(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-05
(45)【発行日】2022-12-13
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/336 20060101AFI20221206BHJP
H01L 29/78 20060101ALI20221206BHJP
H01L 21/822 20060101ALI20221206BHJP
H01L 27/04 20060101ALI20221206BHJP
H01L 21/8234 20060101ALI20221206BHJP
H01L 27/06 20060101ALI20221206BHJP
H01L 27/07 20060101ALI20221206BHJP
H01L 27/088 20060101ALI20221206BHJP
H01L 29/06 20060101ALI20221206BHJP
H01L 29/41 20060101ALI20221206BHJP
H01L 29/417 20060101ALI20221206BHJP
H01L 29/423 20060101ALI20221206BHJP
H01L 29/49 20060101ALI20221206BHJP
H01L 29/12 20060101ALI20221206BHJP
H01L 29/739 20060101ALI20221206BHJP
H01L 29/861 20060101ALI20221206BHJP
H01L 29/868 20060101ALI20221206BHJP
【FI】
H01L29/78 658H
H01L27/04 A
H01L27/06 102A
H01L27/07
H01L27/088 E
H01L29/06 301D
H01L29/06 301F
H01L29/06 301G
H01L29/06 301V
H01L29/44 L
H01L29/44 Y
H01L29/50 M
H01L29/58 G
H01L29/78 652J
H01L29/78 652P
H01L29/78 652Q
H01L29/78 652T
H01L29/78 653A
H01L29/78 655B
H01L29/78 655D
H01L29/78 655F
H01L29/78 655G
H01L29/78 657A
H01L29/78 657D
H01L29/91 D
H01L29/91 F
(21)【出願番号】P 2018048618
(22)【出願日】2018-03-15
【審査請求日】2021-02-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】内藤 達也
【審査官】上田 智志
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-059711(JP,A)
【文献】特開2017-224685(JP,A)
【文献】国際公開第2017/146148(WO,A1)
【文献】特開2015-185742(JP,A)
【文献】特開2016-072359(JP,A)
【文献】特開2009-267394(JP,A)
【文献】特開2011-114027(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/336、21/822、21/8234、
27/04、27/06、27/07、
29/06、29/12、29/41、
29/417、29/423、29/49、
29/739、29/78、
29/861、29/868
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板と、
前記半導体基板に設けられ、前記半導体基板の上面および下面の間で電流が流れる活性部と、
前記活性部に設けられたトランジスタ部と、
前記活性部に設けられ、前記半導体基板の上面視で予め定められた配列方向に沿って前記トランジスタ部と配列されたダイオード部と、
前記半導体基板の上面視において、前記半導体基板の外周端と前記活性部との間に設けられたエッジ終端構造部と、
ライフタイムキラーを含むライフタイム制御領域と、
前記半導体基板の上面の上方に設けられたエミッタ電極と、
前記エミッタ電極と前記半導体基板との間に設けられた層間絶縁膜と、
を備え、
前記層間絶縁膜には、前記ダイオード部における前記半導体基板を露出させるコンタクトホールが設けられ、
前記ライフタイム制御領域は、前記半導体基板の上面視で前記配列方向に直交する延伸方向において、前記ダイオード部から前記エッジ終端構造部の少なくとも一部にわたって設けられ、前記エッジ終端構造部に配置された前記ライフタイム制御領域の少なくとも一部は、前記延伸方向において前記ダイオード部と対向して設けられ、
前記ダイオード部に設けられた前記ライフタイム制御領域の少なくとも一部は、前記上面視において前記コンタクトホールと重なっており、
前記ダイオード部は、前記ライフタイム制御領域よりも前記延伸方向の内側において、前記ライフタイム制御領域と重ならない部分を有する
半導体装置。
【請求項2】
半導体基板と、
前記半導体基板に設けられ、前記半導体基板の上面および下面の間で電流が流れる活性部と、
前記活性部に設けられたトランジスタ部と、
前記活性部に設けられ、前記半導体基板の上面視で予め定められた配列方向に沿って前記トランジスタ部と配列されたダイオード部と、
前記半導体基板の上面視において、前記半導体基板の外周端と前記活性部との間に設けられたエッジ終端構造部と、
ライフタイムキラーを含むライフタイム制御領域と、
前記半導体基板の上面の上方に設けられたエミッタ電極と、
前記エミッタ電極と前記半導体基板との間に設けられた層間絶縁膜と、
を備え、
前記層間絶縁膜には、前記ダイオード部における前記半導体基板を露出させるコンタクトホールが設けられ、
前記ダイオード部は、前記半導体基板の下面に接して設けられた第1導電型のカソード領域を有し、
前記ライフタイム制御領域は、前記半導体基板の上面視で前記配列方向に直交する延伸方向において、前記ダイオード部から前記エッジ終端構造部の少なくとも一部にわたって設けられ、前記エッジ終端構造部に配置された前記ライフタイム制御領域の少なくとも一部は、前記延伸方向において前記ダイオード部と対向して設けられ、
前記延伸方向において、前記コンタクトホールは前記カソード領域よりも前記半導体基板の前記外周端の近くまで形成され、
前記延伸方向において、前記コンタクトホールの端部と前記カソード領域の端部との距離は、前記半導体基板の深さ方向における厚みより大きい
半導体装置。
【請求項3】
前記ダイオード部に設けられた前記ライフタイム制御領域の少なくとも一部は、前記上面視において前記カソード領域と重なっている
請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記ダイオード部に設けられた前記ライフタイム制御領域は、前記上面視において前記カソード領域と離れて配置されている
請求項2に記載の半導体装置。
【請求項5】
半導体基板と、
前記半導体基板に設けられ、前記半導体基板の上面および下面の間で電流が流れる活性部と、
前記活性部に設けられたトランジスタ部と、
前記活性部に設けられ、前記半導体基板の上面視で予め定められた配列方向に沿って前記トランジスタ部と配列されたダイオード部と、
前記半導体基板の上面視において、前記半導体基板の外周端と前記活性部との間に設けられたエッジ終端構造部と、
ライフタイムキラーを含むライフタイム制御領域と、
を備え、
前記ライフタイム制御領域は、前記半導体基板の上面視で前記配列方向に直交する延伸方向において、前記ダイオード部から前記エッジ終端構造部の少なくとも一部にわたって設けられ、前記エッジ終端構造部に配置された前記ライフタイム制御領域の少なくとも一部は、前記延伸方向において前記ダイオード部と対向して設けられ、
前記ダイオード部は、前記ライフタイム制御領域よりも前記延伸方向の内側において、前記ライフタイム制御領域と重ならない部分を有する
半導体装置。
【請求項6】
前記半導体基板には、前記半導体基板の上面に接して、且つ、前記延伸方向において前記エッジ終端構造部と前記活性部とに挟まれて配置された第2導電型のウェル領域が設けられ、
前記ライフタイム制御領域は、前記ウェル領域の下方に設けられ、前記ウェル領域よりも前記外周端側で終端している、
請求項1から5のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記ダイオード部は、
前記半導体基板の上面に接して設けられた第2導電型のコンタクト領域と、
前記半導体基板の下面に接して設けられた第1導電型のカソード領域と、
を有し、
前記ライフタイム制御領域は、前記コンタクト領域の下方に設けられる
請求項1
または5に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記ダイオード部は、前記半導体基板の上面に接して設けられた第2導電型のコンタクト領域を有し、
前記ライフタイム制御領域は、前記コンタクト領域の下方に設けられる
請求項2から4のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記上面視において、前記カソード領域よりも前記外周端側に、前記半導体基板の下面に接して第2導電型のコレクタ領域が設けられ、
前記カソード領域は前記コレクタ領域と接する
請求項7
または8に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記上面視において、前記コレクタ領域よりも前記外周端側に、前記半導体基板の下面に接して第1導電型の終端領域が設けられる
請求項
9に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記上面視において、前記延伸方向における前記コンタクト領域の前記外周端側の端部と、前記延伸方向における前記終端領域の前記活性部側の端部との前記延伸方向における距離が、前記半導体基板の厚さよりも大きい
請求項
10に記載の半導体装置。
【請求項12】
前記上面視において、前記延伸方向における前記コンタクト領域の前記活性部側の端部と、前記延伸方向における前記カソード領域の前記外周端側の端部との前記延伸方向における距離が、前記延伸方向における前記コンタクト領域の前記外周端側の端部と、前記延伸方向における前記終端領域の前記活性部側の端部との前記延伸方向における距離よりも小さい
請求項
10または11に記載の半導体装置。
【請求項13】
前記上面視において、前記延伸方向における前記コンタクト領域の前記活性部側の端部と、前記延伸方向における前記カソード領域の前記外周端側の端部との前記延伸方向における距離が、前記半導体基板の厚さよりも大きい
請求項7から
12のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項14】
前記ダイオード部は、前記カソード領域の上方に設けられた、電気的にフローティングとなっている第2導電型の第1フローティング領域を有し、
前記上面視において、前記第1フローティング領域の少なくとも一部と、前記コンタクト領域とが、前記延伸方向において重なる
請求項
9から12のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項15】
前記上面視において、前記延伸方向における前記第1フローティング領域の前記活性部側の端部と、前記延伸方向における前記コンタクト領域の前記活性部側の端部との前記延伸方向における距離が、前記延伸方向における前記第1フローティング領域の前記外周端側の端部と、前記延伸方向における前記コンタクト領域の前記外周端側の端部との前記延伸方向における距離よりも大きい
請求項
14に記載の半導体装置。
【請求項16】
前記ダイオード部は、前記カソード領域の上方に、電気的にフローティングとなっている第2導電型の第2フローティング領域を有し、
前記第1フローティング領域と前記第2フローティング領域は、前記延伸方向に配列される、
請求項
14または15に記載の半導体装置。
【請求項17】
前記延伸方向において、前記第1フローティング領域の幅は、前記第2フローティング領域の幅よりも大きい
請求項
16に記載の半導体装置。
【請求項18】
前記第1フローティング領域は、前記カソード領域の上方および前記コレクタ領域の上方に設けられ、
前記上面視において、前記ライフタイム制御領域の少なくとも一部と、前記第1フローティング領域の少なくとも一部が、前記延伸方向において重なる
請求項
14から17のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項19】
前記上面視において、前記延伸方向における前記ライフタイム制御領域の前記活性部側の端部が、前記カソード領域と前記コレクタ領域との境界と、前記延伸方向における前記第1フローティング領域の前記活性部側の端部との間で終端している、
請求項
14から18のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項20】
前記ライフタイム制御領域は前記半導体基板の上面側に設けられる
請求項1から
19のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項21】
前記ライフタイム制御領域の前記活性部側の端部は、前記コンタクトホールの前記半導体基板の前記外周端側の端部よりも前記延伸方向の内側に位置する
請求項1に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ(IGBT)等の半導体装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1 特開2013-152996号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
