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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-02
(45)【発行日】2022-12-12
(54)【発明の名称】穿孔ドラム装置および穿孔装置
(51)【国際特許分類】
   A24C 5/01 20200101AFI20221205BHJP
   A24F 40/20 20200101ALI20221205BHJP
【FI】
A24C5/01
A24F40/20
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2021514846
(86)(22)【出願日】2020-03-26
(86)【国際出願番号】 JP2020013651
(87)【国際公開番号】W WO2020213360
(87)【国際公開日】2020-10-22
【審査請求日】2021-08-25
(31)【優先権主張番号】P 2019079448
(32)【優先日】2019-04-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004569
【氏名又は名称】日本たばこ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山道 啓二
(72)【発明者】
【氏名】仙道 誠
(72)【発明者】
【氏名】時津 尚弘
【審査官】沼田 規好
(56)【参考文献】
【文献】西独国特許出願公開第02715994(DE,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0340016(US,A1)
【文献】特開昭64-037276(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24C 5/01
A24F 40/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱式たばこのたばこロッドに空洞部を穿孔するための穿孔ドラム装置であって、
たばこロッドの軸方向がドラム回転軸に沿うように加熱式たばこを保持する保持部を外周面に有する回転ドラム部と、
前記回転ドラム部に設けられ、加熱式たばこを搬送する過程において前記保持部に保持されている加熱式たばこにおけるたばこロッドの先端を穿孔する穿孔ユニットと、
前記回転ドラム部に併設される不動の固定部材である回転ドラム基部に設けられたカム部と、
を備え、
前記穿孔ユニットは、
前記回転ドラム部に同期して周回動作し、且つ、前記ドラム回転軸と平行に延伸するスライドロッドと、
前記回転ドラム部の外周側に配置される穿孔ニードル部を有し、前記スライドロッドの軸方向に沿って往復スライド自在に当該スライドロッドに保持される穿孔スライダーと、
前記穿孔スライダーに設けられると共に前記カム部に係合し、前記回転ドラム部の回転に伴って周回動作する際に前記カム部にガイドされることで、前記穿孔スライダーを前記スライドロッドの軸方向に沿って往復スライド動作させるカムフォロワーと、
を有し、
前記カム部は、少なくとも、前記穿孔ニードル部がたばこロッドに先端から挿入されるように前記カムフォロワーをガイドする挿入区間と、前記穿孔ニードル部がたばこロッドから引き抜かれるように前記カムフォロワーをガイドする引き抜き区間と、を含み、
前記穿孔スライダーは、前記スライドロッドにスライド自在に装着されたスライダー本体と、当該スライダー本体に回転自在に保持されると共に先端側に前記穿孔ニードル部が取り付けられたニードル軸部と、を有し、
前記ニードル軸部および前記穿孔ニードル部は同軸配置されると共に前記ドラム回転軸と平行な回転軸を中心に回転自在であり、
前記回転ドラム基部は、前記回転ドラム部の回転に伴って周回動作する前記穿孔スライダーの前記カムフォロワーが前記挿入区間の少なくとも一部の区間を変位する間に亘って前記ニードル軸部に形成された所定の被接触部を摺動させることで当該ニードル軸部を回転させるための、前記ドラム回転軸を中心とする円弧形状を有するガイド面を有するガイド部材を有し、
前記被接触部は、前記ニードル軸部と同軸且つ一体に設けられた環状のローラ部であって、周回動作する前記穿孔スライダーにおける前記ニードル軸部の前記ローラ部が前記ガイド面に沿って摺動する際の摩擦によって前記ニードル軸部が回転する、
穿孔ドラム装置。
【請求項2】
前記カム部は、前記ドラム回転軸を中心として円弧状に延設されると共に前記カムフォロワーを受け入れ可能なガイドレールを有する、
請求項1に記載の穿孔ドラム装置。
【請求項3】
前記ガイドレールは、前記ドラム回転軸を中心として環状に配置されている、請求項2に記載の穿孔ドラム装置。
【請求項4】
前記ガイドレールは、前記ドラム回転軸からの離間寸法が等距離の3次元曲線形状を有し、その少なくとも一部が前記ドラム回転軸に直交する仮想直交面に対して傾斜する傾斜ガイド部を有しており、当該傾斜ガイド部によって前記挿入区間および前記引き抜き区間が形成されている、
請求項2又は3に記載の穿孔ドラム装置。
【請求項5】
前記傾斜ガイド部は、前記仮想直交面に対する傾斜角が一定の定速スライド領域、および、前記仮想直交面に対する傾斜角が一定でない変速スライド領域の少なくとも一方を含む、
請求項4に記載の穿孔ドラム装置。
【請求項6】
前記仮想直交面に対する前記引き抜き区間の傾斜角は、前記仮想直交面に対する前記挿入区間の傾斜角より小さい、
請求項4又は5に記載の穿孔ドラム装置。
【請求項7】
前記回転ドラム基部は、前記ドラム回転軸と同軸を有する円筒状ハウジングを有し、前記ガイドレールは前記円筒状ハウジングの外周面に沿って設けられている、
請求項2から6の何れか一項に記載の穿孔ドラム装置。
【請求項8】
前記カム部は、前記挿入区間よりも前記引き抜き区間の方が長い、
請求項1から7の何れか一項に記載の穿孔ドラム装置。
【請求項9】
前記カム部は、前記ドラム回転軸を中心として環状に配置されており、前記挿入区間の開始位置から前記ドラム回転軸に向かって延びる第1仮想垂線の方向ベクトルと、前記挿入区間の終了位置から前記ドラム回転軸に向かって延びる第2仮想垂線の方向ベクトルとがなす第1中心角φ1に比べて、前記引き抜き区間の開始位置から前記ドラム回転軸に向かって延びる第3仮想垂線の方向ベクトルと、前記引き抜き区間の終了位置から前記ドラム回転軸に向かって延びる第4仮想垂線の方向ベクトルとがなす第2中心角φ2が大きい、
請求項1から8の何れか一項に記載の穿孔ドラム装置。
【請求項10】
前記カム部は、前記ドラム回転軸を中心として環状に配置されており、前記挿入区間の開始位置から前記ドラム回転軸に向かって延びる第1仮想垂線の方向ベクトルと、前記挿入区間の終了位置から前記ドラム回転軸に向かって延びる第2仮想垂線の方向ベクトルとがなす第1中心角φ1が、10°以上120°以下である、
請求項1から9の何れか一項に記載の穿孔ドラム装置。
【請求項11】
前記カム部は、前記ドラム回転軸を中心として環状に配置されており、前記引き抜き区
間の開始位置から前記ドラム回転軸に向かって延びる第3仮想垂線の方向ベクトルと、前記引き抜き区間の終了位置から前記ドラム回転軸に向かって延びる第4仮想垂線の方向ベクトルとがなす第2中心角φ2が、10°以上180°以下である、
請求項1から10の何れか一項に記載の穿孔ドラム装置。
【請求項12】
前記カム部は、前記挿入区間と前記引き抜き区間との間に、前記スライドロッドに対して前記穿孔スライダーを定位に維持することで、前記穿孔ニードル部をたばこロッドに挿入させた状態に維持されるように前記カムフォロワーをガイドする挿入状態定位区間を含む、
請求項1から11の何れか一項に記載の穿孔ドラム装置。
【請求項13】
前記穿孔ニードル部における直径が3.5mm以下である、
請求項1から12の何れか一項に記載の穿孔ドラム装置。
【請求項14】
前記ガイド部材は、前記回転ドラム部の回転に伴って周回動作する前記穿孔スライダーの前記カムフォロワーが前記引き抜き区間の少なくとも一部の区間を変位する間に亘って前記被接触部と接触するように形成されている、
請求項1から13の何れか一項に記載の穿孔ドラム装置。
【請求項15】
前記ガイド部材は、当該ガイド部材を複数に分割させた複数の分割ガイド部を有し、当該複数の分割ガイド部は互いに離間している、
請求項1から14の何れか一項に記載の穿孔ドラム装置。
【請求項16】
前記保持部は、加熱式たばこを保持可能な凹形状を有する保持溝であり、
前記穿孔ニードル部のニードル軸は、前記保持溝における溝底中心から前記ドラム回転軸に向かって延びる仮想垂線と当該ドラム回転軸との交点と、前記溝底中心を通る直線上であって且つ前記溝底中心よりも外側に位置する点を通り、且つ、前記ドラム回転軸と平行に延在する、
請求項1から15の何れか一項に記載の穿孔ドラム装置。
【請求項17】
前記保持溝における前記溝底中心と前記穿孔ニードル部におけるニードル軸との離間寸法は、前記保持溝に保持する加熱式たばこにおけるたばこロッドの直径以下の寸法に設定されている、
請求項16に記載の穿孔ドラム装置。
【請求項18】
前記回転ドラム部は、前記穿孔ニードル部がたばこロッドの先端に挿入される際に、加熱式たばこの吸い口端に当接することで前記保持部からの加熱式たばこの脱落を抑制する第1のストッパー部材を有する、
請求項1から17の何れか一項に記載の穿孔ドラム装置。
【請求項19】
前記回転ドラム部は、前記穿孔ニードル部がたばこロッドから引き抜かれる際に、たばこロッドの先端に当接することで前記保持部からの加熱式たばこの脱落を抑制する第2のストッパー部材を有する、
請求項1から18の何れか一項に記載の穿孔ドラム装置。
【請求項20】
穿孔ドラム装置を複数備える穿孔装置であって、
前記穿孔ドラム装置は、
加熱式たばこのたばこロッドに空洞部を穿孔するための穿孔ドラム装置であって、
たばこロッドの軸方向がドラム回転軸に沿うように加熱式たばこを保持する保持部を外周面に有する回転ドラム部と、
前記回転ドラム部に設けられ、加熱式たばこを搬送する過程において前記保持部に保持されている加熱式たばこにおけるたばこロッドの先端を穿孔する穿孔ユニットと、
前記回転ドラム部に併設される回転ドラム基部に設けられたカム部と、
を備え、
前記穿孔ユニットは、
前記回転ドラム部に同期して周回動作し、且つ、前記ドラム回転軸と平行に延伸するスライドロッドと、
前記回転ドラム部の外周側に配置される穿孔ニードル部を有し、前記スライドロッドの軸方向に沿って往復スライド自在に当該スライドロッドに保持される穿孔スライダーと、
前記穿孔スライダーに設けられると共に前記カム部に係合し、前記回転ドラム部の回転に伴って周回動作する際に前記カム部にガイドされることで、前記穿孔スライダーを前記スライドロッドの軸方向に沿って往復スライド動作させるカムフォロワーと、
を有し、
前記カム部は、少なくとも、前記穿孔ニードル部がたばこロッドに先端から挿入されるように前記カムフォロワーをガイドする挿入区間と、前記穿孔ニードル部がたばこロッドから引き抜かれるように前記カムフォロワーをガイドする引き抜き区間と、を含み、
複数の前記穿孔ドラム装置のうち、相対的に後段に位置する穿孔ドラム装置に設けられた前記穿孔ニードル部のニードル径は、相対的に前段に位置する穿孔ドラム装置に設けられた前記穿孔ニードル部のニードル径より大きい、
穿孔装置。
【請求項21】
穿孔ドラム装置を複数備える穿孔装置であって、
前記穿孔ドラム装置は、
加熱式たばこのたばこロッドに空洞部を穿孔するための穿孔ドラム装置であって、
たばこロッドの軸方向がドラム回転軸に沿うように加熱式たばこを保持する保持部を外周面に有する回転ドラム部と、
前記回転ドラム部に設けられ、加熱式たばこを搬送する過程において前記保持部に保持されている加熱式たばこにおけるたばこロッドの先端を穿孔する穿孔ユニットと、
前記回転ドラム部に併設される回転ドラム基部に設けられたカム部と、
を備え、
前記穿孔ユニットは、
前記回転ドラム部に同期して周回動作し、且つ、前記ドラム回転軸と平行に延伸するスライドロッドと、
前記回転ドラム部の外周側に配置される穿孔ニードル部を有し、前記スライドロッドの軸方向に沿って往復スライド自在に当該スライドロッドに保持される穿孔スライダーと、
