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▶ カーディナルヘルス スウィツァーランド 515 ゲーエムベーハーの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-02
(45)【発行日】2022-12-12
(54)【発明の名称】ステント送達システム
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/966 20130101AFI20221205BHJP
【FI】
A61F2/966
【請求項の数】 11
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022019230
(22)【出願日】2022-02-10
(62)【分割の表示】P 2020522732の分割
【原出願日】2018-10-24
(65)【公開番号】P2022081485
(43)【公開日】2022-05-31
【審査請求日】2022-03-14
(31)【優先権主張番号】62/578,494
(32)【優先日】2017-10-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516349286
【氏名又は名称】カーディナルヘルス スウィツァーランド 515 ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(72)【発明者】
【氏名】フローマン、 ブルース
【審査官】田中 玲子
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-538618(JP,A)
【文献】特表2015-506760(JP,A)
【文献】国際公開第2016/173495(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0290066(US,A1)
【文献】独国特許出願公開第102005051469(DE,A1)
【文献】特開2016-140764(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0119800(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/966
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステント送達システムであって、
内側シャフト及び外側シースに結合され、前記内側シャフト及び外側シースは遠位端から近位端に向かって延びたカテーテル先端部と、
前記カテーテル先端部に隣接して配置され、遠位端で前記内側シャフトと前記外側シースとの間に閉じ込められた自己拡張ステントと
長手軸と交差する方向に経時的に印加される概して一定の力によって、前記遠位端に向けて前記長手軸に沿って概して一定の第一の距離変化率で前記外側シースを並進させ、前記自己拡張ステントの一部が体腔内に拡張されるようにするアクチュエータと
っ張ることにより、前記外側シースが、前記第一の距離変化率よりも大きい第二の距離変化率で前記遠位端から前記近位端に向けた方向に沿って前記内側シャフトに対して移動されるようにするフランジ部材と
前記外側シースに接続された第一ラックと、
前記第一ラックの一部を囲み、第一の端部から第二の端部まで長手軸に沿って延びたハウジングと
を含み、前記ハウジングは、
前記ハウジングに結合されたボタンであって、円弧に沿って前記ボタンが移動できるようにし、前記ボタンは前記長手軸に概して平行な側面部材を少なくとも画定し、前記側面部材は曲線に近似するスロットを有し、前記ボタンは前記長手軸に概して平行な少なくとも一つの側面部材を定義し、前記側面部材は、曲線に近似するスロットと、前記ボタン内に一部が配置されたシャトルとを有し、前記シャトルは、前記第一ラックの一部と嵌合するように構成された第二ラックを有し、前記シャトルは、前記シャトル及び前記スロットを通って延びるピンを有し、前記長手軸に向かう第一の方向への前記ボタンの動きが、前記シャトルのピンに対する前記ボタンのスロットの動きに起因し、前記第一ラックを前記長手軸に沿って前記第二の端部に向けて並進させるステント送達システム
【請求項2】
第三ラックが、前記シャトルに結合され、前記第三ラックが前記第一ラックと係合しているときに前記第一ラックの前記長手軸に沿って前記第一の端部に向かう動きを防止する請求項に記載のシステム
【請求項3】
ラチェットが、前記ハウジング内に配置され、前記長手軸に沿って前記第一の端部に向かう前記第一ラックの動きを防止する請求項に記載のシステム
【請求項4】
