(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-02
(45)【発行日】2022-12-12
(54)【発明の名称】長尺の可撓性部材のための取付け装置
(51)【国際特許分類】
H02G 1/10 20060101AFI20221205BHJP
H02G 3/22 20060101ALI20221205BHJP
H02G 3/04 20060101ALI20221205BHJP
H02G 9/02 20060101ALI20221205BHJP
F03D 13/25 20160101ALI20221205BHJP
F16L 3/00 20060101ALI20221205BHJP
【FI】
H02G1/10
H02G3/22
H02G3/04 081
H02G9/02
F03D13/25
F16L3/00 Z
(21)【出願番号】P 2020539824
(86)(22)【出願日】2019-01-29
(86)【国際出願番号】 GB2019050235
(87)【国際公開番号】W WO2019150088
(87)【国際公開日】2019-08-08
【審査請求日】2021-10-26
(32)【優先日】2018-01-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】517279492
【氏名又は名称】ファースト サブシー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002310
【氏名又は名称】特許業務法人あい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リトル,アンソニー ジョン
(72)【発明者】
【氏名】トムソン,クレイグ リチャード
(72)【発明者】
【氏名】ベネット,ステファン ジェイムズ
【審査官】遠藤 尊志
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/068343(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/211815(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0226527(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 1/00- 1/10
H02G 3/00- 3/24
H02G 3/00- 3/04
H02G 9/00- 9/12
F03D 13/25
F16L 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺の可撓性の部材用の取り付け装置(110)であって、
長手方向の軸を有する長尺の本体(130)と、
前記長尺の可撓性の部材を受け入れるために、前記長手方向の軸に平行に、前記長尺の本体(130)を通過する、内部通路と、
前記長尺の本体(130)における複数の開口(132)と
を備え、
前記複数の開口(132)は、前記長尺の本体(130)の長手方向の第1の位置において、前記長尺の本体(130)の周りで間隔を空けて設けられており、
前記長尺の本体(130)の長手方向の第2の位置において、前記長尺の本体(130)の周りで間隔を空けて設けられている、複数の窪み(146)と、
前記長尺の本体(130)の前記長手方向の軸に向かって傾斜した、変位軸に沿って移動するよう規制された、各開口(132)に設置される係合部材(136)と、
複数の起動部材(142)であって、それぞれが各係合部材(136)と係合し、それにより、第1の方向への当該起動部材(142)の変位が、前記長尺の本体(130)の周縁を超えて突出するよう前記係合部材(136)を外側へ変位させ、かつ、第2の反対方向への当該起動部材(142)の変位が、前記係合部材(136)を内側へ変位させる、複数の起動部材と、
前記起動部材(142)を前記第1の方向へと付勢する、付勢部材(182)とを
さらに備える、装置。
【請求項2】
それぞれに前記起動部材(142)の1つが配置された、複数の長尺の通路(148)を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記長尺の通路(148)は、前記長尺の本体(130)の前記長手方向の軸に平行に配置されている、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記内部通路は円筒形とされている、請求項1
または請求項2に記載の装置。
【請求項5】
前記長尺の本体(130)の外側外周面が円筒形とされている、請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
