IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社日立建機ティエラの特許一覧

<>
  • 特許-電動式建設機械 図1
  • 特許-電動式建設機械 図2
  • 特許-電動式建設機械 図3
  • 特許-電動式建設機械 図4
  • 特許-電動式建設機械 図5
  • 特許-電動式建設機械 図6
  • 特許-電動式建設機械 図7
  • 特許-電動式建設機械 図8
  • 特許-電動式建設機械 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-02
(45)【発行日】2022-12-12
(54)【発明の名称】電動式建設機械
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/6565 20140101AFI20221205BHJP
   E02F 9/00 20060101ALI20221205BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20221205BHJP
   H01M 10/625 20140101ALI20221205BHJP
   H01M 10/6563 20140101ALI20221205BHJP
【FI】
H01M10/6565
E02F9/00 C
H01M10/613
H01M10/625
H01M10/6563
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021548287
(86)(22)【出願日】2019-09-27
(86)【国際出願番号】 JP2019038304
(87)【国際公開番号】W WO2021059514
(87)【国際公開日】2021-04-01
【審査請求日】2021-08-12
(73)【特許権者】
【識別番号】398071668
【氏名又は名称】株式会社日立建機ティエラ
(74)【代理人】
【識別番号】110002457
【氏名又は名称】弁理士法人広和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】古川 祐太
(72)【発明者】
【氏名】木原 聖一
(72)【発明者】
【氏名】高橋 究
【審査官】杉田 恵一
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-116321(JP,A)
【文献】特開2015-216070(JP,A)
【文献】特開2016-138403(JP,A)
【文献】独国特許発明第102004021280(DE,B3)
【文献】仏国特許出願公開第02778271(FR,A1)
【文献】国際公開第03/023892(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 9/00
H01M 10/613
H01M 10/625
H01M 10/6563
H01M 10/6565
H05K 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業装置が設けられた自走可能な車体と、前記車体に搭載された動力源となる電動モータと、前記車体に搭載され前記電動モータに対する給電を行うバッテリを有したバッテリパックとを備えてなる電動式建設機械において、
前記バッテリは、複数のバッテリモジュールにより構成されており、
前記複数のバッテリモジュールは、それぞれモジュール本体と、他のバッテリモジュールと電気的に接続するための接続端子とを有し、
前記バッテリパックは、前記複数のバッテリモジュールを収容した筐体を備え、
前記筐体の内部には、前記複数のバッテリモジュールの前記モジュール本体が収容されるモジュール本体収容部と、
前記モジュール本体収容部に収容された前記複数のバッテリモジュールの前記モジュール本体によって仕切られた状態で、前記複数のバッテリモジュールと前記筐体の内壁面とによって囲まれて形成され、前記複数のバッテリモジュールの接続端子が収容されている端子収容部と、
前記端子収容部に冷却風を循環させる冷却ファンとを備えたことを特徴とする電動式建設機械。
【請求項2】
前記端子収容部を含んで構成され、冷却風の循環経路を形成する通風路を備え、
前記冷却ファンは前記通風路内に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の電動式建設機械。
【請求項3】
前記通風路は、前記端子収容部に接続される冷却風吸込口と冷却風吐出口とを有するダクト部材を有し、
前記冷却ファンは前記ダクト部材内に設けられていることを特徴とする請求項に記載の電動式建設機械。
【請求項4】
記筐体内には、前記ダクト部材の前記冷却風吐出口と前記冷却風吸込口との間で冷却風が循環するのを阻止するダクトシール部材が設けられていることを特徴とする請求項3に記載の電動式建設機械。
【請求項5】
前記通風路の前記ダクト部材は、複数のダクト分割体を接続することにより形成され、
前記冷却ファンは前記複数のダクト分割体の接続部に設けられていることを特徴とする請求項3に記載の電動式建設機械。
【請求項6】
前記筐体は、
一定の間隔をもって対面する一対の側板と、
前記一対の側板間に配置され前記複数のバッテリモジュールの前記接続端子と間隔をもって対面する一対の中間板と、
前記一対の側板および前記一対の中間板の下端を閉塞する下板と、
前記一対の側板および前記一対の中間板の上端を閉塞する上板とを含んで構成され、
前記通風路は、前記一対の中間板と前記複数のバッテリモジュールとの間にそれぞれ形成され上,下方向に延びる一対の縦通風路と、
前記下板と前記複数のバッテリモジュールとの間に形成され前記一対の縦通風路の下端間を連通させる横通風路と、
前記一対の縦通風路の上端にそれぞれ着脱可能に接続され前記一対の縦通風路の上端間を連通させるダクト部材とにより構成され、
前記ダクト部材は、複数のダクト分割体を接続することにより形成され、前記冷却ファンは前記複数のダクト分割体の接続部に設けられていることを特徴とする請求項に記載の電動式建設機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、動力源として電動モータを備えた油圧ショベル等の電動式建設機械に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、建設機械の代表例である油圧ショベルは、自走可能な下部走行体と、下部走行体上に旋回装置を介して旋回可能に搭載された上部旋回体と、上部旋回体の前側に設けられた作業装置とを備えて構成されている。近年では、地球温暖化、大気汚染を抑制する対策として、電動モータを動力源とする電動式建設機械が実用化されている。この電動式建設機械には、電動モータと、電動モータに対する給電を行うバッテリを有したバッテリパックとが搭載されている。
【0003】
電動式建設機械に搭載されたバッテリパックは、接続端子を有する複数のバッテリモジュールと、これら複数のバッテリモジュールが積層して収容された筐体とを含んで構成されている。そして、複数のバッテリモジュールは、互いの接続端子が電気的に接続されることにより一つの大容量のバッテリを構成している。ところで、複数のバッテリモジュールからなるバッテリは、放電時や充電時に発熱するため、バッテリパック(筐体)の内部には熱がこもり易い。バッテリパックの内部に熱がこもると、放電や充電の効率が低下するため、バッテリパックは適宜に冷却する必要がある。
【0004】
これに対し、従来技術では、カバーとトレイからなる筐体を備え、この筐体内に複数のバッテリモジュールを上,下二段に積層して収容すると共に、筐体内にファンを設けたバッテリパックが開示されている。このバッテリパックの筐体内は、上段側の複数のバッテリモジュールが配置された上室と、下段側の複数のバッテリモジュールが配置された下室とに仕切られている。このバッテリパックは、ファンから吹出した冷却風を上室と下室との間で循環させることにより、複数のバッテリモジュールを冷却することができる(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2015-216070号公報
【発明の概要】
【0006】
ここで、複数のバッテリモジュールが発熱する場合には、主として互いに電気的に接続された接続端子が熱を発することが知られている。これに対し、特許文献1によるバッテリパックでは、ファンから吹出した冷却風が、上段側のバッテリモジュールが配置された上室全体に供給された後、上段側のバッテリモジュールを通過して、下段側のバッテリモジュールが配置された下室全体に供給される構成となっている。
【0007】
このように、特許文献1によるバッテリパックは、ファンから吹出した冷却風が、筐体の上室全体に拡散した後、上室内に配置された複数のバッテリモジュールの外側面に沿って下室へと流れる。このため、特許文献1によるバッテリパックでは、バッテリモジュールのうち主要な発熱部である接続端子に対し、十分な冷却風が供給されず、複数のバッテリモジュールに対する冷却効率が低下してしまうという問題がある。