半導体装置においては、逆回復耐量を向上させることが好ましい。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の一つの態様においては、半導体基板と、半導体基板に設けられ、半導体基板の上面および下面の間で電流が流れる活性部と、活性部に設けられたトランジスタ部と、活性部に設けられ、半導体基板の上面視で予め定められた配列方向に沿ってトランジスタ部と配列されたダイオード部と、半導体基板の上面視において、半導体基板の外周端と活性部との間に設けられたエッジ終端構造部と、を備える半導体装置を提供する。半導体基板の上面側には、ダイオード部から、上面視で配列方向に直交する延伸方向においてダイオード部と対向する、エッジ終端構造部の少なくとも一部にわたって、ライフタイムキラーを含むライフタイム制御領域が設けられる。
【0005】
ライフタイム制御領域は、ウェル領域の下方に設けられ、ウェル領域よりも外周端側で終端してよい。
【0006】
ダイオード部は、半導体基板の上面に接して設けられた第2導電型のコンタクト領域(例えば、第2コンタクト領域19)と、半導体基板の下面に接して設けられた第1導電型のカソード領域(例えば、第2カソード領域82)と、カソード領域の上方に設けられた、電気的にフローティングとなっている第2導電型の第1フローティング領域と、を有し、上面視において、第1フローティング領域の少なくとも一部と、コンタクト領域とが、延伸方向において重なってよい。
【0007】
上面視において、延伸方向における第1フローティング領域の活性部側の端部と、延伸方向におけるコンタクト領域の活性部側の端部との延伸方向における距離が、延伸方向における第1フローティング領域の外周端側の端部と、延伸方向におけるコンタクト領域の外周端側の端部との延伸方向における距離よりも大きくてよい。
【0008】
ダイオード部は、カソード領域の上方に、電気的にフローティングとなっている第2導電型の第2フローティング領域を有してよい。第1フローティング領域と第2フローティング領域は、延伸方向に配列されてよい。
【0009】
延伸方向において、第1フローティング領域の幅は、第2フローティング領域の幅よりも大きくてよい。ライフタイム制御領域は、コンタクト領域の下方に設けられてよい。
【0010】
上面視において、カソード領域よりも外周端側に、半導体基板の下面に接して第2導電型のコレクタ領域が設けられ、第1フローティング領域は、カソード領域の上方およびコレクタ領域の上方に設けられ、上面視において、ライフタイム制御領域の少なくとも一部と、第1フローティング領域の少なくとも一部が、延伸方向において重なってよい。
【0011】
カソード領域とコレクタ領域は接して設けられ、上面視において、延伸方向におけるライフタイム制御領域の活性部側の端部が、カソード領域とコレクタ領域との境界と、延伸方向における第1フローティング領域の活性部側の端部との間で終端していてよい。
【0012】
上面視において、コレクタ領域よりも外周端側に、半導体基板の下面に接して第1導電型の終端領域が設けられてよい。
【0013】
上面視において、延伸方向におけるコンタクト領域の外周端側の端部と、延伸方向における終端領域の活性部側の端部との延伸方向における距離が、半導体基板の厚さよりも大きくてよい。
【0014】
上面視において、延伸方向におけるコンタクト領域の活性部側の端部と、延伸方向におけるカソード領域の外周端側の端部との延伸方向における距離が、延伸方向におけるコンタクト領域の外周端側の端部と、延伸方向における終端領域の活性部側の端部との延伸方向における距離よりも大きくてよい。
【0015】
上面視において、延伸方向におけるコンタクト領域の活性部側の端部と、延伸方向におけるカソード領域の外周端側の端部との延伸方向における距離が、半導体基板の厚さよりも大きくてよい。
【0016】
上面視において、延伸方向におけるコンタクト領域の活性部側の端部と、延伸方向におけるカソード領域の外周端側の端部との延伸方向における距離が、100μm以上であってよい。
【0017】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1a】本実施形態に係る半導体装置100の上面の一例を示す図である。
【
図1d】
図1bにおけるa-a'断面の一例を示す図である。
【
図2a】本実施形態に係る半導体装置100の他の上面の一例を示す図である。
【
図2d】
図2bにおけるb-b'断面の一例を示す図である。
【
図3a】本実施形態に係る半導体装置100の他の上面の一例を示す図である。
【
図3d】
図3bにおけるc-c'断面の一例を示す図である。
【
図4a】第1比較例の半導体装置150の上面を示す図である。
【
図4c】
図4bにおけるz-z'断面の一例を示す図である。
【
図5a】本実施形態に係る半導体装置200の上面の一例を示す図である。
【
図5d】
図5bにおけるd-d'断面の一例を示す図である。
【
図5e】
図5cにおけるe-e'断面の一例を示す図である。
【
図5f】
図5bにおけるf-f'断面の一例を示す図である。
【
図6a】
図5aにおける領域A5の他の拡大図である。
【
図6b】
図6aにおけるg-g'断面の一例を示す図である。
【
図7a】
図5aにおける領域A5の他の拡大図である。
【
図7b】
図7aにおける領域B5'の拡大図である。
【
図7c】
図7bにおけるh-h'断面の一例を示す図である。
【
図7d】
図7bにおけるj-j'断面の一例を示す図である。
【
図8a】第2比較例の半導体装置250の上面を示す図である。
【
図8c】
図8bにおけるk-k'断面の一例を示す図である。
【
図9a】本実施形態に係る半導体装置200の他の上面の一例を示す図である。
【
図9d】
図9bにおけるm-m'断面の一例を示す図である。
【
図9e】
図9cにおけるn-n'断面の一例を示す図である。
【
図11a】本実施形態に係る半導体装置200の他の上面の一例を示す図である。
【
図13a】本実施形態に係る半導体装置200の他の上面の一例を示す図である。
【
図14a】第3比較例の半導体装置260の上面を示す図である。
【
図14c】
図14bにおけるz''-z' ''断面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0020】
本明細書においては、半導体基板の深さ方向と平行な方向における一方の側を「上」、他方の側を「下」と称する。基板、層またはその他の部材の2つの主面のうち、一方の面を上面、他方の面を下面と称する。「上」、「下」の方向は重力方向、または、半導体装置の実装時における基板等への取り付け方向に限定されない。
【0021】
本明細書では、X軸、Y軸およびZ軸の直交座標軸を用いて技術的事項を説明する場合がある。本明細書では、半導体基板の上面と平行な面をXY面とし、半導体基板の深さ方向をZ軸とする。
【0022】
各実施例においては、第1導電型をN型、第2導電型をP型とした例を示しているが、第1導電型をP型、第2導電型をN型としてもよい。この場合、各実施例における基板、層、領域等の導電型は、それぞれ逆の極性となる。
【0023】
本明細書においてドーピング濃度とは、ドナーまたはアクセプタ化した不純物の濃度を指す。本明細書において、ドナーおよびアクセプタの濃度差をドーピング濃度とする場合がある。また、ドーピングされた領域におけるドーピング濃度分布がピークを有する場合、当該ピーク値を当該ドーピング領域におけるドーピング濃度としてよい。ドーピングされた領域におけるドーピング濃度がほぼ均一な場合等においては、当該ドーピング領域におけるドーピング濃度の平均値をドーピング濃度としてよい。
【0024】
図1aは、本実施形態に係る半導体装置100の上面の一例を示す図である。本例の半導体装置100は、トランジスタ部70およびダイオード部80を備える半導体チップである。トランジスタ部70は、IGBT等のトランジスタを含む。ダイオード部80は、半導体基板10の上面においてトランジスタ部70と隣接して設けられたFWD(Free Wheel Diode)等のダイオードを含む。
【0025】
半導体基板10には、活性部120が設けられる。活性部120は、半導体装置100をオン状態に制御した場合に、半導体基板10の上面と下面との間で主電流が流れる領域である。即ち、半導体基板10の上面から下面、または下面から上面に、半導体基板10の内部を深さ方向に電流が流れる領域である。本明細書では、トランジスタ部70およびダイオード部80をそれぞれ素子部または素子領域と称する。素子部が設けられた領域を活性部120としてよい。
【0026】
なお、半導体基板10の上面視において、2つの素子部に挟まれた領域も活性部120とする。
図1aの例では、素子部に挟まれてゲートランナー48が設けられている領域も活性部120に含めている。活性部120は、半導体基板10の上面視において、エミッタ電極が設けられた領域およびエミッタ電極に挟まれた領域とすることもできる。
図1aの例では、トランジスタ部70およびダイオード部80の上方にエミッタ電極が設けられる。
【0027】
半導体基板10の上面視において、活性部120と半導体基板10の外周端140との間の領域を、エッジ終端構造部90とする。エッジ終端構造部90は、半導体基板10の上面視において、活性部120を囲んで設けられる。エッジ終端構造部90には、半導体装置100と外部の装置とをワイヤ等で接続するための1つ以上の金属のパッドが配置されてよい。半導体装置100は、活性部120を囲んでエッジ終端構造部90を有してよい。エッジ終端構造部90は、半導体基板10の上面側の電界集中を緩和する。エッジ終端構造部90は、例えばガードリング、フィールドプレート、リサーフおよびこれらを組み合わせた構造を有してよい。
【0028】
活性部120には、トランジスタ部70およびダイオード部80が複数設けられてよい。トランジスタ部70とは、活性部120において、半導体基板10の下面に第2導電型のコレクタ領域が設けられた領域を指す。ダイオード部80とは、活性部において、半導体基板10の下面に第1導電型の第2カソード領域82が設けられた領域を指す。本例の第2カソード領域82は、一例としてN+型である。第2カソード領域82は、
図1aの細い実線の枠に示すように、エッジ終端構造部90と接しない範囲に設けられる。また、
図1aの上面視で活性部120を囲うように、ゲート金属層50が設けられてよい。
【0029】
トランジスタ部70およびダイオード部80は、半導体基板10の上面視で、Y軸方向に並んで設けられてよい。本明細書では、トランジスタ部70およびダイオード部80が配列される方向を配列方向(Y軸方向)と称する。ダイオード部80は、Y軸方向においてトランジスタ部70に挟まれて設けられてよい。
【0030】
トランジスタ部70およびダイオード部80は、X軸方向およびY軸方向に複数設けられてよい。
図1aは、トランジスタ部70がX軸方向に2つおよびY軸方向に7つ、並びにダイオード部80がX軸方向に2つおよびY軸方向に6つ設けられる一例を示している。X軸方向において、2つのトランジスタ部70の間には、ゲートランナー48が設けられてよい。
【0031】
ゲート金属層50は、半導体基板10の上面視で、活性部120を囲うように設けられてよい。ゲート金属層50は、エッジ終端構造部90に設けられるゲートパッド116と電気的に接続される。ゲート金属層50は、アルミニウムまたはアルミニウム‐シリコン合金で形成されてよい。ゲート金属層50は、トランジスタ部70に電気的に接続され、トランジスタ部70にゲート電圧を供給する。エッジ終端構造部90には、エミッタ電極と電気的に接続されるエミッタパッド118等のパッドが設けられてよい。
【0032】
本例の半導体装置100は、温度センス部110、温度センス配線112および温度測定用パッド114を備える。温度センス部110は、活性部120の上方に設けられる。温度センス部110は、半導体基板10の上面視で、活性部120の中央に設けられてよい。温度センス部110は、活性部120の温度を検知する。温度センス部110は、単結晶または多結晶のシリコンで形成されるpn型温度センスダイオードであってよい。
【0033】
温度センス配線112は、半導体基板10の上面視で、活性部120の上方に設けられる。温度センス配線112は、温度センス部110と接続される。温度センス配線112は、半導体基板10の上面において活性部120と外周端140との間の領域まで延伸し、温度測定用パッド114と接続される。温度センス配線112は、pn型温度センスダイオードのp型層に電気的に接続するアノード電極の配線112-1と、n型層に電気的に接続するカソード電極の配線112-2とを含んでよい。温度測定用パッド114は、アノードパッド114-1と、カソードパッド114-2とを含んでよい。
【0034】
本例の半導体装置100は、半導体基板10の下面に接して、第1導電型の第1カソード領域83が設けられる。第1カソード領域83は、半導体基板10の上面視において、配列方向(Y軸方向)に直交する延伸方向(X軸方向)においてトランジスタ部70と対向する、エッジ終端構造部90の少なくとも一部に設けられる。本例の第1カソード領域83は、一例としてN+型である。
図1aにおいて、第1カソード領域83が設けられる領域を斜線部で示している。
【0035】
配列方向とは、
図1aに示す半導体基板10の上面視において、トランジスタ部70とダイオード部80が交互に配列する方向、即ちY軸方向を指す。延伸方向とは、トランジスタ部70およびダイオード部80に設けられるトレンチ部が延伸する方向、即ちX軸方向を指す。トレンチ部については、後の
図1cの説明において詳細に述べる。
【0036】
第1カソード領域83は、X軸方向において外周端140から活性部120の一部まで設けられてよい。第1カソード領域83は、エッジ終端構造部90のうち、X軸方向においてダイオード部80と対向する領域には、設けられなくてよいが、設けられてもよい。本例の半導体装置100においては、第1カソード領域83は、エッジ終端構造部90のうち、X軸方向においてダイオード部80と対向する領域の一部にも設けられる。第1カソード領域83は、活性部120のY軸方向正側および負側においてX軸方向に延伸するエッジ終端構造部90にも、設けられてよい。