前記複数の開口(132)は、前記複数の窪み(146)に対して周方向に対応する位置にある、
請求項1または請求項2に記載の装置。
【請求項7】
前記起動部材(142)が配置される前記長尺の通路(148)は、各開口(132)と、対応する窪み(146)との間を延びている、請求項2に従属する
請求項6に記載の、または、請求項2に従属する請求項3~
請求項5のいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
前記長尺の本体(130)の外部に、移動可能な管状のスリーブ部材(112)を備える、請求項1~
請求項7のいずれか1項に記載の装置。
【請求項9】
前記移動可能な管状のスリーブ部材(112)は、前記複数の窪み(146)を封止している、
請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記移動可能な管状のスリーブ部材(112)は、前記起動部材(142)に固定されている、
請求項8または
請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記係合部材(136)は、前記長手方向の軸に対して径方向への移動を規制されている、請求項1~
請求項10のいずれか1項に記載の装置。
【請求項12】
前記係合部材(136)は止め具である、請求項1~
請求項11のいずれか1項に記載の装置。
【請求項13】
前記付勢部材(182)はばねである、請求項1~
請求項12のいずれか1項に記載の装置。
【請求項14】
前記長尺の可撓性の部材が通る長尺で中空の保護装置への接続のための、接続手段を備える、請求項1~
請求項13のいずれか1項に記載の装置。
【請求項15】
前記長尺の本体(130)の両端にあって、それぞれが、長尺で中空の保護装置に接続する接続手段を備える、
請求項14に記載の装置。
【請求項16】
セントラライザ(106)への接続用の接続手段を備える、
請求項14または
請求項15に記載の装置。
【請求項17】
ケーブル保護装置(108)への接続用の接続手段を備える、
請求項14~請求項16のいずれか1項に記載の装置。
【請求項18】
曲げに対する補強材への接続用の接続手段を備える、
請求項14~請求項17のいずれか1項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開口を通って延びる長尺の可撓性部材を取付けるための取付け装置、および、そのような取付け装置を備える長尺の可撓性部材のための保護装置に関する。
【背景技術】
【0002】
洋上エネルギー用途では、通常、電力ケーブルなどの長尺の可撓性部材を、洋上設備に固定する必要がある。
【0003】
これは通常、長尺の可撓性部材の一端を、構造体に取付けられた、いわゆるJ字管またはI字管内へと固定することにより実現される。
先行技術文献GB 2 543 574 Aは、複数のロック要素を有する、風力タービン発電機とのケーブルなどの海中接続用の長尺のコネクタを開示しており、これは球の形態であっても、傾斜路表面上に配置されていても、かつ、コネクタ上の複数のケージ内に保持されていてもよい。ケージは移動可能であって、ロック要素を傾斜路表面に沿って、それらが傾斜路表面の上側領域上にあってもよい係合位置と、それらが傾斜路表面の下側領域上にあってもよい係合解除位置との間で移動させ、かつ、複数のケージは、互いに独立して移動可能とされている。コネクタの取り外しを可能にするために、すべてのケージを同時に係合解除位置へと移動できる、解除カラーが設けられていてもよい。傾斜した表面は、下側領域がコネクタの後方に向かい、かつ、上側領域が前方に向かうよう、軸方向に先細りとなっていてもよく、かつ、これは、コネクタの周りを周方向に延びる単一の傾斜路とされていてもよい。
【0004】
しかし、長尺の可撓性部材がまず、それが接続されることになる構造体の壁の開口を通過しなければならない状況にある場合がある。
【0005】
その典型的な例が、電力ケーブルが、洋上風力タービンの本体を形成する、海底に取付けられたモノパイル(mono pile)の壁を通過する場合であろう。そのような状況では、ケーブルを、モノパイルまたはケーブル自体に損傷を引き起こすことなしに、モノパイルの壁にある開口を貫いて引いて通すことが必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、長尺の可撓性部材を、開口を貫いて引いて通すことを可能にし、開口内の所定の位置に選択的かつ確実に保持できる取付け装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、開口を通って延びる長尺の可撓性部材のための取付け装置が提供される。
【0008】