【0008】
しかも、特許文献1によるバッテリパックでは、内容積が大きな上室と下室との間で冷却風が循環するため、冷却風の流れの下流側では冷却風の流速(風速)が低下し易い。このため、冷却風の吹出口に近い位置に配置されたバッテリモジュールに比較して、吹出口から離れた位置に配置されたバッテリモジュールは、供給される冷却風の流速(風速)が低下することにより冷却効率が低下してしまう。この結果、筐体内に収容された複数のバッテリモジュールを均等に冷却することができず、温度のバラつきが生じてしまうという問題がある。
【0009】
本発明の一実施形態の目的は、バッテリパックを構成する複数のバッテリモジュールを、効率良く冷却することができるようにした電動式建設機械を提供することにある。
【0010】
本発明の一実施形態は、作業装置が設けられた自走可能な車体と、前記車体に搭載された動力源となる電動モータと、前記車体に搭載され前記電動モータに対する給電を行うバッテリを有したバッテリパックとを備えてなる電動式建設機械に適用される。
【0011】
本発明の一実施形態の特徴は、前記バッテリは、複数のバッテリモジュールにより構成されており、前記複数のバッテリモジュールは、それぞれモジュール本体と、他のバッテリモジュールと電気的に接続するための接続端子とを有し、前記バッテリパックは、前記複数のバッテリモジュールを収容した筐体を備え、前記筐体の内部には、前記複数のバッテリモジュールの前記モジュール本体が収容されるモジュール本体収容部と、前記モジュール本体収容部に収容された前記複数のバッテリモジュールの前記モジュール本体によって仕切られた状態で、前記複数のバッテリモジュールと前記筐体の内壁面とによって囲まれて形成され、前記複数のバッテリモジュールの接続端子が収容されている端子収容部と、前記端子収容部に冷却風を循環させる冷却ファンとを備えたことにある。
【0012】
本発明の一実施形態によれば、筐体の通風路内に複数のバッテリモジュールの接続端子が収容された状態で、冷却ファンからの冷却風が通風路内を循環する。冷却ファンからの冷却風は、筐体内に拡散することなく通風路に集中的に供給されるので、通風路内に収容されたバッテリモジュールの接続端子に対し、十分な冷却風を供給することができる。これにより、主要な発熱部である複数のバッテリモジュールの接続端子を、効率よく冷却することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施の形態による電動式油圧ショベルを示す右側面図である。
図2】バッテリパックを示す斜視図である。
図3】バッテリモジュール、シール部材、ダクト部材、ダクトシール部材等を組付けた状態で示す斜視図である。
図4】バッテリモジュールを単体で示す斜視図である。
図5】ダクト分割体を示す斜視図である。
図6】バッテリパックの筐体を示す分解斜視図である。
図7】筐体内にバッテリモジュール、シール部材、ダクト部材、ダクトシール部材を組込む状態を示す分解斜視図である。
図8】バッテリパックを図2中の矢示VIII-VIII方向から見た断面図である。
図9】バッテリパックを図8中の矢示IX-IX方向から見た断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、電動式建設機械の実施の形態について、クローラを備えた電動式の油圧ショベルを例に挙げ、図1ないし図9を参照しつつ詳細に説明する。なお、実施の形態では、油圧ショベルの走行方向を前,後方向とし、油圧ショベルの走行方向と直交する方向を左,右方向として説明する。
【0015】
図において、電動式の油圧ショベル1は、前,後方向に自走可能なクローラ式の下部走行体2と、下部走行体2上に旋回装置3を介して旋回可能に搭載された上部旋回体4とを備えている。油圧ショベル1の車体は、下部走行体2と上部旋回体4とにより構成されている。下部走行体2の前側には、ブレード(排土板)5が上,下方向に回動可能に設けられ、このブレード5を用いて排土作業等が行われる。上部旋回体4の前側には、スイング式の作業装置6が設けられ、この作業装置6を用いて土砂の掘削作業等が行われる。
【0016】
下部走行体2は、ベースとなるトラックフレーム2Aを備えている。トラックフレーム2Aは、前,後方向に延びる左,右のサイドフレーム2B(右側のみ図示)を有している。サイドフレーム2Bの前,後方向の一側には、遊動輪2Cが設けられ、前,後方向の他側には、駆動輪2Dが設けられている。遊動輪2Cと駆動輪2Dには履帯2Eが巻装され、駆動輪2Dによって履帯2Eを駆動することにより下部走行体2が走行する。また、トラックフレーム2Aの前側には、ブレード5の基端が上,下方向に回動可能に取付けられている。
【0017】
スイング式の作業装置6は、後述する旋回フレーム7の前側に左,右方向に揺動可能に設けられたスイングポスト6Aと、スイングポスト6Aに上,下方向に回動可能に取付けられたブーム6Bと、ブーム6Bの先端に上,下方向に回動可能に取付けられたアーム6Cと、アーム6Cの先端に上,下方向に回動可能に取付けられたバケット6Dとを含んで構成されている。また、作業装置6は、スイングポスト6Aを揺動させるスイングシリンダ6Eと、ブーム6Bを回動させるブームシリンダ6Fと、アーム6Cを回動させるアームシリンダ6Gと、バケット6Dを回動させるバケットシリンダ6Hとを備えている。
【0018】
上部旋回体4は、下部走行体2のトラックフレーム2Aに旋回装置3を介して旋回可能に搭載され、下部走行体2上で旋回動作を行う。上部旋回体4は、旋回フレーム7と、運転席8と、キャノピ10と、電動モータ11と、油圧ポンプ12と、外装カバー13と、バッテリパック14とを含んで構成されている。
【0019】
旋回フレーム7は、上部旋回体4のベースを構成し、旋回装置3を介してトラックフレーム2A上に取付けられている。旋回フレーム7の前端側には、作業装置6のスイングポスト6Aが左,右方向に回動可能に取付けられている。旋回フレーム7の後端側には、バッテリパック14が搭載され、このバッテリパック14により、作業装置6との重量バランスが保たれている。
【0020】
運転席8は、上部旋回体4の左側に位置して旋回フレーム7上に配置されている。運転席8は、油圧ショベル1を操作するオペレータが座るもので、運転席8の前側には、走行用の操作レバーペダル装置(図示せず)が設けられている。運転席8の左,右両側には、作業用の操作レバー装置9(右側のみ図示)が設けられている。運転席8の上方は、旋回フレーム7上に立設された複数本の支柱10Aを有するキャノピ10によって覆われている。
【0021】
電動モータ11は、運転席8の右側に位置して旋回フレーム7上に設けられている。電動モータ11は、油圧ショベル1の動力源を構成するもので、バッテリパック14から電力が供給(給電)されることにより作動し、油圧ポンプ12を駆動する。油圧ポンプ12は、例えば電動モータ11の前側に位置して旋回フレーム7上に設けられている。油圧ポンプ12は、電動モータ11によって回転駆動されることにより、作動油タンク(図示せず)に貯留された作動油を、走行用および旋回用の油圧モータ(いずれも図示せず)、作業装置6を構成する各シリンダ6E,6F,6G,6H等の油圧アクチュエータに向けて供給する。
【0022】
外装カバー13は、運転席8、キャノピ10等を取囲むように旋回フレーム7上に設けられている。外装カバー13は、旋回フレーム7上に機械室を画成し、この機械室内には電動モータ11、油圧ポンプ12、熱交換装置(図示せず)等が収容されている。外装カバー13の後端側には、バッテリパック14が収容されている。
【0023】
次に、油圧ショベル1に搭載されたバッテリパックについて、図2ないし図9を参照して説明する。
【0024】
バッテリパック14は、例えば旋回フレーム7の後側に搭載されている。バッテリパック14は、電動モータ11に対する給電を行うバッテリ15と、内部にバッテリ15を収容する筐体27とを含んで構成されている。
【0025】
バッテリ15は、複数(例えば12個)のバッテリモジュール16の集合体によって構成されている。バッテリモジュール16は、例えばリチウムイオン電池等からなり、図4に示すように、左,右方向に延びる直方体のブロック状をなすモジュール本体16Aと、モジュール本体16Aの左,右方向の一端面に設けられた複数の接続端子16Bとを有している。接続端子16Bは、バッテリモジュール16を他のバッテリモジュール16と電気的に接続する(複数のバッテリモジュール16間を電気的に接続する)ためのものである。モジュール本体16Aの4つの角部には、上,下方向に貫通するボルト挿通孔16C(合計4個)が形成されている。
【0026】