【0037】
図1bは、
図1aにおける領域A1の拡大図である。領域A1は、
図1aの上面視で、2つのトランジスタ部70および当該2つのトランジスタ部70に挟まれるダイオード部80、並びに当該2つのトランジスタ部70および当該ダイオード部80にX軸方向に対向するエッジ終端構造部90を含む領域である。なお、
図1bにおいては、図面の視認性のため、
図1aにおける第1カソード領域83を表す斜線部を省略して示している。
図1bにおいては、第1カソード領域83の領域を、斜線部の代わりに破線部および矢印にて示している。
【0038】
図1bに示す通り、本例の半導体装置100には、活性部120とエッジ終端構造部90が設けられる。X軸方向において、第2導電型のウェル領域11が、活性部120とエッジ終端構造部90に挟まれて設けられる。
【0039】
エッジ終端構造部90には、第2導電型のガードリング92および外周端に接した第1導電型のチャネルストッパ174が設けられる。本例のガードリング92は、一例としてP+型である。また、本例のチャネルストッパ174は、一例としてN+型である。ガードリング92は、X軸方向負側から正側に向かって、複数設けられてよい。本例においては、一例としてガードリング92-1~ガードリング92-5の5つが設けられる。
【0040】
ガードリング92は、
図1aの上面視で、エッジ終端構造部90に活性部120を囲うように設けられてよい。最内周のガードリング92-1は、ガードリング92-2~ガードリング92-5に囲われてよい。最外周のガードリング92-5は、ガードリング92-1~92-4を囲ってよい。5つのガードリング92-1~ガードリング92-5のドーピング濃度は、等しくてよい。
【0041】
本例の半導体装置100は、
図1bに示す通り、トランジスタ部70において、半導体基板10の上面に露出するゲートトレンチ部40およびダミートレンチ部30が設けられる。また、ダイオード部80において、半導体基板10の上面に露出するダミートレンチ部30が設けられる。ゲートトレンチ部40およびダミートレンチ部30は、半導体基板10の上面視において、延伸方向(本例ではX軸方向)に延伸している。
【0042】
トランジスタ部70においては、1つ以上のゲートトレンチ部40および1つ以上のダミートレンチ部30が設けられる。ゲートトレンチ部40は、延伸方向に延伸する2つの延伸部分39と、2つの延伸部分39を接続する接続部分41を有してよい。ダミートレンチ部30は、延伸方向に延伸する2つの延伸部分29と、2つの延伸部分39を接続する接続部分31を有してよい。トランジスタ部70において、1つ以上のゲートトレンチ部40および1つ以上のダミートレンチ部30は、所定の配列方向(本例ではY軸方向)に沿って所定の間隔で配列される。トランジスタ部70において、少なくとも一つのダミートレンチ部30が、ゲートトレンチ部40のそれぞれの延伸部分39の間に設けられてよい。
【0043】
ダイオード部80においては、1つ以上のダミートレンチ部30が設けられる。ダミートレンチ部30は、延伸方向に延伸する2つの延伸部分29と、2つの延伸部分39を接続する接続部分31を有してよい。ダイオード部80においては、1つ以上のダミートレンチ部30は、所定の配列方向(本例ではY軸方向)に沿って所定の間隔で配列される。
【0044】
半導体基板10の上面の上方には、エミッタ電極52およびゲート金属層50が設けられる。エミッタ電極52およびゲート金属層50は、互いに分離して設けられる。エミッタ電極52およびゲート金属層50は、トランジスタ部70およびダイオード部80の双方に設けられる。エミッタ電極52は、ゲートトレンチ部40、ダミートレンチ部30、ウェル領域11、エミッタ領域12、ベース領域14、第1コンタクト領域13、第2コンタクト領域19および第3コンタクト領域15の上方に設けられる。
【0045】
エミッタ電極52およびゲート金属層50と、半導体基板10の上面との間には、層間絶縁膜が設けられるが、
図1bでは省略している。本例の層間絶縁膜には、コンタクトホール56、コンタクトホール49およびコンタクトホール54が、当該層間絶縁膜を貫通して設けられる。
【0046】
エミッタ電極52は、コンタクトホール56を通って、ダミートレンチ部30内のダミー導電部と接続される。エミッタ電極52とダミー導電部との間には、不純物がドープされたポリシリコン等の、導電性を有する材料で形成された接続部25が設けられてよい。接続部25と半導体基板10の上面との間には、酸化膜等の絶縁膜が設けられる。
【0047】
ゲート金属層50は、コンタクトホール49を通って、ゲートランナー48と接触する。ゲートランナー48は、不純物がドープされたポリシリコン等で形成される。ゲートランナー48は、半導体基板10の上面において、ゲートトレンチ部40内のゲート導電部と接続される。ゲートランナー48は、ダミートレンチ部30内のダミー導電部とは接続されない。本例のゲートランナー48は、コンタクトホール49の下方から、ゲートトレンチ部40の先端部まで設けられる。ゲートランナー48と半導体基板10の上面との間には、酸化膜等の絶縁膜が設けられる。ゲートトレンチ部40の先端部においてゲート導電部は半導体基板10の上面に露出しており、ゲートランナー48と接触する。
【0048】
エミッタ電極52およびゲート金属層50は、金属を含む材料で形成される。例えば、各電極の少なくとも一部の領域はアルミニウムまたはアルミニウム‐シリコン合金で形成される。各電極は、アルミニウム等で形成された領域の下層にチタンやチタン化合物等で形成されたバリアメタルを有してよく、コンタクトホール内においてタングステン等で形成されたプラグを有してもよい。
【0049】
トランジスタ部70において、コンタクトホール54は、半導体基板10の上方にトランジスタ部70に重なって設けられる。コンタクトホール54は、第1コンタクト領域13、第3コンタクト領域15およびエミッタ領域12の各領域の上方に設けられる。トランジスタ部70においては、いずれのコンタクトホール54も、X軸方向負側に配置されたベース領域14およびウェル領域11の上方には配置されない。
【0050】
ダイオード部80において、コンタクトホール54は、半導体基板10の上方にダイオード部80に重なって設けられる。コンタクトホール54は、ベース領域14および第2コンタクト領域19の各領域の上方に設けられる。
【0051】
半導体基板10の上面と平行な方向において、各トレンチ部に隣接してメサ部が設けられる。メサ部とは、隣り合う2つのトレンチ部に挟まれた半導体基板10の部分であって、半導体基板10の上面から、各トレンチ部の最も深い底部の深さまでの部分であってよい。本例の半導体装置100において、トランジスタ部70においては、ゲートトレンチ部40とダミートレンチ部30とに挟まれる領域をメサ部としてよい。ダイオード部80においては、ダミートレンチ部30に挟まれる領域をメサ部としてよい。
【0052】
トランジスタ部70においては、Y軸方向においてダイオード部80と隣接する領域に、第2メサ部62が設けられる。トランジスタ部70において、第2メサ部62を除く、各トレンチ部に挟まれる領域には、第1メサ部60が設けられる。ダイオード部80においては、各トレンチ部に挟まれる領域には第3メサ部64が設けられる。
【0053】
第1メサ部60、第2メサ部62および第3メサ部64におけるX軸方向における両端部には、半導体基板10の上面に露出した第2導電型のベース領域14-eが設けられる。ベース領域14-eよりもエッジ終端構造部90側には、ベース領域14-eに隣接してウェル領域11が設けられる。ベース領域14-eのドーピング濃度は、ウェル領域11のドーピング濃度よりも低い。
【0054】
第1メサ部60において、ベース領域14-eに対してX軸方向におけるウェル領域11の反対側には、ベース領域14-eに隣接して第1コンタクト領域13が設けられる。第2メサ部62において、ベース領域14-eに対してX軸方向におけるウェル領域11の反対側には、ベース領域14-eに隣接して第3コンタクト領域15が設けられる。第2メサ部62において、第3コンタクト領域15は、X軸方向における両端部に設けられるベース領域14-eに挟まれて設けられてよい。また、第3メサ部64において、ベース領域14-eに対してX軸方向におけるウェル領域11の反対側には、ベース領域14-eに隣接して第2コンタクト領域19が設けられる。
【0055】
第1コンタクト領域13、第2コンタクト領域19および第3コンタクト領域15は、一例としてP+型である。第1コンタクト領域13、第2コンタクト領域19および第3コンタクト領域15のドーピング濃度は、ベース領域14-eのドーピング濃度よりも高い。第1コンタクト領域13、第2コンタクト領域19および第3コンタクト領域15のドーピング濃度は、等しくてよい。
【0056】
第1メサ部60の上面には、ゲートトレンチ部40およびダミートレンチ部30と接して第1導電型のエミッタ領域12が設けられる。本例のエミッタ領域12は、一例としてN+型である。また、第1メサ部60の上面には、ゲートトレンチ部40およびダミートレンチ部30と接して第3コンタクト領域15が設けられる。エミッタ領域12および第3コンタクト領域15は、ダミートレンチ部30には接しないで設けられてもよい。
【0057】
第1メサ部60において、エミッタ領域12および第3コンタクト領域15は、ゲートトレンチ部40およびダミートレンチ部30の延伸方向(X軸方向)に交互に隣接して設けられてよい。第1メサ部60において、第1コンタクト領域13は、X軸方向においてベース領域14-eに最も近いコンタクト領域である。第1コンタクト領域13は、ベース領域14-eと、最もエッジ終端構造部90側に設けられるエミッタ領域12とに挟まれて設けられてよい。第1コンタクト領域13は、ベース領域14-eと接して設けられてもよい。
【0058】
第1メサ部60の上面において、エミッタ領域12、第1コンタクト領域13および第3コンタクト領域15は、コンタクトホール54の下方にも設けられている。即ち、本例においては、エミッタ領域12、第1コンタクト領域13および第3コンタクト領域15は、第1メサ部60の上面において、第1メサ部60を挟むゲートトレンチ部40およびダミートレンチ部30の双方に接し、当該ゲートトレンチ部40から当該ダミートレンチ部30にわたり、Y軸方向に連続して設けられている。半導体基板10の上面において、第1メサ部60のY軸方向の幅と、第1メサ部60に設けられたエミッタ領域12、第1コンタクト領域13および第3コンタクト領域15のY軸方向の幅は等しい。
【0059】
第2メサ部62の上面において、第3コンタクト領域15は、コンタクトホール54の下方にも設けられている。即ち、本例においては、第3コンタクト領域15は、第2メサ部62の上面において、第2メサ部62を挟むゲートトレンチ部40およびダミートレンチ部30の双方に接し、ゲートトレンチ部40からダミートレンチ部30にわたり、Y軸方向に連続して設けられている。半導体基板10の上面において、第2メサ部62のY軸方向の幅と、第2メサ部62に設けられた第3コンタクト領域15のY軸方向の幅は等しい。
【0060】
第3メサ部64の上面には、ダミートレンチ部30と接してベース領域14が設けられる。本例のベース領域14は、一例としてP-型である。第3メサ部64において、第2コンタクト領域19は、ベース領域14-eとベース領域14とに挟まれて設けられてよい。なお、後の
図5dの説明において述べるように、ベース領域14-eは、ベース領域14のうち、X軸方向においてウェル領域11と第1コンタクト領域13とに挟まれた領域において半導体基板10の上面に露出した領域である。
【0061】
第3メサ部64の上面において、ベース領域14は、コンタクトホール54の下方にも設けられている。即ち、本例においては、ベース領域14は、第3メサ部64の上面において、第3メサ部64を挟む2本のダミートレンチ部30の双方に接し、一方のダミートレンチ部30から他方のダミートレンチ部30にわたり、Y軸方向に連続して設けられている。半導体基板10の上面において、第3メサ部64のY軸方向の幅と、第3メサ部64に設けられたベース領域14のX軸方向の幅は等しい。なお、第3メサ部64には、エミッタ領域12が設けられなくてよく、設けられてもよい。本例では、エミッタ領域12が設けられない。
【0062】
以上に説明した通り、本明細書においては、第1コンタクト領域13とは、X軸方向において、トランジスタ部70におけるベース領域14-eに最も近いコンタクト領域を指す。第2コンタクト領域19とは、ダイオード部80において、X軸方向にベース領域14-eとベース領域14とに挟まれて設けられるコンタクト領域を指す。第3コンタクト領域15とは、トランジスタ部70における第1メサ部60において、第1コンタクト領域13よりも活性部120の中央側(X軸方向負側)に、エミッタ領域12と交互に設けられるコンタクト領域を指す。また、第3コンタクト領域15とは、トランジスタ部70における第2メサ部62において、活性部120の中央側に、ベース領域14-eに隣接して設けられるコンタクト領域をも指す。
【0063】
ダイオード部80には、半導体基板10の下面側において、第1導電型の第2カソード領域82が設けられる。本例の第2カソード領域82は、一例としてN+型である。
図1bにおいて、半導体基板10の上面視で第2カソード領域82が設けられる領域を、一点鎖線で示している。第2カソード領域82を半導体基板10の上面に投影した領域は、ウェル領域11からX軸方向負側に離れていてよい。半導体基板10の下面に隣接する領域において第2カソード領域82が設けられていない領域には、第2導電型のコレクタ領域が設けられてよい。
【0064】
トランジスタ部70には、半導体基板10の下面側において、第2導電型のコレクタ領域が設けられる。本例のコレクタ領域は、一例としてP+型である。半導体基板10の下面側において、トランジスタ部70におけるコレクタ領域は、ダイオード部80におけるコレクタ領域とつながっていてよい。
