(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-02
(45)【発行日】2022-12-12
(54)【発明の名称】電極部材、電極アセンブリ及び二次電池
(51)【国際特許分類】
H01M 50/533 20210101AFI20221205BHJP
H01M 4/04 20060101ALI20221205BHJP
H01M 4/02 20060101ALI20221205BHJP
H01M 4/13 20100101ALI20221205BHJP
H01M 50/591 20210101ALI20221205BHJP
H01M 50/586 20210101ALI20221205BHJP
H01M 50/536 20210101ALI20221205BHJP
【FI】
H01M50/533
H01M4/04 Z
H01M4/02 Z
H01M4/13
H01M50/591 101
H01M50/586
H01M50/536
(21)【出願番号】P 2021505360
(86)(22)【出願日】2018-11-29
(86)【国際出願番号】 CN2018118142
(87)【国際公開番号】W WO2020024492
(87)【国際公開日】2020-02-06
【審査請求日】2021-01-29
(31)【優先権主張番号】201821242185.7
(32)【優先日】2018-08-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】513196256
【氏名又は名称】寧徳時代新能源科技股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Contemporary Amperex Technology Co., Limited
【住所又は居所原語表記】No.2,Xingang Road,Zhangwan Town,Jiaocheng District,Ningde City,Fujian Province,P.R.China 352100
(74)【代理人】
【識別番号】100167689
【氏名又は名称】松本 征二
(72)【発明者】
【氏名】▲ズー▼▲慶▼瑞
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼子格
(72)【発明者】
【氏名】▲ジアン▼▲ミアオ▼
(72)【発明者】
【氏名】李静
(72)【発明者】
【氏名】李▲偉▼
(72)【発明者】
【氏名】▲楊▼献▲偉▼
【審査官】村守 宏文
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第207542313(CN,U)
【文献】特開2013-120780(JP,A)
【文献】特開2019-096591(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/50-50/598
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極本体及び導電構造を備え、
前記電極本体は、積層構造であって、絶縁基体と、前記絶縁基体の表面に配置される導電層と、を備え、
前記導電層は、第1の部分と、前記第1の部分から延出される第2の部分と、を備え、前記第1の部分には活物質が塗布され、前記第2の部分には活物質が塗布されておらず、
前記第2の部分は、本体部及び遷移部を備え、前記遷移部は、前記本体部と前記第1の部分との間に配置され、前記遷移部の幅は、前記本体部の幅よりも大きく、
前記幅とは、前記電極本体の長さ方向に沿った寸法を指し、
前記導電構造は、前記第2の部分に溶接され、前記第1の部分から離れる方向に延びており、両者で形成される溶接領域は、少なくとも一部が前記遷移部に位置する、
ことを特徴とする電極部材。
【請求項2】
前記溶接領域は、前記本体部に位置する第1の溶接領域と、前記遷移部に位置する第2の溶接領域を備え、
前記第2の溶接領域の幅は、前記第1の溶接領域の幅よりも大き
く、前記幅とは、前記電極本体の長さ方向に沿った寸法を指す、
ことを特徴とする請求項1に記載の電極部材。
【請求項3】
前記溶接領域の前記第2の部分の幅方向に沿った両端は、いずれも前記第2の部分の端縁まで延びている、