図7および図9に示すように、複数のバッテリモジュール16は、それぞれ3個ずつ積層された右後モジュール群17と、右前モジュール群18と、左後モジュール群19と、左前モジュール群20とに区分されている。右後モジュール群17は、後述する筐体27の後側板29と右中間板31とが交わる右後角部に配置されている。右後モジュール群17を構成する3個のバッテリモジュール16のボルト挿通孔16Cには、4本の長尺ボルト17Aが挿通されている。これら4本の長尺ボルト17Aの先端(下端)が、下板33の右後ねじ座33Bに螺着されることにより、3個のバッテリモジュール16が積層された右後モジュール群17が、筐体27の右後角部に固定されている。右前モジュール群18は、筐体27の前側板30と右中間板31とが交わる右前角部に配置されている。右前モジュール群18を構成する3個のバッテリモジュール16のボルト挿通孔16Cには、4本の長尺ボルト18Aが挿通されている。これら4本の長尺ボルト18Aの先端が、下板33の右前ねじ座33Cに螺着されることにより、3個のバッテリモジュール16が積層された右前モジュール群18が、筐体27の右前角部に固定されている。
【0027】
左後モジュール群19は、筐体27の後側板29と左中間板32とが交わる左後角部に配置されている。左後モジュール群19を構成する3個のバッテリモジュール16のボルト挿通孔16Cには、4本の長尺ボルト19Aが挿通される。これら4本の長尺ボルト19Aの先端は、下板33の左後ねじ座33Dに螺着される。これにより、3個のバッテリモジュール16が積層された左後モジュール群19が、筐体27の左後角部に固定されている。左前モジュール群20は、筐体27の前側板30と左中間板32とが交わる左前角部に配置されている。左前モジュール群20を構成する3個のバッテリモジュール16のボルト挿通孔16Cには、4本の長尺ボルト20Aが挿通される。これら4本の長尺ボルト20Aの先端は、下板33の左前ねじ座33Eに螺着される。これにより、3個のバッテリモジュール16が積層された左前モジュール群20が、筐体27の左前角部に固定されている。
【0028】
右後モジュール群17を構成する3個のバッテリモジュール16の接続端子16Bは、平板状の接続板21を用いて電気的に直列接続されている。右前モジュール群18を構成する3個のバッテリモジュール16の接続端子16Bは、接続板21を用いて直列接続されている。また、左後モジュール群19を構成する3個のバッテリモジュール16の接続端子16Bは、接続板21を用いて直列接続されている。左前モジュール群20を構成する3個のバッテリモジュール16の接続端子16Bは、接続板21を用いて直列接続されている。そして、右後モジュール群17と、右前モジュール群18と、左後モジュール群19と、左前モジュール群20とは、接続板21を用いて直列接続されている。
【0029】
これにより、合計12個のバッテリモジュール16は、複数の接続板21を介して直列接続された1個の大容量のバッテリ15を構成している。そして、バッテリ15は、ケーブルおよびコントローラ等(いずれも図示せず)を介して電動モータ11に接続され、コントローラによる制御に基づいて電動モータ11に対する給電を行う構成となっている。
【0030】
ここで、右後モジュール群17の上面と右前モジュール群18の上面との間は、平板状の右上板22によって連結されている。右上板22は、右後モジュール群17および右前モジュール群18と共に、長尺ボルト17A,18Aによって下板33の右後ねじ座33Bおよび右前ねじ座33Cに締結(共締め)されている。右上板22の上面には、U字型の断面形状を有し前,後方向に延びる2本の梁部材22Aが、溶接等の手段を用いて固着されている。一方、左後モジュール群19の上面と左前モジュール群20の上面との間は、平板状の左上板23によって連結されている。左上板23は、左後モジュール群19および左前モジュール群20と共に、長尺ボルト19A,20Aによって下板33の左後ねじ座33Dおよび左前ねじ座33Eに締結(共締め)されている。左上板23の上面には、U字型の断面形状を有し前,後方向に延びる2本の梁部材23Aが、溶接等の手段を用いて固着されている。
【0031】
梁部材22Aの上面と梁部材23Aの上面には、左,右方向に延びる長方形の平板状をなす上面板24が複数のボルト24Aを用いて取付けられている。これにより、右後モジュール群17、右前モジュール群18、左後モジュール群19、左前モジュール群20からなる4つのモジュール群が、右上板22、左上板23、上面板24を介して一体化されている。上面板24の後端部は、鉛直上向きに折曲げられた後鉛直面24Bとなり、この後鉛直面24Bには、左,右方向に間隔をもって4個のボルト孔24Cが設けられている。上面板24の前端部は、鉛直上向きに折曲げられた前鉛直面24Dとなり、この前鉛直面24Dには、左,右方向に間隔をもって4個のボルト孔24Eが設けられている。図2に示すように、上面板24の後鉛直面24Bは、ボルト24Fを用いて筐体27の後側板29に取付けられ、上面板24の前鉛直面24Dは、ボルト(図示せず)を用いて筐体27の前側板30に取付けられる。
【0032】
一方、右上板22の右端側で、かつ前,後方向の中間部には、L字型の断面形状を有する右取付板25が、2本のボルト25Aを用いて取付けられている。右取付板25は、モジュール本体16A(右後モジュール群17および右前モジュール群18を構成するモジュール本体16A)の右端面から右側方に張出す張出し面25Bを有している。張出し面25Bとモジュール本体16Aの右端面との間隔は、モジュール本体16Aの右端面から突出した接続端子16Bの突出長さよりも大きく設定されている。この張出し面25Bには、前,後方向に間隔をもって2個のボルト孔25Cが設けられている(図3参照)。右取付板25の張出し面25Bには、ボルト25Dを用いて右中間板31が取付けられている(図8参照)。また、左上板23の左端側で、かつ前,後方向の中間部には、L字型の断面形状を有する左取付板26が、2本のボルト26Aを用いて取付けられている。左取付板26は、モジュール本体16A(左後モジュール群19および左前モジュール群20を構成するモジュール本体16A)の左端面から左側方に張出す張出し面26Bを有している。張出し面26Bとモジュール本体16Aの左端面との間隔は、モジュール本体16Aの左端面から突出した接続端子16Bの突出長さよりも大きく設定されている。この張出し面26Bには、前,後方向に間隔をもって2個のボルト孔26Cが設けられている(図7参照)。左取付板26の張出し面26Bには、ボルト26Dを用いて左中間板32が取付けられている(図8参照)。
【0033】
次に、バッテリパック14の外殻を構成する筐体27について説明する。
【0034】
筐体27は、全体として左,右方向に延びる直方体の箱状に形成され、その内部にバッテリ15を収容している。図6に示すように、筐体27は、ベースフレーム28、後側板29、前側板30、右中間板31、左中間板32、下板33、上板35を含んで構成されている。
【0035】
ベースフレーム28は、筐体27のベースとなる骨組み構造を有している。ベースフレーム28は、左,右方向に延びる額縁状の枠体からなる上枠部28Aと、右枠部28Bと、左枠部28Cとを含んで構成されている。右枠部28Bは、上,下方向に延びる額縁状の枠体からなり、上枠部28Aの右端側から下方へと垂下している。左枠部28Cは、上,下方向に延びる額縁状の枠体からなり、上枠部28Aの左端側から下方へと垂下している。右枠部28Bと左枠部28Cとは、左,右方向に一定の間隔を保った状態で配置されている。上枠部28Aには複数のボルト孔28A1が設けられ、右枠部28Bには複数のボルト孔28B1が設けられ、左枠部28Cには複数のボルト孔28C1が設けられている。
【0036】
後側板29は、ベースフレーム28を構成する上枠部28A、右枠部28B、左枠部28C、および下板33の後端に溶接等の手段を用いて固着されている。前側板30は、ベースフレーム28を構成する上枠部28A、右枠部28B、左枠部28C、および下板33の前端に溶接等の手段を用いて固着されている。これにより、後側板29と前側板30とは、前,後方向に一定の間隔をもって対面する一対の側板を構成している。
【0037】
後側板29は、左,右方向に延びる長方形の平板により形成されている。後側板29は、バッテリ15に取付けられた上面板24の後鉛直面24Bに当接する。後側板29には、後鉛直面24Bに設けられたボルト孔24Cに対応する複数のボルト挿通孔29Aが形成されている。前側板30は、後側板29と同一形状をなす平板により形成されている。前側板30は、バッテリ15に設けられた上面板24の前鉛直面24Dに当接する。前側板30には、前鉛直面24Dに設けられたボルト孔24Eに対応する複数のボルト挿通孔30Aが形成されている。
【0038】
右中間板31は、ベースフレーム28の右枠部28Bに取付けられ、後側板29の右端と前側板30の右端との間に配置されている。左中間板32は、ベースフレーム28の左枠部28Cに取付けられ、後側板29の左端と前側板30の左端との間に配置されている。これにより、右中間板31と左中間板32とは、左,右方向に一定の間隔をもって対面する一対の中間板を構成している。
【0039】
右中間板31は、上,下方向に延びる長方形の平板により形成され、ベースフレーム28の右枠部28Bに設けられたボルト孔28B1に対応する複数のボルト挿通孔31Aを有している。ボルト挿通孔31Aに挿通されたボルト31Bは、右枠部28Bのボルト孔28B1に螺着される。これにより、右中間板31は、右枠部28Bに着脱可能に取付けられ、右取付板25の張出し面25Bに当接している。この状態で、右中間板31は、右後モジュール群17および右前モジュール群18を構成するバッテリモジュール16の接続端子16Bと間隔をもって対面している(図9参照)。また、右中間板31の上,下方向の中間部位には、右取付板25の張出し面25Bに設けられたボルト孔25Cに対応する2個のボルト挿通孔31Cが形成されている。
