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特許7187746タービンブレードチップ間隙制御装置およびこれを含むガスタービン
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-05
(45)【発行日】2022-12-13
(54)【発明の名称】タービンブレードチップ間隙制御装置およびこれを含むガスタービン
(51)【国際特許分類】
   F01D 11/22 20060101AFI20221206BHJP
【FI】
F01D11/22
【請求項の数】 22
(21)【出願番号】P 2021066154
(22)【出願日】2021-04-08
(65)【公開番号】P2022003252
(43)【公開日】2022-01-11
【審査請求日】2021-04-08
(31)【優先権主張番号】10-2020-0076604
(32)【優先日】2020-06-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】507002918
【氏名又は名称】ドゥサン エナービリティー カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】オレクシイ コレピン
(72)【発明者】
【氏名】ハ、ジン ボン
【審査官】高吉 統久
(56)【参考文献】
【文献】特開平03-141804(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0218959(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2002/0071763(US,A1)
【文献】欧州特許出願公開第02273073(EP,A2)
【文献】特開2017-137788(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01D 11/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼ガスの流動を案内するタービンケーシングと、
前記タービンケーシングの外側に回転可能に装着されるアクチュエータリングと、
前記タービンケーシングの内部に回転可能に装着される複数のタービンブレードと、
前記複数のタービンブレードの先端部を取り囲み、その先端部と所定の間隙を有するように設けられる複数のリングセグメントと、
一端部が前記複数のリングセグメントに連結され、他端部が前記タービンケーシングの外部まで半径方向に延びる複数の回転軸と、
前記アクチュエータリングの円周方向の回転運動により前記複数の回転軸を回転させるリンク部材と、
前記複数の回転軸の内側端部に備えられて、前記複数の回転軸の回転により前記複数のリングセグメントを半径方向内側に動かすプッシャ部材と
前記複数のリングセグメントの外側に装着され、前記プッシャ部材が通過するように設けられるベアリングブラケットと、
前記ベアリングブラケットの中心に前記プッシャ部材が通過するように装着されて、前記プッシャ部材が回転すると、前記プッシャ部材を半径方向に移動させるスクリューブッシュと、
を含むタービンブレードチップ間隙制御装置。
【請求項2】
前記アクチュエータリングは、前記タービンケーシングの外側に設けられたアクチュエータによって所定の角度範囲で正逆回転する請求項1に記載のタービンブレードチップ間隙制御装置。
【請求項3】
前記リンク部材は、前記アクチュエータリングと前記複数の回転軸の外側端との間に前記複数の回転軸およびアクチュエータリングから偏心するように連結される請求項1または2に記載のタービンブレードチップ間隙制御装置。
【請求項4】
前記複数の回転軸の外側端には、前記複数の回転軸と共に回転するように結合され、前記複数の回転軸に垂直な方向に延びて端部に前記リンク部材が回転可能に連結される偏心部材を備える請求項1~3のいずれか1項に記載のタービンブレードチップ間隙制御装置。
【請求項5】
前記複数の回転軸の下端部は、前記プッシャ部材の上部内側に挿入され、前記プッシャ部材は、前記複数の回転軸に対して軸方向に移動可能でかつ、前記複数の回転軸に対して相対的に回転不能に連結されて、前記複数の回転軸と共に回転する請求項1~4のいずれか1項に記載のタービンブレードチップ間隙制御装置。
【請求項6】
前記スクリューブッシュは、中央部の貫通孔周囲の下面に形成されたスクリューカム部を含み、
前記プッシャ部材は、外周面に前記スクリューカム部とスライディング可能に結合するスクリューリブ部を含む請求項1~のいずれか一項に記載のタービンブレードチップ間隙制御装置。
【請求項7】
前記ベアリングブラケットの両側と前記複数のリングセグメントとの間に装着されて、収縮する復元力により前記複数のリングセグメントを半径方向外側に引いて間隙を所定値以上に維持する一対の弾性復元装置をさらに含む請求項1~6のいずれか一項に記載のタービンブレードチップ間隙制御装置。
【請求項8】
前記一対の弾性復元装置は、一端が前記複数のリングセグメントに結合され、他端が前記ベアリングブラケットに結合される装着軸と、前記ベアリングブラケットに結合部材によって固定され、前記装着軸の通過する貫通孔が形成されたスプリング装着部材と、一端が前記複数のリングセグメントに結合され、他端が前記スプリング装着部材に結合され、前記装着軸の周囲に配置されるスプリングとを含む請求項に記載のタービンブレードチップ間隙制御装置。
【請求項9】
前記タービンケーシングの外周面に装着されて、前記アクチュエータリングの内周面を支持する複数のローラベアリングをさらに含む請求項1~のいずれか一項に記載のタービンブレードチップ間隙制御装置。
【請求項10】
前記複数のリングセグメントは、円周方向に沿って配列される8つのセグメント部材にそれぞれ4~6つのリングセグメントが装着され、
前記プッシャ部材は、各セグメント部材に結合される請求項1~のいずれか一項に記載のタービンブレードチップ間隙制御装置。
【請求項11】
前記8つのセグメント部材のうち、2つのセグメント部材の円周方向側面の間に装着されて、ガス漏れを防止するシールプレートと、
