(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-05
(45)【発行日】2022-12-13
(54)【発明の名称】RC床版形成方法
(51)【国際特許分類】
E04B 5/40 20060101AFI20221206BHJP
E01D 19/12 20060101ALN20221206BHJP
【FI】
E04B5/40 E
E04B5/40 B
E01D19/12
(21)【出願番号】P 2018201007
(22)【出願日】2018-10-25
【審査請求日】2021-06-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000003621
【氏名又は名称】株式会社竹中工務店
(73)【特許権者】
【識別番号】000221616
【氏名又は名称】東日本旅客鉄道株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【氏名又は名称】加藤 和詳
(74)【代理人】
【識別番号】100099025
【氏名又は名称】福田 浩志
(72)【発明者】
【氏名】細川 一昂
(72)【発明者】
【氏名】水島 靖典
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 庸介
(72)【発明者】
【氏名】成田 秀幸
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 恵介
(72)【発明者】
【氏名】原口 圭
(72)【発明者】
【氏名】小▲柳▼ 和大
【審査官】土屋 保光
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-158886(JP,A)
【文献】特開平07-238621(JP,A)
【文献】特開平03-281855(JP,A)
【文献】実開昭60-068111(JP,U)
【文献】実開平05-003422(JP,U)
【文献】特開昭58-218539(JP,A)
【文献】特開2017-106194(JP,A)
【文献】登録実用新案第3062429(JP,U)
【文献】登録実用新案第3158798(JP,U)
【文献】特開2007-177609(JP,A)
【文献】特開昭62-174430(JP,A)
【文献】特公昭58-005343(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 5/40
E01D 19/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造物を構成する水平部材にデッキプレートを架け渡し、該デッキプレートの上面にコンクリートを打設する際に、前記デッキプレートの端部を前記水平部材の上で前記コンクリートに埋設させるRC床版形成方法であって、
前記デッキプレートの端部には、前記水平部材の上方に曲げられると共に
貫通穴が形成された
起立壁が設けられ、
前記コンクリートに埋設される鉄筋が前記
貫通穴に通されている、
前記RC床版形成方法。
【請求項2】
構造物を構成する水平部材にデッキプレートを架け渡し、該デッキプレートの端部を前記水平部材に接合して、当該デッキプレートの上面にコンクリートを打設するRC床版形成方法であって、
前記水平部材は、一対のフランジとウエブとを備えたH型鋼であり、
前記デッキプレートの端部には、前記デッキプレートとは一体又は別体とされると共に前記フランジの端部に引っ掛けられた屈曲部が設けられている、
前記RC床版形成方法。
【請求項3】
構造物を構成する水平部材にデッキプレートを架け渡し、前記デッキプレートを前記水平部材に繋ぎ止める保持部で前記デッキプレートの端部と前記水平部材とを繋いで、前記デッキプレートの上面にコンクリートを打設するRC床版形成方法であって、
前記水平部材は、一対のフランジとウエブとを備えたH型鋼であり、
前記保持部は、前記デッキプレートの先端が下方へ折り曲げられた折り曲げ部と、前記デッキプレート側に位置する前記フランジの端部に設けられ、前記フランジより上方に突出して前記デッキプレートを下側から支持するストッパと、から構成されている、
前記RC床版形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、RC床版形成方法に関する。より詳しくは、鉄筋コンクリート(Reinforced Concrete)を用いた床版(RC床版)に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、デッキプレート上にコンクリートを打設して形成したコンクリート床版が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このコンクリート床版では、アンカー金物が端部に取り付けられたデッキプレート上にコンクリートを打設することで、デッキプレートがコンクリート層から脱落しないように構成されている。
【0004】
また、フラットデッキプレート上にコンクリートを打設して形成したコンクリート床版が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
このコンクリート床版では、アンカー部材が固定されたフラットデッキプレート上にコンクリートを打設することで、フラットデッキプレートがコンクリート床版から脱落しないように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開平11-159042号公報
【文献】実開昭60-68111号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、これらのコンクリート床版にあっては、衝撃荷重が作用したとき、コンクリート床版からのデッキプレートの脱落は抑制できるものの、梁からデッキプレートが外れることが考えられる。
