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特許7187554トロリーシステム並びに関連するレール及びトラック
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-02
(45)【発行日】2022-12-12
(54)【発明の名称】トロリーシステム並びに関連するレール及びトラック
(51)【国際特許分類】
   B61B 12/00 20060101AFI20221205BHJP
   B66C 21/00 20060101ALI20221205BHJP
   A63G 21/20 20060101ALI20221205BHJP
【FI】
B61B12/00 A
B66C21/00 F
A63G21/20
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020526087
(86)(22)【出願日】2018-11-14
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-02-04
(86)【国際出願番号】 NZ2018050162
(87)【国際公開番号】W WO2019098859
(87)【国際公開日】2019-05-23
【審査請求日】2021-11-04
(31)【優先権主張番号】62/586,033
(32)【優先日】2017-11-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/624,045
(32)【優先日】2018-01-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517322215
【氏名又は名称】ホームズ ソリューションズ リミテッド パートナーシップ
【氏名又は名称原語表記】Holmes Solutions Limited Partnership
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】コチェタス, ピーター デイヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】ディール, アンドリュー カール
(72)【発明者】
【氏名】ルイス, ダニエル チャールズ
(72)【発明者】
【氏名】ニューマン, アレキサンダー ピーター ハンニバル
(72)【発明者】
【氏名】パイ, マコーレー ジェームズ
(72)【発明者】
【氏名】トムソン, マーク ハリヌイ
【審査官】長谷井 雅昭
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2011/0083577(US,A1)
【文献】特開昭55-119802(JP,A)
【文献】実公昭33-009237(JP,Y1)
【文献】特許第085497(JP,C2)
【文献】米国特許出願公開第2009/0038499(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0125776(US,A1)
【文献】米国特許第01086227(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B61B 12/00
B66C 21/00
A63G 21/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーブルとレールとの間で少なくとも1つのトロリーシステムを搬送するように構成される移行装置であって、前記ケーブル及び前記レールに対するトロリーシステムの向きを制御するための引込みセクションと、前記引込みセクションの遠位端部に隣接するトラック移行セクションとを備え、前記ケーブルが前記引込みセクションを通過しており、前記ケーブルが前記引込みセクションの前記遠位端部で前記移行装置から出ており、前記移行装置が、前記ケーブルが前記引込みセクションを通って軸方向に移動できるように構成されている、移行装置。
【請求項2】
前記移行装置が、前記ケーブルの経路が変更されないように構成されている、請求項1に記載の移行装置。
【請求項3】
記引込みセクションが少なくとも1つの位置合わせ部材を備え、前記少なくとも1つの位置合わせ部材が、前記移行装置上で搬送されるトロリーシステムを前記ケーブル上の下側不安定形態から前記レール上の下側安定形態に移行させるように機能するべく構成されている、請求項1又は2に記載の移行装置。
【請求項4】
前記少なくとも1つの位置合わせ部材が、前記移行装置に沿って搬送されるトロリーシステムを垂直方向及び/又は横方向に移動させる、請求項3に記載の移行装置。
【請求項5】
前記移行装置が上面及び下面を備え、前記少なくとも1つの位置合わせ部材が前記上面及び前記下面に連結されている、請求項3又は4に記載の移行装置。
【請求項6】
前記移行装置が、前記移行装置及び前記移行装置上で搬送されるトロリーシステムの水平方向及び/又は垂直方向の向きを変化させることを可能にするように、その長手方向の範囲の少なくとも一部に沿って湾曲している、請求項1~5のいずれか一項に記載の移行装置。
【請求項7】
前記移行装置がランプ要素を備え、前記ランプ要素が、前記移行装置上で搬送されるトロリーシステムが前記移行装置の長さにわたって横行する際に前記トロリーシステムを前記ケーブルの高さの上方に上げる又は持ち上げるように構成されている、請求項1~6のいずれか一項に記載の移行装置。
【請求項8】
前記移行装置が、前記引込みセクションにおいて又は前記引込みセクションの付近において前記ケーブルを取り囲んでいる、請求項1~のいずれか一項に記載の移行装置。
【請求項9】
トロリーシステムが前記移行装置に沿って搬送される際、前記移行装置が、前記移行装置上で搬送される前記トロリーシステムの上側ホイールが前記移行装置の上面と係合するように構成されている、請求項1~のいずれか一項に記載の移行装置。
【請求項10】
トロリーシステムが前記移行装置に沿って搬送される際、前記移行装置が、前記移行装置上で搬送される前記トロリーシステムの少なくとも1つの下側ホイールが前記移行装置の下面と係合するように構成されている、請求項1~のいずれか一項に記載の移行装置。
【請求項11】
前記移行装置が、前記移行装置上を搬送されるトロリーシステムの上側ホイールと下側ホイールとの間の距離を変化させるように構成される形状を有する、請求項1~10のいずれか一項に記載の移行装置。
【請求項12】
前記移行装置が、前記移行装置に沿って搬送されるように構成されるトロリーシステムに配置されるゲートと相互作用するように構成されており、前記移行装置の相互作用がトロリーシステムのゲートの開閉を引き起こす、請求項1~11のいずれか一項に記載の移行装置。
【請求項13】
前記移行装置が上側セクション及び下側セクションから製造されており、前記セクション同士が、前記ケーブルを取り囲むように少なくとも前記引込みセクションの付近において締結されている、請求項1~12のいずれか一項に記載の移行装置。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか一項に記載の少なくとも1つの移行装置を備える、アミューズメントライド、安全及び緊急出口、又は物品及び材料輸送システム。
【請求項15】
トラックシステムのケーブルとレールとの間でトロリーシステムを搬送する方法であって、
トラックシステムを設けるステップであって、前記トラックシステムが、ケーブル、レールセクション、及び前記ケーブルと前記レールセクションとの間の移行装置を備え、前記トロリーシステムが、前記移行装置に沿って搬送されるように構成されている、ステップと、
前記移行装置によって前記トロリーシステムを搬送するステップであって、前記移行装置が、搬送動作中に前記ケーブル及び前記レールに対する前記トロリーシステムの向きを制御するように機能する引込みセクションと、前記引込みセクションの遠位端部に隣接するトラック移行セクションとを備え、前記ケーブルが、前記引込みセクションを通過しており、前記引込みセクションの前記遠位端部で前記移行装置から出ている、ステップと、
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本明細書中には、トロリーシステム並びに関連するレール及びトラックの改良が記載される。より具体的には、トロリーは、(内部又は外部の)様々な制御入力に基づいてライダを減速又は停止させるように適合され得る一体型ブレーキシステムを有してもよい。トラックシステムは、移行システムと相互接続される一連の張力が付与されたケーブル又はトラックのいずれかから形成されてもよい。トロリー及びトラックは、トロリーを一体化させてトロリーが1つのセクションから移行要素を横行して次のセクションまで移行できるようにするべく設計されてもよい。トラックシステムには、トロリーの動きを遅らせるために付加的なブレーキ要素が取り付けられてもよい。更に、トラックには、トロリーに外部入力を与えてトロリーのブレーキ動作を変更する他の要素が取り付けられてもよい。
【背景技術】
【0002】
[0002]ジップライン並びに関連するトラック及びケーブルのために使用される形態などのトロリー形態が知られている。一般に、これらはプーリー装着トロリーであり、プーリーは、ケーブル上に載置している或いはさもなければレールと位置合わせされ、また、ライダは、ケーブル/レール及びトロリーの下方に吊り下げられる。トロリーは、ケーブル/レールに沿って走行し、終端ポイントの前に又は所定の速度に達するときに減速又は停止され得る。
【0003】
[0003]従来技術のジップラインシステムは、除荷前に1つのポイントから他のポイントまで単一のベクトルで走行する形態を成して比較的単純である。
【0004】
[0004]トロリーで使用されるブレーキシステムは、ほぼ受動的で調整されず、そのため、重いライダは、軽いライダよりも速く移動する傾向があり、また、ライダの重量は、過度の速度が増大されること又はブレーキシステムのオーバーライディングを回避するべく安全な動作ゾーン内に収まらなければならない。
【0005】
[0005]更に、ブレーキが受動ブレーキであり、殆ど調節できないため、単一の速度、例えば単一の最大速度だけが事前に設定される場合があり、これを例えばジップラインライドに沿うライダ速度を変えるために走行中に変えることができない。
【0006】
[0006]最後に、ライドは、ケーブルが使用される単一の方向に制限されるとともに、レールが使用される一般に短縮された持続時間に制限される。
【0007】
[0007]理解できるように、単一ライドでのコーナリング、レールとケーブルとの間での移行、管理された速度での移行、及び、複数のライダが単一の走行を行なうがトロリー動作に不可欠な全ての必要な安全機能及び冗長性をもたらす可能性を許容することは、ライダ及びライドオペレータにとって有利となり得る。理解できるように、レクリエーションジップライン用途は、トロリー及び記載される他の態様のための1つの想定し得る用途であるが、緊急避難用途などの他の用途も、そのようなトロリー並びに関連するトラック及びケーブルにとって重要な商業的用途となり得る。
【0008】
[0008]本明細書中に記載されるトロリーシステム並びに関連するレール及びトラックは、前述の欠点の少なくとも幾つかに対処しようとする又は少なくとも公衆に選択肢を与えようとする。
【0009】
[0009]トロリーシステム並びに関連するレール及びトラックの更なる態様及び利点は、一例としてのみ与えられる以下の説明から明らかになる。
【発明の概要】
【0010】
[0010]本明細書中には、トロリーシステム並びに関連するレール及びトラックの改良が記載される。より具体的には、トロリーは、(内部又は外部の)様々な制御入力に基づいてライダを減速又は停止させるように適合され得る一体型ブレーキシステムを有してもよい。トラックシステムは、移行システムと相互接続される一連の張力が付与されたケーブル又はトラックのいずれかから形成されてもよい。トロリー及びトラックは、トロリーを一体化させてトロリーが1つのセクションから移行要素を横行して次のセクションまで移行できるようにするべく設計されてもよい。トラックシステムには、トロリーの動きを遅らせるために付加的なブレーキ要素が取り付けられてもよい。更に、トラックには、トロリーに外部入力を与えてトロリーのブレーキ動作を変更する他の要素が取り付けられてもよい。
【0011】
[0011]第1の態様では、トロリーシステムであって、該トロリーシステムが横行するように構成されるトラックシステムに取り付けられるとともに随意的にトラックシステムから外されるように構成され、トロリーシステムが、
本体と、
物体に連結されるように構成される本体の部分と、
ホイールと、
1つ又は複数のトロリーホイールにブレーキ力を掛ける一体型ブレーキシステムであって、1つ又は複数のトロリーホイールが、トラックとトロリーとの間で、存在する場合にはトロリーに連結される物体との間で、径方向負荷及び横方向負荷を伝える、一体型ブレーキシステムと、
を備える、トロリーシステムが提供される。
【0012】
[0012]第2の態様では、実質的に前述したような少なくとも1つのトロリーシステムを搬送するように構成されるトラックシステムが提供される。
【0013】
[0013]第3の態様では、実質的に前述したような少なくとも1つのトロリーシステムの少なくとも1つの態様を感知するように構成されるシステム制御器が提供される。
【0014】
[0014]第4の態様では、実質的に前述したような少なくとも1つのトロリーシステムを備えるアミューズメントライドが提供される。
【0015】
[0015]第5の態様では、実質的に前述したような少なくとも1つのトロリーシステムを備える安全及び緊急出口が提供される。
【0016】
[0016]第6の態様では、実質的に前述したような少なくとも1つのトロリーシステムを備える物品及び材料輸送システムが提供される。
【0017】
[0017]第7の態様では、トラックシステムに沿って実質的に前述したようなトロリーシステムを移送するとともに、少なくとも1つの入力信号に基づいてトロリーシステムのブレーキを調整する方法が提供される。
【0018】
[0018]トロリーシステム並びに関連するレール及びトラックの更なる態様は、一例としてのみ及び添付図面に関連して与えられる以下の説明から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】想定し得るジップライン用途の一実施形態を示す。
図2】想定し得る産業用出口ジップライン用途の別の実施形態を示す。
図3】ケーブルの傾斜及び弛みがかなり異なり得る緊急避難用途を示す。
図4】トロリーに対するブレーキ技術の想定し得る形態を示す。
図5】ケーブルからトラックに移行するときのブレーキの動きを示す概略図を例示する。
図6】トラックからトロリーへの別の入力信号を示す概略図を例示する。
図7】調整が行われないときの停止距離変化を示すグラフを例示する。
図8】調整ブレーキ(可変パワーブレーキ)による停止距離を示すグラフを例示する。
図9】磁気回路との干渉による調整ブレーキ(渦電流ブレーキ(ECB)応答)の効果を示すグラフを例示する。
図10】磁気回路に対する導体位置の調節によるブレーキの調整パワーを示すグラフを例示する。
図11】トロリーの1つの想定し得る実施形態の画像を示す。
図12】ケーブルに対するトロリーの装填、及び、互いに固定された時点でのトロリー及びケーブルの相互作用の概略図を示す。
図13】対向方向から見たケーブルからトラックに移行するトロリーの概略図を示す。
図14】トロリーがケーブルからトラックに移行してトロリーが離れる方向(逆方向)に移動する概略図を示す。
図15】ケーブル上及びトラック上にあるときのトロリーゲート動作の概略図を示す。
図16】ケーブルからトラックへの想定し得る移行装置を示す。
図17】緊急避難用途-乗り込み及び降ろしの一例を示す。
図18】対向トロリーの概略図、及び、外向きの動きと外向きのライダの振れとによって意味されるものの概略図を示す。
図19】円形レールを支持する、断面カットされる平坦なプレートの例を示す。
図20】従来技術の二次接続の例を示す。
図21】想定し得るはさみ二次接続の実施形態及び形態を示す。
図22】リニア渦電流ブレーキシステムの一実施形態を示す。
図23】物干し式ブレーキシステムを示す。
図24】想定し得る乗り込みステーションの略図を示す。
図25】想定し得る事前発射プロセスの略図を示す。
図26】ジップラインライダによってとられるルートマップの一例を示す。
図27】交換プラットフォームの一例を示す。
図28】想定し得る終端・降りステーションの一例を示す。
図29】別のジップライントロリーの実施形態の斜視図を示す。
図30】図29の別のジップライントロリーの実施形態の後側立面図を示す。
図31】図29の別のジップライントロリーの実施形態の前側立面図を示す。
図32】図29のジップライントロリーの実施形態の前面の周りの正面図を示す。
図33】トラックの引込みセクションの斜視図を示す。
図34】図33のトラックの引込みセクションの上から見た図を示す。
図35】図33のトラックの引込みセクションの側面図を示す。
図36】図33のトラックの引込みセクションの端面図を示す。
図37】側面が図33の引込み部を横行して取り除かれた、図29に示される実施形態のジップライントロリーの側面図を示す。
図38】側面が図33の引込み部を横行して取り除かれた、図29に示される実施形態のジップライントロリーの側面図を示す。
図39】トラックセクションを横行する図29に示される実施形態のジップライントロリーの斜視図を示し、引込みセクションが図の右側にあり、中央トラックセクションにジップライントロリーが配置され、図に示すように、トラックの引出しセクションがトラックセクションの左側へ向かう。
図40】図39に示されるトラックセクションの側面図を示す。
図41】図40に示されるトラックセクションの上から見た図を示す。
図42】側面がトラックの引出しセクションを横行して取り除かれた、図29に示される実施形態のジップライントロリーの側面図を示す。
図43】側面がトラックの引出しセクションを横行して取り除かれた、図29に示される実施形態のジップライントロリーの側面図を示す。
図44】トラックセクションに移行する前のケーブルランを横行する図29のジップライントロリーの実施形態を示す。
図45】引込みセクション又はケーブルからトラックへの移行セクションを上方に移動する図29のジップライントロリーの実施形態を示す。
図46】トラックセクションへの移行中に入口フランジと相互作用する図29のジップライントロリーの実施形態を示す。
図47】トラックセクションの周りで移動する図29のジップライントロリーの実施形態を示す。
図48】トラックセクションの周りで移動する図29のジップライントロリーの実施形態を示す。
図49】トラックセクションから新たなケーブルセクションに移行しようとしている図29のジップライントロリーの実施形態を示す。
図50】前方ゲートがケーブル移動を開始する前にバンプバーに当たって閉位置まで回動して戻る、図29のジップライントロリーの実施形態を示す。
図51】新しいケーブルセクションに向けて僅かに更に前方に横行した、図29のジップライントロリーの実施形態を示し、前方ゲートがここでは閉じられてロックされ、後方ゲートもここでは閉じられる。
図52】ゲートが閉じられた状態でケーブルの次のセクションに完全に移動した図29のジップライントロリーの実施形態を示す。
図53】図29のジップライントロリーの実施形態で使用される本体セクションの斜視図を示す。
図54】図29のジップライントロリーの実施形態で使用される本体セクションの上から見た図を示す。
図55】図29のジップライントロリーの実施形態で使用される本体セクションの正面図を示す。
図56】図29のジップライントロリーの実施形態で使用される本体セクションの第1の側から見た図を示す。
図57】ボールベアリングがロータに磁気的に引き付けられる過速度アセンブリの実施形態の斜視図を示す。
図58】図57の実施形態を正面図及び側断面図で示す。
図59】ハイブリッドホイールの斜視図を示す。
図60】ハイブリッドホイールの斜視断面図を示す。
図61】ECBアセンブリを組み立てた場合の実施形態の組み立て斜視図を示す。
図62】ECBアセンブリの断側面図を示す。
図63】ECBアセンブリ導体アセンブリのみの斜視図を示す。
図64】導体アセンブリのみの側断面図を示す。
図65】磁石アレイのみの斜視図を示す。
図66】磁石アレイのみの側断面図を示す。
図67】調整機構のみの斜視図を示す。
図68】調節機構のみの後断面図を示す。
図69】トラックフィン上を通過するトロリーに配置され得る磁石アレイの詳細な斜視図を示す。
図70】図69に示されるトロリー磁石アレイを通過するフィンの側断面図を示す。
図71】別のゲート実施形態の斜視図を示す。
図72】上記の別のゲート実施形態におけるトラックのセクションと相互作用するゲートジョッキーホイールの斜視詳細図を示す。
図73】上記の別のゲート実施形態におけるトラックのセクションと相互作用するゲートジョッキーホイールの断正面図を示す。
図74】ベルトドライブ及び上側ホイールを例示するためにカバーが取り外されたトロリーブレーキトランスファの斜視図を示す。
図75】カバーが取り外された上記のトロリーブレーキトランスファの正面図を示す。
図76】更に別のトロリーの実施形態を示す。
図77】スプレッダバーの詳細な斜視図を示す。
図78】スプレッダバー及びリンケージの詳細な断面斜視図を示す。
図79】スプレッダバー及びリンケージの詳細な断面斜視図を示す。
図80】別の移行装置を示す。
図81】ランプセクションと嵌まり合った図80の移行装置を示す。
図82】図76の実施形態に基づくトロリーシャーシの詳細な斜視図を示す。
図83】レールを横行するときの図76のトロリーの実施形態の正面図を示す。
図84】トラックの開放したレール横行セクションにおける図76のトロリーに関するゲートの実施形態の詳細図を示す。
図85】トラックの閉じられたケーブル横行セクションにおける図76のトロリーに関するゲートの実施形態の詳細図を示す。
図86】中立の位置合わせを成して移行装置を通過する図76のトロリーの斜視図を示す。
図87】移行装置がトロリーを再位置合わせする前にオフセット位置で移行装置を通過する図76のトロリーの斜視図を示す。
図88】ケーブルからレールへの移行装置の斜視図を示す。
図89】図88と同じ移行装置であるが正面図である移行装置を示す。
図90】図88及び図89の実施形態の移行入口ポイントに対するケーブルの詳細な斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
[0110]前述のように、本明細書中には、トロリーシステム並びに関連するレール及びトラックにおける改良について記載される。より具体的には、トロリーは、(内部又は外部の)様々な制御入力に基づいてライダを減速又は停止させるように適合され得る一体型ブレーキシステムを有してもよい。トラックシステムは、移行システムと相互接続される一連の張力が付与されたケーブル又はレールのいずれかから形成されてもよい。トロリー及びトラックは、トロリーを一体化させてトロリーが1つのセクションから移行要素を横行して次のセクションまで移行できるようにするべく設計されてもよい。トラックシステムには、トロリーの動きを遅らせるために付加的なブレーキ要素が取り付けられてもよい。更に、トラックには、トロリーに外部入力を与えてトロリーのブレーキ動作を変更する他の要素が取り付けられてもよい。
【0021】
