(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-02
(45)【発行日】2022-12-12
(54)【発明の名称】送気装置、送気量制御方法及び送気システム
(51)【国際特許分類】
A61B 1/015 20060101AFI20221205BHJP
【FI】
A61B1/015 513
(21)【出願番号】P 2021506101
(86)(22)【出願日】2019-03-20
(86)【国際出願番号】 JP2019011791
(87)【国際公開番号】W WO2020188803
(87)【国際公開日】2020-09-24
【審査請求日】2021-07-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000000376
【氏名又は名称】オリンパス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002907
【氏名又は名称】弁理士法人イトーシン国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】沼田 剛毅
(72)【発明者】
【氏名】平賀 都敏
【審査官】森口 正治
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-231897(JP,A)
【文献】特開2009-131467(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00-1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の気体を送気する送気源に連通し、内視鏡に設けられた送気管路を介して患者の管腔へ前記所定の気体を供給する送気装置であって、
前記送気装置と前記内視鏡の前記送気管路との間に設けられ前記所定の気体を貯留する気体貯留部内の圧力を測定する圧力測定部と、
前記気体貯留部に接続された排気管路と、
前記排気管路を開閉する開放弁と、
前記圧力測定部の測定結果が、一定値を保持している状態から減少し始めるタイミングを検知し、検知した前記タイミングにおいて
前記開放弁を開に切り替えるように制御する制御部と、
を有する送気装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記圧力測定部の測定結果に基づき前記開放弁の開閉動作を制御する、請求項1に記載の送気装置。
【請求項3】
前記排気管路の内径は、前記送気管路の内径よりも太いことを特徴とする、請求項1に記載の送気装置。
【請求項4】
所定の気体を供給する送気装置の送気量制御方法であって、
前記所定の気体を貯留する気体貯留部内の圧力を測定し、
前記圧力の測定結果が、一定値を保持している状態から減少し始めるタイミングを検知し、
検知した前記タイミング
において、前記気体貯留部に接続された排気管路を開閉する開放弁を、開に切り替えるように制御する
送気量制御方法。
【請求項5】
所定の気体を送気する送気源に連通し、内視鏡に設けられた送気管路を介して患者の管腔へ前記
所定の気体を供給する送気装置と、
前記送気装置と前記内視鏡の前記送気管路との間に設けられ前記
所定の気体を貯留する気体貯留部と、
を含む送気システムであって、
前記送気装置は、
前記気体貯留部内の圧力を測定する圧力測定部と、
前記気体貯留部に接続された排気管路と、前記排気管路を開閉する開放弁と、前記圧力測定部
の測定結果が、一定値を保持している状態から減少し始めるタイミングを検知し、検知した前記タイミングにおいて
前記開放弁を開に切り替えるように制御する制御部と、
を有する送気システム。
【請求項6】
前記送気システムは
、前記気体貯留部と前記送気管路を介して接続される前記内視鏡
を更に有し、
前記制御部は、前記圧力測定部
の測定結果に基づき前記開放弁の開閉動作を制御する、請求項5に記載の送気システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は送気装置、送気量制御方法及び送気システムに関し、特に、内視鏡装置に接続して空気や不活性ガスを内視鏡装置の先端から腹腔内及び管腔内などに注入する送気装置、送気量制御方法及び送気システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、患者の管腔内臓器などを観察したり、必要に応じて処置具を用いて管腔内の部位や組織に対して各種治療処置を行ったりする、内視鏡が広く用いられている。内視鏡を用いた観察・各種処置においては、内視鏡の視野を確保する目的及び処置具を操作するための領域を確保する目的で、送気装置が用いられている。
