(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-02
(45)【発行日】2022-12-12
(54)【発明の名称】発電機
(51)【国際特許分類】
H02K 5/20 20060101AFI20221205BHJP
H02K 9/06 20060101ALI20221205BHJP
【FI】
H02K5/20
H02K9/06 C
(21)【出願番号】P 2021102365
(22)【出願日】2021-06-21
【審査請求日】2021-06-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000195959
【氏名又は名称】西芝電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】宮田 哲志
(72)【発明者】
【氏名】村田 智洋
【審査官】谿花 正由輝
(56)【参考文献】
【文献】実開昭57-186168(JP,U)
【文献】実開昭58-025554(JP,U)
【文献】特開平07-184349(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 5/20
H02K 9/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定子コイルが収められた固定子が、内側に固定されたフレームと、
前記固定子と空隙を介して対向する位置に設けられた、回転子鉄心に回転子コイルを巻回した回転子と、
前記回転子を軸方向中央部で支持する回転軸と、
前記回転軸を回転自在に支持する軸受と、
前記軸受を支持する軸受ブラケットと、
前記回転子と前記軸受の間の前記回転軸の軸上に設けられた、前記回転軸が回転することで、前記フレーム内で冷却風を導くためのファンと、
前記フレームの前記ファンと対向した位置に設けられた排気口と、
前記フレームの前記ファンと前記回転子を挟んで反対側の位置に設けられた吸気口とを有する発電機において、
前記フレームの内側に前記ファンが回転する空間を確保する部材を支持するための、前記
フレームの内周面と前記ファンとの間に
前記フレームとは別に設けられる構造部材を、前記回転軸に正対する面側の端部に前記回転軸の方向に対して斜めの面にした面取り部を形成して配置した発電機。
【請求項2】
複数の前記構造部材を、前記フレームの内周面に沿って間隔を設けて、前記回転軸に対して点対称に配置した、請求項1記載の発電機。
【請求項3】
固定子コイルが収められた固定子が、内側に固定されたフレームと、
前記固定子と空隙を介して対向する位置に設けられた、回転子鉄心に回転子コイルを巻回した回転子と、
前記回転子を軸方向中央部で支持する回転軸と、
前記回転軸を回転自在に支持する軸受と、
前記軸受を支持する軸受ブラケットと、
前記回転子と前記軸受の間の前記回転軸の軸上に設けられた、前記回転軸が回転することで、前記フレーム内で冷却風を導くためのファンと、
前記フレームの前記ファンと対向した位置に設けられた排気口と、
前記フレームの前記ファンと前記回転子を挟んで反対側の位置に設けられた吸気口とを有する発電機において、
前記フレームの内側に前記ファンが回転する空間を確保する部材を支持するための、前記
フレームの内周面と前記ファンとの間に
前記フレームとは別に設けられる構造部材を、前記ファンにより送られる冷却風が衝突する面が、冷却風の流れに沿うように斜めに配置した発電機。
【請求項4】
前記構造部材の冷却風が衝突する面の端部に、面取り部を形成した
請求項3記載の発電機。
【請求項5】
固定子コイルが収められた固定子が、内側に固定されたフレームと、
前記固定子と空隙を介して対向する位置に設けられた、回転子鉄心に回転子コイルを巻回した回転子と、
前記回転子を軸方向中央部で支持する回転軸と、
前記回転軸を回転自在に支持する軸受と、
前記軸受を支持する軸受ブラケットと、
前記回転子と前記軸受の間の前記回転軸の軸上に設けられた、前記回転軸が回転することで、前記フレーム内で冷却風を導くためのファンと、
前記フレームの前記ファンと対向した位置に設けられた排気口と、
前記フレームの前記ファンと前記回転子を挟んで反対側の位置に設けられた吸気口とを有する発電機において、
前記フレームの内側に前記ファンが回転する空間を確保する部材を支持するための、前記フレームの外周に沿って円筒形状に形成された構造部材を前記
フレームの内周面と前記ファンとの間に