【0008】
この場合、例えば衝撃荷重で破壊されたコンクリートの破片がコンクリート床版の下方へ落下する可能性がある。
【0009】
このため、コンクリート床版への落下物対策として、コンクリート床版の表面を覆工板で覆う必要が生じ、工期に影響を与える。
【0010】
工期に影響を与える理由について具体的に説明すると、第一に、覆工板を敷設する為の時間を要し、工期が増加する。第二に、上階の建て方が進み覆工板を撤去する際、撤去用の重機の高さが制限されており、能力が小さい重機を用いざるを得ない。このため、覆工板の撤去に時間を要し、工期が増加する。
【0011】
そして、工期の増大によるコスト増に加えて、覆工板そのものに費用を要する。これにより、コストが増加する。
【0012】
本発明は、衝撃荷重でRC床版のコンクリート床版が破壊されても、そのコンクリートの破片の落下を抑制することができるRC床版形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
第一態様は、構造物を構成する水平部材にデッキプレートを架け渡し、該デッキプレートの端部を前記水平部材に接合して、当該デッキプレートの上面にコンクリートを打設するRC床版形成方法である。
【0014】
第一態様では、構造物を構成する水平部材にデッキプレートを架け渡すとともに、このデッキプレートの端部を水平部材に接合する。そして、デッキプレートの上面にコンクリートを打設してスラブコンクリートを形成する。
【0015】
これにより形成されたRC床版において、落下物等によりRC床版の上面に衝撃荷重が作用したとき、デッキプレートが衝撃荷重を負担できるように、デッキプレートの端部が水平部材に接合されている。このため、デッキプレートが衝撃エネルギー吸収能力を発揮する。
【0016】
また、衝撃荷重でRC床版が破壊された際に鉄筋から剥離したコンクリートの破片がRC床版の下方へ落下する可能性がある。しかし、本態様では、デッキプレートが水平部材に接合されている。このため、コンクリートの破片をデッキプレートで受けることで、RC床版の下方へ落下を抑制することができる。
【0017】
第二態様は、構造物を構成する水平部材にデッキプレートを架け渡し、該デッキプレートの上面にコンクリートを打設する際に、前記デッキプレートの端部を前記水平部材の上で前記コンクリートに埋設させるRC床版形成方法である。
【0018】
第二態様では、構造物を構成する水平部材にデッキプレートを架け渡し、このデッキプレートの上面にコンクリートを打設する。この際、デッキプレートの端部を水平部材の上でコンクリートに埋設させてスラブコンクリートを形成する。
【0019】
これにより形成されたRC床版において、落下物等によりRC床版の上面に衝撃荷重が作用したとき、デッキプレートが衝撃荷重を負担できるように、デッキプレートの端部が水平部材の上でスラブコンクリートに接合されている。これにより、デッキプレートは、スラブコンクリートを介して梁に支持されるため、デッキプレートが衝撃エネルギー吸収能力を発揮する。
【0020】
また、衝撃荷重でスラブコンクリートが破壊された際に鉄筋から剥離した破片がRC床版の下方へ落下する可能性がある。しかし、本態様では、デッキプレートが水平部材の上でスラブコンクリートに接合され水平部材に支持されている。このため、破片をデッキプレートで受けることで、RC床版の下方へ落下を抑制することができる。
【0021】
第三態様は、構造物を構成する水平部材にデッキプレートを架け渡し、前記デッキプレートを前記水平部材に繋ぎ止める保持部で前記デッキプレートの端部と前記水平部材とを繋いで、前記デッキプレートの上面にコンクリートを打設するRC床版形成方法である。
【0022】
第三態様では、構造物を構成する水平部材にデッキプレートを架け渡し、このデッキプレートを水平部材に繋ぎ止める保持部でデッキプレートの端部と水平部材とを繋ぐ。そして、デッキプレートの上面にコンクリートを打設してスラブコンクリートを形成する。
【0023】
これにより形成されたRC床版において、落下物等によりRC床版の上面に衝撃荷重が作用し、デッキプレート端部が水平部材から外れる際に、デッキプレートは保持部を介して水平部材と繋がっている。
【0024】
このため、衝撃荷重でスラブコンクリートが破壊され鉄筋から破片が剥離しても、デッキプレートが水平部材に繋がっているので、破片をデッキプレートで受け、RC床版の下方へ落下を抑制することができる。
【発明の効果】
【0025】
本態様によれば、衝撃荷重でRC床版のコンクリートが破壊された場合であっても、その破片の落下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】第1実施形態に係るデッキプレートを示す斜視図である。
【
図12】第10実施形態の要部を示す断面図である。
【
図13】第11実施形態の要部を示す断面図である。
【
図14】第12実施形態の要部を示す断面図である。
【
図15】第13実施形態の要部を示す断面図である。
【
図16】第14実施形態の要部を示す断面図である。
【
図17】第15実施形態の要部を示す断面図である。
【
図18】第16実施形態の要部を示す断面図である。
【
図19】第17実施形態の要部を示す断面図である。
【
図20】第18実施形態の要部を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態を図面に従って説明する。
【0028】
図1及び
図2は、本実施形態に係るRC床版10を示す図である。このRC床版10は、例えば鉄筋コンクリート造の構造床を構成し、その例としては、建築物、土木構造物、跨線橋、コンコースなどのスラブ床版が挙げられる。