[0111]この明細書の目的のために、「約」又は「およそ」という用語及びその文法的変化形は、基準の量、レベル、程度、値、数、頻度、パーセンテージ、寸法、サイズ、大きさ、重量、又は、長さに対して30、25、20、15、10、9、8、7、6、5、4、3、2、又は、1%程度変化する量、レベル、程度、値、数、頻度、パーセンテージ、寸法、サイズ、大きさ、重量、又は、長さを意味する。
【0022】
[0112]用語「実質的に」又はその文法的変形は、少なくとも約50%、例えば75%、85%、95%又は98%を指す。
【0023】
[0113]「備える」という用語及びその文法的変形は、包括的な意味を有するものとし、すなわち、それが直接に参照する挙げられた構成要素だけでなく他の指定されない構成要素又は要素も含めることを意味するように解釈される。
【0024】
[0114]「トラック」、「ケーブル」、「ライン」、「レール」、又は、「移行装置(transition)」という用語及びその文法的変形は、追従すべきガイド手段に接続される可動物体又はトロリーなどの外部要素のための所定の経路を形成する任意の形態のガイド手段を指す。
【0025】
[0115]「ライン」又は「ケーブル」という用語及びその文法的変形は、別段述べられなければ、追従すべきガイド手段に接続される外部要素のための略直線状の所定の経路を指す。ライン又はケーブルの形態は、重力負荷、及び、風、氷、雪などの環境的に加えられる負荷に晒される際に、垂直面内で自然な曲率、例えばカテナリープロファイル形状を有してもよい。更に、これらの要素は、それらの長さに沿って可撓性を示してもよい。
【0026】
[0116]「レール」又は「トラック」という用語及びその文法的変形は、別段述べられなければ、追従すべきガイド手段に接続される外部要素のための直線状又は非直線状又は直線と非直線との組み合わせの所定の経路であってもよいことを指す。そのような要素は、一般に、それらの形態が硬質であると見なされる。
【0027】
[0117]本明細書中で使用される「トラック」又は「トラックシステム」という用語及びその文法的変形は、ケーブル、レール、移行装置、又は、他のガイド手段を置き換え可能に指す場合がある。
【0028】
[0118]「トロリー」という用語及びその文法的変形は、その動きがトラック又はケーブル(ガイド手段)によって案内される可動物体を指す。トロリーは、取り付けられた積載物を輸送するように構成されてもよい。
【0029】
[0119]「ブレーキ」という用語及びその文法的変形は、可動物体の動きを遅らせる又は可動物体に保持力を与えるための手段を指す。
【0030】
[0120]「信号」という用語及びその文法的変形は、動作に影響を与える又は要素間で情報を転送する目的で2つの要素間で通信する手段を指す。信号は、物体内の内部であってもよく、又は、要素間の外部であってもよい。これは、電気制御信号、GPS信号などを含んでもよい。
【0031】
[0121]この明細書中では「ホイール(wheel)」又は「ホイール(wheels)」という用語及び文法的変形が参照されるが、前述したように、ホイールは、滑車又はキャスタなどの他の回転構成要素であってもよく、また、キャリッジ又はスライドなどの直線状の構成要素であってもよい。「ホイール(wheel)」又は「ホイール(wheels)という用語への言及は、別段明記されなければ、限定と見なされるべきではなく、他の回転構成要素又は直線状の構成要素を組み込んでもよい。
【0032】
[0122]第1の態様では、トロリーシステムであって、該トロリーシステムが横行するように構成されるトラックシステムに取り付けられるとともに随意的にトラックシステムから外されるように構成され、トロリーシステムが、
本体と、
物体に連結されるように構成される本体の部分と、
ホイールと、
1つ又は複数のトロリーホイールにブレーキ力を掛ける一体型ブレーキシステムであって、1つ又は複数のトロリーホイールが、トラックとトロリーとの間で、存在する場合にはトロリーに連結される物体との間で、径方向負荷及び横方向負荷を伝える、一体型ブレーキシステムと、
を備える、トロリーシステムが提供される。
【0033】
[0123]第2の態様では、実質的に前述したような少なくとも1つのトロリーシステムを搬送するように構成されるトラックシステムが提供される。
【0034】
[0124]第3の態様では、実質的に前述したような少なくとも1つのトロリーシステムの少なくとも1つの態様を感知するように構成されるシステム制御器が提供される。
【0035】
[0125]第4の態様では、実質的に前述したような少なくとも1つのトロリーシステムを備えるアミューズメントライドが提供される。
【0036】
[0126]第5の態様では、実質的に前述したような少なくとも1つのトロリーシステムを備える安全及び緊急出口が提供される。
【0037】
[0127]第6の態様では、実質的に前述したような少なくとも1つのトロリーシステムを備える物品及び材料輸送システムが提供される。
【0038】
[0128]第7の態様では、トラックシステムに沿って実質的に前述したようなトロリーシステムを移送するとともに、少なくとも1つの入力信号に基づいてトロリーシステムのブレーキを調整する方法が提供される。
【0039】
[0129]ここで、以下、上記の態様について更に詳しく説明する。
【0040】
[0130]トロリー概略及び用途
この明細書中の他の箇所で述べられるように、本明細書中には、1つの実施形態において、個別に又は一緒に使用されてもよいトロリー及び別個のトラックシステムが記載される。トロリー及び別個のトラックシステムは複数の用途を有するが、一般的な用途としては、アミューズメントライド、安全及び緊急出口、並びに、物品及び材料の輸送を挙げることができる。動力が与えられないトロリーにより高度の損失(主に下方への損失)を伴う用途のためにシステムが主に使用されることが想起されるが、高度の増大(主に上方への増大)を伴う並びに比較的平坦な又は起伏のある地面上での用途もシステムが有することが想起され得る。以下で論じられるようなシステムは、主に、動力が与えられないトロリー及びトラックを使用するが、別の動力が与えられる実施形態が使用されてもよい。
【0041】
[0131]本明細書中に記載されるトロリーシステム形態の1つの利点は、トラックシステムが少なくとも1つのケーブルと少なくとも1つのレールとを備え、同じトロリーシステムがケーブル及びレールセクションの両方を横行することができるという点である。これに対し、従来技術の装置は、一般に、ケーブル又はレールシステムのみに対応して両方には対応しないように設計される。したがって、本明細書中に記載されるトロリーシステムは、従来技術のシステムよりもかなり用途が広くなり得る。
【0042】
[0132]ジップライン固有の説明
システムの使用のために想起される用途はアミューズメント業界においてであってもよく、それにより、個人又はグループが高度の高い位置から低い位置に移行する。これは、一般に、トロリー、カート、車、ワゴンなどに取り付けられるとともにケーブル、トラック、レールなどに乗って下方に向かう顧客(ライダとも呼ばれる)によって完了される。アクティビティは、個人によって又はグループ(2人以上)で完了されてもよい。前述したように、アクティビティは、常に高い位置から低い位置へ行なわれなくてもよく、略上り坂、平坦、波状、又は、上記形態の任意の組み合わせでもたらされてもよい。1つの想定し得る用途は、張力が付与されたケーブル上の個々のライダを略下り坂方向に向けるのに利用できるが、これは限定的であると見なされるべきでない。この用途は、一般に、「フライングフォックス」又は「ジップライン」と称される。今後、ジップラインという用語が一般に使用される。
【0043】
[0133]図1に関連するジップラインの一般的な説明
図1は、想定し得るジップライン用途の一実施形態を示す。図示のように、個人(ライダ)1は、張力が付与されたケーブル(ジップライン)2を始点3から終点4まで横行することができる。ケーブル2は、略下向きの傾斜を有してもよい(始点3は終点4よりも高い)。ライダ1はトロリー5に締結され、トロリー5はケーブル2に取り付けられる。ライダ1がフリーライドセクション8に沿ってライン2を横行するにつれて、それらが速度と加速度とを生み出す(これにより、加速度はライダ1の速度の変化として規定される)。ライダ1によって生み出される速度は、ライン2の傾斜、ライダ1の重量、ライン2上のトロリー5の転がり抵抗、トロリー5及びライダ1の空気動力学、重力、風速、及び、風向を含む多くの要因の関数である。これらの要因の多くは、可変であり、ライダ1がケーブル2を横行するにつれて変化する場合があり、それにより、速度に動的に影響を及ぼす。速度に対するライダ1の重量の影響も図1に示され、この図1では、重いライダの速度プロファイル9が軽いライダの速度プロファイル10と共にグラフ化される。重いライダに関するなどの幾つかの状況では、過速度シナリオを回避するために、最大速度制御ゾーン11が存在してもよい。フリーライドセクション8の後にブレーキ付きセクション12があってもよく、また、前述のように、終端ブレーキゾーン7及び狭い停止ゾーン6が存在してもよい。速度プロファイルはライドに沿って変化し、また、グラフに示されるように、プロファイルはライダの重量によって異なる。ライダ1の速度プロファイルに対する他の影響は、向かい風又は追い風13の存在となり得る。
【0044】
[0134]図1に示される用途において、理想的な結果は、ライダが終点4に到達して、比較的短い距離6内で安全な態様で完全な停止に至らされることである。理想的には、これは、全ての横行条件で全てのライダ1に起こり得る。しかしながら、ライダ1の速度に影響を与える変数は、これを困難にし、起こりそうにない。
【0045】
[0135]終端位置での減速及び停止
当該技術分野における終端位置(図1の7を参照)での減速及び停止は、一般に、ケーブルに取り付けられるブレーキ機構を使用して達成される。トロリーが減速/停止位置に近づくと、トロリーは、外部ブレーキ機構と相互作用して、制御された態様でライダを減速させ、それにより、トロリー及びライダがゼロ速度(停止)を達成できる。このブレーキ機能は、過度の減速力によってライダが怪我するのを防止するために又はライダが静止物体又はケーブルと接触するようにライダの軌道が変わるのを防止するために制御された態様で達成されなければならない。更に、外部ブレーキシステムは、異なるライダから存在する広範囲の到達速度及び力を考慮に入れなければならない。例えば、悪い環境条件で軽量のライダによって又は転がり抵抗が高いトロリーを使用して達成される最大速度は、追い風を伴う重いライダ及び転がり抵抗が低いトロリーよりも低い最大速さを有する。軽量のライダは、最適な着地位置に移動できない場合があり、また、望ましくない位置又は安全でない位置でのケーブルからのライダ回収を必要とする場合がある。追い風条件を伴う重いライダ又は転がり抵抗が小さいトロリーの場合、それらは、過度に大きい速度を得て、安全でない速度又は過度の到達力で着地位置に近づく場合がある。この結果、外部ブレーキ機構の動作パラメータを超え、それにより、負傷又は死亡に至る可能性がある。
【0046】
[0136]上記のシナリオにおいて、アクティビティのオペレータは、システムの動作範囲を制限して、重量範囲、天候の制限、高いメンテナンス頻度の必要性などのこれらの望ましくない状態を防がなければならない場合がある。このスループットの低下は、営業活動の商業的実行可能性に不利な態様で影響を及ぼす。
【0047】
[0137]使用される既存のジップラインシステムにおける互換性の欠如は、特にライドの終端領域の周囲での外部ブレーキ機構の使用に関する一般的な問題である。更に、外部ブレーキ機構は、最も一般的には、ライダのトロリーにより影響される静止物体であり、十分なブレーキ力を印加してライダを停止させように減速させる前にライダのトロリーの速度に適合するように加速される。ブレーキ機構のこの急速な加速は、(ブレーキシステムの勢いに起因して)高い慣性力をもたらす。この慣性力は、トロリーに印加され、過剰な力のスパイクがトロリー又はライダに印加される結果をもたらし得る。本明細書中に記載されるトロリーシステムは、特に終端位置で外部ブレーキシステムを必要としない。
【0048】
[0138]従来技術のライドも、ライダを減速させるために終端ブレーキに殆ど又は完全に依存する。ミッドスパンブレーキが使用されない又は制御可能な態様で使用されない。
【0049】
[0139]トロリーにおける可変一体型ブレーキシステム
本明細書中に記載されるトロリー及び関連する詳細は、上記の問題を解決でき、動作の単純さと共にライダにとっての安全性を向上させ得る。トロリーシステムは、トロリーに一体の可変ブレーキシステムを伴うライダトロリーシステムを使用してもよい。ブレーキシステムは様々な形態をとることができるのが分かり、非限定的な例としては(個別に及び組み合わせて)、
・摩擦ドラムブレーキ、
・摩擦ディスクブレーキ、
・粘性流体ブレーキ、
・渦電流ブレーキ、
・磁気ブレーキ、
・電磁ブレーキ、
・回生ブレーキ、
が挙げられる。
【0050】
[0140]閾値でのブレーキ作動及び入力信号
一体型ブレーキシステムは、トロリーが所定の閾値を超えてからブレーキシステムが作動されるまで、最初は完全に又は部分的に機能しないままであるように設計されてもよい。所定の閾値は、距離、速度、加速度、力、又は、ジャーク(加速度の変化)の変化に基づく入力/作動信号からのものであってもよいことが想起される。一体型ブレーキシステムの作動を制御するために他の形式の入力信号が使用されてもよい。
【0051】
[0141]トロリーの内部又は外部又は両方の信号
加えて、ブレーキシステムの作動のための入力信号は、トロリー内からの又はトロリーに一体化している入力/作動によって又はトロリーに供給される外部信号を介して又はこれらの両方により(個別に又は組み合わせて)得られ得る。
【0052】
[0142]信号及びブレーキ開始の影響
作動された時点で、一体型ブレーキシステムは、トロリーに十分なブレーキを印加して所望の結果を得るように制御されてもよい。既に使用されたジップラインの例において、この作動は、トロリーの速度を所定の限界まで制御することであってもよい。或いは、作動を使用して、トロリーを所定の距離内で又は許容可能な加速度限界内で或いはこれらの2つの組み合わせで完全に停止させることもできる。
【0053】
[0143]ブレーキ調整
一体型ブレーキシステムは、トロリーシステムがトラックシステムを横行するにつれてブレーキ力の変化をトロリーシステムに加え得る調整機構を有してもよい。トロリー及び関連する一体型ブレーキシステムは、異なる入力信号によって作動されると異なる機能を果たすことができると想起される。例えば、既に使用されたジップラインの例では、ブレーキシステムが最初に解放され得る又は制限された係合を有し得ることが想起される。トロリーの速度が許容可能な上限閾値(最大速度閾値)に達すると、トロリーの速度をこの上限速度に維持するためにブレーキが所望のパワーレベルにされてもよい。この形態において、ブレーキは、選択された入力パラメータに応じて速度を所望のレベルに適切に維持するために印加されるブレーキパワーを調整してもよい。同様に、ブレーキシステムは、トロリーの加速を遅くすること、トロリーを望ましい速度閾値レベルまで下げること、トロリーを完全停止に至らせること、トロリーの速度又は加速度の変化をもたらす他の組み合わせなどの任意の他の形の機能を達成するように構成されてもよい。
【0054】
[0144]自動及び動的調整
ブレーキシステムの調整は、自動的に行なわれて動的に加減されてもよい。例えば、トロリーの速度に影響を与える入力パラメータも動的に変化し、また、これらはブレーキ性能と相互作用してブレーキ性能を動的に変化させるために使用されてもよい。以下、ブレーキ作動及び作動時点のブレーキ調整のあたりについて詳しく説明する。
【0055】
[0145]ブレーキリセット
上記の用途では、ブレーキのタスクが達成された時点で、ブレーキシステムにリセット機能がもたらされてもよい。このリセット機能は、ブレーキシステムの完全な解放又はブレーキシステムの要求された機能の変化をもたらし得る。リセットされた時点で、ブレーキシステムは、速度が再び許容最大速度閾値を超える場合に、以前のモードで再係合され得る能力を有することができる。
【0056】
[0146]図1に示される例の場合、上記の例に記載される調整ブレーキ機能を伴うトロリーシステムは、図示の最初の段階(すなわち、フリーライドセクションの始点から終点まで)にとって理想的となり得る。この形式の機能は、速さが遅いライダの速度が不必要なブレーキにより遅くされないようにすることができ、そのため、過度の速度を達成できるライダが許容できると見なされる速度レベルに制限されるようにすることもできる。
【0057】
[0147]入力/作動信号の詳細
また、トロリーシステムにおけるブレーキシステムは、異なる入力/作動信号の使用によって異なるブレーキモードにされ得ることが想起される。以下、ブレーキシステム応答を引き起こして調整するための様々な手段について更に詳しく説明する。入力/作動信号は、トロリーシステムの内部であってもよく又はトロリーシステムに一体化してもよく、或いは、トロリーシステムに外部から印加され得る。例えば、ジップライン用途では、ケーブルに沿う様々な位置で異なる最大許容速度を有することが望ましい場合がある。これが図1に示されており、これにより、フリーライド範囲内の最大許容速度は、終端ブレーキゾーンへの許容速度であるものよりも高く設定されてもよい。この用途では、トロリーシステムがフリーライディングゾーンから出た時点で、ブレーキシステムが信号を介してより高いパワーモードにされてもよく、それにより、全てのライダのための最大許容速度が許容可能な入口速度まで減少される。
【0058】
[0148]また、トロリーシステムにおけるブレーキシステムがトロリーシステムを完全に減速させて完全停止に至らせ得る更なるモードにされ得ることも想起される。このモードは、緊急停止モードとして作動され得る又は終端ブレーキゾーン内でトロリーを停止させる手段として使用され得る。ブレーキのこのモードは、トロリーの内部に又はトロリーに一体化して生成される或いはトロリーに対して外的に印加される更なる信号により行われ得ることが想起される。
【0059】
[0149]調整制御
理解できるように、調整パワー出力を伴うブレーキシステムは、多くの方法で制御され得るとともに、多くの機能を形成することが求められ得る。更に、トロリー内又はトロリーに対する一体化のいずれもの及び外部信号からのブレーキモードを作動させる異なる手段も達成され得ることが理解されるべきである。上記で使用された例は、想定し得るブレーキモードの数、ブレーキモードを作動させる手段、又は、ブレーキモード間の相互作用に限定されるものと見なされるべきでない。
【0060】
[0150]同時にトラックシステム上にある複数のトロリー
複数のトロリーを同時にケーブル又はトラックシステムに載せることができると有利である用途も存在し得る。この用途の例としては、高層ビル又は石油プラットフォームからの複数の人々の緊急出口を挙げることができる。既存のトロリーシステムは、事故が起きる場合に外部から信号が送信されて停止に至らされる能力又は異なるライダ間の影響を防ぐために減速又は増速するべく信号が送信される能力を有さないため、この用途のために使用されない場合がある。既存のトロリーの場合、一度に一人だけがライン上にいることが唯一の安全であるが、それにより、これらの形態の用途へのトロリーの使用が制限される。これは、これらの既存のシステムがこの用途で使用される可能性を制限する。本明細書中に記載されるトロリーは、複数のライダが単一のケーブル又はトラックに乗ることを可能にする。各トロリーは、衝突を回避するように内部ブレーキシステムを調節するべく個別に信号が送られてもよい。同様に、全てのトロリーは、緊急事態が起これば完全停止になるように信号が送られ得る。これは、かなりの利点であり、システムを既存のシステムに対する代わりの用途で使用できるようにする。
【0061】
[0151]単一のトラック又はケーブルに複数のライダを乗せることができることは、マウンテンコースタ、ジップコースタ、リュージュスタイルのライド、すなわち、顧客が個々のカートに乗って明確な経路又はトラックを下り降りるとともに顧客自身のカートの速度及び/又は向きを(ある程度)制御できる能力を有するライドのようなアミューズメントライド用途にとっても非常に有利な場合がある。各カートに印加されるブレーキを自動的に調節することによってカート間の衝突の可能性を制限できる本明細書中に記載される能力、及び、緊急事態が存在する場合に全てのカートを停止させることができる能力は、ライダ同士をより近接させつつ高い安全性レベルを伴って、ライドにおけるより高いスループットを可能にする。
【0062】
[0152]別の実施形態では、トラック内の又はトラックに接続される信号送信手段が提供されてもよく、この信号送信手段は、トロリーがトラックを横行するときにトロリーの動きの情報又は制御態様を送ってもよい。例えば、信号は、1つ以上のトロリーに対してトラック上の特定の位置で減速又は停止するように送信されてもよい。減速は、トロリー内又はトラック上に配置されるブレーキシステムの選択的な動作によって行なわれてもよい。他の実施形態は、この明細書中の他の場所に示されるような信号送信手段を使用することを考え得る。
【0063】
[0153]他の用途
更に、本明細書中に記載されるトロリーシステムは、広範囲の入力パラメータに関して適合されてもよい。これにより、入力が大幅に変化し得る固有の用途でトロリーシステムを使用できる。1つのそのような例は、図2に示されるように石油プラットフォーム20から船21へ又は図3に例示されるように1隻の船30から他の船31へ人々を移送することである。プラットフォーム20と船21との又は2つの船30、31同士の相対的な位置は、それらのいずれもが浮いているため、かなり変化し得る。したがって、2つの間に固定される任意のケーブルの形状及び傾斜もおそらくかなり変化する。本明細書中に記載されるシステムは、全てのライダにとって安全な最大速度を維持して、ライダを所望の位置に停止させるのに必要な終端ブレーキをもたらすとともに、システム上の複数のライダ間の安全な最小レベルの分離を確保するために、内部ブレーキシステムがブレーキ能力を調節するように構成されるべくこの船の用途で使用され得る。
【0064】
[0154]内部ブレーキがトロリー-ホイールに結合される方法、しかしながら他のオプションも
内部ブレーキシステムが装置に組み込まれ得る態様は、装置及び所望の用途に依存している。ブレーキシステム及びトロリーシステムの1つ又は複数のホイールなどの回転構成要素は、直接的に又は間接的に回転結合されてもよい。装置が転がり構成要素又は回転構成要素(ホイール、滑車、キャスタなど)を有する用途の場合、ブレーキシステムを回転構成要素に回転結合するとともにブレーキシステムを使用して回転を遅らせることが一般的である。結合は、直接的であってもよく、或いは、クラッチ又はトランスミッション又はベルト又はチェーンドライブを含んでもよい二次要素を介するなどして前述したように間接的であってもよい。選択された実施形態において、トロリーシステムは、トラックシステムの上方に少なくとも2つのホイールを有し、トラックシステムの下方に少なくとも1つのホイールを有してもよい。
【0065】
[0155]幾つかの用途の場合、ブレーキシステムが別個の構成要素に作用してもよく、この別個の構成要素は装置の動きを遅らせる。この例としては、付加的なホイール又はキャスターを設けることを挙げることができ、この場合、構成要素の主な機能は、ブレーキに結合されるときに動きを遅らせることである。同様に、当業者は、スキッドプレート又はリニア渦電流ブレーキシステムの使用など、回転要素を必要としない他の形態のブレーキ用途の可能性が分かる。
