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特許7187731IPMモータのロータを形成するためのリリーフ・フィーチャを備えた回転パンチ
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  • 特許-IPMモータのロータを形成するためのリリーフ・フィーチャを備えた回転パンチ 図1
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  • 特許-IPMモータのロータを形成するためのリリーフ・フィーチャを備えた回転パンチ 図8
  • 特許-IPMモータのロータを形成するためのリリーフ・フィーチャを備えた回転パンチ 図9
  • 特許-IPMモータのロータを形成するためのリリーフ・フィーチャを備えた回転パンチ 図10
  • 特許-IPMモータのロータを形成するためのリリーフ・フィーチャを備えた回転パンチ 図11
  • 特許-IPMモータのロータを形成するためのリリーフ・フィーチャを備えた回転パンチ 図12
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-02
(45)【発行日】2022-12-12
(54)【発明の名称】IPMモータのロータを形成するためのリリーフ・フィーチャを備えた回転パンチ
(51)【国際特許分類】
   H02K 15/02 20060101AFI20221205BHJP
   H02K 1/28 20060101ALI20221205BHJP
【FI】
H02K15/02 K
H02K1/28 A
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2022507563
(86)(22)【出願日】2021-05-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-11
(86)【国際出願番号】 US2021030897
(87)【国際公開番号】W WO2022086591
(87)【国際公開日】2022-04-28
【審査請求日】2022-02-04
(31)【優先権主張番号】17/075,407
(32)【優先日】2020-10-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】513104398
【氏名又は名称】テンぺル スチール カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ベンダー、マーク ディー.
【審査官】宮崎 賢司
(56)【参考文献】
【文献】特開平9-182387(JP,A)
【文献】特開2014-236592(JP,A)
【文献】特開2004-274826(JP,A)
【文献】特開2012-135107(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2010-0007615(KR,A)
【文献】中国特許出願公開第109378947(CN,A)
【文献】国際公開第2018/051631(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 15/02
H02K 1/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロータ又はステータ・コアを形成するための方法であって、
軽量部である第1の縁部と重量部である第2の縁部とである反対縁部を有し、且つ前記第1の縁部と前記第2の縁部との間に延びる配向線を有する電磁鋼板を提供するステップと、
前記電磁鋼板の内径領域のまわりに配置され且つ円周方向に互いから間隔が置かれた複数のキー・パンチを提供するステップと、
前記電磁鋼板から前記内径領域を取り除くための内径パンチを提供するステップであって、前記内径パンチは、第1のリリーフ領域を有する、ステップと、
前記複数のキー・パンチのうちの第1のキー・パンチを作動させるステップであって、それにより前記電磁鋼板を切断して一部分を取り除き、複数のキー回転角度のうち、前記配向線から第1のキー回転角度で配置された第1のキーを形成するステップと、
前記第1のリリーフ領域を前記第1のキー上に位置決めして、前記内径パンチで前記電磁鋼板をパンチングするステップであって、それにより前記電磁鋼板材料から前記内径領域を取り除き、前記第1のキーを有する第1のラミネーションを形成するステップと、
前記キー・パンチング・ステップ及び前記内径パンチング・ステップを繰り返して、第1の複数の前記第1のラミネーションを形成するステップと、
前記第1の複数の前記第1のラミネーションをラミネーションの第1のスタックへとスタックするステップと、