【0065】
トランジスタ部70においては、エミッタ領域12、第1コンタクト領域13および第3コンタクト領域15の下方に、ゲートトレンチ部40に接して、第1導電型の蓄積領域16が設けられてよい。本例の蓄積領域16は、一例としてP+型である。蓄積領域16は、それぞれのトレンチ部の下端よりも上方に配置されてよい。蓄積領域16を設けることで、キャリアの注入促進効果(IE効果)を高めて、オン電圧を低減することができる。
図1bにおいて、蓄積領域16が設けられる範囲を破線で示している。
【0066】
ダイオード部80においては、ベース領域14および第2コンタクト領域19の下方に、ダミートレンチ部30に接して蓄積領域16が設けられてよい。蓄積領域16は、それぞれのトレンチ部の下端よりも上方に配置されてよい。
図1bにおいて、蓄積領域16が設けられる範囲を一点鎖線で示している。ダイオード部80においては、蓄積領域16は設けられなくてもよい。なお、
図1bにおいては、トランジスタ部70およびダイオード部80において、各トレンチ部の領域も当該鎖線が横切っているが、蓄積領域16は、各トレンチ部と重なる領域には形成されなくてよい。
【0067】
第1カソード領域83は、エッジ終端構造部90のうちトランジスタ部70とX軸方向に対向する領域に設けられる。第1カソード領域83は、エッジ終端構造部90のうちダイオード部80とX軸方向に対向する領域の一部にも設けられてよい。第1カソード領域83の活性部120側の端部Eは、
図1bの上面視で、第1コンタクト領域13、第2コンタクト領域19および第3コンタクト領域15と重なっていてよい。即ち、第1カソード領域83は、X軸方向において、エッジ終端構造部90から活性部120における端部Eまで、延伸して設けられてよい。第1カソード領域83は、X軸方向において、端部Eから外周端140まで設けられてよい。
【0068】
図1cは、
図1bにおける領域B1の拡大図である。
図1cは、Y軸方向において、ダイオード部80とトランジスタ部70が隣接する領域を拡大して示している。第1メサ部60、第2メサ部62および第3メサ部64におけるX軸方向における両端部には、半導体基板10の上面に露出した第2導電型のベース領域14-eが設けられる。ベース領域14-eよりもエッジ終端構造部90側には、ベース領域14-eに隣接してウェル領域11が設けられる。
【0069】
第1メサ部60において、ベース領域14-eに対してX軸方向におけるウェル領域11の反対側には、ベース領域14-eに隣接して第1コンタクト領域13が設けられる。第2メサ部62において、ベース領域14-eに対してX軸方向におけるウェル領域11の反対側には、ベース領域14-eに隣接して第3コンタクト領域15が設けられる。第3メサ部64において、ベース領域14-eに対してX軸方向におけるウェル領域11の反対側には、ベース領域14-eに隣接して第2コンタクト領域19が設けられる。
【0070】
第1メサ部60の上面には、ゲートトレンチ部40およびダミートレンチ部30と接してエミッタ領域12および第3コンタクト領域15が設けられる。第2メサ部62の上面には、ダミートレンチ部30に接して第3コンタクト領域15が設けられる。第3メサ部64の上面には、ダミートレンチ部30に接してベース領域14が設けられる。
【0071】
蓄積領域16は、トランジスタ部70において、エミッタ領域12、第1コンタクト領域13および第3コンタクト領域15の下方に設けられる。また、蓄積領域16は、ダイオード部80において、ベース領域14および第2コンタクト領域19の下方に設けられてよい。
【0072】
第2カソード領域82は、ダイオード部80において半導体基板10の下面に設けられる。第2カソード領域82は、ウェル領域11からX軸方向負側に離れて設けられてよい。
【0073】
以上に説明した通り、本明細書においては、第1カソード領域83とは、エッジ終端構造部90に設けられるカソード領域を指す。第1カソード領域83は、エッジ終端構造部90から活性部120の一部まで、X軸方向に延伸していてもよい。第2カソード領域82とは、活性部120に設けられるカソード領域を指す。
【0074】
半導体基板10の上面視において、X軸方向における第1カソード領域83の活性部120側の端部Eは、X軸方向におけるエミッタ領域12の外周端140側の端部X1よりも、X軸方向における外周端140側に設けられてよい。また、半導体基板10の上面視において、第1コンタクト領域13の少なくとも一部と、第1カソード領域83の少なくとも一部は、X軸方向において重なっていてよい。即ち、第1カソード領域83の端部Eは、X軸方向において、第1コンタクト領域13、第2コンタクト領域19および第2メサ部62における第3コンタクト領域15の外周端140側の端部X2と、X1との間に設けられてよい。第1カソード領域83の端部Eは、
図1cの上面視で、コンタクトホール54のX軸方向正側の端と一致してよい。
【0075】
第1カソード領域83は、Y軸方向において、エッジ終端構造部90のうちトランジスタ部70とX軸方向に対向する領域から、ダイオード部80とX軸方向に対向する領域の一部にわたって設けられてよい。第1カソード領域83は、ダイオード部80とX軸方向に対向する領域の他の一部には、設けられなくてよい。第1カソード領域83のドーピング濃度は、第2カソード領域82のドーピング濃度と等しくてよい。
【0076】
図1dは、
図1bにおけるa-a'断面の一例を示す図である。a-a'断面は、チャネルストッパ174、ガードリング92、ウェル領域11、ゲートトレンチ部40、ダミートレンチ部30、ベース領域14-e、第1コンタクト領域13、エミッタ領域12および第3コンタクト領域15を通るXZ面である。また、a-a'断面は、半導体基板10の上面21の上方において、コンタクトホール54およびコンタクトホール56を通るXZ面である。
【0077】
本例の半導体装置100は、a-a'断面において、半導体基板10、層間絶縁膜38、ゲートランナー48、接続部25、エミッタ電極52、ゲート金属層50、フィールドプレート94およびコレクタ電極24を有する。エミッタ電極52およびフィールドプレート94は、半導体基板10の上面21および層間絶縁膜38の上面に設けられる。
【0078】
コレクタ電極24は、半導体基板10の下面23に設けられる。エミッタ電極52およびコレクタ電極24は、金属等の導電材料で形成される。本明細書において、エミッタ電極52とコレクタ電極24とを結ぶ方向を深さ方向(Z軸方向)と称する。
【0079】
半導体基板10は、シリコン基板であってよく、炭化シリコン基板であってよく、窒化ガリウム等の窒化物半導体基板または酸化ガリウム基板等であってもよい。本例の半導体基板10はシリコン基板である。
【0080】
半導体基板10は、第1導電型のドリフト領域18を備える。本例のドリフト領域18は、一例としてN-型である。ドリフト領域18は、半導体基板10において、他のドーピング領域が設けられずに残存した領域であってよい。
【0081】
活性部120において、ドリフト領域18の上方には、一つ以上の蓄積領域16が設けられてよい。
図1dに示す半導体装置100は、蓄積領域16が、Z軸方向に一つ設けられる一例を示している。蓄積領域16が複数設けられる場合は、それぞれの蓄積領域16はZ軸方向に並んで配置されてよい。蓄積領域16のドーピング濃度は、ドリフト領域18のドーピング濃度よりも高い。蓄積領域16を設けることで、キャリアの注入促進効果(IE効果)を高めて、オン電圧を低減することができる。
【0082】
活性部120において、蓄積領域16の上方にはベース領域14が設けられる。ベース領域14の上方には、半導体基板10の上面21に接して、エミッタ領域12、第1コンタクト領域13および第3コンタクト領域15が設けられる。エミッタ領域12および第3コンタクト領域15は、X軸方向に交互に設けられてよい。なお、ベース領域14-eは、ベース領域14のうち、X軸方向においてウェル領域11と第1コンタクト領域13とに挟まれた領域において上面21に露出した領域である。
【0083】
エッジ終端構造部90には、上面21に接してガードリング92が設けられる。また、エッジ終端構造部90には、上面21および外周端140に接して、チャネルストッパ174が設けられる。
【0084】
X軸方向において、活性部120とエッジ終端構造部90との間には、ウェル領域11が設けられる。a-a'断面において、ウェル領域11にはゲートトレンチ部40およびダミートレンチ部30が設けられる。a-a'断面におけるゲートトレンチ部40の断面は、
図1bの上面視におけるゲートトレンチ部40の接続部分41の断面である。a-a'断面におけるダミートレンチ部30の断面は、
図1bの上面視におけるダミートレンチ部30の接続部分31の断面である。ゲート導電部は、ゲートランナー48と接続される。ダミー導電部は、接続部25と接続される。ウェル領域11は、ゲートトレンチ部40およびダミートレンチ部30よりも、Z軸方向に深くまで設けられてよい。
【0085】
ドリフト領域18の下方には、第1導電型のバッファ領域20が設けられてよい。本例のバッファ領域20は、一例としてN+型である。バッファ領域20のドーピング濃度は、ドリフト領域18のドーピング濃度よりも高い。バッファ領域20は、ベース領域14の下面側から広がる空乏層が、P+型のコレクタ領域22およびN+型の第2カソード領域82に到達することを防ぐフィールドストップ層として機能してよい。
【0086】
半導体基板10の下面23には、コレクタ領域22および第1カソード領域83が設けられる。第1カソード領域83のドーピング濃度は、ドリフト領域18のドーピング濃度よりも高くてよい。第1カソード領域83は、端部Eにおいてコレクタ領域22と接してよい。
【0087】
X軸方向において、第1カソード領域83の端部Eは、エミッタ領域12の外周端140側の端部X1よりも、外周端140側に設けられてよい。また、半導体基板10の上面視において、第1コンタクト領域13の少なくとも一部と、第1カソード領域83の少なくとも一部は、X軸方向において重なっていてよい。即ち、第1カソード領域83の端部Eは、X軸方向において、第1コンタクト領域13の外周端140側の端部X2と、X1との間に設けられてよい。第1カソード領域83の端部Eは、コンタクトホール54のX軸方向正側の端と一致してよい。
【0088】
本例の半導体装置100は、トランジスタ部70において、第1コンタクト領域13からエッジ終端構造部90にかけて、下面23に第1導電型(N+型)の第1カソード領域83が設けられる。このため、トランジスタ部70のターンオフ時に、第1コンタクト領域13のエッジ終端構造部90側の端部において、エッジ終端構造部90における下面23側から注入されるキャリア(本例の場合は正孔)の増加を、抑制することができる。このため、トランジスタ部70のターンオフ耐量を向上させることができる。
【0089】
図2aは、本実施形態に係る半導体装置100の他の上面の一例を示す図である。本例の半導体装置100は、
図1aに示す半導体装置100において、第1カソード領域83の活性部120側の端部が、
図1aに示す半導体装置100よりも外周端140側に設けられる点で、
図1aに示す半導体装置100と異なる。
【0090】
図2bは、
図2aにおける領域A2の拡大図である。領域A2は、
図2aの上面視で、2つのトランジスタ部70および当該2つのトランジスタ部70に挟まれるダイオード部80、並びに当該2つのトランジスタ部70および当該ダイオード部80にX軸方向に対向するエッジ終端構造部90を含む領域である。なお、
図2bにおいては、図面の視認性のため、
図2aにおける第1カソード領域83を表す斜線部を省略して示している。
図2bにおいては、第1カソード領域83の領域を、斜線部の代わりに破線部および矢印にて示している。
【0091】
本例の半導体装置100において、第1カソード領域83は、X軸方向においてトランジスタ部70およびダイオード部80と対向する、エッジ終端構造部90の全体に設けられる。第1カソード領域83の活性部120側の端部Eは、
図2bの上面視で、ウェル領域11と重なっていてよい。第1カソード領域83は、X軸方向において、端部Eから外周端140まで設けられてよい。
【0092】
図2cは、
図2bにおける領域B2の拡大図である。
図3cは、Y軸方向において、ダイオード部80とトランジスタ部70が隣接する領域を拡大して示している。
【0093】
本例の半導体装置100は、
図2cに示す通り、半導体基板10の上面視において、X軸方向における第1カソード領域83の活性部120側の端部Eは、X軸方向におけるエミッタ領域12の外周端140側の端部X1よりも、X軸方向における外周端140側に設けられる。本例の半導体装置100は、
図2cの上面視において、X軸方向における第1カソード領域83の活性部120側の端部Eは、ウェル領域11と重なる。即ち、端部Eは、ウェル領域11のX軸方向負側の端部X3よりも、X軸方向正側に設けられ、ウェル領域11の下方に設けられる。
【0094】
図2dは、
図2bにおけるb-b'断面の一例を示す図である。本例の半導体装置100におけるb-b'断面の構成は、
図1dに示すa-a'断面の構成において、端部Eがウェル領域11のX軸方向負側の端部X3と、X軸方向正側の端部X4とのX軸方向における間に設けられる点で、
図1dに示すa-a'断面の構成と異なる。即ち、本例において、端部EはZ軸方向においてウェル領域11と重なる。
【0095】
本例の半導体装置100は、トランジスタ部70において、第1コンタクト領域13からエッジ終端構造部90にかけて、下面23に第1導電型の第1カソード領域83が設けられる。このため、トランジスタ部70の動作時において、エッジ終端構造部90における下面23側から第1コンタクト領域13にかけて移動するキャリア(本例の場合は正孔)を、抑制することができる。このため、トランジスタ部70のターンオフ耐量を向上させることができる。
【0096】
