(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-02
(45)【発行日】2022-12-12
(54)【発明の名称】広帯域ミリメートル波フロントエンド集積回路
(51)【国際特許分類】
H04B 1/403 20150101AFI20221205BHJP
H03L 7/18 20060101ALI20221205BHJP
【FI】
H04B1/403 101
H03L7/18
(21)【出願番号】P 2020568441
(86)(22)【出願日】2019-05-30
(86)【国際出願番号】 US2019034739
(87)【国際公開番号】W WO2019240961
(87)【国際公開日】2019-12-19
【審査請求日】2020-12-08
(32)【優先日】2018-06-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521458638
【氏名又は名称】スウィフトリンク テクノロジーズ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100121979
【氏名又は名称】岩崎 吉信
(72)【発明者】
【氏名】チー タイユン
(72)【発明者】
【氏名】ワン フア
(72)【発明者】
【氏名】チェン トーマス
【審査官】後澤 瑞征
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0314280(US,A1)
【文献】国際公開第2017/111920(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0195027(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0062948(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 1/403
H03L 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線周波数(RF)フロントエンド集積回路(IC)デバイスであって、
予め決められた周波数帯域内で第1の振幅及び位相シフト設定に従って第1のRFチャネルに関連付けられたRF信号を送信及び受信する第1の送受信機と、
前記予め決められた周波数帯域内で前記第1の振幅及び位相シフト設定とは異なる第2の振幅及び位相シフト設定に従って第2のRFチャネルに関連付けられたRF信号を送信及び受信する第2の送受信機と、
前記第1の送受信機及び前記第2の送受信機に結合されて広周波数スペクトラムにおいて周波数同期を実行する周波数シンセサイザであって、前記第1の送受信機及び前記第2の送受信機に対してローカル発振器(LO)信号を生成して、前記第1の送受信機及び前記第2の送受信機が前記第1のRFチャネル及び前記第2のRFチャネルにそれぞれ関連付けられる前記RF信号を送信及び受信するのを可能にする、周波数シンセサイザと、
を備え、
前記第1の送受信機、前記第2の送受信機、及び前記周波数シンセサイザは、単一のICチップ内に組み込まれる、RFフロントエンドICデバイス。
【請求項2】
前記第1のRFチャネルに関連付けられた前記RF信号は、前記第1の振幅及び位相シフト設定に従って放射及び受信するよう構成された第1のアンテナを介して送信及び受信されることになり、前記第2のRFチャネルに関連付けられた前記RF信号は、前記第2の振幅及び位相シフト設定に従って放射及び受信するよう構成された第2のアンテナを介して送信及び受信されることになる、
ことを特徴とする請求項1に記載のRFフロントエンドICデバイス。
【請求項3】
前記第1の送受信機及び前記第2の送受信機の各々は、
第1のRF信号を第1のリモートデバイスに送信する送信機と、
第2のリモートデバイスから第2のRF信号を受信する受信機と、
前記送信機及び前記受信機に結合されたスイッチであって、所与の時点で前記送信機又は前記受信機を
、前記第1の送受信機又は前記第2の送受信機に関連付けられたアンテナに
、それぞれ結合するよう構成されたスイッチと、
を含む、ことを特徴とする請求項1に記載のRFフロントエンドICデバイス。
【請求項4】
前記送信機は、
モデム又はベースバンドプロセッサから受信された中間周波数(IF)信号に基づいて、中間周波数(IF)同相及び直角位相(IQ)(IFIQ)信号を生成する第1の中間周波数同相及び直角位相生成器(IFIQ生成器)と、
前記周波数シンセサイザから受信されたLO信号に基づいてLOIQ信号を生成する第1のLO IQ(LOIQ)生成器と、
前記第1のIFIQ生成器及び前記第1のLOIQ生成器に結合されて、前記IFIQ信号及び前記LOIQ信号に基づいて前記第1のRF信号を生成する第1のミキサと、
を含む、請求項3に記載のRFフロントエンドICデバイス。
【請求項5】
前記第1及び第2の送受信機の各々は更に、
前記第1のIFIQ生成器及び前記第1のミキサに結合された第1のIF増幅器であって、前記第1のIF増幅器は、前記IFIQ信号を増幅し、該増幅したIFIQ信号を前記第1のミキサに提供するよう構成された第1のIF増幅器と、
前記第1のミキサに結合され、前記第1のミキサから受信された前記第1のRF信号を増幅する第1の広帯域増幅器と、
を含む、請求項4に記載のRFフロントエンドICデバイス。
【請求項6】
前記第1のIF増幅器は、
前記IFIQ信号から生じた同相IF信号を受信及び増幅する第2のIF増幅器であって、前記同相IF信号は、前記LOIQ信号から生じた同相LO信号とミックスされる、第2のIF増幅器と、
前記IFIQ信号から生じた直角位相IF信号を受信及び増幅する第3のIF増幅器であって、前記直角位相IF信号は、前記LOIQ信号から生じた直角位相LO信号とミックスされる、第3のIF増幅器と、
を含む、請求項5に記載のRFフロントエンドICデバイス。
【請求項7】
前記受信機は、
前記第2のRF信号を受信するよう構成された第2の広帯域増幅器と、
前記周波数シンセサイザから受信された前記LO信号に基づいてLOIQ信号を生成する第2のLOIQ生成器と、
前記第2の広帯域増幅器及び前記第2のLOIQ生成器に結合された第2のミキサであって、前記
第2の広帯域増幅器で増幅された第2のRF信号及び前記LOIQ信号に基づいてIFIQ信号を生成するよう構成された第2のミキサと、
を含む、請求項3に記載のRFフロントエンドICデバイス。
【請求項8】
前記受信機は更に、
前記第2のミキサに結合されて、前記第2のミキサから前記IFIQ信号を受信及び増幅する第4のIF増幅器と、
前記第4のIF増幅器に結合されて、前記IFIQ信号に基づいて組合せIF信号を生成するIFIQコンバイナと、
を含む、請求項7に記載のRFフロントエンドICデバイス。
【請求項9】
前記第4のIF増幅器は、
前記IFIQ信号から生じた同相IF信号を受信及び増幅する第5のIF増幅器と、
前記IFIQ信号から生じた直角位相IF信号を受信及び増幅する第6増幅器と、
を含み、前記IFIQコンバイナは、前記同相IF信号及び前記直角位相IF信号を組み合わせて前記組合せIF信号を生成するよう構成される、請求項8に記載のRFフロントエンドICデバイス。
【請求項10】
前記周波数シンセサイザは、
クロック基準信号に基づいて前記予め決められた周波数帯域に関連付けられた前記LO信号を生成する位相ロックループ(PLL)回路と、
前記PLL回路に結合されて、前記LO信号から生じた第1のLO信号及び第2のLO信号を前記第1の送受信機及び前記第2の送受信機それぞれにバッファ及び提供するLOバッファデバイスと、
を含む、請求項1に記載のRFフロントエンドICデバイス。
【請求項11】