前記複数のキー・パンチのうちの第2のキー・パンチを作動させるステップであって、それにより前記電磁鋼板を切断して、前記複数のキー回転角度のうち、前記第1のキー回転角度と異なる第2のキー回転角度で配置された第2のキーを形成するステップと、
前記第1のリリーフ領域を前記第2のキー上に位置決めして、前記内径パンチで前記電磁鋼板をパンチングするステップであって、それにより前記電磁鋼板材料から前記内径領域を取り除き、前記第2のキーを有する第2のラミネーションを形成するステップと、
前記キー・パンチング・ステップ及び前記内径パンチング・ステップを繰り返して、第2の複数の前記第2のラミネーションを形成するステップと、
前記第2の複数の前記第2のラミネーションをスタックして、ラミネーションの第2のスタックを形成するステップと、
回転軸、外面及び長さ寸法を有する略円柱状の壁を有するシャフトを提供するステップであって、第1のキー溝が、前記外面に提供され、且つ前記長さ寸法の一部に沿って軸方向に延びている、ステップと、
前記第1のキーが前記第1のキー溝の内側にあるように、ラミネーションの前記第1のスタックを前記シャフト上に取り付けるステップと、
前記第2のキーが前記第1のキー溝の内側にあるように、前記第2のスタックを前記シャフト上に取り付けるステップと
を含む方法。
【請求項2】
前記第1のキーに整列するように前記リリーフ領域を回転させるための、前記内径パンチに接続されたモータをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記複数のキー・パンチの各キー・パンチは、2つのキーを形成するための、180°の間隔で離れた2つのパンチを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1のキー溝から180°の間隔が置かれた前記シャフト上の第2のキー溝をさらに有する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第1のリリーフ領域から180°の間隔が置かれた第2のリリーフ領域をさらに有する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記電磁鋼板の外径領域の円周のまわりに間隔が置かれた複数の磁石スロットを形成するための外径パンチを提供するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
永久磁石を、前記複数のスロットの各々内に挿入するステップをさらに含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記第1のリリーフ領域を前記第1のキー上に位置決めする前記ステップが、サーボ・モータにより行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記第1のキー回転角度及び前記第2のキー回転角度が、0.5度から3度までの分離角度だけ異なっている、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記複数の磁石スロットは、隣接する磁石スロットの対を複数有し、前記複数のキーの各キーは、磁石スロットの各対の間に位置する、請求項6に記載の方法。
【請求項11】
前記複数のキー回転角度の各々は、5度から45度までの範囲内である、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記固有のキー回転角度が、20度から30度までの範囲内である、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記磁石スロットは、略V字形である、請求項6に記載の方法。
【請求項14】
前記磁石スロットは、略長方形である、請求項6に記載の方法。
【請求項15】
前記電磁鋼板を切断するように前記複数のキー・パンチのうちの第1のキー・パンチを作動させる前記ステップは、カム作動される、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記第1のリリーフ領域を前記第1のキー上に位置決めする前記ステップは、前記内径パンチを回転させる前記ステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記内径パンチを回転させる前記ステップは、モータを有する、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記モータは、サーボ・モータである、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