開口を通って延びる長尺の可撓性部材のための取付け装置は、長手方向の軸を有する長尺の本体と、前記長尺の可撓性部材を受け入れるために、前記長手方向の軸に平行に、前記長尺の本体を通過する、内部通路と、前記長尺の本体における複数の開口と、前記長尺の本体の前記長手方向の軸に向かって傾斜した変位軸に沿って移動するよう規制された、各開口における係合部材と、複数の駆動部材であって、それぞれが各係合部材と係合し、それにより、第1の方向への当該駆動部材の変位が、前記長尺の本体の周縁を超えて突出するよう前記係合部材を外側へ変位させ、かつ、第2の反対方向への当該駆動部材の変位が、前記係合部材を内側へ変位させる、複数の駆動部材と、前記駆動部材を前記第1の方向へと付勢する、付勢部材とを備える、装置である。
【0009】
ケーブルなどの長尺の可撓性部材にこのような装置を装着した場合、その装置は、取付けられることになる構造体の壁にある開口を引いて通すことができる。装置の本体は、ケーブルが通過する開口よりも、わずかに小さくなるよう設計されるが、係合部材は、長尺の本体の外側外周面から突出して、その結果、装置が引いて通される際にそれらが開口の周縁に係合するよう、設計されている。
【0010】
装置が引いて通される際に、係合部材は、駆動部材に働く付勢手段の復元力に抗して変位され、それにより、装置が開口を通って部分的に引かれることが可能となる。しかし、開口を通って装置を引く力が除去されると、付勢手段は、内部の開口に沿って駆動部材を付勢し、係合部材を外側へと付勢し、その結果、それらは、装置が延びて通っている開口の周縁に係合する。
【0011】
その結果、装置は、開口を通って前方へと、1つの方向に移動することができるが、反対方向へと、開口から後退することが防止される。
【0012】
好ましくは、装置は、それぞれに前記駆動部材の1つが配置された、複数の長尺の通路を備えている。
【0013】
くわえて、前記長尺の通路は、前記長尺の本体の前記長手方向の軸に平行に配置されているのが好ましい。
【0014】
好ましくは、前記内部通路の前記長手方向の軸は、前記長尺の本体の前記長手方向の軸に整列されている。
【0015】
好ましくは、前記内部通路は円筒形とされている。
【0016】
前記長尺の本体の外周面が円筒形とされていることも好ましい。
【0017】
好ましくは、前記複数の開口は、前記長尺の本体の第1の長手方向の位置において、前記長尺の本体の周りで間隔を空けられて設けられている。
【0018】
装置は好ましくは、前記長尺の本体の第2の長手方向の位置において、前記長尺の本体の周りで間隔を空けられて設けられた、複数の窪みを備えている。
【0019】
好ましくは、前記第1の複数の開口は、前記複数の窪みに対して周方向に対応する。
【0020】
くわえて、前記駆動部材が配置される前記長尺の通路は、各開口と、対応する窪みとの間を延びていることが好ましい。
【0021】
好ましくは、装置は、前記長尺の本体の外部に、移動可能な管状のスリーブ部材を備えている。
【0022】
好ましくは、前記移動可能な管状のスリーブ部材は、前記複数の開口を封止している
前記移動可能な管状のスリーブ部材は、前記駆動部材に固定されていることが好ましい。
【0023】
好ましくは、前記係合部材は、前記長手方向の軸に対して径方向への移動を規制されている。
【0024】
前記係合部材は止め具であることも好ましい。
【0025】
好ましくは、前記付勢手段はばねである。
【0026】
好ましくは装置は、前記長尺の可撓性部材の通路用の、長尺で中空の保護装置への接続用の、接続手段を備えている。
【0027】
好ましくは装置は、前記長尺の本体の両端にあって、それぞれが、長尺で中空の保護装置への接続をする接続手段を備えている。
【0028】
くわえて、装置は、セントラライザへの接続用の接続手段を備えているのが好ましい。
【0029】
好ましくは装置は、ケーブル保護装置への接続用の接続手段を備えている。
【0030】
くわえて、装置は、曲げに対する補強材への接続用の接続手段を備えているのが好ましい。
【0031】
添付の図面を参照し、単なる例として、本発明の特定の実施の形態を以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1a】洋上風力タービンのモノパイルに設置した状態を示す、セントラライザ、ケーブル保護装置および取付け装置を備えるケーブル保護アセンブリの一部の斜視図である。
【
図1b】
図1aのケーブル保護装置を示す断面図(through section view)である。
【
図2a】
図1aのアセンブリの一部を形成する取付け装置およびケーブル保護装置を示す側面図である。
【
図2b】
図1aのアセンブリの一部を形成する取付け装置およびケーブル保護装置の正面斜視図である。
【
図2c】
図1aのアセンブリの一部を形成する取付け装置およびケーブル保護装置を示す後面斜視図である。
【
図4a】止め具(locking dog)が伸展位置にある状態を示す、