無線周波数(RF)フロントエンド集積回路(IC)デバイスであって、
送受信機のアレイであって、前記送受信機の各々は複数のRFチャネルの1つに対応し、前記RFチャネルの各々は、それぞれの位相シフト設定に従ってRF信号の位相をシフト又は補償するステップを含む、予め決められた周波数帯域内で前記それぞれの位相シフト設定に従って前記RF信号を送信及び受信するよう構成された位相シフタを含む、送受信機のアレイと、
前記送受信機の各々に結合され、広周波数スペクトラムにおいて周波数同期を実行する周波数シンセサイザであって、前記周波数シンセサイザは、前記送受信機の各々に対するローカル発振器(LO)信号を生成して、前記送受信機の各々が前記送受信機のそれぞれのRFチャネル内で前記RF信号を送信及び受信するのを可能にする周波数シンセサイザと、
前記送受信機の各々及び前記周波数シンセサイザに結合されたアップコンバータであって、
第1の中間周波数(IF)信号に基づいて、IF同相及び直角位相(IQ)(IFIQ)信号を生成するIF同相及び直角位相生成器(IFIQ生成器)と、
前記周波数シンセサイザから前記LO信号を受信し、前記LO信号に基づいてLOIQ信号を生成するLOIQ生成器と、
前記IFIQ生成器及び前記LOIQ生成器に結合されたアップコンバートミキサであって、前記IFIQ信号及び前記LOIQ信号に基づいて、前記送受信機によって送信されることになる第1のRF信号を生成するように構成されている、アップコンバートミキサと、を備えるアップコンバータと、
前記送受信機の各々及び前記周波数シンセサイザに結合されたダウンコンバータであって、前記LO信号に基づ
いて、前記送受信機から受信された第2のRF信号を、第2のIF信号にダウンコンバートするよう構成されたダウンコンバータと、
を備え、
前記送受信機のアレイ、前記周波数シンセサイザ、前記アップコンバータ、及び前記ダウンコンバータが、単一のICチップ内に組み込まれる、
ことを特徴とする無線周波数(RF)フロントエンド集積回路(IC)デバイス。
【請求項12】
前記アップコンバータは更に、
前記IFIQ生成器と前記アップコンバートミキサの間に結合されて前記第1のIF信号を増幅するIF増幅器と、
前記アップコンバートミキサに結合されて、前記第1のRF信号を複数の第1のRFサブ信号に分割するパワー分割器であって、前記各第1のRFサブ信号が、送信される前記送受信機の1つに提供されるパワー分割器と、
を含む、請求項1
1に記載のRFフロントエンドICデバイス。
【請求項13】
前記ダウンコンバータは、
前記周波数シンセサイザから前記LO信号を受信して、前記LO信号に基づいてLOIQ信号を生成するLOIQ生成器と、
前記LOIQ生成器に結合されたダウンコンバートミキサであって、前記送受信機から受信した前記第2のRF信号及び前記LOIQ信号に基づいてIFIQ信号を生成するよう構成されたダウンコンバートミキサと、
前記ダウンコンバートミキサから受信したIFIQ信号に基づいて前記第2のIF信号を生成するIFIQコンバイナと、
を含む、請求項11に記載のRFフロントエンドICデバイス。
【請求項14】
前記ダウンコンバータは更に、
前記ダウンコンバートミキサと前記送受信機の間に結合されたパワーコンバイナであって、前記パワーコンバイナは、前記送受信機から受信した複数の第2のRFサブ信号を組み合わせて前記第2のRF信号を生成するよう構成され、各第2のRFサブ信号は前記送受信機の1つに対応する、パワーコンバイナと、
前記IFIQコンバイナと前記ダウンコンバートミキサの間に結合され前記IFIQ信号を増幅するIF増幅器と、
を含む、請求項1
3に記載のRFフロントエンドICデバイス。
【請求項15】
前記送受信機の各々は、
RF信号を第1のリモートデバイスに送信する送信機と、
第2のリモートデバイスからRF信号を受信する受信機と、
所与の時点において前記送信機又は前記受信機を複数のアンテナの1つに結合するよう構成されたスイッチであって、前記アンテナの各々は前記送受信機の1つに対応するスイッチと、
を含む、請求項11に記載のRFフロントエンドICデバイス。
【請求項16】
無線周波数(RF)フロントエンド集積回路(IC)デバイスであって、
位相ロックループ(PLL)及びローカル発振器(LO)バッファを有し、クロック信号に基づいてLO信号を生成する周波数シンセサイザと、
モデム又はベースバンドプロセッサから第1の中間周波数(IF)信号を受信して、第1の
IF同相及び直角位相(IQ)
(IFIQ)信号を生成するIF同相及び直角位相(IQ)生成器(IFIQ生成器)と、
第2のIFIQ信号に基づいて第2のIF信号を生成するIFIQコンバイナであって、前記第2のIF信号は前記モデム又はベースバンドプロセッサによって処理される、IFIQコンバイナと、
前記周波数シンセサイザに結合された複数の送受信機であって、前記送受信機の各々が予め決められた周波数帯域内で複数の振幅及び位相シフト設定の1つに従ってRF信号を送信及び受信するよう構成された複数のRFチャネルの1つに関連付けられた、複数の送受信機と、
を備え、
前記送受信機の各々は、
前記周波数シンセサイザに結合されて、前記LO信号を用いて前記第1のIFIQ信号を第1のリモートデバイスに送信されることになる第1のRF信号にアップコンバートする送信機と、
前記周波数シンセサイザに結合されて、前記LO信号を用いて第2のリモートデバイスから受信した第2のRF信号を前記第2のIFIQ信号にダウンコンバートする受信機と、
を含み、
前記複数の送受信機、前記周波数シンセサイザ、前記IF
IQ生成器、及び前記IFIQコンバイナが、単一のICチップ内に組み込まれる、
ことを特徴とする無線周波数(RF)フロントエンド集積回路(IC)デバイス。
【請求項17】
前記送信機は、
前記周波数シンセサイザから前記LO信号を受信して予め決められたシフト位相に従って前記LO信号をシフト
して位相シフトされたLO信号を生じさせる位相シフタと、
位相シフトされた前記LO信号に基づいてLO同相及び直角位相(IQ)信号(LOIQ信号)を生成するLO同相及び直角位相(IQ)生成器(LOIQ生成器)と、
モデム又はベースバンドプロセッサから受信した第1の中間周波数(IF)信号及び前記LOIQ信号に基づいて前記第1のRF信号を生成するアップコンバートミキサと、
を含む、請求項1
6に記載のRFフロントエンドICデバイス。
【請求項18】
前記受信機は、
前記周波数シンセサイザから前記LO信号を受信して、予め決められたシフト位相に従って前記LO信号をシフトする位相シフタと
、
位相シフトされた前記LO信号に基づいてLO同相及び直角位相(IQ)信号(LOIQ信号)を生成するLO同相及び直角位相(IQ)生成器(LOIQ生成器)と、
前記第2のRF信号及び前記LOIQ信号に基づいて前記第2のIFIQ信号を生成するダウンコンバートミキサと、
含む、請求項1
6に記載のRFフロントエンドICデバイス。
【請求項19】
前記送受信機の各々は、前記送信機及び前記受信機に結合されたスイッチを含み、前記スイッチは、所与の時点において前記送信機又は前記受信機を対応する前記送受信機に関連付けられたアンテナに結合するよう構成されている、
ことを特徴とする請求項1
6に記載のRFフロントエンドICデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、一般的には移動デバイスに関する。詳細には、本発明の実施形態は、移動デバイスのミリメートル波(mm波)フロントエンドモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信技術が発達するにつれて、マルチモード又はマルチバンド無線システムが日常的に利用できるようになっている。このようなシステムは、様々な機能を様々な集積回路(IC)デバイスに区分化することができる。例えば、無線システムは、モデム又はベースバンドプロセッサ、送受信機、制御回路、受信回路、送信回路などを含むことができる。このような複数のICデバイスは、場合によっては、都合が悪く、コスト効率が悪いことがある。