型及びストリッパをさらに有し、前記型は、前記電磁鋼板の反対側で、前記内径パンチの下に位置決めされる、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記第1のリリーフ領域を前記第1のキー上に位置決めする前記ステップは、前記型及び前記ストリッパが静止したままである間に前記内径パンチを回転させるステップを含む、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本発明は、2020年10月20日に出願された米国特許出願第17/075407号の優先権及びその利益を主張するものであり、その内容が本明細書に参照により組み込まれ、本明細書の一部を構成する。
【0002】
(連邦政府が資金提供する研究又は開発)
非適用
【0003】
本発明は、電磁鋼のブランク・ラミネートを形成するためのリリーフ・フィーチャを備えた回転パンチ、ラミネートをスタックし、接続することによって形成されるロータ・コア、埋込磁石型(IPM:Interior Permanent Magnet)モータ用のロータ・コアを形成する方法を提供する。
【背景技術】
【0004】
電気モータは、さまざまな形状及びサイズで登場し、広く使用され、工業的、商業的及び住居の生活のあらゆる側面に影響を与える。モータは、通常、電気エネルギーを回転エネルギー又は回転力に変換するために用いられる。1つのタイプのモータは、磁石埋込型(IPM)モータとして知られている。IPMモータは、同期交流(AC:Alternating Current)タイプである。IPMモータのロータ・コアは、ロータのまわりに円周方向に等しく間隔が置かれた複数の永久磁石を有する。磁石は、長さ、幅及び高さ寸法を有し、長さ寸法は、回転中心軸の半径方向に延在し、高さ寸法は、回転軸に平行な線に沿って延在する。各ラミネーションが、磁石の断面形状に整合するパンチ・アウトされた部分を有し、ラミネーションがスタックされると、パンチ・アウトされた部分は整列され、磁石を受け入れ、固定するためのスロットを形成する。
【0005】
ロータ・コアは、電磁鋼ストリップからラミネーションをパンチングし、ラミネーションをラミネーション・パケットにスタックすることによって形成される。電磁鋼の厚さのわずかな変化は、これらのパケットにおいて合計され、アンバランスなパケットを作成する。一般的に、ロータ・コアは、パケットが取り付けられ、固定されるパワー・シャフトの対応するキー溝を係合するための2つの統合されたキーを有する。これは、ブランキング・ステーションにおいて個々のラミネーションを回転させ、これらの材料厚さの変化の向きを揃えないことが望ましい場合、回転角度は180°でなければならないということを決定づける。大きい部分180°にインデックスを付けることは、小さいインデックス角度又はインデックス角度なしでインデックスを付けるときと比較されるとき、結果として、より遅いプレス速度になる。
【0006】
図1に示すように、最初にいくつかのラミネーションをパンチし、個々のラミネーションを回転させずにサブ・パケットにスタックすることによって、材料厚さの変化に起因する重量アンバランスに対処することが一般的である。図4A~Dに示すように、磁気スロットと比較してキー回転角度を変化させることによって、回転が達成される。これは、重量アンバランスを円周のまわりに等しく広げ、回転重量バランスを達成する。加えて、それは、完成したモータのコギング・トルクを減少するのを助ける。
【0007】
回転されるキー・フィーチャ(feature)を生成する順送型(プログレ型)は、現在、統合されたキー・ステーションにおいて手動で回転する内径(ID:Inner Diameter)又はサーボ・モータ(図5)で回転する内径によって設計される。これらの設計は、型(die)、パンチ及びストリッパのすべてが、ユニットとして設定及び回転される主型内に設定されるサブ型に取り付けられることが必要である。手動で設定されるサブ型を回転させることは、プレスを停止させることを必要とするため、製造効率を低下させる。サーボ・モータで回転することは、精度が低くなりうるし、許容範囲外の部品を生成する潜在的可能性を増加させうる。両方のオプションは、相当なコストを工作機械据え付けに加えうるし、10から15°の最大回転能力を有しうる。
【0008】
サブ型セット(図6)に設置されない別々の型、ストリッパ及びパンチ構成要素を回転させる型を生成することもできる。このオプションは、より複雑で、故障の可能性がより高い。
【発明の概要】
【0009】
したがって、IPMモータのためのロータ・コアを形成するためのシステム、機械及び方法の効率を向上させる必要がある。
【0010】
