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特許7187570コンデンサ及びコンデンサを製造する方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-02
(45)【発行日】2022-12-12
(54)【発明の名称】コンデンサ及びコンデンサを製造する方法
(51)【国際特許分類】
   H01G 9/048 20060101AFI20221205BHJP
   H01G 9/08 20060101ALI20221205BHJP
【FI】
H01G9/048 B
H01G9/08 F
H01G9/048 D
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020551817
(86)(22)【出願日】2019-03-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-08-10
(86)【国際出願番号】 EP2019057625
(87)【国際公開番号】W WO2019185652
(87)【国際公開日】2019-10-03
【審査請求日】2020-11-24
(31)【優先権主張番号】102018107292.9
(32)【優先日】2018-03-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】518379278
【氏名又は名称】テーデーカー エレクトロニクス アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】ウィル,ノルベルト
(72)【発明者】
【氏名】ブエノ デ カマルゴ メロ,ファビオ アウグスト
【審査官】菊地 陽一
(56)【参考文献】
【文献】特開昭59-132117(JP,A)
【文献】特開2011-159518(JP,A)
【文献】特表2017-504165(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第02169695(EP,A1)
【文献】特公昭51-009897(JP,B1)
【文献】実開昭50-137540(JP,U)
【文献】特開2009-231551(JP,A)
【文献】特開平10-055936(JP,A)
【文献】特開2007-335156(JP,A)
【文献】特開2008-098275(JP,A)
【文献】国際公開第2011/040353(WO,A1)
【文献】特開2013-149388(JP,A)
【文献】特開2015-154003(JP,A)
【文献】特開2011-233662(JP,A)
【文献】国際公開第2014/083765(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01G 9/048
H01G 9/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンデンサであって、
カソード箔と、アノード箔と、前記カソード箔及び前記アノード箔の間に配置されたセパレータとを有し、前記カソード箔が前記アノード箔を越えて突出する突出領域を有する巻線を備え、
前記コンデンサは、内部に前記巻線が配置されているハウジングを備え、前記ハウジングは閉鎖された底部と前記底部に対向するハウジング開口とを有し、前記ハウジング開口はカバーによって閉鎖されており、前記カソード箔又は前記アノード箔を接続するつ以上の端子は前記カバーを介してガイドされており、
前記カソード箔の複数の層は、前記突出領域において、バンドルを形成するために配置されており、相互に直接電気的に接続されており、
前記コンデンサは、前記巻線の内側の前記カソード箔に電気的に接続された1つ以上のカソードコンタクトを備え、前記カソードコンタクトは前記突出領域内で前記バンドルに接続されておらず、及び/又は
前記コンデンサは、前記バンドルを前記ハウジングの前記底部に電気的に接続する接続片を備え、
いる、
コンデンサ。
【請求項2】
前記突出領域は、前記カソード箔の切開部を有し、前記切開部は前記カソード箔の複数の隣り合う層を通って延在する
請求項1記載のコンデンサ。
【請求項3】
前記カソード箔の各前記層は、前記バンドル内に配置されている、
請求項1又は2記載のコンデンサ。
【請求項4】
前記カソード箔の複数前記層の一部のみが前記バンドル内に配置されている、
請求項1乃至3いずれか1項記載のコンデンサ。
【請求項5】
複数の前記バンドルは、前記突出領域内に形成されている、
請求項1乃至4いずれか1項記載のコンデンサ。
【請求項6】
前記巻線の内側の前記カソード箔に電気的に接続された少なくとも1つのカソードコンタクトを備え、前記カソードコンタクトは前記突出領域を介して導かれているが、前記突出領域内で前記バンドルに接続されていない、
請求項1乃至5いずれか1項記載のコンデンサ。
【請求項7】
前記巻線内には、前記カソード箔とコンタクトするためのカソードコンタクトが配置されていない
請求項1乃至6いずれか1項記載のコンデンサ。
【請求項8】
前記カソード箔とコンタクトするための1つ以上のカソードコンタクトであって、前記巻線内でカソード箔上に配置されている、前記カソードコンタクトを有し、
前記カソードコンタクトの全てが、前記カソード箔の展開状態において、前記カソード箔の一方の横方向エッジからの距離が、前記カソード箔の他方の横方向エッジからの距離の少なくとも2倍である、
請求項1乃至6いずれか1項記載のコンデンサ。
【請求項9】
複数のアノードコンタクトはハウジングのカバーの外に突出する、
請求項1乃至8いずれか1項記載のコンデンサ。
【請求項10】
複数のカソードコンタクトはハウジングのカバーの外に突出する、
請求項1乃至9いずれか1項記載のコンデンサ。
【請求項11】
前記カソード箔が前記アノード箔とオーバーラップしない、無オーバーラップ領域を有し、
前記無オーバーラップ領域は、前記カソード箔が前記アノード箔とオーバーラップする、オーバーラップ領域に横方向において隣接し、
前記カソード箔とコンタクトするためのカソードコンタクトは前記無オーバーラップ領域内に配置されている、
請求項1乃至10いずれか1項記載のコンデンサ。
【請求項12】
前記無オーバーラップ領域は、前記カソード箔の横方向エッジ上に配置されている、
請求項11記載のコンデンサ。
【請求項13】
前記無オーバーラップ領域は、横方向において2つのオーバーラップ領域の間に配置されている、
請求項12記載のコンデンサ。
【請求項14】
請求項1乃至13いずれか1項記載のコンデンサを製造する方法であって、
A) カソード箔と、アノード箔と、前記カソード箔及び前記アノード箔の間に配置されるセパレータとを有する巻線を提供するステップであって、
前記巻線は、前記カソード箔(3)が前記アノード箔を越えて突出する突出領域を有する、ステップと、
B) 前記突出領域において前記カソード箔をカットするステップと、
C) 前記突出領域内で前記カソード箔の複数の層を束ね、前記層間の電気的コンタクトを構築するステップと、
を含む方法。
【請求項15】
前記切開部のために、可撓性ストリップが前記カソード箔に存在し、
前記可撓性ストリップは前記カソード箔の残りの部分から巻回軸の方向に分離しているが、前記カソード箔の残りの部分にそれらの横方向端部で接続されている、
請求項2記載のコンデンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンデンサ、特に電解コンデンサに関する。コンデンサは、アノード箔、カソード箔及びセパレータを有する巻線を備えている。この種類のコンデンサは、例えば、EP2169695Bに記載されている。コンデンサは、例えば、液体の電解質だけを有する電解コンデンサとして、固体のポリマー電解質を有するポリマー電解コンデンサとして、又は、固体ポリマー電解質と液体の電解質とを有するハイブリッドポリマー電解コンデンサとして設計されることができる。
【背景技術】
【0002】
直径が大きく、したがって電極経路が長いコンデンサでは、交流電流の場合に、電極経路内で重大な電気損失が発生する可能性がある。特に、薄いカソード箔は、これらの損失の大部分を占める。この場合、カソード箔のESR(「equivalent series resistance」等価直列抵抗又は代替直列抵抗)がコンデンサの全ESRを支配し、交流通電容量を制限することができる。例えば、これは、ハイブリッドポリマーコンデンサの場合既に12mmの直径から、及びラジアル設計の低電圧電解コンデンサの場合18mmから、制限要因となり得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】欧州特許庁 特許登録第2169695号公報
【発明の概要】
【0004】
本発明の課題は、改良されたコンデンサ及びコンデンサを製造する方法を提供することにある。特に、本発明の特定の実施形態は、減少したESR及び/又はESL(「equivalent series inductance」等価直列インダクタンス又は代替直列抵抗)を有することができる。
【0005】
