(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-02
(45)【発行日】2022-12-12
(54)【発明の名称】蒸気圧縮システム
(51)【国際特許分類】
F25B 1/00 20060101AFI20221205BHJP
F25B 39/02 20060101ALI20221205BHJP
【FI】
F25B1/00 101Z
F25B39/02 P
F25B1/00 304A
(21)【出願番号】P 2021500601
(86)(22)【出願日】2019-03-07
(86)【国際出願番号】 US2019021215
(87)【国際公開番号】W WO2020013894
(87)【国際公開日】2020-01-16
【審査請求日】2021-03-04
(32)【優先日】2018-07-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-10-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518010511
【氏名又は名称】ジョンソン コントロールズ テクノロジー カンパニー
【氏名又は名称原語表記】Johnson Controls Technology Company
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100188329
【氏名又は名称】田村 義行
(72)【発明者】
【氏名】シュライバー,ジェブ・ウィリアム
(72)【発明者】
【氏名】グラッドフェルター,セス・ケビン
(72)【発明者】
【氏名】クレブス,ケビン・ドナルド
【審査官】森山 拓哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-149782(JP,A)
【文献】米国特許第03242689(US,A)
【文献】米国特許第03191396(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 1/00
F25B 39/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸気圧縮システムであって、
蒸発器及び凝縮
器の液体収集部分を流体的に結合する第1の導管であって、前記凝縮器から前記蒸発器の第1の入口への冷媒の第1の流れを導くように構成される、第1の導管と、
前記蒸発器と前記凝縮
器の前記液体収集部分を流体的に結合する第2の導管であって、前記凝縮器から前記蒸発器の第2の入口への冷媒の第2の流れを、重力を介して導くように構成さ
れ、前記第1の入口が前記蒸発器の垂直寸法に対して前記第2の入口の上方に配置される、第2の導管と、
前記第2の導管に沿って配置された弁と、
前記凝縮器と前記蒸発器との間の圧力差を示すフィードバックに基づいて、前記弁の位置を調整するように構成されるコントローラと、
を備え
る、蒸気圧縮システム。
【請求項2】
前記凝縮器の前記液体収集部分は、前記冷媒を液相で含む、前記凝縮器の内部の一部を備える、請求項1に記載の蒸気圧縮システム。
【請求項3】
前記凝縮器と前記蒸発器との間の前記圧力差を示す前記フィードバックは、前記凝縮器の前記液体収集部分における液位を含む、請求項
1に記載の蒸気圧縮システム。
【請求項4】
前記コントローラは、前記凝縮器の前記液体収集部分における前記液位が閾値以上である場合に、前記弁の前記位置を開位置に向けて調整するように構成される、請求項
3に記載の蒸気圧縮システム。
【請求項5】
前記蒸発器を備え、前記蒸発器はハイブリッド流下液膜式蒸発器である、請求項1に記載の蒸気圧縮システム。
【請求項6】
前記第1の導管は、前記ハイブリッド流下液膜式蒸発器の上部に結合するように構成される、請求項
5に記載の蒸気圧縮システム。
【請求項7】
前記第2の導管は、前記ハイブリッド流下液膜式蒸発器の底部に結合するように構成される、請求項
6に記載の蒸気圧縮システム。
【請求項8】
前記弁は第1の弁であり、前記蒸気圧縮システムは前記第1の導管に沿って配置された
第2の弁を備える、請求項1に記載の蒸気圧縮システム。
【請求項9】
前記コントローラは、前記凝縮器の前記液体収集部分における液位が閾値以下である場合に、前記
第2の弁を閉位置に向けて調整するように構成され
る、請求項
8に記載の蒸気圧縮システム。
【請求項10】
蒸気圧縮システムであって、
前記蒸気圧縮システムの冷媒を受け取り、前記冷媒を第1の作動流体との熱交換関係に置くように構成される凝縮器と、
蒸発器であっ
て、前記冷媒を第2の作動流体との熱交換関係に置くように構成され
る蒸発器と、
前記蒸発器に接続され、前記蒸発器を前記凝縮器に流体的に結合される一次導管と、
前記蒸発器に接続され、前記蒸発器を前記凝縮器に流体的に結合されるバイパス導管と、
前記バイパス導管に沿って配置された弁と、
前記凝縮器と前記蒸発器との間の圧力差を示すフィードバックに基づいて、前記弁の位置を調整するように構成されるコントローラと、
を備
え、
前記一次導管は、前記蒸発器の上部で前記蒸発器に接続され、前記バイパス導管は、前記蒸発器の垂直寸法に対して前記一次導管の下方の位置において前記蒸発器に接続される、蒸気圧縮システム。
【請求項11】
前記一次導管及び前記バイパス導管は、互いに直接結合される、請求項
10に記載の蒸気圧縮システム。
【請求項12】
前記一次導管は、前記凝縮器と前記蒸発器との間に延び、前記バイパス導管は、前記一次導管と前記蒸発器との間に延びている、請求項
10に記載の蒸気圧縮システム。
【請求項13】
蒸気圧縮システムであって、
圧縮機から冷媒を気相で受け取るように構成される凝縮器であって、前記冷媒から第1の作動流体への熱伝達を介して、前記冷媒を前記気相から液相へと凝縮するように構成される、凝縮器と、
前記凝縮器に流体的に結合される第1の導管と、
前記凝縮器に流体的に結合される第2の導管と、
前記第1の導管及び
前記第2の導管を介して前記凝縮器に流体的に結合された蒸発器であって、第2の作動流体から前記冷媒への熱伝達を介して、前記冷媒を前記液相から前記気相へと蒸発させるように構成される、蒸発器と、