安全ピンが、前記ボタンと前記シャトルとの間に配置され、前記ボタンの作動を防止する請求項に記載のシステム
【請求項5】
第一の付勢部材が、前記ボタンに結合され、前記ボタンの第一の方向とは反対の方向に前記ボタンを付勢する請求項に記載のシステム
【請求項6】
第二の付勢部材が前記ボタンに結合され、前記ボタンの第一の方向に前記シャトルを付勢する請求項に記載のシステム
【請求項7】
前記ハウジングは、前記長手軸について概して対称である2つの半分を含む請求項に記載のシステム
【請求項8】
前記スロットは、スプラインを画定し、前記ボタンに経時的に印加された所定の量の力が前記第一ラックの経時的に概して一定の変位をもたらすようにする請求項に記載のシステム
【請求項9】
前記スプラインは、半径Rを有するα度の第一の円弧のそれぞれの半径上に配置された離散点によって画定され、各半径はβ度の第二の円弧によって区切られ、各点はα度の第一の円弧の円周から測定された距離dに配置され、dn=R-(X+n(0.2)(R))であり、nはゼロを含む正の整数の列を含み、Xは2mmから20mmまでの任意の値であり得る請求項に記載のシステム
【請求項10】
αは約12度を含み、βは約2度を含む請求項に記載のシステム
【請求項11】
半径Rは、約60mmである請求項10に記載のシステム
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権主張及び関連出願
本出願は、2017年10月29日に出願された米国仮特許出願第62/578,49
4号から、米国特許法第119条又はパリ条約に基づく優先権を主張しており、その内容
全体は、本明細書に完全に記載されているかのように参照により本明細書に組み込まれる
【背景技術】
【0002】
様々な身体の血管の疾患の治療のために、経皮的に送達される様々な血管内エンドプロ
テーゼを使用することはよく知られている。これらの種類のエンドプロテーゼは、概して
「ステント」と呼ばれている。(カバー付きステント又はステントグラフトを含む)ステ
ントは、ステンレス鋼、コバルトクロム、ニチノール、又は生分解性材料などの生体適合
性材料の概して長手方向に延びた管状デバイスであり、可撓性のフレームワークを画定す
るためにそこに切断された孔又はスロットを有し、バルーンカテーテルなどによって径方
向に拡張することができるか、又は生体血管内の材料の形状記憶特性のために交互に自己
拡張することができる。ステントは、通常、それぞれが円筒状の骨組みによって画定され
る一連の輪として構成される。骨組みは、通常、各組の支材の間に頂点を有する一連の支
材が交互に連続したものであり、隣接する輪の頂点に面する1つの輪の頂点が一緒に接続
されてもよいように構成されている。支材は、動けるように構成され、それによって、ス
テントが送達システム内に取り付けられるように、より小さい外径に圧縮又は「圧着」さ
れるように構成されている。
【0003】
送達システムは、ステントを治療のための所望の場所に搬送し、その後、ステントを所
定の位置に展開するために使用される。このようなステントの多くは、封じ込め、保護、
保管、及び最終的にカテーテルシステム内からの送達のために、より小さい初期サイズに
弾力的に圧縮されている。展開時に、ステントは、いくつかの実施の形態では、より大き
な展開サイズまで弾力的に自己展開してもよく、又はバルーンカテーテルのように機械的
に展開してもよい。
【0004】
デリバリーカテーテルシステムの成功例、この場合の自己拡張ステントは、2000年
2月1日に発行されたウィルソン(Wilson)らに対する「自己拡張ステントのための送達
デバイス」と題する米国特許第6,019,778号に記載されている。この特許の開示
は、参照により本出願に組み込まれ、概してウィルソンの図10の代表的な線図に示され
、同軸に配置された内側カテーテル部材及び外側カテーテル部材を含み、それぞれがその
近位端に固定されたハブを有する可撓性カテーテルシステムを開示している。外側シース
は、遠位端及び近位端を有する細長い管状部材として’778特許に記載されており、こ
の部材は、外側重合体層、内側重合体層、及びそれらの間の編組補強層から形成されてい
る。内側シャフト部材は、外側シース内に同軸に配置され、一般に外側シースの遠位端を
越えて遠位に延びる可撓性の先細り遠位端を有するものとして’778特許に記載されて
いる。内側シャフト部材はまた、外側シースの遠位端から近位に配置される停止部を含む
ように示されている。自己拡張ステントは、外側シース内に配置され、内側シャフト部材
上の停止部と外側シース遠位端部との間に配置されている。ステントを展開するために、
外側シースは、内側シャフト部材が所定の位置に保持されている間に、医師によって近位