【0029】
RC床版10は、
図1に示したように、構造物を構成する水平部材の一例である梁12に架け渡されたデッキプレート14を備えている。デッキプレート14が架け渡される梁12は、一例としてH型鋼で構成されており、H型鋼のウエブ12Aの上端に設けられたフランジ12Bには、
図2に示すように、スタッドボルト16が立設されている。
【0030】
なお、デッキプレート14としては、上面が平坦なフラットデッキを用いる場合を例に挙げて説明するが、これに限定されるものではない。例えば、上面に凹凸が設けられたデッキプレートを用いてもよい。例えば、上面に凹凸が設けられたデッキプレートや、断面が波型のデッキプレートを用いてもよい。
【0031】
デッキプレート14は、
図1に示したように、長尺状に形成されており、複数のデッキプレート14が並設され梁12間に平面部を形成する。この平面部上には、鉄筋が配筋されるとともにコンクリートが打設され、
図2に示したように、スラブコンクリート18が形成される。このデッキプレート14は、スラブコンクリート18形成後も取り除かれることはなく、いわゆる捨て型枠となる。
【0032】
デッキプレート14は、上面を構成する平板部14Aと、平板部14Aの下面に突設された補強リブ14Bとを備え、平板部14Aの長さ方向両端部は、補強リブ14Bより突出したフランジ部20を構成する。このフランジ部20は、梁12のフランジ12Bに第1接合手段22で接合されている。これにより、スラブコンクリート18の上面18Aに衝撃荷重が作用した際に、デッキプレート14が衝撃荷重を負担するようにデッキプレート14の端部が梁12に接合されている。
【0033】
デッキプレート14のフランジ部20を梁12のフランジ12Bに接合する第1接合手段22としては、デッキプレート14のフランジ部20と梁12のフランジ12Bとを溶接して接合する溶接部が挙げられる。
【0034】
この第1接合手段22としては、溶接部に限定されるものではなく、他の例として、接着剤で接着した接着部や、両面テープで接合した接合部や、磁石による磁着部や、ボルトによる締結部が挙げられる。
【0035】
また、デッキプレート14のフランジ部20及び梁12のフランジ12Bの対面部分に発錆やショットブラスト等を施して摩擦を増やしたり、薬品で荒らしたりすることで、デッキプレート14と梁12との相対移動を抑制することができる。
【0036】
このRC床版10を形成する際には、構造物を構成する水平部材である梁12にデッキプレート14を架け渡す。次に、デッキプレート14端部のフランジ部20を梁12のフランジ12Bに第1接合手段22で接合する。そして、デッキプレート14の上面にコンクリートを打設してスラブコンクリート18を形成しRC床版10を形成する。
【0037】
(作用)
次に、本実施形態の作用を説明する。
【0038】
例えば吊り上げ作業中の揚重物や搬送物などの落下物によりスラブコンクリート18の上面18Aに衝撃荷重が作用したとき、デッキプレート14が衝撃荷重を負担できるように、デッキプレート14の端部が第1接合手段22で梁12に接合されている。このため、デッキプレート14が衝撃エネルギー吸収能力を発揮する。
【0039】
なお、落下物としては、これらに限定されるものではない。例えば駐車場の床版を構成する場合、落下物の対象としては車が挙げられ、工場の床版を構成する場合には、落下物の対象としては搬送物が挙げられる。
【0040】
また、衝撃荷重でスラブコンクリート18が破壊された際にスラブコンクリート18を構成する鉄筋から剥離した破片がRC床版10の下方へ落下する可能性がある。しかし、本実施形態では、デッキプレート14が第1接合手段22によって梁12に接合されている。このため、破片をデッキプレート14で受けることができ、RC床版10の下方への破片の落下を抑制することができる。また、RC床版10に落下した落下物がRC床版10の下方へ落下することも抑制することができる。
【0041】
このため、落下物対策として、従来のように、RC床版10を覆工板で覆う構成と比較して、施工手間を低減でき、工期を短縮できる。
【0042】
(第2実施形態)
図3は、第2実施形態に係るRC床版10を示す図であり、第1実施形態と同一又は同等部分については、同符号を付して説明を割愛するとともに、異なる部分についてのみ説明する。なお、RC床版10の形成方法は第1実施形態と同様である。
【0043】
本実施形態では、第1実施形態と比較して、梁12へのデッキプレート14の接合構造が異なる。
【0044】
このデッキプレート14のフランジ部20には、第1接合手段を構成する折り返し部30が形成されている。折り返し部30は、デッキプレート14と反対側に位置する梁12のフランジ12Bに沿って下方へ屈曲された屈曲部30Aと、屈曲部30Aよりウエブ12A側へ曲げられた曲げ部30Bとを備えている。
【0045】
このような構造であっても、デッキプレート14の端部を水平部材である梁12に接合することができるので、第1実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0046】
(第3実施形態)
図4は、第3実施形態に係るRC床版10を示す図であり、第1実施形態と同一又は同等部分については、同符号を付して説明を割愛するとともに、異なる部分についてのみ説明する。なお、RC床版10の形成方法は第1実施形態と同様である。
【0047】
本実施形態では、第1実施形態と比較して、梁12へのデッキプレート14の接合構造が異なる。
【0048】