図3aの取付け装置の斜視図である。
【
図4b】止め具が後退位置にある状態を示す、
図3aの取付け装置の斜視図である。
【
図5a】本発明に係る駆動部材を示す斜視図である。
【
図5b】本発明に係る駆動部材を示す斜視図である。
【
図5c】本発明に係る駆動部材を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1aおよび
図1bは、本発明の実施の形態に係る、洋上風力タービンの支柱104の壁に設けられた開口102内に固定された、可撓性の電力ケーブル(図示せず)用のケーブル保護アセンブリ100を示している。ケーブルは、風力タービンの発電機に接続するよう意図されており、ケーブル保護アセンブリ100は電力ケーブルを包囲しており、両者は、水中環境からケーブルを保護し、かつ、径方向に曲げられて、それによりケーブルが損傷を受けることを防止している。
【0034】
図1a~
図1bに示すケーブル保護アセンブリ100の部分は、セントラライザ106およびケーブル保護装置108を備えており、そのそれぞれの一端は、取付け装置110のそれぞれの端に固定されている。
【0035】
セントラライザ106およびケーブル保護装置108は従来からあるものであり、かつ、高密度ポリウレタンで形成された管状の可撓性部材を備えている。説明し図示した実施の形態では、セントラライザ106およびケーブル保護装置108は、曲げに対する補強材として形成されており、取付け装置から遠い端に向かって先細りとなっており、かつ、所定の程度の可撓性を与え、ケーブルがそれらを通過する際に損傷が生じ得るほど曲がることを防止するように設計されている。
【0036】
さらなるケーブル保護装置がケーブル保護装置108の下流側に取付けられて、支柱104から離れた場所で保護してもよいことに留意されたい。包囲された電力ケーブルを保護するものとして、例えば、端と端とを固定した一連の相互接続した曲げ制限要素および/または一連の可撓性のポリウレタンチューブがある。しかし、追加のケーブル保護装置は、本発明の一部を形成しておらず、さらに説明されることはない。
【0037】
図3aおよび
図3bに最もよく示されるように、取付け装置110は、鋳鉄製の長尺の管状の本体130と、長尺の本体130の外部に摺動可能に取付けられた、管状の後退可能なスリーブ112とを備えている。管状の本体130には、第1の端に隣接し、長尺の本体130の外周外面の周りに均等な角度で間隔を空けて、8つの同一の開口132が設けられている。各開口132の周縁には段が付けられて、外周の肩133が設けられており、各開口は止め具保持キャップ138を受け入れ、止め具保持キャップ138の外面は、長尺の管状の本体130の外面134と面一になっており、かつ、止め具保持キャップ138は、4つの同一のボルト139により所定の位置に固定される。
【0038】
各保持キャップ138は、止め具136が摺動可能に取付けられ、かつ、径方向に(すなわち、長尺の管状の本体130の長手方向の軸A-Aに垂直に)変位するよう規制された、貫通開口140を備えている。
【0039】
各止め具136は、それぞれ長尺の駆動部材142の一端に係合しており、各駆動部材142のその長手方向の軸に沿った変位により、関連する止め具136が、以下に説明するように、径方向に内側または外側へ変位される。
【0040】
各止め具136の先端面144は、取付け装置110の長手方向の軸A-Aに対して傾斜して、支柱104の壁にある開口102への、止め具136の挿入を促進する。
【0041】
止め具136の起動について、より詳細に以下に説明する。
【0042】
取付け装置110の前端116には、取付け装置110の長手方向の軸A-Aに平行に延びた、小径の環状の肩部118が、セントラライザ106の一端にある相補的に成形された窪みに受け入れられるために、備えられている。
【0043】
環状の肩部118には、環状の肩部118の周りに均等に間隔を空け、かつ、取付け装置110の長手方向の軸A-Aに垂直に延びた、8つの同一の窪み120が設けられている。使用時に、窪み120のそれぞれは、取付け装置110の前端116をセントラライザ106の隣接する端に固定するために、セントラライザ106の端にある対応する窪みにねじ式に(threadedly)挿入される固定ボルト122を受け入れる。
【0044】
取付け装置110の、反対側の後端124には、取付け装置110の長手方向の軸A-Aに平行に延びた環状の肩部126が、ケーブル保護装置108の一端にある相補的に成形された窪みに受け入れられるために、設けられている。環状の肩部126は、環状の肩部126の周りに均等に間隔を空け、かつ、取付け装置110の長手方向の軸A-Aに垂直に延びた、8つの同一の開口128を備えている。使用時に、開口128のそれぞれは、取付け装置110の後端124をケーブル保護装置108の隣接する端に固定するために、ケーブル保護装置108の端内に挿入される固定部材(図示せず)を受け入れる。