本発明の第1態様によれば、コンデンサは、カソード箔、アノード箔、及びそれらの間に配置されるセパレータを有する巻線を備える。巻線は端面端部において(an einem stirnseitigen Ende)カソード箔がアノード箔を越えて突設する突出領域を有する。突出領域では、カソード箔の複数の層は、バンドルを形成するのために配置されており、そこで相互に直接電気的に接続されている。半径方向において上下に(uebereinander)配置されたそれぞれの箔の領域が、層と称される。突出領域において、カソード箔は、特にセパレータも越えて突出しており、したがって、カソード箔の隣り合う層の間にはほかのさらなる層は配置されない。
【0006】
カソード箔は、例えば、コーティングを有するアルミニウム箔を含む。コーティングは、特に、誘電体である。コーティングは、例えば、酸化アルミニウム、チタン酸化物又は炭素の層である。カソード箔は、その面積全体にわたってコーティングを有することができる。コーティングは、特に、面積全体にわたって均一に形成されている。特に、カソード箔は、コーティングを備えていない領域を有しない。この場合、箔を裁断する際に生じる切断エッジだけがコーティングを有さない。同様に、アノード箔は、アルミニウム箔を含むことができる。アノード箔も、コーティングを有することができる。
【0007】
カソード箔の層の直接的な接続により、電流のための短い経路が利用可能になる。特に、電流はバンドル内を半径方向に流れることができ、したがって、電流は、巻き回された箔に沿って長い螺旋状の経路をとる必要がない。したがって、カソード箔の有効経路抵抗を低減することができ、これは、特に、大きな直径を有するコンデンサに対して、損失をかなり低減させる。したがって、ESRを減少させることができ、交流通電容量を増加させることができる。
【0008】
カソード箔の束ねられた層は、特に、例えば、レーザ溶接又は電気スポット溶接によって互いに溶接される。あるいは、電気的接続は、機械的処理、例えば、層をかしめること(Quetschen)によって行うこともできる。
【0009】
層の電気的接続は、例えば、バンドル内の接点に存在する。この接点は、特に、多数の層間で半径方向に電流が流れることができる局所的な領域である。したがって、特に、巻き回されたカソード箔に沿ってカソード接続部から遠く離れた1つの層からの電流経路をかなり短くすることができる。この場合、電流フローは、半径方向において複数の層にわたって、カソード接続部への最短の経路を有するバンドル内の層へと行われることができる。。カソード箔のコンタクト接続の方法(Kontaktierungsart)に応じて、例えば巻線の外層に短い電流経路を提供することができる。
【0010】
カソード箔の層のバンドルの形成をより容易にするために、突出領域におけるカソード箔の層の機械的柔軟性を増大させることが有利である。したがって、結束中に巻線の残りの部分が機械的な変形によって損傷するのを防ぐことができる。一実施形態では、巻線は、突出領域においてカソード箔に切開部を有する。この場合、切開部は、カソード箔の半径方向に隣り合う複数の層を貫通する。特に、切開部は、バンドルの一部である層の全てを通って延在する。切開部は、例えば、巻回軸に対して垂直に延在する。
【0011】
切開部を介して、束ねられるべき領域の機械的柔軟性が増加し、したがって、これらの領域の変形は巻線の活性領域の変形を導かない。したがって、バンドル内に位置するカソード箔のこれらの領域は、カソード箔の残りの部分から部分的に機械的に切り離される。例えば、切開部のために、カソード箔には可撓性ストリップがあり、この可撓性ストリップは、巻回方向においてカソード箔の残りの部分から分離されるが、それらの横方向端部においてカソード箔の残りの部分に接続される。
【0012】
一実施形態では、カソード箔の各層、すなわち、最外層から巻回中心における最内層までの層は、バンドル内に配置され、互いに直接電気的に接続される。しかしながら、バンドルを形成するために層の一部のみを配置し、互いに直接電気的に接続することもまた十分であり得る。例えば、バンドル内には外側の層のみが存在する。
【0013】
一実施形態では、突出領域は、複数のこの種のバンドルを有する。例えば、巻回軸上の平面図では、1つのバンドルは巻回中心に対して一方の側に配置され、さらなるバンドルは巻回中心に対して反対側に配置される。また、巻回中心に関して共通する側に複数のバンドルを設けることもできる。これは、大きな直径を有するコンデンサに対して有利であり得る。さらに、複数のバンドルを形成することにより、接続に冗長性を持たせることができ、信頼性を高めることができる。
【0014】
カソード層が束ねられたコンデンサは、多数の設計に有利である。コンデンサは、特に、カップ状の形態であり得るハウジングを有する。この場合、ハウジングは、ハウジング底部と、ハウジング壁と、ハウジング開口とを有する。ハウジング開口は、例えば、カバーによって閉鎖される。
【0015】
一実施形態では、カソード箔のコンタクトのためのカソード接続部と、アノード箔のコンタクトのためのアノード接続部とは、カバーを介してガイドされる。この設計は、ラジアル設計とも称される。
【0016】
さらなる実施形態において、カソード箔は、ハウジングを介してカソード接続部に接続されている。カソード接続部は、カップ底部内の中央で垂直に配置されたワイヤとして設計されることができる。この設計は、軸方向設計とも称される。付加的又は代替的なカソード接続部は、例えば、ハウジング開口部の面においてハウジングに接続される、いわゆる半田スター又は挿入スターを含む。接続部は、例えば、いわゆる「パドルタブ(paddle tabs)」の形態で設計されることができ、この場合、接続部は、外側から、カバーを介して、直接巻線に入り、対応する箔とコンタクトする。
【0017】
また、接続部は、例えば、ハウジングの内部において、別個のコンタクトに接続されることができる。 コンタクトは、例えば、ストリップ状に設計され、相応の箔のコンタクトのために巻線内に導かれる。コンタクトは、巻線と、接続部への接続との間で湾曲した形状(gebogene Form)を有する。特に、半田付け可能なクランプ接続(スナップイン)又は「半田爪コンデンサ」又はねじ接続であり得る。この種の複数のコンタクトは、1つの接続部に接続されることができ、「マルチタブ」コンタクトとも称される。
【0018】
一実施形態では、カソード箔のバンドルは、ハウジングに電気的に接続される。特に、接続は、バンドルに直接電気的に接続され、ハウジング、特にハウジング底部に電気的に接続された接続片を介して行うことができる。例えば、電気接続は、溶接によって構築されることができる。
【0019】
一実施形態では、巻線内には、カソード箔とのコンタクトのためのカソードコンタクトが配置されていない。ここで意味するのは、特に、巻線内においてカソード箔に溶接されたカソードコンタクトである。例えば、電気的接触接続は、カソード箔のバンドルを介してのみ行われる。これは、スイッチング耐性(Schaltfestigkeit)のさらなる増加に寄与し得る。
【0020】
一実施形態では、コンデンサは、ハウジングのカバーから突出する複数のアノード接続部を有する。例えば、アノード接続は、いわゆるピンとして設計される。特に、カソード箔と接触させるための、通常存在する接続部は、さらなるアノード接続部として、機能を変えて利用することができる。その際、接続部は、例えば、パドルタブの形態の接続部である。
【0021】
この場合、カソード接続部は、例えば、ハウジングを介して行うことができる。複数のアノード接続部を使用することにより、アノード箔の経路抵抗(ESR)をかなり低減することができる。さらに、電流を分割すること(die Aufteilung des Stromes)により、磁場密度、したがってインダクタンス(ESL)を減少させることができる。これは、特に、比較的大きな直径を有するコンデンサの合理的な使用(sinnvolle Nutzung)も可能にする。
【0022】
一実施形態では、カソードコンタクトは、展開されたカソード箔の平面図において、カソード箔上で横方向の中央に位置していない。カソードコンタクトは、経路抵抗を低く維持するために、通常、中央に配置される。突出領域においてカソード箔を結束することにより、カソードコンタクトを巻線内に配置する際の自由度が増大する。したがって、例えば、カソード箔の側方エッジ近傍にカソードコンタクトを配置することが可能であり、したがって、カソードコンタクトは、巻線のはるか外側又ははるか内側に(weit aussen oder weit innen)配置される。この場合、経路抵抗を減少させるために、巻線の中央領域にさらにカソードコンタクトを配置する必要はない。
【0023】
例えば、カソードコンタクトは、展開されたカソード箔の一方の側方エッジからの少なくとも2倍、他方の側方エッジから離れるように、配置される。特に、他の半径方向エッジのより近くに位置する、さらなるカソードコンタクトも存在しない。したがって、全てのカソードコンタクトは、例えば、カソード箔の一方の側方エッジからよりも少なくとも2倍、他方の側方エッジから離れている。
【0024】
一実施形態において、複数のカソード接続部はハウジングのカバーの外に突出する。この場合、カソード接続部は、例えば、巻線内でカソード箔に接続されたカソードコンタクトに接続される。特に、カソード箔を結束することによって経路抵抗の減少が達成されるので、カソードコンタクトは、巻線内において半径方向のはるか外側に配置されることもできる。したがって、全体として、ハウジングのカバーから突出する2つ以上の接続部を形成することが可能である。これは、電流の分割を可能にし、インダクタンスを減少させる。
