(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-05
(45)【発行日】2022-12-13
(54)【発明の名称】ドアクローザ
(51)【国際特許分類】
E05B 81/20 20140101AFI20221206BHJP
B60J 5/10 20060101ALI20221206BHJP
E05B 81/68 20140101ALI20221206BHJP
E05F 15/611 20150101ALI20221206BHJP
【FI】
E05B81/20 B
B60J5/10 K
E05B81/68
E05F15/611
(21)【出願番号】P 2018063552
(22)【出願日】2018-03-29
【審査請求日】2021-03-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】110000017
【氏名又は名称】弁理士法人アイテック国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】後藤 悟
(72)【発明者】
【氏名】竹内 繁
【審査官】砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-234464(JP,A)
【文献】特開2004-131990(JP,A)
【文献】特開2004-116042(JP,A)
【文献】特開2006-144367(JP,A)
【文献】特開2008-115615(JP,A)
【文献】特開2014-136872(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 77/00 -85/28
E05F 15/611-15/63
B60J 5/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のドアおよび車体の一方に固定されるベース部材に対して回動可能であると共に前記ドアおよび前記車体の他方に固定されたストライカと係合可能なラッチと、前記ベース部材に対して回動可能であると共に前記ラッチと係合して該ラッチの回動を規制するポールと、前記ラッチを回動させるモータとを含むドアクローザにおいて、
前記ラッチには、オープン状態で前記ポールと係合する第1係合部と、ハーフラッチ状態で前記ポールと係合する第2係合部と、フルラッチ状態で前記ポールと係合する第3係合部とが周方向に順番に並ぶように形成され、
前記ポールは、前記ラッチの前記第1、第2および第3係合部と順番に係合するのに伴って回動軸の軸心の周りに一方向に回動すると共に、前記第3および第2係合部との係合が解除されるのに伴って前記回動軸の軸心の周りに前記一方向とは反対側の他方向に回動し、
前記ラッチの位置および前記ポールの回動位置を検知する単一の回動位置検知器と、
前記ポールを回動させて該ポールと前記ラッチとの係合を解除するリリース部材と、
前記モータを制御する制御装置とを備え、
前記ドアは、ドア駆動モータにより開閉され、
前記制御装置は、前記ドアの開操作に応じて前記リリース部材が前記ポールと前記ラッチとの係合を解除するように前記モータを制御すると共に、前記回動位置検知器により前記ポールが前記第1係合部と係合する位置にあることが検知されると前記ドアを開くように前記ドア駆動モータを制御するドアクローザ。
【請求項2】
請求項1に記載のドアクローザにおいて、
前記回動位置検知器は、前記回動軸に連結されたロータリースイッチであるドアクローザ。
【請求項3】
請求項1または2に記載のドアクローザにおいて、
前記ポールが前記第1係合部と係合した際に前記ラッチの一部が前記ベース部材の一部に当接することで前記ラッチおよび前記ポールの回動が規制され、
前記ポールが前記第3係合部と係合した際に前記ポールの一部が前記ベース部材の一部に当接することで前記ラッチおよび前記ポールの回動が規制されるドアクローザ。
【請求項4】
請求項1から
3の何れか一項に記載のドアクローザにおいて、
前記ドアは、ドア駆動モータにより開閉され、
前記制御装置は、前記ドアの開操作に応じて前記リリース部材が前記ポールと前記ラッチとの係合を解除するように前記モータを制御すると共に、前記回動位置検知器により前記ポールが前記第1係合部と係合する位置にあることが検知されると前記ドアを開くように前記ドア駆動モータを制御するドアクローザ。
【請求項5】
請求項1から
4の何れか一項に記載のドアクローザにおいて、