前記凝縮器における液体冷媒レベルが閾値の値範囲外にある場合に、前記第1の導管、前記第2の導管、又はその両方を介して、前記蒸気圧縮システムの動作を調節して、前記冷媒を前記蒸発器の中へと導くように構成されるコントローラと、
前記コントローラに通信可能に結合された弁と、
を備
え、
前記コントローラは、前記凝縮器における前記液体冷媒レベルに基づき、前記弁の位置を調整して、前記第2の導管を通る前記凝縮器から前記蒸発器への前記冷媒の流れを制御するように構成され、
前記弁が開位置に向かって調整される場合、前記第2の導管は、前記冷媒が重力によって前記凝縮器から前記蒸発器へと流れることを可能にする、蒸気圧縮システム。
【請求項14】
前記第1の導管及び前記第2の導管の両方が、前記凝縮器の液体収集部分に結合される、請求項
13に記載の蒸気圧縮システム。
【請求項15】
前記コントローラに通信可能に結合された
追加の弁を備え、前記コントローラは、前記凝縮器における前記液体冷媒レベルに基づき、前記
追加の弁の位置を調整して、前記第1の導管を通る前記凝縮器から前記蒸発器への前記冷媒の
追加の流れを制御するように構成される、請求項
13に記載の蒸気圧縮システム。
【請求項16】
前記蒸発器はハイブリッド流下液膜式蒸発器である、請求項
13に記載の蒸気圧縮システム。
【請求項17】
前記凝縮器と前記蒸発器との間で前記冷媒を循環させるように構成される圧縮機を備え、前記コントローラは前記圧縮機に通信可能に結合され、前記コントローラは周囲温度が閾値周囲温度を下回ったときに前記圧縮機を遮断するように構成される、請求項
13に記載の蒸気圧縮システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年7月10日に出願された「BYPASS LINE FOR REFRIGERANT」と題する米国仮特許出願第62/696,276号の優先権及び利益を主張し、その全体があらゆる目的で、参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
本出願は一般に、チラーなどの蒸気圧縮システムに関連し、より具体的には、凝縮器と蒸発器とを流体的に接続するバイパスライン又はバイパス導管に関連する。
【0003】
本項は、後述する本開示の様々な態様に関係し得る技術の様々な態様を読者に紹介することを意図している。この議論は、本開示の様々な態様をよりよく理解しやすくするための背景情報を読み手に提供することに役立つと考えられる。したがって、これらの記述は、この観点から解釈すべきであり、先行技術としての容認として解釈すべきではないことを理解すべきである。
【0004】
冷凍システムは、様々な設定で及び多くの目的で使用されている。例えば、冷凍システムは、自由冷却システム及び機械式冷却システムとして動作し得る。場合によっては、自由冷却システムは液体-空気熱交換器を含む場合があり、これは、一部の暖房、換気、及び空調用途で使用される。加えて、機械式冷却システムは蒸気圧縮冷凍サイクルである場合があり、これは、凝縮器、蒸発器、圧縮機、及び/又は膨張装置を含む場合がある。蒸発器では、液体冷媒又は主として液体である冷媒が、空気流及び/又は冷却流体(例えば、水)から熱エネルギーを引き出すことによって蒸発され、空気流は、自由冷却システムの液体-空気熱交換器を通って流れてもよい。凝縮器では、冷媒に加熱解除、凝縮、及び/又はサブクールが生じる。冷媒は、凝縮器から蒸発器に流れる際に膨張弁を通って流れる。一部の動作条件下では、凝縮器から蒸発器への冷媒の流れは限定されるか又は制限される場合がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一実施形態では、蒸気圧縮システムが、凝縮器及び蒸発器の液体収集部分を流体的に結合する第1の導管であって、凝縮器から蒸発器の第1の入口への冷媒の第1の流れを導くように構成される、第1の導管と、凝縮器及び蒸発器の液体収集部分を流体的に結合する第2の導管であって、凝縮器から蒸発器の第2の入口への冷媒の第2の流れを、重力を介して導くように構成される、第2の導管と、を備え、第1の入口は、蒸発器の垂直寸法に対して第2の入口の上方に配置される。
【0006】
本開示の一実施形態では、蒸気圧縮システムは、蒸気圧縮システムの冷媒を受け取り、冷媒を第1の作動流体との熱交換関係に置くように構成される凝縮器と、蒸発器であって、蒸発器に接続される一次導管と蒸発器に接続されるバイパス導管とを介して凝縮器に流体的に結合され、冷媒を第2の作動流体との熱交換関係に置くように構成される、蒸発器と、バイパス導管に沿って配置された弁と、凝縮器と蒸発器との間の圧力差を示すフィードバックに基づいて、弁の位置を調整するように構成されるコントローラと、を含む。
【0007】
本開示の一実施形態では、蒸気圧縮システムは、圧縮機から冷媒を気相で受け取るように構成される凝縮器であって、冷媒から第1の作動流体への熱伝達を介して、冷媒を気相から液相へと凝縮するように構成される、凝縮器と、第1の導管及び第2の導管を介して凝縮器に流体的に結合される蒸発器であって、第2の作動流体から冷媒への熱伝達を介して、冷媒を液相から気相へと蒸発させるように構成される、蒸発器と、凝縮器における液体冷媒レベルが閾値の値範囲外にある場合に、第1の導管、第2の導管、又はその両方を介して、蒸気圧縮システムの動作を調節して、冷媒を蒸発器の中へと導くように構成されるコントローラと、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本開示の一態様による、商業的環境において暖房、換気、空調、(HVAC)システムの一実施形態を利用し得る建物の斜視図である。
【
図2】本開示の一態様による、蒸気圧縮システムの一実施形態の斜視図である。
【
図3】本開示の一態様による、蒸気圧縮システムの一実施形態の概略図である。
【
図4】本開示の一態様による、蒸気圧縮システムの別の実施形態の概略図である。
【
図5】本開示の一態様による、バイパスラインを有する蒸気圧縮システムの一実施形態の概略図である。