【0066】
[0156]ホイール/キャスタ
この明細書の目的のため、ブレーキシステムは、ホイール又はキャスタに直接に結合されるものとして記載されるが、これは、前述のように他の形態が可能であってもよいことから、限定として見なされるべきでない。1つ又は複数のホイールの主な機能は、トラック及びトロリー本体及びライダなどのトロリーに連結される物体の間で径方向負荷及び横方向負荷を伝えることであってもよい。
【0067】
[0157]以下では、ジップライントロリーを側方から見たときに見られるホイール(図60参照)について言及する。それぞれの「ホイール」は、側方から見たとき、同軸に位置合わせされる2つのホイールのセットを備えてもよく、ガイド手段がホイール間又はホイールの1つの内側に向けて通過する。或いは、プーリーを使用して同様の機能を達成してもよく、1つ又は複数のホイールへの言及は限定的であると見なされるべきでない。
【0068】
[0158]具体的には、ジップライントロリーに適用されるとき、トロリーブレーキは、ホイールの少なくとも1つに連結されてもよく、また、作動されるときにホイールの回転を遅らせるように作用してもよい。ブレーキとホイールとの間の結合は、幾つかの態様では、駆動歯又はブレーキとホイールとの間の他の連結リンケージ(例えば、ベルト又はチェーン)を介するなどして機械的に様々な態様で達成されてもよい。ブレーキシステムは、複数のトロリーシステムホイールに結合されてもよい。
【0069】
[0159]理解すべきように、この実施形態のホイールは、ホイールにかけられるブレーキトルクをトラックシステムに伝えてトロリーブレーキを引き起こすのに十分な牽引力を与えなければならない。この形態ではブレーキが重要であるにもかかわらず、同様に重要なのは、ブレーキがかけられないときにトロリーの自由な動きを可能にする非ブレーキ動作下でホイールの転がり抵抗を最小限に抑えることである。
【0070】
[0160]トロリーシステムホイールのうちの少なくとも1つは、一般に、皿形断面と皿形断面から外側に延びるフランジとを伴って直径がおおよそのものであってもよい。皿形断面は、ケーブル及び/又はレールの少なくとも一部を内部で受けるように構成されてもよく、フランジは、少なくとも1つのホイールがケーブル又はレールを横行するときにケーブル又はレールの側面の周囲で延びる。
【0071】
[0161]各トロリーシステムは、上側からトラックシステムに固定してトロリーに連続して配置される少なくとも2つのホイールを有してもよく、また、これらの上側ホイールは、トロリーシステムがトラックシステムを横行するときに主なサポートをもたらす。各トロリーシステムは、トロリーシステムにおけるケーブル又はレールの位置の略下方であって上側ホイールの下方に、トロリーシステム上に配置される少なくとも1つのホイールを有してもよい。下側ホイールは、トロリーシステム移動の局面中にトロリーシステムをケーブル又はレールの下方から方向付けるように作用するとともに、ケーブル上又はレール上でのトロリーシステムの保持に役立つように作用する。
【0072】
[0162]1つの実施形態において、トロリーは、比較的短い上側ホイールベースを有してもよく、すなわち、最初のホイールから最後のホイールまでの距離は、ケーブル又はレールの任意の曲率がホイールをケーブル又はレールから脱線させるのに十分な横力をトロリーホイールにかけないように十分に短くてもよい。これにより、トロリーは、脱線の懸念を伴うことなくきつい半径のコーナーを曲がることができる。脱線は、ホイールへのケーブル又はトラックの相対的な進入角度がホイールの側壁に乗り上げ始めるのに十分大きいときに起こり得る。
【0073】
[0163]ホイールは、皿形断面内のケーブルの高度な位置ずれに対応するために比較的深い断面を有してもよく、すなわち、皿形断面は、ホイールとケーブルとが接続されるときにケーブル直径の少なくとも50%が皿形断面内に配置されるようにケーブルを少なくとも内部に受け入れるのに十分に深く延びてもよい。この深い断面は、そのようなブレーキ付きトロリー形態に適用されるときにケーブルの周囲のブレーキ付きホイールとフロントホイールとの間の高度の重なり合いを確保するのに役立ち得る。
【0074】
[0164]トロリーホイールは、1つの実施形態では、ホイール側フランジを捕らえることなく、必要に応じてホイールが僅かに大きい直径を乗り越えることができるようにし得る楕円形を有してもよい。また、この形態は、ある程度の左右の動きを可能にすることによってトロリーのコーナリングを容易にすることもできる。ホイールは、エネルギーを吸収し、牽引力を助け、ノイズを減らし、及び/又は、構成要素の材料寿命又は耐用年数を延ばすことができるエラストマー層でコーティングされてもよい。
【0075】
[0165]ハイブリッド材料ホイール
1つの実施形態において、少なくとも1つのホイールは、硬度及び摩擦係数が異なる少なくとも2つの様々な材料の使用を含むハイブリッド材料形態を利用してもよく、1つの材料はホイールベースの周囲に配置され、他の材料は、トラックシステムの側面の少なくとも一部を取り囲むホイールの内面の周囲に配置される。更なる実施形態において、ホイール用の材料は、段階的に配置される硬度及び/又は摩擦係数の材料を含んでもよい。
【0076】
[0166]一般に、ジップライン用途で使用されるようなホイールを製造するために使用される化合物は、ポリウレタンの変形から形成される。ポリウレタンは、ケーブル又はトラックの材料に沿う転がり抵抗用途にとっては材料が幾分柔軟であるが依然として耐摩耗性があること、及び、効果的なブレーキを可能にして望ましくない滑りを最小限に抑える摩擦係数に起因して、リニア転がりシステムにおいて有用なプラスチックである。以下で更に説明されるようなジップライントロリーのコーナリングは、ベース滑車の直径とフランジとの間の転がり速度が異なるため、ホイール側又はフランジに異常に高い要求を突き付け得る。この異なる動きは、転がり応力ではなく、ホイール表面に剪断応力を引き起こす。この場合のポリウレタンは、本明細書中に記載されるトロリーシステムで剪断応力を受けたときに十分な耐久性がなく、また、剪断応力の生成に起因してホイール壁の劣化が起こり得る。剪断応力に対処する1つの実施形態は、ハイブリッドホイール600の斜視図を示す図59、及び、ハイブリッドホイール600の斜視断面図を示す図60に示される実施形態である。ハイブリッドホイール600は、ポリウレタンの中央セクション601を使用して、通常の動作でケーブル(図示せず)と接続するホイールの転がり領域の周囲に一般に配置されるブレーキのための摩擦をもたらしてもよい。例えば、ハイブリッドホイール600は、トロリーのコーナリング動作中などの剪断応力を受けるときに耐久性がある少なくともフランジ内側面602の周囲に配置されるポリウレタンと比較して異なる比較的硬いプラスチック材料を備えてもよい。硬質プラスチック材料602は、1つの実施形態では、ポリエチレンテレフタレート又はPETPであってもよいが、適切な硬度及び耐久性の他の材料が使用されてもよい。ハイブリッド形態は、サンドイッチアセンブリによって又は硬質プラスチック上へのポリウレタンのオーバーモールドによって製造され得る。断面内の材料及び構成要素の選択は、ホイールシステム及びトロリーシステムの望ましい歪み及び剪断適合性を達成するように選択されてもよい。また、記載されるハイブリッドホイール600は、中央コアをもたらすために鋼又はアルミニウムから製造される骨格を有してもよい。締結具を使用して、ホイールフランジの強度及び剛性を更に高めてもよい。
【0077】
[0167]更なる実施形態において、中央構成要素及び/又は壁構成要素及び/又は本体又は骨格などのハイブリッドホイールの様々な構成要素は、例えばハイブリッドホイールの材料が磨耗、破損するようになる或いはホイールシステムの異なる特性が必要とされる新たな構成要素に取って代えられてもよい。これらの実施形態は、サンドイッチアセンブリとして製造されるトロリーシステムホイールに特によく適しているが、他の形態の構造もこれらの実施形態に適し得る。ハイブリッドホイール構成要素を交換する方法としては、ハイブリッドホイールをトロリーから取り外すこと、置き換えられるべき摩耗した/破損した或いはさもなければ選択された構成要素をハイブリッドホイールから分離すること、選択された構成要素を交換すること、及び、ハイブリッドホイールシステムを再組み立てすることが挙げられる。
【0078】
[0168]トロリー及びトラックシステムの捕捉及び除去
ジップラインの例(図1に示される)に戻って参照すると、ジップトロリーは、ケーブル上に捕捉されるとともにライダが終点までケーブルを安全に横行し得る必要がある。また、トロリーをライドの終点でケーブルから取り外して元の始点まで輸送することも一般的であり、始点においてトロリーがその後にケーブルに対して安全に再取り付けされなければならない。幾つかのシステム(例えばマウンテンコースタ)が閉じられた系を有してもよく、それにより、トロリー又はカートは、設置された時点で滅多にトラックから取り外されない。
【0079】
[0169]滑り問題
移動する物体内から適用される全てのブレーキシステムの場合には、ブレーキシステムが横行している表面上で滑るブレーキシステムの能力を制限することが重要である。滑りは、多くの要因に起因して起こり得るが、転がり要素とそれが回転している表面との間の牽引力の損失によってもたらされる。最も一般的には、これは、転がり要素とそれが転がっている表面との間の摩擦が受け入れることができるよりも大きい度合いまで転がり要素の動きが遅らされるときに起こる。2つの表面間で生成される摩擦は、2つの要素に印加される垂直抗力の関数である。それにより、強い垂直抗力を維持することにより、滑りの可能性が有利に減少される。
【0080】
[0170]左右の移動の問題
上記のブレーキ形態の考慮事項はさておき、ブレーキに必ずしも依存しない又は関連しない更に重要な設計の考慮事項は、可動物体又はトロリーが走行するレール又はラインの長手方向軸線周りの少なくともある程度の左右の動きを許容することである。左右の動きは、例えばコーナーの周りで移動されている又は横風などに起因して移動されているトロリーに取り付けられるライダにより引き起こされる自然な動きであってもよい。この左右の動きに関するある程度の許容差は(過剰な左右の動きを修正できる能力のように)重要となり得る。更に、左右の動きにもかかわらず、可動物体又はトロリーが常にレール又はラインに連結されたままであることが重要となり得る。
【0081】
[0171]トロリー回動アームホイールブレーキ機構
1つの実施形態では、トロリーが回動アームを有してもよく、回動アームの片側は物体に連結されるように構成され、反対側はブレーキホイールを備え、ブレーキホイールは、ブレーキが作動されるときにケーブル又はレールに当接するように枢軸によって付勢される。
【0082】
[0172]上記の説明に基づく1つの想定し得る形態が図4に与えられる。この形態において、ブレーキ40は、トロリーシステム43の下側(矢印42)に配置されるホイール41に取り付けられてもよい。これは、トロリー43が載るケーブル44の下方にトロリー43の質量中心が配置されるようにし、それにより、トロリー43が除荷されるときにトロリー43がケーブル44上で飛び跳ねる又は回転(反転)することが防止される。
【0083】
[0173]図4に示されるように、ブレーキ40は、回動アーム45を介してトロリー43に取り付けられる。ブレーキ40が枢軸47の一方側46に配置されてもよく、また、ライダ48が枢軸47の他方側49に取り付けられる。この形態では、ブレーキ40に垂直抗力を印加するためにライダ48の重量が枢軸47を介して作用し、それにより、ブレーキホイール41がケーブル44に押し付けられる。ブレーキホイール41によってケーブル44に印加される力のレベルは、ライダ48の重量、及び、枢軸47からのライダ48の取り付け部とブレーキ付きホイール41との間の相対距離の関数となり得る。したがって、ブレーキ40/ブレーキホイール41によってケーブル44に及ぼされる力のレベルは、ライダ48の重量に比例する。より重いライダ48は、滑りの可能性を最小にするために付加的な圧力をケーブル44に及ぼす必要があるため、これはかなりの利点をもたらす。
【0084】
[0174]枢軸47とライダ48及びブレーキ40又はブレーキホイール41の取り付け部との間の相対距離を調節することにより、ホイール41によってケーブル44に及ぼされる力を修正することができる。ライダ48の取り付けポイントに対してブレーキホイール41を枢軸47の近くに配置することは、機械的な利点をもたらし、ライダ48の取り付けポイントの重量の力を超えて力を増大させる。ライダ48の距離に対して距離を増大させることは、ライダ48の重量の力を下回って力を減少させる。
【0085】
[0175]また、ブレーキ40が取り付けられるブレーキホイール41は、トロリー43の前方50に配置されてもよく、或いは、前ホイールは、レール又はライン44に沿って最初に移動するホイールである。第1に、このことは、このブレーキホイール41がトロリー上の他のホイールの前にケーブル44から外部入力信号を受けるようにする。更に、ブレーキ力が印加されると、ケーブルの下方に配置される任意の質量(この例では、ライダの1の重量)からトロリー43に印加される力が、動きの方向に向けて前方に振れ、したがって、ブレーキ力が増大される。ブレーキホイール41を前方位置に配置することにより、この増大された力は、ケーブル44に対するホイール41の係合に役立って、滑りの可能性を制限することができる。システムの質量中心がトロリー43上方にある用途に関し、(トラックの上方にあるカートに乗っているライダのように-図示せず)、このとき、質量中心はトロリーシステムがブレーキをかけるときに前方に移動しようとし、この場合、ブレーキホイール41をトロリー43の後方に配置することがより有効であり得る。
【0086】
[0176]図4に描かれるように、枢軸47は、2つの上側ホイール51間の等しく離間されたポイントに配置されてもよい。システムがブレーキをかけていないとき、両方の上側ホイール51は、ライダ1の重量により負荷がかかったままであり、したがって、ケーブル44又はレール(図示せず)に沿って均等に進む。フロントホイール51で更なる重量を有することがより有効であれば、枢軸47の位置は、フロントホイール51の位置に向けて移動されてもよく、また、リアホイール51で重量を増大するために反対が達成されてもよい。両方のホイール51が何らかの負荷を保持するようにすることが重要な場合がある。なお、枢軸47をホイール51間に配置されたままにすることは、ライダ48の少なくとも一部がフロント及びリアホイール51に移送されるようにし、これは、特定の用途における機能にとって重要となり得る。枢軸47をフロントホイール51の前方に配置することにより、負荷のバランスが変化し、リアホイール51がケーブル44を持ち上げようとし得る。枢軸47を変化させてホイール51間の負荷バランスを変えることができる能力は、この実施形態において受け入れられ得る重要な考慮事項となり得ることが分かる。
【0087】
[0177]更に、ブレーキホイール41は、2つの上側ホイール51に対してトロリー43の反対側に配置されてもよい。トロリー43がケーブル44又はレール(図示せず)を下方に進むにつれて、この実施形態におけるブレーキ付きホイール41の転がり方向は、上側ホイール51とは反対の方向にある。図4の実施形態に示されるように、トロリー43が右から左に移動するにつれて、ブレーキ付きホイール41は時計回りに回転するが、上側ホイール51はいずれも反時計回りに回転する。
【0088】
[0178]図4に示される形態からの他の利点は、トロリー43がその動きと干渉する任意の外部システムと相互作用するときに生じる。干渉する外部システムは、ケーブル44上の移行ポイント、ブレーキ40のための入力信号、又は、終端ブレーキシステムであってもよい。外部システムによってトロリー43の動きが減速されると、システムの下方に吊り下がる重量(ライダ48など)が前方に振れる傾向にあり、それにより、ブレーキホイール41に付加的な垂直抗力が印加され、ケーブル44とブレーキホイール41との間のクランプ力が増大される。これは、ブレーキの期間中にトロリー43がケーブルから離脱するのを防ぐように作用する。
【0089】
[0179]図4に描かれるように、ブレーキホイール41の位置は、ケーブル44の上部に配置される隣接する(上側)ホイール51に近接してもよい。この近接は、ブレーキ付きホイール41からケーブル44に印加される任意の垂直抗力(すなわち、ケーブル44の長手方向の範囲に対して垂直に印加される力)がこれらの2つのホイール51間のケーブル44に締め付け作用を引き起こすようにする。この締め付け作用は、ケーブル44に作用するトロリー43のクランプ圧力を増大させるように働き、ブレーキ付きホイール41がケーブル44又はレール(図示せず)に対して滑る可能性を制限する。
【0090】
[0180]前述のようにブレーキ付きホイール41を回動部材45上に配置することは、以下の更なる利点を有し得る。
・トップホイールとボトムホイールとの間に開口を形成することによってトロリーをケーブルに簡単に付加してケーブルから取り外すことができるようにし、開口を通じてケーブルを除去できる;
・上端ホイールの下面とブレーキ付きホイールの上面との間のオリフィスのサイズを調節することによってシステムが異なるサイズのケーブル及びトラックを受け入れ得るようにする。これは、トロリーが異なるケーブルとトラックとの間で移行できるようにするための重要な要件である。
・また、それは、ブレーキシステムに外部トリガー要素を与える位置上にわたってシステムが横行できるようにするための重要な措置となり得る。
【0091】
[0181]例えば、所定の設定点又はパラメータにしたがって速度の変化又はブレーキ調整を信号で送信するために(トロリー又はトラックに或いはトラックシステムの他の部分に配置される)回動アームが信号送信手段として使用されてもよい。
【0092】
[0182]以上は非限定的な例であり、他の方法が信号を生成するために回動アームを必要としない場合があることが分かる。
【0093】
[0183]硬質トロリー本体
別の実施形態では、トロリーが硬質本体を備えてもよく、本体の一部がレール又はラインの上方にあるとともに本体の一部がレール又はラインの下方にある状態で本体がレール又はラインに被さるようにケーブル又はレールが本体の中央セクション間を通過し、本体は、ケーブル又はレールにまたがって位置する少なくとも2つの離間した上側ホイールであって、ブレーキ機構に接続され得る上側ホイールと、本体の下側セクションにおいてそこを通過するケーブル又はレールの下方に配置される1つ又は複数の下側ホイールと、を更に備える。
【0094】
[0184]上記の別のジップライントロリー300が図29図32に示される。この実施形態では、回動アームが硬質本体301と置き換えられ、ケーブル又はレールは、本体301の一部がレール又はラインの上方にあるとともに本体301の一部がレール又はラインの下方にある状態で本体301がレール又はラインに被さるように前側又は後側立面図(図30及び図31)から見たときに本体301の中央セクション302間を通過する。
この実施形態において、トロリー本体301は、押し出し、成形、又は、他の手段によって形成されてもよく、形状の一例が図53図56に示されるものである。製造コストを下げるために押し出しが望ましい場合があるが、金型は必須ではない。押し出し型材には、嵌め合い側要素が取り付けられてもよく、これらの要素は、更なる強度、構成要素の取り付け、装着、及び、それらの組み合わせのオプションを与える。図53図56に示される実施形態において、本体301は、ガイド手段が通過する開口530をその中に伴うC字形を有する。本体301は、ガイド手段にまたがって位置する支持体533を介して接合される上側本体セクション531及び下側本体セクション532から形成される。図29図32に示されるように、本体301は、ガイド手段にまたがって位置する少なくとも2つの離間した上側ホイール303と、そこを通過するケーブル又はレールの下方の本体301の下側セクションに配置される1つ又は複数の下側ホイール304とを更に備える。
【0095】
[0185]ライダは、下側本体セクション305の周囲でトロリー本体301に取り付き、図53図56及び図29図32に示されるように、取り付けポイントは、ジップライントロリー300の背面に向かって開口する大きな円形として示される。
【0096】
[0186]前述のように、本体301は、トロリー301の前側に配置される1つ又は複数の下側ホイール304を備えてもよく、1つ又は複数の下側前ホイール304は、大まかに位置合わせされ又は上側前ホイール303の略前方に位置するが、別の位置を伴う形態が、所望の機能を与えてもよく、本開示の範囲内にある。前述の「前ホイール」という用語は、ジップライントロリーがレール又はラインに沿うトロリーの通常の動作移動状態にあるときに最初にレール又はラインに沿って移動するホイールを指す。この別の実施形態において、ライダは、下側前ホイールの後方のポイントでジップライントロリーに取り付けられるとともに、本体ジップライントロリー本体の下側セクションに取り付けられる。ケーブル又はラインセクションに沿う移動中、1つ又は複数の下側ホイール304は、接触を防止するために上側ホイール303から十分に離れて配置されているケーブル又はラインに接触しなくてもよい。上側ホイール303をケーブル又はラインから持ち上げるジャンプ又は他の上下動作などのトロリー300又はケーブルの異常な動きの場合、下側ホイール304は、少なくとも一時的にケーブル又はラインと係合することによりジップライントロリーがケーブル又はラインから外れないようにするためにケーブル又はラインに十分近い間隔をあけてもよい。しかしながら、1つ又は複数の下側ホイール304は、トラック又はレールセクションを横行するときにジップライントロリーの動きを案内して管理する又は制御するために使用されてもよい。このシナリオにおいて、トラック又はレールは、一般に、上から下に向かって大きい直径又は幅をもたらすケーブル又はラインの少なくとも一部の周囲に取り付けられており、このことは、上側前ホイール303と下側前ホイール304との間のジップライントロリー開口又は隙間が少なくとも大きい間隔を補償する必要があることを意味する。この実施形態における下側ホイール304は、トラック又はレールの下面と係合し又はほぼ係合し、この場合、1つ又は複数の上側ホイール303は、トラック又はレールの上面と係合したままである。以下に述べるように、引込みセクション及び引出しセクションは、下側ホイール係合及び解放を支援するために使用されてもよい。
【0097】
[0187]理解できるように、この別の実施形態では、回動アームが使用されず、また、下側ホイールを締め付けたり又は上側前ホイールと下側前ホイールとの間の隙間を広げたりしない。この実施形態では、以下で更に説明する移行装置及びレールセクションへ向かうトロリーの過度の持ち上がり及び想定し得る脱線を防止する目的で、1つ又は複数の下側ホイールが使用されてもよい。また、1つ又は複数の下側ホイールは、システムの移行装置及びレール要素を通過するときに脱線を防ぐためにトロリーをレールに対して完全に捕捉する。1つ又は複数の下側ホイールは、トロリーの垂直面位置合わせを支援して、左右の動きを防止又は制限することもできる。これは、脱線を回避するために重要な場合があり、また、トラックフィンを使用してトロリーをトラックフィンに対して位置合わせする(更に後述する)場合にも役立ち得る。
【0098】
更なる別のトロリー