【0003】
送気装置は、体腔内に送気用気体として例えば二酸化炭素ガスなどを術野に注入し、内視鏡の視野や処置具の操作領域を確保する(例えば、特開2016-144579号公報参照)。
【0004】
送気装置は、送気管路中に送水ボトルなど流体貯留部が設けられており、流体貯留部を介して送気用気体を送出する。非送気時において、流体貯留部には送気用気体が充填された状態である。この状態から送気を開始すると、充填されていた気体が一気に送気管路から体腔内に向けて開放されるため、送気流量が一時的に設定値を超えて過送気状態となってしまう問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、送気開始時における過送気を防止することのできる、送気装置を提供することを目的とする。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様の送気装置は、所定の気体を送気する送気源に連通し、内視鏡に設けられた送気管路を介して患者の管腔へ前記所定の気体を供給する送気装置であって、前記送気装置と前記内視鏡の前記送気管路との間に設けられ前記所定の気体を貯留する気体貯留部内の圧力を測定する圧力測定部と、前記気体貯留部に接続された排気管路と、前記排気管路を開閉する開放弁と、前記圧力測定部の測定結果が、一定値を保持している状態から減少し始めるタイミングを検知し、検知した前記タイミングにおいて前記開放弁を開に切り替えるように制御する制御部と、を有する。
本発明の一態様の送気量制御方法は、所定の気体を供給する送気装置の送気量制御方法であって、前記所定の気体を貯留する気体貯留部内の圧力を測定し、前記圧力の測定結果が、一定値を保持している状態から減少し始めるタイミングを検知し、検知した前記タイミングにおいて、前記気体貯留部に接続された排気管路を開閉する開放弁を、開に切り替えるように制御する。
本発明の一態様の送気システムは、所定の気体を送気する送気源に連通し、内視鏡に設けられた送気管路を介して患者の管腔へ前記所定の気体を供給する送気装置と、前記送気装置と前記内視鏡の前記送気管路との間に設けられ前記所定の気体を貯留する気体貯留部と、を含む送気システムであって、前記送気装置は、前記気体貯留部内の圧力を測定する圧力測定部と、前記気体貯留部に接続された排気管路と、前記排気管路を開閉する開放弁と、前記圧力測定部の測定結果が、一定値を保持している状態から減少し始めるタイミングを検知し、検知した前記タイミングにおいて前記開放弁を開に切り替えるように制御する制御部と、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の第1実施形態に係わる送気システムの全体構成の一例を説明する図。
【
図4】第2実施形態に係わる送気システムの全体構成の一例を説明する図。
【
図5】送気流量と管腔内圧との関係の一例を説明する図。
【
図6】第2の実施形態の変形例に係わる送気システムの全体構成の一例を説明する図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、図面を参照して実施形態を説明する。
【0009】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係わる送気システムの全体構成の一例を説明する図である。
図1に示すように、本実施形態の送気システムは、送気装置1と、送気ボトル25とから構成される。
【0010】
送気装置1には、高圧ガス用ホース22を介して、ガス供給源21(例えば、炭酸ガスボンベ)が接続されている。高圧ガス用ホース22の他端は、送気装置1に設けられた高圧コネクタ23と接続されている。また、送気装置1には、送気コネクタ24が設けられており、送気コネクタ24には、送気チューブ26の一端が接続されている。送気チューブ26の他端は、気体貯留部としての送気ボトル25に接続されている。送気ボトル25には、送気チューブ27の一端が接続されている。送気チューブ27の他端は、図示しない内視鏡コネクタを介し、内視鏡30に接続されたユニバーサルケーブル34内に挿通されている図示しない送気管路に接続されている。
【0011】
内視鏡30は、長尺で細長な挿入部35と、操作部36と、ユニバーサルケーブル34と、を有して構成されている。内視鏡30の挿入部35は、先端から順に、先端部31と、湾曲部32と、可撓管部33と、を有して構成されている。先端部31には、被写体を結像する対物レンズ(図示せず)が配置されている。さらに、この対物レンズの結像位置には、撮像手段として、CCD、CMOSなどの固体撮像素子(図示せず)が配置されている。