方向に引き出される。
【0005】
公知の自己拡張ステント送達システムの異なる種類の追加の例は、1986年4月8日
にジャントゥルコ(Gianturco)に発行された米国特許第4,580,568号及び19
88年3月22日にウォルステン(Wallsten)らに発行された米国特許第4,732,1
52号に示されている。
【0006】
操作においては、これらの公知のステント送達システムは、一般に、カテーテルシステ
ム内のステントが治療のための所望の部位に位置するまで、所望の血管経路又は他の身体
通路に沿って患者の体内を進む。ビデオX線透視スクリーン上で狭窄に対するステント及
びカテーテルシステム構成要素の相対位置を見ながら、医師は、一方の手で内側シャフト
部材に取り付けられた近位ハブを固定位置に保持し、同時に他方の手で外側管状シースに
取り付けられた近位ハブを静かに引き抜く。
【0007】
いくつかの理由により、この展開操作は、ある程度の繊細な技能を必要とする場合があ
る。例えば、これらの理由の中には、治療のための所望の部位における動的な血流があり
、これは、治療されるべき病変又は狭窄の存在によってさらに乱される可能性がある。別
の要因は、外側シースが後退する際にステントが徐々に弾力的に膨張することである。こ
の徐々に起こる膨張は、逆「スイカの種」現象が起こりうる機会を提供する。この逆「ス
イカの種」現象は、弾力性のあるステントが、外側シースが漸進的に後退するにつれて変
化する傾向のある力によって、外側シースを近位方向に押し戻す傾向を引き起こす可能性
がある。
【0008】
その結果、医師は、解剖学的に接触するまでステントを非常に正確に位置決めしようと
しながら、この膨張力に抗して2つの近位ハブを特定の相対位置に正確に保持する必要が
あるかもしれない。展開されたステントの位置決めに影響を与える可能性の一つは、好ま
しくは、内側シャフトが所望の位置で静止した状態で保持されるべきであるということで
ある。インナーシャフトハブを保持する医師の手が展開中に不注意に動いた場合、ステン
トが最適でない位置に展開される可能性がある。
【0009】
別の考えられる要因は、内側及び外側カテーテルシャフト部材が、他の細長い物体と同
様に、無限の柱強度を有していないことであり、これは、各近位ハブの位置及び動きが、
内側及び外側シャフト部材のそれぞれの遠位端の位置及び動きとは異なる場合を提供する
可能性がある。さらに別の要因は、ステントの位置が、ステントの膨張部分の一部が身体
通路の側壁に接触する点まで調整され得るように、ステントの位置は、ステントの一部が
解剖学的に接触する直前まで慎重に調整されることが好ましいことである。
【0010】
公知のカテーテルシステムの中には、例えば、内側シャフト部材及び外側シャフト部材
のそれぞれに1つのハブを有するものなど、一対の独立したハブを有するものなど、両手
での操作を必要とするものがある。他の公知のカテーテルシステムは、付属のステントを
展開するための単一のトリガープルを含む単一の展開モードを有するピストル及びトリガ
ーグリップを含んでいる。
【発明の概要】
【0011】
出願人は、カテーテル先端部と、第一ラックと、ハウジングとを含むステント送達シス
テムを案出した。カテーテル先端部は、内側シャフト及び外側シースに結合され、内側シ
ャフトと外側シースとの間に配置されたステントを有している。内側シャフトと外側シー
スは、遠位端から近位端まで延びている。第一ラックは、外側シースに接続されている。
ハウジングは、第一ラックの一部を取り囲んでいる。ハウジングは、第一の端部から第二
の端部まで長手軸に沿って延びている。ハウジングは、ボタンとシャトルを含んでいる。
ボタンは、ハウジングに結合され、円弧に沿って移動が可能であり、ボタンは、長手軸に
概して平行な少なくとも側面部材を画定し、側面部材は、曲線に近似したスロットを有し
、シャトルは、一部がボタン内に配置されている。シャトルは、第一ラックの一部と嵌合
するように構成された第二ラックを有し、シャトルは、長手軸に向かうボタンの動きが、
シャトルのピンに対するボタンのスロットの動きに起因して第一ラックを長手軸に沿って
並進させるように、シャトル及びスロットを通って延びるピンを有している。
【0012】
さらなる実施の形態では、出願人は、外側シース、第一ラック、及びハウジングを含む
カテーテルシステムを案出した。外側シースは、遠位端から近位端まで延びている。第一
ラックは、外側シースに接続されている。ハウジングは、第一ラックの一部を囲んでいる
。ハウジングは、第一の端部から第二の端部まで長手軸に沿って延び、ハウジングに結合
されたボタンを含み、ボタンは、円弧に沿って移動できる。ボタンは、長手軸に概して平