前記穿孔スライダーに設けられると共に前記カム部に係合し、前記回転ドラム部の回転に伴って周回動作する際に前記カム部にガイドされることで、前記穿孔スライダーを前記スライドロッドの軸方向に沿って往復スライド動作させるカムフォロワーと、
を有し、
前記カム部は、少なくとも、前記穿孔ニードル部がたばこロッドに先端から挿入されるように前記カムフォロワーをガイドする挿入区間と、前記穿孔ニードル部がたばこロッドから引き抜かれるように前記カムフォロワーをガイドする引き抜き区間と、を含み、
複数の前記穿孔ドラム装置のうち、相対的に後段に位置する穿孔ドラム装置に設けられた前記穿孔ニードル部のニードル挿入深さ寸法は、相対的に前段に位置する穿孔ドラム装置に設けられた前記穿孔ニードル部のニードル挿入深さ寸法より大きい、
穿孔装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、穿孔ドラム装置および穿孔装置に関する。
【背景技術】
【0002】
たばこ原料(例えば、たばこ刻み、たばこ顆粒、たばこシートの成形体等)及びエアロゾル生成基材(例えば、グリセリン、プロピレングリコール等)を含むたばこ充填材を巻紙の内側に充填して形成されたたばこロッドを有する加熱式たばこが知られている。この種の加熱式たばこは、加熱装置(加熱式たばこ器具)と組み合わせられて加熱式たばこ製品を構成し、加熱装置における電気ヒーターによってたばこ充填材を燃焼させることなく加熱されることで生成したエアロゾルを使用者にデリバリーするものである。電気ヒーターとしては、ブレード状やロッド状など、様々な形状のヒーターが実用化されており、喫煙ないし吸引する際に、たばこロッドの先端面から電気ヒーターを挿入することで加熱式たばこが加熱装置に装着される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特表2010-514435号公報
【文献】特表2011-507538号公報
【文献】特開平11-266850号公報
【文献】特表2010-514438号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の加熱式たばこにおいて、たばこロッドの先端面から電気ヒーターを挿入する際の挿入抵抗が大きく、たばこロッド(たばこ充填材)への挿入時に電気ヒーターに折れ、曲がり等といった損傷が生じたり、たばこロッドを形成するたばこ充填材が吸い口側に押し込まれたり、たばこロッドが座屈変形する虞がある。しかしながら、たばこロッドの先端に対して後加工でヒーター挿入用の空洞部を穿孔することのできる製造装置は未だ提案されていないのが実情である。ここでいう「後加工」とは、連続棒状体形の機械における棒状体の形成によって得られたたばこロッドの連続体ではなく、たばこ棒状体の切断を経て個々に切断された後のたばこロッドの先端に空洞部を穿孔することを指す。
【0005】
ここで、特許文献1~4には、ロッドを通って延びる中空通路を有するたばこロッドの連続体の製造装置や製造方法に関する技術が開示されている。例えば、特許文献1には、中空コアたばこロッドの連続体を製造する製造装置が開示されており、巻紙上に載置されたたばこ刻みをガニーチャによってロッド状に巻上げる際、中空通路を形成する部分にマンドレルを配置しておくことで、たばこロッドの連続体の断面中心に中空コアを軸方向に沿って形成することが開示されている。
【0006】
また、特許文献2~4には、同軸中空芯タバコロッドを形成するための製造装置において、中空管とたばこ刻みを同時に巻上げる技術が開示されている。しかしながら、特許文献1~4に開示されている技術は、いずれも、たばこロッドの連続体を製造する際に、連続体の軸方向に沿って延伸する中空コアを予め形成したり、中空管を予め挿入するための技術である。故に、たばこロッドの連続体を所定の長さに切断して得られたたばこロッドには、たばこロッドを軸方向に貫通する態様でしか空洞部を形成することができず、例えば、たばこロッドの先端側に非貫通の空洞部を形成することはできない。従って、たばこロッドの先端に非貫通の空洞部を形成しようとする場合には、たばこロッドの先端に後加工で空洞部を穿孔する必要があるが、そのような装置は未だ存在しない。また、そもそも、たばこロッドの先端に後加工で(たばこ連続体ではなく個々に切断された後のたばこロッドに対して)空洞部を穿孔するといった着想自体が新規なものである。
【0007】
本発明は、上記した実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、加熱式たばこにおけるたばこロッドの先端に対して空洞部を後加工で穿孔することの可能な技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための本発明は、加熱式たばこのたばこロッドに空洞部を穿孔するための穿孔ドラム装置であって、たばこロッドの軸方向がドラム回転軸に沿うように加熱式たばこを保持する保持部を外周面に有する回転ドラム部と、前記回転ドラム部に設けられ、加熱式たばこを搬送する過程において前記保持部に保持されている加熱式たばこにおけるたばこロッドの先端を穿孔する穿孔ユニットと、前記回転ドラム部に併設される回転ドラム基部に設けられたカム部と、を備え、前記穿孔ユニットは、前記回転ドラム部に同期して周回動作し、且つ、前記ドラム回転軸と平行に延伸するスライドロッドと、前記回転ドラム部の外周側に配置される穿孔ニードル部を有し、前記スライドロッドの軸方向に沿って往復スライド自在に当該スライドロッドに保持される穿孔スライダーと、前記穿孔スライダーに設けられると共に前記カム部に係合し、前記回転ドラム部の回転に伴って周回動作する際に前記カム部にガイドされることで、前記穿孔スライダーを前記スライドロッドの軸方向に沿って往復スライド動作させるカムフォロワーと、を有し、前記カム部は、少なくとも、前記穿孔ニードル部がたばこロッドに先端から挿入されるように前記カムフォロワーをガイドする挿入区間と、前記穿孔ニードル部がたばこロッドから引き抜かれるように前記カムフォロワーをガイドする引き抜き区間と、を含む。
【0009】
また、前記カム部は、前記ドラム回転軸を中心として円弧状に延設されると共に前記カムフォロワーを受け入れ可能なガイドレールを有していても良い。
【0010】
また、前記カム部は、前記ドラム回転軸を中心として円弧状に延設されると共に前記カムフォロワーを受け入れ可能なガイドレールを有していても良い。
【0011】
また、前記ガイドレールは、前記ドラム回転軸を中心として環状に配置されていても良い。
【0012】
また、前記ガイドレールは、前記ドラム回転軸からの離間寸法が等距離の3次元曲線形状を有し、その少なくとも一部が前記ドラム回転軸に直交する仮想直交面に対して傾斜する傾斜ガイド部を有しており、当該傾斜ガイド部によって前記挿入区間および前記引き抜き区間が形成されていても良い。
【0013】
また、前記傾斜ガイド部は、前記仮想直交面に対する傾斜角が一定の定速スライド領域、および、前記仮想直交面に対する傾斜角が一定でない(すなわち、変化する)変速スライド領域の少なくとも一方を含んでいても良い。
【0014】
また、前記仮想直交面に対する前記引き抜き区間の傾斜角は、前記仮想直交面に対する前記挿入区間の傾斜角より小さくても良い。
【0015】
また、前記回転ドラム基部は、前記ドラム回転軸と同軸を有する円筒状ハウジングを有し、前記ガイドレールは前記円筒状ハウジングの外周面に沿って設けられていても良い。
【0016】
また、前記カム部は、前記挿入区間よりも前記引き抜き区間の方が長くても良い。
【0017】
また、前記カム部は、前記ドラム回転軸を中心として環状に配置されており、前記挿入区間の開始位置から前記ドラム回転軸に向かって延びる第1仮想垂線の方向ベクトルと、前記挿入区間の終了位置から前記ドラム回転軸に向かって延びる第2仮想垂線の方向ベクトルとがなす第1中心角φ1に比べて、前記引き抜き区間の開始位置から前記ドラム回転軸に向かって延びる第3仮想垂線の方向ベクトルと、前記引き抜き区間の終了位置から前記ドラム回転軸に向かって延びる第4仮想垂線の方向ベクトルとがなす第2中心角φ2が大きくても良い。
【0018】
また、前記カム部は、前記ドラム回転軸を中心として環状に配置されており、前記挿入区間の開始位置から前記ドラム回転軸に向かって延びる第1仮想垂線の方向ベクトルと、前記挿入区間の終了位置から前記ドラム回転軸に向かって延びる第2仮想垂線の方向ベクトルとがなす第1中心角φ1が、10°以上120°以下であっても良い。
【0019】
また、前記カム部は、前記ドラム回転軸を中心として環状に配置されており、前記引き抜き区間の開始位置から前記ドラム回転軸に向かって延びる第3仮想垂線の方向ベクトルと、前記引き抜き区間の終了位置から前記ドラム回転軸に向かって延びる第4仮想垂線の方向ベクトルとがなす第2中心角φ2が、10°以上180°以下であっても良い。
【0020】
また、前記カム部は、前記挿入区間と前記引き抜き区間との間に、前記スライドロッドに対して前記穿孔スライダーを定位に維持することで、前記穿孔ニードル部をたばこロッドに挿入させた状態に維持されるように前記カムフォロワーをガイドする挿入状態定位区間を含んでいても良い。
【0021】
また、前記穿孔ニードル部における直径が3.5mm以下であっても良い。
【0022】
また、前記穿孔スライダーは、前記スライドロッドにスライド自在に装着されたスライダー本体と、当該スライダー本体に回転自在に保持されると共に先端側に前記穿孔ニードル部が取り付けられたニードル軸部と、を有し、前記ニードル軸部および前記穿孔ニードル部は同軸配置されると共に前記ドラム回転軸と平行な回転軸を中心に回転自在であり、前記回転ドラム基部は、前記回転ドラム部の回転に伴って周回動作する前記穿孔スライダーの前記カムフォロワーが前記挿入区間の少なくとも一部の区間を変位する間に亘って前記ニードル軸部に形成された所定の被接触部を摺動させることで当該ニードル軸部を回転させるための、前記ドラム回転軸を中心として円弧状に延設されるガイド部材を有していても良い。
【0023】
また、前記ガイド部材は、前記回転ドラム部の回転に伴って周回動作する前記穿孔スライダーの前記カムフォロワーが前記引き抜き区間の少なくとも一部の区間を変位する間に亘って前記被接触部と接触するように形成されていても良い。
【0024】
また、前記被接触部は、前記ニードル軸部と同軸且つ一体に設けられた環状のローラ部であって、前記ローラ部が前記ガイド部材に対して摺動する際の摩擦によって前記ニードル軸部が回転しても良い。
【0025】
また、前記ガイド部材は、当該ガイド部材を複数に分割させた複数の分割ガイド部を有し、当該複数の分割ガイド部は互いに離間していても良い。
【0026】
また、前記保持部は、前記たばこロッドを保持可能な凹形状を有する保持溝であり、前記穿孔ニードル部のニードル軸は、前記保持溝における溝底中心から前記ドラム回転軸に向かって延びる仮想垂線と当該ドラム回転軸との交点と、前記溝底中心を通る直線上であって且つ前記溝底中心よりも外側に位置する点を通り、且つ、前記ドラム回転軸と平行に延在していても良い。
【0027】
また、前記保持溝における前記溝底中心と前記穿孔ニードル部におけるニードル軸との離間寸法は、前記保持溝に保持する加熱式たばこにおけるたばこロッドの直径以下の寸法に設定されていても良い。
【0028】
また、前記回転ドラム部は、前記穿孔ニードル部がたばこロッドの先端に挿入される際に、加熱式たばこの吸い口端に当接することで前記保持部からのたばこロッドの脱落を抑制する第1のストッパー部材を有していても良い。
【0029】
また、前記回転ドラム部は、前記穿孔ニードル部がたばこロッドから引き抜かれる際に、たばこロッドの先端に当接することで前記保持部からの加熱式たばこの脱落を抑制する第2のストッパー部材を有していても良い。
【0030】
また、本発明は、上述までの何れかの穿孔ドラム装置を複数備える穿孔装置として特定することができる。この場合、複数の穿孔ドラム装置のうち、相対的に後段に位置する穿孔ドラム装置に設けられた前記穿孔ニードル部のニードル径は、相対的に前段に位置する穿孔ドラム装置に設けられた前記穿孔ニードル部のニードル径より大きくても良い。
【0031】
また、複数の穿孔ドラム装置のうち、相対的に後段に位置する穿孔ドラム装置に設けられた前記穿孔ニードル部のニードル挿入深さ寸法は、相対的に前段に位置する穿孔ドラム装置に設けられた前記穿孔ニードル部のニードル挿入深さ寸法より大きくても良い。
