(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-02
(45)【発行日】2022-12-12
(54)【発明の名称】加速された磁気共鳴温度測定
(51)【国際特許分類】
A61B 5/055 20060101AFI20221205BHJP
【FI】
A61B5/055 376
(21)【出願番号】P 2021561953
(86)(22)【出願日】2020-04-21
(86)【国際出願番号】 IB2020000294
(87)【国際公開番号】W WO2020217098
(87)【国際公開日】2020-10-29
【審査請求日】2021-10-18
(32)【優先日】2019-11-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-04-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-02-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508154863
【氏名又は名称】インサイテック・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ズール, ユヴァル
(72)【発明者】
【氏名】シャピラ, ボアズ
(72)【発明者】
【氏名】レヴィ, ヨアフ
【審査官】下村 一石
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-506822(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0257806(US,A1)
【文献】国際公開第2018/126396(WO,A1)
【文献】YUAN, Jing et al.,Towards fast and accurate temperature mapping with proton resonance frequency-based MR thermometry,Quantitative Imaging in Medicine and Surgery,AME Publishing company,2012年01月26日,2012;2(1),pp.21-32
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/055
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像システムであって、
磁気共鳴映像法(MRI)装置であって、前記磁気共鳴映像法(MRI)装置は、
(i)第1のマルチエコーパルスシーケンスを実行
することにより、標的領域を励起することと、
(ii)前記標的領域の複数のベースラインk空間画像を入手することであって、各ベースライン画像は、前記第1のマルチエコーパルスシーケンス内のエコー
に関連付けられ
ている、ことと、
(iii)第2のマルチエコーパルスシーケンスを実行
することにより、前記標的領域を励起することと、
(iv)第2の複数のk空間画像を入手することであって、
前記第2の複数のk空間画像
のそれぞれ
は、前記第2のマルチエコーパルスシーケンス内のエコー
に関連付けられ
ており、前記第2の複数のk空間画像のうちの少なくとも1つは、前記ベースラインk空間画像と比較して情報が欠落するように、アンダーサンプリングされる、ことと
を行うように構成され
ている、磁気共鳴映像法(MRI)装置と、
少なくとも1つのベースラインk空間画像および前記第2の複数のk空間画像のうちの少なくとも1つに
少なくとも部分的に基づいて、標的画像を再構築するように構成され
ている算出ユニットと
を備え
、
前記算出ユニットは、前記第2の複数のk空間画像のうちの少なくとも1つに関して、(i)それからの欠落情報を算出的に推定することと、(ii)それに関連付けられているエコー時間に少なくとも部分的に基づいて、前記推定される欠落情報を算出的に更新することと、(iii)前記更新された推定される欠落情報と、それに対応する前記第2の複数のk空間画像のうちの前記少なくとも1つと、前記第2の複数のk空間画像のうちの前記少なくとも1つに対応する前記ベースラインk空間画像とに少なくとも部分的に基づいて、マップを生成することとを行うように構成されている、撮像システム。
【請求項2】
前記標的画像は、熱マップ、磁化率強調画像、T
2
*画像、微小出血画像、または
、BOLDf-MRI画像のうちの1つである、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記算出ユニットは、ニューラルネットワークを備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記ニューラルネットワークは、畳み込みニューラルネットワークである、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記マップは、前記標的領域の解剖学的画像または熱マップのうちの少なくとも一方を含む、請求項
1に記載のシステム。
【請求項6】
前記算出ユニットは
、デフォルト値、前記対応するベースラインk空間画像のうちの1つの一部、または
、前記第2の複数のk空間画像のうちの異なるものに
少なくとも部分的に基づいて、前記欠落情報を算出的に推定するように
さらに構成され
ている、請求項
1に記載のシステム。
【請求項7】
前記
複数のベースラインk空間画像のうちのそれぞれ1つは、複数のピクセルを備え、前記算出ユニットは
、前記
複数のベースラインk空間画像のうちの1つの中のピクセル
に関連付けられ
ている大きさに
少なくとも部分的に基づいて、前記推定される欠落情報を更新するように
さらに構成され
ている、請求項
1に記載のシステム。
【請求項8】
前記システムは、第1
のMRIコイルと第2のMRIコイル
とをさらに備え、前記
複数のベースラインk空間画像のそれぞれおよび前記第2の複数のk空間画像のそれぞれは、前記第1
のMRIコイルまたは
前記第2のMRIコイルのうちの少なくとも一方
に関連付けられ
ている、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記算出ユニットは
、(a)前記複数のベースラインk空間画像から複数のベースライン画像を算出的に再構築することと、(b)前記第2の複数のk空間画像のうちのそれぞれ1つに関して
、それ
に関連付けられ
ている前記算出的に推定される欠落情報に
少なくとも部分的に基づいて、第3の画像セット内の画像を算出的に再構築することとを行うように
さらに構成され
ている、請求項
1に記載のシステム。
【請求項10】
前記
複数のベースラインk空間画像のうちのそれぞれ1つは、前記第1のマルチエコーパルスシーケンスに応答してエコーから入手され、前記第2の複数のk空間画像のうちのそれぞれ1つは、前記第2のマルチエコーパルスシーケンスに応答してエコーから入手され、前記算出ユニットは
、それ
に関連付けられ
ている前記エコーのエコー時間に
少なくとも部分的に基づいて、前記第3の画像セット内の各再構築された画像を前記再構築されたベースライン画像のうちの1つに対応させるように
さらに構成され
ている、請求項
9に記載のシステム。
【請求項11】
前記システムは、複数のMRIコイルをさらに備え、前記
複数のベースラインk空間画像のそれぞれおよび前記第2の複数のk空間画像のそれぞれは、前記MRIコイルのうちの少なくとも1つ
に関連付けられ
ており、前記算出ユニットは
、前記関連付けられ
ている少なくとも1つのMRIコイルに
少なくとも部分的に基づいて、前記第3の画像セット内の各再構築された画像を前記再構築されたベースライン画像のうちの1つに関連させるように
さらに構成され
ている、請求項
10に記載のシステム。
【請求項12】
前記第3の画像セット内の前記再構築された画像
に関連付けられ
ている前記エコー時間は、前記対応する再構築されたベースライン画像
に関連付けられ
ている前記エコー時間と同一である、請求項
10に記載のシステム。
【請求項13】
前記算出ユニットは
、(c)前記再構築されたベースライン画像のうちの1つの中のピクセルと前記第3の画像セット内の前記対応する再構築された画像の中の対応するピクセルとの間の位相差を決定するように
さらに構成され
ている、請求項
10に記載のシステム。
【請求項14】
前記算出ユニットは
、(d)
それから前記第3の画像セット内の前記対応する再構築された画像が再構築される前記k空間画像のエコー時間に
少なくとも部分的に基づいて、前記位相差を更新するように
さらに構成され
ている、請求項
13に記載のシステム。
【請求項15】
前記第3の画像セット内の前記再構築された画像
に関連付けられ
ている前記位相差は、前記第2の複数のk空間画像のエコー時間と正に相関する、請求項
14に記載のシステム。
【請求項16】
前記算出ユニットは
、前記第2の複数のk空間画像内の少なくとも2つの異なる画像
に関連付けられ
ている前記エコー時間に
少なくとも部分的に基づいて、前記位相差を更新するように
さらに構成され
ている、請求項
14に記載のシステム。
【請求項17】
前記算出ユニットは
、(e)
前記更新された位相差に
少なくとも部分的に基づいて、前記第3の画像セット内の前記対応する再構築された画像を更新することと、(f)前記更新された画像を第4の画像セット内のk空間画像に変換することとを行うように
さらに構成され
ている、請求項
14に記載のシステム。
【請求項18】
前記算出ユニットは
、(g)
同一のエコー時間において入手される前記第2の複数のk空間画像内の前記対応する画像に
少なくとも部分的に基づいて、前記第4の画像セット内の前記k空間画像を更新するように
さらに構成され
ている、請求項
17に記載のシステム。
【請求項19】
前記算出ユニットは
、終了条件が満たされるまで、ステップ(b)
~(g)を反復的に
実行するように
さらに構成され
ている、請求項
18に記載のシステム。
【請求項20】
前記終了条件は、
所定の限界値を超過する反復の回数、または
、
2回の反復の間の前記第4の画像セット内の前記更新されたk空間画像または前記第3の画像セット内の前記再構築された画像の所定の最小値を下回る変化
のうちの1つ以上のものに対応する、請求項
19に記載のシステム。
【請求項21】
前記算出ユニットは
、ステップ(b)
~(g)を少なくとも2回
実行するために、人工ニューラルネットワークを実行するように
さらに構成され
ている、請求項
18に記載のシステム。
【請求項22】
前記算出ユニットは
、前記第4の画像セット内の前記更新されたk空間画像に
少なくとも部分的に基づいて、第5の画像セット内の画像を算出的に再構築
することと、前記第5の画像セット内の前記再構築された画像からノイズを算出的に低減させる
こととを行うように
さらに構成され
ている、請求項
18に記載のシステム。
【請求項23】
前記算出ユニットは
、前記第3の画像セットまたは前記第5の画像セットのうちの少なくとも一方の中の前記画像のうちの少なくとも2つに、その中の前記ノイズを低減させるために、局所的に低ランクの正則化を適用するように
さらに構成され
ている、請求項
22に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2019年4月25日に出願された、米国仮出願第62/838,409号、2019年11月6日に出願された、第62/931,525号、および2020年2月7日に出願された、第62/971,449号の優先権および利益を主張する。前述の文書の全ての開示全体は、参照することによって本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、概して、磁気共鳴(MR)温度測定、特に、MR温度測定を加速させるためのアプローチに関する。