【0012】
操作部36には、挿入部35の湾曲部32を湾曲操作するための湾曲操作ノブ40が回転自在に配設されると共に、各種内視鏡機能のスイッチ類などが設けられている。なお、湾曲操作ノブ40は、湾曲部32を上下方向に湾曲操作するためのUD湾曲操作ノブ38と、湾曲部32を左右方向に湾曲操作するためのRL湾曲操作ノブ39とが重畳するように配設されている。また、操作部36には、管腔内に二酸化炭素などの気体を供給するための送気ボタン41と、吸引ボタン42とも設けられている。
【0013】
また、挿入部35と操作部36の連結部は、ユーザによる把持部を兼ねる把持部37と、この把持部37及び挿入部35の可撓管部33の一端の間に設けられた折れ止め部に配設されて、挿入部35に配設された各種処置部を挿通する処置具チャネルの開口部となる処置具チャネル挿通部43とを有して構成されている。
【0014】
操作部36から延設されたユニバーサルケーブル34は、延出端に図示しない内視鏡コネクタを有している。送気ボトル25から延出された送気チューブ27は、内視鏡コネクタを介して、ユニバーサルケーブル34内に挿通された図示しない送気管路に接続されている。すなわち、送気装置1から吐出される気体は、送気チューブ26、送気ボトル25、送気チューブ27を介して、図示しない送気管路に供給される。送気管路に供給された気体は、操作部36の送気ボタン41を押下することにより、挿入部35の先端部31から管腔内へ供給される。
【0015】
送気装置1内には、1次減圧器11と、2次減圧器12と、流量制御弁13とが設けられており、シリコンやフッ素樹脂などで形成された送気管路19によって、これらの部位はこの順に接続されている。また、送気装置1には、リリーフ弁14と、圧力センサ15も設けられており、これらの部位は、排気管路20に接続されている。また、送気装置1には、制御回路16と、設定入力部17と、電源18とも設けられている。
【0016】
1次減圧器11と高圧コネクタ23、及び、流量制御弁13と送気コネクタ24も、送気管路19によって接続されている。すなわち、ガス供給源21から送り出され、高圧ガス用ホース22を介して送気装置1に供給された気体は、送気管路19によって、1次減圧器11、2次減圧器12、流量制御弁13をこの順に通過し、所定の圧力・流量に調整された後、送気コネクタ24を介して送気チューブ26から吐出される。
【0017】
1次減圧器11と2次減圧器12とは、高圧コネクタ23を介して供給された、二酸化炭素などの気体を、人体に危険のない程度の圧力にまで減圧する。例えば、ガス供給源21から1MPa程度の高圧で供給されるガスを、6~50kPa程度にまで減圧する。
【0018】
流量制御弁13は、内視鏡30に供給する気体の流量を所定の値に調整できるように構成されている。流量制御弁13は、例えば、電磁駆動弁の一種であり、駆動部に電磁コイルを用いた調節弁で構成される。電磁コイルに電流を流すと磁力が生じ、プランジャを吸引して弁の開閉を行う。電磁コイルに流す電流の大きさによりプランジャの位置を制御することで、弁部の開度を制御し、送気管路内を流れる気体の流量を所定の値に調整できるように構成されている。
【0019】
開閉弁であるリリーフ弁14は、排気管路20を介して送気コネクタ24に接続されている。リリーフ弁14は、送気動作中も送気停止中も基本的には閉になされているが、送気ボトル25内の気体を開放する必要がある時には、制御回路16から入力される制御信号に基づいて開閉動作を行う。すなわち、リリーフ弁14が開になされると、送気チューブ26、送気コネクタ24、排気管路20、リリーフ弁14を介し、送気ボトル25内に貯留している気体が大気中に放出される。
【0020】
なお、送気ボトル25内に貯留している気体を迅速に放出するために、排気管路20の抵抗は内視鏡の挿入部に挿通された送気管路の抵抗よりも低抵抗で構成することが望ましい。例えば、排気管路20を内視鏡の送気管路よりも太い径の管路で構成することで、低抵抗の管路とすることができる。管路径で抵抗値を調整する場合、例えば、内視鏡の送気管路が1mm程度である場合、排気管路20は1~2cm程度の太さの管で構成することができる。
【0021】
圧力測定部としての圧力センサ15は、排気管路20、送気コネクタ24、送気チューブ26を介して送気ボトル25内の圧力を測定する。圧力の測定は、送気停止中に行われる。圧力センサ15での測定結果は、制御回路16へ出力される。
【0022】