前記フレームとは別に設け、前記構造部材の一部に冷却風を通過可能な冷却風排気口を形成した発電機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施の形態は、冷却構造を有する発電機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の発電機について図面を参照して説明する。
図5は、従来の発電機の構成を示す上半分を断面図によって示す外形図である。
図6は、
図5のA-A断面図である。
【0003】
発電機のフレーム1の内側には、固定子3が固定され配置される。固定子3は、磁性鋼板を軸方向に積層して形成された円筒状の固定子鉄心4の内径側周方向に四角形状で打ち抜かれた固定子スロットの中に四角形状断面を有するコイル素線を整列して束ね絶縁処理が施された固定子コイル5が収められる。
【0004】
固定子3の対向部には、エアギャップ16を介して、回転子6が設けられる。回転子6は、回転子鉄心7と回転子コイル8から構成される。回転子鉄心7は、固定子鉄心4と同様に、磁性鋼板を積層して形成される。回転子鉄心7は、回転子コイル8が巻回されている。
【0005】
回転子6は、回転軸9に嵌合等によって固定される。回転軸9は、フレーム1の軸方向端部の2箇所に設けられた軸受10により回転自在に支持される。軸受10は、軸受ブラケット15により支えられる。軸受ブラケット15は、フレーム1で支えられる。
【0006】
回転軸9には、回転子6と軸受10の間の軸上に、発電機内部を冷却するためのファン11が設けられる。フレーム1には、ファン11と対向する位置に排気口13を設け、また、回転子6を挟んで、ファン11と反対側位置に吸気口12を設ける。
【0007】
排気口13は、フレーム1の構成要素である棚板1aと棚板1bとにより支持される。棚板1aと棚板1bの間には、ファン11が回転する空間を確保して、棚板1aと棚板1bを支持するための構造部材であるリブ2が設けられる。リブ2は、排気口13とファン11との間に設けられ、発電機外周に沿って、等間隔で複数箇所(
図6では6箇所)に配置される。
【0008】
回転軸9の回転により、ファン11が回転することで、冷却風14が吸気口12から吸込まれる。吸気口12から吸込まれた冷却風14は、フレーム1と固定子3の間を流れる冷却風14aと、固定子3と回転子6の間を流れる冷却風14bに分かれて、熱源である固定子コイル5と、回転子コイル8をそれぞれ冷却する。発電機内部を冷却した冷却風14aと、固定子3と回転子6の間を通過した冷却風14cは、ファン11の回転により排気口13(発電機外周)側に送られる。冷却風14(14a,14c)は、発電機外周に沿って配置されたリブ2の間を通り、排気口13を通じて発電機外部に排気される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
近年、顧客に要求されている発電機の小型軽量化を図るために、固定子3や回転子6の大きさそのものを小さくする場合において、固定子コイル5と回転子コイル8から発生する銅損により発生する熱(ジュール熱)および固定子鉄心4と回転子鉄心7から発生する鉄損(渦電流損失)により発生する熱は、単位体積当たりでは増加するため、発電機の温度は従来に比べて上昇する。
【0011】
一方、固定子コイル5と回転子コイル8には電気的な短絡事故を防止するために、その周囲にフィルム状の薄い絶縁物を複数回巻くことにより絶縁処理が施されているが、この絶縁物がコイルや鉄心の材料である金属に比べ耐熱性が遥かに低い。
【0012】
そのため、固定子3および回転子コイル8の発電機周囲温度に対する温度上昇値は、専門機関により閾値として規格化されており、固定子3および回転子コイル8の温度上昇値が、閾値以下に抑えられるように発電機が設計、製造されることで、長期間に渡る安全性と健全性が担保されている。
【0013】
このように小型軽量化と安全性・健全性を保つことが相反する関係にある中で、発電機の専門メーカの間では様々な技術を駆使しながら日々発電機の小型軽量化が行われているのが実情である。
【0014】
図5及び
図6に示す従来の発電機では、ファン11が回転することで、冷却風14がリブ2の間を通り、排気口13から排気される構造となっている。
図6に示すように、リブ2は、断面形状が長方形(長方形断面)であり、長手方向(長辺)の面が回転軸9に正対する向きで配置され、棚板1aと棚板1bを支持する。
【0015】
このため、従来の発電機では、ファン11により排気口13側に送られる冷却風14がリブ2に衝突しやすく、リブ2が冷却風14の発電機外への排出を阻害してしまう。また、リブ2に衝突した冷却風14によってリブ2の周囲に渦が発生し、この渦がリブ2の間を通過する冷却風14の流れを乱して、冷却風14の効率的な排出の妨げとなってしまう。よって、発電機の小型軽量化を図るために、冷却風14を発電機外へ効率良く排気して、発電機内で発生する熱を外へ排出できることが望まれていた。