前記2つのセグメント部材の円周方向側面の間にまたがるように装着されて、2つのセグメント部材が半径方向に同時に動くようにするポジショニングピンと、をさらに含む請求項10に記載のタービンブレードチップ間隙制御装置。
【請求項12】
外部空気を吸入して圧縮する圧縮機と、
前記圧縮機で圧縮された空気に燃料を混合して燃焼させる燃焼器と、
タービンケーシングの内部にタービンブレードが装着され、前記燃焼器から排出される燃焼ガスによって前記タービンブレードが回転するタービンと、
前記タービンケーシングと前記タービンブレードとの間に形成されるチップ間隙を制御するチップ間隙制御装置とを含み、
前記チップ間隙制御装置は、
燃焼ガスの流動を案内するタービンケーシングと、
前記タービンケーシングの外側に回転可能に装着されるアクチュエータリングと、
前記タービンケーシングの内部に回転可能に装着される複数のタービンブレードと、
前記複数のタービンブレードの先端部を取り囲み、その先端部と所定の間隙を有するように設けられる複数のリングセグメントと、
一端部が前記複数のリングセグメントに連結され、他端部が前記タービンケーシングの外部まで半径方向に延びる複数の回転軸と、
前記アクチュエータリングの円周方向の回転運動により前記複数の回転軸を回転させるリンク部材と、
前記複数の回転軸の内側端部に備えられて、前記複数の回転軸の回転により前記複数のリングセグメントを半径方向内側に動かすプッシャ部材と
前記複数のリングセグメントの外側に装着され、前記プッシャ部材が通過するように設けられるベアリングブラケットと、
前記ベアリングブラケットの中心に前記プッシャ部材が通過するように装着されて、前記プッシャ部材が回転すると、前記プッシャ部材を半径方向に移動させるスクリューブッシュと、
を含むガスタービン。
【請求項13】
前記アクチュエータリングは、前記タービンケーシングの外側に設けられたアクチュエータによって所定の角度範囲で正逆回転する請求項12に記載のガスタービン。
【請求項14】
前記リンク部材は、前記アクチュエータリングと前記複数の回転軸の外側端との間に前記複数の回転軸およびアクチュエータリングから偏心するように連結される請求項12または13に記載のガスタービン。
【請求項15】
前記複数の回転軸の外側端には、前記複数の回転軸と共に回転するように結合され、前記複数の回転軸に垂直な方向に延びて端部に前記リンク部材が回転可能に連結される偏心部材を備える請求項1214のいずれか一項に記載のガスタービン。
【請求項16】
前記複数の回転軸の下端部は、前記プッシャ部材の上部内側に挿入され、前記プッシャ部材は、前記複数の回転軸に対して軸方向に移動可能でかつ、前記複数の回転軸に対して相対的に回転不能に連結されて、前記複数の回転軸と共に回転する請求項12~15のいずれか一項に記載のガスタービン。
【請求項17】
前記スクリューブッシュは、中央部の貫通孔周囲の下面に形成されたスクリューカム部を含み、
前記プッシャ部材は、外周面に前記スクリューカム部とスライディング可能に結合するスクリューリブ部とを含む請求項12~16のいずれか一項に記載のガスタービン。
【請求項18】
前記ベアリングブラケットの両側と前記複数のリングセグメントとの間に装着されて、収縮する復元力により前記複数のリングセグメントを半径方向外側に引いて間隙を所定値以上に維持する一対の弾性復元装置をさらに含む請求項1217のいずれか一項に記載のガスタービン。
【請求項19】
前記一対の弾性復元装置は、一端が前記複数のリングセグメントに結合され、他端が前記ベアリングブラケットに結合される装着軸と、前記ベアリングブラケットに結合部材によって固定され、前記装着軸の通過する貫通孔が形成されたスプリング装着部材と、一端が前記複数のリングセグメントに結合され、他端が前記スプリング装着部材に結合され、前記装着軸の周囲に配置されるスプリングとを含む請求項18に記載のガスタービン。
【請求項20】
前記タービンケーシングの外周面に装着されて、前記アクチュエータリングの内周面を支持する複数のローラベアリングをさらに含む請求項1219のいずれか一項に記載のガスタービン。
【請求項21】
前記複数のリングセグメントは、円周方向に沿って配列される8つのセグメント部材にそれぞれ4~6つのリングセグメントが装着され、
前記プッシャ部材は、各セグメント部材に結合される請求項1220のいずれか一項に記載のガスタービン。
【請求項22】
前記8つのセグメント部材のうち、2つのセグメント部材の円周方向側面の間に装着されて、ガス漏れを防止するシールプレートと、
前記2つのセグメント部材の円周方向側面の間にまたがるように装着されて、2つのセグメント部材が半径方向に同時に動くようにするポジショニングピンとをさらに含む請求項21に記載のガスタービン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タービンブレードチップ間隙制御装置およびこれを含むガスタービンに関する。
【背景技術】
【0002】
タービンとは、蒸気、ガスのような圧縮性流体の流れを利用して衝動力または反動力で回転力を得る機械装置であり、蒸気を用いる蒸気タービンおよび高温の燃焼ガスを用いるガスタービンなどがある。
【0003】
このうち、ガスタービンは、大きく、圧縮機と、燃焼器と、タービンとから構成される。圧縮機は、空気を導入する空気導入口が具備され、圧縮機ハウジング内に複数の圧縮機ベーンと、圧縮機ブレードとが交互に配置されている。
【0004】
燃焼器は、圧縮機で圧縮された圧縮空気に対して燃料を供給し、バーナで点火することにより高温高圧の燃焼ガスが生成される。
【0005】
タービンは、タービンハウジング内に複数のタービンベーンと、タービンブレードとが交互に配置されている。また、圧縮機と燃焼器とタービンおよび排気室の中心部を貫通するようにロータが配置されている。
【0006】
ロータは、両端部がベアリングによって回転自在に支持される。そして、ロータに複数のディスクが固定されて、それぞれのブレードが連結されると同時に、排気室側の端部に発電機などの駆動軸が連結される。