前記第2係合部の前記ラッチの回動軸心側の端部は、前記第1係合部よりも該回動軸心に近接しており、前記第3係合部の前記回動軸心側の端部は、前記第2係合部の前記回動軸心側の端部よりも該回動軸心に近接しているドアクローザ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半ドア状態のドアを全閉にするためのドアクローザに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のドアクローザとして、ストライカの引き込みと開放とを行うラッチと、ラッチの回転をラチェット方式で規制するポールと、ラッチ操作機構を介してラッチを操作すると共に、ラッチを引き込み状態にさせるクローズ領域、ラッチを開放状態にするリリース領域、およびクローズ領域およびリリース領域の間に位置する中立領域とを含む移動領域の間で移動させられるセクターギヤと、セクターギヤを移動させるモータと、モータを制御する制御ユニットとを含むものが知られている(例えば、特許文献1参照)。このドアクローザは、ラッチがハーフラッチ領域にあることを検知するための第1ラッチスイッチと、ラッチがフルラッチ領域にあることを検知するための第2ラッチスイッチと、ポールがラッチと係合姿勢であることを検知するポールスイッチと、モータの回転量を計数する回転量計数部とを更に含む。そして、制御ユニットは、第1および第2ラッチスイッチからの信号に基づいてラッチの状態を評価するラッチ状態評価部と、ポールスイッチからの信号に基づいてポールの状態を評価するポール評価部と、回転量計数部からの出力信号に基づいてセクターギヤの回動位置を評価する変位体位置評価部と、内部タイマ等を用いてタイマ制御を行うタイマ制御部と、ラッチ状態評価部やポール評価部、変位体位置評価部の評価結果およびタイマ制御部のタイマ情報に基づいてモータに対する制御信号を生成して出力するモータ制御部とを含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来のドアクローザは、第1および第2ラッチスイッチおよびポールスイッチによりラッチおよびポールの双方の位置を検知することでドアの状態を検知している。しかしながら、ドアクローザに3つのスイッチを設けたのでは、ドアクローザのコストダウン化やコンパクト化を図ることが困難となる。
【0005】
そこで、本開示は、ドアの状態を適正に把握可能としつつ、ドアクローザのコストダウン化およびコンパクト化を図ることを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のドアクローザは、車両のドアおよび車体の一方に固定されるベース部材に対して回動可能であると共に前記ドアおよび前記車体の他方に固定されたストライカと係合可能なラッチと、前記ベース部材に対して回動可能であると共に前記ラッチと係合して該ラッチの回動を規制するポールと、前記ラッチを回動させるモータとを含むドアクローザにおいて、前記ラッチには、オープン状態で前記ポールと係合する第1係合部と、ハーフラッチ状態で前記ポールと係合する第2係合部と、フルラッチ状態で前記ポールと係合する第3係合部とが周方向に順番に並ぶように形成され、前記ポールは、前記ラッチの前記第1、第2および第3係合部と順番に係合するのに伴って回動軸の軸心の周りに一方向に回動すると共に、前記第3および第2係合部との係合が解除されるのに伴って前記回動軸の軸心の周りに前記一方向とは反対側の他方向に回動し、単一の回動位置検知器によりポールの回動位置を検知するものである。
【0007】
本開示のドアクローザでは、オープン状態でポールと係合する第1係合部と、ハーフラッチ状態でポールと係合する第2係合部と、フルラッチ状態でポールと係合する第3係合部とが周方向に順番に並ぶようにラッチに形成される。また、ポールは、ラッチの第1、第2および第3係合部と順番に係合するのに伴って回動軸の軸心の周りに一方向に回動すると共に、第3および第2係合部との係合が解除されるのに伴って回動軸の軸心の周りに当該一方向とは反対側の他方向に回動する。これにより、単一の回動位置検知器によりポールの回動位置を検知することで、ラッチおよびポールの双方の位置を検知することができる。この結果、ドアの状態を適正に把握可能としつつ、ラッチの回動位置を検出する検出器を省略してドアクローザのコストダウン化およびコンパクト化を図ることが可能となる。
【0008】
また、前記回動位置検知器は、前記回動軸に連結されたロータリースイッチであってもよい。これにより、コストアップを抑制しつつ、ポールの回動位置を精度よく検知することが可能となる。
【0009】