行な少なくとも側面部材を画定している。側面部材は、曲線に近似したスロットと、ボタ
ン内に部分的に配置されたシャトルとを有し、シャトルは、第一ラックの一部と嵌合する
ように構成された第二ラックを有し、シャトルは、長手軸に向かうボタンの第一の方向へ
の動きが、シャトルのピンに対するボタンのスロットの動きに起因し、第一ラックを長手
軸に沿って第二の端部に向かって並進させるように、シャトル及びスロットを通って延び
るピンを有する第一ラックの一部と嵌合するように構成された第二ラックを有している。
【0013】
体内血管内の選択された位置に自己拡張ステントを送達する方法は、体腔内の選択され
た位置にステントを移動させ、ステントは、カテーテル先端部に隣接して配置され、送達
システムの遠位端において内側シャフトと外側シースとの間に閉じ込められていることと
、長手軸と交差する方向のアクチュエータに経時的に概して一定の力を印加し、送達シス
テムの遠位端に向かって、長手軸に沿った概して一定の第一の距離変化率で外側シースを
長手軸に沿って併進させ、自己拡張ステントの一部が体腔内に拡張されるようにすること
と、フランジ部材を引っ張り、第一の距離変化率よりも大きい第二の距離変化率で送達シ
ステムの遠位端から近位端に向かう方向に沿って内側シャフトに対して外側シースを相対
的に移動させることによって達成され得る。
【0014】
上述した各実施の形態では、以下の特徴を、各実施の形態での様々な順列で利用するこ
とができる。例えば、第一ラックは、ハウジングの第二の端部にフランジ付きタブを含み
、ボタンは、ハウジング内のピボットに取り付けられ、円弧状移動ができるようにされ、
第三ラックは、シャトルに結合され、第三ラックが第一ラックと係合しているときに第一
の端部に向かう長手軸に沿った第一ラックの移動が防止される。ラチェットは、ハウジン
グ内に配置され、第一の端部に向けて長手軸に沿って第一のラックが移動するのを防止し
、安全ピンは、ボタンとシャトルとの間に配置され、ボタンの作動を防止し、第一の付勢
部材は、ボタンに結合され、ボタンを第一の方向と反対の方向に付勢し、第二の付勢部材
は、ボタンに結合され、ボタンを第一の方向と反対の方向に付勢し、第二の付勢部材は、
シャトルに結合され、シャトルをボタンの第一の方向に付勢し、ハウジングは、長手軸に
対して概して対称である2つの半分を含んでもよく、スロットは、スプラインを画定し、
ボタンに経時的に印加される所定の量の力が、一時ラックに経時的に概して一定の変位を
もたらすようにしている。同様に、スプラインは、半径Rを有するα度の第一の円弧のそ
れぞれの半径上に配置された離散点によって画定され、各半径はβ度の第二の円弧によっ
て区切られ、各点は、第一の円弧の円周から測定された距離dに配置され、d=R-(
X+n(0.2)(R))であり、nはゼロを含む正の整数の列であってもよく、Xは2
mmから20mmまでの任意の値を含み得る。例えば、αは約12度であってもよく、β
は約2度であってもよく、半径Rは約60mmであってもよい。
【0015】
これら及び他の実施の形態、特徴及び利点は、最初に簡単に説明した添付の図面と併せ
て本発明の例示的な実施の形態の以下のより詳細な説明を参照すると、当業者には明らか
になるであろう。さらに、これらの例示的な実施の形態、特徴及び利点は、本願又は追加
の特許出願において主張され得ることが意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0016】
本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成する添付の図面は、本発明の現在の好ま
しい実施の形態を図示し、上記の概略的な説明及び下記の詳細な説明とともに、本発明の
特徴(類似の数字は類似の要素を表している)の説明を果たしている。
【0017】
図1図1は、実施の形態に従うハンドルの斜視図を示している。
図2A図2Aは、初期状態における図1のハンドルの実施の形態の切断側面図を示している。
図2B図2Bは、最終状態における図1のハンドルの実施の形態の切断側面図を示している。
図2C図2Cは、図1に従ったハンドルの典型的な経時的な印加された力を示している。
図2D図2Dは、図1に従ったハンドルの経時的な移動距離の結果を示している。
図3A図3Aは、図1のハンドルの動作の拡大図を示している。
図3B図3Bは、図1のハンドルの動作の拡大図を示している。
図3C図3Cは、図1のハンドルの動作の拡大図を示している。
図3D図3Dは、図1のハンドルの動作の拡大図を示している。
図4A図4Aは、図1図3Dの原理を用いて図1のハンドルのさらに別の実施の形態を図示している。