【0007】
このようなガスタービンは4行程機関のピストンのような往復運動機構がないため、ピストン-シリンダのような相互摩擦部分がなくて潤滑油の消費が極めて少なく、往復運動機械の特徴である振幅が大幅に減少し、高速運動が可能であるという利点がある。
【0008】
ガスタービンの作動について簡略に説明すれば、圧縮機で圧縮された空気が燃料と混合されて燃焼されることにより高温の燃焼ガスが作られ、このように作られた燃焼ガスはタービン側に噴射される。噴射された燃焼ガスがタービンベーンおよびタービンブレードを通過しながら回転力を生成し、よって、ロータが回転する。
【0009】
この時、タービンケーシングとブレードとの間にはチップクリアランス(Tip clearance)で定義される間隔が形成される。チップクリアランスが適正水準以上に大きくなると、仕事をせずにタービンケーシングとブレードとの間に抜け出る燃焼ガスの量が増加してガスタービン全体の効率が減少する。逆に、チップクリアランスが適正水準以下に小さくなると、タービンケーシングの内壁をブレードが掻いてしまう問題が発生する。したがって、タービンのチップクリアランスを適正な水準で調節することは、ガスタービンの性能を向上させることと密接な関連がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】大韓民国登録特許公報第10-1957590号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、タービンケーシングの外部に設けられたアクチュエータリングを回転させることにより、タービンケーシング内に円周方向に配置された複数のリングセグメントを一度に一律に動かして複数のタービンブレードのチップ間隙を一律に制御できるタービンブレードチップ間隙制御装置およびこれを含むガスタービンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の目的を達成するための、本発明のタービンブレードチップ間隙制御装置は、燃焼ガスの流動を案内するタービンケーシングと、前記タービンケーシングの外側に回転可能に装着されるアクチュエータリングと、前記タービンケーシングの内部に回転可能に装着される複数のタービンブレードと、前記複数のタービンブレードの先端部を取り囲み、その先端部と所定の間隙を有するように設けられる複数のリングセグメントと、一端部が前記複数のリングセグメントに連結され、他端部が前記タービンケーシングの外部まで半径方向に延びる複数の回転軸と、前記アクチュエータリングの円周方向の回転運動により前記回転軸を回転させるリンク部材と、前記回転軸の内側端部に備えられて、前記回転軸の回転により前記リングセグメントを半径方向内側に動かすプッシャ部材とを含む。
【0013】
前記アクチュエータリングは、前記タービンケーシングの外側に設けられたアクチュエータによって所定の角度範囲で正逆回転できる。
【0014】
前記リンク部材は、前記アクチュエータリングと前記複数の回転軸の外側端との間に前記回転軸およびアクチュエータリングから偏心するように連結可能である。
【0015】
前記回転軸の外側端には、前記回転軸と共に回転するように結合され、前記回転軸に垂直な方向に延びて端部に前記リンク部材が回転可能に連結される偏心部材を備えることができる。
【0016】
前記リングセグメントの外側に装着され、前記プッシャ部材が通過するように設けられるベアリングブラケットと、前記ベアリングブラケットの中心に前記プッシャ部材が通過するように装着されて、前記プッシャ部材が回転すると、前記プッシャ部材を半径方向に移動させるスクリューブッシュとをさらに含むことができる。
【0017】
前記回転軸の下端部は、前記プッシャ部材の上部内側に挿入され、前記プッシャ部材は、前記回転軸に対して軸方向に移動可能でかつ、前記回転軸に対して相対的に回転不能に連結されて、前記回転軸と共に回転できる。
【0018】
前記スクリューブッシュは、中央部の貫通孔周囲の下面に形成されたスクリューカム部を含み、前記プッシャ部材は、外周面に前記スクリューカム部とスライディング可能に結合するスクリューリブ部を含むことができる。
【0019】
前記ベアリングブラケットの両側と前記リングセグメントとの間に装着されて、収縮する復元力により前記リングセグメントを半径方向外側に引いて間隙を所定値以上に維持する一対の弾性復元装置をさらに含むことができる。
【0020】
前記弾性復元装置は、一端が前記リングセグメントに結合され、他端が前記ベアリングブラケットに結合される装着軸と、前記ベアリングブラケットに結合部材によって固定され、前記装着軸の通過する貫通孔が形成されたスプリング装着部材と、一端が前記リングセグメントに結合され、他端が前記スプリング装着部材に結合され、前記装着軸の周囲に配置されるスプリングとを含むことができる。
【0021】
前記タービンケーシングの外周面に装着されて、前記アクチュエータリングの内周面を支持する複数のローラベアリングをさらに含むことができる。
【0022】
前記複数のリングセグメントは、円周方向に沿って配列される8つのセグメント部材にそれぞれ4~6つのリングセグメントが装着され、前記プッシャ部材は、各セグメント部材に結合される。
【0023】
前記8つのセグメント部材のうち、2つのセグメント部材の円周方向側面の間に装着されて、ガス漏れを防止するシールプレートと、前記2つのセグメント部材の円周方向側面の間にまたがるように装着されて、2つのセグメント部材が半径方向に同時に動くようにするポジショニングピンとをさらに含むことができる。
【0024】