更に、前記ポールが前記第1係合部と係合した際に前記ラッチの一部が前記ベース部材の一部に当接することで前記ラッチおよび前記ポールの回動が規制されてもよく、前記ポールが前記第3係合部と係合した際に前記ポールの一部が前記ベース部材の一部に当接することで前記ラッチおよび前記ポールの回動が規制されてもよい。これにより、ラッチおよびポールの回動範囲を規定して回動位置検知器によりラッチおよびポールの双方の位置を精度よく検知すると共に、ポールと第1係合部との係合状態すなわちオープン状態と、ポールと第3係合部との係合状態すなわちフルラッチ状態とを良好に維持することが可能となる。
【0010】
また、前記ドアクローザは、前記ポールを回動させて該ポールと前記ラッチとの係合を解除するリリース部材と、前記モータを制御する制御装置を更に含んでもよく、前記ドアは、ドア駆動モータにより開閉されてもよく、前記制御装置は、前記ドアの開操作に応じて前記リリース部材が前記ポールと前記ラッチとの係合を解除するように前記モータを制御すると共に、前記回動位置検知器により前記ポールが前記第1係合部と係合する位置にあることが検知されると前記ドアを開くように前記ドア駆動モータを制御するものであってもよい。これにより、ドアの開動作に応じて速やかにドアを自動的に開くことが可能となる。
【0011】
更に、前記ラッチおよび前記ポールは、前記ポールが前記第1係合部と係合する位置にある状態で前記ラッチがフルラッチ側から開側に回動した際に前記第1係合面以外が前記ポールと接触しないように形成されてもよい。
【0012】
また、前記第2係合部の前記ラッチの回動軸心側の端部は、前記第1係合部よりも該回動軸心に近接していてもよく、前記第3係合部の前記回動軸心側の端部は、前記第2係合部の前記回動軸心側の端部よりも該回動軸心に近接していてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本開示のドアクローザを含む車両を示す斜視図である。
【
図2】本開示のドアクローザの要部を示す概略構成図である。
【
図3】本開示のドアクローザのラッチを示す概略構成図である。
【
図4】本開示のドアクローザを示す概略構成図である。
【
図5】本開示のドアクローザの要部を示す概略構成図である。
【
図6】本開示のドアクローザの要部を示す概略構成図である。
【
図7】本開示のドアクローザの制御ブロック図である。
【
図8】本開示のドアクローザによりドアを全閉にする際のスイッチおよびモータの状態を示すタイムチャートである。
【
図9】ユーザによる開操作に応じてドアを開く際のスイッチおよびモータの状態を示すタイムチャートである。
【
図10】本開示のドアクローザの動作を説明するための概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、図面を参照しながら、本開示の発明を実施するための形態について説明する。
【0015】
図1は、本開示のドアクローザ10を搭載した車両1を示す斜視図である。同図に示す車両1は、車体2によりヒンジ3を介して開閉自在に支持される跳ね上げ式のバックドアBDと、伸縮式の支持部材4と、バックドアBDを開閉するためのバックドア駆動装置5とを含む。バックドア駆動装置5は、ドア駆動モータ50の回転を直線運動に変換して伸縮することでバックドアBDを開閉させるものである。そして、ドアクローザ10は、バックドアBDにより開閉される車体2の開口部の下部に固定されたストライカ6と係合可能となるように当該バックドアBDの内側下部に内蔵されている。
【0016】
ドアクローザ10は、
図2に示すように、車両1のバックドアBDに固定されるベース部材11と、車体2に固定されたストライカ6と係合可能なラッチ12と、当該ラッチ12と一体に回動可能なラッチレバー13と、ベース部材11に対して回動可能であると共にラッチ12と係合して当該ラッチ12の回動を規制するポール14とを含む。
【0017】
ラッチ12は、ストライカ6と係合する切欠部120を画成する第1および第2爪部121,122を有する。第1爪部121には、ラッチ12の切欠部120とストライカ6との係合が可能となるオープン状態でポール14と係合するオープン係合面(第1係合部)121a、ハーフラッチ状態すなわち半ドア状態でポール14と係合するハーフ係合面(第2係合部)121b、およびフルラッチ状態すなわちバックドアBDの全閉状態でポール14と係合するフル係合面(第3係合部)121cが形成されている。ラッチ12は、ベース部材11により回転不能に支持された支軸125により回動自在に支持される。また、ラッチ12は、図示しないスプリングにより支軸125の周りに
図2中反時計方向(開側)に付勢される。ラッチレバー13は、支軸125により回動自在に支持されると共にラッチ12に固定される。また、ラッチレバー13は、支軸125から径方向に離間した位置で当該支軸125と平行に(ラッチ12の軸方向に)ラッチ12から離間するように突出する被押圧部(ピン)130を含む。