ロータ又はステータ・コアを形成するための方法が本明細書において開示される。方法は、(1)軽量部である第1の縁部及び重量部である第2の縁部である対向する縁部並びに第1の縁部と第2の縁部との間に延在する配向線を有する電磁鋼板を提供するステップと、(2)電磁鋼板の内径領域のまわりに配置されて、円周方向に互いから間隔が置かれた複数のキー・パンチを提供するステップと、(3)電磁鋼板から内径領域を取り除くための内径パンチを提供するステップであって、内径パンチは、第1のリリーフ領域(逃がし領域)を有する、ステップと、(4)複数のキー・パンチの第1のキー・パンチを作動し、電磁鋼板を切断し、複数のキー回転角度のうち配向線から第1のキー回転角度で配置された第1のキーを形成する部分を取り除くステップと、(5)第1のリリーフ領域を第1のキー上に位置決めするステップと、内径パンチで電磁鋼板をパンチングし、電磁鋼板材料から内径領域を取り除き、第1のキーを有する第1のラミネーションを形成するステップと、(6)キー・パンチング・ステップ及び内径パンチング・ステップを繰り返し、第1の複数の第1のラミネーションを形成するステップと、(7)第1の複数の第1のラミネーションをラミネーションの第1のスタックにスタックするステップと、(8)複数のキー・パンチの第2のキー・パンチを作動し、電磁鋼板を切断するステップであって、複数のキー回転角度のうち第1のキー回転角度と異なる第2のキー回転角度で配置された第2のキーを形成するステップと、(9)第1のリリーフ領域を第2のキー上に位置決めするステップと、内径パンチで電磁鋼板をパンチングし、電磁鋼板材料から内径領域を取り除き、第2のキーを有する第2のラミネーションを形成するステップと、(10)キー・パンチング・ステップ及び内径パンチング・ステップを繰り返し、第2の複数の第2のラミネーションを形成するステップと、(11)第2の複数の第2のラミネーションをスタックし、ラミネーションの第2のスタックを形成するステップと、(12)回転軸、外面及び長さ寸法を有する全体的に円柱状壁を有するシャフトを提供するステップであって、第1のキー溝が、外面に提供され、長さ寸法の一部に沿って軸方向に延在するステップと、(13)第1のキーが第1のキー溝の内側にある状態で、ラミネーションの第1のスタックをシャフト上に取り付けるステップと、(14)第2のキーが第1のキー溝の内側にある状態で、第2のスタックをシャフト上に取り付けるステップと、を含む。
【0011】
本発明を理解するために、以下、添付の図面及び添付物を参照して本発明が実例として記載される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】所望の高さのロータ・コアを形成するために用いられる複数のロータ・ラミネーション・サブ・スタックの斜視の組立図である。
図2】一連のラミネーション・パンチング・ステーションの平面図である。
図3】薄く/軽い端から、厚く/重い端まで厚さの変化を有する鋼板材料の断面図である。
図4】ラミネーション内の磁気スロットと比較して4つの(A~D)異なるキー回転角度を有する従来技術のラミネーション及びラミネーション上に置かれる内側型パンチを示す平面図である。
図5】組み込まれたキー・ステーションを有する手動で回転する内径(ID)又はサーボ・モータによって回転する内径(ID)を有する、図1の回転キー・フィーチャを生成するための順送型の従来技術の一連の部分断面の側面図である。
図6】型、ストリッパ及びサブ型セット内に設置されないパンチ構成要素の側面図である。
図7】キー・パンチの複数のセットの平面図である。
図8】単一のキー溝を有するキー付きシャフトの斜視図である。
図9】2つのキー溝を有するキー付きシャフトの端面図である。
図10】リリーフ領域を有する内径(ID)パンチの平面図である。
図11】IDパンチの間、IDパンチのリリーフ領域をキー位置に整列させるためのサーボ・モータの側面図である。
図12】IPMモータ用のロータ・コアを形成するための方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、多くの異なる形での実施例が可能であるが、本開示は、本発明の原理の実例としてみなされるべきであり、本発明の広い態様を示される実施例に限定することを意図するものではないことを理解しながら、図面で示され、詳細に本発明の好ましい実施例に記載されている。
【0014】