本発明のガスタービンは、外部空気を吸入して圧縮する圧縮機と、前記圧縮機で圧縮された空気に燃料を混合して燃焼させる燃焼器と、タービンケーシングの内部にタービンブレードが装着され、前記燃焼器から排出される燃焼ガスによって前記タービンブレードが回転するタービンと、前記タービンケーシングと前記タービンブレードとの間に形成されるチップ間隙を制御するチップ間隙制御装置とを含み、前記チップ間隙制御装置は、燃焼ガスの流動を案内するタービンケーシングと、前記タービンケーシングの外側に回転可能に装着されるアクチュエータリングと、前記タービンケーシングの内部に回転可能に装着される複数のタービンブレードと、前記複数のタービンブレードの先端部を取り囲み、その先端部と所定の間隙を有するように設けられる複数のリングセグメントと、一端部が前記複数のリングセグメントに連結され、他端部が前記タービンケーシングの外部まで半径方向に延びる複数の回転軸と、前記アクチュエータリングの円周方向の回転運動により前記回転軸を回転させるリンク部材と、前記回転軸の内側端部に備えられて、前記回転軸の回転により前記リングセグメントを半径方向内側に動かすプッシャ部材とを含む。
【0025】
前記アクチュエータリングは、前記タービンケーシングの外側に設けられたアクチュエータによって所定の角度範囲で正逆回転できる。
【0026】
前記リンク部材は、前記アクチュエータリングと前記複数の回転軸の外側端との間に前記回転軸およびアクチュエータリングから偏心するように連結可能である。
【0027】
前記回転軸の外側端には、前記回転軸と共に回転するように結合され、前記回転軸に垂直な方向に延びて端部に前記リンク部材が回転可能に連結される偏心部材を備えることができる。
【0028】
前記リングセグメントの外側に装着され、前記プッシャ部材が通過するように設けられるベアリングブラケットと、前記ベアリングブラケットの中心に前記プッシャ部材が通過するように装着されて、前記プッシャ部材が回転すると、前記プッシャ部材を半径方向に移動させるスクリューブッシュとをさらに含むことができる。
【0029】
前記回転軸の下端部は、前記プッシャ部材の上部内側に挿入され、前記プッシャ部材は、前記回転軸に対して軸方向に移動可能でかつ、前記回転軸に対して相対的に回転不能に連結されて、前記回転軸と共に回転できる。
【0030】
前記スクリューブッシュは、中央部の貫通孔周囲の下面に形成されたスクリューカム部を含み、前記プッシャ部材は、外周面に前記スクリューカム部とスライディング可能に結合するスクリューリブ部を含むことができる。
【0031】
前記ベアリングブラケットの両側と前記リングセグメントとの間に装着されて、収縮する復元力により前記リングセグメントを半径方向外側に引いて間隙を所定値以上に維持する一対の弾性復元装置をさらに含むことができる。
【0032】
前記弾性復元装置は、一端が前記リングセグメントに結合され、他端が前記ベアリングブラケットに結合される装着軸と、前記ベアリングブラケットに結合部材によって固定され、前記装着軸の通過する貫通孔が形成されたスプリング装着部材と、一端が前記リングセグメントに結合され、他端が前記スプリング装着部材に結合され、前記装着軸の周囲に配置されるスプリングとを含むことができる。
【0033】
前記タービンケーシングの外周面に装着されて、前記アクチュエータリングの内周面を支持する複数のローラベアリングをさらに含むことができる。
【0034】
前記複数のリングセグメントは、円周方向に沿って配列される8つのセグメント部材にそれぞれ4~6つのリングセグメントが装着され、前記プッシャ部材は、各セグメント部材に結合される。
【0035】
前記8つのセグメント部材のうち、2つのセグメント部材の円周方向側面の間に装着されて、ガス漏れを防止するシールプレートと、前記2つのセグメント部材の円周方向側面の間にまたがるように装着されて、2つのセグメント部材が半径方向に同時に動くようにするポジショニングピンとをさらに含むことができる。
【発明の効果】
【0036】
上記の本発明のタービンブレードチップ間隙制御装置およびこれを含むガスタービンによれば、タービンケーシングの外部に設けられたアクチュエータリングを回転させることにより、タービンケーシング内に円周方向に配置された複数のリングセグメントを一度に一律に動かして複数のタービンブレードのチップ間隙を一律に制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】本発明の一実施形態に係るガスタービンの一部切開斜視図である。
図2】本発明の一実施形態に係るガスタービンの概略的な構造を示す断面図である。
図3】本発明の一実施形態に係るガスタービンの内部構造を示す一部断面図である。
図4】本発明の一実施形態に係るタービンブレードチップ間隙制御装置の外観を示す斜視図である。
図5図4における1つのリンク部材の周囲を拡大して示す斜視図である。
図6図4における複数の回転軸を通る平面断面図である。
図7図6におけるリンク部材から複数のリングセグメントまでの周囲を拡大して示す斜視図である。
図8】セグメント部材に複数のリングセグメントが結合されたことを示す斜視図である。
図9図8における左側面部位を拡大して示す斜視図である。
図10】2つのセグメント部材が接する部位を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
本発明は多様な変換が加えられて様々な実施例を有し得ることから、特定の実施例を例示して詳細な説明に詳しく説明する。しかし、これは本発明を特定の実施形態に対して限定しようとするものではなく、本発明の思想および技術範囲に含まれるあらゆる変換、均等物または代替物を含むことが理解されなければならない。
【0039】
本発明で使った用語は単に特定の実施例を説明するために使われたものであり、本発明を限定しようとする意図ではない。単数の表現は、文脈上明らかに異なって意味しない限り、複数の表現を含む。本発明において、「含む」または「有する」などの用語は、明細書上に記載された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものが存在することを指定しようとするものであって、1つまたはそれ以上の他の特徴や数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものの存在または付加の可能性を予め排除しないことが理解されなければならない。
【0040】