【0016】
本発明は、上記のような課題を解決するために成されたものであり、発電機内で発生する熱を効率良く排出することができる発電機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記課題を解決するために、請求項1に対応する発明による発電機は、固定子コイルが収められた固定子が、内側に固定されたフレームと、前記固定子と空隙を介して対向する位置に設けられた、回転子鉄心に回転子コイルを巻回した回転子と、前記回転子を軸方向中央部で支持する回転軸と、前記回転軸を回転自在に支持する軸受と、前記軸受を支持する軸受ブラケットと、前記回転子と前記軸受の間の前記回転軸の軸上に設けられた、前記回転軸が回転することで、前記フレーム内で冷却風を導くためのファンと、前記フレームの前記ファンと対向した位置に設けられた排気口と、前記フレームの前記ファンと前記回転子を挟んで反対側の位置に設けられた吸気口とを有する発電機において、前記フレームの内側に前記ファンが回転する空間を確保する部材を支持するための、前記フレームの内周面と前記ファンとの間に前記フレームとは別に設けられる構造部材を、前記回転軸に正対する面側の端部に前記回転軸の方向に対して斜めの面にした面取り部を形成して配置した。
請求項2記載の発電機は、複数の前記構造部材を、前記フレームの内周面に沿って間隔を設けて、前記回転軸に対して点対称に配置した。
【0018】
請求項3に対応する発明による発電機は、固定子コイルが収められた固定子が、内側に固定されたフレームと、前記固定子と空隙を介して対向する位置に設けられた、回転子鉄心に回転子コイルを巻回した回転子と、前記回転子を軸方向中央部で支持する回転軸と、前記回転軸を回転自在に支持する軸受と、前記軸受を支持する軸受ブラケットと、前記回転子と前記軸受の間の前記回転軸の軸上に設けられた、前記回転軸が回転することで、前記フレーム内で冷却風を導くためのファンと、前記フレームの前記ファンと対向した位置に設けられた排気口と、前記フレームの前記ファンと前記回転子を挟んで反対側の位置に設けられた吸気口とを有する発電機において、前記フレームの内側に前記ファンが回転する空間を確保する部材を支持するための、前記フレームの内周面と前記ファンとの間に前記フレームとは別に設けられる構造部材を、前記ファンにより送られる冷却風が衝突する面が、冷却風の流れに沿うように斜めに配置した。
【0019】
請求項4に対応する発明による発電機は、前記構造部材の冷却風が衝突する面の端部に、面取り部を形成した。
【0020】
請求項5に対応する発明による発電機は、固定子コイルが収められた固定子が、内側に固定されたフレームと、前記固定子と空隙を介して対向する位置に設けられた、回転子鉄心に回転子コイルを巻回した回転子と、前記回転子を軸方向中央部で支持する回転軸と、前記回転軸を回転自在に支持する軸受と、前記軸受を支持する軸受ブラケットと、前記回転子と前記軸受の間の前記回転軸の軸上に設けられた、前記回転軸が回転することで、前記フレーム内で冷却風を導くためのファンと、前記フレームの前記ファンと対向した位置に設けられた排気口と、前記フレームの前記ファンと前記回転子を挟んで反対側の位置に設けられた吸気口とを有する発電機において、前記フレームの内側に前記ファンが回転する空間を確保する部材を支持するための、前記フレームの外周に沿って円筒形状に形成された構造部材を前記フレームの内周面と前記ファンとの間に前記フレームとは別に設け、前記構造部材の一部に冷却風を通過可能な冷却風排気口を形成した。
【発明の効果】
【0021】
本発明では、発電機内で発生する熱を効率良く排出することができる発電機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の第1の実施の形態の発電機の構成を示す外形図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態について図を参照して説明する。
【0024】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態の発電機の構成を示す上半分を断面図によって示す外形図である。
図2は、
図1のB-B断面図である。
【0025】
図1及び
図2において、前述した
図5及び
図6に示す従来の発電機と同一の構成部については同一符号を付して詳細な説明を省略する。第1の実施の形態の発電機は、
図6に示す従来の発電機に設けられたリブ2に代えて、リブ2とは異なる形状のリブ2aを配置している。
