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  • 特許-オレフィンのオリゴマー化方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-02
(45)【発行日】2022-12-12
(54)【発明の名称】オレフィンのオリゴマー化方法
(51)【国際特許分類】
   C07C 2/32 20060101AFI20221205BHJP
   C07C 11/02 20060101ALI20221205BHJP
   B01J 31/24 20060101ALI20221205BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20221205BHJP
   C08F 10/02 20060101ALN20221205BHJP
【FI】
C07C2/32
C07C11/02
B01J31/24 Z
C07B61/00 300
C08F10/02
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020512714
(86)(22)【出願日】2018-07-18
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-12-03
(86)【国際出願番号】 KR2018008102
(87)【国際公開番号】W WO2019066224
(87)【国際公開日】2019-04-04
【審査請求日】2021-06-24
(31)【優先権主張番号】10-2017-0127147
(32)【優先日】2017-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】308007044
【氏名又は名称】エスケー イノベーション カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SK INNOVATION CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】26, Jong-ro, Jongno-gu, Seoul 110-728 Republic of Korea
(73)【特許権者】
【識別番号】515215276
【氏名又は名称】エスケー ジオ セントリック カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】ソン スンレル
(72)【発明者】
【氏名】パク ヒョスン
(72)【発明者】
【氏名】ソン インヒョプ
(72)【発明者】
【氏名】シム ソ ヒ
(72)【発明者】
【氏名】パク チャンセム
(72)【発明者】
【氏名】ジュン ウスン
【審査官】高森 ひとみ
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2010/0113851(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0228723(US,A1)
【文献】特表2016-529222(JP,A)
【文献】国際公開第2014/209711(WO,A1)
【文献】特表2014-500251(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0090508(US,A1)
【文献】特表2010-526647(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
反応器にオリゴマー化遷移金属触媒、オレフィン単量体、および溶媒を投入し、オレフィンのオリゴマー化反応を行って、オリゴマーを生成するステップと、
前記オリゴマー化反応の反応生成物に、数平均分子量が400以上であり、ホスフィン(phosphine)系化合物、アミン系化合物、チオール系化合物、エーテル(ether)系化合物、エステル(ester)系化合物、カルボン酸(carboxylic acid)、ケトン(ketone)系化合物またはアルコール系化合物である触媒不活性化剤を投入し、触媒を不活性化するステップと、
蒸留器で、前記オリゴマーを蒸留して分離するステップと、
前記触媒不活性化剤を前記蒸留器の下端に分離するステップとを含む、オレフィンのオリゴマー化方法。
【請求項2】
前記触媒不活性化剤の数平均分子量が、600以上である、請求項1に記載のオレフィンのオリゴマー化方法。
【請求項3】
前記触媒不活性化剤は、数平均分子量を基準として炭素数が31個以上である、請求項1に記載のオレフィンのオリゴマー化方法。
【請求項4】
前記触媒不活性化剤は、下記化学式1で表される、請求項1に記載のオレフィンのオリゴマー化方法。
【化1】
(前記化学式1中、nは、11以上170以下である。)
【請求項5】
前記オリゴマー化反応の反応生成物内の直鎖状アルファオレフィン100重量%に対して、1‐オクテン(1‐Octene)が30重量%以上含まれる、請求項1に記載のオレフィンのオリゴマー化方法。
【請求項6】
前記反応器にオリゴマー化遷移金属触媒、オレフィン単量体および溶媒を投入し、オレフィンのオリゴマー化反応を行うときに、助触媒をさらに投入し、前記助触媒は、アルミニウム化合物、有機アルミノキサン、有機ホウ素化合物またはこれらの混合物である、請求項1に記載のオレフィンのオリゴマー化方法。
【請求項7】
前記触媒不活性化剤の投入量は、
モル数を基準として、前記助触媒内のアルミニウム、ホウ素、またはこれらを合わせた総モル数に対して、1.5~20倍である、請求項に記載のオレフィンのオリゴマー化方法。
【請求項8】
前記オリゴマーを分離するステップにおいて、前記オリゴマーをC5以下のオリゴマー、1‐ヘキセン(1‐Hexene)、1‐ヘキセン以外のC6およびC7のオリゴマー、1‐オクテン(1‐Octene)、1‐オクテン以外のC8およびC9~C20のオリゴマーに分離する、請求項1に記載のオレフィンのオリゴマー化方法。
【請求項9】
前記遷移金属触媒は、
ML(L(X)またはM (L(X)、(式中、Mは、遷移金属であり、Lは、ヘテロリガンドであり、Lは、アセチルアセトネート系リガンドであり、XおよびXは、それぞれ独立して、ハロゲンであり、pは、0または1以上の整数であり、qは、(Mの酸化数-p)の整数であり、yは、2以上の整数であり、zは、(2×Mの酸化数)-yの整数であり、前記ヘテロリガンドは、(R) B‐C‐D(R) で表され、BおよびDは、独立して、リン、ヒ素、アンチモン、酸素、ビズマス、硫黄、セレンおよび窒素から選択されるいずれか一つであり、Cは、BとDとの連結基であって、アルキレンまたはN(R´)であり、このとき、R´はアルキルであり、Rは、それぞれ独立して、ヒドロカルビル、ヘテロヒドロカルビル、置換されたヒドロカルビルおよび置換されたヘテロヒドロカルビル基から選択され、nおよびmは、それぞれ、BまたはDの各原子価および酸化状態で決定される。)で表される、請求項1に記載のオレフィンのオリゴマー化方法。
【請求項10】
前記オレフィン単量体は、エチレンであり、オリゴマーは、C4~C40直鎖状アルファオレフィンの混合物を含む、請求項1に記載のオレフィンのオリゴマー化方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オレフィンのオリゴマー化方法に関し、より詳細には、高付加化が可能なオレフィンのオリゴマー化方法に関する。
【背景技術】
【0002】
エチレンは、その生産量および消費量を国の化学産業規模の指標として判断するほどに、化学産業の基礎原料として使用される原料である。通常、エチレンは、ポリエチレンなどの重合体を製造する単量体として使用しており、場合によっては、重合度を調節し、約C4~C40の炭素長さ(または鎖)を有する直鎖状アルファオレフィン(Linear Alpha Olefin、LAO)を製造し、様々な化学物質を製造するために使用している。
【0003】