以下、添付した図面を参照して、本発明の望ましい実施例を詳しく説明する。この時、添付した図面において同一の構成要素は、できる限り同一の符号で表していることに留意する。また、本発明の要旨をあいまいにしうる公知の機能および構成に関する詳細な説明は省略する。同様の理由から、添付図面において一部の構成要素は誇張または省略されるか、概略的に示された。
【0041】
図1は、本発明の一実施形態に係るガスタービンの一部切開斜視図であり、図2は、本発明の一実施形態に係るガスタービンの概略的な構造を示す断面図であり、図3は、本発明の一実施形態に係るガスタービンの内部構造を示す一部断面図である。
【0042】
図1に示されるように、本発明の一実施形態に係るガスタービン1000は、圧縮機1100と、燃焼器1200と、タービン1300とを含む。圧縮機1100は、放射状に設けられた複数のブレード1110を備える。圧縮機1100は、ブレード1110を回転させ、ブレード1110の回転により空気が圧縮されながら移動する。ブレード1110の大きさおよび設置角度は、設置位置によって異なる。一実施形態において、圧縮機1100は、タービン1300と直接または間接的に連結されて、タービン1300から発生する動力の一部が伝達されてブレード1110の回転に利用可能である。
【0043】
圧縮機1100で圧縮された空気は燃焼器1200に移動する。燃焼器1200は、環状に配置される複数の燃焼チャンバ1210と、燃料ノズルモジュール1220とを含む。
【0044】
図2に示されるように、本発明の一実施形態に係るガスタービン1000は、ハウジング1010を備えており、ハウジング1010の後側には、タービンを通過した燃焼ガスが排出されるディフューザ1400が備えられている。そして、ディフューザ1400の前方に圧縮された空気を受けて燃焼させる燃焼器1200が配置される。
【0045】
空気の流れ方向を基準として説明すれば、ハウジング1010の上流側に圧縮機セクション1100が位置し、下流側にタービンセクション1300が配置される。そして、圧縮機セクション1100とタービンセクション1300との間には、タービンセクション1300で発生した回転トルクを圧縮機セクション1100に伝達するトルク伝達部材としてのトルクチューブユニット1500が配置されている。
【0046】
圧縮機セクション1100には、複数(例えば、14枚)の圧縮機ロータディスク1120が備えられ、それぞれの圧縮機ロータディスク1120は、タイロッド1600によって軸方向に離隔しないように締結されている。
【0047】
具体的には、それぞれの圧縮機ロータディスク1120は、回転軸を構成するタイロッド1600が略中央を貫通した状態で互いに軸方向に沿って整列されている。ここで、隣り合うそれぞれの圧縮機ロータディスク1120は、対向する面がタイロッド1600によって圧着されて、相対回転不能に配置される。
【0048】
圧縮機ロータディスク1120の外周面には、複数のブレード1110が放射状に結合されている。それぞれのブレード1110は、ダブテール部1112を備えて、圧縮機ロータディスク1120に締結される。
【0049】
それぞれのロータディスク1120の間には、ハウジングに固定されて配置されるベーン(図示せず)が位置する。ベーンは、ロータディスクとは異なって回転しないように固定され、圧縮機ロータディスクのブレードを通過した圧縮空気の流れを整列して下流側に位置するロータディスクのブレードに空気を案内する役割を果たす。
【0050】
ダブテール部1112の締結方式は、タンジェンシャルタイプ(tangential type)とアキシャルタイプ(axial type)とがある。これは、商用のガスタービンの必要構造によって選択可能であり、通常知られたダブテールまたはモミの木形態(Fir-tree)を有することができる。場合によっては、前記形態以外の他の締結装置、例えば、キーまたはボルトなどの固定具を用いてブレードをロータディスクに締結することができる。
【0051】
タイロッド1600は、複数の圧縮機ロータディスク1120およびタービンロータディスク1322の中心部を貫通するように配置されており、タイロッド1600は、1つまたは複数のタイロッドから構成される。タイロッド1600の一側端部は、最上流側に位置した圧縮機ロータディスク内に締結され、タイロッド1600の他側端部は、固定ナット1450によって締結される。
【0052】
タイロッド1600の形態は、ガスタービンによって多様な構造からなり得るので、必ずしも図2に示された形態に限定されるものではない。すなわち、図示のように、1つのタイロッドがロータディスクの中央部を貫通する形態を有してもよく、複数のタイロッドが円周上に配置される形態を有してもよいし、これらの混用も可能である。
【0053】
図示しないが、ガスタービンの圧縮機には、流体の圧力を高めた後、燃焼器の入口に入る流体の流動角を設計流動角に合わせるために、ディフューザ(diffuser)の次の位置に案内羽根の役割を果たすベーンが設けられ、これをデスワーラ(deswirler)という。
【0054】
燃焼器1200では、流入した圧縮空気を燃料と混合、燃焼させて高いエネルギーの高温、高圧燃焼ガスを作り出し、等圧燃焼過程で燃焼器およびタービン部品が耐えられる耐熱限度まで燃焼ガスの温度を高める。
【0055】
ガスタービンの燃焼システムを構成する燃焼器は、セル形態に形成されるハウジング内に複数配列可能であり、燃料噴射ノズルなどを含むバーナ(Burner)と、燃焼室を形成する燃焼器ライナ(Combuster Liner)と、燃焼器とタービンとの連結部となるトランジションピース(Transition Piece)とを含んで構成される。
【0056】
具体的には、ライナは、燃料ノズルによって噴射される燃料が圧縮機の圧縮空気と混合されて燃焼される燃焼空間を提供する。このようなライナは、空気と混合された燃料が燃焼される燃焼空間を提供する火炎筒と、火炎筒を取り囲みながら環状空間を形成するフロースリーブとを含むことができる。また、ライナの前端には燃料ノズルが結合され、側壁には点火プラグが結合される。
【0057】
一方、ライナの後端には、点火プラグによって燃焼される燃焼ガスをタービン側に送れるようにトランジションピースが連結される。このようなトランジションピースは、燃焼ガスの高い温度による破損が防止されるように、外壁部が圧縮機から供給される圧縮空気によって冷却される。