【0032】
なお、本発明における課題を解決するための手段は、可能な限り組み合わせて採用することができる。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、加熱式たばこにおけるたばこロッドの先端に対して空洞部を後加工で穿孔することの可能な技術を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1図1は、実施形態1に係る加熱式たばこ製品の内部構造を概略的に示す図である。
図2図2は、実施形態1に係るフィルタチップアタッチメント装置が備えるドラム列の一部を概略的に示す図である。
図3図3は、実施形態1に係る穿孔ドラムの一部を概略的に示す図である。
図4図4は、実施形態1に係る穿孔ドラム装置の縦断面図である。
図5図5は、実施形態1に係る図4に示すA矢視図である。
図6図6は、実施形態1に係るコントロールリングの正面図である。
図7図7は、実施形態1に係る穿孔ユニットの詳細構成を説明する図である。
図8図8は、実施形態1に係る穿孔ユニットの上面図である。
図9図9は、実施形態1に係る穿孔ユニットの正面図である。
図10図10は、実施形態1に係る回転ドラム部の回転角、カム部におけるガイドレール、ニードル先端位置の移動軌跡の関係を示す図である。
図11図11は、カム部に設けられたガイドレールにおける各区間とドラム回転軸に直交する仮想直交面との関係を説明する図である。
図12図12は、ガイドレールにおける挿入区間始端からドラム回転軸に向かって延びる第1仮想垂線の第1方向ベクトルと、挿入区間終端からドラム回転軸に向かって延びる第2仮想垂線の第2方向ベクトルとがなす第1中心角と、引き抜き区間始端からドラム回転軸に向かって延びる第3仮想垂線の第3方向ベクトルと、引き抜き区間終端からドラム回転軸に向かって延びる第4仮想垂線の第4方向ベクトルとがなす第2中心角を説明する図である。
図13図13は、穿孔ドラム装置における穿孔ニードル部のニードル軸と保持溝との関係を説明する図である。
図14図14は、実施形態1における変形例を説明する図である。
図15図15は、実施形態1の変形例における第2ストップリングの部分拡大図である。
図16図16は、フィルタチップアタッチメント装置に組み込まれた複数の穿孔ドラム装置を含む穿孔装置を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
ここで、本発明に係る穿孔ドラム装置および穿孔装置の実施形態について、図面に基づいて説明する。本発明に係る穿孔ドラム装置は、加熱式たばこにおけるたばこロッドの先端面にヒーター挿入用空洞部を穿孔するための装置である。なお、本実施形態に記載されている構成要素の寸法、材質、形状、その相対配置等は、特に特定的な記載がない限りは、発明の技術的範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0036】
<実施形態1>
[加熱式たばこ]
図1は、実施形態1に係る穿孔ドラム装置によってたばこロッドの先端面に穿孔されたヒーター挿入用空洞部を有する加熱式たばこ1の内部構造を概略的に示す図である。加熱式たばこ1は、加熱装置と組み合わされて加熱式たばこ製品を構成するたばこ商品である。加熱式たばこ1および加熱装置からなる加熱式たばこ製品は、加熱装置の電気ヒーターによって加熱式たばこのたばこ充填材を燃焼させることなく加熱し、たばこ充填材において生成されたエアロゾルを使用者に供給する。
【0037】
加熱式たばこ1は、同軸に整列して配列されたたばこロッド2及びフィルタ3を備える。加熱式たばこ1は、使用中に使用者が口腔内に挿入する吸い口端1aと、この吸い口端1aとは反対側の端部にある先端1bを有する。フィルタ3は、同軸に整列して配列された支持部4、エアロゾル冷却部5、及びマウスピース部6を有し、これらの部材がフィルタ3の先端側から順に配置されている。フィルタ3の支持部4、エアロゾル冷却部5、及びマウスピース部6は、巻取紙7によって一体に巻き取られている。更に、たばこロッド2及びフィルタ3は、チップペーパ8によって巻き取られることで一体に連結されている。
【0038】
加熱式たばこ1の喫煙ないし吸引時には、空気が、使用者によって先端1bから吸い口端1aまで加熱式たばこ1を通って吸い込まれる。加熱式たばこ1の先端1bは、たばこロッド2の先端、又は上流端として捉えることができ、加熱式たばこ1の吸い口端1aはマウスピース部6の後端又は下流端として捉えることができる。
【0039】
たばこロッド2は、加熱式たばこ1の先端1bに配置される。たばこロッド2は、たばこ原料及びエアロゾル生成基材を含むたばこ充填材21の側面を覆うように巻紙22によって包んだ棒状部材である。本実施形態において、たばこ充填材21に含まれるたばこ材料は、たばこ刻み、たばこ顆粒、再構成たばこ材料のいずれか1種類若しくは複数種類を含んでいても良い。
【0040】
再構成たばこ材料は、再構成たばこシートを小片に裁刻したり、粉砕することで粒状・粉状の形態としたもの、若しくは、当該再構成たばこシートを裁刻せずに折り畳んだもの等であっても良い。再構成たばこシートは、例えば、均質化たばこ等といったたばこ原料に、添加物として結合剤、ゲル化剤、架橋剤、香料、粘度調整剤等を混練し、例えばスラリー法(キャスト方)、抄造法、圧延法又は押出し方等といった適宜の方法を用いてシート状に成形したものである。再構成たばこ材料は、例えば、たばこ製品の製造工程で生産されるたばこの茎、たばこ葉柄、葉片、及びたばこダストなどのたばこ材料から形成される。再構成たばこ材料は、例えばスラリー法、抄造法、圧延法等といった公知の方法によって形成された再構成たばこシートを、小片に裁刻したり、粉砕することで粒状・粉状の形態としたもの等が知られている。均質化たばこは、例えば、葉タバコ、乾燥たばこ葉、刻みたばこ、膨化たばこ、再生たばこ等を粉砕、磨砕して混和することで得られるたばこ材料である。
【0041】
葉タバコは、例えば、栽培種としてのタバコ植物Nicotiana tabacum種とNicotiana rustica種、野生種としてのタバコ植物Nicoatiana属の植物の葉・葉柄・茎・花等であっても良い。乾燥たばこ葉は、例えば、葉タバコを乾燥させたものである。また、膨化たばこは、例えば、たばこの茎、葉柄、葉脈、一部の葉肉等を圧縮減圧処理で膨らませたものである。再生たばこは、例えば、たばこ製造工程において破損した乾燥葉たばこ・刻みたばこ又は膨化たばこの断片・粉塵を溶解し、漉いて得られたものである。
【0042】
再構成たばこスラリーに含まれる結合剤やゲル化剤は、例えば天然高分子・ゼラチン・コンドロイチン流酸塩、多糖類や多糖類塩(例えば、アルギン酸塩・カラギーナン・ジェランガム・グアーガム・アガロース・ソルビトール・転化糖・デンプン・デキストリン・でんぷん分解物・酸化デンプン等)等を含んでいても良い。結合剤は、例えば、無機塩・カルシウム塩・炭酸カルシウム・カリウム塩・炭酸カリウム・マグネシウム塩,炭酸マグネシウム・ナトリウム塩・炭酸ナトリウム・クエン酸トリエチル等を含んでいても良い。香料は、例えば、植物精油・葉タバコ抽出液・葉タバコ磨砕液・メンソール、合成香料、天然香料、精油等を含んでいても良い。また、香料は、親油性を有していても良いし、親水性を有していても良い。親油性香料としては、例えば、バニリン、エチルバニリン、グアリナロール、チモルメチルサリシレート、リナロール、オイゲノール、メントール、クローブ、アニス、シナモン、ベルガモット油、ゼラニウム、レモン油、スペアミント、ショウガ等が挙げられる。親水性香料としては、例えば、グリセリン、プロピレングリコール、エチルアセテート、イソアミルアルコール等が挙げられる。粘度調整剤は、例えば、水・油脂・脂肪酸・親水性溶媒・アルコール・エタノール・グリセリン・プロピレングリコール等を含んでいても良い。また、再構成たばこスラリーは、例えば、水・グリセリン・プロピレングリコール等の保湿剤や、例えばたばこ繊維・たばこセルロース繊維・木質パルプ・セルロース繊維・非たばこセルロース繊維等の補強材を含んでいても良い。
【0043】
また、再構成たばこシートは、例えばスラリー法、抄造法、圧延法等といった適宜の方法を用いて形成した再構成たばこスラリーシート(再構成たばこキャストシート)、再構成たばこ抄造シート、再構成たばこ圧延シートであっても良い。例えば、再構成たばこスラリーシートは、平板上に展開した再構成たばこスラリーを乾燥、脱水することで製造される再構成たばこシートである。また、再構成たばこ抄造シートは、再構成たばこスラリーにパルプ(セルロース繊維)を配合して抄紙することで製造される再構成たばこシートである。また、再構成たばこ圧延シートは、再構成たばこスラリーをローラ等によってシート状に圧延し、乾燥させることで製造される再構成たばこシートである。
【0044】
たばこ充填材21に含まれるエアロゾル生成基材は、揮発して放出される揮発性物質が冷やされた際にエアロゾルを生成する物質である。エアロゾル生成基材の種類は、特に限定されず、用途に応じて種々の天然物からの抽出物質を適宜選択することができる。エアロゾル生成基材としては、グリセリン、プロピレングリコール、トリアセチン、1,3-ブタンジオール、及びこれらの混合物等を例示できる。
【0045】
支持部4は、たばこロッド2の直ぐ下流側に位置し、たばこロッド2の後端と当接した状態で配置されている。支持部4は、例えば、中空のセルロースアセテート管体であってもよい。言い換えると、支持部4は、円柱状のセルロースアセテート繊維束の横断面中央にセンターホールを貫通形成したものであってもよい。また、支持部4は、他の形態として、セルロール繊維を充填したペーパーフィルタや、紙管等であっても良い。支持部4は、加熱式たばこ1が適用される加熱装置の電気ヒーターがたばこロッド2内に挿入された際に、たばこ充填材21が加熱式たばこ1内でエアロゾル冷却部5に向かって下流側に押し込まれるのを防ぐための要素である。支持部4は、加熱式たばこ1のエアロゾル冷却部5をたばこロッド2から離間させるためのスペーサとしても機能する。
【0046】
エアロゾル冷却部5は、支持部4の直ぐ下流側に位置し、支持部4の後端と当接して配置される。加熱式たばこ1の喫煙ないし吸引時において、たばこロッド2(たばこ充填材21)から放出される揮発性物質は、エアロゾル冷却部5に沿って下流側へ向かって流れる。たばこロッド2(たばこ充填材21)から放出された揮発性物質は、エアロゾル冷却部5で冷却されることで、使用者によって吸入されるエアロゾルを形成する。図1に示す形態において、エアロゾル冷却部5は、外部の空気を導入可能な通気孔5aを有する中空の紙管によって形成されている。但し、エアロゾル冷却部5は、通気孔5aを有していなくても良い。
【0047】
マウスピース部6は、エアロゾル冷却部5の直ぐ下流側に位置するセグメントである。マウスピース部6は、エアロゾル冷却部5の後端と当接した状態で配置されていても良い。図1に示す形態において、マウスピース部6は、例えば、円柱状に成形したセルロースアセテート繊維によって形成されたフィルタ材料を備えていても良い。また、マウスピース部6は、センターホールフィルタ、セルロース繊維を充填したペーパーフィルタであっても良く、また、濾材を含まない紙管であっても良い。
【0048】
図1に示すように、たばこロッド2(たばこ充填材21)の先端面2aには、空洞状のヒーター挿入用空洞部23が開口している。ヒーター挿入用空洞部23は、たばこロッド2(たばこ充填材21)の軸方向に沿った凹部である。ヒーター挿入用空洞部23は、たばこロッド2(たばこ充填材21)の先端面2a(先端1b)から後端側に向かって縮径する円錐形状を有しているが、先端面2aから後端側に向かって縮径する円錐台形状を有していてもよい。ヒーター挿入用空洞部23の形状は特に限定されず、円錐形状や円錐台形状以外の形状を有していてもよい。図1に示す符号CL1は、たばこロッド2の中心軸である。ヒーター挿入用空洞部23は、たばこロッド2の中心軸CL1と同軸に形成されていてもよい。
【0049】
