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特許7187533光電子デバイスを製造する方法及び光電子デバイスを使用する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-02
(45)【発行日】2022-12-12
(54)【発明の名称】光電子デバイスを製造する方法及び光電子デバイスを使用する方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/60 20100101AFI20221205BHJP
   H01L 33/50 20100101ALI20221205BHJP
   H01L 23/29 20060101ALI20221205BHJP
   H01L 23/31 20060101ALI20221205BHJP
   G02B 5/20 20060101ALI20221205BHJP
【FI】
H01L33/60
H01L33/50
H01L23/30 F
G02B5/20
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020503305
(86)(22)【出願日】2018-07-13
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-10-01
(86)【国際出願番号】 US2018041960
(87)【国際公開番号】W WO2019022964
(87)【国際公開日】2019-01-31
【審査請求日】2020-01-22
(31)【優先権主張番号】62/537,553
(32)【優先日】2017-07-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590001418
【氏名又は名称】ダウ シリコーンズ コーポレーション
(73)【特許権者】
【識別番号】591016862
【氏名又は名称】ローム アンド ハース エレクトロニック マテリアルズ エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Rohm and Haas Electronic Materials LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(73)【特許権者】
【識別番号】000110077
【氏名又は名称】デュポン・東レ・スペシャルティ・マテリアル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(74)【代理人】
【識別番号】100191938
【弁理士】
【氏名又は名称】高原 昭典
(72)【発明者】
【氏名】尼子 雅章
(72)【発明者】
【氏名】フォン、アンナ ヤーチン
(72)【発明者】
【氏名】西田 文人
【審査官】大西 孝宣
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/148019(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/187909(WO,A1)
【文献】国際公開第2013/137356(WO,A1)
【文献】特開2012-079840(JP,A)
【文献】特開2013-004923(JP,A)
【文献】特開2016-122690(JP,A)
【文献】特表2016-517463(JP,A)
【文献】国際公開第2015/200587(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0118555(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00 - 33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
i)基材を提供する工程であって、前記基材が、前記基材の少なくとも1つの表面上に配列される1つ又は複数の電気光学部品を含む工程と、
ii)前記電気光学部品の表面であって、前記基材に平行である前記表面を充填剤と硬化性シリコーンホットメルトとを含む側方充填剤フィルムと接触させる工程と、
iii)前記側方充填剤フィルムを剥離ライナーと接触させる工程と、
iv)前記側方充填剤フィルムに圧力を適用する工程と、