【0018】
本実施形態において、オープン係合面121a、ハーフ係合面121bおよびフル係合面121cは、
図2および
図3に示すように、この順番で
図2中反時計方向にラッチ12の周方向に並ぶように第1爪部121の外周部に形成される。本実施形態において、オープン係合面121aは、平坦面または比較的大きな曲率半径を有する円柱面であり、ハーフ係合面121bおよびフル係合面121cは、ラッチ12の径方向に延在する平坦面である。そして、ラッチ12(支軸125)の回動軸心Aからオープン係合面121aまでの距離r1は、回動軸心Aからハーフ係合面121bの回動軸心A側の端部までの距離r2よりも長く、当該距離r2は、回動軸心Aからフル係合面121cの回動軸心A側の端部までの距離r3よりも長い。すなわち、ハーフ係合面121bの回動軸心A側の端部は、オープン係合面121aよりも回動軸心Aに近接しており、フル係合面121cの回動軸心A側の端部は、ハーフ係合面121bの回動軸心A側の端部よりも当該回動軸心Aに近接している。これにより、オープン状態とハーフラッチ状態との間の移行をスムースにすると共に、フルラッチ状態を良好に維持することが可能となる。
【0019】
ポール14は、ベース部材11により回転自在に支持される回動軸140と、ラッチ12のオープン係合面121a、ハーフ係合面121bおよびフル係合面121cと係合可能となるように回動軸140から延出された係合部141と、回動軸140および係合部141から離間した位置で当該回動軸140と平行に(ポール14の軸方向に)突出する被押圧部(ピン)142とを含む。ポール14は、図示しないスプリングにより、回動軸140の周りに
図2中時計方向(噛み合い側)に付勢される。そして、ポール14は、
図2、
図5および
図6に示すように、係合部141がラッチ12のオープン係合面121a、ハーフ係合面121bおよびフル係合面121cと順番に係合するのに伴って回動軸140の軸心の周りに図中時計方向(一方向)に回動する。また、ポール14は、
図2、
図5および
図6からわかるように、係合部141とフル係合面121cおよびハーフ係合面121bとの係合が解除されるのに伴って回動軸140の周りに
図2中反時計方向(他方向)に回動する。
【0020】
本実施形態では、
図3に示すように、回動軸140が
図2中反時計方向側におけるポール14の回動限界(オープン側の回動限界)から
図2中時計方向に第1の角度θ1だけ回動した際に、図示するように、ポール14の係合部141がラッチ12のオープン係合面121aと係合すると共にラッチ12の一部がベース部材11の一部に当接する。これにより、ラッチ12およびポール14の回動が規制されてオープン状態が形成される。以下、回動軸140が上記回動限界から
図2中時計方向に第1の角度θ1だけ回動した位置を「オープン位置」という。また、
図5に示すように、回動軸140が上記回動限界から
図5中時計方向に第2の角度θ2(θ2>θ1)だけ回動した際には、ポール14の係合部141がラッチ12のハーフ係合面121bと係合するか、あるいは係合部141とハーフ係合面121bとが係合する直前の状態となる。以下、回動軸140が上記回動限界から
図5中時計方向に第2の角度θ2だけ回動した位置を「ハーフ位置」という。更に、
図6に示すように、回動軸140が上記回動限界から
図6中時計方向に第3の角度θ3(θ3>θ2)だけ回動した際には、ポール14の係合部141がラッチ12のフル係合面121cと完全に係合すると共にポール14の一部がベース部材11の一部に当接する。これにより、ラッチ12およびポール14の回動が規制されてフルラッチ状態が形成される。以下、回動軸140が上記回動限界から
図6中時計方向に第3の角度θ3だけ回動した位置を「フル位置」という。
【0021】
また、ドアクローザ10は、
図4に示すように、ラッチ12およびポール14を回動させるためのクローザモータ15と、当該クローザモータ15に連結された減速ギヤ機構16と、当該減速ギヤ機構16を介してクローザモータ15により正逆方向に回転駆動されるピニオンギヤ17と、ピニオンギヤ17に噛合するセクターギヤ(回動部材)18と、ポール14を回動させて当該ポール14の係合部141とラッチ12との係合を解除するためのリリースレバー(リリース部材)19とを含む。
【0022】
セクターギヤ18は、軸部180を有し、当該軸部180は、軸心がラッチ12の支軸125の軸方向と直交する方向に延在するようにバックドアBDに対して回動自在に支持される。これにより、セクターギヤ18は、ピニオンギヤ17の回転に伴ってギヤ歯の形成範囲内で正逆方向に回動可能となる。また、セクターギヤ18は、第1押圧部181および第2押圧部182を含む。第1押圧部181は、セクターギヤ18が