【0025】
本発明のさらなる態様によれば、コンデンサは、カソード箔、アノード箔、及びそれらの間に配置されるセパレータを有する巻線を備える。複数の箔は、カソード箔がアノード箔とオーバーラップしない無オーバーラップ領域を有する。換言すれば、展開された箔の平面図で見て、無オーバーラップ領域では、カソード箔は、アノード箔によって覆われておらず、アノード箔を覆っていない。無オーバーラップ領域は、カソード箔がアノード箔とオーバーラップするオーバーラップ領域と横方向において隣り合っている。横方向とは、この場合、巻回軸に対して垂直な、展開状態の箔に沿った方向である。
【0026】
さらなる態様によるコンデンサは、突出領域でのカソード箔の結束部を有する上述のコンデンサの機能的及び構造的特性の全てを有することができる。しかしながら、突出領域においてカソード箔を結束しない、さらなる態様にしたがってコンデンサを設計することも考えられる。
【0027】
コンデンサはカソード箔とコンタクトするためのカソードコンタクトを有し、カソードコンタクトは無オーバーラップ領域に配置される。特に、カソードコンタクトは、カソード箔上の無オーバーラップ領域にのみ配置されている。このようにして、電位差の形成とその結果生じる補償電流を防止又は低減することができる。この種の電位差は、特にカソードコンタクトの下部に形成され得るギャップによって生じることが多い。セパレータの領域がカソードコンタクトの下に位置し、アノード箔がセパレータに隣接していると、セパレータの局所的な電解質電位がアノード箔に支配され、電圧変化の際に不所望な電位差が生じる可能性がある。
【0028】
一実施形態において、無オーバーラップ領域は、カソード箔の横方向エッジに配置されている。横方向エッジは、巻線において巻回中心に隣接することができるか、又は巻線の側面又は周面(Seitenflaeche)に配置されることができる。カソード箔の横方向エッジ上に無オーバーラップ領域を形成するには、わずかな追加の労力(Aufwand)を必要とするだけである。また、2つの横方向エッジに無オーバーラップ領域を設けることができ、その上に配置されたコンタクト要素を設けることもできる。
【0029】
この種の実施形態は、カソード箔を突出領域において結束する場合に特に有利である。なぜなら、結束することによって、カソード今タウトを横方向エッジに配置する際にも経路抵抗を低く維持することができるからである。
【0030】
一実施形態では、無オーバーラップ領域は、横方向において2つのオーバーラップ領域の間に配置されている。したがって、展開状態の箔を見るとき、無オーバーラップ領域の両側に少なくとも1つのオーバーラップ領域が存在する。無オーバーラップ領域は、特に、カソード箔の横方向中央領域であり得る。したがって、カソードコンタクトも中央に配置され、経路抵抗は増加しない。
【0031】
アノード箔は、2つの別個の部分領域に分解されることができ、それらの間に無オーバーラップ領域がある。部分領域は互いに分離されているので、2つの部分領域は、例えば、それぞれ1つのアノードコンタクトによって、別々に電気的にコンタクトすることが必要である。
【0032】
アノード箔はまた、アノード箔の分離を構成しない凹部を有することができる。特に、凹部は巻線の一方の端面端部から(von einem stirnseitigen Ende)対向する端面端部まで(zum gegenueberliegenden stirnseitigen Ende)達しない。この場合、アノード箔のコンタクトのために単一のアノードコンタクトは充分である。経路抵抗を低減するために、複数のアノードコンタクトが設けられることもできる。
【0033】
本発明のさらなる態様によれば、コンデンサを製造するための方法が提供される。前記コンデンサは、特に、上述のコンデンサであり得る。
【0034】
この方法によれば、アノード箔と、カソード箔と、その間に配置されたセパレータとを有する巻線が提供される。巻線は、カソード箔がアノード箔を越えて突出する突出領域を有する。突出領域は、特に、巻線の端面(stirnseitigen)領域である。
【0035】
巻線の突出領域のカソード箔に切り込みを入れる又は切開部がもたらされる(ein Einschnitt ... eingebracht)。切開は、例えば、ブレード又は類似の切断ツールを用いて行われる。特に、切開部は、巻回軸に垂直に延在することができる。この場合、切開部は、カソード箔の複数の層を介して延在することができる。その後、カソード箔の複数の層が、切開部と巻線の端面側との間の領域内でまとめられる。特に、バンドルが形成される。例えば、この目的のために、一組のペンチ又は別のクランプツールが使用される。切開部のために、カソード箔の層の機械的柔軟性はこの領域で増大し、したがって、巻線の機能領域への損傷のリスクなしに変形が行われることができる。
【0036】
電気的コンタクトは、まとめられた層間で構築される。これは、例えば、溶接プロセス又は機械的プロセスによって行われる。特に、この場合、接点に直接電気的接続が構築され、したがって、例えば、層間における半径方向の電流フローが生じ得る。
【0037】
本方法のさらなる実施形態は、上述のコンデンサに関連して開示される。特に、上述したコンデンサの全ての特徴は、方法の観点の特性として開示されている。さらに、コンデンサは、上述の方法によって製造することができ、本方法に関連して説明した構造的及び機能的特性の全てを有する。
【0038】
ここで特定される対象の説明は、個々の具体的な実施形態に限定されない。むしろ、個々の実施形態の特徴は、技術的に合理的である限り、互いに組み合わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
以下では、本明細書に記載される対象を、模式的な例示的実施形態を参照して、詳細に説明する。
図1図1は、コンデンサの一実施形態を斜視側面図で示す図である。
図2図2は、コンデンサのさらなる実施形態を斜視側面図で示す図である。
図3A図3A及び3Bは、図1のコンデンサのカソード箔を展開された状態で、模式的な電流フローと共に示す図である。
図3B図3A及び3Bは、図1のコンデンサのカソード箔を展開された状態で、模式的な電流フローと共に示す図である。
図4A図4A乃至4Cは、コンデンサの製造方法のステップを示す図である。
図4B図4A乃至4Cは、コンデンサの製造方法のステップを示す図である。
図4C図4A乃至4Cは、コンデンサの製造方法のステップを示す図である。
図5A図5A乃至5Cは、コンデンサのさらなる実施形態を長手方向断面で、模式的な電流フローと共に及び長手方向断面の詳細と共に示す図である。
図5B図5A乃至5Cは、コンデンサのさらなる実施形態を長手方向断面で、模式的な電流フローと共に及び長手方向断面の詳細と共に示す図である。
図5C図5A乃至5Cは、コンデンサのさらなる実施形態を長手方向断面で、模式的な電流フローと共に及び長手方向断面の詳細と共に示す図である。
図6図6は、コンデンサのさらなる実施形態の詳細を長手方向断面で示す図である。
図7図7は、コンデンサのさらなる実施形態を、模式的な電流フローと共に斜視側面図で示す図である。
図8図8は、コンデンサの詳細を横断面図で示す図である。
図9図9は、さらなるコンデンサの詳細を横断面図で示す図である。
図10A図10A乃至10Cは、コンデンサのさらなる実施形態の箔を、展開された状態の側面図、展開された状態の斜視図、及び巻き回された形態の横断面を示す図である。
図10B図10A乃至10Cは、コンデンサのさらなる実施形態の箔を、展開された状態の側面図、展開された状態の斜視図、及び巻き回された形態の横断面を示す図である。
図10C図10A乃至10Cは、コンデンサのさらなる実施形態の箔を、展開された状態の側面図、展開された状態の斜視図、及び巻き回された形態の横断面を示す図である。
図11A図11A及び図11Bは、コンデンサのさらなる実施形態を、模式的な電流フローと共に長手方向断面図で示す図である。
図11B図11A及び図11Bは、コンデンサのさらなる実施形態を、模式的な電流フローと共に長手方向断面図で示す図である。
図12A図12A乃至図12Cは、コンデンサのさらなる実施形態の箔を、展開された状態の側面図、展開された状態の斜視図、及び巻き回された形態の横断面を示す図である。
図12B図12A乃至図12Cは、コンデンサのさらなる実施形態の箔を、展開された状態の側面図、展開された状態の斜視図、及び巻き回された形態の横断面を示す図である。
図12C図12A乃至図12Cは、コンデンサのさらなる実施形態の箔を、展開された状態の側面図、展開された状態の斜視図、及び巻き回された形態の横断面を示す図である。
図13図13は、コンデンサのさらなる実施形態の展開された状態の箔を斜視図で示す図である。
図14A図14A及び図14Bは、コンデンサのさらなる実施形態を、模式的な電流フローと共に長手方向断面図で示す図である。
図14B図14A及び図14Bは、コンデンサのさらなる実施形態を、模式的な電流フローと共に長手方向断面図で示す図である。