図4B図4Bは、図1図3Dの原理を用いて図1のハンドルのさらに別の実施の形態を図示している。
図5図5は、図1図3Dの原理によるハンドルの拡大斜視図を図示している。
図6図6は、図3A図3Dの実施の形態の断面の拡大平面図を示している。
図7図7は、本明細書に記載され図示された実施の形態におけるピンの経路を画定するスプラインを図示している。
図8A図8Aは、実施の形態に従ったシステムの動作を示している。
図8B図8Bは、実施の形態に従ったシステムの動作を示している。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下の詳細な説明は、図面を参照して読まれるべきであり、異なる図面中の同様の要素
には同一の番号が付けられている。図面は、必ずしも定縮尺ではないが、選択された実施
の形態を描写しており、本発明の範囲を限定することを意図していない。詳細な説明は、
本発明の原理を例示するものであり、限定するものではない。本明細書は、当技術分野に
熟練した者が本発明を製造し、使用することを明確に可能にし、本発明を実施するための
最良の態様であると現在考えられているものを含めて、本発明のいくつかの実施の形態、
適応、変形、代替、及び使用を説明する。
【0019】
本明細書で使用されるように、任意の数値又は範囲の用語「約」は、本明細書に記載さ
れるように、構成要素の一部又は集合体がその意図された目的のために機能することを可
能にする適切な寸法公差を示している。より具体的には、「約」は、言及された値の±1
0%の範囲を指してもよく、例えば、「約90%」は、81%から99%までの値の範囲
を指してもよい。さらに、本明細書で使用されるように、用語「患者」、「ホスト」、「
使用者」、及び「被験体」は、任意のヒト又は動物の被験体を指し、ヒト患者における本
発明の被験体の使用は好ましい実施の形態を表すが、システム又は方法をヒトの使用に限
定することを意図していない。用語「ステント」は、適切な材料(例えば、ステントグラ
フト)で覆われているものと同様に、覆われていない骨組みを包含することが意図される
。用語「近位」は、操作者に近い位置を表すために使用され、「遠位」は、操作者又は医
療提供者から離れた位置を表すために使用される。
【0020】
同様の数字が図面全体を通して同じ要素を示す図を参照すると、図1には、ハウジング
100を画定するハンドルの形態の送達システム10の一部分が示されている。ハウジン
グ100は、長手軸Ld-Lpに沿って近位端から遠位端まで延びている。ハウジング1
00は、長手軸Ld-Lpの一部に沿って延びるスロット101を提供している。外側シ
ース108は、ハウジング100内に、かつハウジング100を貫通して配置されたスラ
イダーラック104に結合されることにより、長手軸線Ld-Lpに沿って移動するよう
に構成されている。スライダーラック104は、ラック104全体が非常に迅速に近位端
に向かって引っ張られることができるように、フランジ付きスライダータブ105に取り
付けられている。ルアーフィッティング102が近位端Lpに設けられている。押しボタ
ン106は、ステントの展開中にシース108のゆっくりとした引き込みを可能にするた
めに、操作者の指、好ましくは親指によって作動させることができる。
【0021】
図2Aは、ハンドル100の内部機構を断面平面図で示している。特に、図2Aは、ハ
ンドル100の初期状態における押しボタン106の位置を図示し、図2Bは、押しボタ
ン106が完全に作動したとき、又は押し下げられたときの押しボタン106のスライダ
ーラック104に対する位置を図示している。
【0022】
図3Aを参照すると、ボタン106が軸Ld-Lpに対して下向きの方向(矢印)に移
動するように、ボタン106に力(矢印)を印加することができる。ボタン106は、ボ
タン106が長手軸に向かって(又は長手軸Ld-Lpと交差する方向に)円弧状に移動
することを可能にするように、ピボットポイント112(図1に示す)に取り付けられて
いる。シャトル116は、一部がボタンハウジング106の内部に配置されている。シャ
トル116にはピン118が取り付けられている。ボタン106は、スロット114を有
し、ピン118は、軸Ld-Lpと相対的に平行であってもよいボタン106の側面部材
内などのように、移動のために取り付けられている。図3Bの長手軸に向かってボタン1
06を動かすために力が印加されると、ピン118は、スロット114によってその動き
が拘束されて長手軸に沿って直線的に並進する。ピン118は第二ラック120に連結さ
れるため、第二ラック120は、ここでは図3Cに示されているように、移動することに
なる。第二ラック120の動きは、第一ラック104と第二ラック120との間の歯(又