【発明の概要】
【0003】
本発明の実施形態について、同じ参照符号が同様の要素を示す添付図面の図において限定ではなく例として例証する。
【図面の簡単な説明】
【0004】
【
図1】本発明の1つの実施形態による無線通信デバイスの実施例を示すブロック図である。
【
図2】本発明の1つの実施形態によるRFフロントエンド集積回路の実施例を示すブロック図である。
【
図3】本発明の1つの実施形態によるRFフロントエンド集積回路の実施例を示す概略図である。
【
図4】本発明の1つの実施形態による送信機の実施例を示す概略図である。
【
図5】本発明の1つの実施形態による受信機の実施例を示す概略図である。
【
図6】本発明の別の実施形態によるRFフロントエンド集積回路の実施例を示す概略図である。
【
図7】本発明の別の実施形態によるRFフロントエンド集積回路の実施例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
以下に示す詳細事項を参照して本発明の様々な実施形態及び態様ついて説明し、添付図面は、様々な実施形態を例示する。以下の説明及び図面は、本発明の例証であり、本発明の限定と解釈すべきではない。多くの特定の詳細事項は、本発明の様々な実施形態の完全な理解を提供するために記載されている。しかしながら、特定の事例において、周知又は従来の詳細事項は、本発明の実施形態の簡潔な論議を提供するために記載されていない。
【0006】
本明細書における「1つの実施形態」又は「ある実施形態」の記載は、実施形態に関して記述される特定の特徴、構造、又は特性が本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれ得ることを意味する。本明細書における様々な箇所での表現「1つの実施形態では」は、必ずしも全て同じ実施形態を指すとは限らない。
【0007】
一部の実施形態によれば、ミリメートル波(mm波)フロントエンドICデバイスは、1又は2以上のmm波送受信機のアレイを含む。mm波送受信機の各々は、可変の振幅及び位相シフトを備えたコヒーレントmm波信号を送信及び受信する。このmm波フロントエンドICチップは更に、mm波送受信機に結合された広帯域周波数シンセサイザを含む。フルベース又は広帯域周波数シンセサイザは、ローカル発振器(LO)信号を生成してmm波送受信機の各々に提供し、mm波送受信機が、mm波信号をミックス、変調、及び/又は復調するのを可能にする。mm波広帯域送受信機のアレイ及び広帯域周波数シンセサイザは、単一のmm波フロントエンドICチップ又はパッケージとして単一のICチップ内に実装することができる。
【0008】
広帯域周波数シンセサイザは、位相ロックループ(PLL)回路又はブロックを含み、ローカル発振器によって提供することができるクロック基準信号に基づいて、LO信号を生成する。各mm波送受信機は、周波数帯域(例えば、約24から43ギガヘルツ又はGHzの範囲)内でmm波信号を送信するフルバンド又は広帯域送信機、及びmm波信号を受信するフルバンド又は広帯域受信機、並びに送信機及び受信機に結合された送信及び受信(T/R)スイッチを含む。T/Rスイッチは、所与の時点でmm波アンテナを送信機又は受信機に結合するためのものである。
【0009】
本発明の1つの態様によれば、RFフロントエンドICデバイスは、予め決められた周波数帯域内で第1の振幅及び位相シフト設定に従って第1のRFチャネルに関連付けられたRF信号を送信及び受信する第1の送受信機を含む。RFフロントエンドICデバイスは更に、予め決められた周波数帯域内で第2の振幅及び位相シフト設定に従って第2のRFチャネルに関連付けられたRF信号を送信及び受信する第2の送受信機を含む。第2の振幅及び位相シフト設定は、第1の振幅及び位相シフト設定とは異なるものとすることができる。RFフロントエンドICデバイスは更に、第1の送受信機及び第2の送受信機に結合されて広周波数スペクトラムにおいて周波数同期を実行する周波数シンセサイザを含む。周波数シンセサイザは、第1の送受信機及び第2の送受信機に対するLO信号を生成し、第1の送受信機及び第2の送受信機が第1のRFチャネル及び第2のRFチャネルにそれぞれ関連付けられるRF信号を送信及び受信するのを可能にする。第1の送受信機、第2の送受信機、及び周波数シンセサイザは、単一のICチップ内に組み込まれる。
【0010】
1つの実施形態によれば、第1のRFチャネルに関連付けられたRF信号は、第1の振幅及び位相シフト設定に従って放射及び受信するよう構成された第1のアンテナを介して送信及び受信されることになる。第2のRFチャネルに関連付けられたRF信号は、第2の振幅及び位相シフト設定に従って放射及び受信するよう構成された第2のアンテナを介して送信及び受信されることになる。
【0011】
1つの実施形態では、第1の送受信機及び第2の送受信機の各々が、第1のRF信号を第1のリモートデバイスに送信する送信機と、第2のリモートデバイスから第2のRF信号を受信する受信機と、送信機及び受信機に結合されたスイッチとを含む。スイッチは、所与の時点において送信機又は受信機を送受信機に関連付けられたアンテナに結合するよう構成されている。
【0012】
1つの実施形態では、送信機は、第1の中間周波数(IF)同相及び直角位相(IQ)生成器(IFIQ生成器)を含み、モデム又はベースバンドプロセッサから受信されたIF信号に基づいてIFIQ信号を生成する。送信機は更に、周波数シンセサイザから受信されたLO信号に基づいてLOIQ信号を生成する第1のLOIQ(LOIQ)生成器を含む。送信機は更に、第1のIFIQ生成器及び第1のLOIQ生成器に結合されて、IFIQ信号及びLOIQ信号に基づいて第1のRF信号を生成する第1のミキサを含む。
【0013】
1つの実施形態では、各送受信機が更に、第1のIFIQ生成器及び第1のミキサに結合された第1のIF増幅器を含む。第1のIF増幅器は、IFIQ信号を増幅し、増幅したIFIQ信号を第1のミキサに提供するよう構成されている。各送受信機は更に、第1のミキサに結合されて第1のミキサから受信したRF信号を増幅する第1の広帯域増幅器(RF増幅器とも呼ばれる)を含む。
【0014】
1つの実施形態では、第1のIF増幅器は、IFIQ信号から生じた同相IF信号を受信及び増幅する第2のIF増幅器を含む。同相IF信号は、LOIQ信号から生じた同相LO信号とミックスされる。第1のIF増幅器は更に、IFIQ信号から生じた直角位相IF信号を受信及び増幅する第3のIF増幅器を含む。直角位相IF信号は、LOIQ信号から生じた直角位相LO信号とミックスされる。
【0015】
1つの実施形態では、受信機は、第2のRF信号を受信するよう構成された第2の広帯域/RF増幅器と、周波数シンセサイザから受信されるLO信号に基づいてLOIQ信号を生成する第2のLOIQ生成器と、第2の広帯域増幅器及び第2のLOIQ生成器に結合された第2のミキサとを含む。第2のミキサは、増幅されたRF第2信号及びLOIQ信号に基づいてIFIQ信号を生成するよう構成されている。受信機は更に、第2のミキサに結合されて、第2のミキサからIFIQ信号を受信して増幅する第4のIF増幅器を含む。受信機は更に、第4のIF増幅器に結合されて、IFIQ信号に基づいて組合せIF信号を生成するIFIQコンバイナを含む。
【0016】