図15A図15A及び図15Bは、カソードコンタクトの接続前及び後の、コンデンサのさらなる実施形態を側面図で示す図である。
図15B図15A及び図15Bは、カソードコンタクトの接続前及び後の、コンデンサのさらなる実施形態を側面図で示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下の図において、様々な実施形態の、機能又は構造に関して対応する部分は、好ましくは、同じ参照記号によって示される。
【0041】
図1は、カソード箔3、アノード箔4、及びそれらの間に配置されたセパレータ5を含む巻線2を有するコンデンサ1の一実施形態を示す(図5A参照)。
【0042】
コンデンサ1は、特に、電解コンデンサ、例えばアルミニウム電解コンデンサであることができる。この場合、セパレータ5は、電解液を含浸される。電解コンデンサは、例えば、ポリマー電解コンデンサ又はハイブリッドポリマー電解コンデンサであることができる。
【0043】
カソード箔3、アノード箔4及びセパレータ5は、カソード箔3とアノード箔4との間にセパレータ5がスペーサとして両側に存在するように配置される。巻線2の中心には巻回孔51があり、その周りに箔3、4、5が巻回されている。
【0044】
巻線2は、カソード箔3がアノード箔4及びセパレータ5を越えて突出する突出領域6を有する。したがって、カソード箔3のみが突出領域6に位置する。突出領域6は、巻線1の一方の端面側端部(einem stirnseitigen Ende)に位置する。
【0045】
カソード箔3の電気的接続のための接続部7と、アノード箔の電気的接続のためのさらなる接続部8とが、反対側の端部に設けられている。接続部は、いわゆる「パドルタブ」と呼ばれ、外部接続部7、8が巻線2内に導かれ、カソード接点30又はアノード接点36としてカソード箔3又はアノード箔4に電気的に接続される。ここで、接続部7、8は、コンデンサ1の同一の端面(Stirnseite)に配置される。
【0046】
カソード箔3には、突出領域6に少なくとも1つの切開部10がある。切開部10、11はまた、異なる位置、例えば、ここに示すように、巻線2の反対側に切開部11を設けることもできる。切開部10、11は、それぞれ、カソード箔3の1つ以上の隣接する層9を貫通して延在している。
【0047】
切開部10が巻線2の全周に延在するわけではないので、層9は、カソード箔3の残りの部分から完全には切断されない。例えば、切開部10、11は、巻回軸14に対して60°から140°、特に100°の角度範囲に延在する。例えば、切開部は、端面側巻線端部から約1mm離れた位置にある。切開は、ブレード又は別の切断ツールによって行うことができる。
【0048】
切開部10、11により、層9の切断された部分領域は機械的に可撓性である。特に、可撓性ストリップ12、13は、個々の層9に形成される。その結果、巻線2の機能領域にさらなる機械的損傷を与えることなく、層9がバンドル40、41にまとめられることが可能であり、それらが接触点14又は15において互いに対向して配置されるようにすることができる。
【0049】
ストリップ12、13は、それぞれの接点14、15において互いに直接電気的にも接続されている。このように接点14,15は「バイパス」を形成するので、半径方向外側にある層16からの電流フローは、巻線2の巻線を介して巻線方向には行われず、電流フローがカソードコンタクト30へ半径方向において直接発生することができる。したがって、各接点14、15は、複数の層9の中央接点接続を構成し、以下のテキストでは中央接点とも呼ばれる。各層9に対する1つの接点14は、ここでは十分であり得る。2つの接点が信頼性の向上につながる。
【0050】
このようにして、カソード箔3の経路抵抗、したがってESRが大幅に減少する。したがって、比較的大きな直径を有するコンデンサ、例えば、それぞれの設計のための通常のものより50%大きい直径を有するコンデンサを、便宜的に使用することが可能である。
【0051】
最も大きな効果は、カソード箔3の1巻き毎(pro Windung)に単一の切開部10で既に達成されている。1つ以上のさらなる切開部11は、コンタクトの信頼性の増加をもたらす。ここでは、2つより多い切開部10、11も意味がある。
【0052】
この場合、切開部10、11は、カソード箔3の層9の全てを通過するのではなく、むしろ最外層16から別の層9を介して延在するが、最内層17までは延在しない。この場合、最内層17は、巻回軸100に最も近い位置にある層である。接点12、13は、切開部10、11が設けられた層9のみを接続する。
【0053】
接点14、15における電気接続は、例えば、溶接接続であり得る。ここで使用される技術には、特に、レーザ溶接及び電気スポット溶接が含まれる。切開部10、11によって敏感なセパレータ領域から熱的によく分離された突出領域6において溶接接続が行われるので、溶接プロセス中の熱負荷がセパレータ5を損傷することはない。代替的に又は付加的に、電気的接続は、機械的処理、例えば、変形又は半径方向のピンチングによって行うこともできる。
【0054】
図2は、突出領域6において直接電気的に接続されたカソード箔3の層9を有するコンデンサ1のさらなる実施形態を示している。
【0055】
図1の設計とは対照的に、この場合の切開部10、11は、特に最外層16から最内層17に至るまで、すべての層9を貫通している。同様に、全ての層9は、接点14、15において互いに直接電気的にも接続されている。
【0056】
一部の層9、特に外側の層において、層9を結束するために柔軟性が十分である場合には、切開部10,11が全ての層9を通過しないことも可能であるが、接点14,15が全ての層9に影響を与える。
【0057】
図1とのさらなる差異は、コンタクトの形態である。巻線2内においてカソード箔3又はアノード箔4と電気的に接続されている複数のカソードコンタクト30及びアノードコンタクト36が形成されている。カソードコンタクト30及びアノードコンタクト36はストリップとして設計される。複数のカソードコンタクト30は共通のカソード接続部(図示せず)に接続され、複数のアノードコンタクト36は共通のアノード接続部(図示せず)に接続される。
【0058】
図1及び図2の実施形態は、接続部7、8が巻線2の同じ側に配置される、いわゆるラジアル設計を有する。高導電性固体電解質を有するハイブリッドポリマー技術を用いたこの設計のコンデンサ1では、10~12mmの直径ではカソード箔抵抗が既に支配的であり、したがって、このサイズ範囲において、接点におけるカソード層の直接的な接続によって、すでにESRのかなりの低減が達成され得る。
【0059】
図3Aは、図1からのコンデンサ1のカソード箔3の展開された又は巻き回されていない形態を示す。図3Bは、最外層16から接続部7への電流フロー18の概略図を示す。第1の切開部10は、第2の切開部11と交互に設けられている。また、接点14、15も交互に設けられている。
【0060】
接点14,15を介した層の直接接続によって、低抵抗の電流経路が生成されるので、接点14,15を介して直接半径方向内方への電流フロー18を生成することができる。特に、電流フロー18は、最外層16からカソードコンタクト30が配置されている層に向かって行われる。つまり、巻回中心から遠く離れた巻線を流れた後の交流電流は、「バイパス」を経由して端子7へと低抵抗で逆流する。
【0061】
切開部10、11及び接点14、15は、最内層17まで延在しない。この場合、最内層17は、巻回中心に最も近い位置にある層である。カソードコンタクト30は、カソード箔3上で横方向の中央に配置されておらず、むしろ、カソード箔3の巻回中心エッジの反対側のエッジよりも、巻回中心エッジに近いので、ESRの減少における最大の効果は、長い電流経路のために、最外層16及びそれに隣接する層のバイパスによって達成される。カソードコンタクト30の非中心配置は、ラジアル設計を有するコンデンサ1の場合、コンデンサのハウジングから十分な距離で端子7を配置することができるようにするために、有利であり得る。
【0062】
したがって、カソード箔3の外層9のみが、接点14、15を介して互いに接続されれば十分であり得る。例えば、これは、直径が18~20mmのコンデンサには十分であり得る。例えば、直径が20mmを超えるような大きな直径を有するコンデンサの場合、少なくとも1つの接点14、15によって全ての層9を接続することが有利であり得る。
【0063】
図2による複数のカソードコンタクト30によるコンタクトの場合、カソードコンタクト30はカソード箔3上の異なる位置に配置される。例えば、巻線2内のカソードコンタクト30は、巻回中心に対して同じ側に一様な角度位置及び異なる半径方向位置に配置される。この場合、カソードコンタクトに最も近接して配置された層9から複数の個別バンドルを形成することが有意であり得る。例えば、各個別バンドルにおいて、1つのカソードコンタクト30が個別バンドルの中心に配置される。したがって、各カソードコンタクトに対して1つのカソードバンドルが存在することができる。これは、特に、非常に厚いコンタクト巻線に対して有利であり得る。
【0064】
図4A乃至4Cは、コンデンサ1、例えば図1からのコンデンサ1を製造する際のプロセスステップを示す。
【0065】