は爪)の結合のために、第一ラック104も動くようにする。留意すべきは、本明細書に
記載された実施の形態によって、経時的に印加される概して一定の力(すなわち、図2C
における一定の力の変化率)に経時的に概して一定の移動距離(すなわち、図2Dにおけ
る距離の変化率)を提供することを可能にすることである。ひとたび力が解放されると、
付勢部材(他の場所に示されている)は、ボタンが初期状態に戻ることを可能にするとと
もに、シャトル116の一部としての第三ラック122が、第一ラック104の遠位端に
向かう移動を防止するために、第一ラック104に係合することを可能にする。ラチェッ
ト(別の場所に示されている)もまた、第三ラック122の代わりに、又は第三ラック1
22に加えて利用することができ、遠位端に向かっての外側シース108のこの逆方向の
動きを防止する。
【0023】
図4A及び4Bは、送達システム10において使用可能なカテーテルハンドルデバイス
のさらに別の変形例100’を図示している。特に、図4Aは、より人間工学的なデザイ
ンの安全ロック140を備えたハンドルの全部を図示している。先に図示された共通の構
成要素(同じ参照番号で参照される)に加えて、図4Bの分解図は、ピボット開口106
aを介してハウジング100’に接続されたボタン106を収容する2部分のハウジング
(100a、100b)を示し、ピン106bは、ハウジング100a、100bを介し
て挿入され支持され得る。図5及び図6にも示されているように、ラチェット130が設
けられ、第一ラック104が遠位に移動するのを防止している。ねじりばね132は、ラ
ック104と係合するようにシャトル116を付勢するためにハウジング内に配置されて
いる。ねじりばね104は、ハウジング内に配置され、アクチュエータ106を初期位置
に向けて付勢している。実施の形態100と同様に、スロット114は、例えば、直線状
、曲線状、又は円弧状などの任意の形状に構成することができる。本明細書において図示
され、説明された実施の形態では、出願人は、アクチュエータ106に印加される力の一
定の率に対するシースの引き込みにおける距離の一定の変化率を達成するためにシステム
10を案出した。このことを達成するために、スプラインS(図7)が導出された。
【0024】
図7に示すように、ピン118の経路(すなわち、スロット114)が従わなければな
らないスプラインSは、半径Rを有するα度の第一の円弧Cのそれぞれの半径(R0,R
1,R2,...R6)上に位置する離散点(p0,p1,p2,p3,...p6)に
よって画定され、各半径はβ度の第二の円弧によって分離され、各点はα度の第一の円弧
Cの円周から測定された距離dnに配置され、dn=R(X+n×(0.2)×(R))
であり、nはゼロを含む正の整数の列を含み、Xは2mmから20mmまでの任意の値で
あり、αは5度から45度までであり得、βは1度から10度までであり得る。本明細書
に記載され図示された例では、Rは約60mmであり、Xは約10mmであり、d0は約
10mmであり、d1は約11.05mmであり、d2は約12.1mmであり、d3は
約13.2mmであり、d4は約14.2mmであり、d5は約15.3mmであり、d
6は約16.3mmであり、一方、αは約12度であり、βは約2度である。これは一例
に過ぎず、出願人によって案出された変数R、X、n、α及びβの経験的技術及び範囲を
使用して他の多くの例を導き出すことができることに留意すべきである。
【0025】
図8A及び図8Bに模式的に示されているような操作において、医療デバイス送達シス
テム10の遠位端は、身体通路300を介して患者に導かれることが好ましい。医療デバ
イス送達システム10は、遠位端90が治療のために身体通路300内の所望の位置にあ
るまで、ガイドワイヤ(図示せず)に沿って、又は以前に配置されたガイドカテーテル(
図示せず)を通って移動することが好ましい。図8Bに示すように、遠位先端部90は、
病変又は狭窄部302の部位を横切ることが好ましい。デバイスが適切に初期位置にある
とき(図8A)、医師は、ハンドルの安全ロック140を解放するか、又は取り外す(感
嘆のために示されていない)。ロックは、一度だけ解除可能であってもよく、又は、繰り
返し係合及び解除可能であってもよい。このようなロック機構は、包装、滅菌、出荷、保
管、取り扱い及び準備中のステント送達システム構成要素の不注意又は偶発的な動き又は
引き込みに抵抗することが好ましい。
【0026】
ロックが解除された後、アクチュエータ106は、外側シース108が操作者に向けて
引き込まれるように押されることができる。外側シース108に結合されたアクチュエー