LAOの製造技術が重要な理由は、LAOが、原油から由来した硫黄(sulfur)および窒素(nitrogen)が含有されていない化学物質である点である。通常、原油は、硫黄および窒素成分のような不純物を数重量%水準に含有しており、かかる不純物が含有されていない純粋な炭化水素からなる化合物質を直接製造することは困難である。
【0004】
しかし、原油の接触分解反応から取得されたエチレンをLAOに転換し、これをまた所望の化学物質に転換する場合、不純物が含有されていない純粋な炭化水素からなる化学物質を得ることができる。
【0005】
エチレン重合反応は、主に、空気‐敏感性(air‐sensitive)条件およびメタロセン触媒の存在下で、回分式反応器(batch reactor)を用いて行われる。メタロセン触媒は、非常に強い単一酸点を有する触媒であるため、エチレンが触媒の単一酸点で選択的に重合され、かかる特性によって触媒の酸点で直鎖状に成長する。結局、LAOの製造反応により生成されるオレフィンは、エチレンを単量体として使用することから、偶数個の炭素数を有する直鎖状アルファオレフィンの構造を有することになる。
【0006】
LAOの製造工程により生成された直鎖状アルファオレフィンは、炭素数に応じて互いに区別される物性を有しており、これより製造された化学物質の物性も、原料物質であるLAOによって区別される物性を有することになる。例えば、2個のエチレン単量体が重合されて取得されるC4 LAOの場合、ガス状に存在し、その重合から得られた高分子は、分子内の枝が多すぎるため、特定の製品、例えば、潤滑油基油として適用することが困難である。一方、3個のエチレン単量体が重合されて得られたC6 LAOも、高分子に転換されるとしても分子内の枝が多いため、潤滑油基油などとして適用することは困難である。ただし、エチレンとC6 LAOを共重合する場合には、従来のポリエチレンと相違する物性を有するエチレン‐1‐ヘキセン共重合体を製造することができる。4個のエチレン単量体が重合されたC8 LAOの場合、重合によりグループIV潤滑油基油として適用することもでき、C6 LAOでのように、エチレンとの共重合体を製造するために使用され得る。また、C10~C12のLAOは、重合し、主に、グループIV潤滑油基油として使用されており、C14~C16のLAOは、アミンまたはコハク酸と反応させて、様々な機能性化学物質として適用されるか、混合して低価のドリリング流体などとして適用され得る。また、C18以上のLAOは、潤滑油の添加剤またはワックス状に使用され得る。
【0007】
すなわち、C6~C12程度のLAOだけでなく、C18以上の高炭素のLAOも活用可能性が高く、エチレンのオリゴマー化反応工程の高付加化のために、これらも高純度で分離する必要がある。
【0008】
一方、エチレンのオリゴマー化反応の後、反応器の後端での副反応を抑制するための触媒不活性化剤として、2‐エチルヘキサノール(2‐ehthylhexanol)、ペンタノール(pentanol)がよく使用されている。これらは、触媒不活性化効率は良好である。しかし、これらは、後段工程として蒸留の際に、特定のLAO成分との分離が難しいという問題がある。
【0009】
具体例として、2‐エチルヘキサノール(2‐ehthylhexanol)の場合、C10 LAOと互いに分離され難いという問題があり、オリゴマー化反応生成物からこれを分離するためには、さらなる反応器が必要であるか、過酷な(severe)反応条件が必要となり、分離効率が劣るだけでなく、工程コストが上昇するという問題がある。
【0010】
そのため、反応後、十分な触媒不活性化が確保され、且つ反応生成物内に広い範囲の炭素数を有するLAOを高い分離効率で分離することができるエチレンのオリゴマー化反応による直鎖状アルファオレフィンの製造工程が必要となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の一様態は、反応器の後端での無駄な副反応を抑制することで、高い純度および収率で直鎖状アルファオレフィンの製造が可能であり、且つC10以上の高炭素のLAOも高い分離効率で分離することで、工程の高付加化が可能なオレフィンから直鎖状アルファオレフィン(Linear Alpha Olefin、LAO)を製造する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一様態は、反応器にオリゴマー化遷移金属触媒、オレフィン単量体、および溶媒を投入し、オレフィンのオリゴマー化反応を行って、オリゴマーを生成するステップと、前記オリゴマー化反応の反応生成物に、酸素、リン、窒素、および硫黄からなる群から選択される少なくとも一つを含む官能基のうち1種以上を含み、数平均分子量が400以上である触媒不活性化剤を投入し、触媒を不活性化するステップと、蒸留器で、前記オリゴマーを蒸留して分離するステップと、前記触媒不活性化剤を前記蒸留器の下端に分離するステップとを含むオレフィンのオリゴマー化方法を提供する。
【0013】
触媒不活性化剤の数平均分子量が、600以上であってもよい。
【0014】
触媒不活性化剤は、数平均分子量を基準として炭素数が31個以上であってもよい。
【0015】
触媒不活性化剤は、ホスフィン(phosphine)系化合物、アミン系化合物、チオール系化合物、エーテル(ether)系化合物、エステル(ester)系化合物、カルボン酸(carboxylic acid)、ケトン(ketone)系化合物またはアルコール系化合物であってもよい。
【0016】
触媒不活性化剤は、下記化学式1で表されてもよい。
【化1】
(化学式1中、nは、11以上170以下である。)
【0017】
オリゴマー化反応の反応生成物内の直鎖状アルファオレフィン100重量%に対して、1‐オクテン(1‐Octene)が30重量%以上含まれてもよい。
【0018】
反応器にオリゴマー化遷移金属触媒、オレフィン単量体および溶媒を投入し、オレフィンのオリゴマー化反応を行うときに、助触媒をさらに投入してもよい。
【0019】
助触媒は、有機アルミニウム化合物、有機アルミノキサン、有機ホウ素化合物またはこれらの混合物であってもよい。
【0020】
触媒不活性化剤の投入量は、モル数を基準として、助触媒内のアルミニウム、ホウ素、またはこれらを合わせた総モル数に対して、1.5~20倍であってもよい。
【0021】
本発明の一様態のオレフィンのオリゴマー化方法は、前記オリゴマーを分離するステップにおいて、前記オリゴマーをC5以下のオリゴマー、1‐ヘキセン(1‐Hexene)、1‐ヘキセン以外のC6およびC7のオリゴマー、1‐オクテン(1‐Octene)、1‐オクテン以外のC8およびC9~C20のオリゴマーに分離してもよい。
【0022】
遷移金属触媒は、ML(L(X)またはM (L(X)、(式中、Mは、遷移金属であり、Lは、ヘテロリガンドであり、Lは、有機リガンドであり、XおよびXは、それぞれ独立して、ハロゲンであり、pは、0または1以上の整数であり、qは、(Mの酸化数-p)の整数であり、yは、2以上の整数であり、zは、(2×Mの酸化数)-yの整数である。)で表されてもよい。
【0023】
オレフィン単量体は、エチレンであり、オリゴマーは、C4~C40直鎖状アルファオレフィンの混合物を含んでもよい。
【発明の効果】
【0024】
本発明の一様態のオレフィンのオリゴマー化方法によると、反応器の後端または反応末期での無駄な副反応を抑制することで、高い純度および収率で直鎖状アルファオレフィンを製造することができる。
【0025】
また、C10以上の高炭素のLAOも高い分離効率で分離することで、工程エネルギーの減少および工程効率の増加が可能になるだけでなく、LAOの製造工程の観点で、高付加化が可能になるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の一様態によるオレフィンのオリゴマー化方法を行うことができるプラントの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