以上のように構成される加熱式たばこ1は、たばこロッド2(たばこ充填材21)にヒーター挿入用空洞部23が形成されているため、たばこロッド2を加熱装置に装着する際、たばこロッド2(たばこ充填材21)に対するヒーター挿入用空洞部23の挿入抵抗を小さくすることができる。これにより、加熱装置に対するたばこロッド2の装着時(たばこロッド2に対する電気ヒーターの挿入時)におけるユーザビリティを向上させることができる。また、電気ヒーターをたばこロッド2に挿入する際に、電気ヒーターの折損等が生じたり、たばこロッド2が座屈変形することを抑制できる。また、たばこロッド2(たばこ充填材21)がヒーター挿入用空洞部23を備えることで、電気ヒーターの挿入抵抗を小さくすることができるため、たばこロッド2に対する電気ヒーターの挿入時に、たばこ充填材21が支持部4側に押し込まれることをより好適に抑制しつつ、たばこ充填材21と電気ヒーターを密着させ、電気ヒーターからたばこ充填材21への熱伝導を向上させることができる。更に、喫煙ないし吸引後に加熱式たばこ1のたばこロッド2を加熱装置から引き抜く際にも、電気ヒーターとたばこ充填材21間で生じる摩擦力が小さいため、たばこ充填材21の脱落が起こり難い。また、喫煙ないし吸引時におけるたばこ充填材21の焼き付きが起こり難くなるため、喫煙ないし吸引後に加熱装置からたばこロッド2を引き抜く際に、たばこ充填材21の脱落を起こり難くすることができる。
【0050】
[穿孔ドラム装置]
次に、加熱式たばこ1におけるたばこロッド2に対してヒーター挿入用空洞部23を穿孔するための穿孔ドラム装置70について説明する。
【0051】
図2は、実施形態1に係るフィルタチップアタッチメント装置50が備えるドラム列の一部を概略的に示す図である。図3図10は、実施形態1に係る穿孔ドラム装置70を説明する図である。穿孔ドラム装置70は、フィルタチップアタッチメント装置50に組み込まれている。フィルタチップアタッチメント装置50は、図示しないたばこ巻上機(連続棒状体形の機械装置)で製造され個々に切断された後のたばこロッドと、フィルタ製造装置(図示せず)で製造されたフィルタロッドを受け取り、これらをチップ材料(チップペーパ)によって巻き取ることで一体に取り付ける装置である。
【0052】
図2に示すように、フィルタチップアタッチメント装置50は、例えば、たばこ巻上機(図示せず)から受け取ったダブルたばこロッドDRを、図示しないドラム等で搬送する過程で2本のシングルたばこロッド2に切断する。ダブルたばこロッドDRは、たばこロッド2の2倍の長さを有する巻紙22によってたばこ充填材21を包んだ棒状部材である。以後、シングルたばこロッド2は、単に「たばこロッド2」と記載する。ダブルたばこロッドDRが切断されることで得られた2本のたばこロッド2は、軸方向に離間された状態で配列される。
【0053】
フィルタチップアタッチメント装置50は、ダブルフィルタロッドDFを搬送する搬送ドラム51を有する。ダブルフィルタロッドDFは、フィルタ3の2倍の長さを有するフィルタロッドであり、中央で2等分されることで2本のフィルタ3が得られるように形成されている。ダブルフィルタロッドDFは、搬送ドラム51によってホッパドラム52に搬送される。
【0054】
上述したたばこロッド2の配列は、2本のたばこロッド2の間にフィルタ3を受け入れ可能な間隔が形成されており、この間隔を保持したままホッパドラム52に供給される。このときたばこロッド2の配列は各たばこロッド2の間にダブルフィルタロッドDFを受け入れ、ダブルフィルタロッドDFと同一の軸線上に並ぶ。ホッパドラム52は、その回転方向でみて両側に一対のフローティングディスク(図示せず)を備えており、ホッパドラム52の回転に伴い、各たばこロッド2は両側のフローティングディスクに挟み込まれ、軸方向にその間隔を詰められる。
【0055】
フィルタチップアタッチメント装置50は、ボビンにロール状に巻き取られたチップペーパ8のウエブ(以下、「チップペーパウエブ」という)TWを連続して繰り出しながら、その片面に糊を塗布し、この後、チップペーパウエブTWを先頭から所定長さ毎のチップペーパ8に切断する。切断したチップペーパ8はホッパドラム52に供給され、ホッパドラム52上のたばこロッド2及びダブルフィルタロッドDFの外面に貼り付く。そして、2本のたばこロッド2及びその間に挟まれたダブルフィルタロッドDFと、これらの外面に張り付いたチップペーパ8は、ホッパドラム52に近接するローリングドラム53へと供給される。
【0056】
ローリングドラム53では、その回転に伴いたばこロッド2等をその外周面上において転動させ、この転動にチップペーパ8を追従させることで、ダブルフィルタロッドDFとその両端に配置された2本のたばこロッド2の外面にチップペーパ8を巻き付ける。チップペーパ8の巻き付けが完了すると、ダブルフィルタロッドDF及びその両側のたばこロッド2の基端部をチップペーパ8一体的に包み込むようにして糊付けされ、ダブルフィルタロッドDFの両側にそれぞれたばこロッド2が接続されたダブル巻きDSが得られる。
【0057】
ダブル巻きDSは、次工程として、ローリングドラム53からチェッキングドラム54に受け渡される。チェッキングドラム54では、ダブル巻きDSの通気検査を行い、ここで巻紙の破れがある穴巻品やダイリューション過多等の不良品が排除される。通気検査をパスしたダブル巻きDSは、次いでチェッキングドラム54からカッティングドラム55に受け渡される。カッティングドラム55上において、ダブル巻きDSは、カッティングナイフ(図示せず)によりダブルフィルタロッドDFの中央位置で2等分され、これにより、2本の加熱式たばこ1に切り離される。この時点において、加熱式たばこ1は、たばこロッド2とフィルタ3がチップペーパ8と一体に巻き取られたものであり、その先端には未だヒーター挿入用空洞部23が穿孔されていない。
【0058】
ダブル巻きDSから2本に切り離された加熱式たばこ1は、カッティングドラム55からターニングドラム56、穿孔ドラム60に順次、受け渡される。ターニングドラム56は、その外周面に多数の保持溝を有しており、これら保持溝内に一対の加熱式たばこ1をそれぞれ1本ずつ受け入れることができる。
【0059】
ダブル巻きDSの切り離しにより、一対の加熱式たばこ1は互いに背向した状態でカッティングドラム55からターニングドラム56に受け渡される。ターニングドラム56では、互いに背向した状態で受け入れた一対の加熱式たばこ1の一方の向きを反転させ、且つ、その外周面上にて他方の加熱式たばこ1と同列上に位置付けられるように変位させた後、加熱式たばこ1を順次穿孔ドラム60に向けて搬送する。穿孔ドラム60は、前段のドラムから受け取った加熱式たばこ1を後段のドラム59に受け渡すまでの搬送過程で、たばこロッド2の先端面2aに対して穿孔し、図1で説明したヒーター挿入用空洞部23を形成する。穿孔ドラム60は、穿孔ドラム装置70の一部を構成している。
【0060】
図3は、実施形態1に係る穿孔ドラム60の一部を概略的に示す図である。詳しくは後述するが、穿孔ドラム60は、その外周面に多数の保持溝を有しており、たばこロッド2を有する加熱式たばこ1を各保持溝内に1本ずつ受け入れる。穿孔ドラム60における保持溝にはサクションエアが供給されており、保持溝に受け入れられた加熱式たばこ1は、保持溝内に吸引保持される。また、穿孔ドラム60には、各保持溝の延伸方向の延長上に穿孔用のニードル部材240が設けられている。穿孔ドラム60は、加熱式たばこ1の搬送過程で、たばこロッド2の先端面2aから穿孔用のニードル部材240を挿入することで穿孔する。その結果、ヒーター挿入用空洞部23が穿孔されたたばこロッド2を有する加熱式たばこ1が得られる。
【0061】
図4は、実施形態1に係る穿孔ドラム装置70の縦断面図である。図4に、便宜上、穿孔ドラム装置70の上下前後方向を示す。穿孔ドラム装置70は、穿孔ドラム60、固定ハウジング80、これらを支持するフレーム部材90等を有している。フレーム部材90は、底板フレーム部91、後方フレーム部92、前方フレーム部93等を有している。後方フレーム部92、前方フレーム部93は、底板フレーム部91から上方に立設するフレーム部材である。
【0062】
固定ハウジング80は、フレーム部材90の後方フレーム部92に固定された不動の固定部材であり、穿孔ドラム60に併設されている。固定ハウジング80は、回転ドラム基部に相当する。図5は、図4に示すA矢視図である。固定ハウジング80は、概略円筒状のハウジング部材であり、内部は中空となっている。符号81は、固定ハウジング80の中空部である。符号CL2は、穿孔ドラム60の回転軸である。本実施形態において、固定ハウジング80は、穿孔ドラム60の回転軸(以下、「ドラム回転軸」ともいう)CL2と同軸となるように配置されており、固定ハウジング80の中心軸はドラム回転軸CL2と一致している。固定ハウジング80の軸方向に沿った両端位置には軸受けハウジング110A,110Bが取り付けられており、軸受けハウジング110A,110Bによって穿孔ドラム60を回転駆動するための回転駆動シャフト100が回転自在に軸支されている。回転駆動シャフト100の中心軸は、ドラム回転軸CL2と一致している。軸受けハウジング110A,110Bは、ベアリング等によって回転駆動シャフト100を回転自在に軸支している。また、回転駆動シャフト100の後端側には、タイミングプーリ120が取り付けられている。タイミングプーリ120には、図示しないタイミングベルトが掛け回されている。タイミングベルトは、駆動モータ(図示せず)の回転軸に取り付けられたモータ側プーリ(図示せず)にも掛け回されており、駆動モータの回転出力がタイミングベルトを介してタイミングプーリ120に伝達されることで、回転駆動シャフト100が回転駆動されるようになっている。
【0063】
穿孔ドラム60は、概略有底円筒状のドラムであり、底盤プレート部61と、当該底盤プレート部61から立設する側周壁である円筒状の回転ドラム部62を有する。回転ドラム部62の外周面62Aには、周方向に複数の保持溝(保持部)63が一定間隔で形成されている(図5を参照)。保持溝63は、加熱式たばこ1(たばこロッド2)を受け入れ可能な凹部であり、例えば、半円形状を有している。保持溝63の数は特に限定されないが、図5に示す例では回転ドラム部62の外周面62Aに20個の保持溝63が一定間隔毎に設けられている。また、回転ドラム部62の保持溝63は、ドラム回転軸CL2と平行に延設されている。そのため、回転ドラム部62の保持溝63は、たばこロッド2の中心軸CL1の方向がドラム回転軸CL2に沿うように加熱式たばこ1(たばこロッド2)を保持することができる。
【0064】
また、図5に示すように、各保持溝63の溝底には、各保持溝63に受け入れた加熱式たばこ1を吸引するためのサクションエアを供給するためのサクション孔63Aが設けられている。穿孔ドラム60における回転ドラム部62の内部には、サクション孔63Aに一端が接続された第1サクション通路64が回転ドラム部62の径方向に延設されている(図4図5等を参照)。
【0065】
図4に示すように、回転ドラム部62における各保持溝63には、3箇所にサクション孔63Aが設けられており、各々のサクション孔63Aに第1サクション通路64が接続されている。但し、各保持溝63に形成するサクション孔63Aの数は特に限定されない。回転ドラム部62には、各第1サクション通路64の他端に接続される第2サクション通路65が、ドラム回転軸CL2方向に沿って延設されている。第2サクション通路65は、回転ドラム部62の前端面62Bにおいて開口している。符号65Aは、回転ドラム部62の前端面62Bにおいて第2サクション通路65が開口する開口孔である。図5に示すように、回転ドラム部62の前端面62Bには、周方向に一定間隔で開口孔65Aが環状に配列している。
【0066】
回転駆動シャフト100の前端側には、ディスクプレート130が一体に取り付けられている。回転駆動シャフト100のディスクプレート130は、コネクティングピンを介してエンドプレート140と一体に締結されている。また、エンドプレート140は、コネクティングピンを介して、穿孔ドラム60の底盤プレート部61と一体に締結されている。以上のように、本実施形態における回転駆動シャフト100は、ディスクプレート130、エンドプレート140を介して穿孔ドラム60の底盤プレート部61と一体に固定されている。これにより、回転駆動シャフト100が回転することで、回転駆動シャフト100と同期して穿孔ドラム60が回転駆動される。なお、図4に示すように、穿孔ドラム60における回転ドラム部62の後端側の内周面と、固定ハウジング80の外周面との間にはベアリング160が介装されているため、回転駆動シャフト100に同期して円滑に穿孔ドラム60を回転駆動させることができる。また、本実施形態では、便宜上、穿孔ドラム装置70を前面側から眺めて、反時計周りに穿孔ドラム60が回転駆動される場合を例に説明する。