【背景技術】
【0003】
患者の頭蓋骨または他の身体領域内の良性または悪性腫瘍または血餅等の組織が、組織を外科手術的に除去することによって侵襲的に、または、例えば、熱アブレーションを使用することによって非侵襲的に治療され得る。両方のアプローチとも、身体内のある局所的条件を効果的に治療するが、そうでなければ健康な組織を破壊または損傷させることを回避するための繊細な手技を伴い得る。健康な組織が救われ得ない、またはその破壊が生理学的機能に悪影響を及ぼす可能性がある限り、外科手術は、罹患組織が健康な組織内に統合される条件に関して適切ではあり得ない。
【0004】
集束された超音波を使用して遂行され得るような熱アブレーションは、超音波エネルギーの影響が、明確に画定される標的領域に限局され得るため、健康な組織または器官によって囲繞される、またはそれに隣接する罹患組織を治療するための特定の魅力を有する。超音波エネルギーが、超音波の比較的に短い波長(例えば、1メガヘルツ(1MHz)における断面が1.5ミリメートル(mm)と同程度に小さい)に起因して数ミリメートルのみの断面を有する区域に集束され得る。また、音響エネルギーは、概して、軟組織を通して良好に透過するため、介在する解剖学的構造は、多くの場合、所望の焦点区域を画定することに対する障害物を課さない。したがって、超音波エネルギーは、囲繞健康組織を有意に損傷させることなく罹患組織をアブレートするために、小さい標的に集束され得る。
【0005】
超音波集束システムは、概して、音響トランスデューサ表面またはトランスデューサ表面のアレイを利用し、超音波ビームを発生させる。トランスデューサは、幾何学的に成形され、患者内の標的組織腫瘤に対応する「焦点区域」に超音波エネルギーを集束させるように位置付けられ得る。組織を通した波伝搬の間、超音波エネルギーの一部が、吸収され、上昇された温度、最終的には、好ましくは、焦点区域の中の標的組織腫瘤における、細胞壊死につながる。トランスデューサアレイの個々の表面または「要素」は、典型的には、個々に制御可能であり、すなわち、それらの位相および/または振幅が、(例えば、連続波の場合には好適な遅延または位相偏移を伴う「ビーム形成器」および要素のための増幅器回路網を使用して)相互から独立して設定され、ビームが、所望の方向に操向され、所望の距離に集束されることを可能にし、焦点区域性質が、必要に応じて成形されることを可能にすることができる。したがって、焦点区域は、トランスデューサ要素の中に入力される電気信号の振幅および位相を独立して調節することによって、迅速に変位および/または再成形されることができる。
【0006】
しかしながら、人体は、可撓性であり、患者が静止した状態を保つように位置付けられているときでも(例えば、呼吸、またはわずかな不随意移動に起因して)移動するため、複数の超音波処理として経時的に送達される治療は、超音波処理が相互から数秒以内に送達されるときでも、標的化への、および/または1つ以上の治療パラメータへの暫定的調節を要求し得る。運動のための補償が、したがって、超音波ビームが、標的上に集束されたままであり、囲繞健康組織を損傷させないことを確実にするために必要である。
【0007】
故に、磁気共鳴映像法(MRI)等の撮像モダリティが、非侵襲性療法の間に集束する超音波と連動して使用され、標的組織および超音波焦点の両方の場所を監視し得る。概して、
図1に描写されるように、MRIシステム100は、静磁場磁石102と、1つ以上の勾配磁場コイル104と、高周波(RF)伝送機106と、RF受信機(図示せず)とを含む。(いくつかの実施形態では、同一のデバイスが、RF伝送機または受信機として交互に使用される。)磁石は、その中に患者110を受容するための領域108を含み、患者にわたって静的かつ比較的に均質な磁場を提供する。勾配磁場コイル104によって発生される時変磁場勾配が、静磁場と重畳される。RF伝送機106は、患者110にわたってRFパルスシーケンスを伝送し、患者の組織に(時変)RF応答信号を放出させ、これは、全体的な(2または3次元)撮像領域にわたって統合され、RF受信機によってサンプリングされ、未加工画像データを構成する、応答信号の時系列を生産する。本未加工データは、算出ユニット112に伝達される。時系列内の各データ点は、k空間(すなわち、波ベクトル空間)内の特定の点における位置依存の局所的磁化のフーリエ変換の値として解釈されることができる(波ベクトルkは、勾配磁場の時間展開の関数である)。したがって、応答信号の時系列を逆フーリエ変換することによって、算出ユニット112は、未加工データから組織の画像(すなわち、空間座標の関数として、測定された磁化に影響を及ぼす組織の性質を示す画像)を再構築することができる。磁気共鳴(MR)画像が、次いで、ユーザに表示され得る。MRIシステム100は、医療手技を計画し、かつ手技の間に治療の進行を監視するために使用され得る。例えば、MRIは、解剖学的領域を撮像する、領域内の標的組織(例えば、腫瘍)を位置特定する、超音波トランスデューサ114によって発生されるビームを標的組織に誘導する、および/または標的組織の中およびそれを囲繞する温度を監視するために使用され得る。
【0008】
MRIは、種々の異なる治療シナリオにおいて、MRI誘導下の集束超音波(MRgFUS)システム等の画像誘導下システムの有利な使用を可能にするが、多くの場合、撮像率(すなわち、連続MRI画像が入手され得る率)は、標的の1つ以上の特性が変化する率に遅れを取る。例えば、集束超音波治療または他の療法エネルギーへの暴露の間に、標的の場所または温度は、急速に変化し得、1つの全体MRI走査から別のものへの大規模な不連続ジャンプをもたらす。十分に細かいタイムスケールにおいて標的における変化を追跡することの本実行不可能性は、(治療を停止し、再設定することが、変化を考慮するために必要であり得るため)治療プロセスにおける有意な非効率、または標的の治療エネルギーへの、または標的化されていない組織への危険な暴露をももたらし得る。
【0009】
本問題を無効にするための1つの従来のアプローチが、走査するステップ(すなわち、k空間データを「アンダーサンプリングする」ステップ)の間に部分的な未加工のk空間データのみを入手することによって、MR撮像率を加速させ、コスト関数を伴うアルゴリズムが、次いで、反復的に実施され、アンダーサンプリングされたk空間データを使用して画像を発生させ得る。コスト関数は、概して、最初に入手される疎データへの忠実性を確実にする、データ忠実度項と、経時的なデータの平滑性を最大化するモデルとして実現され得る、制約項とを含む。k空間データ点の入手を低減させることは、MR撮像率を上昇させ得るが、撮像再構築プロセスの間の「欠落している」(または入手されていない)k空間データについての情報を補完するためのプロセスは、再構築されるべき画像についての以前の知識の欠如に起因して時間がかかり得、結果として、上昇されたMR撮像率が、損なわれる。概して、取得された以前の知識が多いほど、より少ないサンプリングされたk空間データが、要求され、これは、次いで、MR撮像率のより大きい加速を達成することができる。故に、再構築されるべき画像についての以前の付加的な情報を実装し、それによって、画像再構成のためにMR走査の間に要求されるk空間データの量をさらに低減させ、かつMR撮像率をさらに加速させる、改良されたMRI入手アプローチの必要性が、存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の実施形態は、不完全なk空間データから再構築されるべき画像についての以前の知識を利用し、それによって、正確な再構築を促進する、加速されたMR温度測定を提供する。種々の実施形態では、欠落データは、ニューラルネットワーク等の機械学習アルゴリズムを使用して算出的に推定され、画像が、反復的に更新された推定される欠落情報に基づいて発生される。
【0011】
故に、一側面では、本発明は、撮像システムであって、種々の実施形態では、標的領域を励起するように構成される、MRI装置を備える、撮像システムに関する。標的領域は、特徴(例えば、ヒトまたは動物の解剖学的特徴、治療標的、非治療標的、撮像ファントム等のファントム等)を含む、それから本質的に成る、またはそれから成ってもよい。種々の実施形態では、MRI装置は、(i)第1のマルチエコーパルスシーケンスを実行し、標的領域を励起し、(ii)各ベースライン画像が、第1のマルチエコーパルスシーケンス内のエコーと関連付けられる、標的領域の複数のベースラインk空間画像を入手し、(iii)第2のマルチエコーパルスシーケンスを実行し、標的領域を励起し、(iv)第2の複数のk空間画像を入手するように構成される。第2の複数のk空間画像はそれぞれ、第2のマルチエコーパルスシーケンス内のエコーと関連付けられてもよく、第2の複数のk空間画像のうちの少なくとも1つは、ベースラインk空間画像と比較して情報が欠落するように、アンダーサンプリングされてもよい。いくつかの実施形態では、第2の複数のk空間画像の全てが、アンダーサンプリングされる。一実施形態では、第2の複数のk空間画像のうちの少なくとも1つは、異なるパターンにおいてアンダーサンプリングされる。加えて、画像システムは、少なくとも部分的に、少なくとも1つのベースラインk空間画像および第2の複数のk空間画像のうちの少なくとも1つに基づいて、標的画像を再構築するように構成される、算出ユニットを含んでもよい。
【0012】
いくつかの実施形態では、算出ユニットは、ニューラルネットワーク、例えば、畳み込みニューラルネットワーク等の機械学習アルゴリズムを備える、または実行する。標的画像は、熱マップ、磁化率強調画像、T2
*画像、微小出血画像、またはBOLD f-MRI画像であってもよい。
【0013】
種々の実施形態では、本システムは、第2の複数のk空間画像のうちの少なくとも1つに関して、欠落情報が、ニューラルネットワークを使用して算出的に推定され、標的画像が、少なくとも部分的に、更新された推定される欠落情報に基づいて発生されるように、構成される。算出ユニットは、第2の複数のk空間画像のうちの少なくとも1つに関して、(i)ニューラルネットワークを使用して、対応する解剖学的画像を算出的に推定し、(ii)少なくとも部分的に、更新された推定される解剖学的画像に基づいて、標的画像を発生させるように構成されてもよい。代替として、または加えて、算出ユニットは、第2の複数のk空間画像のうちの少なくとも1つに関して、i)それからの欠落情報を推定し、対応する解剖学的画像を再構築し、(ii)ニューラルネットワークを使用して、解剖学的画像を算出的に補正し、(iii)少なくとも部分的に、更新された推定される解剖学的画像に基づいて、標的画像を発生させるように構成されてもよい。さらに別の代替物では、算出ユニットは、第2の複数のk空間画像のうちの少なくとも1つに関して、(i)それからの欠落情報を算出的に推定し、(ii)少なくとも部分的に、それと関連付けられるにエコー時間に基づいて、推定される欠落情報を算出的に更新し、(iii)少なくとも部分的に、更新された推定される欠落情報、それに対応する第2の複数のk空間画像のうちの少なくとも1つ、および第2の複数のk空間画像のうちの少なくとも1つに対応するベースラインk空間画像に基づいて、マップを発生させるように構成される。算出ユニットはさらに、少なくとも部分的に、デフォルト値、対応するベースラインk空間画像のうちの1つの一部、または第2の複数のk空間画像のうちの異なるものに基づいて、欠落情報を算出的に推定するように構成されてもよい。
【0014】
いくつかの実施形態では、マップは、標的領域の解剖学的画像または熱マップのうちの少なくとも一方を含む。ベースラインk空間画像はそれぞれ、複数のピクセルを備えてもよく、算出ユニットはさらに、少なくとも部分的に、ベースラインk空間画像のうちの1つの中のピクセルと関連付けられる大きさに基づいて、推定される欠落情報を更新するように構成されてもよい。