設定入力部17は、ユーザ等が、送気流量の設定を行なったり送気開始や送気停止の指示を入力したりするユーザインタフェースである。なお、設定入力部17を、送気流量の設定を行なう流量設定部と、送気開始・停止の指示を行なう送気スイッチとに分離して構成してもよい。設定入力部17からの指示内容は、制御回路16に出力される。
【0023】
電源18は、送気装置1の各部位に対する電力供給のオン・オフを切り替える。
【0024】
制御部としての制御回路16は、設定入力部17からの指示に従い、流量制御弁13に対し、弁の開閉動作や設定流量に応じた弁の開度の指示を行なう。また、圧力センサ15から入力される圧力測定値に基づき、リリーフ弁14に対し、開閉動作の指示を行なう。
【0025】
次に、制御回路16の指示に基づくリリーフ弁14の開閉動作について説明する。
図2は、送気ボトル内圧の経時変化の一例を示す図である。すなわち、圧力センサ15の測定値の経時変化を示している。
【0026】
内視鏡30の送気ボタン41により送気が停止されている状態において、送気ボトル25内の圧力は、設定された送気流量によらず、2次減圧器12で減圧された送気圧力となっている。すなわち、送気ボトル25内に貯留している気体の圧力は、送気中における送気圧力よりも高い圧力となっている。この状態で、送気ボタン41が操作されて送気装置1から内視鏡30を介して管腔への送気が開始されると、送気ボトル25内に貯留している気体が内視鏡30の先端部31から管腔へ放出されるため、送気ボトル25内の圧力が低下する。すなわち、
図2において、送気ボトル内圧力が一定値から低下し始めるタイミングTsにおいて、送気が開始されたと推定することができる。
【0027】
制御回路16は、圧力センサ15から入力される測定値をモニタし、送気ボトル25内の圧力の低下開始を検知すると、リリーフ弁14を開にするよう制御する。リリーフ弁14が開に切り替わることで、送気ボトル25内に貯留している気体が、送気チューブ26、送気コネクタ24、排気管路20、リリーフ弁14を介して大気中に開放され、送気ボトル25内の圧力が低下する。制御回路16は、リリーフ弁14を開に切り替えてから、予め設定された所定時間後にリリーフ弁14を閉に切り替える。リリーフ弁14を開にしている間は、内視鏡30への送気がほとんどなされず、大気中に送気すべき気体が開放される。従って、リリーフ弁14を開にした後、送気ボトル25内に貯留している気体を大気中に開放されたら、遅滞無くリリーフ弁14を閉に切り替えて、通常の送気状態にすることが望ましい。
【0028】
図3は、送気流量の経時変化の一例を示す図である。同図において、送気開始直後にリリーフ弁14の開閉動作を行う場合の送気流量の経時変化を実線で示している。また、リリーフ弁14の開閉動作を行なわない場合の送気流量の経時変化を点線で示している。送気ボタン41により送気が開始されたタイミングTsより前は、送気が停止されているので、送気流量はゼロである。
【0029】
送気開始タイミングTsの直後、リリーフ弁14の開閉動作を行なわない場合、送気ボトル25内に貯留している気体が一気に送気チューブ27へ送出されるので、送気流量が設定流量Lcよりも大きくなってしまう。高流量で送出された気体は、内視鏡30の先端部31から管腔へ開放されるため、短時間で設定流量Lcになる。しかし、送気開始タイミングTsの直後の過送気により、管腔が必要以上に膨らんでしまい、患部に蠕動運動が生じる可能性がある。また、一般的に、送気装置1により管腔内に送気を行う場合、管腔内臓器と先端部31との距離を細かく調整するために、設定流量Lcは低い値になされている。(例えば、0.9L/min程度。)従って、送気流量のわずかな変動によっても、先端部31と患部との距離が離れてしまう可能性もある。このような患部の蠕動運動や、先端部31と患部とが離れてしまうことで、患部の処置が困難になってしまうという問題があった。
【0030】
これに対し、送気開始タイミングTsの直後、リリーフ弁14の開閉動作を行なう場合、送気開始直後に送気ボトル25内に貯留している気体をリリーフ弁14から大気へ開放することができるので、送気流量のオーバーシュートを防ぎ、先端部31への送気流量を送気開始直後から設定流量Lcに安定的に調整することができる。従って、管腔への過送気を防ぐことができる。
【0031】
このように、本実施形態によれば、送気ボトル25内の圧力を測定する圧力センサ15を設け、圧力センサ15の測定値に基づき送気停止から送気開始に切り替わるタイミングを検知し、内視鏡30への送気量を制御する制御回路16を設けている。送気開始直後に、送気ボトル25内に貯留している気体を大気に開放することにより、送気開始直後の送気流量のオーバーシュートを防ぐことができ、管腔への過送気を防ぐことができる。