回転電気機械、例えばモータ、ジェネレータ及びオルタネータは、一般的に、回転運動のためにステータに対して取り付けられるロータを有するか、又は、ステータがロータに対して回転する。ロータ及びステータは、電磁鋼のストリップからラミネーションを切断し、ラミネーションをスタックし、所望の高さのロータ/ステータ・コアを形成することによって製造される。ロータ/ステータのバランスが悪いときに生ずる振動及び騒音を減少するために、ロータ/ステータの回転運動バランスを保つことは重要である。ロータの最初のアンバランスの大部分は、ロータ・コアのラミネート鋼板の厚さの累算された偏差に起因するアンバランスによって占められる。電磁鋼板は圧延成形され、圧延される間、小さい偏差は、鋼板材料の横方向の厚さに発生する(図2及び図3)。この問題に対処するための現在の製造技術は、この種の偏差を完全に除去することに失敗している。厚さにおけるこれらの小さい偏差は、ロータ/ステータ・コアに蓄積し、結果としてロータ/ステータ・コアの厚さにおける大きな偏差になる。したがって、大きな最初のアンバランスは、ラミネート・ボディがロータ/ステータ・コアと呼ばれるラミネーションのスタックに組み立てられるロータ/ステータで発生する。
【0015】
埋込磁石型(IPM)機械、モータ及びジェネレータは、例えば、本明細書において記載されている製造技術及び方法から利益を得ることができる。IPM電気機械は、ロータ・コア内に組み込まれる永久磁石を有する。典型的には、スロットは、各ラミネーション内に形成され、これらのスロットは、ロータ・コア内にスタックすることにより蓄積されるとき、磁気材料を受け入れるためのチャネルを形成するように整列される。ロータは、回転運動のためにステータ内に取り付けられる。周波数での回転磁場は、周知のように、3相交流を用いるステータ内で作成され、ロータは、磁場と同一の周波数で回転する。この種のモータは、例えば、低いトルク・リップルが要求される用途において役立つ。
【0016】
図1に示すように、電磁鋼材料からラミネーションをパンチングし、個々のラミネーション12を回転させずにいくつかのラミネーション12をサブ・パケット14にスタックすることによって、IPMロータ・コア10の重量アンバランスに対処することは、従来技術において一般的である。この種のサブ・パケット14のいくつかは、スタックされるか又は接続され、所望の高さのロータ・コア16を形成する。
【0017】
図2は、ロータ・スタック成形機械又は型のキー・スタンピング・ステーション100、内径パンチ・ステーション200及び外径パンチ・ステーション300を通るラミネーション12の進行を概略的に示す。各ラミネーション12は、典型的にはコイル状のロール33内に格納される磁気鋼板材料32のストリップからパンチされる。一連のローラ又は他の輸送手段を用いて、電磁鋼ストリップを矢印によって示される圧延方向34に移動させる。磁気鋼板32は、圧延によって製造され、図3に示すように、鋼板の圧延方向34に直角に、ラミネーションの厚さの偏差を有する。したがって、各ラミネーション12は、一方側40ではより薄く且つ軽く、対向側42ではより厚く且つ重い。後述されるように、サブ・パケット14のキー回転角度を変化させることにより対処されるのは、これらのサイズ及び重量の偏差である。
【0018】
図4A~Dは、外径領域24及び内径領域26を有するロータ・ラミネーション12を示す。内径領域26は、内径パンチ30がラミネーション12上に置かれた状態で示される。内径領域26は、例えば180°の間隔で離れた一対の対向するキー50A、A’を有する。キー50は、磁気スロットに対して角度20で位置決めされる。角度20は、配向線21とキー線23との間にある。配向線21は、ラミネーション12の中央点52から半径方向外側に磁気スロット22の中心を通り引かれる。キー線23は、ラミネーションの中央点52から半径方向外側にキー50の中心部まで引かれる。この角度20は、時々キー回転角度20と呼ばれる。
【0019】
図4A~Dは、それぞれ21°、22.5°、24°及び25.5°であるそれらのキー回転角度20によって異なる。キー回転角度は、この実施例と異なりうるし、5度から45度の範囲でありうるし、より好ましくは10度から40度の範囲であり、さらに好ましくは15度から35度の範囲である。
【0020】
この実施例において、図4A~Dの各連続的な配向角度の違いは、1.5°であり、指数又はインデックス角度と呼ばれ、度で表される。適切な指数は、ラミネーションの直径、磁気スロットの数、キーの数及び当業者に周知の他のパラメータに基づいて変化しうる。指数は、好ましくは0.5度から20度の範囲であり、より好ましくは1度から10度の範囲であり、さらに好ましくは1度から5度の範囲であり、最も好ましくは1.5度から3度の範囲である。
【0021】
加えて、4つの異なるキー回転角度が示されるが、キー回転角度の異なる数を用いることもできる。例えば、それは、所望の高さの単一ロータ・スタック10において、2から12の異なる配向角度を用いることが考えられる。
【0022】