他の定義がない限り、本明細書で使用されるすべての用語(技術および科学的用語を含む)は、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者が共通して理解し得る意味で使用され得る。明細書の全体において、ある部分がある構成要素を「含む」とした時に、これは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除くものではなく、他の構成要素をさらに含み得ることを意味する。また単数型は、文章で特に断らない限り、複数型をも含む。
【0028】
オレフィンのオリゴマー化反応生成物のうち、低炭素の直鎖状アルファオレフィン(Linear Alpha Olefin、LAO)だけでなく、C10以上の高炭素のLAOも活用可能性が高く、オレフィンのオリゴマー化反応工程の高付加化のために、これらも高純度で分離する必要がある。
【0029】
本発明の一様態は、C10以上、具体的にはC18以上の高炭素のLAOの分離効率を高めることで、オレフィンのオリゴマー化反応工程の高付加化を実現することができるオレフィンのオリゴマー化方法を提供する。
【0030】
具体的には、本発明の一様態は、反応器にオリゴマー化遷移金属触媒、オレフィン単量体、および溶媒を投入し、オレフィンのオリゴマー化反応を行ってオリゴマーを生成するステップと、前記オリゴマー化反応の反応生成物に、酸素、リン、窒素、および硫黄からなる群から選択される少なくとも一つを含む官能基のうち1種以上を含み、数平均分子量が400以上である触媒不活性化剤を投入し、触媒を不活性化するステップと、蒸留器で前記オリゴマーを蒸留し、分離するステップと、前記触媒不活性化剤を前記蒸留器の下端に分離するステップとを含むオレフィンのオリゴマー化方法を提供する。
【0031】
本発明の一様態のオレフィンのオリゴマー化方法は、反応末期に数平均分子量(M)が400以上であり、酸素、リン、窒素、および硫黄からなる群から選択されるいずれか一つを含む官能基のうち1種以上を含む触媒不活性化剤を添加することができる。これにより、オリゴマー化反応の反応選択度が向上することができる。オリゴマー化反応の反応選択度は、反応生成物内の1‐オクテン(1‐octene)の純度で評価され得、1‐オクテンは、重合によりグループIV潤滑油基油として適用することもでき、C6 LAOでのように、エチレンとの共重合体を製造するのに使用され得る高価の物質であるため、1‐オクテンの純度が高いほど、反応の高付加化が可能である。
【0032】
また、数平均分子量(M)が400以上であり、酸素、リン、窒素、および硫黄からなる群から選択されるいずれか一つを含む官能基のうち1種以上を含む触媒不活性化剤を添加することで、オリゴマー化反応の際、反応器の後端、または反応末期に無駄に発生する副反応を抑制し、C4~C40の直鎖状アルファオレフィンの収率を向上させることができる。また、かかる触媒不活性化剤を使用することで、蒸留により生成された直鎖状アルファオレフィンを分離する際、触媒不活性化剤と直鎖状アルファオレフィンが互いに分離される効率が向上する結果として生成された直鎖状アルファオレフィンの最終収率がより向上することができる。より具体的には、かかる触媒不活性化剤を使用することで、蒸留過程において、触媒不活性化剤は、蒸留器の下端に分離することができ、低炭素の直鎖状アルファオレフィン、C10以上、具体的にはC18以上の高炭素の直鎖状アルファオレフィンを蒸留器の上端または中央部の付近で容易に分離することができる。
【0033】
触媒不活性化剤の沸点が高いほど、蒸留過程において直鎖状アルファオレフィンの分離が容易であると考えられるが、有機化合物触媒不活性化剤は、沸点に逹する前に分解(decomposing)され得、不活性化過程において、触媒または助触媒との物理的な結合または錯体の形成などの化学的な相互作用によって蒸留時に分離様相が変化し得る。
【0034】
したがって、単に沸点が高いとして直鎖状アルファオレフィンの分離が容易であると見ることができず、本発明のオレフィンのオリゴマー化方法において数平均分子量(M)が400以上であり、酸素、リン、窒素、および硫黄からなる群から選択されるいずれか一つを含む官能基のうち1種以上を含む触媒不活性化剤を使用することで、オリゴマー化反応生成物内の直鎖状アルファオレフィンと触媒不活性化剤の分離効率が向上することを確認した。
【0035】
触媒不活性化剤の数平均分子量は、具体的には600以上、700以上、または1000以上であってもよい。
【0036】
結果、オリゴマー化反応生成物において触媒不活性化剤などから目的とする直鎖状アルファオレフィンを分離するために、さらなる反応器が必要になるか、過酷な(severe)反応条件が必要になるという問題を解決することができる。また、直鎖状アルファオレフィンの分離効率が向上し、工程エネルギーおよび工程時間が著しく短縮され得、低炭素の直鎖状アルファオレフィンだけでなく、C10以上、より具体的にはC18以上の直鎖状アルファオレフィンも容易に分離することができ、オレフィンのオリゴマー化工程がより高付加化され得る。
【0037】
触媒不活性化剤の数平均分子量の上限は、10,000以下、5000以下、または2000以下であってもよいが、これに限定されるものではない。
【0038】
本発明において、オリゴマー化反応の反応生成物の直鎖状アルファオレフィンは、C4~C40の直鎖状アルファオレフィンであってもよく、より具体的にはC4~C30またはC4~C20の直鎖状アルファオレフィンであってもよい。さらに具体的には、直鎖状アルファオレフィンは、1‐オクテンを30重量%以上、または50重量%以上含んでもよい。1‐オクテンは、活用範囲が広く、高価の物質である点から、1‐オクテンを上述の範囲で含むことで、オレフィンのオリゴマー化工程の高付加化が増大し得る。また、直鎖状アルファオレフィンの中に1‐オクテンの含量が多いことから、高炭素の直鎖状アルファオレフィンが反応生成物とともに混合されていても、1‐オクテンのみを高純度で分離しやすいという利点がある。ただし、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0039】
触媒不活性化剤は、C30以上、C31以上、C36以上、C50以上、またはC51以上であってもよい。かかる範囲であるときに、触媒不活性化剤は、直鎖状アルファオレフィンとの分離に適する炭素数を有することができ、触媒不活性化過程での触媒/助触媒との相互作用などの他の要因がともに作用し、オリゴマー化反応生成物と触媒不活性化剤との分離効率が向上する。
【0040】
触媒不活性化剤は、酸素、リン、窒素、および硫黄からなる群から選択されるいずれか一つを含む官能基のうち1種以上を含んでもよく、具体的な様態として、四つの元素のうち1種を含む1種の官能基を単数または複数で含んでもよく、四つの元素のうち1種を含む官能基のうち2種以上の官能基を単数または複数で含んでもよい。これは、例示的なことであって、本発明はこれに限定されるものではない。
【0041】
触媒不活性化剤の具体的な種類は、C31以上のホスフィン(phosphine)系化合物、C31以上のアミン(amine)系化合物、C31以上のチオール(thiol)系化合物、C31以上のアルコール(alcohol)系化合物、C31以上のエーテル(ether)系化合物、C31以上のエステル(ester)系化合物、C31以上のカルボン酸(carboxylic acid)、またはC31以上のケトン(ketone)系化合物であってもよい。
【0042】
より具体的には、C31以上のホスフィン(phosphine)系化合物、C31以上のアミン(amine)系化合物、C31以上のチオール(thiol)系化合物、またはC31以上のアルコール(alcohol)系化合物であってもよい。
【0043】
さらに具体的には、下記化学式1で表されるポリプロピレングリコール(polypropylene glycol、PPG)であってもよい。
【0044】
【化2】
(化学式1中、nは、11以上170以下である。)
【0045】
化学式1中、nは、より具体的には12以上150以下、17以上130以下、17以上110以下、17以上35以下、または16以上35以下であってもよい。