図3aは、本実施形態に係る半導体装置100の他の上面の一例を示す図である。本例の半導体装置100は、
図1aに示す半導体装置100において、第1カソード領域83が、X軸方向においてトランジスタ部70およびダイオード部80と対向する、エッジ終端構造部90の全体に設けられる点で、
図1aに示す半導体装置100と異なる。本例において、第1カソード領域83は、
図3aの上面視で、活性部120を囲うように設けられてよい。また、本例の半導体装置100は、
図1aに示す半導体装置100において、
図3aの上面視で第2カソード領域82がゲートランナー48のX軸方向正側から負側にわたり、X軸方向に連続して設けられる点で、
図1aに示す半導体装置100と異なる。
【0097】
図3bは、
図3aにおける領域A3の拡大図である。領域A3は、
図3aの上面視で、2つのトランジスタ部70および当該2つのトランジスタ部70に挟まれるダイオード部80、並びに当該2つのトランジスタ部70および当該ダイオード部80にX軸方向に対向するエッジ終端構造部90を含む領域である。なお、
図3bにおいては、図面の視認性のため、
図3aにおける第1カソード領域83を表す斜線部を省略して示している。
図3bにおいては、第1カソード領域83の領域を、斜線部の代わりに破線部および矢印にて示している。
【0098】
本例の半導体装置100において、第1カソード領域83は、X軸方向においてトランジスタ部70およびダイオード部80と対向する、エッジ終端構造部90の全体に設けられる。第1カソード領域83の活性部120側の端部Eは、
図1bの上面視で、第1コンタクト領域13、第2コンタクト領域19および第3コンタクト領域15と重なっていてよい。即ち、第1カソード領域83は、X軸方向において、エッジ終端構造部90から活性部120における端部Eまで、延伸して設けられてよい。第1カソード領域83は、X軸方向において、端部Eから外周端140まで設けられてよい。
【0099】
図3cは、
図3bにおける領域B3の拡大図である。
図3cは、Y軸方向において、ダイオード部80とトランジスタ部70が隣接する領域を拡大して示している。本例の半導体装置100において、第1カソード領域83は、X軸方向においてトランジスタ部70およびダイオード部80と対向する、エッジ終端構造部90の全体に設けられる。
【0100】
半導体基板10の上面視において、X軸方向における第1カソード領域83の活性部120側の端部Eは、X軸方向におけるエミッタ領域12の外周端140側の端部X1よりも、X軸方向における外周端140側に設けられてよい。また、半導体基板10の上面視において、第1コンタクト領域13の少なくとも一部と、第1カソード領域83の少なくとも一部は、X軸方向において重なっていてよい。即ち、第1カソード領域83の端部Eは、X軸方向において、第1コンタクト領域13、第2コンタクト領域19および第2メサ部62における第3コンタクト領域15の外周端140側の端部X2と、X1との間に設けられてよい。第1カソード領域83の端部Eは、
図3cの上面視で、コンタクトホール54のX軸方向正側の端と一致してよい。
【0101】
本例の半導体装置100において、第1カソード領域83は、X軸方向においてトランジスタ部70およびダイオード部80と対向する、エッジ終端構造部90の全体に設けられる。第1カソード領域83のドーピング濃度は、第2カソード領域82のドーピング濃度と等しくてよい。
【0102】
図3dは、
図3bにおけるc-c'断面の一例を示す図である。本例の半導体装置100におけるc-c'断面の構成は、
図1dに示す半導体装置100におけるa-a'断面の構成に等しい。
【0103】
本例の半導体装置100は、トランジスタ部70において、第1コンタクト領域13からエッジ終端構造部90にかけて、下面23に第1導電型の第1カソード領域83が設けられる。このため、トランジスタ部70の動作時において、エッジ終端構造部90における下面23側から第1コンタクト領域13にかけて移動するキャリア(本例の場合は正孔)を、抑制することができる。このため、トランジスタ部70のターンオフ耐量を向上させることができる。
【0104】
図4aは、第1比較例の半導体装置150の上面を示す図である。第1比較例の半導体装置150は、
図1aおよび
図3aに示す半導体装置100において、第1カソード領域83が設けられない点で、
図1aおよび
図3aに示す半導体装置100と異なる。
【0105】
図4bは、
図4aにおける領域A4の拡大図である。
図4bに示す通り、第1比較例の半導体装置150は、第1カソード領域83が設けられない。第1比較例の半導体装置150において、
図1bおよび
図3bに示す半導体装置100において第1カソード領域83が設けられる領域には、コレクタ領域22が設けられる。当該コレクタ領域22は、トランジスタ部70の下面23に設けられるコレクタ領域22が延伸していてよい。
【0106】
図4cは、
図4bにおけるz-z'断面を示す図である。
図4cに示す通り、第1比較例の半導体装置150は、下面23にコレクタ領域22が設けられる。コレクタ領域22は、活性部120からエッジ終端構造部90の外周端140まで、X軸方向に設けられる。
【0107】
第1比較例の半導体装置150は、トランジスタ部70において、第1コンタクト領域13からエッジ終端構造部90にかけて、下面23に第1導電型(N+型)の第1カソード領域83が設けられず、第2導電型(P+型)のコレクタ領域22が設けられる。このため、トランジスタ部70の動作時において、エッジ終端構造部90におけるコレクタ領域22から、第1コンタクト領域13のエッジ終端構造部90側の端部にかけて移動するキャリア(正孔)が増加してしまう。このため、トランジスタ部70のターンオフ耐量が低下してしまう。
【0108】
図5aは、本実施形態に係る半導体装置200の上面の一例を示す図である。本例の半導体装置200は、
図3aに示す半導体装置100において、第1カソード領域83が設けられない点で、
図3aに示す半導体装置100と異なる。
【0109】
図5bは、
図5aにおける領域A5の拡大図である。領域A5は、
図5aの上面視で、2つのトランジスタ部70および当該2つのトランジスタ部70に挟まれるダイオード部80、並びに当該2つのトランジスタ部70および当該ダイオード部80にX軸方向に対向するエッジ終端構造部90を含む領域である。
【0110】
本例の半導体装置200は、上面21側に、ダイオード部80から、半導体基板10の上面視で配列方向(本例においてはY軸方向)に直交する延伸方向(本例においてはX軸方向)においてダイオード部80と対向する、エッジ終端構造部90の少なくとも一部にわたって、ライフタイムキラーを含むライフタイム制御領域72が設けられる。即ち、本例においては、ライフタイム制御領域72は、
図5bの上面視で、X軸方向において、第2カソード領域82の端部X6よりもX軸方向負側からエッジ終端構造部90まで、設けられる。本例においては、X軸方向において、一例としてガードリング92-2の位置まで設けられる。位置X8は、ライフタイム制御領域72のエッジ終端構造部90側の端部位置である。
【0111】
ライフタイム制御領域72は、Y軸方向において、ダイオード部80から、当該ダイオード部80に隣接するトランジスタ部70の一部まで、設けられてよい。本例においては、ライフタイム制御領域72は、トランジスタ部70のダミートレンチ部30のうち、ゲートトレンチ部40とダイオード部80とのY軸方向における間に設けられるダミートレンチ部30まで、設けられる。即ち、ライフタイム制御領域72は、第2カソード領域82のY軸方向正側の端部Y2と、位置Y1で示されるダミートレンチ部30との間から、第2カソード領域82のY軸方向負側の端部Y2'と、位置Y1'で示されるダミートレンチ部30との間まで、Y軸方向に設けられる。
図5bにおいて、ライフタイム制御領域72が設けられる範囲を、矢印で示している。
【0112】
本例の半導体装置200は、ダイオード部80において、下面23側に第2導電型の第1フローティング領域17が設けられる。
図5bにおいて、上面視における第1フローティング領域17の位置を、破線部にて示している。端部X5は、第1フローティング領域17のX軸方向負側の端部である。端部X7は、第1フローティング領域17のX軸方向正側の端部である。本例の第1フローティング領域17は、一例としてP+型である。第1フローティング領域17のドーピング濃度は、ベース領域14のドーピング濃度よりも高くてよい。
【0113】
図5cは、
図5bにおける領域B5の拡大図である。
図5cは、Y軸方向において、ダイオード部80とトランジスタ部70が隣接する領域を拡大して示している。
図5cにおいては、ライフタイム制御領域72が設けられる範囲を、矢印で示している。
【0114】
本例の半導体装置200において、第1フローティング領域17は、
図5cにおける破線部の領域に設けられる。
図5cに示す通り、本例の第1フローティング領域17は、X軸方向において、第2カソード領域82の端部X6と重なって設けられる。即ち、第1フローティング領域17のX軸方向負側の端部X5は、端部X6よりもX軸方向負側に設けられる。また、第1フローティング領域17のX軸方向負側の端部は、端部X6よりもX軸方向正側に設けられる。
【0115】
第1フローティング領域17は、Y軸方向において、第2カソード領域82よりも内側に設けられる。即ち、第1フローティング領域17は、トランジスタ部70には設けられない。
【0116】
図5dは、
図5bにおけるd-d'断面の一例を示す図である。d-d'断面は、チャネルストッパ174、ガードリング92、ウェル領域11、ダミートレンチ部30、ベース領域14-e、第2コンタクト領域19およびベース領域14を通るXZ面である。また、d-d'断面は、半導体基板10の上面の上方において、コンタクトホール54およびコンタクトホール56を通るXZ面である。
【0117】
本例の半導体装置200は、d-d'断面において、半導体基板10、層間絶縁膜38、ゲートランナー48、接続部25、エミッタ電極52、ゲート金属層50、フィールドプレート94およびコレクタ電極24を有する。エミッタ電極52およびフィールドプレート94は、半導体基板10の上面21および層間絶縁膜38の上面に設けられる。コレクタ電極24は、半導体基板10の下面23に設けられる。
【0118】
半導体基板10は、第1導電型のドリフト領域18を備える。ドリフト領域18は、半導体基板10において、他のドーピング領域が設けられずに残存した領域であってよい。
【0119】
活性部120において、ドリフト領域18の上方には、一つ以上の蓄積領域16が設けられてよい。
図5dに示す半導体装置200は、蓄積領域16が、Z軸方向に一つ設けられる一例を示している。蓄積領域16が複数設けられる場合は、それぞれの蓄積領域16はZ軸方向に並んで配置されてよい。なお、本例において、蓄積領域16は設けられなくてもよい。
【0120】
活性部120において、蓄積領域16の上方には、上面21に接してベース領域14が設けられる。第2コンタクト領域19は、上面21に接して設けられる。第2コンタクト領域19は、X軸方向においてベース領域14と重なって設けられる。ベース領域14は、第2コンタクト領域19よりも上面21から深くまで設けられてよい。なお、ベース領域14-eは、ベース領域14のうち、X軸方向においてウェル領域11と第2コンタクト領域19とに挟まれた領域において上面21に露出した領域である。
【0121】
エッジ終端構造部90には、上面21に接してガードリング92が設けられる。また、エッジ終端構造部90には、上面21および外周端140に接して、チャネルストッパ174が設けられる。
【0122】
X軸方向において、活性部120とエッジ終端構造部90との間には、ウェル領域11が設けられる。d-d'断面において、ウェル領域11にはダミートレンチ部30が設けられる。d-d'断面におけるダミートレンチ部30の断面は、
図5bの上面視におけるダミートレンチ部30の接続部分31の断面である。ウェル領域11は、ダミートレンチ部30よりもZ軸方向に深くまで設けられてよい。
【0123】
ドリフト領域18の下方には、第1導電型のバッファ領域20が設けられてよい。本例のバッファ領域20は、一例としてN+型である。バッファ領域20のドーピング濃度は、ドリフト領域18のドーピング濃度よりも高い。
【0124】
半導体基板10の下面23には、第2カソード領域82およびコレクタ領域22が設けられる。第2カソード領域82およびコレクタ領域22は、X軸方向において接して設けられてよい。第2カソード領域82とコレクタ領域22の境界X6は、X軸方向において、第2コンタクト領域19のX軸方向負側の端部X1よりも、X軸方向負側に設けられる。
【0125】
第2カソード領域82およびコレクタ領域22の上方には、第1フローティング領域17が設けられる。第1フローティング領域17は、境界X6の上方に設けられる。即ち、第1フローティング領域17は、X軸方向において、第2カソード領域82からコレクタ領域22まで、連続して設けられる。
【0126】
本例の半導体装置200は、Z軸方向において上面21側に、ライフタイム制御領域72が設けられる。ライフタイム制御領域72は、
図5dに示す通り、X軸方向において、第2コンタクト領域19よりも活性部120からエッジ終端構造部90まで、連続して設けられる。ライフタイム制御領域72は、ウェル領域11の下方に設けられ、X軸方向においてウェル領域11よりも外周端140で終端してよい。即ち、ライフタイム制御領域72のX軸方向正側の端部KXは、X軸方向においてエッジ終端構造部90に位置してよい。
【0127】
位置X8は、端部KXのX軸方向における位置である。本例においては、一例として、位置X8は、半導体基板10の上面視でガードリング92-2とX軸方向において重なる。
【0128】
距離Dwkは、ウェル領域11のエッジ終端構造部90側の端部X4と、位置X8とのX軸方向における距離である。距離Dwkは、200μm以下であってよい。距離Dwkは、より好ましくは100μm以下であってよい。
【0129】