【0045】
図3bに示すように、取付け装置には、管状の本体130の第2の端に隣接する、8つの同一の窪み146も設けられている。窪み146は、管状の後退可能なスリーブ112の下方で、取付け装置110の外面134の周りに均等に間隔を空けて設けられている。窪み146のそれぞれは、開口132の1つに対応しており、かつ、互いに一致して、周方向に間隔を空けられている。
【0046】
図3b、
図4aおよび
図4bに最もよく示すように、内部通路148が、各開口132と、その対応する窪み146との間に形成されており、かつ、駆動部材142を受け入れるために、取付け装置110の長尺の本体130を通って、軸A-Aと平行に延びている。各内部通路148および対応する駆動部材142は、取付け装置110の長手方向の軸A-A方向への、駆動部材142の移動を可能にする寸法とされている。
【0047】
図5a、
図5bおよび
図5dを参照して、各止め具136には、取付け装置110の長手方向の軸A-Aに平行に延びた、長尺の貫通窪み150が、長尺の駆動部材142の結合ヘッド152を受け入れるために、設けられている。すなわち駆動部材142は、正方形の横断面を有する結合ヘッド152と、円形の横断面を有する長尺の部分154とを備えている。
【0048】
止め具136は、窪み150の対向する内面160、162に形成され、かつ、取付け装置110の長手方向の軸に対して傾斜した、2つの同一の長尺の突起156、158により、駆動部材142の結合ヘッド152に対して、摺動可能に取付けられている。
【0049】
窪み150の内面160、162に形成された長尺の突起156、158は、駆動部材142の結合ヘッド152の対向する側部168、170に形成された、対応する形状とされた溝164、166に受け入れられる。長尺の傾斜した溝164、166は、対応する形状とされた長尺の傾斜した突起156、158を受け入れて噛み合い傾斜路機構を形成し、それにより、長手方向の軸A-Aに平行な方向への駆動部材142の移動によって、保持キャップ138により規制された止め具136が、径方向に移動される。
【0050】
図3bおよび
図5aから最もよく分かるように、駆動部材142の長尺の部分154には、一端において結合部材172が設けられている。結合部材172は、駆動部材142を管状の後退可能なスリーブ112に固定するために、取付け装置110の窪み146内に取付けられる。管状の後退可能なスリーブ112は、その外周面176の周りに均等に間隔を空け、かつ、取付け装置110の長手方向の軸A-Aに垂直に延びた、8つの同一の窪み174が設けられている。8つの同一の窪み174は、長手方向の第1の各地点に配置される。
【0051】
使用時に、窪み174のそれぞれは、駆動部材142を管状の後退可能なスリーブ112に固定するために、結合部材172の対応する窪み180にねじ式に挿入される固定ボルト178を受け入れる。
【0052】
スリーブは、その外周面176の周りに均等に間隔を空け、かつ、長手方向の第2の地点に配置された、2つの同一の窪み175をさらに備えている。使用時に、各窪み175は、長尺の管状の本体130の対応する窪み193にねじ式に受け入れられ、かつ、通常(図において右に変位された)後退位置にスリーブを保持する剪断ボルト191を受け入れる。この構成により、管状の後退可能なスリーブ112を取付け装置110の軸A-Aに平行な方向に移動することにより、所望のときに、後退位置と伸展位置との間で止め具136を径方向に移動可能にすることができ、それによりボルト191が剪断される。
【0053】
図5a、
図5b、
図5cおよび
図5eに示すように、駆動部材142の長尺の部分154は、その長さに沿って段を付けられており、頑丈な圧縮ばね182の第1の端との係合用に、外周の肩185を設けている。
【0054】
同様に、
図3bに最もよく示すように、内部通路148は、その長さに沿って段を付けられており、頑丈な圧縮ばね182の第2の端との係合用に、外周の肩183が設けられている。使用時に、頑丈な圧縮ばね182は、それぞれの肩185および183により形成される内面187および189の間で、駆動部材142の長尺の部分154の外周に配置される。駆動部材が前方向に移動すると、頑丈な圧縮ばね182は、内面187および189と係合して圧縮され、それにより、駆動部材142を反対方向に付勢する。
【0055】
結合部材172には、駆動部材154の一段下がった部分177を受け入れる、円形の断面を備える貫通窪みが設けられている。一段下がった部分177は、結合部材172の対向する外面190、192とそれぞれ係合する2つの外周の肩部181、179の間に、区画されている。使用時に、取付け装置の軸A-Aに平行な方向への駆動部材の移動が、肩部181、179の結合部材172のそれぞれの側190、192との係合、により規制される。この構成により、止め具136および対応する駆動部材154が、管状の後退可能なスリーブ112および結合部材172から独立して移動することが可能となる。