【0015】
本システムは、第1および第2のMRIコイルを含んでもよく、ベースラインk空間画像のそれぞれおよび第2の複数のk空間画像のそれぞれは、第1および/または第2のMRIコイルと関連付けられる。いくつかの実施形態では、算出ユニットはさらに、(a)複数のベースラインk空間画像から複数のベースライン画像を算出的に再構築し、(b)第2の複数のk空間画像のうちのそれぞれ1つに関して、少なくとも部分的に、それと関連付けられる算出的に推定される欠落情報に基づいて、第3の画像セット内の画像を算出的に再構築するように構成される。
【0016】
種々の実施形態では、ベースラインk空間画像はそれぞれ、第1のマルチエコーパルスシーケンスに応答してエコーから入手され、第2の複数のk空間画像はそれぞれ、第2のマルチエコーパルスシーケンスに応答してエコーから入手される。算出ユニットはさらに、少なくとも部分的に、それと関連付けられるエコーのエコー時間に基づいて、第3の画像セット内の各再構築された画像を再構築されたベースライン画像のうちの1つに対応させるように構成されてもよい。
【0017】
本システムはさらに、複数のMRIコイルを備えてもよく、ベースラインk空間画像のそれぞれおよび第2の複数のk空間画像のそれぞれは、MRIコイルのうちの少なくとも1つと関連付けられる。算出ユニットはさらに、少なくとも部分的に、関連付けられる少なくとも1つのMRIコイルに基づいて、第3の画像セット内の各再構築された画像を再構築されたベースライン画像のうちの1つに関連させるように構成されてもよい。第3の画像セット内の再構築された画像と関連付けられる、エコー時間は、対応する再構築されたベースライン画像と関連付けられる、エコー時間と同一であってもよい。
【0018】
いくつかの実施形態では、算出ユニットはさらに、再構築されたベースライン画像のうちの1つの中のピクセルと第3の画像セット内の対応する再構築された画像の中の対応するピクセルとの間の位相差を決定するように構成される。算出ユニットはさらに、少なくとも部分的に、それから第3の画像セット内の対応する再構築された画像が再構築される、k空間画像のエコー時間に基づいて、位相差を更新するように構成されてもよい。第3の画像セット内の再構築された画像と関連付けられる、位相差は、第2の複数のk空間画像のエコー時間と正に相関し得る。
【0019】
種々の実施形態では、算出ユニットはさらに、少なくとも部分的に、第2の複数のk空間画像内の少なくとも2つの異なる画像と関連付けられる、エコー時間に基づいて、位相差を更新するように構成される。代替として、または加えて、算出ユニットはさらに、少なくとも部分的に、更新された位相差に基づいて、第3の画像セット内の対応する再構築された画像を更新し、更新された画像を第4の画像セット内のk空間画像に変換するように構成されてもよい。なおもさらに、算出ユニットは、少なくとも部分的に、同一のエコー時間において入手される第2の複数のk空間画像内の対応する画像に基づいて、第4の画像セット内のk空間画像を更新するように構成されてもよい。
【0020】
いくつかの実施形態では、算出ユニットは、終了条件が満たされるまで、種々のステップを反復的に実施するように構成される。終了条件は、所定の限界値を超過する、反復の回数、または2回の反復の間の、第4の画像セット内の更新されたk空間画像または第3の画像セット内の再構築された画像の、所定の最小値を下回る変化のうちの1つ以上のものであってもよい。算出ユニットは、種々のステップを実施するために、人工ニューラルネットワーク(例えば、畳み込みまたは再帰型ニューラルネットワーク)等の機械学習アルゴリズムを実行するように構成されてもよい。
【0021】
いくつかの実施形態では、算出ユニットは、少なくとも部分的に、第4の画像セット内の更新されたk空間画像に基づいて、第5の画像セット内の画像を算出的に再構築し、第5の画像セット内の再構築された画像からノイズを算出的に低減させるように構成される。算出ユニットは、第3の画像セットまたは第5の画像セットのうちの少なくとも一方の中の画像のうちの少なくとも2つに、その中のノイズを低減させるために、局所的に低ランクの正則化を適用するように構成されてもよい。
【0022】
上記に説明される動作を実装する方法もまた、本発明の範囲内である。
【0023】
本明細書で使用されるように、用語「ほぼ」、「概ね」、および「実質的に」は、±10%、いくつかの実施形態では、±5%を意味する。本明細書の全体を通して、「一実施例」、「ある実施例」、「一実施形態」、または「ある実施形態」の言及は、実施例と関連して説明される特定の特徴、構造、または特性が、本技術の少なくとも1つの実施例に含まれることを意味する。したがって、本明細書内全体を通した種々の場所における語句「一実施例では」、「ある実施例では」、「一実施形態」、または「ある実施形態」の表出は、必ずしも全てが同一の実施例を参照しているわけではない。さらに、特定の特徴、構造、ルーチン、ステップ、または特性は、本技術の1つ以上の実施例において、任意の好適な様式で組み合わせられてもよい。本明細書に提供される見出しは、便宜のためにすぎず、請求される技術の範囲または趣意を限定または解釈することを意図していない。
(項目1)
撮像システムであって、
磁気共鳴映像法(MRI)装置であって、上記磁気共鳴映像法(MRI)装置は、
(i)第1のマルチエコーパルスシーケンスを実行し、標的領域を励起することと、
(ii)上記標的領域の複数のベースラインk空間画像を入手することであって、各ベースライン画像は、上記第1のマルチエコーパルスシーケンス内のエコーと関連付けられる、ことと、
(iii)第2のマルチエコーパルスシーケンスを実行し、上記標的領域を励起することと、
(iv)第2の複数のk空間画像を入手することであって、第2の複数のk空間画像はそれぞれ、上記第2のマルチエコーパルスシーケンス内のエコーと関連付けられ、上記第2の複数のk空間画像のうちの少なくとも1つは、上記ベースラインk空間画像と比較して情報が欠落するように、アンダーサンプリングされる、ことと
を行うように構成される、磁気共鳴映像法(MRI)装置と、
算出ユニットであって、上記算出ユニットは、少なくとも部分的に、少なくとも1つのベースラインk空間画像および上記第2の複数のk空間画像のうちの少なくとも1つに基づいて、標的画像を再構築するように構成される、算出ユニットと
を備える、システム。
(項目2)
上記標的画像は、熱マップ、磁化率強調画像、T
2
*
画像、微小出血画像、またはBOLDf-MRI画像のうちの1つである、項目1に記載のシステム。
(項目3)
上記算出ユニットは、ニューラルネットワークを備える、項目1に記載のシステム。
(項目4)
上記ニューラルネットワークは、畳み込みニューラルネットワークである、項目3に記載のシステム。
(項目5)
上記算出ユニットは、
上記第2の複数のk空間画像のうちの少なくとも1つに関して、(i)上記ニューラルネットワークを使用して、それからの欠落情報を算出的に推定することと、(ii)少なくとも部分的に、上記推定される欠落情報に基づいて、標的画像を発生させることと
を行うように構成される、項目3に記載のシステム。
(項目6)
上記算出ユニットは、
上記第2の複数のk空間画像のうちの少なくとも1つに関して、(i)上記ニューラルネットワークを使用して、対応する解剖学的画像を算出的に推定することと、(ii)少なくとも部分的に、上記推定される解剖学的画像に基づいて、標的画像を発生させることと
を行うように構成される、項目3に記載のシステム。
(項目7)
上記算出ユニットは、
上記第2の複数のk空間画像のうちの少なくとも1つに関して、(i)それからの欠落情報を推定し、対応する解剖学的画像を再構築することと、(ii)上記ニューラルネットワークを使用して、上記解剖学的画像を算出的に補正することと、(iii)少なくとも部分的に、上記補正された解剖学的画像に基づいて、標的画像を発生させることと
を行うように構成される、項目3に記載のシステム。
(項目8)
上記算出ユニットは、
上記第2の複数のk空間画像のうちの少なくとも1つに関して、(i)それからの欠落情報を算出的に推定することと、(ii)少なくとも部分的に、それと関連付けられるにエコー時間に基づいて、上記推定される欠落情報を算出的に更新することと、(iii)少なくとも部分的に、上記更新された推定される欠落情報、それに対応する上記第2の複数のk空間画像のうちの少なくとも1つ、および上記第2の複数のk空間画像のうちの少なくとも1つに対応する上記ベースラインk空間画像に基づいて、マップを発生させることと
を行うように構成される、項目1に記載のシステム。
(項目9)
上記マップは、上記標的領域の解剖学的画像または熱マップのうちの少なくとも一方を含む、項目8に記載のシステム。
(項目10)
上記算出ユニットはさらに、少なくとも部分的に、デフォルト値、上記対応するベースラインk空間画像のうちの1つの一部、または上記第2の複数のk空間画像のうちの異なるものに基づいて、上記欠落情報を算出的に推定するように構成される、項目8に記載のシステム。
(項目11)
上記ベースラインk空間画像のうちのそれぞれ1つは、複数のピクセルを備え、上記算出ユニットはさらに、少なくとも部分的に、上記ベースラインk空間画像のうちの1つの中のピクセルと関連付けられる大きさに基づいて、上記推定される欠落情報を更新するように構成される、項目8に記載のシステム。
(項目12)
第1および第2のMRIコイルをさらに備え、上記ベースラインk空間画像のそれぞれおよび上記第2の複数のk空間画像のそれぞれは、上記第1または第2のMRIコイルのうちの少なくとも一方と関連付けられる、項目1に記載のシステム。
(項目13)
上記算出ユニットはさらに、(a)上記複数のベースラインk空間画像から複数のベースライン画像を算出的に再構築することと、(b)上記第2の複数のk空間画像のうちのそれぞれ1つに関して、少なくとも部分的に、それと関連付けられる上記算出的に推定される欠落情報に基づいて、第3の画像セット内の画像を算出的に再構築することとを行うように構成される、項目8に記載のシステム。
(項目14)
上記ベースラインk空間画像のうちのそれぞれ1つは、上記第1のマルチエコーパルスシーケンスに応答してエコーから入手され、上記第2の複数のk空間画像のうちのそれぞれ1つは、上記第2のマルチエコーパルスシーケンスに応答してエコーから入手され、上記算出ユニットはさらに、少なくとも部分的に、それと関連付けられる上記エコーのエコー時間に基づいて、上記第3の画像セット内の各再構築された画像を上記再構築されたベースライン画像のうちの1つに対応させるように構成される、項目13に記載のシステム。
(項目15)
複数のMRIコイルをさらに備え、上記ベースラインk空間画像のそれぞれおよび上記第2の複数のk空間画像のそれぞれは、上記MRIコイルのうちの少なくとも1つと関連付けられ、上記算出ユニットはさらに、少なくとも部分的に、上記関連付けられる少なくとも1つのMRIコイルに基づいて、上記第3の画像セット内の各再構築された画像を上記再構築されたベースライン画像のうちの1つに関連させるように構成される、項目14に記載のシステム。
(項目16)
上記第3の画像セット内の上記再構築された画像と関連付けられる上記エコー時間は、上記対応する再構築されたベースライン画像と関連付けられる上記エコー時間と同一である、項目14に記載のシステム。
(項目17)
上記算出ユニットはさらに、(c)上記再構築されたベースライン画像のうちの1つの中のピクセルと上記第3の画像セット内の上記対応する再構築された画像の中の対応するピクセルとの間の位相差を決定するように構成される、項目14に記載のシステム。
(項目18)
上記算出ユニットはさらに、(d)少なくとも部分的に、それから上記第3の画像セット内の上記対応する再構築された画像が再構築される上記k空間画像のエコー時間に基づいて、上記位相差を更新するように構成される、項目17に記載のシステム。