ことを特徴とする請求項2に記載の電極部材。
【請求項4】
前記第1の溶接領域の高さは、3mm未満であり、前記第2の溶接領域の高さは、0.5mm~2.5mmであ
り、前記高さとは、前記電極本体の高さ方向に沿った寸法を指す、
ことを特徴とする請求項2に記載の電極部材。
【請求項5】
前記第2の部分は、階段構造を有し、前記本体部は、前記階段構造の小端に配置され、前記遷移部は、前記階段構造の大端に配置される、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の電極部材。
【請求項6】
前記第2の部分の自体の幅方向に沿った少なくとも一側において、前記遷移部と前記本体部が角丸によって遷移している、
ことを特徴とする請求項5に記載の電極部材。
【請求項7】
前記溶接領域と前記第1の部分との間には、ギャップが設けられている、
ことを特徴とする請求項1に記載の電極部材。
【請求項8】
前記ギャップに配置される絶縁層をさらに備える、
ことを特徴とする請求項7に記載の電極部材。
【請求項9】
積層配置されている正極部材、負極部材及びセパレータを備え、前記セパレータは、前記正極部材と前記負極部材との間に配置され、
前記正極部材及び前記負極部材のうちの少なくとも一方は、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の電極部材である、
ことを特徴とする電極アセンブリ。
【請求項10】
ハウジングと、
前記ハウジングを覆うトップカバーシートと、
前記トップカバーシートに配置される正極柱及び負極柱と、
前記ハウジング内に配置される、請求項9に記載の電極アセンブリと、
を備え、
前記正極部材は前記正極柱に接続され、前記負極部材は前記負極柱に接続される、
ことを特徴とする二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、エネルギー貯蔵デバイスの技術分野に関し、特に、電極部材、電極アセンブリ及び二次電池に関する。
【背景技術】
【0002】
リチウムイオン電池などの二次電池は、エネルギー密度が高く、環境に優しいなどの利点があるため、携帯電話やノートパソコンなどの電子機器に広く応用されている。近年、環境問題、ガソリン価格の問題、エネルギー貯蔵の問題に対応するために、リチウムイオン電池の応用は、ガソリン電気ハイブリッド車やエネルギー貯蔵システムなどに急速に広がっている。
【0003】
二次電池の発展に伴い、二次電池内の電極部材の主要部材には新型の構造が現れ、即ち、電極部材は、電極本体を備え、電極本体は、絶縁基体と、絶縁基体の外側に配置される導電層とが積層されて形成され、具体的には、導電層は、活物質が塗布された第1の部分と、第1の部分から延出される第2の部分とを備え、複数の第2の部分は、集電部材に接続される。しかしながら、このような電極部材は、導電層の厚さが極めて薄いため、電極部材における第2の部分での電流通過面積が不足することがある。この問題を解決するために、一般的には、第2の部分の幅を直接広くしているが、このようにすると、第2の部分の端部が他の機械部品(アダプター)と干渉するという問題があるため、第2の部分の端部の幅を小さくする、即ち、第2の部分を本体部と遷移部とに分けて、遷移部は、本体部と第1の部分との間に位置させ、本体部の幅は遷移部の幅より小さくする。複数の第2の部分が集電部材に接続されている場合、絶縁基体が存在するため、複数の第2の部分が直接接触できず、導電性が低下される(さらには互いに絶縁される)。絶縁基体を有する電極部材の導電性を向上させるために、従来の技術では、導電構造を追加して第2の部分と溶接させるが、形成された溶接領域全部本体部にあり、電極部材により二次電池を形成した後、電流は遷移部から本体部を経て導電構造へ流れる。このとき、本体部で局所的に抵抗が大きくなる領域が生じるため、第1の部分の過電流能力、及び二次電池の急速充電能力に影響を及ぼす。
【発明の概要】
【0004】
本願は、電極部材、電極アセンブリ及び二次電池を提供しており、上記問題を解決することができる。
【0005】