【0056】
使用時に、ケーブル保護アセンブリ100は、ケーブル敷設船に搭載されて保護されるケーブルの周りに装着され、かつ、タービンの支柱に向けて、船の舷側から水中へと放出される。これは、セントラライザ106の前端に埋め込まれた従来のコネクタ部材(図示せず)の穴(eye)に固定された支柱104から延びる引き綱(pulling line)(図示せず)により、従来の方法で実現される。
【0057】
引き綱は、敷設されることになる電力ケーブルの端にも接続され、かつ、コネクタ部材には、所定の張力が加えられると破断する、所定の弱い連結(link)が設けられている。その結果、ケーブル保護アセンブリ100が風力タービンの支柱104の壁にある開口102における開口内に保持されているときに、引き綱をさらに引くことでコネクタ部材が割れて電力ケーブルをケーブル保護アセンブリ100を通じて引き続けることになる。以下に詳しく説明する。
【0058】
引き綱は、ケーブル保護アセンブリ100およびケーブルを、支柱104の壁にある開口102に向かって引く。最終的に、セントラライザ部分106は開口102を通過することになり、それにより、ケーブル保護アセンブリ100の、開口102との整列が支援される。引き綱をさらに引くと、取付け装置110の本体が開口102に進入する。
【0059】
取付け装置110の外径は、開口102の径より、わずかに小さくなるよう選ばれるが、止め具136は、取付け装置110が通過する際に止め具136の傾斜した先端面144が開口102の境界に係合するよう設計されており、その結果、止め具136は、後退位置へと移動させられ、駆動部材142に取付けられた頑丈な圧縮ばね182が圧縮されるように、駆動部材142を前方向に付勢する。このようにして、止め具136は、関連する圧縮ばね182の力に逆らって内側へ後退する。
【0060】
しかし、取付け装置110の反対方向への何らかの移動により、圧縮ばね182が駆動部材142を付勢するようにされ、止め具136を径方向に外側へと付勢し、その結果、止め具136は付勢されて、開口102の境界と強く係合し、それにより、取付け装置110が開口102から外れて前方向に後退することが効果的に防止される。止め具136は、したがって径方向に外側へと移動する。
【0061】
しかしながら、取付け装置110の前方向への移動は、管状の後退可能なスリーブ112を前方向に移動させ(これは剪断ボルト191の剪断につながる)、関連するばね182の力に逆らって駆動部材142を前方向に移動させて、それにより止め具136を、取付け装置110が配置されている開口102との係合から外れて後退位置へと移動するよう付勢することにより、依然として可能である。
【0062】
このようにして、止め具136を選択的に後退または拡張させることができる。これにより、取付け装置110、セントラライザ106、および、それに接続されたケーブル保護装置108を、開口102から退かせることができる。
【0063】
取付け装置110は、所定の位置に長期間留まるよう意図されているが、後退可能な止め具136が設けられていることにより、必要とされる場合には、取付け装置110の取り外しを容易に可能にする。
【0064】
本詳細な説明は、例示のみを目的としており、いかなる仕方でも本開示の範囲を狭めるものと解釈すべきではない。ゆえに、当業者であれば、本開示の十分かつ公正な範囲から逸脱することなく、さまざまな修正を、ここに開示した実施の形態に施せることを理解するであろう。
【0065】
例えば、止め具136を、取付け装置110内にらせん状に配置してもよい。さらには、取付け装置110は、中実の鋳鉄で形成されたものとして説明している。しかし、取付け装置は、ステンレス鋼、インコネル(RTM)またはスーパー二相ステンレス鋼などの、適切に合金化されたステンレス鋼由来の鋼(truly alloyed stainless steel derived steel)を含むがこれに限定されない、異なる材料で形成されていてもよい。
【0066】
くわえて、セントラライザ106およびケーブル保護装置108は、上記実施の形態では、曲げに対する補強材として説明されている。しかし、これらは、曲げに対する補強材でなくてもよい。例えば、ケーブル保護装置108は代わりに、曲げ制限器(bend restrictor)、剛性のチューブ、または、長尺で剛性のツーピースの外殻(例えばUraduct(登録商標))とされていてもよい。
【0067】
他の局面、特徴および利点は、添付の図面および添付の特許請求の範囲を検討することにより、明らかとなるであろう。