(項目19)
上記第3の画像セット内の上記再構築された画像と関連付けられる上記位相差は、上記第2の複数のk空間画像のエコー時間と正に相関する、項目18に記載のシステム。
(項目20)
上記算出ユニットはさらに、少なくとも部分的に、上記第2の複数のk空間画像内の少なくとも2つの異なる画像と関連付けられる上記エコー時間に基づいて、上記位相差を更新するように構成される、項目18に記載のシステム。
(項目21)
上記算出ユニットはさらに、(e)少なくとも部分的に、上記更新された位相差に基づいて、上記第3の画像セット内の上記対応する再構築された画像を更新することと、(f)上記更新された画像を第4の画像セット内のk空間画像に変換することとを行うように構成される、項目18に記載のシステム。
(項目22)
上記算出ユニットはさらに、(g)少なくとも部分的に、同一のエコー時間において入手される上記第2の複数のk空間画像内の上記対応する画像に基づいて、上記第4の画像セット内の上記k空間画像を更新するように構成される、項目17に記載のシステム。
(項目23)
上記算出ユニットはさらに、終了条件が満たされるまで、ステップ(b)-(g)を反復的に実施するように構成される、項目22に記載のシステム。
(項目24)
上記終了条件は、
所定の限界値を超過する反復の回数、または
2回の反復の間の上記第4の画像セット内の上記更新されたk空間画像または上記第3の画像セット内の上記再構築された画像の所定の最小値を下回る変化
のうちの1つ以上のものに対応する、項目23に記載のシステム。
(項目25)
上記算出ユニットはさらに、ステップ(b)-(g)を少なくとも2回実施するために、人工ニューラルネットワークを実行するように構成される、項目22に記載のシステム。
(項目26)
上記算出ユニットはさらに、少なくとも部分的に、上記第4の画像セット内の上記更新されたk空間画像に基づいて、第5の画像セット内の画像を算出的に再構築し、上記第5の画像セット内の上記再構築された画像からノイズを算出的に低減させるように構成される、項目22に記載のシステム。
(項目27)
上記算出ユニットはさらに、上記第3の画像セットまたは上記第5の画像セットのうちの少なくとも一方の中の上記画像のうちの少なくとも2つに、その中の上記ノイズを低減させるために、局所的に低ランクの正則化を適用するように構成される、項目26に記載のシステム。
(項目28)
磁気共鳴映像法の方法であって、上記方法は、
第1のマルチエコーパルスシーケンスを実行し、標的領域を励起することと、
上記標的領域の複数のベースラインk空間画像を入手することであって、各ベースライン画像は、上記第1のマルチエコーパルスシーケンス内のエコーと関連付けられる、ことと、
第2のマルチエコーパルスシーケンスを実行し、上記標的領域を励起することと、
第2の複数のk空間画像を入手することであって、上記第2の複数のk空間画像はそれぞれ、上記第2のマルチエコーパルスシーケンス内のエコーと関連付けられ、上記第2の複数のk空間画像のうちの少なくとも1つは、上記ベースラインk空間画像と比較して情報が欠落するように、アンダーサンプリングされる、ことと、
少なくとも部分的に、少なくとも1つのベースラインk空間画像および上記第2の複数のk空間画像のうちの少なくとも1つに基づいて、標的画像を再構築することと
を含む、方法。
(項目29)
上記標的画像は、熱マップ、磁化率強調画像、T
2
*
画像、微小出血画像、またはBOLD f-MRI画像のうちの1つである、項目28に記載の方法。
(項目30)
上記第2の複数のk空間画像のうちの少なくとも1つに関して、(i)それからの欠落情報を算出的に推定することと、(ii)少なくとも部分的に、上記推定される欠落情報に基づいて、標的画像を発生させることとをさらに含む、項目28に記載の方法。
(項目31)
上記第2の複数のk空間画像のうちの少なくとも1つに関して、(i)対応する解剖学的画像を算出的に推定することと、(ii)少なくとも部分的に、上記推定される解剖学的画像に基づいて、標的画像を発生させることとをさらに含む、項目28に記載の方法。
(項目32)
上記第2の複数のk空間画像のうちの少なくとも1つに関して、(i)それからの欠落情報を推定し、対応する解剖学的画像を再構築することと、(ii)上記解剖学的画像を算出的に補正することと、(iii)少なくとも部分的に、上記補正された解剖学的画像に基づいて、標的画像を発生させることとをさらに含む、項目28に記載の方法。
(項目33)
上記第2の複数のk空間画像のうちの少なくとも1つに関して、(i)それからの欠落情報を算出的に推定することと、(ii)少なくとも部分的に、それと関連付けられるエコー時間に基づいて、上記推定される欠落情報を算出的に更新することと、(iii)少なくとも部分的に、上記更新された推定される欠落情報、それに対応する上記第2の複数のk空間画像のうちの少なくとも1つ、および上記第2の複数のk空間画像のうちの少なくとも1つに対応する上記ベースラインk空間画像に基づいて、マップを発生させることとをさらに含む、項目28に記載の方法。
(項目34)
上記マップは、上記標的領域の解剖学的画像または熱マップのうちの少なくとも一方を含む、項目33に記載の方法。
(項目35)
上記欠落情報は、少なくとも部分的に、デフォルト値、上記対応するベースラインk空間画像のうちの1つの一部、または上記第2の複数のk空間画像のうちの異なるものに基づいて、算出的に推定される、項目33に記載の方法。
(項目36)
上記ベースラインk空間画像のうちのそれぞれ1つは、複数のピクセルを備え、上記推定される欠落情報は、少なくとも部分的に、上記ベースラインk空間画像のうちの1つの中のピクセルと関連付けられる大きさに基づいて更新される、項目33に記載の方法。
(項目37)
(a)上記複数のベースラインk空間画像から複数のベースライン画像を算出的に再構築することと、(b)上記第2の複数のk空間画像のうちのそれぞれ1つに関して、少なくとも部分的に、それと関連付けられる上記算出的に推定される欠落情報に基づいて、第3の画像セット内の画像を算出的に再構築することとをさらに含む、項目33に記載の方法。
(項目38)
上記ベースラインk空間画像のうちのそれぞれ1つは、上記第1のマルチエコーパルスシーケンスに応答してエコーから入手され、上記第2の複数のk空間画像のうちのそれぞれ1つは、上記第2のマルチエコーパルスシーケンスに応答してエコーから入手され、少なくとも部分的に、それと関連付けられる上記エコーのエコー時間に基づいて、上記第3の画像セット内の各再構築された画像を上記再構築されたベースライン画像のうちの1つに対応させることをさらに含む、項目37に記載の方法。
(項目39)
上記ベースラインk空間画像のそれぞれおよび上記第2の複数のk空間画像のそれぞれは、複数のMRIコイルのうちの少なくとも1つと関連付けられ、少なくとも部分的に、上記関連付けられる少なくとも1つのMRIコイルに基づいて、上記第3の画像セット内の各再構築された画像を上記再構築されたベースライン画像のうちの1つに関連させることをさらに含む、項目38に記載の方法。
(項目40)
上記第3の画像セット内の上記再構築された画像と関連付けられる上記エコー時間は、上記対応する再構築されたベースライン画像と関連付けられる上記エコー時間と同一である、項目38に記載の方法。
(項目41)
(c)上記再構築されたベースライン画像のうちの1つの中のピクセルと上記第3の画像セット内の上記対応する再構築された画像の中の対応するピクセルとの間の位相差を決定することをさらに含む、項目38に記載の方法。
(項目42)
(d)少なくとも部分的に、それから上記第3の画像セット内の上記対応する再構築された画像が再構築される上記k空間画像のエコー時間に基づいて、上記位相差を更新することをさらに含む、項目41に記載の方法。
(項目43)
上記第3の画像セット内の上記再構築された画像と関連付けられる上記位相差は、上記第2の複数のk空間画像のエコー時間と正に相関する、項目42に記載の方法。
(項目44)
上記位相差は、少なくとも部分的に、上記第2の複数のk空間画像内の少なくとも2つの異なる画像と関連付けられる上記エコー時間に基づいて更新される、項目42に記載の方法。
(項目45)
(e)少なくとも部分的に、上記更新された位相差に基づいて、上記第3の画像セット内の上記対応する再構築された画像を更新することと、(f)上記更新された画像を第4の画像セット内のk空間画像に変換することとをさらに含む、項目42に記載の方法。
(項目46)
上記算出ユニットはさらに、(g)少なくとも部分的に、同一のエコー時間において入手される上記第2の複数のk空間画像内の上記対応する画像に基づいて、上記第4の画像セット内の上記k空間画像を更新するように構成される、項目41に記載の方法。
(項目47)
ステップ(b)-(g)が、終了条件が満たされるまで反復的に実施される、項目46に記載の方法。
(項目48)
上記終了条件は、
所定の限界値を超過する反復の回数、または
2回の反復の間の上記第4の画像セット内の上記更新されたk空間画像または上記第3の画像セット内の上記再構築された画像の所定の最小値を下回る変化
のうちの1つ以上のものに対応する、項目47に記載の方法。
(項目49)
ステップ(b)-(g)が、少なくとも2回実施される、項目46に記載の方法。
(項目50)
少なくとも部分的に、上記第4の画像セット内の上記更新されたk空間画像に基づいて、第5の画像セット内の画像を算出的に再構築することと、上記第5の画像セット内の上記再構築された画像からノイズを算出的に低減させることとをさらに含む、項目46に記載の方法。
(項目51)
上記第3の画像セットまたは上記第5の画像セットのうちの少なくとも一方の中の上記画像のうちの少なくとも2つに、その中の上記ノイズを低減させるために、局所的に低ランクの正則化を適用することをさらに含む、項目50に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図面では、同様の参照記号は、概して、異なる図全体を通して同一の部分を指す。また、図面は、必ずしも縮尺通りではなく、代わりに、概して、本発明の原理を図示することに重点が置かれている。以下の説明では、本発明の種々の実施形態が、以下の図面を参照して説明される。
【0025】
【
図1】
図1は、代表的なMRI装置を断面的に描写する。
【0026】
【
図2A】
図2Aは、PRF温度測定のための例示的な単一エコーGREパルスシーケンスを描写する。
【0027】
【
図2B】
図2Bは、エコートレイン内のエコーが入手される、マルチエコーGREパルスシーケンスを描写する。
【0028】
【
図2C】
図2Cは、マルチエコーGREパルスシーケンスを使用して入手される、画像スライスの完全にサンプリングされたデータセットを描写する。
【0029】
【
図3】
図3は、種々の実施形態による、加速されたMR温度測定への例示的アプローチを図示する、フローチャートである。
【0030】
【
図4A】
図4Aは、あるデータが欠落している、マルチエコーGREパルスシーケンスを使用して入手される、画像スライスのデータセットを描写する。
【0031】
【
図4B】
図4Bは、種々の実施形態による、k空間データをアンダーサンプリングするための例示的アプローチを描写する。
【0032】
【
図4C】
図4Cは、
図4Bに示されるような1つのTR内に複数の位相エンコード値を有する、エコーを入手するために実装される、G
y勾配ブリップのセットを描写する。
【0033】
【
図4D】
図4Dは、いくつかの実施形態において有用である、別のk空間データ軌道を図示する。
【0034】
【
図5A】
図5Aは、種々の実施形態による、反復的推定プロシージャを実施するための例示的アプローチを表す、フローチャートである。
【0035】
【
図5B】
図5Bは、
図5Aに記載される推定アプローチを使用した、反復間での画質の改良を描写する。