【0058】
このために、トランジションピースには、空気を内部に噴射させることができるように冷却のためのホールが設けられ、圧縮空気は、ホールを通して内部にある本体を冷却させた後、ライナ側に流動する。
【0059】
ライナの環状空間には、前述したトランジションピースを冷却させた冷却空気が流動し、ライナの外壁には、フロースリーブの外部から圧縮空気がフロースリーブに設けられる冷却ホールを通して冷却空気として提供されて衝突できる。
【0060】
一方、燃焼器から出た高温、高圧の燃焼ガスは上述したタービン1300に供給される。供給された高温高圧の燃焼ガスが膨張しながらタービンの回転翼に衝突して、反動力を与えて回転トルクがもたらされ、このように得られた回転トルクは上述したトルクチューブを経て圧縮機に伝達され、圧縮機の駆動に必要な動力を超える動力は発電機などを駆動するのに使用される。
【0061】
タービン1300は、基本的には圧縮機の構造と類似している。すなわち、タービン1300にも、圧縮機1100のロータと類似のタービンロータ1320が備えられる。したがって、タービンロータ1320は、タービンロータディスク1322と、これから放射状に配置される複数のタービンブレード1324とを含む。タービンブレード1324も、ダブテールなどの方式でタービンロータディスク1322に結合できる。
【0062】
同時に、タービンロータディスク1322のタービンブレード1324の間にも、タービンケーシング1312に固定される複数のタービンベーン1314が備えられて、タービンブレード1324を通過した燃焼ガスの流れ方向をガイドする。この時、固定体に相当するタービンケーシング1312とタービンベーン1314も、回転体に相当するタービンロータ1320と区分するために、タービンステータ1310という包括的な名称で定義できる。
【0063】
タービンベーン1314の内側端部と外側端部に結合されたエンドウォール(endwall)であるベーンキャリア1313によって、タービンベーン1314は、ハウジング内に固定的に装着される。これに対し、ハウジングの内側に回転するタービンブレード1324の外側端部と向かい合う位置には、リングセグメント110がタービンブレード1324の外側端部と所定の間隙を形成するように装着される。すなわち、リングセグメント110とタービンブレード1324の外側端部との間の間隙がチップクリアランス(Tip clearance)を形成する。
【0064】
図4は、本発明の一実施形態に係るタービンブレードチップ間隙制御装置の外観を示す斜視図であり、図5は、図4における1つのリンク部材の周囲を拡大して示す斜視図であり、図6は、図4における複数の回転軸を通る平面断面図であり、図7は、図6におけるリンク部材から複数のリングセグメントまでの周囲を拡大して示す斜視図である。
【0065】
本発明の一実施形態に係るタービンブレードチップ間隙制御装置100は、燃焼ガスの流動を案内するタービンケーシングと、タービンケーシングの外側に回転可能に装着されるアクチュエータリング130と、タービンケーシングの内部に回転可能に装着される複数のタービンブレード1324と、複数のタービンブレードの先端部を取り囲み、その先端部と所定の間隙を有するように設けられる複数のリングセグメント110と、一端部が複数のリングセグメントに連結され、他端部がタービンケーシングの外部まで半径方向に延びる複数の回転軸160と、アクチュエータリングの円周方向の回転運動により回転軸を回転させるリンク部材150と、回転軸の内側端部に備えられて、回転軸の回転によりリングセグメントを半径方向内側に動かすプッシャ部材170とを含む。
【0066】
図4は、1セットのリングセグメントを取り囲むタービンケーシングを概略的に示すものであって、このタービンケーシングは、図2におけるタービンケーシング1312を取り囲むタービンセクション1300の外部ケーシング部分であってもよい。タービンケーシングは、一対の支持ブラケットに結合されて支持できる。
【0067】
アクチュエータリング130は、タービンケーシングの外側に回転可能に装着される。アクチュエータリング130は、タービンケーシングの外周面に装着されて、アクチュエータリングの内周面を支持する複数のローラベアリング135に支持できる。アクチュエータリング130の内周面には、複数のローラベアリング135のローラの一部が挿入されて支持される溝が形成される。図6に示されるように、複数のローラベアリング135は、タービンケーシングの上半部に3つ、下半部に3つが所定の間隔で配置できる。
【0068】
図6および図7に示されるように、複数のリングセグメント110は、複数個が1つのセグメント部材120に装着できる。好ましい実施例において、セグメント部材120は、円周方向に8つ設けられ、各セグメント部材120にそれぞれ4~6つのリングセグメント110が装着される。
【0069】
複数の回転軸160は、一端部が複数のリングセグメント110に連結され、他端部がタービンケーシングの外部まで半径方向に延びることができる。具体的には、回転軸160の外側端部は、リンク部材150を介してアクチュエータリング130と連結され、回転軸160の内側端部は、プッシャ部材170に結合され、プッシャ部材170がセグメント部材120に結合されて、セグメント部材120に結合された複数のリングセグメント110に連結可能である。
【0070】
図5に示されるように、リンク部材150は、アクチュエータリング130と回転軸160との間に回転可能に連結されて、アクチュエータリング130の円周方向の回転運動により回転軸160を回転させることができる。
【0071】
図7に示されるように、プッシャ部材170は、回転軸160の内側端部に備えられて、回転軸160の回転によりリングセグメント110を半径方向内側に動かすことができる。リングセグメント110が半径方向内側に動くと、タービンブレードのチップ間隙が減少できる。
【0072】