【0040】
左中間板32は、右中間板31と同一形状をなす平板により形成され、ベースフレーム28の左枠部28Cに設けられたボルト孔28C1に対応する複数のボルト挿通孔32Aを有している。ボルト挿通孔32Aに挿通されたボルト32Bは、左枠部28Cのボルト孔28C1に螺着される。これにより、左中間板32は、左枠部28Cに着脱可能に取付けられ、左取付板26の張出し面26Bに当接している。この状態で、左中間板32は、左後モジュール群19および左前モジュール群20を構成するバッテリモジュール16の接続端子16Bと間隔をもって対面している(図9参照)。また、左中間板32の上,下方向の中間部位には、左取付板26の張出し面26Bに設けられたボルト孔26Cに対応する2個のボルト挿通孔32Cが形成されている。
【0041】
下板33は、ベースフレーム28を構成する右枠部28Bおよび左枠部28Cの下端と、後側板29および前側板30の下端とに溶接等の手段を用いて固着されている。これにより、下板33は、後側板29および前側板30の下端と、右中間板31および左中間板32の下端とを閉塞している。下板33は、左,右方向に延びる長方形の平板により形成されている。
【0042】
下板33の上面33Aには、この上面33Aから上方に突出する右後ねじ座33B、右前ねじ座33C、左後ねじ座33D、左前ねじ座33Eが、それぞれ4個づつ設けられている。右後ねじ座33Bには、右後モジュール群17に挿通された4本の長尺ボルト17A、即ち、右後モジュール群17を構成する3個のバッテリモジュール16のボルト挿通孔16Cに挿通された4本の長尺ボルト17Aが螺着される。これにより、右後モジュール群17は、右後ねじ座33B上に載置された状態で筐体27内に固定される。
【0043】
右前ねじ座33Cには、右前モジュール群18に挿通された4本の長尺ボルト18Aが螺着される。これにより、右前モジュール群18は、右前ねじ座33C上に載置された状態で筐体27内に固定される。左後ねじ座33Dには、左後モジュール群19に挿通された4本の長尺ボルト19Aが螺着される。これにより、左後モジュール群19は、左後ねじ座33D上に載置された状態で筐体27内に固定される。左前ねじ座33Eには、左前モジュール群20に挿通された4本の長尺ボルト20Aが螺着される。これにより、左前モジュール群20は、左前ねじ座33E上に載置された状態で筐体27内に固定される。この状態で、4つのモジュール群17,18,19,20の下面と下板33の上面33Aとの間には、右後ねじ座33B、右前ねじ座33C、左後ねじ座33D、左前ねじ座33Eの高さに応じた下側空間34が形成される(図8参照)。この下側空間34は、後述する右後端子収容部43および左後端子収容部44の下端間を連通させると共に、右前端子収容部48および左前端子収容部49の下端間を連通させる横通風路を構成している。
【0044】
上板35は、ベースフレーム28の上枠部28Aに取付けられ、後側板29および前側板30の上端と、右中間板31および左中間板32の上端とを閉塞している。上板35は、左,右方向に延びる長方形の平板により形成され、その周縁部には、上枠部28Aに設けられたボルト孔28A1に対応する複数のボルト挿通孔35Aが形成されている。ボルト挿通孔35Aに挿通されたボルト35Bは、上枠部28Aのボルト孔28A1に螺着される。これにより、上板35は、上枠部28Aに着脱可能に取付けられている。図8に示すように、筐体27内に4つのモジュール群17,18,19,20が固定された状態で、上面板24と上板35との間には、上側空間36が形成されている。上側空間36内には、後述する後ダクト部材45および前ダクト部材50が収容される。
【0045】
このように、筐体27は、後側板29、前側板30、右中間板31、左中間板32、下板33、上板35によって囲まれた直方体の箱体として形成されている。筐体27の内部には、右後モジュール群17、右前モジュール群18、左後モジュール群19、左前モジュール群20に区分されたバッテリ15が収容されている。ここで、図8および図9に示すように、筐体27の内部には、バッテリモジュール16のモジュール本体16Aが収容されるモジュール本体収容部37と、バッテリモジュール16の接続端子16Bが収容され、冷却風の循環経路を形成する後通風路42および前通風路47と、これら後通風路42および前通風路47内に収容された接続端子16Bに冷却風を供給する後冷却ファン46および前冷却ファン51とが設けられている。
【0046】
モジュール本体収容部37は、筐体27の中央部に形成された直方体の空間、即ち、4つのモジュール群17,18,19,20を構成する12個のバッテリモジュール16のモジュール本体16Aに対応する空間として形成されている。4つのモジュール群17,18,19,20は、右上板22、左上板23、上面板24等を介して一体化された状態で、モジュール本体収容部37に収容されている。図9に示すように、右後モジュール群17および左後モジュール群19を構成するバッテリモジュール16のモジュール本体16Aは、筐体27の後側板29に対し僅かな隙間をもって対面している。また、右前モジュール群18および左前モジュール群20を構成するバッテリモジュール16のモジュール本体16Aは、筐体27の前側板30に対し僅かな隙間をもって対面している。
【0047】
一方、右後モジュール群17および右前モジュール群18のモジュール本体16Aは、筐体27の右中間板31に対し、一定の間隔を有する右側空間38を介して対面している。右側空間38内には、右後モジュール群17および右前モジュール群18を構成するバッテリモジュール16の接続端子16Bが収容されると共に、後述の右側シール部材40が取付けられている。また、左後モジュール群19および左前モジュール群20のモジュール本体16Aは、筐体27の左中間板32に対し、一定の間隔を有する左側空間39を介して対面している。左側空間39内には、左後モジュール群19および左前モジュール群20を構成するバッテリモジュール16の接続端子16Bが収容されると共に、後述の左側シール部材41が取付けられている。
【0048】
右側シール部材40は、右後モジュール群17および右前モジュール群18と筐体27の右中間板31との間に形成された右側空間38内に設けられている。図7および図9に示すように、右側シール部材40は、例えばゴム等の樹脂材料を用いて上,下方向に延びる角柱状に形成された右後シール部材40A、右前シール部材40B、右中間シール部材40Cによって構成されている。これら右後シール部材40A、右前シール部材40B、右中間シール部材40Cの長さ寸法は、積層された3個のバッテリモジュール16(モジュール本体16A)の高さ寸法と等しく設定されている。
【0049】
右後シール部材40Aは、右後モジュール群17の右後側の角部と右中間板31との間に配置されている。右前シール部材40Bは、右前モジュール群18の右前側の角部と右中間板31との間に配置されている。右中間シール部材40Cは、右後モジュール群17と右前モジュール群18との境界部と右中間板31との間に配置されている。右後シール部材40Aと右中間シール部材40Cとの間には、右後端子収容部43が形成されている。右後端子収容部43には、右後モジュール群17および右前モジュール群18を構成する複数のバッテリモジュール16の接続端子16Bが収容されている。
【0050】
左側シール部材41は、左後モジュール群19および左前モジュール群20と筐体27の左中間板32との間に形成された左側空間39内に設けられている。左側シール部材41は、右側シール部材40と同様に、角柱状に形成された左後シール部材41A、左前シール部材41B、左中間シール部材41Cによって構成されている。これら左後シール部材41A、左前シール部材41B、左中間シール部材41Cの長さ寸法は、積層された3個のバッテリモジュール16(モジュール本体16A)の高さ寸法と等しく設定されている。
【0051】
左後シール部材41Aは、左後モジュール群19の左後側の角部と左中間板32との間に配置されている。左前シール部材41Bは、左前モジュール群20の左前側の角部と左中間板32との間に配置されている。左中間シール部材41Cは、左後モジュール群19と左前モジュール群20との境界部と左中間板32との間に配置されている。左後シール部材41Aと左中間シール部材41Cとの間には、左後端子収容部44が形成されている。左後端子収容部44には、左後モジュール群19および左前モジュール群20を構成する複数のバッテリモジュール16の接続端子16Bが収容されている。
【0052】