図4Aによれば、カソード箔3、アノード箔4(図5A参照)及びセパレータ5を有する巻線2が用意される。巻線2は、カソード箔3がアノード箔4及びセパレータ5を越えて突出する突出領域6を有する。コンデンサ1は、電気的接続のための接続部7、8を有する。
【0066】
コンデンサ1では、図4Bに示すように、突出領域6に外側から切開部10が入れられる(eingefuegt)。切開部10は、切断ツール19、例えばブレードによってもたらされる。切開部10は、カソード箔3の複数の隣り合う層9の部分領域を貫通する。
【0067】
そして、図4Cに模式的に示すように、切開部10を有する層9は、一点で押し合わされ、このようにして束ねられる。結束(Buendelung)は、例えば、ペンチ20によって行われる。また、同じプロセスステップにおいて、層9は、バンドル40内で互いに電気的に接続されることができる。ここでは、例えば、ペンチ20を用いてスポット溶接を行う。
【0068】
直接的な電気的接続のための他の方法、例えば、他の溶接プロセス又は機械的変形による他のコンタクト接続をここで用いることもできる。
【0069】
結束及び電気的コンタクト接続のプロセスステップの後に又は前であっても、1つ以上のさらなる接点及び切開部、例えば、図1に示されるように、巻線2の反対側の接点15及び切開部11などを切り込むことができる。
【0070】
図5Aは、コンデンサ1のさらなる実施形態を示す。コンデンサ1の巻線2は、図1に示すように設計されている。コンデンサ1は、図1に対して巻線2が巻回軸100を中心に90°回転した状態の縦断面で示されている。
【0071】
内部に巻線2が配置されたハウジング21が示されている。ハウジング21は、特に、底部23及びハウジング開口28を有するカップ状に設計される。ハウジング開口28は、カバー29によって閉鎖される。カバーは、ゴム栓及びハードペーパーディスクであってもよい。
【0072】
突出領域6において、相対向する側に、カソード箔3の層9に切開部10、11が形成される。結果として形成される可動ストリップ12、13は束ねられ、2つの接点14、15において電気的に接続される。
【0073】
図1及び図2のコンデンサ1とは対照的に、この場合、カソード箔3は、巻線2内部でカソード箔3とコンタクトするカソードコンタクト30を介してコンタクトしない。その代わり、バンドル40、41の接点14、15は、ハウジング21の底部23に電気的に接続されているので、電流はハウジング21に導かれる。これにより、電流の低インダクタンスガイドが可能となり、ESLが低下する。
【0074】
例えば、カソード箔3のバンドル40、41は接続片24に接続され、接続片24はハウジングの底部23に電気的に接続される。接続片24は、例えばクランプ25として各バンドル40、41を囲み、ウェブ26を介してバンドル40、41を接続する。
【0075】
クランプ25は、バンドル40、41に電気的に接続されており、特に溶接されている。ウェブ26は、ハウジング21の底部23に電気的に接続されており、特に溶接されている。そのために、底部23は、内側に向かう隆起部27を有する。接続片24は、例えばストリップ状である。接続片24は、例えば金属、特にアルミニウムを含む。底部23への接続は、例えば、ハウジング開口及び中央巻回孔を介して導かれる溶接電極によって生成されることができる。
【0076】
したがって、接点14、15を有するバンドル40、41は、カソード箔3の層9の内部電気接続だけでなく、接続片24を介した底部23への電気接続にも役立つ。
【0077】
したがって、電流は、カソード箔3からハウジング21を介して導かれる。接続部7は、電気的接続のために、例えば外部から、ハウジング21に電気的に接続される。特に、いわゆる「半田スター(Loetstern)」、すなわち、ハウジングの外側に固定される環状プレートであることができる。また、前記接続部は、ハウジング21内、特にフランジ(Boerdelung)に固定されるいわゆる「挿入スター(Einlegestern)」であることができる。挿入スターは、ハウジング21に溶接されることができる。
【0078】
このようにして、アノード箔4の電気的コンタクトために、ハウジング開口28から異なる位置に突出し、カバー29を通って導かれる2つの接続部8を使用することができる。例えば、接続部8は、巻回中心に対して互いに対向して配置されている。接続部8は、巻回軸100まで異なる距離にあることができる。したがって、接続部のうちの1つは、より巻回軸100に近い位置にあるアノード箔4の領域のコンタクトのために用いられることができ、他の接続部は、より巻回軸100から離れた位置にあるアノード箔4の領域のコンタクトのために用いられることができる。接続部7、8は、プリント回路基板に接続可能である。
【0079】
図5Bは、図5Aからのコンデンサ1における電流フロー18を模式的に示す。図5Cは、バンドル40、41から接続片24を介してハウジング21の底部23への電流フロー18を模式的に示す。
【0080】
図5A及び図5Bから分かるように、巻線2は非対称に構成され、したがって、アノードコンタクト36は異なる半径方向位置に配置される。非対称の構成は、より大きなハウジング21を必要とする。例えば、非対称カバー29及び非対称接続部8のような適切な手段により、巻線2をハウジング21内に対称的に配置することもできるので、拡大ハウジング21を必要としない。
【0081】
図5A図5Cに示すコンデンサ1の場合、カソード箔3のコンタクトのための接続部7と、アノード箔4のコンタクトのための2つの接続部が、コンデンサ1の同じ端面(Stirnseite)に配置されている。アノード接続部8はハウジング21の開口28内に達し、巻線2内部でアノード箔4に接続される。したがって、コンデンサ1の二重プラスコンタクト接続(Doppel-Pluskontaktierung)が得られる。
【0082】
通常の場合、これは、空間要件の増加のために、図示されたラジアル設計のコンデンサ1に対しては不可能である。しかしながら、ここに示されているコンデンサ1の場合、カソード接続部7は、開口28を介してハウジング21に挿入されないので、この空間は、アノード箔4のさらなる接続部8に使用することができる。特に、アノード箔4の二重コンタクト接続のために、例えばパドルタブの形態の2つのレギュラー端子を使用することができる。
【0083】
この二重プラスコンタクト接続は、特に、例えば直径18mm以上の大きな直径を有するコンデンサ1を、大交流電流の用途で使用することを可能にする。二重プラスコンタクト接続により、アノード箔の経路抵抗をかなり低減できる。これにより、ESRの低下をもたらす。例えば、直径>25mmのコンデンサの場合、カソード箔及びアノード箔の経路抵抗がESRを支配する。カソード箔の経路抵抗が接点14、15によって低減された場合には、アノード箔の経路抵抗のみが依然として支配的であり、したがって、ここでの二重プラスコンタクトによって大きな効果を達成することができる。例えばアノード接続部8の数を2倍にすることによって、経路抵抗を4分の1に低減することができる。
【0084】
図6は、バンドル40、42内に配置されたストリップ12、13のハウジング21の底部23とのコンタクトための接続片24の代替的実施形態を示す。ここで、接続片24は、クランプ25を有しておらず、それぞれ、バンドル40、42の片側のみに固定されている。
【0085】
図7は、コンデンサのさらなる実施形態を、模式的な電流フロー18と共に示す図である。
【0086】
図5A図5Cのコンデンサとは対照的に、ストリップ状アノードコンタクト36を有する設計がここに示されており、ここでは、1つのアノード接続部8とのコンタクトのための複数のアノードコンタクト36がそれぞれ形成されている。例えば、半田爪端子やねじ端子などである。
【0087】
例えば、それぞれ3つのアノードコンタクト36が1つの端子に接続され、したがって、合計6個のアノードコンタクト36がアノード箔4のコンタクトのために設計されている。
また、カソード箔3のコンタクト(マイナスコンタクト)は、ハウジングの底部を介して行われる。
【0088】
図8を参照して、コンデンサ1におけるさらなる問題点について説明する。コンデンサは、電解コンデンサである。コンデンサの詳細が横断面図で示されている。コンデンサ1は、例えば、上述の接点14、15を有する。このコンデンサは、例えば、図1のコンデンサ1である。コンデンサ1は、接点14、15を有さないこともできる。この場合、コンデンサ1は、例えば、図4Aに従って設計される。
【0089】
ここでは、カソード箔3の電気的コンタクトのためのカソードコンタクト30の配置を示す。カソードコンタクト30は、カソード箔3とセパレータ5との間に配置される。カソードコンタクト30は、特にストリップの形態で、特に金属ストリップとして設計される。さらに、アノード箔4の2つの層31と、さらなるセパレータ5とが示されている。セパレータ5は、例えば紙で構成され、液体電解質32を含浸されている。
【0090】
カソードコンタクト30及びカソード箔3は、湾曲部34を有し、したがって、トンネルの形態のギャップ33がカソードコンタクト30の下方に形成される。湾曲部は、例えば、カソードコンタクト30を冷間溶接することによって形成される。さらに、セパレータ5とカソード箔3との間、又はセパレータ5とカソードコンタクト30との間には、さらなるギャップ33が存在し得る。対照的に、アノード箔4は、セパレータ5に広範囲で隣接している。