本例の半導体装置200は、半導体基板10の上面視において、ライフタイム制御領域72の少なくとも一部と、第1フローティング領域17の少なくとも一部は、X軸方向において重なってよい。即ち、ライフタイム制御領域72の少なくとも一部は、X軸方向において、第1フローティング領域17のX軸方向負側の端部X5と、X軸方向正側の端部X7との間の少なくとも一部に設けられてよい。本例においては、一例として、ライフタイム制御領域72のX軸方向負側の端部KX'は、X軸方向において、境界X6と、第1フローティング領域17のX軸方向負側の端部X5との間で、終端している。
【0130】
ライフタイム制御領域72は、Z軸方向において、半導体基板10の厚さTの1/2よりも浅い位置に設けられる。ライフタイム制御領域72の上面21からの深さDKは、5μ以上20μm以下であってよい。深さDKは、一例として12μmである。
【0131】
本例の半導体装置200は、第1フローティング領域17が、第2カソード領域82およびコレクタ領域22の上方に設けられる。また、半導体基板10の上面視において、ライフタイム制御領域72の少なくとも一部と、第1フローティング領域17の少なくとも一部が、X軸方向において重なる。このため、第2コンタクト領域19から第2カソード領域82へのキャリア(本例においては正孔)の注入を抑制することができる。このため、ダイオード部80の逆回復耐量を改善することができる。
【0132】
また、本例の半導体装置200は、第1フローティング領域17が、第2カソード領域82およびコレクタ領域22の上方に設けられるので、第2カソード領域82から第2コンタクト領域19およびウェル領域11へのキャリア(本例においては電子)の注入を抑制することができる。このため、ダイオード部80の逆回復耐量を改善することができる。
【0133】
図5eは、
図5cにおけるe-e'断面の一例を示す図である。e-e'断面は、ダイオード部80のY軸方向正側に隣接するトランジスタ部70から、Y軸方向負側に隣接するトランジスタ部70までのYZ断面である。また、e-e'断面は、エミッタ領域12、第2メサ部の第3コンタクト領域15およびダイオード部80のベース領域14を通るYZ断面である。
【0134】
e-e'断面において、ドリフト領域18の上方には蓄積領域16が設けられてよい。第1メサ部60および第2メサ部62において、蓄積領域16の上方にはベース領域14が設けられる。第3メサ部64において、蓄積領域16の上方には、上面21に接してベース領域14が設けられる。第1メサ部60において、ベース領域14の上方には、上面21に接してエミッタ領域12が設けられる。第2メサ部62において、ベース領域14の上方には、上面21に接して第3コンタクト領域15が設けられる。
【0135】
ゲートトレンチ部40は、上面21に形成されたゲートトレンチ、ゲート絶縁膜42およびゲート導電部44を有する。ゲート絶縁膜42は、ゲートトレンチの内壁を覆って形成される。ゲート絶縁膜42は、ゲートトレンチの内壁の半導体を酸化または窒化して形成してよい。ゲート導電部44は、ゲートトレンチの内部においてゲート絶縁膜42よりも内側に形成される。ゲート絶縁膜42は、ゲート導電部44と半導体基板10とを絶縁する。ゲート導電部44は、ポリシリコン等の導電材料で形成される。ゲートトレンチ部40は、上面21において層間絶縁膜38により覆われる。
【0136】
ゲート導電部44は、半導体基板10の深さ方向において、ゲート絶縁膜42を挟んで第1メサ部60側で隣接するベース領域14と対向する領域を含む。ゲート導電部44に所定の電圧が印加されると、ベース領域14のうちゲートトレンチに接する界面の表層に、電子の反転層によるチャネルが形成される。
【0137】
ダミートレンチ部30は、
図5eにおいて、ゲートトレンチ部40と同一の構造を有してよい。ダミートレンチ部30は、上面21側に形成されたダミートレンチ、ダミー絶縁膜32およびダミー導電部34を有する。ダミー絶縁膜32は、ダミートレンチの内壁を覆って形成される。ダミー導電部34は、ダミートレンチの内部に形成され、且つ、ダミー絶縁膜32よりも内側に形成される。ダミー絶縁膜32は、ダミー導電部34と半導体基板10とを絶縁する。ダミートレンチ部30は、上面21において層間絶縁膜38により覆われる。
【0138】
ゲートトレンチ部40およびダミートレンチ部30は、上面21から蓄積領域16を貫通して設けられてよい。ゲートトレンチ部40およびダミートレンチ部30は、上面21からドリフト領域18まで到達するように設けられてよい。
【0139】
e-e'断面において、トランジスタ部70には下面23にコレクタ領域22が設けられる。また、ダイオード部80には下面23に第2カソード領域82が設けられる。
【0140】
本例の半導体装置200は、e-e'断面において、上面21側にライフタイム制御領域72が設けられる。本例において、ライフタイム制御領域72は、第2カソード領域82のY軸方向正側の端部Y2と、位置Y1で示される、トランジスタ部70におけるダミートレンチ部30との間から、第2カソード領域82のY軸方向負側の端部Y2'と、位置Y1'で示される、トランジスタ部70のダミートレンチ部30との間まで、Y軸方向に設けられる。即ち、ライフタイム制御領域72のY軸方向正側の端部KYは、Y軸方向において、端部Y2と位置Y1との間に配置される。ライフタイム制御領域72のY軸方向負側の端部KY'は、Y軸方向において、端部Y2'と位置Y1'との間に配置される。
【0141】
ライフタイム制御領域72は、ゲートトレンチ部40の下方には設けられなくてよい。ライフタイム制御領域72がゲートトレンチ部40の下方に設けられないことで、トランジスタ部70のリーク電流を抑制することができる。
【0142】
図5fは、
図5bにおけるf-f'断面の一例を示す図である。f-f'断面は、
図5eにおけるf''-f'''線を通るXZ面である。f-f'断面は、トランジスタ部70のうち、ダイオード部80に隣接する領域において、チャネルストッパ174、ガードリング92、ウェル領域11、ダミートレンチ部30、ベース領域14-e、第1コンタクト領域13、エミッタ領域12および第3コンタクト領域15を通るXZ面である。また、f-f'断面は、上面21の上方において、コンタクトホール54およびコンタクトホール56を通るXZ面である。
【0143】
本例の半導体装置200は、f-f'断面において、半導体基板10、層間絶縁膜38、ゲートランナー48、接続部25、エミッタ電極52、ゲート金属層50、フィールドプレート94およびコレクタ電極24を有する。エミッタ電極52およびフィールドプレート94は、半導体基板10の上面21および層間絶縁膜38の上面に設けられる。
【0144】
本例の半導体装置200は、f-f'断面において、下面23に接してコレクタ領域22が設けられる。コレクタ領域22は、活性部120から外周端140まで、X軸方向に連続して設けられてよい。また、下面23には、コレクタ電極24が設けられる。
【0145】
f-f'断面において、ライフタイム制御領域72の端部KXは、X軸方向において、
図5dに示すd-d'断面における端部KXと、同じ位置に設けられる。ライフタイム制御領域72の端部KX'は、X軸方向において、
図5dに示すd-d'断面における端部KX'と、同じ位置に設けられる。
【0146】
図6aは、
図5aにおける領域A5の他の拡大図である。領域A5は、
図5aの上面視で、2つのトランジスタ部70および当該2つのトランジスタ部70に挟まれるダイオード部80、並びに当該2つのトランジスタ部70および当該ダイオード部80にX軸方向に対向するエッジ終端構造部90を含む領域である。本例の半導体装置200は、
図6aに示す通り、
図5bに示す半導体装置200において、ライフタイム制御領域72のX軸方向負側の端部が、X軸方向において、端部X1と端部X7との間に配置される点で、
図5bに示す半導体装置100と異なる。
【0147】
図6bは、
図6aにおけるg-g'断面の一例を示す図である。本例の半導体装置200は、g-g'断面において、ライフタイム制御領域72の端部KX'が、端部X1と端部X7とのX軸方向における間に配置される点で、
図5dにおけるd-d'断面と異なる。
【0148】
本例の半導体装置200において、ライフタイム制御領域72は、第2コンタクト領域19の下方に設けられる。即ち、X軸方向において、端部X1と端部X2との間には、ライフタイム制御領域72が設けられる。
【0149】
本例の半導体装置200は、ライフタイム制御領域72が第2コンタクト領域19の下方に設けられるので、第2コンタクト領域19から第2カソード領域82へのキャリア(本例においては正孔)の注入を抑制することができる。このため、ダイオード部80の逆回復耐量を改善することができる。
【0150】
図7aは、
図5aにおける領域A5の他の拡大図である。領域A5は、
図5aの上面視で、2つのトランジスタ部70および当該2つのトランジスタ部70に挟まれるダイオード部80、並びに当該2つのトランジスタ部70および当該ダイオード部80にX軸方向に対向するエッジ終端構造部90を含む領域である。本例の半導体装置200は、
図7aに示す通り、
図5bに示す半導体装置200において、ライフタイム制御領域72が設けられない点で、
図5bに示す半導体装置200と異なる。
【0151】
図7bは、
図7aにおける領域B5'の拡大図である。
図7bは、Y軸方向において、ダイオード部80とトランジスタ部70が隣接する領域を拡大して示している。本例の半導体装置200は、ライフタイム制御領域72が設けられない。
【0152】
図7cは、
図7bにおけるh-h'断面の一例を示す図である。本例の半導体装置200におけるh-h'断面の構成は、
図5dに示すd-d'断面において、ライフタイム制御領域72が設けられない点で、
図5dに示すd-d'断面の構成と異なる。
【0153】
また、本例の半導体装置200は、第1フローティング領域17が、第2カソード領域82およびコレクタ領域22の上方に設けられるので、第2カソード領域82から第2コンタクト領域19およびウェル領域11へのキャリア(本例においては電子)の注入を抑制することができる。このため、ダイオード部80の逆回復耐量を改善することができる。
【0154】
図7dは、
図7bにおけるj-j'断面の一例を示す図である。本例の半導体装置200におけるj-j'断面の構成は、
図5eに示すe-e'断面において、ライフタイム制御領域72が設けられない点で、
図5eに示すe-e'断面の構成と異なる。
【0155】
本例の半導体装置200は、半導体基板10における上面21側に、ライフタイム制御領域72が設けられない。このため、
図5eに示す半導体装置200よりも、トランジスタ部70のリーク電流を、さらに抑制することができる。
【0156】
図8aは、第2比較例の半導体装置250の上面を示す図である。第2比較例の半導体装置250は、後の
図8bおよび
図8cの説明において述べるように、半導体基板10における上面21側にライフタイム制御領域72が設けられず、且つ、下面23側に第1フローティング領域17が設けられない点で、
図5aに示す半導体装置200と異なる。
【0157】
図8bは、
図8aにおける領域A6の拡大図である。
図8bは、Y軸方向において、ダイオード部80とトランジスタ部70が隣接する領域を拡大して示している。第2比較例の半導体装置250は、ライフタイム制御領域72が設けられない。また、第2比較例の半導体装置250は、第1フローティング領域17が設けられない。
【0158】
図8cは、
図8bにおけるk-k'断面の一例を示す図である。第2比較例の半導体装置250におけるk-k'断面の構成は、
図5dに示す半導体装置200におけるd-d'断面において、ライフタイム制御領域72が設けられない点で、
図5dに示すd-d'断面の構成と異なる。また、第2比較例の半導体装置250におけるk-k'断面の構成は、
図5dに示す半導体装置200におけるd-d'断面において、第1フローティング領域17が設けられない点で、
図5dに示すd-d'断面の構成と異なる。
【0159】
第2比較例の半導体装置250は、半導体基板10における上面21側にライフタイム制御領域72が設けられない。このため、第2コンタクト領域19から第2カソード領域82へのキャリア(本例においては正孔)の注入を抑制することができない。このため、ダイオード部80の逆回復耐量を改善することができない。
【0160】
第2比較例の半導体装置250は、半導体基板10における下面23側に第1フローティング領域17が設けられない。このため、第2カソード領域82から第2コンタクト領域19およびウェル領域11へのキャリア(本例においては電子)の注入を抑制することができない。このため、ダイオード部80の逆回復耐量を改善することができない。
【0161】
図9aは、本実施形態に係る半導体装置200の他の上面の一例を示す図である。本例の半導体装置200は、
図5aに示す半導体装置200において、第2カソード領域82のX軸方向正側および負側の端が、
図5aに示す例よりも活性部120の中央側に配置される点で、
図5aに示す半導体装置200と異なる。また、後の
図9b~
図9dの説明において述べるように、
図5aに示す半導体装置200において、第1フローティング領域17およびライフタイム制御領域72が設けられない点で、
図5aに示す半導体装置200と異なる。
【0162】
図9bは、
図9aにおける領域A7の拡大図である。領域A5は、
図5aの上面視で、2つのトランジスタ部70および当該2つのトランジスタ部70に挟まれるダイオード部80、並びに当該2つのトランジスタ部70および当該ダイオード部80にX軸方向に対向するエッジ終端構造部90を含む領域である。
【0163】
本例の半導体装置200は、
図9bに示す通り、第2カソード領域82のX軸方向正側の端部が、
図5bに示す例よりも活性部120の中央側、即ちエッジ終端構造部90から離れて設けられる点で、