【
図6】本開示の一態様による、バイパスラインを有する蒸気圧縮システムの一実施形態の概略図である。
【
図7】本開示の一態様による、バイパスラインを有する蒸気圧縮システムの一実施形態の概略図である。
【
図8】本開示の一態様による、蒸気圧縮システムを動作させるためのプロセスの一実施形態のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
上で論じたように、蒸気圧縮システムは、一般に、冷凍回路を通って流れる冷媒を含む。冷媒は、冷凍回路に沿って配置された複数の導管及び構成要素を通って流れ、その一方で相変化を受けて、蒸気圧縮システムが構造体の内部空間を整えることを可能にしている。例えば、冷媒は、蒸発器内で液相から蒸気相に遷移する。蒸気圧が低い冷媒などのある種の冷媒は、凝縮器と蒸発器との間の差圧が比較的低い場合、凝縮器から蒸発器へと容易に流れない場合がある。より具体的には、低蒸気圧冷媒は、凝縮器と蒸発器との間の導管内に、及び/又は膨張弁内に積み重なるか又は集まる場合がある。これにより、HVACシステムの動作効率が低下し得る。
【0010】
本開示の蒸気圧縮システムの実施形態において冷媒として使用され得る流体のいくつかの例としては、例えばR-410A、R-407、R-134a、ハイドロフルオロオレフィン(HFO)といったハイドロフルオロカーボン(HFC)ベースの冷媒、アンモニア(NH3)、R-717、二酸化炭素(CO2)、R-744、若しくは炭化水素ベースの冷媒のような「天然」冷媒、水蒸気、又は任意の他の好適な冷媒が挙げられる。いくつかの実施形態では、蒸気圧縮システムは、R-134aなどの中圧冷媒と比較して低圧冷媒とも呼ばれる、1気圧の圧力で摂氏約19度(華氏66度)の標準沸点を有する冷媒を効率的に利用するように構成され得る。本明細書で使用する場合、「標準沸点」は、1気圧で計測された沸点温度を指し得る。
【0011】
本開示は、凝縮器と蒸発器との間のバイパスラインを目的としている。いくつかの実施形態では、バイパスラインは、凝縮器を蒸発器に流体的に結合する二次導管である。例えば、バイパスライン(例えば、冷媒液バイパス導管又は二次導管)は、凝縮器の液体収集部分に流体的に結合されて、凝縮器から蒸発器への実質的に液体である冷媒(例えば、少なくとも75体積%の液体、少なくとも90体積%の液体、少なくとも95体積%の液体、又は少なくとも99体積%の液体)の流れを可能にする。他の実施形態では、バイパスラインは、蒸発器と凝縮器との間の一次導管に流体的に結合される。いずれにせよ、二次導管は、凝縮器から蒸発器への液体冷媒の流れ(例えば、少なくとも75体積%の液体、少なくとも90体積%の液体、少なくとも95体積%の液体、又は少なくとも99体積%の液体)を促進するように構成され得る。例えば、バイパス導管は、重力が冷媒の一部を凝縮器から蒸発器へと少なくとも部分的に強制することを可能にするように角度を付けられるか又は別の方法で位置付けられてもよい。加えて、いくつかの実施形態では、凝縮器内の冷媒の圧力ヘッドもまた、バイパスラインを通る冷媒の流れを導くことに寄与し得る。
【0012】
バイパス導管は、バイパス導管を通って流れる冷媒の量を調節するための弁を含み得る。弁は、凝縮器と蒸発器との間の圧力差を示すフィードバックに少なくとも部分的に基づいて、部分的に又は完全に開いてもよい。例えば、凝縮器と蒸発器との間の圧力差を示すフィードバックは、凝縮器内の冷媒レベルの測定又は検出など、一次導管内での冷媒の「積み重なり」に基づいてもよい。加えて又は代わりに、凝縮器と蒸発器との間の圧力差を示すフィードバックは、蒸発器内の冷媒の液位、一次導管内の冷媒の液位、凝縮器内の圧力又は温度、蒸発器内の圧力又は温度、蒸気圧縮システムに含まれる圧縮機に供給される電力量、圧縮機の速度、一次導管内の冷媒の流量、蒸気圧縮システムの別の部分における冷媒の流量、別の好適なパラメータ、又はそれらの任意の組み合わせ、に基づいてもよい。このように、バイパス導管は、フィードバックに基づいて、弁を介して凝縮器及び/又は一次導管に選択的に流体的に結合されてもよく、これにより、蒸気圧縮システムの動作能力、性能、及び効率が改善し得る。
【0013】
本開示の制御技術は、様々なシステムで使用することができる。しかしながら、議論を促進するために、本開示の制御技術を組み込むことができるシステムの例を
図1~
図4に示し、以下で説明する。
【0014】
ここで図面を参照すると、
図1は、典型的な商業的環境における建物12内の暖房、換気、及び空調(HVAC)システム10のための環境の実施形態の斜視図である。HVACシステム10は、建物12を冷却するために使用され得る、冷却された液体を供給する蒸気圧縮システム14を含み得る。HVACシステム10はまた、建物12を加熱する温かい液体を供給するためのボイラー16と、建物12を通して空気を循環させる空気分配システムとを含み得る。空気分配システムはまた、空気戻りダクト18、空気供給ダクト20、及び/又は空気調和機22を含み得る。いくつかの実施形態では、空気調和機22は、導管24によってボイラー16及び蒸気圧縮システム14に接続された熱交換器を含み得る。空気調和機22内の熱交換器は、HVACシステム10の動作モードに応じて、ボイラー16からの加熱された液体又は蒸気圧縮システム14からの冷却された液体のいずれかを受け取ることができる。HVACシステム10は、別個の空気調和機が建物12の各フロアにある状態で示されているが、他の実施形態では、HVACシステム10は、フロア間で共有され得る空気調和機22及び/又は他の構成要素を含み得る。
【0015】
図2及び
図3は、HVACシステム10で使用され得る蒸気圧縮システム14の実施形態を示す。蒸気圧縮システム14は、圧縮機32から始まる回路を通して冷媒を循環させ得る。回路はまた、凝縮器34、膨張弁又は膨張装置36、及び液体チラー又は蒸発器38を含み得る。蒸気圧縮システム14は、アナログデジタル(A/D)変換器42、マイクロプロセッサ44、不揮発性メモリ46、及び/又はインタフェースボード48を有する制御パネル40(例えば、コントローラ)を更に含み得る。