【0091】
この場合、コンデンサ1は、2つの異なるエージング状態で示されている。破線の中心線の左側には、コンデンサ1は、ギャップ33を充分に満たすために足りる電解質32が存在する新しい状態で示されている。したがって、セパレータ5の大きな領域がカソード箔3と電気的にコンタクトしている。
【0092】
破線の右側では、コンデンサ1は既に古く、ギャップ33は十分に電解質32で満たされていない。したがって、カソード箔3又はカソードコンタクト30とセパレータ5との間に空洞(Hohlraum)が形成される。これらの臨界点は十字によって示される。この種の点は、特に、カソードコンタクト30の下のトンネル状ギャップ33に位置する。
【0093】
カソードコンタクト30は粗面化されていないので、低い固有表面容量(spezifische Oberflaechen-Kapazitaet)しか有さず、したがって、アノード箔4と比較して、セパレータ電位又は電解質電位への影響は小さい。したがって、カソードコンタクト30は、電解質32をカソード電位に限定された範囲だけしか保持することができない。したがって、カソードコンタクト30の湾曲部の下のセパレータ5の領域は、アノード箔4によって支配される。急激な大きな電圧変化の場合には、セパレータ5のこれらの領域の電解質電位も変化する。アノード箔4によって支配される領域とは対照的に、カソード箔3とコンタクトしている電解質領域は、ほぼ一定の電位を有する。これらの電位差は、場合によってはコンデンサ1を部分的に危険に変質させる補償電流を発生させる。
【0094】
特に、アプリケーションのスイッチング負荷が高い場合には、コンデンサ1が破裂したり、腐食したり、堆積物が形成されたりして短絡につながる可能性がある。特に、カソード箔3の下方の空洞内のセパレータ5内に銅結晶が形成され得る。これに加えて、ギャップ33はまた、低温でのESRの増加をもたらし得る。
【0095】
図9は、上記の課題を解決するための従来の措置を有するコンデンサ1の詳細を示す。スイッチング強度を高めるために、カソードコンタクト30は、ここでは、同じ電位にある2つのカソード箔3、35の間にカソードコンタクト30が配置されるように、追加のカソード箔35によって覆われる。2つのカソード箔3、35は、導電的に(galvanisch)接続されることができる。しかしながら、2つのカソード箔3、35を同じ電位に維持するためには、表面酸化物層による動的結合も十分であり得る。
【0096】
この場合も、コンデンサ1は、図面の左側部分において新しい状態で、図面の右側部分において古い状態で表示される。新しいコンデンサ1では、ギャップ33を充分に満たすために足りる電解質が存在する。したがって、セパレータ5の大きな領域は、カソード箔3と直接電気的にコンタクトしているので、電位差は小さくなる。
【0097】
古いコンデンサ1では、ギャップ33は電解質で満たされず、したがって空洞がある。下部セパレータ5は、追加のカソード箔35に連続的に良好に接続されており、下部セパレータ5には臨界点がない。
【0098】
また、上部セパレータ5は、ここではアノード箔4によって部分的に支配されている。したがって、十字によって示される臨界点は残る。
【0099】
これらの「二重カソード箔」のさらなる利点は、2つのカソード箔3、35の間にカソードコンタクト30が配置されていることに基づいて、実際の電位差が不足し、有意な電流が流れず、又はフラッシオーバがまったく生じないことである。したがって、この領域では、電解質32又は表面の電気化学的変化を低減することができる。さらに、例えばバリによる、セパレータ5の損傷の場合にも、フラッシオーバは発生しない。
【0100】
さらに、「二重カソード箔」に代わる、少ない効果の選択肢は、人工的に隆起した表面(kuenstlich erhoehter Oberflaeche)を有するカソードコンタクト30を使用することである。このカソードコンタクト30は、その後、セパレータ5又はカソード電位に近接して位置する電解質32をより良好に安定化させることができる。
【0101】
図10A及び10Bは、コンデンサ1の一実施形態を、展開状態の箔の側面図及び斜視図で示す。このように、上下に重なり合って配置されたセパレータ5と、カソード箔3と、さらなるセパレータ5と、アノード箔4とを有する箔アセンブリ10は、巻回し工程の前の状態、又は箔を展開した後の状態で示されている。
【0102】
コンデンサ1は、例えば、図1に従ってオーバーラップ領域に接点を有する。しかしながら、例えば、図4Aのコンデンサのように、このような接点を持たずに形成することも可能である。
【0103】
箔アセンブリ10からなる巻線2の形成を説明するために、巻回マンドレル50が示され、さらにそこに巻回マンドレル50の巻回し方向が示されている。このように、図中の左側にある箔アセンブリ10の領域は、巻回孔の近傍に位置する。図中右側の領域は、巻線2の半径方向外エッジを形成する。
【0104】
図示された図では、配置をより良く説明するために、アノード箔4が最上部に配置されている。コンデンサ1は、さらに、アノード箔4上の異なる位置に配置されたアノードコンタクト36を有する。アノードコンタクト36はストリップ状に設計されている。ここで、アノードコンタクト36は、例えば、図1に3つのアノードコンタクト36として示すように、アノードの多重コンタクト接続(Mehrfachkontaktierung)として設計される。
【0105】
箔アセンブリ10は、カソード箔3がアノード箔5によって覆われていない無オーバーラップ領域37を有する。換言すると、展開状態の平面図において、無オーバーラップ領域37には、カソード箔3とアノード箔5とのオーバーラップは存在しない。無オーバーラップ領域37は、横方向においてカソード箔3とアノード箔5とがオーバーラップする領域38に隣接する。横方向は図中において水平方向に延びる。無オーバーラップ領域37には、セパレータ5及びカソード箔3が存在する。
【0106】
カソードコンタクト30は無オーバーラップ領域37に配置されている。このようにして、図2及び図3に関連して説明したような臨界点の形成を低減又は防止することができる。特に、セパレータ5がアノード箔4と直接コンタクトしているが、カソード箔3とは直接コンタクトしていないギャップ33は少ししかない。理想的には、電解質を含浸させたセパレータ5の全ての領域、すなわちアノード箔4によってコンタクトされる領域は、カソード箔3によってもコンタクトされる。
【0107】
したがって、カソードコンタクト30は、カソード箔3がアノード箔4とオーバーラップする位置には配置されない。その結果、電位の異なる局所的な電解質領域の形成を防ぐことができる。これは、特に急速な再充電過程(Umladevorgaengen)又は電圧変化の場合に重要である。例えば、この種のコンデンサ1は、交流電流がここで熱過負荷に至らない場合には、定格電圧までの交流電圧に恒久的に曝され得る。
【0108】
さらに、カソードコンタクト30が無オーバーラップ領域37に配置されているため、セパレータ5をより弱く又はより薄くするように設計することが可能である。セパレータ5がカソードコンタクト30をアノード箔4から保護する機能を担う必要がないからである。これにより、ESRがさらに低下する。
【0109】
さらに、アノード箔4とカソード箔3との間のギャップの減少により、「電流分流(Strom-Umwege)」及びそれに伴うESRも減少する。これは、特に、電解質体積が充分にギャップを満たすことができない低温において顕著である。
【0110】
コンデンサ1は、さらに、アノード箔4上の異なる位置に配置されたアノードコンタクト36を有する。アノードコンタクト36はストリップ状に設計されている。ここで、アノードコンタクト36は、例えば、図2に3つのアノードコンタクト36として示すように、アノードの多重コンタクト接続として設計される。
【0111】
この場合、無オーバーラップ領域37は、カソード箔3の端面エッジ(stirnseitigen Rand)からカソード箔3の対向する端面エッジまで巻回軸100に沿って延在する。しかし、無オーバーラップ領域37は、対向する端面エッジまで延在しないことも考えられる。
【0112】
無オーバーラップ領域37は、カソード箔3の横方向エッジ領域に配置されている。しかしながら、図12A図12B図12C及び図13に関連して後述するように、他の位置も考えられる。無オーバーラップ領域37は、巻線2の1巻きより多くわたって横方向に延在する。この場合、ギャップ問題は、両方の半径方向で避けることができる。あるいは、無オーバーラップ領域37は、巻線2の最大1巻きにわたって延在することができ、その結果、ギャップの問題は、1つの半径方向でのみ回避される。
【0113】
この場合、無オーバーラップ領域37は、どの横方向エッジにおいて領域37が形成されるかに応じて、巻線2内の、コンデンサ1の半径方向外側にある領域又はコンデンサ1の中央領域に配置され得る。半径方向は、巻線2の巻回軸100に対して垂直に延びる。横方向は、巻線2の箔に沿って螺旋状に延びる。
【0114】
