このマスターファイルは、第1のユーザのユーザ入力に基づく第1の注釈又は署名の少なくとも1つの圧力プロファイルを含み、この圧力プロファイルは、印を表すデジタルデータに対応する一意的なものである。
【0036】
1つの態様では、圧力プロファイルが、第1の注釈又は署名の調子、速度、タイムスタンプ、日付スタンプ、x-y座標、第1の注釈又は署名のバイト数、第1のコンピュータ装置の装置ID及び装置情報、のうちの少なくとも1つを含むことができる。
【0037】
別の態様では、ユーザ入力が、デジタル筆跡の圧力情報を取り込むように構成された入力装置を通じて第1のコンピュータ装置によって受け取られたユーザのデジタル筆跡を含む場合、圧力プロファイルが、第1のユーザのデジタル筆跡の圧力情報を表すデータを含む。
【0038】
別の態様では、方法が、ブロックチェーンにおいて、電子文書のアドレスの割り当て又は検索を行うステップと、第1のユーザからの第1の注釈又は署名を形成するために電子文書にデジタルデータを適用する前に、第1のユーザを電子文書の有効な当事者として認証するステップと、第1の注釈又は署名を含む電子文書の編集バージョンを暗号化してブロックチェーン上のブロックに記憶するステップと、電子文書の編集バージョンを記憶したブロックのアドレスの割り当て又は検索を行うステップと、を含むことができる。
【0039】
別の態様では、電子文書の編集バージョンを記憶したブロックが、ユーザアイデンティティ、第1の注釈又は署名に関連するタイムスタンプ、第1の注釈又は署名、デジタル法令遵守監査証明書、及び圧力プロファイル、のうちの1つ又は2つ以上をさらに含むことができる。
【0040】
1つの態様によれば、電子文書に注釈付け又は署名を行うためのコンピュータシステムであって、プロセッサと、機械可読命令を記憶した非一時的コンピュータ可読メモリデバイスとを備え、プロセッサが、機械可読命令を実行した時に、1又は2以上の当事者による注釈付け又は締結に利用できる電子文書を受信又は検索するステップと、第1のコンピュータ装置上に表示するための電子文書を第1の位置の第1のコンピュータ装置に送信するステップと、第1のコンピュータ装置の第1のユーザの身元を認証するステップと、第1のコンピュータ装置から、第1のユーザのユーザ入力を表す電子信号を受け取るステップと、第1のコンピュータ装置からの第1のユーザのユーザ入力に基づく印を表すデジタルデータを生成するステップと、第1のユーザからの第1の注釈又は署名を形成するために電子文書にデジタルデータを適用するステップと、を実行するように構成された、システムが提供される。
【0041】
別の態様では、プロセッサを、第1のコンピュータ装置から、第1のユーザのさらなるユーザ入力を表す電子信号を受け取るステップと、第1のコンピュータ装置からの第1のユーザのさらなるユーザ入力に基づく第2の印を表すデジタルデータを生成するステップと、第1のユーザからの第2の注釈又は署名を形成するために電子文書に関連するデジタル法令遵守監査証明書にデジタルデータを適用するステップと、デジタル法令遵守監査証明書をデータベースに記憶するステップと、を実行するように構成することができる。
【0042】
さらに別の態様では、プロセッサを、第1のコンピュータ装置から、第1のユーザとは異なる人物の署名を表す電子信号を受け取るステップと、電子文書に関連するデジタル法令遵守監査証明書上で、第1のユーザとは異なる人物の署名を適用するステップと、を実行するように構成することができる。
【0043】
1つの態様では、プロセッサを、データベースからデジタル法令遵守監査証明書を検索するステップと、生体力学的に正確な筆跡を物理的媒体上に複製するように構成された印刷装置を使用して、デジタル法令遵守監査証明書の物理的コピーを作成するステップと、を実行するように構成することができ、デジタル法令遵守監査証明書の物理的コピーは、第1のユーザからの第1の注釈又は署名に基づく、第1のユーザの生体力学的に正確な直筆署名を含む。
【0044】
別の態様では、プロセッサを、第1のコンピュータ装置上に表示するための電子文書を第1のコンピュータ装置に送信するのと同時に、第2のコンピュータ装置上に表示するための電子文書を第2の位置の第2のコンピュータ装置に送信するステップと、第2のコンピュータ装置の第2のユーザの身元を認証するステップと、第2のコンピュータ装置から、第2のユーザのユーザ入力を表す電子信号を受け取るステップと、第2のコンピュータ装置からの第2のユーザのユーザ入力に基づく印を表すデジタルデータを生成するステップと、第2のユーザからの第1の注釈又は署名を形成するために電子文書にデジタルデータを適用するステップと、を実行するように構成することができる。
【0045】
さらに別の態様では、プロセッサを、第1のユーザからの第1の注釈又は署名を形成するために電子文書にデジタルデータを適用するステップの後に、第2のコンピュータ装置上に表示するための注釈又は署名付きの電子文書を第2の位置の第2のコンピュータ装置に送信するステップと、第2のコンピュータ装置の第2のユーザの身元を認証するステップと、第2のコンピュータ装置から、第2のユーザのユーザ入力を表す電子信号を受け取るステップと、第2のコンピュータ装置からの第2のユーザのユーザ入力に基づく印を表すデジタルデータを生成するステップと、第2のユーザからの第1の注釈又は署名を形成するために電子文書にデジタルデータを適用するステップと、を実行するように構成することができる。
【0046】
1つの態様では、第1のユーザの身元を認証するステップが、個人識別番号(PIN)、セキュリティコード、パスワード、第1のユーザの写真、第1のユーザのバイオメトリック情報、及び装置ID、のうちの少なくとも1つを検証するステップを含むことができる。
【0047】
別の態様では、バイオメトリック情報が、指紋、顔スキャン、虹彩パターン、網膜パターン、音声録音及び手書き署名のうちの少なくとも1つを含むことができる。
【0048】
さらに別の態様では、デジタル法令遵守監査証明書が、身元認証結果、筆跡データ、GPS位置データ、MACアドレス、IPアドレス、第1のコンピュータ装置に関するハードウェア情報、オーディオ通信ストリーム、ビジュアル通信ストリーム、ブラウジング情報、及び第1のコンピュータ装置における電子文書の表示時間、のうちの少なくとも1つをさらに含むことができる。
【0049】
1つの態様では、システムが、第1のユーザの筆跡の圧点、線の太さ及び調子のうちの少なくとも2つに従って物理的媒体に圧力を加えるように構成された手書き用具を含むことができる。
【0050】
別の態様では、第1のユーザのユーザ入力が、ユーザの筆跡を含むことができ、生成されるユーザ入力に基づく印が、ユーザの筆跡を含む。
【0051】
1つの態様では、ユーザの筆跡が、タッチ画面を介した指、マウス、及びスタイラスのうちの1つを含む入力装置を通じて第1のコンピュータ装置によって受け取られる。
【0052】
別の態様では、生成された印を電子文書に適用するステップが、第1のユーザの筆跡の圧点、線の太さ及び調子のうちの少なくとも2つを測定するように構成された入力装置を通じて筆跡を適用するステップを含むことができる。
【0053】
さらに別の態様では、第1のユーザのユーザ入力がタイプ文字列を含み、生成されるタイプ文字列に基づく印が、一意的なビジュアルアイコン、ハッシュコード、又はこれらの両方を含む。
【0054】
1つの態様では、タイプ文字列が、タイプされた名前又はイニシャルである。
【0055】
別の態様では、一意的なビジュアルアイコン又はハッシュコードが、タイプ文字列の長さ、タイプ文字列のフォント、タイプ文字列のタイムスタンプ、第1のコンピュータ装置に関連するIPアドレス、第1のコンピュータ装置のMACアドレス、及び第1のコンピュータ装置のハードウェア情報、のうちの1つ又は2つ以上に基づいて生成される。
【0056】
さらに別の態様では、プロセッサを、メッセージ、eメール又はモバイルテキストメッセージを介して第1のユーザに電子文書へのリンクを送信するように構成することができる。
【0057】
1つの態様では、デジタル法令遵守監査証明書が、第1のQRコード(登録商標)を含み、プロセッサが、第1のQRコード(登録商標)に基づいて、電子文書の締結版へのアクセス権を与えるように構成され、電子文書の締結版が、少なくとも第1のユーザからの第1の注釈又は署名を含む。
【0058】
1つの態様では、プロセッサが、電子文書のマスターファイルを生成するように構成され、このマスターファイルは、第1のユーザのユーザ入力に基づく第1の注釈又は署名の少なくとも1つの圧力プロファイルを含み、この圧力プロファイルは、印を表すデジタルデータに対応する一意的なものである。
【0059】
さらに別の態様では、圧力プロファイルが、第1の注釈又は署名の調子、速度、タイムスタンプ、日付スタンプ、x-y座標、第1の注釈又は署名のバイト数、第1のコンピュータ装置の装置ID及び装置情報、のうちの少なくとも1つを含むことができる。
【0060】
1つの態様では、ユーザ入力が、デジタル筆跡の圧力情報を取り込むように構成された入力装置を通じて第1のコンピュータ装置によって受け取られたユーザのデジタル筆跡を含むことができる場合、圧力プロファイルが、第1のユーザのデジタル筆跡の圧力情報を表すデータを含む。
【0061】
1つの態様では、電子文書に注釈付け又は署名を行うためのコンピュータ実装方法であって、1又は2以上の当事者による注釈付け又は締結に利用できる電子文書を受信又は検索するステップと、第1の位置の第1のコンピュータ装置から、電子文書を第2の位置の第2のコンピュータ装置に送信するためのコマンドを表す電子信号を受け取るステップと、コマンドに応答して、第2のコンピュータ装置上に表示するための電子文書を第2のコンピュータ装置に送信するステップと、第2のコンピュータ装置のユーザの身元を認証するステップと、第1のコンピュータ装置から、第2のコンピュータ装置のユーザが電子文書に注釈付け又は署名を行うように要求するためのコマンドであって、電子文書内の注釈又は署名用領域に関するデジタルデータを含むコマンドを表す電子信号を受け取るステップと、第2のコンピュータ装置が電子文書内の注釈又は署名用領域をユーザに表示できるように、注釈又は署名用領域に関するデジタルデータを第2のコンピュータ装置に送信するステップと、第2のコンピュータ装置から、ユーザのユーザ入力を表す電子信号を受け取って、第1のコンピュータ装置に送信するステップと、第1のコンピュータ装置から、第2のコンピュータ装置のユーザが電子文書に注釈付け又は署名を行うためのコマンドを表す電子信号を受け取るステップと、電子文書に注釈付け又は署名を行うためのコマンドに応答して、第2のコンピュータ装置からのユーザのユーザ入力に基づく印を表すデジタルデータを生成するステップと、ユーザからの注釈又は署名を形成するために電子文書にデジタルデータを適用するステップと、を含むことができる方法が提供される。
【0062】
別の態様では、方法が、第1のコンピュータ装置上に表示するための電子文書を第1のコンピュータ装置に送信するステップをさらに含むことができる。
【0063】
さらに別の態様では、方法が、第2のコンピュータ装置から、ユーザのさらなるユーザ入力を表す電子信号を受け取るステップと、第2のコンピュータ装置からのユーザのさらなるユーザ入力に基づく第2の印を表すデジタルデータを生成するステップと、ユーザからの第2の注釈又は署名を形成するために電子文書に関連するデジタル法令遵守監査証明書にデジタルデータを適用するステップと、デジタル法令遵守監査証明書をデータベースに記憶するステップと、を含むことができる。
【0064】
1つの態様では、方法が、第2のコンピュータ装置から、ユーザとは異なる人物の署名を表す電子信号を受け取るステップと、電子文書に関連するデジタル法令遵守監査証明書上で、ユーザとは異なる人物の署名を適用するステップと、を含むことができる。
【0065】
別の態様では、ユーザの身元を認証するステップが、個人識別番号(PIN)、セキュリティコード、パスワード、ユーザの写真、ユーザのバイオメトリック情報、及び装置ID、のうちの少なくとも1つを検証するステップを含むことができる。
【0066】
さらに別の態様では、バイオメトリック情報が、指紋、顔スキャン、虹彩パターン、網膜パターン、音声録音及び手書き署名のうちの少なくとも1つを含むことができる。
【0067】
1つの態様では、デジタル法令遵守監査証明書が、身元認証結果、筆跡データ、GPS位置データ、MACアドレス、IPアドレス、第1又は第2のコンピュータ装置に関するハードウェア情報、オーディオ通信ストリーム、ビジュアル通信ストリーム、ブラウジング情報、及び第1又は第2のコンピュータ装置における電子文書の表示時間、のうちの少なくとも1つをさらに含むことができる。
【0068】
さらに別の態様では、方法が、ブロックチェーンにおいて、電子文書のアドレスの割り当て又は検索を行うステップと、ユーザからの注釈又は署名を形成するために電子文書にデジタルデータを適用する前に、ユーザを電子文書の有効な当事者として認証するステップと、注釈又は署名を含む電子文書の編集バージョンを暗号化してブロックチェーン上のブロックに記憶するステップと、電子文書の編集バージョンを記憶したブロックのアドレスの割り当て又は検索を行うステップと、を含むことができる。
【0069】
1つの態様では、電子文書の編集バージョンを記憶したブロックが、ユーザアイデンティティ、注釈又は署名に関連するタイムスタンプ、注釈又は署名、デジタル法令遵守監査証明書、及び圧力プロファイル、のうちの1つ又は2つ以上をさらに含むことができる。
【0070】
別の態様では、ユーザのユーザ入力が、ユーザの筆跡を含み、生成されるユーザ入力に基づく印が、ユーザの筆跡を含む。
【0071】
さらに別の態様では、ユーザの筆跡が、タッチ画面を介した指、マウス、及びスタイラスのうちの1つを含む入力装置を通じて第2のコンピュータ装置によって受け取られる。
【0072】
1つの態様では、生成された印を電子文書に適用するステップが、ユーザの筆跡の圧点、線の太さ及び調子のうちの少なくとも2つを測定するように構成された入力装置を通じて筆跡を適用するステップを含むことができる。
【0073】
さらに別の態様では、ユーザのユーザ入力がタイプ文字列を含み、生成されるタイプ文字列に基づく印が、一意的なビジュアルアイコン、ハッシュコード、又はこれらの両方を含む。
【0074】
別の態様では、タイプ文字列が、タイプされた名前又はイニシャルである。
【0075】
1つの態様では、一意的なビジュアルアイコン又はハッシュコードが、タイプ文字列の長さ、タイプ文字列のフォント、タイプ文字列のタイムスタンプ、第2のコンピュータ装置に関連するIPアドレス、第2のコンピュータ装置のMACアドレス、及び第2のコンピュータ装置のハードウェア情報、のうちの1つ又は2つ以上に基づいて生成される。
【0076】
別の態様では、デジタル法令遵守監査証明書が、第1のQRコード(登録商標)を含む。
【0077】
さらに別の態様では、方法が、第1のQRコード(登録商標)に基づいて、電子文書の締結版へのアクセス権を与えるステップをさらに含むことができ、電子文書の締結版は、少なくともユーザからの注釈又は署名を含む。
【0078】
1つの態様では、デジタル法令遵守監査証明書上の第2の注釈又は署名が、対応するQRコード(登録商標)を含み、この対応するQRコード(登録商標)をスキャンすると、ユーザからの第1の注釈又は署名に関連するデータが検索される。
【0079】
別の態様では、方法が、電子文書のマスターファイルを生成するステップを含むことができ、このマスターファイルは、ユーザ入力に基づく注釈又は署名の少なくとも1つの圧力プロファイルを含み、この圧力プロファイルは、印を表すデジタルデータに対応する一意的なものである。
【0080】
別の態様では、圧力プロファイルが、第1の注釈又は署名の調子、速度、タイムスタンプ、日付スタンプ、x-y座標、注釈又は署名のバイト数、第2のコンピュータ装置の装置ID及び装置情報、のうちの少なくとも1つを含むことができる。
【0081】
1つの態様によれば、電子文書に注釈付け又は署名を行うためのコンピュータシステムであって、プロセッサと、機械可読命令を記憶した非一時的コンピュータ可読メモリとを備え、プロセッサが、機械可読命令を実行した時に、1又は2以上の当事者による注釈付け又は締結に利用できる電子文書を受信又は検索するステップと、第1の位置の第1のコンピュータ装置から、電子文書を第2の位置の第2のコンピュータ装置に送信するためのコマンドを表す電子信号を受け取るステップと、コマンドに応答して、第2のコンピュータ装置上に表示するための電子文書を第2のコンピュータ装置に送信するステップと、第2のコンピュータ装置のユーザの身元を認証するステップと、第1のコンピュータ装置から、第2のコンピュータ装置のユーザが電子文書に注釈付け又は署名を行うように要求するためのコマンドであって、電子文書内の注釈又は署名用領域に関するデジタルデータを含むコマンドを表す電子信号を受け取るステップと、第2のコンピュータ装置が電子文書内の注釈又は署名用領域をユーザに表示できるように、注釈又は署名用領域に関するデジタルデータを第2のコンピュータ装置に送信するステップと、第2のコンピュータ装置から、ユーザのユーザ入力を表す電子信号を受け取って、第1のコンピュータ装置に送信するステップと、第1のコンピュータ装置から、第2のコンピュータ装置のユーザが電子文書に注釈付け又は署名を行うためのコマンドを表す電子信号を受け取るステップと、電子文書に注釈付け又は署名を行うためのコマンドに応答して、第2のコンピュータ装置からのユーザのユーザ入力に基づく印を表すデジタルデータを生成するステップと、ユーザからの注釈又は署名を形成するために電子文書にデジタルデータを適用するステップと、を実行するように構成された、システムが提供される。