後通風路42は、右後モジュール群17および左後モジュール群19を取囲んだ状態で筐体27内に設けられている。後通風路42は、右後モジュール群17および左後モジュール群19のモジュール本体16Aによってモジュール本体収容部37から仕切られている。後通風路42は、下側空間34と、右後端子収容部43と、左後端子収容部44と、後ダクト部材45とを含んで構成されている。後通風路42の内容積は、モジュール本体収容部37の内容積よりも小さくなっている。後通風路42は、右後モジュール群17および左後モジュール群19を構成するバッテリモジュール16の接続端子16Bを収容し、これら接続端子16Bに供給される冷却風の循環経路を形成している。
【0053】
右後端子収容部43は、右後モジュール群17と、筐体27の右中間板31と、右後シール部材40Aと、右中間シール部材40Cとに囲まれた空間によって形成されている。右後端子収容部43は、右後モジュール群17と右中間板31との間を上,下方向に延びる縦通風路を構成している。右後端子収容部43の下端は、筐体27の下側空間34に開口し、右後端子収容部43の上端は、筐体27の上側空間36に開口している。右後端子収容部43の上端には、後ダクト部材45の冷却風吸込口45B1が接続されている。
【0054】
左後端子収容部44は、左後モジュール群19と、筐体27の左中間板32と、左後シール部材41Aと、左中間シール部材41Cとに囲まれた空間によって形成されている。左後端子収容部44は、左後モジュール群19と左中間板32との間を上,下方向に延びる縦通風路を構成している。左後端子収容部44の下端は、筐体27の下側空間34に開口し、左後端子収容部44の上端は、筐体27の上側空間36に開口している。左後端子収容部44の上端には、後ダクト部材45の冷却風吐出口45C1が接続されている。
【0055】
後ダクト部材45は、右後モジュール群17および左後モジュール群19の上側に位置して筐体27の上側空間36内に設けられている。後ダクト部材45は、全体として左,右方向に延びる角筒状に形成され、右上板22および左上板23にボルト等の取付部材(図示せず)を用いて取付けられている。これにより、後ダクト部材45は、右後端子収容部43の上端と左後端子収容部44の上端との間を着脱可能に接続している。後ダクト部材45の左,右方向の中間部位は、上方に向けて山形に屈曲した屈曲部45Aとなっている。4つのモジュール群17,18,19,20の上側に設けられた上面板24と、後ダクト部材45の屈曲部45Aとの間には、電装品等(図示せず)を配置するためのスペースが形成されている。
【0056】
図5および図8に示すように、後ダクト部材45は、右後ダクト分割体45Bと、左後ダクト分割体45Cとを接続することにより構成されている。右後ダクト分割体45Bの右端は、下向きに開口する冷却風吸込口45B1となり、この冷却風吸込口45B1は、右後端子収容部43の上端に接続されている。右後ダクト分割体45Bの左端は接続口45B2となり、この接続口45B2は、左後ダクト分割体45Cの接続口45C2に接続されている。左後ダクト分割体45Cの左端は、下向きに開口する冷却風吐出口45C1となり、この冷却風吐出口45C1は、左後端子収容部44の上端に接続されている。左後ダクト分割体45Cの右端は接続口45C2となり、この接続口45C2は、右後ダクト分割体45Bの接続口45B2に接続されている。
【0057】
このように、後通風路42は、4つのモジュール群17,18,19,20と下板33との間に形成された下側空間34と、右後モジュール群17と右中間板31との間に形成された右後端子収容部43と、左後モジュール群19と左中間板32との間に形成された左後端子収容部44と、後ダクト部材45とによって形成されている。後通風路42は、後冷却ファン46からの冷却風が循環する循環経路を形成し、冷却風は、右後端子収容部43内に収容された右後モジュール群17の接続端子16Bと、左後端子収容部44内に収容された左後モジュール群19の接続端子16Bに供給される。
【0058】
後冷却ファン46は、後ダクト部材45内に設けられている。後冷却ファン46は、例えば電動ファンを用いて形成され、図8中の矢印Fで示すように、後通風路42内に冷却風を循環させ、後通風路42内に収容された複数のバッテリモジュール16の接続端子16Bを冷却させる。ここで、後冷却ファン46は、左後ダクト分割体45Cの接続口45C2に取付けられている。従って、接続口45C2に右後ダクト分割体45Bの接続口45B2が接続されることにより、後冷却ファン46は、後ダクト部材45内に配置される。
【0059】
前通風路47は、右前モジュール群18および左前モジュール群20を取囲んだ状態で筐体27内に設けられている。前通風路47は、右前モジュール群18および左前モジュール群20のモジュール本体16Aによってモジュール本体収容部37から仕切られている。前通風路47は、下側空間34と、右前端子収容部48と、左前端子収容部49と、前ダクト部材50とを含んで構成されている。前通風路47の内容積は、モジュール本体収容部37の内容積よりも小さくなっている。前通風路47は、右前モジュール群18および左前モジュール群20を構成するバッテリモジュール16の接続端子16Bを収容し、これら接続端子16Bに供給される冷却風の循環経路を形成している。
【0060】
右前端子収容部48は、右前モジュール群18と、右中間板31と、右前シール部材40Bと、右中間シール部材40Cとに囲まれた空間によって形成されている。右前端子収容部48は、右前モジュール群18と右中間板31との間を上,下方向に延びる縦通風路を構成している。右前端子収容部48の下端は、筐体27の下側空間34に開口している。右前端子収容部48の上端は、筐体27の上側空間36に開口している。右前端子収容部48の上端には、前ダクト部材50の冷却風吸込口50B1が接続されている。
【0061】
左前端子収容部49は、左前モジュール群20と、左中間板32と、左前シール部材41Bと、左中間シール部材41Cとに囲まれた空間によって形成されている。左前端子収容部49は、左前モジュール群20と左中間板32との間を上,下方向に延びる縦通風路を構成している。左前端子収容部49の下端は、筐体27の下側空間34に開口している。左前端子収容部49の上端は、筐体27の上側空間36に開口している。左前端子収容部49の上端には、前ダクト部材50の冷却風吐出口50C1が接続されている。
【0062】
前ダクト部材50は、右前モジュール群18および左前モジュール群20の上側に位置して筐体27の上側空間36内に設けられている。前ダクト部材50は、後ダクト部材45と同様に、左,右方向に延びる角筒状に形成され、右上板22および左上板23にボルト等の取付部材(図示せず)を用いて取付けられている。これにより、前ダクト部材50は、右前端子収容部48の上端と左前端子収容部49の上端との間を着脱可能に接続している。前ダクト部材50の左,右方向の中間部位は屈曲部50Aとなり、この屈曲部50Aと上面板24との間には、電装品等(図示せず)を配置するためのスペースが形成されている。
【0063】
前ダクト部材50は、後ダクト部材45と同様に、右前ダクト分割体50Bと、左前ダクト分割体50Cとを接続することにより構成されている(図5参照)。右前ダクト分割体50Bの右端は冷却風吸込口50B1となり、この冷却風吸込口50B1は、右前端子収容部48の上端に接続されている。右前ダクト分割体50Bの左端は接続口50B2となり、この接続口50B2は、左前ダクト分割体50Cの接続口50C2に接続されている。左前ダクト分割体50Cの左端は冷却風吐出口50C1となり、この冷却風吐出口50C1は、左前端子収容部49の上端に接続されている。左前ダクト分割体50Cの右端は接続口50C2となり、この接続口50C2は、右前ダクト分割体50Bの接続口50B2に接続されている。
【0064】
このように、前通風路47は、4つのモジュール群17,18,19,20と下板33との間に形成された下側空間34と、右前モジュール群18と右中間板31との間に形成された右前端子収容部48と、左前モジュール群20と左中間板32との間に形成された左前端子収容部49と、前ダクト部材50とによって形成されている。前通風路47は、前冷却ファン51からの冷却風が循環する循環経路を形成し、冷却風は、右前端子収容部48内に収容された右前モジュール群18の接続端子16Bと、左前端子収容部49内に収容された左前モジュール群20の接続端子16Bに供給される。
【0065】
前冷却ファン51は、前ダクト部材50内に設けられている。前冷却ファン51は、電動ファンによって形成され、前通風路47内に冷却風を循環させ、前通風路47内に収容された複数のバッテリモジュール16の接続端子16Bを冷却させる。ここで、前冷却ファン51は、左前ダクト分割体50Cの接続口50C2に取付けられている。従って、接続口50C2に右前ダクト分割体50Bの接続口50B2が接続されることにより、前冷却ファン51は、前ダクト部材50内に配置される。
【0066】
ダクトシール部材52は、筐体27の上側空間36内で後ダクト部材45および前ダクト部材50と上面板24との間に設けられている。図3および図8に示すように、ダクトシール部材52は、ゴム等の樹脂材料を用いて前,後方向に延びるブロック状に形成されている。ダクトシール部材52の上面側には、四角形状をなす後凹陥部52Aと前凹陥部52Bとが、前,後方向に並んで形成されている。