v)前記剥離ライナーを除去する工程と、
vi)溶媒で拭い取ることによって、前記電気光学部品の上部表面上の残留物を除去して光電子デバイスを作り出す工程とを含み、
前記側方充填剤フィルムが前記残留物を除去する前に未硬化である、光電子デバイスを製造する方法。
【請求項2】
前記電気光学部品が発光ダイオードである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記硬化性シリコーンホットメルトが架橋性樹脂-直鎖状ポリオルガノシロキサン調合物である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記側方充填剤フィルムの厚さが、前記側方充填剤フィルムを前記電気光学部品の前記表面と接触させる前に、前記基材の前記表面からの前記電気光学部品の高さと同等以下に配置される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記充填剤が、TiO、BN、SiO、Al、及びZnO、BaSO、並びにそれらの混合物からなる群から選択される化合物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記溶媒が、イソプロピルアルコール、アセトン、ヘプタン、オクタン、プロピルプロピオネート、トルエン、又はそれらの混合物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
i)請求項1に記載の方法によって製造される、前記作り出された光電子デバイスの上に波長変換層を適用する工程と、次に、
ii)前記側方充填剤フィルム及び前記波長変換層を同時に硬化させる工程とをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
請求項1又は請求項7に記載の方法によって製造される光電子デバイスをイルミネーション、自動車用照明、インジケーターライト、フラッシュ、又はパーソナル電子機器上の照明デバイスにおいて使用する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般的に、光学デバイスを製造する改良された方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ますます白色発光LED(「白色LED」)が使用され、ほとんど全ての用途において従来の蛍光、コンパクト形蛍光光源及び白熱光源に取って代わりつつある。LEDは一般的に、1つ又は複数のフォトルミネッセンス材料(例えば、1つ又は複数の燐光体材料)を含有し、それは、LEDによって放射される放射線の一部を吸収し、異なった色(波長)の光を再放射する。典型的に、LEDは青色光を生成し、燐光体は一定の割合の青色光を吸収し、黄色、緑色、赤色、又は緑色、黄色、及び赤色光の組合せを再放射する。燐光体材料によって吸収されていないLEDによって生成される青色光の一部を燐光体によって放射される光と組み合わせたものは、眼に白色に見える光をもたらす。
【0003】
一般に、白色LEDは、パッケージのキャビティ内に実装される1つ又は複数の青色LEDチップを含み、それは後で、1つ又は複数の燐光体材料を含有する封入剤が充填される;ディスペンシングと呼ばれるプロセス。ディスペンシングによって製造されるこのような白色LEDの不利な点は、最終LEDの色特性をしっかり制御するという問題である。最近、パッケージ化されていないLEDチップに直接に燐光体を適用することによってより良い色調節を可能にする白色LEDを製造することに関心が集まっている。
【0004】
LEDチップは、キャビティ内に置かれるのではなく反射材料によって囲まれることもある。反射構造物はLEDチップを4面すべて囲み、上部発光表面だけを露出させている。このような構造物は一般に、液体白色材料のディスペンシング又は圧縮成形によって製造される。これらの方法の不利な点は、過剰なオーバーモールドされた材料を除去してLEDをきれいに再露出させるのが難しいことである。また、ディスペンシングは、厚さの良い制御及び表面の均一性及び狭い開口を貫通する能力の達成に関する問題に直面する。
【0005】