【0016】
いくつかの実施形態では、蒸気圧縮システム14は、可変速駆動装置(VSD)52、モータ50、圧縮機32、凝縮器34、膨張弁若しくは膨張装置36、及び/又は蒸発器38のうちの1つ以上を使用し得る。モータ50は、圧縮機32を駆動してもよく、可変速駆動装置(VSD)52により電力が供給されてもよい。VSD52は、交流(AC)電源から特定の固定ライン電圧及び固定ライン周波数を有するAC電力を受け取り、可変電圧及び周波数を有する電力をモータ50に提供する。他の実施形態では、モータ50は、AC又は直流(DC)電源から直接電力を供給され得る。モータ50は、スイッチドリラクタンスモータ、誘導モータ、電子整流永久磁石モータ又は別の好適なモータなど、VSDによって駆動され得るか、又はAC若しくはDC電源から直接電力を供給され得る任意のタイプの電気モータを含み得る。
【0017】
圧縮機32は冷媒蒸気を圧縮し、その蒸気を、排出通路を通じて凝縮器34へと送達する。いくつかの実施形態では、圧縮機32は遠心圧縮機であり得る。圧縮機32によって凝縮器34に送達される冷媒蒸気は、凝縮器34内の冷却流体(例えば、水又は空気)に熱を送達し得る。冷媒蒸気は、冷却流体との熱伝達の結果、凝縮器34内で冷媒液へと凝縮し得る。凝縮器34からの冷媒液は、膨張装置36を通って蒸発器38へと流れ得る。
図3に示す実施形態では、凝縮器34は水冷され、冷却塔56に接続されたチューブ束54を備え、冷却塔56は冷却流体を凝縮器に供給する。
【0018】
蒸発器38に送達された冷媒液は別の冷却流体からの熱を吸収してもよく、この冷却流体は凝縮器34で使用される冷却流体と同じであっても、同じでなくてもよい。蒸発器38内の冷媒液は、冷媒液から冷媒蒸気への相変化を受ける場合がある。
図3に図示する実施形態に示すように、蒸発器38は、冷却負荷62に接続された供給ライン60Sと戻りライン60Rとを有するチューブ束58を含み得る。蒸発器38の冷却流体(例えば、水、エチレングリコール、塩化カルシウムブライン、塩化ナトリウムブライン、又は任意の他の好適な流体)は、戻りライン60Rを介して蒸発器38に入り、供給ライン60Sを介して蒸発器38を出る。蒸発器38は、冷媒との熱伝達を介して、チューブ束58内の冷却流体の温度を低下させ得る。蒸発器38内のチューブ束58は、複数のチューブ及び/又は複数のチューブ束を含み得る。いずれにせよ、冷媒蒸気は蒸発器38を出て、吸引ラインにより圧縮機32に戻って、サイクルが完了する。
【0019】
図4は、中間回路64が凝縮器34と膨張装置36との間に組み込まれた蒸気圧縮システム14の概略図である。中間回路64は、凝縮器34に直接的に流体的に接続された入口ライン68を有し得る。他の実施形態では、入口ライン68は、凝縮器34に間接的に流体的に結合され得る。
図4に図示する実施形態に示すように、入口ライン68は、中間容器70の上流に位置付けられた第1の膨張装置66を含む。いくつかの実施形態では、中間容器70は、フラッシュタンク(例えば、フラッシュインタークーラー)であり得る。他の実施形態では、中間容器70は熱交換器又は「サーフェスエコノマイザ」として構成され得る。
図4に示す実施形態では、中間容器70はフラッシュタンクとして使用され、第1の膨張装置66は、凝縮器34から受け取った冷媒液の圧力を下げる(例えば、膨張させる)ように構成される。膨張プロセスの間、液体の一部が蒸発する場合があり、したがって、中間容器70を使用して、第1の膨張装置66から受け取った液体から蒸気を分離できる。加えて、中間容器70は、中間容器70に入るときに冷媒液が受ける圧力降下(例えば、中間容器70に入るときに受ける体積の急激な増加に起因する)ゆえに、冷媒液の更なる膨張をもたらす場合がある。中間容器70内の蒸気は、圧縮機32により、圧縮機32の吸引ライン74を通して引き込まれ得る。他の実施形態では、中間容器内の蒸気は、圧縮機32の中間ステージ(例えば、吸引ステージではなく)に引き込まれ得る。中間容器70内に集まる液体は、膨張装置66及び/又は中間容器70における膨張ゆえに、凝縮器34を出る冷媒液よりもエンタルピーが低い場合がある。中間容器70からの液体は、次いで、ライン72内を流れ、第2の膨張装置36を通って蒸発器38へと流れ得る。
【0020】
いくつかの実施形態では、蒸気圧縮システム14などの蒸気圧縮システムの効率を改善するために、蒸気圧縮システム内にバイパスラインを含めることが有利であり得る。上で論じたように、蒸気圧縮システム14における圧力差が比較的小さい場合、冷媒は、凝縮器34内に、及び/又は凝縮器34と蒸発器38との間の一次導管内に積み重なるか又は蓄積し、それにより、凝縮器34と蒸発器38との間の冷媒の流れが限定及び/又は制限される。それに応じて、バイパスラインは、冷媒の少なくとも一部を(例えば、一次導管によって提供される流路の代わりに)、流れに対する抵抗が一次導管よりも小さくてもよい凝縮器34から蒸発器38への代替流路に沿って導いてもよい。いくつかの実施形態では、バイパスラインは、重力が冷媒を凝縮器34から蒸発器38へと少なくとも部分的に強制することができるように、冷媒を蒸発器38の底部に向けて導く。加えて、凝縮器34内の液体からの圧力ヘッドも、バイパスラインを通して冷媒を凝縮器34から蒸発器38へと導くことに寄与し得る。更に、制御パネル40などの制御システムがバイパスラインを選択的に作動させて、凝縮器34から蒸発器38への冷媒の流れを制御することができる。例えば、マイクロプロセッサ40は、凝縮器34と蒸発器38との間にスタッキングが生じた及び/又は凝縮器34及び/又は蒸発器38内の冷媒のレベルが閾値レベルに到達したという判定に基づいて、バイパスラインを作動させてもよい。
【0021】