カソード箔3の横方向エッジ上にカソードコンタクト30が配置されていることに基づいて、カソード箔3の経路抵抗は、カソード箔3の中央に配置された配置と比較して増加する。これは、コンデンサ1のスイッチング耐性が重要であり、かつ、経路抵抗が小さい場合、又は、コンデンサ1が非常に小さく、経路抵抗が無視できる場合に受け入れることができる。
【0115】
図10Cは、巻き回された状態の、図4A及び図4Bの箔アセンブリを横断面図で示す。ここでは、巻線2の外側の領域のみを示す。アノードコンタクト36は、ここでは示されていない。
【0116】
カソード箔3の複数の層9(カソード層9とも称される)、セパレータ5の層6(セパレータ層6とも称される)、及びアノード箔4の層31(アノード層31とも称される)が示されている。この場合、巻線内に配置された箔の領域が「層」と称される。種々の層は、半径方向において互いに上下に配置された、カソード箔の領域、アノード箔の領域、又はセパレータの領域である。セパレータ層の場合、2つのセパレータは別々に考慮されないため、2つのセパレータ層は、複数のセパレータのうちの1つ又は異なるセパレータに属することができる。
【0117】
無オーバーラップ領域37の形成によって、カソードコンタクト30は、セパレータ箔5のみによって外側から覆われるが、アノード箔4によっては覆われない。
無オーバーラップ領域37は、1巻きより多くにわたって延在する。換言すると、無オーバーラップ領域37は、複数のカソード層9にわたって延在する。特に、無オーバーラップ領域37は、互いに最も近いカソード層9a、9b内に存在する。したがって、ここでは、2つの最も近いセパレータ層6a、6bの間にアノード箔4は存在しない。
【0118】
特に、アノード箔4は、半径方向内方に向かってカソードコンタクト30に最も近いセパレータ層6aと隣り合わない。
【0119】
したがって、巻線2においては、カソード接点30の領域内における、外側から内側に向かう半径方向の層6、9、31のシーケンスは、次のようである:セパレータ層42-カソードコンタクト30-カソード層9a-セパレータ層42a-セパレータ層42b-カソード層9b-セパレータ層42-アノード層31等。
【0120】
2つのセパレータ層42a、42bが互いに隣り合わず、むしろ1つのセパレータ5のみが2つの隣接するカソード層9a、9bの間に配置されるように、例えば、セパレータに凹部を設けるように、セパレータ5を設計することも可能である。
【0121】
無オーバーラップ領域がカソードコンタクト30から1巻きより多くにわたって延在しない場合、アノード箔4は、半径方向内方に向かってカソードコンタクト30に最も近いセパレータ層42aと隣り合う。この場合、ギャップの問題は、1つの半径方向のみ、特に半径方向外方において解消される。これは、特定の場合には既に十分であろう。
【0122】
この場合、カソードコンタクト点30の位置における外側から内側へ半径方向の層42、9、31の配置は、次のようである:セパレータ層42-カソードコンタクト30-カソード層9a-セパレータ層42a-アノード層31、セパレータ層42、カソードなど。
【0123】
図11Aは、コンデンサ1のさらなる実施形態を示しており、突出領域6内にバンドル40及び接点14を有する実施形態が、無オーバーラップ領域37内のカソードコンタクト30の実施形態と組み合わされている。図11Bは、概略的に示された電流フローを有するこの実施形態を示す。
【0124】
無オーバーラップ領域37は、コンデンサ1のエッジに配置される。無オーバーラップ領域37は、巻線2内において、ここでは、カソード箔3の層9aは半径方向においてアノード箔4の層と隣り合わず、セパレータ5及びカソードコンタクト30を介して分離されているが、むしろ、カソード箔3の層9aはカソード箔のさらなる層9bに隣り合い、いずれも、セパレータ5及びカソードコンタクト30による分離を伴うことによって認識される。したがって、2つのセパレータ層42a、42bは、2つのカソード層9a、9bの間に配置され、セパレータ層42a、42bは、互いに直接隣接している。アノード箔4又はアノードコンタクト36に接触するセパレータ5の各領域もカソード箔3に接触する。
【0125】
図10A及び図10Bとは対照的に、カソードコンタクト30は、巻線2の他方の端面端部内でアノードコンタクト36よりも突出している。カソードコンタクト30は、巻線2の外部において巻回中心の方向に曲げられる。特に、カソードコンタクト30は、ハウジング21の底部23の中央領域の隆起部27に導かれ、そこでハウジング21に電気的に接続され、特に溶接される。コンデンサ1は、特に、軸コンデンサとして設計される。
【0126】
さらに、図10Cのコンデンサとは対照的に、巻線マンドレル50は、巻線2を形成する際に、図10Aによる箔構成10の上部に配置される。
【0127】
カソード箔3の経路抵抗を減少させるために、カソード箔3の層は突出領域6に束ねられ、図1と同様に、接点14で互いに直接接続され、ここで、バンドル40及び接点14は、巻線中心の片側のみに形成される。したがって、カソードコンタクト30の外側の位置にもかかわらず、カソード箔3の経路抵抗は低い。アノード箔4の経路抵抗は、二つのアノードコンタクト36を用いて二重コンタクト接続することによって低減される。したがって、全体として、コンデンサ1は、低い経路抵抗において高度の均質性を有する。
【0128】
図11Bは、図11Aからのコンデンサにおける充電プロセスの際の電流フロー18を概略的に示す。
電流はアノードコンタクト36を通って巻線2に流れる。流出する際は、電流フロー18は、カソード箔3を介して巻線の端面の方向に流れる。そこで、電流は中央接点14に流れ、その後さらに、カソード箔3の最外層16上でカソードコンタクト30まで流れる。巻線2の外部の湾曲したカソードコンタクト30を介して、ハウジング(ここでは図示せず)へと電流が流れる。
【0129】
図12A及び12Bは、コンデンサのさらなる実施形態を展開した状態の箔の箔アセンブリの側面図及び斜視図で示す。
【0130】
図10A、10B及び10Cの実施形態とは対照的に、カソードコンタクト30が配置されている無オーバーラップ領域37は、カソード箔3の横方向エッジに位置するのではなく、むしろカソード箔3の横方向中央領域に位置する。アノード箔4がカソード箔3とオーバーラップするオーバーラップ領域38は、無オーバーラップ領域37の両側に連なっている(schliessen an)。
【0131】
無オーバーラップ領域37は、箔の端面エッジ(stirnseitigen Rand)から、箔の対向する端面エッジまで延在する。
【0132】
したがって、アノード箔4は、互いに接続されていない2つの部分箔4a、4bに分割される。この場合、各部分箔4a、4bをアノードコンタクト36に別々にコンタクトさせる必要がある。
【0133】
カソードコンタクト30の中心配置のために、経路抵抗(ESR)は、この設計ではわずかしか変化しない。
【0134】
無オーバーラップ領域37は、カソードコンタクト30から見て、横方向において1巻きより多くにわたって延在する。この場合、ギャップ問題は、両方の半径方向に解消されることができる。
【0135】
図12Cは、巻き回された形態の箔を断面図で示す。図10Cの実施形態とは対照的に、カソードコンタクト30は、多数のセパレータ層6、カソード層9、及びアノード層31の間で両横方向において配置される。さらに、図10A~10Cとは対照的に、ここでは図6Aの箔アセンブリ10の上方に位置する巻回マンドレルを用いて巻き回し(die Wicklung)が行われる。代替的な実施形態では、箔アセンブリ10の下に位置する巻回マンドレルを用いて巻き回し(die Wicklung)が行われる。
【0136】
巻き回された状態において、カソードコンタクト30が接するカソード層9aと、その外方又は内方に向かって最も近くにあるカソード層9b,9cとの間のカソードコンタクト30の領域には、アノード箔4が存在しない。
【0137】
その代わりに、それぞれ2つのセパレータ層42a,42b、及び42c,42dは、互いに対して直接接する。特に、半径方向内方に向かって、即ち巻回孔51の方向においてカソードコンタクト30に隣り合う2つのセパレータ層42a、42bは、直接互いに隣接しており、したがって、カソード層9もアノード層31もそれらの間に配置されない。半径方向外方に向かって、カソードコンタクト30に最も近いセパレータ層42c、42dも、互いに直接隣接している。
【0138】
さらに、カソードコンタクト30が接するカソード層9aと、半径方向内方及び外方において、その最も近くにあるカソード層9a,9bは、カソードコンタクト30の領域には存在しない。
【0139】
無オーバーラップ領域37が巻線2の周囲にわたって延在する代わりに、無オーバーラップ領域37は、カソードコンタクト30の位置で細く(schmal)設計されることができ、さらなる無オーバーラップ領域37は、巻線2内のカソードコンタクト30の下方又は上方に配置された位置に設けられることができる。
【0140】
図13は、コンデンサのさらなる実施形態を、展開した状態の箔によって斜視図で示す。
【0141】
図12A及び12Bの実施形態とは対照的に、無オーバーラップ領域37は、一方の第1端面エッジから反対側の端面エッジまで完全には形成されず、むしろ、第1端面エッジから反対側エッジの方向に僅かにのみ進む。例えば、無オーバーラップ領域37は、アノード箔4の領域を打ち抜くことによって形成される。したがって、無オーバーラップ領域37は、凹部によって、まとめられる(zusammenhaengenden)アノード箔4に形成される。