この実施例において、示したキー回転角度を有する4つのサブ・パケット14(図1)が製造され、4つのサブ・パケット14A~Dがモータの単一又は二重のキー付きシャフト70(図8及び図9)上でスライドするとき、各隣接するサブ・パケットは、配向に1.5°の違いを有する。図8は、単一のキー72を有するキー付きシャフト70を示し、図9は、互いに対向し180°離れた2つのキー72A、Bを有する二重のキー付きシャフト70を示す。N個のサブ・パケット14が所望の高さのロータ・コア10にある場合、1番目のサブ・パケット及びN番目のサブ・パケットは、N×インデックス角度の配向の違いを有する。この実施例においてロータ・コア当たりN=4のサブ・パケットであり、インデックス角度が1.5°であり、したがってロータ・コア10の配向の違いは、1.5°×4=6°である。
【0023】
図7は、中央点104を有する全体的に円形のプレート102を有するキー・パンチ・ステーション100を示す。4セットのキー・パンチ101A~Dの対は、中央点104を通る軸のまわりに共に回転のために取り付けられる。キー・パンチは、例えば101A及びA’の対で示され、キー50A~Dの対を形成するためである。キー・パンチ101は、180°離れて配置される対で示され、図4の対向するキー対50A、A’を作成し、キー対50A、A’は、次に、図9の二重キー付きシャフト70のスロット72A、Bに係合するために寸法が決められる。キー・パンチの対が単一のキー・パンチで置換可能であり、単一のキーを生成し、図8の単一のキー付きシャフト70の単一のスロット72に係合すると考えられる。
【0024】
キー・パンチング・ステーション100(図2及び図7)において一対のキー・パンチ101、例えば101A、A’は、電磁鋼ストリップ32上の所望の位置に移動され、ラミネーションを通して穴をパンチ・アウトするために作動され、一対のキー50 14Aを作成する。所望の数のキー・パンチ・サイクルは、キー・パンチの対101A、A’を用いて実行され、サブ・パケット14Aの所望の数のラミネートに到達する。次に、他のキー・パンチ101B、B’、101C、C’及び101D、D’を用いて、電磁鋼ストリップからラミネーションをパンチ・アウトし、サブ・パケット14B~Dを作成する。一実施例において、キー・パンチ101A~Dは、カム作動され、プレートからパンチを遠ざけ、電磁鋼ストリップから相補形状のピースを切断し、キー50を形成する。
【0025】
図10は、IDパンチ・ステーション200において用いられる内径(ID)パンチ30が、180°離れて配置される2つのリリーフ領域31を有し、一対のキー50上に位置決めされるので、内径パンチがキー・パンチ・ステーション100内に形成されるキーを取り除かないことを示す。図11は、IDパンチ30がサーボ・モータ400を介して回転することを示す。キー溝リリーフ領域31を有するIDパンチ30は、ローラ・ベアリング34を介して固定パンチ・ベース33内に位置するペデスタル・ベース32に取り付けられる。サーボ・モータ400は、タイミング・ベルト36を駆動し、ペデスタル・ベース32に固定されるタイミング・プーリ35を駆動する。これは、リリーフ領域31を有するIDパンチ30を回転させる。
【0026】
ラミネーション12の外径領域26は、8つのV型の磁気スロット22を有し、磁気スロット22は、ラミネーション12の円周のまわりに配置され、互いに等間隔である(図4A~D)。磁気スロット22は、図2の外径(OD:Outer Diameter)パンチング・ステーション300内に形成される。磁気スロットは、当該技術で周知のようにODにおいて一度に1つずつ切断することができるか、又は、一度に複数のスロットを切断することができる。磁気スロット22は、例えば多角形、円形及び楕円など、示されるものと異なる形状とすることができる。適切な多角形は、3辺から8辺を有する多角形を含み、三角形、長方形、正方形、五角形、七角形及び八角形を含む。V型のスロット22は、第1の脚22Aと、第1の脚22Aに角度βで配置される第2の脚22Bと、を有する。各脚22A、Bは、全体的に長方形の断面形状を有し、時々足60と呼ばれてもよい拡大部60内の半径方向外側端で終端する。足60は、ラミネート12の周辺縁部62に沿って延在する外縁部を有する。脚22A、Bの半径方向内側端64は、互いに隣接するが、接触しない。磁気スロット22の各脚22A、Bは、永久磁石を受け入れ、磁石を保持するために寸法が決められる。接着剤を用いて、永久磁石を適所に固定してもよい。
【0027】