本願の第1の態様は、電極部材を提供しており、該電極部材は、電極本体及び導電構造を備え、前記電極本体は、積層構造であって、絶縁基体と、前記絶縁基体の表面に配置される導電層と、を備え、前記導電層は、活物質を有する第1の部分と、前記第1の部分から延出される第2の部分と、を備え、前記第2の部分は、本体部及び遷移部を備え、前記遷移部は、前記本体部と前記第1の部分との間に配置され、前記遷移部の幅は、前記本体部の幅よりも大きく、前記導電構造は、前記第2の部分に溶接され、前記第1の部分から離れる方向に延びており、両者で形成される溶接領域は、少なくとも一部が前記遷移部に位置する。
【0006】
好ましくは、前記溶接領域は、前記本体部に位置する第1の溶接領域と、前記遷移部に位置する第2の溶接領域を備え、前記第2の溶接領域の幅は、前記第1の溶接領域の幅よりも大きい。
【0007】
好ましくは、前記溶接領域の前記第2の部分の幅方向に沿った両端は、いずれも前記第2の部分の端縁まで延びている。
【0008】
好ましくは、前記第1の溶接領域の高さは、3mm未満であり、前記第2の溶接領域の高さは、0.5mm~2.5mmである。
【0009】
好ましくは、前記第2の部分は、階段構造を有し、前記本体部は、前記階段構造の小端に配置され、前記遷移部は、前記階段構造の大端に配置される。
【0010】
好ましくは、前記第2の部分の自体の幅方向に沿った少なくとも一側において、前記遷移部と前記本体部が角丸によって遷移している。
【0011】
好ましくは、前記溶接領域と前記第1の部分との間には、ギャップが設けられている。
【0012】
好ましくは、前記ギャップに配置される絶縁層をさらに備える。
【0013】
本願の第2の態様は、電極アセンブリを提供しており、該電極アセンブリは、積層配置されている正極部材、負極部材及びセパレータを備え、前記セパレータは、前記正極部材と前記負極部材との間に配置され、前記正極部材及び前記負極部材のうちの少なくとも一方は、上記に記載の電極部材である。
【0014】
本願の第3の態様は、二次電池を提供しており、該二次電池は、ハウジングと、前記ハウジングを覆うトップカバーシートと、前記トップカバーシートに配置される正極柱及び負極柱と、前記ハウジング内に配置される、上記に記載の電極アセンブリと、を備え、前記正極部材は前記正極柱に接続され、前記負極部材は前記負極柱に接続される。
【0015】
本願により提供される技術案は、下記の有益な効果を達することができる。
【0016】
本願により提供される電極部材は、導電層における遷移部の幅が本体部の幅よりも大きく、且つ導電部材と導電層との溶接領域の少なくとも一部が遷移部に配置され、即ち、溶接領域が第2の部分と第1の部分との接合箇所まで延びており、電極部材が組み立てられて二次電池が形成されると、電極アセンブリの電流は、第1の部分から遷移部を介して、本体部を経由せずに直接導電構造へ流れる。このようにすると、本体部による抵抗の局所的に増大することを避けることができ、電流が流れる箇所に十分な電流通過面積を確保し、二次電池の安全性を向上させることができる。
【0017】
上記の一般的な説明及び以下の詳細な説明は例示に過ぎず、本願を限定するものではないことを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は、本願により提供される二次電池の特定の実施例の概略構造図である。
【
図2】
図2は、本願により提供される電極部材の特定の実施例の概略構造図である。
【
図3】
図3は、本願により提供される電極部材の特定の実施例の断面図である。
【
図4】
図4は、本願により提供される電極部材における電極本体の特定の実施例の概略構造図である。
【
図6】
図6は、本願により提供される電極部材の特定の実施例の概略構造図である。
【0019】
添付図面は、本明細書に組み込まれて、本明細書の一部を構成し、本願に適合する実施例を示し、明細書と共に本願の原理を説明するために使用される。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付図面を参照して、特定の実施例を用いて本願をさらに詳細に説明する。
【0021】
本願の説明において、「前、後、上、下、左、右」、「横方向、縦方向、垂直、水平」及び「頂、底」等が示す方向や位置関係の用語は、通常、図面に示される方向または位置関係に基づいており、これは、本発明の説明を容易にし、説明を簡略化するためだけであり、特に説明しない限り、これらの用語は、装置または素子が必ずしも特定の方向を有すること、或いは特定の方向で構成されて操作されることを示す、または暗示するものではないため、本発明の範囲を限定するものとして理解してはいけない。「内、外」の用語は、各部材自体の輪郭に対する内側及び外側を指す。