図4中反時計方向に回動する際に、ラッチ12が
図2中時計方向すなわち閉側に回動するようにラッチレバー13の被押圧部130を押圧する。これにより、セクターギヤ18を
図4中反時計方向に回動させることで、ラッチ12によりストライカ6を引き込んでフルラッチ状態を形成し、バックドアBDを全閉にすることが可能となる。一方、第2押圧部182は、セクターギヤ18が
図4中時計方向に回動する際に、ポール14の係合部141とラッチ12との係合が解除されるようにリリースレバー19を押圧する。
【0023】
リリースレバー19は、軸部190を有し、当該軸部190は、軸心がラッチ12の支軸125の軸方向と直交する方向に延在するようにバックドアBDに対して回動自在に支持される。また、リリースレバー19は、セクターギヤ18の第2押圧部182と当接可能な被押圧部191と、ポール14の被押圧部142と当接可能な押圧部192とを含む。セクターギヤ18が
図4中時計方向に回動して第2押圧部182がリリースレバー19の被押圧部191に当接すると、当該被押圧部191が第2押圧部182により押圧される。これにより、リリースレバー19は、
図4中時計方向に回動し、それに伴ってポール14の被押圧部142がリリースレバー19の押圧部192により押圧されることでポール14が
図6中反時計方向に回動し、係合部141とラッチ12(フル係合面121c)との係合が解除されることになる。
【0024】
更に、ドアクローザ10は、
図2および
図7に示すように、ラッチ12およびポール14の状態を検出するためのロータリースイッチ(回動位置検知器)Swrと、制御装置20(
図7参照)とを含む。ロータリースイッチSwrは、ポール14の回動軸140に連結されるシャフトを有し、当該ポール14(回動軸140)の回動位置(回動角度)を検知して回動位置に応じた信号を出力するものである。本実施形態において、ロータリースイッチSwrは、回動軸140の上記回動限界からの回動角度が第1の角度θ1を超えると、回動角度が第1の角度θ1に戻るまで第1のハイレベル信号であるオープン信号を出力する。すなわち、ロータリースイッチSwrは、ポール14の係合部141がオープン係合面121aと係合する上記オープン位置から離間している間、オープン信号を出力する。また、ロータリースイッチSwrは、回動軸140の上記回動限界からの回動角度が第2の角度θ2以上になると、回動角度が第2の角度θ2に戻るまで第2のハイレベル信号であるハーフ信号を出力する。すなわち、ロータリースイッチSwrは、ハーフラッチ状態およびフルラッチ状態でハーフ信号を出力する。更に、ロータリースイッチSwrは、回動軸140の上記回動限界からの回動角度が第3の角度θ3以上である間、すなわちフルラッチ状態で第3のハイレベル信号であるカーテシ信号を出力する。
【0025】
制御装置20は、何れも図示しないCPU,ROM,RAM等を有するマイクロコンピュータやモータ駆動回路、記憶装置等を含む。制御装置20には、CPUやROM,RAM、モータ駆動回路といったハードウエアと予めインストールされた各種プログラムとの協働により、
図7に示すように、クローザモータ15を制御するためのクローザ制御部21が構築される。また、本実施形態において、ドアクローザ10の制御装置20は、バックドア駆動装置5の制御も実行し、制御装置20には、CPUやROM,RAM、モータ駆動回路といったハードウエアと予めインストールされた各種プログラムとの協働により、
図7に示すように、ドア駆動モータ50を制御するためのドア開閉制御部22が構築される。
【0026】
更に、制御装置20には、クローザモータ15やドア駆動モータ50の図示しない回転センサや、ロータリースイッチSwr、バックドアBDに設置されたドアスイッチ30等が接続される。また、制御装置20は、バックドアBDを開閉させるための開スイッチおよび閉スイッチを含む無線式のリモコンキー(スマートキー)40から送信される信号を受信可能である。制御装置20は、ユーザによりドアスイッチ30やリモコンキー40の開スイッチ等が操作されると、バックドアBDを開閉させるようにドアクローザ10やバックドア駆動装置5を制御する。
【0027】
続いて、バックドアBDを全閉状態にする際のドアクローザ10の動作について説明する。
【0028】
図8は、バックドアBDを全閉状態にする際のロータリースイッチSwrおよびクローザモータ15の状態を示すタイムチャートである。ユーザによりバックドアBDが押し下げられたり、バックドア駆動装置5のドア駆動モータ50によりバックドアBDが閉じられたりして、