【0067】
ダクトシール部材52の後凹陥部52Aには、後ダクト部材45の左,右方向の中間部位が嵌合され、前凹陥部52Bには、前ダクト部材50の左,右方向の中間部位が嵌合されている。また、ダクトシール部材52の下面は、上面板24に当接している。これにより、ダクトシール部材52は、後ダクト部材45の冷却風吐出口45C1と冷却風吸込口45B1との間で冷却風が循環する現象(リサーキュレーション)を阻止すると共に、前ダクト部材50の冷却風吐出口50C1と冷却風吸込口50B1との間で冷却風が循環する現象を阻止する。
【0068】
4個の吊具取付部材53は、筐体27を構成するベースフレーム28の上枠部28Aの四隅に設けられている。吊具取付部材53の上面にはボルト穴が形成され、このボルト穴には、例えばアイボルト等の吊具(図示せず)が取付けられる。そして、筐体27内にバッテリ15を収容した状態(バッテリパック14の状態)で、4個の吊具取付部材53には、それぞれ吊具が取付けられる。これら4個の吊具に挿通したロープが、クレーン装置の吊荷フック(いずれも図示せず)に掛止めされることにより、クレーン装置を用いてバッテリパック14を持上げることができる構成となっている。
【0069】
次に、バッテリパック14の組立手順について説明する。
【0070】
まず、右中間板31、左中間板32、上板35が取外された筐体27、即ち、ベースフレーム28に後側板29、前側板30および下板33が取付けられた筐体27が用意される。一方、12個のバッテリモジュール16が3個ずつ積層されることにより、右後モジュール群17、右前モジュール群18、左後モジュール群19、左前モジュール群20が形成される。
【0071】
次に、右上板22と右後モジュール群17のモジュール本体16Aとに挿通された4本の長尺ボルト17Aが、筐体27の下板33に設けられた右後ねじ座33Bに螺着される。また、右上板22と右前モジュール群18のモジュール本体16Aとに挿通された4本の長尺ボルト18Aが、下板33の右前ねじ座33Cに螺着される。また、左上板23と左後モジュール群19のモジュール本体16Aとに挿通された4本の長尺ボルト19Aが、下板33の左後ねじ座33Dに螺着される。さらに、左上板23と左前モジュール群20のモジュール本体16Aに挿通された4本の長尺ボルト20Aが、下板33の左前ねじ座33Eに螺着される。これにより、筐体27のモジュール本体収容部37内に4つのモジュール群17,18,19,20が固定される。4つのモジュール群17,18,19,20と下板33との間には、下側空間34が形成される。また、右後モジュール群17の上面と右前モジュール群18の上面は、右上板22によって連結され、左後モジュール群19の上面と左前モジュール群20の上面は、左上板23によって連結される。
【0072】
次に、上面板24が、右上板22に設けられた梁部材22Aの上面と、左上板23に設けられた梁部材23Aの上面とにボルト24Aを用いて取付けられる。これにより、上面板24の後鉛直面24Bは、筐体27の後側板29に対面し、前鉛直面24Dは、筐体27の前側板30に対面する。この状態で、ボルト24Fが、筐体27の後側板29に設けられたボルト挿通孔29Aに挿通され、上面板24の後鉛直面24Bに螺着される。これにより、上面板24の後鉛直面24Bが、筐体27の後側板29に、複数のボルト24Fを用いて固定される(図2参照)。これと同様に、上面板24の前鉛直面24Dが、筐体27の前側板30に、複数のボルト(図示せず)を用いて固定される。
【0073】
次に、右取付板25が、右上板22の右端側に、ボルト25Aを用いて取付けられる。また、左取付板26が、左上板23の左端側に、ボルト26Aを用いて取付けられる。これにより、右取付板25の張出し面25Bは、右上板22の右端縁から右側方に張出し、左取付板26の張出し面26Bは、左上板23の左端縁から左側方に張出す。
【0074】
次に、右側シール部材40が、右後モジュール群17および右前モジュール群18と筐体27との間に取付けられる。即ち、図9に示すように、右後シール部材40Aは、筐体27(ベースフレーム28)の右枠部28Bと右後モジュール群17(バッテリモジュール16のモジュール本体16A)の右側面との間に取付けられる。また、右前シール部材40Bは、筐体27の右枠部28Bと右前モジュール群18の右側面との間に取付けられる。さらに、右中間シール部材40Cは、右後モジュール群17および右前モジュール群18の右側面と筐体27の右枠部28Bとの間に取付けられる。これにより、右後シール部材40Aと右中間シール部材40Cとの間には、右後モジュール群17の右側面に沿って上,下方向に延びる右後端子収容部43が形成される。右後モジュール群17を構成する3個のバッテリモジュール16の接続端子16Bは、右後端子収容部43内に収容される。右前シール部材40Bと右中間シール部材40Cとの間には、右前モジュール群18の右側面に沿って上,下方向に延びる右前端子収容部48が形成される。右前モジュール群18を構成する3個のバッテリモジュール16の接続端子16Bは、右前端子収容部48内に収容される。
【0075】
同様に、左側シール部材41が、左後モジュール群19および左前モジュール群20と筐体27との間に取付けられる。即ち、左後シール部材41Aは、筐体27(ベースフレーム28)の左枠部28Cと左後モジュール群19(バッテリモジュール16のモジュール本体16A)の左側面との間に取付けられる。また、左前シール部材41Bは、筐体27の左枠部28Cと左前モジュール群20の左側面との間に取付けられる。さらに、左中間シール部材41Cは、左後モジュール群19および左前モジュール群20の左側面と筐体27の左枠部28Cとの間に取付けられる。これにより、左後シール部材41Aと左中間シール部材41Cとの間には、左後モジュール群19の左側面に沿って上,下方向に延びる左後端子収容部44が形成される。左後モジュール群19を構成する3個のバッテリモジュール16の接続端子16Bは、左後端子収容部44内に収容される。左前シール部材41Bと左中間シール部材41Cとの間には、左前モジュール群20の左側面に沿って上,下方向に延びる左前端子収容部49が形成される。左前モジュール群20を構成する3個のバッテリモジュール16の接続端子16Bは、左前端子収容部49内に収容される。
【0076】
次に、後ダクト部材45と、前ダクト部材50が形成される。即ち、図5に示すように、右後ダクト分割体45Bと左後ダクト分割体45Cとが接続され、内部に後冷却ファン46が配置された後ダクト部材45が形成される。同様に、右前ダクト分割体50Bと左前ダクト分割体50Cとが接続され、内部に前冷却ファン51が配置された前ダクト部材50が形成される。
【0077】
次に、後ダクト部材45が、取付部材を用いて右上板22および左上板23に取付けられ、右後端子収容部43と左後端子収容部44との間が、後ダクト部材45を介して接続される。即ち、後ダクト部材45の冷却風吸込口45B1が、右後端子収容部43の上端に接続され、後ダクト部材45の冷却風吐出口45C1が、左後端子収容部44の上端に接続される。これにより、筐体27内には、後ダクト部材45と、左後端子収容部44と、下側空間34と、右後端子収容部43とからなる後通風路42が形成される。また、前ダクト部材50が、取付部材を用いて右上板22および左上板23に取付けられ、右前端子収容部48と左前端子収容部49との間が、前ダクト部材50を介して接続される。即ち、前ダクト部材50の冷却風吸込口50B1が、右前端子収容部48の上端に接続され、前ダクト部材50の冷却風吐出口50C1が、左前端子収容部49の上端に接続される。これにより、筐体27内には、前ダクト部材50と、左前端子収容部49と、下側空間34と、右前端子収容部48とからなる前通風路47が形成される。
【0078】
次に、ダクトシール部材52が、後ダクト部材45および前ダクト部材50と上面板24との間に取付けられる。即ち、ダクトシール部材52の後凹陥部52Aが、後ダクト部材45の左,右方向の中間部位に嵌合されると共に、前凹陥部52Bが、前ダクト部材50の左,右方向の中間部位に嵌合される。また、ダクトシール部材52の下面は、上面板24に当接される。これにより、ダクトシール部材52は、後ダクト部材45の冷却風吐出口45C1と冷却風吸込口45B1との間での冷却風の循環、および前ダクト部材50の冷却風吐出口50C1と冷却風吸込口50B1との間での冷却風の循環を阻止する。
【0079】
次に、右中間板31および左中間板32が、筐体27のベースフレーム28に取付けられる。即ち、右中間板31のボルト挿通孔31Aに挿通された複数のボルト31Bが、ベースフレーム28の右枠部28Bに設けられたボルト孔28B1に螺着される。この状態で、右中間板31のボルト挿通孔31Cに挿通された2個のボルト25Dが、右取付板25のボルト孔25Cに螺着される。これにより、右中間板31が筐体27のベースフレーム28に取付けられ、右後端子収容部43と右前端子収容部48とが右中間板31によって右側方から覆われる。これと同様に、左中間板32のボルト挿通孔32Aに挿通された複数のボルト32Bが、ベースフレーム28の左枠部28Cに設けられたボルト孔28C1に螺着される。この状態で、左中間板32のボルト挿通孔32Cに挿通された2個のボルト26Dが、左取付板26のボルト孔26Cに螺着される。これにより、左中間板32が筐体27のベースフレーム28に取付けられ、左後端子収容部44と左前端子収容部49とが左中間板32によって左側方から覆われる。