図4に示されるように、アクチュエータリング130は、タービンケーシングの外側に設けられたアクチュエータ140によって所定の角度範囲で正逆回転できる。アクチュエータ140は、タービンケーシングを支持する一対の支持ブラケットの一側に固定されるブラケットに装着できる。アクチュエータ140は、電気または油圧モータによってアクチュエータ棒145を直線的に往復運動できるように構成される。アクチュエータ棒145は、一端がアクチュエータ140に回動可能に連結され、他端がアクチュエータリング130に回動可能に連結される。そのため、アクチュエータ140が作動すれば、アクチュエータ棒145がアクチュエータリング130の一端部を押してアクチュエータリング130を所定の角度回転させることができる。
【0073】
図5に示されるように、リンク部材150は、アクチュエータリング130と複数の回転軸160の外側端との間に回転軸160およびアクチュエータリング130から偏心するように連結可能である。このために、回転軸160の外側端には、回転軸と共に回転するように結合され、回転軸に垂直な方向に延びて端部にリンク部材150が回転可能に連結される偏心部材156を備えることができる。
【0074】
偏心部材156の一端は、回転軸160の外側端部に相対的に回転しないように結合されて、偏心部材156がリンク部材150によって回転すると、偏心部材156に結合された回転軸160が回転できる。
【0075】
図7に示されるように、回転軸160は、全体が1つの部材で形成されず、回転軸の上部が別の部品で形成されて回転軸の下部と結合できる。そのため、偏心部材156は、回転軸の上部の上端に結合され、回転軸の上部がタービンケーシングの半径方向外側に結合されるベアリングカバー162に回転可能に装着される。
【0076】
プッシャ部材170も、1つの部材で形成されてもよいが、プッシャ部材170の半径方向内側端部の外周面に他の部品である連結部材が結合され、連結部材の半径方向内側に結合部材が結合されてもよい。そのため、プッシャ部材170の結合部材の内側端部がセグメント部材120に結合できる。
【0077】
図6および図7に示されるように、本発明のチップ間隙制御装置は、リングセグメント110の外側に装着され、プッシャ部材170が通過するように設けられるベアリングブラケット180と、ベアリングブラケットの中心にプッシャ部材170が通過するように装着されて、プッシャ部材170が回転すると、プッシャ部材170を半径方向に移動させるスクリューブッシュ190とをさらに含むことができる。
【0078】
ベアリングブラケット180は、回転軸160とセグメント部材120との間に、後述する一対の弾性復元装置200によって設けられる。ベアリングブラケット180の中心には、回転軸160の下端部とプッシャ部材170の通過する貫通孔が形成される。
【0079】
スクリューブッシュ190は、中心にプッシャ部材170の通過する貫通孔が形成された円形ディスク形態からなり、プッシャ部材170の中間外周面に装着できる。
【0080】
回転軸160の下端部は、プッシャ部材170の上部内側に挿入され、プッシャ部材170は、回転軸160に対して軸方向に移動可能でかつ、回転軸160に対して相対的に回転不能に連結されて、回転軸160と共に回転できる。このために、回転軸160の下端部の外周面には、長手方向に複数の溝が形成され、プッシャ部材170の上端部の内周面には、回転軸160の溝に対応する複数の突出リブが形成される。そのため、回転軸160とプッシャ部材170は、共に回転しかつ、プッシャ部材170は、回転軸160に対して軸方向に移動することができる。
【0081】
スクリューブッシュ190は、中央部の貫通孔周囲の下面に形成されたスクリューカム部197を含み、プッシャ部材170は、外周面にスクリューカム部197とスライディング可能に結合するスクリューリブ部179を含むことができる。スクリューカム部197は、スクリューリブ部179に対応して、所定のピッチを有するねじ山形態からなる。そのため、回転軸160と共にプッシャ部材170が回転すると、プッシャ部材170は、スクリューブッシュ190によってセグメント部材120側に移動して、セグメント部材120とこれに結合されたリングセグメント110を半径方向内側に移動させることができる。
【0082】
一方、本発明のチップ間隙制御装置は、ベアリングブラケット180の両側とリングセグメント110との間に装着されて、収縮する復元力によりリングセグメント110を半径方向外側に引いて間隙を所定値以上に維持する一対の弾性復元装置200をさらに含むことができる。
【0083】
図7に示されるように、弾性復元装置200は、一端がリングセグメント110に結合され、他端がベアリングブラケット180に結合される装着軸202と、ベアリングブラケット180に結合部材204によって固定され、装着軸202の通過する貫通孔が形成されたスプリング装着部材206と、一端がリングセグメント110に結合され、他端がスプリング装着部材206に結合され、装着軸202の周囲に配置されるスプリング208とを含むことができる。
【0084】
ベアリングブラケット180は、回転軸160とプッシャ部材170の通過する貫通孔が形成されたハブ部と、複数の装着軸202が挿入されて装着される複数の貫通孔が形成された翼部とを含むことで、全体的に円形ディスク形態からなる。ハブ部は、翼部に比べてより厚く形成される。
【0085】
装着軸202は、2つ設けられ、一端がリングセグメント110にねじ山によって締結されて結合され、他端がベアリングブラケット180に挿入されて結合される。装着軸202は、その周囲に装着されるスプリング208を離脱しないように支持することができる。一対の装着軸202は、回転軸160およびプッシャ部材170と平行に設けられる。
【0086】
スプリング装着部材206は、ベアリングブラケット180より小さい円形ディスク形態に形成されかつ、ベアリングブラケット180の外側部に形成された貫通孔に挿入されて結合される結合部材204の下端部に締結されて固定される。スプリング装着部材206の中心には、装着軸202の通過する貫通孔が形成され、貫通孔の周囲には、スプリング208の上端が結合される結合溝が形成される。