【0046】
本発明の触媒不活性化剤は、必ずしもこれに限定されるものではないが、かかるポリプロピレングリコール化合物は、アルコール系化合物の中でも、ポリエチレングリコール化合物に比べ、触媒不活性化効果が良好であり、オレフィンのオリゴマー化反応生成物内の直鎖状アルファオレフィンと分離しやすいため、好ましい。
【0047】
本発明の一様態によるオレフィンのオリゴマー化方法において、反応器に、オリゴマー化遷移金属触媒、オレフィン単量体および溶媒を投入し、オレフィンのオリゴマー化反応を行うときに、助触媒をさらに投入してもよい。
【0048】
助触媒は、有機アルミニウム化合物、有機アルミノキサン、有機ホウ素化合物またはこれらの混合物であってもよい。
【0049】
有機アルミニウム化合物は、AlR(Rは、それぞれ独立して、(C1‐C12)アルキル、(C2‐C10)アルケニル、(C2‐C10)アルキニル、(C1‐C12)アルコキシまたはハロゲンである。)の化合物またはLiAlHであってもよい。ただし、本発明は、これに限定されるものではない。
【0050】
より具体的には、有機アルミニウム化合物は、トリメチルアルミニウム(TMA)、トリエチルアルミニウム(TEA)、トリイソブチルアルミニウム(TIBA)、トリ‐n‐オクチルアルミニウム、メチルアルミニウムジクロライド、エチルアルミニウムジクロライド、ジメチルアルミニウムクロライド、ジエチルアルミニウムクロライド、アルミニウムイソプロポキシド、エチルアルミニウムセスキクロライドおよびメチルアルミニウムセスキクロライドから選択される一つまたは二つ以上の混合物であってもよい。ただし、本発明は、これに限定されるものではない。
【0051】
本発明の有機アルミノキサンは、これに限定されるものではないが、トリメチルアルミニウムに水を添加して製造され得るオリゴマー化合物であってもよい。このように製造されたアルミノキサンオリゴマー化合物は、直鎖状、環状、かご(cage)状またはこれらの混合物であってもよい。
【0052】
具体的には、有機アルミノキサンは、アルキルアルミノキサン、例えば、メチルアルミノキサン(MAO)、エチルアルミノキサン(EAO)、テトライソブチルアルミノキサン(TIBAO)およびイソブチルアルミノキサン(IBAO)だけでなく、修飾アルキルアルミノキサン、例えば、修飾メチルアルミノキサン(MMAO)から選択されてもよい。修飾メチルアルミノキサン(Akzo Nobel社製)は、メチル基の他に、イソブチルまたはn‐オクチル基のような混成アルキル基を含んでもよい。ただし、本発明は、これに限定されるものではない。
【0053】
より具体的には、有機アルミノキサンは、メチルアルミノキサン(MAO)、修飾メチルアルミノキサン(MMAO)、エチルアルミノキサン(EAO)およびテトライソブチルアルミノキサン(TIBAO)、イソブチルアルミノキサン(IBAO)から選択される一つまたは二つ以上の混合物であってもよい。ただし、本発明は、これに限定されるものではない。
【0054】
本発明の有機ホウ素化合物は、これに限定されるものではないが、ボロキシン、NaBH、トリエチルボラン、トリフェニルボラン、トリフェニルボランアンモニア錯化合物、トリブチルボレート、トリイソプロピルボレート、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン、トリチル(テトラペンタフルオロフェニル)ボレート、ジメチルフェニルアンモニウム(テトラペンタフルオロフェニル)ボレート、ジエチルフェニルアンモニウム(テトラペンタフルオロフェニル)ボレート、メチルジフェニルアンモニウム(テトラペンタフルオロフェニル)ボレートまたはエチルジフェニルアンモニウム(テトラペンタフルオロフェニル)ボレートであってもよく、これらの有機ホウ素化合物は、有機アルミニウム化合物、または有機アルミノキサンとの混合物として使用することができる。
【0055】
触媒不活性化剤を投入し、触媒を不活性化するステップにおいて、触媒不活性化剤の投入量は、モル数基準で、助触媒内のアルミニウム、ホウ素、またはこれらを合わせた総モル数に対して、1.5~20倍であってもよい。触媒不活性化剤を前記の範囲で投入した場合、触媒の不活性化が十分に生じ得、且つオリゴマー化反応生成物内の直鎖状アルファオレフィンと容易に互いに分離することができるため、好ましい。ただし、本発明は、必ずしもこれに限定されるものではない。より具体的には、1.5倍~10倍、2倍~8倍、または3倍~7倍であってもよい。
【0056】
本発明の一様態によるオレフィンのオリゴマー化方法は、任意の類型の反応器を含むプラントで行われ得る。図1は本発明の一様態によるオレフィンのオリゴマー化方法を行うことができるプラントの模式図である。以下、本発明の一様態によるオレフィンのオリゴマー化方法について、図1を参照して付加説明する。ただし、本発明は図1に限定されるものではなく、通常の技術者であれば、本発明の技術的思想の範囲で自由に変形して実施することができる。
【0057】
プラントは、オリゴマー化が行われる反応器10と、反応器10にオレフィン、および触媒組成物を注入するための注入ライン30と、反応器10からオリゴマー化反応生成物を流出するための流出ライン40と、流出ライン40に触媒不活性化剤を投入するための触媒不活性化剤注入ライン50と、オリゴマー化反応生成物を分離するための蒸留器20とを含んでもよく、この際、触媒組成物は、本発明に開示されているオレフィンオリゴマー化触媒組成物として、遷移金属供給源およびヘテロ原子リガンドまたはこれより製造されたオリゴマー化遷移金属触媒、助触媒を含んでもよい。
【0058】
反応器10は、回分式反応器と、半回分式反応器と、連続式反応器とを含んでもよいが、これらに限定されない。
【0059】
蒸留器20は、特定の形態の蒸留器に限定されず、蒸留塔の段数は、必要に応じて調節され得る。蒸留方式も特定の蒸留方式に限定されず、必要に応じて、適切な蒸留方法を採用することができる。図1には、1個の蒸留器が含まれることが図示されているが、必要に応じて、多数の蒸留器を使用してもよい。
【0060】
本発明の一様態によるオレフィンのオリゴマー化方法は、触媒が不活性化した反応生成物を蒸留する際、触媒不活性化剤は、蒸留器20の下端に分離し、生成されたオリゴマーと分離することができる。この際、さらに生成されたオリゴマーは、C5以下のオリゴマー、1‐ヘキセン(1‐Hexene)、C6~C7のオリゴマー、1‐オクテン(1‐Octene)、およびC10~C20のオリゴマーに分離し、それぞれ用途に合わせて製品化することで、オリゴマー化工程の高付加化を実現することができる。かかるオリゴマーの分離様態は一例示であって、本発明は、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0061】
本発明の一様態によるオレフィンのオリゴマー化方法において、オレフィンは、エチレンであってもよく、オリゴマーは、C4~C40の直鎖状アルファオレフィンの混合物を含んでもよい。ただし、本発明は、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0062】
本発明の一様態によるオレフィンのオリゴマー化方法において、反応器に、オリゴマー化遷移金属触媒、オレフィン単量体、および溶媒を投入する際、溶媒は、不活性溶媒であってもよい。すなわち、オリゴマー化遷移金属触媒、助触媒および触媒不活性化剤と反応しない任意の不活性溶媒が使用され得、不活性溶媒は、脂肪族炭化水素を含むことができる。脂肪族炭化水素は、飽和脂肪族炭化水素であり、CH2n+2(この際、nは、1~15の整数)で表される直鎖状の飽和脂肪族炭化水素、C2m(この際、mは、3~8の整数)で表される脂環族飽和脂肪族炭化水素およびこれらの炭素原子数1~3の低級アルキル基が一つまたは2以上置換された飽和脂肪族炭化水素を含む。これらを具体的に挙げると、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノネン、デカン、ウンデカン、ドデカン、テトラデカン、2,2‐ジメチルペンタン、2,3‐ジメチルペンタン、2,4‐ジメチルペンタン、3,3‐ジメチルペンタン、2,2,4‐トリメチルペンタン、2,3,4‐トリメチルペンタン、2‐メチルヘキサン、3‐メチルヘキサン、2,2‐ジメチルヘキサン、2,4‐ジメチルヘキサン、2,5‐ジメチルヘキサン、3,4‐ジメチルヘキサン、2‐メチルヘプタン、4‐メチルヘプタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、イソプロピルシクロヘキサン、1,4‐ジメチルシクロヘキサンおよび1,2,4‐トリメチルシクロヘキサンから選択された1種以上であり、これに限定されるものではない。