図5は、蒸気圧縮システム14の効率を高めるために、制御パネル40のマイクロプロセッサ44によって制御される1つ以上の構成要素を含み得る回路76(例えば、蒸気圧縮システム14の一部)の一実施形態を示す概略図である。回路76は、一次導管78を介して蒸発器38の上部80に流体的に結合される凝縮器34を含む。一次導管78は、凝縮器34から蒸発器38の上部80への冷媒の流れを調整する膨張装置36を含み得る。凝縮器34は、凝縮器34の液体収集部分91内に配置された第1の流体レベル90を有する。例えば、凝縮器34の液体収集部分91は、冷媒を液相で含む、凝縮器34の内部の一部であり得る。いくつかの実施形態では、凝縮器34の液体収集部分91は、体積で少なくとも75%の液体冷媒、少なくとも90体積%の液体冷媒、少なくとも95体積%の液体冷媒、又は少なくとも99体積%の液体冷媒を含み得る。加えて、
図5に図示する実施形態に示すように、蒸発器38は、第2の流体レベル92を有し、流体レベル90及び92の一方又は両方は、1つ以上の液位プローブ93によって監視され得る。
【0022】
図示するように、回路76は、蒸発器38の底部86で凝縮器34を蒸発器38に流体的に結合する二次導管82(例えば、バイパス導管、第2の導管、バイパスライン)を含む。図示する
図5の実施形態は、一次導管78からの延長としての二次導管82(例えば、一次導管78の部分に直接結合される)を示し、他の実施形態では、二次導管82は一次導管78から分離されていてもよい。換言すれば、二次導管82及び一次導管78は両方とも、凝縮器34の液体収集部分91に物理的に結合されていてもよい。また、二次導管82は弁88を含み、弁88は、二次導管82を通る流体の流れを調節及び/又は選択的に可能にし(例えば、弁88は、制御パネル40に通信可能に結合することができる)、それにより凝縮器34から蒸発器38への流体の流れを可能にしてもよい。
【0023】
一般に、二次導管82は、一次導管78内及び/又は凝縮器34内に蓄積する(例えば、積み重なる)冷媒用のバイパスである。換言すれば、二次導管82は、冷媒が凝縮器34から蒸発器38に流れるための追加の流路(例えば、一次導管78によって画定される流路とは少なくとも部分的に異なる流路)を提供する。二次導管82によって提供される追加の流路は、一次導管78と比較して、冷媒の流れに対して、より小さい抵抗を含み得る。例えば、一次導管78は、蒸発器38の垂直方向97に対して概して上向きに、蒸発器38の上部80に向かって冷媒を導く。二次導管82は、蒸発器38の垂直方向97に対して概して下向きに、蒸発器38の底部86に向かって冷媒を導く。したがって、冷媒は二次導管82内で重力に逆らって流れることができないので、冷媒が二次導管82に沿って凝縮器34から蒸発器38へと流れるのに必要な流体圧力又は力は、より小さい。
【0024】
加えて又は代わりに、凝縮器34の位置は、床又は地面に位置付けられた蒸気圧縮システム14の基部に対して、蒸発器38の位置よりも上にあり得る。したがって、重力が、冷媒を凝縮器34から二次導管82を通して蒸発器38の底部86を介して蒸発器38の中へと導く。したがって、凝縮器34と蒸発器38との間の高さの差95が、二次導管82を通る冷媒の流れを促進する。加えて、凝縮器34の液体収集部分91における液位90は、二次導管82を通して冷媒を蒸発器38の中へと更に導く圧力ヘッドを構築し得る。
【0025】
図5に示す蒸発器38は、ハイブリッド流下液膜式及び満液式蒸発器であり得る。いくつかの実施形態では、蒸発器38は、流下液膜式蒸発器、満液式蒸発器、又はその両方として動作してもよい。例えば、蒸発器38は、冷媒が一次導管78を通って、蒸発器38の上部80を介して蒸発器38の中へと流れる場合は、流下液膜式蒸発器として動作してもよい。蒸発器38は、第1のチューブ束を含んでもよく、これは、作動流体を、蒸発器38の上部80からチューブの上に落下する冷媒と熱的に連通させる。第1のチューブ束に接触した冷媒は、作動流体から熱エネルギーを吸収することができ、これにより、上部80を介して蒸発器38の中へと導かれた冷媒の少なくとも一部が蒸発し得る(例えば、液相から蒸気相への遷移)。
【0026】
加えて、冷媒が二次導管82を通って蒸発器38の底部86に流れる場合(例えば、凝縮器34と蒸発器38との間の圧力差が比較的小さい場合)、蒸発器38は満液式蒸発器として動作し得る。蒸発器38は、蒸発器の底部86に蓄積する液体冷媒によって取り囲まれる第2のチューブ束を含み得る。第2のチューブ束は、冷媒を作動流体と熱的に連通させてもよく、作動流体も第2のチューブ束を通って流れてもよい。次いで、第2のチューブ束を取り囲む液体冷媒は、作動流体から熱エネルギーを吸収し蒸発する場合がある(例えば、液相から蒸気相への遷移)。更になお、蒸発器38は、冷媒が一次導管78及び二次導管82の両方を通って、それぞれ蒸発器38の上部80及び底部86の中へと入る場合、流下液膜式蒸発器及び満液式蒸発器の両方(例えば、ハイブリッド流下液膜式蒸発器、又はハイブリッド満液式蒸発器、又はハイブリッド流下液膜式及び満液式蒸発器)として同時に動作することができる。他の実施形態では、蒸発器38は、ハイブリッド流下液膜式及び満液式蒸発器の代わりに、別の好適なタイプの蒸発器を含んでもよい。
【0027】
図6は、蒸発器38の側部94で蒸発器38に結合される二次導管82を有する回路76(例えば、蒸気圧縮システム14の一部)の実施形態を表す概略図である。二次導管82は、蒸発器38の側部94で蒸発器38に物理的に結合されるが、二次導管82は、依然として、冷媒を蒸発器38の底部86へと導く(例えば、液体冷媒は、重力により底部86へと落下する)。それに応じて、二次導管82を通って蒸発器38の中へと導かれた冷媒は、蒸発器38が満液式蒸発器として動作することを可能にする。なぜなら、冷媒が蒸発器38の底部86へと流れ込んで蒸発器28の第2のチューブ束を取り囲むからである。
【0028】
図6に図示する実施形態に示すように、回路76は、一次導管78を介して蒸発器38の上部80に流体的に結合される凝縮器34を含む。一次導管78は、一次導管78を通る冷媒の流れを調整し得る膨張弁36を含む。加えて、図示するように、
図6の回路76は、凝縮器34から蒸発器38の底部86への冷媒の流れを調節及び/又は選択的に可能にする弁88を有する二次導管82を含む。
図5を参照して上で論じたように、凝縮器34は第1の液位90を有し、蒸発器38は第2の液位92を有し、液位90及び92の一方又は両方は液位プローブ93によって監視され得る。