【0080】
次に、上板35が、筐体27のベースフレーム28に取付けられる。即ち、上板35のボルト挿通孔35Aに挿通された複数のボルト35Bが、ベースフレーム28の上枠部28Aに設けられたボルト孔28A1に螺着される。これにより、筐体27の上端が上板35によって閉塞され、4つのモジュール群17,18,19,20からなるバッテリ15が筐体27内に収容されたバッテリパック14が組立てられる。
【0081】
バッテリパック14が組立てられた後には、アイボルト等の吊具(図示せず)が、ベースフレーム28の上枠部28Aに設けられた4個の吊具取付部材53に取付けられる。そして、これら4個の吊具に挿通したロープが、クレーン装置の吊荷フック(いずれも図示せず)に掛止めされる。これにより、バッテリパック14は、クレーン装置(図示せず)を用いて持上げられ、油圧ショベル1の旋回フレーム7に搭載される。
【0082】
実施の形態による電動式の油圧ショベル1は、上述の如き構成を有するもので、油圧ショベル1を作動させるときには、電動モータ11に対し、バッテリパック14のバッテリ15から電力が供給される。これにより、電動モータ11が油圧ポンプ12を駆動し、油圧ポンプ12から吐出した圧油は、コントロールバルブ(図示せず)の制御に応じて油圧ショベル1に搭載された油圧アクチュエータに選択的に供給される。
【0083】
例えば、運転席8に座ったオペレータが、走行用の操作レバーペダル装置を操作することにより、下部走行体2の駆動輪2Dが駆動され、油圧ショベル1は作業現場まで自走することができる。油圧ショベル1が作業現場に到着すると、オペレータは、作業用の操作レバー装置9を操作することにより、上部旋回体4を旋回させつつ、作業装置6を用いて土砂の掘削作業等を行うことができる。
【0084】
油圧ショベル1の稼働時には、電動モータ11に対してバッテリ15からの電力が継続的に供給される。このため、バッテリ15を構成する12個のバッテリモジュール16が熱を発生する。特に、接続端子16Bは、バッテリモジュール16のモジュール本体16Aに比較して主要な発熱部となる。
【0085】
実施の形態によるバッテリパック14は、12個のバッテリモジュール16を3個ずつ積層することにより、右後モジュール群17、右前モジュール群18、左後モジュール群19、左前モジュール群20を形成している。これら4つのモジュール群17,18,19,20を構成するバッテリモジュール16のモジュール本体16Aは、筐体27のモジュール本体収容部37内に収容されている。
【0086】
一方、右後モジュール群17および左後モジュール群19を構成するバッテリモジュール16の接続端子16Bは、後ダクト部材45、左後端子収容部44、下側空間34、および右後端子収容部43からなる後通風路42内に収容されている。また、右前モジュール群18および左前モジュール群20を構成するバッテリモジュール16の接続端子16Bは、前ダクト部材50、左前端子収容部49、下側空間34、および右前端子収容部48からなる前通風路47内に収容されている。これら後通風路42および前通風路47は、モジュール本体収容部37から仕切られた状態で筐体27内に形成されている。また、後通風路42の後ダクト部材45内には、後冷却ファン46が設けられ、前通風路47の前ダクト部材50内には、前冷却ファン51が設けられている。
【0087】
このため、油圧ショベル1の稼働時に後冷却ファン46が回転することにより、図8中に矢印Fで示されるように、後通風路42内に冷却風の循環経路が形成される。即ち、後冷却ファン46によって生成された冷却風は、後ダクト部材45の冷却風吐出口45C1から左後端子収容部44、下側空間34、右後端子収容部43を流れ、冷却風吸込口45B1を通じて後ダクト部材45内に還流する。
【0088】
このように、後冷却ファン46からの冷却風は、筐体27内に拡散することなく後通風路42に集中的に供給される。従って、後通風路42の左後端子収容部44に収容された左後モジュール群19の接続端子16B、および右後端子収容部43に収容された右後モジュール群17の接続端子16Bに対し、十分な冷却風を供給することができる。これにより、主要な発熱部である左後モジュール群19および右後モジュール群17の接続端子16Bを、効率よく冷却することができる。
【0089】
しかも、後通風路42の内容積は、モジュール本体収容部37の内容積よりも小さいため、後通風路42内を循環する冷却風の流速(風速)を大きく保つことができる。このため、後ダクト部材45の冷却風吐出口45C1側(冷却風の上流側)に配置された左後モジュール群19の接続端子16Bに供給される冷却風の流速と、後ダクト部材45の冷却風吸込口45B1側(冷却風の下流側)に配置された右後モジュール群17の接続端子16Bに供給される冷却風の流速との差を小さくすることができる。この結果、左後モジュール群19の接続端子16Bと、右後モジュール群17の接続端子16Bとを均等に冷却することができ、左後モジュール群19と右後モジュール群17との温度のバラつき(温度差)を抑えることができる。
【0090】
一方、油圧ショベル1の稼働時に前冷却ファン51が回転することにより、前通風路47内においても、後通風路42内と同様な冷却風の循環経路が形成される。即ち、前冷却ファン51によって生成された冷却風は、前ダクト部材50の冷却風吐出口50C1から左前端子収容部49、下側空間34、右前端子収容部48を流れ、冷却風吸込口50B1を通じて前ダクト部材50内に還流する。
【0091】
この場合、前冷却ファン51からの冷却風は、筐体27内に拡散することなく前通風路47に集中的に供給される。従って、前通風路47の左前端子収容部49に収容された左前モジュール群20の接続端子16B、および右前端子収容部48に収容された右前モジュール群18の接続端子16Bに対し、十分な冷却風を供給することができる。これにより、主要な発熱部である左前モジュール群20および右前モジュール群18の接続端子16Bを、効率よく冷却することができる。
【0092】
しかも、前通風路47の内容積は、モジュール本体収容部37の内容積よりも小さいため、前通風路47内を循環する冷却風の流速(風速)を大きく保つことができる。このため、前ダクト部材50の冷却風吐出口50C1側(冷却風の上流側)に配置された左前モジュール群20の接続端子16Bに供給される冷却風の流速と、前ダクト部材50の冷却風吸込口50B1側(冷却風の下流側)に配置された右前モジュール群18の接続端子16Bに供給される冷却風の流速との差を小さくすることができる。この結果、左前モジュール群20の接続端子16Bと、右前モジュール群18の接続端子16Bとを均等に冷却することができ、左前モジュール群20と右前モジュール群18との温度のバラつき(温度差)を抑えることができる。
【0093】
また、4つのモジュール群17,18,19,20の上側に設けられた上面板24と、後ダクト部材45および前ダクト部材50との間には、ダクトシール部材52が設けられている。これにより、後冷却ファン46からの冷却風が、後ダクト部材45の冷却風吐出口45C1と冷却風吸込口45B1との間で循環する現象を、ダクトシール部材52によって阻止することができる。同様に、前冷却ファン51からの冷却風が、前ダクト部材50の冷却風吐出口50C1と冷却風吸込口50B1との間で循環する現象を、ダクトシール部材52によって阻止することができる。この結果、後冷却ファン46からの冷却風を、後通風路42内に大量に供給することができ、左後モジュール群19と右後モジュール群17の接続端子16Bを効率良く冷却することができる。同様に、前冷却ファン51からの冷却風を、前通風路47内に大量に供給することができ、左前モジュール群20と右前モジュール群18の接続端子16Bを効率良く冷却することができる。
【0094】
さらに、後ダクト部材45は、右後ダクト分割体45Bの接続口45B2と左後ダクト分割体45Cの接続口45C2とを接続することにより形成され、後冷却ファン46は、左後ダクト分割体45Cの接続口45C2に設けられている。一方、前ダクト部材50は、右前ダクト分割体50Bの接続口50B2と左前ダクト分割体50Cの接続口50C2とを接続することにより形成され、前冷却ファン51は、左前ダクト分割体50Cの接続口50C2に設けられている。このため、後ダクト部材45を分割することにより、後冷却ファン46に対するメンテナンスを容易に行うことができ、前ダクト部材50を分割することにより、前冷却ファン51に対するメンテナンスを容易に行うことができる。この結果、後冷却ファン46および前冷却ファン51の作動を安定させることができ、4つのモジュール群17,18,19,20からなるバッテリ15に対する冷却性能を長期に亘って維持することができる。
【0095】