図2に示すようにオープン状態のラッチ12の切欠部120にストライカ6が係合すると、ストライカ6により押圧されたラッチ12が
図2中時計方向に回動する。これにより、ポール14が
図2中時計方向に回動し、ポール14の上記回動限界からの回動角度が第1の角度θ1を超えると、ロータリースイッチSwrからオープン信号が出力される(
図8における時刻t0)。更に、ポール14の回動角度が第2の角度θ2に達すると、ロータリースイッチSwrからオープン信号に加えてハーフ信号が出力される(
図8における時刻t1)。
【0029】
ロータリースイッチSwrから2つのハイレベル信号すなわちオープン信号およびハーフ信号が出力されると、制御装置20は、セクターギヤ18が
図4中反時計方向に回動するようにクローザモータ15を作動させる。これにより、ラッチ12によりストライカ6が引き込まれることでバックドアBDが閉じられていくと共に、ラッチ12の回動に伴ってポール14が
図5中時計方向に回動し、
図6に示すように、係合部141がラッチ12のフル係合面121cと係合する。そして、ポール14の係合部141がラッチ12のフル係合面121cと係合すると、ロータリースイッチSwrからオープン信号およびハーフ信号に加えてカーテシ信号が出力される(
図8における時刻t2)。制御装置20は、ロータリースイッチSwrから3つのハイレベル信号すなわちオープン信号、ハーフ信号およびカーテシ信号が出力されると、クローザモータ15を停止させる。これにより、フルラッチ状態が形成されてバックドアBDが全閉されることになる。
【0030】
引き続き、
図9および
図10を参照しながら、ユーザによるドアスイッチ30やリモコンキー40を介した開操作に応じてバックドアBDを開く際のドアクローザ10の動作について説明する。
【0031】
図9は、ユーザによるドアスイッチ30等を介した開操作に応じてバックドアBDを開く際のロータリースイッチSwr、クローザモータ15およびドア駆動モータ50の状態を示すタイムチャートである。バックドアBDの全閉状態では、ロータリースイッチSwrからオープン信号、ハーフ信号およびカーテシ信号が出力されており、ドアクローザ10のラッチ12は、フル係合面121cがポール14の係合部141と係合したフルラッチ状態にある。また、ドアクローザ10のセクターギヤ18は、
図4に示す中立位置に位置している。かかる状態でユーザによりバックドアBDの開操作がなされると(
図9における時刻t10)、ドアクローザ10の制御装置20は、セクターギヤ18が
図4中時計方向に回動するようにクローザモータ15を作動させる。
【0032】
これにより、
図4からわかるように、セクターギヤ18の第2押圧部182がリリースレバー19の被押圧部191に当接し、セクターギヤ18が
図4中時計方向に回動することでリリースレバー19の被押圧部191が第2押圧部182により押圧され、リリースレバー19は、
図4中時計方向に回動する。リリースレバー19の回動に伴い、ポール14の被押圧部142は、リリースレバー19の押圧部192により押圧される。これにより、ポール14が
図6中反時計方向に回動し、ポール14の係合部141とラッチ12のフル係合面121cとの係合が解除される。
【0033】
ポール14の被押圧部142がリリースレバー19の押圧部192により押圧されて回動軸140が上述のフル位置から
図6中反時計方向に回動すると、ロータリースイッチSwrから第3のハイレベル信号であるカーテシ信号が出力されなくなる(
図9における時刻t11)。また、回動軸140が更に回動して上述のハーフ位置に達すると、ロータリースイッチSwrから第2のハイレベル信号であるハーフ信号が出力されなくなる(
図9における時刻t12)。そして、
図10に示すように、回動軸140が上述のオープン位置に達すると、ロータリースイッチSwrから第1のハイレベル信号であるオープン信号が出力されなくなる(
図9における時刻t13)。
【0034】
制御装置20は、ロータリースイッチSwrから3つのハイレベル信号、すなわちカーテシ信号、ハーフ信号およびオープン信号が出力されなくなると、クローザモータ15を停止させると共に、バックドアBDを開くようにバックドア駆動装置5のドア駆動モータ50を作動させる。これにより、ユーザによる開操作に応じて速やかにバックドアBDを自動的に開くことが可能となる。また、本実施形態において、ラッチ12およびポール14は、当該ポール14が上記回動限界から第1の角度θ1だけ回動したオープン位置にある状態でラッチ12がフルラッチ側から開側に回動した際にオープン係合面121a以外が係合部141と接触しないように形成されている。これにより、バックドアBDを開くようにドア駆動モータ50を作動させた際に、ラッチ12をスムースに回動させることができる。