【0067】
次に、穿孔ドラム装置70における穿孔ドラム60および固定ハウジング80の前方側に設けられるコントロールリング150について説明する。フレーム部材90における前方フレーム部93には、前面プレート94が取り付けられており、この前面プレート94にリングホルダ95が固定されている。また、リングホルダ95には、コントロールリング150が固定されている。コントロールリング150は、その中心がドラム回転軸CL2と一致するように配置された環状部材であり、その後面150Aが穿孔ドラム60における回転ドラム部62の前端面62Bに対向するようにリングホルダ95に固定されている。本実施形態においては、回転ドラム部62の前端面62Bをコントロールリング150の後面150Aに対して摺接させながら穿孔ドラム60が回転駆動されるようになっている。ここで、コントロールリング150の後面150Aには、回転ドラム部62における各第2サクション通路65にサクションエアを供給するためのサクション供給チャネル151が溝状に凹設されている。
【0068】
図6は、実施形態1に係るコントロールリング150の正面図である。図6に示す符号150Bは、コントロールリング150の前面である。コントロールリング150において、サクション供給チャネル151は、後面150Aに開口している。また、サクション供給チャネル151は、コントロールリング150の周方向に沿って円弧状に延設されており、本実施形態ではコントロールリング150の略半周に亘って形成されている。但し、コントロールリング150においてサクション供給チャネル151を形成させる範囲は適宜変更することができる。図6に示す符号152は、回転ドラム部62における各第2サクション通路65に吸引圧を供給するための吸引口である。吸引口152は、コントロールリング150の前面150Bに開口しており、サクション供給チャネル151と連通している。
【0069】
また、符号153は、回転ドラム部62における各第2サクション通路65に大気圧を供給するための大気開放孔である。大気開放孔153は、コントロールリング150の前面150Bから後面150Aに掛けてコントロールリング150を厚さ方向に貫通しており、大気に開放されている。また、符号154は、回転ドラム部62における各第2サクション通路65にブローエアを供給するためのブローエア供給孔である。ブローエア供給孔154は、コントロールリング150の前面150Bから後面150Aに掛けてコントロールリング150を厚さ方向に貫通している。ここで、図5に示す符号155は、コントロールリング150の吸引口152に連結されるエルボ配管である。符号156は、コントロールリング150のブローエア供給孔154に接続されるエルボ配管である。エルボ配管155には、チューブ等を介して図示しない吸引源から吸引圧が供給される。また、エルボ配管156には、チューブ等を介して図示しないエア供給源からエアブロー用の空気が供給される。
【0070】
図6において、符号151Aは、サクション供給チャネル151の始端であり、符号151Bはサクション供給チャネル151の終端である。穿孔ドラム60が回転駆動されている間、図5に示す各エルボ配管155および吸引口152を介して、コントロールリング150のサクション供給チャネル151に吸引圧が導入される。本実施形態では、コントロールリング150におけるサクション供給チャネル151とドラム回転軸CL2との間の径方向における離間距離と、回転ドラム部62における各第2サクション通路65とドラム回転軸CL2との間の径方向における離間距離は等しい寸法に設定されている。そのため、穿孔ドラム60が回転駆動される際、回転ドラム部62における各第2サクション通路65がコントロールリング150のサクション供給チャネル151に連通している間、すなわち、図6に示すサクション開始位置からサクション終了位置までのサクション区間に亘って、サクション供給チャネル151と連通状態にある第2サクション通路65および第1サクション通路64を通じて保持溝63のサクション孔63Aに吸引圧が供給される。その結果、コントロールリング150のサクション区間に位置する保持溝63に対してサクション孔63Aから吸引圧が作用することとなる。
【0071】
本実施形態における穿孔ドラム60は、例えば、穿孔ドラム60の各保持溝63が回転角0°に到達した時点で前段のターニングドラム56から加熱式たばこ1を受け取ることで当該加熱式たばこ1を吸引保持し、各保持溝63が回転角180°に到達した時点で当該保持溝63に保持していた加熱式たばこ1を後段のドラム59に受け渡すように設計されていても良い(図6を参照)。なお、図6に示す例では、穿孔ドラム60の各保持溝63が回転角170°に到達した時点でサクション孔63Aへの吸引圧の供給が終了する。そして、各保持溝63のサクション孔63Aが大気開放された後、保持溝63に保持されていた加熱式たばこ1が後段のドラム59に受け渡される。なお、穿孔ドラム60は、各保持溝63に吸引保持していた加熱式たばこ1を後段のドラム59に受け渡し後、各保持溝63のサクション孔63Aが第1サクション通路64および第2サクション通路65を通じてブローエア供給孔154と連通するタイミングで、サクション孔63Aにブローエアが供給される。このブローエアの噴射圧は、穿孔ドラム60の各保持溝63に対応する第1サクション通路64および第2サクション通路65等の清掃に利用される。なお、上述したサクション、大気開放、ブローエアの各タイミングは例示的なものであり、適宜変更することができる。
【0072】
なお、図4および図5に示すように、本実施形態における穿孔ドラム装置70は、穿孔ドラム60における各保持溝63に吸引保持している加熱式たばこ1をガイドするガイドプレート180を備えている。ガイドプレート180は、後方フレーム部92に固定されたスタッド185によって支持されている。また、図4および図5に示す符号186は、回転ドラム部62の外周面62Aに取り付けられる環状のストップリングであり、保持溝63の前方に配置されている。ストップリング186は、各保持溝63に吸引保持している加熱式たばこ1における吸い口端1a(フィルタ3側の端面)と当接することで加熱式たばこ1を位置決めするための当接面186Aを有する第1のストッパー部材である(図7を参照)。
【0073】
次に、各保持溝63に保持する加熱式たばこ1におけるたばこロッド2に穿孔するための穿孔ユニット200について説明する。図3に示すように、穿孔ユニット200は、回転ドラム部62に設けられており、回転ドラム部62による加熱式たばこ1(たばこロッド2)の搬送過程において、保持溝63に保持されている加熱式たばこ1におけるたばこロッド2の先端面に穿孔するためのユニットである。穿孔ユニット200は、回転ドラム部62に設けられた一対のスライドロッド210,210と、一対のスライドロッド210,210にスライド自在に保持される穿孔スライダー220を備えている(図3を参照)。図7は、穿孔ユニット200の詳細構成を説明する図である。図8は、穿孔ユニット200の上面図である。図9は、穿孔ユニット200の正面図である。
【0074】
各スライドロッド210は、ドラム回転軸CL2と平行に延伸するように、回転ドラム部62の後端面62Cから前方に向けて突設されている。本実施形態においては、回転ドラム部62の周方向において、一対のスライドロッド210,210に挟まれた領域内に、2個の保持溝63が含まれるように一対のスライドロッド210,210が配置されており、各スライドロッド210は穿孔ドラム60における回転ドラム部62と同期して周回動作するように構成されている。
【0075】
穿孔スライダー220は、一対のスライドロッド210,210にスライド自在に装着されたスライダー本体230(図3を参照)と、当該スライダー本体230に装着された一対のニードル部材240,240を有する。スライダー本体230は、一対のニードル部材240,240を保持するケーシングとして機能する。スライダー本体230は、一対のスライドロッド210,210に対してそれぞれスライド自在に保持される一対のロッド装着部231,231と、これら一対のロッド装着部231,231を連結する連結部232を有する。例えば、各ロッド装着部231は、スライドロッド210との間にスライドボールベアリング等を介装しており、スライドロッド210に対して往復スライド自在となっている。このようにして、穿孔スライダー220におけるスライダー本体230は、一対のスライドロッド210,210間に架け渡されるように装着されると共に、一対のスライドロッド210,210に対して往復スライド自在となっている。
【0076】
また、図3に示すように、スライダー本体230は、ニードル部材240を保持する一対のニードル保持部233,233を有している。一対のニードル保持部233,233は、スライダー本体230の左右方向の両端部近傍にそれぞれ形成されている。ニードル部材240は、ニードル軸部241と、当該ニードル軸部241の先端側に取り付けられた穿孔ニードル部242とを含む。ニードル軸部241は円柱形状を有している。穿孔ニードル部242の形状は特に限定されないが、たばこロッド2に対してヒーター挿入用空洞部23を穿孔するのに適するように、穿孔ニードル部242は先端が尖った針形状を有している。また、後述するように、本実施形態においては、たばこロッド2に対してヒーター挿入用空洞部23を穿孔する際、穿孔ニードル部242を回転させながらたばこロッド2に穿孔するため、穿孔ニードル部242の先端側を円錐形状としている。また、ニードル部材240における穿孔ニードル部242およびニードル軸部241は、同軸配置されている。また、図4に示されるように、ニードル部材240における穿孔ニードル部242は、穿孔ドラム60における回転ドラム部62の外周側に配置されている。
【0077】
本実施形態において、各ニードル部材240のニードル軸部241は、各ニードル保持部233に対して回転自在に保持されている。ここで、各ニードル部材240(ニードル軸部241、穿孔ニードル部242)の中心軸(ニードル軸)CL3は、ドラム回転軸CL2と平行であり、且つ、穿孔ドラム60における回転ドラム部62の保持溝63に吸引保持されている加熱式たばこ1におけるたばこロッド2の中心軸CL1と同軸となっている。
【0078】
更に、各ニードル部材240のニードル軸部241の基端側には、ローラガイド170(図4を参照)と接触する環状のローラ部243(被接触部)が設けられている。本実施形態においては、ローラガイド170がガイド部材に相当する。ローラ部243は、ニードル軸部241よりも外径の大きな外周面を有する環状の部材である。図4に示すように、ローラガイド170は、フレーム部材90の後方フレーム部92に取り付けられている。ローラガイド170は、ドラム回転軸CL2を中心として円弧状に延設されている。
【0079】
ここで、図9に示すように、ローラガイド170は、第1のローラガイド部170A~第3のローラガイド部170Cに分割されており、ローラガイド部170A~170Cは互いに離間した状態で後方フレーム部92に固定されている。本実施形態においては、第1のローラガイド部170A~第3のローラガイド部170Cが複数の分割ガイド部に相当する。また、ローラガイド170における第1のローラガイド部170A~第3のローラガイド部170Cは、ドラム回転軸CL2を中心とする円弧形状を有するガイド面171を有している。回転ドラム部62と同期して穿孔スライダー220が周回動作する際、穿孔スライダー220におけるニードル部材240のローラ部243はローラガイド170(第1のローラガイド部170A~第3のローラガイド部170C)のガイド面171に対して摺動する。その際、ニードル部材240のローラ部243がローラガイド170のガイド面171と摺動する際の摩擦によって、ニードル部材240の中心軸CL3を中心にニードル軸部241を回転させる回転トルクが発生するため、中心軸CL3を中心としてニードル部材240が回転する。このようにして、本実施形態においては、穿孔スライダー220におけるニードル部材240のローラ部243がローラガイド170のガイド面171に接触している間に亘って、ニードル部材240を回転させることができる。