【0087】
スプリング208は、一端がリングセグメント110に形成された結合溝に結合され、他端がスプリング装着部材206の結合溝に結合され、装着軸202の周囲に配置されるばねスプリングであってもよい。アクチュエータリング130と回転軸160が回転しない状態で、スプリング208は、収縮する方向に復元力を作用することにより、セグメント部材120および複数のリングセグメント110を引いてチップ間隙が所定の間隙以上に維持できるようにする。
【0088】
図8は、セグメント部材に複数のリングセグメントが結合されたことを示す斜視図であり、図9は、図8における左側面部位を拡大して示す斜視図であり、図10は、2つのセグメント部材が接する部位を示す斜視図である。
【0089】
複数のリングセグメント110は、円周方向に沿って配列される8つのセグメント部材120にそれぞれ4~6つのリングセグメント110が装着され、プッシャ部材170は、各セグメント部材120に結合される。このために、図8に示されるように、各セグメント部材120の外周面には、プッシャ部材170の端部が半径方向に移動できるように挿入される穴と、弾性復元装置200の一対の装着軸202が結合される一対の締結孔とが形成される。
【0090】
図6および図7に示された実施例では、各セグメント部材120に4つのリングセグメント110が装着されており、図8に示された実施例では、各セグメント部材120に6つのリングセグメント110が装着されている。セグメント部材120が円周上に8つ配置される場合、1つのセグメント部材120は、360度の円周上で45度ずつ占めるようになる。8つのセグメント部材120が配置されると、上述したリンク部材150、回転軸160、プッシャ部材170、弾性復元装置200などもそれぞれ8つずつ配置される。
【0091】
そして、図8図10に示されるように、複数のセグメント部材120は、8つのセグメント部材120のうち、2つのセグメント部材120の円周方向側面の間に装着されて、ガス漏れを防止するシールプレート210と、2つのセグメント部材120の円周方向側面の間にまたがるように装着されて、2つのセグメント部材120が半径方向に同時に動くようにするポジショニングピン220とをさらに含むことができる。
【0092】
シールプレート210は、2つのセグメント部材120の側面と2つのリングセグメント110の側面との間に装着されて、特にチップ間隙が大きくなる時、2つのリングセグメント110の間の隙間に燃焼ガスが漏れるのを防止することができる。シールプレート210は、高温で耐えられるステンレススチール材質からなり、摩耗および摩擦を低減するために表面処理を行ったもので製作できる。
【0093】
シールプレート210は、タービンの軸方向に長く形成されて、リングセグメント110の側面に配置される横部と、横部から半径方向外側に延びてセグメント部材120の側面に配置される縦部とを含むことができる。少なくとも2つのセグメント部材120の側面には、シールプレート210の縦部が挿入される溝が形成されて縦部が装着される。2つのリングセグメント110の側面にも、シールプレート210の横部が挿入される溝が形成されて横部が装着される。
【0094】
シールプレート210の円周方向の一側は一側のセグメント部材120に固定され、他側は非常に小さい公差をもって他側のセグメント部材120に挿入されて組立てられる。シールプレート210の幅と厚さは、熱膨張などを考慮して選定することができる。
【0095】
ポジショニングピン220は、2つのセグメント部材120の間の側面に、シールプレート210の縦部の間に形成された2つの挿入溝に2つが挿入されて装着できる。ポジショニングピン220の一側は一側のセグメント部材120の挿入溝に締まり嵌め方式で挿入されて固定され、他側は他側のセグメント部材120の挿入溝に非常に小さい公差をもって挿入されて組立てられる。2つのポジショニングピン220は、2つのセグメント部材120の側面に両側部がまたがるように装着されることにより、2つのセグメント部材120が半径方向に同時に一律に動くようにすることができる。
【0096】
本発明によれば、ガスタービンを作動する時、過渡区間では弾性復元装置によってチップ間隙を大きく設定し、定常状態ではアクチュエータを作動して複数のタービンブレードチップ間隙を最適な状態に一律に低減することにより、ガスタービンの効率を増大することができる。
【0097】
以上、本発明の一実施例について説明したが、当該技術分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された本発明の思想を逸脱しない範囲内で、構成要素の付加、変更、削除または追加などによって本発明を多様に修正および変更可能であり、これも本発明の権利範囲内に含まれる。
【符号の説明】
【0098】
1000:ガスタービン
1010:ハウジング
1100:圧縮機
1110:ブレード
1112:ダブテール部
1120:圧縮機ロータディスク
1200:燃焼器
1300:タービン
1310:タービンステータ
1312:タービンケーシング
1313:ベーンキャリア
1314:タービンベーン
1320:タービンロータ
1322:タービンロータディスク
1324:タービンブレード
1400:ディフューザ
1450:固定ナット
1500:トルクチューブユニット
1600:タイロッド
100:チップ間隙制御装置
110:リングセグメント
120:セグメント部材
130:アクチュエータリング
135:ローラベアリング
140:アクチュエータ
145:アクチュエータ棒
150:リンク部材
156:偏心部材
160:回転軸
162:ベアリングカバー
170:プッシャ部材
179:スクリューリブ部
180:ベアリングブラケット
190:スクリューブッシュ
197:スクリューカム部
200:弾性復元装置
202:装着軸
204:結合部材
206:スプリング装着部材
208:スプリング
210:シールプレート
220:ポジショニングピン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10