【0032】
なお、上述では、管腔に送気が可能なシステムの構成を一例にあげて説明したが、送気ボトル25として送水ボトルを用い、送気ボタン41として送気と送水を切り替えて実行可能な送気・送水ボタンを用いることで、送気だけでなく送水も可能な送気送水システムに対し、本実施形態を適用することも可能である。
【0033】
(第2の実施形態)
上述した第1の実施形態の送気システムにおける送気装置1では、管腔内に送気が開始されたタイミングで、リリーフ弁14を開放することにより送気ボトル25内の圧力を低減し、送気開始直後の送気流量のオーバーシュートを抑制していた。これに対し、本実施形態においては、圧力制御弁51を設け、送気流量の設定値に応じて送気ガスの圧力を調整することにより、送気開始直後の送気流量のオーバーシュートを抑制する点が異なっている。
【0034】
以下、本実施形態における送気システムの構成について、
図4を用いて説明する。
図4は、第2実施形態に係わる送気システムの全体構成の一例を説明する図である。なお、本実施形態の送気システムにおいて、送気装置1´以外の構成要素は第1の実施形態と同様である。また、送気装置1´において、圧力制御弁51、電磁弁52、及び、メモリ53以外の構成要素は第1の実施形態と同様である。同様の構成要素には同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。また、送気装置1に含まれていた、流量制御弁13、リリーフ弁14、及び、圧力センサ15は、送気装置1´には設けられていない。
【0035】
圧力制御弁51は、送気管路19を流れる気体の圧力(以下、管路内圧と示す)を調整可能な制御弁である。例えば、弁部に作用する減圧ばねの力を変化させることにより、管路内圧が所定の値になるように、電気的に調整するよう構成されている。電磁弁52は、
制御回路16から入力される制御信号に基づいて開閉動作を行う。メモリ53には、送気ガスの設定流量と管路内圧との関係が予め登録されている。
図5は、送気流量と管腔内圧との関係の一例を説明する図である。
【0036】
図5に示す表は、例えば、実際の手技に使用する前に、送気装置1´を用いて送気動作テストを事前に行い、送気流量と管路内圧とを実際に測定して取得したデータに基づいて生成されている。メモリ53に予め登録しておく送気流量と管路内圧との関係は、実測値に基づくものでなくともよく、シミュレーションや装置の設計値など、他の手法から両社の関係を取得し登録してもよい。また、メモリ53には、送気流量と管路内圧との関係を、上述のように対応表形式で登録しておいてもよいし、送気流量と管路内圧の相関を表す式の形式で登録しておいてもよい。
【0037】
制御回路16は、設定入力部17から入力された送気流量の設定値を、メモリ53に登録されている送気流量と管路内圧との対応関係データと照合し、管路内圧の設定値を算出する。例えば、送気流量が1.55L/minに設定されている場合、管路内圧の設定値は、38.0kPaとなる。制御回路16は、算出した管路内圧の設定値に基づき、圧力制御弁51の動作を制御する。
【0038】
このように、本実施形態によれば、送気管路19の途中に圧力制御弁51を設け、送気流量の設定値に応じた管路内圧を保持するように、圧力制御弁51を制御する。従って、管路内圧が送気流量に応じた値に常に制御されるため、送気開始直後においても送気流量のオーバーシュートを防ぐことができ、管腔への過送気を防ぐことができる。
【0039】
図6は、第2の実施形態の変形例に係わる送気システムの全体構成の一例を説明する図である。
図6に示すように、第2の実施形態の送気装置1´において、第1の実施形態の送気装置1に設けられていた圧力センサ15を用い、排気管路20´を通じて送気ボトル25内の圧力をモニタする構成にしてもよい。制御回路16は、送気流量に基づき管路内圧の設定値を算出して圧力制御弁51を制御しつつ、圧力センサ15の測定値の変動に応じて圧力制御弁51の制御値を調整する。これにより、管路内圧を更に安定的に制御することができ、送気開始直後における送気流量のオーバーシュートの防止効果を更に高めることが可能となる。従って、管腔への過送気を防ぐことができる。
【0040】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として例示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。