【0082】
別の態様では、プロセッサを、第2のコンピュータ装置から、ユーザのさらなるユーザ入力を表す電子信号を受け取るステップと、第2のコンピュータ装置からのユーザのさらなるユーザ入力に基づく第2の印を表すデジタルデータを生成するステップと、ユーザからの第2の注釈又は署名を形成するために電子文書に関連するデジタル法令遵守監査証明書にデジタルデータを適用するステップと、デジタル法令遵守監査証明書をデータベースに記憶するステップと、を実行するように構成することができる。
【0083】
さらに別の態様では、プロセッサを、第2のコンピュータ装置から、ユーザとは異なる人物の署名を表す電子信号を受け取るステップと、電子文書に関連するデジタル法令遵守監査証明書上で、ユーザとは異なる人物の署名を適用するステップと、を実行するように構成することができる。
【0084】
1つの態様では、ユーザの身元を認証するステップが、個人識別番号(PIN)、セキュリティコード、パスワード、ユーザの写真、ユーザのバイオメトリック情報、及び装置ID、のうちの少なくとも1つを検証するステップを含むことができる。
【0085】
別の態様では、バイオメトリック情報が、指紋、顔スキャン、虹彩パターン、網膜パターン、音声録音及び手書き署名のうちの少なくとも1つを含む。
【0086】
さらに別の態様では、デジタル法令遵守監査証明書が、身元認証結果、筆跡データ、GPS位置データ、MACアドレス、IPアドレス、第1又は第2のコンピュータ装置に関するハードウェア情報、オーディオ通信ストリーム、ビジュアル通信ストリーム、ブラウジング情報、及び第1又は第2のコンピュータ装置における電子文書の表示時間、のうちの少なくとも1つをさらに含む。
【0087】
さらに別の態様では、ユーザのユーザ入力が、ユーザの筆跡を含み、生成されるユーザ入力に基づく印が、ユーザの筆跡を含む。
【0088】
1つの態様では、ユーザの筆跡が、タッチ画面を介した指、マウス、及びスタイラスのうちの1つを含む入力装置を通じて第2のコンピュータ装置によって受け取られる。
【0089】
別の態様では、生成された印を電子文書に適用するステップが、ユーザの筆跡の圧点、線の太さ及び調子のうちの少なくとも2つを測定するように構成された入力装置を通じて筆跡を適用するステップを含む。
【0090】
さらに別の態様では、ユーザのユーザ入力がタイプ文字列を含み、生成されるタイプ文字列に基づく印が、一意的なビジュアルアイコン、ハッシュコード、又はこれらの両方を含む。
【0091】
1つの態様では、一意的なビジュアルアイコン又はハッシュコードが、タイプ文字列の長さ、タイプ文字列のフォント、タイプ文字列のタイムスタンプ、第2のコンピュータ装置に関連するIPアドレス、第2のコンピュータ装置のMACアドレス、及び第2のコンピュータ装置のハードウェア情報、のうちの1つ又は2つ以上に基づいて生成される。
【0092】
別の態様では、プロセッサを、デジタル法令遵守監査証明書内のQRコード(登録商標)に基づいて、電子文書の締結版へのアクセス権を与えるように構成することができ、電子文書の締結版は、少なくともユーザからの注釈又は署名を含む。
【0093】
さらに別の態様では、プロセッサを、電子文書のマスターファイルを生成するように構成することができ、このマスターファイルは、ユーザ入力に基づく注釈又は署名の少なくとも1つの圧力プロファイルを含み、この圧力プロファイルは、印を表すデジタルデータに対応する一意的なものである。
【0094】
さらに別の態様では、圧力プロファイルが、第1の注釈又は署名の調子、速度、タイムスタンプ、日付スタンプ、x-y座標、注釈又は署名のバイト数、第2のコンピュータ装置の装置ID及び装置情報、のうちの少なくとも1つを含む。
【0095】
1つの態様では、プロセッサを、ブロックチェーンにおいて、電子文書のアドレスの割り当て又は検索を行い、ユーザからの注釈又は署名を形成するために電子文書にデジタルデータを適用する前に、ユーザを電子文書の有効な当事者として認証し、注釈又は署名を含む電子文書の編集バージョンを暗号化してブロックチェーン上のブロックに記憶し、電子文書の編集バージョンを記憶したブロックのアドレスの割り当て又は検索を行う、ように構成することができる。
【0096】
1つの態様によれば、署名文書の配送方法であって、第1の位置の第1のコンピュータ装置のディスプレイ上に電子文書を表示するステップと、第1のユーザの身元を確認し、第1のコンピュータ装置上で、電子文書に第1のユーザの筆跡を適用することと、電子法令遵守証明書に第1のユーザの筆跡を適用することとを含めて電子文書の締結/注釈付けを行うステップと、電子法令遵守証明書をデータベースに記憶するステップと、締結済みの電子文書を第2のユーザに送信するステップと、電子法令遵守証明書をデータベースから検索するステップと、生体力学的に正確な筆跡を物理的媒体上で複製するように構成された印刷装置を使用して、第1のユーザの生体力学的に正確な署名を含む電子法令遵守証明書の物理的コピーを作成するステップと、電子法令遵守証明書の物理的コピーを第2のユーザに配送するステップと、を含む方法が提供される。
【0097】
いくつかの実施形態では、電子法令遵守証明書を検索するステップが、第2のユーザの近傍に位置する第三者によって実行される。
【0098】
いくつかの実施形態では、第三者が、第2のユーザと同じ都市に位置する。
【0099】
いくつかの実施形態では、データベースが第1の位置から離れている。
【0100】
いくつかの実施形態では、第1のユーザの身元を確認するステップが、個人識別番号(PIN)ログイン、パスワード、第1のユーザの写真、及び/又は第1のユーザからの1又は2以上のバイオメトリック入力、のうちの少なくとも1つを承認するステップを含む。
【0101】
いくつかの実施形態では、電子法令遵守証明書が、身元確認結果、筆跡データ、位置データ、MACアドレス及び/又はIPアドレス、第1のコンピュータ装置に関するハードウェア情報、オーディオ及び/又はビジュアル通信ストリーム、ブラウジング情報、及び閲覧セッションの経過時間、のうちの少なくとも1つをさらに含む。
【0102】
いくつかの実施形態では、位置データがGPS位置データを含む。
【0103】
いくつかの実施形態では、電子法令遵守証明書の物理的コピーを作成するステップが、手書き用具を使用して、第1のユーザの筆跡の圧点、線の太さ及び調子のうちの少なくとも2つに従って物理的媒体に圧力を加えるステップを含む。
【0104】
いくつかの実施形態では、電子法令遵守証明書の物理的コピーを配送するステップが、第三者が電子法令遵守証明書の物理的コピーを第2のユーザに配送するステップを含む。
【0105】
いくつかの実施形態では、電子文書に筆跡を適用するステップが、第1のユーザの筆跡の圧点、線の太さ及び調子のうちの少なくとも2つを測定するように構成された入力装置を通じて筆跡を適用するステップを含む。
【0106】
いくつかの実施形態では、第2のユーザが、第1の位置から離れた第2の位置に存在する。
【0107】
いくつかの実施形態では、本明細書で説明する方法が、第1のユーザのオーディオ/ビジュアルフィードを収集して第2のユーザに送信するステップをさらに含む。
【0108】
いくつかの実施形態では、電子文書が、第1のユーザと第2のユーザとの間の取引を表す。
【0109】
いくつかの実施形態では、締結済みの電子文書を第2のユーザに送信するステップが、第2のユーザにセキュアなeメールメッセージを送信するステップを含む。
【0110】
いくつかの実施形態では、締結済みの電子文書が、第1のユーザによる締結時にユーザに送信される。
【0111】
いくつかの実施形態では、電子法令遵守証明書が、第1のQRコード(登録商標)を含む。
【0112】
いくつかの実施形態では、本明細書で説明する方法が、第1のQRコード(登録商標)に基づいてQRコード(登録商標)サーバ認証を使用して締結済みの電子文書にアクセスするステップをさらに含む。
【0113】
いくつかの実施形態では、電子法令遵守証明書が、電子文書の各署名当事者の署名を含む。
【0114】
いくつかの実施形態では、電子法令遵守証明書上の各署名が、対応するQRコード(登録商標)を含み、それぞれのQRコード(登録商標)をスキャンすると、それぞれの署名に関連する筆跡データが検索される。
【0115】
いくつかの実施形態では、物理的コピーを配送するステップが、電子文書の締結日と同じ日に物理的コピーを配送するステップを含む。
【0116】
いくつかの実施形態では、締結済みの電子文書を送信するステップが、締結済みの電子文書と電子法令遵守証明書とを送信するステップを含む。
【0117】
いくつかの実施形態では、電子文書に第1のユーザの筆跡を適用するステップが、第1のユーザが電子文書に署名を入力するステップを含む。
【0118】
いくつかの実施形態では、電子法令遵守証明書に第1のユーザの筆跡を適用するステップが、第1のユーザが電子文書に署名を入力するステップを含む。
【0119】
いくつかの実施形態では、電子文書に第1のユーザの筆跡を適用するステップが、記憶されている署名を検索する命令を第1のユーザが入力するステップを含む。
【0120】
以下の図に実施形態例を示す。
【図面の簡単な説明】
【0121】
【
図1】いくつかの実施形態による、署名を含む文書のハードコピーを配送するプロセス例のフロー図である。
【
図2】いくつかの実施形態による、電子署名文書に署名して配送するプロセス例のフロー図である。
【
図3】いくつかの実施形態による、文書の遠隔電子署名を行うシステム例のブロック図である。
【
図4A】いくつかの実施形態によるデジタル書込入力装置例のブロック図である。
【
図4B】いくつかの実施形態によるクライアントコンピュータ例のブロック図である。
【
図4C】いくつかの実施形態によるメディア端末例のブロック図である。
【
図5】いくつかの実施形態による、文書の遠隔電子署名のためのシステムプラットフォーム例のブロック図である。
【
図6】いくつかの実施形態によるブロックチェーン例を示す図である。
【
図7】いくつかの実施形態による、ブロックチェーン例におけるブロック例の概略図例である。
【
図8】いくつかの実施形態による法令遵守監査証明書例を示す図である。
【
図9A】マスター監査ファイルの実施形態例の内容を示す図である。
【
図9B】マスター監査ファイルの実施形態例の内容を示す図である。
【
図9C】マスター監査ファイルの実施形態例の内容を示す図である。
【
図9D】マスター監査ファイルの実施形態例の内容を示す図である。
【
図9E】マスター監査ファイルの実施形態例の内容を示す図である。
【
図9F】マスター監査ファイルの実施形態例の内容を示す図である。
【
図9G】マスター監査ファイルの実施形態例の内容を示す図である。
【
図10】いくつかの実施形態による、文書の締結又は注釈付けを行うプロセス例のフロー図である。
【
図11】いくつかの実施形態による、文書の締結又は注釈付けを行う別のプロセス例のフロー図である。
【
図12】いくつかの実施形態による、文書の遠隔署名のためのシステムプラットフォームの様々なユーザインターフェイス例の1つを示す図である。
【
図13】いくつかの実施形態による、文書の遠隔署名のためのシステムプラットフォームの様々なユーザインターフェイス例の1つを示す図である。
【
図14】いくつかの実施形態による、文書の遠隔署名のためのシステムプラットフォームの様々なユーザインターフェイス例の1つを示す図である。
【
図15A】いくつかの実施形態による、文書に署名又は注釈付けを行う署名者情報を入力するためのインターフェイス例を示す図である。
【
図15B】いくつかの実施形態による、身元認証のための検証ページ例を示す図である。
【
図16】いくつかの実施形態による、文書のライブ署名セッションのためのユーザインターフェイス例を示す図である。
【
図17】いくつかの実施形態によるクライアントコンピュータ装置例を示す図である。
【
図18A】いくつかの実施形態による、文書に署名又は注釈付けを行うためのインターフェイス例を示す図である。
【
図18B】いくつかの実施形態による、文書に署名又は注釈付けを行うためのインターフェイス例を示す図である。
【
図18C】いくつかの実施形態による、文書に署名又は注釈付けを行うためのインターフェイス例を示す図である。
【
図19A】いくつかの実施形態による、クライアントコンピュータ装置を通じてデジタル署名を行うためのインターフェイス例を示す図である。
【
図19B】いくつかの実施形態による、クライアントコンピュータ装置を通じてデジタル署名を行うためのインターフェイス例を示す図である。
【
図20A】いくつかの実施形態による、クライアントコンピュータ装置を通じてデジタル署名を生成するためのインターフェイス例を示す図である。
【
図20B】いくつかの実施形態による、クライアントコンピュータ装置を通じてデジタル署名を生成するための様々なインターフェイスの1つを示す図である。
【
図20C】いくつかの実施形態による、クライアントコンピュータ装置を通じてデジタル署名を生成するための様々なインターフェイスの1つを示す図である。
【
図20D】いくつかの実施形態による、クライアントコンピュータ装置を通じてデジタル署名を生成するための様々なインターフェイスの1つを示す図である。
【
図21】いくつかの実施形態による、デジタル署名を含む電子文書例の一部を示す図である。
【
図22】いくつかの実施形態による法令遵守監査証明書例の一部を示す図である。
【
図23A】いくつかの実施形態による、マスターファイルの様々な部分の一部を示す図である。
【
図23B】いくつかの実施形態によるマスターファイルの様々な部分の一部を示す図である。
【
図23C】いくつかの実施形態によるマスターファイルの様々な部分の一部を示す図である。
【
図23D】いくつかの実施形態によるマスターファイルの様々な部分の一部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0122】
以下で説明する図面は、本明細書で説明する実施形態の様々な例の態様及び特徴を限定ではなく例示目的で示すものである。これらの図面は、決して本教示の範囲を限定するように意図されたものではない。図示の要素は、図を単純化して明確にするために必ずしも縮尺通りであるとは限らない。明確にするために要素の一部の寸法を他の要素に比べて誇張していることもある。さらに、適切と考えられる場合には、対応又は類似する要素を示すために図の間で参照番号を繰り返していることもある。
【0123】
本明細書で説明する例示的な実施形態を完全に理解できるように、数多くの特定の詳細を示していると理解されるであろう。しかしながら、当業者であれば、これらの特定の詳細を伴わずに本明細書で説明する実施形態を実施することもできると理解されるであろう。その他の場合、本明細書で説明する実施形態を曖昧にしないように、周知の方法、手順及びコンポーネントについては詳細に説明していない。さらに、この説明は、決して本明細書で説明する実施形態の範囲を限定するものではなく、これらの様々な実施形態例の実装を説明するものにすぎないと考えられたい。
【0124】
本明細書で説明するシステム及び方法の実施形態は、ハードウェア、ソフトウェア、又はこれらの組み合わせで実装することができる。しかしながら、これらの実施形態は、それぞれが少なくとも1つのプロセッサと、(揮発性及び不揮発性メモリ要素及び/又は記憶要素を含む)データ記憶システムと、少なくとも1つの通信インターフェイスとを含むプログラマブルコンピュータ上で実行されるコンピュータプログラムで実装することもできる。例えば、プログラマブルコンピュータは、サーバ、ネットワーク機器、セットトップボックス、埋め込み装置、コンピュータ拡張モジュール、パーソナルコンピュータ、ラップトップ、携帯情報端末、クラウドコンピューティングシステム、又はモバイル装置とすることができる。クラウドコンピューティングシステムは、共有されたリソース、ソフトウェア及びデータを通じてネットワークを介してコンピューティングサービスを提供することができる。本明細書で説明する機能を実行して出力情報を生成するために、入力データにプログラムコードを適用する。この出力情報を1又は2以上の出力装置に適用して目に見える効果をもたらす。いくつかの実施形態では、通信インターフェイスをネットワーク通信インターフェイスとすることができる。要素を組み合わせた実施形態では、通信インターフェイスを、プロセス間通信などのためのソフトウェア通信インターフェイスとすることができる。さらに他の実施形態では、通信インターフェイスの組み合わせが存在することもできる。
【0125】
各プログラムは、コンピュータシステムと通信するために、高水準手続き言語、オブジェクト指向型プログラミング言語、スクリプト言語、又はこれらの両方で実装することができる。しかしながら、プログラムは、必要に応じてアセンブリ言語又はマシン語で実装することもできる。いずれの場合にも、言語は、コンパイラ型言語又はインタープリタ型言語とすることができる。このような各コンピュータプログラムは、汎用又は専用プログラマブルコンピュータによる読み取りが可能であって、コンピュータによって読み取られた時に本明細書で説明する手順を実行するようにコンピュータを構成して動作させる記憶媒体又は記憶装置(例えば、ROM又は磁気ディスケット)に記憶することができる。システムの実施形態は、コンピュータプログラムで構成された非一時的コンピュータ可読記憶媒体として実装されると考えることもでき、このように構成された記憶媒体は、本明細書で説明する機能を実行するように特定の所定の形でコンピュータを動作させる。