【0022】
本願の説明において、「第1」、「第2」等の用語を用いて部品を限定するのは、当該部品を区別し易くするためであり、特に説明しない限り、上記の用語は特別な意味がないため、本発明の範囲を限定するものとして理解してはいけない。
【0023】
また、
図1における二次電池の長さ方向を長さ方向Xとし、二次電池の厚さ方向を厚さ方向Yとし、二次電池の高さ方向を高さ方向Zとする。
【0024】
図1~7に示すように、本願の実施例は、ハウジング1、トップカバーシート2、正極柱3、負極柱4及び電極アセンブリ5を備える二次電池を提供し、ハウジング1は、収容キャビティを備え、トップカバーシート2は、当該収容キャビティを封止するように、ハウジング1を覆う。正極柱3及び負極柱4は、トップカバーシート2に配置されている。電極アセンブリ5は、ハウジング1内に配置されている。
【0025】
電極アセンブリ5は、積層配置されている正極部材、負極部材及びセパレータを備え、セパレータは、正極部材と負極部材との間に配置され、正極部材、負極部材及びセパレータは、積層または巻回によって電極アセンブリ5を形成する。電極アセンブリ5がハウジング1内に配置されている場合、正極部材は正極柱3に接続されており、負極部材は負極柱4に接続されている。正極部材と正極柱3、負極部材と負極柱4は、いずれも集電体を介して接続することができ、正極柱3及び負極柱4を介して電極アセンブリ5と二次電池の外部部材との電気的接続を図ることができる。正極部材及び負極部材は、通常、シート状構造として配置されているため、両者は、通常、正極シート及び負極シートとも呼ばれる。
【0026】
図3を参照すると、上記正極部材及び負極部材の少なくとも一方は、下記の任意の実施例に記載された電極部材である。即ち、正極部材または負極部材のみが下記の電極部材であってもよく、両方とも下記の電極部材であってもよい。
【0027】
図2及び
図3を参照すると、電極部材は、積層構造の電極本体51を備え、電極本体51は、絶縁基体512と、絶縁基体512の表面に設けられた導電層513とを備え、絶縁基体512の片側のみに導電層513を設けてもよく、絶縁基体512の両側に導電層513を設けてもよい。
図3は、両側に導電層513を設けた実施例の概略構造図を示す。導電層513は、第1の部分5131及び第2の部分5132を備え、第1の部分5131は、活物質511を有し、第2の部分5132は、第1の部分5131から延出され、且つ、第2の部分5132は、活物質511を有しない。第2の部分5132は、本体部51321及び遷移部51322を備え、遷移部51322は、本体部51321と第1の部分5131との間に配置され、且つ、遷移部51322の幅は、本体部51321の幅よりも大きい。ここで、上記幅とは、上記長さ方向Xの寸法を指す。
【0028】
上記電極部材において、導電層513における遷移部51322の幅を本体部51321の幅よりも大きくして、第1の部分5131と第2の部分5132との接続面積を増加させ、両者の接続強度を増加させ、二次電池の信頼性を向上させる。このように、電極部材が絶縁基体512と導電層513とが積層されて形成されている場合、導電層513の厚さ(即ち、上記厚さ方向Yの寸法)が極めて小さいため、他の部材と接続されるときに、第1の部分5131と第2の部分5132との接合箇所が特に破断し易い。しかしながら、本願の電極部材を利用すると、第1の部分5131と第2の部分5132との接合箇所の寸法を増加させることができ、導電層513の耐破断性を向上させることができる。また、このような積層構造の電極部材を用いて二次電池を形成する場合、導電層513の厚さが薄いため、この箇所での電流通過面積が非常に小さく、この箇所での発熱が激しくなり、二次電池の性能を著しく低下させるおそれがあるが、遷移部51322の幅を増加させることにより、第1の部分5131と第2の部分5132との接合箇所での導電層513の電流通過面積を増加させ、二次電池の使用中における当該箇所の発熱現象を緩和し、二次電池の性能を向上させることができる。