【0080】
次に、回転ドラム部62の回転駆動に同期して、スライドロッド210の軸方向に沿って(すなわち、ドラム回転軸CL2に沿って)穿孔スライダー220をスライド駆動するための構成について説明する。図7に示すように、スライダー本体230の下面には、固定ハウジング80(回転ドラム基部)の外周部に形成されるカム部82と係合するカムフォロワー250が設けられている。カムフォロワー250は、図8に示すように、スライダー本体230の略中央部に配置されており、図7等に示すように固定ハウジング80の外周面に向けてカムフォロワー250がスライダー本体230から突設されている。カムフォロワー250の形状は、特に限定されないが、本実施形態では略円柱形状を有している。
【0081】
次に、固定ハウジング80の外周部に形成されるカム部82について説明する。図4図7等に示すように、固定ハウジング80の後端側における外周面には、穿孔スライダー220に設けられたカムフォロワー250と係合するカム部82が設けられている。カム部82は、固定ハウジング80の外周面を形成しているということもできる。また、カム部82は、カムフォロワー250を受け入れ可能(嵌合可能)な凹部820が固定ハウジング80の周方向に延在するように形成する円弧状のガイドレール821を有している。本実施形態において、ガイドレール821は、ドラム回転軸CL2を中心として環状に配置されている。言い換えると、ガイドレール821は、固定ハウジング80における外周面の全周に亘って設けられている。また、ガイドレール821は、ドラム回転軸CL2からの離間寸法が等距離の3次元曲線形状を有している。穿孔スライダー220は、カムフォロワー250をカム部82のガイドレール821に係合させた状態で、回転ドラム部62の回転駆動に伴ってドラム回転軸CL2を中心として周回動作する。その際、ガイドレール821に沿ってカムフォロワー250がガイドされることにより、穿孔スライダー220をスライドロッド210の軸方向に沿って往復スライド動作させることができる。穿孔スライダー220のスライド動作の詳細については後述する。
【0082】
上記のように、本実施形態における穿孔スライダー220は、2本のニードル部材240を備えている。そのため、図9に示すように、回転ドラム部62には、回転ドラム部62に設けられている保持溝63の数の半分である10個の穿孔スライダー220が環状に配置されている。なお、各穿孔スライダー220における各ニードル部材240の中心軸CL3は、対応する保持溝63に保持されている加熱式たばこ1(たばこロッド2)の中心軸CL1と同軸となっている。つまり、回転ドラム部62に形成されている全ての保持溝63に保持されている加熱式たばこ1(たばこロッド2)に対してニードル部材240が同軸上に配置されることで、たばこロッド2の先端面2aに対して穿孔ニードル部242が対向した状態で配置される。なお、図7および図9に示す符号190は、回転ドラム部62に設けられる各スライドロッド210の後端部を互いに連結する環状のリング部材である。
【0083】
次に、穿孔スライダー220のスライド動作の詳細について説明する。図10は、回転ドラム部62の回転角、カム部82におけるガイドレール821、穿孔ニードル部242における先端位置(以下、「ニードル先端位置」という)PNの移動軌跡の関係を示す図である。
【0084】
図10に示すように、カム部82におけるガイドレール821は、退避状態定位区間R1、挿入区間R2、挿入状態定位区間R3、引き抜き区間R4を有している。図10に示す「前方」とは、ドラム回転軸CL2に沿って前方を意味しており、図4に示す「前方」と対応している。図10に示す「後方」とは、ドラム回転軸CL2に沿って後方を意味しており、図4に示す「後方」と対応している。また、図10に示すドラム回転角は、図6で説明した回転ドラム部62の回転角と対応している。
【0085】
上記のように、穿孔ドラム60における回転ドラム部62は、回転角が0°~180°に対応する区間(以下、「搬送区間」ともいう)において、加熱式たばこ1を保持溝63に吸引した状態で搬送する。以下、搬送区間の始点である回転角が0°に対応する位置を「搬送開始位置」と定義し、搬送区間の終点である回転角が180°に対応する位置を「搬送終了位置」と定義する。図10に示すように、ガイドレール821の退避状態定位区間R1および挿入状態定位区間R3は、ドラム回転軸CL2と平行な変位軸(以下、「スライド軸」という)上におけるカムフォロワー250の位置が、回転角が増加しても変位しないようにカムフォロワー250をガイドする区間である。挿入状態定位区間R3は、退避状態定位区間R1に比べて所定のスライド変位量δ1だけ前方に位置している。また、ガイドレール821の挿入区間R2は、スライド軸上におけるカムフォロワー250の位置が、回転角の増加に伴って前方に変位するようにカムフォロワー250をガイドする区間である。また、引き抜き区間R4は、スライド軸上におけるカムフォロワー250の位置が、回転角の増加に伴って後方に変位するようにカムフォロワー250をガイドする区間である。
【0086】
本実施形態におけるガイドレール821は、回転ドラム部62の回転角が165°~15°に対応する区間が退避状態定位区間R1、回転角が15°~65°に対応する区間が挿入区間R2、回転角が65°~115°に対応する区間が挿入状態定位区間R3、回転角が115°~165°に対応する区間が引き抜き区間R4として、それぞれ形成されている。従って、搬送開始位置から搬送終了位置にかけて、カムフォロワー250は、ガイドレール821における退避状態定位区間R1(回転角0°~15°)、挿入区間R2(回転角15°~65°)、挿入状態定位区間R3(回転角65°~115°)、引き抜き区間R4(回転角115°~165°)、退避状態定位区間R1(回転角165°~180°)によって順次ガイドされる。
【0087】
なお、図10に示す符号VPは、ドラム回転軸CL2に直交する仮想直交面を表す。図11は、カム部82に設けられたガイドレール821における各区間R1~R4とドラム回転軸CL2に直交する仮想直交面VPとの関係を説明する図である。上記の通り、ガイドレール821は、ドラム回転軸CL2からの離間寸法が等距離の3次元曲線形状を有している。そして、図11に示すように、ガイドレール821における退避状態定位区間R1および挿入状態定位区間R3は、仮想直交面VPに対して平行な平行ガイド部821Aとして形成されている。ガイドレール821における平行ガイド部821Aは、仮想直交面VPに対して平行な仮想平面内に存在する。より詳しくは、平行ガイド部821A(退避状態定位区間R1および挿入状態定位区間R3)は、3次元直交座標系XYZにおける1つの座用軸である第1座標軸(図11に示す例では、Z軸)をドラム回転軸CL2とした場合における当該第1座標軸(Z軸)の座標(z座標)が、平行ガイド部821Aの全区間に亘って一定である。一方、ガイドレール821における挿入区間R2および引き抜き区間R4は、仮想直交面VPに対して傾斜する(非平行な)傾斜ガイド部821Bとして形成されている。傾斜ガイド部821B(挿入区間R2および引き抜き区間R4)は、3次元直交座標系XYZにおける上記第1座標軸(図11において、Z軸)をドラム回転軸CL2とした場合における当該第1座標軸(Z軸)の座標(z座標)が、傾斜ガイド部821Bの延在方向に沿って一定ではない(変化している)。本実施形態においては、ガイドレール821の少なくとも一部が傾斜ガイド部821Bとして形成されていれば良く、当該傾斜ガイド部821Bによって挿入区間R2および引き抜き区間R4が形成される。
【0088】
本実施形態においては、各穿孔ユニット200における穿孔スライダー220は、ドラム回転軸CL2に沿って往復スライド自在にスライドロッド210に保持されている。従って、穿孔ユニット200(穿孔スライダー220)が回転ドラム部62の回転と同期して周回動作する際、ガイドレール821によってガイドされるカムフォロワー250がドラム回転軸CL2(スライド軸)に沿って変位すると、カムフォロワー250の変位に連動して穿孔スライダー220がドラム回転軸CL2(スライド軸)に沿ってスライド変位する。そして、穿孔スライダー220にはニードル部材240が保持されているため、穿孔スライダー220がドラム回転軸CL2(スライド軸)に沿ってスライド変位することで、穿孔スライダー220に保持されているニードル部材240もドラム回転軸CL2(スライド軸)に沿ってスライド変位する。その結果、図10に示すように、ドラム回転軸CL2(スライド軸)に沿ったカムフォロワー250の変位に追従するように、ニードル部材240における穿孔ニードル部242のニードル先端位置PNがドラム回転軸CL2(スライド軸)に沿って変位する。
【0089】
本実施形態においては、図10に示すように、カムフォロワー250が退避状態定位区間R1によってガイドされている状態で、穿孔ニードル部242のニードル先端位置PNがたばこロッド2の先端位置よりも後方に後退した位置に維持される。つまり、カムフォロワー250が退避状態定位区間R1によってガイドされている間に亘って、穿孔ニードル部242のニードル先端位置PNがたばこロッド2の先端面2aと離間した状態に維持される。
【0090】
次に、カムフォロワー250の係合位置が、ガイドレール821における退避状態定位区間R1から挿入区間R2に移行すると、回転角の増加に伴ってカムフォロワー250がドラム回転軸CL2(スライド軸)に沿って前方に変位する。従って、カムフォロワー250が挿入区間R2によってガイドされている間に亘って、穿孔ニードル部242のニードル先端位置PNがドラム回転軸CL2(スライド軸)に沿って前方、すなわち、たばこロッド2の先端面2aに接近する方向に徐々に変位する。本実施形態においては、カムフォロワー250が挿入区間R2によってガイドされる過程において、穿孔ニードル部242がたばこロッド2におけるたばこ充填材21の先端面2aから挿入されるように、上述したスライド変位量δ1の大きさが設定されている。つまり、ガイドレール821における挿入区間R2は、穿孔ニードル部242がたばこロッド2に先端面2aから挿入されるようにカムフォロワー250をガイドする区間として形成されている。このようにして、穿孔ニードル部242によってたばこロッド2(たばこ充填材21)の先端面2aが穿孔されることにより、たばこロッド2(たばこ充填材21)にヒーター挿入用空洞部23を形成することができる。
【0091】
なお、ニードル部材240(穿孔ニードル部242)のスライドストローク(以下、「ニードルスライドストローク」という)δ3は、上記スライド変位量δ1と実質的に等しい。従って、上記スライド変位量δ1を調整することで、ヒーター挿入用空洞部23を所望の深さを有する凹部として形成することができる。例えば、カムフォロワー250が退避状態定位区間R1を推移する際におけるたばこロッド2の先端面2aとニードル先端位置PNの離間寸法(以下、「初期ニードル離間寸法」という)δ2を5mmとし、ニードル部材240(穿孔ニードル部242)のスライドストローク(すなわち、ニードルスライドストローク)δ3を25mmに設定することで、たばこロッド2に20mmの深さを有するヒーター挿入用空洞部23を形成することができる。ただし、初期ニードル離間寸法δ2と、ニードルスライドストロークδ3の設定値は例示的なものであり、適宜変更することができるのは勿論である。
【0092】