このデッキプレート14のフランジ部20には、板状の固定部材32が接着剤34によって固定されている。固定部材32は、フランジ部20に固定された長片32Aと、長片32Aの先端より梁12のフランジ12Bに沿って下方へ屈曲された屈曲部32Bと、屈曲部32Bよりウエブ12A側へ曲げられた曲げ部32Cとを備えている。曲げ部32Cは、接着剤34によって梁12のフランジ12Bに固定されている。
【0049】
このような構造であっても、デッキプレート14の端部を水平部材である梁12に接合することができるので、第1実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0050】
(第4実施形態)
図5は、第4実施形態に係るRC床版10を示す図であり、第1実施形態と同一又は同等部分については、同符号を付して説明を割愛するとともに、異なる部分についてのみ説明する。
【0051】
本実施形態のデッキプレート14は、梁12に支持されたフランジ部20の部位に突起36が設けられており、この突起36は、梁12の上でスラブコンクリート18に埋設されている。このため、デッキプレート14の端部であるフランジ部20は、水平部材である梁12の上でスラブコンクリート18に接合されており、デッキプレート14がスラブコンクリート18からずれないように構成されている。
【0052】
これにより、スラブコンクリート18の上面18Aに衝撃荷重が作用したとき、デッキプレート14が衝撃荷重を負担するようにデッキプレート14の端部を水平部材である梁12の上でスラブコンクリート18に接合する第2接合手段が構成されている。
【0053】
また、本実施形態では、梁12の上部のフランジ12Bにスタッドボルト16が立設されており、スタッドボルト16は、スラブコンクリート18に埋設される。このため、スラブコンクリート18は、梁12からの相対的な移動が抑制されている。
【0054】
このRC床版10を形成する際には、構造物を構成する水平部材である梁12にデッキプレート14を架け渡す。次に、デッキプレート14の上面にコンクリートを打設してスラブコンクリート18を形成する。この際に、デッキプレート14の端部を、突起36を介して梁12の上でスラブコンクリート18に接合し、RC床版10を形成する。
【0055】
(作用)
次に、本実施形態の作用を説明する。
【0056】
吊り上げ作業中の揚重物や搬送物などの落下物によりスラブコンクリート18の上面18Aに衝撃荷重が作用したとき、デッキプレート14が衝撃荷重を負担するようにデッキプレート14の端部が突起36により梁12上でスラブコンクリート18に接合される。これにより、デッキプレート14は、スラブコンクリート18を介して梁12に支持されるため、デッキプレート14が衝撃エネルギー吸収能力を発揮する。
【0057】
また、衝撃荷重でスラブコンクリート18が破壊された際に鉄筋から剥離した破片がRC床版10の下方へ落下する可能性がある。しかし、本実施形態では、デッキプレート14は、梁12の上でスラブコンクリート18に接合され、このスラブコンクリート18を介して梁12に支持される。このため、破片をデッキプレート14で受けることで、RC床版10の下方へ落下を抑制することができる。
【0058】
このため、落下物対策として、従来のように、RC床版10を覆工板で覆う構成と比較して、施工手間を低減でき、工期を短縮できる。
【0059】
(第5実施形態)
図6は、第5実施形態に係るRC床版10を示す図であり、第4実施形態と同一又は同等部分については、同符号を付して説明を割愛するとともに、異なる部分についてのみ説明する。なお、RC床版10の形成方法は第4実施形態と同様である。
【0060】
本実施形態では、第4実施形態と比較して、スラブコンクリート18(
図5等参照)とデッキプレート14との接合構造が異なる。
【0061】
このデッキプレート14のフランジ部20には、長方形状の開口部38が複数形成されている。開口部38が設けられたフランジ部20と反対側のフランジ部20側(図示省略)に位置する各開口部38の開口縁には、切り起こし片40が起立しており、各切り起こし片40は、開口部38を形成する部位が切り起こされて形成される。切り起こし片40は、起立壁の一例である。
【0062】
この切り起こし片40は、デッキプレート14の幅方向に列を成して配列されており、この列は、デッキプレート14の長さ方向に二列形成されている。各列の切り起こし片40は、デッキプレート14の幅方向において互い違いに配置されている。
【0063】
各切り起こし片40は、梁12のフランジ12Bの上に配置された状態でスラブコンクリート18に埋設される(
図5等参照)。これにより、スラブコンクリート18の上面18Aに衝撃荷重が作用したとき、デッキプレート14が衝撃荷重を負担するようにデッキプレート14の端部を水平部材である梁12の上でスラブコンクリート18に接合する第2接合手段が構成されている。
【0064】
このような構造であっても、デッキプレート14の端部を梁12の上でスラブコンクリート18に接合することができるので、第4実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0065】
(第6実施形態)
図7は、第6実施形態に係るRC床版10を示す図であり、第5実施形態と同一又は同等部分については、同符号を付して説明を割愛するとともに、異なる部分についてのみ説明する。なお、RC床版10の形成方法は第5実施形態と同様である。
【0066】
本実施形態では、第5実施形態と比較して、デッキプレート14のフランジ部20に設けられた切り起こし片40の配置が異なる。
【0067】
すなわち、切り起こし片40は、フランジ部20の先端側に位置する開口部38の開口縁より起立している。
【0068】
このような構造であっても、デッキプレート14の端部を梁12の上でスラブコンクリート18に接合することができるので、第4実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0069】