更に他の別の実施形態において、トロリーは、上側ホイール及び下側ホイールを伴う硬質本体又はシャーシを有してもよく、上側ホイールはケーブル又はレールと嵌まり合いブレーキ機構に接続され、下側ホイールは、互いに対向し、対向する下側ホイール間にケーブル又はレールを許容するのに十分に幅広い開口をホイール間に有し、また、下側ホイールは、ホイール外面の片側が下側ホイールを通過するレールに干渉して当接するべく構成されるように、ケーブル又はレールに対して角度が付けられる。
【0099】
[0188]上記の更なる別の実施形態のトロリー770は、図76に斜視図で示されるような形態をとってもよい。図83は、トロリー770を通過するレール724を伴う同じトロリー770の実施形態の正面を示している。この場合、トロリー770は、上記と同様に、上側ホイール800及び下側ホイール721を伴う硬質本体又はシャーシ830を有して規定される。シャーシ830については以下で更に説明する。上側ホイール800は、ケーブル又はレールと嵌合し、ブレーキ機構に接続される少なくとも1つのホイール800を有してもよい。上側ホイール800とケーブル又はレール724との間の摩擦は、トロリー770のためのブレーキの基礎を形成する。この実施形態におけるブレーキ機構自体は、前後の上側ホイール800間に形成される空間内に収容されてもよい。
【0100】
[0189]トロリー770のための硬質本体シャーシ830の一例が図82に詳しく示される。シャーシ830は、ライド持続時間の全体にわたってライダにサポートをもたらすことができ、載荷下で十分な剛性及び撓みを与えなければならないとともに、トロリー770がレールからケーブルに移行するにつれてケーブルが出入りできるようにしなければならない。最後に、シャーシ830は、トロリー770のサブアセンブリも支持しなければならない。図82に示される実施形態において、図示のトロリー770のシャーシ830は、ケーブルが出入りする共通の側方開口832をもたらすために互いに連続して位置合わせされる一連のC字形セクション831を備える。シャーシ830は、(以下で更に論じられる)スプレッダバーのための装着ポイント833を有してもよい。また、シャーシ830は、C字形セクション831を互いに連結してトロリー770アセンブリの他の部品を収容する中央本体834を有してもよい。
【0101】
[0190]この実施形態で説明されるトロリー770は、本明細書で後にジョッキーホイールと呼ばれる下側ホイールを有する。対向する下側ホイール間にケーブル又はレールを許容するのに十分幅広い開口をホイール間に伴って互いに対向する2つの下側ホイールが使用されてもよい。このトロリーの実施形態において、下側ホイールは、ホイール外面の片側がホイールを通過するレールに干渉して当接し得るようにケーブル又はレールに対して角度が付けられる。
【0102】
[0191]このトロリーの実施形態に関する更なる詳細については以下で説明する。
【0103】
[0192]フロントホイールからの空気流
前述の実施形態においてトロリーの前方に1つ又は複数の回転ホイールを配置する利点は、ブレーキ構成要素への空気流を増大させることができることである。この空気流は、必要に応じてブレーキ構成要素の冷却を助け、ブレーキ性能を低下させる可能性を減らすことができる。
【0104】
[0193]トラックの下方のブレーキ配置
前述のように、幾つかのトロリーの実施形態におけるブレーキは、ケーブル又はレールの下方に配置されてもよい。トロリーシステムが上面で水を捕捉する可能性のあるレールで使用される場合、ブレーキ付きホイールをレールの下側に配置することは、幾つかの実施形態では、ブレーキ付きホイールが任意の池水で滑る可能性を減らすのに役立ち得る。更に、ブレーキをレールの下側に配置することにより、ブレーキ及びブレーキハウジングから排出される水は、トラック表面へではなくトラックから離れるように落下できる。これにより、濡れた表面上で滑る可能性が更に減少する。渦電流ブレーキなどの特定のブレーキタイプの場合、ブレーキ構成要素に水を塗布することは、ブレーキ性能を低下させることなくブレーキ構成要素の冷却を支援するのに役立ち得る。しかしながら、ケーブル又はレールの下方にブレーキを配置することは必須ではなく、前述のように、他のトロリーの実施形態は、ケーブル又はレールの上方に配置されるブレーキを有してもよい。
【0105】
ブレーキシステムモード
ブレーキシステムは様々な機能モードで作動されてもよい。図4に示されるジップラインの例を使用すると、ブレーキは、3つのモード、すなわち、第1の速度制限モード、より低い速度へ向かう第2の速度制限モード、及び、停止機能を伴う第3の終端ブレーキモードのうちの1つを形成できる。例えば、内部ブレーキシステムは、トロリーを完全停止に至らせ得る少なくとも1つの入力信号に基づいて(通常の動作モードとは異なる)緊急モードにされるように構成されてもよい。内部ブレーキシステムは、「通常」モードでは、トラックシステムに対するトロリーシステムの停止動作であってもよい。内部ブレーキシステムは、「通常」モードでは、トラックシステムに対するトロリーシステムの減速動作であってもよい。「通常」という用語は、速度、ジャーク、加速度などの尺度の所定の制限内でトロリーシステムが動作することを指す。「緊急」という用語は、トロリーシステムが言及された所定の制限を超えることを指し得る。
【0106】
[0194]他の多数の機能モードが使用されてもよく、また、述べられた3つのモードのみへの言及は、限定と見なされるべきではない。異なるモードをライドの異なる部分で使用して、終端ブレーキを引き起こす又はおそらくブレーキがパススルーブレーキ又はミッドスパンブレーキである場合に過剰な速度を落とすことができる。
【0107】
[0195]信号の詳細
ブレーキシステムが前述の入力/作動信号を使用して様々なモードのそれぞれへ起動されてもよいことが想起され、信号は、移動要素(例えばトロリー)内で生成され又は移動要素に一体化して生成され或いはトロリー内で内的に機能変化を引き起こすトロリーから外部生成される信号から生成される。
【0108】
[0196]内部信号送信
内部信号を生成する方法の例としては、(単独で又は組み合わせて)以下が挙げられるが、これらに限定されない。
・距離測定値-装置がライドに沿って並進した距離又は前の信号が測定された以降の距離及び特定の移動距離又は最後の信号が新しい信号をトリガした後の持続時間。これは、ブレーキ付きホイールの回転数として測定されてもよく又は距離のより直接的な測定値であってもよい。
・速度測定値-トロリー又はホイールの速度が許容閾値速度を超える又は下回るときに信号が生成されてもよい;
・加速度測定-加速度が許容閾値加速度を超える又は下回るときに信号が生成されてもよい;
・ジャーク測定値-ジャークが加速度の変化として規定される。特に測定されたジャークが許容閾値ジャークレベルを超える又は下回る場合に装置又は要素のいずれかのジャークの変化に関して信号が生成されてもよい。
・ブレーキ位置及び振れ測定値-ブレーキは、トロリーの下側でスイングアームに取り付けられてもよいブレーキ付きホイールに取り付けられてもよい。トロリー本体(又はトップホイール)に対するブレーキ又はスイングアームの相対位置が、決定されるとともに、例えば所定の「通常」の位置を越えるライダの過度な振れを回避するために信号として使用されてもよい。同様に、スイングアームの移動方向は、更なる尺度及び信号として使用され得る(所定の距離を下回る隙間の閉鎖);
・ライダ重量測定値-ライダの重量は機械的にブレーキシステムに伝えられてもよい。したがって、例えばライドが行なわれる前であっても、ライダの静的重量をブレーキへの入力/作動信号として使用してブレーキパワー要件を選択することができる。更に、様々な要因によりライド中にトロリーが加速又は減速して動的に振る舞うにつれて、ライダの重量によって引き起こされるブレーキ信号は、それに応じて、ライドの進行に伴う重力加速度の変化、ライダに作用する風力などによって変化し得る;
・トロリーが動的に移動するにつれて、トロリーに作用するライダの動態が変化し、これらの変化する動態が信号として使用されてもよい。ライダがトロリーの下方に吊り下がっている用途の場合、ライダの重量が装着位置に加えられる角度は、ライドの動態に起因して変化し得る。同様に、ライダの質量中心は、ライド中に静止位置から前又は後に移動する場合がある。重量及び角度のこれらの変化は、ブレーキ機能のための入力信号として使用されてもよい。
【0109】
[0197]上記のリストは限定的と見なされるべきではなく、他の信号又は信号の組み合わせが装置内で又は装置に一体化して生成されてもよい。
【0110】
[0198]外部信号送信
トロリーに作用するブレーキは、ブレーキモード及び機能を作動させるために使用されてもよい一連の外部信号に晒されてもよい。外部信号の想定し得る供給源としては、(個別に又は組み合わせて)以下が挙げられるが、これらに限定されない。
・トラック移行-本明細書中に記載されるトラックシステム及びトロリーは、例えばケーブルセクションからレールセクションへ及び/又はレールセクションからケーブルセクションへ移動するために移行要素を横行することができてもよい。本明細書中に記載されるトロリーの実施形態では、トロリーが移行装置に直面すると、トロリーの上側ホイールと下側ホイールとの間の距離が変化する-例えば、上側ホイールと下側ホイールとの間の距離位置が、最初に増大する場合があり、その後、一緒に少なくとも幾分跳ね戻る場合がある。移行によって引き起こされるトロリーホイール離間距離に関するこの外部入力は、センサとして使用されてもよく、それにより、内部トロリーブレーキは、サイズ、形状、長さ、数、移行要素の間隔、又は、これらの効果の任意の組み合わせに応じて異なるモードへ作動されてもよい。
・外部近接センサ-トロリーの経路中に配置される近接センサに起因して内部トロリーブレーキが作動され得る。近接センサは、ブレーキの挙動を作動させる又は変更するために、トラックシステムに沿うトロリーの動きを妨げる磁気センサ又は弾性タグの使用を含めて、複数の形式又はスタイルを取ることができる。外部近接センサは、本質的に機械的、電気的/電子的、又は、機械的センサと電気的/電子的センサとの組み合わせであってもよい。
・ホイール回転-トロリーがトラックシステムに沿って進むにつれて、ギヤシステムが使用されなければ、上側ホイール及び下側ホイールを伴うトロリーは、トップホイールを下側ホイールとは異なる方向に回転させる。この回転方向の違いは、異なる入力信号をブレーキに転送するために使用されてもよい。例えば、トップホイールが反時計回りに回転すると、トップホイールにより誘導される信号が反時計回りの方向に生成されてもよい。これは、時計回りに回転していてもよい下側ホイールから生成される信号によって区別されてもよい。信号は、トップホイール又はボトムホイール(又は関連するが別個の要素)が最初に移行装置と接触するように移行要素上のトラックセクションの始点のオフセットを含む様々な手段から異なるホイールに与えられ得る。或いは、前述のような近接センサをいずれかのホイール付近で使用して作用を引き起こしてもよく、ホイールの回転方向がブレーキ応答を差別化する;
・誘導された電気信号-トロリー及び関連するブレーキ作動は、任意の形式の誘導された電気信号に応答できる;
・無線周波数又はWi-Fi(商標)信号を使用して、内部トロリーブレーキの様々な動作モードを作動させてもよい;
・RFID信号を使用して、様々なブレーキモードを作動させてもよい。RFID信号は、望まれる用途に応じて受動的又は能動的であってもよい。例えば、RFID信号がトラックシステムに沿って一定の間隔で離間されれば、それらの信号が双方向通信を形成でき、それにより、FID信号に対するトロリーの相対位置を信号として測定でき、レールのセクションを横行するのに要する時間も信号として測定できる;
・トロリーに関するGPS測位は、いつブレーキをかけるべきかを決定するための信号として使用されてもよい。更に、このGPS情報は、他のトロリーのシステム/ネットワーク及び/又はトロリー及びより幅広い誘導システムと関連する制御システムに通信され得る;
・外部電子信号を使用して、トロリーを相互接続できるとともに、トロリーが互いに通信してそれらの相対位置及び速度を確認できる。その後、この外部電子信号を使用して、任意の特定のトロリーの内部トロリーブレーキを調節し、適切な間隔が維持されるようにすることができる。
【0111】
[0199]信号送信の例
図5及び図6は、ケーブルからトラックに移行する際の2つの想定し得るトロリー形態及びブレーキ移動トリガーの例(図5)、及び、トラックからトロリーへの別の入力信号の概略図(図6)について記載する。図5は、図4のトロリー43、及び、トロリー43のブレーキ40への外部トリガーとしてのケーブル60の拡大部分の使用を示す。ホイール41,51の分離は、ケーブル60の拡大された部分によって引き起こされ、ケーブル60の拡大された部分は、ブレーキ40の作動を引き起こすように作用することができる。図6は、トロリー43と干渉する外部タグ61、例えば、トロリー43が外部タグ61を通過するときにトロリー1に装着される相補的なタグ62を示し、このとき、干渉は、例えば機械的なレバー又は近接センサ(図示せず)によってブレーキ40を作動させる信号を引き起こす。
【0112】
[0200]内部及び外部信号送信
また、任意の信号(内部又は外部)を組み合わせて更なる一連の信号を形成できる(すなわち、設定距離が移動された後に速度閾値を超える)ことが留意される。また、信号又は組み合わされた信号は、時間(速度閾値が達成された後の設定時間)と組み合わされてもよい。更に、前述のような内部信号を外部信号と組み合わせて、ブレーキ応答を生成してもよい。
【0113】
[0201]ブレーキ調整の詳細及び例
調整ブレーキシステムを移動要素(トロリー)に組み込む又は移動要素(トロリー)に取り付けることは、記載されたシステムの重要な特徴となり得る。ブレーキシステムによっていつでも生み出されるブレーキパワーを調整できる能力を有することにより、システムは、ブレーキを変更して、所望のブレーキ性能を達成できる。
【0114】
[0202]図1に与えられる例では、トロリーシステムがケーブルシステムを横行する。この用途の最初のゾーンにおいて、トロリーは、ブレーキシステムを作動させて、許容されるピーク速度を超えないように個々のトロリーの速度を調整する必要がある。ブレーキシステムが調整されずに単に固定された所定のブレーキ力の印加をもたらすにすぎない場合、動作制御性能が入力条件の範囲の全体にわたって大きく変化する可能性がある。これは、同図のスローダウン部及び終端ブレーキセクションについても当てはまる。
【0115】
[0203]上記の例として、終端ブレーキセクション(図1に項目7として示される)には、極端なライダの重量の影響が、距離と加速度とを比較する図7に示される。「標準」の加重システムが所望の「標準」距離で停止するようにするためにトロリーにブレーキが取り付けられる場合(図7の70とマークされた破線を参照)、ブレーキは、軽量トロリー又は低速のトロリーにとって非常に強力なブレーキ力を供給する。このトロリーは、低重量又は低速の「標準ブレーキ」のパワー下で、大きな減速を伴って遅らされ、望まれるよりも短い距離で減速する又は停止する(図7のライン71)。重い重量又は高速で動作する同様のトロリーの場合、固定ブレーキは不十分なブレーキ力を供給し、トロリーは比較的低い減速率下で望まれるよりも長い距離を移動する(図7のライン72)。
【0116】
[0204]トロリーブレーキにブレーキ調整が適用される場合には、トロリー及び取り付けられた移動質量に印加されるブレーキ作動力を調節して、広範囲の入力変数にわたって所望のブレーキ性能を達成することができる。この例は、異なるライダの重量に基づいて加速度と距離プロファイルとを再び比較する図8のグラフに示され、この場合、調節可能な(調整)ブレーキ作動力を伴うブレーキがトロリーに取り付けられる。この例の場合は、「標準」が破線の項目80として再び示される。軽量条件下で動作するトロリー用のブレーキは、低出力範囲に調整されてもよく、それにより、減速のレベルを制御するべくトロリーに作用するブレーキ力が低減されるとともに、ライン81により示されるように遅延が発生する距離が増大される。同様に、ブレーキのブレーキ作動力は、重い重量条件下で動作するトロリー(ライン82)に関して増大されてもよく、それにより、ブレーキ力が増大され、重量のある質量が減速される距離が短くされる。トロリーに作用するブレーキ作動力を調整できる能力を与える際には、トロリーと質量とによって受けられる停止距離及び減速の変動を低減するためのオプションが存在し、したがって、停止前に移動される加速度又は距離の任意の大幅な歪みが和らげられる。
【0117】
[0205]別の調整手段は、終端ブレーキゾーン内で横行する距離に基づいてブレーキ効果を変化させることによって達成されてもよい。1つの例において、ブレーキは、終端ブレーキゾーンに沿って最小値から最大値まで徐々に変化され得る。この場合、軽い重量は、最初はより低いブレーキ作動力に晒され、次第に望ましい速度まで低下される。より重い重量は、最小限の効果を伴って最初のセクションを横行するが、終端ゾーンに更に沿うセクションでブレーキ効果を受ける。この調整の結果、軽い重量及び重い重量の両方が、固定された又は非調整のシステムの場合よりも距離の変動が少ない範囲内の速度で望ましい停止を達成する。終端ゾーン内における上記の終端ブレーキは、ブレーキ手段の通過を使用して用いられてもよい。
【0118】
[0206]ブレーキ調整の目的及び利点は、トロリーの安全な動作を増やし、トロリーの移動を終了するために必要な距離と、随意的にトロリーに乗っているライダなどの取り付け質量とを最小限に抑えることであり得る。先の使用例は、可変動作重量の可変入力条件下での所望の終端位置ゾーン内におけるトロリーの減速及び停止に固有のものである。トロリーシステムへの調整されたブレーキの印加は、走行するトロリーシステムの他の動作段階下で有益な適用を有し得ることが分かる。そのような例の1つは、トロリーが所定の動作経路に沿って移動できる最大速度を制御又は管理することができる能力であってもよい。この例では、ブレーキシステムを調整して、速度管理が望まれる領域で制御速度が達成されるときにトロリーが加速又は減速しないようにトロリーに作用する力のバランスをとるのに十分なブレーキをトロリーに供給することができる。他の感知される動作の数的指標(例えば、前述のような内部信号又は外部信号)は、それらの組み合わせを含む、運動制御のためのターゲットとして使用されてもよい。
【0119】
[0207]調整は、走行するトロリーシステムの動きの制御において幅広い用途を有する。したがって、これらの例は限定的と見なされるべきではない。更に、ブレーキ調整の使用は、所望の特性を達成するためにトロリーシステムの特徴的な挙動(又は人間ベースの移動システムの場合には「感触」)を変化させるために適用されてもよい。したがって、トロリー動作システムの調整されたブレーキシステムの他の例及び用途は、この開示の範囲内である。
【0120】
[0208]ブレーキの調整とは、トロリーシステムの望ましい動作挙動を達成するためのブレーキ作動力の変化を指す。システムは、移動経路に沿う位置に又は動作特性の閾値を超えることに又は移動重量における入力に応じて調整が応答するように構成されてもよい。当業者であれば分かるように、調整が他の入力、尺度、及び/又は、条件に応答してもよく、及び、ここに開示される例が限定と見なされるべきでない。
【0121】
[0209]調整タイプ
ブレーキ作動力を調整する特定の手段は、ブレーキ作動力を与えるために使用される方法に依存してもよい。所望の調整ブレーキ特性は、使用されるブレーキ方法とは無関係であってもよく、ブレーキ方法に特有の制御方法は所望の調整特性を達成する手段である。本明細書において、ブレーキ方法の多くの例は、調整制御手段の例と共に提供される。これらの例は、例示を目的として提供され、限定と見なされるべきではない。
【0122】
[0210]前述のように、ブレーキの調整とは、トロリーシステムの望ましい動作挙動を達成するためのブレーキ作動力の変化を指す。調整のレベル又は調整の制御設定点は、多くの方法又は調整タイプ-固定、受動制御、又は、能動制御によって決定されてもよい。1つの実施形態において、固定、能動、又は、受動のブレーキ調整は、自動的に行なわれてもよく、トラックシステムに沿うトロリー移動中に動的に調節されてもよい。
【0123】
[0211]固定調整
固定調整方法は、想定し得るブレーキ作動力の範囲内でブレーキ作動力のレベルが所定のレベルに設定される方法であってもよい。所定のレベルの値は、用途によって決定される任意の数の理由で到達されてもよく、また、これは、この調整タイプを説明する上で必ずしも重要ではない。重要な機能は、用途のニーズに基づいて動作前にブレーキが所定のレベルに設定されるとともに、その時の用途のニーズに基づき、他の動作前に、ブレーキを他の時間で他の所定のレベルに変更できることである。
【0124】
[0212]固定調整タイプを示す例は、ジップライントロリーが固定調整ブレーキを具現化して動作され得る場合である。この例において、ブレーキ又はブレーキ作動力のレベルは、環境の風の状態に基づいて所定のレベルに設定されてもよい。ブレーキは、走行速度を制御するために追い風条件下でブレーキの高い所定のレベルに調整されてもよい。このトロリーが後に向かい風の条件下で動作される場合、ジップラインに沿う所望の移動速度を達成するためにブレーキ調整が低レベルのブレーキ作動力に予め規定されてもよい。
【0125】
[0213]他の例では、トロリーに加えられる重量に基づき、ブレーキが所定のレベルのブレーキ作動力に調整されてもよい。異なる印加重量で動作する際、動作前に異なるレベルの調整が予め規定されてもよい。ジップライントロリーの適用時、この固定調整は、オペレータが測定されたライダの重量に基づきジップライドの前にトロリーブレーキに関する設定を変更することによって予め規定されてもよい。或いは、トロリーは、トロリーブレーキの動作前にライダの重量から直接に固定調整のレベルを予め規定するための手段を含んでもよい。
【0126】
[0214]受動調整
受動調整とは、時間の離散的事例で存在する入力及び条件に応じて作用する動力が与えられない制御要素の固有の運動学的及び/又は動的な相互作用に基づくブレーキ作動力に対する時変変化を指す。他の方法で表現すると、外部電源入力がなく、また、行われた調整は、過去の知識又は将来の事象を予測できる能力を有さない。ある時点での調整レベルは、動作運動学及び動態及びその時点で適用される力/条件によって完全に管理されてもよい。言い換えると、調整は、その瞬間のシステムの入力に関連して、制御システムの所定の運動学的及び動的挙動内でのみ、いつでも応答が変化し得る。
【0127】
[0215]概念を説明するための受動制御システムのそのような例の1つは、その時点での速度のみに基づいてブレーキを調整するとともに固定摩擦表面に加えられる向心力によって管理される遠心摩擦ブレーキである。
【0128】
[0216]能動調整
能動調整とは、感知されたパラメータに応じたブレーキ手段の制御に基づくブレーキ作動力の時変変化を指し、この場合、調整は、感知されたパラメータを感知する要素とは別個の要素によって制御され得る。更に、能動システムが、感知されたパラメータの以前の値に応答する及び/又は既知の感知されたパラメータ及び/又は動作の挙動に基づく必要なブレーキ挙動の予測に基づいて制御する手段を有してもよい。
【0129】
[0217]能動調整システムのそのような例の1つは、速度センサと測定された移動位置とによって通信される値に応じて電磁渦電流ブレーキの電気制御パワーが給電される電子回路によって調整されるシステムである。
【0130】
[0218]幅広いトロリーシステムの調整