図5bに示す半導体装置200と異なる。端部X6'は、第2カソード領域82のX軸方向正側の端部である。また、ライフタイム制御領域72および第1フローティング領域17が設けられない点で、
図5bに示す半導体装置200と異なる。
【0164】
図9cは、
図9bにおける領域B7の拡大図である。
図9cは、Y軸方向において、ダイオード部80とトランジスタ部70が隣接する領域を拡大して示している。本例の半導体装置200は、
図9cに示す通り、端部X6'部が、
図5c示す端部X6よりも活性部120側に設けられる。また、第1フローティング領域17が設けられない。
【0165】
図9dは、
図9bにおけるm-m'断面の一例を示す図である。本例の半導体装置200におけるm-m'断面の構成は、
図5dに示すd-d'断面において、端部X6'部が、
図5d示す端部X6よりも活性部120の中央側、即ち、エッジ終端構造部90から離れて設けられる点で、
図5dに示すd-d'断面の構成と異なる。また、本例の半導体装置200におけるm-m'断面の構成は、
図5dに示すd-d'断面において、ライフタイム制御領域72および第1フローティング領域17が設けられない点で、
図5dに示すd-d'断面の構成と異なる。
【0166】
距離Dccは、X軸方向における第2コンタクト領域19の活性部120中央側の端部X1と、X軸方向における第2カソード領域82の外周端140側の端部X6'とのX軸方向における距離である。距離Dccは、半導体基板10の厚さTよりも大きくてよい。距離Dccを厚さTよりも大きくすることで、第2コンタクト領域19から第2カソード領域82へのキャリア(本例においては正孔)の注入を抑制することができる。このため、ダイオード部80の逆回復耐量を改善することができる。
【0167】
距離Dccは、100μm以上であってよい。第2コンタクト領域19から第2カソード領域82へのキャリアの注入を抑制するためには、距離Dccは、200μm以上であることがより好ましく、300μm以上であることがさらに好ましい。
【0168】
図9eは、
図9cにおけるn-n'断面の一例を示す図である。n-n'断面は、ダイオード部80のY軸方向正側に隣接するトランジスタ部70から、Y軸方向負側に隣接するトランジスタ部70までのYZ断面である。なお、n-n'断面は、
図5eの例におけるe-e'断面とX軸方向の位置が等しい位置における断面である。
【0169】
本例の半導体装置200におけるn-n'断面の構成は、
図5eの例において、下面23に第2カソード領域82が設けられず、コレクタ領域22が設けられる点で、
図5eの例におけるe-e'断面の構成と異なる。n-n'断面のおける下面23には、Y軸方向にコレクタ領域22が連続して設けられる。
【0170】
本例の半導体装置200は、半導体基板10における上面21側に、ライフタイム制御領域72が設けられない。このため、
図5eに示す半導体装置200よりも、トランジスタ部70のリーク電流を、さらに抑制することができる。
【0171】
図10aは、
図9aにおける領域A7の他の拡大図である。領域A7は、
図10aの上面視で、2つのトランジスタ部70および当該2つのトランジスタ部70に挟まれるダイオード部80、並びに当該2つのトランジスタ部70および当該ダイオード部80にX軸方向に対向するエッジ終端構造部90を含む領域である。
【0172】
本例の半導体装置200は、
図10aに示す通り、
図9bに示す半導体装置200において、ライフタイム制御領域72が設けられる点で、
図9bに示す半導体装置200と異なる。
図10aの上面視において、Y軸方向におけるライフタイム制御領域72の位置は、
図5bの上面視において示す位置と等しい。X軸方向におけるライフタイム制御領域72の位置は、第2カソード領域82の端部X6'よりもX軸方向負側まで、即ち、
図5bの上面視において示す位置よりもX軸方向負側まで設けられる点で、
図5bに示す半導体装置200と異なる。
【0173】
図10bは、
図10aにおける領域B7'の拡大図である。
図10bは、Y軸方向において、ダイオード部80とトランジスタ部70が隣接する領域を拡大して示している。
図10bにおいて、ライフタイム制御領域72は、端部X6'よりもX軸方向負側まで設けられる。
【0174】
図10cは、
図10aにおけるp-p'断面の一例を示す図である。
図10cに示す半導体装置200におけるp-p'断面の構成は、
図9dに示す例において、上面21側にライフタイム制御領域72が設けられる点で、
図9dに示す半導体装置200におけるm-m'断面の構成と異なる。
【0175】
本例において、ライフタイム制御領域72のX軸方向負側の端部KX'は、第2カソード領域82のX軸方向正側の端部X6'よりも、X軸方向負側に設けられる。即ち、本例において、ライフタイム制御領域72の一部と第2カソード領域82の一部は、半導体基板10の上面視で重なる。
【0176】
本例の半導体装置200は、X軸方向において、第2コンタクト領域19の活性部120中央側の端部X1と、第2カソード領域82の外周端140側の端部X6'との間に、上面21側にライフタイム制御領域72が設けられる。このため、第2コンタクト領域19から第2カソード領域82へ移動するキャリア(本例においては正孔)は、ライフタイム制御領域72において電子と相殺し易く、第2カソード領域82まで到達しにくい。このため、
図9dに示す半導体装置200よりも、ダイオード部80の逆回復耐量を、さらに改善することができる。
【0177】
図10dは、
図10bにおけるq-q'断面の一例を示す図である。本例の半導体装置200におけるq-q'断面の構成は、
図9eの例において、上面21側にライフタイム制御領域72が設けられる点で、
図9eに示す半導体装置200におけるn-n'断面の構成と異なる。
【0178】
本例の半導体装置200は、
図10dに示す通り、ライフタイム制御領域72が、トランジスタ部70におけるゲートトレンチ部40の下方には設けられない。このため、トランジスタ部70のリーク電流を抑制することができる。
【0179】
図11aは、本実施形態に係る半導体装置200の他の上面の一例を示す図である。本例の半導体装置200は、
図9aに示す半導体装置200において、エッジ終端構造部90に第1導電型の終端領域84が設けられる点で、
図9aに示す半導体装置200と異なる。
図11aにおいて、終端領域84が設けられる領域を斜線部で示している。
【0180】
終端領域84は、X軸方向において、ダイオード部80の延長線上に設けられる。終端領域84のY軸方向の幅は、ダイオード部80のY軸方向の幅と等しくてよい。
【0181】
本例の終端領域84は、一例としてN+型である。終端領域84のドーピング濃度は、第2カソード領域82のドーピング濃度と等しくてよい。また、終端領域84のドーピング濃度は、第1カソード領域83のドーピング濃度とも等しくてよい。
【0182】
図11bは、
図11aにおける領域A8の拡大図である。領域A8は、
図11aの上面視で、2つのトランジスタ部70および当該2つのトランジスタ部70に挟まれるダイオード部80、並びに当該2つのトランジスタ部70および当該ダイオード部80にX軸方向に対向するエッジ終端構造部90を含む領域である。なお、
図11bにおいては、図面の視認性のため、
図11aにおける終端領域84を表す斜線部を省略して示している。
図11bにおいては、終端領域84の領域を、斜線部の代わりに破線部および矢印にて示している。
【0183】
端部Fは、終端領域84のX軸方向負側の端部である。端部Fは、ウェル領域11のX軸方向正側の端部X4、即ちエッジ終端構造部90のX軸方向負側の端部よりも、外周端140側に配置されてよい。
図11bは、端部Fが、ガードリング92-2のX軸方向負側の端部X9と一致するように配置される一例を示している。
【0184】
図11cは、
図11bにおけるr-r'断面の一例を示す図である。本例の半導体装置200におけるr-r'断面の構成は、
図9dに示すm-m'断面において、エッジ終端構造部90における終端領域84が設けられる点で、
図9dに示す半導体装置200におけるm-m'断面の構成と異なる。
【0185】
終端領域84は、半導体基板10の上面視において、コレクタ領域22よりも外周端140側に、下面23に接して設けられる。本例においては、一例として、終端領域84のX軸方向負側の端部Fは、ガードリング92-2のX軸方向負側の端部X9と一致するように設けられる。X軸方向において、終端領域84のX軸方向正側の端部位置は、外周端140と一致してよい。終端領域84のX軸方向負側には、終端領域84に隣接してコレクタ領域22が設けられてよい。コレクタ領域22は、X軸方向において、第2カソード領域82と終端領域84とに挟まれるように設けられてよい。
【0186】
距離Dcgは、半導体基板10の上面視において、X軸方向における第2コンタクト領域19の外周端140側の端部X2と、X軸方向における終端領域84の活性部120側の端部FとのX軸方向における距離である。距離Dcgは、半導体基板10の厚さTよりも大きくてよい。距離Dcgを厚さTより大きくすることで、第2コンタクト領域19から終端領域84へのキャリア(本例においては正孔)の注入を抑制することができる。このため、ダイオード部80の逆回復耐量を改善することができる。
【0187】
距離Dcgは、距離Dccよりも大きくてよい。距離Dcgを距離Dcc以上の大きさとすることで、第2コンタクト領域19から終端領域84へのキャリア(本例においては正孔)の注入を、より抑制することができる。このため、ダイオード部80の逆回復耐量を、より改善することができる。
【0188】
距離Dcgは、100μm以上であってよい。第2コンタクト領域19から終端領域84へのキャリアの注入を抑制するためには、距離Dcgは、200μm以上であることがより好ましく、300μm以上であることがさらに好ましい。
【0189】
さらに、本例の半導体装置200は、ダイオード部80における下面23の外周端140側に、第1導電型(N+型)の終端領域84が設けられるので、当該ダイオード部80にY軸方向で隣接するトランジスタ部70の動作時に、当該ダイオード部80の外周端140側からトランジスタ部70へのキャリア(本例においては正孔)の注入を抑制することができる。このため、トランジスタ部70のオン電圧とターンオフ損失のトレードオフを良好にすることができる。
【0190】
図12aは、
図11aにおける領域A8の他の拡大図である。領域A8は、
図12aの上面視で、2つのトランジスタ部70および当該2つのトランジスタ部70に挟まれるダイオード部80、並びに当該2つのトランジスタ部70および当該ダイオード部80にX軸方向に対向するエッジ終端構造部90を含む領域である。
【0191】
本例の半導体装置200は、
図12aに示す通り、
図11bに示す半導体装置200において、ライフタイム制御領域72が設けられる点で、
図11bに示す半導体装置200と異なる。
図12aの上面視において、Y軸方向におけるライフタイム制御領域72の位置は、
図11bの上面視において示す位置と等しい。X軸方向におけるライフタイム制御領域72の位置は、第2カソード領域82の端部X6'よりもX軸方向負側まで、即ち、
図11bの上面視において示す位置よりもX軸方向負側まで設けられる点で、
図11bに示す半導体装置200と異なる。
【0192】
図12bは、
図12aにおけるt-t'断面の一例を示す図である。
図12bに示す半導体装置200におけるt-t'断面の構成は、
図11cに示す例において、上面21側にライフタイム制御領域72が設けられる点で、
図11cに示す半導体装置200におけるr-r'断面の構成と異なる。
【0193】
本例において、ライフタイム制御領域72のX軸方向正側の端部KXの位置X8は、一例として、ウェル領域11のX軸方向正側の端部X4と終端領域84の端部FとのX軸方向における間に配置される。即ち、本例においては、端部X4と端部KXとのX軸方向における距離Dwkは、端部X4と端部FとのX軸方向における距離Dweよりも小さい。
【0194】
本例の半導体装置200は、X軸方向において、ウェル領域11の外周端140側の端部X4と、終端領域84の活性部120側の端部Fとの間に、上面21側にライフタイム制御領域72が設けられる。このため、ウェル領域11から終端領域84へ移動するキャリア(本例においては正孔)は、ライフタイム制御領域72において電子と相殺し易く、終端領域84まで到達しにくい。このため、
図11cに示す半導体装置200よりも、ダイオード部80の逆回復耐量を、さらに改善することができる。
【0195】
図13aは、本実施形態の半導体装置200の上面の他の一例を示す図である。本例の半導体装置200は、
図5aに示す半導体装置200において、第2カソード領域82のX軸方向正側および負側の端が外周端140に配置される点で、
図5aに示す半導体装置200と異なる。また、後の
図13b~
図13dの説明において述べるように、
図5aに示す半導体装置200において、第1フローティング領域17のX軸方向における位置が異なり、且つ、ライフタイム制御領域72が設けられない点で、
図5aに示す半導体装置200と異なる。
【0196】
図13bは、
図13aにおける領域A9の拡大図である。領域A9は、
図13aの上面視で、2つのトランジスタ部70および当該2つのトランジスタ部70に挟まれるダイオード部80、並びに当該2つのトランジスタ部70および当該ダイオード部80にX軸方向に対向するエッジ終端構造部90を含む領域である。本例の半導体装置200は、
図13bに示すように、第2カソード領域82がダイオード部80の活性部120側から外周端140まで、連続して設けられる。
【0197】
本例の半導体装置200は、第1フローティング領域17が、
図13bの上面視で、下面23側に活性部120からウェル領域11まで、X軸方向に設けられる。端部X5'は、第1フローティング領域17のX軸方向負側の端部である。端部X7'は、第1フローティング領域17のX軸方向正側の端部である。
【0198】
本例の半導体装置200は、