【0029】
複数の電極部材で電極アセンブリ5が形成されると、各第2の部分5132が互いに接続される場合、隣接する2つの第2の部分5132が接続される際に、中間絶縁基体512の影響を受けるため、第2の部分5132間の電気的接続が難しくなる。そのため、本願の電極部材は、導電構造52をさらに備えており、導電構造52は、導電層513上の第2の部分5132に接続され、第1の部分5131から離れる方向に延びている。上記高さ方向Zにおいて電極柱が設けられている側で、導電構造52は、第2の部分5132から張り出す。このように、導電構造52を追加することにより、電極アセンブリ5を形成する際に、各電極部材が導電構造52を介して直接接続され、隣接する導電構造52間に絶縁基体512が存在しないので、各電極部材の電気的接続が容易になる。
【0030】
正極部材、負極部材及びセパレータが巻回または積層されて電極アセンブリ5が形成された後、電極アセンブリ5の複数の第2の部分5132が積層される。正極部材の第2の部分5132が積層され、その導電構造52に接続されて共に正極タブを形成する。負極部材の第2の部分5132が積層され、その導電構造52に接続されて共に負極タブを形成する。正極部材は、正極タブを介して正極柱3に接続され、負極部材は、負極タブを介して負極柱4に接続される。
【0031】
好ましくは、導電構造52は、導電層513に溶接されてもよく、具体的には、超音波溶接(例えば、ロール溶接またはトランスファー溶接)であってもよい。一実施例において、導電構造52と導電層513とが形成する溶接領域53は、全部本体部51321に位置しているが、このような電極構造により二次電池が形成されると、電極アセンブリ5の電流は、遷移部51322、本体部51321を順次に通過して導電構造52に伝導されるが、本体部51321の幅は、遷移部51322の幅よりも小さく、導電層513全体の厚さは、導電構造52に比べて極めて小さいため、主体部51321において電流通過面積が他の領域に比べて著しく減少する現象が生じ、本体部51321には、抵抗が局所的に増大する領域が現れ、この箇所の発熱が激しくなる。
【0032】
本願の一実施例によると、導電構造52と導電層513との間に形成される溶接領域53は、少なくとも一部が遷移部51322に位置し、即ち、導電構造52が、第1の部分5131に近い側から遷移部51322まで延出し、且つ、導電構造52は、少なくとも遷移部51322において導電層513に接続されている。このように電極部材を組み立てて二次電池を形成する場合、電極アセンブリ5の電流は、第1の部分5131から遷移部51322、溶接領域53、導電構造52を順に経由しており、本体部51321を経由する必要がないので、本体部51321により電流通過面積が著しく減少することを避けることができ、電流が流れる箇所に十分な電流通過面積を確保し、二次電池の安全性を向上させることができる。また、本願は、導電構造52と導電層513との溶接領域53を遷移部51322に設けており、遷移部51322の幅が本体部51321の幅よりも大きいので、このような方式は、溶接領域53が本体部51321のみに設けられている方式よりも、第2の部分5132と導電構造52との接続面積を著しく増加させることができ、第2の部分5132における導電層513の強度を増加させることができるため、電極部材を巻回または積層して電極アセンブリ5を形成する場合、第2の部分5132の垂れが発生することを緩和し、電極アセンブリ5の品質を向上させる。
【0033】
なお、第2の部分5132の幅は、上記厚さ方向Yの投影において、第2の部分5132が三角形構造、台形構造、階段構造等を有するように、上記高さ方向Zに沿って連続的に滑らかに変化してもよいことを理解されたい。一実施例において、第2の部分5132は、階段構造を有し、