【0029】
液位プローブ93は、制御パネル40(例えば、マイクロプロセッサ44)にフィードバックを提供することができ、これを利用して、膨張弁36及び/又は弁88の位置を調整することができる。例えば、膨張弁36及び弁88の両方が、制御パネル40のマイクロプロセッサ44に通信可能に結合される。このように、マイクロプロセッサ44は、蒸発器38に対する二次導管82の位置(例えば、底部86又は側部94で蒸発器38に結合される)に関係なく、回路76の動作条件(例えば、液位プローブ93からの凝縮器34における液位を示すフィードバック)に基づいて、膨張弁36及び/又は弁88の位置を調整するように構成されていてもよい。膨張弁36及び弁88の動作は、マイクロプロセッサ44から(例えば、1つ以上の液位プローブ93及び/又は他の好適なセンサから)受信した信号に基づいて調整されてもよい。すなわち、膨張弁36及び弁88は、凝縮器34と蒸発器38との間の圧力差を示すフィードバックに基づいて開閉されてもよい。凝縮器34と蒸発器38との間の圧力差を示すフィードバックは、凝縮器34内の冷媒の液位、蒸発器38内の冷媒の液位、一次導管78内の冷媒の液位、凝縮器34内の圧力又は温度、蒸発器38内の圧力又は温度、蒸気圧縮システム14に含まれる圧縮機(例えば、圧縮機32)に供給される電力量、圧縮機(例えば、圧縮機32)の速度、一次導管78内の冷媒の流量、蒸気圧縮システム14の別の部分における冷媒の流量、別の好適なパラメータ、又はそれらの任意の組み合わせ、に基づいてもよい。膨張弁36及び弁88の位置を調整するための制御方式について、
図8を参照して以下に更に詳細に論じる。
【0030】
図7は、自由冷却回路96(例えば、蒸気圧縮システム14の一部)の実施形態を表す概略図である。いくつかの実施形態では、回路76は、自由冷却回路96の少なくとも一部である。蒸気圧縮システム14は、自由冷却を利用して、蒸気圧縮システム14の効率を更に改善してもよい。
図7の実施形態に示すように、自由冷却回路96は、一次導管78を介して蒸発器38の上部80に流体的に結合される凝縮器34を含む。一次導管78は、一次導管78を介して蒸発器38の中へと導かれた冷媒の流れを調整し得る膨張弁36を含む。凝縮器34は第1の液位90を有し、蒸発器38は第2の液位92を有し、液位90及び92の一方又は両方は液位プローブ93によって監視され得る。
図7に示すように、二次導管82は、蒸発器38の底部86に物理的に結合される。他の実施形態では、二次導管82は、蒸発器38の側部94に物理的に結合されていてもよい。いずれにせよ、二次導管82を通って流れる冷媒は、蒸発器38の底部86の中へと導かれてもよい。また、二次導管82は、二次導管82を介する凝縮器34から蒸発器38への冷媒の流れを調節及び/又は選択的に可能にする弁88を含む。
【0031】
自由冷却回路96はまた、第3の導管100を介して蒸発器38に流体的に結合された圧縮機98(例えば、圧縮機32)を含む。図示するように、圧縮機98は、冷媒(例えば、蒸気冷媒)の流れ102を蒸発器38から引き込み、冷媒の流れ102を凝縮器34へと導くように構成される。
図5及び
図6には圧縮機98は示していないが、
図5及び
図6の回路76は圧縮機98を含んでもよいことを認識すべきである。
【0032】
自由冷却状態の間(例えば、周囲温度が閾値を下回っている場合)、圧縮機98は、オフにされるか、又は通常の動作(例えば、周囲温度が閾値以上である場合)よりも低い能力で動作し得る。バイパスライン(例えば、二次導管82)は、機械的な力(例えば、圧縮機98及び/又はポンプを介して生成される圧力差)なしで、液体冷媒が蒸発器38に到達するための経路を提供することにより自由冷却回路96の動作を促進し得る。例えば、蒸気冷媒は、蒸発器38と凝縮器34との間の圧力差及び/又は温度差によって、蒸発器38から第3の導管100を通り、圧縮機98を通り、第4の導管104を通り、凝縮器34の中へと流れ得る。次いで、蒸気冷媒は凝縮して液体になり、凝縮器34の液体収集部分91内に集まる。更に、弁88が開位置に向かって調整されている場合、バイパスライン(例えば、二次導管82)は、液体冷媒が重力(及び/又は、凝縮器34の液体収集部分91内に集まった液体からの圧力ヘッド)によって凝縮器34から蒸発器38へと流れることを可能にする。このように、圧縮機98及び/又はポンプなどの機械的な力は、自由冷却中には利用されず、電力入力が減少する。
【0033】
図8は、本開示の態様による、回路76及び/又は自由冷却回路96の弁36及び/又は弁88を動作させるためのプロセス110の一実施形態を示すフローチャートである。本明細書で論じられるステップは単なる例示であり、特定のステップは省略されるか、又は以下に記載される順序とは異なる順序で実施されてもよいことが理解されるべきである。いくつかの実施形態では、プロセス110は、不揮発性メモリ46に格納され、制御パネル40のマイクロプロセッサ44によって実行されるか、又は他の好適なメモリに格納され、他の好適な処理回路によって実行されてもよい。
【0034】
図8に図示する実施形態に示すように、ブロック112において、マイクロプロセッサ44は、凝縮器34と蒸発器38との間の圧力差を示すフィードバックを受信する。凝縮器34と蒸発器38との間の圧力差を示すフィードバックは、凝縮器34内の冷媒の液位、蒸発器38内の冷媒の液位、一次導管78内の冷媒の液位、凝縮器34内の圧力又は温度、蒸発器38内の圧力又は温度、蒸気圧縮システム14に含まれる圧縮機(例えば、圧縮機32)に供給される電力量、圧縮機(例えば、圧縮機32)の速度、一次導管78内の冷媒の流量、蒸気圧縮システム14の別の部分における冷媒の流量、別の好適なパラメータ、又はそれらの任意の組み合わせ、であってもよい。他の実施形態では、マイクロプロセッサ44は、蒸気圧縮システム14の性能若しくは能力、又は冷媒の相を示す任意のパラメータに関連するフィードバックを受信してもよい。
【0035】