【0036】
【
図6】
図6は、それらの間に周波数差を有する、2つのRFパルスを印加し、異なる位相を有する2つのスライスを同時に入手するための例示的アプローチをグラフで描写する。
【0037】
【
図7】
図7A-7Cは、種々の実施形態による、k空間データが渦巻状の様式において入手され得る方法を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0038】
本発明は、画像誘導下の治療/診断手技の間にリアルタイムで標的(例えば、治療標的)または着目領域の中の他の着目物体を監視するためのシステムおよび方法を提供する。手技は、例えば、癌性である場合には、組織を壊死させる、アブレートする、または別様に破壊することのいずれかを行うように加熱する目的のために、または疼痛の改善または温熱療法の制御された誘引等の非破壊的治療のために、例えば、物質、組織、または器官(すなわち、その超音波処理)への集束された超音波の印加を伴い得る。超音波はまた、例えば、神経変調等の他の非熱的タイプの治療のために使用され得る。代替として、手技は、例えば、高周波(RF)放射線、X線またはガンマ線、または荷電粒子等の異なる形態の療法エネルギーを使用する、または凍結アブレーション等の他の治療モダリティを伴い得る。種々の治療手技における標的の温度および/または場所を監視するステップが、標的への、および/または他の非標的組織および器官の周囲に療法エネルギービームを誘導する役割を果たし、すなわち、影響を及ぼされる解剖学的領域の画像に基づいて、ビームの焦点、プロファイル、および/または方向を調節し得、これはまた、いくつかの実施形態では、ビーム焦点を可視化させ得る。MRIは、そのような画像ベースの熱的および/または運動追跡のために広く使用される技法である。しかしながら、例えば、X線撮像、X線コンピュータ断層撮影(CT)、または超音波撮像を含む、他の撮像技法もまた、使用され得、本発明の範囲内である。加えて、温度および/または運動監視は、1つ以上の2次元画像および/または3次元画像を使用して達成され得る。本明細書に説明される技法が実装され得るMRIシステムは、当技術分野において周知であり、例示的システムが、
図1に示される。
【0039】
いくつかの実施形態では、手技の間の撮像が、生体内温度を定量的に監視するために同時に使用される。これは、特に、MR誘導下の熱療法(例えば、MRgFUS治療)において有用であり、標的治療面積(例えば、熱によって破壊されるべき腫瘍)の温度は、治療の進行を査定し、熱伝導およびエネルギー吸収の局所的な差異を補正し、治療面積を囲繞する組織への損傷を回避するために、持続的に監視されるべきである。MR撮像を用いた温度の監視(例えば、測定および/またはマッピング)は、概して、MR温度測定またはMR熱撮像と称される。
【0040】
MR温度測定のために利用可能な種々の方法の中でも、陽子共鳴周波数(PRF)偏移法は、多くの場合、温度変化に対するその優れた線形性、組織タイプからの近独立性、および高空間および時間分解能を伴う温度マップ入手に起因して、選定の方法である。PRF偏移法は、水分子中の陽子のMR共鳴周波数が、(有利には、組織タイプ間で比較的に一定である、比例定数で)温度とともに線形に変化する現象に基づく。温度に伴う周波数変化が、小さい、すなわち、バルク水に関しては、-0.01ppm/℃、組織では、およそ-0.0096~-0.013ppm/℃のみであるため、PRF偏移は、典型的には、撮像が2回、すなわち、最初に、温度変化に先立ってベースラインPRF位相画像を入手し、次いで、温度変化の後に第2の位相画像、すなわち、治療画像を入手し、それによって、温度の変化に比例するわずかな相変化を捕捉するために実施される、位相感受性の撮像方法を用いて検出される。温度変化のマップが、次いで、ピクセル毎に、ベースライン画像と治療画像との間の位相差を決定することによって(再構築された)画像から算出され、位相差を、静磁場の強度および(例えば、勾配再呼出エコーの)エコー時間(TE)等の撮像パラメータを考慮しながらPRF温度依存度に基づいて温度差に転換し得る。
図2Aは、1つのみのエコー202が、連続パルスシーケンス(すなわち、繰り返し時間またはTR)間で(TEにおいて)取得される、PRF温度測定のための例示的単一エコーGREパルスシーケンスを描写する。
【0041】
単一エコーGREパルスシーケンスを使用して入手される、典型的MR画像では、場の不均質性によって引き起こされる、空間偏移Δrが、存在し得る。MR受信機の帯域幅を増大させることは、空間偏移を低減させる傾向にあるが、温度の標準偏差(または測定誤差)を増大させる代償を伴う。結果として、帯域幅の選定は、空間偏移を最小限にすることと測定誤差を低減させることとの間のトレードオフを反映する。本課題に対処するために、いくつかの実施形態では、MRIシステムは、広い帯域幅を伴う受信機を使用し、PRF温度測定のためにマルチエコーGREパルスシーケンスを印加する。例えば、
図2Bを参照すると、マルチエコーGREパルスシーケンスでは、エコートレイン内のN個のエコー(描写されるように、N=6である)が、各TR内で入手され得る。各エコーは、広い受信機帯域幅を伴う比較的に短い時間窓内で入手されるため、空間偏移Δrは、ごくわずかであり得る。加えて、N個のエコーの全てから受信される信号を結合する(または平均化する)ことによって、受信されるMR信号の信号対雑音比(SNR)が、改良され得、これは、ひいては、温度の測定誤差を低減させる。
図2Cは、マルチエコーGREパルスシーケンスを使用して入手される撮像スライスの完全に(または「全面的に」)サンプリングされたデータセットを描写する。描写されるように、各行は、1つのTR内で入手される、位相エンコーディングステップk
yと関連付けられ(および、平面に対して垂直であり、したがって、示されていない、k
xが、MR信号読出の数と関連付けられる)、加えて、複数のエコーNが、各TR内で入手され、各エコーE
i(i≦N)が、TE
iの時点において入手される。各撮像スライスが、N
1個の位相エンコーディングステップと、N
2回の読出とを含むと仮定して、スライスの完全にサンプリングされるデータセットは、N
1×N
2×N個のデータ点を含む。神経系に関する従来のMR熱走査では、TR=27ミリ秒およびN
1=128であり、したがって、これは、MR画像の単一のスライスを入手するために、最大3.5秒を要し得る。本走査率は、超音波手技を開始することに先立ってベースラインPRF位相画像を入手するためには許容可能であり得るが、これは、(概して、標的治療領域と一致する)超音波焦点における温度が迅速に上昇するときは、治療の進行を査定し、超音波手技の間にリアルタイムで標的領域を囲繞する組織への損傷を回避するためには、遅すぎる場合がある。本明細書における、用語「完全にサンプリングされるデータセット」は、完全にサンプリングされるデータセットだけではなく、そのために十分なデータセットが発生または推定され得る、アンダーサンプリングされるデータセットも指す。
【0042】
故に、
図2Cに描写される完全にサンプリングされたk空間データセットは、超音波手技に先立ってのみ入手され得、超音波手技の間、部分的な未加工のk空間データのみが、入手され、下記にさらに説明されるように、リアルタイムの(または少なくとも加速された)MR温度測定を提供する。
図3は、種々の実施形態による、加速されたMR温度測定への例示的アプローチ300を図示する。本方法は、着目超音波手技に先立って実施される予備ステップ、および手技の間に実行されるステップを含む。第1の予備ステップ302では、1つ以上のMRマルチエコーGREパルスシーケンスが、超音波治療または診断の開始に先立って、着目領域(例えば、治療領域)の入手された複数の完全にサンプリングされたk空間画像に対して順に発生され、各画像は、エコー時間TE
iにおいて受信される、エコーE
iに対応し、異なる画像が、同一または異なるMRコイル104を使用して入手されてもよい。第2の予備ステップ304では、各k空間画像が、逆フーリエ変換され、画像を再構築し、これは、次いで、ベースライン基準画像として利用されることができる。治療/診断の開始後、(ステップ306において)1つ以上のMRマルチエコーGREパルスシーケンスが、発生され、着目領域の複数の画像を入手してもよく、再び、各治療画像は、時間TE
iにおいて入手される、エコーE
iに対応する。1つの実装では、各治療画像は、ベースライン基準画像のものに対応する、エコー時間TE
iを有する。加えて、部分的な未加工のk空間データのみが、データ入手時間を短縮させ、それによって、着目領域(例えば、治療領域)内の組織状態(例えば、温度)のリアルタイムの監視を可能にするために、治療画像のエコーのうちの少なくとも1つにおいて入手される。(部分的な未加工のk空間データは、ステップ302において行われるように、k空間画像データ全体未満を取得するための「アンダーサンプリング」によって入手されてもよい。)例えば、
図2Cに示される完全にサンプリングされたk空間データでは、各TR内の各エコーが、k
yのN
1個の値の全てにおいてサンプリングされる。データをアンダーサンプリングするとき、全てのエコーが、各TRの間にサンプリングされるが、異なる位相エンコード値が、欠落している。例えば、
図4Aでは、全6個のエコーが、各TR内でサンプリングされるが、奇数のk
y値のみが、エコー402によってサンプリングされ、偶数のk
y値のみが、エコー408によってサンプリングされる。
図4Aのk
yエコーマトリクスは、半分空であるため、TRの数(および、したがって、走査時間)は、
図2Cに描写される、完全にサンプリングされたk
yエコーマトリクスと比較して、係数R=2だけ低減される。
【0043】
図4Bは、種々の実施形態による、k空間データをアンダーサンプリングするための別の例示的アプローチを描写する。描写されるように、各TR410内のN個のエコーが、それらが全て、異なる位相エンコード値を有し、異なるTE時間に対応するように、交互配置される様式において入手される。本アプローチは、したがって、さらに、データ入手時間を6倍短縮させる(例えば、18個の位相エンコード値を有する、3つのみのTRが、データを入手するために要求される)。
図4Cを参照すると、種々の実施形態では、G
y勾配ブリップのセットが、実装され、(
図4Bに描写されるように)1つのTRの中に複数の位相エンコード値を有する、エコーを入手する。示されるように、各勾配ブリップは、2つのエコーの入手時間の間に導入されてもよい。
【0044】
したがって、上記に説明されるアプローチを利用するMR走査は、撮像スライスのデータセット毎にN
1/R(Rは、撮像加速係数を表し、それぞれ、
図4Aおよび4Bの2および6に等しい)個のみの位相エンコード線の入手を要求し得、これは、R個のスライスが、3秒以内に入手されることを可能にし、事実上、繰り返し時間をTR×Rミリ秒まで増大させる。TR=27ミリ秒およびN
1=128である、神経系のための従来のMR熱走査では、
図4Bに描写されるようなk空間データをアンダーサンプリングするステップは、有利なこととして、MR画像の6個のスライスが、162ミリ秒のTRを伴って、3秒以内に入手されることを可能にし(各スライスは、21個の位相エンコード線を有する)、対照的に、従来のアプローチでは、1つのみのスライスが、3秒以内に入手され得る。加えて、上記に説明されるアンダーサンプリングアプローチを使用してTRを増大させることは、より低いT
1信号の飽和に起因して、身体組織(例えば、脳)からのMR信号の品質を有意に改良し得る。例えば、脳のMR信号のSNRは、(従来のMR走査における)27ミリ秒から(
図4Bの)162ミリ秒までTRを増大させることによって、1.9倍増大され得る。
【0045】