【0026】
図6に示すリブ2は、断面形状を長方形としているが、第1の実施の形態におけるリブ2aは、
図2に示すように、
図6に示すリブ2の回転軸9に正対する面側の2箇所の角部を面取りすることにより断面形状を6角形にしている。すなわち、リブ2aは、冷却風14の流れに対する抵抗が少なくなるよう、ファン11側の回転軸9に正対する面の面積を小さくすると共に、正対する面の両端部に、回転軸9の方向に対して斜めの面にした面取り部を形成している。
【0027】
ファン11の回転によって排気口13側に送られる冷却風14は、リブ2aの正対面に衝突するが、従来のリブ2よりも正対する面の面積を小さくしているため阻害の程度を低減させることができる。また、冷却風14は、リブ2aの正対面に衝突した後、面取り部に沿うように流れる。このため、リブ2aの周囲における渦の発生が抑制される。このため、リブ2aの間を通過する冷却風14への干渉が低減され、冷却風14の流れが乱されにくくなり、冷却風14を効率よく発電機外へ排出することが可能となる。
【0028】
また、リブ2aは、棚板1aと棚板1bを支持するための構造部材としての役割を担っている。このため、リブ2aに形成する面取り部の大きさ(寸法)は、発電機の強度を最低限確保できる最大限の範囲内で形成する。これにより、発電機の構造上の強度を維持しつつ、冷却風14の発電機外への排気を効率良くすることができる。
【0029】
なお、
図2に示すリブ2aは、2箇所の面取り部分を同形状としているが、例えば、一方の面取り部分の方が大きい(面取り面積が広い)、あるいは面取りの角度が異なるなど、2箇所の面取り部分を異なる形状とすることも可能である。また、リブ2aには2箇所の面取り部分を設けるとしているが、1箇所にのみ面取り部分を設けるようにしても良い。
【0030】
さらに、
図2に示すリブ2aは、外周面が面取り部分を含めて全て平面に形成し、各面の接続部分に角部が形成されているが、各面の接続部分を曲面状に形成するようにしても良い。例えば、面取り部分の両端部分を曲面状に形成にする。これにより、リブ2aの正対面に衝突して、面取り部に沿うように流れる冷却風14の流れをスムーズにして渦の発生を低減させることができる。
【0031】
(第2の実施の形態)
本発明の第2の実施の形態の発電機は、
図1に示す第1の実施の形態の発電機の構成と基本的に同じものとして詳細な説明を省略する。第2の実施の形態の発電機は、
図2に示す従来の発電機に設けられたリブ2aに代えて、リブ2aとは異なる配置でリブ2bを設けている。
【0032】
図3は、本発明の第2の実施の形態における、
図1のB-B断面図である。
【0033】
図3に示すリブ2bは、
図6に示す構成と同様に断面形状を長方形とし、ファン11によって送られる冷却風14が衝突する長手方向(長辺)の面が、冷却風14の流れる方向に沿うように斜めに配置されている。
【0034】
図3に示すように、回転軸9が反時計回りに回転する場合、ファン11の回転によって排気口13側に送られる冷却風14は、
図3中の矢印に示すように、回転軸9の回転方向とは逆の時計回り方向に流れる。
【0035】
従って、リブ2bは、冷却風14が流れる方向側の長辺端部を排気口13側に傾けて、長方形断面の長手方向(長辺)の面が、ファン11の回転により送られる冷却風14と正対して衝突しないように配置される。
【0036】
これにより、ファン11の回転により送られる冷却風14は、リブ2bに衝突した後も渦の発生が抑制され、第1の実施の形態の発電機と同様にして効率よく発電機外へ排出される。
【0037】
なお、第1の実施の形態と第2の実施の形態を組み合わせて実施することも可能である。例えば、第1の実施の形態のリブ2aを第2の実施の形態のリブ2bと同様にして、冷却風14の流れる方向に沿うように斜めに配置する。
【0038】
(第3の実施の形態)
本発明の第3の実施の形態の発電機は、
図1に示す第1の実施の形態の発電機の構成と基本的に同じものとして詳細な説明を省略する。第3の実施の形態の発電機は、
図2に示すリブ2aに代えて、円筒形状に形成された板材2cを構造部材として設けている。
【0039】
図4は、本発明の第3の実施の形態における、
図1のB-B断面図である。
【0040】
板材2cは、フレーム1(発電機)の外周に沿った円筒形状に形成され、リブ2aと同様に、棚板1aと棚板1bの間に、ファン11が回転する空間を確保して、棚板1aと棚板1bを支持するための構造部材である。
【0041】
板材2cには、その一部に冷却風14を排気するための冷却風排気口17を設ける。例えば、板材2cの棚板1a側の端部には、冷却風14を通過可能とするために棚板1aとの間に空隙を設けて形成した冷却風排気口17と、棚板1aを支持するために棚板1aと固着される支持部18とが設けられる。