従来技術で周知のように、一旦各サブ・パケット14が形成されると、永久磁石は、各磁気スロット22内に挿入され、接着剤又は締まりばめ又はその両方によって、適所に固定される。磁石は、スロット22内に挿入可能であり、次にサブ・パケットは、キー付きシャフト上に取り付けられるか、又は、記載されているように、サブ・パケットは、キー付きシャフト上に取り付け可能であり、次に、磁石は、スロット22内に挿入可能であり、適所に固定可能である。永久磁石は、磁化力が除去された後、その磁気特性を保持するものである。強磁性材料は、永久磁石を作成するために用いられ、鉄、コバルト及び希土類金属のいくつかの合金を含む。この種の希土類合金は、ネオジム、鉄及びホウ素を含み、ネオジム磁石として周知である。
【0028】
磁石をスロット内に取り付けるための適切な接着剤は、シアノアクリレート型接着剤、嫌気性接着剤、アクリル酸塩、メタクリル酸塩、エチルアクリル酸塩及び/又はイソボルニル・メタクリル酸塩、ポリウレタン、エポキシ/ポリウレタン・ハイブリッド、エポキシ、熱硬化性接着剤、熱溶融性接着剤、エナメル、ラッカー、紫外線硬化性接着剤、並びに当業者に周知の他のものを含む。
【0029】
電磁鋼板材料は、好ましくは、軟磁性特性を有し、例えば、磁気コアのための材料として適切である材料である。好ましくは、電磁鋼板は、鉄-シリコン合金の冷間圧延された材料である。そこから生成される薄板は、電気機械、特に、発電機、ジェネレータ、電気モータ、トランス、リレー、接触器、チョーク・コイル、イグニション・コイル、電気メータ及び制御可能な偏向磁石の鉄心のための磁気回路の製造に適している。ここで、電気板ストリップは、電磁鋼でできていて、その長さに対して小さい幅を有する巻くことのできる材料であり、図2に示されるようなスプール33内に格納可能である。本発明の目的のために、電気板は、特に、冷間圧延された、ASTM A677に準拠する無方向性の電磁鋼である。
【0030】
図12は、ロータ又はステータ・コアを形成するための方法600を示す。ステップは、(1)軽量部である第1の縁部及び重量部である第2の縁部である対向する縁部並びに第1の縁部と第2の縁部との間に延在する配向線を有する電磁鋼板を提供するステップ(602)と、(2)電磁鋼板の内径領域のまわりに配置されて、円周方向に互いから間隔が置かれた複数のキー・パンチを提供するステップ(604)と、(3)電磁鋼板から内径領域を取り除くための内径パンチを提供するステップであって、内径パンチは、第1のリリーフ領域を有する、ステップ(606)と、複数のキー・パンチの第1のキー・パンチを作動し、電磁鋼板を切断し、複数のキー回転角度のうち配向線から第1のキー回転角度で配置された第1のキーを形成する部分を取り除くステップ(608)と、第1のリリーフ領域を第1のキー上に位置決めするステップと、内径パンチで電磁鋼板をパンチングし、電磁鋼板材料から内径領域を取り除き、第1のキーを有する第1のラミネーションを形成するステップ(610)と、キー・パンチング・ステップ及び内径パンチング・ステップを繰り返し、第1の複数の第1のラミネーションを形成するステップ(612)と、第1の複数の第1のラミネーションをラミネーションの第1のスタックにスタックするステップ(614)と、複数のキー・パンチの第2のキー・パンチを作動し、電磁鋼板を切断するステップであって、複数のキー回転角度のうち第1のキー回転角度と異なる第2のキー回転角度で配置された第2のキーを形成するステップ(616)と、第1のリリーフ領域を第2のキー上に位置決めするステップと、内径パンチで電磁鋼板をパンチングし、電磁鋼板材料から内径領域を取り除き、第2のキーを有する第2のラミネーションを形成するステップ(618)と、キー・パンチング・ステップ及び内径パンチング・ステップを繰り返し、第2の複数の第2のラミネーションを形成するステップ(620)と、第2の複数の第2のラミネーションをスタックし、ラミネーションの第2のスタックを形成するステップ(622)と、回転軸、外面及び長さ寸法を有する全体的に円柱状壁を有するシャフトを提供するステップであって、第1のキー溝が、外面に提供され、長さ寸法の一部に沿って軸方向に延在するステップ(624)と、第1のキーが第1のキー溝の内側にある状態で、ラミネーションの第1のスタックをシャフト上に取り付けるステップ(626)と、第2のキーが第1のキー溝の内側にある状態で、第2のスタックをシャフト上に取り付けるステップ(628)と、を含む。
【0031】
第1のリリーフ領域を第1のキー610上に位置決めするステップは、鋼ストリップの反対側上の型及びストリッパが静止したままである間、内径パンチを鋼ストリップ上で回転させるステップを有する。
【0032】
上記教示事項に鑑み、本発明については多くの変形及びバリエーションが考えられる。それゆえ、添付の特許請求の範囲において、本発明は、特に記載されている以外も保護されうることを理解されたい。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12