また、切り起こし片40は、フランジ部20の先端側に位置する開口部38の開口縁より起立している。このため、デッキプレート14が梁12から離れる方向へスライドする際の切り起こし片40の倒れ方向を切り起こし方向とすることができる。
【0070】
このため、デッキプレート14が梁12から離れる方向へスライドする際に切り起こし片40の倒れ方向が切り起こし方向と逆側となる場合と比較して、切り起こし片40の倒れ抑制効果を高めることができる。これにより、梁12からのデッキプレート14の離脱防止効果を高めることができる。
【0071】
(第7実施形態)
図8及び
図9は、第7実施形態に係るRC床版10を示す図であり、第6実施形態と同一又は同等部分については、同符号を付して説明を割愛するとともに、異なる部分についてのみ説明する。なお、RC床版10の形成方法は第6実施形態と同様である。
【0072】
すなわち、デッキプレート14のフランジ部20に設けられた切り起こし片40の一つには、孔42が形成されており、この孔42にスラブコンクリート18を構成する鉄筋44が通されている。また、この切り起こし片40近傍のフランジ部20の部位には、挿通穴46が形成されており、挿通穴46には、梁12のフランジ12Bに設けられたスタッドボルト16が挿通されている。孔42は、貫通穴の一例である。
【0073】
切り起こし片40は、梁12の上に配置された状態でスラブコンクリート18に埋設される。これにより、スラブコンクリート18の上面18Aに衝撃荷重が作用したとき、デッキプレート14が衝撃荷重を負担するようにデッキプレート14の端部を水平部材である梁12の上でスラブコンクリート18に接合する第2接合手段が構成されている。
【0074】
このような構造であっても、デッキプレート14の端部を梁12の上でスラブコンクリート18に接合することができるので、第6実施形態と同様の作用効果を得ることができる
【0075】
また、切り起こし片40の孔42に鉄筋44を通すことで、スラブコンクリート18とデッキプレート14との接合強度を高めることができる。また、鉄筋44の梁12との掛り代を長くとることで、デッキプレート14の掛り代がなくなっても、デッキプレート14を鉄筋44に引掛けて脱落を抑制することができる。
【0076】
なお、本実施形態では、デッキプレート14のフランジ部20に設けられた切り起こし片40の一つに孔42を設けるとともに、この孔42にスラブコンクリート18に配筋された鉄筋44を通した場合を例に挙げて説明したが、これ限定されるものではない。すなわち、切り起こし片40への鉄筋44の貫通は任意である。
【0077】
(第8実施形態)
図10は、第8実施形態に係るRC床版10を示す図であり、第4実施形態と同一又は同等部分については、同符号を付して説明を割愛するとともに、異なる部分についてのみ説明する。なお、RC床版10の形成方法は第4実施形態と同様である。
【0078】
本実施形態では、第4実施形態と比較して、スラブコンクリート18とデッキプレート14との接合構造が異なる。
【0079】
このデッキプレート14のフランジ部20には、幅方向に延在する折り曲げ部48が長さ方向に間隔をおいて複数設けられている。折り曲げ部48は、フランジ部20の一部が山形に折り曲げられて形成されており、上方へ向けて突出する。
【0080】
各折り曲げ部48は、梁12の上に配置された状態でスラブコンクリート18に埋設される。これにより、スラブコンクリート18の上面18Aに衝撃荷重が作用したとき、デッキプレート14が衝撃荷重を負担するようにデッキプレート14の端部を水平部材である梁12の上でスラブコンクリート18に接合する第2接合手段が構成されている。
【0081】
このような構造であっても、デッキプレート14の端部を梁12の上でスラブコンクリート18に接合することができるので、第4実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0082】
(第9実施形態)
図11は、第9実施形態に係るRC床版10を示す図であり、第4実施形態と同一又は同等部分については、同符号を付して説明を割愛するとともに、異なる部分についてのみ説明する。なお、RC床版10の形成方法は第4実施形態と同様である。
【0083】
本実施形態では、第4実施形態と比較して、スラブコンクリート18とデッキプレート14との接合構造が異なる。
【0084】
このデッキプレート14のフランジ部20には、複数の鋲50が設けられており、各鋲50は、上方へ向けて突出する。
【0085】
各鋲50は、梁12の上に配置された状態でスラブコンクリート18に埋設される。これにより、スラブコンクリート18の上面18Aに衝撃荷重が作用したとき、デッキプレート14が衝撃荷重を負担するようにデッキプレート14の端部を水平部材である梁12の上でスラブコンクリート18に接合する第2接合手段が構成されている。
【0086】
このような構造であっても、デッキプレート14の端部を梁12の上でスラブコンクリート18に接合することができるので、第4実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0087】
(第10実施形態)
図12は、第10実施形態に係るRC床版10を示す図であり、第4実施形態と同一又は同等部分については、同符号を付して説明を割愛するとともに、異なる部分についてのみ説明する。なお、RC床版10の形成方法は第4実施形態と同様である。
【0088】
本実施形態では、第4実施形態と比較して、スラブコンクリート18とデッキプレート14との接合構造が異なる。
【0089】