タ106の使用によって、外側シース108をわずかに引き戻すための正確かつ敏感な調
整が可能になる。この小さな動きは、図8Aに示すように、医療デバイス、この場合はス
テント200の小部分を露出させる。この構成では、ハンドル100は、外側シース10
8を内側ワイヤSOに対して相対的な位置に保持し、ステント200のさらなる不注意な
膨張に抵抗する。その後、医師は、図8Aに図示されているように、医療デバイス及び送
達システムの所望の部位内での位置を選択的に最適化するための任意の最終調整を行う時
間及び手順の柔軟性を有する。ステント200の任意の部分がさらなる位置調整を阻害す
る可能性のある方法で身体通路または容器300に接触する前に、ステント200の位置
をこのように正確に調整することが好ましい。
【0027】
医師が、透視X線ビデオスクリーン上に表示されるような位置調整に満足すると、医師
は、図8Bに示されるように、アクチュエータ106を回転させて、外側シース108を
さらに引き抜くことを継続してもよい。
【0028】
ステント200が血管壁に最初に接触したとき、又はステント200が独立してその位
置を保持するのに十分に拡張されたとき、又は任意の所望のポイントで、医師は、単にフ
ランジ105を把持してスライダーラック104を遠位方向に引っ張ってもよい。外側シ
ース108を引き出すこの第二の態様は、医師が望むどのような速度でも、医療デバイス
を迅速に展開するための比較的大規模で迅速な移動を可能にする。
【0029】
本発明の構成要素には、望ましい性能特性を有する任意の材料を含む様々な材料が選択
され得る。図面に示された特定の実施の形態では、内側及び外側シャフト部材、ストレイ
ンリリーフ及び遠位先端部は、様々な種類のポリマーを含む任意の生体適合性及び適切に
柔軟でありながら十分に強い材料で作られていてもよい。そのような材料のための可能な
選択は、ナイロン又はポリアミド、ポリイミド、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリエー
テル、ポリエステルなどを含む。代替的には、内側及び/又は外側シャフト部材の一部又
は全部が、例えばステンレス鋼又はニチノールハイポチューブなどの可撓性金属で形成さ
れていてもよい。ステント200は、例えばステンレス鋼、白金、タングステンなどを含
む、強度と剛性を有する任意の生体適合性材料で形成されることが好ましい。本発明のハ
ンドルの構成要素は、例えば柔軟性のないポリカーボネート、又は一部の金属構成要素を
含む、強度と剛性を有する任意の材料で作られることが好ましい。さらに、内側シャフト
部材の遠位先端部は、ガイドワイヤを受けるように適合された貫通ルーメンを備えること
が好ましい。
【0030】
いうまでもなく、多くの異なる変形例が本発明の範囲内に含まれる。これらの変形例又
は代替実施の形態のいくつかは、特許請求の範囲内のサイズ、材料、及びデザインの任意
の可能な配置を含んでいる。
【0031】
本明細書に提供される開示の態様により、体腔内の選択された位置にステントを移動さ
せる方法が提供される。ステントは、カテーテル先端部に隣接して配置され、送達システ
ムの遠位端において内側シャフトと外側シースとの間に閉じ込められている。方法は、ア
クチュエータに長手軸と交差する方向に経時的に概して一定の力を加え、外側シースを送
達システムの遠位端に向けて長手軸に沿って概して一定の第一の距離変化率で並進させて
、自己拡張ステントの一部が体腔内に拡張されることを可能にし、次いで、ステントの所
望の位置決めの後にフランジ部材を引っ張り、外側シースが内側シャフトに対して第一の
距離変化率よりも大きい第二の距離変化率で送達システムの遠位端から近位端に向かう方
向に沿って動かされるようにすることを含んでいる。
【0032】
本発明を特定の変形例及び例示的な図を用いて説明してきたが、当技術分野の通常の熟
練者は、本発明が記載された変形例又は図に限定されないことを認識するであろう。さら
に、上述した方法及びステップが、特定の順序で発生する特定の事象を示す場合、特定の
ステップは、記載された順序で実行される必要はなく、ステップが意図された目的のため
に実施の形態が機能することを可能にする限り、任意の順序で実行されることが意図され
ている。したがって、開示の精神の範囲内にある、又は特許請求の範囲に見出された発明
と同等の発明の変形例がある限り、本特許はそれらの変形例もカバーすることが意図され
ている。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図3A
図3B
図3C
図3D
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8A
図8B