図4Aおよび4Bに図示されるような、各TR410内に複数のエコーを含む、k空間データ軌道が、例示的実施形態を表しているにすぎず、受信されたエコーの位相エンコード値およびTE時間を選択することによって確立された他の軌道が、ある加速率でMRデータを入手するために好適であり得、したがって、本発明の範囲内であることに留意されたい。例えば、
図4Dに描写される軌道が、いくつかの実施形態において使用されてもよい。代替として、各TR410内で入手されるN個のエコーは、無作為に選択されてもよい。加えて、各TR410内のデータ軌道は、別のTR410内のものと同一または異なってもよい。
【0046】
再び
図3を参照すると、種々の実施形態では、反復的推定プロシージャが、下記にさらに説明されるように、1つ以上の制約に基づいて、欠落しているk空間データを算出的に決定するために実装される(ステップ308)。
図5Aは、本明細書による、反復的推定プロシージャを実施するための例示的アプローチ500を描写する。例えば、第1のステップ502において、欠落しているk空間データは、同一のエコートレイン内の1つ以上のエコーから入手されたデータ(例えば、それらの平均)に基づいて、最初に推定されてもよい。加えて、または代替として、欠落しているk空間データは、同一のエコー時間TE
iにおけるエコーから入手されるが、異なるエコートレインまたは異なる治療画像内、および/またはベースライン画像内のものであるk空間データに基づいて、最初に推定されてもよい。いくつかの実施形態では、欠落しているk空間データは、1つ以上のゼロまたは任意の恣意的数で最初に充填されることができる。入手された(またはサンプリングされた)k空間データおよび推定されるデータは、次いで、k空間データK
treatment(k
y,k
x,echo)の完全(または全面的)なセットを形成し、これは、(ステップ504において)逆フーリエ変換され、治療画像X
treatment(y,x,echo)を再構成することができる。
【化1】
【0047】
いくつかの実施形態では、反復的推定プロシージャは、次いで、欠落しているk空間データを正確に推定するように、データセット上に1つ以上の制約を課す。一実施形態では、制約は、治療画像についての以前の知識に基づく。大きさρ
i(x,y)と、位相φ
i(x,y)とを有する、ベースライン画像上のピクセル(x,y)におけるエコーE
iの信号S
i,baselineは、以下のように表されることができる。
【化2】
温度が、治療の間に着目領域内で上昇する(ΔT)とき、治療画像のピクセル(x,y)におけるエコーE
iの信号S
i,treatmentは、以下のように表されることができる。
【化3】
式中、K=0.01ppm/℃である。したがって、治療画像と対応するベースライン画像との間のエコーE
iの位相差(すなわち、ΔΦ
i)は、エコーのエコー時間TE
iと正に(例えば、線形に)相関し得る。
【化4】
【0048】
故に、反復的推定プロシージャ500によって課される第1の制約は、エコー時間TE
iと、治療画像および対応するベースライン画像間の位相差との間の線形関係であり得る。再び
図5Aを参照すると、一実施形態では、反復的推定プロシージャは、治療画像の中のピクセルの新しい位相差が、エコー時間TEに対して線形であり、算出される位相差ΔΦ(x,y,echo)に可能な限り近接するように、(ステップ506において)最初に、ピクセル毎に、治療画像とその対応するベースライン画像との間の位相差ΔΦ(x,y,echo)を算出し、続いて、治療画像のピクセル(x,y)毎に、新しい位相差ΔΦ
newを推定する。
【化5】
式中、F
0およびF
1は、TEから独立した、2つの係数である。例えば、ベースライン画像と関連付けられるエコーEjの信号は、以下のように表されることができる。
【化6】
治療画像と関連付けられるエコーEjの信号は、以下のように表されることができる。
【化7】
したがって、場所(x,y)毎に、ベクトルd
jが、エコーE
j(j=1~N)に関して以下のように定義され得る。
【化8】
方程式(4)に基づいて、
【化9】
は、以下のように表されることができる。
【化10】
続いて、方程式(8)内のベクトルd
jに基づいて、N-1個の成分を伴うベクトルv
kを定義することができる。
【化11】
式中、ΔTEは、2つの隣接したエコー間のTEの増分を表す。方程式(10)内の位相は、kから独立しているため、F
1は、以下のように表されることができる。
【化12】
式中、
【化13】
は、4象限アークタンジェント演算子を表し、「mean」は、vの全ての成分にわたる平均値を表す。
加えて、ベクトルdおよび既知のF
1に基づいて、N個の成分を伴う別のベクトルuを定義することができる。uのj番目の成分u
jが、以下のように求められる。
【化14】
u
jの位相は、jから独立しているため、F
0は、以下のように表されることができる。
【化15】
方程式(11)および(12)に基づいて、2つの係数F
0およびF
1が、算出されることができる。下記にさらに説明されるように、F
0およびF
1の正確な値が、推定されるデータの合理的収束が達成された後、取得され得る。種々の実施形態では、対応するベースライン画像内の位相とともに、F
0およびF
1に基づいて推定される、新しい位相差が、次いで、(ステップ508において)ピクセル毎に治療画像の中のピクセルの位相を更新するために利用されてもよい。例えば、治療画像の中のエコーEjの信号は、以下のように更新され得る。
【化16】
【0049】
加えて、超音波手技から結果として生じる温度上昇が、主に、治療画像の中のピクセルの位相に影響を及ぼすため、反復的推定プロシージャは、(ステップ510において)治療画像の中の各ピクセルの大きさを、対応するベースライン画像の中のものと同一になるように設定する、第2の制約を課してもよい。
【化17】
加えて、または代替として、スピン密度ρ
treatmentが、(体温を20℃上回る温度までの加熱から結果として生じる、約25%のT1の延長に起因して)加熱の間にρ
baselineに対して10%~15%減少するという事実が、考慮されることができる。故に、方程式(13)内の治療の間のエコーjの信号は、以下のように記述されることができる。
【化18】
式中、A(1より小さい)は、信号振幅の本減少を表す、正の実数である。Aは、x、yに依存するが、エコー時間から独立している。方程式(6)および(14)、およびAが、全てのTEに関して同一であるという事実から、以下を結論付ける。
【化19】
式中、S
j,treatmentおよびS
j,bselineは、エコーjにおける治療信号およびベースライン信号であり、
【化20】
は、括弧の内側における、信号の大きさを表す。方程式(14a)内の「mean」は、Aが、全てのエコーおよびコイルに関して同一であるため、エコーおよびコイルの全てにわたる平均値である。各反復の間、方程式(14a)を使用してAを計算し、次いで、これを方程式(14b)の中に代入する。Aは、空間的にゆっくりと変動しつつあるため、標準的な全変動(TV)演算子が、これを平滑化させ、その正確度を改良するために使用されてもよい。方程式(14b)内の計算された信号S
j,treatmentが、
図5Aのステップ510において課される。反復の間、F
0、F
1、およびAは、補正値に収束する。代替として、または加えて、共鳴周波数を変化させる、加熱によって引き起こされる、化学的偏移の影響が、振幅変化に加えて、またはその代わりに、方程式(14b)に統合されることができる。加えて、または代替として、モデルは、ベースライン画像および治療画像の両方に関して、「水脂肪分離」の周知の技法を使用することによって、脂肪を考慮するように拡張されることができる。
【0050】
上記の制約が、課された後、反復的推定プロシージャは、(ステップ512において)フーリエ変換を更新された治療画像に適用し、更新されたk空間データセットを発生させてもよい。いくつかの実施形態では、反復的推定プロシージャは、(ステップ514において)最初に入手されたアンダーサンプリングされたk空間データによって、更新されたk空間データセットを置換する、第3の制約を課す。
【化21】
式中、K
sampは、種々の場所において最初に入手されたk空間データk
ysおよびk
xsを表す。したがって、ステップ514の後、k空間データセットは、エコーから入手されたデータ、および少なくとも部分的に、上記に説明されるようなエコー時間に基づいて推定されるデータを含む。ステップ514の後、k空間データは、(ステップ516において)逆フーリエ変換され、治療画像を再構築することができる。ステップ504-516は、欠落しているk空間データが適切に推定されていることを示す、終了条件(例えば、2つの連続する反復間の画像差が、所定の閾値を下回る、またはある回数の反復が、実施されている)が満たされるまで、反復的に実施されてもよい。したがって、上記に説明されるような繰り返しの代替様式で制約を課すことによって、欠落しているk空間データの適切な推定が、達成されることができる。いくつかの実施形態では、反復的推定プロシージャは、欠落しているk空間データを決定するように訓練される、畳み込みまたは再帰型ニューラルネットワークを使用してもよい(例えば、https://arxiv.org/pdf/1712.02862.pdf参照(参照することによって本明細書に組み込まれる))。
図5Bは、推定アプローチ500を使用した、反復間での画質の改良を描写する。
【0051】
再び
図5Aを参照すると、最初に入手されたアンダーサンプリングされたk空間データによって更新されたk空間データセットを置換するために、第3の制約が課された後、随意のステップ518が、実施され、好適なノイズフィルタリングアプローチを使用して、再構築された治療画像のSNRを改良してもよい。例えば、画像データセットX内の各場所(y,x)が、空間的に非常に相関される(これは、全てのエコーが同一の解剖学的構造に対応することを意味する)、N個(すなわち、エコーの数)の点を有するため、種々の実施形態では、ノイズフィルタリングアプローチは、空間的相関を活用し、治療画像のノイズレベルを低減させる、局所的に低ランクの(LLR)正則化を実装する。画像のSNRを改良するためのLLR正則化を使用するためのアプローチが、例えば、T. Zhang et al.による「Accelerating Parameter Mapping with a Locally Low Rank Constraint」Magnetic Resonance in Medicine, volume 73, 655-661 (2015)、およびJ.F. Cai et alによる「A Singular Value Thresholding Algorithm for Matrix Completion」SIAM Journal on Optimization, volume 20(4), 1956-1982 (2010)(その開示全体は、参照することによって本明細書に組み込まれる)等の学術刊行物に提供される。一実施形態では、ステップ518が、最後の5~10回の反復においてのみ実施される。典型的には、算出された温度のSNRが、LLR正則化を使用して、2倍改良され得る。加えて、または代替として、ウェーブレット変換が、ノイズフィルタリングのために使用されることができる。
【0052】
治療画像の中の各ピクセルの大きさを、対応するベースライン画像の中のものと同一であるように設定する、第2の制約が、いくつかの実施形態では、緩和され得ることに留意されたい。例えば、本制約は、最初の数回の反復(例えば、1~5回の反復)においてのみ課され得、推定されるデータの合理的収束が達成された後、本制約は、除去されてもよい(すなわち、ステップ510は、最初の数回の反復の後、スキップされてもよい)。したがって、治療画像の中のピクセルの大きさは、対応するベースライン基準画像の中のものに近接し得るが、必ずしもそれと同じであるわけではない。
【0053】