特開2016174148号公報は、本技術分野のディスペンシング問題を解決しようと試みる、基材上に実装されるLEDアレイを記載する一例である。しかしながら、引用文献は、LEDチップの上部表面を覆う過剰材料を除去する前に完全硬化又は中間b段階硬化工程を必要とする方法を記載する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、基材の上に適用し、側方空間を充填してLEDチップの周りに側壁を製造する充填剤材料と硬化性ホットメルトが接触されるLEDの製造方法を提供することによる先行技術の代替的改良である。材料の別個のb段階硬化工程は必要でなく、つまり、本発明において好ましくない。製造方法のこの改良は、LEDの側壁と上部波長変換層との間の接着性を改良したLEDのより効率的製造を可能にする。
【0007】
本発明は、基材を提供する工程であって、基材が、基材の少なくとも1つの表面上に配列される1つ又は複数の電気光学部品を含む工程と、基材に平行な電気光学部品の表面を充填剤と硬化性シリコーンホットメルトとを含む側方充填剤フィルムと接触させる工程と、側方充填剤フィルムを剥離ライナーと接触させる工程と、及び圧力を適用して光電子デバイスを作り出す工程とを含む、光電子デバイスを製造する方法を提供する。
【0008】
波長変換層の適用及び同時硬化をさらに含むかかる方法もまた、提供される。最後に、本発明の方法によって製造されるデバイス及びこのようなデバイスを使用する方法もまた、提供される。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の態様は、様々な一般的な慣例を使用して本明細書において説明される。例えば、物質の全ての状態は、特に指示しない限り、25℃及び101.3kPaで決定される。全ての%は、特に記載又は指示しない限り、重量による。全ての%値は、特に記載しない限り、組成物を合成又は製造するために使用される固体成分の総量に基づいており、それは合計して100%になる。本発明の態様は、様々な化学用語を使用して本明細書において説明される。前記用語の意味は、本明細書において別に定義されない限り、IUPACによって公表されたそれらの定義に相当する。用語「IUPAC」は、国際純正・応用化学連合を意味する。便宜のため、特定の化学用語が定義される。
【0010】
用語「フィルム」は、1つの次元において制限されている材料を意味する。制限された次元は、「厚さ」として特徴づけられ得る。
【0011】
用語「除去する」、「除去される」、「除去すること」、及び「除去」は、物理的に離れさせることを意味し、したがって結果としてもはや直接触れていない。ここで物理的除去の原因は、事実上機械的であり、化学的手段によるものではない。
【0012】
用語「基材」は、その上で別の材料のホストとして機能し得る少なくとも1つの表面を有する物理的支持体を意味する。
【0013】
用語「LED」は、発光ダイオードを意味する。「LED」は、複数の発光ダイオードを意味する。
【0014】
用語「アレイ」は、典型的に基材上の、LEDの配列を意味する。
【0015】
用語「PET」は、ポリエチレンテレフタレートを意味する。
【0016】
用語「硬化する」又は「硬化される」は、高温で加熱するか又は加熱されて、材料の機械的性質を変化させて、完全な機械的結着性(すなわち標記材料の架橋及び固化又は強靭化)を与えるようにすることを意味する。材料は、高温で架橋を受けない場合未硬化であると考えられる。
【0017】
本発明は、基材を提供する工程を含む光電子デバイスを製造する方法を提供する。本発明に適している本技術分野の従来の基材には、例えば、ポリマー(例えばPET又はポリイミド基材)、絶縁金属、及びセラミック基材が含まれ、それらは金属パターンを有しても有さなくてもよい。基材の少なくとも1つの表面上に少なくとも1つの電気光学部品が配列される。従来の電気光学部品が本発明において使用されてもよい。適した電気光学部品の一例はLEDである。LEDが電気光学部品であるとき、それらはアレイに配列されてもよい。このようなアレイはワイヤーボンドを含んでも含まなくてもよい。本発明のLEDアレイはそれら自体へのワイヤーボンドを有さないと考えられる。すなわち、LEDチップ自体はワイヤーボンドされないが、ワイヤー高さがLEDチップの高さ以下である限り、ワイヤーボンドされる他の部品があり得る(例えば、ツェナーダイオード)。LEDアレイの設計は本技術分野の従来の設計に従っている。
【0018】
また、充填剤と硬化性ホットメルトとを含む側方充填剤フィルムが、電気光学部品が配置される表面に平行な表面と接触され、及び/又は基材に付着されて側方充填剤層を作り出す。このような側方充填剤フィルムは、LEDアレイの上へのフィルムの手作業によるか又は自動化された配置によってLEDの平行な表面と密着して置かれる。