1つの実施形態では、第4のIF増幅器は、IFIQ信号から生じた同相IF信号を受信及び増幅する第5のIF増幅器と、IFIQ信号から生じた直角位相IF信号を受信及び増幅する第6のIF増幅器とを含む。IFIQコンバイナは、同相IF信号と直角位相IF信号とを組み合わせて、組合せIF信号を生成するよう構成されている。
【0017】
本発明の別の態様によれば、RFフロントエンドICデバイスは、送受信機のアレイを含み、送受信機の各々がRFチャネルの1つに対応する。RFチャネルの各々は、それぞれの位相シフト設定に従ってRF信号の位相をシフト又は補償するステップを含む、予め決められた周波数帯域内でそれぞれの位相シフト設定に従ってRF信号を送信及び受信するよう構成された位相シフタを含む。RFフロントエンドICデバイスは更に、送受信機の各々に結合されて、広周波数スペクトラムにおいて周波数同期を実行する周波数シンセサイザを含む。周波数シンセサイザは、送受信機の各々に対するLO信号を生成して、送受信機の各々が送受信機のそれぞれのRFチャネル内でRF信号を送信及び受信するのを可能にする。RFフロントエンドICデバイスは更に、送受信機の各々及び周波数シンセサイザに結合されたアップコンバータを含む。アップコンバータは、LO信号に基づく第1の中間周波数(IF)信号を送受信機によって送信されることになる第1のRF信号にアップコンバートするよう構成されている。RFフロントエンドICデバイスは更に、送受信機の各々及び周波数シンセサイザに結合されたダウンコンバータを含む。ダウンコンバータは、LO信号に基づいて送受信機から受信された第2のRF信号を第2のIF信号にダウンコンバートするよう構成されている。送受信機のアレイ、周波数シンセサイザ、アップコンバータ、及びダウンコンバータは、単一のICチップ内に組み込まれる。
【0018】
1つの実施形態では、アップコンバータは、第1のIF信号を受信するIFIQ生成器と、周波数シンセサイザからLO信号を受信してLO信号に基づいてLOIQ信号を生成するLOIQ生成器と、IFIQ生成器及びLOIQ生成器に結合されたアップコンバートミキサと、を含む。アップコンバートミキサは、第1のIF信号及びLOIQ信号に基づいて第1のRF信号を生成するよう構成されている。1つの実施形態では、アップコンバータは更に、IFIQ生成器とアップコンバートミキサの間に結合されて第1のIF信号を増幅するIF増幅器を含む。アップコンバータは更に、アップコンバートミキサに結合されて第1のRF信号を幾つかの第1のRFサブ信号に分割するパワー分割器を含む。各第1のRFサブ信号は、送信されることになる送受信機の1つに提供される。
【0019】
1つの実施形態では、ダウンコンバータは、周波数シンセサイザからLO信号を受信してLO信号に基づいてLOIQ信号を生成するLOIQ生成器と、LOIQ生成器に結合されたダウンコンバートミキサとを含む。ダウンコンバートミキサは、送受信機から受信された第2のRF信号及びLOIQ信号に基づいて、IFIQ信号を生成するよう構成されている。ダウンコンバータは更に、ダウンコンバートミキサから受信されたIFIQ信号に基づいて第2のIF信号を生成するIFIQコンバイナを含む。1つの実施形態では、ダウンコンバータは更に、ダウンコンバートミキサと送受信機との間に結合されたパワーコンバイナを含む。パワーコンバイナは、送受信機から受信された第2のRFサブ信号を組み合わせて第2のRF信号を生成するよう構成され、各第2のRFサブ信号が送受信機の1つに対応する。ダウンコンバータは更に、IFIQコンバイナとダウンコンバートミキサの間に結合されてIFIQ信号を増幅するIF増幅器を含む。
【0020】
1つの実施形態では、送受信機の各々は、RF信号を第1のリモートデバイスに送信する送信機と、第2のリモートデバイスからRF信号を受信する受信機と、所与の時点において送信機又は受信機をアンテナの1つに結合するよう構成されたスイッチとを含み、アンテナの各々が送受信機の1つに対応する。
【0021】
本発明の更なる態様によれば、RFフロントエンドICデバイスは、クロック信号に基づいてLO信号を生成するPLL回路及びLOバッファを有する周波数シンセサイザと、モデム又はベースバンドプロセッサから第1のIF信号を受信して第1のIFIQ信号を生成するIFIQ生成器と、第2のIFIQ信号に基づいて第2のIF信号を生成するIFIQコンバイナとを含む。第2のIF信号は、モデム又はベースバンドプロセッサによって処理されることになる。RFフロントエンドICデバイスは更に、周波数シンセサイザに結合された幾つかの送受信機を含む。送受信機の各々は、予め決められた周波数帯域内で振幅及び位相シフト設定の1つに従ってRF信号を送信及び受信するよう構成されたRFチャネルの1つに関連付けられる。
【0022】
1つの実施形態では、送受信機の各々は、周波数シンセサイザに結合されて、LO信号を用いて第1のIFIQ信号を、第1のリモートデバイスに送信されることになる第1のRF信号にアップコンバートする送信機を含む。各送受信機は更に、周波数シンセサイザに結合されて、LO信号を用いて第2のリモートデバイスから受信された第2のRF信号を、第2のIFIQ信号にダウンコンバートする受信機を含む。送受信機、周波数シンセサイザ、IFIQ生成器、及びIFIQコンバイナは単一ICチップ内に組み込まれる。
【0023】
1つの実施形態では、送信機は、周波数シンセサイザからLO信号を受信して予め決められたシフト位相に従ってLO信号をシフトする位相シフタと、位相シフトされたLO信号に基づいてLOIQ信号を生成するLOIQ生成器と、モデム又はベースバンドプロセッサから受信された第1の中間周波数(IF)信号及びLOIQ信号に基づいて第1のRF信号を生成するアップコンバートミキサとを含む。
【0024】
1つの実施形態では、受信機は、周波数シンセサイザからLO信号を受信して予め決められたシフト位相に従ってLO信号をシフトする位相シフタと、位相シフトされたLO信号に基づいてLOIQ信号を生成するLOIQ生成器と、第2のRF信号及びLOIQ信号に基づいて第2のIFIQ信号を生成するダウンコンバートミキサとを含む。1つの実施形態では、送受信機の各々は更に、送信機及び受信機に結合されたスイッチを含む。スイッチは、所与の時点で送信機又は受信機を対応する送受信機に関連付けられたアンテナに結合するよう構成されている。
【0025】
図1は、本発明の1つの実施形態による無線通信デバイスの実施例を示すブロック図である。
図1を参照すると、単に無線デバイスとも呼ばれる無線通信デバイス100は、とりわけ、mm波フロントエンドモジュール101(単にRFフロントエンドモジュールとも呼ばれる)及びモデム又はベースバンドプロセッサ102を含む。モデムは、IF-ベースバンド周波数(IF/BF)ダウンコンバータ、BF/IFアップコンバータ、及びベースバンドプロセッサ(例えば、デジタル処理プロセッサ又はDSP)を含むことができる。無線デバイス100は、例えば、移動電話、ラップトップ、タブレット、ネットワークアプライアンスデバイス(例えば、もののインターネット又はIOTアプライアンスデバイス)など、何れかの種類の無線通信デバイスとすることができる。或いは、無線デバイス100は、基地局又はセルラータワー、その他を表すことができる。
【0026】
無線受信機回路では、mm波RFフロントエンドなどのRFフロントエンドは、アンテナまで及びミキサステージを含む回路の全てに対する一般的な用語である。これは、信号がより低い中間周波数にコンバートされる前に、オリジナルの着信RF周波数の信号を処理する受信機における全ての構成要素からなる。マイクロ波及び衛星受信機では、これは低雑音ブロック(LNB)又は低雑音ダウンコンバータ(LND)と呼ばれることが多く、多くの場合アンテナ又はアンテナ近くに位置付けられ、これによってアンテナからの信号をより処理がしやすい中間周波数で受信機の残りに転送することができるようになる。ベースバンドプロセッサは、無線機能の全て(アンテナを必要とする全機能)を管理するネットワークインタフェースのデバイス(チップ又はチップの一部)である。