続いて、治療画像は、対応するベースライン画像に対して比較され、着目領域の温度マップを算出的に発生させ、それによって、超音波手技の間の温度変化のリアルタイムの監視を提供してもよい(ステップ310)。一実施形態では、温度マップは、加重関数W
iを使用して、エコートレイン内の各エコーE
iと関連付けられる、算出された温度変化ΔT
iに加重することによって発生される。上記に説明されるように、温度変化ΔT
iは、(エコー時間TE
iにおいて)エコーE
iから入手された画像とその対応するベースライン画像との間の位相差ΔΦ
iに基づいて算出され得る。
【化22】
各エコーと関連付けられる温度変化ΔT
iの加重された組み合わせが、次いで、治療画像と関連付けられる温度変化を決定するために算出され得る。
【化23】
ステップ306-310が、手技の間に着目領域を監視するために、超音波手技の全体を通して反復的に実施されてもよい。
【0054】
故に、本発明の種々の実施形態は、(例えば、マルチエコーGREパルスシーケンスの中の1つ以上のエコー内のk空間データをアンダーサンプリングすることによって)MR撮像率を効率的に向上させながら、(例えば、上記に説明される制約および反復的推定アプローチを使用して、欠落している(または入手されていない)k空間データを適切に決定することによって)超音波手技の間にリアルタイムで領域を監視するために十分な分解能を伴う画像を提供し得る。
【0055】
上記に与えられる実施例では、単一のスライスのみが、所与のTR内で励起される。故に、Rの加速度を伴う、3秒の総走査時間が、所望されるとき、TRの数は、R倍低減され、結果として、TRは、Rだけ増大する。例えば、上記に示されるように、TRは、R=6であるとき、27ミリ秒から142ミリ秒まで増大し、加えて、SNRは、約1.9増大する。種々の実施形態による代替アプローチが、各TRの間、全てのスライスを同時に励起する。RF励起の間、各スライスは、異なる位相によって励起され、RF波形は、各スライスを別個に励起するために要求される、波形の線形結合である。R個のスライスが、同時に励起される場合、それらは、相互に重複する。それらを分離するために、R個の波形が、印加され、R個のデータセットを入手してもよく、各スライスの位相は、公知の方法において波形間で線形に変化する。最後に、スライスは、R個のデータセットに対して逆フーリエ変換またはアダマール変換を適用することによって分離され得る。本場合では、27ミリ秒の短いTRが、R個の波形の全てを励起するために使用されてもよい。しかしながら、全てのスライスが、同時に励起されるため、SNRは、TR=27ミリ秒を伴う単一のスライスと比較して、
【化24】
だけ増大する。これは、大きいRに関して非常に有益である。例えば、R=8に関して、SNR利得は、
【化25】
である。
図6は、その間に周波数差Ω
0を有する、2つのRFパルスRF
1およびRF
2に適用し、その間にある位相差(例えば、π)が存在するように位相エンコードされる、2つのスライスを同時に入手するための、例示的アプローチを描写する。2つのMR信号S
n1およびS
n2を受信するステップに応じて、2つのスライスが、以下の方程式を使用することによって分離され得る。
スライス
1=(S
n1+S
n2)/2
スライス
2=(S
n1-S
n2)/2
【0056】
MR撮像率を加速させるために上記に説明されるアプローチを採用することは、有利なこととして、画像の空間分解を向上させながら、従来のMR走査アプローチと比較して温度測定毎により少ない数のスライスを入手し得る。例えば、R=6であるとき、それぞれが、256個の位相エンコーディングステップ(すなわち、N1=256)を有する、3つのMR撮像スライスを入手することが、可能であり得る。より多くの位相エンコーディングステップを有する画像が、次いで、128個の位相エンコーディングステップが使用される、従来のMR画像と比較して、より高い空間分解能を提供し得る。加えて、所望されるとき、上記に説明されるアプローチは、入手された画像の時間分解能を向上(すなわち、温度測定毎に要求される時間を短縮)させ得る。例えば、R=6であるとき、3つのスライスを有する撮像データセットを1.6秒で入手することが、可能であり得る。本入手率は、1つのスライスを有する撮像データセットを入手するために3秒が要求される、従来のアプローチと比較して、より迅速である。
【0057】
方程式(14a-14c)に記載されるアプローチは、拡張されることができる。一実施形態では、ベースライン画像が、場マップの変動または水の移動に起因して安定していない場合、いくつかのベースライン画像が、収集され、治療相が、ベースライン画像の線形結合と適合される。いくつかの実施形態では、本アプローチは、最小化されるべきconst関数として公式化されることができる。
【化26】
ここで、
【化27】
は、コイルnおよびエコーjに関してアンダーサンプリングされたデータであり、E
jは、エコーjに関するアンダーサンプリングされたエンコードパターンであり、Tは、実空間からk空間への変換演算子であり、xは、治療画像に対するベースラインピクセルに関してモデル化された、実空間内のピクセルであり、Reg(x)は、任意の以前の知識(Tikhonov、全変動、疎性等)に基づく正規化項である。
【0058】
そのようなモデルの一実施例は、ベースライン画像が、(例えば、水移動に起因して)安定しておらず、T2*のある弛緩が、加熱に応じて生じる(R2*=1/T2*である)場合である。本場合では、xは、以下のように算出されることができる。
【化28】
ρは、エコーjにおけるlベースラインの大きさであり、N
bは、ベースラインの数である。正則化項が、測定された空間場所(2Dまたは3Dのいずれか)を横断して、F
1および/またはF
0および/またはR
2
*および/または振幅Aに適用されることができる。LLR等の他の正規化項も、エコートレインに沿って実装されることができる。加えて、または代替として、LLRは、治療データとベースラインとの間の差異に適用されることができる。加えて、または代替として、時空間的相関が、時間的制約付き再構築(TCR)を使用して考慮されることができる。
【0059】
欠落しているk空間データに適応することに対する別のアプローチは、全結合層を含み得る、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)または他のニューラルネットワークアーキテクチャ、再帰型ニューラルネットワーク(RNN)、「ニューラルインニューラル」(NiN)ネットワーク、および他のもの等の訓練されたニューラルネットワークを使用することである。周知であるように、ニューラルネットワークは、ヒトの脳に類似する様式において情報を処理する。ニューラルネットワークは、具体的な問題を解決するように並行して稼働する、多数の非常に相互接続される処理要素(ニューロン)から構成される。ニューラルネットワークは、実施例によって学習し、具体的なタスクを実行するためにプログラムされることはできない。実施例は、慎重に選択されなければならず、そうでなければ、有用な時間が、浪費されるか、さらに悪いことには、ネットワークが、不正確に機能する場合がある。「教師あり学習」の原理に基づいて動作するニューラルネットワークは、標識された入力画像(標識は、例えば、分類等の出力に関連のある特性を規定する)を使用して訓練される。
【0060】
いくつかの実施形態では、ニューラルネットワークは、k空間内のエイリアス処理された画像からk空間内のアーチファクトのない画像へのマッピングを学習する。ネットワーク訓練のための1つの画像駆動型の方法では、損失関数Lは、正則化項、例えば、
【化29】
を含む。本場合では、nは、1または2のいずれかであり、正則化パラメータRe(x,θ)は、確率分布関数についての関連のある以前の知識から導出されることができる。一実施形態では、Tikhonov正則化が、データの平滑性に関して使用される。
【0061】
他の教師あり学習アプローチでは、エンコード演算子
【化30】
の知識が、k空間内の所与のデータから実空間内の
【化31】
を見出すために使用される。いくつかの実施形態では、アンダーサンプリングされたkデータのデータ一貫性が、損失関数のための付加的な項として考慮される。
【化32】
式中、
【化33】
は、実空間からk空間への変換である。DL温度測定では、遡及的ベースライン(bl)データk
blのデータ一貫性を考慮する、付加的な損失関数が、採用され得る。
【化34】
【0062】
k個の軌道を表す、エンコーダ演算子Ejはまた、ニューラルネットワークアーキテクチャ(NNA)内に自由パラメータを含むこともでき、学習されることができる。いくつかの実施形態では、異なるエコーのk空間データ軌道は、異なり得る。一実施形態では、物理的制約が、損失関数として勾配軌道に追加され、k個のサンプリング軌道が学習されることを可能にする。Ejによってサンプリングされるパターンが、渦巻状、半径方向、または他の幾何学的なパターン軌道から学習されながら、軌道を特徴付けるパラメータが、ニューラルネットワークによって学習されることを可能にすることができる。
【0063】
加えて、または代替として、実際のk個の軌道は、渦電流効果および/または付随する勾配効果のため、および/またはB0不均質性のためのパラメータを含む物理モデルに基づいて計算されることができる。ニューラルネットワークは、入力として、(B0場マップまたは事前走査勾配遅延測定値等の)事前走査データを受信することができる。完全にサンプリングされたベースライン軌道とともに、k個の軌道のための自動補正が、達成されることができる。一実施形態では、k個の軌道は、治療走査に先立って勾配波形を変動させることによって、補正される。加えて、または代替として、k個の軌道を補正するために使用されるニューラルネットワークは、NNA全体内に統合される。
【0064】
加えて、または代替として、別の物理的に駆動される損失関数、すなわち、エコー画像から構築され得る場マップパラメータが、使用されることができる。一実施形態では、方程式(16)に基づいて計算される、TMAP(ΔT)が、NNAから再構築される、
【化35】
に対して比較される、グランドトゥルースとして使用される。TMAPは、各ピクセルにおいて計算されたΔTを使用して取得される、実空間内の熱マップである。
【化36】
【0065】
一実施形態では、UNet CNNアーキテクチャが、採用される。Ncoilsによってアンダーサンプリングされたkデータが、Ncoilsベースラインkデータとともに、入力データとして使用されることができる。一実施形態では、ゼロ充填が、欠落しているk個のデータ点において設定される。非直交kサンプリングの場合では、グリッディングが、採用されることができる。次いで、kデータから実空間への逆フーリエ変換が、取得される。一実施形態では、CNNは、損失関数Limagが、CNNステップ内でアクティブであるが、CNNステップの間において、データの一貫性損失項Lus、Lblが、使用される場合、反復的に使用される。別の実施形態では、エンドツーエンドCNNが、直接、k空間からTMAPに進行することができる。訓練データは、多種多様な現実的特徴、すなわち、ファントム形状、磁場ドリフト、RF干渉、渦電流、異なる温度パターン、形状、サイズ、スケール、ベースラインと治療との間の移動、および他の特徴を考慮する、現実的かつ詳細なブロッホシミュレーションを使用して発生され得る。
【0066】
別の実施形態は、敵対的生成ネットワーク(GAN)を利用する。一実施形態では、生成ネットワーク損失関数は、L1およびまたはL2正則化を伴う、Limageである。敵対的ネットワークは、データ一貫性損失関数を使用してもよい。さらに別の実施形態は、(ベースライン相を含む)治療相の順次性質を前提として、再帰型ニューラルネットワークを使用する。
【0067】