【0035】
以上説明したように、ドアクローザ10では、オープン状態でポール14と係合するオープン係合面(第1係合部)121aと、ハーフラッチ状態でポール14と係合するハーフ係合面(第2係合部)121bと、フルラッチ状態でポール14と係合するフル係合面(第3係合部)121cとが周方向に順番に並ぶようにラッチ12に形成される。また、ポール14は、ラッチ12のオープン係合面121a、ハーフ係合面121bおよびフル係合面121cと順番に係合するのに伴って回動軸140の軸心の周りに一方向(
図2中時計方向)に回動すると共に、フル係合面121cおよびハーフ係合面121bとの係合が解除されるのに伴って回動軸140の軸心の周りに当該一方向とは反対側の他方向(
図2中反時計方向)に回動する。これにより、単一のロータリースイッチ(回動位置検知器)Swrによりポール14の回動位置を検知することで、ラッチ12およびポール14の双方の位置を検知することができる。この結果、バックドアBDの状態を適正に把握可能としつつ、ラッチ12の回動位置を検出する検出器を省略してドアクローザ10のコストダウン化およびコンパクト化を図ることができる。また、回動位置検知器として、回動軸140に連結されたロータリースイッチSwrを採用することで、ポール14の回動位置を精度よく検知することが可能となる。ただし、ロータリースイッチSwrの代わりに、光学式センサ等が採用されてもよい。
【0036】
更に、ドアクローザ10では、ポール14の係合部141がオープン係合面121aと係合した際にラッチ12の一部がベース部材11の一部に当接することでラッチ12およびポール14の回動が規制され、ポール14の係合部141がフル係合面121cと係合した際にポール14の一部がベース部材11の一部に当接することでラッチ12およびポール14の回動が規制される。これにより、ラッチ12およびポール14の回動範囲を規定してロータリースイッチSwrによりラッチ12およびポール14の双方の位置を精度よく検知すると共に、ポール14とオープン係合面121aとの係合状態すなわちオープン状態と、ポール14とフル係合面121cとの係合状態すなわちフルラッチ状態とを良好に維持することが可能となる。
【0037】
また、ドアクローザ10の制御装置20は、バックドアBDの開操作に応じてリリースレバー19がポール14とラッチ12との係合を解除するようにクローザモータ15を制御すると共に、ロータリースイッチSwrによりポール14がオープン位置にあることが検知されるとバックドアBDを開くようにドア駆動モータ50を制御する。これにより、ユーザによるドアの開動作に応じて速やかにドアを自動的に開くことが可能となる。
【0038】
なお、上記実施形態では、ストライカ6が車体2に設けられると共にドアクローザ10がバックドアBDに設けられるが、これに限られるものではない。すなわち、ストライカ6がバックドアBDに設けられると共にドアクローザ10が車体2に設けられてもよい。また、ドアクローザ10は、ストライカを用いてロックされるものであれば、バックドアBD以外のドアにも適用され得ることはいうまでもない。
【0039】
なお、本開示の発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本開示の外延の範囲内において様々な変更をなし得ることはいうまでもない。更に、上記実施形態は、あくまで発明の概要の欄に記載された発明の具体的な一形態に過ぎず、発明の概要の欄に記載された発明の要素を限定するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本開示の発明は、ドアクローザの製造産業等において利用可能である。
【符号の説明】
【0041】
1 車両、2 車体、3 ヒンジ、4 支持部材、5 バックドア駆動装置、50 ドア駆動モータ、6 ストライカ、7 ウェザーストリップ、10 ドアクローザ、11 ベース部材、12 ラッチ、120 切欠部、121 第1爪部、121a オープン係合面、121b ハーフ係合面、121c フル係合面、122 第2爪部、125 支軸、13 ラッチレバー、130 被押圧部、14 ポール、140 回動軸、141 係合部、142 被押圧部、15 クローザモータ、16 減速ギヤ機構、17 ピニオンギヤ、18 セクターギヤ、180 軸部、181 第1押圧部、182 第2押圧部、19 リリースレバー、190 軸部、191 被押圧部、192 押圧部、20 制御装置、21 クローザ制御部、22 ドア開閉制御部、30 ドアスイッチ、40 リモコンキー、BD バックドア、Swr ロータリースイッチ。