【0027】
1つの実施形態では、RFフロントエンドモジュール101は、RF送受信機(例えば、mm波RF送受信機)のアレイを含む。RF送受信機の各々は、幾つかのmm波アンテナの1つを介して特定の周波数帯域(例えば、非オーバーラップ周波数レンジなどの周波数の特定の範囲)内でコヒーレントRF信号(例えばmm波信号)を送信及び受信する。mm波技術では、MM波は、30GHzから300GHzの範囲の周波数スペクトラムを占める。フロントエンドICチップ101は更に、RF送受信機に結合された全帯域又は広帯域周波数シンセサイザを含む。広帯域周波数シンセサイザは、ローカル発振器(LO)信号を生成し、これをRF送受信機の各々に提供して、RF送受信機が広周波数帯域(例えば、24-43GHz)内でRF信号をミックス、変調、及び/又は復調するのを可能にする。RF送受信機のアレイ及び広帯域周波数シンセサイザは、単一のRFフロントエンドICチップ又はパッケージとして単一のICチップ内に統合することができる。
【0028】
単に例証の目的で、mm波フロントエンドモジュールは、RFフロントエンドモジュールの実施例として用いられる点に留意されたい。同様に、mm波送受信機は、RF送受信機の実施例として用いられる。しかしながら、本出願全体に記載される技術は、他の周波数スペクトラム又は周波数帯域における他のRF回路にも適用可能とすることができる。
【0029】
図2は、本発明の1つの実施形態によるRFフロントエンド集積回路の実施例を示すブロック図である。RFフロントエンドICデバイス101は、mm波フロントエンドICデバイスとすることができる。
図2を参照すると、RFフロントエンド101は、とりわけ、RF送受信機211-213のアレイに結合された広帯域又は全帯域周波数シンセサイザ200を含む。RF送受信機211-213の各々は、mm波アンテナ221-223の1つを介して可変の振幅及び位相シフトを備えたmm波信号などのコヒーレントRF信号を送信及び受信するよう構成されている。送受信機221-223の各々に対して適正な振幅及び位相シフト設定を提供することによって、送受信機アレイ全体が、1又は複数のビームを所望の方向(ビーム方向、又は放射角もしくは放射方向とも呼ばれる)に誘導することができる。1つの実施形態では、送受信機211-213の各々は、広帯域周波数シンセサイザ200からLO信号を受信するよう構成されている。LO信号は、特定の周波数帯域(例えば、24-43GHz帯域)に対して生成される。LO信号は、対応する周波数帯域内でmm波信号を送信及び受信する目的で、送受信機221-223の各々によってミックス、変調、復調するのに用いられる。
【0030】
或いは、RF送受信機221-223の各々は、非オーバーラップ又は最小オーバーラップ周波数レンジなどの異なる周波数帯域に関連付けることができる。各送受信機は、周波数シンセサイザ200によって生成される対応する周波数帯域に対する特定のLO信号を用いて対応する周波数帯域内でRF信号を送信及び受信するよう構成されている。
【0031】
図3は、本発明の1つの実施形態によるRFフロントエンド集積回路の実施例を示すブロック図である。RFフロントエンドICデバイス300は、
図2のRFフロントエンドICデバイス101を表すことができる。
図3を参照すると、1つの実施形態では、RFフロントエンドICデバイス300は、周波数シンセサイザ200と、総称して送受信機301と呼ばれるRF送受信機301A-301Bのアレイとを含む。2つのRF送受信機301A-301Bが図示されているが、より多くのRF送受信機を含めることもできる。周波数シンセサイザ200は、送受信機301の各々に対するLO信号を生成して、各送受信機が、リモートデバイスに送信しリモートデバイスから受信されることになるキャリア周波数信号へのRF信号の変調、及びキャリア周波数信号からのRF信号の復調を可能にするよう構成されている。送受信機301の各々は、アンテナ302A-302B(総称してアンテナ302と呼ばれる)などのアンテナに関連付けられる。アンテナ302は、特定のビーム方向又は角度に従ってRF信号を送信及び受信することができる移動デバイスの様々な位置に位置付けることができる。
【0032】
この実施形態では、RFフロントエンドICデバイス300は、予め決められた周波数帯域内で第1のRF振幅及び位相シフト設定に従って第1のRFチャネルに関連付けられたRF信号を送信及び受信する第1の送受信機301Aを含む。RFフロントエンドICデバイス300は更に、予め決められた周波数帯域内で第2のRF振幅及び位相シフト設定に従って第2のRFチャネルに関連付けられたRF信号を送信及び受信する第2の送受信機301Bを含む。第2のRF振幅及び位相シフト設定は、第1のRF振幅及び位相シフト設定とは異なるものとすることができる。RFフロントエンドICデバイス300は更に、第1の送受信機301A及び第2の送受信機301Bに結合されて、広周波数スペクトラムにおける周波数同期を実行する周波数シンセサイザ200を含む。周波数シンセサイザ200は、第1の送受信機301A及び第2の送受信機301Bに対するLO信号を生成して、第1の送受信機301A及び第2の送受信機301Bが第1のRFチャネル及び第2のRFチャネルそれぞれに関連付けられたRF信号を送信及び受信するのを可能にする。第1の送受信機301A、第2の送受信機301B、及び周波数シンセサイザ200は、単一のICチップ300内に組み込まれる。
【0033】
1つの実施形態によれば、第1のRFチャネルに関連付けられたRF信号は、第1のRF振幅及び位相シフト設定に従って放射及び受信するよう構成された第1のアンテナ302Aを介して送信及び受信されることになり、第2のRFチャネルに関連付けられたRF信号は、第2のRF振幅及び位相シフト設定に従って放射及び受信するよう構成された第2のアンテナ302Bを介して送信及び受信されることになる。アンテナ302がRFフロントエンドICデバイス300の一部でなくても良い点に留意されたい。
【0034】
1つの実施形態では、第1の送受信機301A及び第2の送受信機301Bの各々は、第1のRF信号を第1のリモートデバイスに送信する送信機(例えば、総称して送信機303と呼ばれる送信機303A-303B)と、第2のリモートデバイスから第2のRF信号を受信する受信機(例えば、総称して受信機304と呼ばれる受信機304A-304B)と、送信機及び受信機に結合されたスイッチ(例えば、総称してスイッチ306と呼ばれるスイッチ306A-306B)とを含む。スイッチは、所与の時点で送受信機に関連付けられたアンテナに送信機又は受信機を結合するよう構成されている。すなわち、何れかの所与の時点では、送信機又は受信機の1つだけを対応するアンテナに結合することができる。
【0035】
1つの実施形態では、送信機303の各々は、モデム又はベースバンドプロセッサから受信されたIF信号に基づいてIFIQ信号を生成する、IFIQ生成器311A-311Bなどの第1のIFIQ生成器を含む。各送信機は更に、周波数シンセサイザ200から受信されたLO信号に基づいてLOIQ信号を生成する第1のLOIQ生成器(例えば、LOIQ生成器314A-314B)を含む。各送信機は更に、第1のIFIQ生成器及び第1のLOIQ生成器に結合され、IFIQ信号及びLOIQ信号に基づいて第1のRF信号を生成する第1のミキサ(例えば、総称してアップコンバートミキサ313と呼ばれるミキサ313A-313B)を含む。
【0036】