図4に示すように、互いに接続された大端及び小端を有し、大端の横断面の面積は、小端の横断面の面積よりも大きく、ここで、横断面とは、高さ方向Zに垂直な断面を指す。大端の小端に近い側に階段面が形成され、このとき、本体部51321は、階段構造の小端に配置され、遷移部51322は、階段構造の大端に配置され、階段面は、第1の部分5131から離れるように構成されている。このような構造を利用すると、第2の部分5132の高さ(上記高さ方向Zに沿った寸法)が同じである場合、遷移部51322の幅をより大きくすることができ、さらに、第2の部分5132と第1の部分5131との接続の信頼性をより高めることができる。また、このように、本体部51321を小端に配置することで、遷移部51322の幅を大きくするとともに、本体部51321の幅を比較的小さくすることができるため、第2の部分5132が他の部材と接続する際に他の部材の機能に影響を与えることを避けることができる。例えば、第2の部分5132は、電極タブを形成した後、集電体部材を介して電極柱に接続されてもよく、二次電池の安全性を向上させるために、集電体部材に溶断孔が配置されてもよい。電極柱と電極アセンブリ5とで形成される通路の電流が大き過ぎると、溶断孔で速やかに遮断することができる。この場合、本体部51321の幅が大き過ぎると、溶断孔を覆って溶断孔の信頼性に影響を与えるおそれがあり、さらには故障を引き起こし、二次電池の安全性を低下させる。上記階段構造を利用すると、本体部51321と遷移部51322との横断面の差を大きくすることができるため、上記問題の発生を避けることができる。
【0034】
一実施例において、第2の部分5132は、第1の部分5131に角丸によって接続されており、このような階段構造は、第2の部分5132の電流通過面積をより増加させることができる。
【0035】
なお、上記大端及び小端は、それぞれ矩形構造、三角形構造、台形構造及び階段構造のうちの1つまたは複数の構造の組み合わせであってもよい。
【0036】
さらに、第2の部分5132の上記長さ方向Xに沿った少なくとも一側において、遷移部51322と本体部51321とが角丸によって遷移している。即ち、第2の部分5132の上記長さ方向Xに沿った両側において、遷移部51322と本体部51321とはいずれも角丸によって遷移してもよく、第2の部分5132の長さ方向Xに沿った片側のみにおいて、遷移部51322と本体部51321とが角丸によって遷移してもよい。このようにすると、第2の部分5132の成型後の応力集中を防止し、第2の部分5132の信頼性を向上させることができる。
【0037】
電極アセンブリ5の構造的配置及び二次電池における空間的配置をさらに容易にするために、第2の部分5132と導電構造52とで形成される電極タブは、中心面に対して対称的に配置されてもよい。ここで、中心面は、第2の部分5132の高さ方向Z及び厚さ方向Yに平行な面である。
【0038】
本願の一実施例において、上記溶接領域53は、本体部51321にも位置している。即ち、導電構造52は、本体部51321及び遷移部51322の両方において導電層513に溶接されている。具体的に、
図5に示すように、溶接領域53は、第1の溶接領域531及び第2の溶接領域532を有し、第1の溶接領域531は、本体部51321に位置し、第2の溶接領域532は、遷移部51322に位置する。このようにすると、導電構造52と第2の部分5132との溶接面積を確保しつつ、遷移部51322の高さ(即ち、上記高さ方向Zに沿った寸法)を小さくすることができ、電極アセンブリ5による二次電池のスペース占有を小さくすることができる。且つ、遷移部51322の高さを小さくすることができ、電極タブの折り曲げ時の折り目も減少し、二次電池のエネルギー密度を向上させることができる。同時に、このように設置すると、第2の溶接領域532の全体的な高さも減少させることができるため、溶接痕がセパレータを突き破ることによる短絡を防止することができる。特に、正極部材がこのような電極部材を利用すると、通常、負極部材の長さが正極部材の長さよりも長いため、溶接痕がセパレータを突き破ると負極部材に接触して短絡を引き起こす。しかし、このように溶接領域53を本体部51321と遷移部51322に共に配置すると、溶接痕がセパレータを突き破ることを避けることができ、二次電池の安全性を向上させることができる。ここで、上記長さとは、長さ方向Xに沿った寸法を指す。
【0039】
さらに、第2の溶接領域532の幅は、第1の溶接領域531の幅よりも大きいため、遷移部51322と導電構造52との接合箇所の面積を増加させ、二次電池の安全性を向上させる。同時に、第2の部分5132と導電構造52との接続強度を増加させ、二次電池の信頼性を向上させることができる。ここで、上記幅とは、長さ方向Xに沿った寸法を指す。