ブレーキ効果の調整制御は、トロリートラベラーシステムの一部と称される受動及び能動トロリーと混同されるべきでない。調整制御タイプ内でのブレーキの調整は、全体的なトロリーシステム制御によって決定される制御条件によって影響され得る。全体的なトロリー制御のそのような態様は、ブレーキ調整システムの異なる又は代わりの調整特性を、それが固定、受動、又は、能動のブレーキ調整であるとトリガーする又は命令する決定であってもよい。当業者であれば分かるように、これらの調整システムのそれぞれは、調整タイプの機能内でのみ調整制御が可能である。異なる又は代わりの調整特性をトリガーすること又は命令することは、ブレーキ調整制御自体とは無関係であってもよい。更に、異なる又は代わりの調整特性をトリガーできる又は命令できる能力は、固定された、受動的な、又は、能動的な制御された調整システム内で与えられてもよい。
【0131】
[0219]調整機構の例
様々なブレーキ調整機構が使用されてもよい。
【0132】
[0220]前述のように、移動要素(例えばトロリー)における内部ブレーキは、複数の形態及び構成をとってもよい。一例として、ブレーキは、磁気回路に形成される磁石、導体、及び、これらの2つの間の相対動作を利用する渦電流ブレーキシステムとなり得る。この渦電流ブレーキの調整は、(単独で又は組み合わせて)以下を含む任意の数の変数を変更することによって可能となり得る:
・磁気強度;
・磁気回路;
・磁束の方向又は角度;
・導体と磁石の相対速度;
・導体と磁石との間の相互作用;
・導体の機械的特性;
・導体の材料特性;
・システム又は構成要素の温度。
【0133】
[0221]或いは、ブレーキシステムが摩擦ブレーキである場合、摩擦ブレーキは、(単独で又は組み合わせて)以下を含む任意の数の変数を変更することによって調整されてもよい:
・摩擦材料;
・印加圧力;
・動作温度;
・摩擦面の数。
【0134】
[0222]或いは、ブレーキシステムが流体ブレーキである場合、流体ブレーキは、(単独で又は組み合わせて)以下を含む任意の数の変数を変更することによって調整されてもよい:
・流体粘度;
・フローエリア;
・流体圧力;
・タービン形状(ターボマシンの場合);
・流量。
【0135】
[0223]先に述べられた方法及び変数に加えて、ブレーキシステムのブレーキ力/作動力を変更する他の方法も存在し得る。
【0136】
[0224]調整のための所望の特性及びブレーキをこの所望の特性に調整するための制御手段は、選択された用途及びブレーキタイプの詳細に依存し得る。ブレーキ付きトロリー内でこれを達成するための特定の実施形態、及び、全トロリーシステム制御からの制御トリガー及びコマンド相互作用については、本明細書中で詳述しないが、当業者が、それら自体を単一の方法又は実施形態に限定せず、或いは、方法又は実施形態の限定された範囲及びそれらのすべての組み合わせがこの開示の範囲内と見なされることが理解されるべきである。
【0137】
[0225]例えば、トロリーにおける調整された渦電流ブレーキの適用は、摩耗、騒音、汚染の影響のない非接触(摩擦のない)ブレーキを提供するという利点を有し得る。そのようなブレーキの調整は、図9及び図10に例示されるグラフに示される例において達成されてもよい。
【0138】
[0226]図9に示されるこれらの2つの例のうちの第1の例(渦電流ブレーキの回転形態)において、ブレーキは、内側及び外側の磁気アレイの位置を相互に回転調節して磁気回路を変化させることによって調整され(項目90(反対の極性の磁石)及び項目91(共通の極性の磁石)として図9に簡単な例が示されている、磁石アレイが互いに対して回転することによって生じるアライメントが変化する。これを行なうことにより、導電体に作用する磁束(図9のx軸上にwとして示される)が変化されてもよい。導体に作用する磁束のこの変化は、動作中にブレーキによって与えられるブレーキ作動力又はトルク(図9のy軸上にTとして示される)に直接に影響を及ぼし得る。磁気アレイの相対動作は、ブレーキ作動力を変化させるために制御及び/又は作動手段によって作動されてもよい。この調整は、固定、受動、又は、能動調整方法によって達成されてもよい。そのような例の1つは、動作速度に応じたブレーキ作動力の受動的な調整であり、この場合、ブレーキの調整を制御して、速度を所定の最大値に制限できる。磁気アレイの位置の受動的な調節は、速度を管理するべくトロリーに印加される力のバランスをとるために変えられてもよい。より重いライダの重量及び/又は追い風及び/又は変化する傾斜に関して、磁石アレイがブレーキ作動力の増大を達成するべく配置されてもよい。
【0139】
[0227]図10に示される2つの例のうちの第2の例においては、導体100と固定された磁気アレイ101との重なり合いを変更することによってブレーキ作動力が変えられてもよい。このスタイルのブレーキの概略図は、項目102(導体と磁石アレイとが重なり合っている)及び項目103(導体と磁石アレイとが分離されている)として示される。この回転ブレーキの例では、導体100を軸方向に動かして磁気アレイ101との重なり合いを増大させると、磁束(X軸上のw)とブレーキ作動力(Y軸上のT)とを増大させることができる。重なり合いのレベルを低減するために導体100を軸方向に移動させる反対の動きによってブレーキ作動力が減少されてもよい。第1の例と同じ方法で、可変要素-導体100の重なり合いの調整により、入力条件の範囲に関して速度の制御が達成されてもよい。
【0140】
[0228]図61図68は、更に代わりの調整渦電流ブレーキ(ECB)アセンブリ620を示す。図61は、組み立てられたECBアセンブリ620の組み立て斜視図を示す。図62は、ECBアセンブリ620の断側面図を示す。図63は、導体アセンブリ621のみの斜視図を示す。図45は、導体アセンブリ621のみの側断面図を示す。図65は、磁石アレイ622のみの斜視図を示す。図67は、磁石アレイ622のみの側断面図を示す。図67は、調整機構623のみの斜視図を示す。図68は、調節機構623のみの背面断面図を示す。この実施形態において、ECBアセンブリ600は、ライドの全体にわたって速度設定点でトロリーを維持するように設計され、その設定点が閾値を超えると、ブレーキ効果が作動される。速度が閾値を下回った時点で、ブレーキ効果がなくなり得る。図62で最も良く分かるように、ECBアセンブリ620の形態は、導体アセンブリ621、磁石アレイ622、及び、調整アセンブリ623である3つの主要な構成要素を有する。これらは全てシャフト624の周囲に配置され、また、シャフト624は、ECBアセンブリ620のブレーキトルクをトロリーホイールに伝える。導体アセンブリ621は、シャフト624の回転速度と協調してシャフト624の周りで回転する。図23に示されるように、導体アセンブリ621は、ECB力が生成されないようにするために通常の動作下で磁石アレイ622の外側に配置されてもよい。シャフト624が速度閾値を超える程度まで回転すると、調整機構623内のウェイト625が遠心力に起因して方向BBで外向きに動く。この外向きのBB移動は、傾斜面626に沿って移動するウェイト625によって導体アセンブリ621に軸方向負荷を掛ける。調整機構623自体は、ウェイト625に掛けられる遠心力を更に増加させるために方向AAの周りでも回転することができる。図62に示される実施形態において、軸方向圧縮ばね627によって加えられる負荷は、導体アセンブリがケーブル及び/又はトラックに沿って移動する際にトロリーシステムに作用する様々な力によって引き起こされる磁気アレイ622に出入りする導体アセンブリ621の軸方向移動の変動に打ち勝つ又は変動を少なくとも減少させるように選択される。図61図68に示される実施形態では、片側の導体アセンブリ621がリング形状を有し、そのリングは磁石アレイ622内に移動される。リングは、導電性材料から形成される。導体アセンブリ621のリングが磁石アレイ622と重なり合えば合うほど、渦電流ブレーキ効果がより増大する。更に、導体621と磁石アレイ622との間の動作の相対速度が速ければ速いほど、渦電流ブレーキ効果が大きくなる。掛けられる渦電流ブレーキ力に起因して導体621が減速されるにつれて、導体621が磁石アレイ622から押し戻される。結果として、ライダの重量又は風などの他の要因にかかわりなく速度閾値に達した時点で、調整されたブレーキ応答が生じ、ライダが一定の速度設定点に保持される。また、導体アセンブリ621は、ブレーキ中に生成される熱を吸収するための放熱形態も備え、導体アセンブリ621の本体628及び冷却ファンブレードを介してこの熱を放散する。
【0141】
[0229]なお、本明細書中に記載されるようなトロリーシステムによって生み出されるエネルギー生成電力は、かなり大きくなり得る(500W以上)。これは、移動エネルギーを相殺するためにかなりのブレーキエネルギー応答を必要とする。これに加えて、トラックに沿うトロリーのある程度の迅速な移動を可能にする必要があるため、ブレーキの効果が過度に高感度であってはならない。落下安全ユニット又はオートビレイ装置で使用されるような従来技術の渦電流システムは、それらが外部の動きに対して非常に高感度となるように設計され、それにより、ロック又はブレーキが速すぎるため、適していない場合がある。上記の設計は、遠心力及び軸方向負荷の伝達などの幾つかの効果を通じてシステム要件に対応する。ブレーキの開始及びブレーキの程度は、調整機構で使用される重量を変えること、傾斜角を変えること、バイアス強度を変えることによって調整されてもよい。導体及び磁石アレイの様々な態様も重要となり得る。発明者らによって取られた1つの手法は、導体リングの両側に南北対を有するようにアレイ内の磁石の極性を交互にすることであった。これは、最小の磁石体積に関して最大のブレーキトルクを生成することが分かった。
【0142】
[0230]1つ又は複数のホイール及びベルトドライブへのブレーキ効果の伝達
前述のように、様々なブレーキ機構が使用されてもよく、また、トラックと相互作用するホイールに掛けられるそのブレーキ効果は、ケーブル、レール、移行装置、又は、他のトラック構成要素に対する。ブレーキ効果は、ホイールに直接に伝えられてもよい-すなわち、ホイール及びブレーキが直接に連結されてもよい。機械的には、直接的な連結が効率的となり得るが、これは、嵩張るトロリー形態及び欠陥があるブレーキ形態、又は、ホイールとブレーキシステムとの間の動作速度の非適合性をもたらす場合がある。別の実施形態は、1つ又は複数のホイールに間接的にブレーキ効果を伝達させることであってもよい。図74及び図75に示されるように、ブレーキ効果は、ベルトドライブ751を介して1つ又は複数のホイール750に伝えられてもよい。図74及び図75に示される実施形態では、ブレーキ752が2つの上側ホイール750の中間に配置されてもよく、また、デュアルベルトドライブ751を使用して、両方のホイール750の全体にわたってブレーキ752の効果を伝えてもよい。すなわち、ブレーキシステム752は複数のトロリーホイール750に結合される。この形態は、トロリーが1つのホイール上に沿って自由に移動しないようにするのに役立ち得る。更に、ベルトドライブは、ブレーキ効果を連動させてこの連動を変更できる能力を可能にする。デュアルベルトシステムは、ブレーキのために利用できる全ホイール牽引力を十分に利用する機会を更に可能にする。これは重要となり得る。それは、ブレーキが行なわれる際に、トラックに対するトロリーの接続の前後でライダが振れる場合があり、そのため、ホイールに作用する有効牽引力も変化するからである。ブレーキにとって十分な依存が1つのホイールに制限されれば、滑りが発生する場合がある。両方のホイール回転が連動する場合、両方のホイールがロックしなければ、滑りが起こり得ず、これは一方のホイールがロックする場合よりも発生し難い状況である。
【0143】
[0231]レール形態
前述のように、ガイド手段がレールであってもよい。記載されるトロリーシステムで使用されるレールは、様々な形状及び構成を備えてもよく、正確な形状は、最終用途、材料コスト、設置の複雑さを補完する形状、及び、トロリー形態及びトロリー機能を補完する形状及び構成である。レールは様々な理由で使用されてもよく、その理由の1つは、トロリー方向変化を引き起こすレールの高い能力である。ジップライン用途で使用されるケーブルは、一般に、直線経路を有するとともに、パイロン間に吊り下げられる。ケーブルがパイロンの周囲で折り返すことができ、また、ケーブルの折り返しの周囲にレールセクションを有することは、折り返しの周囲でトロリーの位置及び向きをより強力に管理するために重要となり得る。
【0144】
[0232]1つの実施形態において、トロリーシステムは、レールに沿って横行するように構成されてもよく、レールは、上側トロリーホイールが配置される垂直面内で位置合わせされる略平坦な長尺セクション、及び、トロリーと連通するレール深さに沿う途中の長尺なフランジとして形成される。図13図15は、上側トロリーホイールが配置される垂直面内で位置合わせされる略平坦な長尺セクションと、トロリーと連通するレール深さに沿う途中の長尺フランジとを有するレールの1つの形態を示す。
【0145】
[0233]別の実施形態では、トロリーシステムがレールに沿って横行するように構成されてもよく、レールが、略水平な位置合わせを成して方向付けられる略平坦な長尺セクションとして形成され、レールが、少なくとも1つのトロリーシステムホイールと嵌合しレールの中央の上方に延びる延長部を有する。図40及び図41は、この別のレールプロファイルを示し、この場合のレールも、略平らな長尺プロファイルを有するが、この場合、略水平な位置合わせ状態で方向付けられており、レールは、トロリーの上側ホイールと嵌合し中心の上方に延びる延長部を有する。この実施形態の幾つかのレールセクションは、フィン(以下で更に説明する)を組み込んでもよい。
【0146】
[0234]図76に示されるような更に別の実施形態において、トロリーシステム770は、レール771に沿って横行するように構成されてもよく、レール771は、スペーサー773を間に有する略垂直な平面内に2つのバー772を備える。バー772は、円形の断面を有してもよいが、他の断面が使用されてもよい。このレール771の形態により、レール771の比較的単純な二次元湾曲セクションを使用して3次元トラック形状を製造することが可能になる。硬質なパイプに装着される比較的可撓性のあるレール771を使用すると、トロリーレールの走行面を微調整してスムーズなライドを確保できる。例えば、事前に形成されたセクションが互いにボルト締結された場合、位置ずれが存在し、その結果、スムーズに乗れない可能性が高くなる。
【0147】
[0235]トラック又はケーブル移行システム
トロリーシステムは、移行装置を横行するように構成されてもよく、移行装置はケーブルとレールとの間又はレールとケーブルとの間に配置され、移行装置はトロリーシステムの動き及び向きを案内するように作用する。前述のように、トラックシステムは、レール又はケーブルシステム間に移行するための余裕があってもよい。この実施形態は、トロリー、要素間の移行装置、及び、要素自体に固有の特徴を必要としてもよい。一般に、従来技術のジップラインライドは、ケーブル上又はレール上のみで動作するように設計され、異なるトラックシステム間で移行せず移行できない。特にケーブルからレールへの移行には、何らかの複雑さが伴う。ライダの重量によるケーブルの張力は、軸方向の張力によってケーブルパイロン又はタワーアンカーに戻され、移行セクションでケーブルに応力をかけるのを防ぐ。一実施形態では、張力がライダの重量及びケーブルに沿った位置によって変化するため、ケーブルは、制御された態様で移行セクションを通ってスライドすることができる。
【0148】
[0236]移行装置は、トロリーが移行装置を横行するときにトロリーの垂直方向及び/又は横方向の向きを変化させる形状を有してもよい。ケーブルからレールトロリーシステムへの横行のための移行は、ケーブルの曲がりを回避するためにケーブルのカテナリー形状に最初に適合し、その後、後続のレールの必要な勾配に適合し得る。レールへのケーブルの移行には、レールの様々な勾配も含まれる場合があり、このスタイルの移行は、上記のスタイルの移行の恩恵を受け得る。
【0149】
[0237]移行セクションは、必要に応じてケーブル上又はケーブルの上方の場所でボルト締結されてもよく又はケーブルとは別に使用されてもよい。レールセクションの配置は、例えばケーブルの整備や検査を可能にするために一時的なものにすることもでき又は通常の使用のために固定することもできる。
【0150】
[0238]上記の移行の例が図88図90に示される。図88は、ケーブル890からレール900への移行装置910の斜視図を示す。図89は、同じ移行装置910を示すが、正面図である。図90は、移行装置910の入口ポイントへのケーブル890の詳細な斜視図を示す。
【0151】
[0239]移行セクション910の引込みセクション911は、ケーブル890の一部に取り付けられ、ケーブル890は、移行装置910の入口で向きが変更されないままである。ケーブル890は、この例ではレール900の高さの中間ポイントで移行装置910に入り、この例ではトロリーの上側ホイール(図示せず)が、その後にレールの上側バー901上をわたって移行し、この上側バー901を横行し続ける。下側ホイール(図示せず)は、レール900の下側バー902と少なくともある程度まで係合することができる。その後、レール900のバー901、902は、この例では、レール900がケーブル890から離れるように湾曲することにより、トロリー(図示せず)をケーブル890から方向転換する。図示のケーブル890の経路は、変更されておらず、移行装置910の前述の引込みセクション911から離れたポイントで移行装置910を出る次のパイロン又はタワー(図示せず)まで続く。
【0152】
[0240]図89で最も良く分かる移行装置910は、ケーブル890からレール900への移行に勾配を与える。図89には3つの異なるステージが示され、第1のステージ912は、ケーブル890に作用する応力及び曲がりを避けるために、ケーブル890のカテナリーに適合される勾配である。第2のステージ913は、ケーブル890のカテナリーと後続のレール900のセクションとの間の高低差を横行するように増加した勾配を有することができる。第3のステージ914は、移行装置910が完了されてトロリー(図示せず)が標準レールセクション900に移動するまで移行装置910支持部材914の勾配と適合し得る。
【0153】
[0241]ケーブル890は、ケーブル890上の変動する張力に起因して、移行セクション910を通って軸方向に移動し得る。これは、例えばケーブル890に作用する断続的なライダの負荷に起因して発生し得る。
【0154】
[0242]上側及び下側バー901、902又はレールセクション900は、ケーブル890の周りに一緒にボルト締結されてもよい。移行装置910の一部に沿ったバー901、902は、図90で最も良く分かるフランジ915に連結されてもよい。移行装置910のこれらのセクション915、901、902は、取り外し可能かつ交換可能であってもよい。通常の動作中に移行装置910によって隠されたケーブル890の部分の検査を可能にするために、取り外しが重要になる場合がある。
【0155】
[0243]レールバー901、902は、トラック900支持部材914に連結されてもよい。トラック支持部材914を使用して、レール900のための中心構造を与え、レール900及び他の移行装置910の部分を保持及び位置合わせするのを助けることができる。この例のトラック支持部材914は、長尺な丸いチューブ又はバーの形をとることができるが、他の形状の支持部材を使用することもできる。支持部材914は、移行装置910の少なくとも一部の間にわたってオフセットされてもよい。オフセットの目的は、ケーブル890が矢印916で示される移行装置910を出るための開いた経路を与えることであり得る。
【0156】
[0244]リンケージ917は、レール900のバー901、902及び支持部材914を連結することができる。ケーブル890及び移行装置910のインタフェースにおいて、リンケージ917は、移行装置910の位置、より具体的にはレールバー901、902の位置とケーブル890の位置との間に少なくともある程度の移動公差を与えることができる。リンケージ917は長さが可変であることが理想的であり、そのため、ケーブル890及び移行装置910又はレール900の位置の局所的な変化がリンケージ914によって吸収されるようにすることができ、目的は、ケーブル890のカテナリー形状と干渉し得る局所的な形状変化によって引き起こされるケーブル890に作用する任意の応力を回避することである。図示の実施形態では、リンケージ917とレール900のフランジ915との間に重ね継手が使用され、重ね継手は、移行装置910の支持部材914及びレール900/レールフランジ915を固定するのに必要な程度まで重なり合う。この形態、及び、ケーブル890の張力が元のタワー又はパイロンに直接に伝達されるという事実に起因して、ケーブル890の張力に起因する軸方向の負荷は、トラック支持部材914に与えられない。
【0157】
[0245]ウェビング920は、移行装置910の経路の少なくとも一部に沿ってレール900の丸いバー910、902間に組み込まれてもよい。少なくとも図88に示されるように、ウェビング920は、ケーブル890の出口ポイント(項目916)の周りに組み込まれてもよい。前述のリンケージ917の代わりにウェビング920を使用して、ケーブル890が移行装置910を出るときに移動するための明確な経路を可能にすることができる。ウェビング920は、長さが可変であるため、例えば、ケーブル890からのレールバー901、902の曲率に応じて、必要とされる様々なサイズの開口916に対応できる-狭い半径では、広い半径よりも必要な開口が短くなる場合がある。
【0158】
[0246]図90は、移行装置910の第1のステージ912におけるレールバー901、902がそれらの開口にスピゴット930をどのように含み得るかを示す。スピゴット930は、トロリー(図示せず)がバー901、902から支持部材914までバー901、902に直面するときにバー901、902に印加されるトルクを伝達し、そうする際に、任意の局所的な応力形成を緩和するのに役立つように作用し得る。移行装置910へのケーブル890のための入口ポイントは、ケーブルガイド940を備えてもよい。ケーブルガイド940は、特に垂直負荷下でケーブル890の撓みを可能にする半径を有し、移行装置910の周りで繰り返しトロリー横行が起こるときにケーブル890の疲労が発生するのを回避し得る。ケーブルガイド940は、時々交換される犠牲材料から製造されてもよく、犠牲材料は、そうでなければケーブル890に伝達され得る磨耗及び引き裂きを吸収する。また、ケーブル890は、ケーブル890の外部要素と移行装置910の要素の少なくとも一部又は全ての間に配置される少なくとも1つの更なる犠牲材料950によって少なくとも移行装置910の第1のステージ912の間にわたって更に保護され得る。この場合の犠牲材料950は、移行装置910又はその一部の周りでケーブル890に被されるスリーブとして形成されてもよい。この犠牲材料950は、例えば移行装置910の軸方向の移動によるケーブル890に作用する軸方向負荷に起因してケーブル890に与えられるエネルギーを吸収するために重要となり得る。
【0159】
[0247]第1の要素、例えばケーブル又はレールで捕捉されるべきトロリーが第2の要素、例えば他のレール又はケーブルへ安全に移行できる能力は、アミューズメントライド、緊急出口システム、物品移送、及び、輸送システムを含む様々な用途でかなりの利点を有し得る。全ての用途に関し、移動要素、例えば常にケーブル又はトラックシステムで完全に捕捉されるトロリーを有することによってシステムの安全性を確保することが重要である。捕捉を維持し損なうと、脱線をもたらす可能性がある。