【0019】
側方充填剤フィルムは、光吸収、又は反射などの様々な光学機能を与えるのに役立ち得る。反射側方充填剤フィルムのために、適した充填剤には、例えば、BN、TiO、SiO、Al、Al(OH)、BaSO、ZnO、及びそれらのブレンドが含まれる。
【0020】
側方充填剤フィルムにおいて使用するための硬化性ホットメルトは、触媒及び抑制剤を使用して架橋及び反応させられる架橋性樹脂-直鎖状ポリオルガノシロキサンの巨大分子又は巨大分子の集まりである。樹脂-直鎖状ポリオルガノシロキサン巨大分子は、ヒドロシリル化硬化樹脂-直鎖状オルガノシロキサンブロックコポリマー(R-LOBコポリマー)であり得る。R-LOBコポリマーは、統計的、ランダム又は交互コポリマーなどの非ブロックコポリマーのモノマー配列とは異なるモノマー配列を有する。R-LOBコポリマーは、ジブロック、トリブロック、又はより高次のブロックコポリマーであり得る。R-LOBコポリマーは、明瞭な直鎖状ブロックと明瞭な樹脂ブロックとを特徴としている巨大分子から構成される。直鎖状ブロックは典型的に、大部分、実質的に全て、又は全てのD型オルガノシロキサン単位(RSiO)-を含有し、それらは主に、一緒に結合して二価の直鎖ポリマーセグメント(例えば、それぞれ10~400単位を有する)を形成し、これらの二価の直鎖ポリマーセグメントは本明細書において「直鎖状ブロック」と称される。樹脂ブロックは、大部分、実質的に全て、又は全てのT型オルガノシロキサン単位又はQ単位を含有するが、典型的にそれらはT型オルガノシロキサン単位(RSiO)-である。典型的に、R-LOBコポリマー中に任意のQ単位(SiO)が存在する場合、それらは比較的少数である(全ての単位の5モル%未満)。(さらに、R-LOBコポリマーは、比較的少数*のM型オルガノシロキサン単位(RSiO)-、を含有し得、ここでRはヒドロカルビルである;*典型的に5モル%未満のM型単位)。T型オルガノシロキサン単位は主に、互いに結合して多価の分岐鎖ポリマーセグメントを形成し、それらは本明細書において「非直鎖ブロック」と称される。したがって、R-LOBコポリマーは直鎖状ブロックが非直鎖ブロックに結合している巨大分子から構成される。R-LOBコポリマーの固体形態において、著しい数のこれらの非直鎖ブロックが一緒に凝集して、ナノドメインを形成し得る。R-LOBコポリマーの凝集した非直鎖ブロックは、硬質ドメインと称され得、直鎖状ブロックは軟質ドメインと称され得る。R-LOBコポリマーは、非ブロックコポリマーのガラス転移温度より高いガラス転移温度(Tg)を特徴とし得る。これらのR-LOBコポリマーは、低モル量の不飽和脂肪族基を含有するように設計され得、それらは、(光)電子デバイスの封止又は封入などの下流の工業的用途においてコポリマーの架橋を可能にする。これらのR-LOBコポリマーのいくつかの実施形態は、さらなるタイプの反応性基をさらに含有し、それは、そのように官能化されたR-LOBコポリマーを二重硬化機構において使用することを可能にする。いくつかのR-LOBコポリマーはナノ相分離型であり、それは、主にD単位からなる直鎖状ブロックのナノサイズのドメインと主にT単位からなる樹脂ブロックのナノサイズのドメインとを含む。
【0021】
樹脂-直鎖状ポリオルガノシロキサン巨大分子は、40~90モルパーセントの、式[R SiO]のD型単位と、10~60モルパーセントの、式[RSiO]のT型単位と、0.5~35モルパーセントのシラノール基[Si-OH]とを含むヒドロシリル化硬化樹脂-直鎖状オルガノシロキサンブロックコポリマーを含み得;上式中、それぞれのR及びRは独立に、0個の脂肪族不飽和結合を有する(C-C30)ヒドロカルビルであるか又は少なくとも1個の脂肪族不飽和結合を含む(C-C30)ヒドロカルビルであり、樹脂-直鎖状オルガノシロキサンブロックコポリマーは、少なくとも1個の脂肪族不飽和結合を含む(C-C30)ヒドロカルビル0.5~5モルパーセントを含み;ここで、D型単位[R SiO]は、平均100~300のD型単位[R SiO]/直鎖状ブロックを有する直鎖状ブロック内に配列され、T型単位[RSiO]は、少なくとも500グラム/モル(g/モル)の分子量を有する非直鎖ブロック内に配列され、非直鎖ブロック少なくとも30モルパーセントが互いに架橋され、それぞれの直鎖状ブロックは、D型又はT型シロキサン単位を含む二価のリンカーを介して少なくとも1つの非直鎖状ブロックに連結している。樹脂-直鎖状オルガノシロキサンブロックコポリマーは、少なくとも20,000g/モルの重量平均分子量(Mw)を有し得る。