【0042】
図4に示す構成の場合、排気口13を発電機(フレーム1)の下部2/3程度の範囲に設けている。この場合、排気口13の範囲では、棚板1aと棚板1bを支持するための支持部18の範囲を、棚板1aと棚板1bとを支持する強度を確保する範囲内で少なくして、その他の大部分を冷却風排気口17として形成している。
【0043】
一方、排気口13の範囲外では、全体を支持部18として冷却風排気口17を設けていない。これにより、排気口13の範囲では支持部18が少ないことによる、棚板1aと棚板1bとを支持する強度の低下を補っている。
【0044】
なお、排気口13の範囲外(フレーム1の上部1/3の範囲)においても、冷却風排気口17を設けることも可能である。その場合、棚板1aと棚板1bとを支持する十分な強度を確保できるように、支持部18の範囲と位置が定められる。
【0045】
図4に示す構成の場合、ファン11の回転により排気口13側に送られる冷却風14は、リブのような風の流れを阻害する構造物に当たることなく、円筒形状の板材2cの内面まで到達する。板材2cの内面に到達した冷却風14は、内面の円筒形状に沿うように流れ、冷却風排気口17に到達することにより、冷却風排気口17から排気される。
【0046】
なお、
図4では、板材2cの棚板1a側に冷却風排気口17を設けるとしているが、棚板1b側に同様にして冷却風排気口17を設けても良いし、両側に冷却風排気口17を設けても良い。また、冷却風排気口17は、棚板1a,1b側の端部に設けるだけでなく、棚板1a,1bの間方向(軸方向)の間に設けることも可能である。
【0047】
このように、フレーム1の外周に沿って円筒形状に形成された板材2cを、棚板1aと棚板1bを支持する構造部材として配置し、板材2cに設けた冷却風排気口17から冷却風14を排気することで、ファン11の回転により送られる冷却風14に対する障害を排除することができ、効率よく発電機外へ冷却風14を排出することが可能となる。
【0048】
以上説明したように、本発明の各実施の形態における発電機では、フレーム1のファン11が回転する空間を確保するための構造部材(リブ2a,2b、板材2c)を、冷却風14の流れを阻害しにくいように配置することで、冷却風14を効率的に排気することができる。このため、発電機の小型、軽量化に伴って、固定子コイル5と回転子コイル8から発生する銅損により発生する熱(ジュール熱)および固定子鉄心4と回転子鉄心7から発生する鉄損(渦電流損失)により発生する熱が単位体積当たりで増加したとしても、熱を効率良く排出することができる。こうして冷却性能を向上することにより、発電機の小型、軽量化に伴う発熱についての課題を解決することができる。
【0049】
なお、本発明のいくつかの実施の形態を説明したが、これらの実施の形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施の形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施の形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0050】
1 フレーム
1a 棚板A
1b 棚板B
2,2a,2b リブ
2c 板材
3 固定子
4 固定子鉄心
5 固定子コイル
6 回転子
7 回転子鉄心
8 回転子コイル
9 回転軸
10 軸受
11 ファン
12 吸気口
13 排気口
14,14a,14b,14c 冷却風
15 軸受ブラケット
16 エアギャップ
17 冷却風排気口
18 支持部
【要約】
【課題】発電機内で発生する熱を効率良く排出することができる発電機を提供すること。
【解決手段】実施の形態によれば、発電機は、固定子コイルが収められた固定子が、内側に固定されたフレームと、固定子と空隙を介して対向する位置に設けられた、回転子鉄心に回転子コイルを巻回した回転子と、回転子を軸方向中央部で支持する回転軸と、回転軸を回転自在に支持する軸受と、軸受を支持する軸受ブラケットと、回転子と軸受の間の回転軸の軸上に設けられた、回転軸が回転することで、フレーム内で冷却風を導くためのファンと、フレームのファンと対向した位置に設けられた排気口と、フレームのファンと回転子を挟んで反対側の位置に設けられた吸気口とを有する発電機において、ファンが回転する空間を確保する部材を支持するための、排気口とファンとの間に設けられる構造部材を、回転軸に正対する面側の端部に回転軸の方向に対して斜めの面にした面取り部を形成して配置した。
【選択図】
図1