【0160】
[0248]ゲート及び移行装置
ジップライントロリー形態の重要な設計態様の1つは、ガイド手段に取り付けられるトロリーを常にケーブル又はレールセクションに維持するとともにフェイルセーフ機構を保持してトロリーの脱線を防止するために誤動作を確実に防止する必要があることである。とは言え、ケーブル又はトラックが通る完全に恒久的に閉じられたトロリー内部は理想的ではなく、その理由は、これが、ケーブルからレールセクションへの移行を防ぎ、レールセクションがケーブルよりも水平面内で比較的広いからである。更に、ライダの整備又は救助のために、ジップライントロリーがケーブル又はトラックに沿っている場所に関係なく、ライダをケーブル又はトラックから外すことができることが有用となり得る。結果として、ゲート機構を組み込むことが有用となり得る。トロリーシステムは、1つの実施形態では、移動中にトロリーの内部を閉鎖するがレールセクションの付近でトロリーの内部を開く少なくとも1つのゲート機構を備えてもよい。ゲート機構は、トロリーシステムがトラックシステムを横行するときに自動又は手動で動作してもよい。手動で開くことは、例えば、メンテナンスのためにオペレータがトロリーシステムの内部にアクセスできるようにするのに有用となり得る。自動開放(及び閉鎖)は、トラックシステムのスムーズなトロリーシステム横行を確保するのに有用となり得る。
【0161】
[0249]以下の例は、図2及び図3に示されるように、高層ビルから脱出するための緊急出口システムとしての技術の適用を再度参照する。この例の使用は限定的と見なされるべきではなく、システムは幅広い用途で使用できる。
【0162】
[0250]図4で前に説明したトロリーシステムについて、ゲートに関して図11及び図12で更に説明する。トロリー43は、トロリーシステム43をケーブル44又はそれが配置されるトラック(図示せず)に取り付けてトロリーシステム43をケーブル44又はトラックから取り外すために使用され得るサイドエントリーゲート110を有してもよい。図12は、トロリーシステム43の外部カバー113が取り外されてトロリー43がケーブル44上に配置されたシステムを示す。このトロリー43をケーブル44に取り付けるためには、回動アーム45上のライダ1の装着位置をトロリー43の本体111に向かって持ち上げる必要がある。この動きにより、トロリー43のアーム45が回動してブレーキ付きホイール41をケーブル44から離れるように下降させる。これは、トラック又はケーブル44の薄いセクションがトロリーシステム1のフロントホイール41、51間から逃げ得るようにするのに十分なクリアランスを与える。図12に示されるように、トロリー43の回動アーム45に取り付けられるのは、インターロックされたゲートシステム112であってもよい。枢軸45が上方に持ち上げられて二次解放要素が作動されると、インターロックされたゲート112が自由に動き、ゲート112が開くことができる。二次解放要素が作動されない場合、ゲート112は、ケーブル44又はトラックがゲート112を通過してホイール51の経路中に設置され得ない程度まで完全に解放され得ない。
【0163】
[0251]インターロックされたゲート112が完全に開かれると、トロリー43は、ケーブル44又はレールに対して側方に(横方向に)それを与えることによって、ケーブル44又はレール(図示せず)の最小セクション上に設置され得る。ケーブル44又はトラックがトロリー43のホイール41、51の間の正しい位置に配置された時点で、ライダ1の装着ポイントが下方に引っ張られ、ブレーキ付きホイール41とトロリー43のフロントホイール51との間の隙間は、ケーブル44又はレールを捕捉するように閉じ得る。同時に、インターロックされたゲート112も閉じることができ、それにより、ケーブル44又はレールがトロリー43の後方から引き抜かれるのが防止される。この時点で、ケーブル44又はレールはトロリー43によって完全にカプセル化され、システムが安全に動作する。ライダ1の重量がライダ1の装着位置を介してトロリー43にかかるとき、回動アーム45は、手動で上方に持ち上げられることができず、これにより、トロリー43が通常の動作下でケーブル44又はレールから脱線するのを防止するのに役立つ。
【0164】
[0252]前述したように及び少なくとも図12に関連して、ジップライントロリーは、選択的に開放及び閉鎖ロックされ得るゲートシステムを組み込んでもよい。
【0165】
[0253]前述の機構の代わりの機構として、図29に示されるジップライントロリー300を更なる実施形態として使用して、図44図52を参照して、ゲート機構を以下で説明する。前述のように、トロリー300は、上側ホイール303及び下側ホイール304を伴う本体301を備えてもよく、また、ケーブル336又はレール400は、ホイール303、304間でトロリー300の本体301を通過する。また、図に示すように、トロリー300側は、ゲートを備えてもよく、この実施形態では、前方メインゲート450及び後部の後方ゲート451である。
【0166】
[0254]図44は、レールセクション400に移行する前にケーブル336を横行するトロリー300を示す。前方ゲート450及び後方ゲート451はいずれも閉じられており、それにより、ケーブル336が本体301の内部から出ることが防止される。この構成において、ゲート450、451は、前方及び後方ゲート450,451間のインターロックによって閉じられてロックされ、それにより、前方ゲート450が開かない限り後方ゲート451が開かないようにする。
【0167】
[0255]図45は、トロリー300がケーブル336からレール400まで引込み又は移行セクション330を上方に移動することを示す。図45において分かるように、レール400は、略水平面内においてケーブル336の長手方向軸線から横方向に延びる。レールセクション400の直前に、水平に装着された入口フランジが延びる。図46に示されるように、1つ又は複数の下側ホイール304は、入口フィン(以下で更に説明する)の下方を移動し、また、入口フランジがトロリー300の本体301に入ると、入口フランジが前方ゲート450の下側セクションに衝突し、それにより、ゲート 450は、トロリー本体301の上側セクションに配置される回動ポイントを中心に回動し、その結果、トロリー300側が開く。入口フランジは、前方ゲート450が自由に回動できるようにするべく入口フランジが前方ゲート450に衝突する前又は同時にゲートインターロックの解放を引き起こすように形成されてもよい。なお、前方ゲート450は、回動された時点で、トロリー300の本体301の上方で延びるセクションを有する。図46では、入口フランジが、トロリー本体の一部に入っているが、後方ゲート451には依然として当たっていない。入口フランジがトロリー本体301内へ更に移動すると、入口フランジが後方ゲート451に衝突し、それにより、後方ゲート451も入口フランジを超えて上方に回動する。それから、後方ゲート端451は、その後、上側トラック400の表面上を引きずる。前方及び後方ゲート450、451のトリガー及びラッチ解除のために別の形態が想定し得るのが分かる。これらは、この開示の範囲内であると見なされ、上記でなされた言及は限定と見なされるべきでない。
【0168】
[0256]図47及び図48は、ここではレールセクション400の周りを移動するトロリー300を示し、レールセクション400は、第1のケーブル336セクションに対して90度回転する。図示のように、前方ゲート450は、トロリー本体301の上方に残ったセクションと共に上方に回動したままであり、一方、後方ゲート451は、レール400の上方に回動したままであり、一端がレール400の上面に沿って後退している。
【0169】
[0257]図49は、レールセクション400から新たなケーブル336セクションに移行しようとしているトロリー300を示す。図49に示されるように、レール400は、詳細に前述した引出しセクション330を有する。バンプバー452又は他の妨害部材が、トロリー300が下を通過することができるがトロリー300が引出しセクション330を下方に横行するときに前方ゲート450の隆起セクションが衝突する、引出しセクション330の上方に配置される。図50は、バンプバー452に当たってケーブル336の移動を開始する前に閉位置まで下向きに回動して戻る前方ゲート450を示し、また、図51は、更に僅かに前方に移動したトロリー300を示し、前方ゲート450はここでは閉じた状態でロックされ、後方ゲート451もここでは下方(トラック)に回動移動する後方ゲート451に対する任意の障害が取り除かれると閉じられる。インターロック機構は、前方ゲート450が開いている場合にのみ後方ゲート451が開くように構成されてもよく、また、前方ゲート450が閉じられた時点で、後方ゲート451は自動的に閉じてロックすることができる。図52は、ゲート450、451が閉じた状態で、ケーブル336の次のセクションに完全に移動したトロリー300を示す。
【0170】
[0258]更なるゲート実施形態が図71に示され、更なる詳細が図84(ゲート開放形態)及び図85(ゲート閉鎖形態)に示される。この実施形態では、ゲート概念が上記と同様であるが、トロリーから独立して動作しない。トロリー770の各端に1つずつ、2つのゲート720が取り付けられる。これらのゲート720は、上側ホイール800が脱線した場合に、ライダをケーブル上に保持することを意図している。トロリー770のゲート720の形状及びシャーシ830は、脱線の場合にケーブルを元の上側ホイール800へ案内するように形成されてもよい。ゲート720の作動は、ランプに作用するジョッキーホイール721を使用する。これは、高速移行のためのスムーズでロバスト性が高い走行を確保する。ゲートの動きは「開放」状態で制限され、これは、ジョッキーホイール721がトロリー770をレールセクション上に保持しようとするのに役立つ。この実施形態において、ゲート機構は、下側ジョッキーホイール721に連結されてもよく、したがって、下側ホイール721がレールセクション724と相互作用する方法に基づいて、開かれ、開放状態に保持され、その後、閉鎖可能となる。この機構は、本明細書中の他の箇所で、下側ホイール又はジョッキーホイール721に関連して説明される。
【0171】
[0259]理解されるべきであるように、他の形態のゲート及び自動化が使用されてもよく、上記の実施形態が限定と見なされるべきではない。しかしながら、上記のゲート実施形態は、ケーブル又はレールのガイド部材セクションからの望ましくない解放を防ぐことができ、しかも最小限の可動部品及び複雑さで迅速かつ自動的に異なるガイド部材に適合できるという点で有用である。更に理解されるべきであるように、隠蔽又はそうでなければ解放するアクチュエータを設計に組み込んで、オペレータ又は救助サービスが、例えば、メンテナンス又は救助トロリーの取り外しが必要であったときにゲートを開くことも可能にすることができる。ただし、このような解放は隠され、一般にアクセス不可能であるため、望ましくないゲートが開かないようにすることができる。工具を使用して解放が引き起こされてもよい。
【0172】
[0260]下側ホイールがジョッキーホイールであってもよい
また、前述のようにトロリーで使用されるゲートは、ケーブル又はレールに沿って、及びケーブル又はレール間の移行装置を横行してトロリーを案内するのに役立つべくゲートと協働する方向付け部品を備えてもよい。図71に示されるゲート実施形態を使用して、ジョッキーホイール721の方向付け部品が示される。ジョッキーホイール721は、この場合、通常の動作中にジョッキーホイール721をケーブル又はレール724に押し付けてゲート722を閉じるためにばね723を使用して付勢態様でゲートアーム722に連結される。図73に示されるように、ジョッキーホイール721は、ホイール721の最外周の略反対側に配置される第1及び第2の平面725、726を有する。第1の面725は、移行要素330の位置合わせ面727と係合して、トロリーをレール724又はトラックに対して正しい向きにする。トロリーが移行要素330によって描かれる曲線に沿ってその周りで移動するとき、ジョッキーホイール721の第2の面726がレール724の下面と係合する。ジョッキーホイール721は、トロリーの通常の動作又は前進動作中にゲート722を導くことができる。ジョッキーホイール721は、脱線の場合にトロリーがケーブル又はレールから脱落するのを防ぐように作用し得る。また、ジョッキーホイール721は、レールセクションを通る垂直動作を制限するように作用し得る。ケーブルとレールとの間又はレールとケーブルとの間で移行装置330に到達すると、ジョッキーホイール721は、所望の位置合わせで移行装置330に沿ってトロリーを先導して方向付けることができる。図83及び図86及び図87は、レール724のセクションと相互作用するジョッキーホイール721をより詳細に示す。この例において、レール724は上部及び下部フランジ728、729を有し、ジョッキーホイール721はフランジ728、729の間に嵌まり込む。ジョッキーホイール721はフランジ728、729の間に捕捉されるため、動きは前方又は後方の動きのみに制限される。これは、望ましくない動きを防止するとともに、トロリーがレール724のセクションを横行するときにトロリー本体とレール724との間のクリアランスを維持することができる。
【0173】
[0261]図72及び図73において、ホイール721は、ホイール721の外周の周りに溝730を含むように形成され得る。この溝730は、レール724からの対応する突起731と嵌合することができる。ホイール溝730とレール突起731との間のこの関係は、ジョッキーホイール721を所定の位置に位置合わせするように更に作用し得る。溝730及び突起731が図7で最もよく分かる中心位置からいくらかオフセットされる場合、ジョッキーホイール721を1つの向きにのみ取り付けることができ、ホイール721の片側は、ホイールとレールとの相互作用を更に助けるべく幾分幅広い面を有する。
【0174】
トラックシステム移行
このシステムの重要な機能は、常に完全に捕捉されたままの状態でトロリーがあるケーブル又はトラックから別のケーブル又はトラックに移行できる能力であってもよい。トロリーシステムが横行するケーブルとレールとの間又はレールとケーブルとの間の領域は、トロリーシステムの動き及び向きを案内するように作用する少なくとも1つの移行装置を備える。
【0175】
[0262]移行装置の一例の形態が図13及び図14に示され、この場合、トロリー(図4の実施形態は一例として示される)43がケーブル44からレール130に移動している。このようなトロリー43の機能が図15に与えられる。
【0176】
[0263]図14は、移行位置の引込み角度を示す。図示のように、移行装置132の引込みセクション131は、上面及び下面でケーブルと同じ半径を有する。これにより、トロリー43のホイール41、51の湾曲は、移行装置132の全体にわたってこれらの表面131との良好な接触を維持することができる。これらの表面131は、それらがテーパセクションを上方に移動するにつれて、それらが十分に離れて133移行装置132の表面133の間からケーブル44を引き出すことができるまで更に離れて広がる。
【0177】
[0264]上記から分かるように、例えばケーブルからレールセクションへの移行は、幾つかの設計上の課題を与える。第1に、ケーブルランに関し、ケーブルは、一般に上記のように上側ホイールに嵌まり込む。平坦なレールでは、このような嵌まり込みは起きない。レールセクションでは、トロリーの下側に何らかの形態の安定化が必要とされる。この安定性の低下は、ケーブルセクション中での関連性が低くなるか或いは全く関係がなくなる。更に、ケーブルセクションでは、トロリーがケーブルから分離しないようにゲートを閉じる必要がある。レールセクションでは、トロリーの取り外し及びレールへの配置を可能にし、トロリーの移動方向を変化させることを可能にするために、ゲート開口が不可欠となり得る。
【0178】
[0265]移行装置へのトロリーの移動の例
一例として回動アームトロリー実施形態を使用すると、トロリー43が移行セクション132に乗ると、トップホイール51と下側ホイール41との間の隙間134が強制的に開かれてもよい(図15参照)。これは、下側ホイール41が上側ホイール51から離れる方向に押し下げられることによって対応される。これを行なう際、ライダ1(回動アームの他端に取り付けられる)は上向きに押し付けられ得る。回動アーム45が回転すると、インターロックされたゲート112がゆっくりと開放させられてもよい。開放の程度は、トロリー43の形態及び形状によって制御されてもよく、したがって、移行装置132がトロリー43の側面から横方向に引き出され得るのを防止するのに十分に閉じたままであるようにする。移行装置132の上面及び下面の形状は、この動作全体を通じて、ブレーキ付きホイール41及びトップホイール51にしっかりと配置されたままであり、また、枢軸45を介してブレーキ付きホイール41に供給されるライダ1からの重量は、ブレーキ付きホイール41及びトップホイール51の両方が移行要素132にしっかりとクランプされたままであるようにする。
【0179】
[0266]ブレーキ付きホイール41が移行要素132の傾斜を上方に横行した時点で、トロリー43は、移行装置132の上面及び下面上に完全に配置される。この時点133で、移行装置132は、丸みを帯びた上面及び下面を伴って、楕円形の形状を形成する。トロリー43が(図14に描かれるように)垂直方向に向けられている間、トロリーはケーブル44から逃げることができず、移行装置132は捕捉されたままである。
【0180】
[0267]図15の左下の画像は、移行要素132に取り付けられたトロリー43を示し、この場合、移行要素132は、トロリー43の前部で且つトロリー43の後方へ向けてゲート112とバックホイール51との間にあるフロントホイール51及びブレーキホイール41によってカプセル化される。
【0181】
[0268]移行要素132上の外向きに延びる部材130の位置は、ケーブルをそれらの間に通すことができるようにするのに十分に離間されてもよい。これにより、移行要素132は、横方向に回転してケーブル44を外向きに延びる部材130の間からトロリー43のサイドスロット110を通じて出すことによって、ケーブル44から分離することができる。そうすることで、これは、トロリー43がケーブル44から移行装置132に移行できるのが分かる。ここから、トロリー43は、その後、異なる向きで別のケーブル44に、別のレールセクションに、又は、移行装置132上にとどまるために移行132されて戻ってもよい。ジップライン用途において、これは、図16に示されるように、張力が付与されたケーブル44とタワー又はパイロン装着ポイント160との間のベクトル化された変化として示される。
【0182】
[0269]向きの変化
トロリーが移行要素へ移動できるようにすることのもう1つの利点は、それがケーブル要素の垂直方向及び横方向の向きの変更(位置合わせジオメトリの修正)ももたらす機会を与えるという点である。これらの条件では、移行要素が所望の方向に曲がるときに、ケーブルが移行要素内にとどまることができる。トロリーの方向の変化が達成されると、移行セクションが終了し、トロリーが同じケーブル又は新しいケーブルに戻ることができる。これは、図16に示される垂直方向の向きの変更により一例として示される。
【0183】
[0270]入口及び出口ポイントでの移行
例えば、緊急出口システムとして使用される場合、移行要素は、ケーブルシステムへのより簡単で、安全で、迅速な出入りを可能にする。トロリーのラックが建物からの出口ポイントで移行システムに取り付けられ得ることが想起される。個人は、トロリーに自分自身を取り付けて、移行装置に沿って歩き、それにより、移行装置がトロリーを回転させ且つ傾斜されて建物の外に出る張力が付与されたケーブルに移動させるまで、個人と共に移行装置上でトロリーを滑らせる。
この時点で、個人は、ケーブルに乗って建物の外に出て安全に降りることができる。ケーブルの下端で、ライダは、更なる移行要素に移行し、張力が付与されたケーブルから横方向に曲がり、地面と水平になることができる。システムの開始時に移行要素を使用することにより、図17に示されるように、複数の人は、出口に取り付いて行列を成すことができ、この場合、ライダ1は、移行装置132を通過したケーブル44に取り付けられ、ジップライン移動前にバリアの背後で列を作らされる。同様に、移行要素により、当事者は、他人が未だ取り付けられている間に他人がケーブルを使用するのを止めることなくケーブルから出て取り外しのために列を作ることができる。
【0184】
[0271]この形式の緊急出口システムは、全ての個人が同じ速度で出るようにするために、(前述のように)調整ブレーキシステムを有するトロリーシステムからも恩恵を受けることができる。更に、ケーブルのトリガーポイントを使用して、終端ゾーンのブレーキを作動させ、ライダが下の列に入るときに制御された速度が達成されるようにすることができる。
【0185】
[0272]外向きの延びる部材
一部の状況では、移行装置によってフロントホイールとブレーキ付きホイールとの間にもたらされる開口が、移行装置がホイール内から滑り出るのに十分となって、望ましくない脱線をもたらし得ることから、トロリーが移行装置の周りをケーブルの周囲で約90度回転することができる。これが起こらないようにするために、位置合わせ部材を使用することによってトロリーの向きを制御することができ、一例は、移行装置の上面と下面とに連結される外向きに延びる部材を取り付ける。外向きに延びる部材は、トロリーがケーブルの周りを回転するのを防ぐことができる。図14には示されていないが、身体の潜在的な回転を抑制するのに役立つ更なる機械的利点を与えるために、更なる横方向支持部がトロリーに設けられてもよい。これらの更なる拘束としては、転がり要素、滑りプレート、磁石、又は、任意の他のそのような手段を挙げることができる。
【0186】
[0273]記載された外向きに延びる部材は、コーナーに配置されるほかに、例えば、レールセクションに入る前にトロリーのあらゆる振れ動作を修正するために、最初に又は移行中に配置されてもよい。上記のトロリーゲートは、位置合わせが行われている間は閉じたままであり、トロリーが振れ動作の「安全な」範囲にある時点でのみ開くことができる。
【0187】
[0274]上記の形態を使用すると、ライダの動きの経路の向きは、トラック又は移行要素の向きによって直接に制御され得る。更に、トロリーの向きは、外向きに延びる部材の位置及び形状に基づいて個別に制御され得る。これらの2つの構成要素(方向及び向き)を個別に制御することは、システムにとってかなりの利点となることができ、スムーズな移行とトロリー及びライダに作用する回転力の制限を確保するために使用され得る。更に、湾曲の位置における外向きに延びる部材の相対的な位置を変更して、システムのホイールに加えられる横方向負荷のレベルを低減し、ホイールの表面に垂直な負荷伝達にとって最適なトロリーの向きを確保することができる。
【0188】
[0275]ケーブルに直接取り付けられる移行要素及び屈曲
移行要素は、ケーブル要素に直接取り付けられてもよく、したがって、移行要素は、ケーブル要素と共に動き曲がる能力を有する。スペース内のケーブル要素の物理的な位置は、ケーブルの張力、任意の印加される負荷(風負荷やライダの荷重など)の大きさ、位置、及び、方向に応じて調節され得るため、これは重要な考慮事項となり得る。ケーブルと連携して移行要素の物理的位置を自由に変更できるようにすることにより、スムーズな移行が確保され、移行を通じて高速トロリー移動が可能となり得る。