【0022】
本技術分野に公知のR-LOBコポリマーなど、任意の樹脂-直鎖状オルガノシロキサンブロックコポリマーが考えられる。例えば、米国特許出願公開第2013/0165602A1号明細書、米国特許出願公開第2013/0168727A1号明細書、米国特許出願公開第2013/171354A1号明細書、米国特許出願公開第2013/0172496A1号明細書、及び米国特許出願公開第2013/0245187A1号明細書を参照のこと。次いで、ヒドロシリル化(Hydrosilyation)硬化性樹脂-直鎖状オルガノシロキサンブロックコポリマーは架橋剤及び適切な触媒とブレンドされ、そしてまた、他の望ましい添加剤も含有して、ヒドロシリル化(hydrosilylation)硬化性樹脂-直鎖状調合物を作り出すことができる。Dow Corning Toray,Chibaから市販されている燐光体フィルムバインダー、及びDow CorningLF-1113と同等な、Dow CorningLF-1201は、このようなヒドロシリル化硬化性樹脂-直鎖状調合物の例である。
【0023】
次いで、側方充填剤フィルムの露出面は、従来の手段によって剥離ライナーと接触させられる。剥離ライナーは典型的に、剥離(すなわち非粘着性)特性を有するポリマー基材であり、シリコーン処理PET、ETFE、及びTeflon、好ましくはシリコーン処理PETを含む。圧力が剥離層に適用される。このような圧力は真空下で適用されてもよい。本発明の側方充填剤層は、厚さ10~1000μm、好ましくは25~500μm、より好ましくは50~200μmであるように適用され得る。好適には、光学機能性層の厚さは、基材表面から測定されるLEDの高さと同等以下であるのがよい。組成物を調節して、所望の反射能並びに粘弾性特性を生じさせるのがよい。剥離ライナーに圧力が適用される。この加圧前に、有利には、側方充填剤フィルムは未硬化である。LEDの側方連続層と側方充填剤フィルムが基材表面上にあり、基材に平行であり且つそれに接続されていない露出LED/側方充填剤フィルムの一部の上に剥離ライナーが残っている。
【0024】
次に、剥離ライナーは、剥離又は別の従来の手段によって除去される。剥離ライナーの除去後に、側方充填剤材料の残留物がしばしば、LEDチップの表面上に残る。有利には、本発明は、LEDチップ上の過剰な側方充填剤材料残留物を簡単な拭い取り方法によって除去することを可能にする。除去は、溶媒で湿らせた拭き取り材又は溶媒コーティング工具を使用する数回の弱い拭き取りのような簡単なものでよい。様々な溶媒が使用されてもよいが、イソプロピルアルコール(「IPA」)、へプタン、及びヘキサンが好ましい。溶媒の混合物もまた、適している場合がある(例えば、IPA中の少量のアセトン又はプロピルプロピオネート)。ベンゼン、トルエン、及びキシレンなどの他の炭化水素もまた効果があり、混合物として使用されるが、それらは膨潤し、及び/又はb段階層の完全性に影響を与える場合があるので、そしてまた、健康及び/又は環境危険のために好ましくない。残留溶媒レベルは典型的に、500ppm未満及び好ましくは100ppm未満である。
【0025】
付加的な層/構造物を本発明の光電子デバイスに添加し得ると考えられる。実施例は、LEDを囲み、高コントラストディスプレイ配置を提供する光吸収性母材であり得る。このような構造物は、本発明に記載される方法を繰り返して光吸収性側方充填剤フィルムを本発明の光電子デバイスに適用することによって製造され得る。光電子デバイスを開いてカーボンブラック配合(光吸収性)側方充填剤フィルムを充填するための方法は、厚いダイシングブレード又はダイシングを使用して溝を切って第二/代替基材上に再実装することによるなど、従来の手段による。
【0026】
本発明の光電子デバイスに加えられ得る付加的な層/構造物の別の実施例は、燐光体を含有する色変換層などの本技術分野においてすでに記載されているような波長変換層であり、国際公開第2016/065016A1号パンフレットに記載されている方法などの本技術分野に公知の方法によって適用され得る。
【0027】
本発明の方法によって製造される光電気デバイスは、様々な用途に適用可能性を有する。例えば、それらは、イルミネーション、自動車用照明、インジケーターライト、フラッシュ、及びパーソナル電子機器上の照明デバイスにおいて使用され得る。