【0142】
ここで、カソードコンタクト30は、図12Aのカソードコンタクト30と比較して短くされ、その結果、前記カソードコンタクトは、オーバーラップ領域38に入らない。
【0143】
このように、アノード箔4はここでは別個の部品に分割されず、したがって、単一のアノードコンタクト36がアノード箔4とコンタクトするのに十分である。経路抵抗を低減するために、複数のアノードコンタクトが設けられることもできる。
【0144】
また、コンデンサ1は、複数の無オーバーラップ領域37を有することもでき、例えば図10Aによる横方向エッジにおける無オーバーラップ領域と、例えば図12A又は13による中央位置における無オーバーラップ領域とを例えば組み合わせることもできる。
【0145】
図14A及び14Bは、図11Aと類似に設計されたコンデンサ1のさらなる実施形態を示す図である。
【0146】
図11Aとは対照的に、カソード箔3は、突出領域6において、中央接点50、51を有する2つのバンドル50、51に束ねられる
【0147】
さらに、ここでは、2つのアノード接続部8と接続されている4つのアノードコンタクト36がある。アノード接続部8は、貫通部によってカバー29を介してアノード接点36に接続される。アノード接続部8は、例えば、プリント回路基板に接続することができる。
【0148】
図11Aと同様に、カソードコンタクト30は、無オーバーラップ領域37に配置されるが、ここではカソード箔3の横方向エッジに完全には配置されない。カソードコンタクト30はハウジングと接続されている。カソード接続部7は、半田スターによって形成される。
【0149】
図15Aのコンデンサ1の電流フロー18を、図15Bに模式的に示す。
【0150】
複数のアノード接続部8及びカソード接続部7のために、電流は分割され、したがって、磁場密度は、1つのアノード接続部8及び1つのカソード接続部7のみと比較して半分にされる。したがって、このコンデンサ1は、単一端子と比較して、ほぼ半分の自己インダクタンスしか持たない。その結果、インダクタンスが支配的になる高周波数の場合に、低いインピーダンスを達成することができる。
【0151】
図16A及び図16Bは、例えば図1又は図2と同様に、突出領域6内に少なくとも1つの中央接点14を有するコンデンサ1のさらなる実施形態を示す。コンデンサは、ラジアル設計のコンデンサ1である。
【0152】
巻線2内の2つのカソード接点30によってカソード箔3はコンタクトする。複数のカソードコンタクト30は、巻線中心に対して互いに対向して配置される。カソードコンタクト30は、半径方向において、はるか外側に配置されている。カソードコンタクトは、比較的幅広で長いストリップであり得る。カソードコンタクト30は、無オーバーラップ領域に配置することができるが、必ずしもそうである必要はない。中央接点14のために、側面の近傍におけるカソードコンタクト30の中心から離れた(dezentralen)配置にもかかわらず、低いESRを達成することができる。
【0153】
カソードコンタクト30はそれぞれ、カソード接続部7(マイナス接続(Minusverbindung))と接続するように設計されている。この場合、カソード接続部7は、スクリュー端子として設計され、カソードコンタクト30とコンタクトするためのラグ39を有する。図16Aにおいて、それぞれのカソードコンタクト30は、カソード接続部7にまだ接続されていない。
【0154】
アノード接続部8(プラス接続(Plusverbindung))は、例えば、正規のスクリュー端子によって形成される。また、例えば、通常のスクリュー端子によって形成される、2つのかかるアノード接続部8が設けられることができる。
アノード接続部8は、複数のアノードコンタクト36と接続される。アノードコンタクト36は、例えば、カソードコンタクト30に対して、巻回軸に対して+/-90°の角度の位置に配置される。
【0155】
例えば、アノードコンタクト36は、図16Aに示すように、まずアノード接続部8に接続される。その後、図16Bに示すように、カバー29は巻線2に対して回転され、カソードコンタクト30はカソード接続部7のラグ39に接続される。
【0156】
したがって、複数のマイナス経路と、場合によっては複数のプラス経路とが存在し、したがって、並列回路の場合のように、電流が分割され、インダクタンスが半分になる。コンデンサ1の内部の、この半減したインダクタンスは、回路の外側でも、例えば、ほぼ同軸であり得る3つのレールのインダクタンス接触によって継続することができる。
【0157】
さらに、電流を分割することによって、接続部(端子)7、8及びコンタクト30、36における熱の発生を減少させることができる。特に、巻線とハウジングとの間のカソードコンタクト30は冷却され、熱は迂回することなく直接ハウジングに放出される。
【0158】
この実施形態は、例えば、特に大きなスクリュー端子電解コンデンサを含む電解コンデンサバッテリにおいて有利である。この種の電池では、コンデンサのサイズのために、並列に接続されるコンデンサがより少ない必要がある。しかしながら、小さい数は、高いバッテリインダクタンスの欠点を有する。追加の端子によって自己インダクタンスを低減することができる。
【0159】
突出領域6にカソード箔3のバンドル40、41及び/又はカソード箔の無オーバーラップ領域7にカソードコンタクト30のアセンブリを有する実施形態は、異なるコンデンサ1において組み合わせて又は個別に使用されることができる。例えば、そのような実施形態は、軸方向設計のコンデンサ1の場合に存在する。ここで、カソード箔3は、ハウジング21に電気的に接続されている。他の設計、例えば、垂直又は水平半田スター、水平圧入又はSMDを有する設計など、軸方向設計に基づく設計も、このように実施することができる。
【0160】
また、このような設計は、高電圧コンデンサ電池に特に有利である。この種のコンデンサは、通常、スナップイン型又はねじ端子型の電解コンデンサで構成される。高電圧コンデンサの容量が小さいため、コンデンサは高い交流電流と50~300Hzの一般的な周波数成分においても高い交流電圧がかけられ、非対称問題を招き得る。高い交流電圧も負荷され、説明した実施形態によって排除できる非対称の問題が発生する可能性がある。
【符号の説明】
【0161】
1 コンデンサ(Kondensator)
2 巻線(Wickel)
3 カソード箔(Kathodenfolie)
4 アノード箔(Anodenfolie)
4a 部分箔(Teilfolie)
4b 部分箔(Teilfolie)
5 セパレータ(Separator)
6 突出領域(Ueberstandsbereich)
7 カソード接続部(Kathodenanschluss )
8 アノード接続部(Anodenanschluss )
9,9a,9b,9c カソード層(Kathodenlage)
10 第1切開部(erster Einschnitt)
11 第2切開部(zweiter Einschnitt)
12 第1ストリップ(erste Streifen)
13 第2ストリップ(zweite Streifen)
14 第1接点(erster Kontaktpunkt)
15 第2接点(zweiter Kontaktpunkt)
16 外部層(aeussere Lage)
17 内部層(innere Lage)
18 電流フロー(Stromfluss )
19 ブレード(Messer)
20 ペンチ(Zange)
21 ハウジング(Gehaeuse)
22 カバー(Deckel)
23 底部(Boden)
24 接続部(Verbindungsstueck)
25 クランプ(Klammer)
26 ウェブ(Steg)
27 隆起部(Erhoehung)
28 開口(Oeffnung)
29 カバー(Deckel)
30 カソードコンタクト(Kathodenkontakt)
31,31a,31b アノード層(Anodenlage)
32 電解質(Elektrolyt)
33 ギャップ(Spalt)
34 湾曲部分(Woelbung)
35 追加カソード箔(zusaetzliche Kathodenfolie)
36 アノードコンタクト(Anodenkontakt)
37 無オーバーラップ領域(Ueberlappungsfreier Bereich)
38 オーバーラップ領域(Ueberlappender Bereich)
39 ラグ(Lasche)
40 バンドル(Buendel)
41 バンドル(Buendel)
42,42a,42b,42c,42d セパレータ層(Separatorlage)
50 巻回マンドレル(Wickeldorn)
51 巻回孔(Wickelloch)
100 巻回軸(Wickelachse)
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図5C
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図10C
図11A
図11B
図12A
図12B
図12C
図13
図14A
図14B
図15A
図15B