【0063】
また、本発明の一様態によるオレフィンのオリゴマー化方法において、オリゴマー化反応は、0~200℃の温度、具体的には15~130℃の温度、さらに具体的には30~70℃の温度で行われ得、反応圧力は、大気圧~100barの圧力であり、具体的には大気圧~80barの圧力であってもよい。ただし、本発明は、これに限定されるものではない。
【0064】
以下、本発明のオレフィンオリゴマー化触媒について詳細に説明する。ただし、本発明のオリゴマー化触媒は、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0065】
本発明のオレフィンオリゴマー化触媒は、直接製造して使用するか、商業的に販売されるオリゴマー化触媒を使用してもよく、オリゴマー化触媒を製造できる構成成分、すなわち、遷移金属供給源およびヘテロ原子リガンドを使用してもよい。
【0066】
本発明の一実施形態による遷移金属供給源は、遷移金属無機塩、遷移金属有機塩、遷移金属配位化合物または遷移金属と有機金属の複合体であってもよく、遷移金属供給源の遷移金属は、4族、5族、または6族の遷移金属であってもよく、具体的には、クロム、モリブデン、タングステン、チタン、タンタル、バナジウムまたはジルコニウムであってもよく、好ましくはクロムであってもよい。
【0067】
遷移金属供給源は、一例として、遷移金属と様々な有機リガンドが結合することができ、かかる有機リガンドは、下記構造から選択されてもよい。
【0068】
【化3】
(R41~R45は、それぞれ独立して、ヒドロカルビル、置換されたヒドロカルビル、ヘテロヒドロカルビルまたは置換されたヘテロヒドロカルビルである。)
【0069】
有機リガンドは、好ましくは、下記化学式2で表されるアセチルアセトネート系リガンドであってもよい。
【0070】
【化4】
(化学式2中、
46~R48は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、(C6‐C20)アリール、(C6‐C20)アル(C1‐C10)アルキル、(C1‐C10)アルキル、ハロ(C1‐C10)アルキル、(C6‐C20)アル(C2‐C10)アルケニル、(C2‐C10)アルケニル、(C6‐C20)アル(C2‐C10)アルキニル、(C2‐C10)アルキニル、(C1‐C10)アルコキシ、(C6‐C20)アリールオキシ、(C1‐C10)アルキルカルボニルオキシ、(C2‐C10)アルケニルカルボニルオキシ、(C2‐C10)アルキニルカルボニルオキシ、(C3‐C7)シクロアルキル、(C1‐C10)アルキルシリル、(C2‐C10)アルケニルシリル、フッ素が置換された(C2‐C10)アルキニルシリル、(C6‐C20)アリールシリル、(C3‐C20)ヘテロアリールまたは5員~7員のヘテロシクロアルキルであり、
46~R48のアリール、アラルキル、アルキル、アラルケニル、アルケニル、アラルキニル、アルキニル、アルコキシ、アリールオキシ、シクロアルキル、ヘテロアリールおよびヘテロシクロアルキルは、(C1‐C10)アルキル、(C2‐C10)アルケニル、(C2‐C10)アルキニル、(C1‐C10)アルコキシ、(C6‐C20)アリール、(C6‐C20)アリールオキシおよびハロゲンから選択される一つ以上でさらに置換されてもよい。)
【0071】
好ましくは、化学式2中、R46およびR47は、それぞれ独立して、水素、ハロゲンまたはハロ(C1‐C10)アルキルであってもよく、R48は、水素、または(C1‐C10)アルキルであってもよい。
【0072】
本発明の一実施形態による化学式2のアセチルアセトネート系リガンドは、下記構造から選択されてもよいが、これに限定されるものではない。
【0073】
【化5】
【0074】
遷移金属供給源の具体的な一例として、遷移金属がクロムである場合、クロム(III)アセチルアセトネート、クロム(III)クロライド、クロム(III)ナフテネート、クロム(III)2‐エチルヘキサノエート、クロム(III)アセテート、クロム(III)2,2,6,6‐テトラメチルヘプタジオネート、クロム(III)オクタノエートおよびクロムヘキサカルボニルから選択される一つまたは二つ以上であってもよく、好ましくは、クロム(III)アセチルアセトネートまたはクロム(III)クロライドであってもよい。
【0075】
好ましくは、本発明の一実施形態によるヘテロ原子リガンドは、(R)B‐C‐D(R)であってもよく、ここで、BおよびDは、独立して、リン、ヒ素、アンチモン、酸素、ビズマス、硫黄、セレンおよび窒素から選択されるいずれか一つであり、Cは、BとDとの連結基であり、Rは、同一または相違していてもよく、それぞれ独立して、ヒドロカルビル、ヘテロヒドロカルビル、置換されたヒドロカルビルおよび置換されたヘテロヒドロカルビル基から選択され、nおよびmは、それぞれ、BまたはDの各原子価および酸化状態で決定されてもよく、好ましくは、BおよびDは、独立して、リンであり、Cは、BとDとの連結基であり、アルキレンまたはN(R´)(ここで、R´は、アルキルである。)であってもよく、Rは、同一または相違していてもよく、それぞれ独立して、ヒドロカルビル、ヘテロヒドロカルビル、置換されたヒドロカルビルおよび置換されたヘテロヒドロカルビル基から選択され、nおよびmは、それぞれ、BまたはDの各原子価および酸化状態で決定されてもよい。
【0076】
ヘテロ原子リガンドは、下記化学式3で表されるP‐C‐C‐P骨格構造または化学式4で表されるP‐N‐P骨格構造であってもよいが、これに限定されるものではない。
【0077】
【化6】
【0078】
【化7】
【0079】
(化学式3および4中、
51~R54は、それぞれ独立して、ヒドロカルビル、置換されたヒドロカルビル、ヘテロヒドロカルビル、または置換されたヘテロヒドロカルビルであり、
55およびR56は、それぞれ独立して、ヒドロカルビルまたは置換されたヒドロカルビルであってもよく、R55とR56は、互いに、ヒドロカルビレン、置換されたヒドロカルビレン、ヘテロヒドロカルビレンまたは置換されたヘテロヒドロカルビレンで結合され環を形成してもよい。)
【0080】
化学式3および4におけるR51~R54は、それぞれ独立して、(C6‐C20)アリール、(C6‐C20)アル(C1‐C10)アルキル、(C6‐C20)アル(C2‐C10)アルケニル、(C6‐C20)アル(C2‐C10)アルキニル、(C1‐C10)アルキル、(C2‐C10)アルケニル、(C2‐C10)アルキニル、(C1‐C10)アルコキシ、(C6‐C20)アリールオキシ、(C1‐C10)アルコキシカルボニル、(C1‐C10)アルキルカルボニルオキシ、(C2‐C10)アルケニルカルボニルオキシ、(C2‐C10)アルキニルカルボニルオキシ、アミノカルボニル、(C1‐C10)アルキルカルボニルアミノ、(C2‐C10)アルケニルカルボニルアミノ、(C2‐C10)アルキニルカルボニルアミノ、(C3‐C7)シクロアルキル、チオ(C1‐C10)アルキル、チオ(C2‐C10)アルケニル、チオ(C2‐C10)アルキニル、(C1‐C10)アルキルシリル、(C2‐C10)アルケニルシリル、(C2‐C10)アルキニルシリル、(C6‐C20)アリールシリル、(C3‐C20)ヘテロアリール、5員~7員のヘテロシクロアルキルまたは‐NR6162であり、R61およびR62は、それぞれ独立して、(C1‐C10)アルキル、(C2‐C10)アルケニル、(C2‐C10)アルキニル、(C6‐C20)アリール、ジ(C1‐C10)アルキルアミノ、ジ(C2‐C10)アルケニルアミノまたはジ(C2‐C10)アルキニルアミノであり、