【0028】
本発明は、以下のその非限定的な実施例によってさらに説明され、発明の実施形態は、それらの特徴及び制限条件の任意の組合せを含んでもよい。特に指示しない限り、周囲温度は約23℃である。
【実施例
【0029】
使用される樹脂
【0030】
【表1】
【0031】
側方充填剤フィルムの調製:
実施例1:
53.4gの樹脂A、5.39gの昭和電工(Showa Denko)窒化ホウ素粉末UHP-S1(0.5umD)、及び2.86gのプロピルプロピオネートを混合容器に添加した。これらの成分を2分間手作業で混合し、その後に、Thinky ARV-310LEDを使用して1200rpm/2分/真空を用いずに2回混合した。混合物をさらに、1200rpm/30秒/10kPa(すなわち、真空下で)で、次いで600rpm/30秒/5kPaで混合した。491umの間隙を有する炎アプリケーターを使用してスラリーをシリコーン処理PET上にコートし、30分間70℃の温度の炉を使用して加熱してフィルムを乾燥させた。得られたフィルムは厚さ197umであった。コニカミノルタ(Konica Minolta)CM-5を使用して測定された450nmでの反射能は81.6%であった。
【0032】
実施例2:
34.7gの樹脂A、17.3gの堺化学(Sakai Chem)チタニア粉末SX-3103(0.2umD)、及び2.0gのプロピルプロピオネートを混合容器に添加した。これらの成分をThinkyARV-310を使用して2000rpm/2分で真空を用いずに2回混合した。混合物をさらに、2000rpm/30秒/10kPa(すなわち、真空下で)で、次いで800rpm/30秒/5kPaで混合した。324umの間隙を有するコンマコーターを使用してスラリーをシリコーン処理PET上にコートし、60℃~100℃に徐々に上昇する温度で1.2m炉を使用して加熱してフィルムを乾燥させた。得られたフィルムは厚さ139umであった。コニカミノルタ(Konica Minolta)CM-5を使用して測定された450nmでの反射能は96.6%であった。
【0033】
実施例3:
3.175gのモメンティブ(Momentive)PT120P001窒化ホウ素(D50=12um;D90=20um)を10gの樹脂Aに添加した。第1の混合と第2の混合との間の手作業による混合によって2000rpmで30秒間FlackTek DAC150 VAC-P速度ミキサー内で混合物を3回混合した。付加的な混合を真空下で(200mmHg未満に達する)1500rpmで60秒間実施した。卓上型自動コーターを使用して、得られたスラリーをシリコーン処理PET(三菱ポリエステル2SLKN)上にコートし、次いで70℃で60分間乾燥させ、厚さ152μmのフィルムを生じた。
【0034】
側方充填剤フィルム積層及び残留物除去方法:
実施例4:
実施例2において製造されたフィルム材料をそれらのチップ高さが150μmであるLEDアレイ上に置いた。上部プレート及び下部プレートの両方の温度を100℃に設定したイモト・ヴァキュアム(Imoto Vacuum)プレスIMC-4C05内にこの積層体を配置し、次に、フルオロシリコーン処理PET(タカラ・インコーポレーション(Takara incorporation)FL2-01#75)のシートで覆った。システムを1分間脱気し、その間に真空が0.04kPaに達し、次に、デバイス温度100℃で60秒間真空下での圧縮1kNを適用した。全厚152μmの得られたラミネートをプレスから取出し、剥離ライナーを剥離し、薄い残留白色材料を有するLEDアレイを示した。イソプロピルアルコール(IPA)で湿らせたクリーンルーム布を使用して手で拭い取って残留物を除去し、白色リフレクターで満たされているLEDチップのきれいな表面を露出させた。
【0035】
実施例5:
実施例1において製造されたフィルム材料を最初に50℃で圧縮して厚さ150μmのフィルムを製造した。得られたフィルムをそれらのチップ高さが150μmであるLEDアレイ上に置いた。水循環を使用して上部プレートが100℃に加熱され、下部プレートが30℃未満に保たれているイモト・ヴァキュアム(Imoto Vacuum)プレスIMC-4C05内にこの積層体を置き、次に、フルオロシリコーン処理PET(Takara incorporation、FL2-01#75)のシートで覆った。システムを1分間脱気し、その間に真空が0.04kPaに達し、次に、デバイス温度72℃で60秒間真空下での圧縮1kNを適用した。全厚151μmの得られたラミネートをプレスから取出し、剥離ライナーを剥離し、薄い残留白色材料を有するLEDアレイを示した。イソプロピルアルコール(IPA)で湿らせたクリーンルーム布を使用して手で拭い取って残留物を除去し、白色リフレクターで満たされているLEDチップのきれいな表面を露出させた。