【0189】
[0276]移行要素及びケーブルインタフェース
移行要素の場合、重要な構成要素はケーブルと移行要素との間のインタフェースであってもよい。このインタフェースは、部分的にはトロリーで使用されるホイールの形態に起因して及び移行ポイントの形態に起因して、移行ポイントで対応できる。
トロリーホイールはより大きい直径を有する。
【0190】
[0277]1つの実施形態において、トロリーホイールは、ジップライントロリーで通常使用されるものよりも大きな直径を有することができ、移行の開始又は終了時に遭遇する可能性があるトラックシステムプロファイルの小さなステップを乗り越えることに対する耐性を高めることができる。
【0191】
[0278]移行形状
移行装置は、ケーブルの周りに集合的に取り付けられてテーパーの付いたくさび形状を形成する、向かい合った半体を備える。移行装置の可能な構成の1つは、管状要素へのステップから始まり、その後、くさびにつながる。テーパー又はくさびは、トロリーの移動方向に沿って、比較的細い幅から比較的大きい幅まで延びることができる。
【0192】
[0279]中間移行装置
移行要素は、トロリーが転がるトラックシステムに沿って配置され得るが、トロリーは同じレール又はケーブルに接続されたままであり、以下で「中間移行装置」と呼ばれる別のレール又はケーブルに変更されない。これらの中間移行装置は、上記のケーブル又はレール移送移行装置に比べて長さが短く、ケーブル又はレールに沿った様々な位置に配置され得る。トロリーは、他の移行要素と同じ方法で中間移行装置を通過できる。この中間移行装置は、1つ又は複数のブレーキモードを作動させるためのトロリーへの入力信号として使用され得ると考えられる。
【0193】
[0280]ケーブルからレールへの移行
ケーブルからレールへの移行は、ケーブルの厚さを厚くすることで実現でき、これにより、ライディングホイール及びブレーキホイールは、ケーブルと同じ半径の経路に沿って妨げられずにライディングを続けることができる。
【0194】
[0281]ライド角度の制御
トロリーがレールのセクションに乗ると、トラックを傾けたり及び/又は使用する場合には外向きに延びる部材を傾けたりして、トロリーのライド角度を制御できる場合がある。これは、以下で説明するように、トロリーのコーナリングに役立ち得る。より詳細には、ライダがトラックシステムのコーナーの周りを移動すると、それらの重量は、図18に示す矢印Aに沿って外側に振れ、レール又はケーブル161の周りのトロリー160に望ましくないねじり力(矢印B)を与える可能性がある(これはホイールフランジで外側に作用し、極端な場合には脱線につながる可能性がある)。トラック161を傾けてコーナーにキャンバを追加すると、トロリー160のホイールに大きく上向き及び下向きに作用するようにトロリー160にかかる力を再調整できる。このキャンバは、コーナーの周りのトラックをプロファイリングすることによって達成できる。コーナーは、例えば、図19に示されるように、現場で三次元に丸めることができ、適合するようにプロファイル切断された平板191によって一定の間隔で保持することができる個々の丸いバー190から成ることができる。反りのある支持部191Bが図19の右側に示され、また、コーナーを横行する速度が反りのあるコーナーに必要な外側への振れを生み出すのに十分でない用途では、かなりの反りのないコーナートラック191を使用できる(図19の左側にある支持部191A)。
【0195】
[0282]移行装置での鉄道ポイントシステム
ケーブルからレールに移行すると、鉄道タイプのポイントシステムのオプションがもたらされる場合があり、これを使用して、分岐部で異なる経路にトロリーを誘導できる。これは、レールのセクションをアクチュエータで横向きに変位させて別の出口ルートと整列させることによって達成できる。レール切り替えは、終端でオペレータが手動で又はインターチェンジでライダが行なうことができる。自動化されたレールの切り替えは、例えば、故障したブレーキ機構を備えたトロリーを緊急停止ポイントに迂回させる必要がある場合に、電気機械式アクチュエーターによって達成できる。開示されたトロリーシステムの構成は、ホイールがガイド要素及びスイッチング接合部との一定の係合を維持することができるので、従来の装置と比較したとき、移行のより高い信頼性を可能にする。
【0196】
[0283]或いは、ターンテーブルシステムをレール間の切り替えに使用でき、この場合、例えば、トラックの選択したポイントにレールの個別の長さが設けられ、それにより、トロリーを個別のトラック長に移動させることができ、また、第1のトラックから回転される別個のトラック長を第2のトラックと位置合わせして、トロリーを第2のトラックに移動できる。トラックの別個の長さは、プラットフォーム上又はトラック長さに沿った他の場所に配置され得る枢軸又はターンテーブル構成によって支持され得る。
【0197】
[0284]別のトロリー実施形態及び移行
別の用途では、トラック及びケーブルの移行に関する上記の詳細は、ブレーキ付きホイールのないシステムに適用されてもよい。この用途では、上記のブレーキ付きホイールのガイド機能の少なくとも一部を形成するために、下側ガイド構成が設けられてもよい。
【0198】
[0285]図33図39は、レールからケーブルへの移動及びレールの形状/形態の実施形態を更に示す。一例として、図29図32の別のジップライントロリーを使用すると、ジップライントロリーは、上側ホイールが一般にケーブルに沿う移動を方向付ける状態でケーブルに沿って移動できる。
【0199】
[0286]図33図36は、様々な向きの第1の引込み移行トラック部材330を示す。
【0200】
[0287]移行引込み部
図示のように、引込みトラック部材330は、ケーブルの略下方に取り付けられる下側セクション331と、下側セクション331の上にわたって取り付く上側セクション332とを備える。上側セクション332は、下側セクション331に対して互い違いに配置されているので、その存在は、ジップライントロリーが下側セクション331に沿って少なくとも部分的に移動したときにのみ開始する。下側セクション331の開始は、狭い333から広い334の幅へのテーパ付き引込み部を有し、下側セクション331のいずれかの側にランプ335を向けることができる。テーパ333、334及びランプ335は、トロリーがケーブルに入って移行装置330を追跡するときに、ジップライントロリー及び取り付けられたペイロードの左右の回転動作を阻止するとともに、ジップライントロリーが、トラックの上側セクションに直面するときまでにほぼ位置合わせされた向きのジップライントロリーを与えるように設計される。また、上記のランプ335は、ランプ335に乗り上げるときにジップライントロリーを少なくとも部分的に持ち上げるように作用し、それにより、トロリーの上側ホイール303のケーブルインタフェースセクションに作用する下向きの圧力を緩和し、次に、1つ又は複数の下側ホイール304も少なくとも部分的にランプ335に当接させ又は係合させ、それにより、過度の持ち上がりを防止し、ジップライントロリーがトラック又はレールに係合したままであるようにする。ランプ335は、ランプ及びレール要素の嵌め合い支持要素に作用するホイールフランジ領域(存在する場合)に支持圧力を与えることによって、ケーブルインタフェースセクションに作用する下向きの圧力を緩和することができる。これらのフランジは、ホイールに側方制約をもたらすホイール溝内で作用する延在された膨出部によって与えられる制約によってトロリーを所望の経路に案内するように更に作用し得る。
【0201】
[0288]図37及び図38は、引込み部材330とジップライントロリー300との間のこの相対的な動きをより詳細に示す。図37及び図38では、ジップライントロリー330の側面が取り除かれ、それにより、ジップライントロリー330内のホイール303、304が見えるようになっている。図37はジップライントロリー330を示しており、この場合、下側ホイール304が引込み部330の下側セクション331の成形された下面を横行する間、前上側ホイール303が引込み部330の上側セクションにあり、後ホイール303が引込み部材330の下側セクション331及び/又はケーブル336上に配置される。この図から分かるように、前上側ホイール303と下側ホイール304はいずれも、両側で引込み部330と係合し、トロリー300をレールセクションの所定の位置に安定させて保持し、引込みランプ335は、上側ホイール303に対する持ち上げ作用、及び、レールの下面に対する1つ又は複数のホイール304の係合又は当接を引き起こす。図38は、上側ホイール303がここでは完全に引込み部330の上側セクション上にあるジップライントロリー300を示し、トロリー300は、適切なトラックセクションに移行しようとしており、前上側ホイール303と下側ホイール304との間の開口が拡大された高さのトラックセクションに被さるべく最大となっている。
【0202】
[0289]図81は、別の移行装置を示す。図86及び図87は、位置合わせされた位置(図86)又はオフセット位置(図87)で別の移行装置を通過するトロリー770を示す。この実施形態において、上側ホイール800は、移行装置330の上端に沿って、レール724の丸いバー772へ向けられる。一方、この実施形態の下側ホイール721は、純粋に垂直な位置合わせから幾分回転することがあり、トロリー770が移行装置330を横行するときに移行装置330のベース801と干渉することがある。移行装置330がポイント802の周りで終了すると、下側ホイール721は、レール724側に乗って移動することができる。
【0203】
[0290]図80に示されるように、移行装置は、最初に、入口803でケーブルの外周の周りにぴったりと嵌合する。移行装置330の上端804は、移行装置330の長さに沿ってケーブルの上方に徐々に上昇し得る。
【0204】
[0291]図81の移行装置330は、トロリー770が垂直面(図87に示される)から最大45度オフセットした角度で移行装置330に入ることができるトロリー770を最初に受け入れることができる成形プロファイルを有する。このとき、成形されたプロファイルは、トロリー770の下側ホイール721を垂直面の向きに戻すように案内する成形されたプロファイルの基部801によって、トロリー770を垂直面に戻すこのオフセットを停止及び修正する。下側ホイール721は、トロリー770がトラック724に乗り降りするのを防止する。
【0205】
[0292]図80の移行装置330は、図81で最もよく分かる1つ又は複数のランプセクション810と嵌まり合うことができる。1つ又は複数のランプセクション810の目的は、トロリー770をケーブルから離して持ち上げることであり、その結果、ケーブルはレール724の上下の中間点に移動する。
【0206】
[0293]フィン
トロリーシステムは、トロリー内又はトロリー上の対応する要素と相互作用するトラック装着ブレーキ要素によって更に制動されてもよい。相互作用は摩擦がない場合がある。1つの実施形態において、トロリーシステムの少なくとも一部が上方又は周囲を通過するように構成される少なくとも1つのフィンをトラックシステムが備え、フィン及びトロリーシステムの一部は、トロリーが1つ又は複数のフィンを通過して移動する際にトロリーに外部ブレーキ入力を与える。レール、ケーブル又は移行装置は、例えば、トロリーシステムの少なくとも一部が上又は周りを通過する、レール、ケーブル又は移行装置から延びる少なくとも1つのフィンを備え、フィン及びトロリーシステムの一部は、トロリーが1つ又は複数のフィンを通過するときに外部ブレーキ入力をトロリーに与える。
【0207】
[0294]図39は、レール400のセクションを横行するジップライントロリー300を示し、引込みセクション330は、ジップライントロリー300が横行した図39の右側にあり、ジップライントロリー300は、元のケーブル336の左側の移行領域330の前のトラック400の中央セクションで示される。図39に示されるようなトラック400の中央セクションは、以下「フィン」と呼ばれる一連のレール方向付け部分401を含み得る。方向付け部分401の形状は、フィン形状である必要はなく、したがって、「フィン」という用語への言及は、限定として見なされるべきではないことに留意されたい。
【0208】
[0295]フィンECBブレーキ
フィン401は、ブレーキを通過するミッドスパンパスを与えるために使用されてもよい。図40は、ジップライントロリーを側面図で取り外したフルトラックを示し、図42は、上から見たときの同じフルトラックを示す。図69は、説明されたフィンの上を通過する、トロリー上に配置され得る磁石アレイ700のより詳細な斜視図を示す。図70は、図69に示されるトロリー702の磁石アレイ703を通過するフィン701の側断面図を示す。図示のように、トラックフィン701はトラックから延在してもよく、ジップライントロリー702の一部がフィン701を通過してもよい。トラックフィン401、701の用途の1つは、レールのこのセクション(又は、フィンがケーブルに取り付けられる場合はケーブル)を通じたジップライントロリーの速度を遅くしたり調整したりすることであり、トラックフィン401,701は、トロリー701がトラックフィン401、701を通過するときにトロリー701に作用する速度抑制渦電流ブレーキ力を生成するためにトロリーのセクションと相互作用する。例えば、トラックフィン401、701は、導電性部材であってもよく、トラックフィン401、701を通過するトロリー又はその一部は、図69及び70に示されるような磁気アレイ700を形成する一連の磁石704を備えてもよい。トラックフィン401、701がトロリー701の磁場700と交差すると、渦電流抗力が生じる。トラックフィン401、701が磁性であり、トロリー701が導電性であり得る場合、反対の向きもまた使用され得る。理解されるべきであるように、渦電流抗力を生成するのは、導電性部材と磁場の相対的な動きであり、どちらの向きも使用することができる。ブレーキの程度は、例えば、トラックフィン401、701の導電率を変化させ、トラックフィンのサイズを変化させ、トロリー磁場/導体とトラックフィンとの間の距離を変化させることにより、レールに沿って調節され得る。トラックフィン、向き、及び位置の他の構成を利用して、動作抑制力を達成することができる。更に、抑制力を変化させる代替手段を利用してもよく、又は抑制力特性に変化がない構成を利用してもよい。この外部フィンECBブレーキは、トロリーの動きの終端ゾーンで使用できる。外部ECBブレーキは、トロリーの移動方向に沿った1つ又は複数のポイントで使用でき、それにより、例えば、走行中にトロリーから過剰な速度を削り落とすことができる。
【0209】
[0296]小さな部品で作られた移行装置
トラックは、図40及び41に示されるように、一連のモジュラ又はより短い長さの部品から形成され得る。これは、内部に組み込まれたケーブルが曲がり、少なくとも部分的にトラックの局所化された部分内又は少なくともその周りを移動することを可能にするのに役立つ可能性がある。トラックが単一の長いセクションとして形成されている場合、ケーブルの動きは、トラック及び/又はケーブルの過剰な形態或いはトラック及び/又はケーブルの経時的な障害のいずれかを引き起こし得る態様で拡大したトラックに応力増大をもたらす場合がある。トラックモジュラ部品は、少なくともある程度は互いに連動して、部品がケーブル長手方向軸線に対して少なくとも部分的に左右に、及び/又は少なくとも部分的にケーブル長手方向軸線に直交する方向に動くことを可能にし得る。インターロックは、動きが発生したときにモジュラ部品を共通の向きに保つために役立ち、これにより、ジップライントロリーがモジュラ部品に沿ってスムーズに動き、トラックパーツの移行や変化に引っかかることがなくなる。
【0210】
[0297]移行引出し部
また、トラックは、図40及び41の左側に示されるとともに図42及び図43に詳細に示されるレールからケーブルへの引出し移行装置を備えてもよい。引出しトラックセクションは、上側セクション及び下側セクションを備えてもよく、上側セクションは下側セクションの前に終端する。上側セクションは、ケーブルに向かって移動している最中に前上側ホイールを下げる傾斜面を再び有してもよく、そうすると、下側ホイールの張力が解放される。図42は、引出し部の上側セクション332から移動しているジップライントロリー300を示しており、前上側ホイール303が上側セクション332から移動し始めたところである。図43は、引出し部の下側セクション331に完全に取り付けられたジップライントロリー300を示し、前上側ホイール303は、完全にケーブル336へ向けて下側部セクション331のランプ335を下方に転がろうとしている。
【0211】
[0298]スプレッダバー
本明細書中に記載される形態の一態様は、トラックシステムの回転に関する。トロリーが例えばレールセクションを中心に回転するとき、トロリーの下に吊り下げられたライダは、トロリーへのライダ接続ポイントによるねじれ動作としてトロリーに変換される回転力を受ける。回転速度が大きいほど、一般にトロリーに作用するねじり力が大きくなる。トロリーとライダの臨界速度では、トロリーに作用するねじり力がトロリーの脱線又は損傷を引き起こす可能性がある。この回転力とねじれ動作に対処する1つのオプションは、例えばライダとトロリーとの間のスプレッダバーを使用して、ねじれポイントをトロリーから離れたポイントに移動することである。一実施形態において、トロリーシステムは、トロリーシステムによって搬送される物体によってトロリーシステムに掛けられる回転力又はねじり力をトロリー本体から離れたポイントに移動させるアセンブリを備えてもよい。アセンブリは、物体とトロリーとの間のポイントに配置されたスプレッダバーであってもよい。
【0212】
[0299]図76は、トロリー770に取り付けられた想定し得るスプレッダバー780の実施形態を示し、図77は、スプレッダバー780の詳細な斜視図を示す。図78及び図79は、スプレッダバー780及びリンケージ781の詳細な断面斜視図を示す。図示されるようなスプレッダバー780は、トラック771及びトロリー動作矢印DDの経路から離れる方向に直交していずれかの側に延びる長尺なバーであってもよく、バー780の端部782は、ライダの重量がトロリー770の遠位の少なくとも2つのポイントにわたって分配されるように、ライダが吊り下げられる取り付け点を有する。バーの終端の中間には、トロリー770と結合する単一のリンケージ781がある。使用中、スプレッダバー780は、トロリー770が回転するときに回動することができ、したがって、トロリー770自体から離れたポイントにねじり及び垂直荷重を再分配する。
【0213】
[0300]スプレッダバー780は、ある程度の左右の振れを可能にし、力線をリンケージ上の回動ポイントにもたらし、回動ポイントをトロリーから移動させる。
【0214】
[0301]スプレッダバー780のリンケージ781は、少なくとも2つの方向への回動動作を可能にする方法でトロリーに接続されてもよい。枢軸の動きは、左右及び前方と後方の2自由度のみで拘束できる。ライダが180度回転し、ライダが後方を向いている間にトロリーが前方に進むリスクを最小限に抑えるために、完全な回転は理想的に回避される。複数の回動ポイントを使用して移動に対応する場合、回動ポイントは、図77及び図78で783及び784とマークされたポイントなど、リンケージ781の長さに沿って互いに分離することができる。スプレッダバーの更なる特徴は、スプレッダバーの両端の両側に配置されるストラップフックの組み込みであるかもしれない。これらは、特にトラックに沿ってトロリーを持ち上げているときに、ストラップを保管するのに役立つ。
【0215】
[0302]上記のスプレッダバーのもう1つの利点は、ライダがトロリーの動きからある程度離れているため、直接接続されているシステムよりもスムーズな乗り心地が得られることである。
【0216】
[0303]スプレッダバーの更なる利点は、スプレッダバーに吊り下げられたとき、ライダをトロリー及びトラックに十分に離れた位置に配置でき、ライダがトロリー及びトラックに接触又は到達できないことである。これにより、ライダが誤って又は選択によってトロリーとトラックに干渉するリスクが最小限に抑えられる。理解されるように、ライダの干渉は重大な安全上のリスクとなる可能性があり、理想的にはこの形態などによって回避される。
【0217】
[0304]更に別の利点として、少なくとも一部のライダの振れが考慮され、このシナリオでは枢軸がトロリーから離れているため、トロリーホイールがケーブル又はレールから外れたり、持ち上げられたりする可能性が低くなる。この説明の他の部分で言及されているように、トロリーの前方又は後方へのライダの著しい動きは、望ましくない上部前部又は後部トロリーホイールの浮き上がりをもたらす可能性がある。
【0218】
[0305]二次接続部
アミューズメントライド、避難システムなどに関係なく、乗客を運ぶ任意のシステムは、一般に、トロリー又はキャリッジに障害が発生した場合に乗客がケーブル又はトラックから完全に外れないように、冗長な安全接続を必要とする。従来のジップラインシステムの場合、この冗長接続は、ライダとケーブル周囲の閉じたカラビナとの間の二次接続から成る-例えば図20に示される。この第2のカラビナは、トロリーホイール又は一次接続が失敗しない限り、ロードされない。ケーブルとレールとの間を移動できるシステム、及び/又はブレーキや方向転換を可能にする中間サポートを備えたシステムの場合、ケーブルを恒久的に取り囲む安全システムは不可能である。ケーブルがトロリーを通過できる場合、移行セクションで、又は衝突や構成要素の障害が発生した場合に、偶発的な脱線が発生するリスクがある。
【0219】
[0306]緊急時に作動する1つ以上の安全接続をライダに提供するこのトロリーシステムの二次接続は、図21に示されるように、通常ケーブル又はレールの周りで閉じている対向するジョーで構成される「はさみ」を備えてもよい。この二次接続部210は、通常、ケーブル211に接触せず、例えば、トロリーに取り付けて、ケーブル211との位置合わせを維持することができる。はさみ210は、ジョー212の閉位置に付勢されてもよく、カラビナ213は、ケーシング215のスロット214内に着座してもよい。二次接続部210の形状は、はさみ210が移行装置132に直面するとき、はさみ210のジョー212が少なくとも部分的に開いて、移行132中にトラックとの接触を確実に維持しながら、トラックのサイズと形状の増加に対応できるようなものであってもよい。トロリーが脱線した場合、ライダの重量は安全接続部上にかかる。そうすることで、カラビナ213は、二次接続部210の外側プレートのスロット214を走行し、ライダをケーブル又はレールにクランプするように作用する。
【0220】
[0307]一実施形態において、二次接続部は、トロリーへの比較的弱い接続を有する場合があり、例えば、脱線の場合にトロリーから分離し、それでも二次接続部を介してライダをケーブル又はレールに保持する。
【0221】
[0308]ライダの減速を制御するために、ライダと二次接続部との間にショックアブソーバーを含めることもできる。ショックアブソーバーは、例えば、バンジーロープのようなある長さの弾性コードであってもよい。
【0222】
[0309]二次安全接続部はトロリーの任意の場所に取り付けることができるが、使用する場合はトロリーの前面、背面、又は両端に取り付けることが想定される。
【0223】
[0310]パススルー及び緊急ブレーキ