55およびR56は、それぞれ独立して、(C6‐C20)アリール、(C6‐C20)アル(C1‐C10)アルキル、(C6‐C20)アル(C2‐C10)アルケニル、(C6‐C20)アル(C2‐C10)アルキニル、(C1‐C10)アルキル、(C2‐C10)アルケニル、(C2‐C10)アルキニル、(C3‐C7)シクロアルキル、(C3‐C20)ヘテロアリール、5員~7員のヘテロシクロアルキル、(C1‐C10)アルコキシ、(C6‐C20)アリールオキシ、(C1‐C10)アルコキシカルボニル、(C1‐C10)アルキルカルボニルオキシ、(C2‐C10)アルケニルカルボニルオキシ、(C2‐C10)アルキニルカルボニルオキシ、アミノカルボニル、(C1‐C10)アルキルカルボニルアミノ、(C2‐C10)アルケニルカルボニルアミノ、(C2‐C10)アルキニルカルボニルアミノ、ジ(C1‐C10)アルキルアミノ、ジ(C2‐C10)アルケニルアミノ、ジ(C2‐C10)アルキニルアミノ、(C1‐C10)アルキルシリル、(C2‐C10)アルケニルシリル、(C2‐C10)アルキニルシリルまたは(C6‐C20)アリールシリルであってもよく、R55とR56は、(C3‐C10)アルキレンまたは(C3‐C10)アルケニレンで連結されて環を形成してもよく、
51~R54のアリール、アラルキル、アラルケニル、アラルキニル、アルキル、アルケニル、アルコキシ、アリールオキシ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アルケニルカルボニルオキシ、アルキニルカルボニルオキシ、シクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、およびR55およびR56のアリール、アラルキル、アラルケニル、アラルキニル、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アルケニルカルボニルオキシ、アルキニルカルボニルオキシ、アミノカルボニル、アルキルカルボニルアミノ、アルケニルカルボニルアミノ、アルキニルカルボニルアミノ、ジアルキルアミノ、ジアルケニルアミノ、ジアルキニルアミノ、アルキルシリル、アルケニルシリル、アルキニルシリルまたはアリールシリルは、(C1‐C10)アルキル、(C2‐C10)アルケニル、(C2‐C10)アルキニル、(C1‐C10)アルコキシ、(C6‐C20)アリールオキシ、ジ(C1‐C10)アルキルアミノ、ジ(C2‐C10)アルケニルアミノ、ジ(C2‐C10)アルキニルアミノおよびハロゲンから一つ以上がさらに置換されてもよい。
【0081】
好ましくは、化学式3および4中、R51~R54は、それぞれ独立して、(C6‐C20)アリールであり、
55およびR56は、それぞれ独立して、(C1‐C10)アルキルであってもよい。
【0082】
化学式3および4中、具体的には、R51~R54は、それぞれ、フェニル、ベンジル、ビフェニル、ナフチル、アントラセニル、メシチル、キシリル、メチル、エチル、エテニル、エチニル、n‐プロピル、i‐プロピル、プロペニル、プロピニル、n‐ブチル、t‐ブチル、ブテニル、ブチニル、メチルフェニル、エチルフェニル、メトキシフェニル、エトキシフェニル、イソプロピルフェニル、イソプロポキシフェニル、t‐ブチルフェニル、クミル、メトキシ、エトキシ、フェノキシ、トリルオキシ、ジメチルアミノフェニル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、メチルシクロヘキシル、エチルシクロヘキシル、イソプロピルシクロヘキシル、ジメチルアミノ、チオメチル、トリメチルシリルまたはジメチルヒドラジルであり、
55およびR56は、それぞれ独立して、メチル、エチル、エテニル、エチニル、n‐プロピル、i‐プロピル、プロペニル、プロピニル、n‐ブチル、t‐ブチル、i‐ブチル、ブテニル、ブチニル、フェニル、ベンジル、トリル、キシリル、メトキシ、エトキシ、フェノキシ、メチルアミノ、ジメチルアミノであってもよく、R55とR56は、プロピレン、ブチレン、ペンチレンまたはブテニレンで連結され、5員~7員の環を形成してもよい。
【0083】
化学式3におけるP‐C‐C‐P骨格構造のリガンドは、(フェニル)P‐CH(メチル)CH(メチル)‐P(フェニル)、(4‐メトキシフェニル)P‐CH(メチル)CH(メチル)‐P(4‐メトキシフェニル)、(4‐メチルフェニル)P‐CH(メチル)CH(メチル)‐P(4‐メチルフェニル)、(4‐エチルフェニル)P‐CH(メチル)CH(メチル)‐P(フェニル)、(2‐エチルフェニル)P‐CH(メチル)CH(メチル)‐P(2‐エチルフェニル)、(2‐イソプロピルフェニル)P‐CH(メチル)CH(メチル)P‐(2‐イソプロピルフェニル)、(2‐メチルフェニル)P‐CH(メチル)CH(メチル)P‐(2‐メチルフェニル)、(2‐エチルフェニル)P‐CH(メチル)CH(メチル)‐P(フェニル)、(3‐メトキシフェニル)P‐CH(メチル)CH(メチル)‐P(3‐メトキシフェニル)、(4‐エトキシフェニル)P‐CH(メチル)CH(メチル)‐P(2‐エトキシフェニル)、(4‐ジメチルアミノフェニル)P‐CH(メチル)CH(メチル)‐P(4‐ジメチルアミノフェニル)、(4‐エチルシクロヘキシル)P‐CH(メチル)CH(メチル)‐P(4‐エチルシクロヘキシル)、(2‐メトキシフェニル)P‐CH(メチル)CH(メチル)‐P(2‐メトキシフェニル)、(2‐エトキシフェニル)P‐CH(メチル)CH(メチル)‐P(2‐エトキシフェニル)、(2‐ジメチルアミノフェニル)P‐CH(メチル)CH(メチル)‐P(2‐ジメチルアミノフェニル)、(2‐エチルシクロヘキシル)P‐CH(メチル)CH(メチル)‐P(2‐エチルシクロヘキシル)、(4‐エチルフェニル)P‐CH(エチル)CH(メチル)‐P(4‐エチルフェニル)、(4‐メトキシフェニル)P‐CH(エチル)CH(メチル)‐P(フェニル)、(2‐エチルフェニル)P‐CH(エチル)CH(メチル)‐P(2‐エチルフェニル)、(4‐エチルフェニル)P‐CH(エチル)CH(エチル)‐P(4‐エチルフェニル)、(フェニル)P‐CH(エチル)CH(エチル)‐P(フェニル)、(2‐エチルフェニル)P‐CH(エチル)CH(エチル)‐P(2‐エチルフェニル)、(フェニル)P‐CH(イソプロピル)CH(メチル)‐P(フェニル)、(4‐メトキシフェニル)P‐CH(イソプロピル)CH(メチル)‐P(4‐メトキシフェニル)、(4‐エチルフェニル)P‐CH(イソプロピル)CH(メチル)‐P(4‐エチルフェニル)、(2‐エチルフェニル)P‐CH(イソプロピル)CH(メチル)‐P(2‐エチルフェニル)、(フェニル)P‐CH(n‐プロピル)CH(メチル)‐P(フェニル)、(4‐メトキシフェニル)P‐CH(n‐プロピル)CH(メチル)‐P(4‐メトキシフェニル)、(4‐エチルフェニル)P‐CH(n‐プロピル)CH(メチル)‐P(4‐エチルフェニル)、(2‐エチルフェニル)P‐CH(n‐プロピル)CH(メチル)‐P(2‐エチルフェニル)、(フェニル)P‐CH(イソプロピル)CH(エチル)‐P(フェニル)、(4‐メトキシフェニル)P‐CH(イソプロピル)CH(エチル)‐P(4‐メトキシフェニル)、(4‐エチルフェニル)P‐CH(イソプロピル)CH(エチル)‐P(4‐エチルフェニル)、(2‐エチルフェニル)P‐CH(イソプロピル)CH(エチル)‐P(2‐エチルフェニル)、1,2‐ジ‐(P(フェニル))シクロヘキサン、1,2‐ジ‐(P(4‐メトキシフェニル))シクロヘキサン、1,2‐ジ‐(P(4‐エチルフェニル))シクロヘキサン、1,2‐ジ‐(P(2‐エチルフェニル))シクロヘキサン、1,2‐ジ‐(P(フェニル))シクロペンタン、1,2‐ジ‐(P(4‐メトキシフェニル))シクロペンタン、1,2‐ジ‐(P(4‐エチルフェニル))シクロペンタン、1,2‐ジ‐(P(2‐エチルフェニル))シクロペンタン、(4‐エチルフェニル)P‐CH(ジメチルアミノ)CH(ジメチルアミノ)‐P(4‐エチルフェニル)および(2‐エチルフェニル)P‐CH(ジメチルアミノ)CH(ジメチルアミノ)‐P(2‐エチルフェニル)から選択されてもよいが、これに限定されない。