【0036】
比較例1:
厚さ197μmの、実施例1において製造されたフィルム材料をそれらのチップ高さが150μmであるLEDアレイ上に置いた。水循環を使用して上部プレートが100℃に加熱され、下部プレートが30℃未満に保たれているイモト・ヴァキュアム(Imoto Vacuum)プレスIMC-4C05内にこの積層体を置き、次に、フルオロシリコーン処理PET(Takara incorporation、FL2-01#75)のシートで覆った。システムを1分間脱気し、その間に真空が0.04kPaに達し、次に、デバイス温度72℃で60秒間真空下での圧縮1kNを適用した。全厚187μmの得られたラミネートをプレスから取出し、剥離ライナーを剥離し、薄い残留白色材料を有するLEDアレイを示した。厚さ47μmの残留物は、イソプロピルアルコール(IPA)で湿らせたクリーンルーム布を使用して手で拭い取って除去してLEDチップのきれいな表面を露出することができなかった。
【0037】
したがって、材料をより高い温度又はより高い圧力下でLEDチップの近接高さまで圧縮するか、又は元のフィルムの厚さがLED高さに近いのがよい。
【0038】
実施例6:
実施例3において製造されたフィルム材料をLEDアレイ上に置いた。140℃に設定されたホットプレート温度を有する真空ラミネーター(社内注文の用具)の試料ホルダー上にこの積層体を置いた。LEDアレイ/白色フィルム積層体をシリコーン処理PET(三菱ポリエステル2SLKN)のシートで覆い、次に、アルミニウムブロックの小片(約5cm×5cm×1cm)及びプレート(3インチ×5インチ×1/4インチ)、全重量316gをフィルム上に置いた。ラミネーターは、試料を約1mmホットプレートの上に上げたままにしながら真空が約28.5インチHgに達する60秒間脱気された。ブラダーを使用して、アルミニウムブロック/プレートを加圧し、そして次にそれはLED基材/フィルム/ライナー組立体全体をホットプレート上に押し付け、基材/白色フィルム積層体を30秒間加熱した。ブラダーの上及び下のチャンバ内の差圧は約10インチHgであった。得られた試料は、LEDチップの表面を覆う残留材料の非常に薄い層を示し、それはヘプタンで湿らせたクリーンルーム拭き取り材を使用して数回の拭き取りで除去することができた。
【0039】
側方充填剤フィルム(BNフィルム)と波長変換層(燐光体フィルム)との間の接着性:
実施例7:
30.407gのNYAG-4454S(Intematix)及び0.751gのプロピルプロピオネートを18gの樹脂Bに添加した。第1の混合と第2の混合との間の手作業による混合によって2000rpmで30秒間FlackTek DAC150 VAC-P速度ミキサー内で混合物を3回混合した。付加的な混合を真空下で(200mmHg未満に達する)1500rpmで60秒間実施した。卓上型自動コーターを使用して、得られたスラリーをシリコーン処理PET(三菱ポリエステル2SLKN)上にコートし、次いで70℃で60分間乾燥させ、厚さ50μmの燐光体フィルムをもたらした。
【0040】
6.984gの窒化ホウ素(BN)(PCTP2;サンゴバン(SaintGoban))及び2.40gのプロピルプロピオネートを22gの樹脂Aに添加した。第1の混合と第2の混合との間の手作業による混合によって2000rpmで30秒間FlackTek DAC150 VAC-P速度ミキサー内で混合物を3回混合した。付加的な混合を真空下で(200mmHg未満に達する)1500rpmで60秒間実施した。卓上型自動コーターを使用して、得られたスラリーをシリコーン処理PET(三菱ポリエステル2SLKN)上にコートし、次いで90℃で90分間乾燥させ、厚さ150μmのBNフィルムをもたらした。燐光体フィルム及びBNフィルムをそれぞれ1インチ×1インチのシートに切り分け、別個のアルミニウムプレート(1×25×75mm)上にラミネートした。BNフィルムでラミネートされた4つのアルミネートプレートを160℃で1時間の間硬化させて、「硬化BNフィルム」を得た(5つは未硬化のままにされた)。