【0126】
さらに、説明する実施形態のシステム、プロセス及び方法は、1又は2以上のプロセッサのためのコンピュータ可読命令及びコンピュータ使用可能命令を保持する物理的な非一時的コンピュータ可読媒体を含むコンピュータプログラム製品の形で配布することもできる。媒体は、1又は2以上のディスケット、コンパクトディスク、テープ、チップ、磁気的及び電子的記憶媒体などを含む様々な形で提供することができる。コンピュータ使用可能命令も、コンパイラ型コード及び非コンパイラ型コードを含む様々な形を取ることができる。
【0127】
図1は、いくつかの実施形態による、署名を含む文書の物理的原本(original physical version)を配送するプロセス例のフロー図である。102において、第1の地域の署名当事者が物理的文書又は合意書の署名、締結及び/又は注釈付けを行う。物理的文書には、1又は2以上の当事者が署名用具(例えば、ペン又はその他の筆記具)を使用して署名することができる。物理的文書は、1又は2以上の当事者間の合意又は取引を表すことができる。
【0128】
104において、物理的文書が配送サービス(例えば、宅配業者(courier))によって現地で収集される。宅配業者は、物理的文書を第1の地域の現地仕分け施設に輸送する。106において、現地仕分け施設が、物理的文書を分類して輸送準備を行う。この例では、物理的文書が海外に出荷されるが、本明細書では文書を国内に出荷することも検討される。
【0129】
108において、物理的文書は、船積み前に輸出税関を通過しなければならない。このプロセスには時間が掛かることもある。さらに、上述したステップの多くでは、物理的文書が紛れたり又は完全に紛失したりして、プロセスがさらに遅延する可能性もある。110において、文書が、例えば陸路(例えば、トラック)、海路(例えば、輸送船)又は空路(例えば、貨物機)で出荷される。出荷プロセスは燃料を使用し、必要な距離によっては非常に資源集約的となり得る。
【0130】
112において、物理的文書が目的国に到着し、再び輸入税関を通過しなければならない。このプロセスには時間が掛かる。さらに、文書は、税関を通過すると、114において宛先仕分け施設によって受け取られる。116において、文書は、最終配送のために現地仕分け施設に輸送される。118において、物理的文書が対象の受取人に配送される。
【0131】
上述した物理的署名文書の送付プロセスは煩雑であり、過剰なマンパワーを使用する。燃料資源、設備の償却コスト、メンテナンス費用、税関遅延、及び他の商品を発送するために使用できたはずの車両が、全て「直筆」署名を含む物理的文書を入手するためだけに使用される。
【0132】
図2は、いくつかの実施形態による、電子署名文書に署名して配送するプロセス例のフロー図である。202において、1又は2以上の署名当事者に電子文書が提示され、これらの当事者が署名、注釈付け及び/又は締結を行う。署名プロセス全体を通じ、個々の参加者が取った多くの行動が取引監査ファイルに書き留められて記憶される。電子文書が1又は2以上の署名当事者にどのように提示されるか、署名/注釈を行うための周辺機能、及び署名時の周辺状況の記録に関する多くの異なる実施形態及びオプションについては、以下で検討及び説明を行う。
【0133】
204において、法令遵守の目的で、法令遵守監査証明書に署名当事者のうちの1人又は2人以上からのさらなる署名が行われる。さらに以下で説明するように、法令遵守監査証明書と共にさらなる補足文書を含めることもできる。
【0134】
206において、電子署名文書及び法令遵守監査証明書をデータベースに保存して記憶する。いくつかの実施形態では、データベースへのアクセスが、署名当事者のうちの1人又は2人以上によって、或いは署名当事者のうちの1人ではない仲介者によって制御される。本明細書ではデータベースという用語を使用しているが、電子署名文書は、あらゆる好適なコンピュータ可読記憶媒体に記憶することができる。
【0135】
任意のステップである208において、法令遵守監査証明書が送信される。電子法令遵守監査証明書(CAC)は、第三者(例えば、宅配業者又は配送サービス)に送信することができる。CACは、署名当事者のうちの1人に送信することもできる。いくつかの実施形態では、CACが、電子文書の署名当事者のうちの1人又は2人以上の近くに位置する配送サービスに送信される。例えば、署名当事者がオーストラリアのメルボルン、デンマークのコペンハーゲン及びUAEのドバイに存在する場合には、メルボルン、コペンハーゲン及びドバイに存在する配送サービスにCACを送信することができる。いくつかの実施形態では、CACが、対象受取人の物理的位置に最も近い配送サービスの支店に送信される。例えば、CACは、メルボルンに存在する署名当事者に最も近い配送サービスの現地仕分け施設に送信することができる。
【0136】
いくつかの実施形態では、CACが、その締結直後に受取人に送信される。いくつかの実施形態では、CACが記憶され、(例えば、署名当事者によって要求された場合には)後の時点まで送信されない。CACは、eメール、テキストメッセージ、又は電子信号を送信するためのいずれかの好適な通信方法によって送信することができる。いくつかの実施形態では、CACの送信が、セキュアな通信プロトコル及び/又は暗号化法を使用する。
【0137】
次に、210において、受取人(この例では配送サービス)が、CACと、CAC上に印刷された少なくとも1つの生体測定的かつ生体力学的に正確な署名とを印刷する。いくつかの実施形態では、署名が、生体測定的かつ生体力学的に正確な署名を模倣して出力することができる印刷装置によって印刷される。このような装置の例には、米国特許出願第14/469,951号に記載されているLongPen印刷ツールがあり、この文献の内容は全体が引用により本明細書に組み入れられる。生体測定的かつ生体力学的に正確な1又は2以上の署名を印刷した後に、212において、物理的CACが対象受取人に配送される。いくつかの実施形態では、任意に、署名を含む物理的CACを、電子文書及びCACの締結、署名及び/又は注釈付けが行われた同じ日に対象受取人に配送することもできる。
【0138】
本開示全体を通じて、「直筆」(例えば、直筆署名)という用語は、1)ある人物が文書にインクペンで物理的にマークすることによって作成される署名又は注釈、2)ある人物が、その人物の筆跡の特徴及びパラメータ(例えば、座標、圧力、加速度、調子、速度及びリズムのうちの1つ又は2つ以上)を取り込むことができる装置を通じてスタイラス、指先又は別の筆記用具を使用して電子文書に手書きマークを行うことによって生成される署名又は注釈、3)ある人物が、本明細書で説明するシステムを通じてユーザ入力を行ってデジタル署名を作成又は承認することによってデジタル的に生成される署名又は注釈、或いは、4)デジタル的に取り込まれた又はスキャンされた筆跡を特殊印刷装置(例えば、LongPen(商標))が1枚の紙に印刷することによって印刷される署名又は注釈を意味することができる。直筆署名又は注釈は、物理的媒体(例えば、1枚の紙)上に存在することも、又はメモリデバイスにデジタル的に記憶することもできる。全ての場合において、直筆署名又は注釈は、生体測定的かつ生体力学的に正確なオリジナルの筆跡の表現である、オリジナルの法的に正当化できる署名又は注釈である。直筆署名又は注釈は、法医分析官又は専門家が、署名又は注釈を行った人物に属するものとして法医学的に検証することができる。
【0139】
本開示全体を通じて、「署名」という用語は、署名、注釈、注記及び/又はいずれかの手書きマーク、或いはこれらの組み合わせを意味することができる。
【0140】
容易に理解できるように、
図2に関連して説明した上記のプロセス200は、
図1で説明したプロセス100と比べて複数の利点をもたらす。上述したように、プロセス200は、現地配送サービスを行っている事実上全ての世界中の場所の受取人に、場合によっては文書締結日と同じ日に署名文書を配送するための、はるかに低労働集約的なプロセスを提供するものである。
【0141】
さらに、いくつかの実施形態では、署名当事者によって署名された文書又は合意書自体ではなく、やはり生体測定的かつ生体力学的に正確な署名を含む法令遵守監査証明書が受取人に送付される。これにより、電子文書を完全に印刷する必要なく電子文書に電子的に署名できるので、プライバシーが向上する。したがって、機密文書の物理的コピーを置き忘れる可能性がはるかに低い(或いは、物理的文書が印刷されない場合にはほとんどあり得ない)。さらに、物理的法令遵守監査証明書は、署名当事者が署名した対応する電子合意書の正当性を確認できる、生体測定的かつ生体力学的に正確なオリジナルの署名の法的拘束力(binding)を含むことができる。
【0142】
本明細書で説明する実施形態は、
図1で説明したプロセス100に伴う多くのコスト及び遅延の必要性を排除又は低減することができる。例えば、物理的文書の初期集荷コスト、初期文書仕分けコスト、船積み前に税関で生じる潜在的遅延、物理的文書の長距離輸送費用及び遅延、並びにコールセンター追跡支援インフラの必要性を低減又は排除することができる。さらに、配送サービスがさらなるファイルを配送する能力が向上し、物理的文書を発送地から受取地に配送するサプライチェーンプロセスと比べて温室効果ガスの放出が大幅に削減される。
【0143】
いくつかの実施形態によれば、本明細書で説明するシステム及び方法は、1又は2以上の当事者に、モバイルコンピュータ装置、タブレット又はコンピュータを使用して電子(例えば、デジタル)文書(例えば、Microsoft Word文書及びPDF文書など)内に法的拘束力のある署名の注釈付け及び適用を行い、(例えば、生体測定的かつ生体力学的に正確な)法的に正当化できるオリジナルの直筆署名を含むデジタル署名された法令遵守監査証明書が地球上の他のあらゆる地点に物理的に配送されるようにする能力を与えることができる。本明細書で説明するシステム及び方法は、様々な形で実装することができる。具体的には、Microsoft Word、PDF、オープンソースの文書フォーマット、又は注釈を受け取ることができる他のフォーマットなどの電子文書フォーマットを選択することができる。本明細書で説明するシステム及び方法は、一部において市販のデジタル編集コンピュータプログラム(例えば、Adobe Acrobat又はMicrosoft Wordなど)へのプラグインとして実装することもできる。
【0144】
本発明のいくつかの実施形態は、個人の筆跡の複数の特徴、複数の手書動作、基礎を成す文書又は画像、メディアストリーム、及び契約書又は合意書の撤回の可能性を低減できるセキュアな認証法を提供するための他のデータを記録できるデジタル筆跡認証、デジタル文書管理及びメディア会議を実行することができる。
【0145】
図3は、文書の遠隔電子署名を行うシステム例300のブロック図である。システム300は、署名当事者の認証、当事者によって交換される電子データの認証、及び取引又は合意に対応する情報の記憶を目的として、当事者がオーディオ/ビジュアルデータ及び電子データの入力及び受信を同時に行えるようにすることができる。さらに、このシステムは、いかなる地理的近接性をも必要とすることなく、当事者同士による実際の取引又は合意締結の再現を可能にすることもできる。
【0146】
以下は、システム300の多くの考えられる実装のうちの一例にすぎないと理解されたい。多くの変形例が可能であり、これらも本出願の範囲に含まれるように意図される。
【0147】
いくつかの実施形態では、システム300が、1又は2以上のクライアントコンピュータ装置(「クライアントコンピュータ」とも呼ばれる)311と、メディア端末313とを含む。メディア端末は、電話会議、ビデオ会議及びウェブ会議のうちの1つ又は2つ以上を含む機能を提供することができる。いくつかの実施形態では、クライアントコンピュータ装置311及びメディア端末313を同じコンピュータ装置(例えば、マルチメディアコンピュータ)上に実装することができる。クライアントコンピュータ311は、例えばデスクトップコンピュータ装置、モバイルコンピュータ装置、スマートホン又はタブレットなどを含むことができる。
【0148】
各クライアントコンピュータ装置311は、デジタル書込入力装置315を含むことができ、又はデジタル書込入力装置315に結合することができる。いくつかの実施形態では、デジタル書込入力装置315を、モバイルコンピュータ装置(例えば、携帯電話機、タブレット又は携帯情報端末(PDA)など)とすることができる。
図4Aに示すように、デジタル書込入力装置315は、以下に限定するわけではないが、スタイラス、タッチ画面、ポインティングデバイス(例えば、マウス)又はキーボードを含む1又は2以上の入力コンポーネント3151と、ディスプレイ3152と、プロセッサ3153とを含むことができる。ディスプレイ3152は、電子文書の一部又は全部を表示できるとともに、ユーザに署名入力フィールドを表示するように構成することもできる。いくつかの実施形態では、ディスプレイ3152が署名フィールドを表示することができ、デジタル書込入力装置315のユーザが、例えばスタイラス又は自身の指とタッチ画面又は別の入力装置とを併用して署名又はその他の注釈を入力することができる。
【0149】
いくつかの実施形態では、クライアントコンピュータ装置311、メディア端末313及びデジタル書込入力装置315を、電子文書に署名又は注釈付けを行うクライアント端末2300、2500の一部とすることができる。他の実施形態では、クライアント端末2300、2500が、単純にクライアントコンピュータ装置311を含むことができる。
【0150】
図4Bに示すように、クライアントコンピュータ311は、ディスプレイ3111と、ネットワークコントローラ3112と、メモリ3113とをさらに含むこともできる。ディスプレイ3111は、ユーザにデータを表示することができる。メモリ3113は、ランダムアクセスメモリ、ストレージ及びデータベースのうちの1つ又は2つ以上を含むことができる。
【0151】
図4Cに示すように、いくつかの実施形態では、メディア端末313が、プロセッサ3131と、メモリ3132と、入力/出力装置3133とを含む。I/O装置3133は、ディスプレイ、カメラ、マイク及びオーディオ出力装置(例えば、スピーカ)のうちの1つ又は2つ以上を含むことができる。
【0152】
クライアントコンピュータ311は、メディア端末313の存在を認識してメディア端末313の接続状況をモニタできるように、クライアントコンピュータ313のメモリ3113を使用してメディア端末313と結び付くことができる。さらに、クライアントコンピュータ311は、使用時にメディア端末313と遠隔メディア端末とが交換するメディアストリームを傍受して記録することもできる。
【0153】
システム300の1つの実装例では、1又は2以上の当事者が、それぞれのクライアントコンピュータ311及びメディア端末313を操作することができる。当事者は、メディア端末インフラ319を使用してメディア会議を設定することができる。メディア端末インフラは、例えば電話発信能力及びオーディオ/ビジュアル会議能力を含むことができる。例えば、
図3に示す実施形態では、各メディア端末313がウェブカメラを有効にし、メディア端末インフラ319が2つのメディア端末313間におけるセキュアな接続の形成を可能にしてウェブカメラ会議を開始することができる。
【0154】
いくつかの実施形態では、第1のメディア端末上の入力装置が第1のユーザを記録するように作動する一方で、第2のメディア端末上では、第2のユーザが記録されることなく単純に第1のユーザを注視又は観察する。他の実施形態では、セッションが第1又は第2のユーザに同時に表示されることなく記録される。
【0155】
1又は2以上のクライアントコンピュータ311上で実行されるコンテンツマネージャは、メディア端末313によって交換されるあらゆるメディアデータを傍受して記録することができる。システム300は、このようないずれかのメディア会議の設定時及び/又は終了時に対応する日付スタンプ及びタイムスタンプを記録することができる。
【0156】
クライアントコンピュータ311は、メディア会議に接続された対応するクライアントコンピュータが存在するかどうかを検出することもできる。この例では、メディア会議のそれぞれの側がクライアントコンピュータ311を含む。各クライアントコンピュータ311は、ネットワーク317を通じて他のクライアントコンピュータ311の存在を検出することができる。いくつかの実施形態では、ネットワーク317が、インターネット、ローカルエリアネットワーク、ワイドエリアネットワーク又は無線ネットワークなどのうちの1つ又は2つ以上である。さらに、クライアントコンピュータ311は、専用の、又は伝送制御プロトコル/インターネットプロトコル(TCP/IP)などの既知のコンピュータネットワーク接続プロトコルを使用して互いに結び付くこともできる。したがって、クライアントコンピュータ311は、メディア会議又は文書署名セッションの期間にわたってデータを交換することができる。
【0157】