更に、本実施形態においては、回転ドラム部62の回転に伴って周回動作する穿孔スライダー220のカムフォロワー250が挿入区間R2の少なくとも一部の区間を変位する間に亘り、当該穿孔スライダー220に設けられたニードル部材240のローラ部243(被接触部)が、ローラガイド170(ガイド部材)のガイド面171に沿って摺動することで、ニードル部材240が回転駆動されるようになっている。図10に示す例では、回転ドラム部62の回転角が25°~65°に対応する期間である「第1ニードル回転期間T1」において、穿孔スライダー220に設けられたニードル部材240のローラ部243が、第1のローラガイド部170Aのガイド面171に沿って摺動し、当該摺動時におけるローラ部243とガイド面171との間の摩擦力によってニードル部材240を回転させることができる。本実施形態のように、穿孔ニードル部242を回転させながら穿孔ニードル部242をたばこロッド2(たばこ充填材21)の先端面2aに挿入して穿孔することで、穿孔ニードル部242をたばこロッド2(たばこ充填材21)に挿入する際の挿入抵抗(穿孔抵抗)を低減することができる。その結果、穿孔ニードル部242をたばこロッド2(たばこ充填材21)に対してスムーズに挿入することができる。これにより、たばこロッド2にヒーター挿入用空洞部23を穿孔する際、保持溝63に吸着保持されている加熱式たばこ1(たばこロッド2)の姿勢がずれたり、保持溝63から加熱式たばこ1(たばこロッド2)が脱落することを抑制できる。また、穿孔ニードル部242をたばこロッド2に挿入する際、たばこロッド2に座屈等の変形が起こることを抑制できる。
【0093】
次に、ガイドレール821にガイドされるカムフォロワー250が、挿入区間R2から挿入状態定位区間R3に移行すると、スライド軸上におけるカムフォロワー250の位置が定位に維持されることで、スライドロッド210に対して、穿孔スライダー220が定位に維持される。その結果、カムフォロワー250が挿入状態定位区間R3によってガイドされている間は、スライド軸上におけるニードル先端位置PNは定位に維持される。以上のように、ガイドレール821における挿入状態定位区間R3は、スライドロッド210に対して穿孔スライダー220を定位に維持することで、穿孔ニードル部242をたばこロッド2に挿入させた状態に維持されるようにカムフォロワー250をガイドする区間として形成される。これにより、挿入状態定位区間R3において、穿孔ニードル部242をたばこロッド2内に挿入した状態に維持することができる。
【0094】
更に、本実施形態においては、穿孔スライダー220のカムフォロワー250が挿入状態定位区間R3の少なくとも一部の区間を変位する間に亘り、当該穿孔スライダー220に設けられたニードル部材240のローラ部243(被接触部)が、ローラガイド170(ガイド部材)のガイド面171に沿って摺動することで、ニードル部材240が回転駆動される。図10に示す例では、回転ドラム部62の回転角が70°~110°に対応する期間である「第2ニードル回転期間T2」において、穿孔スライダー220に設けられたニードル部材240のローラ部243が、第2のローラガイド部170Bのガイド面171に沿って摺動し、当該摺動時におけるローラ部243とガイド面171との間の摩擦力によってニードル部材240を回転させる。このように、穿孔ニードル部242をたばこロッド2内に挿入した状態で、穿孔ニードル部242を回転駆動することで、ヒーター挿入用空洞部23を適正な大きさ、適正な形に穿孔することができる。すなわち、穿孔スライダー220のカムフォロワー250がガイドレール821における挿入状態定位区間R3に位置する間に、穿孔ニードル部242を回転駆動することで、たばこロッド2に挿入されている穿孔ニードル部242に見合った形および大きさのヒーター挿入用空洞部23を綺麗に成形することができ、ヒーター挿入用空洞部23が歪に成形されることを抑制できる。
【0095】
次に、ガイドレール821にガイドされるカムフォロワー250が、挿入状態定位区間R3から引き抜き区間R4に移行すると、回転角の増加に伴ってカムフォロワー250がドラム回転軸CL2(スライド軸)に沿って後方に変位する。従って、カムフォロワー250が引き抜き区間R4によってガイドされている間に亘って、穿孔ニードル部242のニードル先端位置PNがドラム回転軸CL2(スライド軸)に沿って後方、すなわち、穿孔ニードル部242がたばこロッド2の内部から引き抜かれる方向に変位する。以上のように、ガイドレール821における引き抜き区間R4は、穿孔ニードル部242がたばこロッド2から引き抜かれるようにカムフォロワー250をガイドする区間として形成されている。その結果、カムフォロワー250が引き抜き区間R4によってガイドされる過程で、穿孔ニードル部242をたばこロッド2から好適に引き抜くことができる。
【0096】
更に、本実施形態においては、穿孔スライダー220のカムフォロワー250が引き抜き区間R4の少なくとも一部の区間を変位する間に亘り、当該穿孔スライダー220に設けられたニードル部材240のローラ部243(被接触部)が、ローラガイド170(ガイド部材)のガイド面171に沿って摺動することで、ニードル部材240が回転駆動される。図10に示す例では、回転ドラム部62の回転角が115°~155°に対応する期間である「第3ニードル回転期間T3」において、穿孔スライダー220に設けられたニードル部材240のローラ部243が、第3のローラガイド部170Cのガイド面171に沿って摺動し、当該摺動時におけるローラ部243とガイド面171との間の摩擦力によってニードル部材240を回転させる。このように、穿孔ニードル部242を回転させながら穿孔ニードル部242をたばこロッド2(たばこ充填材21)から引き抜くことで、穿孔ニードル部242の引き抜き抵抗を低減できる。その結果、穿孔ニードル部242をたばこロッド2(たばこ充填材21)からスムーズに引き抜くことができる。これにより、たばこロッド2から穿孔ニードル部242を引き抜く際に、たばこ充填材21が穿孔ニードル部242に付着することを抑制できる。その結果、ヒーター挿入用空洞部23の形が崩れたり、歪になることを抑制できる。また、たばこロッド2から穿孔ニードル部242を引き抜く際に、保持溝63から加熱式たばこ1(たばこロッド2)が脱落することを好適に抑制できる。
【0097】
そして、ガイドレール821にガイドされるカムフォロワー250が、引き抜き区間R4から退避状態定位区間R1に移行した後は、穿孔ニードル部242のニードル先端位置PNがたばこロッド2の先端面2aと離間した状態に維持される。具体的には、穿孔ニードル部242のニードル先端位置PNがたばこロッド2の先端面2aから初期ニードル離間寸法δ2だけ離間した状態に維持される。そして、回転ドラム部62の回転角が搬送終了位置に到達することで、たばこロッド2にヒーター挿入用空洞部23が形成されている加熱式たばこ1が穿孔ドラム60から後段のドラム59に受け渡される。
【0098】
なお、本実施形態において、図10図11に示した例では、ガイドレール821における傾斜ガイド部821B(挿入区間R2および引き抜き区間R4)は、仮想直交面VPに対する傾斜角が一定の定速スライド領域として形成されている。ここで、仮想直交面VPに対する傾斜角が一定であるとは、回転ドラム部62の単位回転角当たりにおける第1座標軸(Z軸)の座標(z座標)の変化量が一定であることを意味する。ガイドレール821における挿入区間R2が定速スライド領域として形成されることで、カムフォロワー250が挿入区間R2に沿ってガイドされた際に、穿孔ニードル部242がドラム回転軸CL2(スライド軸)に沿って前方へ定速でスライドする。その結果、穿孔ニードル部242がたばこロッド2に対して定速で挿入される。同様に、ガイドレール821における引き抜き区間R4が定速スライド領域として形成されることで、カムフォロワー250が引き抜き区間R4に沿ってガイドされた際に、穿孔ニードル部242がドラム回転軸CL2(スライド軸)に沿って後方へ定速でスライドする。その結果、穿孔ニードル部242がたばこロッド2から定速で引き抜かれる。ここで、ガイドレール821における挿入区間R2および引き抜き区間R4を上記のように定速スライド領域として形成した場合、挿入区間R2の仮想直交面VPに対する傾斜角(以下、「挿入区間傾斜角」という)と、引き抜き区間R4の仮想直交面VPに対する傾斜角(以下、「引き抜き区間傾斜角」という)は等しくても良いし、相違していても良い。ガイドレール821における挿入区間傾斜角と引き抜き区間傾斜角を等しい場合には、たばこロッド2に対して穿孔ニードル部242が挿入されるときの挿入速度と、たばこロッド2から穿孔ニードル部242が引き抜かれる際の引き抜き速度が等しくなる。一方、ガイドレール821における挿入区間傾斜角と引き抜き区間傾斜角が相違する場合には、たばこロッド2に対する穿孔ニードル部242の上記挿入速度と引き抜き速度を異なる速度に設定することができる。
【0099】
更に、本実施形態において、ガイドレール821における傾斜ガイド部821B(挿入区間R2および引き抜き区間R4)を、仮想直交面VPに対する傾斜角が一定でない(変化する)変速スライド領域として形成されていいても良い。ここで、仮想直交面VPに対する傾斜角が一定でない(変化する)とは、回転ドラム部62の単位回転角当たりにおける第1座標軸(Z軸)の座標(z座標)の変化量が一定ではなく、変化することを意味する。例えば、ガイドレール821における挿入区間R2が変速スライド領域として形成されることで、カムフォロワー250が挿入区間R2に沿ってガイドされた際に、穿孔ニードル部242がドラム回転軸CL2(スライド軸)に沿って前方へスライドする際に、そのスライド速度を変化させながらスライドする。その結果、穿孔ニードル部242がたばこロッド2に対して、その挿入速度を変化させながら挿入される。同様に、ガイドレール821における引き抜き区間R4が変速スライド領域として形成されることで、カムフォロワー250が引き抜き区間R4に沿ってガイドされた際に、穿孔ニードル部242がドラム回転軸CL2(スライド軸)に沿って後方へスライドする際に、そのスライド速度を変化させながらスライドする。その結果、たばこロッド2から穿孔ニードル部242が、その引き抜き速度を変化させながら引き抜かれる。本実施形態において、ガイドレール821における傾斜ガイド部821Bは、上述した「定速スライド領域」および「変速スライド領域」の少なくとも一方を含んでいれば良い。すなわち、ガイドレール821における傾斜ガイド部821Bの全てが「定速スライド領域」又は「変速スライド領域」の何れかであっても良い。また、ガイドレール821における傾斜ガイド部821Bが、「定速スライド領域」および「変速スライド領域」の双方を含んでいても良い。その場合、「定速スライド領域」および「変速スライド領域」の比率は自由に設定することができる。
【0100】
ここで、ガイドレール821における引き抜き区間傾斜角(仮想直交面VPに対する引き抜き区間の傾斜角)は、挿入区間傾斜角(仮想直交面VPに対する挿入区間の傾斜角)より小さな角度とすることが好ましい。このようにすることで、たばこロッド2に対する穿孔ニードル部242の引き抜き速度を、挿入速度よりも小さくすることができる。ここで、たばこロッド2に対して穿孔ニードル部242を挿入するときの挿入抵抗に比べて、たばこロッド2から穿孔ニードル部242を引き抜くときの引き抜き抵抗の方が相対的に大きくなり易い。そこで、たばこロッド2に対する穿孔ニードル部242の引き抜き速度を挿入速度よりも相対的に小さくすることで、たばこロッド2から穿孔ニードル部242をゆっくりと引き抜くことができる。これにより、たばこロッド2から穿孔ニードル部242を引き抜く際に、保持溝63から加熱式たばこ1(たばこロッド2)が脱落することを抑制でき、また、たばこ充填材21が穿孔ニードル部242に付着することや、ヒーター挿入用空洞部23の形が歪になることを抑制できる。
【0101】
また、本実施形態におけるカム部82(ガイドレール821)は、挿入区間R2よりも引き抜き区間R4の方が長くすることが好ましい。このようにすることで、たばこロッド2に穿孔ニードル部242を挿入する際に掛ける時間よりも、たばこロッド2から穿孔ニードル部242を引き抜く際に掛ける時間を長くすることができる。このようにすることで、たばこロッド2から穿孔ニードル部242をゆっくりと引き抜くことができる。その結果、たばこロッド2から穿孔ニードル部242を引き抜く際に、保持溝63から加熱式たばこ1(たばこロッド2)が脱落することや、たばこ充填材21が穿孔ニードル部242に付着すること、或いは、ヒーター挿入用空洞部23の形が歪になること等を好適に抑制できる。
【0102】