未硬化燐光体フィルムを有するAlプレートをBNフィルムを有するAlプレートと組み合わせて、燐光体フィルムとBNフィルムとが完全に重なり合い、一対のクリップで一緒に保持されるようにした。これらの組立体を16時間160℃で硬化させて、ラップ剪断試験体を製造した。試験体をインストロン・モデル5566上で2インチ/分で引っ張り、引張強さを測定した。表1に接着破壊モードも記載し、要約した。予備硬化BNフィルム試験体(すなわち、未硬化燐光体フィルム+硬化BNフィルム)は低めの引張強さであると評価され、全てが2つのフィルムの間の接着層破壊を示した。BNフィルム及び燐光体フィルムが同時に硬化されるとき(すなわち、未硬化燐光体フィルム+未硬化BNフィルム)、引張強さはより高く、破壊は凝集破壊又は燐光体フィルムと基材との間の接着層破壊のどちらかで起こり(すなわち、2つのフィルムの間の接着層破壊は無い)、それによって2つの層の間の接着性の改良を示した。
【0041】
【表2】
【0042】
ダイ剪断試験によって測定される側方充填剤フィルム(TiO白色フィルム)及び波長変換層(燐光体フィルム)の接着性
実施例8:
5.487gのTiO(SX-3103;堺化学(Sakai Chem))及び1.01gのプロピルプロピオネートを10.91gの樹脂Bに添加した。混合物を2分間手作業で混合し、その後に、Thinky ARV-310LEDを使用して1200rpm/2分で真空を用いずに2回混合した。混合物を1200rpm/30秒/10kPaで(すなわち、真空下で)、次いで600rpm/30秒/5kPaでさらに混合した。得られたスラリーをTeflon PSAダム(厚さ180μm)を有するAlプレート(1×25×75mm)上に流延した。30分間70℃で乾燥させることによって厚さ90μmの未硬化TiO層が得られた(#4225未硬化)。30分間70℃で乾燥させ、その後に、120℃で1時間、次いで160℃で2時間加熱することによって厚さ90μmの硬化TiO層が得られた。(#4225硬化)。
【0043】
33.303gのTiO(SX-3103;堺化学(Sakai Chem))及び5.04gのプロピルプロピオネートを10.78gの樹脂Aに添加した。混合物を2分間手作業で混合し、その後に、Thinky ARV-310LEDを使用して1200rpm/2分/真空を用いずに2回混合した。混合物を1200rpm/30秒/10kPaで(すなわち、真空下で)、次いで600rpm/30秒/5kPaでさらに混合した。得られたスラリーをTeflon PSAダム(180um厚さ)を有するAlプレート(1×25×75mm)上に流延した。30分間70℃で乾燥させることによって厚さ90μmの未硬化TiO層が得られた(#4226未硬化)。30分間70℃で乾燥させ、その後に、120℃で1時間、次いで160℃で2時間加熱することによって厚さ90μmの硬化TiO層が得られた (#4226硬化)。
【0044】
5.323gのNYAG-4454L(Intematix、YAG燐光体、13μm直径)及び1.01gのプロピルプロピオネートを10.88gの樹脂Bに添加した。混合物を2分間手作業で混合し、その後に、Thinky ARV-310LEDを使用して1200rpm/2分/真空を用いずに2回混合した。混合物を1200rpm/30秒/10kPaで(すなわち、真空下で)、次いで600rpm/30秒/5kPaでさらに混合した。750umの間隙を使用してスラリーをシリコーン処理PET上にコートし、その後に、70℃で2時間処理して厚さ290μmのフィルムを調製した(#4227)。
【0045】
直径8mmの290umT#4227燐光体フィルムを打ち抜き、それぞれのTiO層上に置いた。次に、1×10×10mmのAlチップを燐光体フィルム上に置き、Alチップ/燐光体フィルム/TiO層/Alプレート構造物を製造した。燐光体フィルムをアルミニウムプレート上に直接置き、次いでAlチップを置いて別の組合せを製造した(すなわち、TiO層を使用しない:Al/燐光体フィルム/Alプレート)。全ての試料を120℃/1時間+160℃/2時間硬化させた。Alチップを剪断してダイ剪断強さを測定し、結果は、TiO層が存在しているとき改良された接着強さを示し、TiOと燐光体層が一緒に硬化されるとき(すなわち、組立体全体の硬化前にTiO層が未硬化であるとき)一層改良された接着強さを示す。
【0046】
【表3】