いくつかの実施形態では、システム300が、電子文書の署名を容易にすることができる。いくつかの実施形態では、文書がデジタル的に記憶される。当事者のうちの1人は、デジタル文書をロードして各クライアントコンピュータのディスプレイ3111上に表示するようにシステム300に指示することができる。メモリ3113、又はクライアントコンピュータ311のうちの1つに接続されたセキュアなデータベースには、デジタル文書ロード要求が実行された時点に対応する日付スタンプ及び/又はタイムスタンプを記憶することができる。いくつかの実施形態では、データベースが、ネットワーク317を介してシステム300に動作可能に接続されたクラウドデータベースである。
【0158】
デジタル文書は、例えば2人の当事者が契約に至るように各当事者が他方の当事者による締結を望んでいる契約書とすることができる。なお、本出願は、2人よりも多くの当事者が取引の締結を望んでいる実施形態も企図する。デジタル文書は、1人の当事者のみによる署名を必要とする文書とすることもできる。例えば、海外の法的事項に係わる証人は、供書に偽りがないことを宣誓し、又は公証人による認証の必要がある文書に署名する必要があり得る。
【0159】
1又は2以上の当事者が自身の身元について「認証」し、又は別様に証拠を示せるようにすることが有益であると思われる。文書を締結する当事者が実際に本人が主張する存在であることを確認することで、後で撤回関連の問題が発生する可能性を抑えることができる。
【0160】
いくつかの実施形態では、当事者が、どちらの側が最初に認証を受けるかを当事者同士で決定することができる。当事者は、メディア端末313及びメディア端末インフラ319を使用して、一方の当事者が最初に認証を受ける旨を口頭で合意することができる。2人の当事者の一方は、認証目的でデジタル書込入力装置315を使用して署名又はその他の筆跡を提出することができる。システム300は、入力された筆跡に基づいてプロファイルを生成することができる。いくつかの実施形態では、取引システムが、既に記憶されている1又は2以上の既存のプロファイルを有することができる。署名当事者から受け取られた筆跡は、現存のプロファイル内の筆跡と比較することができる。筆跡が現存のプロファイルに一致した場合には、署名当事者として十分であることを認証することができる。
【0161】
いくつかの実施形態では、当事者の別の認証方法を提供することもできる。例えば、英数字コード(例えば、PIN番号)の入力、ユーザ名とパスワードの組み合わせの入力、又はユーザアイデンティティが事前に登録されている装置のMACアドレスを通じてユーザアイデンティティを認証することができる。いくつかの実施形態では、筆跡以外にも、バイオメトリック情報(例えば、眼球スキャン、顔認識、音声認識又は指紋スキャンなど)を使用してユーザを認証することができる。
【0162】
各署名当事者について、上述した認証プロセスのうちの1つ又は2つ以上を実行することができる。いくつかの実施形態では、署名当事者の認証を迂回することもできる。例えば、いくつかの実施形態では、セキュアなeメール又はテキストメッセージを介したアクセスの場合にはユーザログイン情報を必要とせず、署名セッション全体を通じて他の形の認証に依拠することができる。
【0163】
いくつかの実施形態では、各当事者が認証プロセスを実行する際に、クライアントコンピュータ311のうちの1つ又は2つ以上が、アクティブコンピュータからのメディアストリームを記録することができる。セッションの開始時及び/又は終了時に、日付、時間、場所又はIPアドレスなどを記録することができる。いくつかの実施形態では、当事者が発話する場合、署名当事者が発している音声をマイク又はその他の入力装置が記録する。したがって、記録されるメディアストリームは、メディア会議のそれぞれの側から記録される1又は2以上のメディアストリームの組み合わせを含むことができる。いくつかの実施形態では、記録されるメディアストリームが、セッション全体を通じた全ての「アクティブ」なメディアストリームの組み合わせを含む。1又は2以上の署名当事者を認証し終えると、電子文書を表示することができる。
【0164】
いくつかの実施形態では、ユーザ間の署名セッションのためのプラットフォームがHTML5で実装され、したがって事実上全てのモバイルコンピューティングプラットフォーム及びデスクトップコンピューティングプラットフォームによってサポートされる。特定のユーザのクライアントコンピュータ311又はデジタル書込入力装置315に対するソフトウェアのインストールを必要とするのではなく、例えばウェブブラウザ内のリンクにコンピュータ装置がアクセスすることにより、結果として表示されるウェブサイトが、本明細書で説明する機能のうちの一部又は全部を提供するようにすることができる。したがって、ユーザに電子メッセージ(例えば、eメール又はテキストメッセージなど)を送信し、このユーザがコンピュータ装置上でリンクを開いて署名セッションに進むことによって署名セッションを開始することができる。
【0165】
いくつかの実施形態では、1又は2以上の対象の署名当事者にセキュアなeメール又はその他の電子メッセージを送信することができる。各当事者は、eメール又はメッセージに含まれているリンクをクリックすることができ、これによって署名アプリケーションが起動する。いくつかの実施形態では、アプリケーションが、起動のためにさらなるソフトウェアのインストールを一切必要としない。このように起動したら、クライアントコンピュータ311のうちの1つ又は2つ以上に署名すべき電子文書を表示することができる。
【0166】
いくつかの実施形態では、電子文書が、1又は2以上の署名当事者間の合意又は取引を表す。いくつかの実施形態では、1又は2以上の署名当事者を、実際の契約又は合意の当事者ではない立会人とすることができる。いくつかの実施形態では、電子文書が1又は2以上のクライアントコンピュータ311のディスプレイ3111上に表示される。
【0167】
いくつかの実施形態では、署名当事者のうちの1人に他のユーザと比べて高い管理者権限を与えることができる。例えば、システム300は、電子文書に注釈を加える(例えば、署名線の下方に署名当事者の名前をプレーンテキストで示すためのテキストボックスを挿入する)許可を第1の署名当事者に認めて、他の署名当事者にはこのような読み込み/書き込み権限を認めないことができる。いくつかの実施形態では、署名当事者が、読み込み/書き込み権限を順番に有することができる。例えば、システム300は、一度に1人の署名当事者しか読み込み/書き込み権限を有さないように電子文書へのアクセスを制御することができる。いくつかの実施形態では、電子文書を編集するためのアクセス権を当事者に同時に認めることができる。いくつかの実施形態では、電子文書のビューが各クライアントコンピュータ311のディスプレイ3111上に反映される。すなわち、1人のユーザが文書の異なる部分へのスクロールを行った場合、他の(単複の)ユーザは、自身のディスプレイ画面上でこのスクロールを観察するようになる。このようにして、電子文書に対して行われるあらゆる注釈付けが全ての署名当事者に見えるようになる。
【0168】
いくつかの実施形態では、クライアントコンピュータ311のディスプレイ3111上のユーザインターフェイスが、読み込み/書き込み権限を異なるユーザに委ねる能力をユーザに与えることができる。例えば、システム300は、ユーザインターフェイス内に、クライアントコンピュータ311のうちの1つへの注釈入力能力を「ロック」するボタンを設けることができる。システム300は、選択時に読み込み/書き込み権限を異なるクライアントコンピュータ311に委ねることができるボタンをさらに設けることができる。
【0169】
上述したように、システム300は、1又は2以上の署名当事者からの電子文書内の署名及びその他の注釈を承認することができる。署名は、署名当事者が複数の異なる方法で行うことができる。いくつかの実施形態では、ユーザが、入力装置(例えば、マウス又はスタイラス)を介して署名を入力することができる。いくつかの実施形態では、システム300が、電子文書への注釈を受け取ることができる。いくつかの実施形態では、個人が電子(例えば、デジタル)文書に注釈を入力すると、この注釈を削除することができない。一旦注釈付けが行われると、この注釈は、セキュアな電子記録(例えば、後述するマスターファイル)に追加される注釈ファイルの一部を形成する。ユーザが電子文書から注釈を削除するのを防ぐことにより、結果として得られた締結済みの電子文書(署名契約書)が守られ、合意を撤回しようとする試みが失敗する可能性を高めることができる。
【0170】
いくつかの実施形態では、署名当事者が、手書きの注釈又は署名を手動入力する代わりに記憶された署名を使用することができる。例えば、署名当事者が署名を登録し、これをクライアントコンピュータ311又は外部データベースの署名プロファイルに記憶することができる。この結果、署名当事者は、署名を手動入力する代わりに、記憶されたバイオメトリック署名を検索して署名を完了することができる。いくつかの実施形態では、署名当事者が、記憶された署名プロファイルにアクセスできるために検証/認証情報を提供しなければならない。
【0171】
いくつかの実施形態では、ユーザが、デジタル書込入力装置315を通じて署名を入力することができる。いくつかの実施形態では、デジタル書込入力装置315がスマートホン又はタブレットである。このような実施形態では、システム300が、デジタル書込入力装置315にテキストメッセージ、eメールメッセージ又はその他のメッセージを送信することができる。テキストメッセージ又はeメールは、デジタル書込入力装置315のユーザが選択できるハイパーリンクを含むことができる。ハイパーリンクを開くと、スマートホンがセキュアなウェブサイトにリダイレクトされる。
【0172】
いくつかの実施形態では、セキュアなウェブサイトが、契約書の署名領域(例えば、通常ユーザが署名を行う箇所の下側の線)と見た目が同様のユーザインターフェイスを表示する。いくつかの実施形態では、ユーザが、指、スタイラス又は別の好適な筆記用具を使用して入力コンポーネント3151(例えば、スマートホン又はタブレット上のタッチ画面)を介して署名を入力することができる。いくつかの実施形態では、デジタル書込入力装置が、ユーザによって入力された筆跡の座標、圧力、加速度、調子、速度及びリズムのうちの1つ又は2つ以上などの様々な特性を記録することができる。ユーザは、署名を入力し終えると、(例えば、ユーザインターフェイス上の「送信」ボタンを押すことによって)署名を終えたことを示して手書き署名データをセキュアに送信することができる。
【0173】
いくつかの実施形態では、ディスプレイ3111上に表示された電子文書上に署名が現れる。いくつかの実施形態では、ユーザが、署名のサイズを比例的に変更し、及び/又は署名を電子文書の異なる部分に移動させることができる。例えば、署名のサイズを署名領域に収まるように変更し、署名が未だに電子文書の署名領域内に存在していない場合には、署名を署名領域内にドラッグアンドリリースすることができる。
【0174】
なお、本明細書では多くの異なる署名モードを企図する。例えば、1つの署名モードでは、ユーザが順番に署名を行うことができる。すなわち、1人の署名当事者が電子文書及び電子法令遵守証明書に同時に署名を行う。署名後には、電子文書が保存され、中間の署名付き電子文書のコピーが署名当事者に送信される。5つの署名が必要な場合には、他の署名が行われていない電子文書に第1のユーザが署名し、既に第1のユーザの署名を含む電子文書に第2のユーザが署名し、以後同様である。
【0175】
本明細書においてカウンターパート署名モードと呼ぶ別の署名モードでは、各署名当事者に未署名の電子文書コピーを送信することができる。いくつかの実施形態では、各署名当事者に、電子文書にアクセスできるアプリケーションを起動するためのリンクを送信する。各署名当事者には、他の署名を含んでいない電子文書が提示される。署名情報を受け取ると、電子文書は保存される。システム300は、複数の署名当事者の署名データを組み合わせて、これらの署名を1つの統合電子文書に組み合わせることができる。このモードは、潜在的に数十又はそれ以上の署名が文書に必要な場合、又は時間が重要な場合に有用となり得る。
【0176】
いくつかの実施形態では、カウンターパート署名モードにおいて、各署名当事者(例えば、5人の署名当事者)が電子文書の原本を受け取って署名し、署名付きの5つの電子コピーが戻される。システム300は、各必要な署名当事者の署名が取得されたことを確認し、署名付き電子文書の完全性を確認するために電子文書の所有者にセキュアな監査ファイル(例えば、マスターファイル)及び規則遵守監査証明書を提供することができる。いくつかの実施形態では、署名当事者の署名を、全ての署名を含む単一の文書に統合する必要がなく、5つの署名付きのコピーがあれば電子文書の締結にとって十分となる。
【0177】
ライブセッションモードと呼ばれる別の署名モードでは、システム300が、署名当事者に対して電子文書をクライアントコンピュータ311上に表示することができる。いくつかの実施形態では、オペレータがユーザに電子文書の内容について指示し、電子文書のどこにどのように署名を行うかをユーザに指示することができる。ライブセッションモードは、(例えば、販売取引を締結する際の)迅速な合意書の締結が望ましいと考えられるコールセンター環境において有用となり得る。
【0178】
いくつかの実施形態では、ユーザが、入力装置(例えば、スタイラス)を使用して署名又は注釈を入力することができる。いくつかの実施形態では、デジタル書込入力装置315及び入力コンポーネント3151(例えば、スタイラス及びタッチ画面)を使用して、注釈に関連する特徴を測定することができる。このような特徴は、以下に限定するわけではないが、座標、圧力、速度、加速度、減速度、調子及び線の太さなどを含むことができる。
【0179】
いくつかの実施形態では、デジタル書込入力装置315が、上述した署名の特徴又は特性を全て測定できない場合もある。例えば、タッチ画面を含むコンピュータ装置の中には、タッチ画面に加わった圧力を取り込む機能を有していないものもある(例えば、一部のタッチ画面は静電容量の変化を測定する)。いくつかの実施形態では、デジタル書込入力装置315が、測定できない1又は2以上の特徴を、デジタル書込入力装置315、クライアントコンピュータ311及びメディア端末313のうちの1つ又は2つ以上において実行されるソフトウェアを介して合成又は推測することができる。例えば、署名当事者の手書き入力に基づく、ユーザが行った署名の速度、加速度、減速度、リズム、調子、x-y座標及び図形的構造を含むデジタル圧力プロファイルを作成することができる。デジタル圧力プロファイルは、デジタル書込入力装置315又はクライアントコンピュータ装置311のタイムスタンプ、装置ID、装置のハードウェア情報、装置のMACアドレス、バイト数及び関連する電話番号などの1又は2以上の特徴をさらに含むことができる。
【0180】
いくつかの実施形態では、システム300が、電子文書に関連するあらゆる注釈及び/又は筆跡の全ての特徴の記録を保持することができる。さらに、システム300は、電子文書に関連する各注釈を複数の個人のうちの誰が作成したかを特定して記録することもできる。このようなあらゆる注釈及び関連する特性の記憶物は、後で物理的文書内の注釈を複製するために使用することもできる。
【0181】
いくつかの実施形態では、当事者が、印刷コマンドを使用してデジタル文書及び注釈/筆跡のコピーを印刷することを選択することができる。コピーは、例えばインクジェットプリンタ又はレーザープリンタなどの、物理的媒体(例えば、紙)に文書を適用できるあらゆる印刷装置を使用して印刷することができる。コピーは、例えば米国特許出願第14/469,951号、第11/720,249号、及び第13/390,798号に記載されているような、文書の物理的コピーを生体測定的及び/又は生体力学的に正確な直筆署名と共に印刷できる印刷装置上で印刷することもでき、これらの各特許出願の内容はその全体が引用により本明細書に組み入れられる。
【0182】
さらに、ユーザが電子文書にいずれかの種類の修正を行う際には常に、一旦変更が行われた後に取り消すことができない。すなわち、いくつかの実施形態では、電子文書に対して行われる各変更が不変的である。したがって、物理的世界のインクを伴う作用と同様に、ユーザが行った注釈付け及びマーキングは消去することができない。いくつかの実施形態では、文書に対して行われた変更が、ユーザがこれらの変更を保存するまで不変的ではない。
【0183】
いくつかの実施形態では、システム300が、署名当事者が行った各注釈及び署名付きの電子文書を含むセキュアなeメール又はその他のセキュアな通信を各署名当事者に送信することができる。いくつかの実施形態では、印刷コマンドが発行された時点をログ記録するタイムスタンプ、日付スタンプ及び/又は位置スタンプを記憶することができる。
【0184】
署名当事者が順番に電子文書に署名する実施形態では、システム300が、署名当事者が署名した文書の電子コピーを送信することができる。例えば、電子文書に順番に署名を行う署名当事者が5人存在する場合、システム300は、第2のユーザが文書に署名した時に、2つの署名(すなわち第1のユーザ及び第2のユーザの署名)を含む文書の電子バージョンを送信することができる。システム300は、5人の当事者の各々が文書に署名し終えた時に、完全に署名が行われた文書のコピーを5人の署名当事者全員にさらに送信することができる。いくつかの実施形態では、1又は2以上のユーザに電子文書のいずれかのバージョンが送信された時点をログ記録するタイムスタンプ、日付スタンプ及び/又は位置スタンプを記憶することができる。
【0185】
次に、いくつかの実施形態による、文書の遠隔署名のためのシステムプラットフォーム例2100(又は、単純に「システム2100」)のブロック図を示す