【0084】
化学式4におけるP‐N‐P骨格構造のリガンドは、(フェニル)PN(メチル)P(フェニル)、(フェニル)PN(ペンチル)P(フェニル)、(フェニル)PN(フェニル)P(フェニル)、(フェニル)PN(p‐メトキシフェニル)P(フェニル)、(フェニル)PN(p‐tブチルフェニル)P(フェニル)、(フェニル)PN((CH‐N‐モルホリン)P(フェニル)、(フェニル)PN(Si(CH)P(フェニル)、(((フェニル)P)NCHCH)N、(エチル)PN(メチル)P(エチル)、(エチル)PN(イソプロピル)P(フェニル)、(エチル)(フェニル)PN(メチル)P(エチル)(フェニル)、(エチル)(フェニル)PN(イソプロピル)P(フェニル)、(フェニル)P(=Se)N(イソプロピル)P(フェニル)、(フェニル)PCHCHP(フェニル)、(o‐エチルフェニル)(フェニル)PN(イソプロピル)P(フェニル)、(o‐メチルフェニル)PN(イソプロピル)P(o‐メチルフェニル)(フェニル)、(フェニル)PN(ベンジル)P(フェニル)、(フェニル)PN(1‐シクロヘキシルエチル)P(フェニル)、(フェニル)PN[CHCHCHSi(OMe)]P(フェニル)、(フェニル)PN(シクロヘキシル)P(フェニル)、(フェニル)PN(2‐メチルシクロヘキシル)P(フェニル)、(フェニル)PN(アリル)P(フェニル)、(2‐ナフチル)PN(メチル)P(2‐ナフチル)、(p‐ビフェニル)PN(メチル)P(p‐ビフェニル)、(p‐メチルフェニル)PN(メチル)P(p‐メチルフェニル)、(2‐チオフェニル)PN(メチル)P(2‐チオフェニル)、(フェニル)PN(メチル)N(メチル)P(フェニル)、(m‐メチルフェニル)PN(メチル)P(m‐メチルフェニル)、(フェニル)PN(イソプロピル)P(フェニル)および(フェニル)P(=S)N(イソプロピル)P(フェニル)から選択されてもよいが、これに限定されない。
【0085】
本発明によるオレフィンのオリゴマー化触媒を構成するヘテロ原子リガンドは、当業者にとって公知の様々な方法を用いて製造され得る。
【0086】
本発明によるオレフィンのオリゴマー化触媒は、単核または二核性であってもよく、具体的には、ML(L(X)またはM (L(X)で表されてもよく、Mは、遷移金属であり、Lは、ヘテロリガンドであり、Lは、有機リガンドであり、XおよびXは、それぞれ独立して、ハロゲンであり、pは、0または1以上の整数であり、qは、(Mの酸化数-p)の整数であり、yは、2以上の整数であり、zは、(2×Mの酸化数)-y-2の整数である。
【0087】
好ましくは、本発明の一実施形態によるオリゴマー化触媒は、下記化学式5または化学式6で表されてもよいが、これに限定されるものではない。
【0088】
【化8】
【0089】
【化9】
【0090】
(化学式5および6中、
46~R48は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、(C6‐C20)アリール、(C6‐C20)アル(C1‐C10)アルキル、(C1‐C10)アルキル、ハロ(C1‐C10)アルキル、(C6‐C20)アル(C2‐C10)アルケニル、(C2‐C10)アルケニル、(C6‐C20)アル(C2‐C10)アルキニル、(C2‐C10)アルキニル、(C1‐C10)アルコキシ、(C6‐C20)アリールオキシ、(C1‐C10)アルキルカルボニルオキシ、(C2‐C10)アルケニルカルボニルオキシ、(C2‐C10)アルキニルカルボニルオキシ、(C3‐C7)シクロアルキル、(C1‐C10)アルキルシリル、(C2‐C10)アルケニルシリル、(C2‐C10)アルキニルシリル、(C6‐C20)アリールシリル、(C3‐C20)ヘテロアリールまたは5員~7員のヘテロシクロアルキルであり、
46、R47およびR48のアリール、アラルキル、アルキル、アラルケニル、アルケニル、アラルキニル、アルキニル、アルコキシ、アリールオキシ、シクロアルキル、ヘテロアリールおよびヘテロシクロアルキルは(C1‐C10)アルキル、(C2‐C10)アルケニル、(C2‐C10)アルキニル、(C1‐C10)アルコキシ、(C6‐C20)アリール、(C6‐C20)アリールオキシおよびハロゲンから選択される一つ以上でさらに置換されてもよく、
51~R54は、それぞれ独立して、(C6‐C20)アリール、(C6‐C20)アル(C1‐C10)アルキル、(C6‐C20)アル(C2‐C10)アルケニル、(C6‐C20)アル(C2‐C10)アルキニル、(C1‐C10)アルキル、(C2‐C10)アルケニル、(C2‐C10)アルキニル、(C1‐C10)アルコキシ、(C6‐C20)アリールオキシ、(C1‐C10)アルコキシカルボニル、(C1‐C10)アルキルカルボニルオキシ、(C2‐C10)アルケニルカルボニルオキシ、(C2‐C10)アルキニルカルボニルオキシ、アミノカルボニル、(C1‐C10)アルキルカルボニルアミノ、(C2‐C10)アルケニルカルボニルアミノ、(C2‐C10)アルキニルカルボニルアミノ、(C3‐C7)シクロアルキル、チオ(C1‐C10)アルキル、チオ(C2‐C10)アルケニル、チオ(C2‐C10)アルキニル、(C1‐C10)アルキルシリル、(C2‐C10)アルケニルシリル、(C2‐C10)アルキニルシリル、(C6‐C20)アリールシリル、(C3‐C20)ヘテロアリール、5員~7員のヘテロシクロアルキルまたは‐NR2122であり、R21およびR22は、それぞれ独立して、(C1‐C10)アルキル、(C2‐C10)アルケニル、(C2‐C10)アルキニル、(C6‐C20)アリール、ジ(C1‐C10)アルキルアミノ、ジ(C2‐C10)アルケニルアミノまたはジ(C2‐C10)アルキニルアミノであり、
55およびR56は、それぞれ独立して、(C6‐C20)アリール、(C6‐C20)アル(C1‐C10)アルキル、(C6‐C20)アル(C2‐C10)アルケニル、(C6‐C20)アル(C2‐C10)アルキニル、(C1‐C10)アルキル、(C2‐C10)アルケニル、(C2‐C10)アルキニル、(C3‐C7)シクロアルキル、(C3‐C20)ヘテロアリール、5員~7員のヘテロシクロアルキル、(C1‐C10)アルコキシ、(C6‐C20)アリールオキシ、(C1‐C10)アルコキシカルボニル、(C1‐C10)アルキルカルボニルオキシ、(C2‐C10)アルケニルカルボニルオキシ、(C2‐C10)アルキニルカルボニルオキシ、アミノカルボニル、(C1‐C10)アルキルカルボニルアミノ、(C2‐C10)アルケニルカルボニルアミノ、(C2‐C10)アルキニルカルボニルアミノ、ジ(C1‐C10)アルキルアミノ、ジ(C2‐C10)アルケニルアミノ、ジ(C2‐C10)アルキニルアミノ、(C1‐C10)アルキルシリル、(C2‐C10)アルケニルシリル、(C2‐C10)アルキニルシリルまたは(C6‐C20)アリールシリルであってもよく、R45とR46は、(C3‐C10)アルキレンまたは(C3‐C10)アルケニレンで連結されて環を形成してもよく、
51~R54のアリール、アラルキル、アラルケニル、アラルキニル、アルキル、アルケニル、アルコキシ、アリールオキシ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アルケニルカルボニルオキシ、アルキニルカルボニルオキシ、シクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、およびR55およびR56のアリール、アラルキル、アラルケニル、アラルキニル、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アルケニルカルボニルオキシ、アルキニルカルボニルオキシ、アミノカルボニル、アルキルカルボニルアミノ、アルケニルカルボニルアミノ、アルキニルカルボニルアミノ、ジアルキルアミノ、ジアルケニルアミノ、ジアルキニルアミノ、アルキルシリル、アルケニルシリル、アルキニルシリルまたはアリールシリルは、(C1‐C10)アルキル、(C2‐C10)アルケニル、(C2‐C10)アルキニル、(C1‐C10)アルコキシ、(C6‐C20)アリールオキシ、ジ(C1‐C10)アルキルアミノ、ジ(C2‐C10)アルケニルアミノ、ジ(C2‐C10)アルキニルアミノおよびハロゲンから一つ以上がさらに置換されてもよく、