1つの実施形態では、送受信機301の各々は更に、第1のIFIQ生成器及び第1のミキサに結合された第1のIF増幅器(例えば、総称して複数のIF増幅器又は増幅器312と呼ばれるIF増幅器312A-312B)を含む。第1のIF増幅器は、IFIQ信号を増幅し、増幅したIFIQ信号を第1のミキサに提供するよう構成されている。送受信機301の各々は更に、第1のミキサに結合されて第1のミキサから受信された第1のRF信号を増幅する第1の広帯域増幅器(例えば、総称して広帯域又は複数のRF増幅器又は増幅器315と呼ばれる広帯域又はRF増幅器315A-315B)を含む。
【0037】
1つの実施形態では、受信機304の各々は、第2のRF信号を受信するよう構成された第2の広帯域増幅器(例えば、総称して複数のRF増幅器又は増幅器321と呼ばれるRF増幅器321A-321B)を含む。各受信機は更に、周波数シンセサイザ200から受信されたLO信号に基づいてLOIQ信号を生成する第2のLOIQ生成器(例えば、総称してLOIQ生成器323と呼ばれるLOIQ生成器323A-323B)を含む。各受信機は更に、第2の広帯域増幅器及び第2のLOIQ生成器に結合された第2のミキサ(例えば、総称してダウンコンバートミキサ322と呼ばれるミキサ322A-322B)を含む。第2のミキサは、増幅された第2のRF信号及びLOIQ信号に基づいてIFIQ信号を生成するよう構成されている。各受信機は更に、第2のミキサに結合されて第2のミキサからのIFIQ信号を受信及び増幅する第4のIF増幅器(例えば、総称して複数のIF増幅器又は増幅器324と呼ばれるIF増幅器324A-324B)を含む。各受信機は更に、第4のIF増幅器に結合されてIFIQ信号に基づいて組合せIF信号を生成するIFIQコンバイナ(例えば、総称してIFIQコンバイナ325と呼ばれるIFIQコンバイナ325A-325B)を含む。
【0038】
1つの実施形態では、周波数シンセサイザ200は、クロック基準信号に基づいて予め決められた周波数帯域に関連付けられたLO信号を生成する位相ロックループ(PLL)回路231と、PLL回路に結合されて、LO信号から生じた第1のLO信号及び第2のLO信号を第1の送受信機及び第2の送受信機それぞれにバッファ及び提供するLOバッファデバイス232と、を含む。
【0039】
PLLは、位相が入力信号の位相に関係する出力信号を生成する制御システムである。幾つかの異なるタイプが存在するが、可変周波数発振器及び位相検出器からなる電子回路として最初に視覚化することが容易である。この発振器は、周期信号を生成し、位相検出器がこの信号の位相と入力周期信号の位相とを比較して、位相が一致するように発振器を調節する。出力信号を比較のため入力信号に戻すことは、出力が入力に向けて「フィードバック」されてループを形成するので、フィードバックループと呼ばれる。入力及び出力位相をロックステップにて維持することはまた、入力及び出力周波数を同じに維持することを意味する。この結果、同期信号に加えて、位相ロックループが入力周波数を追跡することができ、又は入力周波数の倍数である周波数を生成することができる。これらの特性は、コンピュータクロック同期、復調、及び周波数合成に用いられる。位相ロックループは、ラジオ、テレコミュニケーション、コンピュータ及び他の電子アプリケーションに広く用いられる。これらを用いて、信号を復調すること、ノイズの多い通信チャネルから信号を回復すること、入力周波数の倍数で安定した周波数を生成すること(周波数合成)、又はマイクロプロセッサなどのデジタル論理回路において時間クロックパルスを正確に分配することができる。
【0040】
図4は、1つの実施形態による送信機の実施例を示す概略図である。送信機400は、
図3の送信機300のように、上述の送受信機の何れかの送信機の何れかを表すことができる。
図4を参照すると、送信機400は、IFIQ生成器411、IF増幅器412A及びIF増幅器412Bを有するIF増幅器412、ミキサ413、LOIQ生成器414、RF増幅器415、及び位相ローテーター又は位相シフタ420を含む。
【0041】
1つの実施形態では、IF増幅器412は、第2のIF増幅器412A及び第3のIF増幅器412Bを含む、IF増幅器312を表すことができる。IFIQ生成器411は、同相(I経路とも呼ばれる)IF信号及び直角位相(Q経路とも呼ばれる)IF信号を生成するよう構成されている。I経路IF信号及びQ経路IF信号は次に、IF増幅器412A-412BなどのそれぞれのIF増幅器によって増幅される。1つの実施形態では、LOIQ生成器414は、I経路信号及びQ経路信号を生成するよう構成されている。
【0042】
I経路LO信号及びQ経路LO信号は、位相ローテーター420によって位相シフトすることができる。位相ローテーター420は、I経路LO信号の位相をシフトする第1の位相ローテーターと、Q経路LO信号の位相をシフトする第2の位相ローテーターとを含むことができる。1つの実施形態では、I経路IF信号及びQ経路IF信号は、I経路LO信号及びQ経路LO信号それぞれとミックスされ、アップコンバートミキサ413によってIFからRFにアップコンバートされてRF信号を生成する。RF信号は、RF増幅器415によって増幅されて、関連のアンテナを介してリモートデバイスに送信することができる。
【0043】
図5は、1つの実施形態による受信機の1つの実施例を示す概略図である。受信機500は、
図3の受信機304のように、上述の送受信機の何れかの受信機の何れかを表すことができる。
図5を参照すると、1つの実施形態では、受信機500は、位相ローテーター又はシフタ520、RF増幅器521、ダウンコンバートミキサ522、LOIQ生成器523、IF増幅器424A及びIF増幅器424Bを有するIF増幅器524、並びにIFIQコンバイナ525を含む。
【0044】
1つの実施形態では、LOIQ生成器523は、LO信号を生成するか、又は周波数シンセサイザ(例えば、周波数シンセサイザ200)から受信されたLO信号をI経路LO信号及びQ経路LO信号に分割する。I経路LO信号及びQ経路LO信号は、位相ローテーター又は位相シフタ520によって位相をシフト又は回転させることができる。位相ローテーター520は、I経路LO信号をシフトする第1の位相ローテーターと、Q経路LO信号をシフトする第2の位相ローテーターとを含むことができる。アンテナから受信されたRF信号は、RF増幅器521によって増幅されて、シフトされたI経路LO信号及びシフトされたQ経路LO信号とミックスされ、ダウンコンバートミキサ522によってRFからIFにダウンコンバートされ、I経路IF信号及びQ経路IF信号を生成することができる。I経路IF信号及びQ経路IF信号は次に、IF増幅器524A-524Bそれぞれによって増幅される。増幅されたI経路IF信号及びQ経路IF信号は次に、IFIQコンバイナ525によって組み合わされて、モデム又はベースバンドプロセッサによって処理されることになるIF信号を生成し、ここでIF信号は、同相成分と直角位相成分の両方を有する。
【0045】
再度
図3を参照すると、この実施形態では、送受信機301の各々は、同じ周波数又は同じ周波数帯域内でRF信号を送信及び受信するよう構成されている。しかしながら、送受信機301の各々は、様々な振幅及び位相シフト設定を備えたRF信号を送信及び受信するよう構成される。アンテナ302の各々は、1つのRF送受信機に接続され、予め決められたビーム方向でRF信号を送信又は受信する。
【0046】