かくして、実施の形態によれば、油圧ショベル1の上部旋回体4に搭載されたバッテリパック14は、複数のバッテリモジュール16を収容した筐体27を備えている。筐体27の内部には、複数のバッテリモジュール16のモジュール本体16Aが収容されるモジュール本体収容部37と、モジュール本体収容部37から仕切られた状態で複数のバッテリモジュール16の接続端子16Bが収容され、冷却風の循環経路を形成する後通風路42および前通風路47とが設けられている。また、筐体27の内部には、後通風路42内に冷却風を循環させて複数の接続端子16Bを冷却させる後冷却ファン46、および前通風路47内に冷却風を循環させて複数の接続端子16Bを冷却させる前冷却ファン51が設けられている。
【0096】
この構成によれば、後通風路42内にバッテリモジュール16の接続端子16Bが収容された状態で、後冷却ファン46からの冷却風が後通風路42内を循環する。また、前通風路47内にバッテリモジュール16の接続端子16Bが収容された状態で、前冷却ファン51からの冷却風が前通風路47内を循環する。後通風路42および前通風路47は、モジュール本体収容部37から仕切られている。このため、後冷却ファン46からの冷却風は、筐体27内に拡散することなく後通風路42に集中的に供給され、前冷却ファン51からの冷却風は、筐体27内に拡散することなく前通風路47に集中的に供給される。この結果、後通風路42および前通風路47に収容された主要な発熱部であるバッテリモジュール16の接続端子16Bを効率良く冷却することができ、バッテリ15の寿命を向上させることができる。
【0097】
実施の形態では、後冷却ファン46は、後通風路42内に設けられ、前冷却ファン51は、前通風路47内に設けられている。この構成によれば、後冷却ファン46からの冷却風を後通風路42に無駄なく供給することにより、後通風路42に大量の冷却風を循環させることができる。また、前冷却ファン51からの冷却風を前通風路47に無駄なく供給することにより、前通風路47に大量の冷却風を循環させることができる。
【0098】
実施の形態では、後通風路42は、複数のバッテリモジュール16の接続端子16Bが収容される右後端子収容部43および左後端子収容部44と、右後端子収容部43に着脱可能に接続される冷却風吸込口45B1、および左後端子収容部44に着脱可能に接続される冷却風吐出口45C1を有する後ダクト部材45とを含んで構成され、後冷却ファン46は、後ダクト部材45内に設けられている。前通風路47は、複数のバッテリモジュール16の接続端子16Bが収容される右前端子収容部48および左前端子収容部49と、右前端子収容部48に着脱可能に接続される冷却風吸込口50B1、および左前端子収容部49に着脱可能に接続される冷却風吐出口50C1を有する前ダクト部材50とを含んで構成され、前冷却ファン51は、前ダクト部材50内に設けられている。
【0099】
この構成によれば、後冷却ファン46からの冷却風を、バッテリモジュール16の接続端子16Bが収容された右後端子収容部43および左後端子収容部44に直接的に供給することができる。また、前冷却ファン51からの冷却風を、バッテリモジュール16の接続端子16Bが収容された右前端子収容部48および左前端子収容部49に直接的に供給することができる。
【0100】
実施の形態では、後通風路42の右後端子収容部43および左後端子収容部44は、バッテリモジュール16の接続端子16Bを取囲んで筐体27の内壁面とモジュール本体16Aとの間に設けられた右側シール部材40および左側シール部材41によって形成されている。また、前通風路47の右前端子収容部48および左前端子収容部49は、バッテリモジュール16の接続端子16Bを取囲んで筐体27の内壁面とモジュール本体16Aとの間に設けられた右側シール部材40および左側シール部材41によって形成されている。さらに、筐体27内には、後ダクト部材45の冷却風吐出口45C1と冷却風吸込口45B1との間、および前ダクト部材50の冷却風吐出口50C1と冷却風吸込口50B1との間で冷却風が循環するのを阻止するダクトシール部材52が設けられている。
【0101】
この構成によれば、右後端子収容部43と左後端子収容部44、および右前端子収容部48と左前端子収容部49は、右側シール部材40および左側シール部材41によって筐体27のモジュール本体収容部37から隔絶される。これにより、後通風路42および前通風路47は、円滑な冷却風の循環経路を形成することができる。また、後ダクト部材45の冷却風吐出口45C1と冷却風吸込口45B1との間で冷却風が循環する現象と、前ダクト部材50の冷却風吐出口50C1と冷却風吸込口50B1との間で循環する現象を、ダクトシール部材52によって阻止することができる。
【0102】
実施の形態では、後通風路42の後ダクト部材45は、右後ダクト分割体45Bと左後ダクト分割体45Cとを接続することにより形成され、後冷却ファン46は、右後ダクト分割体45Bと左後ダクト分割体45Cとの接続部に設けられている。また、前通風路47の前ダクト部材50は、右前ダクト分割体50Bと左前ダクト分割体50Cとを接続することにより形成され、前冷却ファン51は、右前ダクト分割体50Bと左前ダクト分割体50Cとの接続部に設けられている。この構成によれば、後ダクト部材45を分割することにより、後冷却ファン46に対するメンテナンスを容易に行うことができる。また、前ダクト部材50を分割することにより、前冷却ファン51に対するメンテナンスを容易に行うことができる。
【0103】
実施の形態では、後通風路42は、筐体27の右中間板31および左中間板32と複数のバッテリモジュール16との間に形成され上,下方向に延びる右後端子収容部43および左後端子収容部44(一対の縦通風路)と、下板33と複数のバッテリモジュール16との間に形成された下側空間34(横通風路)と、右後端子収容部43および左後端子収容部44の上端に接続された後ダクト部材45とにより構成されている。前通風路47は、右中間板31および左中間板32と複数のバッテリモジュール16との間に形成され上,下方向に延びる右前端子収容部48および左前端子収容部49(一対の縦通風路)と、下板33と複数のバッテリモジュール16との間に形成された下側空間34(横通風路)と、右前端子収容部48および左前端子収容部49の上端に接続された前ダクト部材50とにより構成されている。
【0104】
後ダクト部材45は、右後ダクト分割体45Bと左後ダクト分割体45Cとを接続することにより形成され、後冷却ファン46は、右後ダクト分割体45Bと左後ダクト分割体45Cとの接続部に設けられている。前ダクト部材50は、右前ダクト分割体50Bと左前ダクト分割体50Cとを接続することにより形成され、前冷却ファン51は、右前ダクト分割体50Bと左前ダクト分割体50Cとの接続部に設けられている。
【0105】
この構成によれば、後ダクト部材45を分割することにより、後冷却ファン46に対するメンテナンスを容易に行うことができ、前ダクト部材50を分割することにより、前冷却ファン51に対するメンテナンスを容易に行うことができる。この結果、後冷却ファン46および前冷却ファン51の作動を安定させることができ、バッテリ15に対する冷却性能を長期に亘って維持することができる。
【0106】
なお、実施の形態では、後通風路42を構成する右後端子収容部43および左後端子収容部44の下端と、前通風路47を構成する右前端子収容部48および左前端子収容部49の下端とが、それぞれ下側空間34に開口する構成を例示している。しかし、本発明はこれに限らず、例えばシール部材等を用いて下側空間34を前,後に分割し、後側の下側空間に右後端子収容部43および左後端子収容部44の下端を開口させ、前側の下側空間に右前端子収容部48および左前端子収容部49の下端を開口させてもよい。
【0107】
また、実施の形態では、履帯2Eを有する下部走行体2を備えたクローラ式の油圧ショベル1を例示している。しかし、本発明はこれに限らず、例えばホイール式の油圧ショベル等の他の建設機械にも適用することができる。
【符号の説明】
【0108】
1 油圧ショベル
2 下部走行体(車体)
4 上部旋回体(車体)
6 作業装置
11 電動モータ
14 バッテリパック
15 バッテリ
16 バッテリモジュール
16A モジュール本体
16B 接続端子
27 筐体
29 後側板
30 前側板
31 右中間板
32 左中間板
33 下板
34 下側空間(横通風路)
35 上板
37 モジュール本体収容部
40 右側シール部材(シール部材)
41 左側シール部材(シール部材)
42 後通風路(通風路)
43 右後端子収容部(縦通風路)
44 左後端子収容部(縦通風路)
45 後ダクト部材
45B 右後ダクト分割体
45B1,50B1 冷却風吸込口
45C 左後ダクト分割体
45C1,50C1 冷却風吐出口
46 後冷却ファン
47 前通風路(通風路)
48 右前端子収容部(縦通風路)
49 左前端子収容部(縦通風路)
50 前ダクト部材
50B 右前ダクト分割体
50C 左前ダクト分割体
51 前冷却ファン
52 ダクトシール部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9