Caffe、Keras、PyTorch、Theano、およびTensorFlowは、好適なニューラルネットワークプラットフォームである(設計選好に従って、実装されたシステムに対してクラウドベースまたはローカルであってもよい)。画像を伴うタスクに関して、CNNは、典型的には、NNA内の主要成分として好ましい。本明細書において提示されるCNNの使用法は、代表的であり、実際の実装は、代替ネットワークおよびNNAとの組み合わせも使用することもできる。CNNは、画像を入力として処理し、設計に応じて、分類または別の画像を出力してもよい。例えば、U-netアーキテクチャに基づくCNNネットワークが、入力データを画像に変えるために使用されることができる。CNNは、典型的には、特に、入力画像に対して動作し、出力を生産する、畳み込み層と、プーリング層とを含む。
【0068】
より一般的には、本発明の実施形態は、NNAを使用し、ベースラインkデータまたは複数のベースラインとして収集された、完全データの追加の有無にかかわらず、欠落データを伴う入力k空間画像から熱マップを発生させる、またはそれを識別する。1つのアプローチでは、訓練ライブラリは、ベースラインの欠落データと、完全データとを伴う一連のk空間画像を含み、標識は、対応する熱マップである。例えば、標識は、上記に説明されるように、訓練入力としての役割を果たす、欠落データを伴うk空間画像から発生されてもよい。
【0069】
本アプローチは、サブサンプルk空間から所望の熱マップまでの直接変換を利用する。別の実施形態では、熱マップは、間接的に2つのステップで生成され、すなわち、サブサンプリングされるk空間が、最初に、NNAを使用して複雑な画像(例えば、少なくとも2つのエコーからの画像)に変換され、結果として生じる画像が、次いで、従来のPRF技法を使用して熱マップを発生させるために使用される。サブサンプリングされたk空間からMRI画像を再構築するためにNNAを活用する第1のステップが、異なる技法を使用して遂行されてもよい。1つのアプローチでは、k空間は、(例えば、ゼロを欠落データに割り当てることによって)最初に完了され、除去するためにCNNが使用されるアーチファクトを呈するであろう、画像に再構築される。別のアプローチでは、NNAは、サブサンプリングされたk空間から直接画像を発生させる。加えて、または代替として、NNAは、入力として、少なくとも1つの準最適な熱マップ(例えば、アーチファクトを伴うマップ)を受入し、出力として、1つ以上の改良された熱マップ(ML_Map)を発生させるように訓練されることができる。いくつかの実施形態では、改良された熱マップは、(例えば、方程式11を
【化37】
と置換することによって)再構築された画像をさらに補正するために使用されることができる。
【0070】
本明細書に説明されるMR加速アプローチが、任意のマルチエコーMRパルスシーケンスに適用され得ること、およびアンダーサンプリングされたk空間データが、アンダーサンプリングが、マルチエコートレインのエコー内で行われる限り、任意の「増分された」寸法(例えば、位相エンコード寸法、渦巻状交互配置寸法、半径方向角度寸法等)に沿って収集され得ることに留意されたい。例えば、本明細書に説明されるMR加速アプローチは、2D MR撮像スライスを入手するために、マルチスライスのマルチエコーGREパルスシーケンスおよび/またはマルチ帯域のマルチエコーGREパルスシーケンス内で適用されてもよく、k空間軌道は、直交性、渦巻状、半径方向、または恣意的軌道であってもよい。例えば、
図7A-7Cを参照すると、k空間データは、各TR内の中に3つのエコー702-706を伴う渦巻状様式において入手され得る。加えて、各エコーは、3つのショットを含むが、それらのうちの1つのみ(例えば、それぞれ、エコー702、704、706内のショット712、714、716)が、入手され、他の2つのショットが、欠落している。上記に説明されるような欠落データの推定も、同様に、本走査アプローチに適用され得る。例えば、欠落ショットが、反復的推定アプローチを使用して、上記に説明される制約に基づいて、数値的に算出されてもよい。同様に、k空間データが、半径方向軌道を含む場合、アンダーサンプリングが、各エコー内の「アーム」の数を低減させるために実施されてもよい。続いて、制約とともに、反復的推定アプローチが、欠落アームを決定するために実装されてもよい。したがって、M個の走査ショットおよびN個のエコー(それによって、M×N個の総ショット)が、従来のアプローチにおいて、撮像スライスを入手するために要求されるが、本明細書に説明される加速されたMR撮像アプローチを使用することは、有利なこととして、係数、すなわち、Rだけショットの総数(すなわち、M×N/R)を低減させ得る。同一の構想が、同様に、走査ショットの数を低減させるために、マルチショットのマルチエコーのエコー平面撮像(EPI)においても使用され得る。
【0071】
いくつかの実施形態では、体積3D MR熱マップが、望ましい。本状況では、k空間データの3つの寸法が、入手され得、寸法のうちの2つ(例えば、間接的Zエンコード、渦巻状交互配置等)が、増分され得る。故に、いずれか一方または両方の2つの増分された寸法に沿ったデータが、上記に説明される加速されたMR撮像アプローチを使用して、アンダーサンプリングされ、推定されてもよい。例えば、治療に先立って、入手されたk空間データセットは、1つ以上の完全な3Dベースライン画像を含んでもよい。治療の間、入手されたk空間データセットは、各TR内の増分された寸法に沿った、異なる値に対応する、複数のショットを含んでもよく、加えて、異なるショットが、異なるTEにおいてサンプリングされてもよい。結果として、治療画像内の各ショットは、ある欠落データを有してもよい。再び、ベースラインと治療画像との間の主要な変化は、位相内にあるため、治療画像内の欠落データは、制約に基づいて上記に説明される、反復的アプローチを使用して推定されてもよい。加えて、3Dデータ入手は、直交入手、渦巻状入手、半径方向入手(例えば、https://onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1002/mrm.26862参照)、2Dの渦巻状平面をとの組み合わせにおける、半径方向入手(例えば、https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28643383およびhttps://onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1002/mrm.26862参照)、または恣意的軌道であってもよい。一実施形態では、恣意的軌道は、入手されたベースラインに基づいて定義される。
【0072】
さらに、本明細書に説明されるマルチエコーGREパルスシーケンスを加速させるための方法は、MR温度測定のみに限定されない。マルチエコーGREパルスシーケンスを使用する他の用途もまた、加速されたMRデータ入手アプローチから恩恵を享受し得る。一実施例は、高速場マップが、場の変化に応じて、またはマルチエコーGREパルスシーケンスを使用した磁化率強調撮像(SWI)の構築のために入手される、場マップの測定である。別の例示的用途は、位相と対照的に、エコー画像(例えば、f-MRIにおける微小出血検出、BOLDPSD)間のピクセルあたりの大きさのコントラストおよび信号減衰がアンダーサンプリングされ、推定される、T2
*の検査である。再び、これらの用途の全てにおいて、1つ以上の完全にサンプリングされたベースライン画像が、手技に先立って要求され得る。ベースライン画像が、治療画像に対して静的ではない場合、物理モデルが、変化を予測し、それによって、それを補償するための、最適化手技に統合されてもよい(例えば、方程式(18)参照)。
【0073】
いくつかの状況では、入手された信号のSNRが、上記に説明される制約を使用して欠落データの意味のある推定を提供するためには低すぎる場合がある。例えば、脳組織の微小出血を検出するとき、局所的な暗点が、エコートレイン画像に沿って出現し得(高速T2*)、結果として、これらの点におけるTEと位相差との間の線形関係が、低SNRに起因して測定されることができない。一実施形態では、加重マスクが、そこから結果として生じる信頼性を欠く制約が、再構築された画像に影響を及ぼさないように、暗点に対応するピクセルに適用されることができる。
【0074】
加えて、MRIシステムは、複数のMRIコイルを含んでもよく、各コイルは、標的領域からのMR信号の少なくとも一部を受信し得る。超音波手技に先立って、および/またはその間に入手されるk空間画像はそれぞれ、MRIコイルのうちの1つ以上のものと関連付けられてもよい。結果として、再構築された画像は、上記に説明されるような関連付けられたエコー時間および関連付けられたMRIコイルに基づき得る。一実施形態では、複数のコイルによって受信されたMR信号から抽出される情報が、融合されてもよく、融合された情報は、単一のMRコイルを使用して測定される情報と均等であり得る(または少なくともそれに類似し得る)。加えて、または代替として、各コイルによって受信されたMR信号は、上記に説明されるように処理され、画像を再構築する、および/または熱マップを発生させてもよい。複数のコイルと関連付けられる画像および/または熱マップは、次いで、例えば、加重平均を使用して収集され、標的領域の平均化された画像および/または熱マップを生成してもよい。
【0075】
一般に、k空間データをアンダーサンプリングするステップと、MRIシステムおよび/または超音波システムのコントローラ内に統合されているか、または別個の外部コントローラによって提供されるかどうかにかかわらず、上記に説明されるように、反復的推定アプローチを使用して欠落しているk空間データを算出的に決定するステップとを含む、加速されたMR撮像入手を実施するための機能性は、ハードウェア、ソフトウェア、または両方の組み合わせ内に実装される、1つ以上のモジュールに構造化されてもよい。機能が、1つ以上のソフトウェアプログラムとして提供される、実施形態に関して、プログラムは、PYTHON、FORTRAN、PASCAL、JAVA(登録商標)、C、C++、C#、BASIC、種々のスクリプト言語、および/またはHTML等のいくつかの高水準言語のいずれかで記述されてもよい。加えて、ソフトウェアは、標的コンピュータ(例えば、コントローラ)上に常駐するマイクロプロセッサを対象とするアセンブリ言語で実装されることができ、例えば、ソフトウェアは、これが、IBM PCまたはPCクローン上で起動するように構成される場合、Intel 80x86アセンブリ言語で実装されてもよい。ソフトウェアは、限定ではないが、フロッピー(登録商標)ディスク、ジャンプドライブ、ハードディスク、光ディスク、磁気テープ、PROM、EPROM、EEPROM、フィールドプログラマブルゲートアレイ、またはCD-ROMを含む、製造品上で具現化されてもよい。ハードウェア回路網を使用する実施形態は、例えば、1つ以上のFPGA、CPLD、またはASICプロセッサを使用して実装されてもよい。
【0076】
加えて、本明細書において広く使用される、用語「コントローラ」は、上記に説明されるような任意の機能性を実施するために利用される、必要なハードウェアコンポーネントおよび/またはソフトウェアモジュールの全てを含み、コントローラは、複数のハードウェアコンポーネントおよび/またはソフトウェアモジュールを含んでもよく、機能性は、異なるコンポーネントおよび/またはモジュールの間に分散されることができる。最後に、(上記に説明されるように)ベースラインの大きさの摂動が存在し、物理モデルが、想定されるとき、上記に説明される最適化アプローチが、同様に、ベースライン画像の調節も含み得る。
【0077】
本発明のある実施形態が、上記に説明される。しかしながら、本発明が、それらの実施形態に限定されず、むしろ、本明細書に明示的に説明されるものへの追加および修正もまた、本発明の範囲内に含まれることに明確に留意されたい。