この実施形態では、送受信機301の各々は、送受信機固有のIFIQ生成器/コンバイナ、アップ/ダウンコンバートミキサ、及びLOIQ生成器を含む。具体的には、各送受信機の各送信機は、送信機固有のIFIQ生成器、アップコンバートミキサ、及びLOIQ生成器を含む。各送受信機の各受信機は、受信機固有のIFIQコンバイナ、ダウンコンバートミキサ、及びLOIQ生成器を含む。次に、受信機によってダウンコンバート及び処理されたIF信号のストリームは、例えばデジタル領域で、モデム又はベースバンドプロセッサによって処理される。様々な振幅及び位相のIF信号は更に、BF信号にダウンコンバートすることができ、これは、BF信号を振幅及び位相補償と組み合わせることによってデジタルプロセッサによって処理されて、BF信号の強度又は振幅をブーストすることができる。或いは、振幅及び位相補償は、IF信号がBF信号にダウンコンバートされる前にIFレベルで実行することができる。
【0047】
図6は、別の実施形態によるRFフロントエンドICデバイスの1つの実施例を示す概略図である。RFフロントエンドICデバイス600は、上述のようにRFフロントエンドICデバイス101を表すことができる。1つの実施形態では、RFフロントエンドICデバイス600は、送受信機301のアレイを含み、送受信機301の各々がRFチャネルの1つに対応する。RF送受信機301の各々は、予め決められた周波数帯域内でそれぞれのビーム方向に従ってRF信号を送信及び受信するよう構成された位相シフタを含む。RFフロントエンドICデバイスは更に、送受信機301の各々に結合されて広周波数スペクトラムにおける周波数同期を実行する周波数シンセサイザ200を含む。周波数シンセサイザ200は、送受信機301の各々に対するLO信号を生成し、送受信機301の各々が、送受信機のそれぞれのRFチャネル内でRF信号を送信及び受信するのを可能にする。
【0048】
RFフロントエンドICデバイス600は更に、送受信機301の各々及び周波数シンセサイザ200に結合されたアップコンバータ601を含む。アップコンバータ601は、LO信号に基づく第1のIF信号を、送受信機301によって送信されることになる第1のRF信号にアップコンバートするよう構成されている。RFフロントエンドICデバイス600は更に、送受信機301の各々及び周波数シンセサイザ200に結合されたダウンコンバータ602を含む。ダウンコンバータ602は、LO信号に基づいて送受信機301から受信された第2のRF信号を、第2のIF信号にダウンコンバートするよう構成されている。送受信機301のアレイ、周波数シンセサイザ200、アップコンバータ601、及びダウンコンバータ602は、単一のICチップ内に組み込まれる。
【0049】
1つの実施形態では、アップコンバータ601は、第1のIF信号を受信するIFIQ生成器311と、周波数シンセサイザ200からLO信号を受信してLO信号に基づいてLOIQ信号を生成するLOIQ生成器314と、IFIQ生成器311及びLOIQ生成器314に結合されたアップコンバートミキサ313とを含む。アップコンバートミキサ313は、第1のIF信号及びLOIQ信号に基づいて第1のRF信号を生成するよう構成されている。1つの実施形態では、アップコンバータ601は更に、IFIQ生成器311とアップコンバートミキサ313の間に結合されて第1のIF信号を増幅するIF増幅器312を含む。アップコンバータ601は更に、アップコンバートミキサ313に結合されて第1のRF信号を幾つかの第1のRFサブ信号に分割するパワー分割器603を含み、ここで各第1のRFサブ信号は、送信されることになる送受信機301の1つに提供される。
【0050】
1つの実施形態では、ダウンコンバータ602は、周波数シンセサイザ200からLO信号を受信してLO信号に基づいてLOIQ信号を生成するLOIQ生成器323と、LOIQ生成器323に結合されたダウンコンバートミキサ322とを含む。ダウンコンバートミキサ322は、送受信機301から受信された第2のRF信号及びLOIQ信号に基づいてIFIQ信号を生成するよう構成されている。ダウンコンバータ602は更に、ダウンコンバートミキサ323から受信されたIFIQ信号に基づいて第2のIF信号を生成するIFIQコンバイナ325を含む。1つの実施形態では、ダウンコンバータ602は更に、ダウンコンバートミキサ322と送受信機301の間に結合されたパワーコンバイナ604を含む。パワーコンバイナ604は、送受信機301から受信された第2のRFサブ信号を組み合わせて第2のRF信号を生成するよう構成され、各第2のRFサブ信号が送受信機301の1つに対応する。ダウンコンバータ602は更に、IFIQコンバイナ325とダウンコンバートミキサ322の間に結合されて、IFIQ信号を増幅するIF増幅器324を含む。
【0051】
1つの実施形態では、送受信機301の各々は、第1のリモートデバイスにRF信号を送信する送信機(例えば、送信機303)と、第2のリモートデバイスからRF信号を受信する受信機(例えば、受信機304)と、所与の時点において送信機又は受信機をアンテナ302の1つに結合するよう構成されたスイッチ(例えば、スイッチ306)とを含む。アンテナの各々は送受信機301の1つに対応する。
【0052】
1つの実施形態によれば、
図3のRFフロントエンドICデバイス300と同様に、RFフロントエンドICデバイス600は、送受信機301A-301Bのアレイに結合された広帯域周波数シンセサイザ200を含む。送受信機301の各々は、送信機(例えば、送信機303)及び受信機(例えば、受信機304)を含む。しかしながら、この実施形態では、IFIQ生成器/コンバイナ、アップ/ダウンコンバートミキサ、及びLOIQ生成器が、送受信機301の送信機303又は受信機304から取り除かれている。1つの実施形態では、アップコンバータ601及びダウンコンバータ602は、送受信機301の全てによって用いられ共有される。アップコンバータ601は、IFIQ生成器と、アップコンバートミキサと、LOIQ生成器とを含み、これらの機能及び/又は作動は、上述したものと同一又は類似する。ダウンコンバータ602は、LOIQ生成器と、ダウンコンバートミキサと、IFIQコンバイナとを含み、これらの機能及び/又は作動は、上述したものと同一又は類似する。
【0053】
送信経路上では、1つの実施形態において、アップコンバータ601は、上述のように、IFIQ生成器311と、IF増幅器312と、アップコンバートミキサ313と、LOIQ生成器314とを含む。加えて、アップコンバータ601は更に、パワー分割器603、この実施例ではN方向パワー分割器を含む。パワー分割器603は、ミキサ313からRF信号を受信して、RFサブ信号と呼ばれる低パワーを有する幾つかのRF信号(例えば、ミキサ313から受信された元の信号パワーの1/N、ここでNは送信機313の数を表す)に分割するよう構成されている。RFサブ信号は次に、処理される送信機303にフィードされる。
【0054】
1つの実施形態によれば、送信機303の各々は、位相シフタ(例えば、総称して位相シフタ611と呼ばれる位相シフタ611A-611B)を含む。
図4-5の位相ローテーター420及び520と同様に、位相シフタは、所望の方向に生成されるRFビームなどの信号をシフトするよう構成されている。加えて、送信機303の各々は、可変利得増幅器(例えば、総称して可変利得増幅器612と呼ばれる可変利得増幅器612A-612B)を含むことができる。可変利得増幅器612は、位相シフタ611による位相シフト作動に起因した振幅変動を補償するよう構成されている。1つの実施形態では、特定のシフト位相に応答して、可変利得増幅器612は、位相シフトに基づいてルックアップテーブル(図示せず)においてルックアップし、振幅補償に対する可変利得増幅器612の利得を調節するよう構成されている。
【0055】