このデッキプレート14は、フランジ部20の端部に端部折曲部52が形成されている。端部折曲部52は、フランジ部20の端部より上方へ起立した起立部52Aと、起立部52Aの先端より先端側へ向けて斜め下方へ延出する延出片52Bとを備えている。
【0090】
端部折曲部52は、梁12の上に配置された状態でスラブコンクリート18に埋設される。これにより、スラブコンクリート18の上面18Aに衝撃荷重が作用したとき、デッキプレート14が衝撃荷重を負担するようにデッキプレート14の端部を水平部材である梁12の上でスラブコンクリート18に接合する第2接合手段が構成されている。
【0091】
このような構造であっても、デッキプレート14の端部を梁12の上でスラブコンクリート18に接合することができるので、第4実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0092】
(第11実施形態)
図13は、第11実施形態に係るRC床版10を示す図であり、第4実施形態と同一又は同等部分については、同符号を付して説明を割愛するとともに、異なる部分についてのみ説明する。なお、RC床版10の形成方法は第4実施形態と同様である。
【0093】
本実施形態では、第4実施形態と比較して、スラブコンクリート18とデッキプレート14との接合構造が異なる。
【0094】
このデッキプレート14は、フランジ部20の端部が上方に起立されてなる起立壁54が設けられている。起立壁54には、貫通穴56が形成されており、貫通穴56には、スラブコンクリート18を構成する下端の鉄筋44が貫通している。
【0095】
起立壁54は、梁12の上に配置された状態でスラブコンクリート18に埋設される。これにより、スラブコンクリート18の上面18Aに衝撃荷重が作用したとき、デッキプレート14が衝撃荷重を負担するようにデッキプレート14の端部を水平部材である梁12の上でスラブコンクリート18に接合する第2接合手段が構成されている。
【0096】
このような構造であっても、デッキプレート14の端部を梁12の上でスラブコンクリート18に接合することができるので、第4実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0097】
また、フランジ部20に設けられた起立壁54には、スラブコンクリート18を構成する下端の鉄筋44が貫通している。このため、デッキプレート14がスラブコンクリート18の鉄筋44で支持されることにより、デッキプレート14の離脱防止効果を高めることができる。
【0098】
(第12実施形態)
図14は、第12実施形態に係るRC床版10を示す図であり、第4実施形態と同一又は同等部分については、同符号を付して説明を割愛するとともに、異なる部分についてのみ説明する。なお、RC床版10の形成方法は第4実施形態と同様である。
【0099】
本実施形態では、第4実施形態と比較して、スラブコンクリート18とデッキプレート14との接合構造が異なる。
【0100】
デッキプレート14のフランジ部20の先端には、ジョイント60が形成されている。梁12の一方側に設けられたデッキプレート14のジョイント60は、フランジ部20が上面に沿って折り返されて形成されている。また、梁12の他方側に設けられたデッキプレート14のジョイント60は、フランジ部20が下面に沿って折り返されて形成されている。
【0101】
梁12の一方側のデッキプレート14のジョイント60と、梁12の他方側のデッキプレート14のジョイント60とは、互いに噛み合わされ、両ジョイント60が噛み合わされた噛合部62は、梁12の上においてスラブコンクリート18に埋設される。これにより、スラブコンクリート18の上面18Aに衝撃荷重が作用したとき、デッキプレート14が衝撃荷重を負担するようにデッキプレート14の端部を水平部材である梁12の上でスラブコンクリート18に接合する第2接合手段が構成されている。
【0102】
このような構造であっても、デッキプレート14の端部を梁12の上でスラブコンクリート18に接合することができるので、第4実施形態と同様の作用効果を得ることができる
【0103】
また、梁12の一方側のデッキプレート14のジョイント60と梁12の他方側のデッキプレート14のジョイント60とが噛み合わされているので、梁12からのデッキプレート14の離脱防止効果を高めることができる。
【0104】
(第13実施形態)
図15は、第13実施形態に係るRC床版10を示す図であり、第4実施形態と同一又は同等部分については、同符号を付して説明を割愛するとともに、異なる部分についてのみ説明する。なお、RC床版10の形成方法は第4実施形態と同様である。
【0105】
本実施形態では、第4実施形態と比較して、スラブコンクリート18とデッキプレート14との接合構造が異なる。
【0106】
デッキプレート14のフランジ部20には、二本の鉄筋44が溶接されており、鉄筋44は、フランジ部20の上側に突出し、梁12の上に配置された状態でスラブコンクリート18に埋設される。これにより、スラブコンクリート18の上面18Aに衝撃荷重が作用したとき、デッキプレート14が衝撃荷重を負担するようにデッキプレート14の端部を水平部材である梁12の上でスラブコンクリート18に接合する第2接合手段が構成されている。
【0107】
このような構造であっても、デッキプレート14の端部を梁12の上でスラブコンクリート18に接合することができるので、第4実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0108】
(第14実施形態)
図16は、第14実施形態に係るRC床版10を示す図であり、第4実施形態と同一又は同等部分については、同符号を付して説明を割愛するとともに、異なる部分についてのみ説明する。なお、RC床版10の形成方法は第4実施形態と同様である。