各トロリーにブレーキを取り付けることの利点の1つは、トロリーが減速する能力であり、オペレータの介入なしにトラックに沿って継続できることである。これは「パススルーブレーキ」と呼ばれ、ライダの安全性とスループットの点で価値がある。所定のトロリーでブレーキが故障した場合、トロリーシステム全体が安全な方法で応答し、誤ったトロリーが終端ゾーンに入ったり、危険な速度で移行したり、別のトロリーや障害物と衝突したりしないようにする必要がある。緊急ブレーキシステムでは、次のいずれかが必要になる場合がある。
・二次ブレーキ手段を使用して、ライダを安全な速度まで減速させる、又は
・ライダを緊急終端ブレーキ位置に誘導する。
【0224】
[0311]当業者は、多数の別のパススルーブレーキシステムを検討することができる。そのような例の1つに、ライダの速度に比例したブレーキを提供するリニア渦電流ブレーキがある。このタイプのブレーキの考えられる構成の1つを、前述の図22又は図439~41に示し、この場合、磁石と導電性材料の近接動作を通じて、渦電流ブレーキ力がトロリー43に誘導される。これは、磁石(固定電力又は電磁石)がトロリー43に取り付けられ、トロリー43が導電性要素(例えば、レールシステム上のアルミニウム)220に近接することによって達成され得る。或いは、導体はトロリー43上に配置されてもよく、トロリー43上の導体はレールシステム220上の磁石又は電磁石に近接してもよい。
【0225】
[0312]通過ブレーキの別の形式は、図22に示すように、回転システムに取り付けられる回転式の渦電流ブレーキである。回転システム230は、トロリー43と係合し、トロリー43が回転システム230の下方を移動するときに、トロリー43にブレーキ力を加えることができる捕捉機構231を含んでもよい。トロリー43が回転システム230のゾーンを超えて通過するとき、トロリー43は解放され、減速して出ることができ、又はトロリー43は回転システム230の影響ゾーン内で完全に停止した可能性がある。この形式のブレーキシステムは、「物干しロープ」タイプのブレーキと呼ばれることがある。調整回転渦電流ブレーキ(ECB)を物干しシステム230で使用して、正しい速度で移動しているトロリー43にゼロブレーキを掛け得るようにすることができる。
【0226】
[0313]緊急ブレーキシステムの1つの形式は、トロリーの速度を検出し、介入が必要な場合にのみトロリーと係合する。介入は、必要に応じてトロリーの速度を上げたり下げたりして、適切な速度許容範囲内にとどまるようにする。検出機構の1つの方法は、トロリーがレールシステムに移行するときにトロリーによって及ぼされる力を含み得る。別の機構は、方向を変えるときにシステムに加えられる横方向の力、磁気又は電子センサシステム、一連の時限イベント又はトリガー、無線信号、GPS信号、又はそれらの組み合わせを含んでもよい(これらに限定されない)。
【0227】
[0314]トロリーシステムホイール又は一体型ブレーキシステムは、ブレーキシステムとは独立して動作する過速度緊急ブレーキを備えてもよい。一実施形態において、過速度緊急ブレーキは、遠心効果に依存して、緊急ブレーキを作動させることができ、この場合、過速度状況を検出してそれに反応することができる。過速度緊急ブレーキは、一体型ブレーキシステムとは独立して動作してもよい。
過速度緊急ブレーキは、一実施形態では、回転ロータ及び磁気引力によってロータに連結されるボールベアリングを備え、ロータ及びボールベアリングがトロリーの1つ又は複数のホイール及び/又はブレーキシステムに組み込まれ、ロータ回転によって掛けられるボールベアリングに作用する遠心力が十分に高くなれば、ボールベアリングとロータとの間の磁気吸引力が打ち消され、その結果、ボールベアリングが周囲部に移動して、ロータ及び/又は周囲部を連結させるとともに、係止された周囲部とロータとの間の同期した動きを引き起こし、そうする際に、トラックシステム上でのトロリーシステムの移動を減速させる又は停止させる。
【0228】
[0315]上記のような動きの停止は、トロリーが一般にアクセス可能なままである小規模なシステムで役立つ場合がある。減速動作は、トロリーがライドセクション間の途中でアクセスするのが困難な場合、より大きなシステムやシステムで有効な場合がある。いずれにしても、過速度機構は誤動作に反応し、過剰な速度と危険を安全に阻止する。このシステムは、自動的にリセットされるか、遠心力が消散してボールベアリングをロータとの磁気吸引の関係に戻すと、インターロックからボールベアリングを解放するために手動リセットが必要になる場合がある。また、複数のボールベアリングとインターロックを使用できることにも留意されたい。ボールベアリングがインターロック位置にあると、ロータの通常の回転方向に対するロールバックの動きを防ぐこともできる。図57は、ボールベアリング581がロータ582に磁気的に引き付けられている、この過速度アセンブリ580の実施形態の斜視図を示す。図58は、同じ過速度アセンブリ580を正面及び側面の断面図で示す。ボールベアリング581がインターロック位置(図58の破線のボール位置)に到達すると、別の磁気吸引関係を使用して、再設定が完了するまでボールベアリング581を所定の位置に保持できる。リセットは、オペレータがボールベアリング581をロータ582の吸引位置に押し戻すことによって手動で完了されてもよく、或いは、インターロックマグネットの磁気吸引力を下げたりオフにしたりして、ボールベアリング581を解放し、その後、重力によって、ロータ582の吸引位置に戻してもよい。
【0229】
[0316]オーバーライド速度制御用のリニア渦電流ブレーキ、及び/又は暴走トロリーを捕捉してつなぐジップストップタイプの装置との緊急接続など、他の別のブレーキ方法を使用できる。前に説明した図22は、リニア渦電流ブレーキレールを使用した1つの想定し得る別のブレーキ方法の実施形態を示す。
【0230】
[0317]システム全体の制御
システム制御は、前述のように、少なくとも1つのトロリーシステムの少なくとも1つの態様を感知するように構成され得る。また、システム制御は、外部信号を少なくとも1つのトロリーシステムに印加するように構成されてもよい。開示されるトロリーシステムは、1つ以上のトロリーが移動することができるガイド手段/トラックシステム、又はレール及びケーブルのネットワークと見なされ得る。これらのトロリーのブレーキ又は動作増強をもたらす手段は、この文書の前半で開示されている。調整されたブレーキ又は動作増強を伴うトロリーはそれ自体が有益であるが、個々のトロリー及び/又はシステム全体の挙動をシステムレベルで制御する手段を提供することが望ましい場合がある。これは、システムの生産性、柔軟性、最適化、又は安全な動作のためであってもよい。他の理由も存在する可能性があり、このリストは限定的なものと見なされるべきではない。
【0231】
[0318]個々のトロリー要素を考えると、トロリーをトリガし又はトロリーに命令して、トロリーの移動に沿った特定の場所で、所定のブレーキ又は動作増強挙動を実行する手段を有することが望ましい場合がある。そのような例は、ブレーキの作動又は開始、及び/又はブレーキの調整をトリガーして、可変動作入力の下でその移動のセクションを通るトロリーの速度を制限することであってもよい。もう一つの方法として、又は上記の速度制限の例と連携して、トロリーをネットワークの所定の終端領域で安全に停止させるためにブレーキを強化する必要性を信号で知らせる手段を提供することができる。本明細書では、「トリガ」及び「命令」という用語、ならびにそれらの文法的変化形は、「信号送信」という用語と互換的に使用され得ることに留意されたい。この開示の目的のために、それらは同様の意味であると見なされる。
【0232】
[0319]これらの信号ポイントの決定は、本開示で先に詳述した方法を使用するシステムの構成によって規定されて固定され得る。或いは、システムレベルのコントローラがそのような信号送信ポイントを決定してもよい。システムレベルのコントローラは、ガイド手段で動作するトロリーの測定値に基づいて、及び/又は環境条件(例えば、風、雨、温度)などの他のパラメータ、又はガイドトラックへの他のトロリーアクセスに対する待ち行列需要に基づいて、特定の信号送信ポイントを決定できる。
【0233】
[0320]このシステム制御方法を提供する際に、独立した入力の組み合わせを組み合わせて、信号送信及び/又はブレーキの制御を調節することができる。このような調節を使用して、動作の安全性のレベルの向上、顧客の経験の変更、手動操作の入力の削減、システムのスループットの向上、又は従来のトロリーとガイドシステムでは不可能だったそれらの組み合わせを使用できる。当業者には、並行動作ガイド手段へのトロリーの到着を同期させるか、又は段階的に送ることの利点など、他の利点が明らかである。
【0234】
[0321]システムレベル制御は、複数のトロリー要素がガイドシステムで利用される場合、トロリーシステムの安全及び/又はより最適な操作を可能にすることができる。この態様では、システム全体は、例えばトロリーの位置及びトロリーの近接性など、互いに対するトロリーの挙動を決定する手段を有し得る。このシステムには、トロリー間の所望の相対動作を決定及び維持する手段を含めることができる。そのような手段は、受動的又は能動的に達成され、トロリーに信号を供給してトロリーのブレーキ特性を変更することができる。
【0235】
[0322]別の実施形態において、各トロリーは、この制御態様を本質的にトロリー内に組み込んでもよい。この例でのトロリーの制御は、他のトロリー又は隣接トロリーとの通信に基づいて、正しい動作挙動を評価し、トロリー間の望ましい相対動作を維持するためにブレーキに変化を与える目的で動作挙動を通信する。そのようなシステムは、満足のいく動作のためにマスター制御システムを必要としないという利点を有し得る。
【0236】
[0323]トロリーからトロリーへの通信の別の方法では、各トロリーがトラック上の固定された送信要素と直接に通信することができる。この送信要素は、通過するトロリーから動作挙動情報を受け取り、この情報を後のトロリーの動作制御の目的で後の通過するトロリーに通信することができる。そのようなシステムは、直接通信又は外部の全体的なシステムなしでトロリー間の動作挙動を変更する目的でトロリー間で情報を中継し続けることができる。送信手段は、機械的手段、電気的手段、光学的手段、電子的手段、無線手段、音響手段、又はそれらの組み合わせによるものであってもよい。他の制御方法で詳細に説明されている以上のトロリー間通信の利点としては、トロリーから送信要素までの距離が近いため、かなりの距離を超えて通信する必要がなくなるという点が挙げられる。短距離での通信は、必要な電力が少なく、外部干渉信号の影響を受けにくく、システム動作のロバスト性が向上するという利点がある。更なる利点は、必要に応じて全体の制御システムからの信号を更に提供し、トロリー間の通信だけでなく、トロリーに付加的な動作情報又は要求を提供できる能力であってもよい。
【0237】
[0324]上記に開示された送信要素システムの拡張は、送信要素がトロリーから動作性能情報を受信し、これを集中型システムに通信するための機能の提供となり得る。この機能がどのように使用されるかの例は、トロリー要素の正しい動作の監視と決定にある。主な考慮事項は、望ましくない性能又は危険なレベルの操作が始まる前にブレーキの劣化を特定できるような、トロリーのブレーキ性能であるかもしれない。早期警告の開始により、性能が望ましいレベル又は許容可能なレベルを超えて低下する前に、トロリーの介入が可能になる場合がある。この例ではブレーキ性能が主な考慮事項として示されているが、他の用途では、例えばベアリングの損傷を特定するために、振動などの他の局面の監視を検討する場合がある。
【0238】
[0325]一部の用途では、緊急事態の場合にトロリーのブレーキ手段と相互作用することが望ましい場合がある。そのような状況では、トロリー要素の動作を無効にして、それらの動作速度を低下させ、及び/又はトロリーを停止させることが望ましい場合がある。システム全体の緊急停止又はブレーキオーバーライド機能の使用により、特に用途に人間の乗客が含まれる場合、トロリーシステムの動作の安全性が向上する。システムの緊急停止機能により、既存の従来のシステムを用いて他の方法では不可能だった複数のトロリーの安全な動作が可能になる場合がある。この実施形態の拡張において、システムレベルの緊急停止の作動は、トロリー要素に信号を送って、所定の保持及び/又は出口位置に移動して、システムからの乗客の安全な降車及び出口を可能にすることができる。
【0239】
[0326]全体的なシステム制御の更なる態様は、ガイド要素へのトロリーの出入りの管理であってもよい。従来のシステムは、例えばジップラインの場合のように、物理的なゲートシステムを介して、又は人間の手動操作によってこれを実現する。従来のシステムは、コスト、複雑さ、運用効率、場合によっては人為的エラーの機会など、多くの理由で望ましくない。開示された制御システムは、ガイド要素への及びガイド要素からのトロリーの進行を管理する方法を提供する。制御システムの態様は、トロリーのブレーキ要素と相互作用して、トロリーに信号を送り、トロリーがガイド要素の始点まで進行するのを防ぐためにブレーキを作動させることができる。このブレーキ機能の作動は、トロリーガイドシステム又はライドの全体的な動作によって決定される。この実施形態の一例は、前に配置されたトロリーがトロリーの安全な同時動作を達成するのに十分な距離になるまでトロリーがガイド手段のジップラインセクションに入ることを妨げられるジップラインであってもよい。閾値が達成されると、制御システムは、ブレーキの解放を信号で伝えて、トロリーがガイド手段に進むのを可能にする。同様に、ブレーキシステムは、進行する条件が満たされるまで、ガイド手段の終わりにトロリーを減速又は保持することができる。
【0240】
[0327]そのような制御システムは、乗車中のトロリーの進行を許可する前に他の条件を評価することができる。更なる評価の非限定的な例としては、以下のチェック、すなわち、トロリーへのライダの安全な接続があること、原動機システムの正しい通電があること、環境条件が許容レベル内にあること、安全監督者がいること、走行経路に障害物又はその組み合わせがないことのチェックを挙げることができる。
【0241】
[0328]別の方法において、トロリーの出入りは、ガイド要素の周りでのトロリーのラッチ及び/又はゲートによって達成され得る。このシステムの例示的な構成では、ラッチは、上記の方法の下で制御システムによる動作を受ける場合がある。トロリーを直接ラッチ又はゲートすると、積載物の通路スペースへの侵入を最小限に抑え、選択的な動作の柔軟性を得ることができる。
【0242】
[0329]開示された発明で考慮される制御システム全体の別の態様は、システム上のトロリーの逆動作の検出及び制御であってもよい。トロリーが所望の方向とは逆方向に移動していることを検出した場合、トロリーが更に逆方向に動くのを防ぐために、ブレーキシステムが作動する場合がある。この機能が望ましい場合の例は、ライダがジップラン間の独自の移行を管理するセルフガイドジップラインである。そのような例では、ライダがたった今走行したジップランに戻るのは望ましくなく、実際には安全ではない。そのようなロールバック防止システムは、この望ましくない状況の発生を防止することができる。
【0243】
[0330]個々の態様又は組み合わせが、全体的な安全制御システムの基礎を形成する場合がある。或いは、個々の態様又は組み合わせを利用して、システム上でトロリーのより大きなスループットを提供するか、又はガイドシステム上で同時に複数のトロリーの移動を可能にすることができる。これらの並行動作トロリーは、異なる動作入力を有してもよく、又は、別の方法で問題なく同時に動作する能力に影響を与える可能性があるバリエーションを有してもよい。上記で開示されたシステムは、広範囲の入力条件又はガイドシステム構成にわたる動作を可能にすることができる。
【0244】
[0331]完全なライドシステム
上記のトロリー及びその他の態様は、ライダの自由度と楽しさを向上させ、スループットを向上させ、ランニングコストを削減し、安全に操作する熟練スタッフへの依存を軽減するシステムに組み合わせることができる。想定し得る用途の例を以下に示す。
【0245】
[0332]想定し得る取り込みステーションの概略図を図24に示し、想定し得る事前発射プロセスを図25に示す。ハーネスは、発射エリア240から離れた場所に取り付けることができ、顧客/ライダは、ガイドレール上の連結されたトロリーに取り付けて、ライド241を開始することができる。次に、顧客は、完全に利用され、乗る準備ができている列に加わることができる242。発射の準備ができると、トロリーは低速移行セクションを通過して、トラック又はケーブルに到達する。このようにして、複数のライダが素早く連続して複数のトラックにフィットする場合もある。乗車開始時に顧客をフィッティングする際のボトルネックが解消されるため、乗車定員を最大化できる。この手法には、避難システムにとって明らかにスループットの利点もある。
【0246】
[0333]制御システムは、すべてのライダの動きを追跡し、各ライダが進路をクリアしたときにのみ発進できるようにする。これは、トロリーが通過するときにトロリーを識別するチェックポイント、又はすべてのトロリーを同時に配置できるグローバル又はローカルポジショニングシステムの使用によるものである。安全な距離を維持するために、ライダの速度をコントロールポイントで調節することができ、また、トロリーが停止又は暴走した場合に、ライダの間隔によって緊急アクションのための時間を確保できる。
【0247】
[0334]山の勾配又は脱出出口は大きく異なる場合があり、適切なパイロンサイトはルートオプションを更に制限する場合がある。上記の技術は、重量に関係なくすべてのライダの降下速度を制御できるため、以前はジップラインを取り付けることができなかった場所にジップラインを取り付けることがでる。
【0248】
[0335]図26に示すルートマップの例では、ケーブルの急なセクション260と浅いセクション261、及び多数のコーナーがある低速トラックのセクション(太字262)があってもよい。セクション260、261、262ごとに、オンボードブレーキが自動的に最適なトロリー速度に設定され、以下を確保する。
・大小のライダ、つまりさまざまな重量のライダが止まることなく次の駅に到着する。
・コーナーは安全に移動できる。
・端末に入る速度が安全である。
・コースの一部は、観光や周辺との交流に特化している場合がある。
【0249】
[0336]ブレーキ調節シーケンスの位置例は以下のとおりである。
【0250】
[0337]ライダがトップステーションから発進すると、オンボードブレーキが60 kphで最初のジップラインを下るように設定される。最初のコーナーに近づくと、トロリーがトラックセクションに移動し、コントロールポイントがオンボードブレーキ設定を調節して、ライダを20 kphまで減速させることができる。ライダは次の3つのコーナーを低速でうまく通り抜け、第2のコントロールポイントがオンボードブレーキを設定して50 kphのライドを行なう。インターチェンジに近づくと、コントロールポイントがブレーキを10 kphの制限に設定し、ライダは安全かつ低速で作業台に着陸する。ライダは手動で観光トラックのセクションに進むことを選択することができ、この例のオンボードブレーキは10 kphに設定される。
【0251】
[0338]ここに開示されている技術によって提供されるオンボードの速度調節と制御オプションがないと、このルートは、単一のトロリーを使用してナビゲートすることも、手動でトロリーを異なるケーブルタイプとトラックタイプに切り替えることもできない。
【0252】
[0339]緊急ブレーキシナリオの例を以下に示す。
【0253】
[0340]木の枝がラインに落ち、ライダのトロリーがトラックに止まった。制御システムは、トロリーが期待どおりに次のチェックポイントに到達していないことを感知し、それ以上の顧客がライド上に入らないように信号を送信する。ライダの上のトラック上のコントロールポイントは、緊急モードに設定される。すでにトラック上にいるライダのトロリーは最大ブレーキに設定されており、ライダはアクセス可能な場所で停止し、ラインの回復又はクリアランスが保留される。
【0254】
[0341]トロリー暴走シナリオの例を以下に示す。
【0255】
[0342]破片がトロリーの回動ブレーキアームに押し込まれ、ブレーキが正しく作動しなくなった。ライダが危険な速度でコーナーに接近している。コーナーの前のコントロールポイントは、トロリーの過剰な速度を検出し、ライダを緊急停止レーンに変向させ、緊急停止レーンでは、従来のジップラインブレーキシステムが停止する。後続のライダは、安全に角を曲がり、ライドの最下部まで進むことができる。制御システムは事故をオペレータに通知し、オペレ-タは脱出レーンからライダを回収する。
【0256】
[0343]上記の例のようなルートは、通常、複数の短いステージに分割する必要があり、それぞれに終端ブレーキゾーンと次のステージ用の有人発射ステーションがある。レールに移行してコーナーの周りを移動できるトロリーを作成することにより、ライダのハンドリング時間を短縮し、ライダの間隔をはるかに長い距離で自動的に制御できる。
【0257】
[0344]ケーブルとレールのセクションとの間の高速移行により、ライダはコントロールポイント、コーナー、緊急ブレーキ/脱出経路と相互作用できる。
【0258】
[0345]オンボードのパススルーブレーキにより、ライダは安全な速度まで減速し、スタッフがいるインターチェンジプラットフォームに途中まで踏み込むことができる。インターチェンジプラットフォーム270の例が図27に示される。インターチェンジ270において、ライダは、第1のケーブル203からインターチェンジ270に入った後、1つ又は複数の出口ルート271、272を下るか、又はトロリーから離れてローカルエリアを探索することを選択することができる。
【0259】
[0346]図28は、想定し得る終端・降りステーション290を示す。開ループシステムの場合、ライダはステーションの前に安全な速度に減速され(システムはトロリーブレーキを適切に設定する)、ライダは着地パッド291から解放・ハーネス取り外しエリア292まで歩くことができる。トロリーは次のライダのためにトラックの上部に戻る。或いは、閉ループシステムの場合、ライダはトロリーに取り付けられたままで、上り坂293を登っている被駆動ケーブルに移行する。ブレーキ付きホイールは、後進中にロックされ、そのため、上り坂を進んで再びライドを開始するときに、ライダを被駆動ケーブルにクランプする。更なる実施形態では、着陸プラットフォーム290又はその一部は、ライダがプラットフォームに着陸することを可能にし、トロリーの望ましくないロールバックを低減又は防止する能力を有するように、ライダの移動方向から離れるように傾斜してもよく、又は、これが発生する場合は、トロリーのロールバックに抵抗できる十分な足場をライダに与える。
【0260】
[0347]上述の実施形態も、本明細書で個別に又は集合的に参照又は示される部品、要素及び特徴、ならびに任意の2つ以上の前記部品、要素又は特徴の任意又はすべての組み合わせからなると広く言うことができる。
【0261】
[0348]更に、実施形態が関連する技術において既知の同等物を有する特定の整数が本明細書で言及される場合、そのような既知の同等物は、個別に述べられた時点で本明細書に組み込まれると見なされる。
【0262】
[0349]トロリーシステム及び関連するレール及びケーブルの態様は、例としてのみ説明されており、それらに修正及び追加を行うことができることを理解されたい。
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