ブロック114において、マイクロプロセッサ44は、フィードバックを閾値と比較してもよい。例えば、マイクロプロセッサ44は、凝縮器34内の冷媒の液位が閾値レベルを超えていることを判定することができる。このように、ブロック116において、マイクロプロセッサ44は、制御信号を送信して、弁88を作動させて(例えば、部分的に又は完全に開けて)、二次導管82を介して凝縮器34(及び/又は一次導管78)を蒸発器38に流体的に結合させてもよい。弁88は、ステップ弁、電磁弁、連続調節弁、又は任意の好適な弁であり得る。一般に、マイクロプロセッサ44は、凝縮器34と蒸発器38との間の圧力差及び/又は別の好適な動作パラメータ、を示すフィードバックに基づいて、蒸気圧縮システム14の動作を調節してもよい。
【0036】
いくつかの実施形態では、マイクロプロセッサ44は、弁88を作動させる前に、膨張弁36の位置を判定してもよい。例えば、マイクロプロセッサ44は、膨張弁36が完全には開いていないことを判定してもよい。したがって、弁88を開けるためにマイクロプロセッサ44が制御信号を送信するよりもむしろ、膨張弁36を作動させ続ける(例えば、開く又は段階的に開く)ためにマイクロプロセッサ44は制御信号を送信してもよい。このプロセスは、弁36が完全に開いた位置になるまで繰り返されてもよい。いったん膨張弁36が完全に開いた位置にあるか、又は別の好適な閾値位置に到達すると、マイクロプロセッサ44は、弁88を作動させる(例えば、開ける)ための制御信号を送信してもよい。換言すれば、マイクロプロセッサ44は、膨張弁36が完全に開かれるか又は十分に開かれるまで(例えば、凝縮器34と蒸発器38との間の圧力差を示すフィードバックが特定の閾値にあるか又はそれを下回るように開かれる)、弁88を開けるための制御信号を送信しなくてもよい。いくつかの実施形態では、マイクロプロセッサ44は、凝縮器34と蒸発器38との間の圧力差を示すフィードバックが閾値に到達する前に、弁88を開けるための制御信号を送信してもよい。例えば、マイクロプロセッサ44は、凝縮器34と蒸発器38との間の圧力差を示すフィードバックが閾値の80%に到達したときに、弁88を作動させる(例えば、開ける)ための制御信号を送信してもよい。
【0037】
いくつかの実施形態では、弁88を開けるべきであるとマイクロプロセッサ44が判定したときに、マイクロプロセッサ44は制御信号を送信して、膨張弁36を作動させ(例えば、閉じる)てもよい。例えば、弁88が作動される(例えば、マイクロプロセッサ44からの制御信号を介して開位置に向かって調整される)前又は後に、膨張弁36は、部分的に閉じられる(例えば、50%)か又は完全に閉じられてもよい。次いで、マイクロプロセッサ44は、制御信号を送信して、弁88を作動させ(例えば、開ける)てもよい。
【0038】
いくつかの実施形態では、マイクロプロセッサ44は、凝縮器34と蒸発器38との間の圧力差を示すフィードバックに基づいて、弁88を徐々に開けるように構成される。例えば、弁88は、完全に開いた位置と完全に閉じた位置との間に複数の位置を有するステップ弁であってもよい。このように、マイクロプロセッサ44は、弁88の位置を調整して、二次導管82を通る冷媒の流れを徐々に増加又は減少させてもよい。
【0039】
非限定的な例として、マイクロプロセッサ44は、凝縮器34内の液位90を監視するように構成される液位センサ93からフィードバックを受信することができる。マイクロプロセッサ44は、凝縮器34内の液位90が、制御パネル40の不揮発性メモリ46にプログラムされている閾値を超えたというフィードバックを受信してもよい。このように、マイクロプロセッサ44は、弁88(例えば、弁88のアクチュエータ)に信号を送信して、弁88を開位置に向けて調整してもよい。上述したように、いくつかの実施形態では、マイクロプロセッサ44は、膨張弁36の位置を判定し、膨張弁36の位置に基づいて弁88の位置を調整してもよい。加えて又は代わりに、マイクロプロセッサ44は、凝縮器34内の液位90が閾値を超えた場合に、膨張弁36(例えば、膨張弁36のアクチュエータ)に追加の制御信号を送信して膨張弁36を閉位置に向けて調整することができる。他の実施形態では、マイクロプロセッサ44は、二次導管82を介する蒸発器38への冷媒流における遅延時間(例えば、弁88の開放と、二次導管82を介して蒸発器38に入る冷媒の流れとの間の遅延時間)を考慮するために、弁88を開けるときに膨張弁36を開位置に向けて調整してもよい。更になお、マイクロプロセッサ44は、液位90を目標レベルに維持するために、凝縮器34内の液位90に基づいて、膨張弁36及び弁88の両方を変化させてもよい。例えば、マイクロプロセッサ44は、連続的に又は実質的に連続的に、膨張弁36、弁88、又はその両方の位置を調整して、凝縮器34内の液位90を目標レベルに維持してもよい。
【0040】
本開示は、凝縮器と蒸発器との間にバイパスラインを含む蒸気圧縮システムを目的としている。バイパスラインは、凝縮器と蒸発器との間の圧力差を示すフィードバックに基づいて、比較的小さい抵抗を有する流路を介して、凝縮器を蒸発器に選択的に流体的に結合してもよい。バイパスラインが凝縮器を蒸発器に流体的に結合している場合、冷媒を凝縮器から蒸発器へと導くために、比較的小さい抵抗を有する流路が重力を利用してもよいので、凝縮器から蒸発器への冷媒の流れが促進され得る。例えば、バイパスラインによって形成される流路は一般に、凝縮器から蒸発器へと下向きに位置合わせされてもよい。いくつかの実施形態では、バイパスラインは、蒸発器の側面又は底部に接続してもよい。いずれにしても、バイパスラインを介して蒸発器の中へと流入する冷媒は、蒸発器の底部に向けて導かれ、そこに蓄積する。
【0041】