図5を参照する。システム2100は、I/Oユニット2107と、処理装置2101と、通信ユニット2105と、1又は2以上の記憶装置2103とを含むことができる。記憶装置2103は、メモリ2109と、データベース2108と、永続ストレージ2111とを含むことができる。
【0186】
システム2100は、1又は2以上のユーザ2600、2800が電子文書3000の締結、署名又は注釈付けを遠隔的に行うのを容易にする1又は2以上のクライアント端末2300、2500にネットワーク2200を介して接続することができる。システム2100は、電子文書3000の締結又は注釈付けが正常に行われると、対応するマスターファイル7000を生成してセキュアなデータベース2900に送信することができる。システム2100には、直筆署名、マスターファイル及び締結済み文書を要求時に生成するように、生体測定的かつ生体力学的に正確な署名を模倣して印刷できる印刷装置2700(例えば、LongPen(商標)装置)を接続することができる。
【0187】
いくつかの実施形態では、印刷装置2700を、原本を含む文書全体と、注釈及び署名を含むデジタル筆跡とを印刷するように構成することができる。
【0188】
処理装置2101は、ユーザ認証ユニット2110、圧力プロファイルユニット2115、法令遵守監査証明書(CAC)ユニット2118、ブロックチェーンユニット2112、印(indicia)生成ユニット2116及びマスターファイル(又は、MasterFile)ユニット2119を構成するための、メモリ2109内の命令を実行することができる。処理装置2101は、例えばいずれかのタイプの汎用マイクロプロセッサ又はマイクロコントローラ、デジタル信号処理(DSP)プロセッサ、集積回路、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、再構成可能プロセッサ、又はこれらのいずれかの組み合わせとすることができる。
【0189】
メモリ2109は、例えばランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリメモリ(ROM)、コンパクトディスクリードオンリメモリ(CDROM)、電気光学メモリ、光磁気メモリ、消去可能なプログラム可能リードオンリメモリ(EPROM)及び電気的に消去可能なプログラム可能リードオンリメモリ(EEPROM)、又は強誘電体RAM(FRAM(登録商標))などの、内部的又は外部的に位置するいずれかのタイプのコンピュータメモリの好適な組み合わせを含むことができる。
【0190】
各I/Oユニット2107は、システム2100と、キーボード、マウス、カメラ、タッチ画面及びマイクなどの1又は2以上の入力装置、或いはディスプレイ画面及びスピーカなどの1又は2以上の出力装置との相互接続を可能にする。
【0191】
各通信インターフェイス2105は、インターネット、イーサネット(登録商標)、基本電話サービス(POTS)線、公衆交換電話網(PSTN)、統合サービスデジタルネットワーク(ISDN)、デジタル加入者線(DSL)、同軸ケーブル、光ファイバ、衛星、モバイル、無線(例えば、Wi-Fi、WiMax)、SS7信号伝送ネットワーク、固定線、ローカルエリアネットワーク、ワイドエリアネットワーク、及びこれらのいずれかの組み合わせを含むその他を含む、データを搬送できるネットワーク(又は、複数のネットワーク)に接続することにより、システム2100による他のコンポーネントとの通信、他のコンポーネントとのデータ交換、ネットワークリソースへのアクセス及び接続、アプリケーションの提供、及びその他のコンピューティングアプリケーションの実行を可能にする。
【0192】
ユーザ認証ユニット2110は、アプリケーション、文書、ローカルネットワーク、ネットワークリソース、他のネットワーク、及びネットワークセキュリティ装置へのアクセス権を与える前に(例えば、ログイン、一意的な識別子及びパスワードを使用して)ユーザを登録して認証することができる。システム2100は、1又は複数のユーザにサービスを提供することができる。例えば、ユーザ認証は、モバイル装置に送信されるPINコード又はセキュリティコード、正しいログイン情報(例えば、ユーザ名及びパスワード)、眼球スキャン、指紋スキャン、顔スキャン、虹彩パターン、網膜パターン、音声録音などのバイオメトリック照合、或いは手書き署名の検証を通じて実行することができる。
【0193】
圧力プロファイルユニット2115は、ユーザの筆跡に基づいてデジタル圧力プロファイルを生成するように構成することができる。圧力プロファイルは、デジタル署名又はデジタル注釈毎に生成することができる。圧力プロファイルは、登録ユーザ2600、2800毎に生成することもできる。いくつかの実施形態では、デジタル圧力プロファイルが、手書きの速度、加速度、減速度、リズム、調子、x-y座標及び図形的構造などの様々な手書きパラメータ及び特徴を含むことができる。デジタル圧力プロファイルは、デジタル書込入力装置315又はクライアントコンピュータ装置311のタイムスタンプ、装置ID、装置のハードウェア情報、装置のMACアドレス、バイト数及び関連する電話番号などの1又は2以上の特徴をさらに含むことができる。たとえ署名に関連する物理的圧力データが利用できない場合でも、署名のデジタル圧力プロファイルを使用して、その署名がそもそも特定のユーザによって行われたものであるかどうかを法医学的に検証することができる。例えば、法医専門家又は分析官は、手書きの速度、加速度、減速度、リズム、調子、x-y座標及び図形的構造などの記録された手書き特徴、並びに装置311のタイムスタンプ、装置ID、装置のハードウェア情報、装置のMACアドレス、バイト数及び/又は関連する電話番号などの手書き生成時のクライアントコンピュータ装置311に関する追加情報に基づいて、その筆跡がクライアントコンピュータ装置311を含むクライアント端末2300のユーザ2600に属するものであると断定することができる。
【0194】
いくつかの実施形態では、クライアントコンピュータ装置311が、ユーザ2600、2800によって署名又は注釈付けが行われた時の物理的圧力情報を取り込むように構成されている場合、デジタル圧力プロファイルが署名の物理的圧力データを含むこともできる。
【0195】
いくつかの実施形態では、デジタル圧力プロファイルを手書きプロファイルと呼ぶことができる。
【0196】
ブロックチェーンユニット2112は、1又は2以上のブロックチェーン内で情報の暗号化及び復号を行うための暗号化サブユニット(図示せず)を含むことができる。例えば、暗号化サブユニットは、様々な暗号化アルゴリズム及び/又は暗号化法を適用してブロック内の情報を検証することができる。いくつかの実施形態では、暗号化サブユニットを、ブロックチェーン6000に挿入及び/又は追加する1又は2以上のブロックの形成及び/又は生成において利用できる情報を生成するように構成することができる。
【0197】
ブロックチェーンユニット2112は、ブロックが互いにどのように関連し得るかを示す関係性及び/又は関連性、及び/又は(例えば、各ブロックにどのような情報が関連するかを示す)様々なブロックのアイデンティティを維持するように構成することができる。ブロックチェーンユニット2112は、データベース2800にローカルに記憶できる1又は2以上のブロックチェーン6000の維持及び更新を行うように構成することもできる。ブロックチェーンユニット2112は、ブロックの更新、ブロックの追加、ブロックの削除、新たなブロックの検証、及び新たなブロックの拒絶などを行うように構成することもできる。
【0198】
ブロックチェーンユニット2112は、ブロックチェーン6000の維持及び更新を行い、とりわけ以下で
図6に関してさらに説明するプロセスにおいてブロックチェーン6000を更新するために新たなブロック6200、6300、6400を生成するように構成することができる。
【0199】
永続ストレージ2111は、ブロックチェーン台帳、ブロックチェーンエントリ、様々なブロックに記憶された情報、ブロック間のリンク、ブロックチェーンに関連するルールなどの、ブロックチェーンに関連する情報を記憶するように構成することができる。記憶装置2103及び/又は永続ストレージ2111は、固体ドライブ、ハードディスクドライブ、フラッシュメモリなどの様々なタイプの記憶技術を使用して提供することができ、リレーショナルデータベース、非リレーショナルデータベース、フラットファイル、スプレッドシート、拡張マークアップファイルなどの様々なフォーマットで記憶することができる。
【0200】
印生成ユニット2116は、クライアントコンピュータ装置311を通じて受け取られたユーザ入力に基づいて、署名、注釈、注記及びその他の手書きマークを含む1又は2以上の手書き印を生成するように構成することができる。いくつかの実施形態では、印が、署名、注釈、ビジュアルアイコン及びデジタルコードのうちの1つ又は2つ以上を含むことができる。デジタルコードは、自動的に生成されて暗号化されるハッシュコードとすることができる。ユーザ入力は、デジタル的に取り込まれた手書き注釈又は署名、自動デジタル署名生成を求める要求を示す信号、或いはユーザ又はクライアントコンピュータ装置のために予め記入されたデジタル署名の承認を示す信号を含むことができる。
【0201】
法令遵守監査証明書(CAC)ユニット2118は、締結又は注釈付けされた各電子文書3000のデジタルCAC5000を生成するように構成することができる。CAC5000は、締結済み又は注釈付き文書3500の一部を形成することができる。いくつかの実施形態では、CACが、文書3000の署名、注釈付け又は立会いを行った各当事者に関する情報を含むことができる。各当事者について、当事者名、eメールアドレス、電話番号、署名及び補助識別(supporting identification)をCACの一部として記録することができる。
【0202】
マスターファイルユニット2119は、締結又は注釈付けされた各電子文書3000のマスターファイル7000を生成するように構成することができる。マスターファイル7000は、本明細書で説明するシステム及び方法を使用して行われた取引又は署名セッションに関する複数の記録データファイルにインデックスを付けることができるセキュアな電子データファイルとすることができる。いくつかの実施形態では、マスターファイル7000が、各当事者のGPS位置、IPアドレス、装置MACアドレス、電話情報、eメール、各署名又は注釈の生成に費やされた時間、及びビデオ/オーディオデータストリームなどの、取引又は署名セッションに関する様々な情報を含むことができる。
【0203】
図6に、いくつかの実施形態によるブロックチェーン例6000を示す。本明細書で説明するブロックチェーン6000は、公的又は私的ピアツーピアネットワーク内の取引又は電子文書3000を記録するように構成された1又は2以上のデータベースに記憶された、改竄防止機構付き分散型デジタル台帳とすることができる。ブロックチェーン6000は、システム2100のブロックチェーンユニット2112によって管理及び維持を行うことができる。台帳6000は、ネットワーク内の全てのメンバノードに分散して、ネットワーク内のピア間で行われた資産(例えば、不動産物件)交換の履歴をブロック内に恒久的に記録することができる。チェーンの開始から直近のブロックまで、全ての確認され検証されたブロックをリンクして繋ぐことができる。したがって、このブロックチェーンは、唯一の信頼できる情報源として機能することができ、ブロックチェーンネットワーク内のメンバは、自身が締結した取引又は文書を見ることができ、或いは、実施形態によってはブロックチェーンの全てのブロックを見ることができる。いくつかの例では、ネットワーク内の各メンバ(各ノード)が独自の権限者であり、誰もが取引に参加して電子文書の形で合意を締結することができる。いくつかの例では、ブロックチェーン上での情報交換に参加する権利を特定のユーザに限定することもできる。
【0204】
いくつかの実施形態では、システム2100が、利用可能なフレームワーク(例えば、Ethereum)を通じてブロックチェーンネットワークを管理することができる。ブロックチェーンユニット2112は、ブロックチェーン6000内のブロックのアドレスとして使用できる公開鍵アドレス(又は、単純に「公開アドレス」)を各電子文書3000について生成することができる。この時、各文書3000は、これらの文書に関連する対応する公開アドレスを有することができる。この対応する公開アドレスを、電子文書内、対応する法令遵守監査証明書5000内、又は対応するマスターファイル7000内に組み込むことができる。
【0205】
適切なユーザアクセス権を有するクライアントコンピュータ装置は、この公開アドレスに基づいてアドレスを照会し、電子文書3000又はその締結版3500の関連する詳細を取得することができる。
【0206】
いくつかの実施形態では、電子文書及び/又はその締結版をブロックチェーン6000内のブロックに記憶する前に、適切な暗号化法(例えば、SHA256)を用いて暗号化することができる。例えば、PDF又はWordフォーマットで記憶された文書の締結版を暗号化してハッシュファイルに変換し、これをブロックに記憶することができる。
【0207】
いくつかの実施形態では、マスターファイル7000を暗号化し、ハッシュ化してブロックチェーン上のブロックに記憶することもできる。暗号化されたマスターファイル7000は、締結済みの合意に関する情報、監査履歴を含むとともに、マスターファイル7000を記憶したブロックの公開鍵アドレスを含むことができる。
【0208】
いくつかの実施形態では、文書の全ての当事者が文書を締結し終えた時点で取引が終了したと見なされ、もはやブロックチェーン6000を新たなブロックで拡張できなくなる。ブロックチェーンは、締結済み文書及び対応するマスターファイルが改竄されていないことを示すために使用できる証拠書類として使用することができる。
【0209】
いくつかの実施形態では、システム2100が、1又は2以上のブロック6100、6200、6300、6400を含むブロックチェーン6000を提供することができる。いくつかの実施形態では、1又は2以上のブロック6200、6300、6400が、直前のブロックへのポインタを含むことができる。
【0210】
いくつかの実施形態では、ブロックチェーン6000が、1又は2以上のブロックに記憶されている情報に基づいて1つの取引の監査又は検証を行い、要求時に動かぬ取引の証拠を第三者に提供することができる。動かぬ取引の証拠は、ブロック内の法医学的かつ法的に正当化できるデジタル署名を用いて提供することができる。
【0211】
図7は、いくつかの実施形態による、ブロックチェーン例6000内のブロック例6200の概略図例である。いくつかの実施形態では、1又は2以上のユーザ又は当事者が電子文書3000の締結又は注釈付けを行うことができる。電子文書3000は、不動産物件の売買合意書などの、合意の当事者が容認できる取引条件を表す合意書とすることができる。各ユーザは、それぞれのクライアントコンピュータ装置311を使用して、デジタル署名を生成するのに必要なユーザ入力を入力することができる。有効なデジタル署名が生成されて電子文書3000に組み込まれる毎に、新たなブロックを生成してブロックチェーン6000に付加することができる。例えば、ブロック6200は、先行ブロックへのポインタ6210、ユーザアイデンティティ情報6220、(日付を含む)タイムスタンプ6230、デジタル署名又は注釈6340、法令遵守監査証明書6350、及び署名の圧力プロファイル6360、といったフィールドのうちの1つ又は2つ以上を含むことができる。図示してはいないが、ブロック6200は、エラーチェックサム、あらゆる署名又は合意書自体の有効期限、及び該当する場合には合意書を通じて交換される資産に関する情報などのさらなるフィールドを含むこともできる。
【0212】
ブロックチェーンユニット2112は、ブロック6200を生成する前に、ユーザ認証ユニット2110を介してユーザアイデンティティが有効であることを検証する。また、暗号化サブユニットを、いずれかの暗号化されたユーザクレデンシャル情報を復号して本物であることを検証するように構成することもできる。ユーザアイデンティティを正しく認証し終えると、フィールド6220にユーザアイデンティティ情報を記憶することができる。
【0213】
タイムスタンプフィールド6230は、電子文書3000内で署名又は注釈付けが行われた正確な日時を表すデータを含むことができる。
【0214】
注釈又は署名フィールド6340は、ユーザによって行われたデジタル署名又は注釈付けを表すデータを記憶することができる。デジタル署名又は注釈は、ユーザ入力に基づいて生成される印とすることができる。いくつかの実施形態では、このフィールド6340が、データベースに記憶されたデジタル署名又は注釈へのリンクを記憶することができる。
【0215】
法令遵守監査証明書フィールド6350は、フィールド6340内の署名又は注釈に関連するCAC5000、或いはデータベースに記憶されたCAC5000へのリンクを含むことができる。
【0216】
圧力プロファイルフィールド6360は、フィールド6340に記憶された又はフィールド6340によってリンクされた署名又は注釈のための情報をデジタル圧力フィールドに記憶することができる。
【0217】
いくつかの実施形態では、ブロックチェーン6000の不正な改竄を防ぐことに関し、SHA256などの暗号ハッシュ関数と、システム2100のみが保持する非公開鍵とを使用して各フィールド内のデータを生成することができる。