ここで、図12は、ガイドレール821における挿入区間R2の開始位置(以下、「挿入区間始端」という)P1からドラム回転軸CL2に向かって延びる第1仮想垂線VL1の第1方向ベクトルV1と、挿入区間R2の終了位置(以下、「挿入区間終端」という)P2からドラム回転軸CL2に向かって延びる第2仮想垂線VL2の第2方向ベクトルV2とがなす第1中心角(以下、「挿入区間中心角」という)φ1と、引き抜き区間R4の開始位置(以下、「引き抜き区間始端」という)P3からドラム回転軸CL2に向かって延びる第3仮想垂線VL3の第3方向ベクトルV3と、引き抜き区間R4の終了位置(以下、「引き抜き区間終端」という)P4からドラム回転軸CL2に向かって延びる第4仮想垂線VL4の第4方向ベクトルV4とがなす第2中心角(以下、「引き抜き区間中心角」という)φ2を説明する図である。なお、挿入区間始端P1、挿入区間終端P2、引き抜き区間始端P3、引き抜き区間終端P4の各点については、図11にも図示している。ここで、図10で説明した例のように、回転ドラム部62の回転角において15°~65°に対応する区間を挿入区間R2に設定し、回転ドラム部62の回転角において115°~165°に対応する区間を引き抜き区間R4に設定する場合には、挿入区間中心角φ1および引き抜き区間中心角φ2の何れも50°に設定される。また、本実施形態においては、挿入区間中心角φ1および引き抜き区間中心角φ2を異なる大きさに設定しても良い。その際、挿入区間中心角φ1よりも引き抜き区間中心角φ2が相対的に大きな角度に設定することが好ましい。これにより、たばこロッド2から穿孔ニードル部242をゆっくりと引き抜くことができる。その結果、たばこロッド2から穿孔ニードル部242を引き抜く際に、保持溝63から加熱式たばこ1(たばこロッド2)が脱落することを抑制でき、また、たばこ充填材21が穿孔ニードル部242に付着することや、ヒーター挿入用空洞部23の形が歪になることを抑制できる。なお、本実施形態においては、挿入区間中心角(第1中心角)φ1を10°以上120°以下とする態様が例示できる。また、引き抜き区間中心角(第2中心角)φ2を10°以上180°以下とする態様が例示できる。
【0103】
以上のように、本実施形態によれば、たばこロッド2の先端面2aに開口するヒーター挿入用空洞部23を穿孔することに適合した穿孔ドラム装置70を提供することができる。
【0104】
また、本実施形態における穿孔ドラム装置70のローラガイド170においては、当該ローラガイド170を複数に分割させた第1のローラガイド部170A~第3のローラガイド部170C(複数の分割ガイド部)に分割されており、各ローラガイド部170A~170Cを互いに離間して配置するようにしている。これによれば、ニードル部材240のローラ部243がガイド面171との摩擦によって摩耗等することにより摩擦力が変動した場合に、ガイド面171の位置等を容易に微調整することができる。また、たばこロッド2におけるたばこ充填材21の充填量に合わせてニードル部材240の回転トルクを容易に微調整することができる。
【0105】
また、本実施形態における穿孔ドラム装置70は、種々の変形例を採用することができる。例えば、穿孔ドラム60による加熱式たばこ1の搬送過程におけるニードル部材240のストローク動作は種々の変形例を採用することができる。例えば、ガイドレール821における退避状態定位区間R1、挿入区間R2、挿入状態定位区間R3、引き抜き区間R4の各区間の長さ、割合を変更することで、ニードル部材240のストローク動作を変更しても良い。例えば、ガイドレール821は、挿入区間R2と引き抜き区間R4の間に挿入状態定位区間R3が形成されていなくても良い。このようにガイドレール821を形成することで、たばこロッド2に対してニードル部材240の穿孔ニードル部242を挿入させてヒーター挿入用空洞部23を穿孔した後、直ぐに、たばこロッド2から穿孔ニードル部242が引き抜いても良い。
【0106】
また、たばこロッド2の直径は、7mm~8mm程度とする態様が一例として挙げられる。そこで、穿孔ドラム装置70において、ニードル部材240における穿孔ニードル部242の直径を3.5mm以下とすることが好ましい。このようにすることで、たばこロッド2に対して適切な直径のヒーター挿入用空洞部23を形成することができる。
【0107】
また、図1に示した加熱式たばこ1においては、ヒーター挿入用空洞部23をたばこロッド2の先端面2aに開口する非貫通の凹部として形成したが、ヒーター挿入用空洞部23はたばこロッド2を軸方向に貫通する貫通孔として形成しても良い。
【0108】
ここで、図13は、穿孔ドラム装置70における穿孔ニードル部242のニードル軸ANと保持溝63(保持部)との関係を説明する図である。図13における符号Pcbは、保持溝63(保持部)における溝底の中心(以下、「溝底中心」という)を示す。図13において、溝底中心Pcbは、半円断面形状を有する保持溝63の最深部に位置している。また、符号VL5は、保持溝63(保持部)における溝底中心Pcbからドラム回転軸CL2に向かって延びる仮想垂線である。符号Pccは、仮想垂線VL5とドラム回転軸CL2との交点である。すなわち、交点Pccは、ドラム回転軸CL2上に位置する。符号VL6は、交点Pccおよび溝底中心Pcbを通る直線である。本実施形態において、穿孔ニードル部242のニードル軸ANは、直線VL6上であって、且つ溝底中心Pcbよりも外側に位置する点を通り、且つ、ドラム回転軸CL2と平行に延在するように設定することが好ましい。その際、保持溝63における溝底中心Pcbと穿孔ニードル部242のニードル軸ANとの離間寸法は、保持溝63に保持するたばこロッド2の直径以下の寸法に設定すると、より好ましい。本実施形態では、保持溝63における溝底中心Pcbと穿孔ニードル部242のニードル軸ANとの離間寸法が、例えば、保持溝63に保持するたばこロッド2の半径と等しい寸法に設定されており、その結果、穿孔ニードル部242のニードル軸ANが、保持溝63に保持されているたばこロッド2の中心軸CL1と同軸となるように設定されている。このようにニードル軸ANの位置を設定することで、たばこロッド2のヒーター挿入用空洞部23を、たばこロッド2の中心軸CL1と同軸に形成することができる。
【0109】
ここで、図14は、実施形態1における変形例を説明する図である。図14は、図7に対応する図であり、穿孔ユニット200の詳細構成を示している。本変形例における回転ドラム部62は、第2ストップリング187を有している。第2ストップリング187は、回転ドラム部62の外周面62Aに取り付けられた環状のリング部材であり、ストップリング186に対向して配置されている。第2ストップリング187は、保持溝63の後方に取り付けられている。第2ストップリング187は、穿孔ニードル部242がたばこロッド2から引き抜かれる際に、たばこロッド2の先端面2aに当接することで保持溝63からの加熱式たばこ1の脱落を抑制する第2のストッパー部材である。
【0110】
図15は、実施形態1の変形例における第2ストップリング187の部分拡大図である。図15において、ドラム回転軸CL2と平行に眺めた状態における第2ストップリング187を示している。図15に示すように、第2ストップリング187は、各保持溝63に対応する位置に形成された切欠き187Aを有している。第2ストップリング187における各切欠き187Aは、ドラム回転軸CL2の矢視方向において、穿孔ニードル部242と重なっており、穿孔ニードル部242がそのニードル軸ANに沿ってスライド動作した際に、穿孔ニードル部242が第2ストップリング187と干渉(衝突)しないようになっている。図15には、破線でたばこロッド2の輪郭を示し、鎖線で穿孔ニードル部242の輪郭を示している。図15に示すように、第2ストップリング187の切欠き187Aは、たばこロッド2の輪郭よりも小さい。これにより、穿孔ニードル部242がたばこロッド2から引き抜かれる際、その引き抜き抵抗によってたばこロッド2が後方に位置ずれを起こしたとしても、第2ストップリング187(より詳しくは、切欠き187Aの縁部等)に先端面2aが当接することによって、たばこロッド2が保持溝63から脱落することを抑制できる。なお、図14に示す例では、保持溝63にたばこロッド2が保持された状態で、たばこロッド2の先端面2aと第2ストップリング187とがドラム回転軸CL2方向に離間しているが、保持溝63にたばこロッド2が保持された際に、先端面2aと第2ストップリング187が当接する位置に第2ストップリング187が配置されていても良い。
【0111】
なお、本発明は、上述までの実施形態に係る穿孔ドラム装置70を複数備えた穿孔装置として提供されても良い。そのような穿孔装置において、各穿孔ドラム装置70がフィルタチップアタッチメント装置50に組み込まれていても良い。図16は、フィルタチップアタッチメント装置50に組み込まれた複数の穿孔ドラム装置70を含む穿孔装置を説明する図である。図16に示す例では、穿孔装置は、2つの穿孔ドラム装置70を含んでいる。個々の穿孔ドラム装置70については、上記実施形態で説明した通りである。符号70Aは、フィルタチップアタッチメント装置50において相対的に前段に位置する穿孔ドラム装置であり、以下では「前段穿孔ドラム装置」と呼ぶ。符号70Bは、前段穿孔ドラム装置70Aよりも後段に位置する穿孔ドラム装置であり、以下では「後段穿孔ドラム装置」と呼ぶ。ここで、複数の穿孔ドラム装置70のうち、相対的に後段に位置する後段穿孔ドラム装置70Bに設けられた穿孔ニードル部242のニードル径は、相対的に前段に位置する前段穿孔ドラム装置70Aに設けられた穿孔ニードル部242のニードル径よりも大きな寸法を有していても良い。このように、複数の穿孔ドラム装置70を配列し、順次ドラム列を搬送される加熱式たばこ1のたばこロッド2に対して段階的に大きな径を有する穿孔ニードル部242を用いてヒーター挿入用空洞部23を穿孔することで、ヒーター挿入用空洞部23を段階的に拡径することができる。すなわち、前段穿孔ドラム装置70Aによってたばこロッド2に形成したヒーター挿入用空洞部23を下穴として、後段穿孔ドラム装置70Bの穿孔ニードル部242によって更に穿孔することで、所望の直径を有し、形の整ったヒーター挿入用空洞部23をより一層精度良く形成することができる。
【0112】
更には、複数の穿孔ドラム装置70のうち、相対的に後段に位置する後段穿孔ドラム装置70Bに設けられた穿孔ニードル部242のニードル挿入深さ寸法が、相対的に前段に位置する前段穿孔ドラム装置70Aに設けられた穿孔ニードル部242のニードル挿入深さ寸法よりも大きな寸法に設定されていても良い。この場合、前段穿孔ドラム装置70Aによってたばこロッド2に形成したヒーター挿入用空洞部23を下穴として、後段穿孔ドラム装置70Bの穿孔ニードル部242によって更に深く穿孔することができる。なお、図16に示す例では、2つの穿孔ドラム装置70を直列に配置する例を説明したが、穿孔装置が3つ以上の穿孔ドラム装置70を備えていても良い。そして、最も上流側に位置する穿孔ドラム装置70から最も下流側に位置する穿孔ドラム装置70に掛けて、穿孔ニードル部242のニードル径を段階的に太くし、ニードル挿入深さ寸法を段階的に深くすることで、たばこロッド2におけるヒーター挿入用空洞部23を段階的に拡径し、或いは、段階的に深くしていっても良い。
【0113】
なお、図16に示す例では、各穿孔ドラム装置70における穿孔ドラム60同士の間にドラム59を介在させているが、各穿孔ドラム装置70における穿孔ドラム60を連続的に配置しても良い。また、各穿孔ドラム装置70における穿孔ドラム60同士の間に複数のドラム59を介在させても良い。
【0114】
以上、本発明に係る実施形態及び変形例を説明したが、本発明に係る穿孔ドラム装置および穿孔装置はこれらに限られず、可能な限りこれらを組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0115】
1・・・加熱式たばこ
2・・・たばこロッド
3・・・フィルタ
21・・・たばこ充填材
23・・・ヒーター挿入用空洞部
50・・・フィルタチップアタッチメント
60・・・穿孔ドラム
62・・・回転ドラム部
63・・・保持溝
70・・・穿孔ドラム装置
80・・・固定ハウジング
82・・・カム部
200・・・穿孔ユニット
210・・・スライドロッド
220・・・穿孔スライダー
230・・・スライダー本体
240・・・ニードル部材
242・・・穿孔ニードル部
図1
図2
図3
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図5
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図16