本開示の特定の特徴及び実施形態のみを図示及び説明してきたが、当業者であれば、特許請求の範囲に記載された発明の主題の新規な教示及び利点から著しく逸脱することなく、多くの修正及び変更(例えば、様々な要素のサイズ、寸法、構造、形状及び比率、パラメータの値(例えば、温度、圧力など)、取り付け構成、材料の使用、色、向きなどにおける変形形態)を想到し得る。任意のプロセス又は方法ステップの順序又は順番は、代替的実施形態に応じて変更すること又は並べ替えることができる。したがって、添付の特許請求の範囲は、本開示の真の趣旨の範囲内にあるものとして、そのような全ての修正及び変更を包含することが意図されていることを理解されたい。更に、例示的な実施形態の簡潔な説明を提供するために、実際の実現形態の全ての特徴が説明されているわけではない場合がある(すなわち、現在企図される本開示の最良の実施形態に関係しないもの、又は主張する実施形態を可能にするのに関係しないものが説明されていない場合がある)。いずれのそのような実際の実現形態の開発においても、いずれの工学的又は設計プロジェクトにおけるように、実現形態に固有の多数の決定がなされてもよいことを理解されたい。そのような開発努力は、複雑で時間がかかるかもしれないが、過度の実験をすることのない、本開示の利益を有する当業者の設計、製作、及び製造の日常的な業務であろう。
〔態様1〕
蒸気圧縮システムであって、
凝縮器及び蒸発器の液体収集部分を流体的に結合する第1の導管であって、前記凝縮器から前記蒸発器の第1の入口への冷媒の第1の流れを導くように構成される、第1の導管と、
前記凝縮器と前記蒸発器の前記液体収集部分を流体的に結合する第2の導管であって、前記凝縮器から前記蒸発器の第2の入口への冷媒の第2の流れを、重力を介して導くように構成される、第2の導管と、
を備え、前記第1の入口は、前記蒸発器の垂直寸法に対して前記第2の入口の上方に配置される、蒸気圧縮システム。
〔態様2〕
前記凝縮器の前記液体収集部分は、前記冷媒を液相で含む、前記凝縮器の内部の一部を備える、態様1に記載の蒸気圧縮システム。
〔態様3〕
前記第2の導管に沿って配置された弁と、
前記凝縮器と前記蒸発器との間の圧力差を示すフィードバックに基づいて、前記弁の位置を調整するように構成されるコントローラと、
を備える、態様1に記載の蒸気圧縮システム。
〔態様4〕
前記凝縮器と前記蒸発器との間の前記圧力差を示す前記フィードバックは、前記凝縮器の前記液体収集部分における液位を含む、態様3に記載の蒸気圧縮システム。
〔態様5〕
前記コントローラは、前記凝縮器の前記液体収集部分における前記液位が閾値以上である場合に、前記弁の前記位置を開位置に向けて調整するように構成される、態様4に記載の蒸気圧縮システム。
〔態様6〕
前記蒸発器を備え、前記蒸発器はハイブリッド流下液膜式蒸発器である、態様1に記載の蒸気圧縮システム。
〔態様7〕
前記第1の導管は、前記ハイブリッド流下液膜式蒸発器の上部に結合するように構成される、態様6に記載の蒸気圧縮システム。
〔態様8〕
前記第2の導管は、前記ハイブリッド流下液膜式蒸発器の底部に結合するように構成される、態様7に記載の蒸気圧縮システム。
〔態様9〕
前記第1の導管に沿って配置された弁を備える、態様1に記載の蒸気圧縮システム。
〔態様10〕
前記凝縮器の前記液体収集部分における液位が閾値以下である場合に、前記弁を閉位置に向けて調整するように構成されるコントローラを備える、態様9に記載の蒸気圧縮システム。
〔態様11〕
蒸気圧縮システムであって、
前記蒸気圧縮システムの冷媒を受け取り、前記冷媒を第1の作動流体との熱交換関係に置くように構成される凝縮器と、
蒸発器であって、前記蒸発器に接続される一次導管と前記蒸発器に接続されるバイパス導管とを介して前記凝縮器に流体的に結合され、前記冷媒を第2の作動流体との熱交換関係に置くように構成される、蒸発器と、
前記バイパス導管に沿って配置された弁と、
前記凝縮器と前記蒸発器との間の圧力差を示すフィードバックに基づいて、前記弁の位置を調整するように構成されるコントローラと、
を備える蒸気圧縮システム。
〔態様12〕
前記一次導管及び前記バイパス導管は、互いに直接結合される、態様11に記載の蒸気圧縮システム。
〔態様13〕
前記一次導管は、前記凝縮器と前記蒸発器との間に延び、前記バイパス導管は、前記一次導管と前記蒸発器との間に延びている、態様11に記載の蒸気圧縮システム。
〔態様14〕
前記一次導管は、前記蒸発器の上部で前記蒸発器に接続され、前記バイパス導管は、前記蒸発器の垂直寸法に対して前記一次導管の下方の位置において前記蒸発器に接続される、態様11に記載の蒸気圧縮システム。
〔態様15〕
蒸気圧縮システムであって、
圧縮機から冷媒を気相で受け取るように構成される凝縮器であって、前記冷媒から第1の作動流体への熱伝達を介して、前記冷媒を前記気相から液相へと凝縮するように構成される、凝縮器と、
第1の導管及び第2の導管を介して前記凝縮器に流体的に結合された蒸発器であって、第2の作動流体から前記冷媒への熱伝達を介して、前記冷媒を前記液相から前記気相へと蒸発させるように構成される、蒸発器と、
前記凝縮器における液体冷媒レベルが閾値の値範囲外にある場合に、前記第1の導管、前記第2の導管、又はその両方を介して、前記蒸気圧縮システムの動作を調節して、前記冷媒を前記蒸発器の中へと導くように構成されるコントローラと、
を備える蒸気圧縮システム。
〔態様16〕
前記第1の導管及び前記第2の導管の両方が、前記凝縮器の液体収集部分に結合される、態様15に記載の蒸気圧縮システム。
〔態様17〕
前記コントローラに通信可能に結合された第1の弁を備え、前記コントローラは、前記凝縮器における前記液体冷媒レベルに基づき、前記第1の弁の位置を調整して、前記第1の導管を通る前記凝縮器から前記蒸発器への前記冷媒の第1の流れを制御するように構成される、態様15に記載の蒸気圧縮システム。
〔態様18〕
前記コントローラに通信可能に結合された第2の弁を備え、前記コントローラは、前記凝縮器における前記液体冷媒レベルに基づき、前記第2の弁の位置を調整して、前記第2の導管を通る前記凝縮器から前記蒸発器への前記冷媒の第2の流れを制御するように構成される、態様17に記載の蒸気圧縮システム。
〔態様19〕
前記蒸発器はハイブリッド流下液膜式蒸発器である、態様15に記載の蒸気圧縮システム。
〔態様20〕
前記凝縮器と前記蒸発器との間で前記冷媒を循環させるように構成される圧縮機を備え、前記コントローラは前記圧縮機に通信可能に結合され、前記コントローラは周囲温度が閾値周囲温度を下回ったときに前記圧縮機を遮断するように構成される、態様15に記載の蒸気圧縮システム。