【0109】
本実施形態では、第4実施形態と比較して、スラブコンクリート18とデッキプレート14との接合構造が異なる。
【0110】
デッキプレート14のフランジ部20には、断面U字状のスペーサ64が溶接されている。スペーサ64の上部には、スラブコンクリート18を構成する主筋43及び配力筋44が溶接されており、スラブコンクリート18の下面から主筋43までのかぶり厚さが確保されている。
【0111】
スペーサ64は、フランジ部20の上側に突出しており、梁12の上に配置された状態でスラブコンクリート18に埋設される。これにより、スラブコンクリート18の上面18Aに衝撃荷重が作用したとき、デッキプレート14が衝撃荷重を負担するようにデッキプレート14の端部を水平部材である梁12の上でスラブコンクリート18に接合する第2接合手段が構成されている。
【0112】
このような構造であっても、デッキプレート14の端部を梁12の上でスラブコンクリート18に接合することができるので、第4実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0113】
また、デッキプレート14は、スラブコンクリート18の主筋43及び配力筋44に接合されているので、デッキプレート14の離脱防止効果を高めることができる。
【0114】
(第15実施形態)
図17は、第15実施形態に係るRC床版10を示す図であり、第1実施形態と同一又は同等部分については、同符号を付して説明を割愛するとともに、異なる部分についてのみ説明する。
【0115】
本実施形態のデッキプレート14は、フランジ部20の先端が下方へ折り曲げられており、フランジ部20の先端には、折り曲げ部66が形成されている。また、デッキプレート14側に位置する梁12のフランジ12Bの端部には、断面L字状のストッパ68が設けられており、ストッパ68の先端部は、フランジ12Bより上方へ突出する。
【0116】
梁12にデッキプレート14のフランジ部20を支持した状態において、フランジ部20先端の折り曲げ部66とストッパ68との間にはクリアランスCが設けられ、デッキプレート14は、クリアランスC分長さ方向へスライドできる。
【0117】
スラブコンクリート18の上面18Aに衝撃荷重が作用してデッキプレート14の端部が梁12から外れる際に、デッキプレート14の端部と梁12とが互いにスライドを許容するクリアランスC分の長さを有して繋ぐ保持部70がフランジ部20の折り曲げ部66とストッパ68とによって構成されている。
【0118】
このRC床版10を形成する際には、構造物を構成する水平部材である梁12にデッキプレート14を架け渡す。次に、デッキプレート14を梁12に繋ぎ止める保持部70でデッキプレート14の端部と梁12とを繋ぐ。そして、デッキプレート14の上面にコンクリートを打設してスラブコンクリート18を形成しRC床版10を形成する
【0119】
(作用)
次に、本実施形態の作用を説明する。
【0120】
例えば吊り上げ作業中の揚重物や搬送物などの落下物によりスラブコンクリート18の上面18Aに衝撃荷重が作用し、デッキプレート14端部が水平部材である梁12から外れる際に、デッキプレート14は保持部70を介して梁12と繋がる。
【0121】
すなわち、折り曲げ部66とストッパ68とで保持部70を形成し、クリアランスC分の長さ方向へスライド可能とされている。このため、衝撃荷重が作用しても脱落(外れる)が抑制され、さらに折り曲げ部66とストッパ68とが当接することで落下が抑制される。
【0122】
このため、衝撃荷重でスラブコンクリート18が破壊され鉄筋から破片が剥離しても、デッキプレート14が梁12に繋がっているので、破片をデッキプレート14で受け、RC床版10の下方へ落下を抑制することができる。
【0123】
このため、落下物対策として、従来のように、RC床版10を覆工板で覆う構成と比較して、施工手間を低減でき、工期を短縮できる。
【0124】
(第16実施形態)
図18は、第16実施形態に係るRC床版10を示す図であり、第15実施形態と同一又は同等部分については、同符号を付して説明を割愛するとともに、異なる部分についてのみ説明する。
【0125】
本実施形態では、第15実施形態と比較して、デッキプレート14と梁12とを繋ぐ保持部の構造が異なる。
【0126】
すなわち、デッキプレート14側に位置する梁12のフランジ12Bの端部には、デッキ受けアングル72が設けられている。デッキ受けアングル72は、梁12のフランジ12Bの端面に固定された固定面72Bと、固定面72Bの上縁よりデッキプレート14側へ向けて延出した棚面72Cとを備えている。このデッキ受けアングル72の棚面72Cには、デッキプレート14のフランジ部20が支持されている。
【0127】
さらに、梁12のフランジ12Bの上面には、シート74の一端部が接着剤34で固定されており、このシート74の他端部は、接着剤34でデッキプレート14の平板部14Aに固定されている。シート74の素材としては、金属シートが挙げられ、非金属シートとしては、有機繊維(ポリエステル製、アクリル製等)、無機繊維(ガラス繊維、鋼繊維、炭素繊維等)が挙げられる。
【0128】
このシート74は、デッキプレート14の平板部14A上で折りたたまれており、シート74は、スラブコンクリート18に埋設されないように構成されている。
【0129】
これにより、スラブコンクリート18の上面18Aに衝撃荷重が作用してデッキプレート14端部のフランジ部20が水平部材である梁12から外れる際に、デッキプレート14のフランジ部20と梁12とを繋ぐ保持部が構成されている。
【0130】
シート74の折りたたみによる余長は、第15実施形態におけるクリアランスCと同等の作用を奏し、デッキプレート14が長さ方向へ移動しても、余長の範囲内でシート74が追従することができる。このために、衝撃荷重が作用した際には、RC床版10の変形に対応することができる。