図13bの上面視で、第1フローティング領域17よりも活性部120中央側に、第2導電型の第2フローティング領域27が設けられる。第2フローティング領域27は、下面23側に設けられる。第2フローティング領域27は、X軸方向に複数設けられてよい。
図13bにおいては、第2フローティング領域27-1、第2フローティング領域27-2および第2フローティング領域27-3の3つの第2フローティング領域27が設けられているが、第2フローティング領域27は、領域A9の外側の活性部120中央側に、さらに設けられてよい。
【0199】
本例の第2フローティング領域27は、一例としてP+型である。第2フローティング領域27のドーピング濃度は、第1フローティング領域17のドーピング濃度と等しくてよい。
【0200】
図13cは、
図13bにおける領域B9の拡大図である。
図13cに示すように、領域B9において、第2カソード領域82は、活性部120側からウェル領域11まで設けられる。
【0201】
本例の半導体装置200において、第1フローティング領域17および第2フローティング領域27は、
図13cに示すように、第2カソード領域82のY軸方向における内側に設けられる。第1フローティング領域17は、
図13cの上面視で、第2コンタクト領域19と重なって設けられる。本例の第1フローティング領域17は、一例として、ベース領域14の一部からウェル領域11の一部までの領域を、X軸方向に重なるように設けられる。
【0202】
第1フローティング領域17のX軸方向負側には、第2フローティング領域27が設けられる。第2フローティング領域27は、複数設けられてよい。領域B9においては、一例として、第2フローティング領域27-1、第2フローティング領域27-2および第2フローティング領域27-3の3つの第2フローティング領域27が設けられている。
【0203】
図13dは、
図13bにおけるu-u'断面の一例を示す図である。u-u'断面は、チャネルストッパ174、ガードリング92、ウェル領域11、ダミートレンチ部30、ベース領域14-e、第2コンタクト領域19およびベース領域14を通るXZ面である。また、u-u'断面は、上面21の上方において、コンタクトホール54およびコンタクトホール56を通るXZ面である。
【0204】
本例の半導体装置200は、下面23側に第1フローティング領域17と第2フローティング領域27が設けられる。第1フローティング領域17と第2フローティング領域27は、X軸方向に配列されてよい。第1フローティング領域17の少なくとも一部と、第2コンタクト領域19とは、X軸方向において重なって設けられてよい。
【0205】
距離Dcfは、X軸方向における第1フローティング領域17の活性部120中央側の端部X5'と、X軸方向における第2コンタクト領域19の活性部120中央側の端部X1との、X軸方向における距離である。また、距離Dfcは、X軸方向における第1フローティング領域17の外周端140側の端部X7'と、X軸方向における第2コンタクト領域19の外周端140側の端部X2との、X軸方向における距離である。
【0206】
距離Dcfは、距離Dfcよりも大きくてよい。距離Dcfを距離Dfcよりも大きくすることで、第2カソード領域82から第2コンタクト領域19およびウェル領域11へのキャリア(本例においては電子)の注入を抑制することができる。このため、ダイオード部80の逆回復耐量を改善することができる。
【0207】
距離Dcfは、50μm以上150μm以下であってよい。距離Dcfは、一例として100μmである。距離Dfcは、20μm以上80μm以下であってよい。距離Dfcは、一例として50μmである。
【0208】
第2フローティング領域27は、第1フローティング領域17よりも活性部120中央側に設けられてよい。第2フローティング領域27は、Z軸方向において、第1フローティング領域17と略同じ深さに設けられてよい。第2フローティング領域27は、X軸方向に複数配列されてよい。第2フローティング領域27は、当該u-u'断面よりX軸方向負側にも、複数配列されてよい。
【0209】
本例の半導体装置200は、第1フローティング領域17と第2フローティング領域27がX軸方向に配列されるので、第2フローティング領域27が設けられない場合よりもさらに、第2カソード領域82から第2コンタクト領域19およびウェル領域11へのキャリア(本例においては電子)の注入を抑制することができる。このため、ダイオード部80の逆回復耐量を、さらに改善することができる。
【0210】
幅Wf1は、第1フローティング領域17のX軸方向における幅である。幅Wf2は、第2フローティング領域27-1のX軸方向における幅である。幅Wf1は、幅Wf2よりも大きくてよい。幅Wf1は、幅Wf2の2倍以上10倍以下であってよい。幅Wf1が幅Wf2よりも大きいことで、第2カソード領域82から第2コンタクト領域19およびウェル領域11へのキャリア(本例においては電子)の注入を抑制することができる。このため、ダイオード部80の逆回復耐量を改善することができる。
【0211】
幅Wff1は、第1フローティング領域17と第2フローティング領域27-1とのX軸方向における間隔である。幅Wff2は、第2フローティング領域27-1と第2フローティング領域27-2とのX軸方向における間隔である。第2フローティング領域27は、幅Wff2の間隔をおいて、X軸方向に複数設けられてよい。幅Wff1と幅Wff1は等しくてよいが、異なっていてもよい。幅Wff1および幅Wff2は、幅Wf2の0.05倍以上0.5倍以下であってよい。
【0212】
図13eは、
図13cにおけるv-v'断面の一例を示す図である。v-v'断面は、ダイオード部80のY軸方向正側に隣接するトランジスタ部70から、Y軸方向負側に隣接するトランジスタ部70までのYZ断面である。また、v-v'断面は、エミッタ領域12、第2メサ部の第3コンタクト領域15およびダイオード部80のベース領域14を通るYZ断面である。
【0213】
本例の半導体装置200におけるv-v'断面の構成は、
図7dに示す例におけるj-j'断面において、第1フローティング領域17に代えて第2フローティング領域27-1が設けられる点で、
図7dに示す半導体装置200におけるj-j'断面の構成と異なる。第2フローティング領域27-1のY軸方向における位置は、
図7dに示す例における第1フローティング領域17のY軸方向における位置と、略同じであってよい。
【0214】
本例の半導体装置200は、半導体基板10における上面21側に、ライフタイム制御領域72が設けられない。このため、
図5eに示す半導体装置200よりも、トランジスタ部70のリーク電流を、さらに抑制することができる。
【0215】
図14aは、第3比較例の半導体装置260の上面を示す図である。第3比較例の半導体装置260は、後の
図14bおよび
図14cの説明において述べるように、第1フローティング領域17および第2フローティング領域27が設けられない点で、
図13aに示す半導体装置200と異なる。
【0216】
図14bは、
図14aにおける領域A10の拡大図である。
図14bは、Y軸方向において、ダイオード部80とトランジスタ部70が隣接する領域を拡大して示している。第3比較例の半導体装置260は、第1フローティング領域17および第2フローティング領域27が設けられない。
【0217】
図14cは、
図14bにおけるz''-z'''断面の一例を示す図である。第3比較例の半導体装置260におけるz''-z'''断面の構成は、
図13dに示す半導体装置200におけるu-u'断面において、第1フローティング領域17および第2フローティング領域27が設けられない点で、
図13dに示すu-u'断面の構成と異なる。
【0218】
第3比較例の半導体装置260は、半導体基板10における下面23側に第1フローティング領域17および第2フローティング領域27が設けられない。このため、第2カソード領域82から第2コンタクト領域19およびウェル領域11へのキャリア(本例においては電子)の注入を抑制することができない。このため、ダイオード部80の逆回復耐量を改善することができない。
また、第3比較例の半導体装置260は、半導体基板10における下面23側にライフタイム制御領域72が設けられない。このため、このため、第2コンタクト領域19から第2カソード領域82の活性部120中央側へのキャリア(本例においては正孔)の注入を抑制することができない。このため、ダイオード部80の逆回復耐量を改善することができない。
【0219】
図15aは、
図13aにおける領域A9の他の拡大図である。領域A9は、
図15aの上面視で、2つのトランジスタ部70および当該2つのトランジスタ部70に挟まれるダイオード部80、並びに当該2つのトランジスタ部70および当該ダイオード部80にX軸方向に対向するエッジ終端構造部90を含む領域である。
【0220】
本例の半導体装置200は、
図15aに示す通り、
図13bに示す半導体装置200において、ライフタイム制御領域72が設けられる点で、
図13bに示す半導体装置200と異なる。
図15aの上面視において、Y軸方向におけるライフタイム制御領域72の位置は、
図5bの上面視において示す位置と等しい。X軸方向におけるライフタイム制御領域72の位置は、第1フローティング領域17のX軸方向負側の端部X5'よりもX軸方向負側まで設けられる。
【0221】
図15bは、
図13aにおける領域B9'の拡大図である。
図15bは、Y軸方向において、ダイオード部80とトランジスタ部70が隣接する領域を拡大して示している。
図15bにおいて、ライフタイム制御領域72は、端部X5'よりもX軸方向負側まで設けられる。
【0222】
図15cは、
図15aにおけるw-w'断面の一例を示す図である。
図15cに示す半導体装置200におけるw-w'断面の構成は、
図13dに示す例において、上面21側にライフタイム制御領域72が設けられる点で、
図13dに示す半導体装置200におけるu-u'断面の構成と異なる。
【0223】
本例において、ライフタイム制御領域72は、エッジ終端構造部90から活性部120まで、X軸方向に連続的に設けられる。ライフタイム制御領域72のX軸方向負側の端部KX'は、第1フローティング領域17のX軸方向負側の端部X5'よりも、X軸方向負側に設けられてよい。即ち、本例において、ライフタイム制御領域72の一部と第1フローティング領域17は、半導体基板10の上面視で重なる。
【0224】
端部KX'は、
図15cにおいて、端部X5'と端部X1とのX軸方向における間に配置されてもよい。即ち、ライフタイム制御領域72の一部と第1フローティング領域17の一部が、半導体基板10の上面視で重なっていてもよい。
【0225】
本例の半導体装置200は、X軸方向において、端部KX'が端部X5'よりもX軸方向負側まで設けられる。即ち、第2コンタクト領域19の活性部120中央側の端部X1よりもX軸方向負側に、ライフタイム制御領域72が設けられる。このため、第2コンタクト領域19から第2カソード領域82の活性部120中央側へ移動するキャリア(本例においては正孔)は、ライフタイム制御領域72において電子と相殺し易く、第2カソード領域82まで到達しにくい。このため、
図13dに示す半導体装置200よりも、ダイオード部80の逆回復耐量を、さらに改善することができる。
【0226】
図15dは、
図15bにおけるx-x'断面の一例を示す図である。本例の半導体装置200におけるx-x'断面の構成は、
図13eの例において、上面21側にライフタイム制御領域72が設けられる点で、
図13eに示す半導体装置200におけるv-v'断面の構成と異なる。
【0227】
本例の半導体装置200は、
図15dに示す通り、ライフタイム制御領域72が、トランジスタ部70におけるゲートトレンチ部40の下方には設けられない。このため、トランジスタ部70のリーク電流を抑制することができる。
【0228】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0229】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0230】
10・・・半導体基板、11・・・ウェル領域、12・・・エミッタ領域、13・・・第1コンタクト領域、14・・・ベース領域、15・・・第3コンタクト領域、16・・・蓄積領域、17・・・第1フローティング領域、18・・・ドリフト領域、19・・・第2コンタクト領域、20・・・バッファ領域、21・・・上面、22・・・コレクタ領域、23・・・下面、24・・・コレクタ電極、25・・・接続部、27・・・第2フローティング領域、27-1・・・第2フローティング領域、27-2・・・第2フローティング領域、27-3・・・第2フローティング領域、29・・・延伸部分、30・・・ダミートレンチ部、31・・・接続部分、32・・・ダミー絶縁膜、34・・・ダミー導電部、38・・・層間絶縁膜、39・・・延伸部分、40・・・ゲートトレンチ部、41・・・接続部分、42・・・ゲート絶縁膜、44・・・ゲート導電部、48・・・ゲートランナー、49・・・コンタクトホール、50・・・ゲート金属層、52・・・エミッタ電極、54・・・コンタクトホール、56・・・コンタクトホール、60・・・第1メサ部、62・・・第2メサ部、64・・・第3メサ部、70・・・トランジスタ部、72・・・ライフタイム制御領域、80・・・ダイオード部、82・・・第2カソード領域、83・・・第1カソード領域、84・・・終端領域、90・・・エッジ終端構造部、92・・・ガードリング、92-1・・ガードリング、92-2、ガードリング、92-3・・・ガードリング、97-4・・・ガードリング、92-5・・・ガードリング、94・・・フィールドプレート、100・・・半導体装置、112・・・温度センス配線、114・・・温度測定用パッド、114-1・・・アノードパッド、114-2・・・カソードパッド、116・・・ゲートパッド、118・・・エミッタパッド、120・・・活性部、140・・・外周端、150・・・半導体装置、174・・・チャネルストッパ、200・・・半導体装置、250・・・半導体装置、260・・・半導体装置