受信経路において、1つの実施形態では、ダウンコンバータ602は、ダウンコンバートミキサ322と、LOIQ生成器323と、IF増幅器324と、IFIQコンバイナ325とを含む。ダウンコンバートミキサ322、LOIQ生成器323、IF増幅器324、及びIFIQコンバイナ325の機能及び作動は、上述されたものと同一又は類似する。加えて、ダウンコンバータ602はパワーコンバイナ604を含む。この実施形態では、パワーコンバイナ604は、例えば、RF信号のパワー全てを互いに加算することによって受信機304の全てからのRF信号を組み合わせて信号強度をブーストするよう構成されている。
【0056】
1つの実施形態によれば、受信機304の各々は、位相シフタ(例えば、総称して位相シフタ613と呼ばれる位相シフタ613A-613B)を含む。位相シフタ613の機能及び作動は、位相シフタ611と同一又は類似する。受信機304の各々は更に、可変利得増幅器(例えば、総称して可変利得増幅器614と呼ばれる可変利得増幅器614A-614B)を含むことができる。可変利得増幅器614の機能又は作動は、可変利得増幅器612と同一又は類似する。
【0057】
この実施形態では、
図3に示した構成と比較すると、アップコンバータ601及びダウンコンバータ602の機能が送受信機301から取り除かれ全ての送受信機301によって共有されているので、RFフロントエンドICデバイスの物理的サイズ及びDCパワー消費を低減することができる。しかしながら、可変利得増幅器612によって実行されるルックアップ作動が遅延をもたらす可能性があり、特定の状況に応じてRFフロントエンドICデバイスのビームスイッチング性能に影響を与えることがある。加えて、
図3に示した構成は、デジタル領域で同時に複数のビームを送信又は受信(マルチ入力-マルチ出力(MIMO)作動)することができるが、
図6に示した構成は所与の時間に1つのビームしか送信又は受信することができない。
【0058】
図7は、別の実施形態によるRFフロントエンドICデバイスの実施例を示す概略図である。RFフロントエンドICデバイス700は、RFフロントエンドICデバイス101を表すことができる。1つの実施形態によれば、RFフロントエンドICデバイス700は、クロック信号に基づいてLO信号を生成するためのPLL回路及びLOバッファを有する周波数シンセサイザ200と、モデム又はベースバンドプロセッサから第1のIF信号を受信して第1のIFIQ信号を生成するIFIQ生成器311と、第2のIFIQ信号に基づいてモデム又はベースバンドプロセッサによって処理される第2のIF信号を生成するIFIQコンバイナ325と、を含む。RFフロントエンドICデバイス700は更に、周波数シンセサイザ200に結合された幾つかの送受信機301を含む。送受信機301の各々は、予め決められた周波数帯域(例えば、24-43GHz)内で振幅及び位相シフト設定の1つに従ってRF信号を送信及び受信するよう構成されたRFチャネルの1つに関連付けられる。
【0059】
1つの実施形態では、送受信機301の各々は、周波数シンセサイザ200に結合されて、LO信号を用いる第1のIFIQ信号を第1のリモートデバイスに送信されることになる第1のRF信号にアップコンバートする送信機(例えば、送信機303)と、周波数シンセサイザ200に結合されて、LO信号を用いる第2のリモートデバイスから受信された第2のRF信号を第2のIFIQ信号にダウンコンバートする受信機(例えば、受信機304)とを含む。送受信機301、周波数シンセサイザ200、IFIQ生成器311、及びIFIQコンバイナ325は、単一のICチップ内に組み込むことができる。
【0060】
1つの実施形態では、送信機303は、周波数シンセサイザ200からLO信号を受信して予め決められた位相シフトに従ってLO信号をシフトする位相シフタ611と、位相シフトされたLO信号に基づいてLOIQ信号を生成するLOIQ生成器314と、モデム又はベースバンドプロセッサから受信された第1の中間周波数(IF)信号及びLOIQ信号に基づいて第1のRF信号を生成するアップコンバートミキサ313とを含む。
【0061】
1つの実施形態では、受信機304は、周波数シンセサイザ200からLO信号を受信して予め決められた位相シフトに従ってLO信号をシフトする位相シフタ613と、位相シフトされたLO信号に基づいてLOIQ信号を生成するLOIQ生成器323と、第2のRF信号及びLOIQ信号に基づいて第2のIFIQ信号を生成するダウンコンバートミキサ322とを含む。
【0062】
この実施形態では、一般的にはLO信号が十分大きい限り、ミキサ313及び322の変換利得はLO信号振幅によって影響を受けないので、位相シフタ611及び613の利得変動は、ミキサ313及び322の変換利得に影響を与えないようにすることができる。この結果、可変利得増幅器612及び614は、任意選択的とすることができる。しかしながら、他方では、送信機303及び受信機304の各々がミキサを含むので、各送信機及び受信機の消費電力は、
図6の構成と比較して高くなる可能性がある。
【0063】
従って、特定の応用及び/又はICレイアウト制限に応じて、
図3及び6-7に示した様々な実施形態を利用することができる。
図3に示したRFフロントエンドICデバイス300は、全ての中で最良の融通性を有することができる。RFフロントエンドICデバイス300はまた、各送受信機チャネルのIF信号をデジタル領域で処理することによって複数のビームを同時にサポートする。しかしながら、RFフロントエンドICデバイス300は、最大のフットプリント又はサイズ及びPC消費電力を必要とする可能性がある。
図6に示したRFフロントエンドICデバイス600は、チップの最小フットプリント又はサイズ及びPC消費電力を有することができる。しかしながら、RFフロントエンドICデバイス600は、特定の方向のビームを形成する時に振幅及び位相シフト設定の2次元較正を必要とする場合があり、ビームスイッチング中の高遅延につながる可能性がある。
図7に示したRFフロントエンドICデバイス700は、DC消費電力及びICチップのサイズの点で、RFフロントエンドICデバイス300とRFフロントエンドICデバイス600の間にある。
【0064】
上述の明細書において、本発明の実施形態について、本発明の特定の例示的な実施形態を参照して説明してきた。添付の請求項に記載される本発明の広範な精神及び範囲から逸脱することなく、様々な修正を行い得ることは明らかであろう。明細書及び図面は、従って、限定の意味ではなく例証の意味と見なされるものとする。
【符号の説明】
【0065】
200 広帯域周波数シンセサイザ
231 PPL
232 LOバッファ
300 RFフロントエンドICデバイス
301A 送受信機
301B 送受信機
302A アンテナ
302B アンテナ
303A 送信機1
303B 送信機N
304A 受信機1
304B 受信機N
306A スイッチ1
306B スイッチN
311A IF I/Q生成
311B IF I/Q生成
312A IF増幅器
312B IF増幅器
313A ミキサ
313B ミキサ
314A LO I/Q生成
314B LO I/Q生成
315A 広帯域又はRF増幅器
315B 広帯域又はRF増幅器
321A RF増幅器
321B RF増幅器
322A ミキサ
322B ミキサ
323A LO I/Q生成
323B LO I/Q生成
324A IF増幅器
324B IF増幅器
325A IF I/Qコンバイナ
325B IF I/Qコンバイナ
Reference CLK 基準クロック
Charge Pump チャージポンプ
Loop Filter ループフィルタ
Programmable Divider Chain プログラマブル分割器チェーン
TX IF In 1 TX IF入力1
RX IF Out 1 RX IF 出力1
TX IF In N TX IF 入力N
RX IF Out N RX IF 出力N