【0131】
そして、デッキプレート14の移動量が大きくなり、デッキプレート14の端部がデッキ受けアングル72の棚面72Cから外れた際には、シート74の折りたたみ部分が展開することで、デッキプレート14の脱落を防ぐことができる。
【0132】
このように、デッキプレート14がデッキ受けアングル72の棚面72Cから外れる際に、デッキプレート14と梁12とをシート74によって繋ぐことができるため、第15実施形態と同様の作用効果を得ることができる
【0133】
また、デッキプレート14が梁12から外れた状態において、梁12とデッキプレート14との間にシート74を広げることができる。このため、鉄筋から剥離した破片を広げられたシート74で受けることができる。
【0134】
(第17実施形態)
図19は、第17実施形態に係るRC床版10を示す図であり、第16実施形態と同一又は同等部分については、同符号を付して説明を割愛するとともに、異なる部分についてのみ説明する。なお、RC床版10の形成方法は第16実施形態と同様である。
【0135】
本実施形態では、第16実施形態と比較して、デッキプレート14と梁12とを繋ぐ保持部の構造が異なる。
【0136】
すなわち、保持部を構成するシート74の一端部は、梁12のフランジ12Bの上面に接着剤34で固定されており、シート74の他端部は、梁12に支持されるデッキプレート14のフランジ部20の下面に接着剤34で固定されている。
【0137】
このシート74は、梁12のフランジ12Bとデッキプレート14のフランジ部20との間に折り畳まれた状態で配置されており、このシート74は、スラブコンクリート18に埋設されないように構成されている。
【0138】
これにより、スラブコンクリート18の上面18Aに衝撃荷重が作用してデッキプレート14端部のフランジ部20が水平部材である梁12から外れる際に、デッキプレート14のフランジ部20と梁12とを繋ぐ保持部がシート74で構成されている。
【0139】
シート74の折りたたみによる余長は、第15実施形態におけるクリアランスCと同等の作用を奏し、デッキプレート14が長さ方向へ移動しても、余長の範囲内でシート74が追従することができる。このために、衝撃荷重が作用した際には、RC床版10の変形に対応することができる。
【0140】
そして、デッキプレート14の移動量が大きくなり、デッキプレート14の端部が梁12から外れた際には、シート74の折りたたみ部分が展開することで、デッキプレート14の脱落を防ぐことができる。
【0141】
このように、デッキプレート14が梁12から外れる際に、デッキプレート14と梁12とをシート74によって繋ぐことができるので、第16実施形態と同様の作用効果を得ることができる
【0142】
また、梁12とデッキプレート14とをシート74で直接繋ぐため、梁12のフランジ12Bに受け部材を設け、受け部材とデッキプレート14とのシート74を設ける場合と比較して、構成を簡素化することができる。
【0143】
(第18実施形態)
図20は、第18実施形態に係るRC床版10を示す図であり、第15実施形態と同一又は同等部分については、同符号を付して説明を割愛するとともに、異なる部分についてのみ説明する。なお、RC床版10の形成方法は第15実施形態と同様である。
【0144】
本実施形態では、第15実施形態と比較して、デッキプレート14と梁12とを繋ぐ保持部の構造が異なる。
【0145】
すなわち、デッキプレート14の端部には、ループ状に形成されたワイヤからなる線材78の両端部が溶接されており、ループ状に形成された線材78のループ内には、スタッドボルト16が配置されている。ループ状に形成された線材78とスタッドボルト16との間には、クリアランスCが設けられており、梁12からデッキプレート14が外れて離れる際に、線材78がスタッドボルト16に係止される。
【0146】
これにより、スラブコンクリート18の上面18Aに衝撃荷重が作用してデッキプレート14端部のフランジ部20が水平部材である梁12から外れる際に、デッキプレート14のフランジ部20と梁12とを繋ぎ止める保持部が線材78で構成されている。
【0147】
このような構造であっても、デッキプレート14が梁12から外れる際に、デッキプレート14と梁12とを線材78によって繋いでいるので、第15実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0148】
なお、各実施形態では、水平部材として梁12を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではない。水平部材としては、デッキプレート14を支持する支持部材であればよい。
【0149】
また、各実施形態では、デッキプレート14の端部を梁12に接合する構成と、デッキプレート14の端部を梁12の上でスラブコンクリート18に接合する構成と、デッキプレート14の端部及び梁12を保持部で繋ぐ構成とを個別に実施した。しかし、これらの構成を組合せて実施してもよい。
【0150】
本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々なる態様で実施し得る。
【符号の説明】
【0151】
10 RC床版
12 梁(水平部材)
14 デッキプレート
16 スタッドボルト
18 スラブコンクリート
18A 上面
20 フランジ部
22 第1接合手段
30 折り返し部
32 固定部材
36 突起
40 切り起こし片
44 鉄筋
48 折り曲げ部
50 鋲
52 端部折曲部
54 起立壁
62 噛合部
64 スペーサ
70 保持部
74 シート
78 線材