【0218】
いくつかの実施形態では、ブロックチェーン6000を、スマートコントラクト(smart contract)を実装するように構成することができる。ユーザは、システム2100又は許可された第三者を介して身元の登録及び認証を行った後に、非公開鍵/公開鍵対の発行を受けることができる。公開鍵は、ユーザがデジタル通貨を受け取ることができるアドレスとしての役割を果たすことができ、非公開鍵は、ユーザのプライベートデジタル財布に記憶することができ、これらを使用して様々な契約書及び文書に署名することができる。ブロックチェーンは、1又は2以上の署名者と、(有形又は無形に関わらず)抵当権及び関連する財産などの1又は2以上の資産とをサポートするように構成される。各当事者は、独自のデジタル署名及び独自の公開鍵のコピーを使用して文書に署名することができる。各文書はスマートコントラクトとすることができ、1又は2以上の資産の割り当てを含むことができる。資産は、システム2100によって(又は、第三者サービスを介して)登録して検証することもできる。例えば、登録資産は、ブロックチェーン内の公開鍵アドレスにデジタル財布を有する所有者に関連付けることができる。スマートコントラクトが完全に締結されると、登録資産をスマートコントラクトの一部として別の当事者に譲渡することができる。
【0219】
任意に、スマートコントラクト内の登録資産に暗号通貨値を関連付けることもできる。このように、スマートコントラクトを完全に締結するには、1又は2以上の署名当事者が自身の非公開鍵を使用して契約書に署名するとともに、登録資産を譲渡人(例えば、以前の所有者)から譲受人に譲渡するために暗号通貨による適切な金額の支払いを含める必要がある。全ての当事者がスマートコントラクトに完全に署名し、ブロックチェーン6000上の全てのノードによる記録及び立会いの中で暗号通貨での適切な支払いが行われると、スマートコントラクト内で完全に合意を締結する譲受人に属する新たなアドレス(例えば、新たなデジタル財布)に登録資産を転送することができる。スマートコントラクトは、システム2100又は許可された第三者受託機関が登録資産の転送を検証してスマートコントラクトを承認するまで支払いを第三者に預託して保留するオプションもサポートする。取引の終了時には、各当事者からのデジタルインク及びブロックチェーン署名を含む締結された電子文書3500を各当事者に提供することができる。
【0220】
いくつかの実施形態では、電子文書が、本明細書では法令遵守監査証明書(CAC)5000と呼ぶさらなる(単複の)ページ又は部分を含むことができる。
図8に、いくつかの実施形態による、デジタル的に生成できる法令遵守監査証明書例5000を示す。図示のように、CACは、署名セッション又は合意の各当事者のエントリを含む。各当事者につき、当事者の名前、eメールアドレス、署名及び補助識別のうちの1つ又は2つ以上のためのスペースが存在することができる。
【0221】
図示のように、
図8の各当事者は、さらなる署名4000a、4000bを入力する必要があり得る。いくつかの実施形態では、電子文書内の署名を複写することができない。したがって、ユーザが過去に追加したいずれかの署名又は注釈を複製してCACで使用することはできない。したがって、各ユーザは、CACのためにさらなる署名を行わなければならない。CACに署名するプロセスは、ユーザがデジタル書込入力装置315(例えば、スマートホン又はタブレット)を介して署名を入力できるようにするリンクを含むテキストメッセージ又はeメールなどをシステムが送信できるという点で上述のプロセスと同様である。或いは、ユーザは、クライアントコンピュータ311上の入力装置(例えば、マウス)を使用して署名を入力することもできる。いくつかの実施形態では、
図8のCAC例において第1の署名者が行った署名が、「署名欄(Sign Here)」フィールドに収まるようにサイズ変更されたものである。いくつかの実施形態では、
図8に示すように、CACが、「署名欄」フィールドの上方のボックス内にオリジナルの署名のさらなるコピーを含むことができ、このさらなる署名は、サイズ変更されていない入力通りのオリジナルの署名を表す。
【0222】
法令遵守監査証明書5000は、署名フィールドに加えて「補助識別」フィールドをさらに提供することができる。ここには、署名者が、本人の身元を確認する役割を果たすことができる追加情報又はデータ5100a、5100bを入力することができる。例えば、第1の署名者の補助識別は、身分証明書5100aの形を取る。別の例として、第2の署名者の補助識別は、署名者の学生証5100bの写真の形を取る。他の例としては、名刺、政府が発行した写真付きIDカード、又はクレジットカードなどを挙げることができる。いくつかの実施形態では、システム300、2100がバーコードスキャン能力を提供する。例えば、いくつかの実施形態では、システム300、2100が、政府が発行した身分証明書の裏面をスキャンできるスキャナ、又はそのような身分証明書に記憶されたユーザ情報を電子的に取り込むことができる磁気ストリップリーダを含む。いくつかの実施形態では、身分証明書のバーコード又は磁気ストリップをスキャンすることによって取得される情報を抽出し、これを使用して電子文書又は合意書の様々なフィールドを埋めることができる。さらに、スキャンによって取得された情報を使用して、例えばその身分証明書を提示した個人に属するものとされる情報を含む第三者データベースにポーリングを行うことによって署名当事者の身元を検証することもできる。このような情報は、例えば、第三者データベースに記憶された写真画像又は身体的特徴(例えば、身長、体重又は目の色など)を含むことができる。
【0223】
なお、写真付きIDカード、名刺及び運転免許証は、補助識別として入力できるものの一例に過ぎないと理解されるであろう。いくつかの実施形態では、デジタル書込入力装置315上で署名を受け入るためのプロンプトが開かれると、デジタル書込入力装置315上のユーザインターフェイスは、ユーザがデジタル書込入力装置315上の(現在では一般に多くのモバイルコンピュータ装置に統合されているような)カメラなどを使用して写真を撮影できるようにすることもできる。例えば、ユーザは、カメラを使用して自身の写真(「自撮り写真」)を撮影することができる。さらに、システムは、署名セッションの進行中にメディア会議を実行し、したがって他の署名当事者が自身の写真を撮影しているところなどに他の1又は複数の署名当事者が立会うこともできる。さらに、署名の際又は法令遵守監査証明書を別様に修正する際にユーザが取った全ての行動を、署名セッションの詳細を文書記録するマスター監査ファイル内に含めることもできる。
【0224】
いくつかの実施形態では、法令遵守監査証明書が、各署名のQRコード(登録商標)3400を含む。このQRコード(登録商標)は、スキャンされた時に、そのユーザの署名を定義するデータへの直接リンクを提供することができる。例えば、印刷装置(例えば、生体測定的かつ生体力学的に正確な筆跡を再現できるLongPen(商標)装置)を使用する場合には、印刷装置がQRコード(登録商標)をスキャンし、このQRコード(登録商標)から、セキュアなQRコード(登録商標)リンクを介して署名者の署名を検索して再現するために必要なデータを取得することができる。いくつかの実施形態では、情報を検索するために使用されるQRコード(登録商標)が、その署名が対応している特定の署名セッションに特異的かつセキュアに関連付けられる。すなわち、第1の署名セッションにおいて第1の電子文書への署名に使用した署名をコピー又は使用して、第1の署名セッションの一部ではない第2の電子文書に署名することはできない。いくつかの実施形態では、ユーザの署名のQRコード(登録商標)がスキャンされた場合、システム300は、例えばeメール又はテキストメッセージ、或いは他のいずれかの公的な通知フォームを介して、ユーザの署名が複製されたことをユーザに通知することができる。
【0225】
いくつかの実施形態では、法令遵守監査証明書が、スキャン時に電子取引又は署名セッションの署名セッション詳細へのリンクをスキャン当事者に送信できる(
図8のCAC5000の底部に位置する)セッション固有のQRコード(登録商標)をさらに含む。いくつかの実施形態では、このQRコード(登録商標)3400が、電子文書の各ページ及びCAC5000上に存在する。いくつかの実施形態では、セッション固有のQRコード(登録商標)が、署名セッションの形成時に電子文書サーバ側に追加される。セッション固有のQRコード(登録商標)は、全てのページ、参加者、マスターファイル及びCAC署名活動を結合することができる。例えば、
図8に示すCACの下部のQRコード(登録商標)をスキャンすると、オンライン署名セッションに関する情報を見るためのリンクを署名当事者に送信することができる。いくつかの実施形態では、CACからオンライン文書取引へのリンクが恒久的である。QRコード(登録商標)は、1つの認証形態(例えば、QRコード(登録商標)サーバ認証)として使用することができる。
【0226】
当事者が署名セッションを終了すると決定した場合、当事者の一方又は両方は、クライアントコンピュータ311上に提示された終了コマンドを使用してセッションの終了を選択することができる。終了時には、日付スタンプ、タイムスタンプ及び位置スタンプを記憶することができる。或いは、当事者は、メディア端末313によって提供された終了プロセスを使用して取引の終了を選択することもできる。クライアントコンピュータ311は、メディア端末の接続状態をモニタすることができるので、メディア会議接続の終了時点に基づいて、日付スタンプ、タイムスタンプ及び/又は位置スタンプを記憶することができる。
【0227】
署名セッションの終了時には、クライアントコンピュータ311のうちの1つ又は2つ以上にセキュアな電子データファイル(以下、マスターファイルと呼ぶ)を記憶することができる。いくつかの実施形態では、システム300内の他のクライアントコンピュータ311のうちの1つ又は2つ以上にマスターファイルをコピーすることができる。いくつかの実施形態では、マスターファイルが、クライアントコンピュータ311のうちのいずれかのクライアントコンピュータの外部のリモートデータベース(図示せず)に記憶される。いくつかの実施形態では、データベースがクラウドデータベースである。
【0228】
図9A~
図9Gに、いくつかの実施形態によるマスターファイル例7000の様々な内容を示す。マスターファイル7000は、本明細書で説明するシステム及び方法を使用して実行される取引又は署名セッションに関する複数の記録データファイルにインデックスを付けることができるセキュアな電子データファイルとすることができる。
【0229】
いくつかの実施形態によれば、システム300、2100は、クライアントコンピュータ311及び(スタイラス、カメラ、マイク、タッチ画面又はスピーカなどのI/O装置3133を含む)メディア端末313から生成された情報を(本明細書ではマスターファイルと呼ぶ)セキュアな電子データファイルに組み合わせることができる。したがって、マスターファイルは、(以下に限定するわけではないが)締結済みの電子文書3500、各署名又は注釈に関するステータス情報7100、デジタル文書識別番号、注釈ファイル、メディアストリームファイル、クライアントコンピュータ311のうちの1つに対応する発信元コンピュータ識別番号を識別するファイル、クライアントコンピュータ311のうちの少なくとも2番目に対応する受信側コンピュータ識別番号を識別するファイル、クライアントコンピュータ311に対応するインターネットプロトコルアドレス、日付スタンプ、タイムスタンプ、署名当事者7150の位置、メッセージログ7200、文書アクセス履歴7300、様々なクライアントコンピュータ装置から送信された署名に関する情報7400、様々なクライアントコンピュータ装置から送信された画像に関する情報7500、署名ログ7600、ページの表示に費やされた時間、電子文書に対して行われた1又は2以上の編集回数、電子文書に追加された1又は2以上の署名数、及び署名セッションの開始から終了までの合計時間などの情報要素のうちの1つ又は2つ以上を含むことができる。
【0230】
いくつかの実施形態では、署名ログ7600が、各注釈4005又は署名4000a、4000b、4000c、4000dのデータログを含むことができる(例えば、
図9E及び
図9Fを参照)。
【0231】
いくつかの実施形態では、各署名ログエントリ内のタイムスタンプ及び日付スタンプが、ログイン時間、ページ表示が変更された時間、当事者が発話した時間、又は当事者が入力装置を使用して入力を行った時間などを含む、署名セッション中に発生したそれぞれのイベントに対応することができる。データスタンプ又はタイムスタンプの生成及びマスターファイル7000への記憶を引き起こすイベントは、他にも存在することができる。
【0232】
マスターファイル7000は、デジタル暗号化法、専用デジタル暗号化法又はデジタル保護手段を使用して暗号化することができる。例えば、マスターファイルをハッシュコードに関連付けることができる。マスターファイルが改竄された場合には、もはやハッシュコードがマスターファイルに対応しなくなる。したがって、マスターファイルが改竄されたかどうかを判断することができる。
【0233】
上述したように、いくつかの実施形態は、署名セッション中又は取引中にメディアを記録するためのコンポーネント及び機能を含むことができる。いくつかの実施形態では、システム300、2100が、ビデオレコーダを伴わないオーディオレコーダ(例えば、マイク)を含むことができる。単純化のために、以下の例は、オーディオレコーダとビデオレコーダの両方(例えば、ビデオカメラ又はウェブカメラなど)を含む。本明細書に開示するシステム及び方法のいくつかの実施形態は、各クライアントコンピュータ311に対応するオーディオ及びビデオを含むメディアストリームを記録することができる。いくつかの実施形態では、マスターファイルが単一のデータストリームを含む。
【0234】
いくつかの実施形態では、複数のクライアントコンピュータ311が存在することができる。したがって、メディアストリームは、異なる又は全てのクライアントコンピュータ311からのメディアフィードを組み合わせることができる。いくつかの実施形態は、特定の時点で入力を収集しているクライアントコンピュータ311に対応するメディアストリームを選択することにより、メディアストリームを収集すべき特定のクライアントコンピュータ311をいずれかの所与の時点で選択することができる。入力を収集することは、個人がマイクに向かって個人入力データ(例えば、署名又は注釈)などを話すことを含むことができる。いくつかの実施形態では、マスターファイルが、システム300、2100内の1又は2以上のクライアントコンピュータ311からのメディアストリームの一部又は全部を含む。
【0235】
いくつかの実施形態では、本明細書で説明するシステム及び方法が、必ずしも第三者がマスターファイルをホスト及び/又は記憶することを必要としない。この点、マスターファイルは、いずれかの特定の取引又は署名セッションのためにネットワーク317によって接続された1又は複数のクライアントコンピュータ311に記憶することができる。いくつかの実施形態では、当事者が、マスターファイル7000を記憶できる第三者データベース(例えば、データベース2900)を選択又は別様に指定することができる。
【0236】
マスターファイル7000は、マスターファイルが作成された時点でクライアントコンピュータ311を使用していた署名当事者間で特定のやり取り又は取引が行われた証拠として後でさらに使用することができる。マスターファイルは、文書を検索しようとする当事者が正しい許可を満たす限り、いつでもその記憶場所から検索することができる。いくつかの実施形態では、マスターファイルを検索するために許可が不要である。
【0237】
マスターファイルの内容は、その全部又は一部を再生することができる。全部を再生する場合、個人は、1つのメディアストリームを再生するか、それとも複数のメディアストリームを再生するか、及び記録された一連の入力を選択することができる。個人は、記憶データ及びタイムスタンプのいずれかに対応し得る開始点を有するマスターファイルの一部を再生することを選択することもできる。いくつかの実施形態では、署名セッション全体を再生することもできる。例えば、クライアントコンピュータ311は、電子文書のページの移動、電子文書に行われた注釈付け及び署名、テキスト入力又はマウスクリックなどのリアルタイムな又は速度調整した時間での複製を表示し、署名セッション中に何が行われたかを示すアニメーションとしてこれらの発生を提示することができる。
【0238】
電子文書に署名するための好適なシステムの他の例は、例えば米国特許第8,867,062号として交付された米国特許出願第11/720,429号、米国特許出願第14/469,951号、米国特許第8,296,832号、米国特許第8,843,552号として交付された米国特許出願第12/427,070号、米国特許出願第13/390,798号、及びカナダ国特許出願第2016/000260号に記載されており、これらの各特許出願及び付与特許の内容はその全体が引用により本明細書に組み入れられる。
【0239】
図2に示すように、いくつかの実施形態では、システム300が、署名付きの法令遵守監査証明書を、印刷及び最終配送のために署名当事者に、又は当事者が選択した当事者に送信する。例えば、システム300は、署名セッションの終了後に、物理的に印刷する必要がない署名付きの電子文書のコピーを署名当事者のうちの1人又は2人以上に転送することができる。物理的コピーは、置き忘れたり内容が公表されたりする恐れがあるので、極めて機密性が高い文書の場合には、実際の電子文書の物理的コピーを印刷しないことが好ましいと考えられる。