【0040】
さらに、第2の溶接領域532の高さは、0.5mm~2.5mmであり、即ち、第2の溶接領域532の上記高さ方向Zに沿った寸法は、0.5mm~2.5mmに設定され、例えば、0.5mm、0.8mm、1.0mm、1.5mm、2.0mm、2.2mm、2.5mmに設定される。第2の溶接領域532の高さを当該範囲に設定すると、溶接痕がセパレータを突き破ることによる短絡をより良く防止することができ、二次電池の安全性を向上させることができる。
【0041】
第1の溶接領域531の高さが長すぎると、電極部材の電極タブの長さが長くなり、電極タブが電極アセンブリ5の内部に挿入される確率が高くなる。一実施例において、第1の溶接領域531の高さは、3mm未満であり、即ち、第1の溶接領域531の上記高さ方向Zに沿った寸法は、3mm未満、例えば、2.9mm、2.6mm、2.3mm、2mm、1.5mm等である。このように設定すると、二次電池の組み立て過程において、第1の溶接領域531の冗長発生を緩和し、当該部分が電極アセンブリ5の内部に挿入される確率を低減し、二次電池の安全性を向上させることができる。
【0042】
第2の部分5132と導電構造52とを溶接するとき、生成される振動の振幅が比較的大きい。溶接領域53が第1の部分5131に近すぎる、または直接接続される場合、第1の部分5131上の活物質511が振り落とされる可能性がある。この問題を解決するために、本願の溶接領域53と第1の部分5131との間にギャップを設けて、導電構造52と第1の部分5131上の活物質511が振り落とされることを避けて、電極アセンブリ5の信頼性を向上している。
【0043】
また、電極部材は、絶縁層54をさらに備え、絶縁層54は、上記ギャップに配置されている。
図3に示すように、絶縁層54は、塗布またはコーティング等のプロセスによって導電層513の外側に配置されて、遷移部51322と第1の部分5131との接合箇所の硬度を補強し、この箇所の耐折性を増加させて、二次電池の信頼性を向上させる。
【0044】
さらに、上記の各実施例において、溶接領域53の長さ方向Xに沿った両端は、いずれも第2の部分5132の端縁まで延びている。
図2、
図5に示すように、上記厚さ方向Yに沿った投影において、導電構造52及び第2の部分5132の両者は、重なり合う部分の外側輪郭が一致しているため、電極アセンブリ5全体の配置を容易にし、二次電池全体のエネルギー密度を向上させる。なお、導電構造52は、溶接領域53における第1の部分5131から離れた側まで延びており、
図3に示すように、導電構造52は、第1の部分5131から離れた側で第2の部分5132から張り出し、導電構造52における第2の部分5132から張り出す部分を張出部と定義し、各電極部材は、この張出部によって接続される。このような方式は、溶接領域53の面積をできるだけ大きくすることができることは勿論、溶接領域53の高さを変えずに溶接領域53の面積の最大化することができる。また、このような方式は、構造がシンプルで、接続が容易である。ここで、張出部は、矩形構造、三角形構造または台形構造であってもよく、導電構造52と電極柱または集電体との接続を容易にするために、導電構造52における第2の部分5132から張り出す部分は、矩形構造であることが好ましい。
【0045】
絶縁基体512の両側に導電層513が配置されている場合、各導電層513にはいずれにも導電構造52が接続され、同一の電極部材上の2つの導電構造52は、上記張出部によって接続されてもよい。電極アセンブリ5と電極柱とが接続される場合、当該張出部によって電極柱に接続されてもよい。
【0046】
以上の説明は、本願の好ましい実施例にすぎず、本願を限定するものではない。当業者にとって、本願は、様々な修正および変更が可能である。本願の精神及び原則の範囲内で行われた補正、同等の置換、変更等は、いずれも本願の範囲内に含まれるものとする。
【符号の説明】
【0047】
1…ハウジング
2…トップカバーシート
3…正極柱
4…負極柱
5…電極アセンブリ
51…電極本体
511…活物質
512…絶縁基体
513…導電層
5131…第1の部分
5132…第2の部分
51321…本体部
51322…遷移部
52…導電構造
53…溶接領域
531…第1の溶接領域
532…第2の溶接領域
54…絶縁層