Xは、ハロゲンであり、
aは、0または1~3の整数であり、bおよびcは、それぞれ独立して、1または2の整数である。)
【0091】
好ましくは、化学式5および6中、R46~R48は、それぞれ独立して、水素、(C1‐C10)アルキルまたはハロ(C1‐C10)アルキルであり、R51~R54は、それぞれ独立して、(C6‐C20)アリールであり、R55およびR56は、それぞれ独立して、(C1‐C10)アルキルである化合物であってもよく、またはR51~R54は、それぞれ独立して、(C6‐C20)アリールであり、R55およびR56は、それぞれ独立して、(C1‐C10)アルキルであり、aは、0である化合物であってもよい。
【0092】
以下、本発明の好ましい実施例および比較例を記載する。しかし、下記実施例は、本発明の好ましい一実施例であって、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
【0093】
[製造例]
エチレンのオリゴマー化のための触媒として、[(S,S)-(フェニル) PCH(メチル)CH(メチル)P(フェニル) 二塩化クロム(ヘキサフルオロアセチルアセトネート)](5.3μmol‐Cr)を下記の方法で製造した。
【0094】
塩化クロム(III)テトラヒドロフラン(CrCl(THF))2.1mg(5.3μmol)を二塩化メタン1mLに溶解し、この溶液に、(S,S)‐(フェニル)PCH(メチル)CH(メチル)P(フェニル)リガンド化合物2.4mg(5.6μmol)を二塩化メタン1mLに溶解した溶液を徐々に加え、60分間反応させた。次に、5分間さらに攪拌した後、ナトリウムヘキサフルオロアセチルアセトネート1.3mg(5.6μmol)を徐々に加えた。次に、反応物を3時間さらに攪拌した後、0.2μmのシリンジフィルタ(syringe filter)を使用して濾過した。濾過した液体を真空で揮発物を除去し、乾燥した暗緑色の固体を取得し、これを後述する実施例および比較例のオリゴマー化触媒として準備した。
【0095】
本触媒は、エチレンのオリゴマー化反応の活性および選択度が非常に優れた触媒であり、韓国特許出願10‐2016‐0065709号を参照して、より明確に把握することができる。
【0096】
[実施例1]
2000mLのステンレス鋼の圧力反応器を窒素、真空で洗浄した後、メチルシクロヘキサン(MCH)1Lを投入し、助触媒として改質されたメチルアルミノキサン(m‐MAO3A、Akzo Nobel社製、18wt%in heptane)(1.57g)と2.0Mトリメチルアルミニウムヘプタン溶液2.0mL(4mmol)を順次に投入した後、反応器の温度を60℃に上げた。次に、製造例で準備した[(S,S)-(フェニル) PCH(メチル)CH(メチル)P(フェニル) 二塩化クロム(ヘキサフルオロアセチルアセトネート)]を投入した後、エチレンで反応器内の圧力を20barまで満たした後、圧力を維持しながら連続してエチレンを供給し、2時間250rpmで攪拌し、オリゴマー化反応を行った。次に、攪拌を終了し、反応器の温度を10℃に冷却した。
【0097】
次に、触媒不活性化剤としてPPG1000(Sigma‐Aldrich社製、ポリプロピレングリコール、数平均分子量=1000、炭素数=51個)1.5gを100mLのメチルシクロヘキサン(MCH)に希釈した溶液をオリゴマー化反応結果溶液に投入して反応を終了した後、反応生成物を濾過、分離した。次に、濾過した生成物20mLを別のフラスコで1時間100度で乾燥した後、Internal standardとしてヘプタンを使用してGC‐FID分析を実施し、1‐オクテンの純度を確認し、その結果を下記表2にまとめた。触媒不活性化剤の投入量は、モル数を基準として、助触媒内のアルミニウムの総モル数に対して5倍である。
【0098】
次に、生成された直鎖状アルファオレフィン(LAO)と触媒不活性化剤との分離効率を評価するためにASPEN PLUS V8.8(AspenTech社製)を用いて、触媒不活性化剤の分離工程を模擬した。C20成分まで製品として活用することを想定し、C10以上の成分を分離する蒸留塔に流入される混合物の成分を下記表1のように設定した。蒸留塔の段数を10段とし、凝縮器の温度を194℃にして、混合物内の触媒不活性化剤を0.1重量%の水準で分離するために必要な凝縮器の熱負荷(kcal/hr)、再熱器に必要な熱負荷(kcal/hr)、および再循環比を計算した。その結果は表2にまとめた。
【0099】
[実施例2]
オリゴマー化反応後の触媒不活性化剤として、PPG2000(Sigma‐Aldrich社製、ポリプロピレングリコール、数平均分子量=2000、炭素数=102個)を使用した以外は、実施例1と同一の方法で反応生成物の1‐オクテンの純度を確認し、触媒不活性化剤の分離効率を評価した。その結果は表2にまとめた。
【0100】
[実施例3]
オリゴマー化反応後の触媒不活性化剤として、PPG725(Sigma‐Aldrich社製、ポリプロピレングリコール、数平均分子量=725、炭素数=36個)を使用した以外は、実施例1と同一の方法で反応生成物の1‐オクテンの純度を確認し、触媒不活性化剤の分離効率を評価した。その結果は表2にまとめた。
【0101】
[実施例4]
オリゴマー化反応後の触媒不活性化剤として、PPG425(Sigma‐Aldrich社製、ポリプロピレングリコール、数平均分子量=425、炭素数=21個)を使用した以外は、実施例1と同一の方法で反応生成物の1‐オクテンの純度を確認し、触媒不活性化剤の分離効率を評価した。その結果は表2にまとめた。
【0102】
[比較例1]
オリゴマー化反応後の触媒不活性化剤として、2‐エチル‐1‐ヘキサノール(Sigma‐Aldrich社製)を使用した以外は、実施例1と同一の方法で反応生成物の1‐オクテンの純度を確認し、触媒不活性化剤の分離効率を評価し、表2にまとめた。2‐エチルヘキサノールは、分離しようとする成分の間に沸点が分布するため、2個のカラムを使用する必要があり、蒸留塔の段数もそれぞれ40段、30段に設定した。
【0103】
[比較例2]
オリゴマー化反応後の触媒不活性化剤として、1‐ペンタノール(Sigma‐Aldrich社製)を使用した以外は、実施例1と同一の方法で反応生成物の1‐オクテンの純度を確認し、触媒不活性化剤の分離効率を評価した。その結果は表2にまとめた。
【0104】
【表1】
【0105】
【表2】
【0106】
表2において、実施例1~4のいずれもオリゴマー化反応生成物内の1‐オクテンの純度が非常に高いことが分かる。
【0107】
比較例1および比較例2は、炭素数が20個以上である直鎖状アルファオレフィンと触媒不活性化剤を蒸留により分離する際、凝縮器と再熱器に必要な熱負荷(heat duty)が実施例に比べて非常に大きく、高い水準の分離対象混合物の再循環比が必要となることを確認することができる。そのため、比較例の場合、生成物から触媒不活性化剤を分離するための工程エネルギーおよび工程時間の増加が不可避であり、これは、工程の経済性を大幅に低下させ、実際の産業適用可能性を相当低下させる要因になる。
【0108】
また、触媒不活性化剤の数平均分子量が1000以上である実施例1および2は、実施例3および4に比べ、分離効率が相対的に優れることが分かる。
【0109】
したがって、本発明の触媒不活性化剤の場合、比較例に比べ、オリゴマー化反応生成物との分離効率が非常に優れることが確認された。これにより、本発明は、エチレンのオリゴマー化反応の高付加化が可能であり、実際の産業に適用されることで、工程コストを著しく削減できることが期待される。
図1