【0240】
しかしながら、いくつかの実施形態では、(電子的に署名された合意書の撤回が試みられる場合に証拠としての役割を果たす)署名付きの法令遵守監査証明書を、直筆署名を含む物理的形態で1又は2以上の署名当事者に配送することができる。
【0241】
いくつかの実施形態では、署名付きの法令遵守監査証明書が配送サービスに送信される。配送サービスは、CACを印刷して各署名当事者の生体測定的かつ生体力学的に正確な署名を複製できる印刷装置にアクセスすることができる。例えば、配送サービスは、上述したLongPen印刷装置を使用することができる。さらなる例として、LongPen印刷装置は、CAC上のQRコード(登録商標)をスキャンして署名当事者の筆跡を再現する命令を取得するために使用できるスキャン装置を含むことができる。
【0242】
したがって、署名当事者が互いに世界中に散らばって存在する場合、システム300、2100は、これらのシステムを通じて電子文書を締結した後に、署名当事者の適度な近くに存在し得る第三者に署名付きのCACを送信することができる。署名当事者の場所によっては、署名付きのCACの物理的コピーを同じ日に署名当事者に配送することが常に可能であるとは限らないが、いずれにせよCACの物理的コピーを配送するために必要な資源の消費は大幅に削減される。
【0243】
オリジナルの直筆署名を含むCACの物理的コピーを複製したら、これを署名当事者に物理的に配送することができ、署名当事者は、この署名付きのCACの物理的コピーを法令遵守の目的で保持することができる。物理的CACを素早く提供すると、物理的証拠を素早く取得して保管できるので、取引の正当性に対する確信をもたらすことができる。
【0244】
さらに、いくつかの実施形態では、CACの物理的コピー上のQRコード(登録商標)をさらに使用して、文書署名セッションに関連する取引データにアクセスすることもできる。例えば、署名当事者は、直筆署名を含む電子文書の原本を必要とする場合、例えばLongPen印刷装置を使用してQRコード(登録商標)をスキャンし、必要な情報を取得して、直筆署名付きの電子文書の物理的コピーを印刷することができる。いくつかの実施形態では、電子文書の署名フィールドに行われたものに加えて、LongPen印刷装置をさらに使用してあらゆる手書き注釈の直筆版を物理的文書に適用することもできる。
【0245】
さらに、いくつかの実施形態では、(セキュアなeメール又はその他の電子メッセージを介して各署名当事者に配送される)署名付き電子文書の電子コピーが(例えば、左下隅、又は未だテキストに塞がれていない他のいずれかの好適な位置に)QRコード(登録商標)を含む。いくつかの実施形態では、このQRコード(登録商標)が、
図8のCACの左下隅に含まれているQRと同じものである。この署名付き電子文書の電子コピーのQRコード(登録商標)は、生体測定的かつ生体力学的に正確な直筆署名を含む電子文書の物理的コピーを複製するのに必要なデータを取得するためにスキャンすることができる。
【0246】
いくつかの実施形態では、システム300、2100が、署名付きのCACの物理的バージョンの船積み状況をさらに追跡することができる。船積み状況(例えば、仕分け施設への到着、うまくいかなかった文書配送の試み、CACの物理的コピーの正常な配送の確認)のあらゆる変更を含む船積み情報は、セキュアな監査ファイル(例えば、上述したマスターファイル)に含めることができる。
【0247】
いくつかの実施形態例では、CACが配送サービスに送信されるように示しているが、他の実施形態では、(上述したLongPen印刷装置と同様に印刷装置が生体測定的かつ生体力学的に正確な署名を複製できる限り)署名当事者のうちの1人が独自の印刷装置を使用して、直筆署名を含む署名付きのCACの物理的コピーを作成することを選択することもできると理解されたい。
【0248】
いくつかの実施形態による、文書の遠隔署名のためのシステムプラットフォーム2100のユーザインターフェイス例を示す
図12に示すように、ユーザ(例えば、Jane Doe)は、ユーザ認証を通じてプラットフォーム2100にログインすると、締結又は注釈付けする文書を作成又は管理するための複数のオプションを提示される。例えば、ユーザは、締結又は注釈付けする文書をアップロードして送信し、アップロード及び/又は送信された既存の締結又は注釈付けする文書を管理し、署名当事者情報を記入するために使用できる連絡先を管理し、署名者にリンクを送信することを選択し、或いはLongPen(商標)装置などの印刷装置を使用して文書の印刷又は「署名」を行うことができる。
【0249】
図12には、順次式、カウンターパート式及びライブセッション式という3つの異なる署名セッションモードを列挙したユーザインターフェイス例を示しており、これらの各モードについては後述する。
【0250】
次に、いくつかの実施形態による、1又は2以上の当事者が電子文書3000の締結又は注釈付けを行うプロセス例8000のフロー図を示す
図10を参照する。
【0251】
ステップ8100において、システム2100は、1又は2以上の当事者による注釈付け又は締結に利用できる電子文書3000を受信又は検索することができる。ステップ8200において、システム2100は、第1のコンピュータ装置311上に表示する電子文書3000を第1の位置の第1のコンピュータ装置に送信することができる。ステップ8300において、システム2100は、ユーザ認証ユニットを通じて第1のコンピュータ装置の第1のユーザの身元を認証することができる。ステップ8350において、システム2100は、第1のコンピュータ装置から、第1のユーザのユーザ入力を表す電子信号を受け取ることができる。ステップ8400において、システム2100は、第1のコンピュータ装置からの第1のユーザのユーザ入力に基づく印を表すデジタルデータを生成することができる。ステップ8500において、システム2100は、電子文書にデジタルデータを適用して第1のユーザからの第1の注釈又は署名を形成することができる。
【0252】
任意のステップであるステップ8600において、いくつかの実施形態では、システム2100がデジタル法令遵守監査証明書5000を生成することができる。CAC5000を生成するプロセスは、第1のコンピュータ装置から、第1のユーザのさらなるユーザ入力を表す電子信号を受け取るステップと、第1のコンピュータ装置からの第1のユーザのさらなるユーザ入力に基づく第2の印を表すデジタルデータを生成するステップと、電子文書に関連するデジタル法令遵守監査証明書にデジタルデータを適用して第1のユーザからの第2の注釈又は署名を形成するステップと、デジタル法令遵守監査証明書をデータベースに記憶するステップとを含むことができる。
【0253】
文書が規定の署名順に従って受取人に送信される場合、順次署名セッションが構築される。各受取人は、順番に文書3000の電子コピーに署名し、文書に署名するそれぞれの順番が来ると通知を受ける。すなわち、第1の受取人又は当事者からの署名は、締結のために第2の受取人に送信する前に生成して電子文書3000に適用する必要があり、その後も同様である。システム2100は、電子文書にデジタルデータを適用して第1のユーザからの第1の注釈又は署名を形成するステップの後に、第1のユーザによって注釈付け又は署名が行われた第2のコンピュータ装置上に表示する電子文書を第2の位置の第2のコンピュータ装置に送信し、第2のコンピュータ装置の第2のユーザの身元を認証し、第2のコンピュータ装置から、第2のユーザのユーザ入力を表す電子信号を受け取り、第2のコンピュータ装置からの第2のユーザのユーザ入力に基づく印を表すデジタルデータを生成し、電子文書にデジタルデータを適用して第2のユーザからの第1の注釈又は署名を形成することができる。各署名者は、署名が終わると、自身の記録のために文書のコピーを受け取ることができる。
【0254】
同時署名セッション又はカウンターパート署名セッション(
図12の「カウンターパート式」)では、システム2100が各文書のコピーを同時に多くの受取人(例えば、当事者)に送信することができる。各署名者は、署名すべき独自のバージョンの文書を獲得する。この署名モードで使用された文書は、カウンターパート式で署名されたものとして法的に認めることができる。システム2100は、第1のコンピュータ装置上に表示する電子文書を第1のコンピュータ装置に送信するのと同時に、第2のコンピュータ装置上に表示する電子文書を第2の位置の第2のコンピュータ装置に送信することができる。その後、システム2100は、第2のコンピュータ装置の第2のユーザの身元を認証し、第2のコンピュータ装置から、第2のユーザのユーザ入力を表す電子信号を受け取り、第2のコンピュータ装置からの第2のユーザのユーザ入力に基づく印を表すデジタルデータを生成し、電子文書にデジタルデータを適用して第2のユーザからの第1の注釈又は署名を形成することができる。
【0255】
例えば、50人の株主全てに1つの株主合意文書3000を送信し、各株主が合意書の個々のコピーを受け取ることができる。合意書の個々のコピーは、全ての株主にわたって同一とすることも、或いは各株主名及びその他の情報に基づいてカスタマイズすることもできる。各株主(すなわち、署名者)は、自身の合意書のコピーに署名するまでに他の誰かが署名を行うのを待つ必要がない。また、複数の署名者からの同時ユーザ入力に基づいて、合意書3000の対応するマスターファイル文書7000にアクセスしてリアルタイムで編集することもできる。
【0256】
いくつかの実施形態では、システム2100が、第1のユーザとは異なる人物の署名を表す電子信号を第1のコンピュータ装置からさらに受け取り、電子文書に関連するデジタル法令遵守監査証明書に第1のユーザとは異なる人物の署名を適用することができる。
【0257】
いくつかの実施形態では、システム2100が、デジタル法令遵守監査証明書をデータベースから検索し、生体力学的に正確な筆跡を物理的媒体上に複製するように構成された印刷装置を使用して、第1のユーザからの第1の注釈又は署名に基づく第1のユーザの生体力学的に正確な直筆署名を含むデジタル法令遵守監査証明書の物理的コピーを作成することができる。
【0258】
いくつかの実施形態では、ユーザの筆跡が、タッチ画面を介した指、マウス、及びスタイラスのうちの1つを含む入力装置を通じて第1のコンピュータ装置によって受け取られる。生成された印を電子文書に適用するステップは、第1のユーザの筆跡の圧点、線の太さ、及び調子のうちの少なくとも2つを測定するように構成された入力装置を通じて筆跡を適用するステップを含むことができる。
【0259】
いくつかの実施形態では、ユーザ入力が1又は2以上のタイプ文字列を含み、生成される印が、ビジュアルアイコン、ハッシュコード又はこれらの組み合わせを含むことができる。ビジュアルアイコン及びハッシュコードは、それぞれ固有の筆跡を表すように一意的なものとすることができる。いくつかの実施形態では、一意的なビジュアルアイコン又はハッシュコードが、タイプ文字列の長さ、タイプ文字列のフォント、タイプ文字列のタイムスタンプ、第1のコンピュータ装置に関連するIPアドレス、第1のコンピュータ装置のMACアドレス、及び第1のコンピュータ装置のハードウェア情報のうちの1つ又は2つ以上に基づいて生成される。
【0260】
図11に、いくつかの実施形態による、複数の当事者がライブセッションにおいて電子文書3000の締結又は注釈付けを行う別のプロセス例9000のフロー図を示す。ライブ署名セッションでは、署名セッションの構築者(例えば、電子文書3000を署名のために他者に送信したユーザ)が、共有画面セッションにおいて署名者からの使い捨ての署名をセキュアに保ちながら、文書の制御及び所有権を維持することができる。いくつかの実施形態では、画面共有セッション中に、この例では文書へのリンクを署名者が受け取らず、代わりに署名パッドへのリンクが署名者に送信される。
【0261】
例えば、ライブセッションを通じて、企業(例えば、金融機関)の代理人又は従業員が電子文書3000を通じてユーザを導き、ユーザが電子文書の署名又は注釈付けをいつどこで行うことができるかを制御することができる。例えば、銀行員2600は、第1のクライアント端末2300のディスプレイと第2のクライアント端末2500のディスプレイとが抵当合意契約書3000を同時に表示するように要求することができる。第2のクライアント端末2500は、第1のクライアント端末2500から離れた位置における銀行顧客2800の隣に存在することができる。したがって、銀行顧客2800の身元が認証された後に、クライアント端末2500を通じて銀行顧客2800に契約文書を示し、契約を完全に締結するために文書を通じて銀行顧客2800を導くことができる。
【0262】
ステップ9100において、システム2100は、1又は2以上の当事者による注釈付け又は締結に利用できる電子文書を受信又は検索することができる。ステップ9200において、システム2100は、第1の位置の第1のコンピュータ装置から、電子文書を第2の位置の第2のコンピュータ装置に送信するコマンドを表す電子信号を受け取ることができる。ステップ9300において、システム2100は、コマンドに応答して、第2のコンピュータ装置上に表示する電子文書を第2のコンピュータ装置に送信することができる。ステップ9400において、システム2100は、第2のコンピュータ装置のユーザの身元を認証することができる。ステップ9500において、システムは、第1のコンピュータ装置から、第2のコンピュータ装置のユーザが電子文書に注釈付け又は署名を行うように要求するためのコマンドであって、電子文書内の注釈又は署名用領域に関するデジタルデータを含むコマンドを表す電子信号を受け取ることができる。ステップ9600において、システムは、第2のコンピュータ装置が電子文書内の注釈又は署名用領域をユーザに表示できるように、注釈又は署名用領域に関するデジタルデータを第2のコンピュータ装置に送信することができる。ステップ9700において、システムは、第2のコンピュータ装置から、ユーザのユーザ入力を表す電子信号を受け取って第1のコンピュータ装置に送信することができる。ステップ9800において、システムは、第2のコンピュータ装置のユーザが電子文書に注釈付け又は署名を行うためのコマンドを表す電子信号を第1のコンピュータ装置から受け取ることができる。ステップ9900において、システム2100は、電子文書に注釈付け又は署名を行うためのコマンドに応答して、第2のコンピュータ装置からのユーザのユーザ入力に基づく印を表すデジタルデータを生成することができる。ステップ9950において、システムは、電子文書にデジタルデータを適用してユーザからの注釈又は署名を形成することができる。
【0263】
いくつかの実施形態では、システム2100が、電子文書3000を通じて第2のコンピュータ装置のユーザ2800を導いているユーザ2600に関連し得る、第1のコンピュータ装置上に表示する電子文書を、第1のコンピュータ装置に送信することができる。
【0264】
いくつかの実施形態では、システム2100を、ユーザのさらなるユーザ入力を表す電子信号を第2のコンピュータ装置から受け取り、第2のコンピュータ装置からのユーザのさらなるユーザ入力に基づく第2の印を表すデジタルデータを生成し、電子文書に関連するデジタル法令遵守監査証明書にデジタルデータを適用してユーザからの第2の注釈又は署名を形成し、デジタル法令遵守監査証明書をデータベースに記憶するように構成することができる。
【0265】
いくつかの実施形態では、システム2100が、ユーザとは異なる人物の署名を表す電子信号を第2のコンピュータ装置から受け取り、電子文書に関連するデジタル法令遵守監査証明書上でユーザとは異なる人物の署名を適用することができる。
【0266】
図14に、文書署名のライブセッションを開始するためのユーザインターフェイス例を示す。ユーザは、最初に、署名すべき文書の詳細を書き込むことによって文書のライブ署名セッションを開始することができる。この詳細は、ユーザの名前、文書に署名するための招待状の有効期限(例えば、有効期限を過ぎると招待状リンクは機能を停止する)、文書のカテゴリ、文書の説明、及び必要に応じて1又は2以上の署名者へのメッセージを含むことができる。ユーザは、2要素認証が必要であるかどうかを指定することができる。第1の要素は、選択された場合に署名者の携帯電話番号に送信されたセキュリティコードを入力することによって署名者に身元を証明するように要求するモバイル認証ステップとすることができる(例えば、
図15Bを参照)。携帯電話番号は、システム2100に予め登録しておくことも、或いは別のステップで入力することもできる。第2の要素は、選択された場合に異なるチャネルを通じて(例えば、口頭で、テキストメッセージを介して、又はeメールを介して)署名者に通信できるパスフレーズを入力することによって署名者に身元を証明するように要求するパスフレーズ認証ステップとすることができる。ユーザは、署名又は注釈付けを行うための文書を適切なフォーマット(例えば、Word又はPDF)でアップロードすることを選択することができる。いくつかの実施形態では、文書をアップロードした後にPDFフォーマットに変換することができる。
【0267】
ライブセッションを開始するユーザは、文書3000が受け入れ可能な署名のタイプを指定することができる。「筆記(Ink)」署名は、システム2100に受け取られて本物の生体測定的かつ生体力学的に正確な署名として証明されるデジタル筆記署名を意味することができる。例えば、デジタル筆記署名は、署名者が指又はスタイラスを使用してコンピュータ装置311(例えば、モバイル装置)のタッチ画面を介して入力することができる。「タイプ(Typed)」署名は、署名者がコンピュータ装置311を通じて入力したタイプ文字列に基づいて生成されるデジタル署名を意味することができる。タイプされる文字列は、署名者の名前とすることができる。「承認済み(Accepted)」署名は、システム2100が自動的に生成して署名者が承認したデジタル署名を意味することができる。これらの3つの署名については、全て以下でさらに詳細に説明する。
【0268】
図15Aには、電子文書のライブ署名セッションに1又は2以上の署名者を登録するためのユーザインターフェイス例を示す。署名セッションには、各署名者のeメールと携帯電話番号の両方が必要となり得る。順次署名セッション又はカウンターパート式署名セッションへの署名者の登録には、同様のインターフェイスを使用することができる。いくつかの実施形態では、署名セッションを開始したユーザが自動的に署名者として追加される。
【0269】
いくつかの実施形態では、システム2100がウェブサーバを実装し、HTML5を使用してユーザインターフェイスを表示することができる。クライアントコンピュータ装置311は、インターネットに接続されている限り、署名セッションを開始するユーザが送信した招待状リンクを受け取り、(例えば、電話機へのテキストメッセージコード又はパスフレーズを介して)認証を獲得し、ブラウザを通じてシステム2100のユーザインターフェイスにログインし、クライアントコンピュータ装置311を使用して(順次、カウンターパート式、又はライブセッションによる)署名セッションを開始することができる。
【0270】
図16には、署名者のeメール受信トレイが招待状を受け取った後に表示されるユーザインターフェイス例を示す。図示のように、2つの電子文書3000a、3000bを締結のために利用することができ、署名のための招待状リンクは8日で失効する。
【0271】
図17には、ユーザが文書リンクのうちの1つをクリックした後のクライアントコンピュータ装置311におけるインターフェイス例を示す。
図16に示す電子文書3000aのリンクを署名者がクリックすると、署名者の登録携帯電話番号にセキュリティコードを送信することができる。正しく認証されると、署名のための特定の文書リンクをモバイル装置に送信することができる。
【0272】
図18A、
図18B及び
図18Cには、いくつかの実施形態による、文書3000に署名又は注釈付けを行うためのインターフェイス例を示す。
図18Aには、署名者のユーザアイデンティティが認証された後にクライアントコンピュータ装置311において表示される電子文書例3000(例えば、融資限度の申請(Line of Credit Application))を示す。文書3000は、詳細な諸条件又はその他の内容を列挙する本文3100を有することができる。本文3100は、ユーザが記入することも、又は既に予め埋めておくこともできる様々なフィールド(例えば、名、姓、住所)を有することができる。文書3000は、署名フィールド3200及び日付フィールド3300を有することもできる。文書3000は、上述したようなQRコード(登録商標)3400を任意に含むこともできる。QRコード(登録商標)(又はバーコード)は、文書3000の特定のページと、マスターファイルを含む関連する監査証跡とを検索するために使用することができる。
【0273】
署名者は、ユーザが署名又は注釈付けしたいと望む領域上にカーソルを重ねることによって文書3000に署名又は注釈付けを行うことを選択することができる。カーソルは、マウス、キーボード、スタイラス又は指などの入力装置を通じて受け取られた入力信号によって制御することができる。いくつかの実施形態では、文書3000の一部にしか署名又は注釈付けができないように、システム2100が文書3000部分的にロックすることができる。他の実施形態では、文書3000全体を署名又は注釈付けに利用することができる。
【0274】
署名者は、署名又は注釈付けを行うと決定したらシステム2100に入力信号を送信することができ、この結果、システム2100は、署名パネル(signature panel)3250(例えば、
図18Bを参照)の表示を促すことができる。署名パネル3250は、署名(sign)、イニシャル(initial)又は切り替え(switch)という、署名又は注釈付けのための1又は2以上のオプションを提示する。切り替えオプションは、ユーザが選択オプション(例えば、「署名」)と異なるオプション(例えば、「イニシャル」)とを切り替えられるようにする。
【0275】
署名パネル3250上の「署名」オプションが選択された場合、
図20Aに示すように、クライアントコンピュータ装置311において署名者に「署名を作成」インターフェイスを表示することができる。署名の作成には、筆記する(Ink it)8010、タイプする(type it)8020及び承認する(accept it)8030という1又は2以上のオプションが存在することができる。「筆記」署名は、システム2100に受け取られてユーザの筆跡に類似する本物の生体測定的かつ生体力学的に正確な署名として証明されるデジタル直筆署名を意味することができる。「タイプ」署名は、CAC5000又はマスターファイル7000に基づいて法医学的かつ法的に正当化できる署名として認めることができる、署名者がコンピュータ装置311を通じて入力したタイプ文字列に基づいて生成されたデジタル署名を意味することができる。タイプされる文字列は、署名者の名前とすることができる。「承認済み」署名は、やはりCAC5000又はマスターファイル7000に基づいて法医学的かつ法的に正当化できる署名として認めることができる、システム2100が自動的に生成して署名者が承認するデジタル署名を意味することができる。
【0276】
次に、
図20Aに示すステップにおいて署名者が「筆記する」8010を選択した場合にクライアントコンピュータ装置311を通じてデジタル直筆署名を行うためのインターフェイス例を示す
図19A及び
図19Bを参照する。
図19Aには、クライアントコンピュータ装置311のディスプレイ画面3111を示す。ユーザ入力の準備が整った署名フィールド3115が示されている。
図19Bには、署名者が行ったユーザ入力3116を示す。ユーザ入力3116は、スタイラス、デジタルペン又は指などの入力装置を使用して入力されたデジタル直筆署名を含む。署名者がクライアントコンピュータ装置311を使用してユーザ入力3116を入力すると、クライアントコンピュータ装置311は、ユーザ入力3116のいくつかの特徴を取り込んでシステム2100に送信することができる。例えば、コンピュータ装置311は、ユーザ入力3116に関連する調子、速度、タイムスタンプ、日付スタンプ、位置、xy座標、コンピュータ装置311の装置ID、コンピュータ装置311のハードウェア情報、バイト数、各筆の動きの加速度及び減速度、並びに他のタイプの情報をリアルタイム又は近リアルタイムで検出して取り込んでシステム2100に送信することができる。
【0277】
いくつかの実施形態では、クライアントコンピュータ装置311が、ユーザ入力の入力中に署名者が加えた、1又は2以上の画素を含むことができるユーザ入力3116の各地点の圧力を検出することができる。
【0278】
その後、署名者は、コンピュータ装置311を介して
図19Bに示す「送信」をクリックすることにより、このデジタル直筆署名4000aを
図21に示すような公式署名4000aとして文書3000に適用するためのコマンド信号をシステム2100に送信することができる。この署名4000aは、特定の文書の特定のページ上に存在することを後で検証することができる。いくつかの実施形態では、このコマンド信号によって、文書3000上に重なったカーソルにユーザ入力3116が付着するようになり、署名者は、これを文書3000の予め定められた署名フィールド3200に挿入することができる。いくつかの実施形態では、文書3000にテキストボックスを追加した後で、この文書3000上のテキストボックスを使用して署名4000aを適用することができる。
【0279】
図20Aに示すステップにおいて署名者が「タイプする」8020を選択した場合、署名者を
図20C及び
図20Dに示すユーザインターフェイスに誘導することができる。署名者は、法的かつ法医学的に正当化できる改竄防止対策が成されたデジタル署名として使用できる一意的な印4000a、4000bを作成するために、フルネーム(例えば、「Jane Doe」)などの文字列4116a、4116bを所与のフィールド内にタイプすることができる。署名者は、イニシャル4003a、4003bを生成するために自身のイニシャル(例えば、「JD」)をタイプすることもできる。
【0280】
図20Aに示すステップにおいて署名者が「承認する」8030を選択した場合、署名者を
図20Bに示すユーザインターフェイスに誘導することができる。システム2100は、署名者の名前を表す情報をこの段階で既に有しており、したがってクライアントコンピュータ装置311に一意的な印4000又は一意的なイニシャル4003を自動的に作成させることができる。印4000は、生成されたデジタル署名4010と、ハッシュコード4020と、ビジュアルアイコン4030とを含むことができる。イニシャル4003は、生成されたイニシャル4013と、対応するハッシュコード4023とを含むことができる。
【0281】
いくつかの実施形態では、印4000a、4000bが、生成されたデジタル署名4010、ハッシュコード4020、及びビジュアルアイコン4030という3つの部分を含むことができる。デジタル署名4010は、ユーザ入力4116a、4116bに基づいて生成することができる。例えば、デジタル署名4010は、署名者が選択できる特定のフォントでタイプされた名前とすることができる。ハッシュコード4020は、数字及び/又は文字などの複数のデジタル文字を含むコードとすることができ、ユーザ入力4116a、4116bに関連するいくつかの因子に基づいて自動的に生成される。例えば、これらの因子は、ユーザアイデンティティ、タイプ文字列の長さ、タイプ文字列のフォント、タイプ文字列のタイムスタンプ、コンピュータ装置311に関連するIPアドレス、コンピュータ装置311のMACアドレス、及びコンピュータ装置311のハードウェア情報のうちの1つ又は2つ以上を含むことができる。タイプ文字列のタイムスタンプは、タイプ文字列又はその各文字がクライアントコンピュータ装置311によって受け取られた時点における日付情報と時間情報とを含むことができる。ビジュアルアイコン4030も、ハッシュコード4020を生成するために使用されるユーザ入力と同様のユーザ入力4116a、4116bに関連する因子の組に基づいて自動的に生成することができる。いくつかの実施形態では、ハッシュコード4020及びビジュアルアイコン4030を、それぞれ異なる因子の組に基づいて生成することができる。
【0282】
第1のタイプ文字列4116aのタイムスタンプは、同じ署名者がタイプした第2のタイプ文字列4116bのタイムスタンプとは異なるので、少なくともタイムスタンプ情報に基づいて生成されるハッシュコード4020は常に一意的である。例えば、
図20C及び
図20Dに示すように、同じ署名者が異なる時点で入力した同じユーザ入力「Jane Doe」では、異なるハッシュコード4020及び異なるビジュアルアイコン4030が生成されている。
【0283】
また、ビジュアルアイコン4030も、タイプされたユーザ入力4116a、4116b毎に一意的とすることができる。例えば、ビジュアルロックアイコンの周囲のドットの数、サイズ、直径及び位置が異なることができる。
【0284】
イニシャル4003は、生成されたイニシャル4013と、同様に生成された対応するハッシュコード4023とを含むことができる。
【0285】
図18Cには、システム2100が受け取ったユーザ入力に基づいて生成され、その後に文書3000に適用されたデジタル署名4000及び日付4300の例を示す。いくつかの実施形態では、デジタル署名を一意的な印4000とすることができる。印4000は、生成されたデジタル署名4010、一意的なハッシュコード4020、及び一意的なビジュアルアイコン4030のうちの1つ又は2つ以上を含むことができる。文書3000には、日付4300を挿入することもできる。日付は、システムの日付に基づいて自動的に生成することも、或いはユーザ入力に基づいて挿入することもできる。
【0286】
図21には、「筆記する」方法8010を通じたデジタル直筆署名4000a、「タイプする」方法8020を通じてタイプされたユーザ入力に基づいて生成された印4000b、及び「承認する」方法8030を通じて承認された署名者の署名に基づいて生成された印4000cという、文書3000に適用される3種類の署名を示す。
【0287】
図22には、いくつかの実施形態による法令遵守監査証明書例(CAC)5000の一部を示す。CAC5000は、電子文書の締結版3500の最後に添付されるデジタル文書とすることができる。図示のように、CAC5000は、スキャンされた場合にCAC5000の一部又は全部を検索できるQRコード(登録商標)3400を含むことができる。いくつかの実施形態では、QRコード(登録商標)3400をスキャンして、CAC5000に関連する電子文書全体を検索することができる。関連する電子文書に適用された(単複の)署名に法的拘束力があることを署名者が意図している旨を示すように、署名4000及び名刺5100の形態の対応する補助識別も存在する。
【0288】
図23A、
図23B、
図23C及び
図23Dには、いくつかの実施形態によるマスターファイル7000の様々な部分を示す。いくつかの実施形態では、マスターファイル7000が、電子文書の締結版3500、署名セッションのタイプ、文書所有者、文書アップロードの日時及びアップロード方法などの署名付き電子文書の詳細7001、署名の概要7002、全署名者リスト7005、ユーザによる電子文書へのあらゆる失敗又は成功したアクセスの試みの詳細を列挙するアクセス履歴7006、システム2100が送信した電子文書に関する全てのやりとり及び通信の詳細を列挙する通知履歴7007、1又は2以上の署名者が1又は2以上の装置を通じて追加したモバイル署名のリスト7008、1又は2以上の署名者が1又は2以上の装置を通じて追加したモバイル画像のリスト7009、名前、eメール、携帯電話番号、全ての署名に費やされた合計時間、テキストボックスの概要、追加された注釈又は画像、及びシステム2100が受信又は生成した各署名者の署名の概要などの各署名者の詳細を列挙する署名ログ7010、といったデータ項目のうちの1つ又は2つ以上を含むことができる。
【0289】
いくつかの実施形態では、
図23C及び
図23Dに示すように、署名ログ7010が、文書の各ページにおける各署名者のアクセス履歴を表すデータを含む。例えば、このログは、各アクセスの日時、アクセスされた特定のページ、署名者が特定のページに出入りしたかどうか、アクセスされた各ページに費やされた時間、特定のページへのアクセスに使用されたクライアントコンピュータ装置に関連するIPアドレス、及び1又は2以上の特定のページに追加されたあらゆる署名4000a、4000b、4000cに関する情報を含むことができる。署名ログ7010は、いずれかの特定のページに追加されたあらゆる補助ID文書5100をさらに含むことができる。
【0290】
いくつかの実施形態では、通知履歴7007が、例えば特定の署名者の特定の携帯電話番号又はeメールアドレスに送信されたセキュリティコード、特定の携帯電話番号に送信されたモバイルリンク、及びユーザに送信された締結済み文書のリストを含むことができる。
【0291】
いくつかの実施形態では、マスターファイル7000が、1又は2以上の署名者が電子文書3000に1又は2以上の署名を適用する様子を記録したオーディオ又はビデオデータストリームを含むことができる。
【0292】
いくつかの実施形態では、マスターファイル7000が、CAC5000と、締結済みの電子文書内の各署名に関連する圧力プロファイルとを含むことができる。
【0293】
したがって、マスターファイル7000は、ユーザが電子文書の締結版から署名又は注釈を削除又は編集するのを防ぐことができるセキュアな電子記録の形態のセキュアな監査証跡を提供することができる。マスターファイル7000は、電子文書の締結版(例えば、署名契約書)が維持されて、合意書を撤回しようとする試みが失敗に終わる可能性を高めることができる。
【0294】
本出願の範囲は、本明細書で説明したプロセス、機械、製造、組成物、手段、方法及びステップの特定の実施形態に限定されるように意図するものではない。当業者であれば本発明の開示から容易に理解するように、本明細書で説明した対応する実施形態と実質的に同じ機能を実行する、又は実質的に同じ結果を達成する、既存の又は後で開発されるプロセス、機械、製造、組成物、手段、方法又はステップを利用することもできる。したがって、添付の特許請求の範囲には、このようなプロセス、機械、製造、組成物、手段、方法又はステップが含まれるように意図される。理解できるように、上記で説明して図示した詳細な実施形態はほんの一例であるように意図される。これらの実施形態例には、変更、別の構成、別のコンポーネント及び修正を加えることができる。本発明は、特許請求の範囲によって定められる。